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  • 特開-半田バンプの形成方法 図1
  • 特開-半田バンプの形成方法 図2A
  • 特開-半田バンプの形成方法 図2B
  • 特開-半田バンプの形成方法 図2C
  • 特開-半田バンプの形成方法 図2D
  • 特開-半田バンプの形成方法 図2E
  • 特開-半田バンプの形成方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023582
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】半田バンプの形成方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20250207BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
H05K3/34 505A
H05K3/34 507
H01L21/92 604F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127859
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 将
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA07
5E319AC02
5E319BB04
5E319CC33
5E319GG15
5E319GG20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】半田バンプを形成する半田パターンの厚みと幅とを均一にして、半田パターンの融点を均一にするフラックス層Fが形成されていてもよいを提供する。
【解決手段】プリント配線板10の表面に設けられ、フラックス層Fが形成されていてもよいパッド14に半田バンプを形成する半田バンプの形成方法であって、パッド14に対応した位置に半田ボール21を保持する半田ボール転写治具20を準備し、半田ボール21を半田ボール転写治具20に保持し、半田ボール転写治具20をプリント配線板10上に配置し、半田ボール21をパッド14上に転写し、転写した半田ボール21をリフローすることで、パッド14上に半田バンプ16を形成する。
【選択図】図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板の表面に設けられたパッドに半田バンプを形成する半田バンプの形成方法であって、
前記パッドに対応した位置に半田ボールを保持することができる半田ボール転写治具を準備し、
前記半田ボールを前記半田ボール転写治具に保持し、
前記半田ボール転写治具を前記プリント配線板上に配置し、
前記半田ボールを前記パッド上に転写し、
前記転写した半田ボールをリフローすることで、
前記パッド上に前記半田バンプを形成することを特徴とする、半田バンプの形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半田バンプの形成方法であって、
前記半田ボール転写治具は金属箔を備え、
前記金属箔は前記半田ボールに対向しており、当該金属箔を貫通し前記半田ボールを吸引するための貫通孔を有しており、
前記金属箔の上面を吸引し前記貫通孔から発生する吸引力により前記半田ボールを保持し、
前記金属箔の上面の吸引を停止することにより前記半田ボールを前記パッド上に転写することを特徴とする、半田バンプの形成方法。
【請求項3】
請求項2に記載の半田バンプの形成方法であって、
前記半田ボール転写治具は、前記金属箔と樹脂フィルムとを備え、
前記樹脂フィルムは、前記パッドに対応した位置に形成された凹部と当該凹部の周囲の部分を形成するガイド部とを有し、
前記貫通孔は前記パッドに対応した位置に形成された凹部と連通していることを特徴とする、半田バンプの形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の表面に設けられたパッドに半田バンプを形成する半田バンプの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板に電子部品を実装する際には、プリント配線板の表面にパッドを設け、このパッドに半田バンプを形成し、この半田バンプにより電子部品をプリント配線板に実装する場合がある。
【0003】
図3(a)、(b)は、それぞれ、従来の半田バンプの形成方法の一例を説明するための断面図である。本例では、図3(a)に示すように、半田シート51に形成されている半田パターン52を、ソルダーレジスト53の開口53aに露出するプリント配線板54のパッド55上に配置し、図3(b)に示すように、半田パターン52を溶融して、パッド55に半田パッド56を形成している。半田箔をエッチングすることで半田パターン52を形成している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07-66545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、半田パターン52が半田箔をエッチングすることで形成されている。そのため、各半田パターン52の厚みと幅とがバラツキやすく、各半田パターン52の体積が異なりやすい。また、半田が合金であると、合金を構成する各元素がエッチング液に対し同様に溶解しない。そのため、半田パターン52の組成が半田箔の組成からずれることとなり、各半田パターン52の融点が半田箔の融点に対し高くなったり低くなったり変動する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半田バンプの形成方法は、プリント配線板の表面に設けられたパッドに半田バンプを形成する半田バンプの形成方法であって、前記パッドに対応した位置に半田ボールを保持することができる半田ボール転写治具を準備し、前記半田ボールを前記半田ボール転写治具に保持し、前記半田ボール転写治具を前記プリント配線板上に配置し、前記半田ボールを前記パッド上に転写し、前記転写した半田ボールをリフローすることで、前記パッド上に前記半田バンプを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る半田バンプの形成方法の対象となる半田バンプの一実施形態を説明するための断面図である。
図2A】本発明に係る半田バンプの形成方法の一実施形態を説明するための断面図である。
図2B】本発明に係る半田バンプの形成方法の一実施形態を説明するための断面図である。
図2C】本発明に係る半田バンプの形成方法の一実施形態を説明するための断面図である。
図2D】本発明に係る半田バンプの形成方法の一実施形態を説明するための断面図である。
図2E】本発明に係る半田バンプの形成方法の一実施形態を説明するための断面図である。
図3】(a)、(b)は、それぞれ、従来の半田バンプの形成方法の一例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明の製造対象となる半田バンプについて>
本発明の半田バンプの一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、図1図2に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0009】
図1は、本発明に係る半田バンプの形成方法の対象となる半田バンプの一実施形態を説明するための断面図である。図1において、プリント配線板10は、コア基板(図示せず)の片面または両面に所定の回路パターンを有する導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層してなるコア付き基板であってよい。コア基板の両面に導体層を形成する場合には、コア基板を介して対向する導体層同士は、スルーホール導体(図示せず)を介して接続されていてもよい。
【0010】
また、プリント配線板10は、コア基板の代わりに支持板(図示せず)上で導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層した後、支持板を除去してなるコアレス基板であってもよい。いずれにせよ、プリント配線板10は、図1に示すように、少なくとも1層の樹脂絶縁層のうち最外に配置されたものである基部絶縁層12と、基部絶縁層12上に形成された、所定の回路パターンを有する導体層に含まれるパッド14と、パッド14上に形成された半田バンプ16とを備えている。基部絶縁層12の下層には他の複数の導体層および樹脂絶縁層が交互に設けられている場合が多いが、図では省略されている。
【0011】
基部絶縁層12は、例えばシリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ系樹脂とを含む樹脂組成物等で構成することができる。パッド14は導電性金属、例えば銅を主成分とする金属で形成される。半田バンプ16は、融点が低くリフロー処理により溶融して図1に示すような球状から略半球状に整形される金属、例えばスズを主成分とする金属からなる。なお、後述するように基部絶縁層12上のパッド14および半田バンプ16以外の部分に、ソルダーレジスト層を設けることもできる。
【0012】
<本発明に係る半田バンプの形成方法の一実施形態について>
図2A図2Eは、それぞれ、本発明に係る半田バンプの形成方法の一実施形態を説明するための断面図である。以下、図2A図2Eを参照して、本発明に係る半田バンプの形成方法の一実施形態について説明する。
【0013】
まず、図2Aに示すように、半田ボール転写治具20を準備する。半田ボール転写治具20は、半田バンプ16を形成するために用いる半田ボール21を保持し、当該半田ボール21をプリント配線板10の表面に設けられたパッド14に転写する。半田ボール転写治具20は、パッド14に対応した位置に半田ボール21を保持することができる。半田ボール転写治具20が保持する半田ボール21は、単数又は複数であってもよい。
複数の半田ボール21は、半田ボール載置用シートSの上に等間隔に整列して配置されていてもよい。半田ボール21は、単一の金属元素からなる純金属から形成されていてもよいし、複数の金属元素あるいは金属元素と非金属元素からなる合金から形成されていてもよい。半田ボール21は、例えば、スズと鉛とを含む合金、スズと銅とを含む合金、スズと銀とを含む合金等のスズを主成分として合金から形成されていてもよい。
【0014】
半田ボール転写治具20は、金属箔23を備えている。金属箔23は半田ボール21に対向している。さらに、半田ボール転写治具20は、樹脂フィルム22と金属箔23とを備え、樹脂フィルム22と金属箔23とを貼り合わせることによって構成されていてもよい。
この場合に、金属箔23は、樹脂フィルム22の上面に位置し、当該樹脂フィルム22に貼り合わされている。金属箔23としては、樹脂フィルム22を貼り合わせることができ、後述する貫通孔24を形成することができるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、アルミニウム等を用いることができる。樹脂フィルム22としては、市販のポリイミド基材やガラスエポキシ基材などを用いることができる。
【0015】
半田ボール転写治具20が樹脂フィルム22と金属箔23とを備えている場合において、樹脂フィルム22は、半田ボール21が配置されている側に設けられている。樹脂フィルム22は、パッド14に対応した位置に形成された凹部22Aと、当該凹部22Aの周囲の部分を形成するガイド部22Bとを有していてもよい。樹脂フィルム22の凹部22Aは、樹脂フィルム22にレーザ加工等を施すことにより形成することができる。
樹脂フィルム22には、パッド14の個数に対応して、複数の凹部22Aが形成されていてもよい。凹部22Aの周囲の部分を形成するガイド部22Bは、半田ボール21を当該凹部22Aの内部に案内して引き込むためのガイドとして機能する。すなわち、樹脂フィルム22に形成されたガイド部22Bにより、半田ボール21を半田ボール転写治具20の方向に案内して、半田ボール21を樹脂フィルム22に形成された凹部22Aの内部に保持することができる。
【0016】
金属箔23は、貫通孔24を有している。貫通孔24は、当該貫通孔24から発生する吸引力により、半田ボール21を吸引する。すなわち、金属箔23に形成された貫通孔24は、半田ボール21と対向しており、当該半田ボール21を吸引する。樹脂フィルム22がパッド14に対応した位置に形成された凹部22Aを有している場合には、貫通孔24は、凹部22Aの内部に形成される。貫通孔24は、樹脂フィルム22に形成された凹部22Aの内部と連通する。凹部22Aの内部と連通する貫通孔24は、当該貫通孔24から発生する吸引力により、半田ボール21を吸引する。その結果、半田ボール転写治具20は、半田ボール21を保持することができる。
なお、樹脂フィルム22がパッド14に対応した位置に形成された凹部22Aを有している場合には、貫通孔24は、樹脂フィルム22の凹部22Aの内部のほぼ中央に位置していることが好ましい。
【0017】
金属箔23の上面をその外部から吸引することによって、貫通孔24から吸引力が発生する。貫通孔24から発生した吸引力により、半田ボール21が貫通孔24に吸引される。
ここで、金属箔23の上面をその外部から吸引することは、例えば、減圧装置等による真空吸引により実施してもよい。
【0018】
次に、図2Bに示すように、金属箔23の上面が吸引されることによって、半田ボール21をその上方に位置する半田ボール転写治具20の方向に引き上げるために十分な吸引力が貫通孔24に発生すると、当該半田ボール21は、樹脂フィルム22のガイド部22Bにより案内され、上記吸引力により半田ボール転写治具20が備えている金属箔23の貫通孔24に吸引される。
このように、半田ボール転写治具20を構成する樹脂フィルム22がガイド部22Bを有していると、複数の半田ボール21を半田ボール転写治具20に保持する際に、それぞれの半田ボール21を複数のパッド14に対応して形成された凹部22Aの内部に安定してガイドして、当該半田ボール21を貫通孔24に吸引できるため好ましい。
そして、半田ボール21が金属箔23に形成された貫通孔24に吸引されることによって、当該半田ボール21は、半田ボール転写治具20の樹脂フィルム22に形成された凹部22Aの内部に保持される。
【0019】
次に、図2Cに示すように、半田ボール転写治具20をプリント配線板10上に配置する。プリント配線板10には、ソルダーレジスト層18と、当該ソルダーレジスト層18から露出するパッド14の表面に塗布されたフラックス層Fが形成されていてもよい。
具体的には、金属箔23に形成された貫通孔24に半田ボール21を吸引し、当該半田ボール21を保持している半田ボール転写治具20を準備する。
一方、予め準備した基部絶縁層12上にパッド14と開口により各パッド14を少なくとも部分的に露出させたソルダーレジスト層18とを備え、さらにソルダーレジスト層18の表面及び当該ソルダーレジスト層18から露出するパッド14の表面にフラックス層Fを形成したプリント配線板10を準備する。
【0020】
そして、金属箔23の上面をその外部から吸引することにより貫通孔24から発生する吸引力によって樹脂フィルム22の凹部22Aの内部に保持されている半田ボール21と、ソルダーレジスト層18から露出するパッド14と、を対応させた状態に配置する。
その後、半田ボール21とパッド14とを対応させた状態で配置した後に、半田ボール21とパッド14とをフラックス層Fを介して対応させた状態で重ね合わせる。
ここで、半田ボール転写治具20を構成する樹脂フィルム22がガイド部22Bを有していると、凹部22Aとガイド部22Bとを基準として、半田ボール21とパッド14とを対応させた状態で正確かつ、容易に安定して配置することができるため好ましい。
【0021】
さらに、図2Dに示すように、半田ボール21をパッド14上に転写する。図2Dにおいて、金属箔23の上面の吸引を停止すると、貫通孔24から発生している吸引力が低下する。その結果、貫通孔24に吸引され半田ボール転写治具20に保持されている半田ボール21は、半田ボール転写治具20の金属箔23から脱離する。そして、半田ボール転写治具20から脱離した半田ボール21は、ソルダーレジスト層18から露出するパッド14上にフラックス層Fを介して転写される。
ここで、半田ボール転写治具20が備えている樹脂フィルム22は、パッド14に対応した位置に形成された凹部22Aの周壁を形成するガイド部22Bを有している。
このため、ガイド部22Bは、半田ボール転写治具20から脱離した半田ボール21がパッド14上に案内して安定して転写されるためのガイドとしても機能する。
【0022】
最後に、図2Eに示すように、半田ボール21をパッド14上に転写したプリント配線板10について、検査を行う。プリント配線板10の検査の結果、問題がなければ、半田ボール21に熱を加えてリフローし、その後フラックス層Fを洗浄する。このように、本実施形態の半田バンプの形成方法によれば、半田ボール21を用い、プリント配線板10のパッド14上に半田バンプ16を形成することができる。
【0023】
上述した本発明に係る半田バンプの形成方法は、パッド上に半田バンプを転写法により転写し、半田バンプ形成用の半田として半田ボールを採用している。そのため、従来のように半田(半田バンプ形成用の半田)がエッチングにより形成されている例と比べて、半田バンプを形成する半田パターンの厚みと幅とを均一にすることができる。また、半田パターンの組成が維持されるので、各半田バンプの融点をほぼ等しくすることができる。
【符号の説明】
【0024】
10 プリント配線板
12 基部絶縁層
14 パッド
16 半田バンプ
18 ソルダーレジスト層
F フラックス層
20 半田ボール転写治具
21 半田ボール
22 樹脂フィルム
22A 凹部
22B ガイド部
23 金属箔
24 貫通孔
S 半田ボール載置用シート
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3