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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022873
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】感光性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/28 20060101AFI20250206BHJP
   C08G 73/22 20060101ALI20250206BHJP
   G03F 7/023 20060101ALN20250206BHJP
【FI】
C08G69/28
C08G73/22
G03F7/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024129209
(22)【出願日】2024-08-05
(31)【優先権主張番号】10-2023-0101738
(32)【優先日】2023-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2024-0103520
(32)【優先日】2024-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】515127979
【氏名又は名称】ドク サン ネオルクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヨン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,クァン シク
(72)【発明者】
【氏名】イ チャンミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン ス
【テーマコード(参考)】
2H225
4J001
4J043
【Fターム(参考)】
2H225AF05P
2H225AM72P
2H225AN31P
2H225AN54P
2H225AN65P
2H225BA05P
2H225CA12
2H225CB05
2H225CC03
2H225CC21
4J001DA01
4J001DB04
4J001DC03
4J001DC05
4J001DC07
4J001DC08
4J001DC10
4J001DC14
4J001DC15
4J001DD04
4J001DD07
4J001EB14
4J001EB36
4J001EB37
4J001EB46
4J001EB55
4J001EB57
4J001EB60
4J001EC65
4J001EC66
4J001ED45
4J001ED46
4J001EE27C
4J001EE38F
4J001EE65D
4J001FA01
4J001FB03
4J001FC03
4J001FD05
4J001GA13
4J001GB02
4J001GC03
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4J001GE02
4J001JA07
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4J001JA17
4J001JB23
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4J001JC02
4J001JC08
4J043PA04
4J043PA05
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4J043PB02
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4J043PB14
4J043PB24
4J043PC016
4J043PC146
4J043QB15
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4J043QB26
4J043QB28
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4J043QB68
4J043RA06
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4J043SA06
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4J043TA21
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4J043TA71
4J043TB01
4J043TB03
4J043UA022
4J043UA041
4J043UA042
4J043UA082
4J043UA122
4J043UA131
4J043UA132
4J043UA141
4J043UA151
4J043UA152
4J043UA262
4J043UA632
4J043UA672
4J043UA692
4J043UB011
4J043UB021
4J043UB022
4J043UB061
4J043UB062
4J043UB121
4J043UB122
4J043UB131
4J043UB152
4J043UB221
4J043UB301
4J043UB302
4J043UB401
4J043UB402
4J043VA011
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4J043VA041
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4J043VA061
4J043VA062
4J043XA18
4J043XB03
4J043XB07
4J043XB27
4J043YA25
4J043YB25
4J043ZA02
4J043ZA21
4J043ZA31
4J043ZA51
4J043ZB03
4J043ZB22
4J043ZB47
4J043ZB50
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機械的物性が増加した重合体及びポジティブ感光型組成物、それにより製造された硬化膜、保護膜、絶縁膜及び半導体装置、並びにディスプレイ装置を提供するための、有害な溶剤を使用しない重合体の合成方法及びポジティブ感光型組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】重合体を、γ-ブチロラクトンの単一溶媒のみを使用して製造する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1-1;化学式1-2;化学式1-3;化学式1-4;またはこれらの組み合わせを含み、単一溶媒としてγ-ブチロラクトンを使用して製造される重合体の製造方法。
【化1】

前記化学式1-1ないし化学式1-4において、
1)*は繰り返し単位で結合が連結される部分であり、
2)重合体末端の*は化学式Q-1ないしQ-10がアミド結合又はイミド結合で結合されている部分であり、
3)X又はXは下記の化学式2であり、
4)YはC~C30のアリーレン基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基;C~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C~C20のアルキレン基、C~C20のシクロアルキレン基、C~C20のアルケニレン基;C~C20のシクロアルケニレン基;C~C20のアルキニレン基;C~C20のシクロアルキニレン基;化学式2;又はこれらの組み合わせからなる群から選択され、
5)Zは、C~C30のアリーレン基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基;C~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C~C20のアルキレン基、C~C20のシクロアルキレン基、C~C20のアルケニレン基;C~C20のシクロアルケニレン基;C~C20のアルキニレン基;C~C20のシクロアルキニレン基;化学式3;又はこれらの組み合わせからなる群から選択され、
6)k、l、m、nは1以上の整数であり、
【化2】

7)重合体末端は、前記化学式Q-1ないしQ-10から選択された1種またはこれらの組み合わせからなる群から選択された化学式がアミドまたはイミド結合で結合されており、
【化3】

前記化学式2において、
8)Lは単一結合、-CH-、-CHCH-、-CHOCH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-C(C-、-C(C-、-C(C-、-C(C11-、-C(C13-、-C(C10)-、-O-、-CH(CF)-、-C(CF-、-S-、-SO-、Si(CH-、-C-、-CO-、-NHCO-、-COO-からなる群から選択され、
9)RないしR10のうち2つは化学式1-1及び化学式1-2のアミド基との連結部位であり、
10)前記連結部位を除いた残りのRないしR10は、互いに独立的に水素;重水素;ヒドロキシ基;C~C30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基;C~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C~C20のアルキル基;C~C20のアルケニル基;C~C20のアルキニル基;C~C20のアルコキシ基;C~C30のアリールオキシ基;フルオレニル基;カルボニル基;エーテル基;カルボキシル基;又はC~C20のアルコキシカルボニル基であり、
11)Lが単一結合である場合、前記連結部位ではなく隣接したR及びR10;及びR及びRは環を形成することができ、
【化4】

前記化学式3において、
12)Lは単一結合、-CH-、-CHCH-、-CHOCH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-C(C-、-C(C-、-C(C-、-C(C11-、-C(C13-、-C(C10)-、-O-、-CH(CF)-、-C(CF-、-S-、-SO-、Si(CH-、-C-、-CO-、-NHCO-、-COO-からなる群から選択され、
13)R11ないしR20のうち2つは化学式1-1及び化学式1-2のアミド基との連結部位であり、
14)前記連結部位を除いた残りのR11ないしR20は、互いに独立的に水素;重水素;ヒドロキシ基;C~C30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基;C~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C~C20のアルキル基;C~C20のアルケニル基;C~C20のアルキニル基;C~C20のアルコキシ基;C~C30のアリールオキシ基;フルオレニル基;カルボニル基;エーテル基;カルボキシル基;又はC~C20のアルコキシカルボニル基であり、但し、前記連結部位を除いた残りR11ないしR20のうち2つはカルボキシル基であり、
15)Lが単一結合である場合、前記連結部位ではなく隣接したR11及びR20;及びR15及びR16は環を形成することができる。
【請求項2】
前記製造方法で製造された重合体の収率が80%以上である請求項1に記載の重合体の製造方法。
【請求項3】
ピリジンをさらに含んで製造される請求項1に記載の重合体の製造方法。
【請求項4】
前記重合体は、ジアミン単量体;ジアシルクロライド単量体;アンハイドライド単量体;またはこれらの組み合わせから製造されることを特徴とする請求項1に記載の重合体の製造方法。
【請求項5】
前記ジアミンが、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、4,4’-メチレンビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(シクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(ペンタン-3,3-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(ヘプタン-4,4-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(ノナン-5,5’-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(4-メチルペンタン-2,2-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(ビス(トリメチルシリル)メチレン)ビス(2-アミノフェノール)またはこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上の単量体を含むことを特徴とする請求項4に記載の重合体の製造方法。
【請求項6】
前記ジアシルクロライドが、4,4’-オキシビスベンゾイルクロライド、1,2-シクロブタンジカルボン酸ジクロライド、テレフタロイルクロライド、イソフタロイルクロライド、4,4’-ビフェニルジカルボニルクロライド、1,4-ナフタレンジカルボニルクロライド、4,4’-スルホニルジベンゾイルクロライド、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライドまたはこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上の単量体を含むことを特徴とする請求項4に記載の重合体。
【請求項7】
前記アンハイドライドが、バイシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3-ジカルボキシリックアンハイドライド、5-ノボネン-2,3-ジカルボキシリックアンハイドライド、マレイックアンハイドライド、フタリックアンハイドライド、サクシニックアンハイドライドまたはこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上の単量体を含むことを特徴とする請求項4に記載の重合体の製造方法。
【請求項8】
請求項1の重合体;感光剤;溶媒;及び添加剤を含むポジティブ感光性組成物の。
【請求項9】
前記感光剤が下記化学式P-1ないしP-8のうち1種以上を含むことを特徴とする請求項8に記載のポジ型感光性組成物:
【化5】

前記P-1ないしP-8において、R”は水素;下記化学式S-1;または化学式S-2である。
【化6】
【請求項10】
前記溶媒が、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、ガンマ-ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートまたはこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする請求項8に記載のポジティブ感光性組成物。
【請求項11】
前記添加剤が、シラン系カップリング剤;表面平滑剤;界面活性剤;架橋剤;またはこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする請求項8に記載のポジティブ感光性組成物。
【請求項12】
請求項8のポジティブ型感光型組成物から300℃ないし400℃で製造されたパターンまたはフィルム。
【請求項13】
請求項12のパターンまたはフィルムを使用して製造される半導体装置。
【請求項14】
請求項12のパターンまたはフィルムを使用して製造される表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体をγ-ブチロラクトンの単一溶媒のみを使用して製造する方法と、これを使用して製造した半導体装置または表示装置に使用されるポジティブ型感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ工程は、大きく分けて、基板にフォトレジスト組成物を塗布するコーティング段階、マスクを通過した光源やE-beamなどでフォトレジスト膜にパターンを形成する露光段階、パターンが刻まれたフォトレジスト膜の特定領域を除去する現像段階の順で行われ、フォトレジスト組成物から溶媒を除去するか膜を硬化するための熱処理(Baking)段階を各段階の中間に追加して行う。
【0003】
前記フォトリソグラフィ工程は、ネガティブとポジティブ工程に大別され、現像段階で露光部が現像液と化学反応し、その反応生成物が溶解して除去されるポジティブ工程と、反対に非露光部が現像液と化学反応してその反応生成物が溶解して除去されるネガティブ工程に分けられる。このうちポジティブ工程は、露光段階で光を吸収して溶解度が増加する感光剤(Photo active compound)を使用して、現像段階で露光部のみを正確に除去できるので、ネガティブ工程に比べてより精密で正確なパターンを得ることができる。
【0004】
従来、半導体装置やディスプレイ装置に使われるポジティブ感光型樹脂組成物として、高い耐熱性、耐化学性、耐候性などのため、ポリイミドあるいはポリベンゾオキサゾールなどの樹脂が利用されているが、現像段階においてアルカリ性水溶液で現像を行うことで精密な回路実現のために使われる重合体樹脂の分子量が制限されるので、実現できる機械的物性に限界があり、一般的に合成に使われるN-メチルピロリドンは環境及び人体に有害性を持っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2015-0037400号
【特許文献2】韓国公開特許第2022-0143710号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決しようとして、下記の合成例及び実現例の重合体をγ-ブチロラクトンのみを使用して合成して環境及び人体の有害性を解決するためのものである。
【0007】
また他の一実現例は、重合体の成分に機械的物性を増加させることができるように未反応モノマーを減少させて引張強度及び伸率を増加させるためのものである。
【0008】
また他の一実現例は、前記重合体を使用してポジティブ感光型組成物を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による重合体は、下記の化学式1-1、化学式1-2、化学式1-3;化学式1-4;またはこれらの組み合わせを含んで単一溶媒としてγ-ブチロラクトンを使用して製造されることが好ましい。
【0010】
【化1】
【0011】
前記化学式1-1;化学式1-2;化学式1-3;化学式1-4;において、
1)*は繰り返し単位で結合が連結される部分であり、
2)重合体末端の*は化学式Q-1ないしQ-10がアミド結合又はイミド結合で結合されている部分であり、
3)X又はXは下記の化学式2であり、
4)YはC~C30のアリーレン基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基;C~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C~C20のアルキレン基、C~C20のシクロアルキレン基、C~C20のアルケニレン基;C~C20のシクロアルケニレン基;C~C20のアルキニレン基;C~C20のシクロアルキニレン基;化学式2;又はこれらの組み合わせからなる群から選択され、
5)Zは、C~C30のアリーレン基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基;C~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C~C20のアルキレン基、C~C20のシクロアルキレン基、C~C20のアルケニレン基;C~C20のシクロアルケニレン基;C~C20のアルキニレン基;C~C20のシクロアルキニレン基;化学式3;又はこれらの組み合わせからなる群から選択され、
6)k、l、m、nは1以上の整数であり、
【0012】
【化2】
【0013】
7)重合体末端は、前記化学式Q-1ないしQ-10から選択された1種またはこれらの組み合わせからなる群から選択された化学式がアミドまたはイミド結合で結合されており、
【0014】
【化3】
【0015】
前記化学式2において、
8)L1は単一結合、-CH-、-CHCH-、-CHOCH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-C(C-、-C(C-、-C(C-、-C(C11-、-C(C13-、-C(C10)-、-O-、-CH(CF)-、-C(CF-、-S-、-SO-、Si(CH-、-C-、-CO-、-NHCO-、-COO-からなる群から選択され、
9)RないしR10のうち2つは化学式1-1及び化学式1-2のアミド基との連結部位であり、
10)前記連結部位を除いた残りのRないしR10は、互いに独立的に水素;重水素;ヒドロキシ基;C~C30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基;C~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C~C20のアルキル基;C~C20のアルケニル基;C~C20のアルキニル基;C~C20のアルコキシ基;C~C30のアリールオキシ基;フルオレニル基;カルボニル基;エーテル基;カルボキシル基;又はC~C20のアルコキシカルボニル基であり、
11)Lが単一結合である場合、前記連結部位ではなく隣接したR及びR10;及びR及びRは環を形成することができ、
【0016】
【化4】
【0017】
前記化学式3において、
12)Lは単一結合、-CH-、-CHCH-、-CHOCH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-C(C-、-C(C-、-C(C-、-C(C11-、-C(C13-、-C(C10)-、-O-、-CH(CF)-、-C(CF-、-S-、-SO-、Si(CH-、-C-、-CO-、-NHCO-、-COO-からなる群から選択され、
13)R11ないしR20のうち2つは化学式1-1及び化学式1-2のアミド基との連結部位であり、
14)前記連結部位を除いた残りのR11ないしR20は、互いに独立的に水素;重水素;ヒドロキシ基;C~C30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基;C~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C~C20のアルキル基;C~C20のアルケニル基;C~C20のアルキニル基;C~C20のアルコキシ基;C~C30のアリールオキシ基;フルオレニル基;カルボニル基;エーテル基;カルボキシル基;又はC~C20のアルコキシカルボニル基であり、但し、前記連結部位を除いた残りR11ないしR20のうち2つはカルボキシル基であり、
15)Lが単一結合である場合、前記連結部位ではなく隣接したR11及びR20;及びR15及びR16は環を形成することができる。
【0018】
前記重合体は、ジアミン単量体;ジアシルクロライド単量体;及びアンハイドライド単量体から製造されることが好ましい。
【0019】
前記ジアミンは、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、4,4’-メチレンビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(シクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(ペンタン-3,3-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(ヘプタン-4,4-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(ノナン-5,5-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(4-メチルペンタン-2,2-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(ビス(トリメチルシリル)メチレン)ビス(2-アミノフェノール)またはこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上の単量体を含むことが好ましい。
【0020】
前記ジアシルクロライドは、4,4’-オキシビスベンゾイルクロライド、1,2-シクロブタンジカルボン酸ジクロライド、テレフタロイルクロライド、イソフタロイルクロライド、4,4’-ビフェニルジカルボニルクロライド、1,4-ナフタレンジカルボニルクロライド、4,4’-スルホニルジベンゾイルクロライド、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライドまたはこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上の単量体を含むことが好ましい。
【0021】
前記アンハイドライドは、バイシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3-ジカルボキシリックアンハイドライド、5-ノボネン-2,3-ジカルボキシリックアンハイドライド、マレイックアンハイドライド、フタリックアンハイドライド、サクシニックアンハイドライドまたはこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上の単量体を含むことが好ましい。
【0022】
前記製造方法で製造された重合体は、収率が80%以上であることが好ましい。
【0023】
前記製造方法はピリジンをさらに含めて製造されることが好ましい。
【0024】
前記重合体の重量平均分子量は、5,000ないし40,000g/molであることが好ましい。
【0025】
前記重合体樹脂を使用して製造したポジティブ感光性組成物は、前記重合体;感光剤;溶媒;及び添加剤を含むことが好ましい。
【0026】
前記感光剤は、下記化学式P-1ないしP-8のうち1種以上を含むことが好ましい。
【0027】
【化5】
【0028】
前記P-1ないしP-8において、R”は水素;下記化学式S-1;または化学式S-2である。
【0029】
【化6】
【0030】
前記溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、ガンマ-ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートまたはこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上を含むことが好ましい。
【0031】
前記添加剤がシラン系カップリング剤;表面平滑剤;界面活性剤;架橋剤;またはこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上を含むことが好ましい。
【0032】
前記重合体は、組成物の総量に対して5ないし50重量%で含まれることが好ましい。
【0033】
前記感光剤は、組成物の総量に対して1ないし50重量%で含まれることが好ましい。
【0034】
前記溶媒は、組成物の総量に対して40ないし95重量%で含まれることが好ましい。
【0035】
前記添加剤は、組成物の総量に対して0.001ないし10重量%で含まれることが好ましい。
【0036】
本発明の他の具体例として、前記ポジティブ感光型組成物から製造されるパターンまたはフィルムを提供することが好ましい。
【0037】
本発明の他の具体例として、前記パターンまたはフィルムを使用して製造される半導体装置または表示装置を提供することが好ましい。
【0038】
本発明の他の具体例として、前記半導体装置または表示装置とこれを駆動する制御部;を含む電子装置を提供することが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明の重合体は、γ-ブチロラクトンの単一溶媒を使用して合成されるため、既存に使用されていたN-メチルピロリドンなどの環境及び人体に有害な溶剤が含まれず、機械的物性に悪影響を及ぼす未反応モノマーを顕著に減少させたポリオキサゾール系前駆体樹脂であって、重合反応以後に未反応モノマーの比率が低くて収率が優秀であり、現像時に残渣の問題がなく、パターン実現の解像度が高く、後熱処理されたフィルムの引張強度10MPa以上及び伸率10%以上の物性改善効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を参照して詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加する時、同一の構成要素に対しては他の図面上に表示されていてもできる限り同一の符号を有する。
【0041】
本発明に関する説明において、関連した公知構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明確にする可能性があると判断される場合は、その詳細な説明は省略してもよい。本明細書において言及された「含む」、「有する」、「成る」などが使用される場合、「~だけ」が使用されない以上、他の部分が追加されてもよい。構成要素を単数で表現した場合に特別な明示的な記載事項がない限り、複数を含む。
【0042】
また、本発明の構成要素に関する説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語により当該構成要素の本質、順番、順序又は個数などが限定されない。
【0043】
構成要素の位置関係の説明において、2つ以上の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されると記載されている場合、2つ以上の構成要素が直接的に「連結」、「結合」または「接続」されることもあるが、2つ以上の構成要素と他の構成要素がさらに「介在」されて「連結」または「接続」されることもあると理解しなければならない。ここで、他の構成要素は互いに「連結」、「結合」または「接続」される2つ以上の構成要素の1つ以上に含まれてもよい。
【0044】
また、層、膜、領域、板などの構成要素が他の構成要素「の上に」または「上に」あるとする場合、これは他の構成要素の「真上に」ある場合だけでなく、その中間に別の構成要素がある場合も含むと理解されるべきである。逆に、ある構成要素が他の部分の「真上に」あるという場合には、中間にまた別の部分がないことを意味すると理解されるべきである。
【0045】
構成要素や、動作方法や製作方法などに関連した時間的な流れ関係の説明において、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」などと時間的な前後関係または流れ的な前後関係が説明される場合、「直ちに」または「直接」が使用されない限り連続的でない場合も含まれる。
【0046】
一方、構成要素に対する数値又はその対応情報が言及された場合、別途の明示的記載がなくても、数値又はその対応情報は各種要因(例:工程上の要因、内部又は外部衝撃、ノイズなど)により発生しうる誤差範囲を含むものと解釈できる。
【0047】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用された用語は、通常的または辞書的な意味に限定されて解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に基づいて本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈されるべきである。
【0048】
本出願において使用された用語「ハロ」または「ハロゲン」は、別の説明がない限りフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)を含む。
【0049】
本出願において使用された用語「アルキル」または「アルキル基」は、別の説明がない限り単一結合で連結された1~60の炭素を有し、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環族)基、アルキル-置換されたシクロアルキル基、シクロアルキル-置換されたアルキル基をはじめとする飽和脂肪族作用基のラジカルを意味する。
【0050】
本出願において使用された用語「ハロアルキル基」または「ハロゲンアルキル基」は、別の説明がない限りハロゲンが置換されたアルキル基を意味する。
【0051】
本出願において使用された用語「アルケニル」または「アルキニル」は、別の説明がない限りそれぞれ二重結合または三重結合を有し、直鎖型または側鎖型鎖基を含み、2~60の炭素数を有するが、これに限定されるものではない。
【0052】
本出願において使用された用語「シクロアルキル」は別の説明がない限り3~60の炭素数を有する環を形成するアルキルを意味し、これに限定されるものではない。
【0053】
本出願において使用された用語「アルコキシ基」または「アルキルオキシ基」は酸素ラジカルが結合されたアルキル基を意味し、別の説明がない限り1~60の炭素数を有するが、これに限定されるものではない。
【0054】
本出願において使用された用語「アルケンオキシル基」、「アルケンオキシ基」、「アルケニルオキシル基」、または「アルケニルオキシ基」は酸素ラジカルが付着したアルケニル基を意味し、別の説明がない限り2~60の炭素数を有するが、これに限定されるものではない。
【0055】
本出願において使用された用語「アリール基」及び「アリーレン基」は、別の説明がない限りそれぞれ6~60の炭素数を有するが、これに限定されるものではない。本出願においてアリール基またはアリーレン基は単一環形、環集合体、接合された複数の環系化合物などを含む。例えば、前記アリール基はフェニル基、ビフェニルの1価作用基、ナフタレンの1価作用基、フルオレニル基、置換されたフルオレニル基を含み、アリーレン基はフルオレニレン基、置換されたフルオレニレン基を含む。
【0056】
本出願において使用された用語「環集合体(ring assemblies)」は、2つ又はそれ以上の環系(単一環または接合された環系)が単一結合または二重結合により互いに直接連結されており、このような環間の直接連結の数がその化合物に入っている環系の総数より1つ少ないことを意味する。環集合体は同一または異なる環系が単一結合や二重結合により互いに直接連結されることができる。
【0057】
本出願においてアリール基は環集合体を含むので、アリール基は単一芳香族環であるベンゼン環が単一結合により連結されたビフェニル、ターフェニルを含む。また、アリール基は芳香族単一環と接合された芳香族環系が単一結合により連結された化合物も含むので、例えば、芳香族単一環であるベンゼン環と接合された芳香族環系であるフルオレンが単一結合により連結された化合物も含む。
【0058】
本出願において使用された用語「接合された複数の環系」は、少なくとも2つの原子を共有する接合された(fused)環形態を意味し、2つ以上の炭化水素類の環系が接合された形態及び少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロ環系が少なくとも1つ接合された形態などを含む。このような接合された複数の環系は、芳香族環、ヘテロ芳香族環、脂肪族環またはこれらの環の組み合わせであってもよい。例えば、アリール基の場合、ナフタレニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基などになるが、これに限定されるものではない。
【0059】
本出願において使用された用語「スピロ化合物」は「スピロ連結(spiro union)」を有し、スピロ連結は2つの環が1つの原子のみを共有することにより成る連結を意味する。この時、2つの環に共有された原子を「スピロ原子」といい、1つの化合物に入っているスピロ原子の数に応じてこれらをそれぞれ「モノスピロ-」、「ダイスピロ-」、「トライスピロ-」化合物という。
【0060】
本出願において使用された用語「フルオレニル基」、「フルオレニレン基」、「フルオレントリイル基」は、別の説明がない限り、それぞれ下記の構造においてR、R’、R”及びR’”が全て水素である1価、2価または3価の作用基を意味し、「置換されたフルオレニル基」、「置換されたフルオレニレン基」または「置換されたフルオレントリイル基」は置換基R、R’、R”及びR’”のうち少なくとも1つが水素以外の置換基であることを意味し、RとR’が互いに結合されてこれらが結合された炭素とともにスピロ化合物を形成した場合を含む。本明細書においては、1価、2価、3価などの価数と関係なく、フルオレニル基、フルオレニレン基、フルオレントリイル基を全てフルオレン基と命名することもできる。
【0061】
【化7】
【0062】
また、前記R、R’、R”及びR’”はそれぞれ独立的に、1~20の炭素数を有するアルキル基、1~20の炭素数を有するアルケニル基、6~30の炭素数を有するアリール基、2~30の炭素数を有するヘテロ環基であり、例えば、前記アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン又はフェナントレンであり、前記ヘテロ環基は、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール,イミダゾール、トリアゾール、ピリジン,ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、インドール、ベンゾフランキナゾリン、キノキサリンであり得る。例えば、前記置換されたフルオレニル基及びフルオレニレン基は、それぞれ9,9-ジメチルフルオレン、9,9-ジフェニルフルオレン及び9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]の1価作用基または2価作用基であり得る。
【0063】
本出願において使用された用語「ヘテロ環基」は「ヘテロアリール基」または「ヘテロアリーレン基」のような芳香族環だけでなく非芳香族環も含み、別の説明がない限りそれぞれ1つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2~60の環を意味するが、これに限定されるものではない。本出願において使用された用語「ヘテロ原子」は別の説明がない限りN、O、S、PまたはSiを示し、ヘテロ環基はヘテロ原子を含む単一環形、環集合体、接合された複数の環系、スピロ化合物などを意味する。
【0064】
例えば、「ヘテロ環基」は環を形成する炭素の代わりに、下記化合物のようにSO、P=Oなどのヘテロ原子団を含む化合物も含んでもよい。
【0065】
【化8】
【0066】
本出願において使用された用語「環」は単一環及び多環を含み、炭化水素環はもちろん少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロ環を含み、芳香族及び非芳香族環を含む。
【0067】
本出願において使用された用語「多環」はビフェニル、ターフェニルなどの環集合体(ring assemblies)、接合された(fused)複数の環系及びスピロ化合物を含み、芳香族だけでなく非芳香族も含み、炭化水素環はもちろん少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロ環を含む。
【0068】
本出願において使用された用語「脂肪族環基」は芳香族炭化水素を除いた環状炭化水素を意味し、単一環形、環集合体、接合された複数の環系、スピロ化合物などを含み、別の説明がない限り炭素数3~60の環を意味するが、これに限定されるものではない。例えば、芳香族環であるベンゼンと非芳香族環であるシクロヘキサンが融合した場合にも脂肪族環に該当する。
【0069】
また、接頭辞が連続して命名される場合、記載された順で置換基が羅列されることを意味する。例えば、アリールアルコキシ基の場合、アリール基で置換されたアルコキシ基を意味し、アルコキシカルボニル基の場合、アルコキシ基で置換されたカルボニル基を意味し、また、アリールカルボニルアルケニル基の場合、アリールカルボニル基で置換されたアルケニル基を意味し、ここで、アリールカルボニル基はアリール基で置換されたカルボニル基である。
【0070】
また、明示的な説明がない限り、本出願において使用された用語「置換または非置換された」において「置換」は重水素、ハロゲン、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C~C30のアルキル基、C~C30のアルコキシ基、C~C30のアルキルアミン基、C~C30のアルキルチオフェン基、C~C30のアリールチオフェン基、C~C30のアルケニル基、C~C30のアルキニル基、C~C30のシクロアルキル基、C~C30のアリール基、重水素で置換されたC~C30のアリール基、C~C30のアリールアルケニル基、シラン基、ホウ素基、ゲルマニウム基、及びO、N、S、Si及びPからなる群から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基からなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されることを意味し、これらの置換基に限定されるものではない。
【0071】
本出願において各記号及びその置換基の例として例示されるアリール基、アリーレン基、ヘテロ環基などに該当する「作用基名称」は、「価数を反映した作用基の名称」を記載することもできるが、「母体化合物名称」として記載することもできる。例えば、アリール基の一種である「フェナントレン」の場合、1価の「基」は「フェナントリル(基)」、2価の基は「フェナントリレン(基)」などのように価数を区分して基の名前を記載することもできるが、価数と関係なく母体化合物名称である「フェナントレン」と記載することもできる。
【0072】
同様に、ピリミジンの場合も、価数に関係なく「ピリミジン」と記載するか、1価の場合はピリミジニル(基)と、2価の場合にはピリミジニレン(基)などのように当該価数の「基の名前」として記載することもできる。従って、本出願において換基の種類を母体化合物名称に記載する場合、母体化合物の炭素原子及び/又はヘテロ原子と結合している水素原子が脱離されて形成されるn価の「基」を意味し得る。
【0073】
また、本明細書においては化合物名称や置換基名称を記載するにおいて、位置を表示する数字やアルファベットなどは省略する場合もある。例えば、ピリド[4,3-d]ピリミジンをピリドピリミジンに、ベンゾフロ[2,3-d]ピリミジンをベンゾフロピリミジンに、9,9-ジメチル-9H-フルオレンをジメチルフルオレンなどのように記載することもできる。従って、ベンゾ[g]キノキサリンやベンゾ[f]キノキサリンを両方ともベンゾキノキサリンと記載することができる。
【0074】
また、明示的な説明がない限り、本出願において使用される化学式は下記化学式の指数定義による置換基定義と同様に適用される。
【0075】
【化9】
【0076】
ここで、aが0の整数である場合、置換基R1は存在しないことを意味するが、すなわち、aが0である場合はベンゼン環を形成する炭素に全て水素が結合されたことを意味し、この時、炭素に結合された水素の表示を省略し、化学式や化合物を記載してもよい。また、aが1の整数である場合、1つの置換基R1はベンゼン環を形成する炭素のうちいずれか1つの炭素に結合し、aが2または3の整数である場合、例えば、以下のように結合でき、aが4~6の整数である場合も、これと類似した方式でベンゼン環の炭素に結合し、aが2以上の整数である場合、R1は互いに同一であるか異なることもある。
【0077】
【化10】
【0078】
本出願において別の説明がない限り、環を形成するということは、隣接する基が互いに結合して単一環または接合された複数の環を形成することを意味し、単一環及び形成された接合された複数の環は、炭化水素環はもちろん少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロ環を含み、芳香族及び非芳香族環を含む。
【0079】
また、本明細書において別の説明がない限り、縮合環を表示する時、「数字-縮合環」において数字は縮合される環の個数を示す。例えば、アントラセン、フェナントレン、ベンゾキナゾリンなどのように3つの環が互いに縮合した形態は3-縮合環と表記できる。
【0080】
一方、本出願において使用された用語「架橋環化合物(bridged bicyclic compound)」は別の説明がない限り、2つの環が3つ以上の原子を共有して環を形成した化合物をいう。この時、共有する原子は炭素またはヘテロ原子を含む。
【0081】
以下、本発明の実現例を詳しく説明する。ただし、これは例として提示されるもので、これにより本発明が制限されることではなく、本発明は後述する請求範囲の範疇により定義されるだけである。
【0082】
本発明の一実現例による重合体及び前駆体を含むポジティブ感光性組成物は、半導体装置の絶縁膜、表面保護膜、再配線層;ディスプレイ装置の画素定義層(PDL)を製造する時に使用される。
【0083】
本発明の一実現例による半導体装置またはディスプレイ装置に適用するためのポジティブ感光性組成物の製造において、要求される特性を改善するために次のような添加剤をさらに含んでもよい。
【0084】
本発明の一実現例によって追加できる添加剤として、基材にコーティング時に塗膜の厚さを一定にするために表面平滑剤をさらに含んでもよい。基材表面の特性に応じて一定にコーティングをするために界面活性剤をさらに含んでもよく、基材表面との接着力を調節するためにシラン系カップリング剤をさらに含んでもよい。熱処理段階で重合体分子間の結合を強化するために架橋剤をさらに含んでもよい。
【0085】
ポジティブ型感光性組成物を構成する要素は以下の通りである。
【0086】
(1)重合体
本発明の一実施例によるパターニング用樹脂は重合体を含んでもよい。
【0087】
前記重合体は、化学的または熱的処理により重合体として形成できるヒドロキシアミド系前駆体を含む樹脂をいう。
【0088】
前記重合体は、前記ポジティブ型感光性組成物総量に対して5重量%ないし50重量%、好ましくは10重量%ないし45重量%で含まれてもよい。
【0089】
前記重合体は、下記化学式1-1;化学式1-2;化学式1-3;化学式1-4;で表現される前駆体などがあるが、これに限定されるものではない。これらを単独または2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0090】
重合体は、下記化学式1-1;化学式1-2;化学式1-3;化学式1-4;または化学式1-1ないし1-4のうち2種以上の組み合わせからなる群から選択される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0091】
【化11】
【0092】
前記化学式1-1;化学式1-2;化学式1-3;化学式1-4;又は化学式1-1ないし1-4のうち2種以上の組み合わせからなる群において、
1)*は繰り返し単位で結合が連結される部分であり、
2)重合体末端の*は化学式Q-1ないしQ-10がアミド結合又はイミド結合で結合されている部分であり、
3)X又はXは下記化学式2であり、
4)YはC~C30のアリーレン基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基;C~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C~C20のアルキレン基、C~C20のシクロアルキレン基、C~C20のアルケニレン基;C~C20のシクロアルケニレン基;C~C20のアルキニレン基;C~C20のシクロアルキニレン基;化学式2;又はこれらの組み合わせからなる群から選択され、
5)Zは、C~C30のアリーレン基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基;C~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C~C20のアルキレン基、C~C20のシクロアルキレン基、C~C20のアルケニレン基;C~C20のシクロアルケニレン基;C~C20のアルキニレン基;C~C20のシクロアルキニレン基;化学式3;又はこれらの組み合わせからなる群から選択され、
6)k、l、m、nは1以上の整数であり、
【0093】
【化12】
【0094】
7)重合体末端は、前記化学式Q-1ないしQ-10から選択された1種またはこれらの組み合わせからなる群から選択された化学式がアミドまたはイミド結合で結合されており、
【0095】
【化13】
【0096】
前記化学式2において、
8)L1は単一結合、-CH-、-CHCH-、-CHOCH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-C(C-、-C(C-、-C(C-、-C(C11-、-C(C13-、-C(C10)-、-O-、-CH(CF)-、-C(CF-、-S-、-SO-、Si(CH-、-C-、-CO-、-NHCO-、-COO-からなる群から選択され、
9)RないしR10のうち2つは化学式1-1及び化学式1-2のアミド基との連結部位であり、
10)前記連結部位を除いた残りのR1ないしR10は、互いに独立的に水素;重水素;ヒドロキシ基;C~C30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基;C~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C~C20のアルキル基;C~C20のアルケニル基;C~C20のアルキニル基;C~C20のアルコキシ基;C~C30のアリールオキシ基;フルオレニル基;カルボニル基;エーテル基;カルボキシル基;又はC~C20のアルコキシカルボニル基であり、
11)Lが単一結合である場合、前記連結部位ではなく隣接したR及びR10;及びR及びRは環を形成することができ、
【0097】
【化14】
【0098】
前記化学式3において、
12)L2は単一結合、-CH-、-CHCH-、-CHOCH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-C(C-、-C(C-、-C(C-、-C(C11-、-C(C13-、-C(C10)-、-O-、-CH(CF)-、-C(CF-、-S-、-SO-、Si(CH-、-C-、-CO-、-NHCO-、-COO-からなる群から選択され、
13)R11ないしR20のうち2つは化学式1-1及び化学式1-2のアミド基との連結部位であり、
14)前記連結部位を除いた残りのR11ないしR20は、互いに独立的に水素;重水素;ヒドロキシ基;C~C30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC~C30のヘテロ環基;C~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C~C20のアルキル基;C~C20のアルケニル基;C~C20のアルキニル基;C~C20のアルコキシ基;C~C30のアリールオキシ基;フルオレニル基;カルボニル基;エーテル基;カルボキシル基;又はC~C20のアルコキシカルボニル基であり、但し、前記連結部位を除いた残りR11ないしR20のうち2つはカルボキシル基であり、
15)Lが単一結合である場合、前記連結部位ではなく隣接したR11及びR20;及びR15及びR16は環を形成することができる。
【0099】
本発明の一実現例による重合体は、単一溶媒としてγ-ブチロラクトンを使用して製造されるため、環境及び人体有害性が低く、反応物(重合体)の収率に優れている。
【0100】
前記製造方法で製造された重合体は収率が80%以上であり、好ましくは82.5%以上であることが好ましい。
【0101】
前記製造方法でピリジンがさらに添加されることが好ましい。ピリジンを添加する場合、γ-ブチロラクトンと単量体の常用性が増加し、また重合反応の触媒として作用するため、重合反応がさらに効率的に起きることができる。
【0102】
前記重合体樹脂の重量平均分子量は、5,000g/molないし30,000g/mol、好ましくは5,000g/molないし40,000g/mol、より好ましくは7,000g/molないし25,000g/molであってもよい。前記樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、現像時に露光層の残渣が残留せず、非露光層の膜厚の損失を最小化し、良好なパターンを得ることができる。前記樹脂は、前記感光性組成物総量に対して5ないし50重量%、より好ましくは10ないし45重量%で含まれてもよい。前記樹脂が前記範囲内で含まれる場合、コーティング段階で一定の膜厚を得ることができ、優れた感度、現像性及び付着性(密着性)を得ることができる。
【0103】
(2)感光剤
前記感光剤は、ポジティブ感光性組成物に一般的に使用される感光剤であって、例えば、感光性ジアゾキノン化合物などがあり、具体的には、フェノール化合物と下記化学式P-1ないし化学式P-8で表される光感光性化合物を含んでもよく、R”の具体例としては、水素;重水素;1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸または1,2-ナフトキノン-ジアジド-4-スルホン酸が構造に含まれた化合物などがある。
【0104】
【化15】
【0105】
前記P-1ないしP-8において、R”は水素;下記化学式S-1;または化学式S-2である。
【0106】
【化16】
【0107】
前記化学式S-1及び化学式S-2において、*は連結部位を示す。
【0108】
前記感光剤は、組成物の総量に対して1ないし50重量%で含まれてもよい。
【0109】
(3)溶媒
前記溶媒は、前記重合体樹脂、前記感光剤及び前記顔料に常用性を有するが、反応しない物質が使用されてもよい。
【0110】
前記溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチルグリコールモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類;2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがある。
【0111】
また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジへキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、オキサル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒も使用されることができる。
【0112】
前記溶媒のうち相溶性及び反応性を考慮して、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類を使用することができる。
【0113】
前記溶媒は、前記感光性組成物総量に対して残部量として含まれることができ、具体的には、50~95重量%で含まれる。前記溶媒が前記範囲内で含まれる場合、前記ポジティブ型感光性組成物が適切な粘度を有することによりパターン層の製造時の工程性に優れている。
【0114】
(4)その他の添加剤
前記ポジティブ感光性樹脂組成物は、塗布時にシミや斑点を防止し、レベリング性能を改善するために、また未現像による残渣の生成を防止するために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;ビニル基または(メタ)アクリルオキシ基を含むシラン系カップリング剤;表面平滑剤;界面活性剤;クロスリンカーなどの添加剤をさらに含んでもよい。
【0115】
例えば、前記感光性樹脂組成物は、基板との密着性などを改善するためにビニル基、カルボキシル基、メタクリルオキシ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシラン系カップリング剤をさらに含んでもよい。
【0116】
前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γイソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、βエポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、Shinetsu silicon社のKBM-502、KBM-602、KBM-573、KBE-9007Nなどの名称で市販されているシラン系カップリング剤が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0117】
前記シラン系カップリング剤は、前記感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~10重量部で含まれてもよい。シラン系カップリング剤が前記範囲内で含まれる場合、密着性、保存性などに優れている。
【0118】
また、前記感光性樹脂組成物は、必要に応じてコーティング段階で膜厚を一定に形成するために表面平滑剤をさらに含んでもよい。
【0119】
前記表面平滑剤としては、DIC社のF-554(登録商標)、F-556(登録商標)、F-557(登録商標)、F-559(登録商標)、F-560(登録商標)、F-563(登録商標)、RS-72-K(登録商標)、R-40(登録商標)、R-41(登録商標)、R-43(登録商標)など;BASF社のEfka(登録商標)FL3740、同FL3741、同FL3745、同FL3770などの名称で市販されている表面平滑剤を使用してもよい。
【0120】
前記表面平滑剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.001重量部ないし5重量部で使用されてもよい。表面平滑剤が前記範囲内に含まれる場合、コーティングの均一性が確保され、膜厚が一定にコーティングされることができる。
【0121】
また、前記感光性樹脂組成物は、必要に応じてコーティング性向上及び欠点生成防止効果のために界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0122】
前記系界面活性剤としては、BM Chemie社のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など;大日本インキ化学工業(株)のメガファックF142D(登録商標)、同F172(登録商標)、同F173(登録商標)、同F183(登録商標)など;住友スリーエム(株)のフロラードFC-135(登録商標)、同FC-170C(登録商標)、同FC-430(登録商標)、同FC-431(登録商標)など;旭硝子(株)のサーフロンS-112(登録商標)、同S-113(登録商標)、同S-131、同S-141、同S-145など;ドレイシリコン(株)のSH-28PA(登録商標)、同-190(登録商標)、同-193(登録商標)、SZ-6032(登録商標)、SF-8428(登録商標)などの名称で市販されている界面活性剤を使用してもよい。
【0123】
前記界面活性剤は感光性樹脂組成物100重量部に対して0.001重量部~5重量部で使用されてもよい。界面活性剤が前記範囲内で含まれる場合、コーティング均一性が確保され、シミが発生せず、ガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れている。
【0124】
前記クロスリンカーとしては、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ジエチルスルフェート、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N'-メチレンビスアクリルアミドなどを使用してもよく、これらを単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0125】
前記クロスリンカーは感光性樹脂組成物100重量部に対して0.001重量部ないし5重量部で使用されてもよい。クロスリンカーが前記範囲内に含まれる場合、硬化塗膜の物性、例えば、引張強度などの機械的物性を適切に付与するのに有利である。
【0126】
また、前記感光性樹脂組成物は物性を阻害しない範囲内でその他の添加剤が一定量添加されてもよい。
【0127】
以下、本発明に係る合成例及び実施例を具体的に記載するが、本発明の合成例及び実施例がこれに限定されるものではない。
【0128】
合成例1
250mlの3首丸底フラスコに攪拌機、窒素注入装置、滴加漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けて設置した後、窒素を充填するとともにγ-ブチロラクトン(GBL)120.47gを充填した後、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン15gとピリジン2.58gを投入して攪拌し、40℃に維持した。ここにフタル酸無水物0.910gをゆっくり投入した後、一定時間攪拌して溶解及び反応させた。その後、溶液の温度を5℃に維持し、30分間攪拌した。以後、4,4’-オキシビスベンゾイルクロライド10.58gをゆっくり投入して溶解させ、12時間攪拌しながら反応させた。
【0129】
前記ポリヒドロキシアミド溶液を常温で1時間攪拌した後、これをメタノールで沈殿させ、沈殿した固形分を60℃で真空で12時間乾燥して87.56%の収率で共重合ポリヒドロキシアミド粉末を得た。
【0130】
合成例2
250mlの3首丸底フラスコに攪拌機、窒素注入装置、滴加漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けて設置した後、窒素を充填するとともにγ-ブチロラクトン(GBL)65.7gを充填した後、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン15gとピリジン0.52gを投入した後、攪拌しながら40℃に維持した。ここにフタル酸無水物0.910gをゆっくり投入した後、一定時間攪拌して溶解及び反応させた。以後、反応進行中のフラスコにGBL52.70g及びピリジン2.06gを追加した後、溶液の温度を5℃に維持して30分間攪拌した。以後、4,4’-ビフェニルジカルボニルクロライド8.76gをゆっくり投入して溶解させ、12時間攪拌しながら反応させた。
【0131】
前記ポリヒドロキシアミド溶液を常温で1時間攪拌した後、これをメタノールで沈殿させ、沈殿した固形分を60℃で真空で12時間乾燥して85.47%の収率で共重合ポリヒドロキシアミド粉末を得た。
【0132】
合成例3
250mlの3首丸底フラスコに攪拌機、窒素注入装置、滴加漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けて設置した後、窒素を充填するとともにγ-ブチロラクトン(GBL)65.7gを充填した後、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン15gとピリジン0.52gを投入した後、攪拌しながら40℃に維持した。ここに5-ノボネン-2,3-ジカルボキシリックアンハイドライド1.54gをゆっくり投入した後、一定時間攪拌して溶解及び反応させた。以後、反応進行中のフラスコにGBL52.70g及びピリジン2.06gを追加した後、溶液の温度を5℃に維持して30分間攪拌した。その後、4,4’-オキシビスベンゾイルクロライド9.48gをゆっくり投入して溶解させ、12時間攪拌しながら反応させた。
【0133】
前記ポリヒドロキシアミド溶液を常温で1時間攪拌した後、これをメタノールで沈殿させ、沈殿した固形分を60℃で真空で12時間乾燥して87.23%の収率で共重合ポリヒドロキシアミド粉末を得た。
【0134】
合成例4
250mlの3首丸底フラスコに攪拌機、窒素注入装置、滴加漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けて設置した後、窒素を充填するとともにγ-ブチロラクトン(GBL)65.7gを充填した後、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン15gとピリジン0.52gを投入した後、攪拌しながら40℃に維持した。ここにフタル酸無水物0.91gをゆっくり投入した後、一定時間攪拌して溶解及び反応させた。以後、反応進行中のフラスコにGBL52.70g及びピリジン2.06gを追加した後、溶液の温度を5℃に維持して30分間攪拌した。以後、1,4-4,4’-オキシビスベンゾイルクロライド11.95gをゆっくり投入して溶解させ、12時間攪拌しながら反応させた。
【0135】
前記ポリヒドロキシアミド溶液を常温で1時間攪拌した後、これをメタノールで沈殿させ、沈殿した固形分を60℃で真空で12時間乾燥して84.77%の収率で共重合ポリヒドロキシアミド粉末を得た。
【0136】
比較例1
250mlの3首丸底フラスコに攪拌機、窒素注入装置、赤褐漏斗、温度調節機及び冷却機を取り付けて設置した後、窒素を充填するとともにN-メチルピロリドン(NMP)65.7gを充填した後、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン15gとピリジン0.52gを投入した後、攪拌しながら40℃に維持した。ここにフタル酸無水物0.910gをゆっくり投入した後、一定時間攪拌して溶解及び反応させた。以後、反応進行中のフラスコにNMP54.77g及びピリジン2.06gを追加した後、溶液の温度を5℃に維持して30分間攪拌した。その後、4,4’-オキシビスベンゾイルクロライド10.58gをゆっくり投入して溶解させ、12時間攪拌しながら反応させた。
【0137】
前記ポリヒドロキシアミド溶液を常温で1時間攪拌した後、これをメタノールで沈殿させ、沈殿した固形分を60℃で真空で12時間乾燥して76.42%の収率で共重合ポリヒドロキシアミド粉末を得た。
【0138】
比較例2
250mlの3首丸底フラスコに攪拌機、窒素注入装置、赤褐漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けて設置した後、窒素を充填するとともにN-メチルピロリドン(NMP)65.7gを充填した後、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン15gとピリジン0.52gを投入した後、攪拌しながら40℃に維持した。ここにフタル酸無水物0.910gをゆっくり投入した後、一定時間攪拌して溶解及び反応させた。以後、反応進行中のフラスコにNMP54.77g及びピリジン2.06gを追加した後、溶液の温度を5℃に維持して30分間攪拌した。その後、4,4’-オキシビスベンゾイルクロライド11.95gをゆっくり投入して溶解させ、12時間攪拌しながら反応させた。
【0139】
前記ポリヒドロキシアミド溶液を常温で1時間攪拌した後、これをメタノールで沈殿させ、沈殿した固形分を60℃で真空で12時間乾燥して73.82%の収率で共重合ポリヒドロキシアミド粉末を得た。
【0140】
【表1】
【0141】
前記表1に示した合成テストの結果、実施例1ないし実施例4においていずれも84%を超える収率で結果物を得ることができ、これは、比較例1ないし2に比べて収率が8%以上高いことを確認した。また、未反応モノマー比率が合成例1ないし4に比べて比較例1ないし2が5%以上残留することを確認した。
【0142】
(製造例1)ポジティブ感光性組成物の製造
合成例1ないし4及び比較例1ないし2で得られた重合体樹脂13.759g、MIPHOTO TPD5232.052g(美源商事社)、F-563(DIC社)0.013g、KBM-573(Shinetsu silicon社)1.7g及び1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン1.2gをγ-ブチロラクトン32.5gと共に常温で12時間攪拌した。続いて、前記組成物を3回濾過して不純物を除去することにより、感光性樹脂組成物を製造した。
【0143】
下記の表2のような組成で感光性組成液を製造した。
【0144】
【表2】
【0145】
前記ポジティブ型感光性樹脂組成物を利用したUTM試験片の製造方法は次の通りである。
【0146】
(1)塗布及びコーティング段階
実施例または比較例で製造された感光性組成物を、洗浄した10cm*10cmのガラス材質の基材にスピンコーターを利用して一定の厚さで塗布した後、VCD(vacuum chamber dry)を使用して溶媒の一部を除去することで塗膜を形成する。前記感光性組成物のコーティング厚さは、VCD後に11μmないし13μmになるように膜を形成する。
【0147】
(2)プリベーク段階
前記得られた塗膜内に含有している溶媒を除去するために、ホットプレート(hot plate)の上で100℃~140℃で50秒~200秒間加熱する。該当工程で一定量の溶媒を除去することにより、次の工程(露光)後の現像段階でも一定の厚さの塗膜を得ることができる。
【0148】
(3)露光段階
前記得られた塗膜に必要なパターン形成及び一定の厚さを得るために露光機190nm~600nmの活性線、好ましくは、ghi-lineを有するメタルまたはLEDランプの光源を照射してパターンを形成することができる。照射される露光量は50~500mJ/cmであり、形成されるパターンはポジティブタイプの9cm*1cmストラップ形態のパターンである。
【0149】
(4)現像段階
前記露光段階に続き、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)2.38wt%現像液を23±2℃で一定量基板に濡らして一定時間(分)待機して現像するパドル(puddle)方法で現像した後、超純水(DI water)を利用して水洗すれば、露光部分を溶解させて除去し、非露光部分だけを残存させて画像パターンを形成させ、残存塗膜の厚さは、9.0~11.0μmである。
【0150】
(5)後熱処理段階
前記現像により得られた画像パターンを得るために、オーブンで300~320℃で30分~120分間後熱処理(post baking)を行って得た塗膜を硬化させる。
【0151】
(6)試験片剥離
前記後熱処理段階を終えた基板においてUTM試験片を損傷なく得るために、基板を2%フッ酸水溶液に23±2℃で一定時間(分)沈殿(dipping)した後、分離された試験片を超純水(DI water)を利用して水洗した後、常温の真空チャンバーにおいて乾燥してUTM用試験片を得た。
【0152】
(7)UTM測定
前記試験片剥離段階から得られたUTM用試験片により実施例及び比較例の試験片をそれぞれQMESYS社の万能材料試験機であるQM100Sを利用して引張強度及び伸び率を測定した。測定条件は、測定温度25℃で引張速度5mm/min、標点距離20mmにして測定した。
【0153】
(8)NMP含量測定
また、前記製造した組成物のNMP含量を分析するために、前記組成物を公認された認証試験機関であるSGS KoreaにHeadspace GC/MS分析を依頼してNMP含量を測定し、LDLは5ppmである。
【0154】
【表3】
【0155】
前記表2に示した現像テストの結果、比較例を除いて実施例1ないし実施例4においていずれも現像後に残渣が残る現像は現れないことを確認した。また、同じ組成で溶剤のみを異なるようにして合成した実施例1と比較例3、実施例4と比較例4を比較する時、実施例1と実施例4の伸び率が10%、引張強度が10MPa以上高く測定されて未反応モノマー含量が少ない実施例の物性がより良好なことを確認した。また、比較例に比べて、優れた解像度でパターンが実現されることを確認した。NMP含量を分析した結果、実施例1ないし実施例4においてはいずれもNMPが検出されず、比較例1ないし2においてそれぞれ150ppm、158ppmのNMPが検出されたことを確認した。最近、ディスプレイ及び半導体用材料から人体に有害なNMPを除去するか、使用しないようにする規制が高まっており、本特許で提示した合成法でNMPが含まれていない組成物を製造することが可能である。
【0156】
本発明は、前記実施例に限定されるのではなく、相異なる多様な形態で製造することができる。
【0157】
以上の説明は、本発明を例示的に説明したものに過ぎず、本発明に属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で多様な変形が可能である。
【0158】
従って、本明細書に開示された実施例は、本発明を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例により本発明の思想と範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は請求範囲により解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。