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▶ トリスコ アイキャップ プロプライアタリー リミティドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022887
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】成分
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/00 20060101AFI20250206BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20250206BHJP
   A23L 29/231 20160101ALI20250206BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20250206BHJP
   A23L 29/25 20160101ALI20250206BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20250206BHJP
   A23L 29/262 20160101ALI20250206BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20250206BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20250206BHJP
【FI】
C08B37/00 Q
A23L5/00 N
A23L29/231
A23L29/238
A23L29/25
A23L29/256
A23L29/262
A23L29/269
A23L29/00
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024188577
(22)【出願日】2024-10-25
(62)【分割の表示】P 2020568007の分割
【原出願日】2019-02-27
(31)【優先権主張番号】2018900635
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】519077713
【氏名又は名称】トリスコ アイキャップ プロプライアタリー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】マイケル トリストラム
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダ モッセル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター スカルシェウスキー
(57)【要約】
【課題】 本発明によって提供されるのは、タンパク質加水分解工程に供された多糖類ベースの原料を含む食品増粘組成物を調製する際並びにその製造方法において使用するための多糖類ベースの成分である。
【解決手段】1つ又は複数の増粘剤及びタンパク質加水分解工程に供されたための多糖類ベースの成分を含む食品の粘度を増加させることができる安定液体組成物、及びそれを製造する方法もまた、提供される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品増粘組成物の調製に使用するための多糖類ベースの成分であって、
ラリクスオシデンタリス多糖類抽出物(Larix occidentalis polysaccharide extract)、ラリクスラリシナ多糖類抽出物(Larix laricina polysaccharide extract)、アカシアツリー多糖類抽出物(Acacia tree polysaccharide extract)、ラリクスデシドゥア多糖類抽出物(Larix decidua polysaccharide extract)、ラリクスシビリカ多糖類抽出物(Larix sibirica polysaccharide extract)及びこれら何れかの組み合わせからなる群から選択される多糖類ベースの原料を含み;
ここで、前記多糖類ベースの原料は、タンパク質分解工程に供されている、多糖類ベースの成分。
【請求項2】
前記多糖類ベースの成分が、タンパク質抽出工程にさらに供されている、請求項1に記載の多糖類ベースの成分。
【請求項3】
食品増粘組成物の調製に使用するための多糖類ベースの成分を調製するための方法であって、
(i)ラリクスオシデンタリス多糖類抽出物、ラリクスラリシナ多糖類抽出物、アカシアツリー多糖類抽出物、ラリクスデシドゥア多糖類抽出物、ラリクスシビリカ多糖類抽出物及びこれら何れかの組み合わせからなる群から選択される多糖類ベースの原料を提供し、及び
(ii)多糖類ベースの原料のタンパク質の一部を加水分解する、
工程を含み、それによって、多糖類ベースの成分を調製する方法。
【請求項4】
(ii)の多糖類ベースの原料から加水分解されたタンパク質の一部を抽出する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記タンパク質加水分解工程が、熱処理、プロテアーゼ処理、酸処理、アルカリ処理、マイクロ波放射処理、及び金属アクアイオン処理のうちの1つ以上を含む、請求項1又は2に記載の多糖類ベースの成分又は請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質加水分解工程が、熱処理及び/又は酸処理を含む、請求項5に記載の多糖類ベースの成分又は方法。
【請求項7】
酸処理が、多糖類ベースの原料を、乳酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、ギ酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸及びそれら何れかの組み合わせからなる群から選択される食品グレードの酸と接触させることを含む、請求項5又は6に記載の多糖類ベースの成分又は方法。
【請求項8】
前記食品グレードの酸が、グルコン酸であるか、又はグルコン酸を含む、請求項7に記載の多糖類ベースの成分又は方法。
【請求項9】
前記グルコン酸が、少なくとも部分的にグルコノデルタラクトンに由来する、請求項8に記載の多糖類ベースの成分又は方法。
【請求項10】
酸処理が、約3~約5のpHで実施される、請求項5~9の何れか1項に記載の多糖類ベースの成分又は方法。
【請求項11】
酸処理が、約4.2~4.4のpHで実施される、請求項10に記載の多糖類ベースの成分又は方法。
【請求項12】
熱処理が、約55℃~約90℃の温度で実施される、請求項5~11の何れか1項に記載の多糖類ベースの成分又は方法。
【請求項13】
熱処理が、約70℃~約80℃の温度で実施される、請求項12に記載の多糖類ベースの成分又は方法。
【請求項14】
前記タンパク質抽出工程が、重力分離、遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、フリーフロー電気泳動、金属結合、免疫親和性クロマトグラフィー及び免疫沈降の1つ以上を含む、請求項3及び5~13の何れか1項に記載の多糖類ベースの成分又は方法。
【請求項15】
前記タンパク質加水分解工程が、約15分~約30時間までの期間実施される、請求項1~14の何れか1項に記載の多糖類ベースの成分又は方法。
【請求項16】
前記タンパク質加水分解工程が、約30分~約2時間の期間実施される、請求項15に記載の多糖類ベースの成分又は方法。
【請求項17】
請求項3~16の何れか1項に記載の方法によって調製された多糖類ベースの成分。
【請求項18】
4000cP未満の粘度を有する安定液体組成物であって、
(i)1つ又は複数の増粘剤; 及び
(ii)請求項1、2及び5~17の何れか1項に記載の多糖類ベースの成分、を含み
ここで、水性液体又は水性液体固体混合物食品への前記組成物の添加が、前記食品の前記粘度を増加させる、安定液体組成物。
【請求項19】
前記増粘剤が、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガム、オオバコ種子ガム、マルメロ種子ガム、ペクチン、フルセララン、ゲランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、及びそれら何れかの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の安定液体組成物。
【請求項20】
前記組成物が、2000cP未満の粘度を有する、請求項18又は19に記載の安定液体組成物。
【請求項21】
前記組成物が、95%超の水分活性を有する、請求項18~20の何れか1項に記載の安定液体組成物。
【請求項22】
前記組成物が、室温で少なくとも6か月間安定である、請求項18~21の何れか1項に記載の安定液体組成物。
【請求項23】
前記組成物が、前記食品に加えられたときに前記食品のインピーダンスレベルに実質的に変化を生じさせないように構成される、請求項18~22の何れか1項に記載の安定液体組成物。
【請求項24】
前記食品が、ディスフェイジアの診断及び/又は予後を決定する際に使用するための媒体であるか、又はそれを含む、請求項23に記載の安定液体組成物。
【請求項25】
水性液体又は水性液体固体混合物食品の前記粘度を増加させる方法であって、以下の:
(a)請求項18~24の何れか1項に記載の安定液体組成物を食品に加えること; 及び
(b)前記組成物による前記食品の前記粘度の増加を促すように、前記食品及び前記組成物を混合すること、
工程を含む、方法。
【請求項26】
前記混合工程が、低剪断混合を適用することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記低剪断混合が、前記食品の最大粘度を達成するために約30秒以下の時間で適用される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記低剪断混合が、前記食品の最大粘度を達成するために約10~約30秒間適用される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記低剪断混合が、約10rpm~約40rpmの速度で前記組成物を攪拌することを含む、請求項26~28の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記食品の前記粘度が、95cP超まで増加する、請求項25~29の何れか1項に記載の方法。
【請求項31】
粘度が上昇した前記食品が、咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害又は病状を患っている対象に与えることに適している、請求項25~30の何れか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害又は病状が、ディスフェイジアであるか又はそれを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
安定液体組成物を産生する方法であって、以下の:
(i)請求項1、2及び5~17の何れか1項に記載の多糖類ベースの成分を提供すること;
(ii)多糖類ベースの成分に1つ又は複数の増粘剤を加えること; 及び
(iii)工程(ii)の混合物を混合し、それにより前記液体組成物を産生すること、
の工程を含む、方法。
【請求項34】
前記安定液体組成物が、請求項18~24の何れか1項に記載のものである、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成分に関する。特に本発明は、食品増粘組成物の調製に使用するための多糖類ベースの成分及びその製造方法に関する。本発明はさらに、多糖類ベースの成分及び液体又は半液体食品の粘度を増加させるための増粘剤を含む安定液体組成物及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に高齢者医療に関する市場及び回復期患者に関する市場において、粘着性のある増粘液体を提供することが多くの場合好ましい。増粘液体は、これらの市場に適用するためには、特定の既知の再現可能な粘度である必要がある。
【0003】
所定の液体粘度は、嚥下障害患者の嚥下を「遅らせる」ことで臨床的に重要な利点を有すると考慮している多くの規制機関によって開発されており、誤嚥性肺炎等の障害の一般的な合併症が防がれている。嚥下障害の様々な重症度に照らして、以下の専門的なガイドラインが、一般的に臨床で実践されている:わずかな粘性(ミツのような粘度);適度な粘性(ハチミツのような粘度);粘性(プリンのような粘度)。これらのガイドラインは通常、それぞれ、150、400及び900mPa.sに対応する。
【0004】
施設や家庭での嚥下障害を管理するための粘性飲料は、通常、凝集等の物理的な改変によって「インスタント化」された粉末増粘剤を使用して行われる。しかしながら、そのような粉末は、必要に応じて食品に正確な体積用量を与えることができないこと、及び十分な剪断力を得てその適切に分散させるための特殊な混合装置が必要であること等の制限を有する。さらに、粉末増粘剤がその粘度を示すために必要な時間は、通常、瞬間的ではなく(すなわち、30秒未満)、食品をその最大又は所望の粘度にするために数分かかる場合がある。濃縮溶液中で増粘剤の粘度を表し、所望の濃度に希釈することにより機能する市販の液体増粘剤は、それらの粘度を分散及び表すために必要な剪断の量によって同様に制限される。そのような液体増粘剤はまた、室温で保存された場合、十分な期間にわたって安定では無く、その1つ以上の成分の分離をもたらす可能性を有する。
【0005】
従って、例えば、市販の液体及び/又は粉末増粘組成物の固有の制限の1つを克服する、ディスフェイジア(dysphagia)等の咀嚼及び/又は嚥下障害に罹患している対象に用いられ得る安定した液体増粘尾組成物の必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様において、本発明は、以下を含む食品増粘組成物の調製に使用するための多糖類ベースの成分を提供する:
ラリクスオシデンタリス多糖類抽出物(Larix occidentalis polysaccharide extract)、ラリクスラリシナ多糖類抽出物(Larix laricina polysaccharide extract)、アカシアツリー多糖類抽出物(Acacia tree polysaccharide extract)、ラリクスデシドゥア多糖類抽出物(Larix decidua polysaccharide extract)、ラリクスシビリカ多糖類抽出物(Larix sibirica polysaccharide extract)及びこれら何れかの組み合わせからなる群から選択される多糖類ベースの原料;
ここで、多糖類ベースの原料は、タンパク質分解工程に供されている。
【0007】
いくつかの実施形態において、タンパク質加水分解工程は、多糖類ベースの原料の最初のタンパク質レベルを第2のタンパク質レベルに下げた。
【0008】
一実施形態において、多糖類ベースの原料は、さらにタンパク質抽出工程に供される。
【0009】
第2の態様において、本発明は、以下の工程を含む食品増粘組成物の調製に使用するための多糖類ベースの成分を調製する方法を提供する:
(i)ラリクスオシデンタリス多糖類抽出物、ラリクスラリシナ多糖類抽出物、アカシアツリー多糖類抽出物、ラリクスデシドゥア多糖類抽出物、ラリクスシビリカ多糖類抽出物、及びこれら何れかの組み合わせからなる群から選択される多糖類ベースの原料を提供すること; 及び
(ii)多糖類ベースの原料のタンパク質の一部を加水分解すること;
それによって、多糖類ベースの成分を調製する。
【0010】
いくつかの実施形態において、工程(ii)は、多糖類ベースの原料の最初のタンパク質レベルを第2のタンパク質レベルに下げる。
【0011】
一実施形態において、当該態様の方法は、(ii)の多糖類ベースの原料から加水分解されたタンパク質の一部を抽出する工程をさらに含む。
【0012】
前述の態様に関して、タンパク質加水分解工程は、適切には、熱処理、プロテアーゼ処理、酸処理、アルカリ処理、マイクロ波放射処理、及び金属イオン処理、の1つ以上を含む。より好ましくは、タンパク質加水分解工程は、熱処理及び/又は酸処理を含む。
【0013】
第1及び第2の態様の特定の実施形態において、酸処理は、多糖類ベースの原料を、乳酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、ギ酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸及びそれら何れかの組み合わせからなる群から選択される食品グレードの酸と接触さえることを含む。好ましくは、食品グレードの酸は、少なくとも部分的にグルコノデルタラクトンに由来するようなグルコン酸であるか、又はそれを含む。
【0014】
上記の態様を参照すると、酸処理は、約3~約5のpHで適切に実施される。好ましくは、酸処理は、約4.0~4.5のpHで、より好ましくは約4.2~4.4のpHで行われる。
【0015】
第1及び第2の態様の特定の実施形態において、熱処理は、約55℃~約90℃の温度で行われる。より好ましくは、熱処理は、約65℃~約85℃、さらにより好ましくは約70℃~約80℃の温度で行われる。
【0016】
適切には、第1及び第2の態様のタンパク質抽出工程は、重力分離、遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、フリーフロー電気泳動、金属結合、免疫親和性クロマトグラフィー、及び免疫沈降のうちの1つ以上を含む。
【0017】
第1及び第2の態様に関して、タンパク質加水分解工程は、好ましくは約15分~約30時間、より好ましくは約8時間~約20時間、さらにより好ましくは、約30分~約2時間実施される。
【0018】
第3の態様において、本発明は、第2の態様の方法によって調製された多糖類ベースの成分を提供する。
【0019】
第4の態様において、本発明は、以下を含む4000cP未満の粘度を有する安定な液体組成物を提供する:
(i)1つ又は複数の増粘剤; 及び
(ii)第1及び第3の態様による多糖類ベースの成分;
ここで、組成物を水性液体又は水性液体-固体混合食品に加えると、前記食品の粘度が増加する。
【0020】
適切には、増粘剤は、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガム、オオバコ種子ガム、マルメロ種子ガム、ペクチン、フルセララン、ゲランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、及びそれら何れかの組み合わせからなる群から選択される。
【0021】
一実施形態において、組成物は、2000cP未満の粘度を有する。
【0022】
特定の実施形態において、組成物は、95%超の水分活性を有する。
【0023】
好ましい一実施形態において、組成物は、室温で少なくとも6か月間安定である。
【0024】
適切には、組成物は、食品に加えた際に、食品のインピーダンスレベルに実質的に変化が生じないように構成される。これに関して、食品は、ディスフェイジアの診断及び/又は予後を決定する際に使用するための媒体であるか、又はそれを含むことが好ましい。
【0025】
第5の態様において、本発明は、水性液体又は水性液体固体混合物食品の粘度を増加させる方法を提供し、この方法は、以下の工程を含む:
(a)第4の態様の安定した液体組成物を食品に加えること; 及び
(b)組成物による前記食品の粘度の増加を促すように、食品と組成物を混合すること。
【0026】
適切には、混合工程は、低剪断混合を適用することを含む。この目的のために、低剪断混合は、食品の最大粘度を達成するために、好ましくは約30秒以下の時間で適用される。より好ましくは、低剪断混合は、食品の最大粘度を達成するために約10秒~約30秒の時間適用される。特定の実施形態において、低剪断混合は、前記組成物を約10rpm~約40rpmの速度で攪拌することを含む。
【0027】
特定の実施形態において、食品の粘度は、95cP超まで適切に増加する。
【0028】
上記態様に照らすと、粘度が増加した食品は、咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害又は病状を患っている対象に与えることに適している。好ましくは、咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害又は病状は、ディスフェイジアであるか、又はそれを含む。
【0029】
第6の態様において、本発明は、以下の工程を含む、安定した液体組成物を生成する方法を提供する:
(i)第1又は第3の態様による多糖類ベースの成分を提供すること;
(ii)多糖類ベースの成分に1つ又は複数の増粘剤を加えること; 及び
(iii)工程(ii)の混合物を混合し、それにより安定した液体組成物を生成すること。
【0030】
適切には、安定した液体組成物は、第4の態様のものである。
【0031】
本明細書で用いられる場合、状況で特に必要な場合を除き、用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「含んだ(comprised)」等の用語「含む(comprise)」及びその用語の変形は、さらなる要素、コンポーネント、整数又は工程を除外することを意図せず、1つ以上の明記されていないさらなる要素、コンポーネント、整数又は工程を含み得る。
【0032】
不定冠詞「a」及び「an」は、単数の不定冠詞として、又はそうでなければ、不定冠詞が言及する1つより多い又は1つより多い対象を除外して読まれるべきではないことが理解されるだろう。例えば、「a」多糖類(「a」 polysaccharide)は、1つの多糖類、又は1つ以上の多糖類又は複数の多糖類を含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の理解を助け、当業者が本発明を実際に実施できるようにするため、本発明の好ましい実施形態は、添付の図面を参照にして、例としてのみ記載される。
図1図1は、食品増粘組成物の製造方法の実施形態を提供する。
図2図2は、図1の食品増粘組成物の製造方法の各段階での残留物の減少率を提供する。
図3図3は、本発明の多糖類ベースの成分の実施形態を含む液体組成物の様々な濃度で濃縮された4つの濃度(非増粘、増粘レベル150、レベル400及びレベル900)にわたる10mLの診断ボーラス媒体を示す。
図4図4は、方法の実行中に採取されたサンプルのSDS PAGEを提供する;PMは、SeeBlue Plus2染色済タンパク質ラダーを含むレーンを示す。レーン1:最初の抽出物(TSC1)、レーン2:第2の抽出物(TSC2)、レーン3:バルク保持液2(TSC3)、レーン4:第3の抽出物(TSC4)、レーン5:バルク保持液3(TSC5)、レーン6:バルク保持液4(TSC6)、レーン7:FG市販製品(TSC7)、及びレーン8:バルク保持液1(TSC8)。赤い矢印は、LC-MS分析に使用された60、40及び20kDa(上から下)のタンパク質バンドを示す。
図5図5は、サンプルTSC2-3のベースピーククロマトグラフを示し、豊富に存在するが一致しないペプチドのピークのm/z値を示す。トリプシン自体の自己分解ペプチドは、Tで表される。
図6-1】図6-1は、最初の疎水コロイド(バルク保持液1、図5A)及び最終組成物(バルク保持液5、図5B)の7つの豊富に存在するが不一致なペプチドの抽出イオンクロマトグラフを示す。
図6-2】図6-2は、最初の疎水コロイド(バルク保持液1、図5A)及び最終組成物(バルク保持液5、図5B)の7つの豊富に存在するが不一致なペプチドの抽出イオンクロマトグラフを示す。
図7-1】図7-1は、サンプルTSC1からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す; 60kDa(TSC1-1)、40kDa(TSC1-2)、20kDa(TSC1-3)のバンドのペプチドをそれぞれ図7A、7B、及び7Cに示す。
図7-2】図7-2は、サンプルTSC1からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す; 60kDa(TSC1-1)、40kDa(TSC1-2)、20kDa(TSC1-3)のバンドのペプチドをそれぞれ図7A、7B、及び7Cに示す。
図7-3】図7-3は、サンプルTSC1からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す; 60kDa(TSC1-1)、40kDa(TSC1-2)、20kDa(TSC1-3)のバンドのペプチドをそれぞれ図7A、7B、及び7Cに示す。
図8-1】図8-1は、サンプルTSC2からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す; 60kDa(TSC2-1)、40kDa(TSC2-2)、20kDa(TSC2-3)のバンドのペプチドをそれぞれ図8A、8B、及び8Cに示す。
図8-2】図8-2は、サンプルTSC2からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す; 60kDa(TSC2-1)、40kDa(TSC2-2)、20kDa(TSC2-3)のバンドのペプチドをそれぞれ図8A、8B、及び8Cに示す。
図8-3】図8-3は、サンプルTSC2からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す; 60kDa(TSC2-1)、40kDa(TSC2-2)、20kDa(TSC2-3)のバンドのペプチドをそれぞれ図8A、8B、及び8Cに示す。
図9-1】図9-1は、サンプルTSC3からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す; 60kDa(TSC3-1)、40kDa(TSC3-2)、20kDa(TSC3-3)のバンドのペプチドをそれぞれ図9A、9B、及9Cに示す。
図9-2】図9-2は、サンプルTSC3からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す; 60kDa(TSC3-1)、40kDa(TSC3-2)、20kDa(TSC3-3)のバンドのペプチドをそれぞれ図9A、9B、及9Cに示す。
図9-3】図9-3は、サンプルTSC3からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す; 60kDa(TSC3-1)、40kDa(TSC3-2)、20kDa(TSC3-3)のバンドのペプチドをそれぞれ図9A、9B、及9Cに示す。
図10-1】図10-1は、サンプルTSC5からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す; 40kDa(TSC5-1)及び20kDa(TSC5-2)のバンドのペプチドをそれぞれ図10A及び図10Bに示す。
図10-2】図10-2は、サンプルTSC5からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す; 40kDa(TSC5-1)及び20kDa(TSC5-2)のバンドのペプチドをそれぞれ図10A及び図10Bに示す。
図11-1】図11-1は、サンプルTSC5からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す;40kDa(TSC8-2)及び20kDa(TSC8-3)のバンドのペプチドをそれぞれ図11A及び図11Bに示す。
図11-2】図11-2は、サンプルTSC5からのゲルバンドの抽出されたイオンクロマトグラムを示す;40kDa(TSC8-2)及び20kDa(TSC8-3)のバンドのペプチドをそれぞれ図11A及び図11Bに示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
発明の詳細な説明
本発明は、有利には、安定であり(例えば、室温で最大6か月間)、液体又は半液体食品中に分散した際に放出を制御し、粘度を示すことが可能な液体食品増粘組成物の調製に使用する多糖類ベースの成分を提供する。電解質溶液等のような液体食品増粘組成物によって増粘を付与された食料品はまた、組成物が加えられた際に食料品のインピーダンスレベルにほとんど、又は全く変化を生じさせない能力により、診断及び/又は予後の設定において有用性を示し得る。多糖類ベースの成分を含む液体食品増粘組成物はまた、その粘度を迅速(例えば30秒未満)に示すように食料品に加えられる際に低剪断混合力(例えば、スプーンでの穏やかな混合)の使用のみを必要とする。
【0035】
一態様において、本発明は、以下を含む食品増粘組成物の調製に使用するための多糖類ベースの成分を提供する:
ラリクスオシデンタリス多糖類抽出物、ラリクスラリシナ多糖類抽出物、アカシアツリー多糖類抽出物、ラリクスデシドゥア多糖類抽出物、ラリクスシビリカ多糖類抽出物、及びこれら何れかの組み合わせからなる群から選択される多糖類ベースの原料;
ここで、多糖類ベースの原料は、タンパク質加水分解工程に供されている。
【0036】
いくつかの実施形態において、タンパク質加水分解工程は、多糖類ベースの原料の最初のタンパク質レベルを第2のタンパク質レベルに下げた。
【0037】
一実施形態において、多糖類ベースの原料物質は、タンパク質抽出工程にさらに供されている。
【0038】
関連する態様において、本発明は、以下の工程を含む、食品増粘組成物の調製に使用するための多糖類ベースの成分を調製する方法を提供する:
(i)ラリクスオシデンタリス多糖類抽出物、ラリクスラリシナ多糖類抽出物、アカシアツリー多糖類抽出物、ラリクスデシドゥア多糖類抽出物、ラリクスシビリカ多糖類抽出物、及びこれら何れかの組み合わせからなる群から選択される多糖類ベースの原料を提供すること; 及び
(ii)多糖類ベースの原料のタンパク質の一部を加水分解すること;
それによって、多糖類ベースの成分を調製する。
【0039】
いくつかの実施形態において、工程(ii)は、ための多糖類ベースの原料の最初のタンパク質レベルを第2のタンパク質レベルに下げる。
【0040】
一実施形態において、本態様の方法は、(ii)の多糖類ベースの原料から加水分解されたタンパク質の一部を抽出する工程をさらに含む。
【0041】
従って、多糖類ベースの成分は、タンパク質部分及び適切な場合又は任意でその多糖類部分を分解するために加水分解に供された改変多糖類ベースの原料、例えば、植物ガムを指す。
【0042】
本明細書で用いられる「多糖類」という用語は、一般に、ヘミアセタール又はグリコシド結合によって互いに結合された約10から100,000を超える糖単位から形成されるポリマーを指す。多糖類は、直鎖、単分岐、又は多分岐の何れかであり、各分岐は、追加の二次分岐を有し、単糖類は、それぞれ、D-フルクトース及びD-ガラクトース等のピラノース(6員環)又はフラノース(5員環)の形態の標準的なD-又はL-環状糖であり得る。さらに、それらは、環状糖誘導体、デオキシ糖、糖、糖酸、又は多誘導体化糖であり得る。当業者に理解されるように、多糖類調製物、特に自然から単離されたものは、典型的に分子量が不均一な分子を含む。
【0043】
「多糖類ベースの原料」は、1又は複数の多糖類を主成分として含む材料を指す(例えば、多糖類ベースの原料は、多糖類ベースの原料の重量に対して、少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はその中の何れかの範囲の多糖類を含む)。さらに、多糖類ベースの原料は、タンパク質、脂質等の他の成分を、それらの少量成分として含むことができる。
【0044】
本明細書に記載されるように、本明細書に記載される植物抽出物又はガム等の多糖類ベースの原料はまた、その少量成分としてタンパク質部分を含む。特定の実施形態において、多糖類ベースの原料は、多糖類ベースの原料の総重量に対して、約又は約20重量%未満(例えば、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5重量%及びそれら何れかの範囲)、好ましくは、約10重量%未満、より好ましくは約6重量%未満の初期のタンパク質含有量又はレベルを有する。従って、いくつかの実施形態において、上記工程(ii)における多糖類ベースの原料の処理後に生成される第2のタンパク質含有量又はレベルは、約20重量%未満(例えば、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5重量%及びそれら何れかの範囲)である。
【0045】
「タンパク質」とは、アミノ酸ポリマーを意味する。アミノ酸は、当該技術分野でよく理解されているように、天然又は非天然アミノ酸、D-又はL-アミノ酸であり得る。「タンパク質」という用語は、一般に50個以下のアミノ酸を有するタンパク質を説明するために用いられる「ペプチド」と、50個以上のアミノ酸を有するタンパク質を説明するために通常用いられる「ポリペプチド」を含みかつ、包含する。
【0046】
「タンパク質加水分解」又は「タンパク質を加水分解する」とは、タンパク質が、加水分解又は破壊され、典型的に元のタンパク質(すなわち加水分解されていない)状態よりも分子量が減少した、より小さなペプチド又はタンパク質フラグメントに分解されるように、タンパク質材料を共に保持する化学結合の切断又は破壊のプロセスを意味する。一実施形態において、本発明の方法は、リグノセルロース材料を部分的に加水分解する。本明細書で使用される「部分加水分解(partial hydrolysis)」又は「部分加水分解(partially hydrolyses)」及びそれらの何れかの文法上の変形は、タンパク質を共に保持する化学結合の100%未満の切断又は破壊する加水分解反応を指す。例として、タンパク質は、熱処理、酸、塩基、1つ以上の酵素、又はこれら何れかの組み合わせを使用して加水分解され得る。
【0047】
従って、特定の実施形態において、タンパク質加水分解工程は、熱処理、プロテアーゼ処理、酸処理、アルカリ処理、マイクロ波照射処理、及び金属水性イオン処理のうちの1つ以上を含む。好ましい一実施形態において、タンパク質加水分解工程は、熱処理及び/又は酸処理を含む。これに関して、タンパク質加水分解工程は、以下を含み得る:(a)酸処理のみ;(b)熱処理のみ;(c)酸処理を行い、その後熱処理を行う;又は(d)熱処理を行い、その後酸処理を行う。
【0048】
本明細書で用いられる場合、「処理する」又は「処理」は、例えば、接触、水漬(soaking)、蒸気含侵、噴霧、懸濁、浸漬(imersing)、飽和、液浸(dipping)、湿潤、すすぎ、洗浄、水中に沈める(submerging)、及び/又は何れかの変形及び/又はそれら何れかの組み合わせを指し得る。
【0049】
用語「プロテアーゼ」は、本明細書において、ペプチド結合を加水分解する酵素として定義される。「プロテアーゼ」という用語は、EC3.4酵素群(その13のサブクラスのそれぞれを含む)に属する何れかの酵素を含むことができる。EC番号は、NC-IUBMB, Academic Press, San Diego, Californiaの酵素命名法1992を参照している。この内容からわかるように、プロテアーゼは、それらの触媒メカニズムに基づいて以下の群に分類される:セリンプロテアーゼ(S)、システインプロテアーゼ(C)、アスパラギン酸プロテアーゼ(A)、メタロプロテアーゼ(M)、及び未知のもの、又は未分類のプロテアーゼ(U)(例えば、Handbook of Proteolytic Enzymes, A.J.Barrett, N.D.Rawlings, J.F.Woessner (eds), Academic Press (1998)を参照)。
【0050】
本明細書で用いられるプロテアーゼは、例えば、果実、動物起源、細菌又は真菌に由来し得る。プロテアーゼは、エンド活性及び/又はエキソ活性またはそれらの何れかの組み合わせを有し得る。本発明の方法での使用に適したプロテアーゼは、限定されないが、ノボザイムズ(Novozymes)、ジェネンコア(Genencor)、AB-エンザイムズ(AB-Enzymes)及びDSMフードスペシャリティーズアマノ(DSM Food Specialities Amano)等の商業的供給業者から入手可能であることが理解されるだろう。例示的なプロテアーゼは、バチルス・リケニホルムス(Bacillus licheniformes)又はアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)等の細菌又は真菌起源のものである。
【0051】
本明細書で用いられる「酸」という用語は、アルカリと反応して塩を形成することができる、pH7未満の様々な水溶性化合物を指すことを当業者は容易に理解するだろう。酸の例は、一塩基性又は多塩基性であり得、1個、2個、3個又はそれ以上の酸官能基を含み得る。酸の例は、限定されないが、鉱酸、ルイス酸、酸性金属塩、有機酸、固体酸、無機酸、又はそれら何れかの組み合わせを含む。好ましくは、酸処理は、多糖類ベースの原料を乳酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、ギ酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、及びそれら何れかの組み合わせ等の食品グレードの酸と接触させることを含む。好ましくは、食品グレードの酸は、約0.1~5M、より好ましくは約0.5~約2Mの濃度を有する。
【0052】
特定の一実施形態において、食品グレードの酸は、少なくとも部分的にグルコノデルタラクトンに由来するようなグルコン酸であるか、又はそれを含む。これに関して、グルコノデルタラクトンは、典型的に、水性溶液中で加水分解されグルコン酸を生成することが理解されるだろう。
【0053】
タンパク質加水分解工程に関して、酸処理は、約2.0~約6.0、好ましくは約3.0~4.0又はその中の何れかの範囲のpHで適切に行われる。特定の実施形態において、酸処理は、約2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0及びその何れかの範囲のpHで行われる。好ましい特定の実施形態において、酸処理は、約4.2~4.4のpHで行われる。
【0054】
当業者に容易に理解されるように、本明細書で用いられる「アルカリ」は、酸と反応して塩を形成することができる、7を超えるpHを有する様々な水溶性化合物を指す。例として、アルカリは、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、並びに限定されないが、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム等であるアルカリ金属塩を含み得る。
【0055】
特定の実施形態において、多糖類ベースの原料は、タンパク質加水分解工程に関して、1つ以上の酸及び/又はアルカリで処理され得る。例えば、多糖類ベースの原料は、1、2、3、4、5、又はそれ以上の酸及び/又はアルカリで処理され得る。
【0056】
タンパク質加水分解工程において、酸及び/又はアルカリは、約0.1重量%~15重量%又はその中の何れかの範囲、例えば限定されないが、約0.3重量%~約13重量%、又は約1重量%~約10重量%の多糖類ベースの原料で存在し得る。本発明の特定の実施形態において、酸及び/又はアルカリが、タンパク質加水分解工程において約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.75%、2%、2.25%、2.5%、2.75%、3%、3.25%、3.5%、3.75%、4%、4.25%、4.5%、4.75%、5%、5.25%、5.5%、5.75%、6%、6.25%、6.5%、6.75%、7%、7.25%、7.5%、7.75%、8%、8.25%、8.5%、8.75%、9%、9.25%、9.5%、9.75%、10%、10.25%、10.5%、10.75%、11%、11.25%、11.5%、11.75%、12%、12.25%、12.5%、12.75%、13%、13.25%、13.5%、13.75%、14%、14.25%、14.5%、14.75%、15%又はその中の何れかの範囲の多糖類ベースの原料の量で存在する。本発明の特定の実施形態において、酸及び/又はアルカリは、タンパク質加水分解工程において、約1重量%~約2重量%の多糖類ベースの原料の量で存在する。
【0057】
タンパク質加水分解工程に関して、熱処理は、約40℃~99℃、好ましくは約55℃~90℃、又は限定されないが、約65℃~約85℃又は約45℃~約80℃等の何れかの範囲の温度で適切に行われる。特定の実施形態において、熱処理は、約40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、及びそれら何れかの範囲で実施される。特定の好ましい実施形態において、熱処理は、約70℃~約80℃の温度で行われる。
【0058】
上記態様に関して、タンパク質加水分解工程は、約15分~約48時間、好ましくは約20分~約12時間、より好ましくは約30分~約2時間及びその中の何れかの範囲の期間で適切に行われる。特定の実施形態において、タンパク質加水分解工程は、約15分、20分、30分、40分、50分、1時間、1.25時間、1.5時間、1.75時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間、41時間、42時間、43時間、44時間、45時間、46時間、47時間、48時間、及びそれら何れかの範囲で実施される。
【0059】
本明細書で一般的に使用されるように、「タンパク質抽出」という用語は、多糖類ベースの原料からのタンパク質、より具体的には加水分解されたタンパク質の分離、除去及び/又は単離を指し、これは、当該技術分野で公知の何れかの方法又は手段によって実行され得る。タンパク質抽出の例示的な方法は、重力分離、遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、フリーフロー電気泳動、金属結合、免疫親和性クロマトグラフィー、及び免疫沈降が含まれる。
【0060】
いくつかの実施形態において、タンパク質抽出工程は、多糖類ベースの出発原料の初期タンパク質レベルよりも少なくとも約50%、40%、30%、20%、15%、10%、又は5%低い第2のタンパク質レベルを産する。特定の実施形態において、タンパク質抽出工程は、前記開始タンパク質レベルよりも少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、及びそれら何れかの範囲である第2のタンパク質レベルを産する。
【0061】
上記に関して、タンパク質加水分解の程度は、当業者に知られている何れかの方法によって決定することができる(例えば、Petersen et al., Determination of the Degree of Hydrolysis (DH) based on OPA Reaction, ED-9512723 Novo Nordisk A/S, Dec. 1995; Frister et al., OPA method modified by use of N,N-dimethyl-2-mercaptoethylammonium chloride as thiol component, Fresenius J. Anal. Chem. 330 (1988) 631を参照)。
【0062】
さらなる態様において、本発明は、前述の態様の方法によって調製された多糖類ベースの成分を提供する。
【0063】
前述の態様に関して、多糖類ベースの成分は、好ましくは、以下に記載されるもの等の増粘剤の水結合能力を調節及び/又は制御することが可能であるか、又はそれに適合される。この目的のために、多糖類ベースの成分は、好ましくは、多糖類ベースの成分及び増粘剤を含む、本明細書で提供されるもの等の液体組成物の特定の程度の粘度阻害をもたらし得る。さらに、多糖類ベースの成分は、液体組成物の希釈時にそれらの粘度阻害が放出及び/又は逆転する速度及び程度をさらに制御することが可能である。
【0064】
従って、他の態様において、本発明は、以下を含む4000cP未満の粘度を有する安定な液体組成物を提供する:
(i)1つ又は複数の増粘剤;及び
(ii)前述の多糖類ベースの成分;
ここで、組成物を水性液体又は水性液体固体混合食品に添加すると前述の食品の粘度が増加する。
【0065】
本明細書で用いられる「増粘剤」という用語は、液体混合物及び/又は溶液の粘度を高めるために使用される本明細書で提供される化合物、特に食用ガム、植物ガム及び食品グレードの多糖類を含む食品用途で使用されるものを指す。増粘剤の非限定的な例は、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガカントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カラヤガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガム、オオバコ種子ガム、マルメロ種子ガム、ペクチン、フルセララン、ジェランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、及びそれら何れかの組み合わせを含む。
【0066】
食品の肥厚又は粘度を高めるための液体組成物は、当該技術分野で公知である。例として、US2004/0197456(以降、「Holahan」と称する)は、嚥下障害を有する人を対象とした液体増粘剤について記載する。しかしながら、Holahanに開示された発明は、その意図した使用レベルの数倍に濃縮された増粘剤を有する液体組成物を記載する。本明細書に記載された制御放出技術とは異なり、Holahanの液体増粘剤は、既にその粘度が完全に示されている増粘剤からなり、そのため、食品に添加する前でも完全に水和されており、その後、Holahanの液体増粘剤は、希釈された液体増粘剤が、食品に望ましい粘度を発現するような量で、単純に追加される。
【0067】
特定の実施形態において、組成物は、95%を超える水分活性を有する。水分活性又はawは、材料内の水の部分蒸気圧と、同じ温度での標準状態の水の部分蒸気圧との比として定義されることが容易に理解できるだろう。さらに、水は一般に、水分活性の高い領域から水分活性の低い領域に移動する。例えば、本明細書で提供される液体組成物は、95%を超える(例えば、約又はそれ以上の95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%及びその中の何れかの範囲)水分活性を有し、これは、その後、典型的に、ポンプディスペンサー又は当該技術分野で公知の他の密封送達システムによって、保存中及び送達又は調製の前に液体組成物が乾燥することを防ぐために、95%未満の相対湿度を有する雰囲気又は環境からの保護を必要とする。
【0068】
上記の態様の液体組成物は、当該技術分野で公知の何れかの手段によって保存及び/又は送達され得る。特定の実施形態において、液体組成物は、当該技術分野で知られているように、容器及びポンプディスペンサー配置によって保管及び/又は送達される(例えば、PCT/AU2017/050966を参照、これは参照によって本願に組み込まれる)。代替の実施形態において、液体組成物は、本明細書で提供されるもの等のサシェ等によって保存及び/又は送達される。
【0069】
適切には、本明細書に記載の液体組成物は、望ましい量で水性液体又は水性液体固体混合食品に加えられた場合、消費者にとって魅力的であり得る食品本来の風味及び/又は色等の特定の望ましい性質を変化させない。これに関して、液体組成物は、好ましくは、食品に望ましい量で加えられた場合、前記食品にほとんど又は全く風味及び/又は色の影響を与えない。あるいは、所望の粘度を達成するために食品に加えられる液体組成物の量は、食品の風味及び/又は色の特性の希釈を避けるために、可能な限り少ないことが望ましい。
【0070】
本発明に関して、本明細書に記載される液体組成物は、適切に流動可能である。この目的のために、本発明の液体組成物は、適切には4000cP未満、より好ましくは、約2000cP~約4000cPの粘度を有する。有利なことに、水性液体又は水性液体固体混合食品に所望の量で添加した際に、ほとんど又は全く攪拌せずに(すなわち、低剪断混合力)分散させることができると共に、ポンプディスペンサー又はサシェからのように、容易に分散させることができ得る粘度を有する液体組成物が挙げられる。さらに、本発明の液体組成物は、好ましくは濃縮されており、組成物の流動性を失うことなく比較的高い割合の増粘剤を合わせるができる。これはさらに、選択された食品への液体組成物の容易でかつ、正確な分散を可能にする。
【0071】
前述の態様の特定の実施形態において、液体組成物は、約500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000cP、又はその何れかの範囲の粘度を有する。好ましくは、液体組成物は、約500cP~約1500cPの間の粘度を有する。より好ましくは、液体組成物は、約750cP~約1250cPの間の粘度を有する。
【0072】
液体組成物の粘度は、当該技術分野で公知の何れかの手段によって測定され得る。例として、粘度は、ボストウィックコンシストメーター、ブルックフィールド粘度計、又は同様の装置を使用して測定され得る。好ましくは、粘度は、粘度計で測定される相対的なセンチポアズではなく、レオメーターで提供される絶対的なセンチポアズで測定される。当業者は、レオメーター測定が、食品の粘度を決定するための最良の方法、故に標準的な方法であることを理解すると考えられる。
【0073】
適切には、本明細書に記載される液体組成物は、水性液体又は水性固体混合食品の粘度を、95cPを超えて増加させる。本発明の方法の利点は、増粘剤による、多糖類ベースの成分によるその粘度の発現の阻害が、液体組成物を液体又は液体固体食品に穏やかに混合することによって効果的に解消されることである。これにより、増粘剤に対する多糖類ベースの成分の粘度抑制効果の制御放出により、増粘剤がその粘度を速やかに発現させることができ、食品への取り込みを容易かつ、迅速に行うことができる。これは、Holahanに記載されているような食品に加えられる前に実質的に完全に水和されている増粘剤より有利であり、従って、スムーズで時間効率の良い方法で食品に組み入れることに取り組むことができる。さらに、完全に水和した増粘剤による粘度の完全な発現は、それ自体が、液体又は液体固体食品で希釈された際に、粘度の増加を容易かつ、迅速に発生させることへの障害である。
【0074】
従って、前述の態様の何れにおいても、組成物中の増粘剤は、食品に加える前に完全に水和されていないことが好ましいことが明らかであろう。
【0075】
特定の実施形態において、液体組成物を加えると、前記食品の粘度は、少なくとも95、100、110、120、130、140、150、175、200、250、300、350,400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、2000、2050、2100、2150、2200、2250、2300、2350、2400、2450、2500、2550、2600、2650、2700、2750、2800、2850、2900、2950、3000cP、又はその何れかの範囲まで増加する。
【0076】
本発明の目的のために、増粘剤は、液体組成物の約3重量%~約30重量%までの量、又はその中の何れかの範囲、例えば、限定されないが、約5重量%~約15重量%、又は約7重量%~約12重量%の量で存在し得る。本発明の特定の実施形態において、増粘剤は、液体組成物の約3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、7.5重量%、8.0重量%、8.5重量%、9.0重量%、9.5重量%、10.0重量%、10.5重量%、11.0重量%、11.5重量%、12.0重量%、12.5重量%、13.0重量%、13.5重量%、14.0重量%、14.5重量%、15.0重量%、15.5重量%、16.0重量%、16.5重量%、17.0重量%、17.5重量%、18.0重量%、18.5重量%、19.0重量%、19.5重量%、20.0重量%、20.5重量%、21.0重量%、21.5重量%、22.0重量%、22.5重量%、23.0重量%、23.5重量%、24.0重量%、24.5重量%、25.0重量%、25.5重量%、26.0重量%、26.5重量%、27.0重量%、27.5重量%、28.0重量%、28.5重量%、29.0重量%、29.5重量%、30.0重量%、30.5重量%、31.0重量%、31.5重量%、32.0重量%、32.5重量%、33.0重量%、33.5重量%、34.0重量%、34.5重量%、35.0重量%、35.5重量%、36.0重量%、36.5重量%、37.0重量%、37.5重量%、38.0重量%、38.5重量%、39.0重量%、39.5重量%、40.0重量%又はその何れかの範囲の量で存在し得る。本発明の特定の実施形態において、増粘剤は、液体組成物の約3重量%~約20重量%の量で存在する。
【0077】
本発明の場合、多糖類ベースの成分は、液体組成物の粘度に有意に貢献しない十分に高い濃度で適切に存在する。この目的のために、本明細書に記載される多糖類ベースの成分は、液体組成物の約3重量%~約30重量%又はその何れかの範囲、例えば、限定されないが、約5重量%~約20重量%、又は約7.5重量%~約17.5重量%の量で存在し得る。
【0078】
本発明の特定の実施形態において、本明細書に記載される多糖類ベースの成分は、液体組成物の約3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、10.0%、10.5%、11.0%、11.5%、12.0%、12.5%、13.0%、13.5%、14.0%、14.5%、15.0%、15.5%、16.0%、16.5%、17.0%、17.5%、18.0%、18.5%、19.0%、19.5%、20.0%、20.5%、21.0%、21.5%、22.0%、22.5%、23.0%、23.5%、24.0%、24.5%、25.0%、25.5%、26.0%、26.5%、27.0%、27.5%、28.0%、28.5%、29.0%、29.5%、30.0%、30.5%、31.0%、31.5%、32.0%、32.5%、33.0%、33.5%、34.0%、34.5%、35.0%、35.5%、36.0%、36.5%、37.0%、37.5%、38.0%、38.5%、39.0%、39.5%、40.0%又はその何れかの範囲の量で存在し得る。本発明の特定の実施形態において、本明細書に記載される多糖類ベースの成分は、液体組成物の約3重量%~約20重量%の量で存在する。多糖類ベースの成分の濃度がこの範囲よりも低い場合、液体組成物は、通常、粘性溶液を形成し、増粘剤が加えられると流動性を失う。
【0079】
好ましくは、多糖類ベースの成分は、水又は他の適切な水性溶液のみで増粘剤を含む場合、安定な液体組成物が液体組成物の粘度よりも低い粘度を有するような量で含まれる。より好ましくは、多糖類ベースの成分は、増粘剤を水又は他の適切な水性溶液のみで構成する場合、安定した液体組成物の粘度を液体組成物の少なくとも3分の1に減少させる。特定の実施形態において、多糖類ベースの成分は、増粘剤を水又は他の適切な水性溶液で構成する場合に、安定した液体組成物の粘度を液体組成物の粘度の少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%又はその何れかの範囲に低下させる。
【0080】
適切には、本明細書で言及される組成物は、室温で少なくとも6か月、少なくとも2年まで安定である。これに関し、本発明者達は、多糖類ベースの成分を含む本発明の液体組成物は、室温で6か月以上保存した後、その成分材料間の分離(例えば、多糖類ベースの成分及び増粘剤)をほとんど又は全く呈さないことを示した。これは、当該技術分野で公知の液体増粘剤とは対照的である。例として、米国特許6,455,090(以下、「Uzuhashi」と称する)は、液体に加えられると増粘を示すことができ、最初は粘性溶液又はゲルの形成が阻害される液体増粘製剤を製造する方法を記載している。本発明者達は、本発明は、咀嚼及び嚥下困難を有する患者のための液体又は半液体食品に適切に加えることが可能であることを主張する。
【0081】
それにもかかわらず、Uzuhashiに開示された発明は、そこに記載されている増粘剤が、微生物安定性も物理的安定性も示さず、むしろ急速に分離して層を形成する点で限定される。さらに、Uzuhasiの増粘剤は、液状食品に加えても一貫して均一な増粘を形成しない。このように、Uzuhashiの液体増粘剤は、嚥下障害(ディスフェイジア)の管理において、その病状の一般的な併存する疾患を予防又は制限するための実用的な有用性はない。
【0082】
この有用性の欠如は、2つの部分がある。第一に、物理的安定性の欠如及び、その結果として溶媒とゲル化剤の分離が、Uzuhashiの液体増粘剤の正確な投与の妨げとなっている。従って、開示される本発明は、得られる増粘食品の所定の粘度に関して必要なレベルを一貫して満たすことを保証することができない。第二に、本明細書に記載されているような患者は、通常、脆弱性(vulnerable)を有する集団である。実際に、Uzuhashiの液体増粘組成物は、微生物学的に安定していないため、記載されているように対象集団に臨床的に投与すべきではない。反対に、本明細書に記載の多糖類ベースの成分を含む液体組成物は、分離して層を形成しないことによって従来技術の問題を首尾よく克服し、従って、水性液体又は水性液体固体食品に加えられると、一貫して予め決められた正確な粘度を付与することができる(表3を参照)。
【0083】
本発明の組成物は、増粘剤の性能を著しく低下させることなく安定しているため、粘度は、商業的に合理的な期間一定のままである。従って、製剤は、計量ポンプディスペンサー又はサシェ等で、それ自体がパッケージ製品としてエンドユーザーに提供することが可能である。この目的のために、エンドユーザーは、食品又は飲料に加えて、その所望の最終年度を達成するために本発明の液体組成物の量を確実に計算することが可能である。次いで、本発明の液体組成物は、容易に分配され、食品に容易に混合され、所望の最終産物を与えることが可能である。
【0084】
前述の通り、このようにして液体組成物を包装して使用する能力は、低剪断混合の適用によって、放出されるまで増粘剤の粘度の発現を阻害する増粘剤及び多糖類ベースの成分の組み合わせの存在の結果であり、正確なパックサイズが適切でない場合、正確に測定し液体食品に正確に組み入れるために、難しいことで有名である粉末又はゲル状増粘剤の従来のサシェと比較して、使用時に明確な利点を有する。
【0085】
本発明の液体組成物の経時的な安定性は、色(もしあれば)、風味(もしあれば)、分離(もしあれば)、微生物的な腐敗(もしあれば)、粘度及び/又は液体組成物の透明度の保持によって示され得る。追加的又は代替的に、液体組成物の安定性は、食品に加えられた際に、一貫して所定のレベルに繰り返し粘度を付与する組成物の能力によって決定され得る。液体組成物の安定性は、微生物的腐敗の程度及び速度を測定するための微生物学的試験;分離及び/又は沈降等の物理的変化の目視検査;色、風味及び/又は透明度の変化を測定するための官能評価;及びボストウィックコンシストメーター、ブルックフィールド粘度計、レオメーター又は同様の装置を使用した粘度測定を含む、食品化学分野の当業者に利用可能な技術の何れかを使用することによって決定され得る。
【0086】
安定性に関して、本発明の液体組成物は、当該技術分野でよく知られているように、食品グレードの防腐剤をさらに含み得る。適切な食品グレードの防腐剤には、限定されないが、ゲランガム、ビタミンE、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン、EDTA、二酸化硫黄、ナイシン及びプロピオン酸を含む。1つの好ましい実施形態において、食品グレードの防腐剤は、ゲランガムであるか、又はそれを含む。液体組成物中の防腐剤の量は、液体組成物の総重量の約0.001~約0.1重量%の範囲であり得る。
【0087】
再び、安定性に関して、本明細書に記載の液体組成物は、適切には、約3.0~約7.5の間のpH(例えば、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5及びその何れかの範囲)のものである。好ましくは、液体組成物のpHは、約4~4.4の間である。この目的のために、液体組成物の酸性pHは、本明細書で前述したもの等、当該技術分野で公知の何れかの手段によって達成され得る。
【0088】
適切には、本明細書に記載の液体組成物は、咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害又は病状に罹患している対象に給餌するために、水性液体又は水性液体固体混合物食品に加えられる。好ましくは、咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害又は病状は、嚥下障害であるか、又はディスフェイジアを含む。従って、この用途では、液体組成物をサシェ等の適切に個々の部分に分離するか、又はポンプ分配可能(pump dispensable)であることが好ましい。
【0089】
嚥下障害は、嚥下のプロセスが損なわれている病状であることは、容易に理解される。食事中、この障害は、気管への液体又は個体の食物の侵入につながる可能性があり、その後、患者の肺が、誤嚥性肺炎につながる可能性がある。ディスフェイジアは、何れの年齢でも発生する可能性があるが、高齢者の場合、特に脳卒中及び認知症の場合に最もよく見られる。ディスフェイジアの患者のための1つの管理戦略としては、嚥下反射を遅くし、食物が通過する前に気管を閉じることを可能にし、それによって食物の吸引を防ぐ、食感が改変された食物(すなわち、粘性が高い食物及び飲料)を摂取することである。
【0090】
適切には、組成物は、それに加えられた際にインピーダンスレベルに実質的に変化を生じさせないように構成される。そのため、食品に加えると、既知の電気インピーダンスの媒体となり、高分解能インピーダンス測定法(HRIM)等の診断及び/又は予後の設定での適用に適している場合がある。従って、特定の実施形態において、食物は、ディスフェイジア等の咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害又は病状に罹患する対象の診断及び/又は予後を決定する際に使用するための媒体であるか、又はそれを含む。
【0091】
ディスフェイジアの症状は、通常、X線装置の前で造影剤を飲み込んでもらい、咽頭及び食道を通る通過する造影剤を可視化するために、嚥下を撮影する(ビデオ蛍光観察(video-fluoroscopy))ことによって調べられる。この手段は、患者がどのように飲み込んでいるかの「スナップショット」を提供するだけに限られる。さらに、X線評価は定性的であり、ビデオ蛍光観察では、咽頭及び食道の筋肉の収縮又は弛緩の強さ、並びにこれらが嚥下内容物の動きにどのように関連しているかを評価することができない。最近では、圧力とその結果生じる内容物の流れ(インピーダンス)を「高解像度」(すなわち、HRIM)で測定できることを可能にする重要な進歩があった。インピーダンス電極と組み合わせた多くの近接した圧力センサーを組み込んだカテーテルを利用して、収縮圧とその結果生じる流れは、空間と時間をつなぎ目無く「マッピング」でき、ディスフェイジアを有する患者の生体力学に基づいた嚥下評価の手段を提供するフローマップを作成することができる。しかしながら、この診断機能は、圧力(マノメトリー)及び流量(インピーダンス)の両方の正確な測定と分析を可能にする、一貫して再現可能な予め決定されたレベルに増粘された特殊なボーラス媒体が必要であるが、重要なことに、診断ボーラス媒体のインピーダンスレベルに感知できるほどの影響はない。
【0092】
HRIM等のインピーダンス研究で使用する診断媒体は、通常、電解質溶液を含む。そのような診断媒体の電気インピーダンスは、固定された電荷密度、従ってその中の荷電粒子の濃度によって主に決定され得ることが理解されるだろう。そのような診断媒体を増粘することに実用的な液体組成物は、一般に、そのインピーダンスレベルを、臨床的有効性を有することが知られている粘度又は濃厚さの範囲(例えば、150~900cP)にわたって、既知のインピーダンス範囲(例えば、150~200オーム)内に維持するように構成されなければならない。
【0093】
何れかの理論に拘束されることなく、多糖類ベースの成分からのタンパク質性画分の除去は、液体組成物の荷電タンパク質の濃度を除去、低減、又は制御すると考えられている。従って、電解質水性溶液等の診断媒体に加えられた場合、得られた診断媒体のインピーダンスは、その中の荷電粒子のレベルの増加がほとんど又は全くないため、インピーダンスの変化がほとんど又は全くないことを示す。
【0094】
さらなる他の態様において、本発明は、水性液体又は水性液体固体混合物食品の粘度を増加させるための方法を提供し、この方法は、以下の工程を含む:
(a)本明細書に記載の安定した液体組成物を食品に加える; 及び
(b)組成物による前記食品の粘度の増加を促進するように、食品と組成物を混合する。
【0095】
適切には、当該方法は、組成物による前記食品の粘度の増加を促進するために、食品及び組成物に低剪断混合を適用する工程をさらに含む。
【0096】
本明細書で一般的に使用される場合、「低剪断混合」という用語は、穏やかな混合又はスプーン等での攪拌等の非乱流又は最小乱流混合を指す。低剪断混合は、剪断速度の観点から定義することができ、典型的に、混合容器構成及び混合装置速度等の多くの変数の関数であることが理解されるだろう。
【0097】
低剪断混合は、前記増粘剤が、関連する液体又は半液体の食品の粘度を増加させるという所望の効果を発揮できるようにするため、適切には、1つ又は複数の増粘剤上のその阻害性相互作用部位からの多糖類ベースの成分の物理的除去を促進するために十分な値であることが理解されるだろう。従って、特に、低剪断混合は、約10rpm~約40rpm(例えば、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40rpm又はその何れかの範囲)の速度で攪拌することを含む。
【0098】
適切には、低剪断混合は、食品の粘度の最大又はほぼ最大の増加を達成するために約60秒以下で適用される。好ましくは、低剪断混合を約10~約40秒間(例えば、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40秒又はその何れかの範囲)適用して、食品の最大又はほぼ最大の粘度を達成する。
【0099】
特定の実施形態において、食品の粘度は、95cP以上に増加する。
【0100】
上記の態様を参照すると、粘度が増加した食品は、咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害又は病状に罹患している対象に給餌するために適している。好ましくは、咀嚼及び/又は嚥下の疾患、障害又は病状は、ディスフェイジアであるか、又はディスフェイジアを含む。
【0101】
さらに他の態様において、本発明は、以下の工程を含む安定した液体組成物を生成する方法を提供する:
(i)前述の内容に従って多糖類ベースの成分を提供する;
(ii)多糖類ベースの成分に1つ又は複数の増粘剤を加える; 及び
(iii)工程(ii)の混合物を混合して、それにより安定な液体組成物を産生する。
【0102】
適切には、安定な液体組成物は、前述のものである。
【0103】
本発明の安定な液体組成物の製造は、例えば、水性担体等の適切な液体担体中に存在する場合、多糖類ベースの成分及び/又は1つ又は複数の増粘剤を加熱する工程を含むことができる。次に、加熱された組成物は、ホットフィル包装されるか、又は包装前に冷却され得る。
【0104】
当該方法は、多糖類ベースの成分の水性溶液又は懸濁液を調製する工程を含み得る。これに関して、水性溶液は、懸濁液の水性溶液の総重量に基づき、多糖類ベースの成分の乾燥質量含有量が、約0.1~約60重量%であり得る。
【0105】
同様に、当該方法は、増粘剤の水性溶液又は懸濁液を調製する工程を含み得る。これに関して、水性溶液は、懸濁液の水性溶液の総重量に基づき、約0.1~約60重量%の乾燥質量含有量を有し得る。
【0106】
現在の態様の方法は、任意に、色、香料、タンパク質(動物性及び植物性)、食物繊維、ビタミン類及びミネラル類、湿潤剤、例えば、グリセロール及びソルビトール、油脂、乳化剤、酸味調整剤、酸化防止剤、低カロリー充填剤、ファーミング剤(firming agent)、旨味調味料、発泡剤、ゲル化剤、防腐剤、捕捉剤及び安定剤等の1種以上の賦形剤又は添加剤を安定した液体組成物に加える工程を含み得る。
【0107】
本明細書全体を通して、その目的は、本発明を何れかの一実施形態又は特定の特徴の集合に限定することなく、本発明の好ましい実施形態を説明することであった。従って、当業者は、本開示に照らして、本発明の範囲から逸脱することなく、例示された特定の実施形態において様々な修正及び変更を行うことができることが理解されるであろう。
【0108】
本明細書で参照される全てのコンピュータプログラム、アルゴリズム、特許及び科学文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
本明細書で引用されている刊行物への言及は、開示がオーストラリアの一般的な知見を構成していることを認めるものではない。
【0110】
本発明をより容易に理解して実施できるようにするために、その1つ以上の好ましい実施形態を例としてのみ説明する。
【実施例0111】
実施例1:多糖類ベースの成分の製造方法
【0112】
本実施例の目的は、本発明の多糖類ベースの成分の実施形態を、タンパク質含有量及び構成、並びにそこから除去されたタンパク質性画分に関して分析することであった。
【0113】
方法
図1に詳述されている食品増粘組成物の製造工程の様々な段階から8つのサンプルが分析された。各サンプルからのアリコート(15~20g)をそれぞれ8つの容器に入れ、Dumas法(kjeldahl法の更新版)で測定した全窒素定量化のためにMassey大学の栄養研究室に輸送した(Leco, AOAC 968.06)。
【0114】
結果
マスバランス
図1に記載されている工程中にシステムに出入りするインプット及びアウトプットの物質収支を表1にまとめる。酸による熱加水分解の結果、合計43.9kgが除かれた。
【0115】
【表1】
【0116】
全窒素分析
保持液サンプルのタンパク質含有量は、分析的に得られた全窒素(表2)にジョーンズ換算係数6.25を掛けることによって概算された(Jones, 1931)。各段階での保持液のタンパク質含有量の減少率を図2に示した。サンプル全体のタンパク質含有量は、0.0031g/g~0.0063g/gの範囲であり、サンプル4(2番目の回収抽出物)は、最も高いタンパク質含有量を示し、サンプル5(2番目の回収の残留物(retentate))は、タンパク質含有量が最も低かった。タンパク質の大部分は、酸及び加水分解の最初の2時間の工程の後、多糖類ベースの成分(及び/又はその中間体)から抽出された。相当量のタンパク質の除去は、食品増粘組成物のその後の利用を容易にする技術を支える。具体的に、水和粘度阻害キサンタン溶液の安定した部位特異的阻害;及び診断適用を容易にする電気インピーダンスの変化が記載されている。
【0117】
【表2】
【0118】
参考文献
AOAC 968.06-1969, Protein (Crude) in animal feed. Dumas method.
Jones, D. B. (1931). Factors for converting percentages of nitrogen in foods and fees into percentages of proteins. Circular No. 183. US Department of Agriculture, Washington, DC.
【0119】
実施例2:本発明によって増粘された診断媒体のインピーダンスの評価
【0120】
本実施例の目的は、本発明の多糖類ベースの成分を有する液体組成物を加える実施形態が、診断媒体の電気インピーダンスに及ぼす影響を評価することであった。図3に見られるように、本研究では、多糖類ベースの成分を使用して産生された様々な濃度の液体組成物で増粘された4つの濃度(増粘、レベル150、レベル400、及びレベル900に増粘)にわたって、10mLの診断ボーラス媒体を比較しました。インピーダンスのレベルによって影響を受けるパラメーター(例えば、UESオープニング、ボーラスプレゼンスタイム)は、異なる濃度の間で非常に安定している。
【0121】
【表3】
【0122】
実施例3: 多糖類ベースの成分から抽出されたタンパク質のタンパク質分析データ
【0123】
この実施例において、成分の製造過程で採取されたサンプル、並びに開始時の親水コロイド及び最終産物を、SDS-PAGE及びゲルから回収したバンドのLC-MS分析を用いてタンパク質/ペプチドの含有量及びプロファイルに関して分析を行った。個々のサンプルで得られた結果を出発材料と比較して、処理中に変化が発生したか否かを判断した。
【0124】
材料及び方法
SDS-PAGEプロトコル
実施例1に記載の食品増粘産物の製造工程における様々な工程からの8つのサンプルが採取された。各サンプルのアリコート(約200mg)をエッペンドルフチューブに量り取り、水で希釈して最終重量を1000mgにした。以前に行われた全タンパク質測定に基づき、サンプルの0.6~1mg/mLのタンパク質濃度が得られるはずである(表1を参照)。SDS-PAGEの前に、5μLのサンプルを、5μLのLDSサンプルバッファー、2μLのβ-メルカプトエタノール及び8μLの水と混合して、最終容量を20μLにした。これらの溶液を70℃で10分間加熱した。これらのサンプルを冷却した後、15μLの各サンプルをプレキャストNuPAGEゲル(NuPAGE, Bis-Tris, 4-12%, 1.0 mm)のウェルにアプライした。電気泳動は、室温で35分かけて行った(開始電圧:200V、開始電流90mA)。電力は、Pharmacia biotech electrophoresis power pack(EPS600)によって供給された。ゲルは、クーマシーブルーで染色された。分子標準として、SeeBlue Plus2プレステインプロテインラダー(Invitrogen)が加えられた。
【0125】
ゲルバンド及び溶液中のぺプチドのLC/MS分析
サンプル調製
ゲルバンドをさいの目に切って、アセトニトリル:50mM重炭酸アンモニウム(1:1)で脱色し、次にアセトニトリルで脱水し、10mMジチオスレイトールに沈めた。2つの溶液サンプルの5μLのアリコートを、45μLの50mM重炭酸アンモニウムで希釈し、DTTを最終濃度10mMで加えた。全てのサンプルを56℃で15分間加熱した。次いで、ゲルバンド上清を、50mMヨードアセトアミドと置換し、ヨードアセトアミドを、溶液サンプルに最終濃度50mMまで加えた。全てのサンプルを、暗所、室温で30分間インキュベートした。ゲル片をアセトニトリルで脱水し、乾燥させ、12.5ng/μLのシーケンスグレードの改変ブタトリプシン(Promega)で再膨潤させ、1μgのシーケンスグレードの改変ブタトリプシンを溶液サンプルに加えた。全てのサンプルを、45℃の冷却μ波(CEM Discover)で、15Wの電力で60分間消化した。消化物を、1μLの50%ギ酸で酸性化した。
【0126】
2つの溶液消化物を、脱塩し、10mgのOasis HLB SPEカートリッジでクリーンアップし、300μLの50%アセトニトリルで溶出した。抽出物を、真空遠心分離機で~20μLまで乾燥させた。溶液抽出物を、20倍に希釈し、LC-MS/MS分析のためにゲルバンドを、0.1%ギ酸で3倍消化した。
【0127】
LC-MS/MS分析
希釈した各サンプルの2μLのアリコートを、脱塩のため3um Reprosil C18媒体を充填した0.3x10mmトラップカラム(Dr Maisch)に注入した後、3um Reprosil C18媒体を充填した0.075×150mmピコフリットカラム(New Objective)に注入し、0.1%ギ酸(水中)と0.1%ギ酸(アセトニトリル中)のグラジエントを用いて300nl/分で分離した。
【0128】
ピコフリットスプレーを、350~1600m/zで200msスキャンするTripleTOF6600四重極-Time-of-Flight質量分析計(Sciex, Framingham, MA, USA)に向けられ、次いで、12秒の動的排除時間で、35の最も豊富な多価ペプチドで50msのMS/MSスキャンが行われた(m/z 100~1600)。質量分析計及びHPLCシステムは、Analyst TF1.7ソフトウェアパッケージ(Scciex)の管理下にあった。各プールから得られたデータは、ProteinPilotバージョン5.0(Sciex)を使用し、以下のパラメーターを使用して、前述のタンパク質配列データベースに対して検索された:サンプルタイプ、識別;探索努力、徹底的な;Cysアルキル化、ヨードアセトアミド;消化;トリプシン;IDフォーカス、微生物学的改変及びアミノ酸置換(ペプチド配列ごとに最大2つのアミノ酸を置換できる)。上記で一致しなかった7つの高い強度のMS/MSスペクトルに対して、手動のde novoシーケンスを実行した。これらのペプチド(+/-0.015Da)の抽出イオンクロマトグラムは、PeakView2.2(AB Sciex)を使用して作成された。
【0129】
図7~11は、図4に従ってSDS-PAGEから抽出されたバンドに対して生成された抽出イオンクロマトグラムをまとめたものである。
【0130】
親水コロイド中のタンパク質/ペプチドプロファイルの決定
SDS-PAGEを使用したタンパク質/ペプチドプロファイルの決定
プロセスの様々な工程から8つのサンプルが調べられた(表4を参照)。最初に、サンプルの全タンパク質含有量は、サンプル1の全窒素含有量を決定し、この値にジョーンズ換算係数(JF=6.25)2を掛けることによって概算された。表4に要約された結果は、サンプルが、3.1~6.3mg タンパク質/g サンプルが含まれることを示す。
【0131】
タンパク質含有量は、Massey大学栄養研究室でDumas法に従って決定された全窒素含有量に基づき計算された。
【0132】
【表4】
【0133】
プロセス中に、同じプロセス段階から採取した残留物と比較した場合、全タンパク質含有量のわずかな増加が観察された(例えば、バルク残留物2と最初の抽出物。表4を参照)。
【0134】
これに関して、第1の未処理の親水コロイドから第1の抽出物への及び処理プロセスへのガム(例えばキサンタンガム)の添加前のタンパク質の減少に注目する。さらに、第3及び第4の残留物(すなわち、サンプル6及び8)のタンパク質レベルは、キサンタンガムの追加、故に処理プロセスへの追加のタンパク質によって上昇することに注目すべきである。
【0135】
SDS-PAGE分析では、各サンプルから約200mg/gの水溶液が調製された。以前に行われた全タンパク質測定に基づき、これにより、サンプルのタンパク質濃度が、0.6~1mg/mLになるはずである。サンプルCl-TSC4、6及び7は、クリアな溶液ではなかったが、不均一な固体のゲルを形成したため、サンプルのピペッティングとさらなる処理が困難となった。サンプルを処理し、Laemmliに従ってSDS-PAGEに供した。得られたゲルを図4に示す。
【0136】
出発物質(レーン8、TSC8)において、最初の2つの抽出物(レーン1、TSC1及び2、TSC2)及びバルク残留物2は、20kDaで1つの強いバンドと40及び60kDaで2つの薄いバンドが見える。対照的に、バルク残留物3については、非常に薄い染色のみが観察され、第3の抽出物(レーン4、TSC4)、バルク残留物4(レーン6、TSC6)及び市販品(レーン7、TSC7)については、タンパク質は、検出されなかった。これに関して、最初の熱処理及びタンパク質抽出工程に続いて、第3の残留物における60kDaのタンパク質の損失を強調する。このより大きな分子量のタンパク質画分の除去は、本発明の多糖類ベースの成分の安定性に好影響を与えるという仮説を立てることができる。
【0137】
以前の結果によると、これら後者のサンプルには、0.44~0.56%のタンパク質が含まれており(表4を参照)、使用した電気泳動条件下で、ゲル上で検出するために十分なタンパク質が得られるはずである。しかしながら、上記のように、これらのサンプルは、水と混合すると非常に粘性を有するゲルを形成した。これにより、サンプルの処理とゲルへの移動が困難となり、十分なタンパク質がゲルに充填されなかった可能性がある。
【0138】
タンパク質/ペプチドのLC/MS分析
タンパク質/ペプチドのLC/MS分析は、ニュージーランドのオークランド大学の生物科学部のゲノミクス及びプロテオミクスセンターによって実施された。各プールに対して生成されたデータは、ProteinPilotを使用してタンパク質配列に対して検索された(上記の「材料及び方法」を参照)。
【0139】
分析のために、染色後にSDS-PAGEゲルに見えるバンド(図4の赤い矢印を参照)を、外科用ナイフを使用して注意深く切り取り、ラベルの付いたエッペンドルフ容器に個別に入れた。全体として、表5に概説されているように13のサンプルが採取された。
【0140】
サンプルは、上記で詳細に概説した標準プロトコルに従って処理及び分析された。得られたペプチドをタンパク質ベータベースと比較し、サンプルに存在する可能性のある種の配列のエントリ及び考えられる混入物(ヒトケラチン等)のエントリを示した。
【0141】
【表5】
【0142】
データベース検索により、ヒトケラチン、ブタトリプシン(サンプルの処理に使用された)、及びいくつかの植物由来のタンパク質と多くの一致が確認された(表6)。しかしながら、よりはっきりとしたペプチドは、自動的に識別されないことが確認された(表6)。他の植物(350万のエントリを含む)を含むデータデーズのより広い検索でさえ、一致を確認できなかった。
【0143】
【表6】
【0144】
よりはっきりとした7つのペプチドの手動シーケンスは、表7にまとめられている提案されたペプチドの配列を生成した。これらは、全て植物種のデータベースを検索するために使用された。いくつかの部分的な一致が生成されたが、特定の植物タンパク質が、これら全てのペプチドの供給源であるという明確な兆候はなく、現在公開されているものとは著しく異なるタンパク質配列を示唆している。
【0145】
これに加えて、上記のプロセスは、多糖類ベースの成分のタンパク質画分を示した。さらに、最終残留物(及び第3の残留物以降)の元の60kDaタンパク質画分を除去すると、特に分離に関して、製品の安定性が向上すると仮定する。
【0146】
【表7】
【0147】
【表8】
【0148】
全体として、7つの主要ペプチドの相対的な存在量及び全てのサンプルにわたるこれらペプチドの一般的に一貫した外観により、これらのサンプルに存在する主要な(未確認の)タンパク質が、13の調製物全てに見られることを確認したが、予想されるように、低タンパク質分子量のゲルバンドからの1つのペプチドの存在量の顕著な減少が観察され、これは親タンパク質の特定の領域の損失と一致する(図7~11のイオンクロマトグラムを参照)。上記のように、この特定のタンパク質画分の除去が適用に安定性を与えると仮定する。
【0149】
結論
処理中に採取されたサンプルのLC/MS分析により、7つの主要ペプチドを含むプロファイルが生成された。既知の植物タンパク質データベースを広範に検索しても、これらのペプチドは一致しなかった。
【0150】
実施例4: Uzuhashiの実施形態と本発明の安定性の比較
【0151】
本実施例は、米国特許6,455,090号(以下Uzuhashiと称する)の好ましい実施形態の詳細な説明(列4行26)に記載される第2の方法に関するものであり、本実施例では、本発明によって提供される増粘剤及び粘度阻害多糖の酸性化及び保存溶液の上記実施例1の製剤と比較する。
【0152】
Uzuhashiは、液体に加えると増粘し、最初は粘性のある溶液又はゲルの形成が抑制される液体増粘剤の製造方法について記載する。本発明者達は、本発明は、咀嚼及び嚥下困難を有する患者のための液体又は半液体食品に適切に加えられ得ることを主張する。
【0153】
微生物学的安定性
【表9】
【0154】
物理的安定性
それぞれの製剤の物理的安定性は、増粘剤を粘度阻害多糖から分離することによって証明された。この目的のために、20gサンプルの液体増粘剤の粘度(30秒のフローの後にボスウィックコンシストメーターで測定)を容器の底から取得し、100mlの水に混合した(注:ボスウィックの測定値の増加は、粘度の減少(薄化)を示す)。
【0155】
【表10】
【0156】
4週間後、ボスウィックの測定値に変化が見られない場合でも、Uzuhashiの実施形態は、より薄い粘度を示し続けた。8週間後、Uzuhashiの実施形態の底部の分離相は、増粘剤を含まず、増粘抑制多糖類の透明な層のみを含み、増粘剤を含まないのに対し、実施例1の製剤は、52週間以上物理的に安定であった。
【0157】
従って、Uzuhashiに開示された発明は、増粘剤が、微生物安定性も物理的安定性も示さないという点で限定されている。このように、Uzuhashiの液体増粘剤は、嚥下障害(ディスフェイジア)の管理において、病状の一般的な共存疾患を予防又は制限するための実用的な有用性は無い。この有用性の欠如は、2つある。第1に、物理的安定性の欠如と、その結果として溶媒とゲル化剤の分離が、Uzuhashiの液体増粘剤の正確な投与を妨げている。上記に加えて、Uzuhashiの液体増粘剤はさらに、実施例1の液体増粘剤と比較した場合、液体又は液体固体食品を一貫して均一に増粘する能力が低いことを示す。
【0158】
上記を考慮すると、Uzuhashiに開示された発明は、得られる増粘食品の特定の粘度に関して必要なレベルを満たすことを一貫して保証することができない。第2に、本明細書に記載されるような患者は、通常、脆弱性を有する集団である。そのため、その集団は、NSW Food Authority-脆弱性を有する人々への給餌のためのガイドライン、等の立法手段によって管理されている。Uzuhashiの液体増粘組成物は、微生物学的に安定しておらず、従って、記載にあるように、意図された集団に臨床的に投与することができなかった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図10-1】
図10-2】
図11-1】
図11-2】
【手続補正書】
【提出日】2024-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品増粘組成物を調製に使用するための多糖類ベースの成分であって、
ラリクス オシデンタリス(Larix occidentalis)多糖類抽出物、ラリクス ラリシナ(Larix laricina)多糖類抽出物、アカシア ツリー(Acacia tree)多糖類抽出物、ラリクス デシドゥア(Larix decidua)多糖類抽出物、ラリクス シビリカ(Larix sibirica)多糖類抽出物、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される多糖類ベースの原料を含み、
ここで、約60kDaの分子量を有するタンパク質画分の一部が、多糖類ベースの原料から除去され;そして
ここで、多糖類ベースの成分は、増粘剤の水結合能力を調節および/または制御することができる、前記多糖類ベースの成分。
【請求項2】
前記多糖類ベースの成分が、約60kDaの分子量を有するタンパク質画分を含まないか、または実質的に含まない、請求項1に記載の多糖類ベースの成分。
【請求項3】
前記多糖類ベースの原料が、アカシア ツリーの多糖類抽出物またはガムを含むか、またはそれらからなる、請求項1または請求項2に記載の多糖類ベースの成分。
【請求項4】
以下の工程:
(i)ラリクス オシデンタリス(Larix occidentalis)多糖類抽出物、ラリクス ラリシナ(Larix laricina)多糖類抽出物、アカシア ツリー(Acacia tree)多糖類抽出物、ラリクス デシドゥア(Larix decidua)多糖類抽出物、ラリクス シビリカ(Larix sibirica)多糖類抽出物、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される多糖類ベースの原料を提供する工程;ならびに
(ii)多糖類ベースの原料の約60kDaの分子量を有するタンパク質画分の一部を加水分解し、それにより多糖類ベースの成分を調製する工程
を含む、食品増粘組成物の調製に使用するための多糖類ベースの成分の調製方法。
【請求項5】
前記タンパク質加水分解ステップが、約60kDaの分子量を有するタンパク質画分の全部または実質的に全部を加水分解する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質加水分解ステップが、以下の:
(a)70℃~80℃の温度で実施される熱処理工程;および
(b)3.9~4.4のpHで実施される酸処理工程
を含む、請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
4000cP未満の粘度を有する安定な液体組成物であって、以下の:
(i)寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガム、オオバコ種子ガム、マルメロ種子ガム、ペクチン、フルセララン、ゲランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選ばれる、1つまたは複数の増粘剤、ここで前記1つまたは複数の増粘剤が、安定な液体組成物の3重量%~15重量%の量で存在する、増粘剤; そして
(ii)ラリクス オシデンタリス(Larix occidentalis)多糖類抽出物、ラリクス ラリシナ(Larix laricina)多糖類抽出物、アカシア ツリー(Acacia tree)多糖類抽出物、ラリクス デシドゥア(Larix decidua)多糖類抽出物、ラリクス シビリカ(Larix sibirica)多糖類抽出物、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される多糖類ベースの原料を含む多糖類ベースの成分、ここで前記多糖類ベースの成分が、安定な液体組成物の10重量%~25重量%の量で存在し;
ここで、水性液体または水性液体固体混合食品への組成物の添加が、食品の粘度を増加させる、前記液体組成物。
【請求項8】
前記1つまたは複数の増粘剤が、キサンタンガムを含むか、キサンタンガムからなるか、またはキサンタンガムから実質的になる、安定な液体組成物。
【請求項9】
前記多糖類ベースの成分が、アカシア ツリーの多糖類抽出物またはガムを含むか、それからなるか、またはそれらから実質的になる、請求項7または8に記載の安定な液体組成物。
【請求項10】
前記1つまたは複数の増粘剤が、キサンタンガムを含むか、それからなるか、またはそれらから実質的になり、そして前記多糖類ベースの成分が、アカシア ツリーの多糖類抽出物またはガムを含むか、それからなるか、またはそれらから実質的になる、請求項7~9のいずれか一項に記載の安定な液体組成物。
【請求項11】
前記多糖類ベースの成分が、前記安定な液体組成物の10重量%~20重量%の量で存在する、請求項7~10のいずれか一項に記載の安定な液体組成物。
【請求項12】
前記1つまたは複数の増粘剤が、安定な液体組成物の3重量%~10重量%の量で存在する、請求項7~11のいずれか1項に記載の安定な液体組成物。
【請求項13】
前記室温での組成物の粘度が、ブルックフィールド粘度計で測定して1500cP~2500cPである、請求項7~12のいずれか一項に記載の安定な液体組成物。
【請求項14】
食品グレードの防腐剤をさらに含む、請求項7~13のいずれか一項に記載の安定な液体組成物。
【請求項15】
前記食品グレードの防腐剤が、ゲランガム、ビタミンE、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン、EDTA、二酸化硫黄、ナイシン、プロピオン酸、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の安定な液体組成物。
【請求項16】
前記食品グレードの防腐剤がゲランガムであるか、ゲランガムを含む、請求項15に記載の安定な液体組成物。
【請求項17】
前記安定な液体組成物のpHが3.5~5.5である、請求項7~16のいずれか1項に記載の安定な液体組成物。
【請求項18】
約60kDaの分子量を有するタンパク質画分の一部が、多糖類ベースの成分から除去されている、請求項7~17のいずれか一項に記載の安定な液体組成物。
【請求項19】
前記多糖類ベースの成分が、約60kDaの分子量を有するタンパク質画分を全く含まないか、または実質的に含まない、請求項18に記載の安定な液体組成物。
【請求項20】
前記アカシア ツリーの多糖類抽出物またはガムが、SDS PAGEにより約60kDaの分子量を有するタンパク質画分を全く含まないか、または実質的に含まない、請求項7~19のいずれか1項に記載の安定な液体組成物。
【請求項21】
水性液体または水性液体固体混合食品の粘度を増加させる方法であって、以下の工程:
(a)以下の:
(i)寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガム、オオバコ種子ガム、マルメロ種子ガム、ペクチン、フルセララン、ゲランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選ばれる、1つまたは複数の増粘剤、ここで前記1つ又は複数の増粘剤が、安定な液体組成物の3重量%~15重量%の量で存在し;そして
(ii)ラリクス オシデンタリス(Larix occidentalis)多糖類抽出物、ラリクス ラリシナ(Larix laricina)多糖類抽出物、アカシア ツリー(Acacia tree)多糖類抽出物、ラリクス デシドゥア(Larix decidua)多糖類抽出物、ラリクス シビリカ(Larix sibirica)多糖類抽出物、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される多糖類ベースの原料を含む多糖類ベースの成分、ここで前記多糖類ベースの成分が、安定な液体組成物の10重量%~25重量%の量で存在し;
を含む、4000cP未満の粘度を有する安定な液体組成物を食品に添加する工程:
(b)組成物による前記食品の粘度増加を促進するように、前記食品と前記組成物とを混合する工程
を含む、前記方法。
【請求項22】
安定な液体組成物を製造する方法であって、以下の:
(i)ラリクス オシデンタリス(Larix occidentalis)多糖類抽出物、ラリクス ラリシナ(Larix laricina)多糖類抽出物、アカシア ツリー(Acacia tree)多糖類抽出物、ラリクス デシドゥア(Larix decidua)多糖類抽出物、ラリクス シビリカ(Larix sibirica)多糖類抽出物、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される多糖類ベースの原料を含む、多糖類ベースの成分を提供する工程、そしてここで前記多糖類ベースの原料がタンパク質加水分解に供され、前記多糖類ベースの成分は、安定な液体組成物の10重量%~25重量%の量で存在し;
(ii)寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、トラガントガム、ガティガム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カラヤガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガム、オオバコ種子ガム、マルメロ種子ガム、ペクチン、フルセララン、ゲランガム、コンニャク、アルギン酸ナトリウム、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選ばれる1つまたは複数の増粘剤を、多糖類ベースの成分に添加する工程、そしてここで前記1又はア複数の増粘剤が、安定な液体組成物の3重量%~15重量%の量で存在し;そして
(iii)(ii)の混合物を混合して、安定な液体組成物を製造する工程
を含む、前記方法。
【外国語明細書】