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  • 特開-プリント配線板 図1
  • 特開-プリント配線板 図2A
  • 特開-プリント配線板 図2B
  • 特開-プリント配線板 図2C
  • 特開-プリント配線板 図2D
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023498
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20250207BHJP
【FI】
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127656
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 涼哉
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338CC01
5E338CD24
5E338CD25
5E338EE11
(57)【要約】
【課題】消費電力を少なくできるプリント配線板を得る。
【解決手段】高速データ伝送用配線パターンが、第1、第2、第3のデータ伝送用配線において、各データ伝送用配線の幅をW11とし、第1データ伝送用配線と第2データ伝送用配線との間の間隔をW12とし、第2データ伝送用配線と第3データ伝送用配線との間の間隔をW13としたとき、W12>1.5×W11、且つ、W13>1.5×W11であり、低速データ伝送用配線パターンが、第1、第2、第3のデータ伝送用配線において、各データ伝送用配線の幅をW21とし、第1データ伝送用配線と第2データ伝送用配線との間の間隔をW22とし、第2データ伝送用配線と第3データ伝送用配線との間の間隔をW23としたとき、W22≦1.5×W21、且つ、W23≦1.5×W21であり、高速データ伝送用配線パターンの表面粗度R1が、低速データ伝送用配線パターンの表面粗度R2未満である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された、高速データ伝送用配線パターンと低速データ伝送用配線パターンと、を含むプリント配線板であって、
前記高速データ伝送用配線パターンが、隣り合う第1、第2および第3のデータ伝送用配線において、各データ伝送用配線の幅をW11とし、第1データ伝送用配線と第2データ伝送用配線との間の間隔をW12とし、第2データ伝送用配線と第3データ伝送用配線との間の間隔をW13としたとき、W12>1.5×W11、且つ、W13>1.5×W11、の関係を満たし、
前記低速データ伝送用配線パターンが、隣り合う第1、第2および第3のデータ伝送用配線において、各データ伝送用配線の幅をW21とし、第1データ伝送用配線と第2データ伝送用配線との間の間隔をW22とし、第2データ伝送用配線と第3データ伝送用配線との間の間隔をW23としたとき、W22≦1.5×W21、且つ、W23≦1.5×W21、の関係を満たし、
前記高速データ伝送用配線パターンの各データ伝送用配線の表面粗度R1が、前記低速データ伝送用配線パターンの各データ伝送用配線の表面粗度R2未満である、
ことを特徴とする、プリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板であって、
前記高速データ伝送用配線パターンにおいて、各データ伝送用配線の表面粗度R1の二乗平均平方根粗さRqは0.23μm以下であり、前記低速データ伝送用配線パターンにおいて、各データ伝送用配線の表面粗度R2の二乗平均平方根粗さRqは0.4μm以上である、ことを特徴とする、プリント配線板。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線板であって、
前記高速データ伝送用配線パターンにおいて、各データ伝送用配線の表面粗度R1の二乗平均平方根粗さRqは0.10μm以下であり、前記低速データ伝送用配線パターンにおいて、各データ伝送用配線の表面粗度R2の二乗平均平方根粗さRqは0.5μm以上である、ことを特徴とする、プリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低速なデータの伝送経路と高速なデータの伝送経路とを含むプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
低速なデータの伝送経路と高速なデータの伝送経路とを含むプリント配線板として、低速なデータを電気信号として伝送し、高速なデータを光信号として伝送することが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、高速なデータについては、一旦電気信号を光信号に変換して、変換した光信号を光導波路により伝送し、伝送終了後再び光信号を電気信号に変換していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010-504663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、電気信号を光信号に変換することと光信号を電気信号に変換することを含んでいる。そのため、変換にかかる消費電力が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプリント配線板は、基板と、前記基板上に形成された、高速データ伝送用配線パターンと低速データ伝送用配線パターンと、を含むプリント配線板であって、前記高速データ伝送用配線パターンが、隣り合う第1、第2および第3のデータ伝送用配線において、各データ伝送用配線の幅をW11とし、第1データ伝送用配線と第2データ伝送用配線との間の間隔をW12とし、第2データ伝送用配線と第3データ伝送用配線との間の間隔をW13としたとき、W12>1.5×W11、且つ、W13>1.5×W11、の関係を満たし、前記低速データ伝送用配線パターンが、隣り合う第1、第2および第3のデータ伝送用配線において、各データ伝送用配線の幅をW21とし、第1データ伝送用配線と第2データ伝送用配線との間の間隔をW22とし、第2データ伝送用配線と第3データ伝送用配線との間の間隔をW23としたとき、W22≦1.5×W21、且つ、W23≦1.5×W21、の関係を満たし、前記高速データ伝送用配線パターンの各データ伝送用配線の表面粗度R1が、前記低速データ伝送用配線パターンの各データ伝送用配線の表面粗度R2未満である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るプリント配線板の一実施形態を説明するための図である。
図2A】本発明に係るプリント配線板における配線の表面粗化の一実施形態を説明するための図である。
図2B】本発明に係るプリント配線板における配線の表面粗化の一実施形態を説明するための図である。
図2C】本発明に係るプリント配線板における配線の表面粗化の一実施形態を説明するための図である。
図2D】本発明に係るプリント配線板における配線の表面粗化の一実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明のプリント配線板について>
本発明のプリント配線板の一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、図1図2に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0009】
図1は、本発明に係るプリント配線板の一実施形態を説明するための断面図である。図1において、プリント配線板1は、基板2と、基板2上に形成された、高速データ伝送用配線パターン10と低速データ伝送用配線パターン20と、を含む。また、高速データ伝送用配線パターン10と低速データ伝送用配線パターン20とは、基板2上で樹脂絶縁層3により覆われて保護されている。
【0010】
プリント配線板1は、コア基板(図示せず)の片面または両面に所定の回路パターンを有する導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層してなるコア付き基板であってよい。コア基板の両面に導体層を形成する場合には、コア基板を介して対向する導体層同士は、スルーホール導体(図示せず)を介して接続されていてもよい。あるいは、プリント配線板1は、コア基板の代わりに支持板(図示せず)上で導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層した後、支持板を除去してなるコアレス基板であってもよい。いずれにせよ、プリント配線板1は、図1に示すように、少なくとも1層の樹脂絶縁層のうち最外に配置されたものである基板2と、基板2上に形成された、高速データ伝送用配線パターン10と低速データ伝送用配線パターン20とを備えている。基板2の下層には他の複数の導体層および樹脂絶縁層が交互に設けられている場合が多いが、図では省略されている。
【0011】
図1に示す本発明に係るプリント配線板1おいて、高速データ伝送用配線パターン10が、隣り合う第1、第2および第3のデータ伝送用配線11-1~11-3において、各データ伝送用配線の幅をW11とし、第1データ伝送用配線11-1と第2データ伝送用配線11-2との間の間隔をW12とし、第2データ伝送用配線11-2と第3データ伝送用配線11-3との間の間隔をW13としたとき、W12>1.5×W11、且つ、W13>1.5×W11、の関係を満たしている。
【0012】
また、図1に示す本発明に係るプリント配線板1において、低速データ伝送用配線パターン20が、隣り合う第1、第2および第3のデータ伝送用配線21-1~21-3において、各データ伝送用配線の幅をW21とし、第1データ伝送用配線21-1と第2データ伝送用配線21-2との間の間隔をW22とし、第2データ伝送用配線21-2と第3データ伝送用配線21-3との間の間隔をW23としたとき、W22≦1.5×W21、且つ、W23≦1.5×W21、の関係を満たしている。
【0013】
さらに、図1に示す本発明に係るプリント配線板1において、高速データ伝送用配線パターン10の各データ伝送用配線11-1~11-3の表面粗度R1が、低速データ伝送用配線パターン20の各データ伝送用配線21-1~21-3の表面粗度R2未満である。なお、高速データ伝送用配線パターン10において、各データ伝送用配線11-1~11-3の表面粗度R1の二乗平均平方根粗さRqは0.23μm以下が好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。また、低速データ伝送用配線パターン20において、各データ伝送用配線21-1~21-3の表面粗度R2の二乗平均平方根粗さRqは0.4μm以上が好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。
【0014】
上述した図1に示す本発明に係るプリント配線板の実施形態では、高速データの伝送に高速データ伝送用配線パターン10を用いている。そのため、従来必要であった電気信号と光信号との間の変換が必要なくなるため、高速データの伝送に光導波路を用いた場合と比べて、消費電力を少なくすることができる。
【0015】
また、上述した図1に示す本発明に係るプリント配線板の実施形態では、高速データ伝送用配線パターン10において、第2のデータ伝送用配線11-2の両側に配置されている間隔W12およびW13が自身の幅W11の1.5倍より大きいので、高速なデータが劣化しにくくなる。また、高速データ伝送用配線パターン10の各データ伝送用配線11-1~11-3の表面粗度R1が、低速データ伝送用配線パターン20の各データ伝送用配線21-1~21-3の表面粗度R2未満であるため、高速データ伝送用配線パターン10の部分では、W12およびW13の幅が広いことで、また、低速データ伝送用配線パターン20の部分では、各データ伝送用配線21-1~21-3の表面粗さが粗であるため、いずれも、高速データ伝送用配線パターン10と低速データ伝送用配線パターン20とが、樹脂絶縁層3から剥がれ難い構造となる。
【0016】
なお、高速データ伝送用配線パターン10において、高速データ伝送におけるデータの劣化がしにくくなるのは、以下の理由によるものと考えられる。本実施形態では、第1のデータ伝送用配線11-1と第2のデータ伝送用配線11-2との間の幅W2と、第2のデータ伝送用配線11-2と第3のデータ伝送用配線11-3との間の幅W3とが、広く形成されている。そのため、隣接するデータ伝送用配線間の幅W2およびW3の部分のコンデンサ容量を小さくすることができ、高速データ伝送でもデータが劣化しにくくなるものと考えられる。
【0017】
<本発明に係るプリント配線板における配線の表面粗化について>
図2A図2Dは、それぞれ、本発明に係るプリント配線板における配線の表面粗化の一実施形態を説明するための図である。以下、図2A図2Dを参照にして、本発明のプリント配線板における配線の表面粗化について説明する。
【0018】
まず、図2Aに示すように、基板2上に、高速データ伝送用配線パターン10と低速データ伝送用配線パターン20とを形成する。
【0019】
本実施形態では、高速データ伝送用配線パターン10を、隣り合う第1、第2および第3のデータ伝送用配線11-1~11-3から構成し、各データ伝送用配線の幅をW11とし、第1データ伝送用配線11-1と第2データ伝送用配線11-2との間の間隔をW12とし、第2データ伝送用配線11-2と第3データ伝送用配線11-3との間の間隔をW13としたとき、W12>1.5×W11、且つ、W13>1.5×W11、の関係を満たすようにする。
【0020】
また、本実施形態では、低速データ伝送用配線パターン20を、隣り合う第1、第2および第3のデータ伝送用配線21-1~21-3から構成し、各データ伝送用配線の幅をW21とし、第1データ伝送用配線21-1と第2データ伝送用配線21-2との間の間隔をW22とし、第2データ伝送用配線21-2と第3データ伝送用配線21-3との間の間隔をW23としたとき、W22≦1.5×W21、且つ、W23≦1.5×W21、の関係を満たすようにする。
【0021】
次に、図2Aに示すように形成した高速データ伝送用配線パターン10と低速データ伝送用配線パターン20とにおいて、各データ伝送用配線の表面に対し均一に第1の導体粗化を行う。そして、図2Bに示すように、各表面を均一に粗化した、データ伝送用配線11-1~11-3およびデータ伝送用配線21-1~21-3を得る。
【0022】
次に、図2Cに示すように、高速データ伝送用配線パターン10の部分にマスク31を形成する。次に、図2Cに示すように形成した、高速データ伝送用配線パターン10の部分をマスク31でカバーした中間体に対し、均一に第2の導体粗化を行う。この第2の粗化では、マスク31の存在により高速データ伝送用配線パターン10の部分は粗化されず、低速データ伝送用配線パターン20の部分のみ粗化される。
【0023】
その後、第2の粗化を行った中間体からマスク31を除去する。これにより、図2Dに示すように、高速データ伝送用配線パターン10の各データ伝送用配線11-1~11-3の表面粗度R1が、低速データ伝送用配線パターン20の各データ伝送用配線21-1~21-3の表面粗度R2未満となる、本発明に係るプリント配線板1を形成することができる。最終的には、図2Dに示す状態のプリント配線板1の表面全体に、樹脂絶縁層3を覆って保護する。
【0024】
なお、高速データ伝送用配線パターン10において、各データ伝送用配線11-1~11-3の表面粗度R1の二乗平均平方根粗さRqを、0.23μm以下になるよう形成することが好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。また、低速データ伝送用配線パターン20において、各データ伝送用配線21-1~21-3の表面粗度R2の二乗平均平方根粗さRqを、0.4μm以上になるよう形成することが好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。
【0025】
また、上述した実施形態では、第1の導体粗化および第2の導体粗化の2回の導体粗化を行ったが、高速データ伝送用配線パターン10の各データ伝送用配線11-1~11-3の表面の表面粗度R1が、形成した時点で上記好ましい条件を満たしていれば、第1の導体粗化は省略して、第2の導体粗化のみ行うこともできる。
【符号の説明】
【0026】
1 プリント配線板
2 基板
3 樹脂絶縁層
10 高速データ伝送用配線パターン
11-1 第1のデータ伝送用配線
11-2 第2のデータ伝送用配線
11-3 第3のデータ伝送用配線
20 低速データ伝送用配線パターン
21-1 第1のデータ伝送用配線
21-2 第2のデータ伝送用配線
21-3 第3のデータ伝送用配線
31 マスク
図1
図2A
図2B
図2C
図2D