(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002330
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 10/08 20060101AFI20241226BHJP
B60K 6/442 20071001ALI20241226BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20241226BHJP
B60K 6/52 20071001ALI20241226BHJP
B60W 20/00 20160101ALI20241226BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241226BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20241226BHJP
【FI】
B60W10/08 900
B60K6/442 ZHV
B60K6/54
B60K6/52
B60W20/00 900
B60L50/60
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102431
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野辺 大悟
【テーマコード(参考)】
3D202
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA02
3D202BB12
3D202BB15
3D202CC04
3D202CC42
3D202DD01
3D202DD18
3D202DD24
3D202DD32
3D202FF02
3D202FF04
3D202FF12
3D202FF13
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC08
5H125AC12
5H125AC22
5H125BC05
5H125BD17
5H125EE27
5H125EE51
5H125EE52
(57)【要約】
【課題】ハイブリッド車両の制御装置において、エンジン始動時のエンジン回転速度の超過を抑制しつつ、バッテリの過充電を抑制する。
【解決手段】動力源としてのエンジンおよびモータと、モータに給電可能なバッテリとを有し、回生電力によりバッテリに充電可能なハイブリッド車両の制御装置であって、ハイブリッド車両の減速時のバッテリに対する充電電力を推定する充電電力推定部と、充電電力が、バッテリに対する入力可能電力未満である場合に、エンジンを始動させるエンジン始動処理部と、を備え、充電電力推定部は、ハイブリッド車両の減速時のモータの回生により発生する電力である第1の回生電力と、エンジンの始動時にエンジンの回転速度が目標回転速度を超えた場合にモータがエンジンの回転速度を抑制することにより発生するモータの回生電力である第2の回生電力と、を合計して充電電力を推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源としてのエンジンおよびモータと、前記モータに給電可能なバッテリとを有し、回生電力により前記バッテリに充電可能なハイブリッド車両の制御装置であって、
前記ハイブリッド車両の減速時の前記バッテリに対する充電電力を推定する充電電力推定部と、
前記充電電力が、前記バッテリに対する入力可能電力未満である場合に、前記エンジンを始動させるエンジン始動処理部と、
を備え、
前記充電電力推定部は、前記ハイブリッド車両の減速時の前記モータの回生により発生する電力である第1の回生電力と、前記エンジンの始動時に前記エンジンの回転速度が目標回転速度を超えた場合に前記モータが前記エンジンの回転速度を抑制することにより発生する前記モータの回生電力である第2の回生電力と、を合計して前記充電電力を推定する、
制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記充電電力推定部は、前記ハイブリッド車両の車速と、前記ハイブリッド車両が有する変速機のギヤ比と、前記目標回転速度と、のうちの少なくともいずれかひとつを利用して前記第2の回生電力を推定し、推定された前記第2の回生電力を利用して前記充電電力を推定する、
制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記充電電力推定部は、予め設定された前記第2の回生電力を利用して前記充電電力を推定する、
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンと、モータと、モータに電力を供給するバッテリと、を備えるハイブリッド車両の制御装置において、バッテリの充電許容量に応じてエンジンを始動させる技術が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載の制御装置では、バッテリの充電許容量が少ない場合にモータによりエンジンを始動させて電力を消費させ、バッテリの過充電を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジンの始動時には、エンジンの回転速度が目標回転速度を超過することがあり、かかる場合にはモータによりエンジンの回転速度を抑制する必要がある。しかしながら、モータによりエンジンの回転速度を抑制するとモータの回生によりバッテリが充電されて過充電となるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、動力源としてのエンジンおよびモータと、前記モータに給電可能なバッテリとを有し、回生電力により前記バッテリに充電可能なハイブリッド車両の制御装置が提供される。この制御装置は、前記ハイブリッド車両の減速時の前記バッテリに対する充電電力を推定する充電電力推定部と、前記充電電力が、前記バッテリに対する入力可能電力未満である場合に、前記エンジンを始動させるエンジン始動処理部と、を備え、前記充電電力推定部は、前記ハイブリッド車両の減速時の前記モータの回生により発生する電力である第1の回生電力と、前記エンジンの始動時に前記エンジンの回転速度が目標回転速度を超えた場合に、前記モータが前記エンジンの回転速度を抑制することにより発生する前記モータの回生電力である第2の回生電力と、を合計して前記充電電力を推定する。
この形態の制御装置によれば、第1の回生電力と第2の回生電力とを合計して充電電力を推定し、充電電力が入力可能電力未満である場合にエンジンを始動させるので、エンジン始動時のエンジン回転速度の超過を抑制しつつ、バッテリの過充電を抑制できる。
(2)上記実施形態において、前記充電電力推定部は、前記ハイブリッド車両の車速と、前記ハイブリッド車両が有する変速機のギヤ比と、前記目標回転速度と、のうちの少なくともいずれかひとつを利用して前記第2の回生電力を推定し、推定された前記第2の回生電力を利用して前記充電電力を推定してもよい。
この形態の制御装置によれば、ハイブリッド車両の車速と、ハイブリッド車両が有する変速機のギヤ比と、目標回転速度と、のうちの少なくともいずれかひとつを利用して第2の回生電力を推定し、推定された第2の回生電力を利用して充電電力を推定するので充電電力をより精度よく推定でき、バッテリの過充電をより安定して抑制できる。
(3)上記実施形態において、前記充電電力推定部は、予め設定された前記第2の回生電力を利用して前記充電電力を推定してもよい。
この形態の制御装置によれば、予め設定された第2の回生電力を利用して充電電力を推定するので、制御装置における処理が煩雑になることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態の制御装置を備える駆動システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】本実施形態の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態の始動判定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.実施形態:
A-1.システム構成:
図1は、本実施形態の制御装置40を備える駆動システム100の概略構成を示す説明図である。駆動システム100は、ハイブリッド車両として構成された車両200に搭載されて、車両200の走行のための動力を伝達する。駆動システム100は、フロントユニット10と、リアユニット20と、バッテリ30と、制御装置40と、一対の前輪50fと、一対の後輪50rとを備える。駆動システム100は、後述するようにエンジンとモータとを備え、車両200は、エンジンを停止した状態でモータを駆動力源として走行するEV走行モードと、エンジンおよびモータを駆動力源として走行するHV走行モードと、を有する。
【0009】
フロントユニット10は、エンジン11と、第1クラッチ12と、第1モータ13と、第2クラッチ14と、変速機15と、第1インバータ16と、電動オイルポンプ17とを有する。
【0010】
エンジン11は、車両200の第1の動力源である。エンジン11は、燃料供給システム(図示省略)から燃料を供給されて内燃機関動作を行うことにより、車両200の走行のための駆動トルクを発生する。エンジン11から出力された駆動トルクは、第1クラッチ12、第1モータ13、第2クラッチ14、および変速機15を介して、一対の前輪50fへ伝達される。
【0011】
第1モータ13は、車両200の第2の動力源である。第1モータ13は、第1インバータ16から電力を供給されて回転動作することにより、車両200の走行のための駆動トルクを発生する。第1モータ13から出力された駆動トルクは、第2クラッチ14および変速機15を介して、一対の前輪50fへ伝達される。また、第1モータ13は、車両200の減速時にエネルギーを回生することにより、バッテリ30を充電するための回生電力を発電することができる。また、第1モータ13は、エンジン11の始動及びエンジン11の回転速度制御を行うことができる。
【0012】
第1クラッチ12は、エンジン11と第1モータ13との間の駆動伝達路に設けられている。第1クラッチ12は、係合状態と解放状態との間で切り替わることにより、駆動伝達路を、切断状態と接続状態との間で切り替えることができる。第1クラッチ12は、例えば、乾式多板型の油圧式摩擦係合装置であり、互いに重ねられた複数枚の摩擦板を備えて構成されている。なお、第1クラッチ12の動作は、電動オイルポンプ17によって制御される。電動オイルポンプ17は、バッテリ30から供給される電力を用いて回転動作することにより、第1クラッチ12に油圧をかけて、第1クラッチ12を動作させることができる。
【0013】
第2クラッチ14は、いわゆる「発進クラッチ」であり、第1モータ13と変速機15との間の駆動伝達路に設けられている。第2クラッチ14は、係合状態と解放状態との間で切り替わることにより、駆動伝達路を、切断状態と接続状態との間で切り替えることができる。第2クラッチ14は、例えば、湿式多板型の油圧式摩擦係合装置であり、互いに重ねられた複数枚の摩擦板を備えて構成されている。第2クラッチ14の動作は、第1クラッチ12と同様に電動オイルポンプ17によって制御される。なお、第1クラッチ12と第2クラッチ14とは、互いに異なる油圧制御系統によって制御されてもよい。
【0014】
第1インバータ16は、制御装置40からの制御信号に応じて、バッテリ30から供給される電力を用いて、第1モータ13へ電力(三相交流電流)を供給することにより、第1モータ13を駆動させる。これにより、第1インバータ16は、制御装置40からの制御信号に応じた回転方向および回転速度で、第1モータ13の出力軸を回転させることができる。
【0015】
リアユニット20は、第2モータ21および第2インバータ22を有する。
【0016】
第2モータ21は、車両200の第3の動力源である。第2モータ21は、第2インバータ22から電力を供給されて回転動作することにより、車両200の走行のための駆動トルクを発生する。第2モータ21から出力された駆動トルクは、一対の後輪50rへ伝達される。また、第2モータ21は、車両200の減速時にエネルギーを回生することにより、バッテリ30を充電するための回生電力を発電することができる。
【0017】
第2インバータ22は、制御装置40からの制御信号に応じて、バッテリ30から供給される電力を用いて、第2モータ21へ電力(三相交流電流)を供給することにより、第2モータ21を駆動させる。これにより、第2インバータ22は、制御装置40からの制御信号に応じた回転方向および回転速度で、第2モータ21の出力軸を回転させることができる。なお、駆動システム100はリアユニット20を有さなくてもよく、かかる形態において、後輪50rは、フロントユニット10により駆動される前輪50fに対して従動回転するように構成されてもよい。
【0018】
バッテリ30は、第1モータ13および第2モータ21に対して、第1インバータ16および第2インバータ22を介して給電可能である。また、バッテリ30は、第1モータ13および第2モータ21から第1インバータ16および第2インバータ22を介して供給される回生電力を充電可能である。バッテリ30としては、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等が用いられる。
【0019】
制御装置40は、車両200に搭載された各種センサから情報を取得する。本実施形態では、制御装置40は、アクセルペダルセンサ61からアクセル開度、ブレーキペダルセンサ62からブレーキペダル踏力、シフトポジションセンサ63からシフトレバーのシフト位置をそれぞれ取得する。また、制御装置40は、車速センサ64から車両200の車速を取得する。また、制御装置40は、第1モータ13に設置された第1回転速度センサ65から第1モータ13の回転速度、第2モータ21に設置された第2回転速度センサ67から第2モータ21の回転速度をそれぞれ取得する。また、制御装置40は、バッテリ30に設置されたバッテリセンサ66からバッテリ30のSOC(State Of Charge)を取得する。
【0020】
制御装置40は、各種センサから取得した情報を利用して、上述の駆動システム100の各部を制御する。より具体的には、制御装置40は、取得されたアクセル開度やブレーキ踏力に応じた加速度または減速度を実現するように、エンジン11のエンジントルク制御、第1インバータ16の制御を介した第1モータ13の駆動制御、第2インバータ22の制御を介した第2モータ21、電動オイルポンプ17の制御を介した第1クラッチ12および第2クラッチ14の切り替え動作の制御を実行する。また、制御装置40は、取得されたシフト位置に対応したギヤ比となるように変速機15の変速制御を実行する。また、取得されたバッテリ30のSOCに応じてバッテリ30の充放電制御を行う。なお、制御装置40は、上記制御に限らず、車両200の駆動制御に関わる種々の制御を実行可能に構成されていてもよい。
【0021】
制御装置40は、車両200の減速時にバッテリ30のSOCが予め定められた閾値以上となった場合に、バッテリ30への過充電を避けるため、エンジン11を始動させて電力を消費するとともに、エンジンフリクションにより減速度を発生させる制御を実行する。また、制御装置40は、エンジン11の始動時に、エンジン11の回転速度が目標回転速度を超えるオーバーシュートが発生した場合に、第1モータ13によりオーバーシュートを抑制する制御(以下、「オーバーシュート抑制制御」とも呼ぶ)を行う。エンジン11の「目標回転速度」は、EV走行モードからエンジン11を始動してHV走行モードに移行する際に発生し得る衝撃を緩和するように設定される回転速度を意味する。目標回転速度は、例えば、第1モータ13の現在の回転速度の大きさに応じて、第1モータ13の回転速度とエンジン11の回転速度との差分の大きさが予め定められた閾値未満となるように決定される。オーバーシュート抑制制御において、エンジン11の回転速度は、エンジン11と前輪50fとの間の駆動抵抗および第1モータ13による抑制トルクにより抑制される。第1モータ13は、かかる抑制時のエネルギーを回生することにより発電する。以上のようにエンジン11の始動とオーバーシュート抑制制御とを実現する処理を、以下の説明において「エンジン始動処理」と呼ぶ。
【0022】
図2は、本実施形態の制御装置40の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置40は、CPU41およびメモリ42を有するECU(Electronic Control Unit)として構成されている。CPU41は、メモリ42に予め記憶されている制御プログラムを実行することにより、充電電力推定部411と、エンジン始動処理部412と、として機能する。なお、制御装置40は、上述の駆動システム100の各部の制御を実行する機能部も備えるが、
図2においては、上述のエンジン始動処理の実行に関わる機能部が図示され、他の機能部の図示は省略されている。また、各機能部は、互いに異なる複数のECUにおいて実現されてもよい。
【0023】
充電電力推定部411は、バッテリ30への充電電力を推定する。「充電電力」は、車両200の減速時の駆動制御に応じてバッテリ30へ充電される電力を意味する。本実施形態では、充電電力推定部411は、バッテリ30への充電電力として、車両200の減速時の第1モータ13および第2モータ21の回生により発生する回生電力(以下、「減速時電力」とも呼ぶ)と、第1モータ13がエンジン11の回転速度を抑制することにより発生する回生電力(以下、「抑制時電力」とも呼ぶ)とを合計して充電電力を推定する。減速時電力は、本開示における「第1の回生電力」に相当する。また、抑制時電力は、本開示における「第2の回生電力」に相当する。減速時電力および抑制時電力の算出方法については後述する。
【0024】
エンジン始動処理部412は、充電電力推定部411により推定された充電電力がバッテリ30の入力可能電力未満である場合に、駆動システム100の各部を制御し、上述のエンジン始動処理を開始する。「入力可能電力」は、バッテリ30において、現在のSOCから満充電状態となるまでに入力可能な電力を意味する。入力可能電力が少ない状態でエンジン始動処理を開始すると、充電電力が入力可能電力を上回り過充電となるおそれがあるためである。
【0025】
A-2.始動判定処理:
図3は、本実施形態の始動判定処理の手順を示すフローチャートである。本実施形態では、制御装置40は、EV走行モードにおいてバッテリ30のSOCが予め定められた閾値以上になると始動判定処理を開始する。
【0026】
ステップS10において、充電電力推定部411は、減速時電力を算出する。本実施形態では、充電電力推定部411は、第1回転速度センサ65から取得された第1モータ13の回転速度と、第2回転速度センサ67から取得された第2モータ21の回転速度と、ブレーキペダルセンサ62から取得されたブレーキ踏力により要求されている車両200の減速度とを利用して、現在の車両200の走行状態における減速時電力を算出する。
【0027】
ステップS20において、充電電力推定部411は、抑制時電力を推定する。本実施形態では、車速センサ64から取得された車両200の車速と、変速機15のギヤ比と、エンジン11の目標回転速度とのうちの少なくともひとつを利用して、抑制時電力を推定する。
【0028】
より具体的には、車両200の車速が速い場合には第1モータ13の回転速度が大きく、車両200の車速が遅い場合と比較してオーバーシュート時のエンジン回転速度とモータ回転速度の差分が小さいため、第1モータ13によるエンジン回転速度の抑制量が小さくなり抑制時電力は小さくなる。また、変速機15のギヤ比が大きい場合、ギヤ比が小さい場合と比較して駆動抵抗が大きくエンジン回転速度が抑制されやすいため、第1モータ13によるエンジン回転速度の抑制量は小さくなり抑制時電力は小さくなる。また、目標回転速度が大きい場合、目標回転速度が小さい場合と比較してオーバーシュート時のエンジン回転速度と目標回転速度の差分が小さいため、第1モータ13によるエンジン回転速度の抑制量が小さくなり抑制時電力は小さくなる。
【0029】
ステップS30において、エンジン始動処理部412は、減速時電力と抑制時電力との合計である充電電力が入力可能電力未満であるか否かを判定する。
【0030】
充電電力が入力可能電力未満でない場合(ステップS30:No)、言い換えれば、充電電力が入力可能電力以上である場合、充電電力推定部411は、再びステップS10を実行する。他方、充電電力が入力可能電力未満である場合(ステップS30:Yes)、ステップS40において、エンジン始動処理部412は、エンジン始動処理を開始する。以上で、制御装置40は始動判定処理を終了する。
【0031】
以上説明した実施形態の制御装置40によれば、減速時電力と抑制時電力とを合計して充電電力を推定し、充電電力が入力可能電力未満である場合にエンジン11を始動させるので、エンジン始動時のエンジン回転速度の超過を抑制しつつ、バッテリ30の過充電を抑制できる。
【0032】
また、車両200の車速と、変速機15のギヤ比と、目標回転速度と、のうちの少なくともいずれかひとつを利用して抑制時電力を推定し、推定された抑制時電力を利用して充電電力を推定するので充電電力をより精度よく推定でき、バッテリ30の過充電をより安定して抑制できる。
【0033】
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態において、充電電力推定部411は、車両200の車速、変速機15のギヤ比、エンジン11の目標回転速度のうちの少なくともひとつを利用して抑制時電力を推定し、充電電力を推定するが、本開示はこれに限定されない。充電電力推定部411は、予め実験等を行うことにより特定され設定された減速時電力を利用して充電電力を推定してもよい。かかる形態によれば、始動判定処理において抑制時電力の推定を行う必要がないので、始動判定処理が煩雑になることを抑制できる。
【0034】
(B2)上記実施形態において、制御装置40は、第1モータ13および第2モータ21の回転速度を第1回転速度センサ65および第2回転速度センサ67からそれぞれ取得して減速時電力を算出するが、本開示はこれに限定されない。制御装置40は、第1回転速度センサ65および第2回転速度センサ67による検出値ではなく、自身が第1インバータ16および第2インバータ22に対して指示した第1モータ13および第2モータ21の回転速度を利用して減速時電力を算出してもよい。かかる形態によれば、車両200に第1回転速度センサ65および第2回転速度センサ67を搭載する必要がないので、車両200の製造コストの増加を抑制できる。
【0035】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
10…フロントユニット、11…エンジン、12…第1クラッチ、13…第1モータ、14…第2クラッチ、15…変速機、16…第1インバータ、17…電動オイルポンプ、20…リアユニット、21…第2モータ、22…第2インバータ、30…バッテリ、40…制御装置、41…CPU、42…メモリ、50f…前輪、50r…後輪、61…アクセルペダルセンサ、62…ブレーキペダルセンサ、63…シフトポジションセンサ、64…車速センサ、65…第1回転速度センサ、66…バッテリセンサ、67…第2回転速度センサ、100…駆動システム、200…車両、411…充電電力推定部、412…エンジン始動処理部