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特開2025-22806電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022806
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20250206BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
G08G1/09 F
B61B13/00 V
B61B13/00 T
B61B13/00 W
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024123141
(22)【出願日】2024-07-30
(31)【優先権主張番号】10-2023-0101444
(32)【優先日】2023-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】524123861
【氏名又は名称】カントプス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オ,ハク ソ
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ヨル クォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン イク
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドク ハ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ユン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ソン ミン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウォン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ソン ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】イ,セ フン
【テーマコード(参考)】
3D101
5H181
【Fターム(参考)】
3D101BB05
3D101BB55
3D101BD02
3D101BE03
5H181AA27
5H181BB03
5H181CC04
5H181CC18
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF27
(57)【要約】
【課題】電力線が敷設されている区間のどこでも固定装置又は移動装置に関係なく、高速でデータを処理することができるようにし、別途の通信施設が要求されず、台車の合流区間の通過を円滑に制御することができるようにする。
【解決手段】線路に沿って移動する台車に搭載された台車制御機と、線路の合流区間に設けられ、複数の台車の合流通過を制御する中央制御機を含む合流通過制御システムであって、線路には台車が進入する地点から合流区間の終端に至る区間まで電力線が設けられ、中央制御機と台車制御機は、電力線通信を通じて合流通過を制御するためのデータを互いに送受信する。従来の電力線通信システムは、固定された装置に対してのみデータの処理が可能であったが、本発明においては、電力線が敷設されている区間のどこでも、固定された装置又は移動する装置に関係なく、高速でデータを処理することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線路に沿って移動する台車に搭載された台車制御機と、前記線路の合流区間に設けられ、複数の前記台車の合流通過を制御する中央制御機と、を含む合流通過制御システムであって、
前記線路には、前記台車が進入する地点から前記合流区間の終端に至る区間まで電力線が設けられ、前記中央制御機と前記台車制御機は、電力線通信を通じて合流通過を制御するためのデータを互いに送受信することを特徴とする電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム。
【請求項2】
前記中央制御機は、前記合流区間の各線路に危険地帯開始点の位置と危険地帯終了点の位置を決定し、これを基準に前記台車の前記合流区間の通過を制御することを特徴とする請求項1に記載の電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム。
【請求項3】
前記台車制御機は、走行又は停止状態を示す台車情報、移動量と移動速度の少なくともいずれか1つを含む走行情報及び台車識別情報を、前記電力線通信を通じて前記中央制御機に伝送することを特徴とする請求項1に記載の電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム。
【請求項4】
前記中央制御機は、危険区域開始点、進入許可可否情報、応答台車選定情報及び通信中の前記台車制御機の台数情報に関するデータを前記電力線通信を通じて前記台車制御機に伝送することを特徴とする請求項1に記載の電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム。
【請求項5】
前記電力線の終端に設けられ、前記中央制御機と前記台車制御機を円滑に通信するための伝送線路マッチング部を含み、前記電力線と接触式結合装置を介して結合され、前記中央制御機と前記電力線通信を行う終端装置をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム。
【請求項6】
前記中央制御機は、前記電力線と接触式結合装置を介して結合され、
前記台車制御機は、前記電力線と非接触式結合装置を介して結合され、前記中央制御機と前記電力線通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム。
【請求項7】
前記線路の前記合流区間の入り口部に前記合流区間の状態を表示する合流区間状態表示装置が設けられ、
前記台車にはカメラが設置され、前記台車制御機は、前記カメラで撮影された映像を通じて前記合流区間への進入可能状態情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム。
【請求項8】
前記台車は、位置移動情報を検出するためのセンサーを含み、前記台車制御機は、前記センサーを通じて検出された位置移動情報を前記中央制御機に伝送することを特徴とする請求項1に記載の電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム。
【請求項9】
前記センサーは、前記線路の表面変化を検出して位置変化を認識する光フローセンサー、IMUセンサー、カメラのいずれか1つであることを特徴とする請求項8に記載の電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム。
【請求項10】
前記合流区間の線路には、前記台車の位置移動情報を検出するための位置情報更新装置が設けられ、前記台車制御機は、前記位置情報更新装置から非接触式電力線通信を通じて前記台車の位置移動情報を受信し、
前記非接触式電力線通信の周波数は、前記中央制御機と前記台車制御機の間の通信周波数と異なることを特徴とする請求項1に記載の電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム。
【請求項11】
前記電力線は、2線式伝送線路であり、2本の導体線間の距離が周期的に可変するように設けられ、
前記台車制御機は、前記電力線を通じて受信される信号の受信強度に基づいて台車の移動位置を算出することを特徴とする請求項1に記載の電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井搬送システムで合流区間の通過を制御する技術に係り、より詳細には、電力線が敷設されている区間のどこでも、固定装置又は移動装置に関係なく高速でデータを処理することができるようにし、別途の通信設備が要求されず、台車の合流区間の通過を円滑に制御することができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
天井搬送システム(Overhead Hoist Transport System)は、移送する対象物が多い大型病院、半導体、LCD、OLED、太陽光パネル、生産工場等に設けられ、対象物を運搬する移動体として、OHT(Overhead Hoist Transfer)とOHTを案内するためのレール等を含む。搬送台車、即ち、OHTは、天井に設けられたレールに沿って走行する。OHTは、搬送命令を指令するOCS(OHT Control System)によって統合制御管理される。天井搬送システムがLCDやOLED、特に、半導体生産ラインに設けられた場合、クリーンルーム内の天井空間を用いてレールが配置されるが、レール上で駆動されるOHTは、LCD又はOLED、半導体基板等の搬送対象物を処理装置又は検査装置の搬送ポートの間で運搬する。走行レールは、支柱等によってクリーンルームの天井等で支持され、走行レールの本体と給電レールからなる。OHTは、走行駆動部があり、走行レールの本体内を走行することができ、受電部により給電レールから信号を受電してOCSと通信する。天井搬送システムは、複数のOHTが軌道上を走行することにより対象物を搬送する。軌道は、OHTが直線で走行中である場合、他の軌道に移動することができるように分岐する分岐区間と、分岐区間から移動してくるOHTを他の軌道に進入することを許可する合流区間を有する。OHTが複数の場所に分岐され、連結された軌道上を走行することにより、目的とする位置まで対象物を搬送することになる。
【0003】
このような天井搬送システムにおいては、軌道の分岐点又は合流点で台車同士が衝突しないように衝突防止システムが備えられる場合がある。先行技術として、分岐点及び合流点の付近に設けられた誘導線を介して台車同士が通信することにより、互いを認識して衝突を防止する技術が提案されている。
【0004】
一例として、韓国公開特許第2013-0120530号には、互いに周波数の異なる複数の信号を各々発信する発信部と、発信部から発信された複数の信号を誘導線に各々送信する送信部と、誘導線を介して伝達された複数の信号を各々受信する受信部と、受信された信号の種類に基づいて台車の減速又は停止、或いは走行の速行を判定する判定部と、判定部における判定結果に応じて前記台車の走行を制御する制御部とを備える有軌道台車システムが開示されている。
【0005】
前記先行技術は、誘導線を介して受信される周波数の種類によって減速、停止、走行を判断し、合流又は分岐点ごとに受信された周波数の種類によってどの周波数の信号が減速であるか、停止であるか、又は走行であるかを記憶しなければならないため、その状況を検出し、実行しなければならない状況では、通信回路の複雑な構成(周波数の種類の追加)が必要であり、記憶部管理(地点ごとに周波数の種類による台車動作の定義)のエラーによる衝突の可能性がある。
【0006】
また、合流部に同時に進入した場合、全ての台車が停止信号を受け、いずれも走行できない状況が発生する可能性がある。
また、3本以上の複数の線路を含む合流区間には、使用できる周波数の限界により、対応することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2013-0120530号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1890847号公報
【特許文献3】特許第5440701号公報
【特許文献4】特許第4241306号公報
【特許文献5】韓国登録特許第2459085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述のような問題を解決するために案じられたものであり、本発明の目的は、電力線が敷設されている区間のどこでも固定装置又は移動装置に関係なく、高速でデータを処理することができるようにし、別途の通信施設が要求されず、台車の合流区間の通過を円滑に制御することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような目的を達成するための本発明の一側面によると、線路に沿って移動する台車に搭載された台車制御機と、前記線路の合流区間に設けられ、複数の前記台車の合流通過を制御する中央制御機を含む合流通過制御システムであって、前記線路には、前記台車が進入する地点から前記合流区間の終端に至る区間まで電力線が設けられ、前記中央制御機と前記台車制御機は、電力線通信を通じて合流通過制御のためのデータを互に送受信することを特徴とする電力線通信を用いた台車位置ベースの合流通過制御システムが提供される。
【0010】
ここで、前記中央制御機は、前記合流区間の各線路に危険地帯開始点の位置と危険地帯終了点の位置を決定し、これを基準に前記台車の前記合流区間の通過を制御し、台車制御機は、走行又は停止状態を示す台車情報、移動量と移動速度の少なくともいずれか1つを含む走行情報及び台車識別情報を前記電力線通信を通じて前記中央制御機に伝送し、中央制御機は、危険地帯開始点、進入許可可否の情報、応答台車選定の情報及び通信中の前記台車制御機個数の情報に関するデータを前記電力線通信を通じて前記台車制御機に伝送するようにすることができる。
【0011】
また、前記電力線の終端に設けられ、前記中央制御機と前記台車制御機を円滑に通信するための伝送線路マッチング部を含み、前記電力線と接触式結合装置を介して結合され、前記中央制御機と前記電力線通信を行う終端装置をさらに含むことが好ましい。
【0012】
また、前記中央制御機は、前記電力線と接触式結合装置を介して結合され、前記台車制御機は、前記電力線と非接触式結合装置を介して結合され、前記中央制御機と前記電力線通信を行うことがより好ましい。
【0013】
また、前記線路の前記合流区間の入り口部に前記合流区間の状態を表示する合流区間状態表示装置が設けられ、前記台車にはカメラが設置され、前記台車制御機は、前記カメラで撮影された映像から前記合流区間への進入可能状態情報を取得するようにすることもできる。
【0014】
また、前記台車は、位置移動情報を検出するためのセンサーを含み、前記台車制御機は、前記センサーを介して検出された位置移動情報を前記中央制御機に伝送するようにし、センサーとしては、前記線路の表面の変化を検出して位置変化を認識する光フローセンサー、IMUセンサー、カメラのいずれか1つである。
【0015】
また、合流区間の前記線路には、前記台車の位置移動情報を検出するための位置情報更新装置が設けられ、前記台車制御機は、前記位置情報更新装置から非接触式電力線通信を通じて前記台車の位置移動情報を受信するようにすることもでき、前記非接触式電力線通信の周波数は、前記中央制御機と前記台車制御機の間の通信周波数とは異なるものであることが好ましい。
【0016】
また、前記電力線は、2線式伝送線路であって、2本の導体線間の距離が周期的に可変するように設けられ、前記台車制御機は、前記電力線を介して受信される信号の受信強度に基づいて台車の移動位置を算出することもできる。
【発明の効果】
【0017】
従来の電力線通信システムでは、固定された装置に対してのみデータ処理が可能であったが、本発明においては、電力線が敷設されている区間のどこでも、固定された装置又は移動する装置に関係なく、高速でデータを処理することができるという利点を有している。
【0018】
また、従来、移動体との通信が可能である近距離無線通信でタグの情報をリーダーが受けて処理するRFIDシステムがあるが、RFIDシステムは、タグに格納できる低容量のデータと、数十Kbps程度の低速の通信速度を通じて大容量のデータを高速で伝送、処理することは困難であったが、本発明は、電力線通信を通じて大容量のデータを処理することができる高速通信が可能であるという利点を有している。
【0019】
また、システムの終端/拡張装置に別途の電源と通信ケーブルを敷設せずとも、電源供給と高速通信が可能であるという利点を有しており、容易に装置を拡張することができるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施例による、線路に通信のためのインターフェース媒体が設けられた形態を示した図である。
図2】本発明の他の一実施例による、線路に通信のためのインターフェース媒体が設けられた形態を示した図である。
図3】本発明による電力線通信構成図である。
図4】台車で非接触電力通信が行われることを説明するためのシステム構成図である。
図5】伝送線路の配線形態に応じて移動体の位置を認識する方法を説明する図である。
図6】台車にセンサーを搭載し、台車の位置移動情報を得る方式による合流通路制御システムの構成を示した図である。
図7】線路に設けられた位置情報更新装置を介した合流通過制御システムの構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に記載の実施例及び図面に示された構成は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全て表現するものではないため、本発明の権利範囲は、本明細書に記載の実施例及び図面に限定されるものと解釈されるべきではない。即ち、実施例は、多様な変更が可能であり、多様な形態を有することができるため、本発明の権利範囲は、技術的思想が実現できる均等物を含むものと理解するべきである。また、本発明において提示された目的又は効果は、特定の実施例がこれを全て含まなければならないか、又はそのような効果のみを含まなければならないという意味ではないため、本発明の権利範囲は、これに制限されるものと理解するべきではない。
【0022】
ここで使用される全ての用語は、別途に定義しない限り、本発明に属する分野における通常の知識を有する者が、一般的に理解することと同様の意味を有する。一般的に使用される、辞書に定義されている用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致したものと解釈するべきであり、本発明において明確に定義していない、理想的又は過度に形式的な意味を有するものと解釈することはできない。
【0023】
以下においては、添付の図面を参照して本発明の好ましい一実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例による線路に、通信のためのインターフェース媒体が設けられた形態を示した図である。
【0024】
以下の実施例において、2つの線路が1つの線路に合流する形態の合流区間を例示しているが、本発明は、これに限定されず、より多くの線路からなる合流区間にも適用できることは言うまでもない。
図1に示したように、本発明においては、台車OHTが移動する線路L1、L2には、後述の中央制御機30と台車制御機20の間で通信が行われるようにインターフェース媒体C1、C2が設けられる。
【0025】
台車OHTが移動する線路L1、L2には、台車OHTの合流通過シーケンスによって生じ得る不要な速度低下又は走行停止を防止するために、台車OHTが進入する入り口から合流区間の末端までインターフェース媒体C1、C2が設けられる。
【0026】
本発明においては、インターフェース媒体C1、C2として伝送線路形態の電力線が用いられ、電源の入力仕様及び入力有無は、付加のオプション機能の構成によって変更される場合がある。
【0027】
電源が入力される場合は、台車OHTの位置移動情報を見出すための方法のうち、合流区間の線路に設けられた別途のセンサー(位置情報更新装置、図7に関する説明を参照)に電源印加が必要な構成である場合がある。
【0028】
図2は、本発明の他の一実施例による、線路に通信のためのインターフェース媒体が設けられた形態を示した図である。
図2の実施例は、台車OHTの高速走行区間又は隣接した合流区間で、台車OHTが進入する入り口部に合流区間状態表示装置60が設けられ、台車OHTに取り付けられたカメラ23を通じて、遠距離でも進入部への進入可能状態情報を認識できるようにするものである。
【0029】
図3は、本発明による電力線通信構成図であり、図4は、台車で非接触電力通信が行われることを説明するためのシステム構成図である。
【0030】
図3の説明に先立ち、電力線通信について簡単に説明する。
電力線通信(PLC:Power Line Communication)は、交流又は直流電源を供給する電力線を媒体として、データ(音声、映像等)を数百KHzから数十MHzの高周波信号に載せて通信する技術である。
【0031】
最近、電力線通信は、一般的に30MHzまで周波数の範囲が拡張されており、デジタル信号処理技術の発展により、数Mbpsから数百Mbps級以上の超高速通信が可能になった。益々複雑化になる物流の自動化分野において、このような電力線通信技術を利用すると、配線を最小限に抑えながら大容量のデータの伝送処理に効果的である。高速で動く台車OHTが合流する合流部においても、高速の制御信号伝達が必要である。仮に、センサー及びカメラ等の大容量データと、合流部の高速制御信号を一度に中央制御機で伝送するためには、より大容量のデータを高速で処理するシステムが必要となる。
【0032】
図3を参照すると、本発明においては、合流部に進入する台車OHTとの非接触通信が必要であるため、接触式電力線通信だけでなく、非接触式結合装置(Inductive Coupler)を用いた非接触式電力線通信の構成を含む。
【0033】
即ち、本発明においては、図3のように、電力線Cと物理的に連結された中央制御機30と終端/拡張装置40は、接触式結合装置を用いた結合方式が利用される。接触式電力線通信において、中央制御機30と終端/拡張装置40は、接触式結合装置35、45(Capacitive Coupler)を用いて敷設された電力線に物理的に連結される。
【0034】
物理的に連結された電力線Cを通じて、電源は電源装置10から中央制御機30と終端/拡張装置40に供給され、高周波通信信号も電力線Cを通じて中央制御機30と終端/拡張装置40に互に伝達されて通信することになる。
【0035】
台車OHTのように、物理的に連結することが難しい装置は、非接触式結合装置24、25を用いた方式が利用される。
敷設される電力線Cは、誘導磁場が生じ得る形態の伝送線路となり、近接場アンテナのように動作できるようになり、周辺の近接場アンテナと磁場で結合することになる。
【0036】
本発明は、このような原理を用いて、中央制御機30と連結して敷設された電力線Cを伝送線路として構成し、台車制御機に近接場アンテナであるループアンテナを連結して互いに磁場結合ができるように、図4のように構成する。
【0037】
図4を参照すると、台車OHTに設けられた非接触式結合装置は、2線式伝送線路である電力線から発生する電源と、高周波データが結合された無線電力信号を受信するループアンテナ24と、この中で高周波データをフィルタリングして電力線通信手段22に提供するカプラー25を含むことができる。この他、台車制御機20を駆動するための電源は、内部電源を別途に構成することもできる。
【0038】
中央制御機30は、線路の合流部に設けられる衝突防止用中央制御機であって、OCS(又は上位サーバー)と有線/無線通信で連結することができ、合流制御に必要な情報をリアルタイムで受信するか、又は中央制御機30の機能の改善等を遠隔で制御することができるように構成される。中央制御機30は、台車の同時進入を根本的に防止できるように交通制御シーケンスを生成する。
【0039】
台車制御機20は、合流部に進入する台車に搭載され、中央制御機30と電力線通信を行うことができる装置であって、以下の実施例においては、台車を制御する制御部と、中央制御機30と電力線通信を行う通信手段が統合した概念で説明しているが、これに限定されず、OCSを通じて台車を制御する制御部と、電力線通信部がI/O又は通信装置で接続される構造に分離することもできる。
【0040】
台車制御機20は、合流部に進入するために、中央制御機30により制御される合流通過シーケンスを含み、また、台車制御機20は、台車が線路を移動する際の移動距離(位置移動情報)を認識できる構成を含むことができる。
【0041】
位置移動情報は、移動する台車に設けられたセンサーを用いる構成(図6の説明を参照)にすることができ、移動台車が走行する合流部線路に設けられた別途のセンサーを通じて入力される構成(図7の説明を参照)にすることができる。
【0042】
終端/拡張装置40は、電力線Cの終端に設けられ、中央制御機30と台車制御機20を円滑に通信するための伝送線路マッチング部を含み、電力線Cと接触式結合装置45を介して結合され、中央制御機30との電力線通信を行う。
【0043】
図5は、伝送線路の配線形態に応じて移動体の位置を認識する方法を説明する図である。
図5の実施例は、2本の電力線(2線式伝送線路)の配線構造により、台車制御機20が中央制御機30と通信する過程で受信した信号の強度を通じて台車OHTの位置移動情報を認識できるようにするものである。
【0044】
2線式伝送線路は、2つの導体の距離及び形状等によって特性インピーダンスが変化し、インピーダンス不整合が発生する。これにより、2線式伝送線路に定在波が発生し、このような定在波によって通信信号の強度が変化し、通信性能に影響を与えることになる。
【0045】
2つの導体の距離が一定である、つまり平行な2線式伝送線路においては、予想可能な電気的特性及び伝送線路の構造的な問題として発生する通信デッドゾーン以外に終端が整合されている場合、通信信号の強度は一定である。しかしながら、2つの導体間の距離が一定でない、つまり平行でないか、又は形態の異なる2線式伝送線路は、各位置によって定在波が発生し、通信信号の強度が変化することになる。
【0046】
本実施例においては、このような2線式伝送線路間の距離及び伝送線路の形態によって発生する通信信号の強度の変化を用いて移動体の位置を把握することができる構成を含む。
【0047】
図5のように、2つの導体の距離を周期的に狭く又は広く繰り返し配置し、通信信号の強度が可変するように構成することができる。
通信信号の強度が弱い場所は、受信感度が小さく受信され、通信信号の強度が強い場所は、受信感度が大きく受信される。
台車は、伝送線路を移動しながら受信される通信の強度を用いて移動位置を計算することができる。
【0048】
実施例として、伝送線路の長さが10mである場合、1m間隔で伝送線路を図5のように配置すると、受信される通信の強度を用いて1m間隔で10回カウントすることができる。
例えば、台車の通信カウンタが3回であれば、移動体の現在の位置は進入時点から3mの位置にあることになる。
【0049】
図6は、台車にセンサーを搭載して台車の位置移動情報を得る方式による合流通路制御システムの構成を示した図である。
図6の合流通過制御システムにおいては、台車制御機20に光フローセンサー等の別途のセンサー26を追加し、台車OHTが移動する際に、台車制御機20から台車OHTの位置移動情報を得ることができるようにする。
【0050】
台車に設けられたセンサーは、台車OHTが移動する線路の表面の変化を感知し、位置変化を認識する光フローセンサー又はIMUセンサー、カメラ等のような通常の位置移動の変化を認識できる全ての構成を含むことができる。
【0051】
台車制御機20は、ステーションタグT1、T2を基準に移動量±αと移動速度、台車番号、台車状態(走行/停止)情報を中央制御機30に伝送する。
中央制御機30は、線路L1、L2ごとの危険地帯開始点1a、2aの位置及び危険地帯開始点1a、2aと危険地帯終了点1b、2bの間の進入許可状態、台車制御機ごとの制御状態情報を台車制御機20に伝送する。
【0052】
ここで、中央制御機30は、線路ごとに全体の長さDを基準に、α値及び移動速度を考慮してOHTの位置D-αを計算する。
中央制御機30は、連続的に台車OHTの位置を算出し、算出された台車OHTの位置を基準に、危険地帯開始点1a、2aに近い台車OHTを先行進入するようにする進入許可信号を当該台車の台車制御機20に伝送する。
【0053】
ただし、移動速度が「0」の台車は、停車及び作業(搬入/搬出)中のものとみなし、進入許可対象から除外する。
【0054】
中央制御機は、危険地帯開始点1a、2aと危険地帯終了点1b、2bの間に1台の台車のみが進入するように許可する。図面において、2つの線路に位置する台車の中、第1の線路L1の台車OHT1が第2の線路L2の台車OHT2より危険地帯開始点1a、2aに近い位置にあるため、第1の線路L1の台車OHT1の台車制御機20への進入許可信号を伝送する。
【0055】
台車制御機20は、中央制御機30から進入許可信号を受信した場合にのみ合流区間への進入を試み、合流区間で中央制御機30から進入許可信号を受信できなかった場合は、危険地帯開始点1a、2aの位置に停車する。
【0056】
中央制御機は、合流区間に先行進入した台車OHT1の位置が危険地帯終了点1b、2bを超えたものと判断した場合、合流区間に進入しようとするその他の台車の位置を基準に、危険地帯開始点1a、2aに近い台車が合流地点に進入できるように、当該台車OHTに進入許可信号を伝送する。
【0057】
下記の表1は、通信パケットを示したものであり、合流区間を通過しようとする台車OHTの台車制御機20から中央制御機30に伝送するデータとして、走行又は停止状態を示す台車情報、移動量と移動速度等の走行情報及びID情報を含む。中央制御機30から台車制御機20を呼び出すと、対象の応答台車から応答信号として以下のデータを伝送する。
【0058】
【表1】
【0059】
また、下記の表2は、中央制御機30で通信中の台車制御機20にブロードキャスト形態で伝送されるデータの交通制御パケット構造を示す。下記の表2において、進入許可は、合流区間への進入を許可した台車があった場合は有、なかった場合は無を表示し、台車制御機Nスロットの数は、通信中の台車制御機の数に応じて可変する場合がある。制御情報は、台車制御機から受信された台車番号と台車制御情報(進入/停止)を含む。
【0060】
【表2】
【0061】
図7は、線路に設けられた位置情報更新装置を介した合流通過制御システムの構成を示した図である。
図7の制御システムは、台車OHTが走行する合流部の線路に位置情報更新装置51、52を設け、台車制御機が位置移動情報を更新できるようにする。
【0062】
位置情報更新装置は、第1の線路L1と第2の線路L2に複数個設けられる。図7においては、第1の線路L1と第2の線路L2の安全地帯にそれぞれ2つの位置情報更新装置51-1、51-2、52-1、52-2が設けられ、安全地帯と危険地帯の境界点に1つの装置51-3、52-3、危険地帯の終端側に1つの装置51-4、52-4が設けられていることを例示している。
【0063】
このように、合流部の線路に設けられるセンサー(位置情報更新装置)は、台車OHTが移動する線路を安全区域と危険区域に分けて設け、進入する台車制御機20に安全区域と危険区域の情報を伝送して位置情報を認識するようにする構成を含むことができる。
【0064】
台車制御機20は、互いに異なる通信周波数で同時に送受信できる電力線通信手段を含む。本実施例において、電力線通信手段27と位置情報更新装置51、52間の通信は、台車制御機20と中央制御機30の間の通信周波数F1とは異なる通信周波数F2で位置情報が送受信される。
【0065】
台車OHTが第1の位置情報更新装置51-1、52-1と第3の位置情報更新装置51-3、52-3の間の区域にある場合は、安全区域として認識し、第3の位置情報更新装置51-3、52-3と第4の位置情報更新装置51-4、52-4の間の区域にある場合は、危険区域として認識し、当該情報に位置情報を更新する。
【0066】
台車制御機20と中央制御機30との通信は、第1の周波数(F1周波数)を通じて双方向送/受信され、台車制御機20は、中央制御機30に位置情報と移動速度、OHT番号、台車の状態(走行/停止)情報を伝送する。
【0067】
中央制御機30は、台車制御機20に、線路ごとの危険区域区間への進入許可状態と、台車制御機ごとの制御状態情報を伝送する。
【0068】
中央制御機30は、第1の位置情報更新装置51-1、52-1を先に通過し、通信が開始された台車OHTを合流区間に先行進入するように進入許可信号を伝送する。
但し、移動速度が「0」の台車は、停車及び作業(搬入/搬出)中のものとみなし、進入許可対象から除外する。
【0069】
中央制御機は、危険区域内に1台の台車のみ進入することを許可する。
台車制御機20は、第2の位置情報更新装置51-2、52-2を通過する前に、中央制御機30から進入許可を受けた場合は、走行を続け、合流部への進入を試みる。
【0070】
第2の位置情報更新装置51-2、52-2を通過する前に、中央制御機30から進入許可を受けなかった台車制御機20は、低速で移動し、第3の位置情報更新装置51-3、52-3の位置に停車する。
【0071】
中央制御機30は、台車OHTの位置が第4の位置情報更新装置51-4、52-4を越えたものと判断した場合、第3の位置情報更新装置51-3、52-3の位置に停車した台車OHTを先行進入するように命令する。
【0072】
中央制御機30は、第3の位置情報更新装置51-3、52-3の位置に停車している台車OHTがなかった場合、先に通信が開始された台車OHTを先行進入するように命令する。
【0073】
仮に、本発明は、上記の好ましい実施例に関連して説明されているが、本発明の要旨と範囲から外れることなく、多様な修正又は変形が可能である。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の要旨に属するこのような修正又は変形を含むものである。
【符号の説明】
【0074】
10 電源供給装置
20 台車制御機
21、31、41 電源
22、32、42 電力線通信手段
23 カメラ
24 ループアンテナ
25、35、45 カプラー
26 センサー
27 電力線通信手段
30 中央制御機
40 終端/拡張装置
51、52 位置情報更新装置
60 合流区間状態表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7