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  • 特開-画像形成装置 図1
  • 特開-画像形成装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023530
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41L 13/14 20060101AFI20250207BHJP
   B41L 13/16 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
B41L13/14 T
B41L13/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127733
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】岡根 佑樹
(57)【要約】
【課題】ドラム放置中に、クランプ板とマスタを非接触とすることで貼りつきを防止する。
【解決手段】マスタ21が巻装された回転可能なドラム4と、マスタ21の先端を固定または解除するように開閉可能に設けられたクランプ板31と、クランプ板31とドラム4との間に送風する分離ファン71と、印刷終了直後またはドラム4へのマスタ21の着版から所定時間経過後に、マスタ21の着版位置となるようにドラム4を回転させ、マスタ21の先端が抜けない程度にクランプ板31を所定の開度だけ開いた状態になるように制御する制御部9とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタが巻装された回転可能なドラムと、
前記マスタの先端を固定または解除するように開閉可能に設けられたクランプ板と、
前記クランプ板と前記ドラムとの間に送風する送風部と、
印刷終了直後または前記ドラムへの前記マスタの着版から所定時間経過後に、前記マスタの着版位置となるように前記ドラムを回転させ、前記マスタの先端が抜けない程度に前記クランプ板を所定の開度だけ開いた状態になるように制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
孔版印刷装置は、インクが収容されたインク容器が着脱可能に設けられたドラムを有し、このドラムに製版したマスタを着版し、マスタが着版されたドラムに印刷用紙を圧接させることにより印刷用紙に画像を印刷する。
【0003】
孔版印刷装置は、マスタの着版時、ドラムのクランプ板でマスタの先端をクランプしているが、印刷後にドラムを長期間(約1ヶ月以上)放置すると、マスタ表面を介してインク油がクランプ板に侵入し、クランプ板にマスタが貼りつくため排版準備動作に失敗する場合があった。
【0004】
特許文献1には、最後に第1のドラムに孔版原紙が巻装された時点からの経過時間が所定の経過時間閾値以上である場合に、通常時における第1の回動角度より大きい第2の回動角度まで原紙クランプ部を回動させる技術が記載されている(段落[0052]等)。
【0005】
特許文献2には、クランプ部によりドラムに対し固定された孔版原紙を固定状態から解放するための解放動作を複数回行う技術が記載されている(段落[0050]等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-240239号公報
【特許文献2】特開2019-064041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、貼りつき強度が大きい場合はクランプ板からマスタが離れないという問題があった。そのため、ユーザが手動でクランプ板からマスタを剥がし捨てる必要があり、時間がかかり、かつ手が汚れるという不具合があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ドラム放置中に、クランプ板とマスタを非接触とすることで貼りつきを防止する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置の特徴は、
マスタが巻装された回転可能なドラムと、
前記マスタの先端を固定または解除するように開閉可能に設けられたクランプ板と、
前記クランプ板と前記ドラムとの間に送風する送風部と、
印刷終了直後または前記ドラムへの前記マスタの着版から所定時間経過後に、前記マスタの着版位置となるように前記ドラムを回転させ、前記マスタの先端が抜けない程度に前記クランプ板を所定の開度だけ開いた状態になるように制御する制御部と、
を備えたことにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像形成装置の特徴によれば、ドラム放置中に、クランプ板とマスタを非接触とすることで貼りつきを防止することができる。マスタをクランプ版で再クランプする前に送風手段でクランプ版とドラムの間に送風することで、マスタの位置ずれも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1に係る孔版印刷装置1の概略構成図である。
図2】本発明の実施例1に係る孔版印刷装置1が備える分離ファンにより発生する気流を説明した説明図である。
図3】本発明の実施例1に係る孔版印刷装置1が備えるクランプ板の開閉動作を説明した説明図であり、(a)は、クランプ板が閉の状態を示した図であり、(b)は、クランプ板が開の状態を示した図である。
図4】本発明の実施例1に係る孔版印刷装置1における印刷終了直後またはドラムへのマスタの着版から所定時間経過後の動作について説明した図である。(a)は、印刷待機中の状態を示しており、(b)は、排版準備動作を示しており、(c)は、印刷準備動作を示しており、(d)は、印刷準備完了状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0013】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る孔版印刷装置(画像形成装置)の概略構成図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施例1に係る孔版印刷装置1は、主に、製版部2と、画像読取部3と、ドラム4と、インク容器5と、給紙部6と、排紙部7と、排版部8と、制御部9とを有している。
【0016】
画像読取部3は、孔版印刷装置1の上部に設けられ、図示しないコンタクトガラス上に載置された原稿からイメージセンサにより原稿画像から画像データを光学的に読み取り、これを電気信号に変換する。
【0017】
製版部2は、ロールされた長尺状のマスタ21を引き出し、外部から受信した印刷ジョブに含まれる画像データを製版画像としてサーマルヘッド22によりマスタ21に製版し、マスタカッタ23によりマスタ21をカットする。
【0018】
ドラム4は、メインモータ(図示せず)の駆動力によって図1の矢印方向Aに回転する。ドラム4に着版されたマスタ21にインクを供給すると共に、インクが供給されたマスタ21に対しプレスロール32等で印刷用紙61を圧接して、画像データに応じた画像を印刷用紙61に印刷する。
【0019】
ドラム4の外周には、クランプ板31が設けられている。クランプ板31は、製版部2によって画像データが製版されたマスタ21の先端部をクランプしてドラム4に着版させる。
【0020】
この孔版印刷装置1には、ドラム4の基準位置を検出し、ドラム4をマスタクランプ位置等に位置させるための基準位置検出センサ(図示せず)や、メインモータの回転を検出するロータリエンコーダ(図示せず)等が設けられ、基準位置検出センサの検出結果を基にロータリエンコーダの出力パルスを検出することによってドラム4の回転位置を検出できる。
【0021】
インク容器5は、ドラム4に供給されるインクを収容し、ドラム4に着脱可能に構成される。装着されたインク容器5は、ドラム4内に設けられる。
【0022】
給紙部6は、印刷用紙61が積層される給紙台62と、この給紙台62から最上位置の印刷用紙61のみを搬送させる1次給紙ロール63,64と、この1次給紙ロール63,64によって搬送された印刷用紙61をドラム4の回転に同期してドラム4とプレスロール32間に搬送する一対の2次給紙ロール65,66と、この一対の2次給紙ロール65,66間に印刷用紙61が搬送されたか否かを検出する給紙センサ67とを有する。
【0023】
排紙部7は、印刷処理された印刷用紙61をドラム4から分離する分離ファン71と、この分離ファン71によりドラム4から離間された印刷用紙61を吸引する吸引手段や搬送ベルトを有するサクションユニット72と、このサクションユニット72の搬送ベルトによって排紙された印刷用紙61が載置される排紙台73とを有する。
【0024】
分離ファン71は、図2に示すように、ドラム4に向かって送風している。ドラム4に吹き付けられた風は、ドラム4に沿って上方に送られる気流F1と、ドラム4に沿って下方に送られる気流F2とに分離される。ドラム4が図2に示すマスタ21の着版位置にある場合に、気流F1は、クランプ板31とドラム4との間に到達する。
【0025】
排版部8は、ドラム4の外周面よりクランプが解除されたマスタ21をドラム4より引き剥がす排版ユニット81と、この排版ユニット81によって引き剥がされたマスタ21を収納する排版ボックス82とを有し、排版ユニット81により排版ボックス82内に搬送されて来たマスタ21を圧縮機構83により排版ボックス82の奥に押し込む。
【0026】
制御部9は、孔版印刷装置1内の各種機能を制御する。なお、制御部9の詳細な構成については、後述する。また制御部9は、印刷終了直後またはドラム4へのマスタ21の着版から所定時間経過後に、マスタ21の着版位置となるようにドラム4を回転させ、マスタ21の先端が抜けない程度にクランプ板31を所定の開度だけ開いた状態になるように制御する。
【0027】
ここで、クランプ板31の開閉動作について説明する。
【0028】
図3は、クランプ板31の開閉動作を説明した説明図であり、(a)は、クランプ板31が閉の状態を示した図であり、(b)は、クランプ板31が開の状態を示した図である。
【0029】
図3(a)に示すように、クランプ板31が閉の状態のとき、クランプ板31がマスタ21の先端をクランプしている。
【0030】
図3(b)に示すように、クランプ板31の近傍には、用紙61を跳ね上げるための跳ね上げ板34が設けられている。
【0031】
このクランプ板31と跳ね上げ板34は、カム部33のクランプカム331が昇降することで開閉される。具体的には、カム部33のカムシャフト332が矢印の方向に回転することにより、クランプカム331が矢印の方向に下降する。
【0032】
そして、クランプカム331が下降した状態で、図3(b)に示すように、ドラム4がマスタ21の着版位置まで回転することで、クランプカム331がカムフォロア333に当接してクランプ板31が開状態となり、その後、クランプカム331がカムフォロア334に当接して跳ね上げ板34が開状態となる。
【0033】
図4は、本発明の実施例1に係る孔版印刷装置1における印刷終了直後またはドラム4へのマスタ21の着版から所定時間経過後の動作について説明した図である。図4(a)は、印刷待機中の状態を示しており、(b)は、排版準備動作を示しており、(c)は、印刷準備動作を示しており、(d)は、印刷準備完了状態を示している。
【0034】
以下、図4を用いて、マスタ21を交換する場合と、マスタ21を交換しない(非交換)の場合とに分けてそれぞれ説明する。
【0035】
(マスタ21を交換する場合)
マスタ21を交換する場合には、制御部9は、印刷終了直後またはドラム4へのマスタ21の着版から所定時間経過後に、図3に示したように、マスタ21の排版・着版位置(ホームポジション)となるようにドラム4を回転させる。
【0036】
そして、制御部9はクランプ板31を全開状態とする。
【0037】
次に、図4(b)に示すように、制御部9は、跳ね上げ板34を全開状態とすることにより、マスタ21の先端をドラム4から引きはがし、次いでドラム4を回転させてマスタ21の先端を排版ユニット81に受け渡し、ドラム4を回転させながら排版ユニット81の駆動部を駆動させてマスタ21を排版ボックス82内に収納して圧縮機構83で圧縮して排版が完了する。
【0038】
制御部9は、排版終了後、ドラムを回転させて着版位置に移動させ、クランプ版31を全開の状態で、製版されたマスタ21の先端をクランプ版31の下に誘導する。このとき、跳ね上げ板34は全閉状態にある。ついでクランプ版31を全閉状態とし、マスタ21の先端部をドラムにクランプする。そしてドラム4を回転させつつ製版されたマスタ21をドラム4の外周部に巻き付け着版させ、印刷準備完了状態となる(図4(d)の状態)。
【0039】
(マスタ21を交換しない場合)
マスタ21を交換しない場合には、同様に、制御部9は、印刷終了直後またはドラム4へのマスタ21の着版から所定時間経過後に、図3に示したように、マスタ21の排版・着版位置(ホームポジション)となるようにドラム4を回転させる。
【0040】
そして、制御部9は、図4(a)に示すように、マスタ21の先端が抜けない程度にクランプ板31を所定の開度だけ(ここでは半分だけ)開いた状態になるように制御する。
【0041】
これにより、図4(c)に示すように、分離ファン71の送風により形成されたドラム4に沿った気流F1が、クランプ板31とドラム4との間に到達する。
【0042】
そして、印刷する際には、図4(d)に示すように、制御部9は、クランプ板31を全閉状態とすることにより、マスタ21をドラム4に着版させる。
【0043】
なお、制御部9は、印刷終了直後に、マスタ21の排版・着版位置(ホームポジション)となるようにドラム4を回転させ、マスタ21の先端が抜けない程度にクランプ板31を所定の開度だけ開いた状態になるように制御することで、孔版印刷装置1が放置中に電源がオフになった場合にも効果がある。また、また制御部9は、ドラム4へのマスタ21の着版から所定時間経過後に、マスタ21の排版・着版位置(ホームポジション)となるようにドラム4を回転させ、マスタ21の先端が抜けない程度にクランプ板31を所定の開度だけ開いた状態になるように制御することで、毎回の印刷開始時における時間的なロスを低減することができる。
【0044】
なお、本発明の実施例1に係る孔版印刷装置1の分離ファン71は、図2に示すように、ドラム4に向かって送風し、ドラム4に吹き付けられた風は、ドラム4に沿って上方に送られる気流F1と、ドラム4に沿って下方に送られる気流F2とに分離されるように構成したが、これに限らない。例えば、分離ファン71による送風の方向を可変とし、ドラム4から用紙61を分離する際には、気流F2が形成されるように送風方向を下向きとし、クランプ板31とドラム4との間に送風する際には、気流F1が形成されるように送風方向を上向きとしてもよい。
【0045】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0046】
(付記1)
マスタが巻装された回転可能なドラムと、
前記マスタの先端を固定または解除するように開閉可能に設けられたクランプ板と、
前記クランプ板と前記ドラムとの間に送風する送風部と、
印刷終了直後または前記ドラムへの前記マスタの着版から所定時間経過後に、前記マスタの着版位置となるように前記ドラムを回転させ、前記マスタの先端が抜けない程度に前記クランプ板を所定の開度だけ開いた状態になるように制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0047】
これにより、ドラム放置中はクランプ板とマスタとが非接触となり、クランプ板とドラムとが貼り付くことを防止することができる。マスタをクランプ版で再クランプする前に送風手段でクランプ版とドラムの間に送風することで、マスタの位置ずれも防止できる。
【符号の説明】
【0048】
1 孔版印刷装置
2 製版部
3 画像読取部
4 ドラム
5 インク容器
6 給紙部
7 排紙部
8 排版部
9 制御部
21 マスタ
31 クランプ板
33 カム部
34 跳ね上げ板
61 用紙
71 分離ファン
331 クランプカム
332 カムシャフト
図1
図2
図3
図4