(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002295
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】遮蔽部材の取付構造
(51)【国際特許分類】
E04F 10/00 20060101AFI20241226BHJP
A47H 1/19 20060101ALI20241226BHJP
E04B 1/00 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
E04F10/00
A47H1/19
E04B1/00 502C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102370
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】松岡 ちさと
【テーマコード(参考)】
2E105
2E182
【Fターム(参考)】
2E105BB06
2E105DD08
2E105FF34
2E105GG04
2E182AB03
2E182AC01
2E182DF31
2E182DF42
2E182DF43
(57)【要約】
【課題】バルコニーにおいてカーテン等の遮蔽部材を取付可能とした構成にあって、バルコニーの利用が妨げられるのを抑制することができる遮蔽部材の取付構造を提供する。
【解決手段】建物において、バルコニー17の屋外側にはバルコニー腰壁25が立設され、バルコニー17の上方には屋根部の軒部27が設けられている。バルコニー腰壁25には、その壁幅方向に沿ってカーテン30の下端側を引っ掛け可能な第1引掛部38が設けられている。軒部27には、上記壁幅方向に沿ってカーテン30の上端側を引っ掛け可能な第2引掛部53が設けられている。これにより、第1引掛部38及び第2引掛部53にカーテン30の上下両端側がそれぞれ引っ掛けられることにより、カーテン30がバルコニー腰壁25と軒部27との間を遮蔽する位置に取り付けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルコニーと、
前記バルコニーの屋外側に立設された腰壁部と、
前記腰壁部よりも上方に設けられ、前記バルコニーを上方から覆う覆い部と、
を備える建物に適用され、
前記腰壁部と前記覆い部との間を遮蔽する遮蔽部材の取付構造であって、
前記腰壁部には、前記腰壁部の壁幅方向に沿って、前記遮蔽部材の下端側を引っ掛け可能な第1引掛部が設けられ、
前記覆い部には、前記壁幅方向に沿って、前記遮蔽部材の上端側を引っ掛け可能な第2引掛部が設けられている、遮蔽部材の取付構造。
【請求項2】
前記腰壁部は、腰壁本体と、前記腰壁本体の上端部を覆う笠木とを有し、
前記第1引掛部は、前記腰壁本体と前記笠木との間に一部挟まれた状態で設けられ前記壁幅方向に沿って延びる第1取付部材、又は前記笠木に設けられている、請求項1に記載の遮蔽部材の取付構造。
【請求項3】
前記第1引掛部は、前記第1取付部材に設けられている、請求項2に記載の遮蔽部材の取付構造。
【請求項4】
前記第1取付部材は、前記腰壁本体と前記笠木との間に挟まれた第1部分と、前記腰壁部を挟んだ両側のうち前記バルコニー側に配置された第2部分とを有し、
前記第2部分に前記第1引掛部が設けられている、請求項3に記載の遮蔽部材の取付構造。
【請求項5】
前記第2部分には、前記第1引掛部に加えて、前記遮蔽部材とは別の物を引っ掛け可能な第3引掛部が設けられている、請求項4に記載の遮蔽部材の取付構造。
【請求項6】
前記覆い部は、屋根の軒部であり、
前記軒部の先端部となる軒先部は、前記壁幅方向に延びているとともに前記腰壁部と上下に並ぶ位置にあり、
前記軒先部には、前記軒先部に沿って長尺の軒先部材が設けられ、
前記軒先部材には、前記軒先部材に沿って延び、前記第2引掛部が設けられた第2取付部材が取り付けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の遮蔽部材の取付構造。
【請求項7】
前記第2取付部材は、前記軒先部材の屋外側の側面に固定されている、請求項6に記載の遮蔽部材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルコニーにおいてカーテン等の遮蔽部材を取付可能とした遮蔽部材の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物には、バルコニーが設けられている場合がある。バルコニーには、その屋外側に腰壁が設けられている。また、バルコニーの上方には庇等の覆い部が設けられている。この場合、バルコニーは、腰壁と覆い部との間を介して屋外に開放されている。
【0003】
特許文献1には、バルコニーの床部と庇部とにそれぞれカーテンレールが設置され、それら各カーテンレールにカーテンが取り付けられた構成が開示されている。この特許文献1の構成では、カーテンをカーテンレールに沿って展開することにより、腰壁と庇部との間を遮蔽することが可能となっている。そのため、バルコニーにおいて屋外からの視線を遮ったり遮光したりすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の構成では、バルコニーの床部にカーテンレールが設置されているため、バルコニーを歩く際にカーテンレールが邪魔になるおそれがある。また、カーテンが床部と庇部とに設けられた各カーテンレールに跨って設けられているため、カーテンの上下長さが大きくなっている。そのため、カーテンに向かって風が吹くと、カーテンがバルコニーの内側に向けて大きくなびくことが想定される。その場合、カーテンがバルコニーを利用する上で邪魔になるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、バルコニーにおいてカーテン等の遮蔽部材を取付可能とした構成にあって、バルコニーの利用が妨げられるのを抑制することができる遮蔽部材の取付構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の遮蔽部材の取付構造は、バルコニーと、前記バルコニーの屋外側に立設された腰壁部と、前記腰壁部よりも上方に設けられ、前記バルコニーを上方から覆う覆い部と、を備える建物に適用され、前記腰壁部と前記覆い部との間を遮蔽する遮蔽部材の取付構造であって、前記腰壁部には、前記腰壁部の壁幅方向に沿って、前記遮蔽部材の下端側を引っ掛け可能な第1引掛部が設けられ、前記覆い部には、前記壁幅方向に沿って、前記遮蔽部材の上端側を引っ掛け可能な第2引掛部が設けられている。
【0008】
第1の発明によれば、バルコニーの腰壁部には、その壁幅方向に沿って第1引掛部が設けられている。また、腰壁部よりも上方にある覆い部には、上記壁幅方向に沿って第2引掛部が設けられている。この場合、遮蔽部材の下端側を第1引掛部に引っ掛け、遮蔽部材の上端側を第2引掛部に引っ掛けることにより、遮蔽部材を腰壁部と覆い部との間を遮蔽する位置に取り付けることができる。
【0009】
また、かかる取付構成では、遮蔽部材がバルコニーの床部と覆い部とに跨る従来技術(特許文献1)の構成と比べ、遮蔽部材の上下長さを短くすることができる。そのため、遮蔽部材が風によりバルコニーの内側に大きくなびくのを抑制することができる。また、第1引掛部が腰壁部に設けられているため、バルコニーを歩く際に第1引掛部が邪魔になるのを抑制することができる。よって、バルコニーにおいて遮蔽部材を取付可能とした構成にあって、バルコニーの利用が妨げられるのを抑制することができる。
【0010】
なお、「遮蔽部材の下端側を引っ掛け可能な第1引掛部」とは、遮蔽部材の下端側を直接引っ掛け可能な引掛部だけでなく、遮蔽部材の下端側をフック等の引掛部材を介して引っ掛け可能な引掛部をも含む意味である。これと同様に、「遮蔽部材の上端側を引っ掛け可能な第2引掛部」とは、遮蔽部材の上端側を直接引っ掛け可能な引掛部だけでなく、遮蔽部材の上端側をフック等の引掛部材を介して引っ掛け可能な引掛部をも含む意味である。
【0011】
第2の発明の遮蔽部材の取付構造は、第1の発明において、前記腰壁部は、腰壁本体と、前記腰壁本体の上端部を覆う笠木とを有し、前記第1引掛部は、前記腰壁本体と前記笠木との間に一部挟まれた状態で設けられ前記壁幅方向に沿って延びる第1取付部材、又は前記笠木に設けられている。
【0012】
第2の発明によれば、第1引掛部が、腰壁本体と笠木との間に一部挟まれた状態で設けられた第1取付部材、又は笠木に設けられている。この場合、腰壁本体については既存の構成としながら第1引掛部を設けることができる。
【0013】
第3の発明の遮蔽部材の取付構造は、第2の発明において、前記第1引掛部は、前記第1取付部材に設けられている。
【0014】
第3の発明によれば、第1引掛部が第1取付部材に設けられているため、笠木については既存の構成を採用しながら第1引掛部を設けることができる。また、笠木に第1引掛部が設けられる場合、笠木を手摺として使用する際に第1引掛部が邪魔になるおそれがあるが、上記の構成とすれば、そのような不都合が生じることがない。
【0015】
第4の発明の遮蔽部材の取付構造は、第3の発明において、前記第1取付部材は、前記腰壁本体と前記笠木との間に挟まれた第1部分と、前記腰壁部を挟んだ両側のうち前記バルコニー側に配置された第2部分とを有し、前記第2部分に前記第1引掛部が設けられている。
【0016】
第4の発明によれば、第1取付部材のうち、腰壁部に対してバルコニー側に配置された第2部分に第1引掛部が設けられている。これにより、遮蔽部材を第1引掛部に引っ掛ける作業をし易くできる。
【0017】
第5の発明の遮蔽部材の取付構造は、第4の発明において、前記第2部分には、前記第1引掛部に加えて、前記遮蔽部材とは別の物を引っ掛け可能な第3引掛部が設けられている。
【0018】
第5の発明によれば、第1取付部材の第2部分に、第1引掛部に加え、遮蔽部材とは別の物を引っ掛け可能な第3引掛部が設けられている。これにより、第3引掛部にランタンや観葉植物のポット等を引っ掛ける等して、バルコニーを好適に利用することが可能となる。
【0019】
第6の発明の遮蔽部材の取付構造は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記覆い部は、屋根の軒部であり、前記軒部の先端部となる軒先部は、前記壁幅方向に延びているとともに前記腰壁部と上下に並ぶ位置にあり、前記軒先部には、前記軒先部に沿って長尺の軒先部材が設けられ、前記軒先部材には、前記軒先部材に沿って延び、前記第2引掛部が設けられた第2取付部材が取り付けられている。
【0020】
バルコニーの上方に屋根の軒部が設けられた構成では、軒部の先端部となる軒先部が腰壁部の壁幅方向に延び、腰壁部と上下に並ぶ位置にある場合がある。また、軒先部には、一般に軒先部に沿って長尺の軒先部材が設けられている。そこで、第6の発明では、その軒先部材に、軒先部材に沿って延び第2引掛部が設けられた第2取付部材を取り付けている。この場合、長尺の軒先部材を下地として、同じく長尺の第2取付部材を取り付けることで、第2引掛部を腰壁部の上方位置に好適に配置することができる。これにより、腰壁部と軒部との間を遮蔽する遮蔽部材を取り付ける上で好ましい構成とすることができる。
【0021】
第7の発明の遮蔽部材の取付構造は、第6の発明において、前記第2取付部材は、前記軒先部材の屋外側の側面に固定されている。
【0022】
第7の発明によれば、第2取付部材が軒先部材の屋外側の側面に固定されている。この場合、遮蔽部材が風によりバルコニー側になびく際に、遮蔽部材から第2取付部材に作用する荷重を軒先部材により好適に受けることができる。これにより、遮蔽部材を安定した状態で取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】バルコニーが設けられた建物の概略を示す概略図。
【
図2】カーテンの取付構造が設けられたバルコニー周辺の構成を示す断面図。
【
図3】
図2においてカーテンが取り付けられた状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、
図1は、バルコニーが設けられた建物の概略を示す概略図である。
【0025】
図1に示すように、住宅等の建物10は、一階部分11と二階部分12とを有する二階建てである。二階部分12の上方には屋根部13が設けられている。屋根部13は、切り妻式の屋根となっている。一階部分11には一階部屋14が設けられ、二階部分12には二階部屋15が設けられている。
【0026】
二階部分12には、バルコニー17が設けられている。バルコニー17は、二階部屋15と隣接しており、二階部屋15と外壁部18により仕切られている。外壁部18には、掃き出し窓からなる窓部21が設けられている。その窓部21を通じて二階部屋15からバルコニー17へ出入りが可能となっている。窓部21には、ガラス戸22が設けられている。
【0027】
バルコニー17には、バルコニー床24と、バルコニー腰壁25とが設けられている。バルコニー腰壁25は、バルコニー17の屋外側に立設され、バルコニー床24よりも上方に立ち上がっている。バルコニー腰壁25は、バルコニー17を挟んで外壁部18と対向している。なお、バルコニー腰壁25が腰壁部に相当する。
【0028】
屋根部13は、外壁部18よりも屋外側に張り出した軒部27を有している。軒部27は、バルコニー17の上方に設けられ、バルコニー17を上方から覆っている。軒部27の先端部となる軒先部28は、バルコニー腰壁25の壁幅方向に延びており、バルコニー腰壁25と上下に並んでいる。詳しくは、軒先部28は、バルコニー腰壁25の真上に位置している。この場合、バルコニー17は、バルコニー腰壁25と軒部27との間を介して屋外に開放されている。なお、軒部27が覆い部に相当する。
【0029】
ここで、本実施形態の建物10には、バルコニー腰壁25と軒部27との間を遮蔽するカーテン30を取り付けることが可能となっている。本建物10では、かかるカーテン30を取り付けることにより、バルコニー17において屋外からの視線を遮ったり日射を遮ったりすることが可能となっている。そこで、以下では、カーテン30を取り付けるための取付構造について
図2に基づき説明する。
図2は、カーテン30の取付構造が設けられたバルコニー17周辺の構成を示す断面図である。また、
図3は、
図2においてカーテン30が取り付けられた状態を示す断面図である。なお、カーテン30が遮蔽部材に相当する。
【0030】
図2及び
図3に示すように、バルコニー腰壁25には、カーテン30の下端側を着脱可能に取り付ける第1取付部材31が設けられている。また、軒部27には、カーテン30の上端側を着脱可能に取り付ける第2取付部材32が設けられている。以下、第1取付部材31及び第2取付部材32の構成について順に説明する。まず、バルコニー腰壁25に設けられた第1取付部材31の構成について、
図2に加え
図4を用いながら説明する。
図4は、第1取付部材31の構成を示す斜視図である。
【0031】
図2に示すように、バルコニー腰壁25は、腰壁本体33と、腰壁本体33の上端側に設けられた笠木34とを有している。腰壁本体33は、木製又は樹脂製の壁面材を含んで構成されている。壁面材は、非透明とされている。そのため、腰壁本体33により屋外からの視線や日射を遮ることが可能となっている。
【0032】
笠木34は、バルコニー腰壁25の壁幅方向に延びる長尺材である。笠木34は、バルコニー腰壁25の上端部を上方から覆うように設けられ、バルコニー腰壁25に固定されている。詳しくは、笠木34は、バルコニー腰壁25の上端部を上方から覆う上板部34aと、上板部34aの幅方向の両端部からそれぞれ下方に延びる一対の垂下板部34b,34cとを有する。一対の垂下板部34b,34cは、バルコニー腰壁25を挟んだ両側に配置されている。各垂下板部34b,34cのうち、垂下板部34bがバルコニー17側に配置され、垂下板部34cが屋外側に配置されている。
【0033】
第1取付部材31は、腰壁本体33の上端部と笠木34との間に一部挟まれた状態で設けられている。
図2及び
図4に示すように、第1取付部材31は、バルコニー腰壁25の壁幅方向に延びる長尺材である。第1取付部材31は、金属製の板材により形成された板状部35と、金属製の線材により形成された線状部36とを有する。
【0034】
板状部35は、腰壁本体33の上端部と笠木34の上板部34aとの間に挟まれて固定された固定板部35aと、固定板部35aから腰壁本体33のバルコニー17側の壁面に沿って下方に延びる垂下板部35bと、垂下板部35bの下端部からバルコニー17側(換言すると腰壁本体33から離間する側)に延出する延出板部35cとを有する。垂下板部35bは、笠木34の垂下板部34bと腰壁本体33との間を通じて下方に延びている。また、延出板部35cは、垂下板部34bの下方に配置されている。
【0035】
延出板部35cには、第1取付部材31の長手方向に沿って複数の引掛孔37が所定の間隔(詳しくは等間隔)で設けられている。各引掛孔37は、延出板部35cを厚み方向に貫通しており、円形状をなしている。各引掛孔37には、ランタンや観葉植物のポット等を引っ掛けることが可能となっている。なお、各引掛孔37が第3引掛部に相当する。
【0036】
線状部36は、第1取付部材31の長手方向に沿って波線状に延びている。この場合、線状部36は、上下方向の両端部にてそれぞれ折り返されることにより波線状をなしている。線状部36は、延出板部35cの先端部から垂下するように配置され、その配置状態で延出板部35cに溶接により固定されている。線状部36には、下方に凸となる複数の谷部38が設けられている。これら各谷部38により、カーテン30の下端側を引っ掛け可能な第1引掛部(以下、谷部38と同じ符号を付して、第1引掛部38という)が形成されている。この場合、各第1引掛部38は、第1取付部材31の長手方向(換言するとバルコニー腰壁25の壁幅方向)に並んで配置されている。
【0037】
なお、第1取付部材31のうち、板状部35の固定板部35aが第1部分に相当する。また、第1取付部材31のうち、板状部35の垂下板部35b、延出板部35c及び線状部36は、バルコニー腰壁25を挟んだ両側のうちバルコニー17側に配置されている。そのため、これら各部35b,35c,36により第2部分が構成されている。
【0038】
続いて、軒部27に設けられた第2取付部材32の構成について、
図2に加え、
図5を用いながら説明する。なお、
図5は、第2取付部材32の構成を示す正面図である。
【0039】
図2に示すように、軒部27には、屋根傾斜に沿って延びる垂木41と、垂木41の上に支持された野地板42と、垂木41の先端部に固定された鼻先木43と、軒部27の底部に配置された軒天板44とが設けられている。鼻先木43は、木製の角材により形成され、軒部27の軒先部28に沿って延びている。鼻先木43は、バルコニー腰壁25の真上に位置し、バルコニー腰壁25の壁幅方向に延びている。なお、鼻先木43の屋外側には樋46が取り付けられている。また、鼻先木43が軒先部材に相当する。
【0040】
図2及び
図5に示すように、第2取付部材32は、鼻先木43に沿って延びる長尺材であり、鼻先木43に取り付けられている。この場合、第2取付部材32は、バルコニー腰壁25の壁幅方向に延びている。第2取付部材32は、金属製の板材により形成された板状部51と、金属製の線材により形成された線状部52とを有する。板状部51は、断面L字状をなし、鼻先木43の屋外側の側面に固定された縦板部51aと、鼻先木43の下面側に軒天板44を介して固定された横板部51bとを有する。縦板部51a及び横板部51bはいずれも釘により固定されている。
【0041】
線状部52は、第2取付部材32の長手方向に波線状に延びている。線状部52は、上下方向の両端部においてそれぞれ折り返されることにより波線状をなしている。線状部52は、板状部51の横板部51bから垂下するように配置され、その配置状態で横板部51bに溶接により固定されている。線状部52には、下方に向けて凸となる複数の谷部53が設けられている。これら各谷部53により、カーテン30の上端側を引っ掛け可能な第2引掛部(以下、谷部53と同じ符号を付して、第2引掛部53という。)が形成されている。この場合、各第2引掛部53は、第2取付部材32の長手方向(換言するとバルコニー腰壁25の壁幅方向)に沿って並んでいる。
【0042】
続いて、第1取付部材31及び第2取付部材32にカーテン30が取り付けられた状態について説明する。
【0043】
図3に示すように、第1取付部材31の第1引掛部38には、カーテン30の下端部(詳しくは、当該下端部に形成された孔)がS字状のフック57(引掛部材に相当)を介して引っ掛けられている。この場合、カーテン30の下端部における複数の箇所が第1引掛部38にフック57を介して引っ掛けられている。また、第2取付部材32の第2引掛部53には、カーテン30の上端部(詳しくは、当該上端部に形成された孔)がS字状のフック58(引掛部材に相当)を介して引っ掛けられている。この場合、カーテン30の上端部における複数の箇所が第2引掛部53にフック58を介して引っ掛けられている。これにより、カーテン30は、バルコニー腰壁25と軒部27(詳しくは軒先部28)との間を遮蔽する位置に取り付けられる。この場合、カーテン30は、バルコニー腰壁25の壁幅方向に沿って設けられ、バルコニー17と屋外とを仕切るように配置される。なお、カーテン30は、例えばミラーカーテンからなる。
【0044】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0045】
バルコニー腰壁25には、その壁幅方向に沿って第1引掛部38が設けられている。また、軒部27には、上記壁幅方向に沿って第2引掛部53が設けられている。この場合、カーテン30の下端側を第1引掛部38に引っ掛け、カーテン30の上端側を第2引掛部53に引っ掛けることにより、カーテン30をバルコニー腰壁25と軒部27との間を遮蔽する位置に取り付けることができる。
【0046】
また、かかる取付構成では、カーテン30の上下長さを短くすることができる。そのため、カーテン30が風によりバルコニー17の内側に大きくなびくのを抑制することができる。また、第1引掛部38がバルコニー腰壁25に設けられているため、バルコニー17を歩く際に第1引掛部38が邪魔になるのを抑制することができる。よって、バルコニー17においてカーテン30を取付可能とした構成にあって、バルコニー17の利用が妨げられるのを抑制することができる。
【0047】
第1引掛部38が、腰壁本体33と笠木34との間に一部挟まれた状態で設けられた第1取付部材31に設けられている。この場合、腰壁本体33及び笠木34については既存の構成としながら第1引掛部38を設けることができる。また、笠木34に第1引掛部38が設けられる場合、笠木34を手摺として使用する際に第1引掛部38が邪魔になるおそれがあるが、上記の構成とすれば、そのような不都合が生じることがない。
【0048】
第1取付部材31のうち、バルコニー腰壁25に対してバルコニー17側に配置された線状部36に第1引掛部38が設けられている。これにより、カーテン30を第1引掛部38に引っ掛ける作業をし易くできる。
【0049】
第1取付部材31のうち、バルコニー腰壁25に対してバルコニー17側に配置された延出板部35cに、カーテン30とは別の物を引っ掛け可能な引掛孔37が設けられている。これにより、引掛孔37にランタンや観葉植物のポット等を引っ掛ける等して、バルコニー17を好適に利用することが可能となる。
【0050】
バルコニー17の上方に設けられた軒部27の軒先部28は、バルコニー腰壁25の壁幅方向に延び、バルコニー腰壁25と上下に並ぶ位置にある。軒先部28には、軒先部28に沿って延びる長尺の鼻先木43が設けられている。そこで、上記の実施形態では、その鼻先木43に、鼻先木43に沿って延び第2引掛部53が設けられた第2取付部材32を取り付けている。この場合、長尺の鼻先木43を下地として、同じく長尺の第2取付部材32を取り付けることで、第2引掛部53をバルコニー腰壁25の上方位置に好適に配置することができる。これにより、バルコニー腰壁25と軒部27との間を遮蔽するカーテン30を取り付ける上で好ましい構成とすることができる。
【0051】
第2取付部材32が鼻先木43の屋外側の側面に固定されている。この場合、カーテン30が風によりバルコニー17側になびく際に、カーテン30から第2取付部材32に作用する荷重を鼻先木43により好適に受けることができる。これにより、カーテン30を安定した状態で取り付けることが可能となる。
【0052】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、第1引掛部38及び第2引掛部53をそれぞれ線状部36,52(詳しくは谷部38,53)により形成したが、第1引掛部及び第2引掛部のうち少なくともいずれかを孔状の引掛孔として形成してもよい。要するに、カーテン30を引っ掛け可能であれば第1引掛部及び第2引掛部の構成は任意としてよい。
【0054】
・上記実施形態では、腰壁本体33と笠木34との間に一部挟まれて設けられた第1取付部材31に第1引掛部38を設けたが、これを変更して、笠木34に第1引掛部を設けてもよい。例えば、笠木34の上板部34aに第1引掛部を設けることが考えられる。但し、第1引掛部に笠木34を設けると、笠木34を手摺りとして用いる際に第1引掛部が邪魔になるおそれがある。そのため、その点を鑑みると、第1取付部材31に第1引掛部38を設けるのが望ましい。また、腰壁本体33に第1引掛部を設ける構成としてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、第2取付部材32を鼻先木43に取り付けたが、第2取付部材を軒天板44等、鼻先木43以外に取り付けるようにしてもよい。また、長尺の第2取付部材に代えて、第2引掛部を有する短尺部材を鼻先木43に沿って複数設けてもよい。この場合にも、第2引掛部をバルコニー腰壁25の壁幅方向に沿って複数設けることができる。
【0056】
・上記実施形態の建物10では、バルコニー17の上方に屋根部13の軒部27が覆い部として設けられていたが、建物によってはバルコニー17の上方に庇が覆い部として設けられている場合もある。この場合、庇に対して第2引掛部を設ければよい。
【0057】
・バルコニー腰壁25と軒部27との間を遮蔽する遮蔽部材としては、カーテン30以外に、すだれやスクリーン等を用いることが考えられる。そこで、カーテン30以外の遮蔽部材を用いる場合に、本発明の取付構造を適用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…建物、17…バルコニー、25…腰壁部としてのバルコニー腰壁、27…覆い部としての軒部、28…軒先部、30…遮蔽部材としてのカーテン、31…第1取付部材、32…第2取付部材、33…腰壁本体、34…笠木、37…第3引掛部としての引掛孔、38…第1引掛部、43…軒先部材としての鼻先木、53…第2引掛部。