(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022766
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】エネルギーバランスとハイブリッド電源を実現可能な電力変換器及び電力変換方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 U
H02M3/155 V
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024106701
(22)【出願日】2024-07-02
(31)【優先権主張番号】202310954928.2
(32)【優先日】2023-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521279527
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林鴻杰
(72)【発明者】
【氏名】謝奕平
(72)【発明者】
【氏名】陳信智
(72)【発明者】
【氏名】黄弘宇
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730AS01
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB14
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5H730BB88
5H730DD03
5H730DD12
5H730EE13
5H730FF09
(57)【要約】
【課題】エネルギーバランスとハイブリッド電源を実現可能な電力変換器及び電力変換方法を提供する。
【解決手段】電力変換器は、電源と複数の負荷とに接続され、第1スイッチモジュールを含み、スイッチモジュールは、インダクタと、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、第3スイッチング素子と、第4スイッチング素子とを含み、第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子は、電源を複数の電圧に変換して複数の負荷に供給するために、インダクタがエネルギーを蓄積又は放出するように、オン又はオフに切り替わる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と複数の負荷とに接続される電力変換器であって、第1スイッチモジュールを含み、
前記第1スイッチモジュールは、
インダクタと、
第1入力端子に接続された第1端と、前記インダクタの第1端に接続された第2端とを有する第1スイッチング素子と、
前記インダクタの第2端に接続された第1端と、第2入力端子に接続された第2端とを有する第2スイッチング素子と、
第1出力端子に接続された第1端と、前記第2スイッチング素子の前記第1端及び前記インダクタの前記第2端に接続された第2端とを有する第3スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子の前記第2端及び前記インダクタの前記第1端に接続された第1端と、第2出力端子に接続された第2端とを有する第4スイッチング素子と、を備え、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子は、前記電源を複数の電圧に変換して前記複数の負荷に供給するために、前記インダクタがエネルギーを蓄積又は放出するように、オン又はオフに切り替わる、電力変換器。
【請求項2】
前記第1入力端子と前記第1出力端子との間に介在して接続され、前記複数の電圧のうちの第1電圧を発生するための第1コンデンサと、
前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に介在して接続され、前記複数の電圧のうちの第2電圧を発生するための第2コンデンサと、
前記第2入力端子と前記第2出力端子との間に介在して接続され、前記複数の電圧のうちの第3電圧を発生するための第3コンデンサと、をさらに含み、
前記電源は直流電源であり、前記第1入力端子と前記第2入力端子との間に介在して接続され、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子はNチャネル同期整流型である、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項3】
直列接続された複数の第1コンデンサによって構成され、前記第1入力端子と前記第1出力端子との間に介在して接続され、前記複数の電圧のうちの第1電圧を発生するための第1コンデンサ列と、
直列接続された複数の第2コンデンサによって構成され、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に介在して接続され、前記複数の電圧のうちの第2電圧を発生するための第2コンデンサ列と、
直列接続された複数の第3コンデンサによって構成され、前記第2入力端子と前記第2出力端子との間に介在して接続され、前記複数の電圧のうちの第3電圧を発生するための第3コンデンサ列と、をさらに含み、
前記電源は直流電源であり、前記第1入力端子と前記第2入力端子との間に介在して接続され、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子はNチャネル同期整流型である、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項4】
前記複数の負荷のうちの第1負荷は、前記第1入力端子と前記第1出力端子との間に介在して接続され、前記複数の負荷のうちの第2負荷は、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に介在して接続され、前記複数の負荷のうちの第3負荷は、前記第2入力端子と前記第2出力端子との間に介在して接続される、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項5】
前記電源は交流電源であり、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子はバックツーバック双方向スイッチである、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項6】
第2スイッチモジュールと、第4コンデンサとをさらに含み、
前記第2スイッチモジュールの第3スイッチング素子の第1端は前記第2出力端子に接続され、前記第2スイッチモジュールの第4スイッチング素子の第2端は第3出力端子に接続され、
前記第4コンデンサは、前記第3出力端子と前記第2入力端子との間に介在して接続され、前記複数の電圧のうちの第4電圧を発生し、
前記複数の負荷のうちの第4負荷は、前記第3出力端子と前記第2入力端子との間に介在して接続される、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項7】
前記複数の負荷に蓄積されたエネルギーがあり、前記電源に給電できる場合、
前記複数の負荷のうちの1つは、第1電源として前記第1入力端子と前記第1出力端子との間に介在して接続され、
前記複数の負荷のうちの1つは、第2電源として前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に介在して接続され、
前記複数の負荷のうちの1つは、第3電源として前記第2入力端子と前記第2出力端子との間に介在して接続され、
前記電源は、負荷として前記第1入力端子と前記第2入力端子との間に介在して接続される、請求項1に記載の電力変換器。
【請求項8】
電源と複数の負荷とに接続される電力変換器であって、第1スイッチモジュールを含み、
前記第1スイッチモジュールは、
インダクタと、
第1出力端子に接続された第1端と、前記インダクタの第1端に接続された第2端とを有する第1スイッチング素子と、
前記インダクタの第2端に接続された第1端と、第2入力端子に接続された第2端とを有する第2スイッチング素子と、
第2出力端子に接続された第1端と、前記第2スイッチング素子の前記第1端及び前記インダクタの前記第2端に接続された第2端とを有する第3スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子の前記第2端及び前記インダクタの前記第1端に接続された第1端と、第3出力端子に接続された第2端とを有する第4スイッチング素子と、を備え、電力変換器。
【請求項9】
第1入力端子と前記第1出力端子との間に介在して接続され、複数の電圧のうちの第1電圧を発生するための第1コンデンサと、
前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に介在して接続され、前記複数の電圧のうちの第2電圧を発生するための第2コンデンサと、
前記第2入力端子と前記第2出力端子との間に介在して接続され、前記複数の電圧のうちの第3電圧を発生するための第3コンデンサと、をさらに含み、
前記電源は直流電源であり、前記第1入力端子と前記第2入力端子との間に介在して接続され、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子はNチャネル同期整流型である、請求項8に記載の電力変換器。
【請求項10】
第2スイッチモジュールと、第4コンデンサとをさらに含み、
前記第2スイッチモジュールの第1スイッチング素子の第1端は前記第1入力端子に接続され、前記第2スイッチモジュールの第2スイッチング素子の第2端は前記第3出力端子に接続され、前記第2スイッチモジュールの第3スイッチング素子の第1端は前記第1出力端子に接続され、前記第2スイッチモジュールの第4スイッチング素子の第2端は前記第2出力端子に接続され、
前記第4コンデンサは、前記第3出力端子と前記第2入力端子との間に介在して接続される、請求項9に記載の電力変換器。
【請求項11】
前記複数の負荷のうちの第1負荷は、前記第1入力端子と前記第1出力端子との間に介在して接続され、前記複数の負荷のうちの第2負荷は、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に介在して接続され、前記複数の負荷のうちの第3負荷は、前記第2出力端子と前記第3出力端子との間に介在して接続され、前記複数の負荷のうちの第4負荷は、前記第3出力端子と前記第2入力端子との間に介在して接続される、請求項9に記載の電力変換器。
【請求項12】
前記電源は交流電源であり、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子はバックツーバック双方向スイッチである、請求項8に記載の電力変換器。
【請求項13】
請求項1に記載の電力変換器の電力変換方法であって、
前記電力変換器は、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、第3スイッチング素子と、第4スイッチング素子と、インダクタと、第1コンデンサと、第2コンデンサと、第3コンデンサとを備え、
複数の負荷の電圧を検出して、第1の動作モードと、第2の動作モードと、第3の動作モードと、第4の動作モードと、第5の動作モードと、第6の動作モードと、のいずれを実行するかを決定するステップと、
前記第1の動作モードから前記第6の動作モードのうちの1つに基づいて、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子、及び前記第4スイッチング素子のオンオフを制御して、前記インダクタにエネルギーを蓄積又は放出させて、前記複数の負荷にそれぞれ第1電圧、第2電圧及び第3電圧を発生させるステップと、を含む、電力変換方法。
【請求項14】
前記第1の動作モードにおいて、
前記第1スイッチング素子をオンにすることで、前記第1コンデンサに蓄積されたエネルギーを前記インダクタに蓄積させて、前記インダクタに第1電圧を発生させるステップと、
前記第1スイッチング素子をオフにすることで、前記インダクタに蓄積された第1電圧を第2コンデンサに放出させて、前記第2コンデンサに第2電圧を発生させるステップと、を含む、請求項13に記載の電力変換方法。
【請求項15】
前記第2の動作モードにおいて、
前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子をオンにすることで、前記第2コンデンサに蓄積されたエネルギーを前記インダクタに蓄積させて、前記インダクタに前記第2電圧を発生させるステップと、
前記第4スイッチング素子をオフにし、前記第3スイッチング素子をオンにすることで、前記インダクタに蓄積された前記第2電圧を前記第1コンデンサに放出させて、前記第1コンデンサに前記第1電圧を発生させるステップと、を含む、請求項13に記載の電力変換方法。
【請求項16】
前記第3の動作モードにおいて、
前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子をオンにすることで、前記第2コンデンサに蓄積されたエネルギーを前記インダクタに蓄積させて、前記インダクタに前記第2電圧を発生させるステップと、
前記第3スイッチング素子をオフにし、前記第4スイッチング素子をオンにすることで、前記インダクタに蓄積された前記第2電圧を前記第3コンデンサに放出させて、前記第3コンデンサに前記第3電圧を発生させるステップと、を含む、請求項13に記載の電力変換方法。
【請求項17】
前記第4の動作モードにおいて、
前記第2スイッチング素子をオンにすることで、前記第3コンデンサに蓄積されたエネルギーを前記インダクタに蓄積させて、前記インダクタに前記第3電圧を発生させるステップと、
前記第2スイッチング素子をオフにし、前記インダクタに蓄積された前記第3電圧を前記第2コンデンサに放出させて、前記第2コンデンサに前記第2電圧を発生させるステップと、を含む、請求項13に記載の電力変換方法。
【請求項18】
前記第5の動作モードにおいて、
前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子をオンにすることで、前記第2コンデンサに蓄積されたエネルギーを前記インダクタに蓄積させて、前記インダクタに前記第2電圧を発生させるステップと、
前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子をオフにすることで、前記インダクタに蓄積されたエネルギーを前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサに放出させて、前記第1コンデンサに前記第1電圧を発生させ、前記第2コンデンサに前記第2電圧を発生させ、前記第3コンデンサに前記第3電圧を発生させるステップと、を含む、請求項13に記載の電力変換方法。
【請求項19】
前記第6の動作モードにおいて、
前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子をオンにすることで、前記第1コンデンサに蓄積されたエネルギー、前記第2コンデンサに蓄積されたエネルギー及び前記第3コンデンサに蓄積されたエネルギーを前記インダクタに蓄積させて、前記インダクタに総電圧を発生させるステップと、
前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子をオフにすることで、前記インダクタに蓄積された前記総電圧を前記第2コンデンサに放出させて、前記第2コンデンサに前記第2電圧を発生させるステップと、を含む、請求項13に記載の電力変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーバランス回路及びコンデンサ電圧調整方法に関し、複数の出力コンデンサを有する電力変換器及び電力変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無停電電源装置、再生可能エネルギーシステム、燃料電池、ハイブリッド自動車などにおいて、双方向電力変換器や1対多電力変換器などの非絶縁型電力変換器が広く使用されている。電力変換器は、複数の負荷に単一の電源を供給したり、1つの負荷から別の負荷に電力を転送したりすることで、エネルギーバランスやハイブリッド電源を実現する。これらの場合、電力変換器の設計目標には、少なくとも(1)高い変換効率、(2)大電流に耐える能力、(3)低い入力電流リップル、(4)小型で低コスト、が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、上記の用途に適用でき、設計目標を達成できる1対多電力変換器をどのように設計するかが、当業界の重要な課題の1つである。
【0004】
本発明は、エネルギーバランスとハイブリッド電源を実現可能な電力変換器及び電力変換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る電力変換器は、電源と複数の負荷とに接続され、第1スイッチモジュールを含み、前記第1スイッチモジュールは、インダクタと、第1入力端子に接続された第1端と、前記インダクタの第1端に接続された第2端とを有する第1スイッチング素子と、前記インダクタの第2端に接続された第1端と、第2入力端子に接続された第2端とを有する第2スイッチング素子と、第1出力端子に接続された第1端と、前記第2スイッチング素子の前記第1端及び前記インダクタの前記第2端に接続された第2端とを有する第3スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子の前記第2端及び前記インダクタの前記第1端に接続された第1端と、第2出力端子に接続された第2端とを有する第4スイッチング素子と、を備え、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子は、前記電源を複数の電圧に変換して前記複数の負荷に供給するために、前記インダクタがエネルギーを蓄積又は放出するように、オン又はオフに切り替わる。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電力変換方法は、複数の負荷の電圧を検出し、第1の動作モードから第6の動作モードのいずれを実行するかを決定するステップと、前記第1の動作モードから前記第6の動作モードのうちの1つに基づいて、第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子、及び第4スイッチング素子のオンオフを制御して、インダクタにエネルギーを蓄積又は放出させて、前記複数の負荷にそれぞれ第1電圧、第2電圧、及び第3電圧を発生させるステップと、を含む
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電力変換器と電源変換方法の特徴と利点は次の通りである。(1)スイッチング素子のデューティサイクルを調整することで、コンデンサユニットの電圧を制御することができ、部品の数を減らすことができるため、小型で低コストという利点を実現することができる。(2)インダクタのエネルギー蓄積と放出、及び複数のスイッチング素子の制御により、コンデンサセルの電圧間のエネルギー伝達を制御することができ、コンデンサセルの電圧を調整して異なる負荷の需要に対応することができる。
【0008】
本発明の目的を達成するためになされた本発明の技術、手段、及び効果をより良く理解するために、本発明の目的及び特徴は、本発明の詳細な説明及び添付図面を参照することによってより良く理解されると考えられるが、添付図面は、参照及び説明のみを提供するものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電力変換器の回路図である。
【
図2】第1の動作モードにおける本発明の電力変換器の概略図である。
【
図3】第2の動作モードにおける本発明の電力変換器の概略図である。
【
図4】第3の動作モードにおける本発明の電力変換器の概略図である。
【
図5】第4の動作モードにおける本発明の電力変換器の概略図である。
【
図6】第5の動作モードにおける本発明の電力変換器の概略図である。
【
図7】第6の動作モードにおける本発明の電力変換器の概略図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る電力変換器の回路図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る電力変換器の回路図である。
【
図10】本発明の第4実施形態に係る電力変換器の回路図である。
【
図11】本発明の第5実施形態に係る電力変換器の回路図である。
【
図12】本発明の第6実施形態に係る電力変換器の回路図である。
【
図13】本発明に係る電源変換方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の技術的内容及び詳細な説明について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電力変換器10の回路図である。
図1を参照すると、電力変換器10は、電源11と複数の負荷(第1負荷91、第2負荷92及び第3負荷93を含む)とに接続される。電力変換器10は、第1スイッチモジュール12を含む。
図1に示すように、第1スイッチモジュール12は、インダクタL
1、第1スイッチング素子S
1、第2スイッチング素子S
2、第3スイッチング素子S
3及び第4スイッチング素子S
4を含む。また、複数の負荷のうちの第1負荷91は、第1入力端子IN1と第1出力端子OUT1との間に介在して接続され、複数の負荷のうちの第2負荷92は、第1出力端子OUT1と第2出力端子OUT2との間に介在して接続され、及び複数の負荷のうちの第3負荷93は、第2入力端子IN2と第2出力端子OUT2との間に介在して接続される。
【0012】
第1スイッチング素子S1は、第1端と第2端とを含み、第1スイッチング素子S1の第1端は、第1入力端子IN1に接続され、第1スイッチング素子S1の第2端は、インダクタL1の第1端に接続される。第2スイッチング素子S2は、第1端と第2端とを含み、第2スイッチング素子S2の第1端は、インダクタL1の第2端に接続され、第2スイッチング素子S2の第2端は、第2入力端子IN2に接続される。第3スイッチング素子S3は、第1端と第2端とを含み、第3スイッチング素子S3の第1端は、第1出力端子OUT1に接続され、第3スイッチング素子S3の第2端は、第2スイッチング素子S2の第1端とインダクタL1の第2端とに接続される。第4スイッチング素子S4は、第1端と第2端とを含み、第4スイッチング素子S4の第1端は、第1スイッチング素子S1の第2端とインダクタL1の第1端とに接続され、第4スイッチング素子S4の第2端は、第2出力端子OUT2に接続される。
【0013】
第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4は、電源11を複数の電圧に変換して複数の負荷91、92、93に供給するために、インダクタL1がエネルギーを蓄積又は放出するように、オン又はオフに切り替わる。
【0014】
図1に示すように、電力変換器10は、第1コンデンサC
1と、第2コンデンサC
2と、第3コンデンサC
3とをさらに含む。第1コンデンサC
1は、第1入力端子IN1と第1出力端子OUT1との間に介在して接続され、複数の電圧のうちの第1電圧V
1を発生する。第2コンデンサC
2は、第1出力端子OUT1と第2出力端子OUT2との間に介在して接続され、複数の電圧のうちの第2電圧V
2を発生する。第3コンデンサC
3は、第2入力端子IN2と第2出力端子OUT2との間に介在して接続され、複数の電圧のうちの第3電圧V
3を発生する。
【0015】
一実施形態において、電源11は、直流電源であってもよく、第1入力端子IN1と第2入力端子IN2との間に介在して接続され、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4は、Nチャネル同期整流型である。
【0016】
一実施形態において、電力変換器10は、デジタル信号プロセッサ、プログラマブルロジックコントローラ、マイクロコントローラなどのコントローラ(図示せず)によって制御される。コントローラは、複数の負荷(又はコンデンサ)の電圧変化率を測定するように配置され、電力変換器10が第1の動作モードから第6の動作モードのうちの1つを実行することを決定する。具体的には、複数の負荷のうち1つの負荷のエネルギー低下率が他の負荷のエネルギー低下率よりも著しく低い場合、エネルギー低下率が最も低い負荷に蓄積されたエネルギーを、エネルギー低下率が最も高い負荷に移す必要がある。言い換えれば、最も電力を消費しない負荷に蓄積されたエネルギーを、最も電力を消費する負荷に移すことで、エネルギーバランスとハイブリッド電源を実現することができる。他の実施形態において、コントローラは、エネルギースケジューリングを可能にするために、電力変換器10がどの動作モードを実行するかを制御するためのユーザコマンドを受信する。
【0017】
図2は、第1の動作モードにおける本発明の電力変換器10の概略図である。
図2に示すように、第1スイッチング素子S
1がオンになることにより、第1コンデンサC
1に蓄積されたエネルギーはインダクタL
1に蓄積する(図示の第1エネルギー蓄積経路Ps1)。このとき、インダクタL
1の両端電圧は第1電圧V
1である。第1スイッチング素子S
1がオフになることにより、インダクタL
1に蓄積されたエネルギーが第2コンデンサC
2に放出する(図示の第1エネルギー放出経路Pr1)ことで、第2コンデンサC
2に第2電圧V
2を発生する。電力変換器10は、第1の動作モードにおいて、第1コンデンサC
1から第2コンデンサC
2にエネルギーを伝達し、第2コンデンサC
2の電圧を安定させることができる。一実施形態において、電力変換器10が第1の動作モードを実行するための条件は、E1>E3>E2、及びE1>>E2(即ち、第1負荷91に蓄積されたエネルギーは第2負荷92に蓄積されたエネルギーよりはるかに大きい)のうちの少なくとも1つを含む。ここで、E1、E2、E3はそれぞれ第1負荷91、第2負荷92及び第3負荷93に蓄積されたエネルギーである。第1の動作モードにおいて、第1エネルギー蓄積経路Ps1及び第1エネルギー放出経路Pr1は第3スイッチング素子S
3のボディダイオードを経由するので、第3スイッチング素子S
3を同期整流スイッチ又はダイオードに置き換えることができる。
【0018】
図3は、第2の動作モードにおける本発明の電力変換器10の概略図である。
図3に示すように、第3スイッチング素子S
3及び第4スイッチング素子S
4がオンになることにより、第2コンデンサC
2に蓄積されたエネルギーはインダクタL
1に蓄積する(図示の第2エネルギー蓄積経路Ps2)。このとき、インダクタL
1の両端電圧は第2電圧V
2である。第4スイッチング素子S
4がオフし、第3スイッチング素子S
3がオンのままであるため、インダクタL
1に蓄積されたエネルギーが第1コンデンサC
1に放出する(図示の第2エネルギー放出経路Pr2)ことで、第1コンデンサC
1に第1電圧V
1を発生する。電力変換器10は、第2の動作モードにおいて、第2コンデンサC
2から第1コンデンサC
1にエネルギーを伝達し、第1コンデンサC
1の電圧を安定させることができる。一実施形態において、電力変換器10が第2の動作モードを実行する条件は、E2>E3>E1、及びE2>>E1(即ち、第2負荷92に蓄積されたエネルギーは第1負荷91に蓄積されたエネルギーよりはるかに大きい)のうちの少なくとも1つを含む。第2の動作モードにおいて、第2エネルギー放出経路Pr2は第1スイッチング素子S
1のボディダイオードを経由するので、第1スイッチング素子S
1を同期整流スイッチング素子又はダイオードに置き換えることができる。
【0019】
図4は、第3の動作モードにおける本発明の電力変換器10の概略図である。
図4に示すように、第3スイッチング素子S
3及び第4スイッチング素子S
4がオンになることにより、第2コンデンサC
2に蓄積されたエネルギーはインダクタL
1に蓄積する(図示の第3エネルギー蓄積経路Ps3)。このとき、インダクタL
1の両端電圧は第2電圧V
2である。第3スイッチング素子S
3がオフし、第4スイッチング素子S
4がオンのままであるため、インダクタL
1に蓄積されたエネルギーが第3コンデンサC
3に放出する(図示の第3エネルギー放出経路Pr3)ことで、第3コンデンサC
3に第3電圧V
3を発生する。電力変換器10は、第3の動作モードにおいて、第2コンデンサC
2から第3コンデンサC
3にエネルギーを伝達し、第3コンデンサC
3に電圧を安定させることができる。一実施形態において、電力変換器10が第3の動作モードを実行する条件は、E2>E1>E3、及びE2>>E3(即ち、第2負荷92に蓄積されたエネルギーは第3負荷93に蓄積されたエネルギーよりはるかに大きい)のうちの少なくとも1つを含む。第3モードにおいて、第3エネルギー放出経路Pr3は第2スイッチング素子S
2のボディダイオードを経由するので、第2スイッチング素子S
2を同期整流スイッチング素子又はダイオードに置き換えることができる。
【0020】
図5は、第4の動作モードにおける本発明の電力変換器10の概略図である。
図5に示すように、第2スイッチング素子S
2がオンになることにより、第3コンデンサC
3に蓄積されたエネルギーはインダクタL
1に蓄積する(図示の第4エネルギー蓄積経路Ps4)。このとき、インダクタL
1の両端電圧は第3電圧V
3である。第2スイッチング素子S
2がオフすることに基づいて、インダクタL
1に蓄積されたエネルギーは第2コンデンサC
2にエネルギー放出する(図示の第4エネルギー放出経路Pr4)ことで、第2コンデンサC
2に第2電圧V
2を発生する。電力変換器10は、第4の動作モードにおいて、第3コンデンサC
3から第2コンデンサC
2にエネルギーを伝達し、第2コンデンサC
2の電圧を安定させる。一実施形態において、電力変換器10が第4の動作モードを実行する条件は、E3>E1>E2、及びE3>>E2(即ち、第3負荷93に蓄積されたエネルギーは第2負荷92に蓄積されたエネルギーよりはるかに大きい)のうちの少なくとも1つを含む。第4モードにおいて、第4エネルギー蓄積経路Ps4及び第4エネルギー放出経路Pr4は第4スイッチング素子S
4のボディダイオードを経由するので、第4スイッチング素子S
4を同期整流スイッチング素子又はダイオードに置き換えることができる。
【0021】
図6は、第5の動作モードにおける本発明の電力変換器10の概略図である。
図6に示すように、第3スイッチング素子S
3及び第4スイッチング素子S
4がオンになることにより、第2コンデンサC
2に蓄積されたエネルギーはインダクタL
1に蓄積する(図示の第5エネルギー蓄積経路Ps5)。このとき、インダクタL
1の両端電圧は第2電圧V
2である。第3スイッチング素子S
3及び第4スイッチング素子S
4がオフになることにより、インダクタL
1に蓄積されたエネルギーが第1コンデンサC
1、第2コンデンサC
2及び第3コンデンサC
3にエネルギー放出する(図示の第5エネルギー放出経路Pr5)ことで、第1コンデンサC
1に第1電圧V
1を発生し、第2コンデンサC
2に第2電圧V
2を発生し、及び第3コンデンサC
3に第3電圧V
3を発生し、これら3つのコンデンサの直列経路にV
1+V
2+V
3の電圧を発生する。電力変換器10は、第5の動作モードにおいて、第2コンデンサC
2から第1コンデンサC
1及び第3コンデンサC
3にエネルギーを伝達し、第1コンデンサC
1及び第3コンデンサC
3の電圧を安定させることができる。一実施形態において、電力変換器10が第5の動作モードを実行する条件は、E2>E1≒E3(即ち、第2負荷92に蓄積されたエネルギーは第1負荷91に蓄積されたエネルギーと第3負荷93に蓄積されたエネルギーより大きく、第1負荷91に蓄積されたエネルギーと第3負荷93に蓄積されたエネルギーはほぼ等しい)、及びE2>>E1≒E3(即ち、第2負荷92に蓄積されたエネルギーは第1負荷91に蓄積されたエネルギーと第3負荷93に蓄積されたエネルギーよりはるかに大きく、第1負荷91に蓄積されたエネルギーと第3負荷93に蓄積されたエネルギーはほぼ等しい)のうちの少なくとも1つを含む。第5の動作モードにおいて、第3エネルギー放出経路Pr3は第1スイッチング素子S
1のボディダイオード及び第2スイッチング素子S
2のボディダイオードを経由するので、第1スイッチング素子S
1及び第2スイッチング素子S
2を同期整流スイッチング素子又はダイオードに置き換えることができる。
【0022】
図7は、第6の動作モードにおける本発明の電力変換器の概略図である。
図7に示すように、第1スイッチング素子S
1及び第2スイッチング素子S
2がオンになることにより、第1コンデンサC
1に蓄積されたエネルギー、第2コンデンサC
2に蓄積されたエネルギー及び第3コンデンサC
3に蓄積されたエネルギーはインダクタL
1に蓄積する(図示の第6エネルギー蓄積経路Ps6)。このとき、インダクタL
1の両端電圧はV
1+V
2+V
3の電圧である。第1スイッチング素子S
1又は第2スイッチング素子S
2がオフになることにより、インダクタL
1に蓄積されたエネルギーは第2コンデンサC
2にエネルギー放出する(図示の第6エネルギー放出経路Pr6)ことで、第2コンデンサC
2に第2電圧V
2を発生する。電力変換器10は、第6の動作モードにおいて、第1コンデンサC
1、第2コンデンサC
2及び第3コンデンサC
3から第2コンデンサC
2にエネルギーを伝達し、第2コンデンサC
2の電圧を安定させることができる。一実施形態において、電力変換器10が第6の動作モードを実行する条件は、E2<E1≒E3(即ち、第2負荷92に蓄積されたエネルギーは第1負荷91に蓄積されたエネルギーと第3負荷93に蓄積されたエネルギーより小さく、第1負荷91に蓄積されたエネルギーと第3負荷93に蓄積されたエネルギーはほぼ等しい)、及びE2<<E1≒E3(即ち、第2負荷92に蓄積されたエネルギーは第1負荷91に蓄積されたエネルギーと第3負荷93に蓄積されたエネルギーよりはるかに小さく、第1負荷91に蓄積されたエネルギーと第3負荷93に蓄積されたエネルギーはほぼ等しい)のうちの少なくとも1つを含む。第6の動作モードにおいて、第6エネルギー放出経路Pr6は第3スイッチング素子S
3のボディダイオード及び第4スイッチング素子S
4のボディダイオードを経由するので、第3スイッチング素子S
3及び第4スイッチング素子S
4を同期整流スイッチング素子又はダイオードに置き換えることができる。
【0023】
図8は、本発明の第2実施形態に係る電力変換器20の回路図である。
図8に示す第2実施形態と
図1に示す第1実施形態との主な違いは、第2実施形態がマルチコンデンサ接続(即ち、マルチコンデンサ直列接続)構造であることである。本実施形態において、マルチコンデンサ直列構造は、第1コンデンサ列と、第2コンデンサ列と、第3コンデンサ列と、を含む。第1コンデンサ列は、第1入力端子IN1と第1出力端子OUT1との間に介在して接続され、複数の電圧(例えば電圧V
11、V
12)の第1電圧V
1を発生し、直列接続された複数の第1コンデンサC
11、C
12を含む。第2コンデンサ列は、第1出力端子OUT1と第2出力端子OUT2との間に介在して接続され、複数の電圧(例えば電圧V
21、V
22)の第2電圧V
22を発生し、直列接続された複数の第2コンデンサC
21、C
22を含む。第3コンデンサ列は、第2入力端子IN2と第2出力端子OUT2との間に介在して接続され、複数の電圧(例えば電圧V
31、V
32)の第3電圧V
3を発生し、直列接続された複数の第3コンデンサC
31、C
32を含む。この回路構造では、電源11は直流電源であり、第1入力端子IN1と第2入力端子IN2との間に介在して接続され、かつ、第1スイッチング素子S
1、第2スイッチング素子S
2、第3スイッチング素子S
3及び第4スイッチング素子S
4はNチャネル同期整流型である。
図9は、本発明の第3実施形態に係る電力変換器30の回路図である。本実施形態において、電源11は交流電源であってもよい。したがって、第1スイッチング素子S
1、第2スイッチング素子S
2、第3スイッチング素子S
3及び第4スイッチング素子S
4はバックツーバック双方向スイッチ((back-to-back bi-directional switch),例えば2個のMOSFETを直列かつ逆向きに接続する))であるため、交流電源の正と負の半サイクルの極性が異なり、バックツーバック双方向スイッチの双方向導通特性によって、コンデンサ電圧を調整することができる。
【0024】
図10は、本発明の第4実施形態に係る電力変換器40の回路図である。本実施形態と
図1に示す第1実施形態との主な違いは、第4実施形態に係る電力変換器40が2つのスイッチモジュール、即ち第1スイッチモジュール12-1及び第2スイッチモジュール12-2を有し、コンデンサユニットC
1、C
2、C
3、C4の数は4つ、即ち第4コンデンサC4が追加されることである。本実施形態において、第1スイッチモジュール12-1は、第1実施形態の第1スイッチモジュール12に対応する。また、第2スイッチモジュール12-2の第3スイッチング素子S
3の第1端は第2出力端子OUT2に接続され、及び第2スイッチモジュール12-2の第4スイッチング素子S
4の第2端は第3出力端子OUT3に接続される。第4コンデンサC4は、第3出力端子OUT3と第2入力端子IN2との間に介在して接続され、複数の電圧のうちの第4電圧V
4を発生する。ここで、複数の負荷のうちの第4負荷94は第3出力端子OUT3と第2入力端子IN2との間に介在して接続される。
【0025】
図11は、本発明の第5実施形態に係る電力変換器50の回路図である。
図11に示す電力変換器50は、電源11と複数の負荷(第1負荷91、第2負荷92、第3負荷93及び第4負荷94を含む)とに接続され、第1スイッチモジュール12-3を含む。第1スイッチモジュール12-3は、インダクタL
1と、第1スイッチング素子S
1と、第2スイッチング素子S
2と、第3スイッチング素子S
3と、第4スイッチング素子S
4と、を含む。第1スイッチング素子S
1は、第1出力端子OUT1に接続される第1端と、インダクタL
1の第1端に接続される第2端と、を含む。第2スイッチング素子S
2は、第1端、インダクタL
1の第2端に接続される第1端と、第2入力端子IN2に接続される第2端をと含む。第3スイッチング素子S
3は、第2出力端子OUT2に接続される第1端と、第2スイッチング素子S
2の第1端及びインダクタL
1の第2端に接続される第2端と、を含む。第4スイッチング素子S
4は、第1スイッチング素子S
1の第2端及びインダクタL
1の第1端に接続される第1端と、第3出力端子OUT3に接続される第2端と、を含む。
【0026】
図11に示す電力変換器50は、第1コンデンサC
1、第2コンデンサC
2及び第3コンデンサC
3をさらに含む。第1コンデンサC
1は、第1入力端子IN1と第1出力端子OUT1との間に介在して接続され、複数の電圧のうちの第1電圧V
1を発生する。第2コンデンサC
2は、第1出力端子OUT1と第2出力端子OUT2との間に介在して接続され、複数の電圧のうちの第2電圧V
2を発生する。第3コンデンサC
3は、第2入力端子IN2と第2出力端子OUT2との間に介在して接続され、複数の電圧のうちの第3電圧V
3を発生する。ここで、電源11は直流電源である、第1入力端子IN1と第2入力端子IN2との間に介在して接続され、かつ、第1スイッチング素子S
1、第2スイッチング素子S
2、第3スイッチング素子S
3及び第4スイッチング素子S
4はNチャネル同期整流型である。
【0027】
図11に示す電力変換器50は第2スイッチモジュール12-4と第4コンデンサC4とをさらに含む。第2スイッチモジュール12-4は、第1スイッチング素子S
1と、第2スイッチング素子S
2と、第3スイッチング素子S
3と、第4スイッチング素子S
4と、を含む。第1スイッチング素子S
1の第1端は第1入力端子IN1に接続され、第2スイッチング素子S
2の第2端は第3出力端子OUT3に接続され、第3スイッチング素子S
3の第1端は第1出力端子OUT1に接続され、及び第4スイッチング素子S
4の第2端は第2出力端子OUT2に接続される。第4コンデンサC4は、第3出力端子OUT3と第2入力端子IN2との間に介在して接続される。
【0028】
ここで、複数の負荷のうちの第1負荷91は、第1入力端子IN1と第1出力端子OUT1との間に介在して接続される。複数の負荷のうちの第2負荷92は、第1出力端子OUT1と第2出力端子OUT2との間に介在して接続される。複数の負荷のうちの第3負荷93は、第2出力端子OUT2と第3出力端子OUT3との間に介在して接続される。複数の負荷のうちの第4負荷94は、第3出力端子OUT3と第2入力端子IN2との間に介在して接続される。
【0029】
異なる実施形態において、本実施形態において、電源11は交流電源であってもよい。したがって、第1スイッチング素子S1、第2スイッチング素子S2、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4はバックツーバック双方向スイッチ((back-to-back bi-directional switch),例えば2個のMOSFETを直列かつ逆向きに接続する))であるため、交流電源の正と負の半サイクルの極性が異なり、バックツーバック双方向スイッチの双方向導通特性によって、コンデンサ電圧を調整することができる。
【0030】
図12は、本発明の第6実施形態に係る電力変換器60の回路図である。複数の負荷に蓄積されたエネルギーがあり、電源11に給電できる場合、複数の負荷のうちの1つは、第1電源51として、第1入力端子IN1と第1出力端子OUT1との間に介在して接続される。複数の負荷のうちの1つは、第2電源52として、第1出力端子OUT1と第2出力端子OUT2との間に介在して接続される。複数の負荷のうちの1つは、第3電源53として、第2入力端子IN2と第2出力端子OUT2との間に介在して接続される。本実施形態において、電源11は負荷90として、第1入力端子IN1と第2入力端子IN2との間に介在して接続される。ここで、第1電源51及び第1コンデンサC
1は、電池、例えば、スーパーキャパシタ(電気二重層キャパシタ)、リチウム電池、鉛蓄電池であってもよいが、これらに限定されない。同様に、第2電源52と第2コンデンサC
2及び第3電源53と第3コンデンサC
3は電池である。電池によって安定した入力電圧を供給し、前述したように、スイッチモジュール12のスイッチング素子S
1、S
2、S
3、S
4を制御することにより、双方向の電力フローを実現し、電池電圧を安定して充放電し、電源11(即ち負荷90)の需要を供給することができる。
【0031】
図13は、本発明に係る電源変換方法のフローチャートである。前述した異なる電力変換器の実施形態のうちの1つを参照して説明する。電力変換器は第1スイッチング素子S
1と、第2スイッチング素子S
2と、第3スイッチング素子S
3と、第4スイッチング素子S
4と、インダクタL
1と、第1コンデンサC
1と、第2コンデンサC
2と、第3コンデンサC
3含む。電力変換方法は、複数の負荷の電圧を検出して、第1の動作モードから第6の動作モードのいずれを実行するかを決定する(ステップS10)。その後、第1の動作モードから第6の動作モードのうちの1つに基づいて、第1スイッチング素子S
1、第2スイッチング素子S
2、第3スイッチング素子S
3及び第4スイッチング素子S
4のオンオフを制御して、インダクタL
1にエネルギーを蓄積又は放出させて、複数の負荷にそれぞれ第1電圧V
1、第2電圧V
2及び第3電圧V
3を発生させる(ステップS20)。
【0032】
ここで、第1の動作モードにおいて、第1スイッチング素子S1をオンにすることで、第1コンデンサC1に蓄積されたエネルギーをインダクタL1に蓄積させて、インダクタL1に第1電圧V1を発生させるステップと、第1スイッチング素子S1をオフにすることで、インダクタL1に蓄積された第1電圧V1を第2コンデンサC2に放出させて、第2コンデンサC2に第2電圧V2を発生させるステップと、を含む。
【0033】
ここで、第2の動作モードにおいて、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4をオンにすることで、第2コンデンサC2に蓄積されたエネルギーをインダクタL1に蓄積させて、インダクタL1に第2電圧V2を発生させるステップと、第4スイッチング素子S4をオフにし、第3スイッチング素子S3をオンにすることで、インダクタL1に蓄積された第2電圧V2を第1コンデンサC1に放出させて、第1コンデンサC1に第1電圧V1を発生させるステップと、を含む。
【0034】
ここで、第3の動作モードにおいて、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4をオンにすることで、第2コンデンサC2に蓄積されたエネルギーをインダクタL1に蓄積させて、インダクタL1に第2電圧V2を発生させるステップと、第3スイッチング素子S3をオフにし、第4スイッチング素子S4をオンにすることで、インダクタL1に蓄積された第2電圧V2を第3コンデンサC3に放出させて、第3コンデンサC3に第3電圧V3を発生させるステップと、を含む。
【0035】
ここで、第4の動作モードにおいて、第2スイッチング素子S2をオンにすることで、第3コンデンサC3に蓄積されたエネルギーをインダクタL1に蓄積させて、インダクタL1に第3電圧V3を発生させるステップと、第2スイッチング素子S2をオフにすることで、インダクタL1に蓄積された第3電圧V3を第2コンデンサC2に放出させて、第2コンデンサC2に第2電圧V2を発生させるステップと、を含む。
【0036】
ここで、第5の動作モードにおいて、第3スイッチング素子S3と第4スイッチング素子S4をオンにすることで、第2コンデンサC2に蓄積されたエネルギーをインダクタL1に蓄積させて、インダクタL1に第2電圧V2を発生させるステップと、第3スイッチング素子S3及び第4スイッチング素子S4をオフにすることで、インダクタL1に蓄積されたエネルギーを第1コンデンサC1、第2コンデンサC2及び第3コンデンサC3に放出させて、第1コンデンサC1に第1電圧V1を発生させ、第2コンデンサC2に第2電圧V2を発生させ、第3コンデンサC3に第3電圧V3を発生させるステップと、を含む。
【0037】
ここで、第6の動作モードにおいて、第1スイッチング素子S1及び第2スイッチング素子S2をオンにすることで、第1コンデンサC1に蓄積されたエネルギー、第2コンデンサC2に蓄積されたエネルギー及び第3コンデンサC3に蓄積されたエネルギーをインダクタL1に蓄積させて、インダクタL1に総電圧V1+V2+V3(即ち第1電圧V1、第2電圧V2、第3電圧V3の総和)を発生させるステップと、第1スイッチング素子S1又は第2スイッチング素子S2をオフにすることで、インダクタL1に蓄積する総電圧を第2コンデンサC2に放出させて、第2コンデンサC2に第2電圧V2を発生させるステップと、を含む。
【0038】
以上をまとめると、本発明の特徴と利点は次の通りである。(1)スイッチング素子のデューティサイクルを調整することで、コンデンサユニットの電圧を制御することができ、部品の数を減らすことができるため、小型で低コストという利点を実現することができる。(2)インダクタのエネルギー蓄積と放出、及び複数のスイッチング素子の制御により、コンデンサセルの電圧間のエネルギー移動を制御することができ、コンデンサセルの電圧を調整して異なる負荷の需要に対応することができる。
【0039】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもなく、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の全ての範囲は以下の特許請求の範囲に基づくものであり、本発明の特許請求の範囲に合致する精神とその類似の変形例は、本発明の範囲に含まれるべきであり、当業者であれば、本発明の技術的範囲内において、容易に思いつくことができ、また、その変形例や修正例も、以下の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
10、20、30、40、50、60 電力変換器
11 電源
12、12-1、12-3 第1スイッチモジュール
12-2 第2スイッチモジュール
12-4 第2スイッチモジュール
S1 第1スイッチング素子
S2 第2スイッチング素子
S3 第3スイッチング素子
S4 第4スイッチング素子
L1 インダクタ
IN1 第1入力端子
IN2 第2入力端子
OUT1 第1出力端子
OUT2 第2出力端子
OUT3 第3出力端子
C1 第1コンデンサ
C2 第2コンデンサ
C3 第3コンデンサ
C4 第4コンデンサ
51 第1電源
52 第2電源
53 第3電源
V1 第1電圧
V2 第2電圧
V3 第3電圧
V4 第4電圧
91 第1負荷
92 第2負荷
93 第3負荷
94 第4負荷
Ps1 第1エネルギー蓄積経路
Ps2 第2エネルギー蓄積経路
Ps3 第3エネルギー蓄積経路
Ps4 第4エネルギー蓄積経路
Ps5 第5エネルギー蓄積経路
Ps6 第6エネルギー蓄積経路
Pr1 第1エネルギー放出経路
Pr2 第2エネルギー放出経路
Pr3 第3エネルギー放出経路
Pr4 第4エネルギー放出経路
Pr5 第5エネルギー放出経路
Pr6 第6エネルギー放出経路