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  • 特開-塗膜の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002355
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】塗膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 175/02 20060101AFI20241226BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20241226BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20241226BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
C09D175/02
B05D7/00 E
B05D7/02
B05D7/24 302T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102467
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】516028185
【氏名又は名称】PLジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】松川 幸弘
【テーマコード(参考)】
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AE03
4D075AE05
4D075BB60Z
4D075BB92Y
4D075CA03
4D075CA04
4D075CA14
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DB13
4D075DB31
4D075DB43
4D075DC01
4D075DC13
4D075DC19
4D075EA41
4D075EB38
4D075EB43
4D075EB56
4J038DG001
4J038NA09
4J038PA07
4J038PB05
4J038PB07
4J038PC03
(57)【要約】
【課題】ガラスまたは樹脂製の基材が割れたときに破片の飛散を防止できる塗膜の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリウレア形成用塗料組成物をガラスまたは樹脂製の基材に塗布する工程、および塗布された前記ポリウレア形成用塗料組成物を硬化させて、ポリウレア塗膜を形成する工程を含む、塗膜の製造方法。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレア形成用塗料組成物をガラスまたは樹脂製の基材に塗布する工程、および
塗布された前記ポリウレア形成用塗料組成物を硬化させて、ポリウレア塗膜を形成する工程
を含む、塗膜の製造方法。
【請求項2】
ポリウレア塗膜のドライ膜厚が0.1~1000μmである、請求項1に記載の塗膜の製造方法。
【請求項3】
ポリウレア形成用塗料組成物の固形分濃度が30重量%以上である、
請求項1または2に記載の塗膜の製造方法。
【請求項4】
ポリウレア形成用塗料組成物が一液型である、
請求項1または2に記載の塗膜の製造方法。
【請求項5】
ポリウレア形成用塗料組成物をガラスまたは樹脂製の基材に塗布する工程の前に、
前記基材にシリコーン系プライマー層を形成する工程を含む、
請求項1または2に記載の塗膜の製造方法。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスは、建築物、自動車、太陽電池パネル等で広く用いられている。しかし、ガラスは一般的に脆く、外力や衝撃によって破損しやすい。一般住宅や自動車では、窓ガラスが割れるとその破片は人間に大きな危険をもたらす。また、医薬品や精密機械を製造する工場で窓ガラスが割れ、破片が飛散すると、そこで製造される製品の品質が脅かされ、被害は極めて大きい。
【0003】
ガラスの強化のために厚いガラスや、合わせガラスが使用されている。また、ガラスの飛散防止のために飛散防止フィルムの適用が行われている。しかし、これらの方法ではガラスの重量や厚みが増し、デザイン上の制約やコストが大きくなるという問題があった。また、ガラスの代わりに透明または半透明の樹脂パネルを用いる場合でも、樹脂パネル単体では強度が十分ではなく、割れたときの破片の飛散を防ぐことが重要である。
【0004】
一方、ウレア樹脂は防水性、耐薬品性、耐摩耗性、柔軟性に優れることが知られている。特許文献1では、ウレア構造を含むブロック共重合体を含む塗料組成物を樹脂基材フィルムに塗布しており、この塗膜が高弾性を有することを開示している。しかし、このブロック共重合体は重合反応済みの樹脂であり、分子量が大きく溶剤への溶解性が低いため、塗料組成物中に少量しか配合できない。そのため、厚膜を形成することが困難であり、塗膜の乾燥に長時間を要する。
【0005】
特許文献2では、末端イソシアネート基を有する化合物とアミン化合物との反応物を、土木・建築分野のシーリング材料として用いることを開示している。しかし、ガラスや樹脂基材への塗布は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-152833号公報
【特許文献2】特開2014-111789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ガラスまたは樹脂製の基材が割れたときに破片の飛散を防止できる塗膜の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、ポリウレア形成用塗料組成物を使用することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、ポリウレア形成用塗料組成物をガラスまたは樹脂製の基材に塗布する工程、および塗布された前記ポリウレア形成用塗料組成物を硬化させて、ポリウレア塗膜を形成する工程を含む、塗膜の製造方法に関する。
【0010】
ポリウレア塗膜のドライ膜厚が0.1~1000μmであることが好ましい。
【0011】
ポリウレア形成用塗料組成物の固形分濃度が30重量%以上であることが好ましい。
【0012】
ポリウレア形成用塗料組成物が一液型であることが好ましい。
【0013】
ポリウレア形成用塗料組成物をガラスまたは樹脂製の基材に塗布する工程の前に、前記基材にシリコーン系プライマー層を形成する工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の塗膜の製造方法によれば、ガラスまたは樹脂製の基材が割れたときに破片の飛散を防止できる塗膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例2の鋼球落下後のガラス基材および塗膜の様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<<塗膜の製造方法>>
本発明の塗膜の製造方法は、ポリウレア形成用塗料組成物をガラスまたは樹脂製の基材に塗布する工程、および塗布された前記ポリウレア形成用塗料組成物を硬化させて、ポリウレア塗膜を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0017】
<ポリウレア形成用塗料組成物>
本発明で用いるポリウレア形成用塗料組成物は、基材上にポリウレア塗膜を形成できれば特に限定されず、例えばイソシアネート化合物とアミン化合物からなる2液型の組成物、イソシアネート化合物とアミン化合物を、両者が反応しない状態で混合した1液型の組成物が挙げられる。
【0018】
2液型の組成物を使用する場合、イソシアネート化合物とアミン化合物を、塗装の直前に混合して塗装する。塗装後、化学反応によりウレア構造が形成される。イソシアネート化合物とアミン化合物の選択の幅が広く、塗膜品質を制御しやすい。
【0019】
1液型の組成物としては、イソシアネート化合物とアミン化合物が接触しないよう、カプセル化などにより1液化したもの、イソシアネート化合物および/またはアミン化合物を低濃度としたもの、反応性の低いイソシアネート化合物および/またはアミン化合物を使用したもの、水分によりアミン化合物が発生するアミノ変性化合物などを用いたものなどが挙げられる。1液型の組成物は取り扱いが容易であり、品質を制御しやすい。
【0020】
2液型の組成物、1液型の組成物のいずれの場合も、イソシアネート化合物としては、例えば直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族イソシアネートや芳香族イソシアネートなどが挙げられる。脂肪族イソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらのイソシアネートは、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0021】
2液型の組成物、1液型の組成物のいずれの場合も、アミン化合物としては、アニリン、トルイジン、フェニレンジアミン、アニソール、ベンジルアミン、ナフタレンジアミンなどの芳香族アミン;ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ステアリルアミン、オクタデシルアミンなどの脂肪族アミン;ポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン、ポリアミドアミンなどのポリアミン;エポキシアミン樹脂、ポリウレタンアミン樹脂などのアミン樹脂が挙げられる。
【0022】
イソシアネート化合物とアミン化合物の混合比は、イソシアネート基:アミノ基の比率が1:0.3~0.3:1であることが好ましく、1:0.5~0.5:1であることがより好ましい。
【0023】
<その他の添加剤>
本発明のポリウレア形成用塗料組成物には、必要に応じて顔料、分散剤、溶媒、レベリング剤、硬化触媒、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、シランカップリング剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0024】
顔料は特に限定されず、着色顔料としては、酸化チタン、酸化鉄系黄色顔料及び赤色顔料、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ベンツイミダゾロン、キナクリンドン、アントラキノン、ナフトール、アゾ系各種顔料などが挙げられる。体質顔料としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、アルミナホワイト、硫酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、バライトパウダー、珪藻土、シリカなどが挙げられる。防錆顔料としては、シアナミド鉛、亜酸化鉛、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、亜鉛華などが挙げられる。含量量は特に限定されないが、例えばイソシアネート化合物100重量部に対し1~300重量部添加することができる。
【0025】
分散剤は特に限定されず、ポリカルボン酸系顔料分散剤、ポリアミン系顔料分散剤などが挙げられる。配合量は特に限定されないが、例えばイソシアネート化合物100重量部に対し0.1~10重量部添加することができる。
【0026】
溶媒は特に限定されず、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸エチル、キシレン、トルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、水などが挙げられる。これらの溶媒は、単独または2種以上併用して用いることができる。樹脂組成物中の溶媒の量を調節することにより樹脂組成物の固形分率を調節できる。樹脂組成物の固形分率は20~70重量%が好ましく、30~60重量%がより好ましい。
【0027】
レベリング剤は特に限定されず、ポリエーテル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、ポリエステル系レベリング剤、シロキサン系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤などが挙げられる。配合量は特に限定されないが、イソシアネート化合物100重量部に対し0.1~10重量部が好ましく、0.2~5重量部がより好ましい。
【0028】
<基材>
基材は、ガラスまたは樹脂製である限り特に限定されない。樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、静電処理ポリプロピレン、ポリカーボネート樹脂、6ナイロン、66ナイロン、PET樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、硬質塩化ビニル、軟質塩化ビニル、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは単独でもよく、2種以上が組み合わされた複合素材でもよい。基材の厚みは、0.1~30mmが好ましく、1~20mmがより好ましく、1~10mmがさらに好ましく、1~5mmが特に好ましい。
【0029】
基材の補強のために、基材の上にメッシュ層を設け、その上にポリウレア形成用塗料組成物を塗布してもよい。メッシュの材質は特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、PET樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの樹脂、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属、炭素繊維などが挙げられる。メッシュを構成するワイヤーの線径は0.01~2mmが好ましく、0.05~1mmがより好ましい。メッシュの目開きは0.1~50mmが好ましく、0.5~30mmがより好ましい。
【0030】
ポリウレア形成用塗料組成物の基材への塗布方法は特に限定されず、スプレー、ハケ、ローラーなどの一般的な手法で塗布できる。また、ポリウレア形成用塗料組成物が2液型の組成物である場合、イソシアネート化合物とアミン化合物をそれぞれ別の容器に保管し、高圧でスプレーガンの先端部に送り、先端部で衝突させる事で混合し、塗装する2頭式スプレーガンを用いることもできる。これにより、反応性の高いイソシアネート化合物とアミン化合物を用いた組成物でも良好な保存安定性を実現できる。
【0031】
1回の塗装工程で形成されるウエット膜の膜厚は50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、150μm以上がさらに好ましい。膜厚の上限は特に限定されないが、1000μm以下とすることができる。ウエット膜厚は、ポリウレア形成用塗料組成物を塗布した基材に、ウエットゲージを当てる方法により測定できる。また、単位面積当たりの塗付重量により膜厚を算出することもできる。塗付重量は、ウエット膜厚で、50g/m以上が好ましく、100g/m以上がより好ましく、150g/m以上がさらに好ましい。塗付重量の上限は特に限定されないが、ウエット膜厚で500g/m以下とすることができる。
【0032】
特許文献1に記載されているように重合反応済みの樹脂を使用した場合、分子量が大きく溶剤への溶解性が低いため、塗料組成物中に少量しか配合できない。そのため、厚膜を形成することが困難である。これに対し、本発明では、反応性のポリウレア形成用塗料組成物を塗布して硬化させるため、樹脂成分は未反応であり比較的低分子量である。その結果、固形分濃度を高めに設定しても塗工を行いやすく、厚膜を形成しやすい。
【0033】
<塗料組成物の硬化>
塗料組成物の塗布後、ポリウレア形成用塗料組成物を硬化し、ポリウレア塗膜を形成できる。硬化条件は特に限定されないが、乾燥時間は0.1分~24時間が好ましく、0.1分~16時間がより好ましい。ポリウレア形成用塗料組成物が、反応性の高いイソシアネート化合物とアミン化合物からなる2液型の組成物である場合、塗布後、例えば1~60秒間などの極めて短時間に硬化反応が進む。乾燥温度は5~40℃が好ましく、20~30℃がより好ましい。
【0034】
硬化後のポリウレア塗膜の膜厚は、ドライ膜厚で0.1μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましい。膜厚の上限は特に限定されないが、1000μm以下とすることができる。ドライ膜厚は、電磁式膜厚計または渦電流式膜厚計により測定することができる。なお、ここでいう塗膜の厚みは、基材上に存在する総膜厚のことをいい、プライマー層や、複数のポリウレア塗膜を有する場合には、それらを合計した厚みである。
【0035】
<プライマー層>
基材とポリウレア塗膜の密着性を向上させるために、ポリウレア形成用塗料組成物をガラスまたは樹脂製の基材に塗布する工程の前に、前記基材にシリコーン系プライマー層を形成する工程を行うことが好ましい。
【0036】
シリコーン系プライマー層は、基材上にシリコーン化合物を含むプライマー組成物を塗布することにより形成できる。シリコーン化合物としては、アミノ基、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基などの反応性基と、加水分解性シリル基またはシラノール基とを有する反応性シリコーン化合物が挙げられる。プライマー組成物の溶媒は特に限定されず、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸エチル、キシレン、トルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、水などが挙げられる。
【0037】
プライマー層の厚みは、ウエット膜厚で、50μm以上が好ましく、80μmがより好ましく、120μm以上がさらに好ましい。膜厚の上限は特に限定されないが、1000μm以下とすることができる。プライマー層を有する場合、ウレア樹脂層は、プライマー層の上に積層することができる。また、プライマー層のドライ膜厚は25μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましい。ドライ膜厚の上限は特に限定されないが、500μm以下とすることができる。基材上にプライマー層を有する場合、ポリウレア塗膜は複数積層してもよい。例えば、基材、プライマー層、中塗りとしてのポリウレア塗膜、および上塗りとしてのポリウレア塗膜からなる積層体が挙げられる。
【0038】
<透明性>
本発明におけるポリウレア塗膜は、可視光線透過率が高いことが好ましい。可視光線透過率が高いときには、窓ガラスに用いたときに意匠性に優れ、また、太陽電池パネルに用いたときに発電効率を損なうことがない。可視光線透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、98%以上であることが特に好ましい。ポリウレア塗膜の可視光線透過率は、基材を含めて測定した可視光線透過率から、基材単独での可視光線透過率を減算することにより算出できる。
【0039】
<用途>
本発明の方法で形成される塗膜は、ポリウレア層を有するため基材の耐衝撃性を向上できる。また、ポリウレア層が強度と伸縮性に富むため、衝撃により基材が破損した場合でもポリウレア層は完全には破断せず、少なくとも一部が維持されることが好ましい。このとき、維持されたポリウレア層によって、基材の破片が飛散することを防止できる。本発明の方法でポリウレア塗膜を塗布したガラスや樹脂パネルは、建築物の窓ガラス、ガラス屋根、太陽電池パネル、商品陳列用ショーケース、自動車用ガラス、携帯電子端末の画面、看板などに好適に使用できる。例えば、建築物の窓ガラスに適用した場合、防災、防弾、防犯性を高めることができる。さらに、衝撃によりガラスが割れた場合でも破片の飛散を防止でき、防水性、安全性に優れる。また、太陽電池パネルに適用した場合、一般的に使用されているガラスよりも薄いガラスにポリウレア層を形成すれば、強度を維持しながらパネルを軽量化できる。
【実施例0040】
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、特にことわりのない限り、「部」は重量部を意味する。
【0041】
(1)実施例1
(1-1)下塗り
表1に記載の厚さのガラス基材に、プライマー(製品名:レジリエンスハイブリッドバインダーSi PLジャパン(株)製シリコン系プライマー)を塗装し、ウエット膜厚が100μm以上ある事を確認した。
【0042】
(1-2)上塗り
下塗り塗装の5時間後、ウレア樹脂塗料(製品名:レジリエンスウレア PLジャパン(株)製1液形ウレア樹脂塗料)を、中塗り塗料として1回塗装し、ウエット膜厚を測定し、150μm以上であることを確認した。上塗り後、1日間乾燥して塗膜を硬化させた。
【0043】
(2)実施例2
(2-1)下塗り
表1に記載の厚さのガラス基材に、ウレア樹脂塗料(製品名:レジリエンスウレア PLジャパン(株)製1液形ウレア樹脂塗料)を、下塗り塗料として1回塗装し、ウエット膜厚を測定し、150μm以上であることを確認した。
【0044】
(2-2)上塗り
下塗り塗装の16時間後、ウレア樹脂塗料(レジリエンスウレア PLジャパン(株)製1液形ウレア樹脂塗料)を、上塗り塗料として1回塗装し、ウエット膜厚を測定し、150μm以上であることを確認した。上塗り後、1日間乾燥して塗膜を硬化させた。なお、下塗り塗料と上塗り塗料は、同じ塗料であり、合計2回塗装した。
【0045】
(3)実施例3
(3-1)下塗り
表1に記載の厚さの樹脂(アクリル)製基材に、ウレア樹脂塗料(製品名:レジリエンスウレア PLジャパン(株)製1液形ウレア樹脂塗料)を、下塗り塗料として1回塗装し、ウエット膜厚を測定し、150μm以上であることを確認した。
【0046】
(3-2)上塗り
下塗り塗装の16時間後、ウレア樹脂塗料(レジリエンスウレア PLジャパン(株)製1液形ウレア樹脂塗料)を、上塗り塗料として1回塗装し、ウエット膜厚を測定し、150μm以上であることを確認した。なお、下塗り塗料と上塗り塗料は、同じ塗料であり、合計2回塗装した。上塗り後、1日間乾燥して塗膜を硬化させた。
【0047】
(4)評価
(4-1)膜厚測定
乾燥塗膜の膜厚を、電磁式膜厚計(製品名:SWT-9300 サンコウ電子研究所製膜厚計)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0048】
(4-2)強度試験
ウレア樹脂塗料を塗布した基材(実施例1~3)と、無塗装の基材(比較例1~3)に対し、表1の距離の上方から鋼球を落下させ、下記の基準により耐衝撃性、飛散防止性を評価した。
〇:基材は割れたが、破片は飛散しなかった。
×:基材が割れ、破片が飛散した。
結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
比較例1~3では、鋼球の落下により基材が割れ、破片が飛散した。実施例1~3では、基材は割れたが、塗膜の一部が基材に付着しており破片は飛散しなかった。
【0051】
実施例2の鋼球落下後のガラス基材および塗膜の様子を図1に示す。ガラス基材は割れたが、塗膜は維持されており破片は飛散しなかった。
図1