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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023570
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/00 20180101AFI20250207BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20250207BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20250207BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20250207BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20250207BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20250207BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20250207BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20250207BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20250207BHJP
【FI】
F21S45/00
F21S45/47
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W102:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127829
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100196999
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 和之
(72)【発明者】
【氏名】白石 寛光
(57)【要約】
【課題】外部との電気的な接続部分の小型化、および放熱性の向上を図ることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、フランジと、前記フランジの一方の面に設けられた装着部と、を有するソケットと;前記装着部の、前記フランジ側とは反対側の端部に設けられ、発光素子を有する発光モジュールと;第1の端部が前記発光素子と電気的に接続され、第2の端部が前記装着部の側面から露出する給電部と;を具備している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジと、前記フランジの一方の面に設けられた装着部と、を有するソケットと;
前記装着部の、前記フランジ側とは反対側の端部に設けられ、発光素子を有する発光モジュールと;
第1の端部が前記発光素子と電気的に接続され、第2の端部が前記装着部の側面から露出する給電部と;
を具備した車両用照明装置。
【請求項2】
前記ソケットは、前記装着部の前記側面に設けられたバヨネットをさらに有し、
前記車両用照明装置の中心軸に沿った方向において、前記給電部の前記第2の端部は、前記バヨネットと、前記フランジとの間に位置している請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記給電部は、前記発光素子と電気的に接続される第1の部分と、前記装着部の前記側面から露出する第2の部分と、を有し、
前記第2の部分は、前記車両用照明装置の中心軸と交差する方向に延びている請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記給電部は、前記装着部の前記側面に開口する凹部の内部に設けられている請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1記載の車両用照明装置と;
環状を呈し、前記車両用照明装置の装着部を囲むシール部材と;
前記車両用照明装置の前記装着部が取り付けられ、外面に、前記車両用照明装置の給電部が電気的に接続される配線部材を有する筐体と;
を具備し、
前記シール部材は、前記車両用照明装置のフランジと、前記筐体の前記外面と、の間に挟まれ、
前記給電部の、第2の端部の先端が、前記シール部材が、前記筐体の前記外面と接触する位置にある、または、
前記給電部の、前記第2の端部の先端が、前記シール部材が、前記筐体と接触する位置よりも、前記シール部材の内側の位置にある車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを有するランプを備えた車両用照明装置に代えて、発光ダイオードなどの発光素子を備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。この様な車両用照明装置は、車両用灯具に設けられた筐体に、着脱自在に取り付けられる。
【0003】
そのため、車両用照明装置は、車両用灯具の筐体に、着脱自在に取り付けられるソケットと、ソケットの一方の端部側に設けられ、発光素子を有する発光モジュールと、一方の端部側が、発光モジュールに電気的に接続された端子と、を備えている。端子の他方の端部側は、ソケットの他方の端部側に露出している。ソケットの他方の端部側に露出する端子には、点灯回路などに電気的に接続されたコネクタが着脱自在に接続される。
【0004】
ここで、車両用照明装置が設けられた車両用灯具は、主に、屋外において用いられる。そのため、コネクタは防水構造を有するものとする必要がある。ところが、防水構造を有するコネクタは大きさが大きいので、車両用照明装置の配置が困難になる場合がある。また、車両用灯具に複数の車両用照明装置が設けられる場合には、複数のコネクタのそれぞれに、配線ハーネスが電気的に接続される。そのため、車両用照明装置の配置がさらに困難になるおそれがある。
【0005】
また、近年においては、車両用照明装置の高光束化が求められており、発光素子に流れる電流が増加する傾向にある。発光素子に流れる電流が増加すると、発光素子の温度が高くなり易くなる。この場合、発光素子の温度が最大ジャンクション温度を超えると、発光素子の機能が低下したり、発光素子が故障したりするおそれがある。
そこで、車両用照明装置の、外部との電気的な接続部分の小型化、および放熱性の向上を図ることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-247061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、外部との電気的な接続部分の小型化、および放熱性の向上を図ることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る車両用照明装置は、フランジと、前記フランジの一方の面に設けられた装着部と、を有するソケットと;前記装着部の、前記フランジ側とは反対側の端部に設けられ、発光素子を有する発光モジュールと;第1の端部が前記発光素子と電気的に接続され、第2の端部が前記装着部の側面から露出する給電部と;を具備している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、外部との電気的な接続部分の小型化、および放熱性の向上を図ることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
図2】車両用照明装置の模式分解図である。
図3図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
図4】比較例に係る車両用照明装置が取り付けられた車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
図5】本実施の形態に係る車両用照明装置が取り付けられた車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイライトランニングランプ(DRL;Daylight Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、車両用照明装置1の模式分解図である。
図3は、図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図1図3に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、伝熱部30、および給電部40が設けられている。
【0014】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、および放熱フィン14を有する。
装着部11は、例えば、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0015】
バヨネット12は、例えば、装着部11の側面に設けられる。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0016】
フランジ13は、板状を呈している。フランジ13は、例えば、略円板状を呈している。フランジ13の側面は、バヨネット12の側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0017】
放熱フィン14は、例えば、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図1図3に示すように、ソケット10には複数の放熱フィン14を設けることができる。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状、または筒状を呈している。
【0018】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部40を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。ソケット10は、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0019】
また、ソケット10は、例えば、高熱伝導性樹脂から形成することもできる。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン(Nylon)などの樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。高熱伝導性樹脂を含むソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。
なお、図1図3に例示をしたソケット10は、高熱伝導性樹脂から形成されたものである。
【0020】
発光モジュール20は、例えば、装着部11の、フランジ13側とは反対側の端部に設けられる。例えば、図1に示すように、発光モジュール20は、伝熱部30を介して、凹部11aの底面11a1に設けられる。なお、後述する様に、伝熱部30が省かれる場合がある。伝熱部30が省かれる場合には、発光モジュール20は、例えば、凹部11aの底面11a1に設けられる。
【0021】
この場合、図1に示すように、ネジなどの締結部材24を用いて、発光モジュール20をソケット10に取り付けることができる。この場合、発光モジュール20と、伝熱部30との間、若しくは、発光モジュール20と、凹部11aの底面11a1との間に、熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層を設けることができる。
また、発光モジュール20は、熱伝導率の高い接着剤を用いて、伝熱部30の上、若しくは、凹部11aの底面11a1の上に接着することもできる。
【0022】
図1、および図2に示すように、発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、および回路素子23を有する。
【0023】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状(車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の形状)は、例えば、略四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料から形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板であってもよい。基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0024】
また、基板21は、配線パターン21aを有している。配線パターン21aは、基板21の上(ソケット10側とは反対側の面)に設けられている。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成される。
また、配線パターン21aや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むことができる。
【0025】
発光素子22は、基板21の上に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aに電気的に接続される。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。図1図3に例示をした車両用照明装置1(発光モジュール20)には、複数の発光素子22が設けられている。複数の発光素子22を設ける場合には、複数の発光素子22を直列接続することができる。
【0026】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0027】
発光素子22は、チップ状の発光素子とすることもできるし、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることもできるし、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。図1図3に例示をした発光素子22は、表面実装型の発光素子である。
【0028】
表面実装型の発光素子や、リード線を有する発光素子は、配線パターン21aの実装パッドなどに電気的に接続することができる。チップ状の発光素子は、COB(Chip On Board)により配線パターン21aに実装することができる。チップ状の発光素子は、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、フリップチップ型の発光素子のいずれであってもよい。
【0029】
また、チップ状の発光素子とする場合には、発光素子を囲む枠状の部材、枠状の部材の内側に設けられ、チップ状の発光素子を覆う封止部、および、封止部の上に設けられたレンズなどの光学要素などを設けることができる。
【0030】
回路素子23は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。回路素子23は、基板21の上に設けられている。回路素子23は、例えば、発光素子22の周辺に設けられ、配線パターン21aと電気的に接続される。回路素子23は、配線パターン21aを介して、発光素子22と電気的に接続されている。
【0031】
図1、および図2に例示をした回路素子23は、保護素子23a、抵抗23b、および制御素子23cである。
ただし、回路素子23の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、回路素子23は、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、トランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0032】
保護素子23aは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられる。保護素子23aは、例えば、ダイオードとすることができる。図1、および図2に例示をした保護素子23aは、表面実装型のダイオードである。
【0033】
抵抗23bは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、図1、および図2に例示をした抵抗23bは、膜状の抵抗器である。
【0034】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗23bにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗23bの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0035】
抵抗23bが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗23bを選択する。抵抗23bが膜状の抵抗器の場合には、抵抗23bの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗23bの数、配置、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0036】
制御素子23cは、例えば、発光素子22に印加する電圧を切り替えたり、温度ディレーティングを実行したりするために設けられる。ただし、制御素子23cの機能や用途は例示をしたものに限定されるわけではない。制御素子23cは、例えば、トランジスタや集積回路とすることができる。なお、図1に例示をした制御素子23cは、表面実装型の集積回路である。
【0037】
伝熱部30は、板状を呈し、ソケット10と、発光モジュール20(基板21)との間に設けられている。図1図3に示すように、伝熱部30は、例えば、熱伝導率の高い接着剤を用いて、凹部11aの底面11a1に接着することができる。また、凹部11aの底面11a1に設けられた凹部の内部に、伝熱部30を接着したり、凹部の内部に伝熱部30を熱伝導グリス(放熱グリス)を介して取り付けたり、インサート成形法により伝熱部30を凹部の内部に埋め込んだりすることもできる。
【0038】
伝熱部30は、熱伝導率の高い材料から形成される。例えば、伝熱部30は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成される。なお、ソケット10が金属から形成されたり、発光モジュール20において発生する熱が少ない場合には、伝熱部30を省くこともできる。
【0039】
ここで、車両用照明装置1は、車両用照明装置1の外部に設けられた点灯回路などに電気的に接続される。
図4は、比較例に係る車両用照明装置200が取り付けられた車両用灯具300を例示するための模式部分断面図である。
図4に示すように、車両用照明装置200は、車両用灯具300に設けられた筐体101に、着脱自在に設けられる。また、車両用照明装置200のソケット210には、発光モジュールに電気的に接続された端子が設けられている。端子は、ソケット210の端部から露出し、ソケット210の端部から露出する端子には、点灯回路などに電気的に接続されたコネクタ211が着脱自在に接続される。この場合、車両用照明装置200が設けられた車両用灯具300は、主に、屋外において用いられるため、コネクタ211は防水構造を有するものとする必要がある。
【0040】
ところが、防水構造を有するコネクタ211は大きさが大きいので、筐体101の近傍に大きなスペースが必要となる。そのため、車両用灯具300の取り付け環境によっては、車両用照明装置200の配置が困難となる場合がある。
【0041】
また、図4に示すように、1つの筐体101に、複数の車両用照明装置200が取り付けられる場合がある。複数の車両用照明装置200のそれぞれには、配線ハーネス212が電気的に接続されたコネクタ211が接続されるので、筐体101の近傍にさらに大きなスペースが必要となる。
そのため、車両用照明装置200の配置がさらに困難となる。
【0042】
また、近年においては、車両用照明装置200の高光束化が求められており、発光素子22に流れる電流が増加する傾向にある。発光素子22に流れる電流が増加すると、発光素子22の温度が高くなり易くなる。この場合、発光素子22の温度が最大ジャンクション温度を超えると、発光素子22の機能が低下したり、発光素子22が故障したりするおそれがある。
【0043】
そこで、図1図3に示すように、車両用照明装置1には給電部40が設けられている。
給電部40は、複数設けることができる。図1図3に例示をした車両用照明装置1には、一対の給電部40が設けられている。ただし、給電部40の数は例示をしたものに限定されるわけではない。例えば、1つの発光モジュール20に、ストップランプ用の発光素子22と、テールランプ用の発光素子22が設けられる場合がある。この様な場合には、3つの給電部40を設けることができる。
【0044】
また、図1図3においては、車両用照明装置1の中心軸1aを中心として、回転対称となる位置に、一対の給電部40を設ける場合を例示したが、給電部40の数や配置は、車両用照明装置1の用途などに応じて適宜変更することができる。
【0045】
給電部40は、ソケット10(装着部11)の内部に設けられている。例えば、図1図3に示すように、装着部11の側面と、装着部11の、フランジ13側とは反対側の端部と、に開口する凹部11bをソケット10に設け、凹部11bの内部に給電部40を設けることができる。また、例えば、インサート成形法を用いて、給電部40とソケット10を一体成形することもできる。
【0046】
給電部40の一方の端部(第1の端部の一例に相当する)は、発光モジュール20の基板21に設けることができる。給電部40の一方の端部は、例えば、基板21に設けられた配線パターン21aに半田付けされる。すなわち、給電部40の一方の端部は、発光素子22と電気的に接続されている。給電部40の他方の端部(第2の端部の一例に相当する)は、ソケット10(装着部11)の側面から外部に露出している。車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向において、給電部40の他方の端部は、装着部11の側面の、バヨネット12とフランジ13との間の領域から、装着部11の外部に露出している。すなわち、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向において、給電部40の他方の端部は、バヨネット12と、フランジ13との間に位置している。
【0047】
図2、および図3に示すように、給電部40は、例えば、部分40a(第1の部分の一例に相当する)、部分40b、および部分40c(第2の部分の一例に相当する)を有する。部分40a、部分40b、および部分40cは、一体に形成することができる。図2、および図3に例示をした、部分40a、部分40b、および部分40cは、板状を呈している。なお、部分40a、部分40b、および部分40cの少なくともいずれかが線状を呈するものであってもよい。ただし、部分40cは、板状を呈するものとすることが好ましい。部分40cが板状を呈していれば、給電部40(部分40c)と、車両用灯具100の筐体101に設けられた配線部材101bとの間の電気的な接続に関する信頼性を向上させることができる。
【0048】
部分40aは、例えば、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向に延びている。部分40aの一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aに半田付けされる。すなわち、部分40aは、発光素子22と電気的に接続される。
部分40bは、部分40aよりも、車両用照明装置1の中心軸1aから離れている。すなわち、部分40bは、部分40aよりも、車両用照明装置1の外側に位置している。部分40bは、屈曲した形状を有している。部分40bの一方の端部側は部分40aに向けて延び、部分40aの他方の端部に接続されている。部分40bの他方の端部側は、例えば、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向に延びている。車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向において、部分40bの他方の端部の先端は、バヨネット12とフランジ13との間に位置している。この場合、部分40bの他方の端部の先端は、バヨネット12とシール部材104との間に位置する様にすることができる。
部分40cは、部分40bよりも、車両用照明装置1の中心軸1aから離れている。すなわち、部分40cは、部分40bよりも、車両用照明装置1の外側に位置している。部分40cは、車両用照明装置1の中心軸1aに交差する方向に延びている。部分40cの一方の端部側は、部分40bの他方の端部に接続されている。部分40cの他方の端部側は、ソケット10(装着部11)の側面から外部に露出している。
【0049】
車両用照明装置1を筐体101に装着する前の状態において、部分40cの、発光モジュール20(基板21)側の面と、車両用照明装置1の中心軸1aとの間の角度は、図2に示すように、鋭角とすることができる。この様にすれば、車両用照明装置1を筐体101に装着した際に、部分40cを弾性変形させることができる。そのため、給電部40(部分40c)と、配線部材101bとの間の電気的な接続に関する信頼性を向上させることができる。
【0050】
また、車両用照明装置1を筐体101に装着する前の状態において、部分40cの先端の位置は、シール部材104が、筐体101と接触する位置よりも、シール部材104の外側になる様にすることができる。この様にすれば、車両用照明装置1を筐体101に装着する際に、部分40cの先端の位置を目視しやすくなる。
【0051】
また、車両用照明装置1を筐体101に装着した際には、部分40cの先端が、シール部材104が、筐体101と接触する位置、または、シール部材104が、筐体101と接触する位置よりも、シール部材104の内側の位置にある様にすることができる。この様にすれば、車両用照明装置1を筐体101に装着した際に、シール部材104と、筐体101との間に、部分40cの先端を挟むことができる。そのため、給電部40(部分40c)と、配線部材101bとの間の電気的な接続に関する信頼性を向上させることができる。また、部分40cの先端が、シール部材104が、筐体101と接触する位置よりも、シール部材104の内側になれば、シール部材104により、給電部40を封止することができる。
【0052】
ここで、車両用照明装置1を筐体101に装着した際には、部分40cに力が加わる。部分40cに加えられた力が、部分40aにそのまま伝わると、部分40aが変形するおそれがある。部分40aが変形すると、給電部40(部分40a)と、配線パターン21aとの間の半田付け部分に損傷が発生するおそれがある。本実施の形態に係る給電部40においては、部分40cと、部分40aとの間に部分40bが設けられているので、部分40cに加えられた力が、部分40aに伝わるのを抑制することができる。そのため、給電部40と、発光モジュール20(配線パターン21a)との間の電気的な接続に関する信頼性を向上させることができる。
【0053】
給電部40は、導電性と、弾性を有する材料から形成することができる。給電部40の材料は、例えば、リン青銅や、ベリリウム銅などの銅合金、ステンレスなどとすることができる。
【0054】
(車両用灯具)
本発明の1つの実施形態において、車両用照明装置1を具備した車両用灯具100を提供することができる。前述した車両用照明装置1に関する説明、および車両用照明装置1の変形例(例えば、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもので、本発明の特徴を備えているもの)は、いずれも車両用灯具100に適用することができる。
【0055】
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0056】
図5は、本実施の形態に係る車両用照明装置1が取り付けられた車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図5に示すように、車両用灯具100には、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、およびシール部材104が設けられている。
【0057】
筐体101には車両用照明装置1の装着部11が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成することができる。筐体101の底面には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられている。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられている。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0058】
また、図3、および図5に示すように、筐体101の外面には、車両用照明装置1の給電部40が電気的に接続される配線部材101bが設けられている。配線部材101bの一方の端部は、取付孔101aの周辺に設けられている。配線部材101bは、筐体101の外面の上を延びている。配線部材101bは、配線ハーネス212などを介して、点灯回路などに電気的に接続される。配線部材101bは、例えば、板状(例えば、バスバー)、または膜状を呈するものとすることができる。配線部材101bは、銅、銀、アルミニウムなどの低抵抗金属を含むことができる。
【0059】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0060】
また、図3に示すように、取付孔101aの周辺において、車両用照明装置1の給電部40(部分40c)が、配線部材101bに接触する。そのため、車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付けることで、車両用照明装置1と点灯回路などとを電気的に接続することができる。
【0061】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられている。カバー102は、透光性を有する樹脂などから形成することができる。カバー102は、レンズなどの機能を有するものとすることもできる。
【0062】
光学要素103は、筐体101の内部に設けられている。光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、図5に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンが形成されるようにする。
【0063】
図3、および図5に示すように、シール部材104は、環状を呈し、車両用照明装置1の装着部11を囲んでいる。シール部材104は、フランジ13と、筐体101との間に挟まれる。例えば、シール部材104は、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0064】
また、前述した様に、車両用照明装置1を筐体101に装着した際に、給電部40(部分40c)の先端が、シール部材104が、筐体101と接触する位置、または、シール部材104が、筐体101と接触する位置よりも、シール部材104の内側になっていれば、シール部材104により、給電部40、および、筐体101の取付孔101aを封止することができる。そのため、車両用照明装置1が設けられる雰囲気にある水分が、給電部40や、筐体101の内部に付着するのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施の形態に係る車両用照明装置1には、図4において説明した、防水構造を有するコネクタ211が接続されていない。また、配線ハーネス212と、配線部材101bとの接続位置は、任意に変更することができる。そのため、車両用照明装置1の外部との電気的な接続部分の小型化を図ることができる。
【0066】
また、給電部40は、発光モジュール20(基板21)と接続されているので、発光モジュール20において発生した熱を、給電部40を介して、配線部材101bなどから外部に放出することができる。また、防水構造を有するコネクタ211が接続されない分、放熱フィン14の数を増やしたり、放熱フィン14の表面積を増やしたりすることができる。そのため、車両用照明装置1の放熱性を図ることができ、ひいては、車両用照明装置1の高光束化を図ることができる。
【0067】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0068】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0069】
(付記1)
フランジと、前記フランジの一方の面に設けられた装着部と、を有するソケットと;
前記装着部の、前記フランジ側とは反対側の端部に設けられ、発光素子を有する発光モジュールと;
第1の端部が前記発光素子と電気的に接続され、第2の端部が前記装着部の側面から露出する給電部と;
を具備した車両用照明装置。
【0070】
(付記2)
前記ソケットは、前記装着部の前記側面に設けられたバヨネットをさらに有し、
前記車両用照明装置の中心軸に沿った方向において、前記給電部の前記第2の端部は、前記バヨネットと、前記フランジとの間に位置している付記1記載の車両用照明装置。
【0071】
(付記3)
前記給電部は、前記発光素子と電気的に接続される第1の部分と、前記装着部の前記側面から露出する第2の部分と、を有し、
前記第2の部分は、前記車両用照明装置の中心軸と交差する方向に延びている付記1または2に記載の車両用照明装置。
【0072】
(付記4)
前記給電部は、前記装着部の前記側面に開口する凹部の内部に設けられている付記1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【0073】
(付記5)
付記1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
環状を呈し、前記車両用照明装置の装着部を囲むシール部材と;
前記車両用照明装置の前記装着部が取り付けられ、外面に、前記車両用照明装置の給電部が電気的に接続される配線部材を有する筐体と;
を具備し、
前記シール部材は、前記車両用照明装置のフランジと、前記筐体の前記外面と、の間に挟まれ、
前記給電部の、第2の端部の先端が、前記シール部材が、前記筐体の前記外面と接触する位置にある、または、
前記給電部の、前記第2の端部の先端が、前記シール部材が、前記筐体と接触する位置よりも、前記シール部材の内側の位置にある車両用灯具。
【符号の説明】
【0074】
1 車両用照明装置、1a 中心軸、10 ソケット、11 装着部、11b 凹部、12 バヨネット、13 フランジ、14 放熱フィン、20 発光モジュール、21 基板、21a 配線パターン、22 発光素子、40 給電部、40a 部分、40b 部分、40c 部分、100 車両用灯具、101 筐体、101b 配線部材、104 シール部材
図1
図2
図3
図4
図5