(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002311
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】制御装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B22C 5/18 20060101AFI20241226BHJP
B22C 25/00 20060101ALI20241226BHJP
B22D 46/00 20060101ALI20241226BHJP
B01F 35/88 20220101ALI20241226BHJP
【FI】
B22C5/18
B22C25/00
B22D46/00
B01F35/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102395
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】506199237
【氏名又は名称】岡崎ヒュッテナス・アルバータス化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】山口 秀典
【テーマコード(参考)】
4E094
4G037
【Fターム(参考)】
4E094DD05
4G037BA01
4G037BB01
(57)【要約】
【課題】本発明は、バッチミキサを用いた鋳型の造型において、鋳型不良を速やかに把握可能な制御装置、及び制御方法の提供を目的とした。
【解決手段】本発明の制御装置21は、バッチミキサ2への樹脂及び硬化剤を含む複数種類の液剤を、これらの液剤に対応するそれぞれの供給装置12を用いてバッチミキサ2への供給を制御するものであって、液剤の流量を計測する流量計測部30と、1バッチあたりに供給された液剤の量を算出する供給量算出部31と、液剤の目標量と、供給量算出部31により算出された液剤の供給量との誤差が、閾値を超えるか否かを判定する誤差判定部32と、誤差が閾値を超えると誤差判定部32により判定された場合に、報知装置26に報知を実行させるための処理を行う報知処理部33と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッチミキサへの樹脂及び硬化剤を含む複数種類の液剤を、これらの前記液剤に対応するそれぞれの供給装置を用いて前記バッチミキサへの供給を制御する制御装置であって、
前記液剤の流量を計測する流量計測部と、
前記流量計測部により計測された所定時間中の流量を用いて、1バッチあたりに供給された前記液剤の量を算出する供給量算出部と、
予め設定された1バッチあたりの前記液剤の目標量と、前記供給量算出部により算出された1バッチあたりに供給された前記液剤の量との誤差が、閾値を超えるか否かを判定する誤差判定部と、
前記誤差が前記閾値を超えると前記誤差判定部により判定された場合に、報知装置に報知を実行させるための処理を行う報知処理部と、を有する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記供給装置のうち、前記液剤をタンクに戻す流路を有し、前記液剤を循環可能なものを循環式供給装置とすると、
前記流量計測部は、
前記循環式供給装置により搬送される所定時間中の前記液剤の瞬時流量及び前記瞬時流量の積算回数を計測し、
前記供給量算出部は、
前記循環式供給装置により搬送される前記液剤について、前記流量計測部により計測された前記瞬時流量及び前記積算回数を用いて、1バッチあたりに供給された前記液剤の量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記供給装置のうち、前記液剤をタンクに戻して循環させる流路を有さないものを非循環式供給装置とすると、
前記流量計測部は、
前記非循環式供給装置により搬送される前記液剤について、所定時間中に流量計から出力されるパルス数を計測し、
前記供給量算出部は、
前記非循環式供給装置により搬送される前記液剤について、前記流量計測部により計測された前記パルス数を用いて、1バッチあたりに供給された前記液剤の量を算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記供給装置には、前記液剤を搬送するポンプが設けられており、
前記ポンプの性能を示すポンプ定数を算出するポンプ定数算出部と、
前記ポンプ定数の設定を行うポンプ定数設定部と、を備え、
前記ポンプ定数算出部は、
所定時間に亘り前記液剤を吐出させた場合の前記液剤の吐出量、及び前記ポンプの運転周波数を用いて、前記ポンプ定数を算出し、
前記ポンプ定数設定部は、
前記ポンプ定数算出部により算出された前記ポンプ定数を、新たな前記ポンプ定数として記憶する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記供給装置のうち、前記液剤をタンクに戻して循環させる流路を有さないものを非循環式供給装置とし、
前記バッチミキサへの前記液剤の供給時間として設定された時間を切出し時間とすると、
前記流量計測部は、
前記非循環式供給装置により搬送される前記液剤について、前記切出し時間の開始から、前記切出し時間が終了した後の特定のタイミングまでの特定時間に亘り、流量計から出力されるパルス数を計測し、
前記供給量算出部は、
前記非循環式供給装置により搬送される前記液剤について、前記流量計測部により計測された前記特定時間中の前記パルス数を用いて、1バッチあたりに供給された前記液剤の量を算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項6】
バッチミキサへの樹脂及び硬化剤を含む複数種類の液剤を、これらの前記液剤に対応するそれぞれの供給装置を用いて前記バッチミキサへの供給を制御する制御方法であって、
前記液剤の流量を計測する流量計測ステップと、
前記流量計測ステップにおいて計測された所定時間中の流量を用いて、1バッチあたりに供給された前記液剤の量を算出する供給量算出ステップと、
予め設定された1バッチあたりの前記液剤の目標量と、前記供給量算出ステップにおいて算出された1バッチあたりに供給された前記液剤の量との誤差が、閾値を超えるか否かを判定する誤差判定ステップと、
前記誤差が前記閾値を超えると前記誤差判定ステップにおいて判定された場合に、報知装置に報知を実行させる報知処理ステップと、を含む
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッチミキサを用いた鋳型の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳型を造型するためのミキサとして、連続して樹脂や硬化剤等の液剤、及び砂材を供給し、これらを混練する連続ミキサや、一工程ごとに(1バッチごとに)砂材及び液剤を供給して混練するバッチミキサなどが提供されている。また、鋳型の造型にあたり、液剤の供給量の制御について、種々の技術が提供されている。
【0003】
例えば、本出願の出願人による下記特許文献1には、製造に関する情報を鋳型ごとに確認可能な鋳型造型支援システムが提供されている。下記特許文献1の鋳型造型支援システムでは、製造に関する情報を鋳型ごとに確認可能とすることで、適切な製造情報の管理、及び健全な鋳型造型の支援を実現可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、バッチミキサでは、一工程ごとに液剤が供給されるため、液剤の目標量に対して実際に供給された液剤の量との誤差を少なくすることが課題となる。また、熟練者であれば、混練後の鋳型材料の状態から液剤の過不足を判断可能な場合もあるが、経験の浅い者では目視等による液剤の過不足の判断が困難となる。
【0006】
また、液剤の過不足がある鋳型材料がそのまま鋳型として造型されると、鋳型の不具合が鋳物の不良につながりかねない。また、バッチミキサを用いた鋳型の造型において、鋳型の不良を速やかに(鋳物の製造前)に把握したいとのニーズもある。
【0007】
そこで本発明は、バッチミキサを用いた鋳型の造型において、鋳型不良を速やかに把握可能な制御装置、及び制御方法の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上述の課題を解決すべく提供される本発明の制御装置は、バッチミキサへの樹脂及び硬化剤を含む複数種類の液剤を、これらの前記液剤に対応するそれぞれの供給装置を用いて前記バッチミキサへの供給を制御する制御装置であって、前記液剤の流量を計測する流量計測部と、前記流量計測部により計測された所定時間中の流量を用いて、1バッチあたりに供給された前記液剤の量を算出する供給量算出部と、予め設定された1バッチあたりの前記液剤の目標量と、前記供給量算出部により算出された1バッチあたりに供給された前記液剤の量との誤差が、閾値を超えるか否かを判定する誤差判定部と、前記誤差が前記閾値を超えると前記誤差判定部により判定された場合に、報知装置に報知を実行させるための処理を行う報知処理部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の制御装置では、バッチミキサを用いた鋳型の造型において、1バッチあたりの供給量と液剤の目標量との誤差を自動的に算出するとともに、誤差が閾値を超える場合、報知装置に報知を実行させる。例えば、本発明の制御装置は、液剤の過不足(誤差)が鋳型不良につながる恐れがある場合、報知装置に警報音(アラート)等の報知を実行させる。これにより、本発明の制御装置では、1バッチあたりの液剤の供給量に過不足があった場合にその旨を速やかに作業者に報知することができる。その結果、本発明の制御装置は、作業者が鋳型不良の可能性があることを速やかに把握することができる。例えば、本発明の制御装置によれば、経験の浅い者や不慣れな者であっても、鋳型の不具合を速やかに把握することができる。その結果、本発明の制御装置は、作業者が鋳物の製造前に鋳型の不良を把握し、鋳物の不良発生を抑制することができる。
【0010】
(2)本発明の制御装置は、前記供給装置のうち、前記液剤をタンクに戻す流路を有し、前記液剤を循環可能なものを循環式供給装置とすると、前記流量計測部は、前記循環式供給装置により搬送される所定時間中の前記液剤の瞬時流量及び前記瞬時流量の積算回数を計測し、前記供給量算出部は、前記循環式供給装置により搬送される前記液剤について、前記流量計測部により計測された前記瞬時流量及び前記積算回数を用いて、1バッチあたりに供給された前記液剤の量を算出するものであるとよい。
【0011】
上述の構成によれば、循環式の供給装置の流量を適切に計測し、実際にバッチミキサに供給された液剤の量の算出精度を高め、目標量に対する誤差の算出精度を高めることができる。その結果、本発明の制御装置は、液剤の過不足に関する報知を的確に行うことができる。
【0012】
(3)本発明の制御装置は、前記供給装置のうち、前記液剤をタンクに戻して循環させる流路を有さないものを非循環式供給装置とすると、前記流量計測部は、前記非循環式供給装置により搬送される前記液剤について、所定時間中に流量計から出力されるパルス数を計測し、前記供給量算出部は、前記非循環式供給装置により搬送される前記液剤について、前記流量計測部により計測された前記パルス数を用いて、1バッチあたりに供給された前記液剤の量を算出するものであるとよい。
【0013】
上述の構成によれば、非循環式の供給装置の流量を適切に計測し、実際にバッチミキサに供給された液剤の量の算出精度を高め、目標量に対する誤差の算出精度を高めることができる。その結果、本発明の制御装置は、液剤の過不足に関する報知を的確に行うことができる。
【0014】
(4)本発明の制御装置は、前記供給装置には、前記液剤を搬送するポンプが設けられており、前記ポンプの性能を示すポンプ定数を算出するポンプ定数算出部と、前記ポンプ定数の設定を行うポンプ定数設定部と、を備え、前記ポンプ定数算出部は、所定時間に亘り前記液剤を吐出させた場合の前記液剤の吐出量、及び前記ポンプの運転周波数を用いて、前記ポンプ定数を算出し、前記ポンプ定数設定部は、前記ポンプ定数算出部により算出された前記ポンプ定数を、新たな前記ポンプ定数として記憶するものであるとよい。
【0015】
上述の構成によれば、ポンプの劣化などの要因によりポンプ性能が変化した場合でも、柔軟に対応することができる。具体的には、本発明の制御装置によれば、ポンプの性能が変化した場合にポンプ定数を更新することで、ポンプの運転周波数を再調整することができる。これにより、本発明の制御装置は、ポンプ性能が変化した場合でも目標量に対する誤差が限りなく小さい量で液剤を供給することができる。すなわち、本発明の制御装置によれば、誤差の少ない供給量を好適に維持し、鋳型の不良を抑制することができる。
【0016】
(5)本発明の制御装置は、前記供給装置のうち、前記液剤をタンクに戻して循環させる流路を有さないものを非循環式供給装置とし、前記バッチミキサへの前記液剤の供給時間として設定された時間を切出し時間とすると、前記流量計測部は、前記非循環式供給装置により搬送される前記液剤について、前記切出し時間の開始から、前記切出し時間が終了した後の特定のタイミングまでの特定時間に亘り、流量計から出力されるパルス数を計測し、前記供給量算出部は、前記非循環式供給装置により搬送される前記液剤について、前記流量計測部により計測された前記特定時間中の前記パルス数を用いて、1バッチあたりに供給された前記液剤の量を算出するものであるとよい。
【0017】
上述の構成によれば、ポンプ停止後の液剤の垂れ込み分を含めて1バッチあたりの供給量を算出することができる。これにより、本発明の制御装置は、非循環式の供給装置が用いられている場合において、より精度が高い液剤の供給量の算出を行うことができる。また、本発明の制御装置は、液剤の供給量の算出精度を高めることで誤差の判定精度の向上を実現し、鋳型不良の報知精度を高めることができる。
【0018】
(6)本発明の制御方法は、バッチミキサへの樹脂及び硬化剤を含む複数種類の液剤を、これらの前記液剤に対応するそれぞれの供給装置を用いて前記バッチミキサへの供給を制御する制御方法であって、前記液剤の流量を計測する流量計測ステップと、前記流量計測ステップにおいて計測された所定時間中の流量を用いて、1バッチあたりに供給された前記液剤の量を算出する供給量算出ステップと、予め設定された1バッチあたりの前記液剤の目標量と、前記供給量算出ステップにおいて算出された1バッチあたりに供給された前記液剤の量との誤差が、閾値を超えるか否かを判定する誤差判定ステップと、前記誤差が前記閾値を超えると前記誤差判定ステップにおいて判定された場合に、報知装置に報知を実行させる報知処理ステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の制御方法では、バッチミキサを用いた鋳型の造型において、1バッチあたりの供給量と目標量との誤差を自動的に算出するとともに、誤差が閾値を超える場合、報知装置に報知を実行させる。例えば、本発明の制御方法は、液剤の過不足(誤差)が鋳型不良につながる恐れがある場合、報知装置に警報音(アラート)等の報知を実行させる。これにより、本発明の制御方法では、1バッチあたりの液剤の供給量に過不足があった場合にその旨を速やかに作業者に報知することができる。その結果、本発明の制御方法は、作業者が鋳型不良の可能性があることを速やかに把握することができる。例えば、本発明の制御方法によれば、経験の浅い者や不慣れな者であっても、鋳型の不具合を速やかに把握することができる。その結果、本発明の制御方法は、作業者が鋳物の製造前に鋳型の不良を把握し、鋳物の不良発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、バッチミキサを用いた鋳型の造型において、鋳型不良を速やかに把握可能な制御装置、及び制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係るコントローラを用いた鋳型造型装置の構成を示す概念図である。
【
図2】オートフィーダー(コントローラ)の機能ブロック図である。
【
図3】循環式供給装置、及び非循環式供給装置を示す模式図である。
【
図5】連続ミキサ、及びバッチミキサを示す模式図である。
【
図6】各種信号の出力タイミングと切出し時間との関係を示す図である。
【
図7】各種信号、切出し時間、及び自動運転時間の関係を示す図である。
【
図8】循環式供給装置の通常運転中の制御を示すタイミングチャートである。
【
図9】コントローラが実行する循環式用通常運転中処理を示す図である。
【
図10】循環式の場合の供給量の算出例を示す図である。
【
図11】非循環式供給装置の通常運転中の制御を示すタイミングチャートである。
【
図12】コントローラが実行する非循環式用通常運転中処理を示す図である。
【
図13】非循環式の場合のパルス計測時間を示すタイミングチャートである。
【
図14】ポンプ定数再設定用検量モード中の制御を示すタイミングチャートである。
【
図15】コントローラが実行するポンプ定数再設定用検量モード中処理を示す図である。
【
図16】コントローラが実行する第1検量運転中処理を示す図である。
【
図17】コントローラが実行する切出し時間設定処理を示す図である。
【
図18】検量モード中に表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【
図19】ガス硬化型の鋳型を造型するための鋳型造型装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(1.鋳型造型装置の構成)
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係るコントローラ21(制御装置)、及び制御方法について説明する。
【0023】
図1は、鋳型を製造するための鋳型造型装置1の構成を示す概念図である。
図1に示すとおり、鋳型造型装置1は、バッチミキサ2、サンドホッパ4、オートフィーダー20、複数のタンク7、複数のポンプ8、複数の流量計9、複数の電磁弁10、及び温度センサ5を備えている。また、
図1に示すとおり、オートフィーダー20は、サーバ50と通信可能となっている。
【0024】
図1に一例として示す鋳型造型装置1は、自硬型の鋳型を製造するものとなっている。「自硬型の鋳型」とは、耐火性粒子(砂材)と液剤とを混練した混練砂を枠に投入し、常温で放置させることで砂を硬化させて鋳型を作る方法となっている。なお、本発明のコントローラ21(制御装置)は、自硬型の鋳型を製造するための鋳型造型装置1のほか、ガス硬化型の鋳型を製造する手法(コールドボックス)に係る鋳型造型装置200に対しても適用することができる。コールドボックスは、耐火性粒子(砂材)に液剤(例えばアミンガス硬化型フェノールウレタン樹脂)を混練した混練砂に、硬化触媒(例えばアミンガス)を吹きかけて、瞬時に鋳型を造型することができる造型方法となっている。なお、コールドボックスに係る鋳型造型装置200については、後で
図19を用いて説明する。
【0025】
タンク7、ポンプ8、電磁弁10、及び配管11は、バッチミキサ2に液剤を供給するための供給装置12を構成している。また、
図1に示すとおり、供給装置12には、流量計9が設けられている。また、
図1に一例として示す鋳型造型装置1には、三つの供給装置12が設けられている。具体的には、鋳型造型装置1は、樹脂を供給するための供給装置12、遅硬剤を供給するための供給装置12、及び速硬剤を供給するための供給装置12を備えている。
【0026】
さらに、
図1に一例として示す鋳型造型装置1の各供給装置12は、それぞれタンク7、ポンプ8、流量計9、電磁弁10、及び配管11を備えている。具体的には、樹脂を供給するための供給装置12は、タンク7A(樹脂タンク)、ポンプ8A(樹脂ポンプ)、流量計9A、電磁弁10A、及び配管11を備えている。遅硬剤を供給するための供給装置12は、タンク7B(遅硬剤タンク)、ポンプ8B(遅硬剤ポンプ)、流量計9B、電磁弁10B、及び配管11を備えている。速硬剤を供給するための供給装置12は、タンク7C(速硬剤タンク)、ポンプ8C(速硬剤ポンプ)、流量計9C、電磁弁10C、及び配管11を備えている。
【0027】
なお、後で説明するとおり、本発明の制御装置(コントローラ)が用いられる鋳型製造装置は、供給装置12を三つ有するものに限定されず、供給装置12を二つ有するものであってもよい。また、本発明の制御装置が用いられる鋳型造型装置1は、供給装置12に電磁弁10が設けられていないものであってもよい。
【0028】
鋳型造型装置1では、鋳型として砂型が造型される。鋳型造型装置1は、耐火性粒子(砂材)に対して、複数種類の液剤(樹脂や硬化剤)を投入して混練することで鋳型材料とし、鋳型材料を枠6に供給することで鋳型(砂型)を製造することができる。
【0029】
オートフィーダー20は、バッチミキサ2に供給する液剤の供給量を制御するために用いられるものである。オートフィーダー20は、バッチミキサ2に用いられ、樹脂及び硬化剤を含む複数種類の液剤を、これらに対応するそれぞれの供給装置12を用いてバッチミキサ2に供給する。また、本発明の実施形態に係るコントローラ21(制御装置)は、オートフィーダー20に設けられている。すなわち、本発明の実施形態に係るコントローラ21(制御装置)は、バッチミキサ2に用いられるのもとなっている。なお、オートフィーダー20の構成については、後で詳述する。
【0030】
鋳型材料として用いられる耐火性粒子(砂材)としては、例えば、単独砂及び混合砂を挙げることができる。単独砂及び混合砂としては、例えば、硅砂、ジルコン、クロマイト、オリビン、アルミナ、合成ムライト等を挙げることができる。単独砂及び混合砂としては、新砂及び再生砂のいずれを用いてもよい。
【0031】
また、鋳型材料として用いられる樹脂としては、例えば、有機自硬性樹脂や、無機自硬性樹脂を挙げることができる。有機自硬性樹脂としては、例えば、酸硬化性樹脂や、エステル硬化性樹脂等を挙げることができる。酸硬化性樹脂としては、例えば、フラン樹脂や、フェノール樹脂等を挙げることができる。エステル硬化性樹脂としては、例えば、アルカリフェノール樹脂等を挙げることができる。無機自硬性樹脂としては、例えば、水ガラス等を挙げることができる。また、例えば、ガス硬化型の鋳型を造型する場合の樹脂(ガス硬化型樹脂)として、アミンガス硬化型フェノールウレタン樹脂や、CO2硬化型水ガラスを上げることができる。
【0032】
さらに、鋳型材料として用いられる硬化剤としては、樹脂が有機自硬性樹脂である場合には、硫酸、リン酸、有機スルホン酸を含む酸性の硬化触媒で酸強度と酸濃度を調節し速硬性及び遅硬性に分類されるものや、加水分解度及び相溶性の大小によって硬化速度が調節できる有機エステルを用いることができる。また、樹脂が無機自硬性樹脂である場合には、加水分解度及び相溶性の大小によって硬化速度が調節できる有機エステルを用いることができる。
【0033】
なお、本発明のコントローラ21を備えたオートフィーダー20が用いられるバッチミキサ2は、硬化剤が一種類であってもよいし、硬化剤として遅硬剤及び速硬剤の二種類が用いられるものであってもよい。
【0034】
(2.バッチミキサの構成)
バッチミキサ2は、耐火性粒子、樹脂、及び硬化剤を混練して鋳型材料(混練砂)を作るためのものである。バッチミキサ2には、サンドホッパ4に収容されている耐火性粒子や、各タンク7に収容されている液剤(樹脂や硬化剤)が供給される。
【0035】
また、バッチミキサ2には、バッチミキサ制御装置3が設けられている。バッチミキサ制御装置3は、耐火性粒子の量の設定、ポンプや電磁弁10を作動させる各種信号の出力など、種々の役割を持っている。例えば、
図2に示すとおり、バッチミキサ制御装置3は、ポンプ8を運転するための運転信号を出力する。より具体的には、バッチミキサ制御装置3は、樹脂を搬送するためのポンプ8の運転ONに対応する樹脂ポンプ運転信号、及び硬化剤を搬送するためのポンプ8の運転ONに対応する硬化剤ポンプ運転信号を出力する。また、
図2に示すとおり、バッチミキサ制御装置3は、電磁弁10の開閉に関する電磁弁開信号(樹脂電磁弁開信号、及び硬化剤電磁弁開信号)を出力する。
【0036】
ここで、各ポンプ8は、ポンプ運転信号をコントローラ21が受信することで、コントローラ21により作動が制御される。一方、各電磁弁10は、後述する自動運転時には、バッチミキサ制御装置3により開閉が制御される。なお、各電磁弁10は、後述する検量モード時には、コントローラ21により開閉が制御される。
【0037】
また、バッチミキサ2は、自動運転を始めるための運転開始ボタン及び、自動運転を停止するための運転停止ボタンを備えている。バッチミキサ2は、運転開始ボタンがONされることで運転(自動運転)を開始させる。このとき、バッチミキサ制御装置3からコントローラ21に向けて各種信号が出力される(
図6参照)。この信号は、コントローラ21の信号受信処理部39により受信される。
【0038】
図1に示すとおり、サンドホッパ4には、温度センサ5が設けられている。温度センサ5は、サンドホッパ4内の耐火性粒子の温度(砂温)を検出する。バッチミキサ2の下方には、枠6が配置されている。枠6内には、原型(図示を省略)が配置されている。すなわち、枠6は、原型を囲んでいる。バッチミキサ2の運転中(自動運転中)には、バッチミキサ2内で材料が混合される。自動運転が停止すると、ユーザによりバッチミキサ2の鋳型材料が枠6内に投入され、その後、枠6が外されて原型(図示を省略)が抜かれることで鋳型が造型される。
【0039】
(3.供給装置の構成)
次に、
図1を参照しつつ、供給装置12を構成する各構成ついて説明する。上述のとおり、タンク7、及びポンプ8は、バッチミキサ2に液剤を供給するための供給装置12を構成している。また、各供給装置12には、それぞれ少なくともポンプ8、及び流量計9が設けられている。例えば、
図1に一例として示す鋳型造型装置1の三つの供給装置12には、それぞれタンク7、流量計、電磁弁10、及び配管11が設けられている。
【0040】
なお、電磁弁10は、バッチミキサ2に設けられたものとなっている。また、バッチミキサ2には、電磁弁10が設けられていない場合もある。さらに、バッチミキサ2には、その構成のひとつとしてポンプ(図示を省略)が設けられているが、本実施形態では、バッチミキサ2のポンプは使用されず、オートフィーダー20の構成として設けられたポンプ8が用いられるようになっている。
【0041】
図1に示すとおり、配管11は、供給装置12において液剤の搬送経路となる流路Rを構成している。また、各タンク7は、配管11を介してバッチミキサ2に接続されており、配管11により各タンク7とバッチミキサ2とが接続されて、液剤の流路Rが形成されている。さらに、各ポンプ8は、流路Rを形成する配管11に介在するように設けられており、電磁弁10は、バッチミキサ2へと続く流路R上(配管11)に設けられている。
【0042】
タンク7は、液剤を収容するための容器となっている。各タンク7内には、それぞれ異なる種類の液剤が収容されている。具体的には、タンク7A(樹脂タンク)には樹脂が収容されている。また、タンク7B(遅硬剤タンク)には遅硬剤が収容されている。さらに、タンク7C(速硬剤タンク)には速硬剤が収容されている。
【0043】
ポンプ8は、バッチミキサ2に液剤を搬送するために設けられている。上述のとおり、本実施形態では、ポンプ8はオートフィーダー20の構成として設けられている。本実施形態では、ポンプ8はインバータ制御による周波数で回転数の制御が可能なものとなっている。具体的には、本実施形態のポンプ8は、インバータ制御により、0Hz~100Hzの範囲で運転周波数により流量を制御可能なものとなっている。
【0044】
流量計9は、配管11内を流れる液剤の流量を計測するために設けられている。本実施形態では、流量計9として、流量データを所定の電流値(4-20mA)として出力する方式の流量計(4-20mA方式の流量計)や、所定の流量(例えば1ml)ごとに1回のパルス信号が出力される方式の流量計(パルス方式の流量計)とを採用することができる。なお、本実施形態では、後述する循環式の供給装置12の場合には、4-20mA方式の流量計9が用いられている。また、後述する非循環式の供給装置12の場合には、パルス方式の流量計9が用いられている。なお、流量計9は、上述の方式以外のものに限定されず、種々採用可能である。例えば、流量計9として、流量データを所定の電圧値(0-5V)として出力する方式の流量計(0-5V方式の流量計)を採用してもよい。
【0045】
電磁弁10は、バッチミキサ2に向けた流路Rの開閉を制御するために設けられている。上述のとおり、電磁弁10は、バッチミキサ2の構成として設けられている。電磁弁10は、タンク7からバッチミキサ2への流路を開閉する二方弁や、タンク7から搬送された液剤の搬送先を切り替える三方弁などを採用することができる。例えば、後述する循環式の供給装置12の場合には、三方弁の電磁弁10を採用することができる(
図3参照)。また、後述する非循環式の供給装置12の場合には、二方弁の電磁弁10を採用することができる(
図3参照)。なお、後述するとおり、非循環式の供給装置12の場合は、電磁弁10を設けない構成としてもよい。
【0046】
(4.供給装置の構成の一例)
次に、
図3、及び
図4を参照しつつ、供給装置12の構成例について説明する。
図3、及び
図4に示すとおり、本実施形態の鋳型造型装置1では、供給装置12として種々の構成を採用することができる。
【0047】
例えば、
図3に示すとおり、供給装置12として、液剤をタンク7に戻す流路Rを有し、液剤を循環可能なもの(循環式供給装置12A)や、液剤をタンク7に戻して循環させる流路Rを有さないもの(非循環式供給装置12B)などを採用することができる。すなわち、コントローラ21が制御する複数の供給装置12は、循環式供給装置12A、及び非循環式供給装置12Bのうちの一方、又は双方を採用することができる。
【0048】
なお、以下の説明では、供給装置12のうち、液剤をタンク7に戻す流路Rを有し、液剤を循環可能なものを、「循環式供給装置12A」、又は単に「循環式」と記載して説明する場合がある。また、供給装置12のうち、液剤をタンク7に戻して循環させる流路Rを有さないものを、「非循環式供給装置12B」、又は単に「非循環式」と記載して説明する場合がある。
【0049】
図3(a)に示すとおり、循環式供給装置12Aには、タンク7からバッチミキサ2への流路R(配管11)上に三方弁(電磁弁10)が設けられており、三方弁(電磁弁10)を分岐点としてバッチミキサ2に向かう流路R(配管11)と、タンク7に液剤を戻す流路R(配管11)とが設けられている。循環式供給装置12Aは、通常運転中に液剤を搬送して循環させつつ、液剤のバッチミキサ2への供給開始時及び供給終了時に電磁弁10の開閉が制御され、液剤の流路Rを切り替え可能となっている。
【0050】
より詳細に説明すると、循環式供給装置12Aでは、バッチミキサ2への液剤の供給がON(切出し中)であるかOFF(循環中)であるかに関わらず、ポンプ8を作動させて液剤を搬送する。また、循環式供給装置12Aでは、循環中(待機中)には、電磁弁10がOFF(バッチミキサ2への流路閉鎖)となり、バッチミキサ2への液剤の供給中(切出し中)には、電磁弁10がON(バッチミキサ2への流路開放)となる。
【0051】
すなわち、循環式供給装置12Aは、バッチミキサ2への液剤の供給停止中(待機中)には、「タンク7→ポンプ8→流量計9→三方弁(電磁弁10)→タンク7」と、液剤を循環させる構成となっている(
図3(a)中の破線矢印参照)。また、循環式供給装置12Aでは、バッチミキサ2からの信号を受信している間(切出し時間中)三方弁(電磁弁10)がONとなり、「タンク7→ポンプ8→流量計9→三方弁(電磁弁10)→バッチミキサ2」へと液剤の流路Rが切り替えられる(
図3(a)中の実線矢印参照)。
【0052】
図3(b)、及び(c)に示すとおり、非循環式供給装置12Bは、バッチミキサ2への液剤の供給時のみ液剤を搬送させるものとなっている。また、
図3(b)、及び(c)に示すとおり、非循環式供給装置12Bでは、電磁弁10が設けられていない場合と、電磁弁10が設けられている場合とがある。
図3(c)に示すとおり、電磁弁10が設けられた非循環式供給装置12Bでは、タンク7からバッチミキサ2への流路R(配管11)上に二方弁(電磁弁10)が設けられている。
【0053】
図3(b)に例示する非循環式供給装置12B(電磁弁10が設けられていない非循環式供給装置12B)では、バッチミキサ2への液剤供給の待機中には、ポンプ8がOFFとなる。また、電磁弁10が設けていない非循環式供給装置12Bでは、バッチミキサ2からの信号を受信している間(切出し時間中)ポンプ8がONになり、「タンク7→ポンプ8→流量計9→バッチミキサ2」へと液剤が搬送される(
図3(b)中の実線矢印参照)。
【0054】
図3(c)に例示する非循環式供給装置12B(電磁弁10が設けられた非循環式供給装置12B)では、バッチミキサ2への液剤供給の待機中には、ポンプ8、及び電磁弁10の双方がOFFとなり、バッチミキサ2への流路Rが閉鎖される。また、
図3(c)に例示する非循環式供給装置12Bでは、バッチミキサ2への液剤供給開始時(信号ON時)には、ポンプ8、及び電磁弁10の双方がONとなり、バッチミキサ2への流路Rが開放される(
図3(c)中の実線矢印参照)。
【0055】
オートフィーダー20は、循環式供給装置12A、及び非循環式供給装置12Bの双方に対応可能となっている。具体的に説明すると、オートフィーダー20には、流量計9や電磁弁10などの外部装置を接続するため、図示を省略した複数の接続端子(入力ポート)が設けられている。また、オートフィーダー20のコントローラ21では、入力ポートに接続された外部端子に対応するプログラムが記憶されている。そのため、オートフィーダー20では、流量計9や電磁弁10の接続端子を対応する入力ポートに差し替えるとともに、コントローラ21において循環式・非循環式の切り替え設定を実行することで、循環式と非循環式との切り替えを容易に行うことができる。
【0056】
これにより、オートフィーダー20(コントローラ21)は、供給装置12の種々の構成に対応して、液剤の制御を行うことができる。より具体的に説明すると、オートフィーダー20(コントローラ21)によれば、事後的に供給装置12の構成が変更となった場合(例えば供給装置12が非循環式から循環式に切り替えられた場合など)、別途オートフィーダーを準備することを要さず、供給装置12の構成の変更などに柔軟に対応することができる。特に、電磁弁10が破損するなどのトラブルがあった場合、本実施形態のオートフィーダー20(コントローラ21)によれば、一時的に電磁弁10を取り外して、循環式から非循環式に切り替えるなど、柔軟な運用に対応することができる。すなわち、コントローラ21によれば、シーケンスの変更を要することなく、配管形式の変更(循環式と非循環式)に柔軟に対応することができる。
【0057】
なお、オートフィーダー20の制御対象となる供給装置12は、一部を非循環式供給装置12Bとし、他を循環式供給装置12Aとしてもよい。例えば、
図4(a)に例示するとおり、オートフィーダー20の制御対象となる三つの供給装置12は、樹脂を供給するための供給装置12を循環式供給装置12Aとし、硬化剤を供給するための供給装置12を非循環式供給装置12Bとしてもよい。また逆に、オートフィーダー20の制御対象となる三つの供給装置12は、樹脂を供給するための供給装置12を非循環式供給装置12Bとし、硬化剤を供給するための供給装置12を循環式供給装置12Aとしてもよい。
【0058】
さらに、オートフィーダー20の制御対象となる供給装置12は、全てが非循環式供給装置12Bでもよく、全てが非循環式供給装置12Bであってもよい。例えば、
図4(b)に例示するとおり、オートフィーダー20の制御対象となる三つの供給装置12は、樹脂を供給するための供給装置12、及び硬化剤を供給する供給装置12の双方を非循環式供給装置12Bとしてもよく、樹脂を供給するための供給装置12、及び硬化剤を供給する供給装置12の双方を循環式供給装置12Aとしてもよい。
【0059】
さらに、
図1に一例として示す鋳型造型装置1では、三つの供給装置12を設けた例を示したが、上述のとおり供給装置12は二つであってもよい(
図4(c)参照)。また、二つの供給装置12は、上述の例と同様に、双方を循環式供給装置12Aとしてもよいし、双方を非循環式供給装置12Bとしてもよい。さらに、二つの供給装置12は、一方を循環式供給装置12Aとし、他方を非循環式供給装置12Bとしてもよい。
【0060】
(5.オートフィーダーの構成)
【0061】
次に、オートフィーダー20の各構成や機能などについて説明する。オートフィーダー20は、バッチミキサ2に用いられる。より具体的には、オートフィーダー20は、バッチミキサ2への液剤の供給量を制御、あるいは管理するために用いられるものである。オートフィーダー20は、バッチミキサ2からの信号を受信してポンプ8を作動させる、あるいは遅硬剤と速硬剤の配合を調整するなど、種々の機能を備えている。
【0062】
なお、以下の説明では、バッチミキサ2への液剤の供給時間としてバッチミキサ制御装置3において設定(記憶)された時間を「切出し時間T1」と記載して説明する場合がある。また、オートフィーダー20のコントローラ21がバッチミキサ制御装置3からの信号受信により読み込んだ時間(信号受信時間)を、「切出し時間T2」と記載して説明する場合がある(
図6参照)。
【0063】
図1に示すとおり、オートフィーダー20には、コントローラ21(制御装置)、表示装置25、及び報知装置26が設けられている。本実施形態で例示するオートフィーダー20は、筐体内部に各ポンプ8が収容されている。なお、ポンプ8は、必ずしもオートフィーダー20の筐体内部に収容されていることを要さず、オートフィーダー20の筐体外に設けられ、コントローラ21と接続されているものであってもよい。
【0064】
コントローラ21(制御装置)は、バッチミキサ2への樹脂及び硬化剤を含む複数種類の液剤を、これらの液剤に対応するそれぞれの供給装置12を用いてバッチミキサ2への供給を制御する。
図1に示すとおり、コントローラ21(制御装置)は、ハードウエアの構成として、CPU22、RAM23、ROM24、表示装置25、報知装置26、及びI/F(図示を省略)を有しており、それぞれがバスを介して接続されている。また、コントローラ21は、バッチミキサ2、ポンプ8、流量計9、電磁弁10、及び温度センサ5と接続されている。また、コントローラ21は、サーバ50と通信可能となっている。
【0065】
CPU22は、従来よく知られる演算手段であり、コントローラ21全体の動作を制御する。RAM23は、CPU22が情報を処理する際の作業領域として機能する。ROM24には、各種プログラムやデータが格納されている。このようなハードウエア構成において、CPU22が所定のプログラムに従って演算を行うことにより、コントローラ21には、読み込まれたプログラムに応じた機能ブロックが構成される(
図2参照)。なお、コントローラ21が備える各機能については、後で説明する。
【0066】
表示装置25は、液晶ディスプレイとなっており、各種情報を表示するものとなっている。また、本実施形態の表示装置25は、表示された画像(ボタン)をユーザが選択することで操作可能なユーザインターフェースとしての機能を兼ね備えている。すなわち、本実施形態の表示装置25は、タッチパネル機能を有するディスプレイ(タッチパネル)であって、表示装置としての機能に加え、操作装置としての機能を備えている。なお、表示装置25はタッチパネル機能を有さないものであってもよい。また、表示装置25にタッチパネル機能を設けない場合、オートフィーダー20には操作部が設けられていることが望ましい。
【0067】
オートフィーダー20では、表示装置25に対するユーザの操作を受け付けることにより、各種設定が可能となっている。例えば、オートフィーダー20では、表示装置25に表示された「通常運転モード」や「検量モード」等のボタン画像をユーザがタッチして選択することで、これらのモードを選択可能となっている。また、オートフィーダー20は、表示装置25に対する操作により、各液剤の1バッチあたりの目標量(設定量)などを設定可能となっている。具体的には、オートフィーダー20では、表示装置25に、砂量及び硬化剤の添加量、樹脂の添加量を入力することで、1バッチあたりの目標量を設定可能となっている。
【0068】
報知装置26は、各種情報を報知するためのものである。本実施形態では、報知装置26は、ランプやブザーなどにより構成されている。報知装置26は、液剤の供給量が所定の範囲内でない場合に、警報音(アラート)を発する。
【0069】
(6.コントローラの機能ブロック)
次に、
図2を参照しつつ、コントローラ21(制御装置)が備える機能について説明する。上述のとおり、CPU22が所定のプログラムに従って演算を行うことにより、コントローラ21には、読み込まれたプログラムに応じた機能ブロックが構成される。なお、コントローラ21が実行する処理や動作は、プログラムや制御方法として置き換えることができる。
【0070】
具体的には、
図2に示すとおり、コントローラ21は、CPU22がプログラムを実行することにより、流量計測部30、供給量算出部31、誤差判定部32、報知処理部33、遅れタイマ発動部34、ポンプ定数算出部35、ポンプ定数設定部36、ポンプ運転周波数設定部37、硬化剤配合比算出部38、信号受信処理部39、設定受付処理部40、切出し時間設定部41などとして機能する。
【0071】
流量計測部30は、液剤の流量を所定の方式により計測する。例えば、流量計測部30は、循環式供給装置12Aにより搬送される液剤の瞬時流量、及び所定時間中(切出し時間T2中)の瞬時流量の積算回数を計測する。また、流量計測部30は、非循環式供給装置12Bにより搬送される液剤について、流量計9から出力される所定時間中のパルス数を計測する。より詳細に説明すると、流量計測部30は、非循環式供給装置12Bにより搬送される前記液剤について、切出し時間T2の開始から、切出し時間T2が終了した後に遅れタイマ時間が終了したとき(特定のタイミング)までの特定時間に亘り、パルス数を計測する。
【0072】
供給量算出部31は、所定時間中に計測された流量を用いて、1バッチあたりに供給された液剤の供給量を算出する。例えば、供給量算出部31は、循環式供給装置12Aにより搬送される液剤について、液剤の瞬時流量、瞬時流量の積算回数、及び切出し時間T2を用いて、1バッチあたりに供給された液剤の供給量を算出する。また、供給量算出部31は、非循環式供給装置12Bにより搬送される液剤について、パルス数を用いて、1バッチあたりに供給された液剤の供給量を算出する。より具体的には、供給量算出部31は、非循環式供給装置12Bにより搬送される液剤について、流量計測部30により計測された特定時間中のパルス数を用いて、1バッチあたりに供給された液剤の供給量を算出する。
【0073】
誤差判定部32は、予め定められた1バッチあたりの液剤の目標量と、1バッチあたりの液剤の供給量との誤差を算出し、その誤差が閾値を超えるか否かを判定する。なお、誤差判定部32による判定対象の誤差値(閾値)は、予め定められた値であってもよいし、ユーザの操作により設定可能であってもよい。
【0074】
報知処理部33は、各種情報を報知するための処理を行う。例えば、報知処理部33は、流量計測部30が計測した流量を報知装置26に表示させるために、所定のコマンドを報知装置26に送信する処理を行う。また、報知処理部33は、目標量と供給量との誤差が閾値を超えると誤差判定部32により判定された場合に、報知装置26に報知を実行させるための処理(例えば対応するコマンドの報知装置26への送信など)を行う。また、報知処理部33は、循環中(待機中)の流量に異常が発生した場合、報知装置26に報知を実行させるための処理を行う。
【0075】
遅れタイマ発動部34は、遅れタイマを発動させる処理を行う。具体的には、遅れタイマ発動部34は、コントローラ21に設けられた遅れタイマカウンタに遅れタイマに係る時間をセットして減算する処理を行う。なお、遅れタイマに係る時間の管理は、減算方式(カウントダウン)であってもよいし、加算方式(カウントアップ)であってもよい。
【0076】
ポンプ定数算出部35は、ポンプの性能を示すポンプ定数を算出する。具体的には、ポンプ定数算出部35は、所定時間(例えば切出し時間T2)に亘り液剤を吐出させた場合の液剤の吐出量、及びポンプの運転周波数を用いて、運転周波数と吐出量との関係を示すパラメータであるポンプ定数を算出する。
【0077】
ポンプ定数設定部36は、ポンプ定数の設定を行う。例えば、ポンプ定数設定部36は、ポンプ定数算出部35により算出されたポンプ定数を、新たなポンプ定数として記憶する。
【0078】
ポンプ運転周波数設定部37は、各種情報に基づいてポンプ8の運転周波数を制御する。例えば、ポンプ運転周波数設定部37は、液剤の配合比や、設定されたポンプ定数や液剤の目標量等の情報に基づいて、ポンプ8の運転周波数を制御する。
【0079】
硬化剤配合比算出部38は、温度センサ5から取得した温度情報に基づいて、遅硬剤及び速硬剤の配合比率を算出する。
【0080】
なお、遅硬剤及び速硬剤は、それぞれに対応する流量計9やポンプ8を用いて流量の制御が行われるが、コントローラ21は、硬化剤の量(遅硬剤の量と速硬剤の量とを合算した量)は一定となるよう制御する。すなわち、コントローラ21は、遅硬剤及び速硬剤の配合比率は、砂温に応じて変化させるものの、硬化剤の量(遅硬剤の供給量と速硬剤の供給量とを合算した液剤の量)は一定となるよう、各種の算出や制御を行う。例えば、コントローラ21は、後述する供給量算出処理、誤差判定処理、報知処理、及び硬化剤配合比算出処理では、遅硬剤と速硬剤との合算値を「硬化剤の量」として算出する。
【0081】
信号受信処理部39は、バッチミキサ制御装置3からの各種信号を受信して、ポンプ8の運転開始を制御する。
【0082】
設定受付処理部40は、表示装置25に対するユーザの操作(入力)を受け付け、その操作に対応する処理を行う。
【0083】
切出し時間設定部41は、切出し時間の初期設定時や検量モード時などの切出し時間設定時(初期設定時、及び検量モード時の手動運転による切出し時間の設定時)に、バッチミキサ制御装置3からの各種信号を受信してその信号受信時間を計測するとともに、その信号の受信時間を「切出し時間T2」として記憶する。
【0084】
(7.バッチミキサと連続ミキサとの違い)
次に、
図5を参照しつつ、連続ミキサ130、及びバッチミキサ2の違いについて説明する。
【0085】
連続ミキサ130は、連続して砂材や液剤を供給して、連続的に鋳型を製造可能となっている。すなわち、連続ミキサ130では、自動運転状態が解除されるまで耐火性粒子や液剤が継続して供給される。また、連続ミキサ130は、樹脂及び硬化剤に関する各種信号(ポンプ運転信号や電磁弁開信号)を継続して出力する。すなわち、連続ミキサ130では、液剤の切出し時間が決まっておらず、連続ミキサ130が運転している間、液剤の供給が継続して行われる。
【0086】
一方、バッチミキサ2では、運転開始ボタンをONすると、所定量の耐火性粒子がバッチミキサ2内に投入され、設定された時間(切出し時間T1)の間、各種信号が出力される。なお、連続ミキサ130でも、バッチミキサ2でも、ミキサ主導で各種信号が発信されるという点は同じとなっている。
【0087】
ここで、連続ミキサ130では一工程ごとの目標量や切出し時間が決まっていない。言い方を換えれば、連続ミキサ130では、「液剤の切出し時間」という概念がない。一方、バッチミキサ2では、一工程ごとの切出し時間T1が決まっている。そのため、後で詳述するとおり、バッチミキサ2に用いられるオートフィーダー20の流量管理や供給量制御では、正確な切出し時間T1の取り込みが課題となる。
【0088】
(8.バッチミキサの役割とオートフィーダーの役割)
次に、バッチミキサ2の役割、及びオートフィーダー20の役割について説明する。バッチミキサ2は、基本的にはオートフィーダー20がなくても液剤の供給ON/OFFを制御可能となっている。具体的には、バッチミキサ2は、その構成として、電磁弁10やポンプ(図示を省略)を備えており、そのポンプを駆動させて液剤を供給することで、バッチミキサ2だけで液剤の供給を含む鋳型の造型を完了することができる。すなわち、バッチミキサ2だけでは液剤の「流量管理」は難しいものの、液剤の供給自体は可能となっている。
【0089】
一方、オートフィーダー20は、(1)バッチミキサ2からの各種信号(樹脂ポンプ運転信号や硬化剤ポンプ運転信号)を受信して液剤を搬送するポンプ8を作動させる、(2)液剤の供給量を設定制御する、(3)砂の温度を取得し、硬化剤における遅硬液と速硬液の配合及びポンプ8の吐出量(インバータ周波数)を算出する、という(1)~(3)の機能を備えている。
【0090】
このように、バッチミキサ2はオートフィーダー20がない場合でも液剤の供給を含む造型動作を完了させることができる。一方、オートフィーダー20は、液剤の供給量の制御が可能ではあるものの、それ自体(オートフィーダー20単独)では、砂材投入、液剤供給、混練動作などを含む造型動作を完了させることができない。そのため、オートフィーダー20は、バッチミキサ2に付随する装置(バッチミキサ2を補助する装置)であると言える。このように、オートフィーダー20は、バッチミキサ2での実行が難しい流量管理や硬化速度の変更など、バッチミキサ2の動作に付随する制御を行う。
【0091】
なお、本実施形態のオートフィーダー20は、バッチミキサ2に設けられたポンプとは別のポンプ(ポンプ8)を備えている。すなわち、バッチミキサ2にもポンプが設けられているが、オートフィーダー20には、運転周波数により制御可能なポンプ8が準備されている。また、オートフィーダー20は、後述するとおり、バッチミキサ2のポンプ運転信号を受信することで、ポンプ8を作動可能となっている。
【0092】
ここで、本実施形態では、バッチミキサ2に電磁弁10が設けられている例を示したが、実際の現場に提供されているバッチミキサ2では、電磁弁10が設けられていないものも多い。また、バッチミキサ2に電磁弁10が設けられていない場合、制御の煩雑さを回避するなどの理由により、わざわざ電磁弁10を追加で取り付けることはまれである。オートフィーダー20は、バッチミキサ2の電磁弁10の有無など種々のパターンに対応するため、樹脂ポンプ作動信号、樹脂電磁弁開信号、硬化剤ポンプ作動信号、及び硬化剤電磁弁開信号の、全ての信号を受信可能となっている。
【0093】
なお、電磁弁10が設けられているバッチミキサ2が用いられている場合であっても、電磁弁10を使用する利点(後述する液垂れの抑制)と、電磁弁10が壊れた場合のリスクとを考慮した結果、多くの現場で電磁弁10を使用しない運用が行われている。具体的には、従来ではバッチミキサ2に電磁弁10(二方弁など)が設けられているものが多かったが、二方弁は壊れやすくトラブルの原因となりやすい。例えば、二方弁が動かなくなると閉塞運転となり、種々のトラブル発生の要因となりかねない。
【0094】
そのため、昨今では、バッチミキサ2に電磁弁が設けられている場合であっても、リスクを回避するため、あえて電磁弁を取り外す運用が多くなっている。また、その運用に対応するように、バッチミキサ2も、電磁弁10が設けられていないものが多く提供されるようになっている。その結果、昨今の現場では、電磁弁10が設けられていないバッチミキサ2が多く用いられている。これに追随するように、バッチミキサ2に用いられるオートフィーダー20では、電磁弁10が設けられていない状況に対応する必要性が高まっている。
【0095】
(9.バッチミキサにおける流量管理、供給量の正確性向上に対する課題)
ここで、従来、バッチミキサ2を用いた鋳型の造型では、1バッチあたりの液剤の目標量と、実際に供給された液剤の量との誤差の抑制が課題となっていた。
【0096】
このような課題に対し、本発明の発明者は、バッチミキサ2に用いられるオートフィーダーにおいて、連続ミキサ130の構成を適用することを検討した。しかしながら、連続ミキサ130は、液剤を常に供給するという特性から、電磁弁10が設けられていることが多いのに対して、バッチミキサ2は電磁弁10が設けられていない場合が多い。また、バッチミキサ2に電磁弁10が設けられていたとしても、使用されていない場合が多々ある。さらに、電磁弁10が設けられていないバッチミキサ2は非循環式にならざるを得ず、液剤が循環していない状況(流量が動いていない状況)に対応せざるを得ない。
【0097】
上述のとおり、砂材の混練を行うのはあくまでもバッチミキサ2であり、オートフィーダー20は、バッチミキサ2の造型工程の制御に沿って動作を行う必要がある。そのため、オートフィーダー20(コントローラ21)における液剤の切出し時間T2の設定は、バッチミキサ2の液剤の切出し時間T1の設定に従わざるを得ない。
【0098】
これらの連続ミキサ130とバッチミキサ2における特性の違いや、「切出し時間」の概念の有無などがあり、連続ミキサ130の供給量制御をバッチミキサ2の供給量制御に対して即座に適用することは困難であった。そこで本発明の発明者は、バッチミキサ2の特性に対応しつつ、バッチミキサ2における供給量の誤差を改善する方策について鋭意検討したところ、切出し時間を正確に把握することで、これらの課題を解決可能であるとの知見に至った。
【0099】
ここで、バッチミキサ2における従来の切出し時間の設定(把握)について説明すると、バッチミキサ2に設けられているタイマリレー(図示を省略)は、PLCが内蔵されているデジタル方式や、アナログ方式のものがある。デジタル方式のタイマリレーでは、0.1秒単位での精密な時間の計測が設定されていることが多く、計測された時間はデジタル表示されるため、バッチミキサ2の切出し時間T1の把握が容易となる。
【0100】
一方、アナログ方式のタイマリレーでは、デジタル方式のような精密な時間表示が困難であり、さらに表示時間がアナログ方式で時間が表示される(表示盤上に設けられた針が指す時間により時間が表示される)。そのため、バッチミキサ2に設けられたアナログ方式のタイマリレーの表示をもとに切出し時間T1を把握しようとした場合、実際には「8.3秒」の切出し時間T1であっても、針が示す値が「8秒」付近であるなど、正確な切出し時間T1(例えば0.1秒単位)を把握することは困難であった。このように、アナログ方式のタイマリレーによると、正確な切出し時間に対して誤差が生じやすい。
【0101】
さらには、長年に亘り稼働してきたバッチミキサ2では、アナログ方式のタイマリレーの表示部分が樹脂や油などで変色して時間の把握自体が困難となっている場合(視認すら難しい場合)や、タイマリレーが劣化して表示される時間の信頼性が低下している場合もある。
【0102】
上述の問題に対して、デジタル方式のタイマリレーが採用されているバッチミキサ2を用いればよいのであるが、即座にそのような対応を行えない場合も多い。具体的には、バッチミキサ2は壊れにくく、導入から数十年を経過してもアナログ方式のタイマリレーを備えるバッチミキサ2が依然として稼働しているという実情がある。また、バッチミキサ2のタイマリレーがデジタル方式のものであると、切出し時間の設定変更を行うためには特殊な機器を要するなど、使い勝手が悪いという現場の事情もある。さらに、実際の現場では、アナログ方式のタイマリレーであるかデジタル方式のタイマリレーであるかに関わらず、ユーザがバッチミキサ2のタイマリレーに表示される切出し時間T1を大雑把に把握する場合もあった(例えば表示は「8.3秒」となっていても、ユーザが「8.0秒」と入力するなど)。
【0103】
また、実際の現場では、従来のオートフィーダーを用いて液剤の供給精度を高めるため、バッチミキサ2を試運転させて液剤の吐出量を測り、熟練者の経験に基づいてオートフィーダーのポンプ運転周波数の再設定を手動で行う、といった作業が行われる場合もあった。しかしながら、バッチミキサ2の切出し時間T1として表示された時間(例えば8.0秒)を信用してオートフィーダーにて切出し時間T2を「8.0秒」で設定としても、実際のバッチミキサ2の切出し時間T1(実際の供給時間)は「8.3秒」であるなど、誤差がある場合も多い。また、誤差があるままその時間で計算すると、ポンプ周波数の計算が狂い、結果としてユーザがポンプ定数などの再設定(再計算)をしても、供給量の誤差がさほど改善しないという問題があった。
【0104】
本発明の発明者が鋭意検討した結果、上述した諸般の事情が判明し、これらの事情が液剤の供給量の誤差発生の要因となって実際の切出し時間T1が正確に把握されていないとの知見が得られた。また、本発明の発明者は、バッチミキサ2の「切出し時間T1」とオートフィーダー20(コントローラ21)の「切出し時間T2」との誤差を限りなく小さくすることで、供給量の正確性向上(誤差低減)を実現することができるとの確信に至った。
【0105】
また、本発明の発明者が切出し時間T2の正確性向上について鋭意検討した結果、オートフィーダー20(コントローラ21)においてバッチミキサ2のポンプ運転信号などを読み込み、その時間を「切出し時間T2」として記憶することで、切出し時間T2の精度を向上させることができるとの知見に至った。すなわち、オートフィーダー20(コントローラ21)は、バッチミキサ2のポンプ運転信号などの出力時間をもとに切出し時間T2を記憶することで、バッチミキサ2のタイマリレーを人が目視してオートフィーダー20に入力する場合に比べ、バッチミキサ2の実際の切出し時間T1とオートフィーダー20(コントローラ21)の切出し時間T2との誤差を限りなく少なくするとともに、人が入力する場合と比較して人為的ミスを抑制することができる。
【0106】
(10.バッチミキサ制御装置から出力される各種信号、及び切出し時間)
次に、
図6を参照しつつ、バッチミキサ制御装置3から出力される各種信号の出力タイミングと切出し時間T2との関係について説明する。
【0107】
本実施形態のコントローラ21では、バッチミキサ制御装置3から出力される各種信号の受信時間を取り込むことで、正確な切出し時間の読込みが可能となっている。これにより、本実施形態のコントローラ21は、上述した液剤の供給量算出精度の向上や、誤差判定精度の向上、ポンプ定数の算出精度の向上等を実現している。
【0108】
なお、各液剤の切出し時間T2の読込みや設定(
図17の切出し時間設定処理を参照)は、コントローラ21の初期設定時(オートフィーダー20の納品時など)にバッチミキサ2を手動で運転させることで実行可能となっている。具体的には、バッチミキサ2の各構成(ポンプ、電磁弁など)を個別に運転させて(各個運転)、コントローラ21がバッチミキサ制御装置3から出力される各種信号の出力時間(切出し時間T1)を読み込み、コントローラ21がその時間を「切出し時間T2」として記憶することで、切出し時間T2の初期設定を行うことができる。また、コントローラ21は、後述する検量モードなどでも、切出し時間設定処理を実行可能となっている(切出し時間T2の再読込み、及び再設定が可能となっている)。また、コントローラ21は、記憶された「切出し時間T2」を用いて、1バッチあたりの液剤の供給量の算出や、ポンプ定数の算出などを行う。
【0109】
ここで、
図6に示すとおり、バッチミキサ制御装置3は、電磁弁10の有無など、供給装置12の構成によって、ポンプ運転信号及び電磁弁開信号のうち双方又は一方を出力する。また、信号出力開始タイミングは、循環式の場合のポンプ運転信号を除き、バッチミキサ2の自動運転開始時となっている。なお、循環式の場合は、液剤の供給ON/OFFに関わらず、ポンプ運転信号がONとなっている。また、バッチミキサ制御装置3は、自動運転開始から予め定められた切出し時間T1(設定された切出し時間)を経過すると、自動的に運転を解除するとともに、所定の信号の出力を終了する。
【0110】
以下、
図6を参照しつつ、循環式(パターンA)の場合、非循環式で電磁弁10がある場合(パターンB-1)、及び非循環式で電磁弁10がない場合(パターンB-2)の各パターンについて、バッチミキサ制御装置3から出力される信号とオートフィーダー20(コントローラ21)によるポンプ8の作動との関係について説明する。なお、
図6では、搬送対象が樹脂の場合を例として説明するが、硬化剤についても同様に、循環式であるか否か、非循環式において電磁弁10の有無に応じて、同様の信号(硬化剤ポンプ運転信号、及び硬化剤電磁弁開信号)が出力される。
【0111】
なお、ポンプ8の作動(ポンプ8のON/OFF)はコントローラ21により制御されるが、電磁弁10の開閉はバッチミキサ制御装置3により制御される。また、コントローラ21は、非循環式の場合は、バッチミキサ制御装置3から出力される信号(ポンプ運転信号や電磁弁開信号)が出力されている間(切出し時間T1中)、ポンプ8を運転させる。
【0112】
ここで、各ポンプ8のON/OFFや回転数(運転周波数)は、コントローラ21により制御される。一方、上述のとおり、各電磁弁10の自動運転中の制御は、バッチミキサ制御装置3により行われる。そのため、供給装置12が循環式である場合、コントローラ21は、切出し中の液剤の流量制御を実行するものの、液剤の供給ON/OFF自体の制御を行わない。例えば、
図6(a)に示すとおり、循環式の場合には、コントローラ21はポンプ8を常時作動させており、バッチミキサ制御装置3の制御による電磁弁10の流路Rの切り替えにより、バッチミキサ2への液剤の供給のON/OFFが切り替えられる。なお、循環式の場合、コントローラ21は、電磁弁開信号のONにより液剤供給開始を把握して、液剤の流量計測、及び計測回数の積算を開始する。
【0113】
一方、非循環式の場合には、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から液剤の切出し開始の契機となる信号を受信すると、その信号受信から対応する液剤の切出し時間T2に亘り、液剤に対応するポンプ8(樹脂ポンプ)を作動させ、液剤を供給する制御を行う。すなわち、非循環式の場合には、コントローラ21は、切出し中の液剤の流量制御に加え、液剤の供給ON/OFFをも制御するといえる。
【0114】
例えば、
図6(b)に示すとおり、樹脂の供給装置12が電磁弁10を備える非循環式である場合、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から樹脂ポンプ運転信号及び樹脂開閉信号を受信すると、これらの信号受信から対応するポンプ8(樹脂ポンプ)を作動させて樹脂の切出し(供給)を開始させる。また、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から出力される樹脂ポンプ運転信号が停止すると(信号がOFFとなると)、そのポンプ8(樹脂ポンプ)の作動を停止させ、樹脂の切出し(供給)を終了させる。
【0115】
また、
図6(c)に示すとおり、樹脂の供給装置12が電磁弁10を備えない非循環式である場合、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から樹脂ポンプ運転信号を受信すると、その信号受信から対応するポンプ8(樹脂ポンプ)を作動させて樹脂の切出し(供給)を開始させる。また、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から出力される樹脂ポンプ運転信号が停止すると(信号がOFFとなると)、ポンプ8の作動を停止させ、樹脂の切出し(供給)を終了させる。
【0116】
このように、循環式の場合(パターンA)、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から出力される電磁弁開信号の受信開始により液剤の供給開始を把握する。また、非循環式で電磁弁10がある場合(パターンB-1)、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から出力されるポンプ運転信号及び電磁弁開信号の受信開始によりポンプ8を作動させて液剤の供給を開始させる。さらに、非循環式で電磁弁10がない場合(パターンB-2)、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から出力されるポンプ運転信号の受信開始によりポンプ8を作動させて液剤の供給を開始させる。すなわち、コントローラ21は、バッチミキサ2からの信号受信を契機として、液剤の流量計測を開始する。
【0117】
また、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から出力される信号がOFFとなることにより、液剤の供給停止を制御、あるいは液剤の供給停止を把握する。すなわち、コントローラ21では、液剤の流量計測を開始する契機はバッチミキサ制御装置3からの信号の受信開始となっており、液剤の流量計測を終了する契機はバッチミキサ制御装置3からの信号の受信終了となっている。
【0118】
次に、コントローラ21に記憶される切出し時間T2について、
図7を参照しつつ説明する。上述のとおり、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から出力される切出し時間T1を読み込み、その時間を「切出し時間T2」として記憶する。また、コントローラ21は、切出し時間T2を用いて、1バッチあたりの液剤の供給量の算出、及びポンプ定数の算出等を行う。また、各切出し時間T2(樹脂切出し時間T2a、及び硬化剤切出し時間T2b)の読み込みは、例えばバッチミキサ2の各個運転(ポンプ8、電磁弁10等の構成を個別に運転させる手動運転)を実行することにより行うことができる。
【0119】
図7に示すとおり、コントローラ21は、切出し時間の読み込み対象となる信号の出力開始から出力終了までの時間を、「切出し時間T2」として記憶する。例えば、切出し時間の読み込み対象が樹脂である場合には、樹脂ポンプ運転信号又は樹脂電磁弁開信号の出力時間を読み込み、その時間を「樹脂切出し時間T2a」として記憶する。また、切出し時間の読み込み対象が硬化剤である場合には、硬化剤ポンプ運転信号又は硬化剤電磁弁開信号の出力時間を読み込み、その時間を「硬化剤切出し時間T2b」として記憶する。
【0120】
このように、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から出力される各種信号を受信し、これらの信号の受信時間(切出し時間T1)に基づいて樹脂、及び硬化剤の切出し時間T2を記憶する。また、バッチミキサ制御装置3から出力される信号の受信時間(切出し時間T1)と、コントローラ21が切出し時間として記憶する時間(切出し時間T2)とは、ほぼ同一となっている。コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から出力される信号の受信時間(切出し時間T1)をタイマリレーの時間読み込み単位(本実施形態では0.1秒ごと)で読み込み可能となっている。従って、コントローラ21は、バッチミキサ2の切出し時間T1の読み取り精度を高めることができる。
【0121】
なお、硬化剤の場合は、バッチミキサ制御装置3からの硬化剤運転ポンプ及び硬化剤電磁弁開信号の一方又は双方の受信により、コントローラ21は遅硬剤及び速硬剤の二種類の液剤の供給を開始する。すなわち、硬化剤については、遅硬剤及び速硬剤の供給開始タイミング、及び切出し時間が同一となっている。
【0122】
図7に示すとおり、コントローラ21は、複数の液剤のうち、いずれかの液剤の切出しを開始する契機となる信号(液剤の切出しをONとする信号)を受信すると、「自動運転が開始された」と判断する。また、コントローラ21は、複数の液剤について全ての切出しが終了すると、「自動運転が終了した」と判断する。すなわち、コントローラ21は、いずれかの液剤の切出し契機となる信号の受信から、全ての液剤の切出しが終了するまでの時間(自動運転時間T3)を一工程として判断する。
【0123】
なお、本実施形態では、
図7に示すとおり、樹脂ポンプ運転信号の出力時間(樹脂切出し時間T1a)と、硬化剤ポンプ運転信号の出力時間(硬化剤切出し時間T1b)とは、異なる時間となっている。また、
図7に示すとおり、本実施形態では、樹脂の切出し開始と、硬化剤の切出し開始とは、異なるタイミング(樹脂切出し開始が先で硬化剤切出し開始が後)となっている。
【0124】
コントローラ21は、バッチミキサ2側の設定に応じて、あるいはユーザの操作に応じて、樹脂切出し時間や硬化剤切出し時間、樹脂の切出し開始や硬化剤の切出し開始のタイミングを変更可能となっている。そのため、コントローラ21は、樹脂切出し時間T2aと硬化剤切出し時間T2bとを同じとする、あるいは樹脂切出し開始と硬化剤切出し開始とを同じタイミングとすることも可能である。
【0125】
このように、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3から各種信号を受信することで自動運転時間中の各種制御を行う。なお、上述のとおり、オートフィーダー20は、バッチミキサ2に付随する装置であり、オートフィーダー20(コントローラ21)がバッチミキサ制御装置3の鋳型造型工程の供給時間の変更など制御に介入すると、鋳型造型工程の全体の制御に影響を及ぼしかねない。そのためオートフィーダー20(コントローラ21)からバッチミキサ2に対して運転などを指令する信号が出力されることはほとんどない。
【0126】
なお、以下の説明では、切出し時間T2中を、単に「切出し時間中」、又は「切出し中」と記載して説明する場合がある。さらに、切出し時間T2中には、液剤がバッチミキサ2へと供給されることとなる。そのため、切出し中を、単に「供給ON」と記載して説明する場合がある。
【0127】
(11.オートフィーダーの運転モード)
次に、オートフィーダー20が実行可能な各モードについて説明する。オートフィーダー20には、運転モードとして、複数のモードが設けられている。具体的には、オートフィーダー20には、「通常運転モード」、及び「検量モード」の少なくとも二つの運転モードが設けられている。なお、その他、手動モードなど複数の運転モードが設けられているが、以下では、通常運転モード及び検量モードについて説明する。
【0128】
表示装置25の画面には、運転モードを選択可能な複数のモード選択ボタン(図示を省略)が設けられている。例えば、表示装置25の画面は、図示を省略した通常運転モード選択ボタン、検量モード選択ボタン等を表示可能となっている。また、オートフィーダー20では、ユーザがモード選択ボタンをタッチするなどの操作を行うことで、運転モードを選択、決定して、運転モードの切り替えが可能となっている。
【0129】
例えば、ユーザが通常運転モード選択ボタンをタッチして通常運転モードが選択、決定されると、コントローラ21は、通常運転モードでの制御を実行する。なお、通常運転モードは、表示装置25に表示される他の運転モードボタン(検量モードボタンなど)をタッチするなどの操作を行い、他の運転モードが選択及び決定されることなどで解除される。また、ユーザが検量モード選択ボタンをタッチして検量モードが選択、決定されると、コントローラ21は、検量モードでの制御を実行する。
【0130】
なお、オートフィーダー20では、上述した表示装置25に対する操作のほか、図示を省略した複数の操作ボタンやスイッチが設けられており、それらのボタン又はスイッチをユーザが押下するなどの操作でも運転モードの選択、切り替えが可能となっている。
【0131】
「通常運転モード」とは、オートフィーダー20がバッチミキサ2の運転開始を待機する状態、及びバッチミキサ2の運転に連動して液剤を供給する状態である。通常運転モードでは、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3からの信号受信の待機や、液剤の流量制御など、後述する通常運転中制御を実行する。なお、以下の説明では、通常運転モードが選択されている状態を、単に「通常運転中」と記載して説明する場合がある。
【0132】
また、通常運転中において、コントローラ21がバッチミキサ制御装置3からの信号の受信を待機している状態を、単に「待機中」、又は「待機状態」と記載して説明する場合がある。さらに、供給装置12が循環式である場合、待機中に液剤をバッチミキサ2に供給させずタンク7に戻すよう循環させている状態を、単に「循環中」と記載して説明する場合がある。
【0133】
(12.循環式の場合の通常運転モード中の制御)
次に、コントローラ21が実行する通常運転モード中(通常運転中)の制御について、
図8~9を参照しつつ説明する。先ず、供給装置12が循環式である場合に、コントローラ21が実行する通常運転中の制御について、
図8~9を参照しつつ説明する。
図8は、循環式の場合にコントローラ21が実行する通常運転中の制御を時系列的に示すタイミングチャートである。
【0134】
コントローラ21には、表示装置25に対するユーザの操作を受け付けることで、耐火性粒子に対する樹脂の添加量、及び硬化剤の添加量や配合比などが記憶されている。なお、これらの情報は、設定受付処理部40(コントローラ21)が受け付け処理を行うことで設定される(コントローラ21に記憶される)。
【0135】
コントローラ21は、供給装置12が循環式であるか非循環式であるかによって、流量計測方式を選択、あるいは変更可能となっている。また、コントローラ21は、1バッチあたりに投入された液剤の供給量を算出する処理(供給量算出処理)において、供給装置12が循環式であるか非循環式であるかに応じて、一部が異なる制御を実行する(
図9及び
図12参照)。言い方を換えれば、コントローラ21は、各液剤の通常運転中の制御について、各液剤の供給装置12に対応した処理(循環式用通常運転中処理、又は非循環式用通常運転中処理)を行う。
【0136】
さらに、コントローラ21は、各液剤にそれぞれ対応する複数の通常運転中処理を実行する。例えば、樹脂、遅硬剤、及び速硬剤の全ての液剤が循環式供給装置12Aにより搬送されるものである場合、コントローラ21は、樹脂に対する循環式用通常運転中処理、遅硬剤に対する循環式用通常運転中処理、及び速硬剤に対する循環式用通常運転中処理を行う。
【0137】
また、樹脂、遅硬剤、及び速硬剤の全ての液剤が非循環式供給装置12Bにより搬送されるものである場合、コントローラ21は、樹脂に対する非循環式用通常運転中処理、遅硬剤に対する非循環式用通常運転中処理、及び速硬剤に対する非循環式用通常運転中処理を行う。
【0138】
さらに、樹脂が循環式供給装置12Aにより搬送されるものであり、遅硬剤、及び速硬剤が非循環式供給装置12Bにより搬送されるものである場合、コントローラ21は、樹脂に対する循環式用通常運転中処理、遅硬剤に対する非循環式用通常運転中処理、及び速硬剤に対する非循環式用通常運転中処理を行う。
【0139】
図8に示すとおり、通常運転モードがONとなると、コントローラ21は、循環式供給装置12Aの搬送対象となる液剤について、液剤の瞬時流量の計測などの循環式用待機中処理を行う。また、液剤が硬化剤である場合、コントローラ21は、循環式用待機中処理として、瞬時流量の計測や流量制御に加え、砂温に応じた硬化剤の配合比算出を実行する。
【0140】
図8に示すとおり、循環式供給装置12Aの搬送対象となる液剤について液剤の切出しが開始されると(液剤の供給開始の契機となる信号を受信すると)、コントローラ21は、循環式用切出し中処理として、液剤の瞬時流量の計測、瞬時流量の積算、流量制御などを行う。また、液剤が硬化剤である場合、コントローラ21は、瞬時流量の計測や瞬時流量の積算に加え、砂温に応じた硬化剤の配合比算出を実行する。
【0141】
図8に示すとおり、コントローラ21は、循環式供給装置12Aの搬送対象となる液剤の切出し時間終了後に、循環式用供給量算出処理や、誤差判定処理、報知処理を行う。なお、これらの処理については、後で詳細に説明する。
【0142】
(13.循環式用通常運転中処理)
続いて、
図9を参照しつつ、循環式供給装置12Aの搬送対象となる液剤についてコントローラ21が実行する循環式用通常運転中処理について説明する。
図9は、循環式用通常運転中処理を示すフローチャートである。
【0143】
ステップ60(循環式用待機中処理)において、コントローラ21は、瞬時流量を計測する処理、及び液剤の流量制御を行う。本実施形態では、コントローラ21は、流量計9から随時出力される瞬時流量を取得し、取得した瞬時流量を記憶する。また、コントローラ21は、ポンプ8の周波数を制御することにより液剤の流量を制御する。また、循環式待機中処理では、コントローラ21は、所定時間以上(例えば5秒)に亘り連続して予め定められた範囲外の値となった場合(所定時間以上に亘り異常値となった場合)には、その異常を報知(アラートを出力)する処理を行う。ステップ60の処理が終了すると、コントローラ21は、処理をステップ61に移す。
【0144】
なお、制御対象の液剤が硬化剤である場合、コントローラ21(硬化剤配合比算出部38)は、上述した瞬時流量計測、及び流量制御に加え、温度センサ5から取得した温度(砂材の温度)に応じて、遅硬剤及び速硬剤の配合比を算出する処理を行う。すなわち、コントローラ21は、硬化剤切出しの開始を待機している間(待機中)にも、常に砂温に応じた硬化剤の配合比を算出して硬化剤の切出し開始に備える。
【0145】
ステップ61において、コントローラ21(信号受信処理部39)は、切出しが開始されたか否かを判定する処理を行う。なお、切出しが開始されたか否かの判定は、上述のとおり、バッチミキサ制御装置3から出力される所定の信号(液剤の切出し契機となる信号)を受信したか否か(信号がONとなったか否か)により行われる。切出しが開始されたと判定した場合(ステップ61=YES)、コントローラ21は、ステップ62に処理を移す。一方、切出しが開始されていないと判定した場合(ステップ61=NO)、コントローラ21は、ステップ60に処理を移す。すなわち、コントローラ21は、切出しが開始されるまで、循環式待機中処理を繰り返す。
【0146】
ステップ62(循環式用切出し中処理、流量計測ステップ)において、コントローラ21(流量計測部30)は、瞬時流量を計測する処理、瞬時流量を積算する処理、瞬時流量の積算回数をカウントする処理、及び液剤の流量制御を行う。本実施形態では、コントローラ21は、流量計9から0.5秒ごとに出力される瞬時流量を取得し、取得した瞬時流量を積算して記憶する。また、コントローラ21(流量計測部30)は、瞬時流量の積算回数をカウントする。
【0147】
なお、制御対象の液剤が硬化剤である場合、コントローラ21(硬化剤配合比算出部38)は、温度センサ5から取得した温度(砂温)に応じて、遅硬剤及び速硬剤の配合比を算出する。また、コントローラ21(ポンプ運転周波数設定部37)は、その配合比率となるようポンプ8の運転周波数を制御することにより硬化剤の流量や配合比率を制御する。
【0148】
ここで、瞬時流量の計測について、より詳細に説明する。上述のとおり、本実施形態では、コントローラ21は、循環中は瞬時流量(g/min)を4-20mA方式の流量計9により計測する。循環式の場合の瞬時流量の読み込み頻度は、例えば「1回/0.5s」とすることができる。上述のとおり、コントローラ21は、待機中には流量計9から流量データを取得して、循環中の液剤の流量を監視(記憶)して、所定時間以上に亘り異常値が検出された場合(流量異常が発生した場合)には、その異常を報知する。また、コントローラ21は、循環時(待機中)には、現在流れている流量をリアルタイムで瞬時流量計測値として、表示装置25に表示する。なお、樹脂を供給する供給装置12のみが循環式である場合、硬化剤の循環時設定流量は「0」(=自動運転待機中は流量の設定なし)になるよう設定されている。
【0149】
ステップ63において、コントローラ21は、切出しが終了したか否かを判定する処理を行う。なお、切出しが終了したか否かの判定は、バッチミキサ制御装置3から出力される所定の信号(液剤の切出し契機となる信号)がOFFとなったか否かにより行われる。切出しが終了したと判定された場合(ステップ63=YES)、コントローラ21は、ステップ64に処理を移す。一方、切出しが終了していないと判定された場合(ステップ63=NO)、コントローラ21は、ステップ62に処理を移す。すなわち、コントローラ21は、切出しが終了するまで(信号がOFFとなるまで)、循環式用切出し中処理を繰り返す。
【0150】
ステップ64(循環式用供給量算出処理、供給量算出ステップ)において、コントローラ21(供給量算出部31)は、1バッチあたりに供給された液剤の供給量を算出する処理を行う。具体的には、コントローラ21(供給量算出部31)は、液剤の切出し時間T2中の瞬時流量の積算値と、切出し時間T2中の積算回数と、切出し時間T2とに基づいて、1バッチあたりに投入された液剤の供給量を算出する。
【0151】
図10を参照しつつ、例を挙げて説明する。一例として、「1バッチあたりの設定量が150gである場合(150g/1バッチ:8.3秒)」について説明する。
図10に示すとおり、切出し時間T2が「8.3秒」で、読み込み頻度が「1回/0.5s」の場合、コントローラ21は、合計で16回の瞬時流量を読み込む。また、計測値の総和(積算値)が「17360」である場合、コントローラ21は、「計測値の総和(17360)÷読み込み回数(16回)=平均計測値/min(1085g/min)」を算出し、「平均計測値/s(18.08g)×電磁弁開時間(8.3s)=1バッチあたりに投入された液剤の量(150.06≒150g/バッチ)」として算出する。
【0152】
ここで、上述のとおり、従来では実際の現場でオートフィーダーにユーザが手動で入力する切出し時間は、「5秒」や「8秒」など、大雑把な数字で設定されている事も多々あった。さらに、バッチミキサ2のタイマリレーがアナログ式であるなど、信頼性が高く正確な切出し時間の表示が困難であったなどの事情がある。このような理由から、従来では正確な切出し時間T2(例えば0.1秒単位)の把握が困難であり、人の手でオートフィーダーに入力された切出し時間T2と、実際の切出し時間(切出し時間T1)との間に1.0秒前後の誤差が生じる場合もあった。その結果、1バッチあたりの供給量として算出された液剤の量に誤差が生じるなどの問題があった。
【0153】
例えば、
図10に示すとおり、切出し時間T1(電磁弁10が開いて実際に液剤が供給されている時間)が「8.3秒」のところ、「8.0秒」で1バッチあたりの供給量を算出してしまった場合、実際の供給量は「150.06g」(目標量に対して誤差がほとんどない)にも関わらず、算出された1バッチあたりの液剤の供給量は「144.64g」となり、誤差が生じる結果となる。
【0154】
このような問題に対して、コントローラ21は、切出し時間T2の正確性を向上させることで、実際の液剤の供給量と、算出された液剤の供給量との誤差を小さくすることができる。その結果、コントローラ21は、誤差判定の精度を高めることができる。
【0155】
ステップ65(誤差算出処理)において、コントローラ21(誤差判定部32)は、誤差を算出する処理を行う。具体的には、コントローラ21(誤差判定部32)は、1バッチあたりの液剤の量の目標量と、ステップ64の循環式供給量算出処理において算出された液剤の供給量との乖離値を誤差として算出する。ステップ65の処理が終了すると、コントローラ21は処理をステップ66に移す。
【0156】
ステップ66(誤差判定処理、誤差判定ステップ)において、コントローラ21(誤差判定部32)は、ステップ65の処理で算出された誤差の値が閾値を超えているか否かを判定する処理を行う。誤差が閾値を超えている(誤差>閾値)と判定された場合(ステップ66=YES)、コントローラ21は、ステップ67に処理を移す。一方、誤差が閾値以下である(誤差≦閾値)と判定された場合(ステップ66=NO)、コントローラ21は、ステップ60に処理を戻し、再び循環式用待機中処理を行う。
【0157】
ステップ67(報知処理、報知ステップ)において、コントローラ21(報知処理部33)は、誤差があることを報知する処理を行う。具体的には、コントローラ21は、バッチミキサ2に投入された液剤の量が、目標量に対して過不足があることを報知するための処理を行う。例えば、コントローラ21(報知処理部33)は、報知装置26に所定のタイミング(例えば自動運転の終了後)で報知を実行させるための所定のコマンド等を送信する。当該処理により、報知装置26を作動させて誤差が閾値を超えることの報知(液剤エラー報知)が実行されることとなる。ステップ67の処理が終了すると、コントローラ21はステップ60に処理を戻し、再び循環式用待機中処理を行う。
【0158】
本実施形態では、液剤量の誤差が閾値を超えることの報知(液剤エラー報知)は、報知装置26による警報音(アラート)の出力、及び表示装置25に報知対象の液剤を表示することにより行われる。具体的には、樹脂量に過不足がある場合には、アラートの報知装置26によるアラートの出力(音による報知)と、表示装置25による表示とが実行される。また、本実施形態では、液剤エラー報知は、自動運転(一工程)が終了した後のタイミングで行われる。なお、各種の報知(液剤エラー報知など)は、所定のランプを点灯させて行うものとしてもよく、警報音の出力とランプの点灯とを合わせて行うものとしてもよい。
【0159】
なお、本発明のコントローラ21は本実施形態に限定されず、液剤エラー報知は、アラートの出力のみとしてもよい。当該構成によれば、現場の作業者が気付きやすく、液剤のエラーに速やかに対応することができる。また、液剤エラー報知のタイミングは、自動運転終了後に限定されず、誤差判定処理及び報知処理が終了したタイミングで実行することとしてもよい。
【0160】
(14.非循環式の場合の通常運転モード中の制御)
次に、供給装置12が非循環式である場合に、コントローラ21が実行する通常運転中の制御について、
図11~13を参照しつつ説明する。
図11は、非循環式の場合にコントローラ21が実行する通常運転中の制御を時系列的に示すタイミングチャートである。
【0161】
図11に示すとおり、通常運転モードがONとなると、コントローラ21は、非循環式供給装置12Bの搬送対象となる液剤が硬化剤である場合、非循環式用待機中処理として、砂温に応じた硬化剤の配合比算出を実行する。
【0162】
図11に示すとおり、非循環式供給装置12Bの搬送対象となる液剤について液剤の切出しが開始されると(液剤の供給開始の契機となる信号を受信すると)、コントローラ21は、非循環式用切出し中処理として、パルス信号の計測、受信したパルス数の積算、流量制御などを行う。また、液剤が硬化剤である場合、コントローラ21は、パルスの計測や積算に加え、砂温に応じた硬化剤の配合比算出を実行する。
【0163】
図11に示すとおり、コントローラ21は、非循環式供給装置12Bの搬送対象となる液剤の切出し時間T2の終了後に、遅れタイマ発動中処理を行う。具体的には、コントローラ21は、遅れタイマ発動中処理として、パルス信号の計測、及び受信したパルス数の積算を行う。
【0164】
図11に示すとおり、コントローラ21は、遅れタイマ発動中処理の終了後に、非循環式用供給量算出処理や、誤差判定処理、報知処理を行う。なお、これらの処理については、後で詳細に説明する。
【0165】
(15.非循環式用通常運転中処理)
続いて、
図12を参照しつつ、非循環式供給装置12Bの搬送対象となる液剤についてコントローラ21が実行する非循環式用通常運転中処理について説明する。
図12は、非循環式用通常運転中処理を示すフローチャートである。
【0166】
ステップ70(非循環式用待機中処理)において、制御対象の液剤が硬化剤である場合、コントローラ21(硬化剤配合比算出部38)は、温度センサ5から取得した温度に応じて、遅硬剤及び速硬剤の配合比を算出する処理を行う。すなわち、コントローラ21は、硬化剤切出しの開始を待機している間(待機中)にも、常に砂温に応じた硬化剤の配合比を算出して硬化剤切出し開始に備える。
【0167】
ステップ71において、コントローラ21(信号受信処理部39)は、切出しが開始されたか否かを判定する処理を行う。なお、切出しが開始されたか否かの判定は、上述のとおり、バッチミキサ制御装置3から出力される所定の信号(液剤の切出し契機となる信号)を受信したか否か(信号がONとなったか否か)により行われる。切出しが開始されたと判定した場合(ステップ71=YES)、コントローラ21は、ステップ72に処理を移す。一方、切出しが開始されていないと判定した場合(ステップ71=NO)、コントローラ21は、ステップ70に処理を移す。すなわち、コントローラ21は、切出しが開始されるまで、非循環式待機中処理を繰り返す。
【0168】
ステップ72(非循環式用切出し中処理、流量計測ステップ)において、コントローラ21(流量計測部30)は、パルスを計測する処理(パルス数をカウントする処理)、及び液剤の流量制御を行う。具体的には、コントローラ21(流量計測部30)は、流量計9から出力されるパルス信号を計測し、受信したパルス数を記憶する。
【0169】
なお、制御対象の液剤が硬化剤である場合、コントローラ21(硬化剤配合比算出部38)は、温度センサ5から取得した温度(砂温)に応じて、遅硬剤及び速硬剤の配合比を算出する。また、コントローラ21(ポンプ運転周波数設定部37)は、その配合比率となるようポンプ8の運転周波数を制御することにより硬化剤の流量や配合比率を制御する。
【0170】
ここで、パルス数の計測について、より詳細に説明する。上述のとおり、本実施形態では、非循環式の場合にはパルス方式の流量計9が用いられている。また、コントローラ21は、ポンプ8が作動している時の流量をパルス信号化し、そのパルスの受信回数をカウントする(積算する)。また、コントローラ21は、後で説明する非循環式用供給量算出処理において、1パルスあたりの流量と、パルスの受信回数を用いて1バッチあたりの供給量を算出する。なお、本実施形態では、パルス計測は、立ち上がりと立下りの両方を見ている。そのため、立ち上がりのみを見るよりも精度が高いものとなっている。
【0171】
ステップ73において、コントローラ21は、切出しが終了したか否かを判定する処理を行う。なお、切出しが終了したか否かの判定は、バッチミキサ制御装置3から出力される所定の信号(液剤の切出し契機となる信号)がOFFとなったか否かにより行われる。切出しが終了したと判定された場合(ステップ73=YES)、コントローラ21は、ステップ74に処理を移す。一方、切出しが終了していないと判定された場合(ステップ73=NO)、コントローラ21は、ステップ72に処理を移す。すなわち、コントローラ21は、切出しが終了するまで(信号がOFFとなるまで)、非循環式用切出し中処理を繰り返す。
【0172】
ステップ74(遅れタイマ発動処理)において、コントローラ21(遅れタイマ発動部34)は、遅れタイマを発動させる処理を行う。具体的には、コントローラ21は、遅れタイマとして予め定められた時間を所定のタイマカウンタ(遅れタイマカウンタ)にセットする処理を行う。遅れタイマの時間は、例えば1~5秒程度とすることができる。なお、遅れタイマの時間は、ポンプの性能などに応じて適宜決定することができる。ステップ74の処理が終了すると、コントローラ21は、処理をステップ75に移す。
【0173】
ステップ75(遅れタイマ発動中処理、流量計測ステップ)において、コントローラ21(流量計測部30)は、パルスを計測する処理、及び計測されたパルス数をカウントする処理を行う。具体的には、コントローラ21は、流量計9から出力されるパルスを計測し、計測されたパルスをカウントして記憶する。このように、コントローラ21は、切出し時間が終了した後にも、遅れタイマの時間に亘り継続してパルスのカウント、及びパルス受信回数の積算を行う。
【0174】
ステップ76において、コントローラ21は、遅れタイマが終了したか否かを判定する処理を行う。なお、遅れタイマが終了したか否かの判定は、所定のタイマカウンタ(遅れタイマカウンタ)の値が「0」となったか否かにより行われる。遅れタイマが終了したと判定した場合(ステップ76=YES)、コントローラ21は、ステップ77に処理を移す。一方、遅れタイマが終了していないと判定した場合(ステップ76=NO)、コントローラ21は、ステップ75に処理を移す。
【0175】
ステップ77(非循環式供給量算出処理、供給量算出ステップ)において、コントローラ21(供給量算出部31)は、1バッチあたりに供給された液剤の量を算出する処理を行う。具体的には、コントローラ21は、1パルスあたりの流量(例えば1ミリリットル)と、切出し時間T2中及び遅れタイマの時間中(「切出し時間T2+遅れタイマの時間=特定時間」)のパルスの受信回数に基づいて、1バッチあたりに投入された液剤の供給量を算出する。すなわち、コントローラ21(供給量算出部31)は、切出し時間T2中のパルス数と、切出し時間T2の終了から所定時間分(遅れタイマ時間分)のパルス数とを合算した値に1ミリリットルあたりの液剤の重量を乗じて、供給量を算出する。
【0176】
なお、液剤は種類によって1ミリリットルあたりの比重差がある。また、用いられる流量計9によって、1 パルスあたりの設定量が異なる。これに対応するため、コントローラ21は、それぞれの液剤や流量計9に応じた液剤の設定量を入力(受け付け)可能となっている。また、コントローラ21は、その重量を乗じて供給量を算出する。具体的には、コントローラ21は、「特定時間中のパルス数×1パルスあたりの液剤の重量(例えば1ミリリットルあたりの液剤の重量)=1バッチあたりの供給量(g)」として算出する。なお、1パルスあたりの液剤の重量は、流量計9の性能に応じて適宜選択される。例えば、流量計9が、1ミリリットルごとにパルス信号を出力するものである場合(1ミリリットル/1パルス)、「1パルスあたりの液剤の重量」は、「1ミリリットルあたりの液剤の重量」となる。また、例えば、流量計9が、2ミリリットルごとにパルス信号を出力するものである場合(2ミリリットル/1パルス)、「1パルスあたりの液剤の重量」は、「2ミリリットルあたりの液剤の重量」となる。
【0177】
ここで、
図13を参照しつつ、非循環式の場合に行われる供給量の算出について説明する。非循環式では、切出し時間T2中のみにパルス数を計測した場合では、誤差が発生する。具体的に説明すると、常にポンプ8を作動させて液剤を搬送している循環式と異なり、非循環式供給装置12Bでは、液剤の切出し開始時にポンプ8の作動が開始される。そのため、ポンプ8が止まった後、ポンプ8の内圧などにより液垂れが発生する。また、ポンプ8の作動時間中(切出し時間T2中)のみの流量(例えばパルス数)を計測した場合、液垂れ分の液量が誤差となる。さらに、非循環式であって、さらに電磁弁10が設けられていない場合、液垂れを要因とする誤差が顕著となる。
【0178】
これに対応するため、コントローラ21は、切出し時間T2が終了してから遅れタイマを入れることで、ポンプ8が停止した後の液垂れ分も「1バッチあたりに投入された液剤の供給量」に加算することができる(
図13参照)。その結果、コントローラ21は、液剤の供給量を限りなく正確に算出することができる。
【0179】
ステップ78(誤差算出処理)において、コントローラ21(誤差判定部32)は、誤差を算出する処理を行う。具体的には、コントローラ21(誤差判定部32)は、1バッチあたりの液剤の目標量と、ステップ77の非循環式供給量算出処理において算出された供給量との乖離値を誤差として算出する。ステップ78の処理が終了すると、コントローラ21は処理をステップ79に移す。
【0180】
ステップ79(誤差判定処理、誤差判定ステップ)において、コントローラ21(誤差判定部32)は、ステップ78の処理で算出された誤差の値が閾値を超えているか否かを判定する処理を行う。誤差が閾値を超えている(誤差>閾値)と判定された場合(ステップ79=YES)、コントローラ21は、ステップ80に処理を移す。一方、誤差が閾値以下である(誤差≦閾値)と判定された場合(ステップ79=NO)、コントローラ21は、ステップ70に処理を戻し、再び非循環式用待機中処理を行う。
【0181】
ステップ80(報知処理、報知ステップ)において、コントローラ21(報知処理部33)は、誤差があることを報知する処理を行う。具体的には、コントローラ21は、バッチミキサ2に投入された液剤の量が、設定値に対して過不足があることを報知するための処理を行う。例えば、コントローラ21(報知処理部33)は、報知装置26に所定のタイミングで報知を実行させるための所定のコマンド等を送信する。当該処理により、報知装置26を作動させて誤差が閾値を超えることの報知(液剤エラー報知)が実行されることとなる。ステップ80の処理が終了すると、コントローラ21はステップ70に処理を戻し、再び非循環式用待機中処理を行う。
【0182】
なお、複数の液剤のうち、少なくとも一種類の液剤が非循環式供給装置12Bにより搬送されるものである場合、液剤エラー報知は、自動運転(一工程)、及び遅れタイマの双方が終了した後のタイミングで行われる。
【0183】
循環式、及び非循環式の双方において、上述した処理以外に、オートフィーダー20は、循環中、通常運転中の流量(瞬時流量)などを表示装置25に表示させる。
【0184】
(16.検量モード中の制御)
次に、コントローラ21が実行する検量モード中の制御について、
図14~18を参照しつつ説明する。
【0185】
コントローラ21は、ポンプ8の運転周波数を自動的に算出する制御を実行可能となっている。ここで、コントローラ21は、ポンプ8の運転周波数の自動算出について、ポンプ8の吐出能力を示す値である「ポンプ定数」を利用している。しかしながら、正確なポンプ定数を算出するには正確な切出し時間(=検量時間)が必要となる。
【0186】
「ポンプ定数」とは、ポンプ8の性能を示す指数である。具体的には、「ポンプ定数」とは、ある決められた時間内においての、1Hzあたりの吐出量を意味する。すなわち、吐出量、ポンプ定数、及び運転周波数の関係は、「吐出量(g)=ポンプ定数×運転周波数(Hz)」の関係となる。
【0187】
コントローラ21は、運転周波数の最低値(0Hz)から運転周波数の最高値(100Hz)の間の運転周波数について、任意の周波数ごと(例えば10Hzごと)の吐出量に基づいてポンプ定数を算出する。例えば、20Hz~30Hzの間の運転周波数は、20Hzでポンプ8を運転した場合の吐出量に基づいて20Hzにおけるポンプ定数を算出し、30Hzでポンプ8を運転した場合の吐出量に基づいて30Hzにおけるポンプ定数を算出する。また、コントローラ21は、20Hzにおけるポンプ定数と、30Hzにおけるポンプ定数とに基づいて、20Hz~30Hzの範囲内のポンプ定数を算出する。
【0188】
例えば、20Hzの場合の吐出量が「304g」であり、30Hzの場合の吐出量が「474g」である場合、20Hzから30Hzの範囲におけるポンプ定数は、「474g-304g=170g÷10Hz(30Hz-20Hz)=ポンプ定数:17.0g/Hz」(20Hzから30Hzの間における、1Hzあたりの平均の吐出量:17.0g)となる。
【0189】
また、例えば、30Hzの場合の吐出量が「474g」であり、40Hzの場合の吐出量が「652g」である場合、30Hzから40Hzの範囲におけるポンプ定数は、「652g-474g=178g÷10Hz(40Hz-30Hz)=ポンプ定数:17.8g/Hz」(30Hzから40Hzの間における、1Hzあたりの平均の吐出量:17.8g)となる。
【0190】
また、例えば、40Hzの場合の吐出量が「652g」であり、50Hzの場合の吐出量が「835g」である場合、40Hzから50Hzの範囲におけるポンプ定数は、「835g-652g=183g÷10Hz(50Hz-40Hz)=ポンプ定数:18.3g/Hz」(40Hzから50Hzの間における、1Hzあたりの平均の吐出量:18.3g)となる。
【0191】
このように、実際の運転周波数に対するポンプ8の吐出能力(ポンプ定数)は、完全に一定の値(定数)ではなく、僅かに変化する値(パラメータ)となっている。そのため、ポンプ定数を一定の値(定数)として算出すると、想定した液剤の量(設定量)に対して実際に供給された液剤の量との誤差が大きくなりかねない。このような事態を防ぐため、オートフィーダー20(コントローラ21)は、各運転周波数間(例えば10Hzごとの範囲)のポンプ定数を算出し、そのポンプ定数に基づいて、ポンプ8を運転させる運転周波数を決定するようになっている。これにより、液剤の目標値に対して実際に吐出された液剤の量の誤差を限りなく少なくすることができる。
【0192】
ここで、ポンプ劣化などの要因により、同じ周波数で運転していても吐出量が変化して、切出し量の誤差の要因となる。また、液剤の切出し量の誤差は、鋳型不良や鋳物不良の要因となりかねない。このような問題に対応するため、オートフィーダー20は、検量モードによる各運転周波数で液剤を吐出させ、吐出された液剤の量をユーザが計量した上で入力することで、コントローラ21がポンプ定数を自動的に再計算して再設定(ポンプ定数再設定)可能となっている。
【0193】
図14を参照しつつ、コントローラ21が実行するポンプ定数再設定用検量モード時の制御について説明する。
図14は、コントローラ21が実行する通常運転中の制御を時系列的に示すタイミングチャートである。
【0194】
オートフィーダー20には、「ポンプ定数再設定用検量モード」を含む複数の検量モードが設けられている。「ポンプ定数再設定用検量モード」は、正確なポンプ定数を再設定するための運転モードである。オートフィーダー20では、ポンプ8を複数の運転周波数で所定時間(切出し時間)作動させ、吐出された液剤の量をユーザが計量して入力することで、正確なポンプ定数を再設定可能となっている。
【0195】
次に、コントローラ21が実行するポンプ定数再設定時の制御について、
図14~16を参照しつつ具体的に説明する。なお、ポンプ定数再設定用検量モードは、
図18(a)に一例として示す検量モード開始画面120のポンプ定数検量ボタン120cをユーザがタッチするなどの操作を行い、その後表示される運転開始ボタン(図示を省略)をユーザがタッチするなどの操作を行うことで開始される。
【0196】
本実施形態では、コントローラ21は、一種類の液剤(例えば樹脂)に対するポンプ定数の再設定について、複数の運転周波数(第1運転周波数~第N運転周波数)によりポンプ8(例えば樹脂ポンプ)を作動させる。
図14、及び
図18(b)に示すとおり、本実施形態では、第1運転周波数(10Hz)、第2運転周波数(20Hz)、第3運転周波数(40Hz)、第4運転周波数(60Hz)、及び第5運転周波数(80Hz)の五つの運転周波数でポンプ8を作動可能となっている。また、切出し時間として、予めコントローラ21に記憶された各液剤の切出し時間T2が用いられるようになっている。
【0197】
ここで、オートフィーダー20に登録された(記憶された)切出し時間T2(バッチミキサ2の信号出力に基づいて読み取った切出し時間)は、検量運転時間に自動的にリンクされる。これにより、コントローラ21は、切出し時間T2の入力ミスを抑制することができる。また、コントローラ21は、バッチミキサ2からの信号受信時間(切出し時間T1)を、「0.1秒」単位で読み取り可能となっている。これにより、コントローラ21は、切出し時間T2の精度を高めてポンプ定数の算出精度の向上を実現することができる。
【0198】
なお、検量モードでは、コントローラ21は、バッチミキサ制御装置3からの各種信号の再読み込み可能となっている。言い方を換えれば、コントローラ21は、切出し時間の再読み込みを実行可能となっている。切出し時間の再読み込みは、例えば、表示装置25に
図18(a)に一例として示す検量モード開始画面120を表示させ、その画面に設けられた計測開始ボタン120bをユーザがタッチするなどの操作を行うことで実行可能となっている。また、
図18(a)に示すとおり、検量モード開始画面120に設けられた切出し時間表示領域120aには、現在記憶されている(設定されている)切出し時間T2が表示されるようになっている。
【0199】
ここで、ポンプ定数再設定用検量モード中には、電磁弁10及びポンプ8の作動は、供給装置12が循環式であるか非循環式であるかを問わず、コントローラ21が制御する。すなわち、供給装置12が循環式の場合の通常運転モード中では、上述のとおり電磁弁10の開閉制御をバッチミキサ制御装置3が行うところ、ポンプ定数再設定用検量モード中には、電磁弁10の開閉をコントローラ21が制御する。
【0200】
図14に示すとおり、ポンプ定数再設定用検量モードが選択されている状態において、表示装置25の画面に設けられた検量運転開始ボタン(図示を省略)をユーザがタッチするなどの操作が行われると、コントローラ21は、ポンプ8や電磁弁10を作動させて、検量のための液剤の供給制御(検量運転)を行う。なお、検量運転中は、選択された運転周波数でポンプ8を作動させる。また、コントローラ21は、第1周波数(10Hz)に対応する第1検量運転等、第1~5運転周波数の各運転周波数に対応する検量運転(第1~5検量運転の計五回)を実行する。
【0201】
なお、本実施形態で示す例では、10Hz~80Hzの運転周波数の範囲で計5回の検量を行うこととしたが(検量回数=5回)、検量運転の回数は本実施形態に限定されない。例えば、ポンプ定数の算出精度をより高めたい場合は、10Hzごとに検量運転を行うなど、検量運転の回数を増加させてもよい。また、検量回数は、5回以上とするほか、5回未満としてもよい。
【0202】
図18(b)に示すとおり、表示装置25には、吐出量入力受付画面121が表示される。また、吐出量入力受付画面121には、吐出量入力領域121bが設けられている。オートフィーダー20では、検量運転で吐出された液剤の量をユーザが吐出量入力領域121bに入力することで、その運転周波数に対する吐出量がコントローラ21に記憶される。また、「吐出量の入力受付」は、各運転周波数(第1運転周波数~第5運転周波数)に対してそれぞれ行われる。なお、吐出量入力受付画面121に設けられた切出し時間表示領域121aには、現在記憶されている(設定されている)切出し時間T2が表示される。
【0203】
図14に示すとおり、吐出量の入力が完了すると、コントローラ21は、入力された運転周波数に係るポンプ定数を算出して再設定する処理を行う。例えば、コントローラ21は、第1周波数による運転が終了して、第1周波数で運転した場合の吐出量が入力されると、ポンプ定数の算出を行い、その値を第1周波数で運転した場合の新たなポンプ定数として記憶する(ポンプ定数を更新する)。
【0204】
(17.ポンプ定数再設定用検量モード中処理)
続いて、
図15を参照しつつ、コントローラ21が実行するポンプ定数再設定用検量モード中処理について説明する。
図15は、ポンプ定数再設定用検量モード中処理を示すフローチャートである。なお、
図15に示す処理は、樹脂、遅硬剤、速硬剤のそれぞれの液剤に対して実行可能となっている。
【0205】
ステップ90において、コントローラ21は、第1検量運転中処理を行う。第1検量運転中処理では、コントローラ21は、切出し時間T2の読み込み、第1周波数でのポンプ定数の検出、及び第1周波数でのポンプ定数の再設定処理等を行う。なお、第1検量運転中処理については、後で
図16を用いて説明する。ステップ90の処理を終了すると、コントローラ21は、処理をステップ91に移す。
【0206】
ステップ91において、コントローラ21は、第2検量運転中処理を行う。なお、第2検量運転中処理は、第1検量運転中処理と同様の処理である。具体的には、第2検量運転中処理では、第2運転周波数でポンプ8を運転させて、第2運転周波数でのポンプ定数の算出及び再設定が行われる。また、ステップ92の第3検量運転中処理、第4検量運転中処理、及び第5検量運転中処理についても、第1検量運転中処理と同様の処理であり、各検量運転中処理では、対応する周波数でポンプ8を運転させ、対応する運転周波数のポンプ定数算出、及び再設定が行われる。
【0207】
例えば、第3検量運転中処理では、第3運転周波数でポンプ8を運転させて、第3運転周波数でのポンプ定数の算出及び再設定が行われる。また、第4検量運転中処理では、第4運転周波数でポンプ8を運転させて、第4周波数でのポンプ定数の算出及び再設定が行われる。さらに、第5検量運転中処理では、第5運転周波数でポンプ8を運転させて、第5運転周波数でのポンプ定数の算出及び再設定が行われる。
【0208】
コントローラ21は、第1検量運転中処理(ステップ90)、第2検量運転中処理(ステップ91)、第3検量運転中処理(ステップ92)、第4検量運転中処理(ステップ93)、及び第5検量運転中処理(ステップ94)の各検量運転中処理が終了すると、今回のポンプ定数再設定用検量モード中処理を終了する。なお、本実施例のコントローラ21では、ポンプ定数再設定用検量モードが完了する前に(ポンプ定数再設定用検量モードの途中で)他のモードが選択されたときは、すでに検量が完了している周波数に係るポンプ定数の再設定を行い、検量が完了していない周波数に係るポンプ定数の再設定は行われず、途中で終了する(ポンプ定数再設定用検量モードは途中で強制終了する)。
【0209】
次に、第1検量運転中処理について、
図16を用いて説明する。
図16は、第1検量運転中処理を示すフローチャートである。
【0210】
ステップ90-1において、コントローラ21は、切出し時間読込み処理を行う。具体的には、コントローラ21は、予め記憶された各液剤の切出し時間T2のうち、今回の検量の対象となる液剤の切出し時間T2を選択してセットする処理を行う。すなわち、コントローラ21は、検量運転時間として、予め記憶された切出し時間T2を自動的にセットする。ステップ90-1の処理が終了すると、コントローラ21は、処理をステップ90-2に移す。
【0211】
ステップ90-2において、コントローラ21は、第1検量運転(第1運転周波数での検量運転)の開始が受け付けられたか否かを判定する処理を行う。なお、上述のとおり、検量運転開始は、ユーザが表示装置25に表示された検量開始ボタン(図示を省略)をタッチするなどの操作を行うことで開始される。すなわち、コントローラ21は、ユーザの操作による運転開始を受け付ける。第1検量運転開始の受付が完了したと判定された場合(ステップ90-2=YES)、コントローラ21は、ステップ90-3に処理を移す。一方、第1検量運転開始の受付が完了していないと判定された場合(ステップ90-2=NO)、コントローラ21は、運転開始の受付完了まで待機する。
【0212】
ステップ90-3において、コントローラ21は、第1運転周波数(10Hz)でのポンプ8の作動を行う。なお、上述のとおり、コントローラ21は、ポンプ8の作動に加え、電磁弁10の作動も制御する。ステップ90-3の処理が終了すると、コントローラ21は、処理をステップ90-4に移す。
【0213】
ステップ90-4において、コントローラ21は、切出し時間T2が経過したか否かを判定する処理を行う。切出し時間T2が経過したと判定された場合(ステップ90-4=YES)、コントローラ21は、ステップ90-5に処理を移す。一方、切出し時間T2が経過していないと判定された場合(ステップ90-4=NO)、コントローラ21は、ステップ90-3に処理を移す。すなわち、コントローラ21は、切出し時間T2が終了するまで、第1運転周波数でのポンプ8の作動を継続する。
【0214】
ステップ90-5において、コントローラ21は、吐出量が入力されたか否かを判定する処理を行う。具体的には、コントローラ21は、対象となる運転周波数で吐出された液剤の量について、表示装置25へのユーザによる入力が完了したか否かを判定する。吐出量が入力されたと判定された場合(ステップ90-5=YES)、コントローラ21は、ステップ90-6に処理を移す。一方、切出し時間が経過していないと判定された場合(ステップ90-5=NO)、コントローラ21は、吐出量の入力が完了するまで待機する。
【0215】
ステップ90-6において、コントローラ21は、第1運転周波数の吐出量を記憶する。具体的には、コントローラ21は、対象となる運転周波数で吐出された液剤の量について、ユーザにより入力された値を記憶する。ステップ90-6の処理が終了すると、コントローラ21は、処理をステップ90-7に移す。
【0216】
ステップ90-7において、コントローラ21は、ポンプ定数算出処理を実行する。具体的には、コントローラ21は、各運転周波数に対するそれぞれの吐出量に基づき、新たなポンプ定数を算出する。ステップ98の処理が終了すると、コントローラ21は、処理をステップ90-8に移す。
【0217】
ステップ90-8において、コントローラ21は、ポンプ定数再設定処理(ポンプ定数設定処理)を実行する。具体的には、コントローラ21は、ステップ90-7で算出されたポンプ定数を、新たなポンプ定数として記憶する(更新する)。ステップ90-8の処理が終了すると、コントローラ21は、今回の第1検量運転中処理を終了して、第2検量運転中処理に処理を移す。
【0218】
(18.切出し時間設定処理)
続いて、
図17を参照しつつ、コントローラ21が実行する切出し時間設定処理について説明する。
図17は、コントローラ21が実行する切出し時間設定処理を示すフローチャートである。なお、
図17に示す切出し時間設定処理は、樹脂、及び硬化剤のそれぞれに対して実行可能となっている。また、上述のとおり、コントローラ21は、切出し時間設定処理の実行を、オートフィーダー20の初期設定時や、検量モード中に実行可能となっている。
【0219】
ステップ100において、コントローラ21は、バッチミキサ2からの信号受信を開始したか否かを判定する処理を行う。なお、信号受信開始の判定は、切出し時間T2の設定対象となる液剤のポンプ運転信号又は電磁弁開信号を受信したか否かにより行われる。例えば、循環式の場合には電磁弁開信号を受信したか否かを判定し、非循環式の場合にはポンプ運転信号を受信したか否かを判定する。また、例えば、切出し時間T2の設定対象の液剤が樹脂である場合には、樹脂ポンプ運転信号又は樹脂電磁弁開信号の受信を開始したか否かにより行われる。また、切出し時間T2の設定対象の液剤が硬化剤である場合には、硬化剤ポンプ運転信号又は硬化剤電磁弁開信号の受信を開始したか否かにより行われる。信号の受信開始が検出された場合(ステップ100=YES)、コントローラ21は、ステップ101に処理を移す。一方、信号の受信開始が検出されなかった場合(ステップ100=NO)、コントローラ21は、信号受信開始まで待機する。
【0220】
ステップ101において、コントローラ21は、信号受信時間のカウントを行う。なお、コントローラ21は、図示を省略したタイマリレーを備えており、バッチミキサ2からの信号受信時間を計測(カウント)する。ステップ101の処理が終了すると、コントローラ21は、処理をステップ102に移す。
【0221】
ステップ102において、コントローラ21は、バッチミキサ2からの信号受信を終了したか否かを判定する処理を行う。なお、信号受信終了の判定は、切出し時間T2の設定対象となる液剤のポンプ運転信号の受信が終了したか否かにより行われる。例えば、切出し時間T2の設定対象の液剤が樹脂である場合には、樹脂ポンプ運転信号の受信を終了したか否かにより行われる。また、切出し時間T2の設定対象の液剤が硬化剤である場合には、硬化剤ポンプ運転信号の受信を終了したか否かにより行われる。信号の受信が終了したと判定された場合(ステップ102=YES)、コントローラ21は、ステップ103に処理を移す。一方、信号の受信が終了したと判定されなかった場合(ステップ102=NO)、コントローラ21は、ステップ101に処理を戻し、信号受信時間のカウントを継続する。
【0222】
ステップ103において、コントローラ21は、切出し時間T2を設定する処理を行う。具体的には、コントローラ21は、ステップ101の処理により計測された(カウントされた)時間を、対象となる液剤の切出し時間T2として記憶する。また、コントローラ21は、当該処理が終了すると、今回の切出し時間設定処理を終了する。
【0223】
このように、コントローラ21は、切出し時間T2を自動で計測して記憶可能となっている。そのため、コントローラ21は、バッチミキサ2の切出し時間T1を人の手で計測することを要さず、切出し時間T2の正確性を格段に向上させることができる。
【0224】
(19.鋳型の造型工程)
次に、鋳型造型装置1を用いた鋳型の造型工程(自硬型の鋳型の造型工程)について説明する。バッチミキサ2の運転が開始されると、サンドホッパ4からバッチミキサ2に砂材が投入される。また、オートフィーダー20(コントローラ21)は、樹脂及び硬化剤を、これらの液剤に対応するそれぞれの供給装置12を制御してバッチミキサ2に供給する。砂材、及び液剤(樹脂及び硬化剤)がバッチミキサ2に投入されると、バッチミキサ2では、投入された砂材及び液剤の混練を行う。
【0225】
上記工程の終了後、バッチミキサ2内で混練された材料(混練砂)は、枠6内に投入される。そして、混練材料が硬化された後、枠6が外されて原型(図示を省略)が取り外されることで、鋳型が造型される。
【0226】
続いて、コールドボックスに係る鋳型造型装置200を用いた鋳型の造型工程(ガス硬化型の鋳型の造型工程)について説明する。
図19に示すとおり、鋳型造型装置200は、バッチミキサ2、サンドホッパ4、オートフィーダー20、二つのタンク7、二つのポンプ8、二つの流量計9、及び二つの電磁弁10を備えている。また、鋳型造型装置200は、サンドマガジン201、ガス噴射装置202、及び金型203を備えている。なお、二つのタンク7には、それぞれ樹脂が貯留されている。
【0227】
バッチミキサ2の運転が開始されると、サンドホッパ4からバッチミキサ2に砂材が投入される。また、オートフィーダー20(コントローラ21)は、2種類の液剤(樹脂)をこれらの液剤に対応するそれぞれの供給装置12を制御してバッチミキサ2に供給する。バッチミキサ2に投入された混練砂は、サンドマガジン201により金型203内に吹き込まれる(ブロー造型)。さらに、金型203内に硬化触媒ガス(例えばアミンガス)が噴射されると、金型203内の混練砂が硬化する。
【0228】
(20.作用と効果について)
次に、本実施形態のコントローラ21の作用と効果について説明する。
【0229】
(1)上述のとおり、本実施形態のコントローラ21は、バッチミキサ2への樹脂及び硬化剤を含む複数種類の液剤を、これらの液剤に対応するそれぞれの供給装置12を用いてバッチミキサ2への供給を制御する。また、コントローラ21は、液剤の流量を計測する流量計測部30と、流量計測部30により計測された所定時間中(切出し時間T2中又は特定時間中)の流量を用いて、1バッチあたりに供給された液剤の量を算出する供給量算出部31と、を備えている。さらに、コントローラ21は、予め設定された1バッチあたりの液剤の目標量と、供給量算出部31により算出された1バッチあたりに供給された液剤の量との誤差が、閾値を超えるか否かを判定する誤差判定部32と、誤差が閾値を超えると誤差判定部32により判定された場合に、報知装置26に報知を実行させるための処理を行う報知処理部33と、を有している。
【0230】
本実施形態のコントローラ21では、バッチミキサ2を用いた鋳型の造型において、1バッチあたりの供給量と液剤の目標量との誤差を自動的に算出するとともに、誤差が閾値を超える場合、報知装置26に報知を実行させる。例えば、本実施形態のコントローラ21は、液剤の過不足(誤差)が鋳型不良につながる恐れがある場合、報知装置26に警報音(アラート)等の報知を実行させる。これにより、本実施形態のコントローラ21では、1バッチあたりの液剤の供給量に過不足があった場合にその旨を速やかに作業者に報知することができる。その結果、本実施形態のコントローラ21は、作業者が鋳型不良の可能性があることを速やかに把握することができる。例えば、本実施形態のコントローラ21によれば、経験の浅い作業者や不慣れな作業者であっても、鋳型の不具合を速やかに把握することができる。なお、本発明の制御装置では、アラートをメールで通知するものとしてもよい。例えば、液剤の過不足や流量の異常発生などのアラートを、コントローラ21(制御装置)の管理者(現場担当者など)のメールアドレスに通知するものとしてもよい。
【0231】
(2)上述のとおり、本実施形態のコントローラ21では、供給装置12が循環式である場合、流量計測部30は、循環式供給装置12Aにより搬送される所定時間中の液剤の瞬時流量及び瞬時流量の積算回数を計測する。また、コントローラ21では、供給量算出部31は、循環式供給装置12Aにより搬送される液剤について、流量計測部30により計測された瞬時流量、積算回数、及び切出し時間T2を用いて、1バッチあたりに供給された液剤の量を算出するようになっている。
【0232】
上述の構成により、コントローラ21は、循環式の供給装置12の流量を適切に計測し、実際にバッチミキサ2に供給された液剤の量の算出精度を高めることができる。これにより、コントローラ21は、液剤の目標量に対する誤差の算出精度を高めることができる。その結果、本実施形態のコントローラ21は、液剤の過不足に関する報知を的確に行うことができる。
【0233】
(3)上述のとおり、本実施形態のコントローラ21では、供給装置12が非循環式供給装置である場合、流量計測部30は、非循環式供給装置12Bにより搬送される液剤について、所定時間中に流量計9から出力されるパルス数を計測する。また、コントローラ21では、供給量算出部31は、非循環式供給装置12Bにより搬送される液剤について、流量計測部30により計測されたパルス数を用いて、1バッチあたりに供給された液剤の量を算出するようになっている。
【0234】
上述の構成により、コントローラ21は、非循環式の供給装置12の流量を適切に計測し、実際にバッチミキサ2に供給された液剤の量の精度を高めることができる。これにより、コントローラ21は、液剤の目標量に対する誤差の算出精度を高めることができる。その結果、本実施形態のコントローラ21は、液剤の過不足に関する報知を的確に行うことができる。
【0235】
(4)上述のとおり、本実施形態のコントローラ21は、供給装置12は、液剤を搬送するポンプ8が設けられており、ポンプ8の性能を示すポンプ定数を算出するポンプ定数算出部35と、ポンプ定数の設定を行うポンプ定数設定部36と、を備えている。また、コントローラ21では、ポンプ定数算出部35は、所定時間に亘り液剤を吐出させた場合の液剤の吐出量、及びポンプの運転周波数を用いて、ポンプ定数を算出し、ポンプ定数設定部36は、ポンプ定数算出部35により算出されたポンプ定数を、新たなポンプ定数として記憶する。
【0236】
上述の構成により、コントローラ21は、ポンプ8の劣化などの要因によりポンプ性能が変化した場合、柔軟に対応することができる。具体的には、本実施形態のコントローラ21によれば、ポンプ8の性能が変化した場合にポンプ定数を更新することで、ポンプ8の周波数を再調整することができる。これにより、本実施形態のコントローラ21は、ポンプ性能が変化した場合でも目標量に対して誤差が限りなく少ない量で液剤を供給することができる。すなわち、本実施形態のコントローラ21によれば、誤差の少ない供給量を好適に維持し、鋳型の不良を抑制することができる。
【0237】
(5)上述のとおり、本実施形態のコントローラ21では、供給装置12が非循環式である場合、流量計測部30は、非循環式供給装置12Bにより搬送される液剤について、切出し時間T2の開始から、切出し時間T2が終了した後の特定のタイミングまでの特定時間に亘り、流量計9から出力されるパルス数を計測する。また、コントローラ21では、供給量算出部31は、非循環式供給装置12Bにより搬送される液剤について、流量計測部30により計測された特定時間中のパルス数を用いて、1バッチあたりに供給された液剤の量を算出するようになっている。
【0238】
上述の構成により、コントローラ21は、ポンプ8が停止した後の液剤の垂れ込み分を含めて1バッチあたりの供給量を算出することができる。これにより、本実施形態のコントローラ21は、非循環式の供給装置12が用いられている場合において、より精度が高い液剤の供給量の算出を行うことができる。また、本実施形態のコントローラ21は、液剤の供給量の算出精度を高めることで誤差の判定精度の向上を実現し、鋳型不良の報知精度を高めることができる。
【0239】
(6)本実施形態の制御方法は、バッチミキサ2への複数種類の液剤の供給において、これらの液剤に対応するそれぞれの供給装置12を用いてバッチミキサ2への供給を制御する制御方法であって、液剤の流量を計測する流量計測ステップと、流量計測ステップにおいて計測された所定時間中の流量を用いて、1バッチあたりに供給された液剤の量を算出する供給量算出ステップと、予め設定された1バッチあたりの液剤の目標量と、供給量算出ステップにおいて算出された1バッチあたりに供給された液剤の量との誤差が、閾値を超えるか否かを判定する誤差判定ステップと、誤差が閾値を超えると誤差判定ステップにおいて判定された場合に、報知装置26に報知を実行させる報知処理ステップと、を含む。
【0240】
本実施形態の制御方法では、バッチミキサ2を用いた鋳型の造型において、1バッチあたりの供給量と目標量との誤差を自動的に算出するとともに、誤差が閾値を超える場合、報知装置26に報知を実行させる。例えば、本実施形態の制御方法は、液剤の過不足(誤差)が鋳型不良につながる恐れがある場合、報知装置26に警報音(アラート)等の報知を実行させる。これにより、本実施形態の制御方法では、1バッチあたりの液剤の供給量に過不足があった場合にその旨を速やかに作業者に報知することができる。その結果、本実施形態の制御方法は、作業者が鋳型不良の可能性があることを速やかに把握することができる。例えば、本実施形態の制御方法によれば、経験の浅い作業者や不慣れな作業者であっても、鋳型の不具合を速やかに把握することができる。なお、本発明の制御方法では、アラートをメールで通知するものとしてもよい。例えば、液剤の過不足や流量の異常発生などのアラートを、コントローラ21(制御装置)の管理者(現場担当者など)のメールアドレスに通知するものとしてもよい。
【0241】
本発明は、上述した実施形態として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0242】
本発明は、鋳型の造型時に液剤の流量を制御する装置や、液剤の流量制御方法として、好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0243】
1 鋳型造型装置
2 バッチミキサ
8 ポンプ
9 流量計
10 電磁弁
12 供給装置
12A 循環式供給装置
12B 非循環式供給装置
20 オートフィーダー
21 コントローラ
25 表示装置
26 報知装置
30 流量計測部
31 供給量算出部
32 誤差判定部
33 報知処理部
34 遅れタイマ発動部
35 ポンプ定数算出部
36 ポンプ定数設定部
T1,T2 切出し時間