(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023609
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/06 20060101AFI20250207BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20250207BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
H02J3/06
H02J3/38 130
H02J3/32
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127916
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】722010585
【氏名又は名称】セトラスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100120499
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 淳
(72)【発明者】
【氏名】篠原 亘
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA05
5G066HA15
5G066HA21
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】各機器が必要とする交流の品質に応じて、各機器に品質の異なる交流を給電する。
【解決手段】制御システムは、複数の機器に給電する。上記複数の機器は、第1の機器群と、第2の機器群とに予め分類されている。上記第1の機器群は、第1の交流で作動する。上記第2の機器群は、上記第1の交流よりも歪率が大きい第2の交流で作動する。上記制御システムは、給電制御部212dを備える。上記給電制御部212dは、上記第1の機器群に商用電力による上記第1の交流を給電する。また、上記給電制御部212dは、上記第2の機器群に太陽光パネルが発電した上記第1の交流よりも歪率が大きい上記第2の交流を給電する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の交流で作動する第1の機器群と、前記第1の交流よりも歪率が大きい第2の交流で作動する第2の機器群と、に予め分類された複数の機器に給電する制御システムであって、
前記第1の機器群に商用電力による前記第1の交流を給電し、前記第2の機器群に太陽光パネルが発電した前記第1の交流よりも歪率が大きい前記第2の交流を給電する給電制御部を備える、制御システム。
【請求項2】
前記太陽光パネルの発電量を予測する発電量予測部と、
前記第2の機器群の電力需要量を取得する電力需要取得部と、
を更に備え、
前記給電制御部は、
前記電力需要量と前記発電量の大小関係が所定の条件を満たすと、前記第2の機器群へ前記第1の交流を給電する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記給電制御部は、前記発電量が前記第2の機器群の前記電力需要量よりも大きい場合、前記第2の機器群へ前記第2の交流を給電し、前記発電量が前記第2の機器群の前記電力需要量以下の場合、前記第2の機器群へ前記第1の交流を給電する、請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記給電制御部は、前記発電量が前記第2の機器群の前記電力需要量よりも大きい場合、前記太陽光パネルが発電した電力の余剰分を蓄電池に給電して蓄電させる、請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記複数の機器は、前記第1の機器群と、前記第2の機器群と、前記太陽光パネルが発電した前記第2の交流よりも歪率が大きい第3の交流で作動する第3の機器群とに予め分類されており、
前記電力需要取得部は前記第3の機器群の電力需要量を更に取得し、
前記給電制御部は、
前記発電量が前記第2の機器群と前記第3の機器群の前記電力需要量の合計より大きい場合、前記第2の機器群に前記第2の交流を給電し、前記第3の機器群に前記第3の交流を給電する、請求項2に記載の制御システム。
【請求項6】
前記給電制御部は、
前記発電量が、前記第2の機器群と前記第3の機器群の前記電力需要量の合計以下であり、前記第3の機器群の前記電力需要量より大きい場合、前記第2の機器群に前記第1の交流を給電し、前記第3の機器群に前記第3の交流を給電する、請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記給電制御部は、
前記発電量が、前記第3の機器群の前記電力需要量以下の場合、前記第2の機器群及び前記第3の機器群へ前記第1の交流を給電する、請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記給電制御部は、前記発電量が前記第2の機器群と前記第3の機器群の前記電力需要量の合計より大きい場合、前記太陽光パネルが発電した電力の余剰分を蓄電池に給電して蓄電させる、請求項5に記載の制御システム。
【請求項9】
前記電力需要取得部は、前記第2の機器群の電力需要量を予測し、予測した前記電力需要量を取得する、請求項2に記載の制御システム。
【請求項10】
前記電力需要取得部は、前記第3の機器群の電力需要量を予測し、予測した前記電力需要量を取得する、請求項5に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商用電源電力を交流機器に給電する給電路と、商用電源と直流発電設備の電力を交流機器に給電する給電路と、直流発電設備の電力を直流機器に給電する給電路と、商用電源と直流発電設備の電力を直流機器に給電する給電路を設けることが公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、工場等で使用される機器類には、歪の少ない高品質な正弦波の交流が動作のために必要とされるものがある。一方、これらの機器の中には、低品質な正弦波もしくは矩形波の交流でも十分動作するものがある。例えば空調機器、加熱機器は、低品質な交流であっても十分に動作することができる。
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載された技術は、各機器類が必要とする交流の品質に応じて、交流電力を各機器に給電することは想定していない。このため、低品質な交流であっても十分動作する機器に対し、高品質な交流が給電されてしまう可能性がある。
【0006】
特に、太陽光発電システムで発電した電力を交流で作動する機器に給電する場合、直流電力をインバータで交流電力に変換する必要がある。低品質な交流であっても十分動作する機器に対し、交流の品質を高めるために高性能のインバータが使用されると、高性能のインバータを導入するためにコストが上昇する問題がある。
【0007】
上記課題に鑑みて、本開示の目的は、各機器が必要とする交流の品質に応じて、各機器に品質の異なる交流を給電することが可能な制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0009】
(1)制御システムは、複数の機器に給電する。上記複数の機器は、第1の機器群と、第2の機器群とに予め分類されている。上記第1の機器群は、第1の交流で作動する。上記第2の機器群は、上記第1の交流よりも歪率が大きい第2の交流で作動する。上記制御システムは、給電制御部を備える。上記給電制御部は、上記第1の機器群に商用電力による上記第1の交流を給電する。また、上記給電制御部は、上記第2の機器群に太陽光パネルが発電した上記第1の交流よりも歪率が大きい上記第2の交流を給電する。
【0010】
(2)制御システムは、上記(1)おいて、発電量予測部と、電力需要取得部と、を更に備える。上記発電量予測部は、上記太陽光パネルの発電量を予測する。上記電力需要取得部は、上記第2の機器群の電力需要量を取得する。上記給電制御部は、上記電力需要量と上記発電量が所定の条件を満たすと、上記第2の機器群へ上記第1の交流を給電する。
【0011】
(3)制御システムは、上記(2)において、上記給電制御部は、上記発電量が上記第2の機器群の上記電力需要量よりも大きい場合、上記第2の機器群へ上記第2の交流を給電する。また、上記給電制御部は、上記発電量が上記第2の機器群の上記電力需要量以下の場合、上記第2の機器群へ上記第1の交流を給電する。
【0012】
(4)制御システムは、上記(3)において、上記給電制御部は、上記発電量が上記第2の機器群の上記電力需要量よりも大きい場合、上記太陽光パネルが発電した電力の余剰分を蓄電池に給電して蓄電させる。
【0013】
(5)制御システムは、上記(2)において、上記複数の機器は、上記第1の機器群と、上記第2の機器群と、第3の機器群とに予め分類されている。上記第3の機器群は、上記太陽光パネルが発電した上記第2の交流よりも歪率が大きい第3の交流で作動する。上記電力需要取得部は、上記第3の機器群の電力需要量を更に取得する。上記給電制御部は、上記発電量が上記第2の機器群と上記第3の機器群の上記電力需要量の合計より大きい場合、上記第2の機器群に上記第2の交流を給電し、上記第3の機器群に上記第3の交流を給電する。
【0014】
(6)制御システムは、上記(5)において、上記給電制御部は、上記発電量が、上記第2の機器群と上記第3の機器群の上記電力需要量の合計以下であり、上記第3の機器群の上記電力需要量より大きい場合、上記第2の機器群に上記第1の交流を給電し、上記第3の機器群に上記第3の交流を給電する。
【0015】
(7)制御システムは、上記(6)において、上記給電制御部は、上記発電量が、上記第3の機器群の上記電力需要量以下の場合、上記第2の機器群及び上記第3の機器群へ上記第1の交流を給電する。
【0016】
(8)制御システムは、上記(5)において、上記給電制御部は、上記発電量が上記第2の機器群と上記第3の機器群の上記電力需要量の合計より大きい場合、上記太陽光パネルが発電した電力の余剰分を蓄電池に給電して蓄電させる。
【0017】
(9)制御システムは、上記(1)~(8)のいずれかにおいて、太陽光を受けて発電する上記太陽光パネルを更に備える。
【0018】
(10)制御システムは、上記(4)又は(8)において、上記太陽光パネルが発電した電力を蓄電する上記蓄電池を更に備える。
【0019】
(11)制御システムは、上記(2)において、上記電力需要取得部は、上記第2の機器群の電力需要量を予測し、予測した上記電力需要量を取得する、。
【0020】
(12)制御システムは、上記(5)において、上記電力需要取得部は、上記第3の機器群の電力需要量を予測し、予測した上記電力需要量を取得する。
【0021】
(13)太陽光発電の制御システムの制御装置は、給電制御部を備える。上記制御システムは、複数の機器に給電する。上記複数の機器は、第1の機器群と、第2の機器群とに予め分類されている。上記第1の機器群は、第1の交流で作動する。上記第2の機器群は、上記第1の交流よりも歪率が大きい第2の交流で作動する。上記給電制御部は、上記第1の機器群に商用電力による上記第1の交流を給電する。また、上記給電制御部は、上記第2の機器群に上記太陽光パネルが発電した上記第1の交流よりも歪率が大きい上記第2の交流を給電する。
【0022】
(14)太陽光発電の制御システムの制御方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、を備える。上記制御システムは、複数の機器に給電する。上記複数の機器は、第1の機器群と、第2の機器群とに予め分類されている。上記第1の機器群は、第1の交流で作動する。上記第2の機器群は、上記第1の交流よりも歪率が大きい第2の交流で作動する。上記第1ステップは、発電量予測部が、上記太陽光パネルの発電量を予測する。上記第2ステップは、電力需要取得部が、上記第2の機器群の電力需要量を取得する。上記第3ステップは、給電制御部が、上記発電量が上記第2の機器群の上記電力需要量よりも大きい場合、上記第2の機器群へ上記第2の交流を給電する。また、上記第3ステップは、上記給電制御部が、上記発電量が上記第2の機器グループの上記電力需要量以下の場合、上記第2の機器群へ上記第1の交流を給電する。
【0023】
(15)太陽光発電の制御システムにおけるプログラムであって、第1手段、第2手段、第3手段としてコンピュータを機能させる。上記制御システムは、複数の機器に給電する。上記複数の機器は、第1の機器群と、第2の機器群とに予め分類されている。上記第1の機器群は、第1の交流で作動する。上記第2の機器群は、上記第1の交流よりも歪率が大きい第2の交流で作動する。第1手段は、上記太陽光パネルの発電量を予測する。第2手段は、上記第2の機器群の電力需要量を取得する。第3手段は、上記発電量が上記第2の機器群の上記電力需要量よりも大きい場合、上記第2の機器群へ上記第2の交流を給電する。また、上記第3手段は、上記発電量が上記第2の機器グループの上記電力需要量以下の場合、上記第2の機器群へ上記第1の交流を給電する。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、各機器が必要とする交流の品質に応じて、各機器に品質の異なる交流を給電することが可能な制御システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】完全自家消費型のオンサイトPPAの構成例を示す模式図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る制御システムが備えられた工場の外観を示す模式図である。
【
図3】資源エネルギー庁の「家電・汎用品高調波抑制対策ガイドライン(平成12年12月)」に規定されるクラスA、クラスB、クラスCの最大許容高調波電流、歪率を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る制御システムの構成を示す模式図である。
【
図5】制御装置とその周辺の構成を示す模式図である。
【
図7】プロセッサの給電制御部による、高品質機器グループ、中品質機器グループおよび低品質機器グループの機器への給電を説明するための図である。
【
図8】簡素化されたDC/AC高周波インバータの構成例を示す模式図である。
【
図9】制御装置のプロセッサが行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示に係る幾つかの実施形態について図を参照しながら説明する。しかしながら、これらの説明は、本開示の好ましい実施形態の単なる例示を意図するものであって、本開示をこのような特定の実施形態に限定することを意図するものではない。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0027】
一例として、本実施形態に係る太陽光発電の制御システム100は、太陽光パネル102と蓄電池114を含み、完全自家消費型のオンサイトPPAの態様で利用される。オンサイトPPAでは、
図1に示すように、発電事業者300が需要家350の敷地内に制御システム100を設置して、制御システム100で発電した電力を現地(オンサイト)で需要家350に供給する。発電事業者300と需要家350は電力販売契約、すなわちPPA:Power Purchase Agreementを締結する。発電事業者300は、PPAに基づき、制御システム100を設置することに加えて、制御システム100を保有し、これを管理する。需要家350は、PPAに基づき、電力料金を発電事業者300に支払う。
【0028】
また、完全自家消費型の場合、制御システム100で発電された電力は全て需要家350の敷地内で自家消費される。したがって、制御システム100で発電された電力は、需要家350の敷地内の施設のみに供給され、電力が他の電力系統の送電網、配電網等に供給されることはない。
【0029】
需要家350が必要とする電力量に対し、制御システム100で発電された電力量が余剰である場合、余剰分は蓄電池114に蓄電される。そして、需要家350が必要とする電力量に対し、制御システム100で発電された電力量が不足する場合、不足分は蓄電池114に蓄電された電力で補われる。また、不足分は需要家350が既存の電力会社400から電力を購入することで補われてもよい。
【0030】
本実施形態では、需要家350が工場主である場合を例示する。発電事業者300は、制御システム100を
図2に示す工場500に設置する。なお、需要家350は工場主以外であってよく、制御システム100は、工場500以外の施設、建物に設置されていてもよい。制御システム100の太陽光パネル102は、工場500の屋根などに設置される。制御システム100は、太陽光発電による電力を工場500に備えられた各種設備に供給する。
【0031】
工場500内には交流で作動する複数の機器が備えられており、複数の機器は供給される交流の品質に応じて、高品質機器グループ510に属する機器と、中品質機器グループ520に属する機器と、低品質機器グループ530に属する機器とに予め分類されている。高品質機器グループ510に属する機器は商用電力の交流で作動する。中品質機器グループ520に属する機器は、太陽光パネル102が発電した電力であって、商用電力よりも品質の低い交流で作動可能である。低品質機器グループ530に属する機器は、太陽光パネル102が発電した電力であって、中品質機器グループ520の機器が作動する交流よりも更に品質の低い交流で作動可能である。ここで、「交流の品質が低い」とは、例えば交流の歪率が大きいことをいう。中品質機器グループ520に属する機器は、商用電力よりも歪率の大きな交流で作動可能であり、低品質機器グループ530に属する機器は、中品質機器グループ520の機器が作動する交流よりも更に歪率の大きな交流で作動可能である。
【0032】
以上のように、制御システム100は、商用電力による第1の交流で作動する第1の機器群と、太陽光パネル102が発電した電力であって、第1の交流よりも歪率が大きい第2の交流で作動する第2の機器群と、太陽光パネル102が発電した電力であって、第2の交流よりも歪率が大きい第3の交流で作動する第3の機器群を備える。一例として、第2の交流の歪率は5%より大きく8%以下であり、第3の交流の歪率は8%より大きい。
【0033】
なお、制御システム100が、高品質機器グループ510と、中品質機器グループ520と低品質機器グループ530のいずれか一方のみとを備える場合、第1の機器群は高品質機器グループ510であり、第2の機器群は中品質機器グループ520と低品質機器グループ530のいずれか一方である。また、低品質機器グループ530が中品質機器グループ520に統合されている場合、第1の機器群は高品質機器グループ510であり、第2の機器群は中品質機器グループ520と低品質機器グループ530が統合された機器グループである。
【0034】
ここで、交流の正弦波は下記の式(1)で表される。
【0035】
【0036】
式(1)において、b0は直流成分、A1,A2,A3・・・Anは正弦波の振幅、ωは基本波の角周波数、tは時間,Θは位相をそれぞれ示している。但し、電力系統ではnが偶数の高調波は発生しないことが多い。歪率は、基本波入力電流に対する百分率であり、A1に対するAnの比(=An/A1)で定義される。より具体的には、交流の歪率は、例えば基本波と全高調波の実効値の比として表すことができ、歪率測定器によって測定可能である。また、本実施形態において、交流の歪率は、第5次の高調波の歪率(=A5/A1)として定義されてもよい。例えば、200V(60Hz)の基本波の電圧に対して300Hz,10Vの正弦波成分が含まれている場合、A5/A1=0.05となり、第5次の高調波の歪率は5%である。
【0037】
また、一例として、高品質機器グループ510に属する機器は、資源エネルギー庁の「家電・汎用品高調波抑制対策ガイドライン(平成12年12月)」に規定されるクラスAの機器であってもよい。クラスAの機器は、平衡三相機器および他のクラスに属さないすべての機器であり、真空掃除機、高圧洗浄機等である。また、中品質機器グループ520に属する機器は、同ガイドラインに規定されるクラスBの機器であってもよい。クラスBの機器は、手持ち形電動工具であり、可搬型工具、アーク溶接機等である。また、低品質機器グループ530に属する機器は、同ガイドラインに規定されるクラスCの機器であってもよい。クラスCの機器は、照明機器等である。
【0038】
上記ガイドラインによれば、クラスA、クラスB、クラスCの各クラスの高調波の許容限度は、
図3のように規定される。クラスAの機器の入力電流の高調波は、
図3に示す最大許容高調波電流を超えてはならず、クラスBの機器の入力電流の高調波は、
図3に示す最大許容高調波電流(クラスAの機器の最大高調波電流の1.5倍)を超えてはならないとされている。また、クラスCの機器の入力電流の高調波は、
図3に示す歪率の最大値を超えてはならないとされている。
【0039】
以上のように、本実施形態では、工場500内の複数の機器が供給される交流の品質に応じて予め分類されており、高品質、中品質、低品質の交流をそれぞれのグループに給電するようにしている。太陽光パネル102が発電した電力を高品質機器グループ510に属する機器に給電しようとすると、交流の品質を高めるために高性能のインバータが必要となる。一方、中品質機器グループ520と低品質機器グループ530の機器は、太陽光パネル102が発電した交流の品質を十分に高めなくても作動可能である。したがって、品質の高い商用電力の交流を高品質機器グループ510に給電し、太陽光パネル102が発電した交流を中品質機器グループ520と低品質機器グループ530に給電することで、高性能のインバータが不要となり、インバータの構成を簡素化できる。
【0040】
制御システム100は、
図4に示すように、太陽光パネル102と、接続箱104と、漏電ブレーカ106と、DC/AC高周波インバータ108と、DC/AC高周波インバータ110と、蓄電池給電スイッチ112と、蓄電池114と、高品質機器給電スイッチ120と、高品質機器個別スイッチ122と、中品質機器給電スイッチ124と、中品質機器個別スイッチ126と、低品質機器給電スイッチ128と、低品質機器個別スイッチ130と、零相電圧検出器(ZPD)140と、買電ブレーカ142と、逆電力継電器(RPR)144と、高周波変圧器146と、制御装置200と、を有して構成される。また、制御システム100は、高品質機器グループ510に属する機器と、中品質機器グループ520に属する機器と、低品質機器グループ530に属する機器を有する。一方、これらの機器は、制御システム100とは別に構成されていてもよい。なお、
図3において、実線は電力線を示している。また、制御装置200から高品質機器給電スイッチ120、高品質機器個別スイッチ122、中品質機器給電スイッチ124、中品質機器個別スイッチ126、低品質機器給電スイッチ128、および低品質機器個別スイッチ130へ延びる破線の矢印は、これらスイッチを駆動するための制御信号が伝送される信号線を示している。これらのスイッチは、制御信号に応じて駆動される電磁スイッチである。制御装置200からDC/AC高周波インバータ108、DC/AC高周波インバータ110、零相電圧検出器140、および逆電力継電器144へ延びる破線は、これらを駆動するための制御信号が伝送される信号線を示している。また、逆電力継電器144から電力線に延びる一点鎖線は、大電流を小電流に変流する際のCT(Current Transformer)線を示している。
【0041】
太陽光パネル102は、太陽光を受けて発電する。太陽光パネル102は、複数の太陽電池モジュールからなり、各太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルから構成される。太陽電池セルは、太陽光の照射を受けて、太陽光エネルギーを電力に変換する。接続箱104は、例えば、各太陽電池モジュールが生成した直流出力を取り出す出力ケーブルを1のケーブルに統合する。漏電ブレーカ106は、直流の電流が過大になると電流を遮断する。
【0042】
また、制御システム100には、電力会社400から商用電力が供給される。高品質機器グループ510に属する機器には、電力会社400から供給された商用電力が給電される。商用電力は、買電ブレーカ142を介して高周波変圧器146に供給される。商用電力は、例えば、3φ3W6.6kVである。買電ブレーカ142は、商用電力の電流が過大になると電流を遮断する。零相電圧検出器140は、商用電力の中性点電圧を検出する。逆電力継電器144は、中性点電圧に基づき逆方向電力を検出する。逆電力継電器144が逆方向電力を検出すると、逆潮流が発生しているため、中品質機器給電スイッチ124および低品質機器給電スイッチ128がオフとされる。
【0043】
高周波変圧器146は、商用電力の交流を所望の電圧に変圧する。高周波変圧器146から出力された交流出力は、高品質機器給電スイッチ120がオンの場合に、高品質機器グループ510の機器に給電される。具体的には、高周波変圧器146から出力された交流電力は、高品質機器給電スイッチ120がオンの場合に、高品質機器個別スイッチ122の各々のオン/オフ状態に応じて、高品質機器個別スイッチ122がオンの機器に供給される。なお、本実施形態では、高品質機器グループ510には常に商用電力が給電されるため、高品質機器給電スイッチ120は常時オンであってよい。
【0044】
一方、太陽光パネル102が発電した直流電力は、DC/AC高周波インバータ108、DC/AC高周波インバータ110、および蓄電池給電スイッチ118に供給される。DC/AC高周波インバータ108およびDC/AC高周波インバータ110は、太陽光パネル102により生成された電力を直流から交流に変換し、交流電力を出力する。DC/AC高周波インバータ108から出力された交流電力は、中品質機器給電スイッチ124がオフの場合に、中品質機器グループ520の機器に給電される。具体的には、DC/AC高周波インバータ108から出力された交流電力は、中品質機器給電スイッチ124がオフの場合に、中品質機器個別スイッチ126の各々のオン/オフ状態に応じて、中品質機器個別スイッチ126がオンの機器に供給される。一方、中品質機器給電スイッチ124がオンの場合、高周波変圧器146から出力された交流電力が、中品質機器個別スイッチ126の各々のオン/オフ状態に応じて、中品質機器個別スイッチ126がオンの機器に供給される。後で詳細に説明するが、中品質機器給電スイッチ124は、制御装置200によりオン/オフが制御される。
【0045】
DC/AC高周波インバータ108は、中品質機器グループ520の機器を作動させるために必要十分な品質の第2の交流を出力する。中品質機器グループ520の機器が
図3に示すクラスBの機器である場合、DC/AC高周波インバータ108は、出力される交流の高調波電流が
図3に示すクラスBの最大許容高調波電流以下となるように構成される。
【0046】
同様に、DC/AC高周波インバータ110から出力された交流電力は、低品質機器給電スイッチ128がオフの場合に、低品質機器グループ530の機器に給電される。具体的には、DC/AC高周波インバータ110から出力された交流電力は、低品質機器給電スイッチ128がオフの場合に、低品質機器個別スイッチ130の各々のオン/オフ状態に応じて、低品質機器個別スイッチ130がオンの機器に供給される。一方、低品質機器給電スイッチ128がオンの場合、高周波変圧器146から出力された交流電力が、低品質機器個別スイッチ130の各々のオン/オフ状態に応じて、低品質機器個別スイッチ130がオンの機器に供給される。後で詳細に説明するが、低品質機器給電スイッチ128は、制御装置200によりオン/オフが制御される。
【0047】
DC/AC高周波インバータ110は、低品質機器グループ530の機器を作動させるために必要十分な品質の第3の交流を出力する。低品質機器グループ530の機器が
図3に示すクラスCの機器である場合、DC/AC高周波インバータ110は、出力される交流の高調波の歪率が
図3に示すクラスCの歪率の許容限度内となるように構成される。
【0048】
以上のように、DC/AC高周波インバータ108から出力される第2の交流およびDC/AC高周波インバータ110から出力される第3の交流は商用電力の第1の交流よりも低品質である。また、DC/AC高周波インバータ110から出力される第3の交流は、DC/AC高周波インバータ108から出力される第2の交流よりも低品質である。工場500内の機器を供給される交流の品質に応じてグループ分けしたことにより、このような構成であっても、中品質機器グループ520と低品質機器グループ530の機器それぞれを十分に作動させることができる。したがって、DC/AC高周波インバータ108およびDC/AC高周波インバータ110の構成を簡素化して製造コストを低減することができる。
【0049】
特に、DC/AC高周波インバータ110については、DC/AC高周波インバータ110よりも更に簡素に構成することが可能である。DC/AC高周波インバータ110から出力される交流は、低品質機器グループ530の機器に性能に応じて、例えば矩形波であってもよい。
【0050】
蓄電池給電スイッチ112は、太陽光パネル102が発電した電力を中品質機器グループ520および低品質機器グループ530の機器へ給電した際に、電力の余剰分を必要に応じて蓄電池114に給電するためのスイッチである。後で詳細に説明するが、蓄電池給電スイッチ112は、制御装置200によりオン/オフが制御される。
【0051】
制御装置200は、
図5に示すように、コンピュータとしてのプロセッサ210と、メモリ212と、通信インターフェース214と、を有する。プロセッサ210は、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ210は、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。
【0052】
メモリ212は、例えば、読み書き可能な半導体メモリ、すなわちRAM(Random Access Memory)と、読み出し専用の半導体メモリ、すなわちROM:Read only memoryと、不揮発性メモリ等を有する。さらに、メモリ212は、半導体メモリカード、ハードディスク、あるいは光記憶媒体といった記憶媒体であってもよい。
【0053】
通信インターフェース214は、制御装置200を高品質機器給電スイッチ120、中品質機器給電スイッチ124、低品質機器給電スイッチ128、蓄電池給電スイッチ118などの制御システム100の構成要素に接続するためのインターフェース回路を有する。また、通信インターフェース214は、制御装置200を外部のインターネットなどの通信ネットワーク220に接続するためのインターフェース回路を有する。
【0054】
制御装置200は、通信ネットワーク220を介して外部のサーバ230と接続されている。サーバ230は、通信ネットワーク220を介して、気象情報などの各種情報を制御装置200に送信する。
【0055】
プロセッサ210は、
図6に示すように、情報取得部210aと、電力需要取得部210bと、発電量予測部210cと、給電制御部210dと、学習部210eと、を有する。プロセッサ210が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ210上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。つまり、プロセッサ210が有するこれらの各部は、プロセッサ210とこれを機能させるためのプログラム、すなわちソフトウェアから構成される。また、そのプログラムは、制御装置200が備えるメモリ212または外部から接続される記録媒体に記録されていてもよい。あるいは、プロセッサ210が有するこれらの各部は、プロセッサ210に設けられる専用の演算回路であってもよい。
【0056】
情報取得部210aは、通信ネットワーク220を介してサーバ230から送信された各種情報を取得する。また、情報取得部210aは、蓄電池114の充電状態、すなわちSOC:State of Chargeなど、制御システム100に関わる各種情報を取得する。
【0057】
電力需要取得部210bは、高品質機器グループ510、中品質機器グループ520、および低品質機器グループ530のそれぞれの電力需要量を取得する。
【0058】
例えば、高品質機器グループ510、中品質機器グループ520、および低品質機器グループ530のそれぞれの電力需要量が予め需要計画で定められている場合がある。この場合、電力需要取得部210bは、需要計画から高品質機器グループ510、中品質機器グループ520、および低品質機器グループ530のそれぞれの電力需要量を取得する。なお、需要計画は制御装置200のメモリ212に格納されていてよい。
【0059】
また、電力需要取得部210bは、高品質機器グループ510、中品質機器グループ520、および低品質機器グループ530のそれぞれの電力需要量を予測し、予測した電力需要量を取得してもよい。
【0060】
電力需要取得部210bは、電力需要量を予測するために機械学習された学習済モデルから構成されていてもよい。この場合、学習部210eは、例えば入力値x1,x2,x3,x4,x5と、入力値x1,x2,x3,x4,x5に対する教師データytからなる複数のデータセットから学習済モデルを作成する。或る入力値に対して教師データytが求められており、この入力値に対する出力層からの出力値がyであった場合、誤差関数として平方誤差が用いられている場合には、平方誤差Eは、E=(1/2)・(y-yt)2で求められる。
【0061】
学習部210eは、データセットに含まれる入力値をニューラルネットワークに入力し、得られた出力値yとデータセットに含まれる教師データytから二乗誤差Eを計算する。そして、学習部210eは、複数の学習用のデータセットから得られる平方誤差Eの和を最小化するため、例えば誤差逆伝播法、確率的勾配降下法などの演算を行うことによって、各ノードの重みwおよびバイアスbを算出することで、学習済みモデルを作成する。なお、教師データを検出できない場合、学習部210eは、教師無し学習または強化学習により学習済みモデルを作成してもよい。
【0062】
学習部210eが高品質機器グループ510の電力需要量を予測する学習済モデルを作成する場合、入力値x1,x2,x3,x4,x5は、一例として、工場500で製造される各種製品の出荷量、生産計画、高品質機器グループ510に属する機器の稼働状況、稼働時刻および機器の劣化度を表す積算使用時間、室温、外気温などのパラーメータである。ここで、生産計画は、予定出荷量、プロセス計画を含むものであってもよい。また、教師データytは高品質機器グループ510に属する機器の使用電力量の実績値である。これにより、作成した学習済モデルに各種製品の予定出荷量、各種機器の稼働予定、時刻、気温などのパラーメータを入力すると、学習済モデルから高品質機器グループ510の電力需要量の予測値が出力される。
【0063】
発電量予測部210cは、太陽光パネル102の発電量を予測する。例えば、発電量予測部210cは、情報取得部210aが外部のサーバ230から取得した気象情報に基づいて、太陽光パネル102の発電量を予測する。
【0064】
発電量予測部210cは、太陽光パネル102の発電量を予測するために機械学習された学習済モデルから構成されていてもよい。この場合、学習部210eは、上記と同様に、例えば入力値x1,x2,x3,x4,x5と、入力値x1,x2,x3,x4,x5に対する教師データytからなる複数のデータセットから学習済モデルを作成する。学習部210eが発電量予測部210cに相当する学習済モデルを作成する場合、入力値x1,x2,x3,x4,x5は、一例として、日射量、天候、気温、風力などの気象情報である。また、教師データytは太陽光パネル102の発電量の実績値である。これにより、作成した学習済モデルに日射量、天候、気温、風力などのパラーメータを入力すると、学習済モデルから太陽光パネル102の発電量の予測値が出力される。
【0065】
給電制御部210dは、第1の機器群に商用電力による第1の交流を給電し、第2の機器群に太陽光パネル102が発電した第1の交流よりも歪率が大きい第2の交流を給電する。具体的には、給電制御部210dは、第2の機器群の電力需要量と予測発電量が所定の条件を満たすと、第2の機器群へ第1の交流を給電する。なお、以下では、給電制御部210dは、第1の機器群には商用電力による第1の交流を常に給電し、高品質機器給電スイッチ120を常時オンに制御しているものとする。
【0066】
また、給電制御部210dは、制御システム100が第1の機器群と第2の機器群を備える場合に、予測発電量が第2の機器群の電力需要量よりも大きい場合、第2の機器群へ第2の交流を給電する。また、給電制御部210dは、予測発電量が第2の機器群の電力需要量以下の場合、第2の機器群へ第1の交流を給電する。例えば、制御システム100が、第1の機器群として高品質機器グループ510を備え、第2の機器群として中品質機器グループ520を備える場合に、給電制御部210dは、予測発電量が第2の機器群の電力需要量以下であると、中品質機器給電スイッチ124をオフとする。これにより、商用電力が中品質機器グループ520に送られて中品質機器グループ520の電力需要量が満たされる。
【0067】
また、給電制御部210dは、制御システム100が第1の機器群と第2の機器群を備える場合に、予測発電量が第2の機器群の電力需要量以下の場合であって、蓄電池114のSOCが所定値以上の場合、蓄電池114に蓄電された電力を第2の機器群に給電してもよい。この場合、給電制御部210dは、中品質機器給電スイッチ124をオフとし、蓄電池給電スイッチ112をオンとする。これにより、蓄電池114に蓄電された電力が中品質機器グループ520に送られる。
【0068】
また、給電制御部210dは、制御システム100が第1の機器群と第2の機器群を備える場合に、予測発電量が第2の機器群の電力需要量よりも大きい場合、太陽光パネル102が発電した電力の余剰分を蓄電池114に給電して蓄電させる。具体的には、給電制御部210dは、蓄電池給電スイッチ112をオンとする。これにより、太陽光パネル102が発電した電力の余剰分は蓄電池114に蓄電される。
【0069】
また、給電制御部210dは、制御システム100が第1、第2および第3の機器群を備える場合に、予測発電量が第2の機器群と第3の機器群の電力需要量の合計より大きい場合、第2の機器群に第2の交流を給電し、第3の機器群に第3の交流を給電する。具体的には、給電制御部210dは、中品質機器給電スイッチ124および低品質機器給電スイッチ128をオフとする。これにより、太陽光パネル102が発電した電力が中品質機器グループ520および低品質機器グループ530の機器に送られて中品質機器グループ520および低品質機器グループ530の電力需要量が満たされる。
【0070】
また、給電制御部210dは、制御システム100が第1、第2および第3の機器群を備える場合に、予測発電量が、第2の機器群と第3の機器群の電力需要量の合計以下であり、第3の機器群の電力需要量より大きい場合、第2の機器群に第1の交流を給電し、第3の機器群に第3の交流を給電する。具体的には、給電制御部210dは、中品質機器給電スイッチ124をオンとし、低品質機器給電スイッチ128をオフとする。これにより、商用電力が中品質機器グループ520の機器に送られて中品質機器グループ520の電力需要量が満たされる。また、太陽光パネル102が発電した電力が低品質機器グループ530の機器に送られて低品質機器グループ530の電力需要量が満たされる。
【0071】
また、給電制御部210dは、制御システム100が第1、第2および第3の機器群を備える場合に、予測発電量が、第3の機器群の電力需要量以下の場合、第2の機器群及び第3の機器群へ第1の交流を給電する。具体的には、給電制御部210dは、中品質機器給電スイッチ124と低品質機器給電スイッチ128をともにオンとする。これにより、商用電力が中品質機器グループ520および低品質機器グループ530の機器に送られて中品質機器グループ520および低品質機器グループ530の電力需要量が満たされる。
【0072】
また、給電制御部210dは、制御システム100が第1、第2および第3の機器群を備える場合に、予測発電量が第2の機器群と第3の機器群の電力需要量の合計より大きい場合、太陽光パネル102が発電した電力の余剰分を蓄電池114に給電して蓄電させる。具体的には、給電制御部210dは、また、給電制御部210dは、蓄電池給電スイッチ112をオンとする。これにより、太陽光パネル102が発電した電力の余剰分は蓄電池114に蓄電される。
【0073】
なお、給電制御部210dは、中品質機器給電スイッチ124をオンとした場合はDC/AC高周波インバータ108をオフにしてもよく、低品質機器給電スイッチ124をオンとした場合はDC/AC高周波インバータ110をオフとしてもよい。
【0074】
電力需要取得部210bが各機器グループのそれぞれの電力需要量を予測した場合、給電制御部210dは、電力需要量と発電量の予測値に基づいて各機器グループおよび蓄電池114への給電を制御する。このため、電力需要量と発電量の将来的な変動に応じて、各機器グループおよび蓄電池114への給電が最適に制御される。
【0075】
学習部210eは、上述した手法により、電力需要取得部210b、または発電量予測部210cに相当する学習済モデルを作成する。
【0076】
予測発電量と電力需要量に応じた高品質機器グループ510、中品質機器グループ520および低品質機器グループ530の機器への給電の例を説明する。一例として、
図7において、低品質機器グループ530の機器は、照明1,照明2、冷蔵庫、冷凍庫である。また、中品質機器グループ520の機器は、顕微鏡1、顕微鏡2、工具類である。また、高品質機器グループ510の機器は、三相200V機器、高圧洗浄機、検査装置、分析装置である。
【0077】
図7に示すように、発電量>(高品質機器グループ510の電力需要量+中品質機器グループ520の電力需要量+低品質機器グループ530の電力需要量)の場合、低品質機器グループ530と中品質機器グループ520の機器には太陽光発電による電力が給電される。一方、高品質機器グループ510の機器には商用電力が給電される。この場合、蓄電池114に太陽光パネル102が発電した電力の余剰分が蓄電される。
【0078】
また、(高品質機器グループ510の電力需要量+中品質機器グループ520の電力需要量+低品質機器グループ530の電力需要量)≧発電量>(中品質機器グループ520の電力需要量+低品質機器グループ530の電力需要量)の場合においても、低品質機器グループ530と中品質機器グループ520の機器には太陽光発電による電力が給電される。一方、高品質機器グループ510の機器には商用電力が給電される。この場合、蓄電池114に太陽光パネル102が発電した電力の余剰分が蓄電される。
【0079】
また、(中品質機器グループ520の電力需要量+低品質機器グループ530の電力需要量)≧発電量>低品質機器グループ530の電力需要量の場合、低品質機器グループ530の機器には太陽光発電による電力が給電される。一方、高品質機器グループ510と中品質機器グループ520の機器には商用電力が給電される。この場合、蓄電池114への蓄電は行われない。
【0080】
また、発電量≦低品質機器グループ530の電力需要量の場合、高品質機器グループ510、中品質機器グループ520、および低品質機器グループ530の全ての機器に商用電力が給電される。この場合、基本的には蓄電池114への蓄電は行われない。一方、高品質機器グループ510、中品質機器グループ520、および低品質機器グループ530の全てに商用電力が給電されるため、蓄電池給電スイッチ112をオンとして太陽光パネル102が発電した電力を蓄電池114に蓄電してもよい。
【0081】
発電量が高品質機器グループ510、中品質機器グループ520、および低品質機器グループ530の電力需要量の合計よりも大きい場合、高品質、中品質、および低品質の全ての機器に太陽光パネル102が発電した電力を給電することも理論上は可能である。しかし、このような場合であっても、本実施形態では、高品質機器グループ510の機器には商用電力が給電される。したがって、例えば高品質機器グループ510が
図3に示すクラスAの機器の場合、高品質機器グループ510の機器の入力電流の高調波は、
図3に示す最大許容高調波電流を確実に満たすものとなる。
【0082】
以上のような制御システム100の構成により、DC/AC高周波インバータ108およびDC/AC高周波インバータ110は、簡素なインバータとして構成される。DC/AC高周波インバータ110として、直流から交流の変換効率が98.5%以上である低コストインバーターの構成例が、
図8に示されている。通常搭載される平滑用LCフィルタ、階層制御回路等は、
図8に示す構成では備えられていないが、このような簡素化された構成であってもDC/AC高周波インバータ110として適用可能である。なお、
図8では、太陽光パネル102とDC/AC高周波インバータ110の接続状態が示されており、接続箱104と漏電ブレーカ106の図示は省略されている。
図8において、e
iはインバータ出力電圧、e
Lはリアクトル電圧降下、e
cは電力系統電圧、i
cはインバータ出力電流をそれぞれ示している。
【0083】
次に、プロセッサ210の処理の時系列的な流れを
図9に基づいて説明する。先ず、時刻tが現在時刻tに設定される(ステップS10)。次に、電力需要取得部210bが、時刻tにおける高品質機器グループ510の電力需要量(At)を取得する(ステップS12)。次に、電力需要取得部210bが、時刻tにおける中品質機器グループ520の電力需要量(Bt)を取得する(ステップS14)。次に、電力需要取得部210bが、時刻tにおける低品質機器グループ530の電力需要量(Ct)を取得する(ステップS16)。
【0084】
次に、発電量予測部210cが、時刻tにおける太陽光パネル102の発電量(Gt)を予測する(ステップS18)。次に、Gt>At+Bt+Ctであるか否かが判定される(ステップS20)。Gt>At+Bt+Ctの場合、給電制御部210dが、高品質機器給電スイッチ120をオンとし、中品質機器給電スイッチ124および低品質機器給電スイッチ128をオフとし、蓄電池給電スイッチ112をオンとする(ステップS22)。
【0085】
ステップS20でGt≦At+Bt+Ctの場合、Gt>Bt+Ctであるか否かが判定される(ステップS24)。Gt>Bt+Ctの場合、給電制御部210dが、高品質機器給電スイッチ120をオンとし、中品質機器給電スイッチ124および低品質機器給電スイッチ128をオフとし、蓄電池給電スイッチ112をオンとする(ステップS26)。
【0086】
ステップS24でGt≦Bt+Ctの場合、Gt>Ctであるか否かが判定される(ステップS28)。Gt>Ctの場合、給電制御部210dが、高品質機器給電スイッチ120および中品質機器給電スイッチ124をオンとし、低品質機器給電スイッチ128をオフとし、蓄電池給電スイッチ112をオフとする(ステップS30)。
【0087】
ステップS28でGt≦Ctの場合、給電制御部210dが、高品質機器給電スイッチ120、中品質機器給電スイッチ124、および低品質機器給電スイッチ128をオンとし、蓄電池給電スイッチ112をオフとする(ステップS32)。なお、高品質機器グループ510、中品質機器グループ520、および低品質機器グループ530の全てに商用電力が給電されるため、蓄電池給電スイッチ112をオンとして太陽光パネル102が発電した電力を蓄電池114に蓄電してもよい。ステップS22,S26,S30,S32の後、時刻tがt+Δtとされ(ステップS34)、ステップS12以降の処理が再度行われる。
【0088】
以上説明したように本実施形態によれば、プロセッサ212の給電制御部212dは、第1の機器群に商用電力による第1の交流を給電し、第2の機器群に太陽光パネル102が発電した第1の交流よりも歪率が大きい第2の交流を給電する。したがって、太陽光パネル102の直流を交流に変換するインバータの構成を簡素化することができ、制御システム100の製造コストが低減される。
【符号の説明】
【0089】
100 制御システム
102 太陽光パネル
104 接続箱
106 漏電ブレーカ
108 DC/AC高周波インバータ
110 DC/AC高周波インバータ
112 蓄電池給電スイッチ
114 蓄電池
116 交流給電スイッチ
118 蓄電池給電スイッチ
120 高品質機器給電スイッチ
122 高品質機器個別スイッチ
124 中品質機器給電スイッチ
126 中品質機器個別スイッチ
128 低品質機器給電スイッチ
130 低品質機器個別スイッチ
140 零相電圧検出器(ZPD)
140 零相電圧検出器
142 買電ブレーカ
144 逆電力継電器(RPR)
146 高周波変圧器
200 制御装置
210 プロセッサ
210a 情報取得部
210b 電力需要取得部
210c 発電量予測部
210d 給電制御部
210e 学習部
212 メモリ
214 通信インターフェース
220 通信ネットワーク
230 サーバ
300 発電事業者
350 需要家
400 電力会社
500 工場
510 高品質機器グループ
520 中品質機器グループ
530 低品質機器グループ