(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023415
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】検査装置、検査方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/89 20060101AFI20250207BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127514
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】515237795
【氏名又は名称】アキュイティー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 眞平
(72)【発明者】
【氏名】小山 侑馬
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA11
2G051AB01
2G051AB07
2G051CA04
2G051DA06
2G051EA20
(57)【要約】
【課題】収容体の不良の検出精度を向上させる。
【解決手段】検査装置1は、被検査物Wに光を照射した状態で撮像装置2の撮像領域における検査対象範囲を通過するように搬送されている間に撮像装置2が被検査物Wを撮影して生成された複数の撮像画像データを取得する画像データ取得部141と、被検査物Wの一部の領域がそれぞれに写った複数の撮像画像データに基づいて被検査物Wの不良を検出する不良検出部142と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物に光を照射した状態で撮像装置の撮像領域における検査対象範囲を通過するように搬送されている間に前記撮像装置が前記被検査物を撮影して生成された複数の撮像画像データを取得する画像データ取得部と、
前記被検査物の一部の領域がそれぞれに写った前記複数の撮像画像データに基づいて前記被検査物の不良を検出する不良検出部と、
を有する検査装置。
【請求項2】
前記複数の撮像画像データは、前記被検査物の搬送方向における複数の異なる領域が撮影されることにより生成されており、
前記不良検出部は、前記複数の撮像画像データを結合した結合画像データにおいて前記被検査物の異常を検出した場合に、前記被検査物に不良があると判定する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記複数の撮像画像データは、前記被検査物が前記搬送方向に搬送されている間に前記撮像装置が異なるタイミングで撮像することにより生成されており、
前記不良検出部は、前記複数の撮像画像データのうち、隣接する2つの撮像画像データにおける画像の連続性が高まるように、前記搬送方向と直交する方向に少なくとも1つの前記撮像画像データを移動した後の前記複数の撮像画像データに基づいて前記被検査物の不良を検出する、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記被検査物には、前記搬送方向に直線形状の領域が含まれており、
前記不良検出部は、前記直線形状の領域が直線形状になるよう少なくとも1つの前記撮像画像データを移動することにより前記結合画像データを作成する、
請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記被検査物には、所定の補助領域が含まれており、
前記不良検出部は、前記結合画像データにおける前記補助領域の形状が、記憶部に記憶された所定の形状になるよう少なくとも1つの前記撮像画像データを移動することにより前記結合画像データを作成する、
請求項3に記載の検査装置。
【請求項6】
前記複数の撮像画像データは、前記被検査物における複数の異なる領域が撮影されることにより生成されており、
前記不良検出部は、不良がある状態で前記被検査物における複数の異なる領域が撮影されることにより生成された教師画像データ、又は不良がない状態で前記被検査物における複数の異なる領域が撮影されることにより生成された教師画像データを用いて機械学習した機械学習モデルであって、前記被検査物に不良があるか否かを判定した結果を出力する機械学習モデルに前記複数の撮像画像データ又は前記複数の撮像画像データが結合された結合画像データを入力することにより、前記被検査物の不良を検出する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する、
被検査物に光を照射した状態で撮像装置の撮像領域における検査対象範囲を通過するように搬送されている間に前記撮像装置が前記被検査物を撮影して生成された複数の撮像画像データを取得するステップと、
前記被検査物の一部の領域がそれぞれに写った前記複数の撮像画像データに基づいて前記被検査物の不良を検出するステップと、
を有する検査方法。
【請求項8】
コンピュータに、
被検査物に光を照射した状態で撮像装置の撮像領域における検査対象範囲を通過するように搬送されている間に前記撮像装置が前記被検査物を撮影して生成された複数の撮像画像データを取得するステップと、
前記被検査物の一部の領域がそれぞれに写った前記複数の撮像画像データに基づいて前記被検査物の不良を検出するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物を検査する検査装置、検査方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象物の搬送位置によらず最適な撮影条件で検査対象物を撮像することができる外観検査装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。当該外観検査装置においては、平面状に配置された複数の光源を照射した状態で検査対象物を撮像し、撮像画像において検出した検査対象物の位置に基づいて選択した光源を再度照射することにより、検査対象物の外観検査用の画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の外観検査装置においては、検査対象物の幅よりも広い範囲に配置された複数の光源が必要であった。また、複数の光源を照射したとしても、検査対象物の形状によっては、部位によって照度の差が生じることがあり、検査対象物の不良の検出精度が低下してしまう場合がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、収容体の不良の検出精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の検査装置は、被検査物に光を照射した状態で撮像装置の撮像領域における検査対象範囲を通過するように搬送されている間に前記撮像装置が前記被検査物を撮影して生成された複数の撮像画像データを取得する画像データ取得部と、前記被検査物の一部の領域がそれぞれに写った前記複数の撮像画像データに基づいて前記被検査物の不良を検出する不良検出部と、を有する。
【0007】
前記複数の撮像画像データは、前記被検査物の搬送方向における複数の異なる領域が撮影されることにより生成されており、前記不良検出部は、前記複数の撮像画像データを結合した結合画像データにおいて前記被検査物の異常を検出した場合に、前記被検査物に不良があると判定してもよい。
【0008】
前記複数の撮像画像データは、前記被検査物が前記搬送方向に搬送されている間に前記撮像装置が異なるタイミングで撮像することにより生成されており、前記不良検出部は、前記複数の撮像画像データのうち、隣接する2つの撮像画像データにおける画像の連続性が高まるように、前記搬送方向と直交する方向に少なくとも1つの前記撮像画像データを移動した後の前記複数の撮像画像データに基づいて前記被検査物の不良を検出してもよい。
【0009】
前記被検査物には、前記搬送方向に直線形状の領域が含まれており、前記不良検出部は、前記直線形状の領域が直線形状になるよう少なくとも1つの前記撮像画像データを移動することにより前記結合画像データを作成してもよい。
【0010】
前記被検査物には、所定の補助領域が含まれており、前記不良検出部は、前記結合画像データにおける前記補助領域の形状が、記憶部に記憶された所定の形状になるよう少なくとも1つの前記撮像画像データを移動することにより前記結合画像データを作成してもよい。
【0011】
前記複数の撮像画像データは、前記被検査物における複数の異なる領域が撮影されることにより生成されており、前記不良検出部は、不良がある状態で前記被検査物における複数の異なる領域が撮影されることにより生成された教師画像データ、又は不良がない状態で前記被検査物における複数の異なる領域が撮影されることにより生成された教師画像データを用いて機械学習した機械学習モデルであって、前記被検査物に不良があるか否かを判定した結果を出力する機械学習モデルに前記複数の撮像画像データ又は前記複数の撮像画像データが結合された結合画像データを入力することにより、前記被検査物の不良を検出してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様の検査方法は、コンピュータが実行する、被検査物に光を照射した状態で撮像装置の撮像領域における検査対象範囲を通過するように搬送されている間に前記撮像装置が前記被検査物を撮影して生成された複数の撮像画像データを取得するステップと、前記被検査物の一部の領域がそれぞれに写った前記複数の撮像画像データに基づいて前記被検査物の不良を検出するステップと、を有する。
【0013】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータに、被検査物に光を照射した状態で撮像装置の撮像領域における検査対象範囲を通過するように搬送されている間に前記撮像装置が前記被検査物を撮影して生成された複数の撮像画像データを取得するステップと、前記被検査物の一部の領域がそれぞれに写った前記複数の撮像画像データに基づいて前記被検査物の不良を検出するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、収容体の不良の検出精度が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】検査システムSの概要を説明するための図である。
【
図3】記憶部13が記憶する検査結果データの例を示す図である。
【
図4】結合画像データに基づいて不良検出部142が被検査物Wの不良を検出する処理について説明するための図である。
【
図5】複数の異なる時刻において検査対象範囲において撮像された部分画像データを示す図である。
【
図6】結合画像データを作成する方法を説明するための図である。
【
図7】検査システムSにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[検査システムSの概要]
図1は、検査システムSの概要を説明するための図である。検査システムSは、被検査物Wを検査するためのシステムである。被検査物Wは任意の物体でよいが、以下の説明では被検査物Wが収容体Aと、収容体Aの端部を覆うように留め具Cで収容体に取り付けられた結合部材Bと、を有する物体である場合を例示する。収容体Aは、何らかの物品を収容するための空間を有する袋又は箱等の物体である。収容体Aは、例えば、米又は小麦粉のような食料を収容する袋である。
【0017】
詳細については後述するが、結合部材Bは、例えば収容体Aの開口部を覆う形状を有する蓋である。留め具Cは、収容体Aの一部の領域と結合部材Bの一部の領域とが重なった状態で収容体A及び結合部材Bを貫通することで収容体Aと結合部材Bとを結合するための部材であり、例えば糸又は線状の金属(例えばステープラの芯)である。
【0018】
検査システムSは、検査装置1と、撮像装置2と、搬送装置3と、を有する。検査装置1は、撮像装置2が被検査物Wを撮影して生成した画像データに基づいて被検査物Wを検査する。搬送装置3は、撮像装置2の撮像領域を被検査物Wが通過するように被検査物Wを搬送するための装置であり、例えばベルトコンベアーである。
【0019】
撮像装置2は撮像素子を有している。検査システムSにおいて、撮像装置2は、光が被検査物Wに照射された状態で被検査物Wを撮影することにより撮像画像データ(以下、「画像データ」という場合がある)を生成する。撮像装置2は、被検査物Wの搬送方向における中央位置を含む領域を撮影する。
【0020】
撮像装置2は撮像画像データを検査装置1に入力する。検査装置1は、画像データに基づいて、例えば被検査物Wの汚れ又は破れのような、予め定められた基準を満たさない不良を検査する。
【0021】
[検査装置1の構成]
図2は、検査装置1の構成を示す図である。検査装置1は、通信部11と、表示部12と、記憶部13と、制御部14と、を有する。制御部14は、画像データ取得部141と、不良検出部142と、を有する。
【0022】
通信部11は、外部装置との間でデータを送受信するための通信インターフェースを有する。通信部11は、例えば、撮像装置2から画像データを受信する。通信部11は、受信した画像データを画像データ取得部141に入力する。通信部11は、不良検出部142が不良の有無を判定した結果を外部のコンピュータに送信してもよい。
【0023】
表示部12は、例えばディスプレイである。表示部12は、不良検出部142が不良の有無を判定した結果を表示する。
【0024】
記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部13は、制御部14が実行するプログラムを記憶する。
【0025】
記憶部13は、被検査物Wの検査に必要な各種のデータを記憶する。記憶部13は、例えば、通信部11が受信した画像データを記憶する。記憶部13は、被検査物Wを識別するための識別情報に関連付けて画像データを記憶してもよい。
【0026】
また、記憶部13は、被検査物Wの良否を判定するための基準データを記憶する。記憶部13は、検査項目それぞれに関連付けて基準データを記憶する。基準データは、良品の画像を示すデータであってもよく、不良品の画像を示すデータであってもよい。基準データは、良品と不良品を判別するために深層学習をして作成された機械学習モデルであってもよい。
【0027】
また、記憶部13は、不良検出部142が不良の有無を判定した結果を示す検査結果データを記憶する。
図3は、記憶部13が記憶する検査結果データの例を示す図である。
図3は、被検査物Wの前側の画像データに基づく検査結果と被検査物Wの後側の画像データに基づく検査結果とが示されている。
【0028】
図3に示す検査結果データにおいては、被検査物Wの被検査物IDに関連付けて、画像データのそれぞれに基づく各検査項目の判定結果と、総合判定結果と、が関連付けられている。複数の検査項目の全てが合格(〇)である場合に、総合判定結果が「合格」になっており、複数の検査項目のうち少なくとも1つの項目が不合格(×)である場合に、総合判定結果が「不合格」になっている。
【0029】
画像データに対応する検査項目である「汚れ」は、本来は付着していないはずの汚れが付着しており、被検査物Wの表面の他の部位と色が異なっている部位がある状態である。「破れ」は、被検査物Wの一部が破れている状態である。
【0030】
制御部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部14は、記憶部13に記憶されたプログラムを実行することにより、画像データ取得部141及び不良検出部142として機能する。
【0031】
画像データ取得部141は、通信部11を介して、被検査物Wに光を照射した状態で被検査物Wを撮像装置2により撮影して生成された画像データを取得する。光は撮像装置2により被検査物Wに照射されてもよく、他の装置により照射されてもよい。画像データ取得部141は、被検査物Wが撮像装置2の撮像領域を通過するように搬送されている間に光が照射されている被検査物Wを撮影して生成された画像データを取得する。
【0032】
画像データ取得部141は、取得した画像データを、被検査物IDに関連付けて記憶部13に記憶させる。画像データ取得部141は、例えば通信部11を介して、検査を開始した時点における最初の被検査物Wの被検査物IDの設定を受け付けて、新たに画像データを取得するたびに、被検査物IDを所定のルールで更新することにより、それぞれの画像データに対応する被検査物IDを決定する。被検査物Wに被検査物ID又は被検査物IDが含まれる画像が記載されている場合、画像データ取得部141は、画像データから被検査物IDを読み取ることにより、被検査物IDを特定してもよい。
【0033】
画像データ取得部141は、被検査物IDとともに、又は被検査物IDとして、画像データが撮影された時刻を関連付けて画像データを記憶部13に記憶させてもよい。
【0034】
不良検出部142は、画像データに基づいて被検査物Wの不良を検出する。不良検出部142は、例えば、画像データにおける結合部材B及び留め具Cの少なくともいずれかの状態に基づいて被検査物Wの不良を検出する。
【0035】
不良検出部142は、例えば、留め具Cが所定の形状を示していないという不良を検出する。一例として、不良検出部142は、留め具Cが正常な状態における形状を示す基準画像データを記憶部13から読み出して、画像データが示す留め具Cの形状と基準画像データが示す留め具Cの形状とを比較する。不良検出部142は、比較した結果に所定量以上の差がある場合に被検査物Wが不良であると判定する。
【0036】
[複数の撮像画像データを用いた検査]
ところで、被検査物Wに幅があり一様の照度で照らすことが難しいと、被検査物Wにおける部位によって照度が異なることにより、撮像装置2が生成した1枚の画像データだけでは不良の検出精度が低下してしまう場合がある。そこで、画像データ取得部141は、撮像装置2の撮像領域を被検査物Wが通過している間に複数回にわたって被検査物Wの異なる領域が撮影されることにより生成された複数の画像データ(以下、「複数の部分画像データ」という場合がある)を取得してもよい。
【0037】
複数の部分画像データは、被検査物Wが搬送方向(
図1の例では結合部材Bの長手方向)に搬送されている間に撮像装置2が異なるタイミングで撮像することにより生成されており、それぞれが、結合部材Bにおける複数の異なる領域の画像データを含んでいる。複数の部分画像データは、複数の撮像装置2が異なるタイミングで被検査物Wを撮像することにより生成されていてもよい。
【0038】
不良検出部142は、被検査物Wの一部の領域がそれぞれに写った複数の部分画像データに基づいて被検査物Wの不良を検出する。ただし、不良検出部142がそれぞれの部分画像データを個別に用いて不良を検出すると、各部分画像データの端部付近に存在する不良を検出できないというおそれがある。そこで、不良検出部142は、複数の部分画像データを結合した結合画像データにおいて被検査物Wの形状の異常、被検査物Wの汚れ、被検査物Wの破れ等を検出した場合に、被検査物Wに不良があると判定する。
【0039】
図4から
図6は、結合画像データに基づいて不良検出部142が被検査物Wの不良を検出する処理について説明するための図である。
図4に示す例において、被検査物Wは、時刻T1、T2、T3、T4の順番に、検査対象範囲を通過するように搬送される。検査対象範囲は、例えば撮像装置2の撮像領域の中央を含み、最も良好に被検査物Wが撮像される範囲である。
図4に示す被検査物Wには、搬送方向(すなわち水平方向)に直線形状の領域である結合補助線Lが描かれている。検査対象範囲は、光が照射される範囲であってもよい。
【0040】
図5は、複数の異なる時刻(時刻T1、T2、T3、T4)において検査対象範囲において撮像された部分画像データを示す図である。
図6は、
図5に示す複数の部分画像データを結合することにより結合画像データを作成する方法を説明するための図である。
【0041】
不良検出部142は、撮影された時刻の順番に複数の部分画像データを並べることにより、
図6(a)に示すような暫定結合画像データを作成する。不良検出部142は、例えば、搬送装置3の搬送速度に基づいて定められた所定の時間間隔ごとに連続して撮影された複数の部分画像データを並べることにより暫定結合画像データを作成する。不良検出部142は、被検査物Wがない状態で撮影された画像データと部分画像データとを比較することにより、被検査物Wが含まれていない部分画像データを除外して、被検査物Wの少なくとも一部が含まれている複数の部分画像データを並べることにより暫定結合画像データを作成する。
【0042】
図6(a)に示す暫定結合画像データにおいては、被検査物Wが曲面を有する形状であったり凹凸がある形状であったりする場合があること、又は被検査物Wを搬送している間における振動の影響等により、複数の部分画像データの上下方向の位置にずれが生じるため、結合補助線Lが不連続になっている。この状態で不良検出部142が不良の有無を判定すると、判定精度が低下してしまう。
【0043】
そこで、不良検出部142は、複数の部分画像データ(例えば複数の部分画像データ)のうち、隣接する2つの部分画像データにおける画像の連続性が高まるように、搬送方向(すなわち結合部材Bの長手方向)と直交する方向に少なくとも1つの部分画像データを移動することにより暫定結合画像データを補正した結合画像データを作成する。不良検出部142は、例えば、暫定結合画像データにおける結合補助線Lの形状が所定の形状(例えば直線形状)になるように、複数の部分画像データの位置を移動させることにより暫定結合画像データを補正する。不良検出部142は、複数の部分画像データの境界線が目立たなくなるように画素値を補正してもよい。
【0044】
不良検出部142は、
図6(b)に示すような補正後の結合画像データに基づいて被検査物Wの不良を検出する。不良検出部142がこのように補正した結合画像データに基づいて被検査物Wの不良を検出することで、不良の検出精度が向上する。
【0045】
[機械学習モデルによる不良の検出]
不良検出部142は、機械学習モデルを用いて被検査物Wの不良を検出してもよい。機械学習モデルは、例えば、不良がある状態で収容体Aに取り付けられた結合部材Bの異なる領域が撮影されることにより生成された教師画像データ、又は不良がない状態で収容体Aに取り付けられた結合部材Bの異なる領域が撮影されることにより生成された教師画像データを用いて機械学習することにより作成されている。教師画像データは、例えば、複数の異なる領域に対応する複数の部分画像データのセット、又は複数の部分画像データが結合された結合画像データである。機械学習モデルは、画像データが入力されることにより、被検査物Wに不良があるか否かを判定した結果を出力する。
【0046】
不良検出部142は、1つの被検査物Wの複数の領域に対応する複数の部分画像データ又は複数の部分画像データが結合された結合画像データを機械学習モデルに入力することにより機械学習モデルから出力された結果に基づいて、被検査物Wの不良を検出する。機械学習モデルが、予め複数の部分画像データから構成される教師画像データを用いて学習していれば、不良検出部142が複数の部分画像データを結合して結合画像データを作成することなく、複数の部分画像データに基づいて被検査物Wの良否を判定することができるので、処理時間を短縮することができる。
【0047】
[検査システムSにおける処理の流れ]
図7は、検査システムSにおける処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートは、検査システムSが被検査物Wの検査を開始した時点から開始している。
【0048】
撮像装置2は、被検査物Wが搬送されている間に被検査物Wを撮影する(S11)。撮像装置2は、例えば検査装置1の制御に基づいて被検査物Wを撮影する。画像データ取得部141は、複数の部分画像データを取得し(S12)、不良検出部142は、複数の部分画像データを結合して暫定結合画像データを作成する(S13)。不良検出部142は、暫定結合画像データにおける部分画像データの位置を変更して暫定結合画像データを補正することにより、結合画像データを作成する(S14)。
【0049】
不良検出部142は、結合画像データを解析することにより、被検査物Wの良否を判定する。不良検出部142は、結合画像データを解析し(S15)、汚れがないか否か(S16)、破れがないか否か(S17)を判定する。不良検出部142は、これらの全てが正常である場合(S17においてYES)、結合画像データに基づく検査の結果は正常であると判定する。不良検出部142は、結合画像データに基づく検査の結果に基づく検査の結果の両方が正常である場合、被検査物Wが正常であると判定する(S18)。
【0050】
不良検出部142は、S16、S17のいずれかにおいて異常を検出した場合、被検査物Wが異常(不良)であると判定する(S19)。不良検出部142は、検査を終了するための操作が行われるまでの間(S20においてNO)、S11からS19での処理を繰り返す。
【0051】
[検査装置1による効果]
以上説明したように、画像データ取得部141は、被検査物Wに光を照射した状態で撮像装置2の撮像領域における検査対象範囲を通過するように搬送されている間に撮像装置2が被検査物Wを撮影して生成された複数の撮像画像データ(すなわち複数の部分画像データ)を取得する。そして、不良検出部142は、被検査物Wの一部の領域がそれぞれに写った複数の撮像画像データに基づいて被検査物Wの不良を検出する。不良検出部142が、このように動作することで、被検査物Wに一様の照度で光が照射されず、検査物Wにおける部位によって照度が異なる場合における被検査物Wの不良の検出精度が向上する。
【0052】
なお、以上の説明においては、被検査物Wに直線形状の結合補助線Lが描かれている場合を例示したが、被検査物Wには、直線形状以外の形状の所定の補助領域が含まれていてもよい。例えば補助領域は、楕円形状であってもよく、波線形状であってもよく、テキストであってもよい。不良検出部142は、結合画像データにおける補助領域の形状が、記憶部13に記憶された所定の形状になるよう少なくとも1つの撮像画像データを移動することにより結合画像データを作成する。
【0053】
また、以上の説明においては被検査物Wとして収容体を例示したが、被検査物Wは収容体に限らず、光が一様に照射されない場合がある形状の物体であれば任意の物体であってよい。
【0054】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0055】
1 検査装置
2 撮像装置
3 搬送装置
11 通信部
12 表示部
13 記憶部
14 制御部
141 画像データ取得部
142 不良検出部