(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023635
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】アルコールチェック管理システム、管理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20250207BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127956
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】518300744
【氏名又は名称】IT FORCE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】中山 朋子
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 彩
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】法令の遵守にあたって実施すべき内容を確実に網羅しつつ、運転業務の承認可否の決定及びその被検者に対する伝達を遠隔的に、容易に、効率的に行なえるアルコールチェック管理システム、管理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】本発明のアルコールチェック管理システム1は、アルコール検知端末5と、被検者側操作端末6と、管理者側操作端末9と、管理者側での運転業務の承認に必要なデータ及び各端末で得られるデータの端末間での送受信を含む処理を制御する制御部とを備え、制御部は、被検者側操作端末6の撮像部6eによって撮像された複数の被検者の画像をそれぞれの被検者と関連付けられるデータと共に管理者側操作端末9の表示部9bに一覧表示させ、複数の被検者における運転業務を管理者が順次に承認できるようにする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転業務を遂行すべき被検者の呼気中のアルコール濃度を検知するアルコール検知端末と、
被検者の動画を撮影可能な撮像部を有し、前記アルコール検知端末と無線通信可能な被検者側操作端末と、
被検者の運転業務を管理する管理者側に設けられ、データを表示可能な表示部を有するとともに、前記被検者側操作端末と無線通信可能な管理者側操作端末と、
管理者側での運転業務の承認に必要なデータ及び前記各端末で得られるデータの前記端末間での送受信を含む処理を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、複数の被検者の識別表示をそれぞれの被検者と関連付けられる前記データ及び前記アルコール濃度と共に前記管理者側操作端末の前記表示部に一覧表示させ、複数の被検者における運転業務を前記管理者が順次に承認できるようにすることを特徴とする、アルコールチェック管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示部に前記被検者の動画を再生し、再生後に前記被検者における運転業務を前記管理者が承認できるように制御するべく構成されることを特徴とする請求項1に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項3】
前記動画は、前記アルコール検知端末によるアルコール濃度の検知状態における動画であることを特徴とする請求項1に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項4】
前記アルコール検知端末が前記被検者の呼気を検出する呼気検出センサーを有し、前記制御部は、前記呼気検出センサーの出力に応じて前記被検者の動画を撮影するように前記撮像部を制御することを特徴とする請求項3に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項5】
前記動画は、前記被検者の発話状態を撮影した音声を含む動画であることを特徴とする請求項1に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記管理者による承認・非承認の結果を前記被検者側操作端末に通知するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記管理者が前記被検者の検査状態を確認するのに十分な所定の時間にわたって前記動画が再生された場合にのみ前記管理者による承認を可能にすることを特徴とする請求項2に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項8】
前記管理者側での運転業務の承認に必要な前記データは、前記被検者の健康チェック情報を含むことを特徴とする請求項1に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項9】
前記被検者側操作端末において前記被検者の健康チェック情報を入力可能であり、
前記管理者側操作端末は、前記管理者による各被検者に対する承認情報、前記健康チェック情報を含む点呼記録簿を出力する機能を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項10】
前記被検者側操作端末及び管理者側操作端末がサーバーと無線通信可能であり、前記サーバーは、運転前後のそれぞれに関し、前記被検者を特定する情報、前記管理者を特定する情報、アルコール検知を行なった日時情報、承認方法、アルコール濃度を情報として格納することを特徴とする請求項1に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項11】
前記サーバーのダウン時あるいは前記被検者側操作端末及び管理者側操作端末がサーバーと無線通信不能である場合には、前記アルコール濃度が前記アルコール検知端末又は前記被検者側操作端末に表示され、前記サーバーが正常でかつ前記通信回線が正常である場合には、前記アルコール濃度が前記アルコール検知端末及び前記被検者側操作端末のいずれにも表示されないことを特徴とする請求項10に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項12】
前記サーバーには各被検者の勤務開始時刻が格納され、前記勤務開始時刻に遅れて承認申請がされた被検者の画像が前記管理者側操作端末の前記表示部に優先的に表示されることを特徴とする請求項10に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項13】
前記管理者側操作端末の前記表示部に表示される被検者のアルコール濃度が基準値を上回っている場合、前記管理者の注意を喚起する表示態様で前記画像あるいは前記アルコール濃度が前記表示部に表示されることを特徴とする請求項1に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項14】
前記制御部は、承認が拒否された前記被検者が所定時間にわたって前記被検者側操作端末により再度の承認申請を行なえないように制御するべく構成されることを特徴とする請求項1に記載のアルコールチェック管理システム。
【請求項15】
所定のアルゴリズムにしたがってコンピュータで処理することにより、運転業務を遂行すべき被検者の呼気中のアルコール濃度に基づき、被検者の運転業務を管理する管理者が被検者の運転業務の承認を遠隔的に行なえるようにするアルコールチェック管理方法において、
被検者の呼気中のアルコール濃度を検知するアルコール検知端末と、前記アルコール検知端末と無線通信可能な被検者側操作端末とを被検者に用意させるステップであって、前記被検者側操作端末が、被検者の動画を撮影可能な撮像部を有する、ステップと、
データを表示可能な表示部を有するとともに、前記被検者側操作端末と無線通信可能な管理者側操作端末を管理者に用意させるステップと、
管理者側での運転業務の承認に必要なデータ及び前記各端末で得られるデータの前記端末間での送受信を含む処理を制御する制御ステップと、
を含み、
前記制御ステップは、複数の被検者の識別表示をそれぞれの被検者と関連付けられる前記データ及び前記アルコール濃度と共に前記管理者側操作端末の前記表示部に一覧表示させ、複数の被検者における運転業務を前記管理者が順次に承認できるようにすることを特徴とする、アルコールチェック管理方法。
【請求項16】
前記制御ステップは、前記表示部に前記被検者の動画を再生し、再生後に前記被検者における運転業務を前記管理者が承認できるように制御することを特徴とする請求項15に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項17】
前記動画は、前記アルコール検知端末によるアルコール濃度の検知状態における動画であることを特徴とする請求項15に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項18】
前記アルコール検知端末が前記被検者の呼気を検出する呼気検出センサーを有し、前記制御ステップは、前記呼気検出センサーの出力に応じて前記被検者の動画を撮影するように前記撮像部を制御することを特徴とする請求項17に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項19】
前記動画は、前記被検者の発話状態を撮影した音声を含む動画であることを特徴とする請求項15に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項20】
前記制御ステップは、前記管理者による承認・非承認の結果を前記被検者側操作端末に通知することを特徴とする請求項15に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項21】
前記制御ステップは、前記管理者が前記被検者の検査状態を確認するのに十分な所定の時間にわたって前記動画が再生された場合にのみ前記管理者による承認を可能にすることを特徴とする請求項17に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項22】
前記管理者側での運転業務の承認に必要な前記データは、前記被検者の健康チェック情報を含むことを特徴とする請求項15に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項23】
前記被検者側操作端末において前記被検者の健康チェック情報を入力可能であり、
前記管理者側操作端末は、前記管理者による各被検者に対する承認情報、前記健康チェック情報を含む点呼記録簿を出力する機能を有する、
ことを特徴とする請求項15に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項24】
前記被検者側操作端末及び管理者側操作端末がサーバーと無線通信可能であり、前記サーバーは、運転前後のそれぞれに関し、前記被検者を特定する情報、前記管理者を特定する情報、アルコール検知を行なった日時情報、承認方法、アルコール濃度を情報として格納することを特徴とする請求項15に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項25】
前記サーバーのダウン時あるいは前記被検者側操作端末及び管理者側操作端末がサーバーと無線通信不能である場合には、前記アルコール濃度が前記アルコール検知端末又は前記被検者側操作端末に表示され、前記サーバーが正常でかつ前記通信回線が正常である場合には、前記アルコール濃度が前記アルコール検知端末及び前記被検者側操作端末のいずれにも表示されないことを特徴とする請求項24に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項26】
前記サーバーには各被検者の勤務開始時刻が格納され、前記勤務開始時刻に遅れて承認申請がされた被検者の画像が前記管理者側操作端末の前記表示部に優先的に表示されることを特徴とする請求項24に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項27】
前記管理者側操作端末の前記表示部に表示される被検者のアルコール濃度が基準値を上回っている場合、前記管理者の注意を喚起する表示態様で前記画像あるいは前記アルコール濃度が前記表示部に表示されることを特徴とする請求項15に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項28】
前記制御ステップは、承認が拒否された前記被検者が所定時間にわたって前記被検者側操作端末により再度の承認申請を行なえないように制御することを特徴とする請求項15に記載のアルコールチェック管理方法。
【請求項29】
所定のアルゴリズムにしたがって処理することにより、運転業務を遂行すべき被検者の呼気中のアルコール濃度に基づき、被検者の運転業務を管理する管理者が被検者の運転業務の承認を遠隔的に行なえるようにするコンピュータプログラムにおいて、
被検者の呼気中のアルコール濃度を検知するアルコール検知端末と、前記アルコール検知端末と無線通信可能な被検者側操作端末とを同期させて、被検者側操作端末による操作に基づくアルコール検知端末を用いた被検者による検査を可能にするステップであって、前記被検者側操作端末が、被検者の動画を撮影可能な撮像部を有する、ステップと、
被検者による検査で得られた検査データを前記被検者側操作端末と無線通信可能な管理者側操作端末で管理者が入手できるようにするステップであって、前記管理者側操作端末がデータを表示可能な表示部を有する、ステップと、
管理者側での運転業務の承認に必要なデータ及び前記各端末で得られるデータの前記端末間での送受信を含む処理を制御するステップであって、複数の被検者の識別表示をそれぞれの被検者と関連付けられる前記データ及び前記アルコール濃度と共に前記管理者側操作端末の前記表示部に一覧表示させ、複数の被検者における運転業務を前記管理者が順次に承認できるようにする、ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転業務を遂行すべき被検者の呼気中のアルコール濃度に基づき、被検者の運転業務を管理する管理者が被検者の運転業務の承認を遠隔的に行なえるようにするアルコールチェック管理システム、管理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲酒運転防止は社会的な要請であり、従来から飲酒運転を防止するための様々な装置やシステムが提案されている。また、そのような装置やシステムでは、運転前のアルコール検出の際にはアルコールを飲んでいない者が装置によるアルコールチェックを受け、その後、アルコールを飲んだ者が入れ替わって車両の運転を行なうことが可能であり、そうした運転者以外の酒気帯びしていない者による、所謂なりすましアルコールチェックを防止するものも知られている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【0003】
また、飲酒運転による交通事故の頻発に伴い、道路交通法施行規則の一部が改正され、運転者(従業員)による運転業務を管理すべき管理者(事業者)の行なうべき業務として、アルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等が新たに設けられた。これにより、事業者である管理者はアルコール検知器の導入が必須になり、アルコール検知器を用いた従業員の検査管理システムのニーズが高まってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-052635号公報
【特許文献2】特開2020-097364号公報
【特許文献3】特開2020-190993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、道路交通法施行規則の一部改正に伴って、運転者は、被検者として、アルコール検知器による検査を運転前と運転後の2回(通常は1日に2回)行なう必要があり、一方、運転者による運転業務を監督する事業者は、管理者として、被検者による検査の結果(記録データ)を1年間保存する義務を伴うようになる。そして、このような検査は、通常、原則として、被検者と管理者とが対面する形式で目視により行なう必要があるが、被検者に携帯型のアルコール検知器を携行させる場合には、アルコール検知器による測定結果と共に、カメラやモニター等によって被検者の顔色や応答の声の調子等を管理者が確認できること、あるいは、電話等によって管理者が被検者の応答の声の調子等を確認できることを条件として、対面以外での検査も許容されている。したがって、被検者に携帯型のアルコール検知器を携行させる場合、被検者がアルコール検知器による検査後に検査結果を法令に基づく条件下で即時に管理者に通知することで、管理者は、被検者の運転業務の承認可否の決定及び被検者に対する承認可否結果の伝達を遠隔的に行なうことが可能となる。
【0006】
しかしながら、管理者は、被検者に携帯型のアルコール検知器を携行させることで遠隔的な承認が可能となる一方で、他の業務もある中、このような法令遵守にあたって実施すべき内容が増えると、被検者である運転者のアルコール検査管理に時間を多くとられることから、業務全体に支障を来す可能性がある。改正された道路交通法施行規則の施行が間近に迫る中、このような法令の遵守にあたって実施すべき内容を確実に網羅しつつ運転業務の承認可否の決定及び伝達を遠隔的に且つ効率的に行なえるシステムの構築が早急に望まれる。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、法令の遵守にあたって実施すべき内容を確実に網羅しつつ、運転業務の承認可否の決定及びその被検者に対する伝達を遠隔的に、容易に、効率的に行なえるアルコールチェック管理システム、管理方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のアルコールチェック管理システムは、
運転業務を遂行すべき被検者の呼気中のアルコール濃度を検知するアルコール検知端末と、
被検者の動画を撮影可能な撮像部を有し、前記アルコール検知端末と無線通信可能な被検者側操作端末と、
被検者の運転業務を管理する管理者側に設けられ、データを表示可能な表示部を有するとともに、前記被検者側操作端末と無線通信可能な管理者側操作端末と、
管理者側での運転業務の承認に必要なデータ及び前記各端末で得られるデータの前記端末間での送受信を含む処理を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、複数の被検者の識別表示をそれぞれの被検者と関連付けられる前記データ及び前記アルコール濃度と共に前記管理者側操作端末の前記表示部に一覧表示させ、複数の被検者における運転業務を前記管理者が順次に承認できるようにすることを特徴とする。
【0009】
本発明の上記構成によれば、互いに無線通信可能なアルコール検知端末、被検者側操作端末、及び管理者側操作端末を備えるとともに、運転業務の承認に必要なデータ及び各端末で得られるデータの端末間での送受信を含む処理を制御する制御部により、複数の被検者の識別表示(例えば画像、具体的には、一例として、被検者である社員の動画のサムネイル、予め撮影されていた被検者の画像、社員の名前など)がそれぞれの被検者と関連付けられるデータと共に管理者側操作端末の表示部に一覧表示され、複数の被検者における運転業務の承認を管理者が順次に行なえるようになっている。そのため、法令の遵守にあたって実施すべき内容を確実に網羅しつつ、運転業務の承認可否の決定及びその被検者に対する伝達を遠隔的に、容易に、効率的に行なうことが可能となる。ここで、本明細書において、「運転業務の承認」とは、運転業務前のアルコール濃度に基づいてこれからの運転業務を承認すること、及び運転業務後のアルコール濃度に基づいて運転業務が問題なく終了したことを承認することの両方を含むものとする。
【0010】
なお、上記構成において、識別表示の一例である「予め撮影されていた被検者の画像」としては、例えば、予め撮影しておいた社員証の写真等の社員の静止画を挙げることができる。また、上記構成において、撮像部が撮影する画像は、動画に限らず、静止画であってもよい。また、被検者側操作端末としては、例えばスマートフォンなどを挙げることができる。被検者である運転者は、アルコール検知端末及びスマートフォンさえ携行していれば、いずれの場所においても、制御部による制御下において例えばスマートフォンの画面に表示される検査手順の指示に従うだけで、簡単にアルコールチェックのための検査を行なってその結果を管理者に報告することができ、また、業務においても事業所に足を運ぶことなく直行直帰も可能となる。また、制御部の制御の下、データをクラウドで一括管理すれば、紙の帳票も不要となり、リアルタイムで測定結果を送受信でき、また、データをExcel(登録商標)などで簡単に出力することも可能となる。また、例えば、クラウド型のビジネスアプリケーション(例えばSalesforce(登録商標)など)を利用することで、データの一元管理も可能となり、セキュリティの高い管理システムを構築できる。
【0011】
また、上記構成では、識別表示が画像、特に動画であり、一覧表示は、各被検者に対応する複数のサムネイル画像の配列から成ることが好ましい。この場合、特に、動画は、アルコール検知端末によるアルコール濃度の検知状態の動画であることが好ましい。これによれば、アルコール検知端末及び被検者側操作端末を用いた遠隔的なアルコール検査を被検者が偽装して行なうこと(所謂、なりすまし検査)を防止することも可能となる。この場合、被検者を一覧表示(複数表示)するサムネイル画面のまま、他の画面に遷移せず動画の再生が可能であることが好ましい。これにより、承認可否決定を短時間で行なうことも可能となり、複数の被検者の画像が一括して一覧表示される承認画面によって管理者の業務負担の一層の低減及び業務の飛躍的な効率化を図ることができる。
【0012】
また、上記構成において、制御部は、所定時間にわたって管理者が画像を再生した場合にのみ(特に、管理者が被検者の検査状態を確認するのに十分な所定の時間にわたって動画が再生された場合にのみ)管理者による承認を可能にすることが好ましい。これによれば、管理者が画像を再生確認することなく又はいい加減で中途半端な確認を行なって承認可否を決定するような事態を回避できる。また、上記構成において、制御部は、管理者による承認・非承認の結果を被検者側操作端末に通知するように構成されていてもよい。また、制御部は、撮像部によって撮像された動画を管理者が再生した後に各被検者における運転業務を管理者が順次承認できるように構成されていてもよい。さらに、アルコール検知端末が被検者の呼気を検出する呼気検出センサーを有する場合、制御部は、呼気検出センサーの出力に応じて被検者の動画を撮影するように撮像部を制御してもよい。
【0013】
また、上記構成において、被検者と関連付けられるデータは、被検者の発話状態確認のための音声データを含むことが好ましい。特に、画像が動画である場合、該動画は、被検者の発話状態を撮影した音声を含む動画であることが好ましい。これによれば、被検者画像を通じた被検者の表情の目視での確認に加え、被検者の発話状態も確認でき、アルコール検査の安全性を担保することができる。
【0014】
また、上記構成において、管理者側での運転業務の承認に必要なデータは、被検者の健康チェック情報を含むことが好ましい。また、管理者側での運転業務の承認に必要なデータは、それぞれの被検者ごとに画像と対応付けられて承認の可否状態を示す表示データを含むことが好ましい。これによれば、例えば、表示データが承認可否を決定するための操作ボタンとして管理者側操作端末の表示部に各被検者の画像と対応付けて表示されることにより、承認可否決定操作を正確に且つ迅速に行なうことが可能になるとともに、承認可否状態の表示により一見して被検者の運転業務における現在の状態を容易に把握することもできるようになる。
【0015】
また、上記構成では、被検者側操作端末及び管理者側操作端末がサーバーと無線通信可能であってもよく、その場合、サーバーは、運転前後のそれぞれに関し、被検者を特定する情報、管理者を特定する情報、アルコール検知を行なった日時情報、承認方法(オンライン承認、電話承認など)、アルコール濃度のうちの少なくとも1つを情報として格納してもよい。そのような情報としては、例えば、被検者名、管理者名、被検者の業務に係る運転車両の登録番号又は識別できる記号、番号、アルコールチェック日時、アルコールチェック方法、アルコール検知端末の使用の有無、アルコールチェックが対面でない場合におけるアルコールチェックの具体的方法、被検者の酒気帯びの有無、被検者に対する指示事項などを挙げることができる。
【0016】
また、サーバーに関連して、サーバーのダウン時あるいは被検者側操作端末及び管理者側操作端末がサーバーと無線通信不能である場合には、アルコール濃度がアルコール検知端末又は被検者側操作端末に表示され、サーバーが正常でかつ通信回線が正常である場合には、アルコール濃度がアルコール検知端末及び被検者側操作端末のいずれにも表示されないようにしてもよい。また、サーバーに各被検者の勤務開始時刻が格納されてもよく、その場合、勤務開始時刻に遅れて承認申請がされた被検者の画像が管理者側操作端末の表示部に優先的に表示されるようになっていてもよい。
【0017】
また、上記構成では、被検者側操作端末において被検者の健康チェック情報を入力可能であてもよく、その場合、管理者側操作端末は、管理者による各被検者に対する承認情報、前記健康チェック情報を含む点呼記録簿を出力する機能を有してもよい。また、上記構成において、管理者側操作端末の表示部に表示される被検者のアルコール濃度が基準値を上回っている場合、管理者の注意を喚起する表示態様で画像あるいはアルコール濃度が表示部に表示されてもよい。また、上記構成において、制御部は、承認が拒否された被検者が所定時間にわたって被検者側操作端末により再度の承認申請を行なえないように制御するべく構成されていてもよい。
【0018】
また、本発明は、前述したアルコールチェック管理システムが実行する管理方法、及び、該方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムも提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、法令の遵守にあたって実施すべき内容を確実に網羅しつつ、運転業務の承認可否の決定及びその被検者に対する伝達を遠隔的に、容易に、効率的に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係るアルコールチェック管理システムの概略的な全体構成図である。
【
図2】
図1のアルコールチェック管理システムの個々の要素の概略的な構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係るアルコールチェック管理システムを構成するクラウドサーバーの各マスター及びテーブルに記憶される情報項目の一例を示すテーブルカラムを示す。
【
図4】アルコール検知端末及び被検者側操作端末を用いた被検者によるアルコール検査態様の一例を示す概略図である。
【
図5】アルコール検知器(アルコール検知端末)の呼気検出センサーによる呼気検出動作、被検者側操作端末の撮像部による動画撮像動作、及び動画切り取り動作の相関関係(連携態様)を示す図である。
【
図6】被検者の発話状態確認のために被検者側操作端末に表示される画面の一例を示す図である。
【
図7】管理者側操作端末の表示部に表示される承認画面の第1の例を示す図である。
【
図8】被検者側操作端末で実行される検査プログラムにおけるメインアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図9】被検者側操作端末で実行される検査プログラムにおけるオンライン処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図10】被検者側操作端末で実行される検査プログラムにおけるオフライン処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図11】被検者側操作端末で実行される検査プログラムにおけるオンライン処理中の発話状態記録処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図12】被検者側操作端末で実行される検査プログラムにおけるオンライン処理中のアルコール濃度測定処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図13】管理者側操作端末で実行される承認プログラムにおけるメインアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図14】管理者側操作端末で実行される承認プログラムにおけるメインアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図15】管理者側操作端末の表示部に表示される承認画面の第2の例を示す図である。
【
図16】管理者側操作端末の表示部に表示される承認画面の第3の例を示す図である。
【
図17】管理者側操作端末の表示部に表示される画面の他の例を示す図である。
【
図18】管理者側操作端末の表示部に表示される画面の他の例を示す図である。
【
図19】管理者側操作端末の表示部に表示される承認画面の第4の例を示す図である。
【
図20】管理者側操作端末の表示部に表示される承認画面の第5の例を示す図である。
【
図22】管理者側操作端末がPC及びタブレットである場合の各選択ボタンの処理を示す図である。
【
図23】管理者側操作端末がスマートフォンである場合の各選択ボタンの処理を示す図である。
【
図25】健康チェック項目入力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.システム構成
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1には、クラウドシステム4と通信手段(ネットワーク)10を介して通信し、所定のアルゴリズムにしたがってコンピュータで処理することにより、運転業務を遂行すべき被検者の呼気中のアルコール濃度に基づき、被検者の運転業務を管理する管理者が被検者の運転業務の承認を遠隔的に行なえるようにするアルコールチェック管理システム1の一例が示される。このアルコールチェック管理システム1は、クラウドサーバー(以下、単にサーバーと呼ぶ場合もある)4と、通信手段10を介してクラウドサーバー4と通信可能に接続される被検者側操作端末(検査側端末)6と、被検者側操作端末6と通信可能なアルコール検知端末(アルコール検知器)5と、通信手段10を介してクラウドサーバー4と通信可能に接続される管理者側操作端末(安全運転管理者端末;安全運転管理ソフトウェア(プログラム)を記憶する)9とを少なくとも備える。
【0022】
なお、以下の本実施形態では、車両の運転業務における(したがって、ドライバーに対する)アルコールチェックの例について説明するが、本発明は、車両にかかわらず、アルコールを伴う運転が問題となるあらゆる分野において、例えば航空機のパイロットや機械のオペレータ、更にはサービス業の従事者などに対しても適用可能である。
【0023】
アルコール検知端末5は、運転業務を遂行すべき運転者(ドライバー)である被検者7が携行する端末であり、被検者7の呼気中のアルコール濃度を検知することができ、有線あるいは無線、例えばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)通信などの近距離無線通信規格によって、被検者側操作端末6と通信可能である。また、被検者側操作端末6は、アルコール検知端末5と同様に被検者7が携行するものであり、被検者7の画像(具体的には、顔画像)を撮影可能な撮像部(例えばカメラ)6eを有し、例えばスマートフォンなどから成ることができる。また、管理者側操作端末9は、被検者7の運転業務を管理する管理者(安全運転管理者)8の側に設けられ、ネットワーク10を介してクラウドサーバー4及び被検者側操作端末6と通信可能であるとともに、データを表示可能な表示部9b(
図2参照)を有する。管理者側操作端末9としては、デスクトップPC、ラップトップPC、タブレット、及びスマートフォンなどを挙げることができる。
【0024】
また、
図1において通信手段10は、端末6,9とサーバー4との間で情報のやり取りを行なうものであり、有線通信、無線通信のいずれであってもよい。そのような通信手段10としては、例えば、インターネット、有線ケーブルを用いた回線、有線電話回線、携帯電話回線、WiFi回線などが挙げられる。また、端末6,9は入力装置を有する。この入力装置は、例えば、キーボードやマウス、あるいはタッチパネル等である。
【0025】
なお、本実施形態では、運転業務承認のために必要な各種データをクラウドサーバー4を介して端末6,9間でやりとりする例について説明するが、サーバー4を介すことなく、端末5,6,9間でのみ後述する運転業務承認処理(アルコールチェック管理方法)を実行するようになっていても構わない。また、システム1という形態ではなく、そのような運転業務承認処理を実行するためのコンピュータプログラムが格納されたコンピュータプログラムプロダクト(記録媒体)として存在していてもよい。
【0026】
2.サーバの構成
図2には、
図1のアルコールチェック管理システムの個々の要素の概略的な構成がブロック図で示される。図示のように、アルコール検知端末5は、被検者側操作端末6との間の通信を可能にするブルートゥース通信部5bと、被検者7からの操作を受け付ける操作受付部5cと、アルコール検知の実行に関与するデータを含む各種データを記憶する記憶部5dと、被検者の呼気を検出する呼気検出センサー5fと、呼気中のアルコール濃度を検出するアルコールセンサー5gと、これらの各構成要素の動作を制御する制御部(CPU)5aとを有する。ここで、呼気検出センサー5fとしては、例えば、流量センサー(風車式の回転センサー(光学センサー))等によって回転を検出する方式のものや、マウスピースに息を吹き込むことで測定媒体に圧力がかかって最大値やその持続時間などを測定する呼気圧力測定センサー(差圧ダイヤフラム式、半導体式など)を挙げることができる。
【0027】
また、被検者側操作端末6は、本実施形態ではスマートフォンから成り、アルコール検知端末5との間の通信を可能にするブルートゥース通信部6fと、通信手段10との間の通信を可能にするHTTP通信部6bと、表示部としてのタッチディスプレイ(表示部)6cと、端末6の位置情報を検出するための位置情報検出部6dと、撮像部としてのカメラ6eと、運転業務承認申請のために必要な各種データを記憶する記憶部(メモリ)6gと、これらの各構成要素の動作を制御する制御部(CPU)6aとを有する。記憶部6gは、被検者である運転者に関する情報を含む運転者情報リスト6g1と、端末5,6に関する情報を含むデバイス情報リスト6g2と、被検者が運転する車両に関する情報を含む車両情報リスト6g3と、運転業務の承認申請の履歴情報(被検者側操作端末6による過去の承認申請及びその結果)を含む承認申請履歴リスト6g4と、アプリとしての承認申請プログラム6g5とを少なくとも記憶する。なお、本実施形態において、運転者情報リスト6g1、デバイス情報リスト6g2、及び車両情報リスト6g3は、過去に入力して後述するクラウドサーバー4のデータベース4cとの照合がとれたデータを保存しており、被検者7が承認申請時にタッチディスプレイ6c上においてプルダウンで選択できるようにしてある。
【0028】
クラウドサーバー4は、通信手段10との間の通信を可能にするHTTP通信部4bと、運転業務承認のために必要な各種データを少なくとも含むデータベース4cと、データベース4cの入出力制御のためのプログラム(制御プログラム)4dと、これらの各構成要素の動作を制御する制御部(CPU)4aとを有する。制御プログラム4dは、被検者側操作端末6や管理者側操作端末9のクラウドサーバー4に対するアクセスを許可するためのログイン承認処理やデータベース4cのレコード処理のためのプログラムも含む。また、データベース4cは、車両情報マスターテーブル4c1と、運転者情報マスターテーブル4c2と、デバイス情報マスターテーブル4c3と、検査結果履歴テーブル4c4と、運転者承認一時テーブル4c5とを少なくとも含む。
【0029】
また、管理者側操作端末9は、通信手段10との間の通信を可能にするHTTP通信部9cと、データを表示可能な表示部9bと、管理者8が操作を入力するための操作入力部9dと、アプリとしての安全運転管理プログラム(運転業務承認プログラム)9e1を少なくとも記憶する記憶部9eと、これらの各構成要素の動作を制御する制御部(CPU)9aとを有する。
【0030】
図3には、クラウドサーバー4のデータベース4cにおける各テーブル4c1,4c2,4c3,4c4,4c5にそれぞれ含まれる情報の一例が示される。図示のように、車両情報マスターテーブル4c1に含まれる情報としては、例えば、運転業務に供する車両の管理番号、該車両のナンバープレート、車両の保険情報などを挙げることができる。また、運転者情報マスターテーブル4c2に含まれる情報としては、例えば、運転者ID(社員番号)、運転者のパスワード、運転者の氏名、運転者の電話番号、運転者のメールアドレス、運転者の所属部署、運転者の年齢、運転者の過去の承認拒否回数などを挙げることができる。また、デバイス情報マスターテーブル4c3に含まれる情報としては、例えば、アルコール検知端末5のID、製品名、型番、購入日、バッテリの残量、アルコール検知回数の総和を示す総検知カウト数などを挙げることができる。
【0031】
また、検査結果履歴テーブル4c4は、例えば、履歴データベース(保存用)テーブル4c41、検査状態記録データテーブル4c42、及び発話状態記録データテーブル4c43を含むことができる。この場合、履歴データベース(保存用)テーブル4c41は、道路交通法施行規則の一部改正に伴って被検者による検査の結果(記録データ)を1年間保存する要請に基づくものであり、履歴データベース(保存用)テーブル4c41に含まれる情報としては、例えば、運転者ID(社員番号)、検査の日付、運転前/後の検査時間、運転前/後の検査場所、運転前/後の検査に対する承認者(運転業務の承認可否を決定した承認者)、運転前/後の検査に対する承認時刻、運転前/後の検査に対する承認可否(承認/拒否)、運転前/後の検査方法(確認方法;具体的には、1.アルコール検知端末で検知されたアルコール濃度とカメラによる画像とにより確認したか、2.アルコール検知端末で検知されたアルコール濃度と電話による音声とにより確認したか、3.対面形式で確認したかなど)、運転前/後におけるアルコール濃度、運転前/後におけるカメラ、電話、対面での被検者の様子(所定の基準に基づきOKかNGかどうかなど)、運転前/後における発話状態記録データID、運転前/後における検査状態記録データIDなどを挙げることができる。また、検査状態記録データテーブル4c42に含まれる情報としては、例えば、検査状態記録データID、サムネイル(後述する被検者の画像の一覧表示における各被検者に対応する複数のサムネイル画像)、検査状態動画などを挙げることができる。また、発話状態記録データテーブル4c43に含まれる情報としては、例えば、発話状態記録データID、発話状態確認のために表示される文字列、発話状態動画あるいは音声、サムネイルなどを挙げることができる。履歴データベース(保存用)テーブル4c41の各レコードは、検査状態記録データIDと発話状態記録データIDにより検査状態記録データテーブル4c42、及び発話状態記録データテーブル4cのレコードと対応付けられている。
【0032】
また、運転者承認一時テーブル4c5は例えば1日分の情報を含んでおり、運転者承認一時テーブル4c5に含まれる情報としては、例えば、承認の日付、運転者ID、運転業務に供する車両の管理番号、本日の勤務シフト(勤務開始時刻/終了時刻)、運転業務禁止時間帯の終了時刻、運転前/後のデバイスID、運転前/後の承認状態(ステイタス0:未手続状態、ステイタス1:承認待ち、ステイタス2:承認済み、ステイタス3:再測定待ち、ステイタス4:再測定承認待ち、ステイタス5:拒否状態、ステイタス6:拒否承認待ち)、運転前/後における保留者フラグ(承認者により保留状態にされたか否かを示すフラグ;ステイタス1,4,6が前提となる)、運転前/後において承認の拒否を受けたか否かの情報、運転前/後の検査時間、運転前/後の検査場所、運転前/後の検査に対する承認者(運転業務の承認可否を決定した承認者)、運転前/後の検査に対する承認時刻、運転前/後の検査に対する承認可否(承認/拒否)、運転前/後の検査方法(確認方法;具体的には、1.アルコール検知端末で検知されたアルコール濃度とカメラによる画像とにより確認したか、2.アルコール検知端末で検知されたアルコール濃度と電話による音声とにより確認したか、3.対面形式で確認したかなど)、運転前/後におけるアルコール濃度、運転前/後におけるカメラ、電話、対面での被検者の様子(所定の基準に基づきOKかNGかどうかなど)、運転前/後における検査状態記録データID、運転前/後における発話状態記録データID、運転前/後における発話状態確認のために表示される文字列などを挙げることができる。運転者承認一時テーブル4c5に含まれる1日分のレコードは、日付が変わると同時に当該日にシフトが予定されている運転者数分生成される(日付、運転者ID、本日の勤務シフトのみのデータが入力されたレコードが生成される)ものとする。
【0033】
3.被検者側操作端末
被検者側操作端末6は予めインストールされた承認申請プログラム6g5に従って動作するように構成され、被検者7は被検者側操作端末6を操作することにより管理者8による承認を受けるための承認申請を行なうことができ、承認された場合に承認の通知を受けることができる。
承認申請を行なって承認通知を受けるまでの過程には複数のステップがあり、被検者側操作端末6には、その段階、すなわち現在どのステップにいるのか被検者7が理解できるように、被検者側操作端末6のタッチディスプレイ6cの画面の例えば上側の段階表示領域6baに、点灯/非点灯などの識別可能な形態によって現在のステップが、被検者7が認識できるように表示されるようになっている。
【0034】
図6の(a)(b)に示されるように、承認を受けるまでのステップには、「開始」ステップ、「健康チェック」ステップ、「発話確認」ステップ、「測定準備」ステップ、「息吹き」ステップ、「承認依頼中」ステップ、及び「承認結果受領」があり、現在の状況のステップが段階表示領域6baに星印で表わされるようになっている。ここで、「開始」ステップは、最初にアプリを起動した状態で、ユーザーによる初期入力(運転前又は運転後か、運転者ID、車両管理番号など)を行なうステップであり、「健康チェック」ステップは、被検者7の健康チェックを行なうステップであり、被検者7は画面上で質問に答える。また、「発話確認」ステップは、被検者7の発話状態の確認を行なうステップであり、「測定準備」ステップは、被検者7に対してアルコール検査の準備(アルコール検知端末5の起動並びにブルートゥース接続)を促すステップである。「息吹き」ステップは、被検者7に対してアルコール検知端末5への息吹きを促し、呼気を測定しているステップであり、「承認依頼中」ステップは、アルコール濃度を含む入力情報をサーバーを介してあるいは直接管理者(承認者)8に送信し、承認を待っているステップであり、「承認結果受領」ステップは、管理者8による判断結果(承認、再測定あるいは否認)の受信を完了しているステップである。
【0035】
図6(a)に示されるタッチディスプレイ6cの画面上側の段階表示領域6baの「健康チェック」ステップは被検者7による健康状態を入力するステップであり、以下の通り実行されるようになっている。
ここで、この健康チェックに基づき、管理者8側は、
図24に示されるような点呼記録簿150をデータとして管理、出力できるようになっていてもよい。一例として、この点呼記録簿150には、乗務前点呼情報150Aと乗務後点呼情報150Bとが記録される。乗務前点呼情報150Aには、乗務前(運転前)における被検者7の情報、例えば、被検者(運転者)の登録番号、氏名と共に、点呼日、点呼時刻、点呼方法(対面の点呼であるか、電話による点呼であるかどうか)、疾病の有無、疲労の有無、酒気帯びの有無、アルコール検知端末5の使用の有無、車両の日常点検完了の有無、運転に関する指示事項(注意事項)、その他の必須事項などが含まれる。また、乗務後点呼情報150Bには、乗務後(運転後)における被検者7の情報、例えば、点呼日、点呼時刻、点呼方法(対面の点呼であるか、電話による点呼であるかどうか)、疾病の有無、疲労の有無、酒気帯びの有無、アルコール検知端末5の使用の有無、自動車道路における運行状況、交替運転者に対する通告、その他の必須事項などが含まれる。
【0036】
また、このような点呼記録簿データを取得するため、前述した段階表示領域6baに表示されるようなアルコールチェックの一連の段階における例えば発話確認の前の健康チェック段階で、被検者側操作端末6のタッチディスプレイ6c上に例えば
図25に示されるような健康チェック項目入力画面が表示されてもよい。ここで、一例として、
図25の(a)には、運転前の健康チェック項目入力画面160Aが示され、
図25の(b)には、運転後の健康チェック項目入力画面160Bが示される。
図25の(a)に示されるように、運転前の健康チェック項目入力画面160Aは、睡眠時間が十分に取れているか否か、体調に違和感があるか否か、車両確認をしたか否かをコメントと共に被検者7に入力させるようになっている。入力された睡眠時間に関する情報は、
図24に示される点呼記録簿の乗務前点呼情報150Aの「疲労の有無」に対応し、入力された体調に関する情報は、
図24に示される点呼記録簿の乗務前点呼情報150Aの「疾病の有無」に対応し、入力された車両確認に関する情報は、
図24に示される点呼記録簿の乗務前点呼情報150Aの「車両の日常点検完了の有無」に対応する。また、これらの入力情報は、検査終了時点で
図3に示される運転者承認一時テーブル4c5に運転前「点呼情報」として格納され、1日の処理が終わった時点で
図3に示される履歴データベース(保存用)テーブル4c41に運転前「点呼情報」として格納される。
【0037】
また、
図25の(b)に示されるように、運転後の健康チェック項目入力画面160Bは、睡眠時間が十分に取れているか否か、体調に違和感があるか否か、自動車道路の運行状況をコメントと共に被検者7に入力させるようになっている。入力された睡眠時間に関する情報は、
図24に示される点呼記録簿の乗務後点呼情報150Bの「疲労の有無」に対応し、入力された体調に関する情報は、
図24に示される点呼記録簿の乗務後点呼情報150Bの「疾病の有無」に対応し、入力された運行状況に関する情報は、
図24に示される点呼記録簿の乗務後点呼情報150Bの「自動車道路における運行状況」に対応する。また、これらの入力情報は、検査終了後、
図3に示される運転者承認一時テーブル4c5に運転後「点呼情報」として格納され、1日の処理が終わった時点で
図3に示される履歴データベース(保存用)テーブル4c41に運転後「点呼情報」として格納される。
なお、被検者7は、以上のような健康チェック段階にあるか否かを、他の段階と同様、
図6に示される段階表示領域6baで認識できる。
【0038】
図6の(a)に示されるタッチディスプレイ6cの画面上側の段階表示領域6baの「発話確認」ステップは被検者7による発話状態確認のステップであり、以下の通り実行されるようになっている。
このステップにおいて、本実施形態では、前述したような呼気吹き付けによるアルコール検査及び動画撮影に加えて、任意選択的に、(例えばアルコール濃度検査の前に)被検者7の発話状態の確認も行なえるようになっている。この場合、
図6の(b)に示されるように、被検者側操作端末6のタッチディスプレイ6cの画面上に、被検者7が被検者側操作端末6に向けて発話すべき文字列や数字列などの表示Cが、「カメラに向けて数字をはっきり伝えてください」というメッセージDと共に表示されてもよい。発話されるべきものとしては、例えば、ランダムな数字列・文字列や、日付、体温などを挙げることができる。ランダムな数字列・文字列の場合には、タッチディスプレイ6cの画面上に表示された数字列・文字列を被検者に発話してもらい、その後に、アルコール検知端末5の操作を被検者に促す。一方、体温の場合には、被検者に事前に体温を測らせ、その後、その体温を被検者側操作端末6に向けて被検者に発話してもらった後、アルコール検知端末5の操作を被検者に促す。
【0039】
このような発話確認は、管理者8による被検者7の目視以外のチェックとして、被検者7がうまく話せているかどうかを確認するのに役立ち、アルコール検査の信頼性に寄与し得る。よって、指示される発話内容は被検者7が予め予測し得ないものであることが望ましい。なお、発話状態の動画(音声含む)あるいは音声のみが記録されるようになっていてもよい。この場合、記録は数字や文字列の表示開始と同時に開始されてもよい。また、記録開始から所定時間経過後(例えば5秒)あるいはマイクからの音声入力が終了した時点までの映像を抽出し、記録してもよい。
【0040】
図6(a)に示されるタッチディスプレイ6cの画面上側の段階表示領域6baの「測定準備」ステップ及び「息吹き」ステップはアルコール検査のステップであり、アルコール検査は以下の通り実行されるようになっている。
アルコール検査時において、
図2に関連して前述した構成のアルコール検知端末5及び被検者側操作端末6は、同期して動作するようになっている。具体的に、「測定準備」ステップでは、一例として、
図4に示されるように、アルコール検知端末5及び被検者側操作端末6の両方を携行する被検者7が、自身の被検者側操作端末6の電源をONにして、アルコール検査を伴う運転業務承認申請のためのアプリケーションを立ち上げ、タッチディスプレイ6cに表示される開始ボタンを押すと、ブルートゥースを介してアルコール検知端末5との連携がとれるようになる。また、それに伴って、アルコール検知端末5側から制御部5a及びブルートゥース通信部5b,6fを介して被検者側操作端末6にスタンバイ信号が送出される。このとき
図6の(a)に示されるように、測定方法を示す画像Aと共に、「手元のアルコール検知器の「開始」ボタンを「長押し」し、測定を開始してください」というメッセージBがタッチディスプレイ6cの画面に表示されてもよい。スタンバイ信号を受信すると、タッチディスプレイ6cの画面上側の段階表示領域6baは「息吹き」のステップであることを示す表示となり、被検者側操作端末6には、タッチディスプレイ6cの画面に「息を5秒以上吹き込んでください」というメッセージが表示される。これに伴って、被検者7は、アルコール検知端末5の前述した呼気検出センサー5f(図では、風車式の回転センサー)に呼気を吹き付ける。
【0041】
被検者7がアルコール検知端末5の呼気吹き込み口に所定量の呼気を連続的に吹き付けると、呼気が呼気検出センサー5fにより知らされる。そして、
図5の(a)に示されるように呼気量が所定の閾値Tを超えた(例えばアルコール濃度を正確に計測するのに必要な呼気流量又は呼気圧力を超えた)状態が呼気検出センサー5fを用いて制御部5aにより検知されると、その超えた時間t1に、制御部5aによってブルートゥース通信部5b,6fを介してアルコール検知端末5側から被検者側操作端末6に測定開始信号が送出される。そして、その後、呼気量が閾値T以下になると、その時間t2に、測定終了信号がアルコール検知端末5側から被検者側操作端末6に送出される。この場合、
図4に示されるように予め被検者7の顔にカメラ6eが向けられた状態にあるスマートフォンとしての被検者側操作端末6側では、
図5の(b)に示されるように、時間t1における測定開始信号の受信に応じて、カメラ6eにより被検者7の顔の動画撮影が開始され、時間t2における測定終了信号の受信に応じて、カメラ6eによる動画撮影を終了される(被検者7がアルコール検知端末5に息を吹きかけている最中に動画が撮影される)。そして、この動画は記憶部6gに一時的に保存される。保存された動画は通信回線を介して管理者側操作端末9に送信され、管理者8による承認のために使用される。この動画撮影後、
図5の(c)に示されるように、撮影動画から(t1+t2)/2-1.5~(t1+t2)/2+1.5秒の3秒間の動画が切り取られて管理者側操作端末9に送信されるようにしてもよい。これにより、送信画像及び保存画像の縮小化を図ることができる。なお、この検査状態を記録する動画に音声を含むかどうかは任意である。
【0042】
また、この呼気吹き付け/動画撮影中に、アルコール検知端末5側では、(t2-t1)が5.0秒以上(正確なアルコール測定が可能な時間としての5秒)のときに、アルコールセンサー5gがアルコール濃度を算出し、正常フラグとアルコール濃度の数値とを被検者側操作端末6に送出する。一方、(t2-t1)が5.0秒未満の場合には、アルコールセンサー5gはアルコール濃度を算出せず、アルコール検知端末5側から被検者側操作端末6に測定不能フラグが送出される。なお、本実施形態では、アルコール濃度の数値が測定データとして被検者側操作端末6に送出されるが、アルコール検知端末5側及び被検者側操作端末6のいずれにおいても、被検者7による都合の良い測定値選択の防止するためそのアルコール測定値が表示されないようになっている。他の不正防止方法を取り入れることでアルコール測定値が表示されるようになっていてもよい。
【0043】
図6(a)に示されるタッチディスプレイ6cの画面上側の段階表示領域6baの「承認依頼中」ステップは、アルコール濃度の測定が正常に終了した場合に進むステップであり、ここでは各ステップにおいて入力された各種情報(健康情報、発話状態の動画、アルコール検査状態の動画、測定されたアルコール濃度等)並びに後述するログイン情報がサーバーあるいは管理者側端末に送信され、管理者の承認を待っている状態である。
図6(a)に示されるタッチディスプレイ6cの画面上側の段階表示領域6baの「承認結果受信」ステップは、管理者の承認・否認という結果を受信完了している状態である。
【0044】
4.管理者側操作端末
以上のようにしてアルコール検知端末5及び被検者側操作端末6から取得されたアルコール濃度の数値データ、被検者の顔の画像データ、及び発話データ(被検者7の発話状態確認のための音声データ;音声データのみならず画像データを含んでもよい)などの運転業務の承認のために必要な各種データは、通信手段10を介してクラウドサーバー4に送られ、管理者側操作端末9でも参照可能となる。あるいは、管理者側操作端末9にも送られるようにしてもよい。この場合、そのようなデータの端末5,6,9間及びこれらの端末とサーバー4との間での送受信を含む処理を制御する本実施形態のアルコールチェック管理システム1の制御部は、所定のアルゴリズムにしたがって、カメラ6eによって撮影された複数の被検者7の顔の画像をそれぞれの被検者と関連付けられるデータと共に管理者側操作端末9の表示部9bに一覧表示させ、複数の被検者7における運転業務の管理者8による順次の承認を可能にする。言い換えると、運転業務を遂行すべき被検者7の呼気中のアルコール濃度に基づき、被検者7の運転業務を管理する管理者8が被検者7の運転業務の承認を遠隔的に順次に行なえるようにする。
【0045】
具体的には、管理者側操作端末9の表示部9bに表示される承認画面の第1の例を
図7に示す。この例における承認処理は制御部9aが安全運転管理プログラムを実行することによりなされるものである。
図7には、これから管理者8によってその運転業務の承認可否(運転前の承認)が決定されるべき複数の被検者7、言い換えると、アルコール検知端末5を用いて今しがた検査を行なった複数の被検者7の顔(あるいは顔を含む上半身)の画像がそれぞれ、矩形の外枠40によって取り囲まれた状態で、管理者側操作端末9の表示部9bの主表示領域20に例えば左右一列に一覧表示される(図では、5人の被検者7の画像30,31,32,33,34が左右一列に表示されている)。すなわち、この一覧表示は、各被検者7に対応する複数のサムネイル画像(以下、単にサムネイルと称する場合もある)30,31,32,33,34の配列から成る。なお、本実施形態において、一覧表示される画像30,31,32,33,34は、カメラ6eによって撮影された被検者7の動画の一部であるが、動画とは無関係に予め撮影された静止画像でもよい。また、表示されるのは被検者7の画像に限られず、単に被検者7の氏名など管理者(承認者)8が被検者7を認識可能な表示であればよい。後述する他の表示領域に表示される画像も同様である。
【0046】
また、一覧表示されるサムネイル画像30,31,32,33,34にはそれぞれ、そのサムネイル画像に対応する被検者7と関連付けられるデータ45が割り当てられて表示される。具体的に、本実施形態では、一例として、サムネイル画像30,31,32,33,34の下側に近接して、その対応する被検者7の氏名、検査日時、アルコール濃度(アルコール検知端末5を用いて今しがた検査した検査結果)が表示される。ここで、アルコール濃度が基準値を超えている場合には注意喚起のために表示態様(色、太字、字体、マーキング等)を変えて表示するのが好ましく、ここでは例えばサムネイル画像34に対応するアルコール濃度が赤色で表示されている。また、表示されるデータ45には
図25の健康チェック項目入力画面160(a)(b)で入力された健康情報が含まれてもよく、例えば「運転前」の場合は「アルコール濃度」の下段に「睡眠:〇 体調:× 点検:〇」、「運転後」の場合は「睡眠:〇 体調:〇 運行状況:渋滞多発」のように表示されるのが好ましい。
【0047】
また、このような一覧表示の形態では、主表示領域20に表示される被検者7(対応するサムネイル画像)を管理者8が自由に選択してその承認可否を決定できるようになっていてもよいが、本実施形態では、一例として、主表示領域20内で最も左側に位置される被検者7(図では、サムネイル30)から順番に承認可否の決定を行なえるようになっている。この場合、一番最初に承認可否決定が行なわれる最も左側に位置される被検者7のサムネイル30は、承認待ちで待機している右側の他の被検者7のサムネイル31,32,33,34よりも大きく拡大表示されるようになっており、その拡大表示されたサムネイル30には、承認可否を選択できる選択ボタンが対応付けられる。具体的には、本実施形態では、一例として、拡大表示されたサムネイル30の下側に、アルコール濃度の再測定を要すると決定するための再測定決定ボタン50と、所定の要件を満たすものとして運転業務を許可する(承認する)ための承認決定ボタン51と、所定の要件を満たさないとして運転業務を拒否する(承認しない)ための拒否決定ボタン52とが選択ボタンとして表示されるようになっている。
【0048】
このような選択ボタン50,51,52による被検者の承認可否決定は、管理者8が各被検者7のサムネイル画像30,31,32,33,34の下側に表示されるデータ45中のアルコール濃度の数値を参照し、再生動画中の被検者の表情や発話状態を総合的に判断して行なわれる。また、発話状態を承認可否の判断材料として加味する場合には、被検者7と関連付けられるデータとして、動画中に被検者7の発話状態確認のための音声データも含まれることになる。
【0049】
また、選択ボタン50,51,52によって最も左側に位置される被検者7の承認可否決定がなされると、続いて、その直ぐ右隣に位置される被検者7のサムネイル画像が最も左側に移動し、他の承認待ちで待機している被検者7のサムネイル画像も左側へ1コマずつ移動するようになる。これにより、主表示領域20に表示されていなかった承認待ちの被検者7のサムネイル画像が最も右側の位置に新たに表示されるようになる。このように、承認可否の決定が行なわれるたびに、サムネイル画像が1コマずつ順次に左側へ移動して新たなサムネイル画像が追加される。最も左側に移動されてきたサムネイル画像は、移動されてきた段階で自動的に再生されるようになり、その自動再生開始時又はその途中で、あるいは再生終了後に選択ボタン50,51,52が表示されるようになっていてもよい。
【0050】
なお、前述したように、本実施形態では、承認待ちの被検者7のサムネイルが最も左側に移行してきた段階でそのサムネイルが拡大表示されて選択ボタン50,51,52が出現されるようになっており、承認待ちで待機している他の被検者7のサムネイルには選択ボタン50,51,52が表示されないが、主表示領域20に表示されている全てのサムネイルに当初から選択ボタン50,51,52が対応付けられて表示されていてもよい。また、本実施形態では、主表示領域20内で最も左側に位置される被検者7(図では、サムネイル30)から順番に承認可否の決定を行なえるようになっているが、主表示領域20内で最も右側に位置される被検者7(図では、サムネイル34)から順番に承認可否の決定を行なえるようになっていてもよい。また、本実施形態では、選択ボタン50,51,52同士が識別可能に表示されていてもよい(例えば、色分け表示される又は表示形態が異なるなど)。
なお、本実施形態では、選択ボタン50,51,52を画面上に表示しているが、キーボードの特定のキーに選択ボタン50,51,52の機能を割り付けるようにし、動画再生終了後にキー入力が可能となるようにしてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、最も左側に表示される被検者7のサムネイルに関して、承認決定ボタン51がクリックされると、そのサムネイルが表示部9bの主表示領域20から消えるが、再測定決定ボタン50がクリックされると、そのサムネイルは、主表示領域20とは別個に表示部9bの画面上(本実施形態では、右上の表示領域)に設けられた再測定者リスト表示領域23へと自動的に移される。また、拒否決定ボタン52がクリックされると、そのサムネイルは、主表示領域20とは別個に表示部9bの画面上(本実施形態では、右下の表示領域)に設けられた拒否者リスト表示領域22へと自動的に移される。また、諸般の事情により(例えば、画像を通じて確認される被検者の挙動がおかしい、緊急事態を伴う事象が生じたなど)により承認可否の決定を一時的に保留すべき理由が生じた場合、管理者8は、その対応する被検者7のサムネイルを、ドラッグ移動によって、主表示領域20とは別個に表示部9bの画面上(本実施形態では、右上の表示領域)に設けられた保留者リスト表示領域21へと移すことができる。なお、諸般の事情が解消した場合、管理者8は、保留者リスト表示領域21にあるサムネイル(被検者7)を、ドラッグ移動によって、主表示領域20の列に戻すこともできる。このように、表示部9bの画面上に、主表示領域20と共に、保留者リスト表示領域21、拒否者リスト表示領域22、及び再測定者リスト表示領域23を一括して設けることにより、管理者8は、各被検者7の承認に関する現在の状態を常に一見して把握できるようになる。なお、再測定決定ボタン50や拒否決定ボタン52を表示することなく、サムネイルの再測定者リスト表示領域23や拒否者リスト表示領域22へのドラッグ移動によって決定ボタン押下の代わりとしてもよい。
【0052】
また、このように、保留者リスト、拒否者リスト、及び再測定者リストに移された被検者7は、その後において再び検査して承認を受けることとなることから、所定の時点で、前述した主表示領域20内の一覧表示の左右の列に再び復帰されることになる。そのため、主表示領域20内の左右の列には、
図7に示されるように、新規の被検者7(保留者リスト、拒否者リスト、及び再測定者リストに回されなかった被検者7)のサムネイル(図では、サムネイル30,31,33)と、再測定者リストから復帰された被検者7のサムネイル(図では、サムネイル32)と、拒否者リストから復帰された被検者7のサムネイル(図では、サムネイル34)とが混在して配列される場合もある。そのため、本実施形態では、その混在した配列状態の中で被検者7がどのような承認段階にあるのかを、被検者7のサムネイルの矩形の外枠40によって管理者8が一見して把握できるようにしている。
【0053】
具体的には、一例として、本実施形態では、新規の被検者7のサムネイル(図では、サムネイル30,31,33)の外枠40が青色で表示され(
図7では、便宜上、黒色の実線枠で示される)、再測定者リストから復帰された被検者7のサムネイル(
図7では、サムネイル32)の外枠40が黄色で表示され(
図7では、便宜上、黒色の実線枠を外側から取り囲む破線の外枠が更に付加された二重枠で示される)、拒否者リストから復帰された被検者7のサムネイル(
図7では、サムネイル34)の外枠40が赤色で表示される(
図7では、便宜上、黒色の実線枠を外側から取り囲む実線の外枠が更に付加された二重枠で示される)。なお、保留者リストに移された被検者7は、管理者8による承認可否決定のステップを経由した者ではないことから、新規の被検者7のサムネイルと同じ外枠40を有する。
【0054】
また、主表示領域20内におけるこのような色分け表示に対応して、本実施形態では、再測定者リスト表示領域23内に表示される被検者7のサムネイル32A,32Bの外枠40も黄色で表示され、拒否者リスト表示領域22内に表示される被検者7のサムネイル34Aの外枠40も赤色で表示され、保留者リスト表示領域21内に表示される被検者7のサムネイル30A,30Bの外枠40も青色で表示される。また、このような各表示領域20,21,22,23内における色分け表示に合わせて、再測定決定ボタン50が黄色で表示され、拒否決定ボタン52が赤色で表示されてもよい。なお、その場合、承認決定ボタン51は、本実施形態では、例えば緑色で表示される。
【0055】
また、主表示領域20内のサムネイルを管理者8がクリックすると、そのサムネイルに対応する被検者7と管理者8が管理者側操作端末9の電話機能により対話できるようになっていてもよく、更に、予め定められている勤務シフトの開始時間に遅刻してきた被検者7においては、その運転業務のシフトが差し迫っていることも考慮し、所定の条件下で他の被検者に優先して承認可否決定処理を行なえるように審査順番を早める(例えば、主表示領域20内のサムネイル30とサムネイル31の間に割り込ませる)ようにしてもよい。
【0056】
また、主表示領域20には、該領域20内に一覧表示されるべき被検者7のサムネイルを運転前の被検者7のサムネイルと運転後の被検者7のサムネイルとで切り替えるための切り替え換えボタン46,47が表示されている。そのため、管理者8が「運転前」の切り替えボタン46をクリックすると、主表示領域20には、アルコール検知端末5を用いて今しがた運転業務に先立って検査を行なった運転前の複数の被検者7のサムネイルが一覧表示される。一方、管理者8が「運転後」の切り替えボタン47をクリックすると、主表示領域20には、アルコール検知端末5を用いて今しがた運転業務を終えて検査を行なった運転後の複数の被検者7のサムネイルが一覧表示される。また、主表示領域20には、この領域20にスペース的に一覧表示され得ずに承認待機状態にある残りの被検者7の数を表示する残数表示領域60と、画面9bを1つ前の状態に戻すための標示61と、前述した
図24に示される点呼記録簿150を出力するための出力ボタン69が設けられる。
【0057】
このような一覧表示に基づく順次的な承認を可能とするアルコールチェック管理システム1の制御部は、以下で説明する本実施形態のように各端末5,6,9の制御部5a,6a,9a及びサーバー4の制御部4aの一部又は全部が協働することにより構成されてもよく、あるいは、端末5,6,9やサーバー4とは別個のものであってもよく、更にはアプリケーションプログラムであってもよい。
【0058】
5.被検者側操作端末側におけるアルゴリズム
次に、
図8~
図12を参照しながら、本実施形態において被検者側操作端末6側においてその制御部6aの制御下で行なわれる検査アプリケーションプログラムのアルゴリズムの一例について説明する。なお、以下では、被検者を運転者と称する場合もある。
図8に示されるように、運転者ID、パスワードと運転区分(運転前/運転後)とを被検者7が被検者側操作端末6で入力する(ステップS1)と、GPSなどを含む位置情報検出部6dが位置情報を取得し、その情報が記憶部6gに一時保存される(ステップS2)。その後、制御部6aは、サーバー4及び回線の状態を確認し(ステップS3)、回線及びサーバーのいずれもが正常であるかを判断する(ステップS4)。回線及びサーバーのいずれもが正常である場合(ステップS4においてYESの場合)には、運転者ID、パスワードがサーバー4に転送されサーバー4にてログイン処理が行なわれ(ステップS5)、サーバー4からの応答によりログインが成功か否かが判断される(ステップS6)。ログインが成功である場合(ステップS6においてYESの場合)に限り、その後、測定開始条件確認が行なわれ(ステップS7)、続いてオンライン処理が行なわれる(ステップS9)。一方、ステップS4においてNOの場合、すなわち、回線異常又はサーバーがダウンの場合には、前述した測定開始条件確認が行なわれ(ステップS7)、続いてオフライン処理が行なわれる(ステップS10)。
【0059】
なお、ステップS7における測定開始条件確認において、制御部6aは、車両情報(車両管理番号、ナンバープレートなど)が記憶部6gに記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合には、車両情報を決定して、それを記憶部6gに一時的に記憶させる。記憶部6gに車両情報が記憶されていない場合には、被検者7が端末6で車両管理番号を入力し、それにより、制御部6aは、車両情報を決定して、それを記憶部6gに一時的に記憶させる。その後、制御部6aは、アルコール検知端末6のデバイスIDが記憶部6gに記憶されているかどうかを判断し、記憶されている場合には、アルコール検知端末5(デバイスID)を決定してそれを記憶部6gに一時的に記憶させ、記憶されていない場合には、被検者7にアルコール検知端末6のデバイスIDを入力させ、それに基づきアルコール検知端末5(デバイスID)を決定してそれを記憶部6gに一時的に記憶させる。なお、デバイスIDは、ブルートゥース接続された際に自動的に送出されてもよい。
【0060】
図9には、ステップS9におけるオンライン処理が示される。図示のように、このオンライン処理では、まず最初に、制御部6aは、サーバー4に対して、運転者承認一時テーブル4c5から本日の日付と当該運転者のIDを有する運転者承認一時レコードの送信要求を行なう(ステップS9a)。その後、サーバー4から当該レコードを受信あるいは当該レコードなし回答を受信する(ステップS9b;日付と運転者IDを元に、運転者承認一時レコードをサーバー4から取得する)と、制御部6aは、運転者のステイタス確認(禁止時間帯や勤務シフトなど)を行なう(ステップS9c)。すなわち、受信レコードの禁止時間帯終了時刻から、当該運転者の運転の禁止時間帯になっていないか、勤務シフトがあるかどうかを確認する。ステイタス確認により検査を行なうことができない場合(ステップS9cにおいてNGの場合)、タッチディスプレイ6cにおいて検査不可のメッセージを表示し(ステップS9g)、アプリを終了する(ステップS9h)。一方、ステップS9cにおいてステータス確認により検査を行なうことができる場合、すなわち、ステップS9cにおける判断がOKの場合、制御部6aは、被検者7に健康情報を入力(
図25参照)させる(ステップS9s)。この入力は、サーバー4の履歴データベースや運転者承認一時テーブルの「運転前/後点呼情報」に記録される。その後、制御部6aは、実行モードModeを判定し(ステップS9d)、実行モードがMode1の場合、発話状態記録処理を行ない(ステップS9e)、その後、アルコール濃度測定処理を行なう(ステップS9f)。一方、実行モードがMode0の場合には、発話状態記録処理を行なうことなく、アルコール濃度測定処理を行なう(ステップS9f)。なお、Modeはアプリ(6g5)インストール時にいずれのモードのアプリを使用するかで設定される。Mode=0とは、発話状態確認なしのモードであり、Mode=1とは、発話状態確認ありのモードである。
【0061】
アルコール濃度測定処理が完了すると、制御部6aは、「検査が終了しました。検査結果送信ボタンを入力してください」というメッセージをタッチディスプレイ6cに表示させる(ステップS9i)。その後、制御部6aは、被検者7からの検査結果送信ボタンの入力を待って(ステップS9j)、
図8乃至12のフローチャートにおいて一時保存したデータにより先に取得した運転者承認一時レコードを更新(例えば、レコード内のデバイスID、ステイタス、検査時間、検査場所、確認方法、アルコール濃度のデータを書き込む)し、当該レコードをサーバー4に送信する(ステップS9k)。また、これに対応して、サーバー4では、運転者承認一時テーブル4c5上の当該レコードを更新する。あるいは、直接にサーバー4の運転者承認一時テーブル4c5上にアクセスして更新してもよい。
【0062】
レコードをサーバー4に送信した後、制御部6aは、検査状態動画、発話状態動画あるいは音声データをサーバー4へ送信する(ステップS9l)。また、これに対応して、サーバー4では、検査状態記録データテーブル4c42と発話状態記録データテーブル4c43にレコードが追加される。検査状態動画、発話状態動画あるいは音声データをサーバー4へ送信した後、制御部6aは、サーバー4からの承認を待つ(ステップS9m)。一方、サーバー4では、制御プログラム4dに基づき動作している制御部4aが管理者8の承認手続きによりステイタス欄が変更されたのを確認した場合に、そのステイタス欄の情報を被検者側操作端末6に送信する。制御部6aは、受信したステイタスを確認する(ステップS9n)。その後、制御部6aは、受信したステイタスを判定し(ステップS9o)、ステイタスが運転許可の場合、タッチディスプレイ6cに「承認されました」というメッセージを表示させて(ステップS9p)、オンライン処理を終了し、また、ステイタスが運転拒否の場合、ステイタス欄の情報と共に送信された禁止時間帯終了時刻に基づき、タッチディスプレイ6cに「否認されました。A時間後に測定してください」というメッセージを表示させて(ステップS9q)、オンライン処理を終了し、ステイタスが再測定の場合、タッチディスプレイ6cに「再測定してください」というメッセージを表示させ(ステップS9r)た後、ステップS9dへ移行する。
【0063】
図10には、ステップS10におけるオフライン処理が示される。図示のように、このオフライン処理では、まず最初に、制御部6aは、被検者7に健康情報を入力(
図25参照)させる(ステップS10aa)。その後、制御部6aは、「システム・回線の異常のためオフラインで実施」というメッセージをタッチディスプレイ6cに表示させる(ステップ10a)。その後、制御部6aは、実行モードModeを判定し(ステップS10b)、実行モードがMode1の場合、発話状態記録処理を行ない(ステップS10c)、その後、アルコール濃度測定処理を行なう(ステップS10d)。一方、実行モードがMode0の場合には、発話状態記録処理を行なうことなく、アルコール濃度測定処理を行なう(ステップS10d)。
【0064】
アルコール濃度測定処理が完了した後、制御部6aは、被検者側操作端末6のタッチディスプレイ(スマホ画面)6cに測定アルコール濃度を表示する(ステップS10e)(すなわち、サーバー4がダウンあるいは回線の異常時にのみアルコール濃度が被検者側操作端末6に表示されることになる)。なお、ここでアルコール検知端末5に表示部あるいは音声出力部がある場合には、制御部6aはこれらにアルコール濃度を出力するように制御してもよい。続いて、オフライン処理の原因となった異常の種類を判定する(ステップS10f)。判定の結果、異常の種類がサーバー4の異常(ダウン)である場合、制御部6aは、「承認者(すなわち、管理者8)に電話で連絡して承認を受けてください」というメッセージをタッチディスプレイ6cに表示させる(ステップS10g)。一方、異常の種類がサーバー4の異常である場合、異常の種類が回線異常である場合、制御部6aは、「承認者(すなわち、管理者8)に業務無線あるいはWiFi電話で連絡して承認を受けてください」というメッセージをタッチディスプレイ6cに表示させる(ステップS10j)。その後、被検者7により入力されたデータ(例えば、運転者ID、パスワード、運転区分、車両管理番号、デバイスID、アルコール濃度、位置情報など)を記憶部6g内に一時的に記憶させる(ステップS10h)とともに、回線の復旧あるいはサーバー4の復旧を待って、一時保存したデータにより先に取得した運転者承認一時レコードを更新(例えば、レコード内のデバイスID、ステイタス、検査時間、検査場所、確認方法、アルコール濃度のデータを書き込む)し、当該レコードをサーバー4に送信する(ステップS10i)。これに対応して、サーバー4では、運転者承認一時テーブル4c5上の当該レコードを更新する。あるいは、直接サーバーの運転者承認一時テーブル4c5にアクセスして更新してもよい。
【0065】
図11には、ステップS9eとステップS10cとにおける発話状態記録処理が示される。図示のように、この発話状態記録処理では、まず最初に、制御部6aは、「これからスマホ(すなわち、被検者側操作端末6)に表示される文字列を3秒間で読んでもらいます。準備ができましたらOKボタンを押してください」というメッセージをタッチディスプレイ6cに表示させる(ステップS9ea)。その後、制御部6aは、マイクによる録音及び/又はカメラ6eによる動画の記録を開始し(ステップS9eb)、タッチディスプレイ6cの画面に所定の文字列や数字列を表示させる(ステップS9ec)とともに、文字列等の表示開始から3秒後に被検者7の発話による音声データあるいは動画データの記録を終了し(ステップS9ed)、その記録した発話状態記録データを記憶部6gに一時保存する(ステップS9ee)。
【0066】
図12には、ステップS9fとステップ10dとにおけるアルコール濃度測定処理が示される。図示のように、このアルコール濃度測定処理では、まず最初に、制御部6aは、表示部であるタッチディスプレイ6cに操作手順を表示させる(ステップS9fa)。その後、制御部6aは、アルコール検知端末5とのブルートゥース(Bluetooth)接続を待機し(ステップS9fb)、アルコール検知端末5の接続が完了したかどうかを判定する(ステップS9fc)。接続が完了した場合(ステップS9fcにおける判定がYESの場合)、制御部6aは、タッチディスプレイ6cに「息を5秒以上吹き込んでください」のメッセージを出力して待機状態に入り、アルコール検知端末5から測定開始信号を受信すると(ステップS9fe)、カメラ6eによる動画撮影を開始する(ステップS9fg)。一方、アルコール検知端末5の接続が完了しない場合(ステップS9fcにおける判定がNOの場合)、制御部6aは、「検知器(すなわち、アルコール検知端末5)の電源を再度入れてください」というメッセージをタッチディスプレイ6cに表示させる(ステップS9fd)、ステップS9fbへ移行する。
【0067】
ステップS9fgにおいて動画撮影が開始された後、制御部6aは、アルコール検知端末5から測定終了信号を受信する(ステップS9fh)と、カメラ6eの動作を停止させ、動画撮影を終了する(ステップS9fi)。その後、制御部6aは、アルコール検知端末5からアルコール濃度の測定データあるいは測定不能フラグを受信し(ステップS9fj)、アルコール検知端末5から測定不能フラグが受信されたかどうかを判定し(ステップS9fk)、測定不能フラグが受信された場合(ステップS9fkにおける判定がYESの場合)、再測定を促すメッセージをタッチディスプレイ6cに表示させ(ステップS9fl)、ステップS9feに移行して測定開始信号の受信を待つ。一方、測定不能フラグが受信されない場合(ステップS9fkにおける判定がNOの場合)、制御部6aは、カメラ6eにより撮影した動画を抽出して検査状態記録データとし(ステップS9fm)、アルコール濃度の測定データと共に記憶部6gに一時保存する(ステップS9fn)。ステップS9fmにおける動画抽出では、例えば、撮影動画データから承認作業に適切な部分が抽出されるようにしてもよい。この場合、適切な部分とは、例えば、
図5の(c)に示されるように、撮影開始時の画像+撮影途中(中央)の3秒間+撮影終了時の画像である。
【0068】
6.管理者側操作端末側のアルゴリズム
次に、
図13及び
図14を参照しながら、本実施形態において管理者側操作端末9側においてその制御部9aの制御下で行なわれるアプリケーションプログラムのアルゴリズムの一例について説明する。なお、以下では、被検者を承認申請者と称する場合もある。
図13に示されるように、制御部9aは、まず最初に、回線及びサーバー4がいずれも正常化どうかを判定し(ステップS20)、正常である場合には、承認画面(表示部9bの画面;
図7参照)の初期表示(枠線などの固定表示部分)を行なう(ステップS21)。その後、制御部9aは、サーバー4の運転者承認一時テーブル4c5に対する検索条件設定(指定運転区分=運転前;日付=本日の日付;ステイタス=1,3~6)を行ない(ステップS22)、続いて、サーバー4にアクセスして、運転者承認一時テーブル4c5から指定された日付でかつ運転前のステイタスが1,3~6に該当するレコードを抽出する(ステップS23)。この場合、承認者リストの検索条件としては、ステイタス=承認待ち、再測定承認待ち、拒否承認待ちであり、再測定者リストの検索条件としては、ステイタス=再測定待ちであり、拒否者リストの検索条件としては、ステイタス=拒否状態である。
【0069】
その後、制御部9aは、抽出レコードの運転前のステイタスを参照して、抽出レコードを分類して、承認待ちリストテーブル、再測定者リストテーブル、拒否者リストテーブルを作成し、それぞれ検査時間でソートする(ステップS24)。続いて、制御部9aは、表示部9bにおいて、再測定者リストテーブルのリストの再測定者リスト表示領域23への表示を行ない(ステップS25)、拒否者リストテーブルのリストの拒否者リスト表示領域22への表示を行ない(ステップS26)、承認待ちリストテーブルから保留者フラグ有りのリストの表示を行ない(ステップS27)、ソートされた承認待ちリストテーブルの最初の5名の主表示領域20への表示(最大5名;保留者フラグ有りを除く)を行なう(ステップS28)。なお、承認待ちリストテーブルの表示において、サムネイルを表示する際には、サムネイルの外枠40の色もステイタスに応じて変更する。また、被検者の名前、検査時間、アルコール濃度(基準値越えは赤表示)もサムネイル下に表示する。また、サムネイルは、検査状態あるいは発話状態のいずれかを別個にしてもよく、あるいは、一緒にしても構わない。
【0070】
その後、
図14に示されるように、制御部9aは、表示部9bの画面の主表示領域20(
図7参照)において、最も左側に位置される被検者(承認申請者)7のサムネイルの動画再生を開始する(ステップS29)。この場合、Modeに応じて再生する動画が異なる(例えば、Mode=0:検査時の動画の再生、Mode=1:発話時の動画又は音声の再生)。再生される動画は、承認待ちリストテーブル内の当該レコードの検査状態記録データIDあるいは発話状態記録データIDによって紐づけられた検査状態記録データテーブル4c42や発話状態記録データテーブル4c43内の動画データを受信することによって再生される。続いて、制御部9aは、動画再生あるいは音声の再生が終了したかどうかを判定し(ステップS30)、再生が終了した場合(ステップS30における判定がYESの場合)、最も左側に位置される被検者のサムネイルに前述した3種類の選択ボタン50,51,52を表示させ(ステップS31)、ステップS32に移行する。なお、アルコール濃度が基準値を超えている場合には、選択ボタン51(承認ボタン)を非表示としたり、選択ボタン51(承認ボタン)の選択入力ができないように制御されることが好ましい。
【0071】
ステップS32において、制御部9aは、管理者8(承認者)が選択ボタン50,51,52の入力(クリック)を行なったかどうか(選択したかどうか)を判定し(ステップS32)、入力した場合(ステップS32における判定がYESの場合)、入力の種類を判定する(ステップS33)。そして、制御部9aは、入力の種類が「保留者リストへの移動の入力」(主表示領域20のサムネイルのドラッグ移動)である場合には、承認待ちリストテーブルの対応するレコードの保留者フラグを設定する(ステップS34)。また、制御部9aは、入力の種類が「承認」及び「再測定」である場合には、押下ボタンに応じて、承認待ちリストテーブル及び再測定者リストテーブルを更新する(ステップS35)。すなわち、「承認」の場合には承認待ちリストテーブル内の対応するレコードのステイタスを「2」とし承認時刻を記録し、「再測定」の場合は対応するレコードのステイタスを「3」として当該レコードを再測定者リストテーブルに移動する。また、制御部9aは、入力の種類が「拒否」である場合には、承認待ちリストテーブル及び拒否者リストテーブルを更新する(ステップS36)。すなわち、対応するレコードを承認待ちリストテーブルから拒否者リストテーブルへ移動し、ステイタスを「5」とする。そして、アルコール濃度に応じて禁止時間帯終了時刻(運転業務を禁止時間の終了時刻)を当該レコードに記録する(ステップS37)。禁止時間はアルコール濃度に対応付けて定められておりテーブルとして記憶部に記録されている。また、制御部9aは、入力の種類が「終了」である場合には、承認処理を終了する。
【0072】
その後、制御部9aは、入力の種類が「終了」以外である場合(すなわち、ステップS34,35,37の後)、サーバー4にアクセスして、承認待ちリストテーブル、再測定者リストテーブル、及び拒否者リストテーブルの更新部分について対応する運転者承認一時テーブル4c5の内容を更新する(ステップS38)。ここで、S33で「承認」判定された場合には承認待ちリストテーブルからは対応するレコードが消去される。一方、サーバー4では、制御プログラム4dに基づき動作している制御部4aが、安全運転管理者の承認手続きによりステイタス欄が変更されたのを確認した場合に、そのステイタス欄の情報を対応する被検者側操作端末6に送信する。なお、「拒否」の場合には設定された禁止時間帯終了時刻も含めて対応する被検者側操作端末6に送信する。続いて、制御部9aは、サーバー4にアクセスし、運転者承認一時テーブル4c5の追加部分(S23でのレコード抽出以降に新たに承認待ちとして追加されたレコード)を受信して、承認待ちリストテーブルの最後尾に追加して更新する(ステップS39)。その後、ステップS25に移行する。
なお、ステップS30並びにステップS31において、管理者(承認者)8による確実な動画確認を促すために、動画が最後まで再生することを条件に管理者8の承認の入力ができるように構成されているが、所定時間(例えば2.0秒)の再生がなされた時点で承認の入力ができるように構成されてもよい。
【0073】
前述のステップS25~ステップS28におけるサムネイルの表示処理について詳細に説明する。
【0074】
制御部9aは、承認待ちリストテーブルの保留者フラグのないレコードを検索して承認待ちの有無を判定する。承認待ちがいる場合には、制御部9aは、承認待ちの当該レコードの検査状態記録データIDあるいは発話状態記録データIDによって紐づけられた検査状態記録データテーブル4c42や発話状態記録データテーブル4c43から保留者のサムネイルを取得し、被検者7のサムネイル及び名前を表示部9bの主表示領域20に最大5名まで表示する。この際に、検査状態記録データテーブルから検査状態動画を取得する。実行モードがMode=1である場合はさらに、発話状態記録データテーブルから発話状態動画あるいは音声データを取得する。これらの処理は、承認待ちが存在しない場合には行なわない。
【0075】
サムネイルを表示する際に、制御部9aは、被検者7の名前及び検査時間も併せて表示する。その後、制御部9aは、アルコール濃度が基準値を超えているか否かを判定し、基準値を超えている場合には数値を赤で表示する。アルコール濃度が基準値を超えている場合に数値を赤で表示するほかに、何らかの視覚的に注意を喚起する表示を行なうことにより、一点の承認作業中の管理者(承認者)8の注意を促すことができる。この処理は、基準値を超えていない場合には行われない。その後、基準値を超えているか否かにかかわらず、制御部9aは、承認待ち状態がどのような承認待ち状態であるかを判定し、承認待ち状態が再測定承認待ちである場合には、サムネイルの外枠40を黄色に表示して前回のアルコール濃度を黒で表示し、承認待ち状態が拒否承認待ちである場合には、サムネイルの外枠40を赤色に表示して、前回のアルコール濃度を黒で表示し、承認待ち状態が再測定承認待ち及び拒否承認待ち以外である場合には、サムネイルの外枠40を黒色に表示する。
【0076】
承認待ちのサムネイルを表示する処理において、制御部9aは、承認待ちリストテーブル内の複数のレコードのうち承認申請の順番、例えば検査時間の早い順に表示されるように制御する。ただし、緊急性の高いレコードに対応するサムネイルを優先させて表示するように制御してもよい。この場合は勤務開始時刻と検査時間の差が小さい順に表示されるように制御する(例えば、遅参者が承認申請してきた場合には最優先に表示する)。
引き続き、制御部9aは、承認待ちリストテーブルの保留者フラグを検索して保留者の有無を判定する。保留者がいる場合には、制御部9aは、保留者の当該レコードの検査状態記録データIDあるいは発話状態記録データIDによって紐づけられた検査状態記録データテーブル4c42や発話状態記録データテーブル4c43から保留者のサムネイルを取得し、被検者7のサムネイル及び名前を表示部9bの保留者リスト表示領域21に表示する。これらの処理は、保留者が存在しない場合には行なわず、保留者リストに何も表示しない。
【0077】
その後、制御部9aは、再測定者リストテーブルを参照し、再測定者が有る場合には、制御部9aは、再測定者の当該レコードの検査状態記録データIDあるいは発話状態記録データIDによって紐づけられた検査状態記録データテーブル4c42や発話状態記録データテーブル4c43から再測定者のサムネイルを取得し、被検者7のサムネイル(外枠40が黄色)及び名前を表示部9bの再測定者リスト表示領域23に表示する。これらの処理は、再測定者が無い場合には行なわない。
【0078】
その後、制御部9aは、拒否者リストテーブルを参照し、運転拒否者が有る場合には、制御部9aは、拒否者の当該レコードの検査状態記録データIDあるいは発話状態記録データIDによって紐づけられた検査状態記録データテーブル4c42や発話状態記録データテーブル4c43から拒否者のサムネイルを取得し、被検者7のサムネイル(外枠40が赤色)及び名前を表示部9bの拒否者リスト表示領域22に表示する。これらの処理は、運転拒否者が無い場合には行なわない。
【0079】
以上説明してきたように、運転前と運転後の段階においてアルコール検知端末5で検知された被検者のアルコール濃度が被検者側操作端末6を介して管理者側操作端末9に送信され、管理者8による承認処理がなされ、その結果はサーバー4の運転者承認一時テーブルに格納される。そして1日が終了した段階で、運転者承認一時テーブル4c5に格納されたデータのうち一部のデータが履歴データベース(保存用)テーブル4c41に転送される。転送されるデータは履歴データベース(保存用)テーブル4c41の各データに対応する運転者承認一時テーブル4c5のデータである。同時に、運転者承認一時テーブル4c5に格納されたデータは消去される。履歴データベース(保存用)テーブル4c41に生成された各レコードは最低1年間保存されることにより、法律上の保存義務を満足することが可能となる。
【0080】
7.管理者側操作端末の承認画面の他の例
次に、管理者側操作端末9の表示部9bに表示される承認画面の他の例について説明する。いずれも、管理者側操作端末9の安全運転管理プログラム9e1に基づいて制御部9aにより制御される。以降の例の説明では、動画の再生は検査状態動画、発話状態動画あるいは単なる音声データの再生のいずれかあるいはこれらの組み合わせであってもよい。また、
図7に示される第1の承認画面で行われる表示制御や制御方法を後述する第2乃至第5の例に組み合わせてもよい。
【0081】
図15には、管理者側操作端末9の表示部9bに表示される承認画面の第2の例が示されている。ここでは、前述したサムネイル30~34などの被検者7のサムネイル画像Tの上にカーソルを合わせると、サムネイルTが3秒間自動再生されるようになっている。表示部9bに表示される全てのサムネイルTには、前述した選択ボタン50,51,52が付設されるが、再生終了あるいは所定時間の再生を待って選択入力可能なように構成されている。表示されているすべてのサムネイルに対して選択入力が完了した時点で画面が更新され、次の承認待ちのサムネイルが表示されるように構成されている。また、前述したように、「運転前」の表示46及び「運転後」の表示47を例えばクリックすることにより、運転前の承認画面及び運転後の承認画面を表示することができる(「運転前」の表示と「運転後」の表示とを切り替えできる)。
【0082】
図16には、管理者側操作端末9の表示部9bに表示される承認画面の第3の例が示されている。ここでは、各被検者の運転前、運転後の検査状況と、勤務中のタスク状況とを縦1列で表示している。選択したサムネイルTにカーソルを合わせると、自動で動画が再生され、再測定決定ボタン50、承認決定ボタン51、及び拒否(却下)決定ボタン52も表示される。あるいは、規定再生時間経過後又は再生終了後にボタン50,51,52が表示されてもよい。なお、この
図16の画面及び後述する
図17及び
図18の画面では、右側の領域に、表示対象を選択できる表示対象選択ボタン99が表示される。この
図16の画面では、「すべて」の表示対象選択ボタン99が選択されていることから、各被検者の運転前、運転後の検査状況と、勤務中のタスク状況とが縦1列で表示されることになる。
【0083】
また、管理者8が承認/再測定/却下いずれかのボタンを選択すると、再生が終了する。あるいは、再生終了後にボタン50,51,52が表示されてもよい。また、ステイタスが承認済みの場合、サムネイルTの右下にチェックマーク表示がなされ、サムネイルTの背景色が緑色表示になってもよい。ステイタスが再測定(再計測)中の場合、背景色がグレー表示になってもよい。また、ステイタスが承認待ちの場合、背景色が黄色表示になってもよい。ステイタスが却下の場合、勤怠管理システムとの連携で退勤扱いにされる。また、勤務中の表示において、タスク部分にカーソルを合わせると、タスクの右にタブが表示される。タブにカーソルを合わせるとポップが表示され、メッセージ、ナレッジ、添付ファイルなどが送信できるようになっている。また、完了したタスクは緑で表示され(図では、便宜上、タスクが実線の枠で囲まれる)、進行中のタスクは、承認待ちのサムネイルTも含めて、オレンジ色で表示される(図では、便宜上、タスクが破線の枠で囲まれる)。図中、一番下の段の「運転後」の白抜きのサムネイルは、そのサムネイルの被検者が運転業務中で、未だ運転後のアルコールチェックの検査をしていない状況を表わしている。具体的には、4人の被検者7の状況を表示している
図16において、一番左側に表示されている被検者7は、運転前、運転後の承認を終え当日の勤務シフトを終了しており、当日完了したタスクは4つである。左から2番目の被検者7は、運転前承認済みで業務中であり、最初の1つのタスクが完了、2番目のタスクを実行中である。タブにカーソルを合わせるとポップが表示され、メッセージ、ナレッジ、添付ファイルなどが送信できるようになっている。左から3番目の被検者7は運転前承認ならず再計測中となっている。一番右側に表示されている被検者の承認前について、承認者は処理中の状態である。このような表示形態によれば、検査状況の確認と勤務中タスク状況とを表示して業務の可視化を図ることができる。
【0084】
前述したが、画面の右側の領域には表示対象を選択できる表示対象選択ボタン99が表示されており、承認待ち一覧(運転前)、承認待ち一覧(運転後)、再測定者(再計測者)一覧(運転前)、再測定者(再計測者)一覧(運転後)、運転禁止者一覧の項目をそれぞれ表示できるようになっている。そして、承認待ち一覧(運転前)又は承認待ち一覧(運転後)の項目を選択すると、
図17に関連して後述する承認画面(
図17は運転前の承認画面を示す)が表示され、再測定者(再計測者)一覧(運転前)又は再測定者(再計測者)一覧(運転後)の項目を選択すると、
図18に関連して後述する承認画面(
図18は運転前の承認画面を示す)が表示されるようになっている。
【0085】
図17には、前述した表示対象選択ボタン99により承認待ち一覧(運転前)の項目を選択した場合に表示される画面が示されている。ここでは、運転前だけの承認待ち一覧が表示されている(図示しないが、運転後も同様)。サムネイルTにカーソルを合わせると、自動で動画が再生され、再測定決定ボタン50、承認決定ボタン51、及び拒否(却下)決定ボタン52も表示される。あるいは、規定再生時間経過後にボタン50,51,52が表示されてもよい。また、管理者8が承認/再測定/却下いずれかのボタンを選択すると、再生が終了する。あるいは、再生終了後にボタン50,51,52が表示されてもよい。また、承認決定ボタン51が押されると、その対応するサムネイルTが承認待ち一覧から消され、表示されていなかった後続の承認待ちサムネイルが詰めて新たに表示されるようになる。再計測者のサムネイルT’については、以前のアルコール濃度が表示するとともに、それが外枠40の色変更により一目で分かるようになっている。このような表示形態によれば、承認待ち一覧画面により、承認されていない被検者(運転者)に対して迅速に対応できる。
【0086】
図18には、前述した表示対象選択ボタン99により再測定者(再計測者)一覧の項目を選択した場合に表示される画面が示されている。ここでは、運転前だけの再計測中の被検者7の一覧が表示されている(図示しないが、運転後も同様)。被検者7が計測を再び実行して承認申請を行なうと、当該被検者7のサムネイルは、この画面から消去されて、
図17に示される承認待ち一覧画面(運転前)に表示されるようになる。このような表示形態によれば、再計測中の被検者7の詳細が分かり、管理者8が被検者7である従業員を管理し易くなる。
【0087】
図19及び
図20には、管理者側操作端末9の表示部9bに表示される画面の第4及び第5の例が示され、
図19は管理者側操作端末9がPC、タブレットである場合、
図20は管理者側操作端末9がスマートフォンである場合について説明する。
【0088】
図19に示されるように、管理者側操作端末9がPC、タブレットである場合の画面では、アルコール濃度の検査時間と勤務シフトとの関係によって5つの区分70-74に分けられて表示される。各区分70-74の名称の右に該当人数が例えば括弧書きで表示される。各管理者8は区分別で優先順位をつけて承認作業を行なうことができる。「遅刻」区分70には、勤務シフトの開始時刻より遅い時間で「運転前」のアルコール濃度の検知を行なった被検者(運転者)7のサムネイルTが一覧表示される。「オンタイム」区分71には、勤務シフトの開始時刻より前にアルコール濃度の検知を行なった、あるいは承認申請を行なった被検者7のサムネイルTが一覧表示される。「早退」区分72には、勤務シフトの終了時刻よりも早く「運転後」のアルコール濃度の検知を行なった、あるいは承認申請を行なった被検者7のサムネイルTが一覧表示される。「残業」区分73には、勤務シフトの終了時刻よりも遅く「運転後」の検知を行なった被検者7のサムネイルTが一覧表示される。「運転禁止中」区分74には、承認作業で「拒否」された被検者7のサムネイルTが一覧表示される。なお、「運転禁止中」区分74は、別の専用画面で表示されてもよい。各区分70-74では、下にスクロールすると、残りの被検者7のサムネイルTを確認することができる。また、本外面では、最初、全てのサムネイルが静止画として表示される。このような表示形態は、被検者7の勤務状態ごとの表示であるため、管理者8が優先したい被検者7を選択できる。通常であれば、管理者8は、「オンタイム」区分71の被検者の承認を優先的に行なう。しかし、遅参者はより優先的に処理することが必要であるため、承認作業中に「遅刻」区分70に被検者7が表示されたことを確認した場合、管理者8は、他の区分の承認に先立って「遅刻」区分70の被検者7の承認作業を行なう。なお、第1の例と同様に、再測定者、禁止者はサムネイルのふちを色分け表示するのが好ましい。
【0089】
図20は、管理者側操作端末9がスマートフォンである場合の画面である。画面上側に表示される前述した5つの区分70-74(
図19参照)に対応するタブ80を
図20の(a)(b)に示されるようにタップして切り替えることで、各タブ80に対応する被検者情報を確認できる。タブ80をどこもタップしていない場合には、
図20の(c)に示されるように対応する人数のみが示されるタブ80のみが表示される。いずれかのタブ80をタップすると、例えば、
図20の(d)に示されるように区分71に対応するタブ80をタップすると、そのタブ80の区分名称と人数とが表示される。また、タブ80が選択されると、画面には、
図20の(a)(b)に示されるように、被検者1名のサムネイルT及び対応するデータ45のみが表示される。被検者7が複数存在する場合には、
図20の(a)に示されるように、表示されたサムネイルTの背後に少しだけ他のサムネイルが表示される(計3名分まで背後に表示される)。また、「運転禁止中」区分74以外は
図20の(a)に示されるような表示形態であるが、「運転禁止中」区分74の場合、該当者が複数人存在する場合、「次へ」ボタン86や「前へ」ボタン85によって該当者を切り替えて確認ができる。
【0090】
図21には、前述した
図19及び
図20における画面の動画再生形態の例が示されている。
図21の(a)は前述した
図19に示される画面を示し、
図21の(b)は前述した
図20に示される画面を示している。これらの画面はいずれも、最初は静止画として一覧画面に表示される。その後、各サムネイルTにおいて、
図21の(c)に示される中央の再生ボタン90をクリック/タップすると、
図20(d)に示されるように動画が再生される。なお、再生開始タイミングは、スマートフォンの場合(
図21の(b)参照)、サムネイルTの表示後に自動的に再生が開始されてもよく、また、PC等の場合(
図21の(a)参照)、サムネイルTにカーソルを合わせたときに再生が開始されてもよい。また、
図21の(d)に示される動画再生中、再生を途中で止めたければ、画面中心をクリック/タップすればよい。そして、動画再生が完了した後又は再生して5秒(あるいは、任意に設定された時間)が経過した後に、
図21の(e)に示されるように選択ボタン50,51,52が表示される。この表示形態において、動画を再び再生したければ、画面中心をクリック/タップすればよい。再生時間もデータとして保持される。このように、選択ボタン50,51,52をサムネイルTの表示後に直ぐに表示させない理由は、管理者8が適当に承認するのを防ぐためである。
【0091】
図22は、管理者側操作端末9がPC及びタブレットである場合の各選択ボタン50,51,52の処理を示している。
図22の(a)に示されるように、被検者7であるAさんの動画を確認後、承認決定ボタン51を押下した場合は、以下の2つの処理が行なわれる。第1に、Aさんの動画及び情報が画面から非表示になり(承認済み履歴としてどこかで確認できるようにしてもよい)、2番目の被検者であるBさんの動画及び情報がブロックB2からブロックB1に移動する。そして、次の3番目の被検者の情報が存在すれば、その情報(サムネイル)がブロックB2に移動する。第2に、管理者8による運転承認の結果をスマホに通知する。対応する被検者7の被検者側操作端末6には「運転承認」のポップアップが表示され、勤怠管理画面が表示され被検者7は打刻できるようになる。勤怠管理画面での打刻により、被検者7の勤務開始時刻がサーバー4に送信され記憶される。
【0092】
一方、
図22の(b)に示されるように、Aさんの動画を確認後、再測定決定ボタン50を押下した場合は、以下のような流れとなる。すなわち、Aさんのサムネイル及び情報が画面から非表示になり、Bさんの動画及び情報がブロックB2からブロックB1に移動する(ここまでは
図22の(a)を参照)。そして、管理者8による運転承認の結果(再測定)をスマホに通知する。対応する被検者7の被検者側操作端末6には「再測定」のポップアップが表示されるが、勤怠管理画面が表示されず、Aさんが未だ勤怠管理で打刻できないように制御する。その後、Aさんの2回目の測定が完了後承認申請を行うと、管理者側操作端末9の表示部9bに表示されたサムネイル上には再測定者であることを示す「2回目」が表示される。
【0093】
また、
図22の(c)に示されるように、承認画面で拒否(却下)決定ボタン52を押下した場合は、以下のような流れとなる。すなわち、該当被検者7のサムネイルが承認画面から非表示になり、「運転禁止中」一覧に該当被検者情報が表示される(例えば、ボタン52押下後直ぐに表示される)。表示内容としては、被検者7のサムネイル、氏名、残りの禁止時間、これまで却下された回数(問題をよく起こす社員を把握するのが狙い)、却下された際の測定情報が挙げられる。そして、管理者8による運転承認の結果(却下)と申請の禁止時間帯をスマホに通知する。対応する被検者7の被検者側操作端末6には「却下」並びに禁止時間帯に関する情報のポップアップが表示されるが、勤怠管理画面が表示されず、Aさんが未だ勤怠管理で打刻できないように制御する。そして、禁止時間帯が経過したら、再び承認申請ができるようになる。却下のポップアップが被検者のモバイルアプリに表示され、禁止されたことを該当被検者の上司にもメールで知らせる(管理者8以外の上司が業務評価するため、及び、監督者の目を増やして、被検者の意識づけを強めるため)。禁止時間帯では、車の鍵を電子的にロックしてエンジンがかからないようにしてもよい。
【0094】
図23は、管理者側操作端末9がスマートフォンである場合の各選択ボタン50,51,52の処理を示している。各ボタンが押されたときの処理内容は基本的に
図22に示された管理者側操作端末9がPC及びタブレットの場合と同一であり、表示方法のみ異なるので、表示形式の相違点についてのみ説明する。
図23の(a)に示されるように、被検者7であるAさんの動画を確認後、承認決定ボタン51を押下した場合には、被検者7であるAさんのサムネイルT及び情報が画面から非表示になり(承認済み履歴としてどこかで確認できるようにしてもよい)、続いて、2番目の被検者7が存在する場合には、その被検者7のサムネイル及び情報が同じ場所に表示される。
【0095】
一方、
図23の(b)に示されるように、Aさんの動画を確認後、再測定決定ボタン50を押下した場合には、以下のような流れとなる。すなわち、まず最初に、Aさんのサムネイル及び情報が画面から非表示になり、続いて、2番目の被検者7が存在する場合には、その被検者7のサムネイル及び情報が同じ場所に表示される。その後、Aさんの2回目の測定が完了後承認申請を行うと、管理者側操作端末9の表示部9bに表示されたサムネイル上には再測定者であることを示す「2回目」が表示される。
【0096】
また、
図23の(c)に示されるように、承認画面で拒否(却下)決定ボタン52を押下した場合には、以下のような流れとなる。すなわち、該当被検者7のサムネイルTが承認画面から非表示になり、2番目の被検者7が存在する場合には、その被検者7のサムネイル及び情報が同じ場所に表示される。拒否された該当被検者7のサムネイル及び情報は「運転禁止中」タブに表示されるように制御される。
【0097】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明してきたが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例を含むことができる。例えば、前述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0098】
4 サーバー
5 アルコール検知端末
5a 制御部
6 被検者側操作端末
6a 制御部
9 管理者側操作端末
9a 制御部