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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023421
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20250207BHJP
   H05K 3/16 20060101ALI20250207BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20250207BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/16
H05K3/18 G
H05K3/46 T
H05K1/09 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127525
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 雅
(72)【発明者】
【氏名】籠橋 進
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
(72)【発明者】
【氏名】吉川 恭平
【テーマコード(参考)】
4E351
5E316
5E343
【Fターム(参考)】
4E351AA01
4E351AA13
4E351BB33
4E351CC03
4E351CC06
4E351DD04
4E351DD10
4E351GG02
5E316AA04
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC08
5E316CC18
5E316CC32
5E316CC34
5E316DD17
5E316DD24
5E316DD47
5E316EE33
5E316FF03
5E316FF07
5E316FF14
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG23
5E316GG28
5E316HH40
5E343AA02
5E343AA07
5E343AA12
5E343AA26
5E343BB24
5E343BB28
5E343DD25
5E343DD43
5E343EE36
5E343ER12
5E343ER18
5E343FF16
5E343GG02
(57)【要約】
【課題】第3絶縁層と第3導体層との接続信頼性を高める。
【解決手段】コア基板CSと、第1ビルドアップ部BU1と、第2ビルドアップ部BU2と、第3ビルドアップ部BU3と、第4ビルドアップ部BU4と、を有する配線基板であって、第3絶縁層は、上面と、上面から下層の第3導体層に至るビア開口と、ビア開口内に形成され、第3導体層と下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、第3導体層とビア導体とは、シード層とシード層上に形成される電解めっき層によって形成されており、シード層は、第1層と第1層上に形成される第2層とを有しており、第1層は、銅と特定卑金属を有する合金からなるスパッタ膜であり、特定卑金属は銅以外の卑金属であり、第2層は、銅からなるスパッタ膜である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有するコア基板と、前記第1面上に形成され、交互に積層される複数の第1絶縁層及び複数の第1導体層を含む第1ビルドアップ部と、前記第2面上に形成され、交互に積層される複数の第2絶縁層及び複数の第2導体層を含む第2ビルドアップ部と、前記第1ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される複数の第3絶縁層及び複数の第3導体層を含む第3ビルドアップ部と、前記第2ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層及び少なくとも1層の第4導体層を含む第4ビルドアップ部と、を有する配線基板であって、
前記配線基板の最も外側の面は、前記第3ビルドアップ部の最外面、及び、前記第4ビルドアップ部の最外面で構成されており、
前記第3導体層に含まれる配線における配線幅の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線幅の最小値よりも小さく、
前記第3導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値よりも小さく、
前記第3絶縁層は、上面と、前記上面から下層の第3導体層に至るビア開口と、前記ビア開口内に形成され、前記第3導体層と前記下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、
前記第3導体層と前記ビア導体とは、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層によって形成されており、
前記シード層は、第1層と前記第1層上に形成される第2層とを有しており、
前記第1層は、銅と特定卑金属を有する合金からなるスパッタ膜であり、前記特定卑金属は銅以外の卑金属であり、
前記第2層は、銅からなるスパッタ膜である。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、前記コア基板がガラスコアである。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる配線の最小の配線幅が3μm以下、最小の配線間隔が3μm以下である。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる配線のアスペクト比は2以上4以下である。
【請求項5】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる配線の上面は研磨面である。
【請求項6】
請求項1に記載の配線基板において、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、及び、前記第3絶縁層のそれぞれは無機粒子を含んでおり、前記第3絶縁層に含まれる無機粒子の最大粒径は、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層に含まれる無機粒子の最大粒径よりも小さい。
【請求項7】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる配線は、前記第3絶縁層に形成された溝を充填する導体によって構成されている。
【請求項8】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3ビルドアップ部を構成する第3絶縁層の体積と前記第4ビルドアップ部を構成する第4絶縁層の体積とは、略等しい。
【請求項9】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3ビルドアップ部における第3導体が占める体積と前記第4ビルドアップ部における第4導体が占める体積とは、略等しい。
【請求項10】
請求項1に記載の配線基板において、前記第1層中の銅の含有率は90at%より大きい。
【請求項11】
請求項1に記載の配線基板において、前記特定卑金属はアルミニウムである。
【請求項12】
請求項1に記載の配線基板において、前記第2層の銅の含有率は99at%以上である。
【請求項13】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3絶縁層は樹脂と無機粒子を含み、前記無機粒子は前記樹脂に部分的に埋まっている第1無機粒子と前記樹脂に完全に埋まっている第2無機粒子とを含み、前記第1無機粒子は前記樹脂から突出する第1部分と前記樹脂に埋まっている第2部分で形成され、前記第3絶縁層の上面は前記樹脂の上面と前記上面から露出する前記第1部分の露出面で形成されている。
【請求項14】
請求項13に記載の配線基板において、前記無機粒子は前記ビア開口の内壁面を形成する第3無機粒子をさらに含み、前記内壁面は前記第3無機粒子と前記樹脂によって形成されており、前記第3無機粒子は平坦部を有し、前記平坦部が前記内壁面を形成する。
【請求項15】
請求項1に記載の配線基板において、前記ビア開口の底部の径は20μm以上50μm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のビルドアップ部を有する配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、図4に示すように、樹脂絶縁層52と導体回路53およびビア導体54とを含むプリント配線板51を開示している。導体回路53およびビア導体54は、樹脂絶縁層52上にシード層55を介して形成されている。シード層55は、銅合金製スパッタ膜からなる第1層55-1と第1層55-1上の無電解めっき層からなる第2層55-2とで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-124602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無電解銅めっき膜は、大気中で基板を溶液に浸漬することで形成される。そのため、第2層55-2を形成する無電解銅めっき工程では、銅合金製スパッタ膜からなる第1層55-1が酸化しやすい。第1層55-1が酸化すると、第1層55-1と無電解銅めっき膜からなる第2層55-2との間の密着性が低下する。そのため、プリント配線板51において、シード層55を介して接続されている、樹脂絶縁層52と導体回路53およびビア導体54との間の接続信頼性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る配線基板は、第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有するコア基板と、前記第1面上に形成され、交互に積層される複数の第1絶縁層及び複数の第1導体層を含む第1ビルドアップ部と、前記第2面上に形成され、交互に積層される複数の第2絶縁層及び複数の第2導体層を含む第2ビルドアップ部と、前記第1ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される複数の第3絶縁層及び複数の第3導体層を含む第3ビルドアップ部と、前記第2ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層及び少なくとも1層の第4導体層を含む第4ビルドアップ部と、を有する配線基板であって、前記配線基板の最も外側の面は、前記第3ビルドアップ部の最外面、及び、前記第4ビルドアップ部の最外面で構成されており、前記第3導体層に含まれる配線における配線幅の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線幅の最小値よりも小さく、前記第3導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値よりも小さく、前記第3絶縁層は、上面と、前記上面から下層の第3導体層に至るビア開口と、前記ビア開口内に形成され、前記第3導体層と前記下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、前記第3導体層と前記ビア導体とは、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層によって形成されており、前記シード層は、第1層と前記第1層上に形成される第2層とを有しており、前記第1層は、銅と特定卑金属を有する合金からなるスパッタ膜であり、前記特定卑金属は銅以外の卑金属であり、前記第2層は、銅からなるスパッタ膜である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明に係る配線基板におけるビルドアップ部の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2】本発明に係る配線基板における第3ビルドアップ部の各層の一実施形態における特徴部分を模式的に示す断面図である。
図3A】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3B】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3C】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3D】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3E】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3F】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3G】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3H】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3I】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図4】従来のプリント配線板の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<本発明の配線基板について>
本発明の配線基板の一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、図1図4に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0008】
図1は、本発明に係る配線基板におけるビルドアップ部の一実施形態を説明するための断面図である。図1において、CSは、例えば図中上側の第1面CS1および下側の第2面CS2を有するコア基板である。BU1は、コア基板CSの第1面CS1上に形成され、交互に積層される複数の第1絶縁層12及び複数の第1導体層11を含む第1ビルドアップ部である。BU2は、コア基板CSの第2面CS2上に形成され、交互に積層される複数の第2絶縁層22及び複数の第2導体層21を含む第2ビルドアップ部である。BU3は、第1ビルドアップ部BU1上に形成され、交互に積層される複数の第3絶縁層32及び複数の第3導体層31を含む第3ビルドアップ部である。BU4は、第2ビルドアップ部BU2上に形成され、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層42及び少なくとも1層の第4導体層41を含む第4ビルドアップ部である。本実施形態では、上記構成の配線基板1の第3ビルドアップ部BU3上に、チップ1およびチップ2が搭載されている。
【0009】
図1に示す本発明に係る配線基板においては、コア基板CSとしてガラスコアを用いることが好ましい。コア基板としてガラスコアを用いると、他の材料のコア基板を用いた配線基板と比べて、高密度配線が形成し易くなる。ガラスコアとしては、従来から知られているいずれの材料をも使用できる。例えば、耐熱性と耐衝撃性に優れ、熱膨張係数がシリコンに近い、ホウ珪酸ガラスを用いることができる。
【0010】
本実施形態に係る配線基板の特徴は、第3ビルドアップ部BU3の構造にある。すなわち、第3導体層に含まれる配線における配線幅の最小値は、第1導体層、第2導体層、及び、第4導体層に含まれる配線における配線幅の最小値よりも小さく、第3導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値は、第1導体層、第2導体層、及び、第4導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値よりも小さく、第3絶縁層は、上面と、上面から下層の第3導体層に至るビア開口と、ビア開口内に形成され、第3導体層と下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、第3導体層とビア導体とは、シード層とシード層上に形成される電解めっき層によって形成されており、シード層は、第1層と前記第1層上に形成される第2層とを有しており、第1層は、銅と特定卑金属を有する合金からなるスパッタ膜であり、特定卑金属は銅以外の卑金属であり、第2層は、銅からなるスパッタ膜である。
【0011】
本実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3が、上記構成を備えることで、第3ビルドアップ部BU3において、シード層の第1層の酸化を防ぎ、第1層と第2層との密着性を確保することができる。そのため、シード層を介して接続されている、第3絶縁層と第3導体層およびビア導体との設足信頼性を高く維持することが可能となる。
【0012】
図2は、本実施形態に係る配線基板における第3ビルドアップ部BU3の各層の一実施形態における特徴部分を説明するための模式図である。図2において、説明の対象となる層L1の下層L2は、層L1と同じ構成となっている。説明の対象となる層L1は下層L2上に連続して形成されている。
【0013】
本実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における各層が、図2に示す構成を含んでいる。図2において、下層L2の第3導体層31と、この第3導体層31上に形成されている層L1の第3絶縁層32と、第3絶縁層32に形成されている、下層L2の第3導体層31の一部を導体パッド31aとして露出するビア開口37と、第3絶縁層32の上面32aおよびビア開口37の内壁面37a上に形成されているシード層38と、シード層38を介してビア開口37内に形成されているビア導体39、シード層38を介して第3絶縁層32の上面32a上に形成されている層L1の第3導体層31を示している。図2に示す例において、第3絶縁層32は樹脂から形成されている。
【0014】
本実施形態に係る配線基板では、シード層38は、第1層38-1と第1層38-1上に形成される第2層38-2とを有している。第1層38-1は、銅と特定卑金属を有する合金からなるスパッタ膜であり、特定卑金属は銅以外の卑金属である。特定卑金属は例えばアルミニウムであることが好ましい。第2層38-2は、銅からなるスパッタ膜である。第1層38-1を形成している銅合金中の銅の含有率は90at%より大きいことが好ましい。第2層38-2中の銅の含有率は99at%以上であることが好ましい。
【0015】
図2の実施形態では、樹脂からなる第3絶縁層32を示している。第3絶縁層32は、樹脂と無機粒子とかを含むこともできる。好ましい実施形態として、無機粒子は、樹脂に部分的に埋まっている第1無機粒子と樹脂に完全に埋まっている第2無機粒子とを含むことが好ましい。第1無機粒子と第2無機粒子との形状は球であることが好ましい。第1無機粒子は、樹脂から突出する第1部分と樹脂に埋まっている第2部分とで形成されていることが好ましい。第3絶縁層32の上面32aは、樹脂の上面と樹脂の上面から露出する第1部分の露出面とで形成されており、第3絶縁層32の上面32aには凹部がほとんど形成されないことが好ましい。また、無機粒子は、ビア開口37の内壁面37aを形成する第3無機粒子をさらに含むことが好ましい。ビア開口37の内壁面37aは、第3無機粒子と樹脂とによって形成されており、第3無機粒子の平坦部と樹脂とにより、平坦な面となっていることが好ましい。
【0016】
図2に示す中間体においては、シード層38を形成する際、銅と特定卑金属を有する合金をスパッタすることにより第1層38-1を形成し、その後第1層38-1上に銅をスパッタすることにより第2層38-2を形成している。すなわち、第1層38-1上にスパッタリングにより銅のスパッタ膜からなる第2層38-2を形成している。そのため、第2層38-2を形成する際、第1層38-1が酸化することがなく、第1層38-1と第2層38-2との密着性が良好なシード層38を形成することができる。その結果、第3絶縁層32と第3導体層31およびビア導体39との間の接続信頼性を高めることができる。
【0017】
<本発明の配線基板の特徴となる第3ビルドアップ部BU3の製造方法について>
第1ビルドアップ部BU1、第2ビルドアップ部BU2、および、第4ビルドアップ部BU4については、交互に積層される複数の第1絶縁層12及び複数の第1導体層11の形成、交互に積層される複数の第2絶縁層22及び複数の第2導体層21の形成、および、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層42及び少なくとも1層の第4導体層41の形成を、従来から公知の方法で行うことができる。ここでは、それらの詳細については説明を省いている。
【0018】
図3A図3Iを参照にして、本発明の配線基板の特徴となる第3ビルドアップ部BU3の製造方法について説明する。
【0019】
まず、図3Aに示すように、下層L2上に、対象となる層L1の樹脂からなる第3絶縁層32および保護膜36を形成する。樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはこれらの複合樹脂を用いることが好ましい。保護膜36としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムなどを用いることが好ましい。
【0020】
次に、図3Bに示されるように、保護膜36の上からレーザ光が照射される。レーザ光は保護膜36と第3絶縁層32とを同時に貫通する。これにより、下層L2の第3導体層31上にビア導体形成用のビア開口37が形成される。レーザ光は、例えばUVレーザ光、COレーザ光である。ビア開口37により下層の第3導体層31が露出される。ビア開口37が形成される時、第3絶縁層32の上面32aは保護膜36で覆われている。そのため、ビア開口37が形成される時、樹脂が飛散しても、第3絶縁層32の上面32aへの樹脂の付着が抑制される。
【0021】
次に、図3Cに示されるように、第3絶縁層32の上面32aを保護膜36で覆った状態で、ビア開口37内に対しドライプロセス(プラズマ)でデスミア処理を行う。これにより、ビア開口37の内壁面37aは粗化されるが、第3絶縁層32の上面32aは粗化されない。デスミア処理は、例えばフルオロカーボン系ガスを含む反応性イオンエッチング(RIE)により行うことができる。
【0022】
次に、図3Dに示されるように、第3絶縁層32の上面32aから保護膜36が除去される。保護膜36の除去後、第3絶縁層32の上面32aを荒らすことは行われない。保護膜36の除去後、第3絶縁層32の上面32aが、Arスパッタリングによるドライエッチングにより、クリーニングされる。
【0023】
次に、図3Eに示されるように、第3絶縁層32の上面32a上にシード層38が形成される。シード層38はスパッタによって形成される。シード層38の形成はドライプロセスで行われる。シード層38はビア開口37から露出する下層の第3導体層31の上面とビア開口37の内壁面37aにも形成される。本実施形態では、シード層38は、銅とケイ素とアルミニウムを含む合金をスパッタすることにより形成される第1層38-1と、その上に銅をスパッタすることで形成される第2層38-2と、で構成されている。
【0024】
次に、図3Fに示されるように、シード層上にめっきレジスト40が形成される。めっきレジスト40は、導体パッド31aと配線31bとからなる第3導体層31を形成するための開口を有する。
【0025】
次に、図3Gに示されるように、めっきレジスト40から露出するシード層38上に電解めっき層31dが形成される。電解めっき層31dはビア開口37を充填する。電解めっき層31dは、めっきレジスト40の高さより高く形成される。すなわち、例えば、図3Gに示されるように、電解めっき層31dが、めっきレジスト40の上面よりも外側に、上面が凸球面状を有するように形成される。
【0026】
次に、図3Hに示されるように、電解めっき層31d、及び、めっきレジスト40の上側の一部が、研磨によって除去される。研磨は、電解めっき層31dの厚さが求められる所望の厚さとなるまで行われる。研磨は、例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により実施される。
【0027】
その後、めっきレジスト40およびその下層のシード層38が除去される。これにより、図3Iに示されるように、第3絶縁層32の上面32a上のシード層38と電解めっき層31dによって、配線31bが形成される。ビア開口37内のシード層38と電解めっき層31dによって、ビア開口37内にビア導体と、その上に導体パッド31aが形成される。以上のようにして、図3Iに示されるように、本発明の一実施形態に係る配線基板が得られる。
【0028】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3において、シード層38を形成する際、銅と特定卑金属を有する合金をスパッタすることにより第1層38-1を形成し、その後第1層38-1上に銅をスパッタすることにより第2層38-2を形成している。すなわち、第1層38-1上にスパッタリングにより銅のスパッタ膜からなる第2層38-2を形成している。そのため、第2層38-2を形成する際、第1層38-1が酸化することがなく、第1層38-1と第2層38-2との密着性が良好なシード層38を形成することができる。その結果、第3絶縁層32と第3導体層31およびビア導体39との間の接続信頼性を高めることができる。
【0029】
以下、本発明に係る配線基板において、好適な実施形態について説明する。
【0030】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3導体層31の配線31bの最小の配線幅が3μm以下、最小の配線間隔が3μm以下であることが好ましい。さらに、第3導体層31に含まれる配線31bは、アスペクト比が2以上4以下となるように形成されていることが好ましい。このように、第3ビルドアップ部BU3が、配線幅及び配線間距離が比較的小さく、且つ、比較的高いアスペクト比を有する配線31bを有していることにより、表層部に比較的高密度の配線31bを有する配線基板が実現され得る。配線基板の表層部において搬送される電気信号に対応した、より適切な配線が提供される。
【0031】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3導体層に含まれる配線の上面は研磨面であることが好ましい。第3導体層31に含まれる配線の上面を研磨面とすることで、第3導体層31の上面は粗さが比較的小さく平坦であり、よって、第3導体層31は比較的均一な厚さとされている。
【0032】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3絶縁層32が樹脂と無機粒子とで構成されている場合、第3絶縁層32に含まれる無機粒子の最大粒径が、第1絶縁層12及び第2絶縁層22に含まれる無機粒子の最大粒径よりも小さいことが好ましい。比較的高密度に形成される配線31bに接する第3絶縁層32に無機粒子が含まれる場合に、隣り合う配線31b、31b間に粒径の比較的大きい無機粒子が位置すると、無機粒子の表面を介するマイグレーションにより配線31b、31b間の短絡が発生する場合がある。従って、第3絶縁層32に含まれ得る無機粒子の最大の粒径が比較的小さいことで、配線31b、31bにおける短絡の虞が低減することができる。
【0033】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3導体層31が第3絶縁層32に形成された溝を充填する導体で形成されていることが好ましい。本実施形態のシード層38を介してトレンチ構造を形成することで、トレンチ部に形成した配線によって搬送される信号の挿入損失がより低減される。
【0034】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3ビルドアップ部BU3を構成する第3絶縁層32の体積と第4ビルドアップ部BU4を構成する第4絶縁層42の体積とは、略等しいことが好ましい。また、第3ビルドアップ部BU3における導体が占める体積と第4ビルドアップ部BU4における導体が占める体積とは、略等しいことが好ましい。これらの条件を満たすことで、配線基板1の反りを低減させることができる。
【0035】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、ビア開口37の底部の径は20μm以上50μm以下であることが好ましい。本発明のシード層38を用いる効果は、ビア開口37の側部の径が20μm以上50μm以下の小さい径のビア開口37に対しより効果的である。
【符号の説明】
【0036】
1 配線基板
11 第1導体層
12 第1絶縁層
21 第2導体層
22 第2絶縁層
31 第3導体層
31a 導体パッド
31b 配線
31d 電解めっき層
32 第3絶縁層
32a 上面
36 保護膜
37 ビア開口
37a 内壁面
38 シード層
38-1 第1層
38-2 第2層
39 ビア導体
40 めっきレジスト
41 第4導体層
42 第4絶縁層
BU1 第1ビルドアップ部
BU2 第2ビルドアップ部
BU3 第3ビルドアップ部
BU4 第4ビルドアップ部
CS コア基板
CS1 第1面
CS2 第2面
L1 対象となる層
L2 下層
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図4