(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002314
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/533 20210101AFI20241226BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20241226BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20241226BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20241226BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20241226BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20241226BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/548 101
H01M50/176
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/54
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102398
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 正浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康介
(72)【発明者】
【氏名】森 秀人
(72)【発明者】
【氏名】立石 満
(72)【発明者】
【氏名】石川 真也
(72)【発明者】
【氏名】樽谷 真理
(72)【発明者】
【氏名】木村 健太
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA01
5H011BB03
5H011CC06
5H011DD13
5H011EE04
5H011FF04
5H011GG02
5H043AA01
5H043CA04
5H043CA13
5H043EA06
5H043EA32
5H043EA36
5H043HA08D
5H043HA17E
5H043JA06E
5H043KA09D
(57)【要約】
【課題】電極体の破損を抑制可能な二次電池を提供する。
【解決手段】二次電池は、
第1端部111に1つ以上の負極タブ110Nが形成され、第2端部112に1つ以上の正極タブ110Pが形成された電極体100と、電極体100を収容する筐体と、筐体に設けられた負極端子520および正極端子620とを備え、筐体は、筒状の本体部210と、第1封口体510と、第2封口体610とを含み、負極端子520は、第1封口体510に設けられており、正極端子620は、第2封口体610に設けられており、1つ以上の負極タブ110Nは、負極端子520に電気的に接続されており、1つ以上の正極タブ110Pは、正極端子620に電気的に接続されており、1つ以上の負極タブ110Nおよび1つ以上の正極タブ110Pのうちの一方は、1つ以上の負極タブ110Nおよび1つ以上の正極タブ110Pのうちの他方よりも長さが長い。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の一方側に位置する第1端部および前記第1方向の他方側に位置する第2端部を有し、前記第1端部に1つ以上の負極タブが形成され、前記第2端部に1つ以上の正極タブが形成された電極体と、
前記電極体を収容する筐体と、
前記筐体に設けられた負極端子および正極端子と、を備え、
前記筐体は、前記第1方向の前記一方側に第1開口部が設けられかつ前記第1方向の前記他方側に第2開口部が設けられた筒状の本体部と、前記第1開口部を閉塞する第1封口体と、前記第2開口部が設けられた第2封口体と、を含み、
前記負極端子は、前記第1封口体に設けられており、
前記正極端子は、前記第2封口体に設けられており、
前記1つ以上の負極タブは、前記負極端子に電気的に接続されており、
前記1つ以上の正極タブは、前記正極端子に電気的に接続されており、
前記1つ以上の負極タブおよび前記1つ以上の正極タブのうちの一方は、前記1つ以上の負極タブおよび前記1つ以上の正極タブのうちの他方よりも長さが長い、二次電池。
【請求項2】
前記1つ以上の負極タブおよび前記1つ以上の正極タブのうちの前記一方は、前記1つ以上の負極タブおよび前記1つ以上の正極タブのうちの前記他方よりも大きくたるんでいる、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記本体部は、前記第1方向と直交する第2方向に対向する第1壁部および第2壁部を有し、
前記第1壁部は、前記第2方向の一方側に位置しており、
前記第2壁部は、前記第2方向の他方側に位置しており、
前記電極体は、前記第2方向の前記一方側に位置する第3端部および前記第2方向の前記他方側に位置する第4端部とを有し、
前記1つ以上の負極タブおよび前記1つ以上の正極タブのうちの前記一方は、前記第3端部よりも前記第1壁部に近づくようにたるんでいる部分、または、前記第4端部よりも前記第2壁部に近づくようにたるんでいる部分を含む、請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記1つ以上の負極タブおよび前記1つ以上の正極タブのうちの前記他方は、前記第2方向において、前記第3端部から前記第1壁部側にはみ出さず、かつ、前記第4端部から前記第2壁部側にはみ出さないように設けられている、請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記1つ以上の負極タブおよび前記1つ以上の正極タブのうちの前記一方が有するたるみ部と前記筐体との間に配置され、前記たるみ部と前記筐体とを絶縁する絶縁部材をさらに備えた、請求項2から4のいずれか1項に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池に関し、特に、車両に搭載される二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の二次電池として、米国特許出願公開第2022/0302533号明細書(特許文献1)には、電極体を収容する筐体において長手方向の両側が開口したケース本体の開口部の各々が外部端子が設けられた蓋部材で閉塞された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0302533号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の二次電池においては、外部端子および集電体を蓋部材に予め組み付けて蓋アセンブリを形成した後に、電極体に設けられた電極タブを当該蓋アセンブリの集電体に固定する。続いて、電極タブが当該集電体に固定された状態で蓋アセンブリでケース本体の開口部を閉塞する。
【0005】
具体的には、まず、長手方向の一方側において、蓋アセンブリの集電体に電極体の電極タブ(たとえば正極タブ)を接続し、ケース本体の開口部を蓋アセンブリで閉塞する。続いて、長手方向の他方側において、蓋アセンブリの集電体に電極体の電極タブ(たとえば負極タブ)を接続し、ケース本体の開口部を蓋アセンブリで閉塞する。
【0006】
長手方向の一方側における集電体と電極タブとの固定状態の如何によっては、長手方向の他方側において、電極タブを引っ張って集電体に固定することが懸念される。この場合に、何ら手立てがない場合には、電極体が全体的に引っ張られることになり、電極体が破損する虞がある。
【0007】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、電極体の破損を抑制可能な二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に基づく二次電池は、第1方向の一方側に位置する第1端部および上記第1方向の他方側に位置する第2端部を有し、上記第1端部に1つ以上の負極タブが形成され、上記第2端部に1つ以上の正極タブが形成された電極体と、上記電極体を収容する筐体と、上記筐体に設けられた負極端子および正極端子と、を備える。上記筐体は、上記第1方向の上記一方側に第1開口部が設けられかつ上記第1方向の上記他方側に第2開口部が設けられた筒状の本体部と、上記第1開口部を閉塞する第1封口体と、上記第2開口部が設けられた第2封口体と、を含む。上記負極端子は、上記第1封口体に設けられている。上記正極端子は、上記第2封口体に設けられている。上記1つ以上の負極タブは、上記負極端子に電気的に接続されている。上記1つ以上の正極タブは、上記正極端子に電気的に接続されている。上記1つ以上の負極タブおよび上記1つ以上の正極タブのうちの一方は、上記1つ以上の負極タブおよび上記1つ以上の正極タブのうちの他方よりも長さが長い。
【0009】
上記構成によれば、正極タブおよび負極タブのうち一方の電極タブは、正極端子および負極端子のうち上記一方の電極タブと同じ極性である一方の外部端子に電気的に接続されている。正極タブおよび負極タブのうち他方の電極タブは、正極端子および負極端子のうち他方の外部端子に電気的に接続されている。上記一方の外部端子は、第1封口体および第2封口体のうち一方の封口体に設けられている。上記他方の外部端子は、第1封口体および第2封口体のうち他方の封口体に設けられている。上記一方の封口体は、第1開口部および第2開口部のうち一方の開口部を閉塞している。上記他方の封口体は、第1開口部および第2開口部のうち他方の開口部を閉塞している。
【0010】
二次電池を組み立てる際には、上記他方の電極タブを上記他方の外部端子に電気的に接続して上記他方の封口体で本体部の上記他方の開口部を閉塞した状態で、上記一方の電極タブを上記一方の外部端子に電気的に接続して上記一方の封口体で本体部の上記一方の開口部を閉塞する。この際、上述のように一方の電極タブが他方の電極タブよりも長くなっている。これにより、一方の電極タブのたるみ具合を調節しつつ、一方の封口体を一方の開口部に組み付けることができる。この結果、電極体に負荷される力を抑制でき、電極体が破損することを抑制できる。
【0011】
上記本開示に基づく二次電池にあっては、上記1つ以上の負極タブおよび上記1つ以上の正極タブのうちの上記一方は、上記1つ以上の負極タブおよび上記1つ以上の正極タブのうちの上記他方よりも大きくたるんでいてもよい。
【0012】
上記構成によれば、一方の電極タブが他方の電極タブよりも大きくたるむことにより、電極体に負荷される力をより確実に抑制することができる。
【0013】
上記本開示に基づく二次電池にあっては、上記本体部は、上記第1方向と直交する第2方向に対向する第1壁部および第2壁部を有する。上記第1壁部は、上記第2方向の一方側に位置している。上記第2壁部は、上記第2方向の他方側に位置している。上記電極体は、上記第2方向の上記一方側に位置する第3端部および上記第2方向の上記他方側に位置する第4端部とを有する。この場合には、上記1つ以上の負極タブおよび上記1つ以上の正極タブのうちの上記一方は、上記第3端部よりも上記第1壁部に近づくようにたるんでいる部分、または、上記第4端部よりも上記第2壁部に近づくようにたるんでいる部分を含んでいてもよい。
【0014】
上記構成によれば、一方の電極タブのたるみ具合の調整しろを大きく確保することができる。このため、安定して電極体と正極端子および負極端子とを電気的に接続することができる。
【0015】
上記本開示に基づく二次電池にあっては、上記1つ以上の負極タブおよび上記1つ以上の正極タブのうちの上記他方は、上記第2方向において、上記第3端部から上記第1壁部側にはみ出さず、かつ、上記第4端部から上記第2壁部側にはみ出さないように設けられていてもよい。
【0016】
上記構成によれば、他方のタブのたるみ具合を小さくでき、他方のタブと筐体とが接触することを抑制できる。
【0017】
上記本開示に基づく二次電池は、上記1つ以上の負極タブおよび上記1つ以上の正極タブのうちの上記一方が有するたるみ部と上記筐体との間に配置され、上記たるみ部と上記筐体とを絶縁する絶縁部材をさらに備えていてもよい。
【0018】
上記構成によれば、絶縁部材によってたるみ部と筐体とを絶縁することで、一方の電極タブと筐体とが導通することを抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、電極体の破損を抑制可能な二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態1に係る二次電池の斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る二次電池の分解斜視図である。
【
図3】
図1に示すIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図1に示すIV-IV線に沿った断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る正極タブおよび負極タブの接続状態を示す二次電池の断面図である。
【
図6】実施の形態2に係る正極タブおよび負極タブの接続状態を示す二次電池の断面図である。
【
図7】実施の形態3に係る正極タブおよび負極タブの接続状態を示す二次電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る二次電池の斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る二次電池の分解斜視図である。
図3は、
図1に示すIII-III線に沿った断面図である。
【0023】
図1から
図3に示すように、実施の形態1に係る二次電池10は、電極体100と、筐体200と、正極端子としての正極部材620と、負極端子としての負極部材520とを備える。
【0024】
電極体100は、第1方向の一方側に位置する第1端部101、および第1方向の他方側に位置する第2端部102を有する。第1方向は、後述する幅方向Wに平行な方向である。第1端部101には、複数の負極タブ110Nが設けられている。第2端部102には、複数の正極タブ110Pが設けられている。
【0025】
電極体100は、第1方向に直交する第2方向の一方側に位置する第3端部103、第2方向の他方側に位置する第4端部104を有する。第2方向は、後述する厚さ方向Tに平行な方向である。なお、電極体100の詳細な構成については、
図4を用いて後述する。
【0026】
筐体200は、厚さ方向Tにおける厚さが、幅方向Wにおける幅および高さ方向Hにおける高さよりも小さい直方体形状を有する。厚さ方向Tは、後述する正極110(
図4参照)および負極120(
図4参照)が並んで配置される並列方向と平行である。幅方向Wは、厚さ方向Tに直交している。高さ方向Hは、厚さ方向Tおよび高さ方向Hに直交している。幅方向Wにおける筐体200の幅は、高さ方向Hにおける筐体200の高さよりも大きく、幅方向Wを筐体200の長手方向とし、高さ方向Hを筐体200の短手方向とする。
【0027】
筐体200は、内部に電極体100および電解液(不図示)を収容する。筐体200は、本体部210、第1封口体510、および第2封口体610を含む。
【0028】
本体部210は、幅方向Wの両側にそれぞれ第1開口部215および第2開口部216が設けられた筒状形状を有する。より特定的には、本体部210は、幅方向Wの両側が開口する四角筒形状を有する。第1開口部215は、幅方向Wの一方側に設けられており、第2開口部216は、幅方向Wの他方側に設けられている。本体部210は、アルミニウム等の金属によって構成されている。
【0029】
本体部210は、厚さ方向Tに対向する第1壁部211および第2壁部212、ならびに、高さ方向Hに対向する第3壁部213および第4壁部214を含む。第1壁部211および第2壁部212の面積は、第3壁部213および第4壁部214よりも広くなっている。
【0030】
第1壁部211は、電極体100の第3端部103に対向して配置され、第2壁部212は、電極体100の第4端部104に対向して配置されている。第3壁部213は、高さ方向Hの一方側(上方側)に位置する。第3壁部213は、高さ方向Hの一方側に位置する第1壁部211および第2壁部212の端部同士を接続する。第4壁部214は、高さ方向Hの他方側(下方側)に位置する。第4壁部214は、高さ方向Hの他方側に位置する第1壁部211および第2壁部212の端部同士を接続する。
【0031】
第1封口体510は、第1開口部215を閉塞する。第1封口体510は、平板形状を有する。第1封口体510は、アルミニウム等の金属によって構成されている。第1封口体510は、たとえばレーザ溶接等によって第1開口部215に固定されている。
【0032】
第2封口体610は、第2開口部216を閉塞する。第2封口体610は、平板形状を有する。第2封口体610は、アルミニウム等の金属によって構成されている。第2封口体610は、たとえばレーザ溶接等によって第2開口部216に固定されている。
【0033】
第1封口体510および第2封口体610の各々には、圧力開放弁222、注液口224が設けられている。圧力開放弁222は、筐体200の内圧が所定圧以上となると破断するように設けられている。圧力開放弁222が破断することで、筐体200内のガスが筐体200外に排出されるため、筐体200内の内圧が低下する。
【0034】
注液口224は、封止部材225によって封止されている。注液口224は、二次電池10の製造過程において筐体200内に電解液を注入するための貫通孔である。注液口224は、封止部材225によって封止されている。封止部材225は、筐体200内への電解液の注入後に注液口224を封止する部材である。封止部材225としては、たとえば、液体を透過させずに気体を透過させる通気膜であってもよい。この場合には、充電時に発生するガスを筐体200外部に排出する際に、通気膜を介してガスを排出することができる。これより、別途ガス抜き口を設ける手間が省ける。加えて、通気膜によって電解液が筐体200外部に漏出することを抑制できる。なお、封止部材225は、通気膜に限定されず、樹脂部材、金属部材等を適宜採用することができる。
【0035】
第1封口体510には負極部材520が設けられており、第2封口体610には、正極部材620が設けられている。
【0036】
負極部材520は、第1封口体510の外表面に設けられている。負極部材520は、負極端子として機能する。負極部材520は、負極端子板521および絶縁プレート522とを有する。
【0037】
負極端子板521は、略直方体形状に形成されている。負極端子板521は、絶縁プレート522によって保持されている。絶縁プレート522は、第1封口体510の外表面に固定されている。絶縁プレート522は、第1封口体510と負極端子板521との間を絶縁している。負極端子板521および絶縁プレート522の各々には、後述する円柱部532を挿通させるための貫通孔が設けられている。
【0038】
正極部材620は、第2封口体610の外表面に設けられている。正極部材620は、正極端子として機能する。正極部材620は、正極端子板621および端子ブロック622とを有する。
【0039】
正極端子板621は、直方体形状に形成されている。正極端子板621は、アルミニウム等の金属によって構成されている。
【0040】
端子ブロック622は、直方体形状に形成されている。端子ブロック622は、正極端子板621を構成する金属とは異なる金属(鉄など)によって構成されている。端子ブロック622は、第2封口体610の外表面に溶接等によって固定されている。当該端子ブロック622に正極端子板621が溶接等によって固定されている。本体部210および第2封口体610は、端子ブロック622を介して正極端子板621に電気的に接続されており、正極端子板621と同じ極性に帯電している。正極端子板621および端子ブロック622の各々には、後述する円柱部632を挿通させるための貫通孔が形成されている。
【0041】
なお、正極部材620は、第2封口体610との間に絶縁プレートが配置され、正極部材620と第2封口体610とが電気的に絶縁されていてもよい。この場合には、端子ブロック622に替えて絶縁プレートを配置してもよいし、端子ブロック622と第2封口体610との間に絶縁プレートを配置してもよい。
【0042】
二次電池10は、負極部材520側において、負極側導電部材530およびインシュレータ560をさらに備える。
【0043】
負極側導電部材530は、複数の負極タブ110Nと負極端子板521とを連結する。複数の負極タブ110Nは、超音波溶接等によって、束ねられた状態で負極側導電部材530に接続されている。負極側導電部材530は、板状部531と円柱部532とを含む。板状部531は、第1封口体510の内表面と略平行である。円柱部532は、第1方向と平行な方向に沿って延在する。円柱部532の先端部は、第1封口体510、絶縁プレート522および負極端子板521を貫通し、負極端子板521にかしめられている。
【0044】
インシュレータ560は、板状部531と第1封口体510との間に配置されており、板状部531と第1封口体510と絶縁している。インシュレータ560は、円柱部532の基端側の周囲を覆う部分と、板状部531と第1封口体510の内表面との間に位置する部分とを含む。
【0045】
上記の負極部材520、第1封口体510、負極側導電部材530およびインシュレータ560は、組み付けられて第1蓋アセンブリ50を構成している。
【0046】
第1蓋アセンブリ50は、複数の負極タブ110Nと負極側導電部材530とが溶接等で固定された状態で第1封口体510が第1開口部215に取り付けられることにより、本体部210に固定される。
【0047】
二次電池10は、正極部材620側において、正極側導電部材630およびインシュレータ660をさらに備える。
【0048】
正極側導電部材630は、複数の正極タブ110Pと正極端子板621とを連結する。複数の正極タブ110Pは、超音波溶接等によって、束ねられた状態で正極側導電部材630に接続されている。正極側導電部材630は、板状部631と円柱部632とを含む。板状部631は、第2封口体610の内表面と略平行である。円柱部632は、第1方向と平行な方向に沿って延在する。円柱部632の先端部は、第2封口体610、端子ブロック622および正極端子板621を貫通し、正極端子板621にかしめられている。
【0049】
インシュレータ660は、板状部631と第2封口体610との間に配置されており、板状部631と第2封口体610と絶縁している。インシュレータ660は、円柱部632の基端側の周囲を覆う部分と、板状部631と第2封口体610の内表面との間に位置する部分とを含む。
【0050】
上記の正極部材620、第2封口体610、正極側導電部材630およびインシュレータ660は、組み付けられて第2蓋アセンブリ60を構成している。
【0051】
第2蓋アセンブリ60は、複数の正極タブ110Pと正極側導電部材630とが溶接等で固定された状態で第2封口体610が第2開口部216に取り付けられることにより、本体部210に固定される。
【0052】
図4は、
図1に示すIV-IV線に沿った断面図である。なお、
図4においては、便宜上、二次電池10の筐体200を省略し、電極体100のみを示している。
図4を参照して、電極体100の詳細について説明する。
【0053】
図4に示すように、電極体100は、複数の正極110および複数の負極120と、セパレータ130とを備えている。複数の正極110および複数の負極120は、セパレータ130によって絶縁された状態で厚さ方向Tに交互に並ぶように配置されている。
【0054】
各負極120は、幅方向Wを長手とし、高さ方向Hを短手とする長方形形状に形成されている。各負極120は、負極集電箔122と、負極集電箔122の両面に設けられた負極活物質層124と、を有している。
図4に示すように、負極集電箔122は、負極活物質層124が設けられていない負極タブ110Nを有している。負極タブ110Nは、幅方向Wにおける一方側に向かって突出している。
【0055】
各正極110は、幅方向Wを長手とし、高さ方向Hを短手とする長方形形状に形成されている。各正極110は、正極集電箔112と、厚さ方向Tにおける正極集電箔112の両面に設けられた正極活物質層114と、を有している。正極集電箔112は、正極活物質層114が設けられていない正極タブ110Pを有している。正極タブ110Pは、幅方向Wの他方側に向けて向かって突出している。
【0056】
セパレータ130は、正極110および負極120間を絶縁している。セパレータ130は、絶縁材料からなり、イオンの透過を許容する微小な空隙を有している。セパレータ130は、つづら折り状に形成されている。
【0057】
セパレータ130は、つづら折り状に形成される前の状態では長方形形状を呈している。セパレータ130は、正極110および負極120間につづら折り状に形成されながら配置される。セパレータ130は、複数の介在部132aと、複数の第1折返し部132bと、複数の第2折返し部132cと、最外被覆部132dと、を有している。
【0058】
各介在部132aは、厚さ方向Tに互いに隣り合う正極110および負極120間に介在している。つまり、各介在部132aは、正極110および負極120間を絶縁する機能を有している。各介在部132aは、矩形状の領域で構成されている。
【0059】
各第1折返し部132bは、正極110が間に位置するように厚さ方向Tに互いに隣り合う介在部132aの高さ方向Hの一方側端部同士を連結している。第1折返し部132bは、正極110の高さ方向Hの一方側(上方)に配置されている。
【0060】
各第2折返し部132cは、負極120が間に位置するように厚さ方向Tに互いに隣り合う介在部132aの高さ方向Hの他方側端部同士を連結している。第2折返し部132cは、負極120の高さ方向Hの他方側(下方)に配置されている。
【0061】
最外被覆部132dは、各第1折返し部132bおよび各第2折返し部132cをまとめて被覆している。より詳細には、最外被覆部132dは、全ての正極110、全ての負極120、全ての介在部132a、全ての第1折返し部132bおよび全ての第2折返し部132cを、幅方向Wと平行な中心軸まわりに巻回しながらまとめて被覆している。最外被覆部132dの終端132eは、厚さ方向Tに正極活物質層114および負極活物質層124と重ならない範囲に設定されている。本実施形態では、最外被覆部132dの終端132eは、各正極110,各負極120よりも下方に設けられている。なお、複数の正極110、複数の負極120、およびセパレータ130の周面と底面には、絶縁フィルム(不図示)が被覆されていてもよい。
【0062】
図5は、実施の形態1に係る正極タブおよび負極タブの接続状態を示す二次電池の断面図である。
図5は、
図3に示すV-V線に沿った断面図である。
【0063】
図5に示すように、複数の負極タブ110Nの各々は、複数の正極タブ110Pの各々よりも長さが長くなっている。複数の負極タブ110Nは、たるみ部110Tを有する。複数の負極タブ110Nは、複数の正極タブ110Pよりも大きくたるんでいる。
【0064】
複数の負極タブ110Nのいずれかは、電極体100の第3端部103よりも第1壁部211に近づくようにたるんでいる部分を含んでいる。
【0065】
複数の負極タブ110Nのうち、たるみ部110Tが膨出する膨出方向(第2方向の一方側)とは反対側(第2方向の他方側)に位置する負極タブ110Nは、略U字状に湾曲している。具体的には、当該負極タブ110Nは、電極体100から第1封口体510に向かうにつれて第2方向の一方側に向かってから第2方向の他方側に向かうように湾曲している。
【0066】
複数の負極タブ110Nのうち上記膨出方向側に位置する負極タブ110Nは、略S字状に湾曲している。具体的には、当該負極タブ110Nは、電極体100から第1封口体510に近づくにつれて、一旦第2方向の他方側に膨出するように湾曲してから、第2方向の一方側に膨出するように湾曲している。
【0067】
一方で、複数の正極タブ110Pは、いずれも第2方向(厚さ方向T)において第3端部103から第1壁部211側にはみ出さず、かつ、第4端部104から第2壁部212側にはみ出さないように設けられている。複数の正極タブ110Pのうち、第2方向の他方側に位置する正極タブ110Pは、電極体100から第2封口体610に向かうにつれて一旦第2方向の一方側に向かってから第2方向の他方側に向かうように略U字状に湾曲している。複数の正極タブ110Pのうち、第2方向の一方側に位置する正極タブ110Pは、電極体100から第2封口体610に向かうにつれて、第2方向の他方側に向かうように湾曲している。
【0068】
このように、複数の負極タブ110Nが、複数の正極タブ110Pよりも長くなっていることにより、第2蓋アセンブリ60を本体部210の第2開口部216に組み付けた後に、第1蓋アセンブリ50を本体部210の第1開口部215に組み付ける際に、複数の負極タブ110Nのたるみ具合を調整しつつ、第1封口体510を本体部210に固定することができる。これにより、第1蓋アセンブリの組み付け時に、電極体100を全体的に第1方向の一方側(第1開口部215側)に引っ張ることを抑制できる。この結果、電極体100に負荷される力を抑制でき、電極体100が破損することを抑制できる。
【0069】
さらに、複数の負極タブ110Nが複数の正極タブ110Pよりも大きくたるむことにおり、第1蓋アセンブリ50の組み付け時に電極体100に負荷される力をより確実に抑制することができる。
【0070】
また、複数の負極タブ110Nが、第3端部103よりも第1壁部211に近づくようにたるんでいる部分を含むことにより、たるみ具合の調整しろを大きく確保できる。これにより、安定して電極体100と外部端子とを電気的に接続することができる。
【0071】
さらに、複数の正極タブ110Pが、第2方向において第3端部103から第1壁部211側にはみ出さず、かつ、第4端部104から第2壁部212側にはみ出さないことにより、正極タブ110Pのたるみ具合を小さくできる。これにより、複数の正極タブ110Pと筐体とが接触することを抑制できる。
【0072】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係る正極タブおよび負極タブの接続状態を示す二次電池の断面図である。具体的には、
図6は、上述の
図5に対応する位置における実施の形態2に係る二次電池の断面図である。
【0073】
図6に示すように、実施の形態2に係る二次電池10Aは、実施の形態1に係る二次電池10と比較した場合に、絶縁部材80を備える点において相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0074】
絶縁部材80は、たるみ部110Tと筐体200との間に配置されている。絶縁部材80は、たるみ部110Tが第2方向に向かい合う本体部210の壁部と当該たるみ部110Tとの間に配置されている。本実施の形態においては、絶縁部材80は、たるみ部110Tと第1壁部211との間の隙間を充填している。
【0075】
絶縁部材80は、たるみ部110Tに沿うように設けられ、かつ、たるみ部110Tを支持する支持面81を有する。支持面81は、たとえば、U字状に湾曲する湾曲面である。
【0076】
以上のように構成される場合であっても、実施の形態2に係る二次電池10Aは、実施の形態1に係る二次電池10とほぼ同様の効果を有する。
【0077】
加えて、絶縁部材80が設けられていることにより、複数の負極タブ110Nと筐体200とが接触して導通することを抑制できる。また、絶縁部材80が支持面81を有することにより、複数の負極タブ110Nの移動を規制することができる。これにより、たるみ部110Tが意図せずに筐体200と接触して導通することを抑制できる。
【0078】
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3に係る正極タブおよび負極タブの接続状態を示す二次電池の断面図である。具体的には、
図7は、上述の
図5に対応する位置における実施の形態3に係る二次電池の断面図である。
【0079】
図7に示すように、実施の形態3に係る二次電池10Bは、実施の形態1に係る二次電池10と比較した場合に、負極側導電部材530および正極側導電部材630の形状が主として相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0080】
負極側導電部材530は、電極体100の第1端部101に向かうように第1方向に沿って延在する第1延在部533を有する。第1延在部533は、第2方向の一方側に位置する板状部531の端部に設けられている。第1延在部533は、第1壁部211に向かい合う外側主面と、第2方向において外側主面とは反対側に位置する内側主面とを有する。
【0081】
複数の負極タブ110Nは、第1延在部533の内側主面に接続されている。複数の負極タブ110Nは、全体的にU字形状に湾曲する湾曲部を有する。湾曲部は、電極体100から第1封口体510に向かうにつれて、第2方向において第1延在部533が位置する側とは反対側に一旦向かった後に第1延在部533が位置する側に向かうように湾曲している。当該湾曲部によって複数の負極タブ110Nのたるみ部が構成されている。
【0082】
正極側導電部材630は、電極体100の第2端部102に向かうように第1方向に沿って延在する第2延在部633を有する。第2延在部633は、第2方向の一方側に位置する板状部631の端部に設けられている。第2延在部633は、第1壁部211に向かい合う外側主面と、第2方向において外側主面とは反対側に位置する内側主面とを有する。
【0083】
複数の負極タブ110Nは、いずれも第2方向(厚さ方向T)において第3端部103から第1壁部211側にはみ出さず、かつ、第4端部104から第2壁部212側にはみ出さないように設けられていてもよい。
【0084】
複数の正極タブ110Pは、第2延在部633の内側主面に接続されている。複数の正極タブ110Pは、複数の負極タブ110Nよりもたるみが小さくなっている。
【0085】
複数の正極タブ110Pは、いずれも第2方向(厚さ方向T)において第3端部103から第1壁部211側にはみ出さず、かつ、第4端部104から第2壁部212側にはみ出さないように設けられていてもよい。
【0086】
以上のように構成される場合であっても、実施の形態3に係る二次電池10Bは、実施の形態1に係る二次電池10とほぼ同様の効果を有する。
【0087】
なお、実施の形態3においては、第1延在部533および第2延在部633が第2方向の一方側に位置する板状部531,631の端部に設けられる場合を例示して説明したがこれに限定されない。第1延在部533および第2延在部633は、第2方向の他方側に位置する板状部531,631の端部に設けられていてもよい。
【0088】
(その他の変形例)
上述した実施の形態1から3においては、複数の負極タブ110Nが複数の正極タブ110Pよりも長い場合を例示したが、これに限定されない。複数の正極タブ110Pが複数の負極タブ110Nよりも長くてもよい。この場合には、第1蓋アセンブリ50を本体部210の第1開口部215に組み付けた後に、第2蓋アセンブリ60を本体部210の第2開口部216に組み付ける際に、複数の正極タブ110Pのたるみ具合を調整しつつ、第2封口体610を本体部210に固定することができる。これにより、第2蓋アセンブリ60の組み付け時に、電極体100に負荷される力を抑制でき、電極体100が破損することを抑制できる。
【0089】
さらに、上記の場合には、複数の正極タブ110Pが、複数の負極タブ110Nよりも大きくたるんでいてもよく、複数の正極タブ110Pのたるみ部と筐体200との間に実施の形態2とほぼ同様の絶縁部材80が配置されてもよい。
【0090】
上述した実施の形態1、2においては、複数の負極タブ110Nが電極体100の第3端部103よりも第1壁部211に近づくようにたるんでいる部分を含む場合を例示したがこれに限定されない。複数の負極タブ110Nは、電極体100の第4端部104よりも第2壁部212に近づくようにたるんでいる部分を含んでいてもよい。この場合においてもたるみ具合の調整しろを大きく確保でき、安定して電極体100と外部端子とを電気的に接続することができる。
【0091】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0092】
10,10A,10B 二次電池、50 第1蓋アセンブリ、60 第2蓋アセンブリ、80 絶縁部材、81 支持面、100 電極体、101 第1端部、102 第2端部、103 第3端部、104 第4端部、110 正極、110N 負極タブ、110P 正極タブ、110T たるみ部、112 正極集電箔、114 正極活物質層、120 負極、122 負極集電箔、124 負極活物質層、130 セパレータ、132a 介在部、132b 第1折返し部、132c 第2折返し部、132d 最外被覆部、132e 終端、200 筐体、210 本体部、211 第1壁部、212 第2壁部、213 第3壁部、214 第4壁部、215 第1開口部、216 第2開口部、222 圧力開放弁、224 液口、225 封止部材、510 第1封口体、520 負極部材、521 負極端子板、522 絶縁プレート、530 負極側導電部材、531 板状部、532 円柱部、533 第1延在部、560 インシュレータ、610 第2封口体、620 正極部材、621 正極端子板、622 端子ブロック、630 正極側導電部材、631 板状部、632 円柱部、633 第2延在部、660 インシュレータ、H 高さ方向、T 厚さ方向、W 幅方向。