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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023425
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20250207BHJP
【FI】
A01C11/02 302C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127532
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000100469
【氏名又は名称】みのる産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】大坪 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】竹田 圭佑
【テーマコード(参考)】
2B060
【Fターム(参考)】
2B060AA06
2B060AC01
2B060AD07
2B060AE01
2B060BA04
2B060CA09
2B060CB02
2B060CB11
2B060CB17
2B060CB23
2B060CB27
2B060CC05
(57)【要約】
【課題】横送りベルトに載置されるポット苗の位置が、横送りベルトの幅方向にずれている場合でも、送り出し爪によりポット苗を下方へ良好に送り出すことができる移植機を提供する。
【解決手段】この移植機は、横送りベルト60と、送り出し爪70とを備える。横送りベルト60は、ポット苗Nを載置しつつ移植機の左右方向に搬送する。送り出し爪70は、横送りベルト60の終端部においてポット苗Nに上方から接触することにより、ポット苗Nを下方へ送り出す。左右方向に見た状態において、送り出し爪70は、横送りベルト60の全幅の80%以上と重なる。このため、横送りベルト60に載置されるポット苗Nの位置が、横送りベルト60の幅方向にずれている場合でも、送り出し爪70によりポット苗を下方へ良好に送り出すことができる。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポット苗を圃場に移植する移植機であって、
前記ポット苗を載置しつつ移植機の左右方向に搬送する横送りベルトと、
前記横送りベルトの終端部において前記ポット苗に上方から接触することにより、前記ポット苗を下方へ送り出す送り出し爪と、
を備え、
左右方向に見た状態において、前記送り出し爪は、前記横送りベルトの全幅の80%以上と重なる、移植機。
【請求項2】
請求項1に記載の移植機であって、
左右方向に見た状態において、前記横送りベルトの全幅のうち、前記送り出し爪と重ならない部分の幅は、前記ポット苗の根鉢部の高さの40%以下である、移植機。
【請求項3】
請求項1に記載の移植機であって、
左右方向に見た状態において、前記送り出し爪は、前記横送りベルトの全幅と重なる、移植機。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の移植機であって、
前記送り出し爪が前記ポット苗に上方から接触するときに、前記ポット苗の茎葉部に下側から接触する苗支え部
をさらに備える、移植機。
【請求項5】
請求項4に記載の移植機であって、
左右方向に見た状態において、前記苗支え部は、前記横送りベルトの幅方向の両端部よりも外側に位置する、移植機。
【請求項6】
請求項4に記載の移植機であって、
前記苗支え部は、左右方向の外側へ向かうにつれて、徐々に高さが低くなる傾斜部を有する、移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポット苗を圃場に移植する移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、根鉢部を有するポット苗を、苗箱から取り出して圃場に移植する移植機が知られている。従来の移植機については、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
この種の移植機は、ポット苗を左右方向に搬送する横送りコンベアと、横送りコンベアにより搬送されたポット苗を植付け部へ送り出す送り出し爪と、を備えている。送り出し爪は、横送りコンベアの終端部付近において、上下に往復移動する。送り出し爪は、横送りコンベアから落下するポット苗の根鉢部に、上方から接触する。これにより、ポット苗の姿勢を起立させつつ、ポット苗を下方へ送り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-37687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の送り出し爪は、ポット苗の根鉢部のみに接触するような幅で形成されていた。このため、例えば特許文献1の図8のように、送り出し爪は、横送りベルトの全幅のうち、根鉢部が搬送される付近のみと重なるように構成されていた。しかしながら、当該構成では、横送りベルトの上面において、ポット苗が幅方向(後方)にずれた位置に配置された場合、送り出し爪が根鉢部に接触できない。これにより、ポット苗の搬送不良が生じる場合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、横送りベルトに載置されるポット苗の位置が、横送りベルトの幅方向にずれている場合でも、送り出し爪によりポット苗を下方へ良好に送り出すことができる移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、ポット苗を圃場に移植する移植機であって、前記ポット苗を載置しつつ移植機の左右方向に搬送する横送りベルトと、前記横送りベルトの終端部において前記ポット苗に上方から接触することにより、前記ポット苗を下方へ送り出す送り出し爪と、を備え、左右方向に見た状態において、前記送り出し爪は、前記横送りベルトの全幅の80%以上と重なる。
【0008】
本願の第2発明は、第1発明の移植機であって、左右方向に見た状態において、前記横送りベルトの全幅のうち、前記送り出し爪と重ならない部分の幅は、前記ポット苗の根鉢部の高さの40%以下である。
【0009】
本願の第3発明は、第1発明の移植機であって、左右方向に見た状態において、前記送り出し爪は、前記横送りベルトの全幅と重なる。
【0010】
本願の第4発明は、第1発明から第3発明までのいずれか1発明の移植機であって、前記送り出し爪が前記ポット苗に上方から接触するときに、前記ポット苗の茎葉部に下側から接触する苗支え部をさらに備える。
【0011】
本願の第5発明は、第4発明の移植機であって、左右方向に見た状態において、前記苗支え部は、前記横送りベルトの幅方向の両端部よりも外側に位置する。
【0012】
本願の第6発明は、第4発明の移植機であって、前記苗支え部は、左右方向の外側へ向かうにつれて、徐々に高さが低くなる傾斜部を有する。
【発明の効果】
【0013】
本願の第1発明~第6発明によれば、横送りベルトに載置されるポット苗の位置が、横送りベルトの幅方向にずれている場合でも、送り出し爪によりポット苗を下方へ良好に送り出すことができる。
【0014】
特に、第4発明によれば、送り出し爪によりポット苗が下向きに押されるときに、ポット苗の茎葉部に苗支え部が接触する。これにより、ポット苗を起立させることができる。
【0015】
特に、第5発明によれば、ポット苗の茎葉部が苗支え部に引っ掛かることを抑制できる。
【0016】
特に、第6発明によれば、苗支え部に接触した茎葉部が、傾斜部に沿って左右方向の外側へ逃げることができる。これにより、苗支え部に茎葉部が引っ掛かることをより抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】苗箱の斜視図である。
図2】ポット苗を保持した苗箱の断面図である。
図3】移植機の側面図である。
図4】苗箱搬送部、押出機構、および苗反転機構の斜視図である。
図5】苗箱搬送部、押出機構、苗反転機構、横送りベルト、および送り出し爪の側面図である。
図6】横送りベルトおよび送り出し爪を含む移植機の部分背面図である。
図7】横送りベルトおよび送り出し爪の側面図である。
図8】横送りベルトおよび送り出し爪の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
<1.苗箱について>
まず、本実施形態の移植機1に使用される苗箱9について説明する。図1は、苗箱9の斜視図である。図2は、ポット苗Nを保持した苗箱9の断面図である。この苗箱9は、複数のポット苗Nを保持する容器である。ポット苗Nは、例えば、白菜等の葉菜類の苗である。ただし、ポット苗Nは、チンゲン菜、ほうれん草、キャベツ、ブロッコリーなどの苗であってもよい。
【0020】
苗箱9は、上面視において略長方形状の外形を有する。後述する移植機1において、苗箱9は、その長手方向である搬送方向に搬送される。図1および図2に示すように、苗箱9は、複数の苗室91を有する。複数の苗室91は、搬送方向および搬送方向に直交する左右方向に、間隔をあけて配列されている。
【0021】
苗室91は、苗箱9の上面から下側へ向けて凹んだ凹部である。苗室91の形状は、例えば、下方へ向かうにつれて徐々に縮径する円錐台状である。各苗室91の底面には、底孔(図示省略)が設けられている。底孔は、例えばY字状の切れ込みである。ただし、底孔は、十字状の切れ込みであってもよく、あるいは、円形の貫通孔であってもよい。
【0022】
また、苗箱9は、左右の両側部に複数の搬送孔92を有する。搬送孔92は、後述する移植機1において苗箱9を搬送するための孔である。複数の搬送孔92は、搬送方向に間隔をあけて配列されている。搬送孔92の搬送方向の間隔は、苗室91の搬送方向の間隔と同一である。
【0023】
ポット苗Nは、苗箱9の各苗室91に土を入れて、播種・育苗を行うことにより得られる。図2に示すように、ポット苗Nは、根鉢部N1と茎葉部N2とを有する。根鉢部N1は、苗室91に収容された土と、土中に延びた苗の根により構成される。茎葉部N2は、根鉢部N1から上方へ延びた茎および葉により構成される。苗箱9は、複数のポット苗Nを保持した状態で、移植機1に載置される。
【0024】
<2.移植機の構成>
図3は、移植機1の側面図である。この移植機1は、圃場Gを走行しつつ、苗箱9からポット苗Nを順次に取り出して、圃場Gへ移植する装置である。移植機1は、本体部10、苗箱載置台20、苗箱搬送部30、押出機構40、苗反転機構50、横送りベルト60、送り出し爪70、および植付け部80を備える。
【0025】
本体部10は、エンジン11と、4つの車輪12とを有する。4つの車輪12は、2つの前輪と、2つの後輪とを含む。車輪12は、エンジン11から出力される動力により回転する。これにより、本体部10が前方へ進行する。後述する苗箱搬送部30、押出機構40、苗反転機構50、横送りベルト60、送り出し爪70、および植付け部80は、エンジン11からPTO軸を介して伝達される動力、または、車輪12から伝達される動力により動作する。
【0026】
また、本体部10は、座席13および操作部14を有する。座席13および操作部14は、本体部10の後部に設けられている。作業者は、座席13に着座した状態で、操作部14を操作することにより、移植機1を操縦する。
【0027】
苗箱載置台20は、移植前または移植後の苗箱9を載置する台である。苗箱載置台20は、座席13の近傍に設けられている。移植機1の使用時には、座席13に着座した作業者が、苗箱載置台20から移植前の苗箱9を取り出して、苗箱搬送部30へセットする。また、作業者は、ポット苗Nが移植されて空になった苗箱9を、苗箱搬送部30から取り出して、苗箱載置台20へ収納する。
【0028】
図4は、苗箱搬送部30、押出機構40、および苗反転機構50の斜視図である。図5は、苗箱搬送部30、押出機構40、苗反転機構50、横送りベルト60、および送り出し爪70の側面図である。
【0029】
苗箱搬送部30は、苗箱9を、移植機1内の所定の搬送経路に沿って搬送する機構である。図4に示すように、苗箱搬送部30は、搬送面31と、苗箱送り機構32とを有する。搬送面31は、操作部14の前方の位置から、前方へ向かって斜め下向きに延びる。移植機1の使用時には、作業者が、複数のポット苗Nを保持した苗箱9を、搬送面31にセットする。
【0030】
苗箱送り機構32は、搬送面31にセットされた苗箱9を、所定のピッチで断続的に搬送する機構である。苗箱送り機構32は、苗箱9の搬送孔92に爪を係合させて、その爪を下向きに移動させることにより、苗箱9を搬送する。苗箱9の搬送ピッチ(一回の送り動作により苗箱9が搬送される距離)は、複数の苗室91の搬送方向の間隔と同一である。
【0031】
押出機構40は、苗箱搬送部30による苗箱9の搬送経路上の所定の位置(以下「押出位置」と称する)において、苗箱9からポット苗Nを押し出す機構である。押出機構40は、複数の押出棒41を有する。複数の押出棒41は、左右方向に一定の間隔で配列されている。また、複数の押出棒41は、左右方向に延びる連結部42によって、一体化されている。隣り合う押出棒41の間隔は、苗箱9における苗室91の左右方向の間隔と同一である。
【0032】
苗箱9は、押出位置において、略鉛直下向きに搬送される。このとき、苗箱9の姿勢は、ポット苗Nの根鉢部N1が後、茎葉部N2が前に配置された状態となっている。押出機構40は、複数の苗室91が押出位置に配置されると、複数の押出棒41を前方へ突き出す。そうすると、複数の苗室91に底孔を介して押出棒41が挿入されることにより、各苗室91からポット苗Nが前方へ押し出される。これにより、左右方向に並ぶ複数のポット苗N(一列分のポット苗N)が、苗箱9から取り出される。
【0033】
苗反転機構50は、苗箱9から取り出されたポット苗Nの姿勢を反転させて、横送りベルト60へ移載する機構である。図4に示すように、苗反転機構50は、苗受け部材51を有する。苗受け部材51は、苗箱9の搬送周期に合わせて、押出位置の前方の受け取り位置と、受け取り位置の下方の受け渡し位置との間で往復移動する。苗箱9からポット苗Nが押し出されるときには、苗受け部材51は、受け取り位置に配置される。
【0034】
苗受け部材51は、左右方向に並ぶ複数の受け溝52を有する。苗箱9から押し出された複数のポット苗Nは、受け溝52に根鉢部N1が挿入された状態で、苗受け部材51に保持される。その後、苗受け部材51は、受け取り位置から受け渡し位置へ移動して、複数のポット苗Nを横送りベルト60へ落とす。その際、苗受け部材51が反転することにより、ポット苗Nは、根鉢部N1が前、茎葉部N2が後となる姿勢で、横送りベルト60に載置される。
【0035】
図6は、横送りベルト60および送り出し爪70を含む移植機1の部分背面図である。
【0036】
横送りベルト60は、複数のポット苗Nを載置しつつ、左右に搬送する機構である。本実施形態の移植機1は、左右に並ぶ一対の横送りベルト60を有する。左側の横送りベルト60は、苗受け部材51の左半分の受け溝52から落下した複数のポット苗Nを、左方向へ搬送する。右側の横送りベルト60は、苗受け部材51の右半分の受け溝52から落下した複数のポット苗Nを、右方向へ搬送する。
【0037】
各横送りベルト60は、一対のプーリの間に架け渡された環状の平ベルトである。横送りベルト60は、プーリの回転に伴って回動し、上面に載置されたポット苗Nを水平方向(右方向または左方向)に搬送する。
【0038】
送り出し爪70は、横送りベルト60により搬送されたポット苗Nを、下方へ送り出す機構である。送り出し爪70は、左右の横送りベルト60の搬送方向の終端付近に、それぞれ設けられている。送り出し爪70は、その下端部が横送りベルト60の上面よりも高い上昇位置と、その下端部が横送りベルト60の上面よりも低い下降位置との間で、ポット苗Nの搬送周期に合わせて、上下に往復移動する。
【0039】
横送りベルト60により搬送されたポット苗Nが、横送りベルト60の終端部から下方へ落下する際、送り出し爪70は、上昇位置から下降位置へ移動することにより、ポット苗Nに上方から接触する。これにより、ポット苗Nが下方へ送り出されるとともに、ポット苗Nの姿勢が起立する。その後、ポット苗Nは、一対の送り出しローラの間を通って、下方に位置する植付けカップ81へ投入される。
【0040】
植付け部80は、圃場Gにポット苗Nを植え付ける機構である。植付け部80は、一対の送り出しローラの下方に、設けられている。図3に示すように、植付け部80は、植付けカップ81を有する。植付けカップ81は、下端部が開閉可能なカップである。植付けカップ81は、送り出しローラの下方の受け取り位置と、受け取り位置よりもさらに下方の植付け位置との間で、上下に往復移動する。
【0041】
受け取り位置では、植付けカップ81の下端部が閉じている。植付けカップ81は、受け取り位置において、送り出しローラからポット苗Nを受け取る。植付け位置では、圃場Gに植付けカップ81の下端部が挿入されるととともに、当該下端部が開く。これにより、圃場Gに穴が形成されて、植付けカップ81から当該穴へポット苗Nが落下する。その結果、圃場Gにポット苗Nが植え付けられる。
【0042】
<3.送り出し爪について>
図7および図8は、横送りベルト60および送り出し爪70の側面図である。図7および図8に示すように、送り出し爪70は、上下に回動するアーム71の先端に取り付けられている。送り出し爪70は、下方へ向けて延びる複数の突起72を有する。複数の突起72は、前後方向に間隔をあけて配列されている。突起72の数は、4本以上であることが望ましく、本実施形態では5本である。
【0043】
送り出し爪70は、アーム71の回動に伴い、図7に示す上昇位置と、図8に示す下降位置との間で、上下に往復移動する。そして、送り出し爪70は、上昇位置から下降位置へ移動する際、横送りベルト60の終端部から落下するポット苗Nに上方から接触して、ポット苗Nを下方へ送り出す。
【0044】
図8のように、横送りベルト60を左右方向に見た状態(左側の横送りベルト60の場合、左の外側から見た状態)において、下降位置の送り出し爪70は、横送りベルト60の幅方向(前後方向)の略全幅D1を覆っている。このため、横送りベルト60に載置されるポット苗Nの位置が、横送りベルト60の幅方向にずれている場合でも、ポット苗Nの根鉢部N1に、送り出し爪70が接触する。したがって、ポット苗Nを下方へ良好に送り出すことができる。
【0045】
横送りベルト60におけるポット苗Nの幅方向の位置ずれに対応するために、横送りベルト60を左右方向に見た状態において、送り出し爪70の幅D2は、横送りベルト60の全幅D1の80%以上と重なっていることが望ましい。また、横送りベルト60を左右方向に見た状態において、送り出し爪70の幅D2は、横送りベルト60の全幅D1の90%以上と重なっていることが、より望ましい。また、横送りベルト60を左右方向に見た状態において、送り出し爪70の幅D2は、横送りベルト60の全幅D1と重なっていることが、さらに望ましい。
【0046】
また、横送りベルト60におけるポット苗Nの幅方向の位置ずれに対応するために、横送りベルト60を左右方向に見た状態において、横送りベルト60の全幅D1のうち、送り出し爪70と重ならない部分の幅は、ポット苗Nの根鉢部N1の高さHの40%以下であることが望ましい。また、横送りベルト60を左右方向に見た状態において、横送りベルト60の全幅D1のうち、送り出し爪70と重ならない部分の幅は、ポット苗Nの根鉢部N1の高さHの30%以下であることが、より望ましい。
【0047】
また、図5図8に示すように、移植機1は、苗支え部73を有する。苗支え部73は、横送りベルト60を支持するフレームに対して、固定されている。苗支え部73は、送り出し爪70がポット苗Nに上方から接触するときに、図8のように、ポット苗Nの茎葉部N2に下側から接触する。これにより、ポット苗Nを水平姿勢から起立させることができる。
【0048】
ただし、茎葉部N2が苗支え部73に引っ掛かると、ポット苗Nが下方へ送り出されにくくなる。しかしながら、本実施形態では、図7および図8のように、横送りベルト60を左右方向に見た状態において、苗支え部73は、横送りベルト60の幅方向の両端部よりも外側に位置する。このようにすれば、苗支え部73が、横送りベルト60の幅方向の両端部よりも内側に位置する場合と比べて、茎葉部N2の先端側の部分に、苗支え部73が接触する。これにより、茎葉部N2が苗支え部73に引っ掛かることを抑制できる。
【0049】
また、図6図8に示すように、苗支え部73は、左右方向に対して傾斜する傾斜部を有する。傾斜部の上面は、左右方向の外側へ向かうにつれて、徐々に高さが低くなる。ポット苗Nの茎葉部N2は、苗支え部73の当該傾斜部に接触する。その際、傾斜部に接触した茎葉部N2は、傾斜部に沿って、左右方向の外側へ逃げることができる。これにより、苗支え部73に茎葉部N2が引っ掛かることを、より抑制できる。その結果、横送りベルト60から植付け部80への搬送の成功率を向上させることができる。
【0050】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0051】
上記の実施形態では、左右2条分のポット苗Nを同時に移植できる、いわゆる2条植の移植機1について説明した。しかしながら、本発明の移植機は、2条植には限られない。本発明の移植機は、例えば、1条植、4条植、6条植、8条植の移植機であってもよい。
【0052】
また、上記の実施形態では、作業者が搭乗して操作する、いわゆる乗用式の移植機1について説明した。しかしながら、本発明の移植機は、乗用式には限られない。本発明の移植機は、作業者が追随して歩行しながら操作する、いわゆる歩行式の移植機であってもよい。
【0053】
また、移植機の細部の構成については、本願の各図に示された形状と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 移植機
9 苗箱
10 本体部
11 エンジン
12 車輪
13 座席
14 操作部
20 苗箱載置台
30 苗箱搬送部
31 搬送面
32 苗箱送り機構
40 押出機構
41 押出棒
42 連結部
50 苗反転機構
51 苗受け部材
52 受け溝
60 横送りベルト
70 送り出し爪
71 アーム
72 突起
73 苗支え部
80 植付け部
81 植付けカップ
91 苗室
92 搬送孔
D1 横送りベルトの全幅
D2 送り出し爪の幅
G 圃場
H 根鉢部の高さ
N ポット苗
N1 根鉢部
N2 茎葉部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8