(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023257
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】トラクタ
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/04 20060101AFI20250206BHJP
F21S 41/19 20180101ALI20250206BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20250206BHJP
F21W 107/10 20180101ALN20250206BHJP
【FI】
B60Q1/04 A
F21S41/19
F21W102:10
F21W107:10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024210983
(22)【出願日】2024-12-04
(62)【分割の表示】P 2020176296の分割
【原出願日】2020-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】那須 寛之
(72)【発明者】
【氏名】大茂 芳照
(57)【要約】
【課題】ハウス内での作業時又は畦際での作業時等における作業性を向上させることができるトラクタを提供する。
【解決手段】トラクタは、ボンネット11と、前照灯21と、を備える。ボンネット11は、走行機体5の前部に設けられ、車幅方向両側に切込み部23を有する。前照灯21は、各切込み部23に設けられる。前照灯21の車幅方向外端面21a及び前端面21cは、前照灯21の上端21bの高さ位置におけるボンネット11の車幅方向最外端よりも車幅方向内側に配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前部に設けられ、車幅方向両側に切込み部を有するボンネットと、
各前記切込み部に設けられる前照灯と、
を備え、
前記前照灯の車幅方向外端面及び前端面は、前記前照灯の上端の高さ位置における前記ボンネットの車幅方向最外端よりも車幅方向内側に配置されることを特徴とするトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、左右のそれぞれに切込み部を有するボンネットと、左右の各切込み部に設けられて前方を照らす前照灯と、を有するトラクタが知られている。特許文献1は、この種のトラクタを開示する。
【0003】
特許文献1のトラクタにおいては、ボンネットの前部に、左右の切込み部が形成されている。左右の切込み部のそれぞれに、前照灯が、外部に露出することができるように設けられている。前照灯は、ボンネットの左右方向外側に突出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成では、前照灯が、当該前照灯の上端の高さ位置(上下位置)付近で、ボンネットから機体の外側へ出っ張っていた。言い換えれば、前照灯の一部がボンネットに対して機体の外側に位置していた。従って、作業中の旋回時に、前照灯がトラクタの周囲の物に接触するおそれがあった。具体的には、ハウス内で作業を行うトラクタが旋回する場合に、前照灯がハウスの柱に接触するおそれがあった。また、畦際で作業を行うトラクタが旋回する場合に、前照灯が、圃場外に配置された電柱に接触するおそれがあった。
【0006】
そのため、トラクタの運転者にとって、旋回時に前照灯が障害物に接触するのでないかとの危惧が生じて旋回操作が慎重になりがちであり、結果として作業性が低下し易くなっていた。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、ハウス内での作業時又は畦際での作業時等における作業性を向上させることができるトラクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の観点によれば、以下の構成のトラクタが提供される。即ち、このトラクタは、ボンネットと、前照灯と、を備える。前記ボンネットは、機体の前部に設けられ、車幅方向両側に切込み部を有する。前記前照灯は、各前記切込み部に設けられる。前記前照灯の車幅方向外端面及び前端面は、前記前照灯の上端の高さ位置における前記ボンネットの車幅方向最外端よりも車幅方向内側に配置される。
【0010】
これにより、トラクタが旋回するとき、前照灯がトラクタの最外周を通過しないように、前照灯を移動させることができる。従って、トラクタの運転者がトラクタを旋回させようとする場合に、前照灯がトラクタの周囲の物に接触するという危惧が当該運転者に生じることを低減させることができる。その結果、トラクタを旋回させ易くして、作業性を向上させることができる。
【0011】
前記のトラクタにおいては、前記前照灯の前端面は、車幅方向外側から中央側に近づくにつれて前方となるように傾斜していることが好ましい。
【0012】
これにより、トラクタの旋回時に前照灯が最外周に位置しにくい形状を実現できる。従って、トラクタを走行させようとするときに、前述の危惧が当該運転者に生じることを低減させることができる。
【0013】
前記のトラクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記切込み部は、前記ボンネットの前部に配置される。前記ボンネットの前部は、後端から前端に向かうにつれて車幅方向長さが小さくなるように構成される。
【0014】
これにより、先細り状のボンネットの前部に沿うように前照灯の前端面が傾斜しているので、ボンネットに対する前照灯の突出量を抑制することが容易である。従って、トラクタの走行時に、前照灯にトラクタの周囲の物を接触しにくくすることができる。
【0015】
前記のトラクタにおいては、前記トラクタを最小半径で旋回させる場合に、前記前照灯の車幅方向外端面及び前端面が描く旋回軌跡は、前記機体の最前端部の旋回軌跡よりも、旋回中心に近い内周側に位置することが好ましい。
【0016】
これにより、トラクタの旋回時、前照灯がトラクタの最外周を移動しなくなる。従って、このときに前照灯がトラクタの周囲の物に接触しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトラクタの左側面図。
【
図4】ボンネットに関する
図3のA-A断面矢視図。
【
図7】前照灯における装飾部材の組付部分の一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るトラクタ1の左側面図である。なお、以下の説明では、トラクタ1が前進する方向に対して左側を「左」と呼び、右側を「右」と呼ぶ。左右方向が、トラクタ1の車幅方向に相当する。
【0019】
図1に示すように、トラクタ1は、機体フレーム3等で構成される走行機体(機体)5を備えている。走行機体5は、左右の前輪7及び左右の後輪9により支持されている。走行機体5は、その後部に作業機を着脱可能に構成されている。作業機としては、例えば、耕耘機、プラウ、施肥機、草刈機、播種機等の種々の作業機を選択することができる。
【0020】
トラクタ1の走行機体5の前部(機体の前部)に、ボンネット11が配置されている。ボンネット11は、その内部を露出することができるように開閉可能に設けられている。ボンネット11の内部には、駆動源としてのエンジン12等が配置されている。本実施形態においてエンジン12はディーゼルエンジンから構成されているが、他の形式のエンジンであっても良い。
【0021】
ボンネット11の前部には前照灯21が設けられている。前照灯21の詳細な構成は後述する。
【0022】
機体フレーム3の前端部に、取付ブラケット13が設けられている。取付ブラケット13に対して、図示しないフロントウェイトを着脱可能である。取付ブラケット13の前端は、ボンネット11の前端51よりも前方に位置する。従って、取付ブラケット13又は取付ブラケット13に取り付けられたフロントウェイトの前端が走行機体5の最前端を構成し得る。取付ブラケット13は省略することもできる。この場合、ボンネット11の前端51が、走行機体5の最前端部を構成する。
【0023】
ボンネット11の後方に、トラクタ1の運転部15が配置されている。運転部15は、運転席17及びステアリングハンドル19を備えている。運転席17には、トラクタ1の運転者が座ることができる。ステアリングハンドル19は、運転席17の前方に配置されている。運転者は、運転席17近傍に設けられた操作具及びステアリングハンドル19を用いて、トラクタ1の走行操作等を行うことができる。
【0024】
トラクタ1においては、ボンネット11内のエンジン12が動力を発生させる。運転者による走行操作に応じて、この動力が、エンジン12の後方に配置された図略のミッションケース等を介して、後輪9に、又は、後輪9及び前輪7に伝達される。これにより、トラクタ1を走行させることができる。トラクタ1の走行時には、ステアリングハンドル19の操作により、トラクタ1を左側又は右側へ旋回させることができる。この結果、トラクタ1の進行方向を変更することができる。
【0025】
次に、
図2、
図3及び
図4を参照して、ボンネット11に設けられた前照灯21について説明する。
図2は、走行機体5の前部の側面図である。
図3は、走行機体5の前部の正面図である。
図4は、走行機体5の前部の平面図である。
【0026】
前照灯21は、ボンネット11の前方(走行機体5の前方)を照らすことができる。
図2、
図3及び
図4に示すように、前照灯21は、ボンネット11の前部の左右両側のそれぞれに設けられている。詳細には、ボンネット11の前部の左右両側のそれぞれに、切込み部23が設けられている。左右の切込み部23は、それぞれ、ボンネット11の前部の左右両側において、当該ボンネット11の上下途中部に配置されている。
【0027】
左右の切込み部23は、ボンネット11の前部において、それぞれ、左右の側面側が前方及び側方に開口し、かつ、側面視で前後方向に延びるように切り欠かれることによって形成されている。各切込み部23は、その上下長さが、ボンネット11の前端部から後方に向かうにつれて小さくなるように形成されている。よって、各切込み部23は、前側ほど大きく開口している。
【0028】
ボンネット11は、細長く形成され、その長手方向が前後方向となるように配置されている。ボンネット11は、前輪7の上端よりも上方の部分において、走行機体5の前部の車幅方向最外端を規定するとともに、走行機体5の最前端を規定する。ボンネット11の前部(特に切込み部23よりも上側の上側部分11a)は、平面視で後端から前端に向かうにつれて車幅方向長さが小さくなるように形成されている。具体的には、ボンネット11の前端51を先端と呼ぶ場合に、ボンネット11の前部は、
図4に示すように、平面視で先細り状となるように形成されている。
【0029】
前照灯21は、左右の切込み部23のそれぞれから車幅方向外側へ突出するように設けられている。前照灯21は、切込み部23を通じて、その少なくとも一部がボンネット11の外部に露出するように配置されている。前照灯21が設けられた走行機体5の前部は実質的に左右対称に構成されているので、以下では、主として走行機体5の前部の左側の構成について説明する。
【0030】
次に、
図2から
図6を参照して、前照灯21について説明する。
図5は、前照灯21の斜視図である。
図6は、前照灯21の正面図である。
【0031】
前照灯21は、切込み部23に設けられた状態で、ボンネット11に固定される。具体的に説明すると、前照灯21の筐体25側には、取付部35が設けられている。ボンネット11の切込み部23の周辺には、ボンネット11側の取付部(図示しない)が設けられている。前照灯21は、前照灯21側の取付部35と、ボンネット11側の取付部と、を介して、ボンネット11に取り付けられる。
図2から
図4に示すように、前照灯21は、走行機体5の前方を照らすことができるように配置されている。また、前照灯21の車幅方向最外端は、ボンネット11の前部の車幅方向最外端よりも、車幅中央側に配置されている。
【0032】
前照灯21は、筐体25と、装飾部材27と、バルブ29と、を備える。
【0033】
筐体25は、切込み部23に嵌まり込むように、ボンネット11に取り付けられている。
図5及び
図6に示すように、筐体25は、切込み部23に対応する形状を有する本体部31と、前方に向かって開口する凹部33と、を有する。本体部31は、切込み部23を塞ぐことができるように形成されている。凹部33は、本体部31の前端部に、適宜の車幅方向長さにわたって設けられている。
【0034】
筐体25は、前照灯21の外形形状を規定する。従って、筐体25のうち車幅方向で最も外側に位置する最外端は、前照灯21のうち車幅方向で最も外側に位置する最外端と一致する。
【0035】
ここで、前照灯21の上端21bの高さに位置する仮想水平面でボンネット11を切断した断面を考える。
図4に示すように、前照灯21の車幅方向外端面21aは、この断面におけるボンネット11の車幅方向最外端(第1端部37)よりも、長さL1だけ車幅方向内側に配置されている。
【0036】
同様に、前照灯21の前端面21cは、上記の断面におけるボンネット11の車幅方向最外端(第1端部37)よりも車幅方向内側に配置されている。
【0037】
更に、前照灯21の最前端部21dは、取付ブラケット13の最前端である第2端部38よりも長さL2だけ後方に配置されている。
【0038】
本実施形態では、前照灯21の前端面は、車幅方向外側から中央に近づくにつれて前方となるように傾斜している。そのため、前照灯21に関し、筐体25の凹部33の内側の大部分が、走行機体5の左方からでも視認可能となっている。
【0039】
装飾部材27は、筐体25の前部に取り付けられている。装飾部材27は、その前端が筐体25の左右方向中央側よりも後方に位置するように、筐体25の凹部33の内側に配置されている。装飾部材27は、筒状に形成されている。本実施形態では、装飾部材27は、外周部に曲面を有する円筒状に形成されている。装飾部材27は、その軸方向が略前後方向に沿うように配置されている。
【0040】
本実施形態では、装飾部材27は、
図7に示すように、筐体25に対してインロー構造で組み付けられている。装飾部材27は、その後側端部41を筐体25の凹部33の底側に設けられた突出部43に嵌め合わせて、当該装飾部材27の一部をビス等の締結部材45で筐体25に締結することによって、筐体25に対して固定されている。このようにインロー構造を採用することで、組付時における、筐体25に対する装飾部材27の位置ズレの防止を図ることができる。
【0041】
バルブ29は、筐体25に組み付けられている。バルブ29は、その前部が走行機体5の前方に向かって露出するように配置されている。また、バルブ29は、装飾部材27の内側に配置されている。バルブ29は、光を発生させることができる。バルブ29は、任意の種類の光源から構成されている。光源としては、例えば、ハロゲンランプ、又はHIDランプを挙げることができる。
【0042】
バルブ29の前部は、その周囲を装飾部材27により覆われた状態で、筐体25の凹部33の内側に配置されている。バルブ29の前部は、筐体25の凹部33の内側で当該凹部33の中央付近に配置されている。また、バルブ29の前端は、装飾部材27の前端よりも後方に配置されている。即ち、バルブ29は、装飾部材27ひいては筐体25よりもその外側(前方)へ突出しないように設けられている。
【0043】
このような構成により、バルブ29が光を発生させた場合、バルブ29からの光は、装飾部材27の前部内側を通過した後、筐体25の前方へ照射される。従って、左右の前照灯21が、それぞれ、ボンネット11の前方を照らすことができる。また、左右の前照灯21のそれぞれの照射機能を実現しつつ、意匠性の向上を図ることができる。
【0044】
次に、トラクタ1が旋回する場合について説明する。以下では、トラクタ1が右に旋回する場合を例に挙げて説明するが、左に旋回する場合も同様である。
【0045】
トラクタ1は、ステアリングハンドル19の操作に応じて、左又は右に旋回することができる。ステアリングハンドル19を限界まで切ってトラクタ1を右に旋回させるとき、
図4に示すように、左側の前照灯21の旋回最外周部分が描く第1旋回軌跡t1は、取付ブラケット13の旋回最外周部分(即ち、前面の左端部)39が描く第2旋回軌跡t2よりも、旋回中心に近い内周側に位置する。
【0046】
なお、トラクタ1の前端部に取付ブラケット13が備えられない場合には、走行機体5の最前端部は、ボンネット11の前端51となる。この場合、第1旋回軌跡t1は、ボンネット11の前端51が描く第3旋回軌跡t3よりも、旋回中心に近い内周側に位置することになる。
【0047】
これにより、前照灯21は、トラクタ1の旋回時に、当該トラクタ1の最外周を通過することはない。そのため、このときに前照灯21がトラクタ1の周囲の物に接触するという危惧がトラクタ1の運転者に生じることを低減させることができる。よって、運転者がトラクタ1の旋回を速やかに実行することが可能となる。
【0048】
なお、トラクタ1の周囲の物としては、例えば、ハウス内でトラクタ1を用いた作業が行われる場合におけるハウスの柱、圃場(比較的狭い圃場)の畦際でトラクタ1を用いた作業が行われる場合における圃場の側の電柱を挙げることができる。
【0049】
以上に説明したように、本実施形態のトラクタ1は、ボンネット11と、前照灯21と、を備える。ボンネット11は、走行機体5の前部に設けられ、車幅方向両側に切込み部23を有する。前照灯21は、各切込み部23に設けられる。前照灯21の車幅方向外端面21a及び前端面21cは、前照灯21の上端21bの高さ位置におけるボンネット11の車幅方向最外端(第1端部37)よりも車幅方向内側に配置される。
【0050】
これにより、トラクタ1が旋回するとき、前照灯21がトラクタ1の最外周を通過しないように、前照灯21を移動させることができる。従って、ハウス内での作業時又は畦際での作業時等にトラクタ1の運転者がトラクタ1を旋回させようとする場合に、前照灯21がトラクタ1の周囲の物に接触するという危惧が当該運転者に生じることを低減させることができる。その結果、トラクタ1を旋回させ易くして、作業性を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態のトラクタ1において、前照灯21の前端面21cは、車幅方向外側から中央側に近づくにつれて前方となるように傾斜している。
【0052】
これにより、トラクタ1の旋回時に前照灯21が最外周に位置しにくい形状を実現できる。従って、トラクタ1を走行させようとするときに、前述の危惧が当該運転者に生じることを低減させることができる。
【0053】
また、本実施形態のトラクタ1において、切込み部23は、ボンネット11の前部に配置される。ボンネット11の前部(特に切込み部23よりも上側である上側部分11a)は、後端から前端に向かうにつれて車幅方向長さが小さくなるように構成される。
【0054】
これにより、先細り状のボンネット11の前部に沿うように前照灯21の前端面21cが傾斜しているので、ボンネット11に対する前照灯21の突出量を抑制することが可能となる。従って、トラクタ1の走行時に、前照灯21にトラクタ1の周囲の物を接触しにくくすることができる。
【0055】
また、本実施形態のトラクタ1を最小半径で旋回させる場合に、前照灯21の車幅方向外端面21a及び前端面21cが描く第1旋回軌跡t1は、走行機体5の最前端部(取付ブラケット13)が描く第2旋回軌跡t2よりも、旋回中心に近い内周側に位置する。
【0056】
これにより、トラクタ1の旋回時、前照灯21がトラクタ1の最外周を移動しなくなる。従って、このときに前照灯21がトラクタ1の周囲の物に接触しにくくすることができる。
【0057】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0058】
前照灯21の構成は、特に限定されない。例えば、上記の実施形態では、前照灯21は、バルブ29を外部に直接露出させる構成としているが、光を透過させ得る前照灯カバーによりバルブ29を覆うことによって、バルブ29を外部に直接露出させない構成としても良い。
【0059】
上記の実施形態では、先細り状のボンネット11の前部に沿うように前照灯21の前端面21cが傾斜している。しかし、前端面21cの向きは任意である。例えば、前端面21cが、前後方向に垂直な面として構成されても良い。
【0060】
ボンネット11の形状(切込み部23の形状を含む)についても任意であり、様々な形状に変更することができる。
【0061】
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0062】
1 トラクタ
5 走行機体(機体)
11 ボンネット
11a 上側部分
13 取付ブラケット
21 前照灯
21a 車幅方向外端面
21b 上端
21c 前端面
23 切込み部
37 第1端部(前照灯の上端の高さ位置におけるボンネットの車幅方向最外端)
t1 第1旋回軌跡(前照灯の車幅方向外端面及び前端面が描く旋回軌跡)
t2 第2旋回軌跡(機体の最前端部の旋回軌跡)