(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023379
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】走行玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 17/00 20060101AFI20250207BHJP
【FI】
A63H17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127446
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000128234
【氏名又は名称】株式会社エポック社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神山 圭
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA08
(57)【要約】
【課題】左ハンドルと右ハンドルを容易に切り替えることができる走行玩具を提供する。
【解決手段】 走行玩具1は、座席部10に対向して設けられる取付部30と、正面から見て点対称な長尺状に形成されるパネル本体200と、パネル本体200の長手方向の中心位置からオフセットして正面に設けられるハンドル21と、を備え、取付部30に着脱自在に設けられるパネル部材20と、を有する。パネル本体200は、天板23,24及び正面板22を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席部と、
前記座席部に対向して設けられる取付部と、
正面から見て点対称な長尺状に形成されるパネル本体と、前記パネル本体の長手方向の中心位置からオフセットして前記正面に設けられるハンドルと、を備え、前記取付部に着脱自在に設けられるパネル部材と、
を有する走行玩具。
【請求項2】
前記取付部は、前記パネル部材の前記長手方向の長さに合わせた長さで凹状に設けられる、請求項1に記載の走行玩具。
【請求項3】
前記パネル部材は、前記正面を含む長尺状の正面板と、前記正面板を短手方向で挟むように前記正面板に接続して対向する2枚の天板と、を有し、2枚の前記天板は、同形状に形成される、請求項1に記載の走行玩具。
【請求項4】
前記取付部は、前記パネル部材の前記長手方向の長さに合わせた長さで凹状に設けられ、前記取付部の側方には、円弧状の前記天板と連続する円弧状面が設けられる、請求項3に記載の走行玩具。
【請求項5】
前記正面板には、メーターを模した自動車パネル面が設けられる、請求項3又は請求項4に記載の走行玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、座席部と、ハンドルと、を備え、自動車を模した形態の走行玩具が開示されている。例えば、特許文献1には、座席部と対向する部分にハンドルが設けられた、左ハンドルの自動車を模した走行玩具が開示されている。この走行玩具は、前端にウェイトが設けられ、ボンネット上の係合部に着脱自在に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現実の自動車は、右側通行か左側通行かによって、左ハンドルの自動車が主流の国と、右ハンドルの自動車が主流の国とがある。従って、自動車を模した走行玩具においても、左側通行の国を想定して遊ぶ時には右ハンドルとし、右側通行の国を想定して遊ぶ時には左ハンドルとしたい場合がある。従来の走行玩具では、左ハンドルと右ハンドルを容易に切り替えることができないため、遊びの面白みが低減することがあった。
【0005】
本発明は、左ハンドルと右ハンドルを容易に切り替えることができる走行玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る走行玩具は、座席部と、前記座席部に対向して設けられる取付部と、正面から見て点対称な長尺状に形成されるパネル本体と、前記パネル本体の長手方向の中心位置からオフセットして前記正面に設けられるハンドルと、を備え、前記取付部に着脱自在に設けられるパネル部材と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
上記の態様によれば、左ハンドルと右ハンドルを容易に切り替えることができる走行玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る走行玩具のハンドルを左ハンドルに設定した状態を示す、前方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る走行玩具のハンドルを左ハンドルに設定した状態を示す、後方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る走行玩具のハンドルを右ハンドルに設定した状態を示す、後方から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る走行玩具のパネル部材を示し、(a)はパネル部材の正面図であり、(b)はパネル部材を背面から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る走行玩具のパネル部材を取り外した状態を示す、後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1、
図2に示すように、走行玩具1は、オープンカーとされる四輪の自動車を模した形態とされる。車室40は、車室部材41により形成される。車室40内には、座席部10が設けられる。座席部10は、前2席、後2席からなる。車室40内には、座席部10と対向して、ハンドル21を備えるパネル部材20が設けられる。なお、以下の説明においては、走行玩具1における自動車としての前側を前、後側を後、上側を上、下側を下とする。また、ハンドル21と対面する座席部10である運転席に着座した状態から見て左側を左、右側を右として説明する。
【0010】
走行玩具1の座席部10は、前2席の前座席部11、後2席の後座席部12を含む。後座席部12の左側には、ベビーカーを模したベビーカー玩具18が設けられる。ベビーカー玩具18は、車輪(不図示)を備え、後座席部12に対して着脱自在とされて、取手部分を後座席部12のヘッドレストに引っ掛けるように装着することで後座席部12に取り付けることができる。
図1では、左側の前座席部11Lが運転席とされ、右側の前座席部11Rが助手席とされている。
【0011】
走行玩具1の前輪2、後輪3は、回転自在に設けられている。走行玩具1は、駆動源は設けられていない。走行玩具1は、座席部10に小型の人形を配置して、手で押しながら遊ぶための人形遊び用走行玩具として形成される。
【0012】
ハンドル21を備えるパネル部材20は、座席部10に対向して設けられる取付部30に着脱自在とされている(
図2、
図3及び
図5参照)。パネル部材20は、左右方向に長い長尺状に形成される。
図3に示すように、パネル部材20は、左右を逆にして取付部30に取り付けることができる。これにより、左ハンドルの自動車を模した走行玩具1(
図1、
図2)から、右ハンドルの自動車を模した走行玩具1(
図3)とすることができる。
【0013】
図4(a)、
図4(b)に示すように、パネル部材20は、正面板22を有する。また、パネル部材20は、同形状であって対向して設けられる2枚の天板23,24を備える。正面板22、天板23,24は、それぞれ、左右方向を長手方向とし、前後方向を短手方向とされる略長矩形の板状に形成されている。正面板22は、前後方向に板面を向けて配置される。天板23,24は、上下方向に板面を向けて配置される。ここで、ハンドル21が取り付けられている
図4(a)で示す面は、正面25とされ、その反対側は、
図4(b)で示すように、背面26とされている。パネル部材20は、背面26を前側に向けて取付部30に取り付けられる。
【0014】
天板23,24の正面25側の縁23a,24aは、上下方向から見て、正面25側に凸となる緩やかな円弧状の曲線形状とされている。天板23,24の背面26側の縁23b,24bは、直線状に形成されている。
【0015】
図4(a)に示すように、正面板22は、中央部が上下にやや膨出して略円弧状に形成される。正面板22は、天板23,24により上下(正面板22の短手方向)から挟み込むようにして天板23,24と接続している。従って、天板23,24も、正面板22の上下の縁形状に倣って、前後方向から見て略中央部が上下にやや膨出した略円弧状に形成されている。
【0016】
正面板22は、天板23,24の正面25側の縁23a,24aよりも背面26側に配置されている。従って、縁23a,24aは、正面板22の正面25側の板面よりも正面25側に突出し、正面板22の正面25側の板面より突出する部分は突出部23c,24cとされている(
図2、
図3も参照)。正面板22の左右の縁部は、天板23,24を接続するリブ状の突出縁部27が形成される。突出縁部27は、正面板22の正面25側の板面より突出する。
図4(b)に示すように、突出縁部27が正面板22の正面25側の板面から突出する突出量は、突出部23c,24cが正面板22の正面25側の板面から突出する突出量よりも小さい。
【0017】
左右の突出縁部27の背面26側は、上下の切り欠き部28a間に板状の係止部28が設けられる。係止部28は、板面を左右方向とする向きに設けられ、左右方向に弾性力が付与される。係止部28の先端には、外方に突出する係止突起28bが設けられる。パネル部材20の左右の側面は、略平坦とされるが、係止部28の基部近傍が若干突出する。また、天板23,24間における正面板22の背面26側には、天板23,24と接続する2つの縦リブ220が設けられる。
【0018】
図4(a)に示すように、正面板22の正面25側には、左右方向の略中央に、円環状に突出する小円部22aが設けられる。小円部22aの左右両隣には、小円部22aと同様に円環状に突出し、小円部22aよりも大径の大円部22bが設けられる。小円部22a及び2つの大円部22bにより、自動車のメーター回りが表現されている。
【0019】
また、ハンドル21と反対側の大円部22bの隣には、ラジオを表現したラジオ部22cが設けられる。ラジオ部22cは、円形に突出し、ラジオのボリュームやチューナー等のツマミを表現した円形突出部22c1が左右方向に3個並んで設けられる。3個の円形突出部22c1の上下方向に対応した位置(
図4(a)では下側)には、左右方向に長い長矩形状の凹部22c2が設けられる。凹部22c2により、ラジオのチューニング用の窓部が表現されている。凹部22c2は、
図4(b)に示すように、背面26側では、左右方向に長い長矩形状の凸部22c21が凹部22c2に対応して形成される。これにより、凹部22c2が設けられていても、凹部22c2の部位の板厚を極端に薄くすることなく凹部22c2を設けることができる。
【0020】
このように、正面板22の正面25側の面は、自動車パネル面とされている。なお、ラジオ部22cは、左ハンドルと右ハンドルを切り替えた際には、上下が逆向きとなるが、ラジオのチューニング用の窓部(凹部22c2)の上側にボリューム等のツマミ(円形突出部22c1)が配置されるか、下側に配置されるかは、現実の自動車でも両者が存在し得るので、違和感のないデザインとされている。
【0021】
ハンドル21は、二股状に分割された軸部21aを有する。軸部21aは、先端部分が鉤状に形成されて、正面板22の背面26側に略円筒状に突出するハンドル軸受部22dに挿入される。これにより、ハンドル21は、正面板22に回転自在に保持される。
【0022】
ここで、パネル部材20のパネル本体200は、正面板22、天板23,24を含む。そして、パネル本体200は、正面から見て(
図4(a)参照)、点対称な長尺状に形成される。また、ハンドル21は、パネル本体200の長手方向(左右方向)の中心位置CL(凡そ、小円部22aの中心)からオフセットして(換言すれば、左右方向の中心位置CLから左又は右にずらして)設けられる。
【0023】
図5に示すように、取付部30は、座席部10側が開放された略凹状に形成される。取付部30は、前面30aと、下面30bと、左側面30cと、右側面30dとを有する。左側面30c、右側面30dは、それぞれ、前面30a、下面30bと接続する。下面30bは、取り付けられるパネル部材20の天板23,24に合わせて、前後方向から見て、左右方向の略中央部が下側に膨出する略円弧状に形成される。前面30a及び左側面30c、右側面30dは、平坦面とされている。
【0024】
左側面30cと前面30aとが接続する角部、及び、右側面30dと前面30aとが接続する角部には、上下方向に長く開口する係止孔部31がそれぞれ設けられている。なお、
図5では、左側面30c側の係止孔部31のみを示している。また、前面30aの左右方向の略中央に設けられる舌片状の本体係止部32は、走行玩具1のボディー7に、車室部材41を取り付けるための係止部である。ここで、車室部材41は、取付部30や座席部10を含む。
【0025】
本体係止部32の左右には、上側が半円状の開口33が設けられる。これにより、係止孔部31と開口33との間の板状部分に弾性力を付与して、パネル部材20の取り付け、取り外しを容易としている。
【0026】
取付部30は、パネル部材20のパネル本体200の長手方向の長さに合わせた長さで凹状に設けられる。すなわち、左側面30cと右側面30dの長さは、天板23,24の長手方向の長さ(左右の突出縁部27の長さ)と略同一とされる。また、取付部30の下面30bの短手方向の長さ(すなわち、左側面30c、右側面30dの前後方向の長さ)は、天板23,24の短手方向の長さ(パネル本体200の側面の前後方向の長さ)と略同一とされている。
【0027】
パネル部材20は、ハンドル21を左側とする左ハンドルの仕様として取付部30に取り付けることができる。そして、パネル部材20を正面板22の法線方向回りに180度回転することで、ハンドル21を右側とする右ハンドルの仕様として取付部30に取り付けることができる。また、取付部30の左側面30c、右側面30dと接続する上側の面は、円弧状面30c1,30d1とされている。換言すれば、円弧状面30c1,30d1は、側方に設けられる。円弧状面30c1,30d1は、取付部30に取り付けられたパネル部材20の天板23又は天板24と連続する。
【0028】
以上のような本発明の実施形態によれば、下記の態様の走行玩具を提供することができる。
【0029】
第1の態様に係る走行玩具は、座席部と、前記座席部に対向して設けられる取付部と、正面から見て点対称な長尺状に形成されるパネル本体と、前記パネル本体の長手方向の中心位置からオフセットして前記正面に設けられるハンドルと、を備え、前記取付部に着脱自在に設けられるパネル部材と、を有する。
【0030】
この構成によれば、走行玩具は、パネル部材20を取り外して回転させ、ハンドル21を左側又は右側にすることができ、左ハンドルと右ハンドルを容易に切り替えることができる。
【0031】
第2の態様に係る走行玩具は、前記取付部は、前記パネル部材の前記長手方向の長さに合わせた長さで凹状に設けられる。
【0032】
この構成によれば、パネル部材と取付部の長さが合わせられるので、ハンドルを左側又は右側に切り替えても、見た目に違和感がないようパネル部材を取り付けることができる。
【0033】
第3の態様に係る走行玩具は、前記パネル部材は、前記正面を含む長尺状の正面板と、前記正面板を短手方向で挟むように前記正面板に接続して対向する2枚の天板と、を有し、2枚の前記天板は、同形状に形成される。
【0034】
この構成によれば、正面板の正面側に、自動車のパネルのような模様を施すことができ、2枚の天板の上下が入れ替わっても違和感がない走行玩具を提供することができる。
【0035】
第4の態様に係る走行玩具は、前記取付部は、前記パネル部材の前記長手方向の長さに合わせた長さで凹状に設けられ、前記取付部の側方には、円弧状の前記天板と連続する円弧状面が設けられる。
【0036】
この構成によれば、取付部に着脱自在なパネル部材が設けられていても、取付部の周辺からパネル部材に亘る面の意匠性を高めることができ、取付部と隣接する形状とも違和感のないパネル部材を備えた走行玩具を提供することができる。
【0037】
第5の態様に係る走行玩具は、前記正面板には、メーターを模した自動車パネル面が設けられる。
【0038】
この構成によれば、本物の自動車により近付けた意匠が施された走行玩具を提供することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 走行玩具 2 前輪
3 後輪 7 ボディー
10 座席部 11 前座席部
11L 左側の前座席部 11R 右側の前座席部
12 後座席部 18 ベビーカー玩具
20 パネル部材 21 ハンドル
21a 軸部 22 正面板
22a 小円部 22b 大円部
22c ラジオ部 22c1 円形突出部
22c2 凹部 22c21 凸部
22d ハンドル軸受部 23 天板
23a 縁 23b 縁
23c 突出部 24 天板
24a 縁 24b 縁
24c 突出部 25 正面
26 背面 27 突出縁部
28 係止部 28a 切り欠き部
28b 係止突起 30 取付部
30a 前面 30b 下面
30c 左側面 30c1 円弧状面
30d 右側面 30d1 円弧状面
31 係止孔部 32 本体係止部
33 開口 40 車室
41 車室部材 200 パネル本体
220 縦リブ