(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023451
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】浄化処理システム
(51)【国際特許分類】
C02F 11/00 20060101AFI20250207BHJP
E03F 11/00 20060101ALN20250207BHJP
【FI】
C02F11/00 Z ZAB
E03F11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127570
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000110778
【氏名又は名称】ニシム電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】高野 純護
(72)【発明者】
【氏名】福島 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】蔭西 鋭次
(72)【発明者】
【氏名】坂井 謙一
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA01
4D059BA11
4D059BE42
4D059BE49
4D059BK11
4D059CA21
4D059CA23
4D059DB08
4D059EA20
4D059EB20
(57)【要約】
【課題】固形物等の汚物が直接投入される原水槽において、嫌気状態を維持しつつ固液分離を効果的に行うことができる浄化処理システムを提供する。
【解決手段】汚物を含む被処理水13を浄化処理し、洗浄水として循環する浄化処理システム1において、液体汚物及び/又は粉砕された固形汚物を含む前記被処理水13が投入される原水槽22と、前記原水槽22よりも後段側に配設され、前記原水槽22で浄化処理された被処理水13を前記汚物を洗浄するための洗浄水として貯留する洗浄水槽24とを備え、前記原水槽22は、前記被処理水13が投入される投入領域80aと濾過膜31による固液分離を行う処理領域80bとに少なくとも領域区分されており、それぞれの領域の境界部分に前記被処理水13が投入される場合に生じる水流を吸収可能な仕切部82が設けられ、当該仕切部82の下部領域において前記投入領域80aと前記処理領域80bとが連通する開口部83を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物を含む被処理水を浄化処理し、洗浄水として循環する浄化処理システムにおいて、
液体汚物及び/又は粉砕された固形汚物を含む前記被処理水が投入される原水槽と、
前記原水槽よりも後段側に配設され、前記原水槽で浄化処理された被処理水を前記汚物を洗浄するための洗浄水として貯留する洗浄水槽とを備え、
前記原水槽は、前記被処理水が投入される投入領域と濾過膜による固液分離を行う処理領域とに少なくとも領域区分されており、それぞれの領域の境界部分に前記被処理水が投入される場合に生じる水流を吸収可能な仕切部が設けられ、当該仕切部の下部領域において前記投入領域と前記処理領域とが連通する開口部を有することを特徴とする浄化処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の浄化処理システムにおいて、
前記開口部により前記投入領域と前記処理領域とが連通する連通領域に、前記汚物として前記被処理水に含まれるパルプ繊維を少なくとも含む固形物からなるブランケット層が形成されていることを特徴とする浄化処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の浄化処理システムにおいて、
前記ブランケット層が形成されている領域の外装に当該ブランケット層と外部とを挿通する排出孔が形成されており、前記ブランケット層が所定の高さ以上になった場合に、前記ブランケット層を形成する固形物を含む被処理水を前記排出孔から排出する排出処理部と、
前記排出処理部で排出された排出物を貯留する外部タンクとを備えることを特徴とする浄化処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の浄化処理システムにおいて、
前記ブランケット層と外部とを挿通する排出孔が複数形成されており、
前記投入領域側から前記処理領域側にいくにしたがって、前記排出孔から排出される前記被処理水の量が少なくなっていることを特徴とする浄化処理システム。
【請求項5】
請求項3に記載の浄化処理システムにおいて、
前記所定の高さが含まれる位置の外装に前記ブランケット層の高さを撮像可能な透明な窓部が形成されており、
外部から前記窓部を通して前記ブランケット層の高さを撮像し、撮像された画像に基づいて前記ブランケット層が前記所定の高さ以上であるかどうかを判定する判定部を備えることを特徴とする浄化処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚物を含む被処理水を浄化して洗浄水として循環する浄化処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
循環式トイレに関する技術として、例えば特許文献1、2に示す技術が開示されている。特許文献1に示す技術は、内部に収容空間を有する移動可能なコンテナを備え、このコンテナの内部に、汚水が貯蔵された原水槽から汚水を供給され、嫌気条件下にて汚水を浄化し、悪臭とスカム及び汚泥の発生を抑制する沈殿分離槽と、沈殿分離槽を経由した処理水が供給され、好機条件下にて散気管と微生物担体を利用して処理水を浄化する接触曝気槽と、接触曝気槽を経由した処理水が供給され、浮遊物を濾過し高酸素濃度の処理水を原水槽に返送する濾過沈殿槽と、濾過沈殿槽を経由した処理水が供給される流量調整槽と、流量調整槽を経由した処理水が供給され、処理水に含まれている有機物と化学物質を分解し、浮遊物と色素成分を吸着する土壌処理槽と、土壌処理槽を経由した処理水を集水槽に貯蔵し、給水装置を通じて集水槽の処理水をトイレ棟に供給する装置とを含んでおり、原水槽においては返送水で上から激しく叩き付けつつ、曝気を行うことで糞尿やトイレットペーパーを小さな破片にすることが開示されている。
【0003】
特許文献2に示す技術は、トイレ棟から供給される汚水を浄化処理する原水槽と、原水槽を経た処理水を嫌気条件下にて浄化し悪臭とスカム及び汚泥の発生を抑制する沈殿分離槽と、沈殿分離槽を経た処理水を好機条件下において散気管と微生物担体を利用して浄化する接触曝気槽と、接触曝気槽を経た処理水から浮遊物を濾過して高酸素濃度の処理水を上記原水槽に返送する濾過沈殿槽と、濾過沈殿槽を経た処理水を脱色及び殺菌する脱色殺菌槽と、脱色殺菌槽を経た処理水が供給される流量調整槽と、流量調整槽を経た処理水に含まれる有機物と化学物質及び浮遊物質を分解し色素成分を吸着する土壌処理槽と、土壌処理槽を経た処理水を貯蔵する集水槽と、給水装置を通じて集水槽内の処理水をトイレ棟に供給する装置とを含んでおり、原水槽では、トイレットペーパーの塊を散気管で発生する微細気泡により拡散すると共に、濾過沈殿槽から返送される高酸素濃度の処理水が第1及び第2槽の上部に配置された散水管から下方に散水され、汚水内に含まれているアンモニア性窒素を硝酸性窒素に変化させ、悪臭を除去および希釈することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-54534号公報
【特許文献2】特開2022-54535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に示すように、便器から送られてくる汚物などは一般的に原水槽に投入されるが、原水槽において処理対象となる被処理水は、浄化処理における初期の段階であるため通常トイレットペーパーや固形物などが多く含まれている。原水槽では、これらの固形物やトイレットペーパーを曝気処理を行うことで細かく粉砕しながら好気処理が行われていた。
【0006】
発明者らは、原水槽において、所定の条件下で嫌気処理を行いながら固液分離を行うことで、効果的に洗浄水を循環できることを見い出したが、従来知られている原水槽の構造は、発明者らが見い出した嫌気処理を行いながら固液分離を行うという新たな手法を実現するのに適していないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、固形物等の汚物が直接投入される原水槽において、嫌気状態を維持しつつ固液分離を効果的に行うことができる浄化処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る浄化処理システムは、汚物を含む被処理水を浄化処理し、洗浄水として循環する浄化処理システムにおいて、液体汚物及び/又は粉砕された固形汚物を含む前記被処理水が投入される原水槽と、前記原水槽よりも後段側に配設され、前記原水槽で浄化処理された被処理水を前記汚物を洗浄するための洗浄水として貯留する洗浄水槽とを備え、前記原水槽は、前記被処理水が投入される投入領域と濾過膜による固液分離を行う処理領域とに少なくとも領域区分されており、それぞれの領域の境界部分に前記被処理水が投入される場合に生じる水流を吸収可能な仕切部が設けられ、当該仕切部の下部領域において前記投入領域と前記処理領域とが連通する開口部を有するものである。
【0009】
このように、本発明に係る浄化処理システムにおいては、液体汚物及び/又は粉砕された固形汚物を含む前記被処理水が投入される原水槽と、前記原水槽よりも後段側に配設され、前記原水槽で浄化処理された被処理水を前記汚物を洗浄するための洗浄水として貯留する洗浄水槽とを備え、前記原水槽は、前記被処理水が投入される投入領域と濾過膜による固液分離を行う処理領域とに少なくとも領域区分されており、それぞれの領域の境界部分に前記被処理水が投入される場合に生じる水流を吸収可能な仕切部が設けられ、当該仕切部の下部領域において前記投入領域と前記処理領域とが連通する開口部を有するため、水流により原水槽内の被処理水が撹拌されることで酸素が混入したり、懸濁物質が浮遊することが抑えられ、原水槽内を嫌気状態に維持しやすくなると共に濾過膜の目詰まりを防止することができるという効果を奏する。
【0010】
すなわち、上述したように、発明者らは原水槽内において嫌気処理及び固液分離を行うことで効果的に洗浄水を循環できることを見い出しており、原水槽内を嫌気状態に維持しやすくなると共に濾過膜の目詰まりを防止できることで、効果的な浄化処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る浄化処理システムのシステム概要図である。
【
図2】第1の実施形態に係る浄化処理システムのシステム構成図である。
【
図3】第2の実施形態に係る浄化処理システムのシステム構成図である。
【
図4】第3の実施形態に係る浄化処理システムのシステム概要図である。
【
図5】第3の実施形態に係る浄化処理システムにおける原水槽と外部タンクとの構成を示す図である。
【
図6】第4の実施形態に係る浄化処理システムにおける原水槽の構造を示す図である。
【
図7】第5の実施形態に係る浄化処理システムにおける原水槽の構造を示す第1の図である。
【
図8】第5の実施形態に係る浄化処理システムにおける原水槽の構造を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る浄化処理システムについて、
図1及び
図2を用いて説明する。本実施形態に係る浄化処理システムは、例えばトイレなどで用を足したときの排泄物を含む被処理水を浄化処理することで新たな排泄物の洗浄水として再利用する循環式の浄化処理システムである。なお、本実施形態に係る浄化処理システムは、人間が用を足すためのトイレ以外にも家畜の排泄物を浄化処理したり、水を再利用するような浄化設備等に適用することが可能である。以下の実施形態では、人間が用を足すためのトイレの浄化処理システムについて説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る浄化処理システムのシステム概要図、
図2は、本実施形態に係る浄化処理システムのシステム構成図である。
図1及び
図2において、浄化処理システム1は、人間が用を足すためのトイレ室10a,10bと、トイレ室10a,10bの便器11a,11bに排出された排泄物やトイレットペーター等のその他汚物を含む被処理水13を浄化する浄化処理部20とを備える。なお、
図1及び
図2には図示しないが、以降の説明で記載されるポンプやバルブ等の制御は、制御部により各種センサで計測された情報に基づいて行われる。
【0014】
トイレ室10a,10bは、それぞれが個室になっており、使用者が入室して用を足すための便器11a,11bと、排泄物を流すための洗浄水を貯留しておく洗浄タンク12a,12bとが設置されている。洗浄タンク12a,12bは、後述する浄化処理部20から送られてくる洗浄水を貯留するが、浄化処理システム1の設置環境によっては公共の上水道や中水道から供給される上水や中水が貯留される構成とすることもできる(
図2の破線を参照)。
【0015】
また、排泄後に水を流した際に発生する排泄物やその他汚物を含む被処理水13は、後述する浄化処理部20に送られて浄化処理されるが、浄化処理システム1の設置環境によっては公共の下水道に接続して下水として排出する構成とすることもできる(
図2の一点鎖線を参照)。被処理水13を下水に排出するか、後段の浄化処理部20に送出するかは、第1モーターバルブ41a,41bによってその流路が制御される。第1モーターバルブ41a,41bの制御は、手動、又は予め設定された設定情報に基づいて制御部により行われる。
【0016】
浄化処理部20は、被処理水13に含まれる排泄物やトイレットペーパーなどの固形汚物を粉砕して被処理水13ごと次段の原水槽22に送り出す破砕ポンプ21と、被処理水13に対して有機物の分解を行うと共に、濾過膜31で固液分離を行うことで洗浄水を生成する原水槽22と、原水槽22で生成された洗浄水の殺菌を行う高度処理槽23と、殺菌処理がなされた洗浄水を貯留しておく洗浄水槽24と、洗浄水槽24に貯留された洗浄水を脱色・脱臭する活性炭フィルタ25と、洗浄水を洗浄タンク12a,12bに送り込むための圧力が掛かった圧力タンク26と、必要に応じて濾過膜31を洗浄する際に添加する薬液を貯留する薬液タンク27と、洗浄水槽24に貯留された洗浄水を高度処理槽23に返送して循環する場合に、循環する流通路において洗浄水を活性化するための活水器28とを備える。
【0017】
便器11a,11bから排出された被処理水13は、破砕ポンプ21で排泄物やトイレットペーパー等の固形物を破砕しながら液体汚物と共に次段の原水槽22に送られる。この破砕ポンプ21では大きめの固形物が粉砕されるため、原水槽22には細かい固形物と液体汚物と洗浄時に使用した洗浄水とが含まれる被処理水13が投入される。
【0018】
原水槽22では、被処理水13に含まれる有機物などの分解処理を行いながら、濾過膜31a,31bで固液分離を行う。原水槽22には嫌気性菌が常駐しており、被処理水13の投入と同時に嫌気性菌による嫌気処理が行われる。すなわち、原水槽22ではブロア等を用いた曝気処理を行わない。原水槽22に被処理水13が投入されると、比較的浮遊しやすいトイレットペーパー由来の汚泥と嫌気処理に適したし尿由来の汚泥とが、原水槽22の底部近傍に別々の層として堆積し、嫌気処理が進行しやすい環境が形成される。さらに、第4及び第5の実施形態において詳細を後述するが、トイレットペーパー由来の汚泥は、フィルタ層として機能することも可能となっている。
【0019】
また、被処理水13が便器11a,11bから原水槽22に投入される間のいずれかのタイミングで(例えば、使用者が用を足した後に便器11a,11bを洗浄するときに)、被処理水13を酸性にするためにクエン酸が投入される。クエン酸が投入されることで、原水槽22の被処理水13は酸性の状態となる。具体的には、pHが2.0~4.8の間に調整される。なお、このクエン酸の投入タイミングや投入量は、原水槽22におけるpHの測定結果に応じて制御部が適正な投入タイミングと投入量を演算して制御するようにしてもよい。また、クエン酸以外にも、例えば酢酸、有機酸(例えばリンゴ酸等)、炭酸、希塩酸、希硫酸、フッ酸、リン酸等を投入するようにしてもよい。
【0020】
つまり、原水槽22においては、酸性且つ嫌気状態にて嫌気処理が行われる。被処理水13が酸性になっているため、大腸菌などのように中性付近でよく繁殖する菌の増殖が抑えられると共に、活性汚泥の増殖が抑えられることで濾過膜31の目詰まりを防止することができる。また、被処理水13を酸性にすることでアンモニアなどの悪臭成分が多く溶け込み、悪臭の原因となるガスの発生を抑えることが可能となる。さらに、詳細は第2の実施形態において説明するが、被処理水13を酸性にすることでミネラルなどの溶解性物質が溶け込みやすくなり、当該溶解性物質が結晶化して濾過膜31を詰まらせてしまうことを防止することができる。そして、本実施形態においては、曝気処理を行わずに嫌気処理で有機物の分解等を行うため、曝気処理によりpHが上昇してしまうことがなくpHを2.0~4.8の酸性状態が維持され、上記の効果を維持することが可能となっている。
【0021】
上記に示した酸性状態における嫌気処理により、有機物が分解され、大腸菌を含む中性で増殖するような一般細菌が排除された洗浄水が生成される。一方で、難分解性の固形物などは懸濁物質として残留しやすいため、濾過膜31a,31b(例えばUF膜)により固液分離を行うことで、懸濁物質と洗浄水とを分離する。濾過膜31a,31bにより分離された洗浄水は、上記のように大腸菌などが排除され(発明者らの実験により検証済み)、濁りがない透過性が高い洗浄水(発明者らの実験により検証済み)となるためこのままで洗浄水として再利用することが可能であるが、より衛生的で安全性が高い洗浄水を得るために以下のような後処理を行う。
【0022】
なお、通常であれば一定期間運用された場合に、濾過膜31の交換など定期的なメンテナンスが必要であるが、本実施形態の場合は、上記のような酸性及び嫌気状態が維持されている間は濾過膜31が目詰まりすることがなく、メンテナンスが不要となっている。
【0023】
後処理では、手動又は制御部の制御により第2モーターバルブ42a,42bを開いた状態で、濾過膜31a,31bを通して第1ポンプ32で吸い上げられた固液分離された洗浄水が、高度処理槽23に投入される。原水槽22と高度処理槽23とを接続する流通路の途中には第1圧力センサ43が設置されており、制御部は第1圧力センサ43の計測結果に応じて濾過膜31a,31bの目詰まり具合を判定する。すなわち、第1圧力センサ43の負圧が大きい場合は濾過膜31a,31bが目詰まりしている可能性があると判断し、遠方から管理している管理者に対して警報等を行う。高度処理槽23では、より衛生的で安全性が高い洗浄水を得るためにオゾン(O3)による除菌等が行われる。
【0024】
高度処理槽23に投入された洗浄水は、第2ポンプ33で吸い出されて、オゾン添加部51でオゾンが添加され、再び高度処理槽23に返送される。オゾンが添加された洗浄水は菌、ウイルス、その他オゾンで除去できる物質が除去されて安全性が向上する。高度処理槽23に洗浄水が滞留している間は、常時もしくは定期的又は不定期に第2ポンプ33を駆動することでオゾンにより殺菌等が行われ、高度処理槽23内の洗浄水を綺麗に保つことができる。第2ポンプ33の駆動は、手動、又は予め設定された設定情報に基づく制御部の制御により行われる。また、高度処理槽23には第1水位センサ44が設置されており、制御部は、第1水位センサ44の水位が所定の値より低くなると第1ポンプ32を駆動して原水槽22から高度処理槽23に洗浄水が流入するように制御する。さらに、制御部は、第1水位センサ44の水位が所定の値より低くなると後述する第3ポンプ34をロックして洗浄水槽24から圧力タンク26に洗浄水が送水されないように制御する。
【0025】
高度処理槽23と次段の洗浄水槽24とは下方の流通路で接続されており、高度処理槽23の洗浄水は自然に洗浄水槽24に流入し貯留される。高度処理槽23ではオゾンによる殺菌処理が行われるため、有機物がオゾンと反応することで泡が発生し、ポンプの駆動などに支障が出てしまう。そのため、ここでは、高度処理槽23と洗浄水槽24とを別体の槽に分け、その下方の流通路で接続することで洗浄水槽24に泡が流入することを防止し、洗浄水のポンプアップ等をスムーズに行えるようになっている。
【0026】
洗浄水槽24に貯留される洗浄水は、第3モーターバルブ45を開いた状態で常時又は定期的もしくは不定期に第3ポンプ34で吸い上げられて高度処理槽23に返送され循環する(
図2において(1)の点線で示す流路)。洗浄水が洗浄水槽24から高度処理槽23に返送される流路(1)の途中には活水器28が配設されており、この活水器28を通して高度処理槽23に返送される。すなわち、高度処理槽23と洗浄水槽24とに貯留される洗浄水は、オゾンによる除菌等を行いながら活水器28による活性化も行われるため、貯留時間が長くなるほど衛生的で安全性が高い洗浄水となる。
【0027】
また、洗浄水槽24の洗浄水は、制御部の制御により、第3モーターバルブ45及び後述する第4モーターバルブ48a,48bが閉じられた状態で第3ポンプ34で吸い上げられて、圧力タンク26に充填される(
図2において(2)の点線で示す流路)。この(2)の点線で示す流路には第2圧力センサ46と第1流量センサ47とが設置されており、管内の圧力及び流量が計測される。制御部は、第2圧力センサ46が計測する圧力が低下している場合は圧力タンク26の水位及び圧力が下がっていると判断し、第3ポンプ34を駆動して圧力タンク26に洗浄水を送水する。また、第1流量センサ47の流量が少なくなった場合は、圧力タンク26の水位及び圧力が上がって洗浄水を送水しにくい状態になっていると判断し、第3ポンプ34の駆動を停止する。洗浄水が洗浄水槽24から圧力タンク26に送られる流路(2)の途中には活性炭フィルタ25が配設されており、圧力タンク26に充填される前に有害物質の除去や脱臭処置が行われる。この流路には第1逆止弁49が設置されており、洗浄水が圧力タンク26から洗浄水槽24に逆流しないようになっている。トイレ室10a,10bの使用者が洗浄タンク12a,12bのレバーを回すことで洗浄タンク12a,12b内に貯留されていた洗浄水が便器11a,11bに送水されて洗浄すると共に、圧力タンク26の洗浄水が洗浄タンク12a,12bに所定の高さになるまで圧送されて次の洗浄水として貯留される。
【0028】
さらに、洗浄水槽24に貯留されている洗浄水は、制御部の制御により、第3モーターバルブ45が閉じた状態で、且つ、第4モーターバルブ48a,48bが開いた状態で、定期的又は不定期に第3ポンプ34で吸い上げられ、濾過膜31を逆方向に流通させて原水槽22に返送される(
図2において(3)の点線で示す流路)。なお、このとき圧力タンク26の水位及び圧力が低下している場合には、圧力タンク26にも洗浄水が送られる。(3)の点線で示す流路で洗浄水を原水槽22に返送することで、濾過膜31の目詰まりを膜の逆方向から押圧することで詰まりを解消することが可能となる。また、このとき、薬液タンク27に貯蔵されている薬液(例えば、次亜塩素酸ナトリウム等)を薬液タンク27内に設置されている第4ポンプ35で送り出すことで、洗浄水に薬液を添加しながら原水槽22に返送する(
図2において(4)の点線で示す流路)。そうすることで、濾過膜31を薬液で殺菌して詰まりにくい状態にすることができる。薬液の流通路には第2逆止弁50が設置されており、薬液が逆流しないようになっている。
【0029】
なお、
図1及び
図2に示す浄化処理システム1のシステム構成はあくまで一例を示すものであり、少なくとも浄化処理部20には、上記原水槽22と、当該原水槽22の後段側に配設される洗浄水を貯留する槽を備える構成であればよい。
【0030】
また、
図1及び
図2における浄化処理システム1では、トイレ室10a,10bの2室を備える構成として記載しているが、トイレ室の数は1室以上であればよい。また、その他換気扇、洗面台、操作パネル、緊急呼び出しボタン等の一般的な公衆トイレなどに備え付けられている構成については、必要に応じて設置することが可能である。
【0031】
このように、本実施形態に係る浄化処理システムにおいては、液体汚物及び/又は粉砕された固形汚物を含む被処理水13が投入される原水槽22と、原水槽22よりも後段側に配設され、原水槽22で浄化処理された被処理水13を汚物を洗浄するための洗浄水として貯留する洗浄水槽24とを備え、原水槽22内では、投入された被処理水13が酸性、且つ、嫌気状態に維持され、当該被処理水13に対して原水槽22内に配設される濾過膜31による固液分離が行われるため、洗浄水として循環可能な処理水を生成しつつ、好気処理を行わないことで活性汚泥により濾過膜31を詰まらせることなく安定した運用が可能になる。
【0032】
また、被処理水13を酸性にする場合にクエン酸を投入することで、無害で且つpHが2.0以下になることを防止し、pH調整を容易にすることができる。
【0033】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る浄化処理システムについて、
図3を用いて説明する。本実施形態に係る浄化処理システムは、第1の実施形態に係る浄化処理システムにおいて、原水槽22の溶解性物質の濃度を調整するための水追加手段を備えるものである。なお、本実施形態において第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0034】
図3は、本実施形態に係る浄化処理システムのシステム構成図である。
図3において、原水槽22内の導電率を計測するための導電率センサ52と、水追加手段として雨水を貯留しておく雨水タンク53とを備える。トイレ室10a,10bの使用回数が増えるに連れて原水槽22に投入される被処理水13の量が増える。被処理水13には人間の体内から排出された排泄物が含まれることからミネラルなどの溶解性物質を多く含んでいる。原水槽22内の被処理水13にこの溶解性物質が増えすぎて飽和してしまうと溶解性物質が析出して結晶化し、スケールが増加してしまう。その結果、濾過膜31を詰まらせる原因となってしまう。
【0035】
そのため、本実施形態においては、上述したように原水槽22内における被処理水13を酸性の状態にすることで溶解性物質の濃縮限界を上げて結晶化しにくくすると共に、原水槽22内の導電率を計測し、当該導電率が所定の閾値以上になった場合には溶解性物質を希釈することで結晶化を防止し、濾過膜31の詰まりを防止する。導電率センサ52の計測結果を受信した制御部は、受信した導電率の値が所定の閾値(例えば、20mS/cm)以上であると判断した場合に、第5モーターバルブ54を開いた状態で第9ポンプ40を駆動し、雨水タンク53から原水槽22に雨水を送水し、原水槽22内における被処理水13の溶解性物質を希釈する。その結果、溶解性物質が濃縮限界に到達しないため、スケールの発生を防止することができ、濾過膜31の詰まりを防止することができる。
【0036】
なお、このとき、流入させる雨水の量は予め設定された量を流入させてもよいし、導電率センサ52のリアルタイムの計測結果が所定の閾値を下回るまで流入するようにしてもよい。また、原水槽22に設置されている第2水位センサ55の値から被処理水13の水量を算出し、導電率の計測結果から溶解性物質の濃度を算出し、算出されたこれらの値に基づいて溶解性物質の濃度が所定の値以下まで下げるために必要な雨水量を算出して流入するようにしてもよい。これらの演算処理、第9ポンプ40の制御及び第5モーターバルブ54の制御は、制御部により行われる。
【0037】
また、雨水タンク53は天候によって貯留される量が左右されるため、定期的又は不定期に管理者が雨水以外の水を補填するようにしてもよい。この場合、雨水タンク53に水位センサ(
図3には図示しない)等を設け、雨水タンク53の水位が所定の高さを下回った場合に管理者が水を補填するような運用を行ってもよい。
【0038】
さらに、上水道に接続されている場合は、上水を直接原水槽22に投入してもよいし上水を雨水タンク53に補填するようにしてもよい。
【0039】
さらにまた、雨水タンク53には雨水を貯留することから、雨水タンク53を原水槽22よりも高い位置(例えば、浄化処理部20の建屋の屋根上や側壁上部等)に配置し、貯まった雨水を自然流下で原水槽22に投入できる構成としてもよい。この場合、
図3に示す第9ポンプ40は設置されなくてもよい。
【0040】
このように、本実施形態に係る浄化処理システムにおいては、原水槽22内の被処理水13の導電率を計測する導電率センサ52を備え、当該導電率センサ52で計測した結果、被処理水13の導電率が所定の値以上である場合に水を追加する水追加手段(具体的には、雨水タンク53、第5モーターバルブ54、制御部等を含む)を備えるため、溶解性物質が飽和して析出し、結晶化することで濾過膜31を詰まらせてしまうことを防止し、濾過膜31のメンテナンスを容易にすることができる。
【0041】
また、水追加手段として雨水を貯留する雨水タンク53を含む構成とすることで、上水設備がない場所などに浄化処理システム1を設置した場合であっても、雨水を確保して溶解性物質の希釈水として活用することができる。
【0042】
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係る浄化処理システムについて、
図4及び
図5を用いて説明する。本実施形態に係る浄化処理システムは、第1又は第2の実施形態に係る浄化処理システムにおいて、原水槽22内の固形物(懸濁物質)や被処理水13を引き抜いて貯留する外部タンク30を備えるものである。なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明は省略する。
【0043】
図4は、本実施形態に係る浄化処理システムのシステム概要図、
図5は、本実施形態に係る浄化処理システムにおける原水槽と外部タンクとの構成を示す図である。
図4において、第1の実施形態における
図1の場合と異なるのは、浄化処理部20(浄化処理部20における原水槽22)と接続される外部タンク30を備えることである。外部タンク30は予備タンクとしての機能を有するものであり、被処理水13を一時的に退避したり、そのまま所定の処理施設で処分するための貯留タンクとして機能する。
【0044】
液体汚物や固形汚物を含んだ被処理水13を浄化して再利用可能な洗浄水として循環するために、嫌気処理にある程度の時間が必要である。しかしながら、トイレ室10a,10bの使用頻度が高く、浄化処理が間に合わない場合には原水槽22の水位が上がってしまい、最終的には許容できない状態となってしまう。こうなると、浄化処理がある程度進むまでトイレ室10a,10bの使用を停止するか、又は洗浄水に懸濁物質が混入した状態で運用しなければならなくなり、使い勝手が悪いものとなってしまう。そのため、本実施形態においては、原水槽22の水位が所定の値以上となった場合には、被処理水13や当該被処理水13に含まれる固形物を別途用意している外部タンク30に退避することで浄化処理システム1が継続して稼働できるようにする。
【0045】
図5において、原水槽22に貯留されている被処理水13及び原水槽22の下方に堆積している固形物を引き抜いて貯留しておく外部タンク30が原水槽22に接続している。原水槽22には第2水位センサ55が配設されており、被処理水13の水位が所定の高さ以上になった場合に、第6モーターバルブ56を開いた状態で第5ポンプ36が被処理水13を吸い上げる。このとき、詳細は後述するが、原水槽22の下方に堆積している固形物も併せて吸い上げるようにしてもよい。
【0046】
外部タンク30にはフロートスイッチ58が配設されており、外部タンク30に貯留されている被処理水13及び固形物による水位が計測される。外部タンク30の水位が所定の高さ以上になると、外部タンク30内の被処理水13及び固形物を処理する必要がある。このときの外部タンク30内に貯留されている被処理水13及び固形物の処理は、所定の処理施設に運搬して処分されるようにしてもよい。一方、外部タンク30の水位に比較的余裕があり(所定の水位未満であり)、原水槽22の水位も所定の高さ未満まで下がっている場合は、外部タンク30内に貯留されている被処理水13及び固形物を第6ポンプ37で原水槽22に返送し、原水槽22において有機物の分解及び固液分離が行われるようにしてもよい。なお、フロートスイッチ58を複数設け、水位の段階(例えば、50%、80%、100%)に応じて警報等を行うようにしてもよい。
【0047】
このように、本実施形態に係る浄化処理システムにおいては、原水槽22の水位が許容量を超える前(オーバーフローする前)に被処理水13や当該被処理水13に含まれる固形物を外部タンク30に退避させることで、トイレ室10a,10bが使えなくなる状況を回避し、浄化処理システム1の稼働を継続することができる。
【0048】
(本発明の第4の実施形態)
本実施形態に係る浄化処理システムについて、
図6を用いて説明する。本実施形態に係る浄化処理システムは、原水槽22が嫌気状態を維持しやすくなると共に、濾過膜31の目詰まりを最小限に抑える構造を有するものである。なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明は省略する。また、本実施形態に係る浄化処理システムは、第1ないし第3のいずれかの実施形態に係る浄化処理システムを前提とするものである。
【0049】
図6は、本実施形態に係る浄化処理システムにおける原水槽の構造を示す図である。
図6において、原水槽22は、破砕ポンプ21から送られる被処理水13を投入する投入口81が設けられる投入領域80aと、濾過膜31により固液分離が行われる処理領域80bとに少なくとも区分される。
【0050】
投入領域80aと処理領域80bとの境界部分には仕切部82が設けられている。この仕切部82は、被処理水13が投入口81から投入されることによる原水槽22内の被処理水13の流動を最小限に抑えると共に、投入領域80aと処理領域80bとの間で生じる水流を緩衝するために、振動を吸収しやすい防振材料で形成される。
【0051】
仕切部82の下方部分は開口部83が形成されており、開口部83を介して投入領域80aの被処理水13と処理領域80bの被処理水13とが流通する。そして、この開口部83の高さをDとした場合に、Dよりも高い位置までトイレットペーパーの原料となるパルプ繊維(セルロース等)を少なくとも含む固形物からなるブランケット層84が形成される。このブランケット層84は、トイレットペーパー由来の汚泥であるパルプ繊維が多く含まれる第1層84aと、し尿由来の固形物が多く含まれる第2層84bとで形成されている。ブランケット層84には原水槽22に投入される被処理水13に含まれる固形物や分解途中の汚泥などから沈降して形成されるものであり、特に多くのパルプ繊維が含まれることでフィルタ層として機能することができる。
【0052】
図6に示すように、被処理水13が破砕ポンプ21から原水槽22に投入されてから濾過膜31を通して高度処理槽23に洗浄水として送水されるまでの間に必ずブランケット層84を経由することとなる。そのため、被処理水13に含まれる分解前の細かい固形物や有機物などはブランケット層84でフィルタリングされ、濾過膜31まで届きにくくなり、濾過膜31の目詰まりを最小限に抑えることが可能となる。また、嫌気処理で分解される有機物等がブランケット層84に留まることで嫌気処理の時間が十分に確保され、生成される洗浄水を衛生的で安全性が高いものにすることができる。
【0053】
このように、本実施形態に係る浄化処理システムにおいては、原水槽22が、被処理水13が投入される投入領域80aと濾過膜31による固液分離を行う処理領域80bとに少なくとも領域区分されており、それぞれの領域の境界部分に被処理水13が投入される場合に生じる水流を吸収可能な仕切部82が設けられ、当該仕切部82の下部領域において投入領域80aと処理領域80bとが連通する開口部83を有するため、原水槽22に被処理水13が投入された場合であっても、原水槽12内において嫌気処理中の被処理水13が流動してしまうことを最小限に抑え、嫌気状態を適正に維持することができる。
【0054】
また、被処理水13の流動が抑えられることから、原水槽22の下方部分に堆積している固形物などが浮遊して濾過膜31が詰まってしまうことを防止することができる。
【0055】
さらに、開口部83により投入領域80aと処理領域80bとが連通する連通領域に、汚物として被処理水13に含まれるパルプ繊維を少なくとも含む固形物からなるブランケット層84が形成されているため、このブランケット層84が投入領域80aと処理領域80bとの間でフィルタの役割を担うことができ、処理領域80bに浮遊する固形物を最小限に抑えて濾過膜31の目詰まりを防止することができる。
【0056】
(本発明の第5の実施形態)
本実施形態に係る浄化処理システムについて、
図7及び
図8を用いて説明する。本実施形態に係る浄化処理システムは、ブランケット層84が所定の高さ以上に増えた場合に、外部タンク30にブランケット層84を含む被処理水13を排出するものである。本実施形態において前記各実施形態と重複する説明は省略する。また、本実施形態に係る浄化処理システムは、第4の実施形態に係る浄化処理システムを前提とするものである。
【0057】
ブランケット層84は、トイレ室10a,10bの使用頻度や使用回数が多くなると、処理対象となる有機物や固形物等が増えることで嫌気処理が間に合わず、次第に汚物が蓄積されてしまう場合がある。この場合、ブランケット層84は、投入領域80aの投入口81に近い側程、固形物などが堆積しやすく、投入口81から遠くなるほどトイレットペーパーなどが次第に融解し、パルプ繊維の繊維同士の絡みがほぐれた状態となって形成される。すなわち、ブランケット層84は、投入領域80aの投入口81に近いほど高く(厚く)、投入口81から遠くなるほど低く(薄く)形成される。
【0058】
そこで、本実施形態に係る浄化処理システム1においては、ブランケット層84が形成されている領域に対応する原水槽22の外装に当該ブランケット層84と外部タンク30とを接続するための排出孔を形成し、ブランケット層84が所定の高さ以上になった場合に、ブランケット層84を形成する固形物を含む被処理水13を排出孔から排出する。このとき、排出孔が複数設けられ、投入領域80a側から処理領域80b側にいくにしたがって、排出される被処理水13や固形物の量が少なくなっている。
【0059】
図7は、本実施形態に係る浄化処理システムにおける原水槽の構造を示す第1の図である。
図7において、上述したように、ブランケット層84の高さは、投入領域80a側から処理領域80b側にいくにしたがって次第に低くなるように形成される。原水槽22の外装にはブランケット層84が形成される領域(原水槽22の底部又は底部近傍)に複数の排出孔85が形成されており、この排出孔85は、投入領域80a側から処理領域80b側にいくにしたがって径が小さくなっている。また、各排出孔85に繋がる排水管86には、原水槽22と外部タンク30との間に第7ポンプ38が設置されており、この第7ポンプ38が駆動することで、排出孔85からブランケット層84を形成する固形物及び被処理水13が排出されて外部タンク30に送られる構成となっている。
【0060】
図7の場合は、第7ポンプ38が駆動することで、投入領域80a側の排出孔85ほど多くの固形物及び被処理水13が外部タンク30に排出され、処理領域80b側にいくにしたがって、その量が次第に少なくなる。つまり、第7ポンプ38による排出処理後は、ブランケット層84を出来るだけ均一の高さにしてフィルタ機能を維持しつつ、投入口81に近い箇所に固形物などの汚物が必要以上に堆積されていくことを防止することができる。
【0061】
なお、
図7に示すように、ブランケット層84の高さを検出するために原水槽22の外装に透明の窓部87を備え、この窓部87の外側からカメラ88などの撮像手段で原水槽22の内部を撮像できる構造としてもよい。撮像された画像について制御部が画像処理を行い、ブランケット層84の高さが所定の高さ以上であるかどうかを判定し、所定の高さ以上である場合には第7ポンプ38を駆動して、ブランケット層84を形成する固形物及び被処理水13を外部タンク30に排出する処理が実行されるようにしてもよい。
【0062】
また、各排出孔85には、当該排出孔85の開口部の大きさを可変できる機構(例えばスライド式のシャッター等)を設けるようにしてもよい。そうすることで、排出孔85ごとに固形物及び被処理水13の排出量を調整することが可能となる。
【0063】
図8は、本実施形態に係る浄化処理システムにおける原水槽の構造を示す第2の図である。
図8において
図7の構成と異なるのは、排出孔85の径は全て同じであるが、各排出孔85にはそれぞれに対応する第8ポンプ39が設置されており、投入領域80a側の排出孔85に対応する第8ポンプ39ほど吸込力が大きく、処理領域80b側の排出孔85に対応する第8ポンプ39ほど吸込力が小さく設定されている。つまり、投入領域80a側の排出孔85ほど多くの固形物及び被処理水13が外部タンク30に排出され、処理領域80b側の排出孔85ほどその量が次第に少なくなる。その結果、第8ポンプ39による排出処理後は、ブランケット層84を出来るだけ均一の高さにしてフィルタ機能を維持しつつ、投入口81に近い箇所に固形物などの汚物が必要以上に堆積されていくことを防止することができる。
【0064】
なお、
図8においても
図7の場合と同様に、ブランケット層84の高さを検出するために原水槽22の外装に透明の窓部87を備え、この窓部87の外側からカメラ88などの撮像手段で原水槽22の内部を撮像できる構造としてもよい。撮像された画像について制御部が画像処理を行い、ブランケット層84の高さが所定の高さ以上であるかどうかを判定し、所定の高さ以上である場合には第8ポンプ39を駆動して、ブランケット層84を形成する固形物及び被処理水13を外部タンク30に排出する処理が実行されるようにしてもよい。
【0065】
また、
図8の場合は、複数の側壁面に窓部87を設置し、これらの窓部87から複数のカメラ88でブランケット層84の高さを検出し、各カメラ88で撮像された画像に基づくブランケット層84の高さに応じて、制御部が各第8ポンプ39の吸込力を調整できる構成にしてもよい。
【0066】
このように、本実施形態に係る浄化処理システムにおいては、ブランケット層84が形成されている領域の外装に当該ブランケット層84と外部タンク30とを挿通する排出孔85が形成されており、ブランケット層84が所定の高さ以上になった場合に、ブランケット層84を形成する固形物を含む被処理水13を排出孔85から排出する排出処理部(第7ポンプ38、第8ポンプ39、制御部等)を備えるため、トイレ室10a,10bの使用回数や使用頻度が多くなった場合であってもブランケット層84が必要以上に堆積してしまうことを防止することができる。
【0067】
また、ブランケット層84と外部タンク30とを挿通する排出孔85が複数形成されており、投入領域80a側から処理領域80b側にいくにしたがって、排出孔85から排出される被処理水13の量が少なくなっているため、汚泥などが堆積しやすい投入領域80a側ほど多くの固形物や被処理水13を外部タンク30排出し、処理領域80b側ほどその量が少なくなり、ブランケット層84の高さをできるだけ均一に保ちつつ、特に投入領域80a側において汚泥などの固形物が必要以上に堆積してしまうことを防止することができる。
【0068】
さらに、ブランケット層84を排出するための基準となる所定の高さが少なくとも含まれる位置に対応する原水槽22の外装に、ブランケット層84の高さを撮像可能な透明な窓部87が形成されており、外部から窓部87を通してブランケット層84の高さをカメラ88で撮像し、撮像された画像に基づいてブランケット層84を排出するかどうかの基準となる所定の高さ以上であるかどうかを判定するため、ブランケット層84の高さを監視しながら適正に保つように制御することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 浄化処理システム
10(10a,10b) トイレ室
11(11a,11b) 便器
12(12a,12b) 洗浄タンク
13 被処理水
20 浄化処理部
21 破砕ポンプ
22 原水槽
23 高度処理槽
24 洗浄水槽
25 活性炭フィルタ
26 圧力タンク
27 薬液タンク
28 活水器
30 外部タンク
31(31a,31b) 濾過膜
32 第1ポンプ
33 第2ポンプ
34 第3ポンプ
35 第4ポンプ
36 第5ポンプ
37 第6ポンプ
38 第7ポンプ
39 第8ポンプ
40 第9ポンプ
41(41a,41b) 第1モーターバルブ
42(42a,42b) 第2モーターバルブ
43 第1圧力センサ
44 第1水位センサ
45 第3モーターバルブ
46 第2圧力センサ
47 第1流量センサ
48(48a,48b) 第4モーターバルブ
49 第1逆止弁
50 第2逆止弁
51 オゾン添加部
52 導電率センサ
53 雨水タンク
54 第5モーターバルブ
55 第2水位センサ
56 第6モーターバルブ
58 フロートスイッチ
80a 投入領域
80b 処理領域
81 投入口
82 仕切部
83 開口部
84 ブランケット層
84a 第1層
84b 第2層
85 排出孔
86 排水管
87 窓部
88 カメラ