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特開2025-23464ローカバー成形装置、および、タイヤの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023464
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】ローカバー成形装置、および、タイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/16 20060101AFI20250207BHJP
【FI】
B29D30/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127601
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】蔵野 まさみ
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215AP06
4F215AR07
4F215VA02
4F215VC02
4F215VD10
4F215VD12
4F215VD22
4F215VK03
4F215VK17
4F215VL06
4F215VP11
4F215VR01
4F215VR03
4F501TA02
4F501TB02
4F501TC10
4F501TC11
4F501TC21
4F501TD04
4F501TD17
4F501TE06
4F501TL10
4F501TR06
4F501TT01
4F501TT03
4F501TU07
4F501TV17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ローカバーの生成時において、ビードエイペックスの弾性力によってタイヤ成形部材に空洞が生じることを防止する、ローカバー成形装置およびタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】ローカバー成形装置1は、ドラム10と、ターンアップブラダーと、押圧ローラーとを備えている。ドラム10に巻き付けられたインナーライナー51とカーカスプライ52aとの両端部が折り返される前に、インナーライナー51のジョイント部51aが押圧ローラーにより押圧される。押圧される位置は、ビードエイペックスの先端部よりも内側となるように設定されている。これによって、ジョイント部付近において密着されたインナーライナー51とカーカスプライとが、弾性力SFによって引き剥がされることが防止されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のドラムと、
前記ドラムの軸方向の両側に設けられたターンアップブラダーと、
前記ドラムの外周面に対向し、かつ、前記軸方向に移動可能に構成された押圧ローラーと、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記ドラムの外周に巻かれたジョイント部を有するインナーライナーと、前記インナーライナーに重ねられたカーカスプライの両端部とが、前記ターンアップブラダーによってビードエイペックスを包むように折り返される前に、前記ドラムの外周に重ねられた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライのうち、前記インナーライナーのジョイント部に前記押圧ローラーが押しつけられる処理が実行されるように構成されており、
前記押圧ローラーが押しつけられる処理で、前記ドラムの外周に重ねられた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライに前記押圧ローラーが押し付けられる位置は、前記ターンアップブラダーによって前記インナーライナーと前記カーカスプライとの両端部が折り返された際に、前記ビードエイペックスの先端が配置される位置よりも内側の予め定められた位置に設定されている、
ローカバー成形装置。
【請求項2】
前記押圧ローラーが押しつけられる処理では、前記ドラムの外周に重ねられた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライのうち、前記ターンアップブラダーで前記インナーライナーと前記カーカスプライとの両端部が折り返された際に、前記ビードエイペックスの先端が配置される位置よりも20mm内側の範囲を前記押圧ローラーが押し付ける、請求項1に記載のローカバー成形装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
成形されるタイヤのサイズのデータを取得する処理をさらに有し、
前記押圧ローラーが押しつけられる処理では、前記ドラムの外周に重ねられた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライに前記押圧ローラーが押し付けられる位置は、取得された前記タイヤのサイズのデータに基づいて定められるように構成された、
請求項1に記載のローカバー成形装置。
【請求項4】
ドラムの外周にインナーライナーを巻き、インナーライナーの端部をジョイントする工程と、
前記ドラムの外周に巻かれた前記インナーライナーにカーカスプライを重ね合わせる工程と、
前記カーカスプライの両端部の予め定められた位置に、ビードコアと、ビードエイペックスとが配置される工程と、
前記インナーライナーに前記カーカスプライを重ね合わされた後で、かつ、前記重ね合わせる工程で重ね合わされた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライのうち、前記インナーライナーと前記カーカスプライとの両端部および前記ビードエイペックスが折り返される前に、前記ビードエイペックスが折り返される際に前記ビードエイペックスの先端が配置される位置よりも内側の予め定められた位置において、前記インナーライナーのジョイント部に、押圧ローラーを押しつける押付工程と
を含む、タイヤの製造方法。
【請求項5】
前記押付工程において、前記ドラムの外周に重ねられた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライのうち、前記インナーライナーと前記カーカスプライとの両端部が折り返された際に、前記ビードエイペックスの先端が配置される位置よりも20mm内側の予め定められた範囲を前記押圧ローラーが押し付ける、請求項4に記載のタイヤの製造方法。
【請求項6】
前記押付工程において、前記重ね合わせ工程で重ね合わされた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライに、前記押圧ローラーが押し付けられる位置は、前記タイヤのサイズのデータに基づいて定められる、請求項4に記載のタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローカバー成形装置、および、タイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-210017号公報には、空気入りタイヤの製造方法が開示されている。ここで開示される製造方法では、1stカバー形成工程と、トレッド補強層形成工程と、保持工程と、接合工程とが開示されている。
【0003】
このうち、1stカバー形成工程は、円筒状の第1ドラム上で、シート状のカーカスプライが巻回され、かつその両端部にビードコアが装着されたカーカス円筒体を含む円筒状の1stカバーを形成する工程である。トレッド補強層形成工程は、円筒状の第2ドラム上で、シート状の補強コードプライが巻回された円筒状のトレッド補強層を形成する工程である。保持工程は、第2ドラムから取り外されたトレッド補強層を、1stカバーの半径方向外側の待機位置で同心に保持する工程である。接合工程は、1stカバーを、内圧充填によりビードコア間にてトロイド状にシェーピングさせることにより、1stカバーの外面が、前記保持されたトレッド補強層の内面全面に押し付けられて接合される1stカバー接合体を形成する工程である。
【0004】
同公報で開示される空気入りタイヤの製造方法は、シェーピング状態の1stカバー接合体におけるトレッド補強層を含む外面領域に、テープ状のゴムストリップを、直接螺旋状に巻き付けることによりトレッドゴムを形成することが特徴とされている。
【0005】
特開2019-81300号公報には、タイヤ成形装置が開示されている。同公報で開示されているタイヤ成形装置は、フォーマーに巻き付けられたゴム部材の両端部が重ね合わされて形成されたジョイント部を、フォーマーの幅方向に横行することによって、ジョイント部を押圧して圧着するタイヤ成形用の押圧ローラーを備えている。同公報によれば、タイヤ成形装置では、押圧ローラーによって、ジョイント部を押圧して圧着する。このことによって、例えば、フォーマーに段差が生じていても、ゴム部材にジョイント開きやエアの入りの発生を防止することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-210017号公報
【特許文献2】特開2019-81300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ローカバーの成形では、内圧充填によりビードコア間にて、カーカスプライを膨出させ、トロイド状にシェーピングさせる工程がある。かかる工程において、インナーライナーのジョイント部にエアが入り込む場合がある。インナーライナーのジョイント部にエアが入り込むと、ローカバーの形状に不具合を生じさせたり、タイヤを不適合品になったりする。したがって、タイヤの歩留まりが低下する要因となる。
【0008】
本発明者は、ローカバーの成形に起因したタイヤの歩留まりを向上させたいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに開示されるローカバー成形装置は、筒状のドラムと、前記ドラムの軸方向の両側に設けられたターンアップブラダーと、前記ドラムの外周面に対向し、かつ、前記軸方向に移動可能に構成された押圧ローラーと、制御装置とを備えている。前記制御装置は、前記ドラムの外周に巻かれたジョイント部を有するインナーライナーと、前記インナーライナーに重ねられたカーカスプライの両端部とが、前記ターンアップブラダーによってビードエイペックスを包むように折り返される前に、前記ドラムの外周に重ねられた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライのうち、前記インナーライナーのジョイント部に前記押圧ローラーが押しつけられる処理が実行されるように構成されている。前記押圧ローラーが押しつけられる処理で、前記ドラムの外周に重ねられた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライに前記押圧ローラーが押し付けられる位置は、前記ターンアップブラダーによって前記インナーライナーと前記カーカスプライとの両端部が折り返された際に、前記ビードエイペックスの先端が配置される位置よりも内側の予め定められた位置に設定されている。
【発明の効果】
【0010】
ここに開示されるローカバー成形装置によれば、ローカバーの成形に起因したタイヤの歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、タイヤ500の断面構造を示す断面図である。
図2図2は、ローカバー成形システム100の模式図である。
図3図3は、ローカバー成形装置1の断面図である。
図4図4は、ローカバー成形装置1のターンアップブラダー40周辺の模式図である。
図5図5は、ローラー装置60およびドラム10を示す斜視図である。
図6図6は、ドラム10に巻かれたインナーライナー51およびカーカスプライ52aをドラム10の軸方向から見た断面図である。
図7図7は、押付工程を示す断面図である。
図8図8は、ターンアップされた後のビード58付近を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態に係るローカバー成形装置を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
<タイヤ500>
図1は、タイヤ500の断面構造を示す断面図である。図1には、タイヤ500の図面視における右半分のみが図示されている。タイヤ500は、左右対称であるため、タイヤ500の左半分については、ここでは説明を省略する。図1では、タイヤ500のトレッド部510の幅方向に沿った断面が示されている。タイヤ500は、複数の未加硫のゴム部材が組み合わされた未加硫のタイヤであるローカバーが加硫され、一体化され、かつ、トレッドパターンなどの外形形状が成形されたものである。
【0014】
図1には、加硫成形後のタイヤの断面が図示されているが、便宜上、加硫前のローカバーでのタイヤ500を構成する部材の境界が分かるように、加硫前のゴム部材の境界が描かれている。加硫前のローカバーでのタイヤ500を構成する部材の境界について、加硫後は一体化されている。また、図を見やすくするために、一部においてハッチングが省略されている。なお、図1は、タイヤの一実施形態が例示されているに過ぎず、特に言及されない限りにおいて、タイヤの構造は、図1に示された形態に限定されない。また、各部材の配置や組み合わせる順番なども、特に言及されない限りにおいて変更されうる。
【0015】
図1に示された形態では、タイヤ500は、ローカバーの状態において、インナーライナー51と、カーカス52と、クッションゴム53と、ブレーカー54と、アンダートレッドゴム55と、トレッドゴム56と、サイドウォールゴム57と、ビード58と、チェーファー59を備えている。
【0016】
インナーライナー51は、タイヤコードの内側に配置されるゴムシートの層であり、空気入りタイヤの気密性を確保するための部材である。カーカス52は、少なくとも1枚のカーカスプライを有する。本実施形態では、カーカス52は、カーカスプライ52aおよびカーカスプライ52bを有している。カーカスプライ52aとカーカスプライ52bとによって、層が形成されている。
【0017】
インナーライナー51およびカーカス52の幅方向の両端部には、ビード58が配置される。インナーライナー51およびカーカス52の幅方向の両端部は、ビード58を覆うように折り返されている。
【0018】
クッションゴム53と、ブレーカー54と、アンダートレッドゴム55と、トレッドゴム56と、サイドウォールゴム57とは、トロイダル状に成形されたインナーライナー51およびカーカス52の予め定められた位置に巻き付けられる。そして、ゴム材料の繋ぎ目などの形状が整えられることによって、未加硫のタイヤであるローカバーが作製される。
【0019】
ここで、トレッドゴム56は、走行時に接地する部分となるトレッド部510を構成するゴム部材である。トレッドゴム56は、ローカバーのうち外周面に貼られるゴム層であり、所要の厚さを有している。ブレーカー54は、配置されたコード層である。
【0020】
ブレーカー54は、路面等からの衝撃を緩和し、トレッドゴム56に受けた外傷が、直接カーカス52に達するのを防ぐとともに、トレッドゴム56とカーカス52との剥離を防止する役割を果たす。
【0021】
クッションゴム53は、ブレーカー54のエッジ部において、ブレーカー54とカーカス52との間に配置されている。クッションゴム53は、ブレーカー54のエッジ部が受ける力がカーカス52に作用するのを緩和する緩衝材として作用する。
【0022】
アンダートレッドゴム55は、トレッドゴム56とブレーカー54との間に配置されている。本実施形態では、アンダートレッドゴム55は、特に、ブレーカー54のエッジ部を覆うように設けられており、ブレーカー54のエッジ部が受ける力がトレッドゴム56に作用するのを緩和する緩衝材として作用する。
【0023】
ビード58は、サイドウォールゴム57のタイヤ軸方向内側に位置している。ビード58は、ビードコア58aと、ビードエイペックス58bと、を備えている。ビードコア58aは、例えば、スチール製のビードワイヤを多数巻回して形成されている。ビードエイペックス58bは、ビードコア58aに対してタイヤ500の半径方向外側に配置されている。ビードエイペックス58bは、ある程度の剛性を有するゴム組成物によって形成される部材である。ビードエイペックス58bの形状は、タイヤ500の半径方向外側に向かって先細っており、断面が略三角形を有する形状である。
【0024】
チェーファー59は、ビード58のタイヤ軸方向内側に位置している。チェーファー59は、タイヤ500が取り付けられるホイールのリムに当接する部分であり、当該リムとの摩擦からカーカスプライ52a、52bを保護する部材である。チェーファー59は、例えば、布と当該布に含侵したゴムとによって形成される。チェーファー59は、インナーライナー51とともにタイヤ500の内面を形成する。
【0025】
ここで、ローカバーは、円筒状の1stカバーおよび2ndカバーをそれぞれ成形し、組み付けた後、1stカバーをトロイダル状にシェーピングさせ、膨張させることによって形成される。1stカバーとは、図1に示すインナーライナー51およびカーカスプライ52a、52bを有し、円筒状に形成された部材である。1stカバーには、ビード58およびチェーファー59が取り付けられる。1stカバーは、インナーライナー51等が円筒状に成形される際、所定の位置をローラー等により押圧され、その両端がターンアップされる。2ndカバーとは、トレッドゴム56、ブレーカー54、クッションゴム53およびアンダートレッドゴム55を有する部材である。
【0026】
図2は、ローカバー成形システム100の模式図である。ローカバーは、図2に示されているように、ローカバー成形システム100に組み込まれたローカバー成形装置1によって成形される。図2は、ドラム10にインナーライナー51が巻かれたところが図示されている。図3は、ローカバー成形装置1の断面図である。
【0027】
<ローカバー成形システム100>
ローカバー成形システム100は、図2に示されているように、ローカバー成形装置1と、外部サーバー装置200とを備えている。ローカバー成形装置1と外部サーバー装置200とは、ネットワークNWを介して無線によって接続されている。ネットワークNWは、インターネットや、図示しない無線基地局が構築する各種移動通信システムなどによって構成されている。なお、ローカバー成形装置1と外部サーバー装置200とは、有線によって接続されているものであってもよい。
【0028】
<ローカバー成形装置1>
ローカバー成形装置1は、上述したローカバーを成形する。図2および図3に示されているように、ローカバー成形装置1は、一対のドラム10と、間隔調整機構20と、ビード保持部30と、ターンアップブラダー40と、ローラー装置60(図5参照)と、レール70(図5参照)と、制御装置90(図2参照)とを備えている。なお、ローカバー成形装置1には、例えば、ゴム材料を混錬する装置、タイヤ部品を組み合わせる装置、加硫装置などが含まれうるが、ここでは、説明を省略する。
【0029】
<円筒パーツ50>
ローカバーの成形時には、図3に示すように、インナーライナー51(図4参照)と、カーカスプライ52a52b(図4参照)とを含んだ円筒パーツ50が用意される。円筒パーツ50は、ローカバーの内側の層を構成する円筒状の部材である。インナーライナー51は、円筒パーツ50の内側面を構成する。インナーライナー51の外側にカーカスプライ52aが配置され、カーカスプライ52aの外側にカーカスプライ52bが配置されている。カーカスプライ52aは、インナーライナー51よりもドラム10の軸方向に長く形成されている。円筒パーツ50にはビード58が装着される。
【0030】
<ドラム10>
図3に示すように、ドラム10は、円筒パーツ50を内側から支持する円筒状の部材である。ドラム10には、それぞれシート状のインナーライナー51(図4参照)と、カーカスプライ52a、52b(図4参照)とが巻き付けられる。インナーライナー51およびカーカスプライ52a、52bは、平面視においてドラム10の軸方向と直角に交わる方向を長手方向とするシート状の形状を有している。円筒パーツ50は、インナーライナー51およびカーカスプライ52a、52bがドラム10に巻き付けられたものである。一対のドラム10は、それぞれ軸方向の離れた位置に設けられている。
【0031】
図3に示すように、ドラム10は、胴部11と、グリッププレート13と、サポートシリンダ14と、ガイドプレート15とを備えている。ドラム10には、ビード保持部30が設けられている。胴部11の形状は、円筒形状である。胴部11は、ドラム10の種々の構成を支持している。胴部11には、後述するねじ軸21が挿通されている。一対のドラム10は、胴部11を介して同一のねじ軸21と接続されている。
【0032】
<胴部11>
胴部11の外周面には、グリッププレート13と、ガイドプレート15とが取り付けられている。胴部11の軸方向において、グリッププレート13は、外側に取り付けられており、ガイドプレート15は、内側に取り付けられている。グリッププレート13とガイドプレート15は、それぞれ略円盤状に形成されている。グリッププレート13の外径方向の端部からは、軸方向外側に向かって筒状のサポートシリンダ14が延びている。ガイドプレート15には、軸方向外側の面において、径方向の内側に空間が形成されている。グリッププレート13とガイドプレート15は、軸方向において間隔を空けて取り付けられている。グリッププレート13とガイドプレート15の間には、ビード保持部30が設けられている。
【0033】
<ビード保持部30>
ビード保持部30は、円筒パーツ50を介してビード58を保持する部位である。円筒パーツ50がドラム10にセットされると、ビード58は、円筒パーツ50の軸方向の両端から内側に向かって搬送される。ビード58は、円筒パーツ50の予め定められた位置に装着される。ビード保持部30は、一対のドラム10にそれぞれ設けられている。ビード保持部30は、ピストンリング31と、ロックセグメント32とを備えている。ロックセグメント32は、リング状の部材である。ロックセグメント32は、径方向外側に広がることによって、円筒パーツ50の内周面に押し当てられる。ロックセグメント32の外周面の一部は、円筒パーツ50のビード58が装着された位置に押し当てられる。ロックセグメント32は、当該位置に押し当てられる部位に弾性リング32aを備えている。
【0034】
<ロックセグメント32>
ロックセグメント32は、軸方向内側に傾斜面32bを備えている。傾斜面32bは、径方向の内側から外側に向かって形成されている。ロックセグメント32の傾斜面32bと、ガイドプレート15の内側に形成された空間との間には、ピストンリング31が設けられている。ピストンリング31は、円環状に形成されている。ピストンリング31は、軸方向外側に、ロックセグメント32の傾斜面32bと対応する傾斜面31aを備えている。ピストンリング31は、図示しない駆動装置によって軸方向に駆動されるように構成されている。ピストンリング31が軸方向外側に駆動されると、ロックセグメント32の傾斜面32bがピストンリング31の傾斜面31aに対してスライドする。ロックセグメント32は、径方向外側に移動する。これによって、ビード保持部30は、円筒パーツ50に押し当てられてビード58を保持する。
【0035】
<間隔調整機構20>
図3に示すように、間隔調整機構20は、一対のドラム10の軸方向の間隔を調整する。間隔調整機構20は、ローカバーの成形時には、一対のドラム10の間隔を狭めることによって円筒パーツ50の両端部を軸方向の内側に折り返す。間隔調整機構20は、ねじ軸21と、胴部11に形成されたねじ穴22と、モータ23とによって構成されている。ねじ軸21は、外周面に雄ねじが設けられている。ねじ軸21は、両端が軸受24に支持されている。ねじ軸21の一方の端部には、モータ23が接続されている。モータ23は、制御装置90(図1参照)に電気的に接続され、制御装置90によって制御される。ねじ軸21は、円筒状の胴部11に挿通されている。胴部11には、ねじ軸21が挿通されるねじ穴22が形成されている。ねじ穴22は、胴部11の軸方向に貫通するねじ穴である。ねじ穴22には、ねじ軸21の外周面と対応する雌ねじが形成されている。ねじ穴22と、ねじ軸21とは係合している。
【0036】
<ねじ軸21>
ねじ軸21は、一端に接続されたモータ23によって回転する。ねじ穴22とねじ軸21が係合していることによって、ねじ軸21の回転と連動して胴部11がねじ軸21の軸方向に移動するように構成されている。なお、この実施形態では、ねじ軸21の雄ねじは、一方の胴部11側と他方の胴部11側とで反対巻きである。このため、モータ23の回転の向きを変えることによって、一対のドラム10の間隔を広げたり縮めたり調整できる。
【0037】
<ターンアップブラダー40>
ターンアップブラダー40は、ローカバーの成形時に、円筒パーツ50の両端部を折り返すための部材である。ターンアップブラダー40は、ドラム10の軸方向の両側に設けられている。本実施形態では、ターンアップブラダー40は、ビード保持部30よりも軸方向外側に配置されている。ターンアップブラダー40は、ゴム製であり、グリッププレート13の周方向に連続したチューブ状に形成されている。ターンアップブラダー40は、グリッププレート13の外周面に設けられた支持部13aに支持されている。支持部13aは、グリッププレート13の周方向に連続して設けられている。支持部13aは、円筒パーツ50の軸方向の内側と外側に設けられており、それぞれターンアップブラダー40の軸方向内側の端部と外側の端部を支持している。グリッププレート13において、内側と外側の支持部13aの間には、図示しない孔が形成されている。当該孔からは、内部に気体が充填できるように構成されている。気体が充填される前のターンアップブラダー40は、折り畳まれた状態で軸方向外側に向かって倒れている。気体が充填される前のターンアップブラダー40は、サポートシリンダ14の外周面に配置されている。
【0038】
なお、図4に示すように、本実施形態では、膨張したターンアップブラダー40を軸方向外側から押さえる押圧部材16が設けられている。図4は、ローカバー成形装置1のターンアップブラダー40周辺の模式図である。押圧部材16は、ターンアップブラダー40に対して、ドラム10の軸方向の外側に設けられている。押圧部材16は、ターンアップブラダー40と接触する円盤状の押圧面を有している。押圧部材16は、ターンアップブラダー40の膨張時に、軸方向両端から内側に向かって移動し、ターンアップブラダー40を円筒パーツ50に押し当てる。
【0039】
<ローラー装置60>
図5は、ローラー装置60およびドラム10を示す斜視図である。図5に示すように、ドラム10の外周面に対向する位置には、ローラー装置60が配置されている。ローラー装置60は、シリンダ61と、支持部材62と、押圧ローラー63とを備えている。ローラー装置60は、ドラム10の軸方向に沿って延びるレール70に沿って移動可能に配置されている。ローラー装置60は、ドラム10の径方向において、押圧ローラー63がドラム10に接触および離反可能に構成されている。また、本実施形態では、ローラー装置60は、レール70に沿って2つ配置されている。ただし、ローラー装置60の数は、特に限定されない。ローラー装置60は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。なお、図5では、ドラム10にインナーライナー51が巻き付けられ、さらにカーカスプライ52aが巻き付けられた状態を示している。ただし、以下の説明において、カーカスプライ52bがカーカスプライ52aに重ねて巻き付けられたときも同様である。
【0040】
<シリンダ61>
シリンダ61は、レール70に沿って移動可能に取り付けられている。シリンダ61を駆動することによって、ロッド61aが伸縮する。ここで、シリンダ61は、ロッド61aの長手方向がドラム10の径方向と略一致となるように配置されている。したがって、ロッド61aは、ドラム10の径方向に伸縮する。ロッド61aの両端のうち、ドラム10に近い方の端部には、支持部材62が取り付けられている。ロッド61aが伸びると支持部材62がドラム10に近づく。ロッド61aが縮むと、支持部材62がドラム10から遠ざかる。シリンダ61は、直動機構であり、例えば、複動片ロッドシリンダで実現されうる。なお、用いられるシリンダの種類は、特に限定されない。シリンダ61は、例えば、エアシリンダ、電動シリンダ、油圧シリンダ等によって、適宜に構成されうる。また、本実施形態では、シリンダ61は、3本のロッド61aを備えている。ただし、ロッド61aの本数は、特に限定されない。
【0041】
<支持部材62>
支持部材62は、押圧ローラー63を支持する部材である。支持部材62は、ロッド61aの先端に接続されている。支持部材62は、押圧ローラー63の軸方向とドラム10の軸方向とを揃えるように、押圧ローラー63を支持している。また、支持部材62は、押圧ローラー63を回転可能に支持している。
【0042】
<押圧ローラー63>
押圧ローラー63は、カーカスプライ52aに接触し、カーカスプライ52aを押圧する部材である。シリンダ61がレール70に沿って移動することによって、押圧ローラー63は、レール70に沿って移動する。すなわち、押圧ローラー63は、ドラム10の軸方向において移動可能に構成されている。ロッド61aが伸びると、押圧ローラー63は、ドラム10に巻き付けられたカーカスプライ52aを押圧する。本実施形態では、押圧ローラー63は、カーカスプライ52aを押圧することによって、インナーライナー51のジョイント部を押圧するように構成されている。押圧ローラー63を形成する材料は、特に限定されないが、例えば、ローレット加工された鉄製の円筒形状部材である。本実施形態では、押圧ローラー63は、ドラム10の軸方向に20mmの長さを有している。ただし、押圧ローラー63のサイズは、これに限定されない。また、ドラム10の径方向において、押圧ローラー63の中心の位置と、シリンダ61の中心の位置が揃っている。
【0043】
<レール70>
レール70の構成は、特に限定されるものではないが、例えば、レール70は、プーリ(図示せず)と、プーリに巻きかけられたベルト(図示せず)と、プーリに接続されたモータ(図示せず)とを備えている。シリンダ61の下部が当該ベルトに接続されている。当該モータが駆動することによって、当該プーリが回転し、当該ベルトが走行する。当該ベルトが走行すると、シリンダ61がレール70に沿って移動する。すなわち、ローラー装置60がレール70に沿って移動する。ただし、ローラー装置60は、手動によってレール70に沿って移動されるものであってもよい。レール70は、ドラム10の軸方向に延び、ドラム10の軸方向においてドラム10の軸方向の長さと略同一に形成されている。なお、レール70は、ドラム10の軸方向において、ドラム10よりも短くてもよく、長くてもよい。
【0044】
<制御装置90>
図2に示す制御装置90は、ローカバー成形装置1の種々の処理を行う装置である。制御装置90は、ドラム10、間隔調整機構20、ターンアップブラダー40、ローラー装置60およびレール70に電気的に接続され、これらを制御する。制御装置90は、予め定められたプログラムに沿って駆動するコンピュータによって具現化されうる。具体的には、制御装置90の各機能は、制御装置90を構成する各コンピュータの演算装置(プロセッサ、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)とも称される)および記憶装置(メモリーやハードディスクなど)によって処理される。例えば、制御装置90の各構成は、コンピュータによって具現化されるデータを予め定められた形式で記憶するデータベース、データ構造、予め定められたプログラムに従って所定の演算処理を行う処理モジュールなどとして、または、それらの一部として具現化されうる。図示は省略するが、制御装置90は、複数の制御装置が協働するものでもよい。例えば、ローカバー成形装置1の制御装置90が、LANケーブルやインターネットなどを通じて、外部のコンピュータとデータ通信可能に接続されている場合には、制御装置90の処理は、このような外部のコンピュータと協働で行われてもよい。例えば、制御装置90に記憶される情報または一部の情報は、外部のコンピュータによって記憶されてもよいし、制御装置90が実行する処理または処理の一部は、外部のコンピュータによって実行されてもよい。制御装置90が行う各処理については、後述する。
【0045】
本実施形態では、制御装置90は、ネットワークNWを介して外部サーバー装置200と無線によって接続されている。ネットワークNWは、インターネットや、図示しない無線基地局によって構築される各種移動通信システムなどで構成されている。
【0046】
外部サーバー装置200は、例えば、汎用のコンピュータによって構成される。外部サーバー装置200は、例えばウェブブラウザを介して制御装置90よりアクセスされる。外部サーバー装置200は、記憶装置210を備えている。記憶装置210は、不揮発性の記憶領域を有している。記憶装置210には、タイヤ500(図1参照)のサイズのデータが格納されている。タイヤ500のサイズのデータとは、タイヤ500の成形時に必要となる寸法に関するデータである。タイヤ500のサイズのデータには、例えば、タイヤ500の中心とビードエイペックス58bとの間隔のデータおよび、ビードエイペックス58bの高さのデータが含まれているものとする。外部サーバー装置200は、例えば、クラウドサーバであってもよい。
【0047】
以上、本実施形態における、ローカバー成形システム100の構成について説明した。次に、ローカバー成形装置1によって具現化されるタイヤ500(図1参照)の製造方法を説明する。
【0048】
ここで、タイヤ500の製造には、以下の工程が含まれる。
工程A:ドラム10の外周にインナーライナー51を巻き、インナーライナー51の端部をジョイントする工程(図2参照)
工程B:ドラム10の外周に巻かれたインナーライナー51にカーカスプライ52a、52bを重ね合わせる工程
工程C:カーカスプライ52a、52bの両端部の予め定められた位置に、ビードコア58aと、ビードエイペックス58bとが配置される工程
工程D:インナーライナー51にカーカスプライ52a、52bを重ね合わされた後、重ね合わせる工程で重ね合わされたインナーライナー51およびカーカスプライ52a、52bのうち、ターンアップブラダー40でインナーライナー51とカーカスプライ52a、52bとの両端部およびビードエイペックス58bが折り返される前に、ビードエイペックス58bが折り返される際にビードエイペックス58bの先端が配置される位置よりも内側の予め定められた位置において、インナーライナー51のジョイント部51aに、押圧ローラー63を押しつける押付工程(図5参照)
【0049】
工程Aおよび工程Bでは、インナーライナー51およびカーカスプライ52aのドラム10への巻き付けが行われる。かかる工程では、インナーライナー51およびカーカスプライ52aは、ドラム10に巻き付けられて円筒形状に成形される。インナーライナー51およびカーカスプライ52aは、例えば、サービサー(図示せず)によってドラム10へ供給されるとともに、ドラム10を回転させることによって、ドラム10に巻き付けられる。なお、インナーライナー51およびカーカスプライ52aの幅方向の中心は、ドラム10の軸方向の中心と一致するように供給されるとよい。かかる工程Aでは、インナーライナー51がドラム10に巻き付けられた後で、インナーライナー51のジョイント部51aに、押圧ローラー63が押しつけられてもよい。また、図示は省略するが、工程Bでは、カーカスプライ52aがドラム10に巻き付けられた後で、カーカスプライ52aのジョイント部(図示省略)に、押圧ローラー63が押しつけられてもよい。
【0050】
工程Aにおいて、インナーライナー51は、ドラム10に巻かれるのにちょうどよい長さに切断されてドラム10に供給される。ドラム10のインナーライナー51のジョイント部51aは、ドラム10に巻かれたインナーライナー51の前端51F(図6参照)と後端51Rr(図6参照)とが重なり合う部分のことをいう。図6は、ドラム10に巻かれたインナーライナー51およびカーカスプライ52aをドラム10の軸方向から見た断面図である。図6では、インナーライナー51のジョイント部51aの断面が図示されている。「インナーライナー51の前端」とは、インナーライナー51の長手方向の端部のうち、先にドラム10に巻き付けられた端部のことをいう。「インナーライナー51の後端」とは、インナーライナー51の長手方向の端部のうち、後からドラム10に巻き付けられた端部のことをいう。インナーライナー51のうちジョイント部51aは、インナーライナー51の端部が重ねられるため、インナーライナー51の他の部分に比べて、ドラム10の径方向における厚みが厚くなる。このため、工程Bにおいて、インナーライナー51に重ねてカーカスプライ52aが巻かれた際に、インナーライナー51のジョイント部51aでは、図6に示されているように、インナーライナー51とカーカスプライ52aとの間に空洞CVが生じうる。空洞CVは、シェーピング工程において図1に示すようにローカバーを膨らませたときに、ジョイント部51aから入り込んだエアが浸透する箇所となりうる。
【0051】
<押付工程>
図7は、押付工程を示す断面図である。押付工程は、図7に示されているように、インナーライナー51とカーカスプライ52a、52bとが折り返される前に、インナーライナー51のジョイント部51aに押圧ローラー63を押し付ける処理である。かかる押付工程によって、ジョイント部51aに押圧ローラー63を押し付けられるので、ジョイント部51aにおいて、インナーライナー51とカーカスプライ52aとを圧着させることができる。このため、インナーライナー51のジョイント部51aにおいて、インナーライナー51とカーカスプライ52aとの間に空洞CVが生じている場合でも、当該空洞CVが消失する。
【0052】
かかる押付工程は、インナーライナー51にカーカスプライ52a、52bを重ね合わされた後で、ターンアップブラダー40でインナーライナー51とカーカスプライ52a、52bとの両端部およびビードエイペックス58bが折り返される前に実施されるとよい。カーカスプライ52a、52bの両端部の予め定められた位置に、ビードコア58aと、ビードエイペックス58bとが配置される前でも、後でもよい。また、かかる押付工程で、押圧ローラー63が押し付けられる位置は、ビードエイペックスが折り返される際にビードエイペックスの先端が配置される位置よりも内側の予め定められた位置に設定されているとよい。
【0053】
かかる押付工程は、例えば、制御装置90による制御によって具現化されうる。制御装置90は、図7に示すローラー装置60のシリンダ61を駆動し、ロッド61aをドラム10の径方向に伸ばすことによって、押圧ローラー63をカーカスプライ52aに押し付ける。なお、押圧ローラー63を押し付けるときに、インナーライナー51のジョイント部51a(図6参照)がドラム10の径方向において押圧ローラー63と対向する位置に配置されるように、予めドラム10を回転させておいてもよい。また、押付工程における押圧ローラー63による押し付けは、例えば、カーカスプライ52aに対して所定の圧力が生じるように制御されているとよい。
【0054】
さらに制御装置90は、以下の取得処理、位置決め処理が実行されるように構成されているとよい。
【0055】
<取得処理>
取得処理は、成形されるタイヤ500のサイズのデータを取得する処理である。本実施形態では、タイヤ500のローカバーを成形する際に、制御装置90が図2に示すネットワークNWを介して、外部サーバー装置200の記憶装置210からタイヤ500のサイズのデータを取得する。
【0056】
<位置決め処理>
位置決め処理は、ドラム10の外周に重ねられたインナーライナー51およびカーカスプライ52aに押圧ローラー63が押し付けられる位置を、取得処理によって取得したタイヤ500のサイズのデータに基づいて決定する処理である。ドラム10の外周に重ねられたインナーライナー51およびカーカスプライ52aに押圧ローラー63が押し付けられる位置は、ビードエイペックス58bの先端部58baよりも内側に設定される。以下において、押圧ローラー63が押し付けられる位置の決定について説明する。なお、位置決め処理によって取得される各位置は、例えば、ローカバー成形装置1上の座標によって取得されうる。
【0057】
位置決め処理では、ドラム10の軸方向の中心の位置をタイヤ500の軸方向の中心の位置とみなされるとよい。制御装置90は、取得処理にて取得された、タイヤ500の中心とビードエイペックス58bとの間隔の分だけ、ドラム10の軸方向の中心から離れた2つの位置を取得する。当該2つの位置は、ドラム10の軸方向において、ドラム10の中心に対して互いに反対の位置である。このとき取得した位置を、図3に示す第1位置P1とする。なお、第1位置P1は、ドラム10の軸方向において、ビード58が配置される位置である。さらに、制御装置90は、例えば、ビードエイペックス58bの高さの半分の長さだけ、第1位置P1位置からドラム10の軸方向において内側の位置を取得する。この位置を第2位置P2とする。その後、制御装置90は、ドラム10の軸方向において、第2位置P2から内側に10mmだけ離れた位置を取得する。この位置を押圧位置CPとする。制御装置90は、押圧位置CPを算出すると、図5に示すレール70の備えるモータを制御し、ドラム10の径方向において、押圧ローラー63を押圧位置CPと揃った位置に移動させる。
【0058】
本実施形態では、次に、カーカスプライ52a、52bの両端部の予め定められた位置に、ビードコア58a(図4参照)と、ビードエイペックス58b(図4参照)とが配置される。ビードコア58aおよびビードエイペックス58bは、搬送装置(図示せず)によって、ビード保持部30に配置される。上述したように、図3に示すピストンリング31を駆動し、ロックセグメント32を径方向外側に移動することによって、ビードコア58aおよびビードエイペックス58bがビード保持部30に保持される。このように、カーカスプライ52a、52bの両端部の予め定められた位置に、ビードコア58aと、ビードエイペックス58bとが配置される工程は、上述した押付工程の後でもよい。なお、上述した押付工程は、カーカスプライ52a、52bの両端部の予め定められた位置に、ビードコア58aと、ビードエイペックス58bとが配置された後で、ターンアップブラダー40でインナーライナー51とカーカスプライ52a、52bとの両端部およびビードエイペックス58bが折り返される前に実行されてもよい。
【0059】
次に、ドラム10に巻き付けられた円筒パーツ50の両端を折り返す処理(以下、適宜に「ターンアップ処理」とも称される)が行われる。インナーライナー51、カーカスプライ52a、52bは、幅方向の中央部が外径側に膨らまされてトロイダル状に成形される。図4に示すように、ターンアップブラダー40によって、円筒パーツ50の両端部が折り返されるとき、間隔調整機構20によってドラム10間の間隔が狭められつつ、ターンアップブラダー40に気体が充填される。これによって、円筒パーツ50の軸方向においてビード保持部30よりも外側でターンアップブラダー40が膨らむ。このとき、図8に示すように、インナーライナー51の両端部とカーカスプライ52a、52bの両端部とがビードエイペックス58bを包むように折り返される。図8に示されているように、円筒パーツ50の両端部が折り返されると、ビードエイペックス58bの先端部58baは、円筒パーツ50の中央部に向かうように変形する。
【0060】
図8は、ターンアップされた後のビード58付近を示す図である。ここでは、ビードエイペックス58bは、上下方向の略中間の位置において折れ曲がっている。位置決め処理によって取得した第2位置P2は、ドラム10(図3参照)の軸方向において、図8に示すビードエイペックス58bの先端部58baの位置と略一致している。押圧位置CPは、第2位置P2よりもドラム10の軸方向において、10mmだけ内側の位置であり、かつ押圧ローラー63(図5参照)の幅が20mmであるため、押圧ローラー63は、ビードエイペックス58bの先端部58baの位置よりも内側の20mmの範囲を押圧する。図8に示されているように、円筒パーツ50の両端部が折り返された状態では、ビードエイペックス58bの折れ曲がった部分には、元の形状に戻る方向に弾性力SFが発生する。押圧位置CPは、弾性力SFが発生している位置よりも、ドラム10の軸方向の内側に位置している。押圧ローラー63(図5参照)により押圧する範囲は、押圧位置CPから、図面視における左右方向にそれぞれ10mmの範囲であり、当該範囲は、ビードエイペックス58bの先端部58baよりもドラム10の軸方向の内側である。すなわち、押圧ローラー63は、ドラム10の軸方向において、ターンアップ処理によってビードエイペックス58bが折り返される際にビードエイペックス58bの先端部58baが配置される位置よりも内側の20mmの範囲を押圧処理において押圧している。
【0061】
ここで開示されたタイヤの製造方法によれば、上述した押圧処理において、ビードエイペックス58bが折り返される際にビードエイペックス58bの先端が配置される位置よりも内側の予め定められた押圧位置CPにおいて、インナーライナー51のジョイント部51aに、押圧ローラー63が押しつけられる。具体的には、ビードエイペックス58bの先端部58baが配置される位置よりも内側の20mmの範囲を押圧処理において押圧している。かかる処理によって、ターンアップ処理によってビードエイペックス58bが折り返される際にビードエイペックス58bの先端部58baが配置される位置よりも内側の予め定められた押圧位置CPにおいて、図7に示されているように、カーカスプライ52aがインナーライナー51の形状に沿うように変形し、インナーライナー51とカーカスプライ52a、52bが圧着される。このため、当該位置において、インナーライナー51のジョイント部51aに起因してインナーライナー51とカーカスプライ52aとの間に空洞CVが生じていても、当該空洞CVが消失する。
【0062】
なお、押圧処理では、押圧ローラー63を押し当てつつ、ドラム10を回転させてもよい。ドラム10を回転させる方向は、例えば、インナーライナー51が巻き付けられる方向と逆向きであるとよい。
【0063】
ターンアップ処理によってビードエイペックス58bが折り返される際にビードエイペックス58bの先端部58baが配置される位置よりも内側において、インナーライナー51とカーカスプライ52a、52bが強固に圧着した部位が形成される。特に、図6に示されているように、インナーライナー51のジョイント部51aに起因してインナーライナー51とカーカスプライ52aとの間に空洞CVが生じていても、図7に示されているように、押圧処理によって当該空洞CVが消失する。
【0064】
本願発明者の知見では、押圧処理において、押圧ローラー63を押し当てる位置が重要であり、押圧ローラー63を押し当てる位置が、折り返されるビードエイペックス58bの先端部58baよりも外側、つまり、折り返されるビードエイペックス58bが重なりうる位置であると、折り返されたビードエイペックス58bの弾性力SFが作用することによって、インナーライナー51のジョイント部51aに起因して生じるインナーライナー51とカーカスプライ52aとの間の空洞CVが再び開きうる。
【0065】
後工程のシェーピング工程では、ビード58間においてインナーライナー51の内側にエアが充填される。この際、インナーライナー51の内周面には、インナーライナー51のジョイント部51aが露出している。また、インナーライナー51のジョイント部51aに起因した、インナーライナー51とカーカスプライ52aとの間の空洞CVがありうる。インナーライナー51の内側面に露出したジョイント部51aを通じて、インナーライナー51とカーカスプライ52aとの間の空洞CVにシェーピング工程で充填されるエアが入りうる。ジョイント部51aに起因したインナーライナー51とカーカスプライ52aとの間の空洞CVは、タイヤの幅方向に連続して生じうる。このため、図1において、矢印Bで示されているように、インナーライナー51の内側面に露出したジョイント部51aを通じて、インナーライナー51とカーカスプライ52aとの間の空洞CVに入り込んだエアは、ローカバーの内部に浸透しうる。ローカバーの内部にエアが浸透すると空気の溜まりができて膨らむなどの不具合を生じさせる場合がある。
【0066】
これに対して、本実施形態では、ターンアップ処理によってビードエイペックス58bが折り返される前に、ターンアップ処理で折り返されるビードエイペックス58bの先端部58baが配置される位置よりも内側に設定された押圧位置CPにおいて、押圧ローラー63が押し当てられる。これにより、当該部位において、インナーライナー51とカーカスプライ52a、52bとが強固に圧着した状態になる。当該部位は、折り返されるビードエイペックス58bと重ならず、折り返されたビードエイペックス58bの弾性力SFが作用しにくい。このため、ターンアップ処理において折り返されたビードエイペックス58bの弾性力SFに抗して、インナーライナー51とカーカスプライ52a、52bとが圧着した状態が維持される。また、当該位置では、インナーライナー51のジョイント部51aに起因した、インナーライナー51とカーカスプライ52aとの間の空洞CVを消失させることができる。このため、シェーピング工程において、ローカバーを膨らませたときに、ジョイント部51aからエアが入り込んでも、矢印Aで示されるように、エアの侵入が押圧処理で押圧された押圧位置CPにおいて遮断される。このため、シェーピング工程で充填されるエアが、ローカバーの内側に浸透することが抑制される。これにより、インナーライナー51のジョイント部51aに起因したインナーライナー51とカーカスプライ52aとの間の空洞CVを通じて、ローカバーの内側にエアが入り込む事象が抑制される。これにより、かかるエアの浸透に起因する不具合が抑制され、タイヤ500の製造における歩留まりを向上させることができる。
【0067】
以上のように、ローカバー成形装置1は、図3および図5に示すように、筒状のドラム10と、ドラム10の軸方向の両側に設けられたターンアップブラダー40と、ドラム10の外周面に対向し、かつ、軸方向に移動可能に構成された押圧ローラー63を備えたローラー装置60と、制御装置90(図1参照)とを備えている。制御装置90は、ドラム10の外周に巻かれたジョイント部を有するインナーライナー51と、インナーライナー51に重ねられたカーカスプライ52bの両端部とが、ターンアップブラダー40によってビードエイペックス58b(図4参照)を包むように折り返される前に、ドラム10の外周に重ねられたインナーライナー51およびカーカスプライ52bのうち、インナーライナー51のジョイント部51aに押圧ローラー63が押しつけられる処理が実行されるように構成されている。押圧ローラー63が押しつけられる処理で、ドラム10の外周に重ねられたインナーライナー51およびカーカスプライ52bに押圧ローラー63が押し付けられる位置は、ターンアップブラダー40によってインナーライナー51とカーカスプライ52bとの両端部が折り返された際に、ビードエイペックス58bの先端が配置される位置よりも内側の予め定められた位置に設定されているとよい。
【0068】
ここで提案されるローカバー成形装置1によれば、上述した押圧処理において、ターンアップブラダー40によって、インナーライナー51とカーカスプライ52bとの両端部が折り返された際に、ビードエイペックス58bの先端が配置される位置よりも内側の予め定められた位置に押圧ローラー63が押し当てられる。これによって、ビードエイペックス58bの先端部58baよりも内側において、インナーライナー51とカーカスプライ52bとを圧着させることができ、当該部位に、インナーライナー51のジョイント部51aに起因した空洞CVがあっても当該空洞CVが閉じられる。このため、後工程のシェーピング工程では、ビード58間において、インナーライナー51の内側にエアが充填されても、当該位置において、エアの浸透が遮断される。インナーライナー51のジョイント部51aに起因して、インナーライナー51とカーカスプライ52aとの間の空洞CVを通じて、ローカバーの内側にエアが入り込む事象が抑制される。これにより、かかるエアの浸透に起因する不具合が抑制され、タイヤ500の製造における歩留まりを向上させることができる。
【0069】
また、このローカバー成形装置1によれば、上述した押圧処理において、押圧ローラー63が押し当てられる位置が予め定められた位置に制御される。このため、ターンアップブラダー40によってインナーライナー51とカーカスプライ52bとの両端部が折り返された際に、ビードエイペックス58bの先端が配置される位置よりも内側の予め定められた位置に安定して押圧ローラー63が押し当てられる。このため、上述した押圧処理がより確実に安定して行なわれる。これにより、上述したエアの浸透に起因する不具合がより確実に抑制され、タイヤ500の製造における歩留まりを格段に向上させることができる。
【0070】
上述した実施形態では、ビードエイペックス58bの先端部58baから内側に20mmの範囲を押圧ローラー63によって押圧していた。発明者の知見によれば、ビードエイペックス58bの先端部58baから内側に20mmの範囲を押圧ローラー63によって押圧することによって、ローカバーの内側にエアが入り込む事象に起因した不具合が抑制されやすい。なお、本実施形態における押圧ローラー63による押圧の範囲は、本発明の効果を十分に得ることのできる具体的な一態様であり、特段の言及がない限りにおいてこれに限定されない。
【0071】
上述した実施形態では、制御装置90は、製造するタイヤのサイズのデータを、外部サーバー装置200の記憶装置210から取得する。制御装置90は、取得したタイヤのサイズのデータから、押圧位置CPを取得し、ドラム10の径方向において押圧位置CPと揃った位置にシリンダ61を移動させる。これによって、上述した押圧処理において、押圧ローラー63が押し当てられる位置が、製造するタイヤのサイズに応じて定められる。このため、押圧ローラー63が押圧位置CPを確実に押圧することができる。したがって、ドラム10への円筒パーツ50の巻き付けをより高精度に管理することができる。なお、この場合、制御装置90は、製造するタイヤのサイズと、押圧位置CPとの関係が予め記録されたデータベースを備えていてもよく、製造するタイヤのサイズに基づいて、押圧位置CPが取得できるように構成されているとよい。
【0072】
以上、ここで開示される発明について、種々説明したが、ここで開示される発明は、特に言及されない限りにおいて、上述した実施形態や変形例に限定されない。また、種々言及した実施形態や変形例の各構成は、互いに阻害しない関係であれば、適宜に組み合わせることができる。
【0073】
上述した実施形態では、ローラー装置60は、制御装置90によって移動されていたがこれに限定されない。ローラー装置60は、手動で移動されるように構成されていてもよい。例えば、位置決め処理によって押圧位置CPが決定された後、作業者は、ドラム10の径方向において、ローラー装置60を押圧位置CPと揃った位置に移動させるものであってもよい。
【0074】
上述した実施形態では、押圧ローラー63がドラム10の軸方向に沿って2つ配置されていたがこれに限定されない。例えば、インナーライナー51の前端5Fおよび後端5Rrがドラム10の軸方向に対して傾くように形成されている場合、インナーライナー51のジョイント部51aは、ドラム10の上方から見てドラム10の軸方向に対して傾く方向に延びる。この場合も、押圧ローラー63が押しつけられる処理では、ドラム10の外周に重ねられたインナーライナー51およびカーカスプライ52bに押圧ローラー63が押し付けられる位置は、ターンアップブラダー40によってインナーライナー51とカーカスプライ52bとの両端部が折り返された際に、ビードエイペックス58bの先端が配置される位置よりも内側の予め定められた位置に設定されているとよい。
【0075】
上述した実施形態では、第2位置P2は、ドラム10の軸方向において、第1位置P1からビードエイペックス58bの高さの半分の長さだけ内側の位置としていたがこれに限定されない。第2位置P2は、ビードエイペックス58bが折れ曲がるときの当該折れ曲がる位置に応じて変化するものであってよい。例えば、ビードエイペックス58bが折れ曲がるとき、ビードエイペックス58bの根元部分から折れ曲がる場合、第2位置P2は、第1位置P1からビードエイペックス58bの高さの分だけ内側であってもよい。ビードエイペックス58bが折れ曲がるときの当該折れ曲がる位置は、例えば、ビードエイペックス58bの剛性により変化する。作業者は、ビードエイペックス58bが折れ曲がるときの当該折れ曲がる位置の理論値を予め算出しておくことが好ましい。
【0076】
本発明(1)は、ローカバー成形装置に関する。
本発明(1)にかかるローカバー成形装置は、
筒状のドラムと、
前記ドラムの軸方向の両側に設けられたターンアップブラダーと、
前記ドラムの外周面に対向し、かつ、前記軸方向に移動可能に構成された押圧ローラーと、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記ドラムの外周に巻かれたジョイント部を有するインナーライナーと、前記インナーライナーに重ねられたカーカスプライの両端部とが、前記ターンアップブラダーによってビードエイペックスを包むように折り返される前に、前記ドラムの外周に重ねられた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライのうち、前記インナーライナーのジョイント部に前記押圧ローラーが押しつけられる処理が実行されるように構成されており、
前記押圧ローラーが押しつけられる処理で、前記ドラムの外周に重ねられた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライに前記押圧ローラーが押し付けられる位置は、前記ターンアップブラダーによって前記インナーライナーと前記カーカスプライとの両端部が折り返された際に、前記ビードエイペックスの先端が配置される位置よりも内側の予め定められた位置に設定されている。
【0077】
本発明(2)は、(1)のローカバー成形装置であって、
前記押圧ローラーが押しつけられる処理では、前記ドラムの外周に重ねられた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライのうち、前記ターンアップブラダーで前記インナーライナーと前記カーカスプライとの両端部が折り返された際に、前記ビードエイペックスの先端が配置される位置よりも20mm内側の範囲を前記押圧ローラーが押し付ける。
【0078】
本発明(3)は、(1)または(2)のローカバー成形装置であって、
前記制御装置は、
成形されるタイヤのサイズのデータを取得する処理をさらに有し、
前記押圧ローラーが押しつけられる処理では、前記ドラムの外周に重ねられたインナーライナーおよび前記カーカスプライに前記押圧ローラーが押し付けられる位置は、取得された前記タイヤのサイズのデータに基づいて定められるように構成されている。
【0079】
本発明(4)は、タイヤの製造方法に関する。
本発明(4)にかかるタイヤの製造方法は、
ドラムの外周にインナーライナーを巻き、インナーライナーの端部をジョイントする工程と、
前記ドラムの外周に巻かれた前記インナーライナーにカーカスプライを重ね合わせる工程と、
前記カーカスプライの両端部の予め定められた位置に、ビードコアと、ビードエイペックスとが配置される工程と、
前記インナーライナーに前記カーカスプライを重ね合わされた後で、かつ、前記重ね合わせる工程で重ね合わされた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライのうち、前記インナーライナーと前記カーカスプライとの両端部および前記ビードエイペックスが折り返される前に、前記ビードエイペックスが折り返される際に前記ビードエイペックスの先端が配置される位置よりも内側の予め定められた位置において、前記インナーライナーのジョイント部に、押圧ローラーを押しつける押付工程と
を含む。
【0080】
本発明(5)は、(4)のタイヤの製造方法であって、
前記押付工程において、前記ドラムの外周に重ねられた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライのうち、前記インナーライナーと前記カーカスプライとの両端部が折り返された際に、前記ビードエイペックスの先端が配置される位置よりも20mm内側の予め定められた範囲を前記押圧ローラーが押し付ける。
【0081】
本発明(6)は、(4)または(5)のタイヤの製造方法であって、
前記押付工程において、前記重ね合わせ工程で重ね合わされた前記インナーライナーおよび前記カーカスプライに、前記押圧ローラーが押し付けられる位置は、前記タイヤのサイズのデータに基づいて定められる。
【符号の説明】
【0082】
1 ローカバー成形装置
5F 前端
5Rr 後端
10 ドラム
11 胴部
13 グリッププレート
13a 支持部
14 サポートシリンダ
15 ガイドプレート
16 押圧部材
20 間隔調整機構
21 ねじ軸
22 ねじ穴
23 モータ
24 軸受
30 ビード保持部
31 ピストンリング
31a 傾斜面
32 ロックセグメント
32a 弾性リング
32b 傾斜面
40 ターンアップブラダー
50 円筒パーツ
51 インナーライナー
51a ジョイント部
51F 前端
51Rr 後端
52 カーカス
52a、52b カーカスプライ
53 クッションゴム
54 ブレーカー
54b ビードエイペックス
55 アンダートレッドゴム
56 トレッドゴム
57 サイドウォールゴム
58 ビード
58a ビードコア
58b ビードエイペックス
58ba 先端部
59 チェーファー
60 ローラー装置
61 シリンダ
61a ロッド
62 支持部材
63 押圧ローラー
70 レール
90 制御装置
100 ローカバー成形システム
200 外部サーバー装置
210 記憶装置
500 タイヤ
510 トレッド部
CP 押圧位置
CV 空洞
NW ネットワーク
P1 第1位置
P2 第2位置
SF 弾性力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8