(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023479
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】屋根用シート
(51)【国際特許分類】
E04D 3/40 20060101AFI20250207BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20250207BHJP
【FI】
E04D3/40 V
E04D13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127624
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】302054442
【氏名又は名称】株式会社サワヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【弁理士】
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 東志郎
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AZ01
2E108BN06
2E108DD07
2E108GG16
2E108KK01
2E108KS05
2E108MM05
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】建築物の屋根に敷設することで室内への熱の伝導を減少させ、更に発電機能も備えることで高い省エネルギー効果を得られる屋根用シートを提供する。
【解決手段】 本発明の屋根用シート1は、折板屋根100の上方に留め金具10を介して固定される。複数の通気用透過孔21を備える本体シート20と、本体シートの表面であって通気用透過孔を塞がない位置に固定される可撓性を備えた太陽光発電モジュール30を備える。太陽光発電モジュールによる発電機能を備えるので高い省エネルギー効果を得られる。太陽光発電モジュールが可撓性を備えるので本体シートが風や雪等により撓んだ場合でも、太陽光発電モジュールは本体シートの動きに追従して撓むことができる。屋根用シートと折板屋根との間に生じる空間内で自然発生した気流が通気用透過孔を通って外部に至ることで放熱作用が生じるので建物内の温度上昇を抑制できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折板屋根の上方に留め金具を介して固定される屋根用シートであり、
複数の通気用透過孔を備える本体シートと、前記本体シートの表面であって前記通気用透過孔を塞がない位置に固定される可撓性を備えた太陽光発電モジュールとを少なくとも備えることを特徴とする屋根用シート。
【請求項2】
折板屋根の上方に留め金具を介して固定される屋根用シートであり、
可撓性を備えた太陽光発電モジュールを備えており、
前記太陽光発電モジュールが複数の通気用透過孔を備えることを特徴とする屋根用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋根に敷設することで室内への熱の伝導を減少させ、更に発電機能も備えることで高い省エネルギー効果を得られる屋根用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般家屋、ビル、工場、倉庫等の建築物の屋根は直射日光によって高温となり、その熱が伝導して室内も高温になるという問題がある。また、屋根からの放射冷却により室内の温度が低下して暖房効率が低下したり、結露が生じて室内の床面に結露水が落下したりする問題もある。特に工場や倉庫等の大型建築物で用いられる折板屋根は金属板を折り曲げ加工しているので熱の伝導性が高く、このような問題が顕著に生じる。
【0003】
そこで、例えば屋根に遮熱塗料を塗布したり、二重屋根(重ね葺き)にしたり、屋上を緑化したりする対策が知られているが、いずれも工期に時間を要したり、メンテナンスに手間が掛かったりする問題がある。
本願出願人は折板屋根の頂部に留め金具を介して取り付ける屋根用遮断シートを開発した(特許文献1)。このシートは雨及び光の遮断特性を有する材料から成り、透過孔を多数備えているため、日光を反射すると共に、屋根面とシートの間に生じる空間内に自然発生する気流を透過孔を通過させて外部に拡散させることによって屋根面の温度上昇や結露の発生を効率的に抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の電気代の高騰を踏まえて、上記特許文献1に係る技術よりも更に高い省エネ効果を得られる屋根用シートが求められている。
【0006】
本発明は、上記のような問題を考慮して、建築物の屋根に敷設することで室内への熱の伝導を減少させ、更に発電機能も備えることで高い省エネルギー効果を得られる屋根用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の屋根用シートは、折板屋根の上方に留め金具を介して固定される屋根用シートであり、複数の通気用透過孔を備える本体シートと、前記本体シートの表面であって前記通気用透過孔を塞がない位置に固定される可撓性を備えた太陽光発電モジュールとを少なくとも備えることを特徴とする。
本発明の屋根用シートは、折板屋根の上方に留め金具を介して固定される屋根用シートであり、可撓性を備えた太陽光発電モジュールを備えており、前記太陽光発電モジュールが複数の通気用透過孔を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の屋根用シートは太陽光発電モジュールによる発電機能を備えるので高い省エネルギー効果を得られる。
太陽光発電モジュールが可撓性を備えるので本体シートが風や雪等により撓んだ場合でも、太陽光発電モジュールは本体シートの動きに追従して撓むことができる。
【0009】
留め金具によって屋根用シートと折板屋根との間に空間が生じる。空間内で自然発生した気流が通気用透過孔を通って外部に至ることで放熱作用が生じるので建物内の温度上昇を抑制でき、また、結露の発生を抑制できる。特に日光に照らされることで太陽光発電モジュール自体が熱を持ってしまい発電効率が低下するおそれがあるが、通気用透過孔を通過する気流によって太陽光発電モジュールの温度を下げる効果も得られる。
また、強風時でも空気が通気用透過光を通過するので屋根用シートが風の影響でバタついたり破損したりする事態を防止でき、更に屋根用シートの表面に溜まった雨水等を通気用透過孔から屋根に流す排水効果も得られる。
また、屋根用シートが存在することで屋根に日光が直接照射されないので屋根の温度上昇を抑制し、建物内の温度上昇を抑制できる。
太陽光発電モジュール自体が通気用透過孔を備えることにすれば屋根用シートの製造時及び施工時のコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態の屋根用シートを折板屋根に固定した状態を示す平面図(a)及び正面図(b)
【
図2】屋根用シートの変形例を示す平面図(a)及び(b)
【
図4】屋根用シートをはぜ締め型折板に固定した状態を示す拡大平面図(a)、拡大正面図(b)及び留め金具の正面図(c)
【
図5】屋根用シートを重ね型折板に固定した状態を示す拡大平面図(a)及び正面図(b)
【
図6】第2の実施の形態の屋根用シートを折板屋根に固定した状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
本発明の屋根用シートの第1の実施の形態について説明する。
図1に示すように屋根用シート1は折板屋根100の上方に留め金具10を介して固定される。なお、
図1(a)では留め金具10の図示を省略しており、
図4(a)に留め金具10で固定した屋根用シート1の平面図を示している。
屋根用シート1は本体シート20と太陽光発電モジュール30を少なくとも備える。
【0012】
本体シート20は雨や光の遮断特性を有するのが好ましく、材質としてはポリエチレン系樹脂が挙げられるがこれに限定されない。
本体シート20は複数の通気用透過孔21を備える。通気用透過孔21は基本的には本体シート20の全面に所定の間隔で設けるが、本体シート20の一部に設けてもよい。通気用透過孔21の配列方法は特に制限がなく、
図1に示すように上下左右方向に均等間隔で配置したり、
図2(a)に示すように交互に配置したりしてもよい。通気用透過孔21の直径は屋根用シート1を施工する場所に応じて適宜調節すればよいが、80mm~150mm程度が好ましい。また、通気用透過孔21の形状は円形に限らず
図2(b)に示すように三角形や四角形等の多角形でもよい。
本体シート20の縁には複数のハトメ22を均等間隔で設けてある。ハトメ22は屋根用シート1を折板屋根100に固定する際に使用する。後述するとおり、はぜ締め型折板101ではハトメ22を利用してビス止めやボルト・ナットによる固定が可能であるが、重ね型折板103では端部をクランプで挟持して固定するためハトメ22は必ずしも必要ではない。また、ハトメ22に限らず、ビス止めやボルト・ナットによる固定が可能な孔が開いていれば良い。
【0013】
太陽光発電モジュール30は本体シート20の表面であって通気用透過孔21を塞がない位置に固定される。太陽光発電モジュール30は樹脂基板を備える太陽電池セルを所望の電圧・電流が得られるように配列し、これらを電気的に接続した状態でETFE(Ethylene Tetra Fluoro Ethylen)等から成る樹脂シートでラミネート加工したものであり、可撓性を備える。複数の太陽光発電モジュール30を電気的に接続することで太陽電池アレイになる。
太陽光発電モジュール30を本体シート20の表面に固定する方法としては例えば溶着、接着剤や接着テープによる接着、ボルト・ナット等の周知の手段による連結が挙げられるがこれらに限定されない。例えば
図3に示すように太陽光発電モジュール30の縁部にハトメ31を設けて、ハトメ31にボルトを貫通させて本体シート20の裏面側と太陽光発電モジュール30の表面側からナットで固定する方法を採用してもよい。
【0014】
太陽光発電モジュール30が可撓性を備えるので、本体シート20が風や雪等により撓んだ場合でも太陽光発電モジュール30は本体シート20の動きに追従して撓むことができる。また、
図1中の線A1,A2で示す箇所で折り曲げることができるので、屋根用シート1の可搬性及び施工性を高めることができる。
なお、図示は省略するが太陽光発電モジュール30が発電した電力はパワーコンディショナー等を経て蓄電池に蓄電される。
【0015】
留め金具10の構造については特に限定されるものではなく、以下に構造例を示す。
図4(b)は
図1中に丸で囲んだ箇所の拡大図であり、はぜ締め型折板101に屋根用シート1を留め金具10を介して固定した状態を示している。
【0016】
図4(c)に示すように留め金具10は断面が台形状であり、その上部に開口11を備えており、下部に溝12を備えている。はぜ締め型折板101の頂部に存在するレール状の突起部102と溝12を嵌合させることで留め金具10がはぜ締め型折板101に固定される。
図1(a)に示すように本体シート20の縁には所定間隔でハトメ22が形成されており、
図4(b)に示すようにハトメ22と留め金具10の開口11とを重ね合わせた状態でボルト13を貫通させ、ボルト13の上下をワッシャー14を介してナット15で締め付けることで留め金具10を介して屋根用シート1をはぜ締め型折板101の上方に固定する。
また、
図4(a)に示すようにワイヤー105を屋根用シート1の表面に配置して、ワイヤー105の両端を留め金具10で固定することにしてもよい。この場合、風の影響を受けて上方に浮き上がろうとする屋根用シート1をワイヤー105で押さえつけることができる。
【0017】
図5は重ね型折板103に屋根用シート1を留め金具40を介して固定した状態を示している。なお、理解を容易にするために
図5(a)には屋根用シート1の図示を省略している。
留め金具40は高ナット41、ベースクランプ42、単管パイプ43、シートクランプ44、T字クランプ45、十字クランプ46等で概略構成される。
重ね型折板103の頂部には重ね合わせた2枚の屋根材を固定するためのナット104が多数取り付けられている。このナット104の一部に高ナット41を取り付け、高ナット41の上部にベースクランプ42を取り付ける。次に複数の単管パイプ43をベースクランプ42で挟持しながら平面視矩形状に組み上げる。次に、複数の単管パイプ43をT字クランプ45、十字クランプ46等で平面視矩形状に組み上げ、本体シート20の縁を単管パイプ43に取り付けた複数のシートクランプ44で挟持することで本体シート20を重ね型折板103に固定する。
【0018】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の屋根用シートの第2の実施の形態について説明するが、上記第1の実施の形態と同一の構成になる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように本実施の形態では第1の実施の形態で示した本体シート20を備えておらず、太陽光発電モジュール30自体が通気用透過孔21を備える点に特徴を有する。
具体的には太陽光発電モジュール30の最下層に配置されるバックシート32に通気用透過孔21を形成してある。太陽光発電モジュール30は通気用透過孔21を塞がないように配置される。
本実施の形態の屋根用シート2によれば本体シート20を備えない分、製造時及び施工時のコストを抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、建築物の屋根に敷設することで室内への熱の伝導を減少させ、更に発電機能も備えることで高い省エネルギー効果を得られる屋根用シートであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0020】
1 屋根用シート
2 屋根用シート
10 留め金具
11 開口
12 溝
13 ボルト
14 ワッシャー
15 ナット
20 本体シート
21 通気用透過孔
22 ハトメ
30 太陽光発電モジュール
31 ハトメ
32 バックシート
40 留め金具
41 高ナット
42 ベースクランプ
43 単管パイプ
44 シートクランプ
45 T字クランプ
46 十字クランプ
100 折板屋根
101 はぜ締め型折板
102 突起部
103 重ね型折板
104 ナット
105 ワイヤー