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特開2025-2309顔料組成物の製造方法、顔料組成物、及びカラーフィルタ用着色組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002309
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】顔料組成物の製造方法、顔料組成物、及びカラーフィルタ用着色組成物
(51)【国際特許分類】
   C09C 3/12 20060101AFI20241226BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20241226BHJP
   C09C 3/08 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C09C3/12
C09D17/00
C09C3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102393
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】興津 寛幸
【テーマコード(参考)】
4J037
【Fターム(参考)】
4J037CB16
4J037CB21
4J037CB23
4J037CC16
4J037DD24
4J037EE28
4J037EE46
4J037EE48
4J037FF09
4J037FF15
4J037FF23
(57)【要約】
【課題】顔料の分散安定性に優れているとともに、コントラスト比の高い画素等の画像を形成しうる着色組成物を調製可能な顔料組成物の製造方法、及びこの製造法方法によって製造される顔料組成物を提供する。
【解決手段】キノフタロン系顔料等の有機顔料及び顔料スルホン酸誘導体を含有する顔料成分と、アミノ基を有するシランカップリング剤を、水の存在下で混合する工程を有する顔料組成物の製造方法である。また、この製造方法によって製造される顔料組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機顔料及び顔料スルホン酸誘導体を含有する顔料成分と、アミノ基を有するシランカップリング剤を、水の存在下で混合する工程を有する顔料組成物の製造方法。
【請求項2】
前記有機顔料が、キノフタロン系顔料である請求項1に記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項3】
前記顔料成分と前記シランカップリング剤をpH7以下の条件下で混合する請求項1に記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項4】
前記有機顔料100質量部に対する前記シランカップリング剤の量が、0.1~30質量部である請求項1に記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項5】
前記有機顔料100質量部に対する前記顔料スルホン酸誘導体の量が、1~30質量部である請求項1に記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項6】
前記シランカップリング剤が、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、及び3-アミノプロピルトリメトキシシランからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の顔料組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法によって製造される顔料組成物。
【請求項8】
カラーフィルタ用である請求項7に記載の顔料組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の顔料組成物を含有するカラーフィルタ用着色組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料組成物の製造方法、顔料組成物、及びカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なカラー液晶表示装置では、液晶を駆動させるための透明電極が蒸着又はスパッタリングによってカラーフィルタの上に形成されているとともに、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。透明電極及び配向膜の性能を高めるには、カラーフィルタを形成する製造工程において、200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で処理することが必要とされている。このため、カラーフィルタは、耐光性及び耐熱性に優れた顔料を使用し、このような顔料を顔料分散法と呼ばれる方法により分散させた着色剤を用いて形成することが主流となっている。
【0003】
しかし、分散させた顔料を用いて形成したカラーフィルタについては、顔料による光の散乱等によって液晶が制御した偏光度合いを乱してしまうといった問題があった。すなわち、光を遮断するとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過させるとき(ON状態)に透過光が減衰したりするので、ON状態とOFF状態における表示装置上の輝度の比(コントラスト比)が低下することがあった。
【0004】
近年、カラーフィルタの高輝度化及び高コントラスト化を実現すべく、微細化処理した顔料をフィルタセグメントに含有させることが多い。一般的な顔料は、化学反応によって得られた粒子径10~100μmのクルード状態のものを顔料化処理した、一次粒子と、一次粒子の凝集物である二次粒子との混合物である。このような顔料を種々の微細化処理方法によって微細化しても、微細化した顔料は一般的に凝集しやすい。そして、微細化しすぎた顔料の一次粒子や二次粒子は、巨大な塊状の顔料固形物を形成しやすくなる。さらに、樹脂等を含有する担体中に微細化した顔料を分散させ、可能な限り一次粒子にまで近づけて安定化させようとしても、分散安定性の良好な顔料組成物や着色組成物を得ることは困難であった。
【0005】
例えば、C.I.ピグメントイエロー138は、明度が高く耐光性が良好である一方で、分散安定性に乏しい顔料である。このため、本来の鮮明な発色性を発揮させることが困難であるとともに、凝集しやすいことから、沈降したり流動性が低下したりしやすい等の課題があった。
【0006】
そのような課題を解決すべく、例えば、顔料の分子構造や表面特性に応じて選択した顔料分散剤や顔料誘導体と組み合わせることで分散性を改善した顔料組成物等が提案されている(特許文献1及び2)。また、有機顔料の粒子表面を含金属ゲル層で被覆した表面処理有機顔料粒子が提案されている(特許文献3)。さらに、顔料、カップリング剤、アクリル系共重合体、及び溶剤を含有するカラーフィルタ用の顔料分散組成物が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-105351号公報
【特許文献2】特開2003-183533号公報
【特許文献3】特開2011-57772号公報
【特許文献4】特開2003-64293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1~4で提案された顔料組成物等であっても、顔料の分散安定性に優れた着色組成物を調製することは困難であり、さらなる改善の余地があった。また、得られる着色組成物を用いて形成したカラーフィルタのコントラスト比についても必ずしも十分であるとはいえず、さらなる改良が要求されていた。
【0009】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、顔料の分散安定性に優れているとともに、コントラスト比の高い画素等の画像を形成しうる着色組成物を調製可能な顔料組成物の製造方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の課題とするところは、上記の製造方法によって製造される、顔料の分散安定性に優れているとともに、コントラスト比の高い画素等の画像を形成しうる着色組成物を調製可能な顔料組成物を提供することにある。さらに、本発明の課題とするところは、上記の顔料組成物を用いて得られる、顔料の分散安定性に優れているとともに、コントラスト比の高い画素を形成しうるカラーフィルタ用着色組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明によれば、以下に示す顔料組成物の製造方法が提供される。
[1]有機顔料及び顔料スルホン酸誘導体を含有する顔料成分と、アミノ基を有するシランカップリング剤を、水の存在下で混合する工程を有する顔料組成物の製造方法。
[2]前記有機顔料が、キノフタロン系顔料である前記[1]に記載の顔料組成物の製造方法。
[3]前記顔料成分と前記シランカップリング剤をpH7以下の条件下で混合する前記[1]又は[2]に記載の顔料組成物の製造方法。
[4]前記有機顔料100質量部に対する前記シランカップリング剤の量が、0.1~30質量部である前記[1]~[3]のいずれかに記載の顔料組成物の製造方法。
[5]前記有機顔料100質量部に対する前記顔料スルホン酸誘導体の量が、1~30質量部である前記[1]~[4]のいずれかに記載の顔料組成物の製造方法。
[6]前記シランカップリング剤が、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、及び3-アミノプロピルトリメトキシシランからなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]~[5]のいずれかに記載の顔料組成物の製造方法。
【0012】
また、本発明によれば、以下に示す顔料組成物が提供される。
[7]前記[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法によって製造される顔料組成物。
[8]カラーフィルタ用である前記[7]に記載の顔料組成物。
【0013】
さらに、本発明によれば、以下に示すカラーフィルタ用着色組成物が提供される。
[9]前記[8]に記載の顔料組成物を含有するカラーフィルタ用着色組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、顔料の分散安定性に優れているとともに、コントラスト比の高い画素等の画像を形成しうる着色組成物を調製可能な顔料組成物の製造方法を提供することができる。
【0015】
また、本発明によれば、上記の製造方法によって製造される、顔料の分散安定性に優れているとともに、コントラスト比の高い画素等の画像を形成しうる着色組成物を調製可能な顔料組成物を提供することができる。さらに、本発明によれば、上記の顔料組成物を用いて得られる、顔料の分散安定性に優れているとともに、コントラスト比の高い画素を形成しうるカラーフィルタ用着色組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<顔料組成物の製造方法>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の顔料組成物の製造方法の一実施形態は、有機顔料及び顔料スルホン酸誘導体を含有する顔料成分と、アミノ基を有するシランカップリング剤を、水の存在下で混合する工程を有する。以下、本実施形態の顔料組成物の製造方法の詳細について説明する。
【0017】
(混合工程)
本実施形態の顔料組成物(以下、単に「製造方法」とも記す)は、有機顔料及び顔料スルホン酸誘導体を含有する顔料成分と、アミノ基を有するシランカップリング剤を、水の存在下で混合する工程(混合工程)を有する。アミノ基を有するシランカップリング剤(以下、単に「シランカップリング剤」とも記す)は、通常、アミノ基のほか、メトシキ基やエトキシ基等のアルコキシ基をその分子中に有する。顔料成分とシランカップリング剤を水の存在下で混合すると、水と接触したシランカップリング剤のアルコキシ基の少なくとも一部が加水分解してシラノール基(Si-OH)が形成され、アミノ基及びシラノール基を有するカップリング剤が生成する。このように生成したアミノ基及びシラノール基を有するカップリング剤(アミノシラノール系カップリング剤)が顔料成分中の有機顔料や顔料スルホン酸誘導体と作用し、顔料の分散安定性に優れているとともに、コントラスト比の高い画素等の画像を形成しうる着色組成物を調製可能な顔料組成物が得られると考えられる。
【0018】
顔料成分とシランカップリング剤は、例えば、水を含有する液媒体中で混合する。液媒体には、必要に応じて、水以外の液媒体や各種無機塩等が含まれていてもよい。水以外の液媒体としては、水溶性有機溶剤を用いることができる。なかでも、水を液媒体として用いることが好ましい。
【0019】
顔料成分とシランカップリング剤をpH7以下の条件下で混合することが好ましく、pH5.5以下の条件下で混合することがさらに好ましく、pH1.5~4の条件下で混合することが特に好ましい。中性~酸性領域、なかでも酸性領域で顔料成分とシランカップリング剤を混合すると、シランカップリング剤のアルコキシ基の加水分解が適度に促進され、シラノール基(Si-OH)が形成されやすくなると考えられる。これにより、顔料の分散安定性がより向上するとともに、コントラスト比がさらに高い画素等の画像を形成することができる。なお、本明細書におけるpHは、25℃の条件下で測定される値である。
【0020】
分散状態の有機顔料及び顔料スルホン酸誘導体と、シランカップリング剤とを、0~100℃で混合することが好ましく、加熱条件下で混合することがさらに好ましく、40~90℃で混合することが特に好ましい。加熱条件下で混合することで、顔料の分散安定性がさらに向上するとともに、形成される画素等の画像のコントラスト比をより高めることができる。
【0021】
顔料成分とシランカップリング剤を混合後、ろ過及び洗浄等するとともに、必要に応じて乾燥及び粉砕等することで、目的とする顔料組成物を得ることができる。乾燥方法としては、乾燥機に設置した加熱源によって80~120℃に加熱する方法等がある。乾燥方法は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。乾燥機としては、箱型乾燥機、バンド乾燥機、及びスプレードライヤー等を用いることができる。粉砕方法としては、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等を使用する粉砕方法等を挙げることができる。
【0022】
(有機顔料)
有機顔料としては、従来公知の有機顔料を用いることができる。有機顔料としては、例えば、キノフタロン系顔料、フタロシアニン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、アゾ系顔料、及びキナクリドン系顔料等を挙げることができる。なかでも、顔料の分散安定性がより向上するとともに、コントラスト比がさらに高い画素等の画像を形成することができることから、キノフタロン系顔料、フタロシアニン系顔料、及びジケトピロロピロール系顔料が好ましい。
【0023】
有機顔料の平均一次粒子径は、10~50nmであることが好ましい。その平均一次粒子径が上記の範囲内にある有機顔料を用いることで、得られるカラーフィルタ等の画素の明度及びコントラスト比をより高めることができる。本明細書における「平均一次粒子径」とは、透過型電子顕微鏡で観察して計測されるメジアン径(D50)を意味する。有機顔料の平均一次粒子径が50nm超であると、明度やコントラスト比がやや低くなる場合がある。一方、有機顔料の平均一次粒子径が10nm未満であると、分散させることがやや困難になることがあるとともに、着色組成物としての流動性を確保することが困難になる場合があるので、明度やコントラスト比がやや低くなる傾向にある。
【0024】
[キノフタロン系顔料]
キノフタロン系顔料としては、C.I.ピグメントイエロー138や、ベンゼン環上の水素原子がアルキル基やハロゲン原子で置換された無水フタル酸基を有するキノフタロン系の顔料等を挙げることができる。ハロゲン原子の置換数が多いほど好ましい。ハロゲン原子は、合成が容易である等の観点から、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
【0025】
C.I.ピグメントイエロー138は、従来公知の製造方法によって製造することができる。例えば、「Industrial Organic Pigments(W.Herbst、K.Hunger著)」第539頁第1行~第9行に記載されているように、8-アミノキナルジン1モルと、テトラクロロ無水フタル酸2モルとを、130~300℃で反応させることで、C.I.ピグメントイエロー138を製造することができる。
【0026】
(顔料スルホン酸誘導体)
顔料スルホン酸誘導体(以下、「顔料誘導体」とも記す)としては、有機顔料スルホン化物、有機顔料スルホン化物の金属塩、及び有機顔料スルホン化物のアミン塩等を用いることができる。顔料誘導体は、例えば、有機顔料にスルホン酸基等を導入して製造することができる。有機顔料の具体例としては、前述の有機顔料を挙げることができる。顔料の分散安定性がより向上するとともに、コントラスト比がさらに高い画素等の画像を形成することができることから、キノフタロン系顔料、フタロシアニン系顔料、及びジケトピロロピロール系顔料等のスルホン酸誘導体が好ましい。
【0027】
有機顔料100質量部に対する顔料酸誘導体の量は、1~30質量部であることが好ましく、5~30質量部とすることがさらに好ましく、5~20質量部とすることが特に好ましい。
【0028】
[キノフタロン系顔料スルホン酸誘導体]
キノフタロン系顔料スルホン酸誘導体(以下、「キノフタロン系顔料誘導体」とも記す)としては、スルホン化キノフタロン系顔料、スルホン化キノフタロン系顔料の金属塩、及びスルホン化キノフタロン系顔料のアミン塩等を挙げることができる。キノフタロン系顔料誘導体は、例えば、下記一般式(1)で表される。
【0029】
(前記一般式(1)中、Xは、相互に独立にハロゲン原子を示し、m1及びm2は、相互に独立に0~4の数を示し、Mは水素原子、金属原子、アミノ基、有機アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を示し、nは1~2の数を示す)
【0030】
スルホン化キノフタロン系顔料の金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、鉄、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、コバルト、ストロンチウム等を挙げることができる。なかでも、スルホン化キノフタロン系顔料のアルミニウム塩が好ましい。スルホン化キノフタロン系顔料のアルミニウム塩は、顔料分散剤としての分散性が良好であるとともに、製造時の単離性を向上させることができる。さらに、低粘度であるとともに、流動特性及び経時粘度安定性に優れた組成物を得ることができる。
【0031】
スルホン化キノフタロン系顔料のアミン塩を構成するアミンとしては、アンモニア、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、ジヒドロキシエチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、N,N-ジエチルアミノプロピルアミン、N,N-ジブチルアミノプロピルアミン等の低級アミン;ラウリルアミン、オレイルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ジメチルラウリルアミン等の長鎖アルキルアミン;ラウリルアンモニウム、ステアリルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム等の長鎖アルキル基を有する4級アンモニウムイオン;等を挙げることができる。なかでも、ラウリルアンモニウム、ステアリルアンモニウム等の炭素数12以上のアルキル基を有する4級アンモニウムイオンとの塩を用いると、分散安定性により優れ、保存安定性が特に高い着色組成物を得ることができる。
【0032】
(アミノ基を有するシランカップリング剤)
アミノ基を有するシランカップリング剤(シランカップリング剤)としては、従来公知の化合物を用いることができる。シランカップリング剤の市販品としては、以下商品名で、KBM-602、KBM-603、KBM-903、KBE-903、KBE-9103P、KBM-573、KBM-575、及びKBM-6803(以上、信越化学工業社製)等を挙げることができる。
【0033】
シランカップリング剤は、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、及び3-アミノプロピルトリメトキシシランからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。有機顔料100質量部に対するシランカップリング剤の量は、0.1~30質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがさらに好ましい。
【0034】
(微細化工程)
有機顔料を予め微細化処理して一次粒子径を小さくしておくことで、得られるカラーフィルタの明度及びコントラスト比をより高めることができる。微細化処理方法としては、顔料を機械的に粉砕する方法(磨砕法);顔料を良溶媒に溶解させた後に貧溶媒に投入して、顔料を析出させる方法(析出法);所望とする一次粒子径の顔料を製造する方法(合成析出法);等がある。
【0035】
磨砕法は、水溶性無機塩等の磨砕剤、及び磨砕剤を溶解しない水溶性有機溶剤とともに、ボールミル、サンドミル、及びニーダー等を使用して顔料を機械的に混練(いわゆる「ソルベントソルトミリング処理」)した後、磨砕剤及び水溶性有機溶剤を水洗除去して乾燥する方法である。なお、ソルベントソルトミリングする際に顔料が結晶成長する場合があるので、固形の樹脂や分散助剤等を水溶性有機溶剤に添加して、顔料の結晶成長を抑制することが好ましい。
【0036】
本実施形態の製造方法は、前述の混合工程の前に、有機顔料をソルベントソルトミリング処理する工程(ソルベントソルトミリング処理工程)をさらに有することが好ましい。ソルベントソルトミリング処理工程は、有機顔料、磨砕剤、及び水溶性有機溶剤等を混練機に入れて混練磨砕する工程である。混錬機としては、ニーダー、ミックスマーラー等を用いることができる。磨砕剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の水溶性の無機塩を用いることができる。無機塩の平均粒子径は、0.3~70μmであることが好ましい。無機塩の使用量は、有機顔料を含む混合物の合計1質量部に対して、3~30質量部とすることが好ましく、7~30質量部とすることがさらに好ましく、10~30質量部とするのが特に好ましい。
【0037】
水溶性有機溶剤としては、ジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2-(メトキシメトキシ)エタノール、2-ブトキシエタノール、2-イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール等を用いることができる。水溶性有機溶剤の使用量は、有機顔料を含む混合物の合計1質量部に対して、0.01~5質量部とすることが好ましい。ソルベントソルトミリング処理する際には、調色目的で、他の有機顔料や顔料誘導体をさらに用いてもよい。
【0038】
無機塩や水溶性有機溶剤は、ソルベントソルトミリング処理の開始段階から全量を仕込んでもよいし、分割して仕込んでもよい。ソルベントソルトミリング処理時の温度は、150℃以下とすることが好ましく、50~120℃とすることがさらに好ましい。また、ソルベントソルトミリング処理の時間は、3~36時間とすることが好ましく、3~24時間とすることがさらに好ましい。
【0039】
ソルベントソルトミリング処理後は、無機塩等の磨砕剤及び水溶性有機溶剤を水洗又は湯洗して除去する。次いで、得られる固形物を乾燥及び粉砕等すればよい。なお、磨砕剤及び水溶性有機溶剤を除去した後にキナクリドン顔料誘導体を添加してもよい。カラーフィルタの画素部を製造するための材料として用いることを考慮すると、ろ液の比電導度が50μS/cm以下となるまで洗浄することが好ましく、20μS/cm以下となるまで洗浄することがさらに好ましい。
【0040】
<顔料組成物>
本発明の顔料組成物の一実施形態は、前述の顔料組成物の製造方法によって製造されたものである。本実施形態の顔料組成物は、前述の製造方法によって製造されたものであることから、顔料の分散安定性に優れているとともに、コントラスト比の高い画素等の画像を形成しうる着色組成物を調製可能なものである。このため、本実施形態の顔料組成物は、カラーフィルタを製造するための材料として、すなわち、カラーフィルタ用の組成物(カラーフィルタ用顔料組成物)として好適である。
【0041】
なお、前述の製造方法によって製造することで、前述の通り、シランカップリング剤のアルコキシ基の少なくとも一部が加水分解してシラノール基(Si-OH)が形成され、アミノ基及びシラノール基を有するカップリング剤が生成する。そして、生成したアミノ基及びシラノール基を有するカップリング剤(アミノシラノール系カップリング剤)が顔料成分中の有機顔料や顔料スルホン酸誘導体と作用すると考えられる。さらに、有機顔料の表面状態や分散状態、及び各成分の相互作用状態等が変化して、所期の特性を示す顔料組成物が得られると推測される。なお、シランカップリング剤のアルコキシ基の加水分解によるシラノール基(Si-OH)の生成は、例えば、NMR、GCMSによって確認することができる。但し、得られる顔料組成物中のアミノシラノール系カップリング剤の量や存在状態、有機顔料の表面状態や分散状態、及び各成分の相互作用状態等を分析して確認することは実質的に困難又は不可能である。
【0042】
<カラーフィルタ用着色組成物>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物(以下、「CF用着色組成物」とも記す)の一実施形態は、前述の顔料組成物を含有するものである。このため、本実施形態のCF用着色組成物は、有機顔料の分散安定性に優れており、コントラスト比の高い画素を形成することが可能なものである。
【0043】
CF用着色組成物には、CF用の画素を形成するための従来公知の着色組成物に含まれる各種成分をさらに含有させることができる。具体的には、顔料を分散させるための高分子分散剤、バインダー樹脂、各種有機溶媒等をCF用着色組成物に含有させることができる。
【0044】
(高分子分散剤)
高分子分散剤としては、有機顔料を分散させるための従来公知のポリマーを用いることができる。高分子分散剤の含有量は、有機顔料100質量部に対して、0.5~10質量部(但し、不揮発分として)とすることが好ましい。
【0045】
ポリマーとしては、有機顔料の表面に吸着する、単量体Aに由来する構成単位を有するアクリル系共重合体が好ましい。単量体Aとしては、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸1-ナフチル、(メタ)アクリル酸2-ナフチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の炭化水素系の環状構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましい。また、アクリル系共重合体は、顔料の表面に吸着して分散安定化効果を発揮する、単量体Bに由来する構成単位をさらに有することが好ましい。単量体Bとしては、(メタ)アクリル酸単量体や、グリシジル(メタ)アクリレート及びアシッドホスホオキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましい。
【0046】
アクリル系共重合体は、単量体A及び単量体B以外の単量体(その他の単量体)に由来する構成単位をさらに有していてもよい。その他の単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体、及び共重合可能な不飽和カルボン酸等を挙げることができる。
【0047】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャルブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート〔ラウリル(メタ)アクリレート〕、オクタデシル(メタ)アクリレート〔ステアリル(メタ)アクリレート〕等のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環基を有する(メタ)アクリル酸エステル;メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエーテル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル;ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステル;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を含有する(メタ)アクリル酸エステル;アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、及びアシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールメタクリレートフォスフェート、プロピレングリコールメタクリレートフォスフェート、エチレングリコールアクリレートフォスフェート、プロピレングリコールアクリレートフォスフェート等のリン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル;等を挙げることができる。なお、リン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルの市販品としては、以下商品名で、ホスマーM、ホスマーCL、ホスマーPE、ホスマーMH(以上、ユニケミカル社製);ライトエステルP-1M(以上、共栄社化学社製);JAMP-514(以上、城北化学工業社製);KAYAMERPM-2、KAYAMERPM-21(以上、日本化薬社製);等を挙げることができる。
【0048】
(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルピロリドン等の複素環式ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有単量体;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、ジメチルスチレン、ターシャルブチルスチレン等のスチレン系単量体;等を挙げることができる。
【0049】
共重合可能な不飽和カルボン酸としては、クロトン酸、イソクロトン酸、2-(メタ)アクロイルオキシエチルサクシニック酸、2-(メタ)アクリロイルオキシヘキサハイドロフタル酸、2-(メタ)アクロイルオキシエチルグルタレート等のモノカルボン酸及びその無水物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸及びその無水物;モノメチルマレイン酸、モノエチルマレイン酸、モノブチルマレイン酸、モノオクチルマレイン酸、モノメチルフマル酸、モノエチルフマル酸、モノブチルフマル酸、モノオクチルフマル酸、モノメチルイタコン酸、モノエチルイタコン酸、モノブチルイタコン酸、モノオクチルイタコン酸等のジカルボン酸のモノアルキルエステル;等を挙げることができる。
【0050】
有機顔料は、高分子分散剤として用いるポリマーで被覆されていることが好ましい。ポリマーで有機顔料を被覆する方法としては、例えば、ポリマーを顔料組成物に添加して析出させる方法;ポリマーのエマルジョンを顔料組成物に添加する方法;有機顔料をポリマーとともに混練磨砕する方法;等がある。なお、前述のソルベントソルトミリング処理の際に、有機顔料の結晶成長を有効に抑制するには、顔料誘導体の結晶成長抑制作用を利用することが好ましい。このため、高分子分散剤として用いるポリマーが、有機顔料に対する顔料誘導体の吸着を阻害しないようにすることが好ましい。結晶成長の抑制が終了した後には、有機顔料及び顔料誘導体はポリマーで被覆されてもよい。
【0051】
本実施形態のCF用着色組成物を用いれば、顔料分散法等の従来公知の方法にしたがって、カラーフィルタ画素部、なかでもコントラスト比の高い画素を形成することができる。
【実施例0052】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0053】
<顔料スルホン酸誘導体の製造>
(製造例1)
C.I.ピグメントイエロー138(商品名「Paliotol Yellow K0960HD」、BASF社製)30部を101%硫酸300部中に溶解し、70℃で8時間撹拌してスルホン化反応を行った。氷水3,000部中に反応溶液を注入し、析出物をろ過して得た。得られた液出物を水洗して、顔料スルホン酸誘導体のプレスケーキ27部(不揮発分換算)を得た。
【0054】
<顔料組成物の製造>
(製造例2)
C.I.ピグメントイエロー138(商品名「Paliotol Yellow K0960HD、BASF社製)100部、塩化ナトリウム1,000部、及びジエチレングリコール250部をステンレス製のニーダー(井上製作所社製、5L)に入れ、60℃で7時間混練するソルトミリング処理を行って混練物を得た。得られた混練物を温水3Lに投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌してスラリー状とした後、ろ過及び水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去し、プレスケーキを得た。得られたプレスケーキ及び顔料スルホン酸誘導体のプレスケーキ6部(不揮発分換算)を3Lの水に解膠し、70℃まで昇温した後、pHを2に調整し、スラリーを得た。一方、アミノ基を有するシランカップリング剤(N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名「KBM-603」、信越化学工業社製)10部を0.2Lの水に添加し、30分撹拌して溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液をスラリーに添加し、70℃で1時間撹拌した。ろ過及び水洗を繰り返した後、80℃で一昼夜乾燥して、顔料組成物(A-1)110部を得た。
【0055】
(製造例3)
シランカップリング剤を添加後の処理温度を50℃としたこと以外は、前述の製造例2と同様にして、顔料組成物(A-2)110部を得た。
【0056】
(製造例4)
シランカップリング剤を添加後の処理温度を90℃としたこと以外は、前述の製造例2と同様にして、顔料組成物(A-3)110部を得た。
【0057】
(製造例5)
シランカップリング剤を添加後のpHを12としたこと以外は、前述の製造例2と同様にして、顔料組成物(A-4)110部を得た。
【0058】
(製造例6)
シランカップリング剤の水溶液を添加しなかったこと以外は、前述の製造例2と同様にして、顔料組成物(A-5)100部を得た。
【0059】
製造例2~6の詳細を表1に示す。
【0060】
【0061】
<着色組成物(顔料分散液)の調製>
(実施例1)
以下に示す成分を混合して均一になるまで撹拌した後、ペイントコンディショナーを使用し、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて3時間分散して分散液を得た。フィルタでろ過した分散液96部にプロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート24部を添加した。ペイントコンディショナーを使用し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて3時間分散した後、フィルタでろ過して着色組成物(DA-1)を得た。
・顔料組成物(A-1):15.0部
・分散剤溶液(商品名「BYK LPN-6919」、ビックケミー社製):10.0部
・バインダー樹脂溶液(商品名「SPC-2000」、昭和電工社製):17.1部
・プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート:57.9部
【0062】
(実施例2~4、比較例2)
表2に示す種類の顔料組成物をそれぞれ用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして着色組成物(DA-2)~(DA-4)及び(DA-6)を得た。
【0063】
(比較例1)
以下に示す成分を混合して均一になるまで撹拌した後、ペイントコンディショナーを使用し、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて3時間分散して分散液を得た。フィルタでろ過した分散液96部にプロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート24部を添加した。ペイントコンディショナーを使用し、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて3時間分散した後、フィルタでろ過して着色組成物(DA-5)を得た。
・顔料組成物(A-5):13.7部
・アミノ基を有するシランカップリング剤(N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名「KBM-603」、信越化学工業社製):1.3部
・分散剤溶液(商品名「BYK LPN-6919」、ビックケミー社製):10.0部
・バインダー樹脂溶液(商品名「SPC-2000」、昭和電工社製):17.1部
・プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート:57.9部
【0064】
<評価>
(コントラスト比)
スピンナーを使用して着色組成物をガラス基板に塗布し、90℃で2分間乾燥させた後、230℃で30分間加熱して塗膜を形成した。スピンナーの速度を変えて形成した3枚の塗膜の明輝度及び暗輝度を、コントラストメーター(壺坂電機社製)を使用して測定し、コントラスト比(明輝度/暗輝度)を算出した。また、分光光度計(商品名「U-3310」、日立製作所社製)を使用して塗膜の色度xを測定した。色度xとコントラスト比をグラフにプロットして近似直線を作成し、色度x=0.430におけるコントラスト比の値を読み取った。そして、比較例1の着色組成物で形成した塗膜のコントラスト比の値を100%とする相対値(%)をそれぞれ算出した。結果を表2に示す。
【0065】
(粘度評価(分散安定性))
E型粘度計を使用し、着色組成物の調製直後(初期)の粘度(mPa・s)、及び45℃で1週間放置後の粘度(mPa・s)を測定した。測定条件は、温度:室温(25℃)、ローターの回転数:50rpmとした。結果を表2に示す。
【0066】
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の顔料組成物は、カラー液晶表示装置、C-MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)、及びCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)等の固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタ製造用の着色組成物を得るための材料として有用である。