(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023526
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】誤操作防止カバー
(51)【国際特許分類】
H01H 9/02 20060101AFI20250207BHJP
【FI】
H01H9/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127727
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 明伸
【テーマコード(参考)】
5G052
【Fターム(参考)】
5G052AA27
5G052HA13
5G052HC01
(57)【要約】
【課題】過度な靭性を有することを抑制することができるとともに、カバー自体の大型化を抑制すること。
【解決手段】パネル1にスイッチ本体2bとともに取り付けられ、スイッチ本体2bに設けられた操作部2aを開口部21aより露出させるベース20と、ベース20に対して係合手段を介して係合され、開口部21aを開閉する蓋体30とを備え、係合手段は、蓋体30に形成された軸部321,322と、ベース20に形成され、軸部321,322が進入した場合にこれらを回転自在に保持する軸受部221,231と、軸受部221,231に連通する態様で形成され、蓋体30の開口部21aを開放する方向の揺動角度が所定角度となる場合にのみ軸部321,322の通過を許容する溝部222,232とを備え、蓋体30は、ベース20がパネル1に取り付けられる場合に、開口部21aを開放する方向の揺動角度が所定角度未満に規制される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに対してスイッチ本体とともに取り付けられ、自身に形成された開口部より前記スイッチ本体に設けられた操作部を露出させるベースと、
前記ベースに対して係合手段を介して係合され、前記開口部を開閉する態様で揺動可能に設けられた蓋体と
を備え、
前記蓋体が前記開口部を閉塞することにより、前記操作部への誤操作を防止する誤操作防止カバーであって、
前記係合手段は、
前記ベース及び前記蓋体の一方に形成された軸部と、
前記ベース及び前記蓋体の他方に形成され、前記軸部が進入した場合に該軸部を回転自在に保持する軸受部と、
前記軸受部に連通する態様で形成され、前記蓋体の前記開口部を開放する方向の揺動角度が所定角度となる場合にのみ前記軸部の通過を許容する溝部と
を備えてなり、
前記蓋体は、前記ベースが前記パネルに取り付けられる場合に、前記開口部を開放する方向の揺動角度が前記所定角度未満に規制されたことを特徴とする誤操作防止カバー。
【請求項2】
前記ベースと前記蓋体との間に介在し、かつ前記開口部を閉塞する方向に揺動する態様で前記蓋体を付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の誤操作防止カバー。
【請求項3】
前記軸部は、前記蓋体に形成され、前記軸受部は、前記ベースに形成されたことを特徴とする請求項2に記載の誤操作防止カバー。
【請求項4】
前記軸部は、
円柱状の形態を成し、かつ自身の中心軸に沿って一部に平面状の第1切欠が形成された第1軸部と、
円柱状の形態を成し、かつ前記第1軸部とは反対側となる部分に自身の中心軸に沿って第2切欠が形成された第2軸部と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の誤操作防止カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤操作防止カバーに関し、より詳細には、制御盤等のパネルに実装される操作スイッチの操作部に対する誤操作を防止するための誤操作防止カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、誤操作防止カバーはベースと蓋体とを備えている。ベースは、操作スイッチのスイッチ本体とともにパネルに取り付けられ、スイッチ本体に設けられた操作部を自身に形成された開口部より露出させている。蓋体は、自身に形成された軸部がベースに形成された軸孔に挿入して嵌合することにより、該ベースに対して開口部を開閉する態様で揺動可能に設けられている。そのような誤操作防止カバーでは、常態において蓋体が開口部を閉塞する方向に揺動することで操作部への誤操作を防止している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記誤操作防止カバーにおいては、蓋体に形成された軸部がベースに形成された軸孔に挿入して嵌合しているので、軸部が形成された部位(軸部形成部位)、あるいは軸孔が形成された部位(軸孔形成部位)を弾性変形させて軸部を軸孔に挿入させる必要があった。そのため、軸部形成部位や軸孔形成部位に対して必要以上の強度が求められたり、弾性変形を考慮した必要以上に大きな寸法が求められたりし、結果的に、過度な靭性を有するとともにカバー自体の大型化を招来するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、過度な靭性を有することを抑制することができるとともに、カバー自体の大型化を抑制することができる誤操作防止カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る誤操作防止カバーは、パネルに対してスイッチ本体とともに取り付けられ、自身に形成された開口部より前記スイッチ本体に設けられた操作部を露出させるベースと、前記ベースに対して係合手段を介して係合され、前記開口部を開閉する態様で揺動可能に設けられた蓋体とを備え、前記蓋体が前記開口部を閉塞することにより、前記操作部への誤操作を防止する誤操作防止カバーであって、前記係合手段は、前記ベース及び前記蓋体の一方に形成された軸部と、前記ベース及び前記蓋体の他方に形成され、前記軸部が進入した場合に該軸部を回転自在に保持する軸受部と、前記軸受部に連通する態様で形成され、前記蓋体の前記開口部を開放する方向の揺動角度が所定角度となる場合にのみ前記軸部の通過を許容する溝部とを備えてなり、前記蓋体は、前記ベースが前記パネルに取り付けられる場合に、前記開口部を開放する方向の揺動角度が前記所定角度未満に規制されたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記誤操作防止カバーにおいて、前記ベースと前記蓋体との間に介在し、かつ前記開口部を閉塞する方向に揺動する態様で前記蓋体を付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記誤操作防止カバーにおいて、前記軸部は、前記蓋体に形成され、前記軸受部は、前記ベースに形成されたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記誤操作防止カバーにおいて、前記軸部は、円柱状の形態を成し、かつ自身の中心軸に沿って一部に平面状の第1切欠が形成された第1軸部と、円柱状の形態を成し、かつ前記第1軸部とは反対側となる部分に自身の中心軸に沿って第2切欠が形成された第2軸部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ベースと蓋体とを係合する係合手段は、ベース及び蓋体の一方に形成された軸部と、ベース及び蓋体の他方に形成され、軸部が進入した場合に該軸部を回転自在に保持する軸受部と、軸受部に連通する態様で形成され、蓋体の開口部を開放する方向の揺動角度が所定角度となる場合にのみ軸部の通過を許容する溝部とを備えてなり、蓋体は、ベースがパネルに取り付けられる場合に、開口部を開放する方向の揺動角度が所定角度未満に規制されているので、軸部が形成された部位や軸受部及び溝部が形成された部位を弾性変形させる必要がない。これによりこれらの部位の寸法を大型化させる必要はないばかりか、ベースや蓋体に過度な靭性を必要としない。従って、過度な靭性を有することを抑制することができるとともに、カバー自体の大型化を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である誤操作防止カバーの適用例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態である誤操作防止カバーの適用例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態である誤操作防止カバーの外観構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示したベースの外観構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3に示したベースの外観構成を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図3に示した蓋体の外観構成を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図3に示した蓋体の外観構成を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、ベースに対する蓋体の係合手順を示す説明図である。
【
図11】
図11は、ベースと蓋体との係合状態を説明するための説明図であり、(a)は、蓋体が開口部を閉塞した状態の誤操作防止カバーの平面図であり、(b)は、蓋体の揺動角度が0°、90°、270°となる場合の(a)におけるP-P断面及びQ-Q断面を示している。
【
図13】
図13は、本発明の実施の形態である誤操作防止カバーの適用例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る誤操作防止カバーの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1及び
図2は、それぞれ本発明の実施の形態である誤操作防止カバーの適用例を示す斜視図である。
【0014】
ここで例示する誤操作防止カバー10は、例えば制御盤等のパネル1に実装される押ボタンスイッチ等の操作スイッチ2の操作部2aに対する誤操作を防止するためのものである。以下においては、
図1及び
図2に付した方向に沿って誤操作防止カバー10の構成について説明する。
【0015】
図3は、本発明の実施の形態である誤操作防止カバー10の外観構成を示す斜視図である。ここで例示する誤操作防止カバー10は、ベース20、蓋体30及びコイルバネ(付勢手段)40を備えて構成されている。
【0016】
図4及び
図5は、それぞれ
図3に示したベース20の外観構成を示す斜視図である。これら
図4及び
図5にも示すように、ベース20は、例えば樹脂材料により形成されており、ベース基部21、第1ベース突部22及び第2ベース突部23を備えて構成されている。
【0017】
ベース基部21は、円形状の開口部21aを有した略円環状の板状部分である。第1ベース突部22は、ベース基部21の後端部分より後方に突出する態様で形成された左右一対のものである。これら第1ベース突部22には、それぞれ第1軸受部221及び第1溝部222が形成されている。尚、以下においては、左右一対の第1ベース突部22において、互いに近接する側を内側と称し、互いに離隔する側を外側と称して説明する。
【0018】
第1軸受部221は、第1ベース突部22の内側部に露出する態様で形成された円形状の穴部分である。第1溝部222は、第1軸受部221に連通しており、第1軸受部221より下方に向けて延在する幅寸法が一様なスリット状部分である。第1溝部222は、第1ベース突部22の内側部に露出するとともに、該第1ベース突部22の下端部に露出している。これら第1溝部222は、
図6に示すように、前後方向の幅寸法Aが第1軸受部221の内径に比べて小さく、該第1軸受部221に対して前方側に片寄って形成されている。
【0019】
第2ベース突部23は、第1ベース突部22の相互間において、ベース基部21の後端部分より後方に突出する態様で形成された左右一対のものである。これら第2ベース突部23には、それぞれ第2軸受部231及び第2溝部232が形成されている。
【0020】
第2軸受部231は、第2ベース突部23の外側部、すなわち第1ベース突部22の内側部に対向する側部に露出する態様で形成された円形状の穴部分である。これら第2軸受部231は、第1軸受部221と中心軸が一致しつつ該第1軸受部221と同一の内径を有しており、それぞれ第1軸受部221に対向している。つまり、左方の第2ベース突部23に形成された第2軸受部231は、左方の第1ベース突部22に形成された第1軸受部221と対向しており、右方の第2ベース突部23に形成された第2軸受部231は、右方の第1ベース突部22に形成された第1軸受部221と対向している。
【0021】
第2溝部232は、第2軸受部231に連通しており、第2軸受部231より下方に向けて延在する幅方向が一様なスリット状部分である。第2溝部232は、第2ベース突部23の外側部に露出するとともに、該第2ベース突部23の下端部に露出している。これら第2溝部232は、前後方向の幅寸法が第1溝部222の幅寸法Aと同じである。また第2溝部232は、前後方向の幅寸法が第2軸受部231の内径に比べて小さく、該第2軸受部231に対して後方側に片寄って形成されている。
【0022】
これにより、左方の第2ベース突部23に形成された第2溝部232は、左方の第1ベース突部22に形成された第1溝部222に対して一部が対向しており、右方の第2ベース突部23に形成された第2溝部232は、右方の第1ベース突部22に形成された第1溝部222に対して一部が対向している。
【0023】
図7及び
図8は、それぞれ
図3に示した蓋体30の外観構成を示す斜視図である。これら
図7及び
図8にも示すように、蓋体30は、例えば樹脂材料により形成されており、蓋基部31及び蓋突部32を備えて構成されている。
【0024】
蓋基部31は、外径寸法がベース基部21の外径寸法に略等しい略円形状部分である。この蓋基部31は、
図7及び
図8において上方に向けて膨出しており、上面が表面31aであり、下面が裏面31b(
図2参照)である。つまり、蓋基部31は、ベース基部21に形成された開口部21aを閉塞するのに十分な大きさを有している。
【0025】
蓋突部32は、蓋基部31の後端部分より後方に突出する態様で形成された左右一対のものである。尚、以下においては、左右一対の蓋突部32において、互いに近接する側を内側と称し、互いに離隔する側を外側と称して説明する。
【0026】
ここで蓋突部32は、互いの離隔距離が第2ベース突部23により形成される左右幅よりも大きく、第1ベース突部22同士の相互間距離よりも小さい。より詳細には、左方の蓋突部32が、左方の第1ベース突部22と左方の第2ベース突部23との相互間に進入した場合に、右方の蓋突部32が右方の第1ベース突部22と右方の第2ベース突部23との相互間に進入可能な態様で離隔して形成されている。
【0027】
そのような蓋突部32のそれぞれには、第1軸部321と第2軸部322とが形成されている。第1軸部321は、蓋突部32の外側部より外側に突出する態様で形成されている。すなわち、左方の蓋突部32に形成された第1軸部321は、左側部より左方に突出する態様で形成され、右方の蓋突部32に形成された第1軸部321は、右側部より右方に突出する態様で形成されている。これら第1軸部321は、
図7及び
図8において下方部分に該第1軸部321の中心軸に沿って平面状の第1切欠321aが形成された円柱状形状を成している。
【0028】
第2軸部322は、中心軸が第1軸部321と一致する態様で、蓋突部32の内側部より内側に突出して形成されている。すなわち、左方の蓋突部32に形成された第2軸部322は、右側部より右方に突出する態様で形成され、右方の蓋突部32に形成された第2軸部322は、左側部より左方に突出する態様で形成されている。これら第2軸部322は、第1軸部321とは反対側の部分、すなわち
図7及び
図8において上方部分に中心軸に沿って平面状の第2切欠322aが形成された円柱状形状を成している。
【0029】
そのような第1軸部321と第2軸部322とは、
図9に示すように切欠(第1切欠321a又は第2切欠322a)に直交する幅寸法B、並びに最大外径寸法Dが同じとなるように、共通の寸法を有している。また第1軸部321及び第2軸部322は、幅寸法Bが第1溝部222及び第2溝部232の幅寸法Aよりも小さく、最大外径寸法Dが第1軸受部221及び第2軸受部231の内径よりも僅かに小さい大きさを有している。
【0030】
そのような構成を有する蓋体30は、次のようにしてベース20に係合される。
図10の(a)に示すように、表面31aが前方で裏面31bが後方を臨むように蓋体30を配置させることで、第1切欠321aが後方側、第2切欠322aが前方側を臨むようにさせる。そして、前後方向に沿って配置させたベース20に対し、蓋体30を下方から近接させる。上述したように、ベース20においては、第1溝部222が第1軸受部221よりも前方に片寄って形成されるとともに、第2溝部232が第2軸受部231よりも後方に片寄って形成されているので、第1溝部222に対して第1軸部321を下方から上方に向けて通過させるとともに、第2溝部232に対して第2軸部322を下方から上方に向けて通過させる。
【0031】
その後、
図10の(b)に示すように、第1軸受部221に第1軸部321を進入させるとともに第2軸受部231に第2軸部322を進入させ、蓋体30が第1軸部321及び第2軸部322の中心軸回りに揺動可能となる。そして、
図10の(c)に示すように、蓋体30の裏面31bがベース20の開口部21aの上方側に近接するように蓋体30を揺動させることにより、蓋体30は、ベース20に係合される。つまり、蓋体30は、開口部21aを開閉する態様でベース20に揺動可能に係合される。
【0032】
コイルバネ40は、
図3に示したように、ベース20における第2ベース突部23の内側部に形成された保持突起233に架け渡されるように保持されており、一端41がベース20に係止されるとともに他端42が蓋体30に係止されている。このコイルバネ40は、開口部21aを閉塞する方向に蓋体30を付勢している。つまり、コイルバネ40は、ベース20と蓋体30との間に介在し、かつ開口部21aを閉塞する方向に揺動する態様で蓋体30を付勢するものである。
【0033】
そのような誤操作防止カバー10におけるベース20と蓋体30との係合状態について説明する。
【0034】
図11は、ベース20と蓋体30との係合状態を説明するための説明図であり、(a)は、蓋体30が開口部21aを閉塞した状態の誤操作防止カバー10の平面図であり、(b)は、蓋体30の揺動角度が0°、90°、270°となる場合の(a)におけるP-P断面及びQ-Q断面を示している。尚、
図11においては、コイルバネ40の図示を省略している。
【0035】
図11に示すように、蓋体30が開口部21aを閉塞する場合、すなわち蓋体30の揺動角度が0°となる場合、第1軸部321及び第2軸部322の前後方向の寸法が最大外径寸法Dとなり、第1軸受部221及び第2軸受部231に係止され、第1溝部222及び第2溝部232を通過することが規制される。
【0036】
また、蓋体30の揺動角度が90°となる場合、すなわち蓋体30が開口部21aを開放する方向に90°揺動した場合、第1軸部321及び第2軸部322の前後方向の寸法が幅寸法Bとなるが、第1軸部321が第1軸受部221の後方側部分に係止し、第2軸部322が第2軸受部231の前方側部分に係止することにより、第1軸部321及び第2軸部322は、それぞれ第1溝部222及び第2溝部232を通過することが規制される。
【0037】
一方、蓋体30の揺動角度が270°となる場合、すなわち蓋体30が開口部21aを開放する方向に270°揺動した場合、第1軸部321及び第2軸部322の前後方向の寸法が幅寸法Bとなり、第1軸部321が第1軸受部221における第1溝部222の直上域に配置し、第2軸部322が第2軸受部231における第2溝部232の直上域に配置することにより、第1軸部321が第1溝部222を通過することが許容されるとともに、第2軸部322が第2溝部232を通過することが許容される。
【0038】
つまり、誤操作防止カバー10においては、蓋体30の揺動角度が0°以上270°未満である場合には、ベース20と蓋体30との係合状態が維持されている。そして、ベース20の溝部(第1溝部222及び第2溝部232)は、蓋体30が開口部21aを開放する方向に所定角度(270°)揺動した場合にのみ、軸部(第1軸部321及び第2軸部322)の通過を許容するものである。
【0039】
そのような誤操作防止カバー10は、次のようにして
図1及び
図2に示したようにパネル1に取り付けられている。
図12に示すように、ベース20は、防水性確保のための円環状のパッキン3を介して、パネル1に形成された取付孔1aに自身の開口部21aが一致するように配置される。そして、操作スイッチ2を構成するスイッチ本体2bを、開口部21a、取付孔1aの順に相対的に貫通させた後、
図13に示すように押え金具4に形成された支持孔4aを貫通させてからナット5と螺合させる。これにより、スイッチ本体2bは、自身に設けられた押圧操作用の操作部2aが、
図2に示したようにベース20の開口部21aから露出された状態でパネル1に取り付けられ、この結果、誤操作防止カバー10は、パネル1に取り付けられる。
【0040】
誤操作防止カバー10は、コイルバネ40による付勢力により蓋体30がベース20の開口部21aを閉塞する方向に揺動するので、常態においては
図1に示したように蓋体30が操作部2aを被覆し、該操作部2aに対する誤操作を防止している。
【0041】
一方、誤操作防止カバー10は、
図2に示したようにコイルバネ40の付勢力に抗して蓋体30が開口部21aを開放する方向に揺動させられた場合、操作部2aを露出させ、該操作部2aに対する押圧操作を許容している。
【0042】
また上記誤操作防止カバー10では、ベース20がパネル1に取り付けられることにより、蓋体30の揺動角度(開口部21aを開放する方向の揺動角度)は、0°以上180°以下となる。つまり、蓋体30は、ベース20がパネル1に取り付けられる場合に、開口部21aを開放する方向の揺動角度が所定角度(270°)未満に規制されている。これにより、通常使用時に蓋体30がベース20から外れることはない。
【0043】
以上説明したように、本発明の実施の形態である誤操作防止カバー10においては、蓋体30に形成された第1軸部321及び第2軸部322と、ベース20に形成され、かつ第1軸部321及び第2軸部322が進入した場合にこれらを回転自在に保持する第1軸受部221及び第2軸受部231と、第1軸受部221及び第2軸受部231にそれぞれ連通する態様で形成され、蓋体30の開口部21aを開放する方向の揺動角度が所定角度(270°)となる場合にのみ第1軸部321及び第2軸部322の通過を許容する第1溝部222及び第2溝部232とが、本願発明における係合手段を構成している。
【0044】
そして、上記誤操作防止カバー10によれば、係合手段を構成する第1溝部222及び第2溝部232が、蓋体30の開口部21aを開放する方向の揺動角度が所定角度(270°)となる場合にのみ第1軸部321及び第2軸部322の通過を許容し、上記係合手段を構成する蓋体30は、ベース20がパネル1に取り付けられる場合に、開口部21aを開放する方向の揺動角度が所定角度(270°)未満に規制されているので、軸部形成部位や軸受部形成部位となる第1ベース突部22、第2ベース突部23及び蓋突部32を弾性変形させる必要がなく、第1ベース突部22、第2ベース突部23及び蓋突部32の寸法を大型化させる必要はないばかりか、ベース20及び蓋体30に過度な靭性を必要としない。従って、過度な靭性を有することを抑制することができるとともに、カバー自体の大型化を抑制することができる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0046】
上述した実施の形態では、軸部(第1軸部321及び第2軸部322)が蓋体30に形成され、軸受部(第1軸受部221及び第2軸受部231)及び溝部(第1溝部222及び第2溝部232)がベース20に形成されていたが、本発明においては、軸部がベースに形成され、軸受部及び溝部が蓋体に形成されていてもよい。
【0047】
上述した実施の形態では、第1軸部321及び第2軸部322が第1溝部222及び第2溝部232を通過することが可能な蓋体30の揺動角度が270°であったが、本発明においては、270°に限定されるものではない。
【0048】
上述した実施の形態では、第1溝部222及び第2溝部232は、幅寸法が一様なスリット状部分であったが、本発明においては、溝部は、軸受部から離隔するに連れて幅寸法が漸次大きくなるように形成されていてもよい。これによれば、ベースに蓋体を係合させる際に、軸部を溝部に挿入させやすくなり、誤操作防止カバーの組立作業を簡易なものとすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1…パネル、1a…取付孔、2…操作スイッチ、2a…操作部、2b…スイッチ本体、10…誤操作防止カバー、20…ベース、21…ベース基部、21a…開口部、22…第1ベース突部、221…第1軸受部、222…第1溝部、23…第2ベース突部、231…第2軸受部、232…第2溝部、30…蓋体、31…蓋基部、32…蓋突部、321…第1軸部、321a…第1切欠、322…第2軸部、322a…第2切欠、40…コイルバネ。