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特開2025-23122回転装置及びその回転装置を備える空調システムを有する乗り物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023122
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】回転装置及びその回転装置を備える空調システムを有する乗り物
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/21 20160101AFI20250206BHJP
【FI】
H02K11/21
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024208400
(22)【出願日】2024-11-29
(62)【分割の表示】P 2023081797の分割
【原出願日】2016-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】平林 晃一郎
(57)【要約】
【課題】筐体の製造コストが高くなることを抑制した回転装置を提供すること及びその回転装置を備える空調システムを有する乗り物を提供すること。
【解決手段】本発明の回転装置10は、モータ30と、モータ30の回転を伝達する伝達ギア40と、伝達ギア40に接続される出力ギア50と、伝達ギア40又は出力ギア50の回転角を検出するセンサー70と、を備え、センサー70は、回転角に応じた回転角信号を得るための入出力用の第1接続端子71と、第1接続端子71を配置する端子配置部75を有するベース部73と、を備え、端子配置部75は、モータ30用の第2接続端子35が配置できるようになっており、第2接続端子35がベース部73の端子配置部75に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモータ端子を有するモータと、
前記モータの回転を外部に出力する出力ギアを含む複数のギアと、
ロータリ型のポジションセンサーと、を備え、
前記ロータリ型のポジションセンサーは、
抵抗体と、
前記抵抗体が配置されたベース部と、
覆い部と、
外部と前記抵抗体とに電気接続される複数の第1接続端子と、
外部と、前記抵抗体とは異なる他の部材を介して、前記複数のモータ端子と、に電気接続される複数の第2接続端子と、を備え、
前記覆い部と前記ベース部は筐体を形成しており、
前記複数の第1接続端子が並ぶ方向において、前記ベース部の一部と前記ベース部の他の一部は並んでおり、
前記複数の第1接続端子と前記複数の第2接続端子は、前記ベース部が有する前記覆い部側の面に配置されており、
前記複数の第1接続端子は、前記ベース部の一部に配置されており、
前記複数の第2接続端子は、前記ベース部の他の一部に配置されており、
前記他の部材の中間面は折曲部を備え、
前記折曲部には、折り返し構造又は湾曲した構造が設けられ、
前記折曲部は、折曲角度を変えるように変形するとともにバネ性を示す、回転装置。
【請求項2】
前記抵抗体に接触する導線性ブラシと、
前記導電性ブラシが設けられた回転体と、を備え、
前記回転体は前記ベース部に設けられている、請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記複数の第1接続端子と前記複数の第2接続端子は、前記ベース部が有する前記覆い部側の面が延在する方向に延びている、請求項1又は2に記載の回転装置。
【請求項4】
前記ベース部の他の一部は前記覆い部に対して露出している、請求項1から3のいずれかに記載の回転装置。
【請求項5】
前記第2接続端子は前記覆い部に対して露出している、請求項1から4のいずれかに記載の回転装置。
【請求項6】
前記第2接続端子の接続部は、前記ベース部から前記抵抗体とは異なる他の部材に向かって屈曲した屈曲部を有する、請求項1から5のいずれかに記載の回転装置。
【請求項7】
前記他の部材は、リード線又はフィルムで形成されている、請求項1から6のいずれかに記載の回転装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の回転装置と、
前記回転装置によって制御されるルーバーと、を備えた空調システムを有している乗り物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロータリ型のポジションセンサー、回転装置及びその回転装置を備える空調システムを有する乗り物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両用空調システムの空気を流す空気通路の途中に設けられた複数のドア(ルーバー)の駆動を行うモータアクチュエータ(回転装置)が開示されている。
【0003】
そして、特許文献1のモータアクチュエータ(回転装置)では、モータ端子に中継端子が直接接続され、図4の開示を見ると、その中継端子を挟持して固定する固定部がハウジング(筐体)を構成する下側ケースに形成されており、この固定部に中継端子を固定することで振動によって中継端子が激しく振動することを抑制し、モータ端子と中継端子との接続部分での接続不良の発生を抑制しているものと考えられる。
【0004】
しかしながら、ハウジング(筐体)に中継端子のような細い部材を挟持する微細な構造を形成すると、そのハウジング(筐体)を成形するための金型等が複雑になり、製造コストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-220969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情を課題の一例とするものであり、製造コストを抑制したロータリ型のポジションセンサーを提供すること及びそのロータリ型のポジションセンサーを備える回転装置、その回転装置を備える空調システムを有する車両を提供すること等を、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明のロータリ型のポジションセンサーは、抵抗体と、抵抗体が配置されたベース部と、覆い部と、外部と抵抗体とに電気接続される複数の第1接続端子と、外部と、抵抗体とは異なる他の部材と、に電気接続される複数の第2接続端子と、を備え、覆い部とベース部は筐体を形成しており、複数の第1接続端子が並ぶ方向において、ベース部の一部とベース部の他の一部は並んでおり、複数の第1接続端子と複数の第2接続端子は、ベース部が有する覆い部側の面に配置されており、複数の第1接続端子は、ベース部の一部に配置されており、複数の第2接続端子は、ベース部の他の一部に配置されている。
【0008】
(2)上記(1)の構成において、抵抗体に接触する導線性ブラシと、導電性ブラシが設けられた回転体と、を備え、回転体はベース部に設けられている。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、複数の第1接続端子と複数の第2接続端子は、ベース部が有する覆い部側の面が延在する方向に延びている。
【0010】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つの構成において、ベース部の他の一部は覆い部に対して露出している。
【0011】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つの構成において、第2接続端子は覆い部に対して露出している。
【0012】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つの構成において、第2接続端子の接続部は、ベース部から抵抗体とは異なる他の部材に向かって屈曲した屈曲部を有する。
【0013】
(7)本発明の回転装置は、上記(1)から(6)のいずれか1つの構成を有するロータリ型のポジションセンサーを備える。
【0014】
(8)本発明の乗り物は、上記(7)の構成を有する回転装置と、回転装置によって制御されるルーバーと、を備えた空調システムを有している。
【0015】
本発明によれば、筐体の製造コストが高くなることを抑制した回転装置を提供すること及びその回転装置を備える空調システムを有する乗り物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る実施形態の回転装置の斜視図である。
図2】本発明に係る実施形態の回転装置の第1筐体を取り外した斜視図である。
図3】本発明に係る実施形態の回転装置の分解斜視図である。
図4】本発明に係る実施形態の回転装置の第2筐体の第2面部側が見えるようにした斜視図である。
図5】本発明に係る実施形態のモータのモータ端子とセンサーに設けられたモータ用の第2接続端子との間をフレキシブル配線基板で接続している状態を示す斜視図である。
図6】本発明に係る実施形態の回転装置を備える空調システムを説明するための概略図である。
図7図6の空調システムを備えた車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
係合される孔部を係合孔部、係合される突起を係合突起と呼称する。
【0018】
図1は本発明に係る実施形態の回転装置10の斜視図であり、図2は第1筐体23を取り外した回転装置10の斜視図であり、図3は回転装置10の分解斜視図である。
図1に示すように、回転装置10は、面部としての第1面部21及び第1面部21の外周部に設けられた第1側壁部22を有する第1筐体23と、面部としての第2面部25及び第2面部25の外周部に設けられた第2側壁部26を有する第2筐体27と、を合わせることで構成される筐体20を備えている。
また、筐体20は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ABS等の樹脂材料で形成されている。
【0019】
第1筐体23には、図3に示すように、第1側壁部22の外周に複数設けられた第2筐体27側に延出する係合部22bが第1側壁部22に一体に形成されており、この係合部22bには係合孔22aが設けられている。
【0020】
また、第2筐体27には、図3に示すように、第1筐体23の複数の係合部22bのそれぞれに対応する第2側壁部26の外周の位置に、係合部22bの係合孔22aに係合される複数の係合突起26aが、第2側壁部26に一体に形成されている。
【0021】
そして、第1筐体23の係合部22bの係合孔22aに第2筐体27の係合突起26aを係合させるように第1筐体23と第2筐体27を合わせることで、第1筐体23と第2筐体27とが一体化され、図2及び図3に示す各種の部品を収容する筐体20(図1参照)となるように構成されている。
【0022】
なお、本実施形態では、第1筐体23に係合孔22aを有する係合部22bを設け、第2筐体27に係合突起26aを設けるようにしているが、第2筐体27に係合部を設け、第1筐体23に係合突起を設けるようにしてもよい。
【0023】
また、図3に示すように、第1筐体23の外周には、回転装置10を空調システムに取り付けるための、取付部A、B、C、Dが設けられている。
【0024】
回転装置10は、筐体20(図1参照)内に収容された各種の部品として、図2及び図3に示すように、モータ30と、モータ30の回転軸32(図3参照)の回転を外部に機械的に出力する出力ギア50を含む複数のギア60と、出力ギア50の回転角を検出するセンサー70と、を備えている。
また、第2筐体27には、図3に示すように、出力ギア50の中央側に対応する部分に開口部25aが設けられている。
【0025】
図4は、回転装置10の第2筐体27の第2面部25側が見えるようにした斜視図である。
図4に示すように、第2筐体27の第2面部25に設けられた開口部25aを通じて出力ギア50の係合部51に外部からアクセスできるようになっており、例えば、図示しない自動車等の車両に設けられる空調システムのルーバーの駆動軸が出力ギア50の係合部51に係合できるようになっている。
【0026】
したがって、出力ギア50を回転させることで空調システムの空気通路(以下、空気流路ともいう。)に設けられた図示しないルーバーが制御され、例えば、空調システムの空気通路が所定の開度となるように制御される。
【0027】
(モータ)
モータ30は出力ギア50を回転させるための駆動装置であり、本実施形態ではDCモータを用いている。
図3に示すように、モータ30は、角部が湾曲した四角柱状の外形を有する本体部31と、本体部31の第1端面31aから導出された回転軸32と、本体部31の第1端面31aの反対側に位置し、第1端面31aに対向する第2端面31bから外側に突出するように設けられた一対のモータ端子33と、を備えている。
なお、回転軸32は、モータ30の本体部31内に収容されているロータに固定されている。
【0028】
(伝達ギア)
図2及び図3に示すように、複数のギア60には、伝達ギア40が含まれており、この伝達ギア40は、所定のギア比でモータ30の回転軸32の回転を出力ギア50に伝達させるためのギアであり、本実施形態では、伝達ギア40として3つのギア(ウォームギア41、第1二段ギア42及び第2二段ギア43)を用いている。
【0029】
具体的には、図2に示すように、伝達ギア40は、モータ30の回転軸32(図3参照)に固定されるウォームギア41と、ウォームギア41に接続される直径が大きいギア42a及び直径が小さいギア42bを有する第1二段ギア42と、第1二段ギア42における直径の小さいギア42bに接続される直径の大きいギア43a及び出力ギア50に接続される直径の小さいギア43b(図3参照)を有する第2二段ギア43と、を備えている。
【0030】
なお、本実施形態では、少ないスペースを利用してギア比を調節しつつ、モータ30の回転軸32の回転を出力ギア50に伝達するように、第1二段ギア42及び第2二段ギア43を用いているが、例えば、第2二段ギア43を省略して第1二段ギア42の直径が小さいギア42bに出力ギア50を接続する設計としてもよく、第1二段ギア42及び第2二段ギア43を省略してウォームギア41に、直接、出力ギア50を接続する設計としてもよい。
【0031】
(出力ギア)
出力ギア50は、上述したように、図示しない空調システムのルーバーの駆動軸が接続され、モータ30の回転軸32の回転をルーバーの駆動軸を制御する駆動力として出力するためのギアである。
【0032】
なお、出力ギア50に図示しないルーバーの駆動軸を直結させる対応に限られるものではなく、回転装置10と図示しないルーバーの駆動軸との間に介在するギアを設けるようにしてもよく、この場合、その介在するギアの回転軸が出力ギア50に接続される。
【0033】
(センサー)
例えば自動車に搭載された空調機などは、ルーバーを備えている。
この図示しないルーバーを所定の状態に駆動制御を行うために、特に出力ギア50の回転角を制御する必要があり、センサー70は、その出力ギア50の回転角を制御するために、その出力ギア50の回転角の検出を行うセンサーである。
【0034】
そして、その検出した出力ギア50の回転角に基づいて、モータ30の回転制御を行うことで、図示しないルーバーが所定の状態になるように、出力ギア50の回転が行われる。
【0035】
本実施形態では、センサー70にロータリ型の抵抗式ポジションセンサーを用いており、図2及び図3に示すように、センサー70は、出力ギア50の回転角に応じた回転角信号を得るための入出力用の3つの第1接続端子71と、第1接続端子71が電気的に接続される抵抗体が樹脂基板に印刷された抵抗体基板72と、抵抗体に接触する図示しない導電性ブラシを有し、回転角を検出する出力ギア50と一体に回転する回転体(図示せず)と、それらを配置するためのベース部73と、図示しない回転体に対応する位置に設けられ、ベース部73とでセンサーが有する筐体(以下、センサー筐体と呼称する)を形成する覆い部74と、を備えている。
抵抗体基板72の樹脂基板は、例えば、エポキシ系樹脂で形成されている。
そして、この樹脂基板の厚さは、例えば、約300μm~約1600μmである。
また、この樹脂基板はフレキシブル配線基板80に比べて硬い。
【0036】
なお、本実施形態では、出力ギア50の回転軸に係合され、出力ギア50と一体で回転する図示しない回転体がベース部73上に回転可能に設けられ、その回転体上に離間して配置される抵抗体基板72に対して、回転体の抵抗体基板72側に設けられた図示しない導電性ブラシが回転体の回転に伴って抵抗体基板72の抵抗体に接触しながら位置が変化することで出力される抵抗値が変化する抵抗式ポジションセンサーを用いているが、回転角を検出するセンサーは、回転体の回転に伴って導電性ブラシによってON-OFFが繰り返されるように導電部が形成されたセンサー基板を用いて、このON-OFFの回数から回転角を検知するタイプのセンサーであってもよい。
【0037】
そして、ベース部73には、点線枠囲みで示すように、端子を配置する端子配置部75が設けられているが、この端子配置部75は、センサー70の入出力用の3つの第1接続端子71だけでなく、モータ30用の2つの第2接続端子35も配置されるものになっている。
【0038】
具体的には、図2に示すように、出力ギア50及びセンサー70は、モータ30の本体部31の、モータ30の回転軸32方向(Z軸方向)にほぼ直交する第2筐体27の第2面部25に沿った横側(X軸方向における第2筐体27の側部側)に配置されており、センサー70のベース部73は、端子配置部75にモータ30用の第2接続端子35を配置させられるように、端子配置部75の部分が、センサー70からモータ30側に張り出すように形成されている。
【0039】
そして、端子配置部75には、モータ30から離れた側に第1接続端子71が配置されるとともに、モータ30に近い側に第2接続端子35が配置されるようになっており、モータ30のモータ端子33とモータ30用の第2接続端子35との間を短い距離で電気接続できるようになっている。
なお、電気接続とは、2つの部材を直接又は他の部材を介して電気的に接続することをいう。
【0040】
このように、センサー70のベース部73にセンサー70の入出力用の3つの第1接続端子71が固定されるだけでなく、モータ30用の2つの第2接続端子35も固定できるようにすることで、筐体20(図1参照)にモータ30用の2つの第2接続端子35を固定するための微細な構造を設ける必要がなくなり、筐体20を形成するための金型等が複雑になることが抑制され、筐体20の製造コストの低減が可能になっている。
【0041】
一方、代わりに、センサー70のベース部73の端子配置部75をモータ30用の2つの第2接続端子35が配置できるものにする必要がある。
しかしながら、図2及び図3を見ればわかるように、2つの第2接続端子35が配置できるようにするためには、端子配置部75をモータ30側に拡げた設計とするだけでよいので、ベース部73を成形するための金型等が複雑化することがないため、製造コストが上昇することがなく、製品全体にかかるトータルコストという観点で製造コストを抑制することができる。
【0042】
本実施形態では、センサー70のベース部73の端子配置部75に対して第1接続端子71及び第2接続端子35を接着固定する等の手段によって固定しているが、例えば、各端子(第1接続端子71及び第2接続端子35)に対応した突起を端子配置部75に形成し、その突起に対応した孔部を各端子(第1接続端子71及び第2接続端子35)に設けても構わない。
この場合には、端子配置部75の突起を各端子(第1接続端子71及び第2接続端子35)の孔部に圧入し、各端子が端子配置部75に固定される。
このような固定を行う場合でも、平面状の端子配置部75に突起を形成するだけであるので、ベース部73を形成する金型等が複雑になることはなく、製造コストが上昇することがない。
【0043】
なお、ベース部73に第2接続端子35を配置するようにすることで第2接続端子35が筐体20(図1参照)内に収容される部品類と接触することも回避でき、信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、このようにベース部73にセンサー70の入出力用の3つの第1接続端子71及びモータ30用の2つの第2接続端子35を集約するように配置することで端子の収納が煩雑になることが抑制できるため、全体として回転装置10を小型化する設計が可能となる。
【0045】
そして、このようにベース部73の端子配置部75に配置し固定されたモータ30用の2つの第2接続端子35は、フレキシブル配線基板80によって、モータ30のそれぞれのモータ端子33に電気接続されている。
フレキシブル配線基板80は、例えば厚さが約12μmから50μmのフィルム(樹脂基板)の上に接着層を形成し、接着層の上に例えば厚みが約12μm~約50μmの導体が印刷又は貼りあわされた構造を有する。
フィルムはポリイミドやポリエステルなどの、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。
そして、導体は銅などの金属材料で形成されている。
また、接着層はエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂で形成されている。
このようなフレキシブル配線基板80は、90度以上の角度で折り曲げても折り曲げ前の形態に復元できる基板になっている。
【0046】
モータ30用の第2接続端子35とモータ端子33との間の電気接続は、リード線を用いた接続であってもよい。
リード線を用いる場合、リード線自体が細く取り扱い難いため、本実施形態のように、フレキシブル配線基板80の方が取扱い性が良い点で好ましい。
【0047】
このため、モータ30用の第2接続端子35とモータ端子33との間の電気接続をフレキシブル配線基板80で行うようにすることで回転装置10の組み立て作業が行い易くすることができるので、製造コストを低減することが可能となる。
【0048】
一方、本実施形態では、フレキシブル配線基板80の形状等を工夫することでモータ30用の第2接続端子35とフレキシブル配線基板80の接続及びモータ端子33とフレキシブル配線基板80の接続の信頼性を向上するようにしており、以下、図3及び図5を参照しながら説明する。
【0049】
図5は、モータ30のモータ端子33とセンサー70に設けられたモータ30用の第2接続端子35との間をフレキシブル配線基板80で接続している状態を示す斜視図である。
【0050】
図3及び図5に示すように、モータ30用の第2接続端子35は、第2接続端子35の一端側がベース部73から離れる方向に屈曲された屈曲部とされ、ベース部73から離れる方向に延びる接続部35aを有するものになっている。
図示の例では、接続部35aは、ベース部73から筐体20の第1面部21に向かって延びている。
【0051】
そして、フレキシブル配線基板80は、モータ30用の第2接続端子35の接続部35aに接続される一端面82を備え、その一端面82には、接続部35aに係合する孔部82aを有する電気接続部が設けられている。
【0052】
このため、接続部35aに孔部82aを係合させるようにして半田付けを行うようにすることでしっかりとした電気接続が行えるため、接触不良を抑制することができるようになっている。
【0053】
また、フレキシブル配線基板80は、モータ30のモータ端子33に接続される他端面81を備え、その他端面81にもモータ端子33に係合する孔部81aを有する電気接続部が設けられている。
【0054】
このため、モータ端子33に孔部81aを係合させるようにして半田付けを行うようにすることでしっかりとした電気接続が行えるため、接触不良を抑制することができるようになっている。
【0055】
加えて、フレキシブル配線基板80は、モータ30の第2接続端子35の接続部35aに接続される一端面82とモータ30のモータ端子33に接続される他端面81との間を繋ぐ中間面を備え、その中間面には、一端面82と他端面81をほぼ直交するように配置する折曲部83が設けられており、その折曲部83は、図3に示すように、折り返し構造が設けられた折曲部にされている。
この折曲部83に、折り返し構造を設ける代わりに、湾曲した構造を設けても構わない。
なお、図示の例では、一端面82が延在する方向と他端面81が延在する方向は、折曲部83によって、交差している。
この折曲部83は、第2接続端子35からモータ30のモータ端子33に至る途中に設けられ、振動等に応じて他端面81と一端面82とが成す角度(折曲角度)を変えるとともにバネ性を示す。
【0056】
例えば、直線的にモータ30の第2接続端子35とモータ30のモータ端子33とをフレキシブル配線基板80で接続するようにしていると、車両の振動等によってモータ30やセンサー70が振動すると、モータ30用の第2接続端子35とフレキシブル配線基板80の接続部分やモータ端子33とフレキシブル配線基板80の接続部分に引っ張り応力等が加わり易くなり、接続不良が発生したり、フレキシブル配線基板80の断線等が発生し易くなる。
【0057】
一方、本実施形態では、折り返し構造が設けられた折曲部83を介在させて、モータ30の第2接続端子35とモータ30のモータ端子33とをフレキシブル配線基板80で接続している。
このような構成にすることで、折り返し構造が設けられた折曲部83が振動等に応じて折曲角度が変わるように変形するとともにバネ性を示す。
よって、折曲部83により、モータ30用の第2接続端子35とフレキシブル配線基板80の接続部分やモータ端子33とフレキシブル配線基板80の接続部分に引っ張り応力等が加わることが回避でき、接続不良の発生を抑制することができるとともに、フレキシブル配線基板80自体の断線等の発生を抑制することができる。
【0058】
なお、折曲部83を折り返し構造がない一回の折り曲げだけで構成するようにしても、直線的に配線する場合と比較して余長となる部分ができるようになり、引っ張り応力等の影響を低減できるため、そのような折曲部としてもよいが、本実施形態のように、折り返し構造が設けられた折曲部83とするほうがより引っ張り応力等の影響を受け難くすることができる点で、折り返し構造を有する折曲部の使用が好適である。
【0059】
したがって、本実施形態のように、フレキシブル配線基板80に折り返し構造が設けられた折曲部83を設けるようにすることで回転装置10の信頼性を高めることができる。
【0060】
以上のような回転装置10は、例えば、自動車等の車両の空調システムに用いられ、以下、簡単に車両の空調システムに用いられる場合について説明する。
図6は実施形態の回転装置10を備える空調システム100を説明するための概略図であり、図7図6の空調システム100を備えた車両を示す図である。
【0061】
図6に示すように、空調システム100は、車両のフロント部分FR(図7参照)に配置される、ブロアファン101と、エバポレータ102と、ヒータ103と、ルーバー104と、を備えている。
【0062】
より具体的には、空調システム100の吸引口100a側にブロアファン101が配置され、ブロアファン101から送り出される空気を冷却するエバポレータ102が空気の流れ方向の下流側に配置されている。
【0063】
さらに、エバポレータ102よりも空気の流れ方向の下流側にヒータ103が配置され、エバポレータ102とヒータ103との間にルーバー104が配置されており、ルーバー104が、エバポレータ102側からヒータ103側に流れる空気の供給量を制御することで、空気の温度が適切な温度に調節される。
【0064】
そして、適切な温度に調整された空気は、さらに、ダクト等を経由して車室内に設けられた吹出口から車室内に供給されるようになっており、上述の空調システム100において、例えば、ルーバー104の回転軸104aが、上述した回転装置10の出力ギア50の係合部51(図4参照)に接続されている。
したがって、上述したように、回転装置10によって、ルーバー104が回動制御(図6の両矢印参照)され、所定の状態となるようにされる。
【0065】
なお、上記は、空調システム100における回転装置10の一例を示しただけであり、例えば、空調システム100は、車室内の空気を循環させる場合と、車外の空気を車室内に取り込む場合とで空気流路(ダクト経路)の切り替えを行う場合もあり、その切り替え部分にもルーバーが設けられている。
このため、この切り替え部分に設けられたルーバーを制御するのにも回転装置10は好適に用いることができる。
【0066】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、センサー70が出力ギア50の回転角を検出するように配置されている場合について説明してきたが、回転角の検出は、出力ギア50に限定されるものではない。
【0067】
例えば、複数の伝達ギア40のうちの1つの伝達ギアの回転角と図示しないルーバーの駆動状態との関係を求めておけば、その伝達ギアの回転角をセンサー70で検出するようにして、その回転角に基づいてモータ30の回転制御を行うことで図示しないルーバーの駆動制御が行える。
したがって、回転角を検出するセンサー70は伝達ギア40の回転角を検出するものであってもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、センサー70にロータリ型の抵抗式ポジションセンサーを用いていたが、必ずしも、センサー70がロータリ型の抵抗式ポジションセンサーである必要はなく、非接触式のロータリ型のポジションセンサーであってもよい。
【0069】
ただし、抵抗式ポジションセンサーは導電性ブラシが物理的に抵抗体にしっかり接触する構造であるため、車両の振動等の影響による検出不良等が起き難いため、センサー70にはロータリ型の抵抗式ポジションセンサーを用いるのが好適である。
【0070】
上記の実施形態では、出力ギア50の回転角をセンサーで検出していたが、これに限定されず、出力ギア50の回転角を制御できるのであれば、出力ギア50の回転角ではなく、他のギアの回転角をセンサーで検出しても構わない。
【0071】
また、上記実施形態では、モータ30用の第2接続端子35の一端側が屈曲部となっているが、ベース部73と対向する第2接続端子35の一部分と接続部35aとの間に屈曲部を設けても構わない。
この場合、接続部35aが第2接続端子35の端部となる。
【0072】
また、上記実施形態では、中間面には、一端面82と他端面81をほぼ直交するように配置する折曲部83が設けられているが、これに限定されず、一端面82が延在する方向と他端面81が延在する方向を交差させる折曲部83を中間面に設けても構わない。
【0073】
さらに、上記では、回転装置10が自動車等の車両の空調機に用いられる場合について示したが、回転装置10は車両の空調機に用いられることに限定されるものではなく、例えば航空機等の乗り物に好適に使用できるものである。
【0074】
このように、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもなく、そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0075】
10…回転装置、20…筐体、21…第1面部、22…第1側壁部、22a…係合孔、22b…係合部、23…第1筐体、25…第2面部、25a…開口部、26…第2側壁部、26a…係合突起、27…第2筐体、30…DCモータ、31…本体部、31a…第1端面、31b…第2端面、32…回転軸、33…モータ端子、35…第2接続端子、35a…接続部、40…伝達ギア、41…ウォームギア、42…第1二段ギア、42a…直径の大きいギア、42b…直径の小さいギア、43…第2二段ギア、43a…直径の大きいギア、43b…直径の小さいギア、50…出力ギア、51…係合部、60…ギア、70…センサー、71…第1接続端子、72…抵抗体基板、73…ベース部、74…覆い部、75…端子配置部、80…フレキシブル配線基板、81…他端面、81a…孔部、82…一端面、82a…孔部、83…折曲部、100…空調システム、101…ブロアファン、102…エバポレータ、103…ヒータ、104…ルーバー、104a…回転軸、A,B,C,D…取付部、FR…フロント部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸方向における第1端面と、当該第1端面の反対側に位置する第2端面に設けられた複数のモータ端子と、前記第1端面から導出された回転軸と、を有するモータと、
複数のギアと、
センサーと、
前記複数のモータ端子に電気的に接続される複数の第2接続端子と、
前記複数のモータ端子と前記複数の第2接続端子とを電気的に接続するフレキシブル配線基板と、
を備え、
前記複数のギアの1つは、前記回転軸に固定されるウォームギアであり、
前記複数の第2接続端子と前記複数のモータ端子との間に前記フレキシブル配線基板は配置されており、
前記フレキシブル配線基板は折曲部を備え、
前記折曲部には、折り返し構造又は湾曲した構造が設けられ、
前記折曲部は、折曲角度を変えるように変形するとともにバネ性を示す、回転装置。
【請求項2】
前記フレキシブル配線基板は、前記第2接続端子に接続される一方の端面と、前記複数のモータ端子に接続される他方の端面と、前記一方の端面と前記他方の端面とを接続する中間面と、
を備え、
前記中間面が前記折曲部を備えている、請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記折曲部は前記複数の第2接続端子から前記モータに至る途中に設けられている、請求項1又は2に記載の回転装置。
【請求項4】
前記センサーは、
抵抗体と、
前記抵抗体が配置されたベース部と、
覆い部と、
外部と前記抵抗体とに電気接続される複数の第1接続端子と、
前記複数の第2接続端子と、を備え、
前記複数の第2接続端子は、前記第1接続端子に対して前記モータ側にある前記ベース部に配置されており、
前記第1接続端子と前記複数の第2接続端子は、前記ベース部が有する前記覆い部側の面に配置されている、請求項1から3のいずれかに記載の回転装置。
【請求項5】
前記覆い部と前記ベース部は前記センサーの筐体を形成している、請求項4に記載の回転装置。
【請求項6】
前記センサーは、前記抵抗体に接触する導電性ブラシと、
前記導電性ブラシが設けられた回転体と、を備え、
前記回転体は前記ベース部に設けられている、請求項4に記載の回転装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の回転装置と、
前記回転装置によって制御されるルーバーと、を備えた空調システムを有している乗り物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は転装置及びその回転装置を備える空調システムを有する乗り物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両用空調システムの空気を流す空気通路の途中に設けられた複数のドア(ルーバー)の駆動を行うモータアクチュエータ(回転装置)が開示されている。
【0003】
そして、特許文献1のモータアクチュエータ(回転装置)では、モータ端子に中継端子が直接接続され、図4の開示を見ると、その中継端子を挟持して固定する固定部がハウジング(筐体)を構成する下側ケースに形成されており、この固定部に中継端子を固定することで振動によって中継端子が激しく振動することを抑制し、モータ端子と中継端子との接続部分での接続不良の発生を抑制しているものと考えられる。
【0004】
しかしながら、ハウジング(筐体)に中継端子のような細い部材を挟持する微細な構造を形成すると、そのハウジング(筐体)を成形するための金型等が複雑になり、製造コストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-220969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情を課題の一例とするものであり、転装置、その回転装置を備える空調システムを有する車両を提供すること等を、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の回転装置は、回転軸方向における第1端面と、当該第1端面の反対側に位置する第2端面に設けられた複数のモータ端子と、前記第1端面から導出された回転軸と、を有するモータと、複数のギアと、センサーと、前記複数のモータ端子に電気的に接続される複数の第2接続端子と、前記複数のモータ端子と前記複数の第2接続端子とを電気的に接続するフレキシブル配線基板と、を備え、前記複数のギアの1つは、前記回転軸に固定されるウォームギアであり、前記端面における径方向において、前記複数の第2接続端子と前記複数のモータ端子との間に前記フレキシブル配線基板は配置されており、前記フレキシブル配線基板は折曲部を備え、前記折曲部には、折り返し構造又は湾曲した構造が設けられ、前記折曲部は、折曲角度を変えるように変形するとともにバネ性を示す。
(2)上記(1)の構成において、前記フレキシブル配線基板は、前記第2接続端子に接続される一方の端面と、前記複数のモータ端子に接続される他方の端面と、前記一方の端面と前記他方の端面とを接続する中間面と、を備え、前記中間面が前記折曲部を備えている。
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記折曲部は前記複数の第2接続端子から前記モータに至る途中に設けられている。
(4)上記(1)から(3)のいずれかの構成において、前記センサーは、抵抗体と、前記抵抗体が配置されたベース部と、覆い部と、外部と前記抵抗体とに電気接続される複数の第1接続端子と、前記複数の第2接続端子と、を備え、前記複数の第2接続端子は、前記第1接続端子に対して前記モータ側にある前記ベース部に配置されており、前記第1接続端子と前記複数の第2接続端子は、前記ベース部が有する前記覆い部側の面に配置されている。
(5)上記(4)の構成において、前記覆い部と前記ベース部は前記センサーの筐体を形成している。
(6)上記(4)の構成において、前記センサーは、前記抵抗体に接触する導電性ブラシと、前記導電性ブラシが設けられた回転体と、を備え、前記回転体は前記ベース部に設けられている。
【0008】
)本発明の乗り物は、上記(1)から)のいずれかの構成を有する回転装置と、前記回転装置によって制御されるルーバーと、を備えた空調システムを有している。
【0009】
本発明によれば、転装置を提供すること及びその回転装置を備える空調システムを有する乗り物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る実施形態の回転装置の斜視図である。
図2】本発明に係る実施形態の回転装置の第1筐体を取り外した斜視図である。
図3】本発明に係る実施形態の回転装置の分解斜視図である。
図4】本発明に係る実施形態の回転装置の第2筐体の第2面部側が見えるようにした斜視図である。
図5】本発明に係る実施形態のモータのモータ端子とセンサーに設けられたモータ用の第2接続端子との間をフレキシブル配線基板で接続している状態を示す斜視図である。
図6】本発明に係る実施形態の回転装置を備える空調システムを説明するための概略図である。
図7図6の空調システムを備えた車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
係合される孔部を係合孔部、係合される突起を係合突起と呼称する。
【0012】
図1は本発明に係る実施形態の回転装置10の斜視図であり、図2は第1筐体23を取り外した回転装置10の斜視図であり、図3は回転装置10の分解斜視図である。
図1に示すように、回転装置10は、面部としての第1面部21及び第1面部21の外周部に設けられた第1側壁部22を有する第1筐体23と、面部としての第2面部25及び第2面部25の外周部に設けられた第2側壁部26を有する第2筐体27と、を合わせることで構成される筐体20を備えている。
また、筐体20は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ABS等の樹脂材料で形成されている。
【0013】
第1筐体23には、図3に示すように、第1側壁部22の外周に複数設けられた第2筐体27側に延出する係合部22bが第1側壁部22に一体に形成されており、この係合部22bには係合孔22aが設けられている。
【0014】
また、第2筐体27には、図3に示すように、第1筐体23の複数の係合部22bのそれぞれに対応する第2側壁部26の外周の位置に、係合部22bの係合孔22aに係合される複数の係合突起26aが、第2側壁部26に一体に形成されている。
【0015】
そして、第1筐体23の係合部22bの係合孔22aに第2筐体27の係合突起26aを係合させるように第1筐体23と第2筐体27を合わせることで、第1筐体23と第2筐体27とが一体化され、図2及び図3に示す各種の部品を収容する筐体20(図1参照)となるように構成されている。
【0016】
なお、本実施形態では、第1筐体23に係合孔22aを有する係合部22bを設け、第2筐体27に係合突起26aを設けるようにしているが、第2筐体27に係合部を設け、第1筐体23に係合突起を設けるようにしてもよい。
【0017】
また、図3に示すように、第1筐体23の外周には、回転装置10を空調システムに取り付けるための、取付部A、B、C、Dが設けられている。
【0018】
回転装置10は、筐体20(図1参照)内に収容された各種の部品として、図2及び図3に示すように、モータ30と、モータ30の回転軸32(図3参照)の回転を外部に機械的に出力する出力ギア50を含む複数のギア60と、出力ギア50の回転角を検出するセンサー70と、を備えている。
また、第2筐体27には、図3に示すように、出力ギア50の中央側に対応する部分に開口部25aが設けられている。
【0019】
図4は、回転装置10の第2筐体27の第2面部25側が見えるようにした斜視図である。
図4に示すように、第2筐体27の第2面部25に設けられた開口部25aを通じて出力ギア50の係合部51に外部からアクセスできるようになっており、例えば、図示しない自動車等の車両に設けられる空調システムのルーバーの駆動軸が出力ギア50の係合部51に係合できるようになっている。
【0020】
したがって、出力ギア50を回転させることで空調システムの空気通路(以下、空気流路ともいう。)に設けられた図示しないルーバーが制御され、例えば、空調システムの空気通路が所定の開度となるように制御される。
【0021】
(モータ)
モータ30は出力ギア50を回転させるための駆動装置であり、本実施形態ではDCモータを用いている。
図3に示すように、モータ30は、角部が湾曲した四角柱状の外形を有する本体部31と、本体部31の第1端面31aから導出された回転軸32と、本体部31の第1端面31aの反対側に位置し、第1端面31aに対向する第2端面31bから外側に突出するように設けられた一対のモータ端子33と、を備えている。
なお、回転軸32は、モータ30の本体部31内に収容されているロータに固定されている。
【0022】
(伝達ギア)
図2及び図3に示すように、複数のギア60には、伝達ギア40が含まれており、この伝達ギア40は、所定のギア比でモータ30の回転軸32の回転を出力ギア50に伝達させるためのギアであり、本実施形態では、伝達ギア40として3つのギア(ウォームギア41、第1二段ギア42及び第2二段ギア43)を用いている。
【0023】
具体的には、図2に示すように、伝達ギア40は、モータ30の回転軸32(図3参照)に固定されるウォームギア41と、ウォームギア41に接続される直径が大きいギア42a及び直径が小さいギア42bを有する第1二段ギア42と、第1二段ギア42における直径の小さいギア42bに接続される直径の大きいギア43a及び出力ギア50に接続される直径の小さいギア43b(図3参照)を有する第2二段ギア43と、を備えている。
【0024】
なお、本実施形態では、少ないスペースを利用してギア比を調節しつつ、モータ30の回転軸32の回転を出力ギア50に伝達するように、第1二段ギア42及び第2二段ギア43を用いているが、例えば、第2二段ギア43を省略して第1二段ギア42の直径が小さいギア42bに出力ギア50を接続する設計としてもよく、第1二段ギア42及び第2二段ギア43を省略してウォームギア41に、直接、出力ギア50を接続する設計としてもよい。
【0025】
(出力ギア)
出力ギア50は、上述したように、図示しない空調システムのルーバーの駆動軸が接続され、モータ30の回転軸32の回転をルーバーの駆動軸を制御する駆動力として出力するためのギアである。
【0026】
なお、出力ギア50に図示しないルーバーの駆動軸を直結させる対応に限られるものではなく、回転装置10と図示しないルーバーの駆動軸との間に介在するギアを設けるようにしてもよく、この場合、その介在するギアの回転軸が出力ギア50に接続される。
【0027】
(センサー)
例えば自動車に搭載された空調機などは、ルーバーを備えている。
この図示しないルーバーを所定の状態に駆動制御を行うために、特に出力ギア50の回転角を制御する必要があり、センサー70は、その出力ギア50の回転角を制御するために、その出力ギア50の回転角の検出を行うセンサーである。
【0028】
そして、その検出した出力ギア50の回転角に基づいて、モータ30の回転制御を行うことで、図示しないルーバーが所定の状態になるように、出力ギア50の回転が行われる。
【0029】
本実施形態では、センサー70にロータリ型の抵抗式ポジションセンサーを用いており、図2及び図3に示すように、センサー70は、出力ギア50の回転角に応じた回転角信号を得るための入出力用の3つの第1接続端子71と、第1接続端子71が電気的に接続される抵抗体が樹脂基板に印刷された抵抗体基板72と、抵抗体に接触する図示しない導電性ブラシを有し、回転角を検出する出力ギア50と一体に回転する回転体(図示せず)と、それらを配置するためのベース部73と、図示しない回転体に対応する位置に設けられ、ベース部73とでセンサーが有する筐体(以下、センサー筐体と呼称する)を形成する覆い部74と、を備えている。
抵抗体基板72の樹脂基板は、例えば、エポキシ系樹脂で形成されている。
そして、この樹脂基板の厚さは、例えば、約300μm~約1600μmである。
また、この樹脂基板はフレキシブル配線基板80に比べて硬い。
【0030】
なお、本実施形態では、出力ギア50の回転軸に係合され、出力ギア50と一体で回転する図示しない回転体がベース部73上に回転可能に設けられ、その回転体上に離間して配置される抵抗体基板72に対して、回転体の抵抗体基板72側に設けられた図示しない導電性ブラシが回転体の回転に伴って抵抗体基板72の抵抗体に接触しながら位置が変化することで出力される抵抗値が変化する抵抗式ポジションセンサーを用いているが、回転角を検出するセンサーは、回転体の回転に伴って導電性ブラシによってON-OFFが繰り返されるように導電部が形成されたセンサー基板を用いて、このON-OFFの回数から回転角を検知するタイプのセンサーであってもよい。
【0031】
そして、ベース部73には、点線枠囲みで示すように、端子を配置する端子配置部75が設けられているが、この端子配置部75は、センサー70の入出力用の3つの第1接続端子71だけでなく、モータ30用の2つの第2接続端子35も配置されるものになっている。
【0032】
具体的には、図2に示すように、出力ギア50及びセンサー70は、モータ30の本体部31の、モータ30の回転軸32方向(Z軸方向)にほぼ直交する第2筐体27の第2面部25に沿った横側(X軸方向における第2筐体27の側部側)に配置されており、センサー70のベース部73は、端子配置部75にモータ30用の第2接続端子35を配置させられるように、端子配置部75の部分が、センサー70からモータ30側に張り出すように形成されている。
【0033】
そして、端子配置部75には、モータ30から離れた側に第1接続端子71が配置されるとともに、モータ30に近い側に第2接続端子35が配置されるようになっており、モータ30のモータ端子33とモータ30用の第2接続端子35との間を短い距離で電気接続できるようになっている。
なお、電気接続とは、2つの部材を直接又は他の部材を介して電気的に接続することをいう。
【0034】
このように、センサー70のベース部73にセンサー70の入出力用の3つの第1接続端子71が固定されるだけでなく、モータ30用の2つの第2接続端子35も固定できるようにすることで、筐体20(図1参照)にモータ30用の2つの第2接続端子35を固定するための微細な構造を設ける必要がなくなり、筐体20を形成するための金型等が複雑になることが抑制され、筐体20の製造コストの低減が可能になっている。
【0035】
一方、代わりに、センサー70のベース部73の端子配置部75をモータ30用の2つの第2接続端子35が配置できるものにする必要がある。
しかしながら、図2及び図3を見ればわかるように、2つの第2接続端子35が配置できるようにするためには、端子配置部75をモータ30側に拡げた設計とするだけでよいので、ベース部73を成形するための金型等が複雑化することがないため、製造コストが上昇することがなく、製品全体にかかるトータルコストという観点で製造コストを抑制することができる。
【0036】
本実施形態では、センサー70のベース部73の端子配置部75に対して第1接続端子71及び第2接続端子35を接着固定する等の手段によって固定しているが、例えば、各端子(第1接続端子71及び第2接続端子35)に対応した突起を端子配置部75に形成し、その突起に対応した孔部を各端子(第1接続端子71及び第2接続端子35)に設けても構わない。
この場合には、端子配置部75の突起を各端子(第1接続端子71及び第2接続端子35)の孔部に圧入し、各端子が端子配置部75に固定される。
このような固定を行う場合でも、平面状の端子配置部75に突起を形成するだけであるので、ベース部73を形成する金型等が複雑になることはなく、製造コストが上昇することがない。
【0037】
なお、ベース部73に第2接続端子35を配置するようにすることで第2接続端子35が筐体20(図1参照)内に収容される部品類と接触することも回避でき、信頼性を向上させることができる。
【0038】
また、このようにベース部73にセンサー70の入出力用の3つの第1接続端子71及びモータ30用の2つの第2接続端子35を集約するように配置することで端子の収納が煩雑になることが抑制できるため、全体として回転装置10を小型化する設計が可能となる。
【0039】
そして、このようにベース部73の端子配置部75に配置し固定されたモータ30用の2つの第2接続端子35は、フレキシブル配線基板80によって、モータ30のそれぞれのモータ端子33に電気接続されている。
フレキシブル配線基板80は、例えば厚さが約12μmから50μmのフィルム(樹脂基板)の上に接着層を形成し、接着層の上に例えば厚みが約12μm~約50μmの導体が印刷又は貼りあわされた構造を有する。
フィルムはポリイミドやポリエステルなどの、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。
そして、導体は銅などの金属材料で形成されている。
また、接着層はエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂で形成されている。
このようなフレキシブル配線基板80は、90度以上の角度で折り曲げても折り曲げ前の形態に復元できる基板になっている。
【0040】
モータ30用の第2接続端子35とモータ端子33との間の電気接続は、リード線を用いた接続であってもよい。
リード線を用いる場合、リード線自体が細く取り扱い難いため、本実施形態のように、フレキシブル配線基板80の方が取扱い性が良い点で好ましい。
【0041】
このため、モータ30用の第2接続端子35とモータ端子33との間の電気接続をフレキシブル配線基板80で行うようにすることで回転装置10の組み立て作業が行い易くすることができるので、製造コストを低減することが可能となる。
【0042】
一方、本実施形態では、フレキシブル配線基板80の形状等を工夫することでモータ30用の第2接続端子35とフレキシブル配線基板80の接続及びモータ端子33とフレキシブル配線基板80の接続の信頼性を向上するようにしており、以下、図3及び図5を参照しながら説明する。
【0043】
図5は、モータ30のモータ端子33とセンサー70に設けられたモータ30用の第2接続端子35との間をフレキシブル配線基板80で接続している状態を示す斜視図である。
【0044】
図3及び図5に示すように、モータ30用の第2接続端子35は、第2接続端子35の一端側がベース部73から離れる方向に屈曲された屈曲部とされ、ベース部73から離れる方向に延びる接続部35aを有するものになっている。
図示の例では、接続部35aは、ベース部73から筐体20の第1面部21に向かって延びている。
【0045】
そして、フレキシブル配線基板80は、モータ30用の第2接続端子35の接続部35aに接続される一端面82を備え、その一端面82には、接続部35aに係合する孔部82aを有する電気接続部が設けられている。
【0046】
このため、接続部35aに孔部82aを係合させるようにして半田付けを行うようにすることでしっかりとした電気接続が行えるため、接触不良を抑制することができるようになっている。
【0047】
また、フレキシブル配線基板80は、モータ30のモータ端子33に接続される他端面81を備え、その他端面81にもモータ端子33に係合する孔部81aを有する電気接続部が設けられている。
【0048】
このため、モータ端子33に孔部81aを係合させるようにして半田付けを行うようにすることでしっかりとした電気接続が行えるため、接触不良を抑制することができるようになっている。
【0049】
加えて、フレキシブル配線基板80は、モータ30の第2接続端子35の接続部35aに接続される一端面82とモータ30のモータ端子33に接続される他端面81との間を繋ぐ中間面を備え、その中間面には、一端面82と他端面81をほぼ直交するように配置する折曲部83が設けられており、その折曲部83は、図3に示すように、折り返し構造が設けられた折曲部にされている。
この折曲部83に、折り返し構造を設ける代わりに、湾曲した構造を設けても構わない。
なお、図示の例では、一端面82が延在する方向と他端面81が延在する方向は、折曲部83によって、交差している。
この折曲部83は、第2接続端子35からモータ30のモータ端子33に至る途中に設けられ、振動等に応じて他端面81と一端面82とが成す角度(折曲角度)を変えるとともにバネ性を示す。
【0050】
例えば、直線的にモータ30の第2接続端子35とモータ30のモータ端子33とをフレキシブル配線基板80で接続するようにしていると、車両の振動等によってモータ30やセンサー70が振動すると、モータ30用の第2接続端子35とフレキシブル配線基板80の接続部分やモータ端子33とフレキシブル配線基板80の接続部分に引っ張り応力等が加わり易くなり、接続不良が発生したり、フレキシブル配線基板80の断線等が発生し易くなる。
【0051】
一方、本実施形態では、折り返し構造が設けられた折曲部83を介在させて、モータ30の第2接続端子35とモータ30のモータ端子33とをフレキシブル配線基板80で接続している。
このような構成にすることで、折り返し構造が設けられた折曲部83が振動等に応じて折曲角度が変わるように変形するとともにバネ性を示す。
よって、折曲部83により、モータ30用の第2接続端子35とフレキシブル配線基板80の接続部分やモータ端子33とフレキシブル配線基板80の接続部分に引っ張り応力等が加わることが回避でき、接続不良の発生を抑制することができるとともに、フレキシブル配線基板80自体の断線等の発生を抑制することができる。
【0052】
なお、折曲部83を折り返し構造がない一回の折り曲げだけで構成するようにしても、直線的に配線する場合と比較して余長となる部分ができるようになり、引っ張り応力等の影響を低減できるため、そのような折曲部としてもよいが、本実施形態のように、折り返し構造が設けられた折曲部83とするほうがより引っ張り応力等の影響を受け難くすることができる点で、折り返し構造を有する折曲部の使用が好適である。
【0053】
したがって、本実施形態のように、フレキシブル配線基板80に折り返し構造が設けられた折曲部83を設けるようにすることで回転装置10の信頼性を高めることができる。
【0054】
以上のような回転装置10は、例えば、自動車等の車両の空調システムに用いられ、以下、簡単に車両の空調システムに用いられる場合について説明する。
図6は実施形態の回転装置10を備える空調システム100を説明するための概略図であり、図7図6の空調システム100を備えた車両を示す図である。
【0055】
図6に示すように、空調システム100は、車両のフロント部分FR(図7参照)に配置される、ブロアファン101と、エバポレータ102と、ヒータ103と、ルーバー104と、を備えている。
【0056】
より具体的には、空調システム100の吸引口100a側にブロアファン101が配置され、ブロアファン101から送り出される空気を冷却するエバポレータ102が空気の流れ方向の下流側に配置されている。
【0057】
さらに、エバポレータ102よりも空気の流れ方向の下流側にヒータ103が配置され、エバポレータ102とヒータ103との間にルーバー104が配置されており、ルーバー104が、エバポレータ102側からヒータ103側に流れる空気の供給量を制御することで、空気の温度が適切な温度に調節される。
【0058】
そして、適切な温度に調整された空気は、さらに、ダクト等を経由して車室内に設けられた吹出口から車室内に供給されるようになっており、上述の空調システム100において、例えば、ルーバー104の回転軸104aが、上述した回転装置10の出力ギア50の係合部51(図4参照)に接続されている。
したがって、上述したように、回転装置10によって、ルーバー104が回動制御(図6の両矢印参照)され、所定の状態となるようにされる。
【0059】
なお、上記は、空調システム100における回転装置10の一例を示しただけであり、例えば、空調システム100は、車室内の空気を循環させる場合と、車外の空気を車室内に取り込む場合とで空気流路(ダクト経路)の切り替えを行う場合もあり、その切り替え部分にもルーバーが設けられている。
このため、この切り替え部分に設けられたルーバーを制御するのにも回転装置10は好適に用いることができる。
【0060】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、センサー70が出力ギア50の回転角を検出するように配置されている場合について説明してきたが、回転角の検出は、出力ギア50に限定されるものではない。
【0061】
例えば、複数の伝達ギア40のうちの1つの伝達ギアの回転角と図示しないルーバーの駆動状態との関係を求めておけば、その伝達ギアの回転角をセンサー70で検出するようにして、その回転角に基づいてモータ30の回転制御を行うことで図示しないルーバーの駆動制御が行える。
したがって、回転角を検出するセンサー70は伝達ギア40の回転角を検出するものであってもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、センサー70にロータリ型の抵抗式ポジションセンサーを用いていたが、必ずしも、センサー70がロータリ型の抵抗式ポジションセンサーである必要はなく、非接触式のロータリ型のポジションセンサーであってもよい。
【0063】
ただし、抵抗式ポジションセンサーは導電性ブラシが物理的に抵抗体にしっかり接触する構造であるため、車両の振動等の影響による検出不良等が起き難いため、センサー70にはロータリ型の抵抗式ポジションセンサーを用いるのが好適である。
【0064】
上記の実施形態では、出力ギア50の回転角をセンサーで検出していたが、これに限定されず、出力ギア50の回転角を制御できるのであれば、出力ギア50の回転角ではなく、他のギアの回転角をセンサーで検出しても構わない。
【0065】
また、上記実施形態では、モータ30用の第2接続端子35の一端側が屈曲部となっているが、ベース部73と対向する第2接続端子35の一部分と接続部35aとの間に屈曲部を設けても構わない。
この場合、接続部35aが第2接続端子35の端部となる。
【0066】
また、上記実施形態では、中間面には、一端面82と他端面81をほぼ直交するように配置する折曲部83が設けられているが、これに限定されず、一端面82が延在する方向と他端面81が延在する方向を交差させる折曲部83を中間面に設けても構わない。
【0067】
さらに、上記では、回転装置10が自動車等の車両の空調機に用いられる場合について示したが、回転装置10は車両の空調機に用いられることに限定されるものではなく、例えば航空機等の乗り物に好適に使用できるものである。
【0068】
このように、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもなく、そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0069】
10…回転装置、20…筐体、21…第1面部、22…第1側壁部、22a…係合孔、22b…係合部、23…第1筐体、25…第2面部、25a…開口部、26…第2側壁部、26a…係合突起、27…第2筐体、30…DCモータ、31…本体部、31a…第1端面、31b…第2端面、32…回転軸、33…モータ端子、35…第2接続端子、35a…接続部、40…伝達ギア、41…ウォームギア、42…第1二段ギア、42a…直径の大きいギア、42b…直径の小さいギア、43…第2二段ギア、43a…直径の大きいギア、43b…直径の小さいギア、50…出力ギア、51…係合部、60…ギア、70…センサー、71…第1接続端子、72…抵抗体基板、73…ベース部、74…覆い部、75…端子配置部、80…フレキシブル配線基板、81…他端面、81a…孔部、82…一端面、82a…孔部、83…折曲部、100…空調システム、101…ブロアファン、102…エバポレータ、103…ヒータ、104…ルーバー、104a…回転軸、A,B,C,D…取付部、FR…フロント部分
【手続補正書】
【提出日】2025-01-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸方向における第1端面と、当該第1端面の反対側に位置する第2端面に設けられた複数のモータ端子と、前記第1端面から導出された回転軸と、を有するモータと、
複数のギアと、
センサーと、
前記複数のモータ端子に電気的に接続される複数の第2接続端子と、
前記複数のモータ端子と前記複数の第2接続端子とを電気的に接続するフレキシブル配線基板と、
を備え、
前記複数の第2接続端子と前記複数のモータ端子との間に前記フレキシブル配線基板は配置されており、
前記フレキシブル配線基板は折曲部を備え、
前記折曲部には、折り返し構造又は湾曲した構造が設けられ、
前記折曲部は、折曲角度を変えるように変形するとともにバネ性を示す、回転装置。
【請求項2】
前記フレキシブル配線基板は、前記第2接続端子に接続される一方の端面と、前記複数のモータ端子に接続される他方の端面と、前記一方の端面と前記他方の端面とを接続する中間面と、
を備え、
前記中間面が前記折曲部を備えている、請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記折曲部は前記複数の第2接続端子から前記モータに至る途中に設けられている、請求項1又は2に記載の回転装置。
【請求項4】
前記センサーは、
抵抗体と、
前記抵抗体が配置されたベース部と、
覆い部と、
外部と前記抵抗体とに電気接続される複数の第1接続端子と、
前記複数の第2接続端子と、を備え、
前記複数の第2接続端子は、前記第1接続端子に対して前記モータ側にある前記ベース部に配置されており、
前記第1接続端子と前記複数の第2接続端子は、前記ベース部が有する前記覆い部側の面に配置されている、請求項1から3のいずれかに記載の回転装置。
【請求項5】
前記覆い部と前記ベース部は前記センサーの筐体を形成している、請求項4に記載の回転装置。
【請求項6】
前記センサーは、前記抵抗体に接触する導電性ブラシと、
前記導電性ブラシが設けられた回転体と、を備え、
前記回転体は前記ベース部に設けられている、請求項4に記載の回転装置。
【請求項7】
前記複数のギアは、前記回転軸に固定されたウォームギアを含む、請求項1から6のいずれかに記載の回転装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれかに記載の回転装置と、
前記回転装置によって制御されるルーバーと、を備えた空調システムを有している乗り物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の回転装置は、回転軸方向における第1端面と、当該第1端面の反対側に位置する第2端面に設けられた複数のモータ端子と、前記第1端面から導出された回転軸と、を有するモータと、複数のギアと、センサーと、前記複数のモータ端子に電気的に接続される複数の第2接続端子と、前記複数のモータ端子と前記複数の第2接続端子とを電気的に接続するフレキシブル配線基板と、を備え、記端面における径方向において、前記複数の第2接続端子と前記複数のモータ端子との間に前記フレキシブル配線基板は配置されており、前記フレキシブル配線基板は折曲部を備え、前記折曲部には、折り返し構造又は湾曲した構造が設けられ、前記折曲部は、折曲角度を変えるように変形するとともにバネ性を示す。
(2)上記(1)の構成において、前記フレキシブル配線基板は、前記第2接続端子に接続される一方の端面と、前記複数のモータ端子に接続される他方の端面と、前記一方の端面と前記他方の端面とを接続する中間面と、を備え、前記中間面が前記折曲部を備えている。
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記折曲部は前記複数の第2接続端子から前記モータに至る途中に設けられている。
(4)上記(1)から(3)のいずれかの構成において、前記センサーは、抵抗体と、前記抵抗体が配置されたベース部と、覆い部と、外部と前記抵抗体とに電気接続される複数の第1接続端子と、前記複数の第2接続端子と、を備え、前記複数の第2接続端子は、前記第1接続端子に対して前記モータ側にある前記ベース部に配置されており、前記第1接続端子と前記複数の第2接続端子は、前記ベース部が有する前記覆い部側の面に配置されている。
(5)上記(4)の構成において、前記覆い部と前記ベース部は前記センサーの筐体を形成している。
(6)上記(4)の構成において、前記センサーは、前記抵抗体に接触する導電性ブラシと、前記導電性ブラシが設けられた回転体と、を備え、前記回転体は前記ベース部に設けられている。
(7)上記(1)から(6)のいずれかの構成において、前記複数のギアは、前記回転軸に固定されたウォームギアを含んでいる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
)本発明の乗り物は、上記(1)から()のいずれかの構成を有する回転装置と、前記回転装置によって制御されるルーバーと、を備えた空調システムを有している。