(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023008
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】ロボットシステム及びロボットの制御方法
(51)【国際特許分類】
B25J 3/00 20060101AFI20250206BHJP
C23C 2/00 20060101ALN20250206BHJP
【FI】
B25J3/00 A
C23C2/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024205892
(22)【出願日】2024-11-27
(62)【分割の表示】P 2019225670の分割
【原出願日】2019-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】掃部 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕和
(72)【発明者】
【氏名】笠 秀行
(57)【要約】
【課題】液状物の表面上の浮遊物を効果的に除去するロボットシステムを提供する。
【解決手段】ロボットシステムは、ロボットアームとエンドエフェクタとを有し且つ収容体に隣り合って配置されたロボットと、前記収容体から離れて配置され、前記ロボットへの遠隔操作の入力を受け付け且つ前記遠隔操作に対応して前記ロボットを動作させるための指令を出力する操作装置と、前記収容体の液状物の表面を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像を表示する提示装置と、制御装置とを備え、前記エンドエフェクタは、前記液状物の表面上の浮遊物を移動させることができる構成を有し、前記制御装置は、前記指令に従って、前記収容体から外部へ前記浮遊物を移動させるように、前記ロボットアームに前記エンドエフェクタを移動させることができるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームと前記ロボットアームの先端のエンドエフェクタとを有し且つ液状物を収容する収容体に隣り合って配置されたロボットと、
前記収容体から離れて配置され、前記ロボットへの遠隔操作の入力を受け付け且つ前記遠隔操作に対応して前記ロボットを動作させるための指令を出力する操作入力装置と、
前記液状物の表面を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像を表示する提示装置と、
前記ロボットの動作を制御する制御装置とを備え、
前記エンドエフェクタは、前記液状物の表面上の浮遊物を移動させることができる構成を有し、
前記制御装置は、前記操作入力装置から出力される前記指令に従って、前記収容体から外部へ前記浮遊物を移動させるように、前記ロボットアームに前記エンドエフェクタを移動させることができるように構成される
ロボットシステム。
【請求項2】
前記撮像装置によって撮像された画像を処理する画像処理装置をさらに備え、
前記画像処理装置は、前記液状物と前記浮遊物とを差異付ける画像処理を行うように構成され、
前記提示装置は、前記撮像装置によって処理された画像を表示する
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記画像処理装置は、画像に含まれる画素の輝度値に基づき、前記液状物と前記浮遊物とを差異付ける画像処理を行う
請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記液状物の表面の温度を検出するセンサをさらに備え、
前記画像処理装置は、前記センサによって検出される前記液状物の表面の温度分布に基づき、前記液状物と前記浮遊物とを差異付ける画像処理を行う
請求項2または3に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記指令は、前記ロボットの手動運転のために前記操作入力装置に入力されるユーザの操作に対応して前記ロボットを動作させるための手動指令を含み、
前記制御装置は、前記収容体から外部へ前記浮遊物を移動させる前記ロボットの一連の動作の少なくとも一部の動作を、前記手動指令に従って前記ロボットに実行させる
請求項1~4のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記指令は、前記ロボットの自動運転のための前記操作入力装置への入力に対応して前記ロボットを動作させるための自動指令を含み、
前記制御装置は、前記収容体から外部へ前記浮遊物を移動させる前記ロボットの一連の動作の少なくとも一部の動作を、前記自動指令に従って前記ロボットに実行させる
請求項1~5のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記エンドエフェクタに作用する力を検出する力検出器をさらに備え、
前記操作入力装置は、前記ロボットを手動運転で操作するためにユーザの手から力を受ける操作部と、前記操作部に力を付与する力付与装置とを有し、
前記制御装置は、前記力検出器から検出結果を受け取り、前記力検出器によって検出された力に対応する付与力を前記操作部に付与する指令を前記操作入力装置に出力する
請求項1~6のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記操作入力装置は、前記ロボットを手動運転で操作するために人の手で握ることができるグリップを有する操作部と、前記操作部を移動可能に支持し且つ屈曲及び旋回可能な操作アームとを備え、
前記操作部は、前記操作アームに対して前記グリップが球状面に沿って移動し且つ姿勢を変えるように3軸周りに回動可能に前記グリップを支持し、
前記操作入力装置は、前記グリップの前記3軸周りの回転量と、前記操作アームの屈折量及び旋回量とに対応する情報を、前記エンドエフェクタの位置及び姿勢を指令する前記指令として出力する
請求項1~7のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項9】
複数の前記収容体と、
前記複数の収容体のそれぞれに隣り合って配置された複数の前記ロボットと、
前記複数のロボットのうちから前記操作入力装置と接続される前記ロボットを指定する入力を受け付け、且つ指定された前記ロボットである指定ロボットの情報を出力する指定装置とをさらに備え、
前記制御装置は、
前記複数のロボットの動作を制御するように構成され、
前記指定装置から出力される前記指定ロボットの情報に基づき、前記操作入力装置から出力される前記指令に従って、前記指定ロボットを動作させる
請求項1~8のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記複数の収容体のそれぞれの前記液状物の表面を撮像する複数の前記撮像装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記複数の撮像装置の動作を制御するように構成され、
前記指定ロボットの情報に基づき、前記指定ロボットに隣り合う前記収容体を撮像可能な前記撮像装置に、前記収容体の前記液状物の表面を撮像させる
請求項9に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人が行っていた作業を補助又は代替するロボットが用いられている。特に、過酷な作業環境下でのロボットによる作業の補助及び代替は有用である。例えば、特許文献1は、高温な溶融金属めっき浴の表面上に浮遊するドロスと呼ばれる不純物を除去する除去装置を開示している。この除去装置はロボットを備え、当該ロボットは、ドロスの捕集、めっき浴からの引き上げ及び回収箱への投入を所定のプログラムで自動で行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ロボットは、プログラムに従って、ドロス除去に関連する各動作を所定の順序及び時間で行う。しかしながら、めっき浴の表面上のドロスの分布は、一様でも一定でもなく、例えば、めっきの対象物によっても異なる。このため、自動で同じ動作を繰り返す特許文献1のロボットでは、効率的なドロスの除去が困難である。
【0005】
本開示は、液状物の表面上の浮遊物を効果的に除去するロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係るロボットシステムは、ロボットアームと前記ロボットアームの先端のエンドエフェクタとを有し且つ液状物を収容する収容体に隣り合って配置されたロボットと、前記収容体から離れて配置され、前記ロボットへの遠隔操作の入力を受け付け且つ前記遠隔操作に対応して前記ロボットを動作させるための指令を出力する操作入力装置と、前記液状物の表面を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像を表示する提示装置と、前記ロボットの動作を制御する制御装置とを備え、前記エンドエフェクタは、前記液状物の表面上の浮遊物を移動させることができる構成を有し、前記制御装置は、前記操作入力装置から出力される前記指令に従って、前記収容体から外部へ前記浮遊物を移動させるように、前記ロボットアームに前記エンドエフェクタを移動させることができるように構成される。
【0007】
本開示によれば、液状物の表面上の浮遊物を効果的に除去することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係るロボットシステムの構成の一例を示す図
【
図2】実施の形態に係るロボットの構成の一例を示す側面図
【
図3】実施の形態に係る操作装置の構成の一例を示す斜視図
【
図5】実施の形態に係る制御装置及びその周辺の構成の一例を示すブロック図
【
図6】実施の形態に係る制御装置の機能的構成の一例を示すブロック図
【
図7】実施の形態に係るロボットシステムの手動運転での動作の一例を示すフローチャート
【
図8】変形例に係るロボットシステム1Aの構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本開示の各態様例を説明する。本開示の一態様に係るロボットシステムは、ロボットアームと前記ロボットアームの先端のエンドエフェクタとを有し且つ液状物を収容する収容体に隣り合って配置されたロボットと、前記収容体から離れて配置され、前記ロボットへの遠隔操作の入力を受け付け且つ前記遠隔操作に対応して前記ロボットを動作させるための指令を出力する操作入力装置と、前記液状物の表面を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像を表示する提示装置と、前記ロボットの動作を制御する制御装置とを備え、前記エンドエフェクタは、前記液状物の表面上の浮遊物を移動させることができる構成を有し、前記制御装置は、前記操作入力装置から出力される前記指令に従って、前記収容体から外部へ前記浮遊物を移動させるように、前記ロボットアームに前記エンドエフェクタを移動させることができるように構成される。
【0010】
上記態様によると、ユーザは、ロボットから離れた遠隔位置において、提示装置に写し出される画像を視ることで、液状物の表面上の浮遊物の位置及び状態を認識し、この認識結果に応じた適切な指令を操作入力装置に入力し、ロボットに当該浮遊物を収容体から外部に移動させることができる。例えば、浮遊物が、製鉄工程、製鋼工程又は鋳造工程で溶湯に生じるスラグ等の不純物である場合、溶湯は溶融金属めっき浴よりもはるかに高温であるため、捕集網等を用いたスラグの捕集は困難である。例えば、スラグ等の不純物は、棒状物を用いて絡めとられるように捕集される。ユーザの判断に基づき不純物の状態に対応して動作制御されるロボットは、様々な不純物の効果的な捕集が可能である。よって、液状物の表面上の浮遊物を効果的に除去することが可能になる。
【0011】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、前記撮像装置によって撮像された画像を処理する画像処理装置をさらに備え、前記画像処理装置は、前記液状物と前記浮遊物とを差異付ける画像処理を行うように構成され、前記提示装置は、前記撮像装置によって処理された画像を表示してもよい。
【0012】
上記態様によると、ユーザは、提示装置に写し出される画像において液状物の表面上の浮遊物の位置及び状態を視認することが容易になる。よって、ユーザは、浮遊物の状態に応じた適切な指令を操作入力装置に入力することができる。
【0013】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記画像処理装置は、画像に含まれる画素の輝度値に基づき、前記液状物と前記浮遊物とを差異付ける画像処理を行ってもよい。
【0014】
上記態様によると、例えば、輝度値が高い液状物の場合、又は、液状物の輝度値と浮遊物の輝度値とが近い場合等において、画像上で液状物と浮遊物とを区別して視認することが難しい。しかしながら、輝度値に基づく上記画像処理が行われた処理済みの画像は、液状物と浮遊物との視認による容易な区別を可能にする。例えば、画像処理装置は、閾値以上の輝度値の画素と閾値未満の輝度値の画素とに対して異なる画像処理を行うことによって、液状物と浮遊物とを差異付けもよい。例えば、画像処理は、画素の色、明暗、濃淡及びテクスチャ等を変更する処理であってもよい。
【0015】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、前記液状物の表面の温度を検出するセンサをさらに備え、前記画像処理装置は、前記センサによって検出される前記液状物の表面の温度分布に基づき、前記液状物と前記浮遊物とを差異付ける画像処理を行ってもよい。
【0016】
上記態様によると、例えば、液状物の温度と浮遊物の温度とに差異がある場合、温度分布に基づく上記画像処理が行われた処理済みの画像は、液状物と浮遊物との視認による容易な区別を可能にする。例えば、画像処理装置は、様々な温度範囲の画像に対して、温度範囲毎に異なる画像処理を行うことによって、液状物と浮遊物とを差異付けもよい。例えば、画像処理は、画素の色、明暗、濃淡及びテクスチャ等を変更する処理であってもよい。
【0017】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、前記エンドエフェクタに作用する力を検出する力検出器をさらに備え、前記操作入力装置は、前記ロボットを手動運転で操作するためにユーザの手から力を受ける操作部と、前記操作部に力を付与する力付与装置とを有し、前記制御装置は、前記力検出器から検出結果を受け取り、前記力検出器によって検出された力に対応する付与力を前記操作部に付与する指令を前記操作入力装置に出力してもよい。
【0018】
上記態様によると、ユーザは、操作部へ加えられる付与力を通じて、エンドエフェクタが受ける力の状態を知覚することができる。例えば、ユーザは、エンドエフェクタが浮遊物に接触しているか否か、エンドエフェクタが浮遊物を保持しているか否か、及び、エンドエフェクタによって保持されている浮遊物の重さ等を知覚することができる。よって、ユーザによるロボットの効果的な操作が可能になる。
【0019】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記制御装置は、前記力検出器により検出された検出力を減少させた前記付与力を前記操作部に付与する指令を出力し、前記検出力が0超且つ第1閾値以下である場合、前記検出力を第1割合に減少させた力を前記付与力に決定し、前記検出力が前記第1閾値超である場合、前記検出力を第2割合に減少させた力を前記付与力に決定し、前記第2割合は、前記第1割合よりも小さくてもよい。
【0020】
上記態様によると、エンドエフェクタに作用する第1閾値以下の力は、より大きい第1割合に減少され、操作部を介してユーザに伝達される。これにより、ユーザは、エンドエフェクタに作用する比較的小さい力も知覚することができる。例えば、ユーザは、エンドエフェクタが液状物に浸かっているか否か、及び、エンドエフェクタが浮遊物に接触しているか否か等を知覚することができる。
【0021】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記操作入力装置は、前記ロボットを手動運転で操作するために人の手で握ることができるグリップを有する操作部と、前記操作部を移動可能に支持し且つ屈曲及び旋回可能な操作アームとを備え、前記操作部は、前記操作アームに対して前記グリップが球状面に沿って移動し且つ姿勢を変えるように3軸周りに回動可能に前記グリップを支持し、前記操作入力装置は、前記グリップの前記3軸周りの回転量と、前記操作アームの屈折量及び旋回量とに対応する情報を、前記エンドエフェクタの位置及び姿勢を指令する前記指令として出力してもよい。
【0022】
上記態様によると、グリップの3軸周りの回動量は、エンドエフェクタの姿勢に対応付けることができる。操作アームの屈折量及び旋回量は、エンドエフェクタの位置に対応付けることができる。これにより、ユーザは、グリップを回動させ姿勢を変える操作を入力することでロボットにエンドエフェクタの姿勢を所望の姿勢に移動させることができ、グリップを操作部と共に移動させる操作を入力することでロボットにエンドエフェクタの位置を所望の位置に移動させることができる。さらに、操作アームに対してグリップが球状面に沿って移動し且つ姿勢を変えるように構成されるため、ユーザは、グリップの姿勢を制御しやすく、グリップの姿勢を知覚しやすい。
【0023】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、複数の前記収容体と、前記複数の収容体のそれぞれに隣り合って配置された複数の前記ロボットと、前記複数のロボットのうちから前記操作入力装置と接続される前記ロボットを指定する入力を受け付け、且つ指定された前記ロボットである指定ロボットの情報を出力する指定装置とをさらに備え、前記制御装置は、前記複数のロボットの動作を制御するように構成され、前記指定装置から出力される前記指定ロボットの情報に基づき、前記操作入力装置から出力される前記指令に従って、前記指定ロボットを動作させてもよい。
【0024】
上記態様によると、ユーザは、1つの操作入力装置を用いて、複数のロボットの任意のロボットを動作させることができる。例えば、予め決められた順序、又は、収容体における浮遊物の発生状況等に対応した各収容体からの浮遊物の除去が可能である。また、複数のロボットが同時に動作しないため、ロボット間での接触等の干渉の発生が抑えられる。
【0025】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、前記複数の収容体のそれぞれの前記液状物の表面を撮像する複数の前記撮像装置をさらに備え、前記制御装置は、前記複数の撮像装置の動作を制御するように構成され、前記指定ロボットの情報に基づき、前記指定ロボットに隣り合う前記収容体を撮像可能な前記撮像装置に、前記収容体の前記液状物の表面を撮像させてもよい。
【0026】
上記態様によると、ユーザは、複数の撮像装置によって撮像された各収容体の液状物の画像を視認することができる。これにより、ユーザは、各収容体の液状物の視認結果に基づき、浮遊物の除去対象の収容体を決定し、当該収容体に配置されたロボットに浮遊物を除去させることができる。
【0027】
(実施の形態)
以下において、本開示の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。また、本明細書及び特許請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0028】
[ロボットシステムの構成]
実施の形態に係るロボットシステム1の構成を説明する。
図1は、実施の形態に係るロボットシステム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、ロボットシステム1は、ロボット10と、操作装置20と、制御装置30と、撮像装置40と、提示装置50と、入力装置60とを備える。制御装置30は、第1制御装置31及び第2制御装置32を含む。本実施の形態では、ロボットシステム1は、製鉄工程、製鋼工程又は鋳造工程等において金属の溶融物である溶湯Mの表面上に浮遊する浮遊物Sを除去する作業を行うとして、以下の説明を行う。浮遊物Sの例は、溶湯の処理過程で溶湯に発生するスラグ等の不純物である。
【0029】
本実施の形態では、ロボットシステム1は、マスタースレーブ方式のロボット10を利用したシステムである。操作装置20はマスター機を構成し、ロボット10はスレーブ機を構成する。操作装置20は、ロボット10から離れて遠隔に配置され、ロボット10は、操作装置20によって遠隔操作される。例えば、ロボット10及び撮像装置40は、溶湯Mを収容する溶解炉及び精錬炉等の第1収容体Cmが配置される作業場所WPに配置され、操作装置20、制御装置30、提示装置50及び入力装置60は、第1収容体Cm内の溶湯Mの熱の影響が低減又は遮断された操作室等の操作場所OPに配置されてもよい。操作場所OPは作業場所WPから遮断された場所であってもよい。
【0030】
ロボットシステム1は、手動運転と、自動運転と、手動運転及び自動運転の組み合わせとのうちの少なくとも1つをロボット10に実行させることができるように構成される。これに限定されないが、本実施の形態では、ロボットシステム1は、手動運転と、手動運転及び自動運転の組み合わせとをロボット10に実行させることができるように構成される。以下において、ロボット10に手動運転で動作させる構成を中心に説明する。
【0031】
なお、手動運転では、操作者等のユーザPは操作装置20を操作し動作させて指令を入力し、操作装置20は、操作装置20に入力されるユーザPの操作に対応してロボット10を動作させるための手動指令を制御装置30に出力し、制御装置30は、上記操作に対応した動作をロボット10にさせる。操作装置20は操作入力装置の一例である。
【0032】
自動運転では、ユーザPは、ロボット10の自動運転のための入力を入力装置60へ与え、入力装置60は、上記入力に対応してロボット10を動作させるための自動指令を制御装置30に出力し、制御装置30は、所定の情報に従ってロボット10に自動で動作させる。所定の情報は、ロボット10の各部の位置、姿勢、状態及びこれらの順序等を含む情報であってもよい。例えば、所定の情報は、予め設定された固定データ、及び、ロボット10への教示を介して取得される教示データ等であってもよい。入力装置60は操作入力装置の一例である。
【0033】
手動運転及び自動運転の組み合わせでは、制御装置30は、ロボット10に、自動運転での動作と手動運転での動作とを順に実行させる。例えば、ロボット10が作業のために実行する一連の動作の中に、自動運転での動作と手動運転での動作とが含まれていてもよい。例えば、自動運転から手動運転の切り替えは、一連の動作の進行に対応して制御装置30によって自動的に行われてもよい。手動運転から自動運転の切り替えは、ユーザPによって操作装置20及び入力装置60等に入力される指令に対応して制御装置30によって行われてもよい。
【0034】
ロボット10は、本実施の形態では産業用ロボットである。ロボット10は、基台13上に固定して配置されるが、搬送装置等の移動可能な装置に配置され、移動できるように構成されてもよい。本実施の形態では、ロボット10の基台13は、作業場所WPにおいて、第1収容体Cmの上部の開口部Cmaの周囲の作業床WF上で開口部Cmaと隣り合って配置される。また、ロボット10の動作範囲内には、浮遊物Sを回収するための第2収容体Csが配置されている。つまり、ロボット10は第2収容体Csと隣り合って配置される。第2収容体Csは、作業床WFに直接的に配置されてもよく、作業床WF上のベルトコンベヤ等の搬送装置の上に配置されてもよい。
【0035】
ロボット10は、処理の対象物に対して作用を加えるエンドエフェクタ11と、当該作用を実行するようにエンドエフェクタ11を動かすロボットアーム12とを備える。本実施の形態では、エンドエフェクタ11は、溶湯Mの表面上の浮遊物Sを掻き寄せること及び浮遊物Sを絡みつけることで保持することができるように構成されるとして、以下の説明を行う。
【0036】
ロボットアーム12は、その先端のエンドエフェクタ11の位置及び/又は姿勢を変更することができる構成を有すれば、特に限定されないが、本実施の形態では、垂直多関節型ロボットアームである。なお、ロボットアーム12は、例えば、水平多関節型、極座標型、円筒座標型、直角座標型、又はその他の型式のロボットアームとして構成されてもよい。
【0037】
図2は、実施の形態に係るロボット10の構成の一例を示す側面図である。
図2に示すように、ロボットアーム12は基台13に固定される。ロボットアーム12は、その基部から先端に向かって順に配置されたリンク12a~12fと、リンク12a~12fを順次回転可能に接続する関節JT1~JT6と、関節JT1~JT6それぞれを回転駆動する駆動装置DR1~DR6とを備える。関節JT1~JT6は回転関節である。リンク12aは関節JT1を介して基台13に取り付けられる。リンク12fの先端部はメカニカルインタフェースを構成し、エンドエフェクタ11と接続される。駆動装置DR1~DR6の動作は制御装置30によって制御される。駆動装置DR1~DR6はそれぞれ、電力を動力源とし、これらを駆動する電気モータとしてサーボモータM1~M6(
図5参照)を有するが、これに限定されない。さらに、駆動装置DR1~DR6はそれぞれ、サーボモータM1~M6又は関節JT1~JT6の回転量(例えば、回転角)を検出するエンコーダ等の回転センサE1~E6(
図5参照)を有する。駆動装置DR1~DR6はそれぞれ、サーボモータMA1~MA6の電流値を検出する電流センサ(図示略)を有してもよい。なお、ロボットアーム12の関節の数量は6つに限定されず、7つ以上又は5つ以下であってもよい。
【0038】
例えば、関節JT1は、リンク12aの基端部を基台13の上面13aに、上面13aに垂直な鉛直方向の回転軸を中心に回動可能に連結する。関節JT2は、リンク12bの基端部をリンク12aの先端部に、上面13aに沿う水平方向の回転軸を中心に回動可能に連結する。関節JT3は、リンク12cの基端部をリンク12bの先端部に、水平方向の回転軸を中心に回動可能に連結する。関節JT4は、リンク12dの基端部をリンク12cの先端部に、リンク12cの長手方向である軸心の回転軸を中心に回動可能に連結する。関節JT5は、リンク12eの基端部をリンク12dの先端部に、リンク12dの回転軸と垂直な方向の回転軸を中心に回動可能に連結する。関節JT6は、リンク12eの基端部をリンク12fの先端部に、捻じれ回転軸を中心に回動可能に連結する。
【0039】
上記のようなロボットアーム12は、その動作可能な範囲内において、リンク12fの位置を任意の3次元位置に自在に移動させることができ、リンク12fの姿勢を任意の3次元姿勢に自在に移動させることができる。3次元位置は、3次元空間内での位置であり、例えば、3次元直交座標系での3つの座標軸の座標値等により表され得る。3次元姿勢は、3次元空間内での姿勢であり、例えば、3次元直交座標系での3つの座標軸周りの回転角又はオイラー角等により表され得る。
【0040】
エンドエフェクタ11は、取付部11aと保持部11bと駆動装置11cと力検出器11dとを含む。取付部11aは、リンク12fのメカニカルインタフェースと接続されるように構成され、エンドエフェクタ11をリンク12fに取り付ける。保持部11bは柱状の部材で構成され、保持部11bの基端は取付部11aと回動自在に接続される。よって、保持部11bはその基端を中心に回動する。保持部11bは、その先端に、保持部11bが延びる方向D1と交差する方向D2に延びる先端部11baを有する。方向D2での先端部11baの長さは、方向D1での保持部11bの長さよりも大幅に短い。例えば、先端部11baの形状は、板状、棒状又は楔状の鈎状形状であってもよい。先端部11baは、方向D1及びD2と交差する方向D3で幅広に形成されていてもよい。
図2では、方向D1、D2及び方向D3は互いに垂直な関係にある。
【0041】
駆動装置11cは、取付部11aに配置され、保持部11bの回転軸11bbを回転駆動する。本実施の形態では、保持部11bの回転軸11bbの方向は、リンク12fの捻じれ回転軸S6の方向と垂直な方向であり且つ方向D3に沿う方向であるが、これに限定されず、例えば、捻じれ回転軸S6の方向と斜めに交差する方向であってもよい。駆動装置11cは、電力を動力源とし、これらを駆動する電気モータとしてサーボモータM7(
図5参照)を有するが、これに限定されない。さらに、駆動装置11cは、サーボモータM7又は保持部11bの回転量(回転角)を検出する回転センサE7(
図5参照)を有する。駆動装置11cは、サーボモータM7の電流値を検出する電流センサ(図示略)を有してもよい。
【0042】
力検出器11dは、取付部11aとリンク12fとの間に配置され、取付部11aとリンク12fとの間で作用する力を検出する。力検出器11dは、エンドエフェクタ11が受ける力を検出することができる。力検出器11dは、力の検出値を示す信号を第1制御装置31に出力する。本実施の形態では、力検出器11dは、直交する3軸方向の力と、3軸周りの回転力であるモーメントとを含む6軸の力を検出する力センサであるが、これに限定されない。なお、力検出器11dが検出する力は、上記の6軸の力に限定されず、例えば、6軸のうちのいくつかの軸の力であってもよい。
【0043】
第1制御装置31は、駆動装置11cに保持部11bを回動させて保持部11bの向きを変え、ロボットアーム12にエンドエフェクタ11を移動させることで、第1収容体Cmの溶湯Mの表面上の浮遊物Sの掻き寄せ及び保持をエンドエフェクタ11にさせることができる。なお、エンドエフェクタ11の構成は、浮遊物Sを移動させることができる構成であればよい。
【0044】
図1に示すように、撮像装置40は、第1収容体Cmの開口部Cmaを少なくとも撮像するように配置される。本実施の形態では、撮像装置40は、可視画像であるデジタル画像の動画像を撮像することができる可視カメラを含むが、これに限定されない。撮像装置40は、例えば第1制御装置31の指令に従って撮像動作を行い、撮像された画像の信号等を第1制御装置31に送る。例えば、撮像装置40は、ロボットアーム12の傍らにユーザPが位置する場合にユーザPが見る開口部Cmaの像と同様の像を写し出すように配置されてもよい。この場合、撮像装置40は、開口部Cmaの上方に配置され下方へ指向されることが好ましい。しかしながら、ロボットアーム12には、遮熱のための防護部材が配置される場合があり、防護部材が撮像装置40に対して開口部Cmaの一部を隠す可能性がある。このため、
図1では、撮像装置40は、開口部Cmaと基台13との間においてロボットアーム12の上方に配置され、斜め下方の開口部Cmaへ指向される。
【0045】
なお、1つの開口部Cmaに対して複数の撮像装置40が配置されてもよい。
図1に示す撮像装置40によって撮像された画像では、斜め上方から視られた開口部Cmaの像が、歪んで写し出される可能性がある。このため、複数の撮像装置40によって撮像された複数の画像を処理することで、正面から視られた開口部Cmaの像を写し出す画像が、第1制御装置31等によって生成されてもよい。
【0046】
なお、撮像装置40は、熱画像カメラを含んでもよい。例えば、熱画像カメラは、放射される赤外線を検出し、赤外線の分布を示す熱画像を生成する赤外線カメラ等であってもよい。撮像装置40は、撮像された熱画像の信号等を第1制御装置31に出力する。
【0047】
提示装置50は、制御装置30から受け取るロボットシステム1を動作させるための画像及び音声等を、ロボットシステム1のユーザPに提示する。提示装置50の例は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)及び有機又は無機ELディスプレイ(Electro-Luminescence Display)等であるが、これらに限定されない。提示装置50は、音声を発するスピーカを備えてもよい。例えば、提示装置50は、撮像装置40によって撮像された画像及び当該画像の処理画像を、操作装置20を操作するユーザPに提示する。
【0048】
入力装置60は、種々の情報、データ及び指令等の入力を受け付け、受け付けた情報等を第1制御装置31に出力する。例えば、入力装置60は、レバー、ボタン、タッチパネル、ジョイスティック、モーションキャプチャ等の公知の入力手段を備えてもよい。例えば、入力装置60は、教示装置の1つであるティーチングペンダント等であってもよい。
【0049】
図3は、実施の形態に係る操作装置20の構成の一例を示す斜視図である。
図4は、
図3の操作部230を拡大して示す斜視図である。
図3に示すように、操作装置20は、支持台210と操作アーム220と操作部230とを備える。支持台210は、操作装置20の配置面上で操作装置20を支持する台である。支持台210は、その上部で操作アーム220を支持する。
【0050】
操作アーム220は、エンドエフェクタ11の位置を指令するための操作を受け付ける。操作アーム220は多関節アームで構成される。操作アーム220は、リンク221~223と、関節JA1~JA3と、駆動装置DRA1~DRA3とを備える。関節JA1~JA3は回転関節である。なお、関節の数量は3つ以外でもよい。
【0051】
関節JA1は、リンク221の基端部を支持台210の上面211に、上面211と垂直な方向に延びる回転軸SA1を中心に回転可能に連結する。関節JA2は、リンク222の基端部をリンク221の先端部に、回転軸SA1と垂直な方向に延びる回転軸SA2を中心に回転可能に連結する。関節JA3は、リンク223の基端部をリンク222の先端部に、回転軸SA2と平行な方向に延びる回転軸SA3を中心に回転可能に連結する。
【0052】
関節JA1は、回転軸SA1を中心とする操作アーム220の旋回を可能にする。関節JA2及びJA3は、回転軸SA2及びSA3を中心する操作アーム220の屈曲を可能にする。操作アーム220は、リンク223の先端部を3次元空間内の様々な位置に移動させることができる。例えば、リンク223の先端部の位置は、関節JA1の回転量(例えば、回転角)により決まる方位と、関節JA2及びJA3の回転量(回転角)により決まる仰角及び距離とで表され得る。
【0053】
駆動装置DRA1~DRA3はそれぞれ、関節JA1~JA3と駆動力を伝達可能に接続される。駆動装置DRA1は支持台210に配置され、駆動装置DRA2及びDRA3は関節JA2に隣り合って配置される。駆動装置DRA1及びDRA2はそれぞれ、例えば、減速機等の伝達機構(図示略)を介して関節JA1及びJA2と接続される。駆動装置DRA3は、例えば、減速機、ベルト及びプーリ等の伝達機構(図示略)を介して関節JA3と接続される。駆動装置DRA1~DRA3はそれぞれ、関節JA1~JA3と共に動作する。駆動装置DRA1~DRA3はそれぞれ、ユーザPによって関節JA1~JA3が動作させられると、同様に動作させられ、駆動力を発生することで、関節JA1~JA3に回転力を与えることができる。例えば、駆動装置DRA1~DRA3は、操作アーム220の先端部を移動させるユーザPの操作力に対する反力をユーザPに与えることができる。
【0054】
操作部230は、エンドエフェクタ11の姿勢を指令するための操作を受け付ける。
図3及び
図4に示すように、操作部230は、リンク231~235と駆動装置DRA4~DRA6とを備える。リンク231は、ユーザPが握ることができるグリップ231aと、駆動装置DRA4と接続される軸部231bとを有する。グリップ231aは、軸部231bから離れた位置で外方へ、例えば、操作アーム220に対して支持台210と反対側に突出する。さらに、リンク231は、グリップ231aに入力要素231cを備える。入力要素231cは、エンドエフェクタ11の駆動装置11cを動作させるための指令の入力を受け付ける。本実施の形態では、入力要素231cは、2つの押しボタンを備えるが、上記機能を有すればその構成は限定されない。一方の押しボタンは、押圧されON状態となることで、駆動装置11cに保持部11bを一方向に回動させる指令を出力し、押圧が解除されOFF状態となることで、駆動装置11cに上記回動を停止させる指令を出力する。他方の押しボタンは、ON状態で駆動装置11cに保持部11bを一方向と反対方向に回動させる指令を出力し、OFF状態で駆動装置11cに上記回動を停止させる指令を出力する。
【0055】
リンク232は、リンク231及び234それぞれと接続される接続部232a及び232bを有する。第1接続部232aは、リンク231の軸部231bの円筒状の外周面に外側から嵌まり、軸部231bの外周面上で回転軸SB1を中心に回動することができる。回転軸SB1は、軸部231bの軸心でもある。
【0056】
リンク233は、リンク231及び235それぞれと接続される接続部233a及び233bを有する。第1接続部233aは、リンク231の軸部231bの外周面に外側から嵌まり、軸部231bの外周面上で回転軸SB1を中心に回動することができる。第1接続部233aは、リンク232の第1接続部232aと回転軸SB1の軸方向で並んで配置される。駆動装置DRA4が第1接続部233aに固定される。リンク231~233は回転軸SB1を中心に相対的に回動することができる。
【0057】
リンク234は、リンク232の第2接続部232bと接続される第1接続部234aと、操作アーム220のリンク223の先端部と接続される第2接続部234bとを有する。第1接続部234aは、第2接続部232bと回転軸SB2を中心に回動可能に連結される。第2接続部234bは、プーリで構成され、リンク223の先端部と回転軸SB4を中心に回動可能に連結される。回転軸SB2の方向は、回転軸SB1の方向及び回転軸SB4の方向と斜めに交差する方向である。
【0058】
リンク235は、リンク233の第2接続部233bと接続される第1接続部235aと、操作アーム220のリンク223の先端部と接続される第2接続部235bとを有する。第1接続部235aは、第2接続部233bと回転軸SB3を中心に回動可能に連結される。第2接続部235bは、プーリで構成され、リンク223の先端部と回転軸SB5を中心に回動可能に連結される。回転軸SB3の方向は、回転軸SB1の方向及び回転軸SB5の方向と斜めに交差する方向である。回転軸SB5は、回転軸SB4と平行であり、本実施の形態では、同軸である。さらに、回転軸SB5は、操作アーム220の回転軸SA3とも平行である。例えば、回転軸SB2の方向と回転軸SB3の方向とは、回転軸SB5の軸方向でリンク223の先端部から離れる方向且つ回転軸SB1の軸方向で第2接続部232b及び233bから離れる方向に頂点を有する鈍角を形成するように、斜めに交差する。
【0059】
よって、グリップ231aは、回転軸SB1を中心に円周方向CD1の円周軌道に沿って移動することができる。例えば、グリップ231aは、回転軸SB1を中心にヨーイング方向に移動することができる。このとき、駆動装置DRA4はリンク231と共にその駆動軸を回転させる。
【0060】
また、グリップ231aは、回転軸SB4及びSB5を中心に、円周方向CD1と交差する方向の円周方向CD2の円周軌道に沿って移動することができる。例えば、グリップ231aは、回転軸SB4及びSB5を中心にピッチング方向に移動することができる。このとき、リンク234及び235の第2接続部234b及び235bは、同じ回動方向に同じ回動量で回動する、つまり同期して回動する。
【0061】
また、グリップ231aは、回転軸SB2及びSB3を中心に、円周方向CD1及び円周方向CD2と交差する方向の円周方向CD3に回転し姿勢を変えることができる。例えば、グリップ231aは、グリップ231aの軸心を中心に回転することができる。グリップ231aは、回転軸SB2及びSB3を中心にローリング方向に移動することができる。このとき、リンク232及び233は、第2接続部232b及び233bを同じ方向に回動させつつ、第1接続部232a及び233aを互いに反対方向に回動させる。これにより、リンク234及び235の第2接続部234b及び235bは、互いに反対方向に回動する。よって、第2接続部234bの回転方向の位相と第2接続部235bの回転方向の位相との差異が増加又は減少する。
【0062】
上記のような操作部230は、グリップ231aを球状面に沿って様々な位置に移動させることができ、当該位置においてグリップ231aの姿勢を変えることができる。例えば、グリップ231aの姿勢は、回転軸SB1を中心とする回転量(回転角)により決まるヨーイング角と、回転軸SB4及びSB5を中心とする回転量(回転角)により決まるピッチング角と、回転軸SB2及びSB3を中心とする回転量(回転角)により決まるローリング角とで表され得る。操作部230では、グリップ231aは、リンク232及び234とリンク233及び235との平行する2つのリンクの組によって支持される。これに限定されないが、本実施の形態では、ヨーイング回転の中心軸と、ピッチング回転の中心軸と、ローリング回転の中心軸とは、1つの点で互いに垂直に交差する。これにより、グリップ231aは、上記点を中心とする球面に沿って移動することができる。このような操作部230の機構は球面パラレルリンク機構を構成する。
【0063】
駆動装置DRA4、DRA5及びDRA6はそれぞれ、リンク231、234及び235と駆動力を伝達可能に接続される。駆動装置DRA4はリンク233に配置され、例えば、減速機等の伝達機構(図示略)を介してリンク231の軸部231bと接続される。駆動装置DRA5及びDRA6は、操作アーム220のリンク221によって支持される。駆動装置DRA5及びDRA6はそれぞれ、例えば、減速機、プーリ及びベルト等の伝達機構(図示略)を介してリンク234及び235の第2接続部234b及び235bと接続される。駆動装置DRA4~DRA6は、リンク231、234及び235と共にそれぞれの駆動軸を回転させる。駆動装置DRA4~DRA6はそれぞれ、ユーザPによってグリップ231aを介してリンク231、234及び235が動作させられると、同様に動作させられ、駆動力を発生することで、リンク231、234及び235に回転力を与えることができる。例えば、駆動装置DRA4~DRA6は、グリップ231aの球状面に沿った移動及び姿勢の移動を行うユーザPの操作力に対する反力をユーザPに与えることができる。駆動装置DRA1~DRA6は力付与装置の一例である。
【0064】
駆動装置DRA1~DRA6はそれぞれ、電力を動力源とし、これらを駆動する電気モータとしてサーボモータMA1~MA6(
図5参照)を有するが、これに限定されない。さらに、駆動装置DRA1~DRA3はそれぞれ、関節JA1~JA3の回転量(回転角)を検出する回転センサEA1~EA3(
図5参照)を有する。駆動装置DRA4~DRA6はそれぞれ、リンク231、234及び235の回転量(回転角)を検出する回転センサEA4~EA6(
図5参照)を有する。駆動装置DRA1~DRA6はそれぞれ、サーボモータMA1~MA6の電流値を検出する電流センサ(図示略)を有してもよい。各回転センサEA1~EA6並びに各電流センサは、検出値を示す信号を第2制御装置32に出力する。サーボモータMA1~MA6は、第2制御装置32から受け取る指令に従って駆動する。
【0065】
図5は、実施の形態に係る制御装置30及びその周辺の構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、制御装置30は、第1制御装置31及び第2制御装置32を含む。第1制御装置31は、ロボット10全体の動作を制御し、第2制御装置32は、操作装置20全体の動作を制御する。例えば、第1制御装置31及び第2制御装置32は、コンピュータ装置であってもよい。第1制御装置31は、第2制御装置32、撮像装置40、提示装置50及び入力装置60と通信可能に接続されている。第2制御装置32は、第1制御装置31及び操作装置20と信可能に接続されている。通信の形式は、有線通信及び無線通信のいかなる通信形式であってもよい。第1制御装置31は、操作装置20又は入力装置60が受け付けた指令に応答してロボット10を動作させる。第1制御装置31は、エンドエフェクタ11が受ける力に対応する反力をグリップ231aに与える等のために、第2制御装置32に情報等を送信する。第1制御装置31は、撮像装置40によって撮像された画像又は当該画像の処理画像等を提示装置50に出力する。第2制御装置32は、操作装置20で受け付けられた情報及び指令等を、第1制御装置31に出力する。また、第2制御装置32は、第1制御装置31から受け取る情報及び指令等に基づき、操作装置20の駆動装置DRA1~DRA6の動作等を制御する。
【0066】
第1制御装置31は、駆動回路C1~C7それぞれを介して、ロボット10のサーボモータM1~M7(
図5では「SM」と表記)と電気的に接続される。駆動回路C1~C7はそれぞれ、第1制御装置31の指令に従って、サーボモータM1~M7に供給する電流の電流値を調節する。第1制御装置31は、ロボット10の回転センサE1~E6(
図5では「EN」と表記)と電気的に接続される。第2制御装置32は、駆動回路CA1~CA6それぞれを介して、操作装置20のサーボモータMA1~MA6と電気的に接続される。駆動回路CA1~CA6はそれぞれ、第2制御装置32の指令に従って、サーボモータMA1~MA6に供給する電流の電流値を調節する。第2制御装置32は、操作装置20の回転センサEA1~EA6と電気的に接続される。第1制御装置31及び駆動回路C1~C7は第1制御ユニット310を構成し、第2制御装置32及び駆動回路CA1~CA6は第2制御ユニット320を構成する。
【0067】
第1制御装置31は、プロセッサ及びメモリ等を有する演算器で構成される。演算器は、操作装置20を含む他の装置との情報、データ及び指令等の送受信を行う。演算器は、各種センサからの検出信号の入力及び各制御対象への制御信号の出力を行う。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリなどの半導体メモリ、ハードディスク及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成される。例えば、メモリは、演算器が実行するプログラム、及び各種固定データ等を記憶する。
【0068】
演算器の機能は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ及びROM(Read-Only Memory)などの不揮発性メモリ等からなるコンピュータシステム(図示略)により実現されてもよい。演算器の機能の一部又は全部は、CPUがRAMをワークエリアとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって実現されてもよい。なお、演算器の機能の一部又は全部は、上記コンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0069】
このような第1制御装置31は、例えば、マイクロコントローラ、MPU(Micro Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)、システムLSI、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等で構成されてもよい。第1制御装置31の複数の機能は、個別に1チップ化されることで実現されてもよく、一部又は全てを含むように1チップ化されることで実現されてもよい。また、回路はそれぞれ、汎用的な回路でもよく、専用の回路でもよい。LSIとして、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続及び/又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサ、又は、特定用途向けに複数の機能の回路が1つにまとめられたASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が利用されてもよい。
【0070】
第2制御装置32の機能の一部又は全部は、CPU、RAM及びROM等からなるコンピュータシステム(図示略)により実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0071】
第1制御装置31及び第2制御装置32はそれぞれ、単一のコンピュータ装置による集中制御により各処理を実行してもよく、複数のコンピュータ装置の協働による分散制御により各処理を実行してもよい。第1制御装置31及び第2制御装置32は、単一のコンピュータ装置に含まれてもよい。
【0072】
[第1制御装置及び第2制御装置の機能的構成]
図6は、実施の形態に係る制御装置30の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、第1制御装置31は、画像処理部311と、情報処理部312と、動作指令部313及び314と、動作制御部315と、記憶部316とを機能的構成要素として含む。第2制御装置32は、入力処理部321と、操作指令部322と、動作指令部323と、動作制御部324とを機能的構成要素として含む。記憶部316を除く上記機能的構成要素の機能は、コンピュータシステム及び/又はハードウェア回路によって実現される。記憶部316は、メモリによって実現される。上記機能的構成要素の全てが必須ではない。
【0073】
第2制御装置32の入力処理部321は、操作装置20から情報及び指令等を受け取り処理し、第1制御装置31及び/又は操作指令部322に出力する。例えば、入力処理部321は、操作装置20の回転センサEA1~EA6の検出値から、グリップ231aの位置、姿勢、位置の移動速度及び姿勢の移動速度等に対応する情報を検出し、操作指令部322に出力する。また、入力処理部321は、入力要素231cの2つの押しボタンのON信号及びOFF信号から、エンドエフェクタ11の駆動装置11cに指令される駆動、駆動停止及び駆動方向を表す情報を検出し、操作指令部322に出力する。
【0074】
例えば、入力処理部321は、回転センサEA1~EA3の検出値から、操作アーム220の関節JA1の基準点(図示略)に対するグリップ231aの方位、仰角及び距離、並びにこれらの変化速度等を、グリップ231aの位置及びその移動速度に対応する位置姿勢情報として検出する。入力処理部321は、回転センサEA4~EA5の検出値から、グリップ231aのヨーイング角、ピッチング角及びローリング角、並びにこれらの変化速度等を、グリップ231aの姿勢及びその移動速度に対応する位置姿勢情報として検出する。
【0075】
操作指令部322は、入力処理部321によって検出された位置姿勢情報に基づき、エンドエフェクタ11の位置、姿勢、位置の移動速度及び姿勢の移動速度等を指令するための操作動作指令を生成し、第1制御装置31に出力する。操作動作指令は手動指令の一例である。例えば、操作指令部322は、操作アーム220の関節JA1の基準点に対するグリップ231aの方位、仰角及び距離、並びにこれらの変化速度等を、上記基準点を原点とする3次元の直交座標系(以下、「操作座標系」とも呼ぶ)の座標値に変換してもよい。操作指令部322は、グリップ231aのヨーイング角、ピッチング角及びローリング角、並びにこれらの変化速度等を、グリップ231aが移動する球状面の中心(図示略)を原点とする3次元の直交座標系(以下、「先端座標系」とも呼ぶ)の座標軸周りの回転角及びその変化速度に変換してもよい。先端座標系はリンク223の先端部を基準とする座標系である。操作指令部322は、上記変換後の指令値を含む操作動作指令を生成してもよい。また、操作指令部322は、入力処理部321によって検出されたグリップ231aの入力要素231cの情報に基づき、エンドエフェクタ11の駆動装置11cに対する駆動、駆動停止及び駆動方向の指令を含む操作動作指令を生成する。
【0076】
なお、グリップ231aの位置及び位置の移動速度は、エンドエフェクタ11の位置及び位置の移動速度に対応する。グリップ231aの姿勢及び姿勢の移動速度は、エンドエフェクタ11の姿勢及び姿勢の移動速度に対応する。例えば、操作座標系はロボット座標系と対応付けられ、先端座標系はメカニカルインタフェース座標系(以下、「I/F座標系」とも表記する)と対応付けられ得る。ロボット座標系は、ロボットアーム12の基台13等に設定された基準点(図示略)を原点とし且つロボット10を基準とする座標系である。I/F座標系は、ロボットアーム12のリンク12fのメカニカルインタフェース面に設定された基準点(図示略)を原点とし且つメカニカルインタフェース面を基準とする座標系である。ロボット座標系及び操作座標系それぞれを用いて、エンドエフェクタ11及びグリップ231aの3次元位置が表され得る。I/F座標系及び先端座標系それぞれを用いて、エンドエフェクタ11及びグリップ231aの3次元姿勢が表され得る。
【0077】
動作指令部323は、第1制御装置31から力指令を受け取り、当該力指令に従ってグリップ231aに力を与えるための動作指令を生成し、動作制御部324に出力する。動作指令は、グリップ231aに力を与えるように駆動装置DRA1~DRA6を駆動させるための指令である。
【0078】
力指令は、エンドエフェクタ11の力検出器11dの検出値に基づき第1制御装置31によって生成された指令である。上記力指令は、力検出器11dによって検出された力の大きさ及び方向に対応する大きさ及び方向の力をグリップ231aに付与するための指令である。
【0079】
例えば、上記力指令は、ロボット座標系での力の大きさ及び方向の指令値とI/F座標系での力の大きさ及び方向の指令値とを含んでもよい。動作指令部323は、力指令に含まれるロボット座標系及びI/F座標系それぞれでの力の大きさ及び方向の指令値に演算処理をすることで、操作座標系及び先端座標系での力の大きさ及び方向の目標値を検出する。さらに、動作指令部323は、操作座標系での上記目標値の力を発生させるための駆動装置DRA1~DRA3のサーボモータMA1~MA3の回転方向、回転量及び回転トルク等と、先端座標系での上記目標値の力を発生させるための駆動装置DRA4~DRA6のサーボモータMA4~MA6の回転方向、回転量及び回転トルク等とを演算する。動作指令部323は、サーボモータMA1~MA6の回転方向及び回転量を示す位置指令と、サーボモータMA1~MA6の回転トルクを示す力指令とを含む動作指令を生成する。動作指令部323は、上記指令の生成において、サーボモータMA1~MA6の回転センサEA1~EA6及び電流センサ(図示略)等の検出値をフィードバック情報として用いてもよい。
【0080】
ロボット座標系での力の大きさ及び方向の指令値は、エンドエフェクタ11が受ける直線的な力の大きさ及び方向に対応する。操作座標系での力の大きさ及び方向の目標値は、グリップ231aに与える直線的な力の大きさ及び方向に対応する。I/F座標系での力の大きさ及び方向の指令値は、エンドエフェクタ11が受ける回転力、つまりモーメントの大きさ及び方向に対応する。先端座標系での力の大きさ及び方向の目標値は、グリップ231aに与える回転力(モーメント)の大きさ及び方向に対応する。
【0081】
動作制御部324は、動作指令部323から受け取る動作指令に従って各サーボモータMA1~MA6を駆動させるように各サーボモータMA1~MA6に供給する電流値を決定し、電流の供給を制御する。さらに、動作制御部324は、上記制御において、サーボモータMA1~MA6の回転センサEA1~EA6及び電流センサ(図示略)等の検出値をフィードバック情報として用いてもよい。このような動作制御部324はサーボ制御する。その結果、グリップ231aを操作するユーザPは、エンドエフェクタ11が受ける力に対応する力を、操作力に対する反力として知覚する。
【0082】
第1制御装置31の画像処理部311は、撮像装置40から、撮像された画像データを受け取り、当該画像データを提示装置50に出力し表示させる。画像処理部311は、画像データに画像処理を加えて提示装置50に出力してもよい。画像処理部311は画像処理装置の一例である。
【0083】
例えば、画像処理部311は、画像データの各画素の画素値である輝度値に基づき、溶湯Mの像と浮遊物Sの像とを視覚的等により差異付ける画像処理を、当該画像データに行ってもよい。例えば、画像処理部311は、画素の色、明暗、濃淡及びテクスチャ等を変更する処理を行ってもよい。例えば、画像処理部311は、閾値以上の輝度値の画素と閾値未満の輝度値の画素とに対して異なる画像処理を行ってもよい。例えば、上記処理は、溶湯Mの像が閾値以上の輝度値の画素に対応し、浮遊物Sの像が閾値未満の輝度値の画素に対応する場合、閾値未満の輝度値の画素を閾値以上の輝度値の画素よりも視覚的等により目立たせる処理であってもよい。
【0084】
また、作業場所WPに第1収容体Cm内の溶湯Mの表面の温度を検出する温度センサ(図示略)が設けられてもよい。温度センサは、溶湯Mの表面から離れた位置で当該表面の温度を検出できることが好ましく、例えば、赤外線センサ等であってもよい。撮像装置40が熱画像カメラを含む場合、温度センサは熱画像カメラで代替され得る。画像処理部311は、温度センサ又は熱画像カメラから、溶湯Mの表面の温度分布を示す温度データを受け取り、当該温度データを用いて撮像装置40の画像データに画像処理を行ってもよい。画像処理部311は、温度データに示される温度分布に基づき、溶湯Mと浮遊物Sとを視覚的等により差異付ける画像処理を行ってもよい。
【0085】
例えば、画像処理部311は、温度データに基づき温度分布を表す画像データを生成し、撮像装置40の画像データ上に重畳表示させる処理を行ってもよい。又は、画像処理部311は、温度分布を表す画像データと撮像装置40の画像データとを並べて表示する処理を行ってもよい。又は、画像処理部311は、閾値以上の温度の領域を写し出す画素と、閾値未満の温度の領域を写し出す画素とに対して異なる画像処理を行ってもよい。例えば、上記処理は、溶湯Mの像が閾値以上の温度の画素に対応し、浮遊物Sの像が閾値未満の温度の画素に対応する場合、画素の色、明暗、濃淡及びテクスチャ等を変更することで、閾値未満の温度の画素を閾値以上の温度の画素よりも視覚的等により目立たせる処理であってもよい。
【0086】
例えば、撮像装置40が、被写体までの距離を検出することできる画像を撮像するステレオカメラ等を含む場合、画像処理部311は、各画素に写し出される被写体までの距離を検出することで、撮像装置40によって撮像された画像の距離画像及び3次元画像等を生成してもよい。
【0087】
記憶部316は、種々の情報の格納つまり記憶することができ、且つ、格納した情報の読み出しを可能にする。例えば、記憶部316は、画像処理部311が用いる閾値、及び、後述する第2動作指令部314が用いる閾値等を記憶する。記憶部316は、撮像装置40によって撮像された画像データ及び画像処理部311による処理後の画像データ等を記憶してもよい。記憶部316は、第1制御装置31の各機能を実現するためのプログラムを格納してもよい。記憶部316は、ロボット10に自動運転させるときにプログラムが用いる情報である自動運転情報を記憶してもよい。自動運転情報は、予め設定された固定データ及び教示データ等であってもよい。
【0088】
情報処理部312は、第2制御装置32及び入力装置60から種々の情報及び指令等を受け取り、対応する機能的構成要素に出力する。例えば、情報処理部312は、第2制御装置32から操作動作指令を受け取り、動作指令部313及び314に出力する。情報処理部312は、入力装置60から、ロボット10に実行させる自動運転の動作を指示する指令、及び、自動運転の実行を指示する指令等を受け取り、第1動作指令部313に出力する。上記指令は、自動指令の一例である。
【0089】
第1動作指令部313は、操作動作指令及び自動指令に従ってロボット10の動作指令を生成し、動作制御部315に出力する。例えば、第1動作指令部313は、操作動作指令に含まれる操作座標系での指令値をロボット座標系での指令値に変換する。なお、グリップ231aの動作可能範囲とエンドエフェクタ11の動作可能範囲とが異なり、グリップ231aの移動量とエンドエフェクタ11の移動量との間でスケールが異なる。このため、第1動作指令部313は、操作座標系での指令値を所定の割合に増大させた指令値をロボット座標系での指令値に変換してもよい。また、第1動作指令部313は、操作動作指令に含まれる先端座標系での指令値をI/F座標系での指令値に変換する。このとき、第1動作指令部313は、先端座標系での指令値を所定の割合に増大させた指令値をI/F座標系での指令値に変換してもよい。
【0090】
第1動作指令部313は、ロボット座標系での指令値及びI/F座標系での指令値に従ってエンドエフェクタ11を移動させるための、駆動装置DR1~DR6のサーボモータM1~M6の回転方向、回転量及び回転トルク等を演算する。また、第1動作指令部313は、操作動作指令に含まれるエンドエフェクタ11への指令に従って駆動装置11cに駆動させるためのサーボモータM7の回転方向、回転量及び回転トルク等を演算する。また、第1動作指令部313は、自動指令に対応する自動運転情報を記憶部316から読み出し、自動運転情報に従って駆動装置DR1~DR6及び11cに駆動させるためのサーボモータM1~M7の回転方向、回転量及び回転トルク等を演算する。第1動作指令部313は、サーボモータM1~M7の回転方向及び回転量等を位置指令として含む動作指令を生成する。第1動作指令部313は、上記指令の生成において、サーボモータM1~M7の回転センサE1~E7等の検出値をフィードバック情報として用いてもよい。
【0091】
ここで、動作指令は、位置指令及び力指令の少なくとも1つを含む。位置指令は、制御対象の位置、姿勢、並びに、位置及び姿勢の速度の目標値のうち、少なくとも位置の目標値を含み、本実施の形態では、全ての目標値を含む。上記位置及びその速度は、3次元空間内の位置及び速度を表し、上記姿勢及びその速度は、3次元空間内の姿勢及び速度を表してもよい。さらに、位置指令は、位置指令の実行時刻を含んでもよい。また、力指令は、制御対象が加える力の大きさ及び方向の目標値のうち、少なくとも力の大きさの目標値を含み、本実施の形態では、両方の目標値を含む。力の方向は、3次元空間内の方向を表してもよい。力指令は、力指令の実行時刻を含んでもよい。本明細書及び特許請求の範囲において、「位置」とは、3次元空間内の位置、位置の速度、姿勢及び姿勢の速度のうちの少なくとも3次元空間内の位置を含むことを意味し得る。
【0092】
動作制御部315は、第1動作指令部313から受け取る動作指令に従って各サーボモータM1~M7を駆動させるように各サーボモータM1~M7に供給する電流値を決定し、電流の供給を制御する。さらに、動作制御部315は、上記制御において、サーボモータM1~M7の回転センサE1~E7及び電流センサ(図示略)並びにエンドエフェクタ11の力検出器11d等の検出値をフィードバック情報として用いてもよい。このような動作制御部315はサーボ制御する。その結果、例えば、ロボットアーム12は、操作装置20のグリップ231aの動きを対応してエンドエフェクタ11を動作させる。
【0093】
第2動作指令部314は、ロボット10の動作情報を動作制御部315から受け取り、当該動作情報を用いて、操作装置20に対する動作指令を生成し、第2制御装置32に出力する。上記動作指令は、力指令を含むが、位置指令を含んでもよい。
【0094】
ロボット10の動作情報は、ロボットアーム12及びエンドエフェクタ11の動作データのうちの少なくとも一方を含む。ロボットアーム12の動作データは、動作時におけるリンク12fのインタフェース面及び/又は関節JT1~JT6等の位置等を表す位置データを含む。ロボットアーム12の動作データは、エンドエフェクタ11つまりインタフェース面が対象物に加える力を表す力データも含んでもよい。インタフェース面が対象物に加える力は、インタフェース面が対象物から受ける力でもある。エンドエフェクタ11の動作データは、保持部11bの回動位置を表すデータを含む。位置データは、3次元空間内の位置と3次元空間内の姿勢とを含んでもよい。力データは、力の大きさと3次元空間内の力の方向とを含んでもよい。位置データ及び力データは、各位置及び各力の発生時刻と関連付けられた時系列データであってもよい。
【0095】
また、動作情報は、動作データ以外の情報として、リンク12fのインタフェース面で発生する振動データ、衝撃データ、光データ、音データ、温度データ、湿度データ、気圧などの圧力データ等を含んでもよい。本実施の形態で扱われる動作情報は、少なくとも動作データを含む。
【0096】
第2動作指令部314は、動作データに含まれる関節JT1~JT6の回転量(回転角)を用いて、リンク12fのインタフェース面の3次元位置及び3次元姿勢を、ロボット座標系で演算する。さらに、第2動作指令部314は、インタフェース面の3次元位置及び3次元姿勢から、I/F座標系を決定する。第2動作指令部314は、動作データに含まれる力検出器11dの6軸の検出値を演算処理することで、ロボット座標系及びI/F座標系での力の指令値を含む動作指令(力指令)を生成する。例えば、第2動作指令部314は、力検出器11dの検出値から、ロボット座標系での直線的な力の大きさ及び方向を検出し、I/F座標系での回転力の大きさ及び方向を検出する。第2動作指令部314は、ロボット座標系での検出値及びI/F座標系での検出値の少なくとも一方を所定の割合に減少させることで、ロボット座標系及びI/F座標系での力の指令値を決定する。
【0097】
なお、第2動作指令部314は、ロボット座標系及びI/F座標系での指令値を減少させる場合、指令値の大きさに対応して上記割合を異ならせてもよい。例えば、第2動作指令部314は、ロボット座標系での指令値の力の大きさが0超且つ第1閾値以下である場合、当該指令値の力の大きさを第1割合に減少させたものを指令値に決定し、ロボット座標系での指令値の力の大きさが第1閾値超である場合、当該指令値の力の大きさを第2割合に減少させたものを指令値に決定してもよい。なお、第2割合は第1割合よりも小さくてもよい。
【0098】
また、第2動作指令部314は、I/F座標系での指令値の力の大きさが0超且つ第1閾値以下である場合、当該指令値の力の大きさを第1割合に減少させたものを指令値に決定し、I/F座標系での指令値の力の大きさが第1閾値超である場合、当該指令値の力の大きさを第2割合に減少させたものを指令値に決定してもよい。なお、I/F座標系とロボット座標系との間で、第1閾値、第1割合及び第2割合は同じ値でなくてもよい。
【0099】
例えば、第1閾値が、エンドエフェクタ11の保持部11bと浮遊物Sとの接触時の力の大きさに対応する値に設定されてもよい。0超且つ第1閾値以下での力は、保持部11bと浮遊物Sとの接触及び非接触時の力に対応し、第1閾値超での力は、保持部11bでの浮遊物Sの移動、引き上げ及び保持等のときの力に対応する。0超且つ第1閾値以下では減少される割合がより小さいため、決定された指令値は、保持部11bと浮遊物Sとの接触の有無をより明確に示すことができる。第1閾値超では減少される割合がより大きいため、決定された指令値は、グリップ231aへの過度な力の付与を抑える。なお、第1割合は、指令値を増加させる割合であってもよい。
【0100】
また、第1閾値よりも大きい第2閾値超では、第2動作指令部314は、第2割合よりも小さい第3割合に指令値を減少するように構成されてもよい。これにより、グリップ231aへの過度な力の付与が抑えられる。
【0101】
[ロボットシステムの動作]
実施の形態に係るロボットシステム1の動作を説明する。
図7は、実施の形態に係るロボットシステム1の手動運転での動作の一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、ステップS1において、ユーザPは、ロボットシステム1の入力装置60に、手動運転によりロボット10を用いて浮遊物Sを除去する作業を開始する指令を入力し、第1制御装置31は当該指令を受け付ける。
【0102】
次いで、ステップS2において、第1制御装置31は、撮像装置40に起動させ、第1収容体Cmの溶湯Mの表面を撮像させる。第1制御装置31は、撮像装置40から受け取る溶湯Mの画像を提示装置50に表示させる。
【0103】
次いで、ステップS3において、ユーザPは、提示装置50の画像を視認しつつ、操作装置20のグリップ231aを握り、意図する方向及び姿勢にグリップ231aを移動させる。例えば、ユーザPは、以下の動作を意図してグリップ231aを操作する。つまり、ロボットアーム12が、エンドエフェクタ11の保持部11bにより、溶湯Mの表面上の浮遊物Sを掻き寄せ、その後、保持部11bを浮遊物Sに貫入し且つ軸心周りに回転させ、さらに、保持部11bを引き上げ移動させることで、保持部11bに絡まるように保持された浮遊物Sを第2収容体Csに移動し投入する。
【0104】
次いで、ステップS4において、第2制御装置32は、グリップ231aの移動と共に動作する駆動装置DRA1~DRA6の回転センサEA1~EA6の検出値に基づき、操作動作指令を生成し、第1制御装置31に出力する。
【0105】
次いで、ステップS5において、第1制御装置31は、操作動作指令を処理することで、エンドエフェクタ11の位置及び姿勢の指令値を検出する。さらに、第1制御装置31は、上記指令値に従ってエンドエフェクタ11を動作させるための、駆動装置DR1~DR6のサーボモータM1~M6の動作の指令値を含む動作指令を生成する。
【0106】
次いで、ステップS6において、第1制御装置31は、ロボットアーム12の動作情報を取得する。さらに、第1制御装置31は、当該動作情報をフィードバック情報として用いて、動作指令に従ってサーボモータM1~M6に動作させる。つまり、第1制御装置31は、ロボットアーム12の各関節JT1~JT6を動作させる。
【0107】
次いで、ステップS7において、第1制御装置31は、ロボットアーム12の動作情報を用いて、操作装置20に対する力指令(動作指令)を生成し、第2制御装置32に出力する。上記力指令は、エンドエフェクタ11の力検出器11dの検出値に対応する力をグリップ231aに与えるための指令である。
【0108】
次いで、ステップS8において、第2制御装置32は、力指令に従ってグリップ231aに力を与えるための駆動装置DRA1~DRA6への動作指令を生成し出力する。
【0109】
次いで、ステップS9において、第2制御装置32は、駆動装置DRA1~DRA6の動作情報を取得する。さらに、第2制御装置32は、当該動作情報をフィードバック情報として用いて、動作指令に従ってサーボモータMA1~MA6に動作させる。つまり、第2制御装置32は、サーボモータMA1~MA6に、グリップ231aに加えられる操作力に対する反力を発生させる。
【0110】
次いで、ステップS10において、第2制御装置32は、ユーザPによって、入力装置60に作業終了の指令が入力されたか否かを判定し、指令の入力がある場合(ステップS10でYes)、一連の処理を終了し、未入力の場合(ステップS10でNo)、ステップS3に戻る。
【0111】
ステップS1~S10によって、ユーザPは、エンドエフェクタ11が浮遊物Sから受ける力に対応する力をグリップ231aを介して知覚しつつ、グリップ231aを操作してロボット10に浮遊物Sを除去する作業を行わせることができる。
【0112】
(変形例)
実施の形態に係るロボットシステム1は、1つのロボット10を備え、当該ロボット10が制御装置30を介して操作装置20と接続されていたが、これに限定されない。ロボットシステム1は、複数のロボット10を備え、複数のロボット10のうちの1つが選択的に制御装置30を介して操作装置20と接続されるように構成されてもよい。
【0113】
図8は、変形例に係るロボットシステム1Aの構成の一例を示す図である。
図8に示すように、ロボットシステム1Aは、10のロボット10と、1つの操作装置20と、1つの制御装置30と、10の撮像装置40と、1つの提示装置50と、1つの入力装置60と、中継装置70とを備える。ロボット10及び撮像装置40はそれぞれ、作業場所WPに配置された10の第1収容体Cmそれぞれに隣り合って配置される。
【0114】
中継装置70は、10のロボット10及び10の撮像装置40と第1制御装置31とを接続する。中継装置70は、第1制御装置31の指令に従って、1つのロボット10と第1制御装置31とを通信可能に接続する。中継装置70は、第1制御装置31の指令に従って、1つの撮像装置40と第1制御装置31とを通信可能に接続する。第1収容体Cmに隣り合うロボット10及び撮像装置40は対応付けられ、中継装置70は、第1制御装置31の指令に従って、対応付けられた1つのロボット及び1つの撮像装置40と第1制御装置31とを通信可能に接続してもよい。中継装置70は、通信の接続を切り替えることができる回路を含んでもよく、当該回路及びコンピュータシステムを含んでもよい。
【0115】
ユーザPは、10の第1収容体Cmのうちから浮遊物Sを除去する第1収容体Cmを決定すると、当該第1収容体Cmに対応するロボット10を指定する指令を入力装置60に入力する。第1制御装置31は、入力装置60から指令を受け取ると、中継装置70に上記ロボット10及び上記ロボット10に対応する撮像装置40と第1制御装置31とを接続する指令を出力し、中継装置70は上記接続を実行する。これにより、上記ロボット10は、中継装置70、第1制御装置31及び第2制御装置32を介して操作装置20と接続され、上記撮像装置40は、第1制御装置31を介して提示装置50と接続される。よって、ユーザPは、10のロボット10の中から任意のロボット10を選択し、操作装置20を用いて操作することができる。入力装置60は指定装置の一例である。
【0116】
なお、ロボットシステム1Aは、複数の操作装置20と、複数組の制御装置31及び32と、複数の提示装置50と、複数の入力装置60とをさらに備えてもよい。中継装置70は、任意の入力装置60に入力されるロボット10を指定する指令に従って、当該ロボット10及び当該ロボット10に対応する撮像装置40と、当該入力装置60において指定された第1制御装置31とを接続するように構成されてもよい。これにより、任意のロボット10と任意の操作装置20との接続が可能になる。
【0117】
また、撮像装置40は、各ロボット10に配置されず、1つの撮像装置40が2つ以上のロボット10を撮像することができるように構成されてもよい。例えば、撮像装置40はジンバル等に設置され、撮像方向を変えることができてもよい。第1制御装置31は、ジンバル等を制御し、撮像装置40に操作対象のロボットを撮像させてもよい。
【0118】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の実施の形態の例について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0119】
例えば、実施の形態において、ロボット10が手動運転により、溶湯Mの表面上の浮遊物Sを第2収容体Csに移動し投入する一連の動作の全てを行うように、第1制御装置31の制御が例示されていたが、これに限定されない。例えば、第1制御装置31は、上記一連の動作の一部又は全てを、自動運転によりロボット10に実行させるように構成されてもよい。
【0120】
例えば、溶湯Mの表面上の浮遊物Sの状態は一定ではないため、エンドエフェクタ11により浮遊物Sを掻き寄せ保持する動作は、予め決められた一定の動作ではなく、ユーザPによる判断に従ったフレキシブルな動作が効果的である。第1制御装置31は、上記のようなフレキシブルな動作を、ロボット10に手動運転で実行させ、浮遊物Sを保持するエンドエフェクタ11を第2収容体Csに移動させる動作のような定常的な動作を、ロボット10に自動運転で実行させるように構成されてもよい。
【0121】
また、第1制御装置31は、上記のようなフレキシブルな動作、又は、一連の動作の全てを自動運転によりロボット10に実行させるように構成されてもよい。この場合、第1制御装置31は、自動運転にAI(人工知能:Artificial Intelligence)を用いるように構成されてもよい。なお、第1制御装置31は、定常的な動作の自動運転にAIを用いるように構成されてもよい。例えば、エンドエフェクタ11に保持されている浮遊物Sの形状、寸法及び重量は、一定ではないため、保持されている浮遊物Sの状態に対応するAIによるフレキシブルな動作は効果的である。
【0122】
例えば、AIは、機械学習を行う学習モデルを含んでもよい。例えば、学習モデルは、ニューラルネットワークを含んでもよい。学習モデルの学習データは、手動運転でロボット10が動作する手動動作の過程で得られるデータ、及び/又は、自動運転中にロボット10が操作装置20に入力される手動での操作に従って動作の修正を受けつつ動作する修正動作の過程で得られるデータ等を含んでもよく、他の様々なロボットの手動動作及び/又は修正動作の過程で得られるデータ等を含んでもよい。学習モデルは、教師データを用いて機械学習するモデルであってもよい。
【0123】
例えば、学習モデルは、撮像装置40によって撮像された溶湯Mの表面の画像データ又はその画像処理データを入力データとし、ロボット10の動作指令に対応する情報を出力データとしてもよい。そして、学習モデルは、ロボット10の動作データを教師データとしてもよい。学習モデルは、動作データの動作をロボット10が行う直前に撮像された溶湯Mの表面の画像データ又はその画像処理データを入力データとして出力する出力データを、教師データと一致させる又は教師データとの誤差を最小化するように、ニューラルネットワークを調整することで機械学習するように構成されてもよい。画像処理は、浮遊物Sを識別するための画像処理であってもよく、例えば、画像処理部311に関して例示された画像処理等であってもよい。
【0124】
これにより、学習モデルは、様々なユーザが溶湯Mの表面の画像データを視認した結果行った様々な操作を機械学習し、ユーザの熟練した操作が反映された適切な出力データを出力することができる。第1制御装置31は、溶湯Mの表面の画像データに基づき、当該画像データに示される浮遊物Sの状態に適切な動作をロボット10に行わせることができる。
【0125】
又は、学習モデルは、撮像装置40によって撮像された溶湯Mの表面の画像データ又はその画像処理データと力検出器11dの検出値とを入力データとし、ロボット10の動作指令に対応する情報を出力データとしてもよい。そして、学習モデルは、ロボット10の動作データを教師データとしてもよい。学習モデルは、動作データの動作をロボット10が行う直前に撮像された溶湯Mの表面の画像データ又はその画像処理データと動作データの動作の直前の力検出器11dの検出値とを入力データとして出力する出力データを、教師データと一致させる又は教師データとの誤差を最小化するように、機械学習するように構成されてもよい。
【0126】
これにより、学習モデルは、様々なユーザが溶湯Mの表面の画像データを視認し且つエンドエフェクタ11が受ける力のフィードバックをグリップ231aを介して知覚した結果行った様々な操作を機械学習し、ユーザの熟練した繊細な操作が反映された適切な出力データを出力することができる。第1制御装置31は、溶湯Mの表面の画像データとエンドエフェクタ11が受ける力とに基づき、当該画像データに示される浮遊物Sの状態及びエンドエフェクタ11の状態に適切な動作をロボット10に行わせることができる。
【符号の説明】
【0127】
1,1A ロボットシステム
10 ロボット
11 エンドエフェクタ
11d 力検出器
12 ロボットアーム
20 操作装置
30 制御装置
31 第1制御装置
32 第2制御装置
40 撮像装置
50 提示装置
311 画像処理部(画像処理装置)
【手続補正書】
【提出日】2024-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームと前記ロボットアームの先端のエンドエフェクタとを有し且つ液状物を収容する収容体に隣り合って配置されたロボットと、
前記エンドエフェクタに作用する力を検出する力検出器と、
前記液状物の表面を撮像する撮像装置と、
前記ロボットの動作を制御する制御装置とを備え、
前記エンドエフェクタは、前記液状物の表面上の浮遊物を移動させることができる構成を有し、
前記制御装置は、学習モデルを含み、前記学習モデルの出力データに基づいて前記ロボットに動作させるように構成され、
前記学習モデルは、前記撮像装置によって撮像された前記液状物の表面の画像データ又は当該画像データに画像処理を施した画像処理データと前記力検出器によって検出された力の検出値とを入力データとし、前記ロボットの動作の指令に対応する情報を出力データとする
ロボットシステム。
【請求項2】
前記撮像装置によって撮像された画像を処理する画像処理装置をさらに備え、
前記画像処理装置は、前記液状物と前記浮遊物とを差異付ける画像処理を行うように構成され、
前記学習モデルは、前記画像処理装置によって画像処理を受けた前記液状物の表面の画像処理データと前記力検出器によって検出された力の検出値とを入力データとし、前記ロボットの動作の指令に対応する情報を出力データとする
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記収容体から離れて配置され、前記ロボットへの操作の入力を受け付け且つ前記操作に対応して前記ロボットを動作させるための指令を出力する操作入力装置をさらに備え、
前記操作入力装置によって出力される指令は、前記ロボットの手動運転のために前記操作入力装置に入力されるユーザの操作に対応して前記ロボットを動作させるための手動指令を含み、
前記制御装置は、前記収容体から外部へ前記浮遊物を移動させる前記ロボットの一連の動作の少なくとも一部の動作を、前記手動指令に従って前記ロボットに実行させる
請求項1又は2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記収容体から離れて配置され、前記ロボットへの操作の入力を受け付け且つ前記操作に対応して前記ロボットを動作させるための指令を出力する操作入力装置を備え、
前記操作入力装置によって出力される指令は、前記ロボットの自動運転のための前記操作入力装置への入力に対応して前記ロボットを動作させるための自動指令を含み、
前記制御装置は、前記収容体から外部へ前記浮遊物を移動させる前記ロボットの一連の動作の少なくとも一部の動作を、前記自動指令に従って前記ロボットに実行させる
請求項1から3のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記学習モデルは、機械学習を行うように構成され、
前記学習モデルが機械学習に用いる学習データは、手動運転で前記ロボットが動作する手動動作の過程で得られる前記ロボットの第1動作データ、自動運転中に前記ロボットが前記操作入力装置に入力される手動での操作に従って動作の修正を受けつつ動作する修正動作の過程で得られる前記ロボットの第2動作データ、又は、前記第1動作データ及び前記第2動作データの両方を含む
請求項3又は4に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記学習モデルは、機械学習を行うように構成され、
前記学習モデルは、前記ロボットの動作時における前記エンドエフェクタの位置データ及び前記エンドエフェクタの作用力データを含む動作データを教師データとし、
前記制御装置は、前記教師データの前記動作データの動作を前記ロボットが行う際に前記撮像装置によって撮像された前記液状物の表面の画像データ又は当該画像データの前記画像処理データと、前記教師データの前記動作データの動作を前記ロボットが行う際に前記力検出器によって検出された力の検出値とを入力データとして、前記学習モデルが出力する出力データを、前記教師データと一致させる又は前記教師データとの誤差を最小化するように、前記学習モデルに機械学習させるように構成される
請求項1から5のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
ロボットのエンドエフェクタに作用する力を検出する力検出器によって検出された力の検出値を取得することであって、前記ロボットは、ロボットアームと前記ロボットアームの先端のエンドエフェクタとを有し且つ液状物を収容する収容体に隣り合って配置されることと、
撮像装置によって撮像された前記液状物の表面の画像を取得することと、
学習モデルの出力データに基づいて前記ロボットに動作させることであって、前記学習モデルは、前記液状物の表面の画像データ又は当該画像データに画像処理を施した画像処理データと前記力の検出値とを入力データとし、前記ロボットの動作の指令に対応する情報を出力データとすることとを含む
ロボットの制御方法。