(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002366
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】実行支援システム及び実行支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20241226BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102489
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】521168438
【氏名又は名称】株式会社Sales Navi
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 大貴
(72)【発明者】
【氏名】下地 謙友
(72)【発明者】
【氏名】杉原 和樹
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】本発明は、ユーザがすでに実行した行動を把握し、次に実行すべき行動をユーザに着想させることができる実行支援システム及び実行支援プログラムを提供する。
【解決手段】本発明は、すでに実行した行動を把握するための状況質問SQ及び状況質問SQに対する状況回答SAを含む状況問答情報SDと、次に実行すべき行動を着想させるための着想質問IQ及び着想質問IQに対する着想回答IAを含む着想問答情報IDと、少なくとも状況回答SA及び着想質問IQに付与される脈絡識別子Cとを予め記憶する情報記憶部31と、情報記憶部31に記憶した情報に基づいて問答を実施する情報処理部20と、を備え、情報処理部20は、問答から状況回答SAの脈絡識別子Cを識別子蓄積部32に蓄積し、識別子蓄積部32に蓄積された脈絡識別子Cと一致する着想質問IQを含む着想問答情報IDを選出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すでに実行した行動を把握するための状況質問及び前記状況質問に対する状況回答を含む複数の状況問答情報と、次に実行すべき行動を着想させるための着想質問及び前記着想質問に対する着想回答を含む複数の着想問答情報と、少なくとも前記状況回答及び前記着想質問に付与される、問答間の脈絡を識別する脈絡識別子とを予め記憶する情報記憶部と、
前記状況問答情報に基づいた問答及び前記着想問答情報に基づいた問答を実施する情報処理部と、を備え、
前記情報処理部は、前記状況問答情報に基づく問答から得られた前記状況回答の前記脈絡識別子を、前記情報記憶部に設けられた識別子蓄積部に蓄積し、前記識別子蓄積部に蓄積された前記状況回答の前記脈絡識別子と一致する前記脈絡識別子が付与された前記着想質問を含む前記着想問答情報を選出する、実行支援システム。
【請求項2】
前記着想回答にも、前記脈絡識別子が付与されており、
前記情報処理部は、着想問答情報に基づく問答から得られた前記着想回答の前記脈絡識別子を、前記識別子蓄積部にさらに蓄積し、前記識別子蓄積部に蓄積された前記状況回答の前記脈絡識別子及び前記着想回答の前記脈絡識別子と一致する前記脈絡識別子が付与された前記着想質問を含む前記着想問答情報を選出する、請求項1に記載の実行支援システム。
【請求項3】
前記状況回答又は前記着想回答には、すでに実行した行動又は次にすべき行動に関する着想について評価するための評価項目及び評価点数がさらに含まれ、
前記情報処理部は、前記状況問答情報に基づく問答から得られた前記状況回答、及び前記着想問答情報に基づく問答から得られた前記着想回答を前記情報記憶部の回答記録部に記録し、前記回答記録部に記録された、少なくとも前記状況回答及び前記着想回答のいずれか一方に含まれる前記評価項目及び前記評価点数に基づいて、評価項目毎に評価点数を集計する、請求項2に記載の実行支援システム。
【請求項4】
前記情報処理部は、前記回答記録部に記録した、少なくとも前記状況回答及び前記着想回答のいずれか一方に基づき、前記着想質問及び前記着想回答を生成し、少なくとも当該着想質問に前記脈絡識別子を付与し、これらを新たな前記着想問答情報として前記情報記憶部に追加する、請求項3に記載の実行支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の実行支援システムとして、コンピュータを機能させる実行支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務やコミュニケーションなどにおける行動の改善や向上を図る実行支援システム及び実行支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商談に関する報告情報、例えば営業日報などの商談記録の作成を効果的に支援する営業活動支援システムが提案されている(特許文献1参照)。これにより、商談内容の文書化を個人のスキルに依存せずに自動的に生成することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、例えばAI(Artificial Intelligence)などのシステムからユーザに対して業務に関する質問を問い掛け、ユーザがそれに応答し、応答した内容に基づき、業務の効率化や業績の向上を図る実行支援システムも存在している。このような実行支援システムは、質問文をユーザに問い掛け、ユーザが単語や所定の選択肢からの選択により回答するという方法で、質問応答が行われることが多い。これで得られた応答内容から次にどのような行動を行って目標を達成するかをユーザに教えることができる。
【0005】
しかし、このような実行支援システムは、ユーザがすでに実行した行動を把握せずに、予め設定された質問を問い掛けることから、状況によっては、ユーザが現状に適さない行動を着想してしまい、目標を効率的に達成することができないという課題があった。
【0006】
本発明に係る目的は、ユーザがすでに実行した行動を把握し、次に実行すべき行動をユーザに着想させることができる実行支援システム及び実行支援プログラムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、かかる現況に鑑み、鋭意検討した結果、上述したような実行支援システムによって、ユーザが現状に適さない行動を着想してしまうという問題が、ユーザの置かれている現状とシステムが問い掛ける質問とのミスマッチングを原因として引き起こされていると推察し、さらに鋭意検討した結果、まず、ユーザの置かれている現状を把握する問答を行い、ユーザの現状に適した問答を実施することで、ユーザがすでに実行した行動を反映した次にすべき行動を着想することが可能となることを見出し、本発明に至ったものである。
【0008】
本発明に係る実行支援システムは、すでに実行した行動を把握するための状況質問及び前記状況質問に対する状況回答を含む複数の状況問答情報と、次に実行すべき行動を着想させるための着想質問及び前記着想質問に対する着想回答を含む複数の着想問答情報と、少なくとも前記状況回答及び前記着想質問に付与される、問答間の脈絡を識別する脈絡識別子とを予め記憶する情報記憶部と、前記状況問答情報に基づいた問答及び前記着想問答情報に基づいた問答を実施する情報処理部と、を備え、前記情報処理部は、前記状況問答情報に基づく問答から得られた前記状況回答の前記脈絡識別子を、前記情報記憶部に設けられた識別子蓄積部に蓄積し、前記識別子蓄積部に蓄積された前記状況回答の前記脈絡識別子と一致する前記脈絡識別子が付与された前記着想質問を含む前記着想問答情報を選出する。
【0009】
このような実行支援システムによれば、すでに実行した行動を把握する問答と、次に実行する行動を着想させる問答とを脈絡識別子により関連付けることができ、すでに実行した行動を反映した次にすべき行動を着想することができる。
【0010】
また、前記着想回答には、前記脈絡識別子が付与されており、前記情報処理部は、着想問答情報に基づく問答から得られた前記状況回答の前記脈絡識別子を、前記識別子報蓄積部にさらに蓄積し、前記識別子蓄積部に蓄積された前記状況回答の前記脈絡識別子及び前記着想回答の前記脈絡識別子と一致する前記脈絡識別子が付与された前記着想質問を含む前記着想問答情報を選出することが好ましい。
【0011】
このような実行支援システムによれば、着想回答に付与された脈絡識別子をさらに蓄積し、蓄積された状況回答の脈絡識別子及び着想回答の脈絡識別子と一致する問答を実施することで、ユーザがすでに実行した行動をさらに反映して次にすべき行動を精度良く着想させることができる。
【0012】
また、前記状況回答又は前記着想回答には、すでに実行した行動又は次に実行すべき行動に関する着想について評価するための評価項目及び評価点数がさらに含まれ、前記情報処理部は、前記状況問答情報に基づく問答から得られた前記状況回答、及び前記着想問答情報に基づく問答から得られた前記着想回答を前記情報記憶部の回答記録部に記録し、前記回答記録部に記録された、少なくとも前記状況回答及び前記着想回答のいずれか一方に含まれる前記評価項目及び前記評価点数に基づいて、評価項目毎に評価点数を集計することが好ましい。
【0013】
このような実行支援システムによれば、回答記憶部が記憶した状況回答により、すでに実行した行動を評価項目毎に集計することができるため、ユーザはすでに実行した行動でどこが不足しているかを理解し、次にどのような行動を実行すべきかを着想することができる。
【0014】
また、前記情報処理部は、前記回答記録部に記録した、少なくとも前記状況回答及び前記着想回答のいずれか一方に基づき、前記着想質問及び前記着想回答を生成し、少なくとも当該着想質問に前記脈絡識別子を付与し、これらを新たな前記着想問答情報として前記情報記憶部に追加することが好ましい。
【0015】
このような実行支援システムによれば、問答によって得られた回答に基づいてより現状に適した問答が追加されることから、現状の変化に応じて次に実行すべき行動に関する着想を支援することができる。
【0016】
また、本発明に係る実行支援プログラムは、コンピュータを上述した実行支援システムとして機能させる。
【0017】
このような実行支援プログラムによれば、コンピュータを上述した実行支援システムとして機能させることができるので、ユーザがすでに実行した行動を把握し、脈絡識別子で関連付けられた問答によってユーザが次にすべき行動を着想することができる。
【発明の効果】
【0018】
このような構成の実行支援システム、及び実行支援プログラムは、ユーザがすでに実行した行動を把握し、次に実行すべき行動をユーザに着想させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る実行支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】情報記憶部に記憶される問答情報テーブルの一例を示す説明図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る実行支援プログラムを用いた実行支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る実行支援プログラムを用いた実行支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る実行支援プログラムを用いた実行支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る実行支援プログラムを用いた実行支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】状況問答情報に基づいた問答の問答画面の一例を示す説明図である。
【
図8】着想問答情報に基づいた問答の問答画面の一例を示す説明図である。
【
図9】状況問答情報における脈絡識別子の選出から識別子蓄積部への蓄積までの一例を示す模式図である。
【
図10】状況問答情報における脈絡識別子の選出から識別子蓄積部への蓄積までの一例を示す模式図である。
【
図11】状況問答情報における脈絡識別子の選出から識別子蓄積部への蓄積までの一例を示す模式図である。
【
図12】着想問答情報における脈絡識別子の選出から識別子蓄積部への蓄積までの一例を示す模式図である。
【
図13】着想問答情報における脈絡識別子の選出から識別子蓄積部への蓄積までの一例を示す模式図である。
【
図14】着想問答情報における脈絡識別子の選出から識別子蓄積部への蓄積までの一例を示す模式図である。
【
図15】着想問答情報における脈絡識別子の選出から識別子蓄積部への蓄積までの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実行支援システム1の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る実行支援システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
図1に示す実行支援システム1は、例えばサーバ装置2と、記憶装置3とを備えている。サーバ装置2は、ネットワーク6を介して、複数のユーザ端末4とデータ送受信可能に接続されている。ネットワーク6は、例えばインターネット、公衆電話回線、移動体通信網、LAN(Local Area Network)、WiFi(登録商標)等、種々の通信手段であってもよく、これらの通信手段が組み合わされていてもよく、有線、無線、あるいは有線と無線とが組み合わされて構成されていてもよい。ユーザ端末4及び管理者端末9は、いわゆるパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等、情報処理装置を用いることができる。
【0022】
サーバ装置2は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、所定の実行支援プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶装置、通信回路、及びその周辺回路等を備えて構成されている。サーバ装置2は、情報処理部20として実行支援プログラムを実行することによって、問答実施部21、識別子抽出部22、問答選出部23、回答分析部24、回答抽出部25、回答分解部26及び問答追加部27として機能する。
【0023】
記憶装置3は、例えばHDDやSSD等を用いて構成された不揮発性の記憶装置であり、サーバ装置2からアクセス可能とされている。記憶装置3は、情報記憶部31、識別子蓄積部32、回答記録部33として用いられる。
【0024】
情報記憶部31には、すでに実行した行動を把握するための状況質問SQ及び前記状況質問SQに対する状況回答SAが含まれる複数の状況問答情報SD、次に実行すべき行動を着想させるための着想質問IQ及び前記着想質問IQに対する着想回答IAが含まれる複数の着想問答情報ID、及び少なくとも前記状況回答SA及び前記着想質問IQに付与される、問答の間の脈絡を識別する脈絡識別子Cが、問答テーブルT1として予め記憶されている。
【0025】
図2は、情報記憶部31に記憶される問答テーブルT1の一例を示す説明図である。
図2に示す問答テーブルT1は、状況問答情報SDの状況回答SAに脈絡識別子Cが付与され、着想問答情報IDの着想質問IQと着想回答IAとそれぞれに脈絡識別子Cが付与されている。
【0026】
問答実施部21は、状況問答情報SDに基づいた問答、及び着想問答情報IDに基づいた問答を実施する。識別子抽出部22は、問答実施部21で得られた状況回答SA及び着想回答IAからそれぞれ脈絡識別子Cを取得し、記憶装置3において機能する識別子蓄積部32に蓄積する。問答選出部23は、着想問答情報IDのうち、識別子蓄積部32に蓄積した脈絡識別子Cと一致する脈絡識別子Cが付与された着想質問IQを含む着想問答情報IDを選出する。
【0027】
回答分析部24は、前記状況問答情報SDに基づく問答から得られた状況回答SA、及び前記着想問答情報IDに基づく問答から得られた着想回答IAを記憶装置3において機能する回答記録部33に記録し、回答記録部33に記録された、少なくとも状況回答SA及び着想回答IAのいずれか一方に含まれる評価項目EI及び評価点数EPに基づき、すでに実施した行動を評価項目EI毎に集計する。
【0028】
回答抽出部25は、回答記録部33に記録された状況回答SA及び着想回答IAのうち、少なくとも状況回答SA及び着想回答IAのいずれか一方に含まれた評価項目EI及び評価点数EPの抽出と、自由記述で回答された状況回答SA又は着想回答IAの抽出とを行う。回答分解部26は、自由記述で回答した内容の状況回答SA又は着想回答IAを成分毎に分解して回答記録部33に蓄積する。問答追加部27は、回答記録部33に蓄積された状況回答SA又は着想回答IAの成分が所定の値に達すると、状況回答SA又は着想回答IAの成分に基づいて着想質問IQ及びその着想回答IAを生成し、当該着想質問IQ及び当該着想回答IAに脈絡識別子Cを付与し、これらを新たな着想問答情報IDとして情報記憶部31に追加する。
【0029】
次に、上述のように構成された実行支援システム1の一連の動作について説明する。
図3~
図6は、本発明の一実施形態に係る実行支援プログラムを用いた実行支援システム1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、ユーザは、ユーザ端末4を用いてサーバ装置2にアクセスする。ユーザ端末4は、いわゆるWebブラウザを用いてサーバ装置2にアクセスしてもよく、実行支援システム1に用いるアプリケーションプログラムを実行することによりサーバ装置2にアクセスしてもよい。
【0030】
問答実施部21は、
図3で示したとおり、まずユーザ端末4の表示装置に、状況質問SQ及び当該状況質問SQに対応する状況回答SAを表示させて状況問答情報SDに基づいた問答を実施する(ステップS01)。ユーザは、表示装置に表示された状況質問SQに対して現状に見合う状況回答SAを選択することができる。
【0031】
図7は、状況問答情報SDに基づいた問答の問答画面G1の一例を示す説明図である。
図7に示す問答画面G1には、例えば、状況質問SQ、及び状況質問SQに対応した状況回答SAが表示されている。問答画面G1において、状況回答SAは、複数の選択肢からなり、プルダウン形式で表示されている。
【0032】
また、状況問答画面G1には、次の状況問答情報SDに基づいた問答の問答画面(図示されていない)に進むボタンB1と、前の状況問答情報SDに基づいた問答の問答画面(図示されていない)に戻るボタンB2とが表示されている。
【0033】
再度
図3を参照すると、ユーザが、問答画面G1で状況回答SAを選択し、ボタンB1を操作すると、問答実施部21は状況回答SAが得られ(ステップS02)、ボタンB2を操作すると、再びステップS01の処理が繰り返される。問答実施部21が状況回答SAを得ると、識別子抽出部22は、状況回答SAから脈絡識別子Cを抽出し(ステップS03)、脈絡識別子Cを記憶装置3において機能する識別子蓄積部32に蓄積する(ステップS04)。脈絡識別子Cを識別子蓄積部32に蓄積し終えると、問答実施部21は、まだ実施していない、状況問答情報SDに基づいたその他の問答があるかを確認する(ステップS05)。実施していない状況問答情報SDに基づいたその他の問答があれば、再びステップS01以降の処理が繰り返される。状況問答情報SDに基づいた全ての問答が実施し終えたら、次のステップに移行する。
【0034】
次に、問答選出部23は、
図4で示したとおり、情報記憶部31に記憶された着想問答情報IDのうち、識別子蓄積部32に蓄積した脈絡識別子Cと一致する脈絡識別子Cが付与された着想質問IQを含む着想問答情報IDを選出する(ステップS06)。問答実施部21は、ユーザ端末4の表示装置に、着想質問IQ及び当該着想質問IQに対応する着想回答IAを表示させて、問答選出部23で選出された着想問答情報IDに基づいた問答を実施する(ステップS07)。ユーザは、表示装置に表示された着想質問IQに対して着想回答IAを選択することができる。
【0035】
図8は、着想問答情報IDに基づいた問答の問答画面G2の一例を示す説明図である。
図8に示す問答画面G2には、例えば、着想質問IQ、及び着想質問IQに対応した着想回答IAが表示されている。問答画面G2において、着想回答IAは、複数の選択肢からなり、プルダウン形式で表示されている。
【0036】
また、問答画面G2には、
図7と同じように、次の着想問答情報IDに基づいた問答の問答画面(図示されていない)に進むボタンB1と、前の着想問答情報IDに基づいた問答の問答画面(図示されていない)に戻るボタンB2とが表示されている。
【0037】
再度
図4を参照すると、ユーザが、問答画面G2で着想回答IAを選択し、ボタンB1を操作すると、問答実施部21は着想回答IAが得られ(ステップS08)、ボタンB2を操作すると、再びステップS07の処理が繰り返される。問答実施部21が着想回答IAを得ると、識別子抽出部22は、着想回答IAから脈絡識別子Cを抽出し(ステップS09)、脈絡識別子Cを識別子蓄積部32に蓄積する(ステップS10)。
【0038】
脈絡識別子Cを識別子蓄積部32に蓄積し終えると、問答選出部23は識別子蓄積部32に蓄積した複数の脈絡識別子Cと全て一致する着想問答情報IDがないかを判断する(ステップS11)。もし一致する着想問答情報IDがあれば、その一致した着想問答情報IDに基づいた問答を再びステップS07以降の処理が繰り返す。もし、一致する着想問答情報IDがなければ、次のステップに移行する。
【0039】
次に、問答選出部23は、識別子蓄積部32に蓄積した複数の脈絡識別子Cと一部分が一致する着想問答情報IDがないかを判断する(ステップS12)。例えば、識別子蓄積部32に蓄積した5つの脈絡識別子Cのうち、4つの脈絡識別子Cが一致する着想問答情報IDがあった場合、その4つの脈絡識別子Cが一致する着想問答情報IDに基づいた問答を再びステップS07以降の処理が繰り返す。もし、着想問答情報IDがなければ、本発明に係る実行支援システム1の一連の動作が終了する。
【0040】
なお、状況問答情報SDに基づいた問答の実施回数、及び着想問答情報IDに基づいた問答の実施回数は、例えば営業活動や結婚活動など本発明を応用する対象により変動するため、特に限定しない。
【0041】
状況問答情報SD及び着想問答情報IDについてさらに説明する。なお、説明の都合上、
図2で示す問答テーブルT1に記載の符号を用いて説明する。
図9は、状況問答情報S1における脈絡識別子の選出から識別子蓄積部Dpへの蓄積までの一例を示す模式図である。
図10は、着想問答情報I1における脈絡識別子の選出から識別子蓄積部Dpへの蓄積までの一例を示す模式図である。
【0042】
図9で示す状況問答情報S1には、
図2で示す問答テーブルT1のとおり、状況質問Q01に対して二つの状況回答A011,A012があり、状況回答A011には脈絡識別子C011が、状況回答A012には脈絡識別子C012が付与される。
【0043】
例えば、二つの状況回答A011,A012のうち、
図10で示したとおり、状況回答A011を選択すると、脈絡識別子C011が識別子蓄積部Dp(32)に蓄積される。情報記憶部に予め記憶された状況問答情報S1,S2...Snは、
図11で示したとおり、識別子蓄積部Dpに蓄積される。
【0044】
図2で示す問答テーブルT1に記載の着想問答情報I1は、
図11で示した識別子蓄積部Dpに蓄積された脈絡識別子C011,C021と一致する。着想問答情報I1には、
図12で示したとおり、脈絡識別子C011,C021が付与された着想質問Q10に対して三つの着想回答A101,A102,A103がある。着想回答A102には脈絡識別子が付与されていないものの、着想回答A101には脈絡識別子C101が、着想回答A103には脈絡識別子C1031,C1032が付与されている。
【0045】
着想回答A101が選択されると、
図13で示したとおり、脈絡識別子C101が識別子蓄積部Dpに蓄積される。これにより、識別子蓄積部Dpには、脈絡識別子C011,C021に加え、脈絡識別子C101が蓄積される。
【0046】
着想回答A102が選択されると、
図14で示したとおり、脈絡識別子が付与されていないため、識別子蓄積部Dpに蓄積された脈絡識別子C011,C021と一致するその他の着想問答情報I2に移行するか、そこで終了となる。
【0047】
着想回答A103が選択されると、
図15で示したとおり、識別子蓄積部Dpには脈絡識別子C1031,C1032が二つ蓄積される。
【0048】
次に、本発明に係る実行支援システム1の一連の動作に伴う、その他の動作について、
図3~6を再度参照しながら説明する。
【0049】
本発明に係る実行支援システム1は、実行した行動や、次に実行すべきと着想した行動について分析することができる。
図3及び
図5に示したとおり、回答分析部24は、問答実施部21で得た状況回答SA及び着想回答IAを回答記録部33に記録する(ステップS14)。状況回答SA及び着想回答IAには、それぞれ回答内容に関する評価項目EI及びその評価点数EPが含まれるが、全ての状況回答SA及び着想回答IAに含まれるとは限らない。
【0050】
回答抽出部25は、回答記録部33に記録された状況回答SA及び着想回答IAのうち、評価項目EI及びその評価点数EPが含まれた、少なくとも状況回答SA及び着想回答IAのいずれか一方から、評価項目EI及びその評価点数EPを抽出する(ステップS15)。回答分析部24は、状況問答情報SDに基づいた問答及び着想問答情報IDに基づいた問答が所定の回数に至るまで状況回答SA及び着想回答IAを回答記録部33に記録する(ステップS16)。
【0051】
回答抽出部25が回答記録部33に記録された状況回答SA及び着想回答IAのうち、少なくとも状況回答SA及び着想回答IAのいずれか一方に含まれた評価項目EI及び評価点数EPを抽出すると、回答分析部24は、評価項目EI毎に評価点数EPを集計する(ステップS17)。回答分析部24は、評価項目EI毎に集計した評価点数EPの集計結果をユーザ端末4の表示装置に表示させる(ステップS18)。
【0052】
回答分析部24が集計した集計結果は、管理者端末9の表示装置でも表示することができる。例えば、本発明に係る実行支援システム1が、企業の営業活動に関する行動の実行を支援する場合、ユーザは営業活動を実行する従業員であって、ユーザ端末4は当該従業員が使用する端末を指す。同様に、管理者は当該従業員の上長であって、管理者端末9は当該上長が使用する端末を指す。
【0053】
管理者端末9も、サーバ装置2にアクセスすることができる。そのアクセス手段もまた、ユーザ端末4と同じく、いわゆるWebブラウザを用いてサーバ装置2にアクセスしてもよく、実行支援システム1に用いるアプリケーションプログラムを実行することによりサーバ装置2にアクセスしてもよい。ユーザ端末4と管理者端末9とは、同一の手段でサーバ装置2にアクセスしてもよいが、それぞれ異なるアクセス手段でアクセスしてもよい。
【0054】
ユーザ端末4は、ユーザ自身が実行した行動について評価点数EPの集計結果を表示装置に表示することができる。それに対して、管理者端末9は、管理者権限等により、管理している従業員毎、又は管理している部署単位毎に実行した行動について評価点数EPの集計結果を表示装置に表示することができる。これにより、ユーザは、すでに実行した行動でどこが不足しているかを理解し、次にどのような行動を実行すべきかを着想する。また、管理者は、現在管理している従業員が実行している行動の動向を把握し、間違った行動や、実行すべき行動が着想できていない等、実行すべき行動についての助言が必要な時期を見計らうことができる。
【0055】
次に、本発明に係る実行支援システム1は、回答記録部33に記録された回答内容に基づいて、新たな着想問答情報IDを情報記憶部31に追加することができる。
【0056】
図5及び
図6で示したとおり、回答抽出部25は、回答記録部33に記録された各状況回答SA及び着想回答IAから、自由記述で回答された状況回答SA又は着想回答IAを抽出する(ステップS19)。これは、例えば営業活動に関する問答において、商談が成立又は不成立だった際に、その経緯等をアンケート方式の問答を行っており、自由記述による状況回答SA又は着想回答IAが発生する。
【0057】
回答抽出部25によって抽出された状況回答SA又は着想回答IAは、回答分解部26により、文の成分毎に分解され(ステップS20)、回答記録部33に記録される(ステップS21)。回答記録部33に蓄積された状況回答SA又は着想回答IAの成分が所定の閾値に達する(ステップS22)と、問答追加部27は、状況回答SA又は着想回答IAの成分に基づいて着想質問IQ及びその着想回答IAを生成し、当該着想質問IQ及び当該着想回答IAに脈絡識別子Cを付与する(ステップS23)。
【0058】
例えば、アンケート方式で得られた状況回答SAのうち、商談が成立した案件の回答で「趣味」に関するワードが度々回答記録部33に記録される。回答記録部33に記録された回数等が所定の閾値に達すると、問答追加部27は、当該ワードに基づいて、着想質問IQ及びその着想回答IAを生成し、当該着想質問IQ及び当該着想回答IAに脈絡識別子Cを付与する。
【0059】
問答追加部27は、着想質問IQ及びその着想回答IAを生成し、当該着想質問IQ及び当該着想回答IAに脈絡識別子Cを付与した後、これらを新たな着想問答情報IDとして情報記憶部31に追加して(ステップS24)、一連の動作を終了する。
【0060】
上記では、問答追加部27が状況回答SAに基づいて着想問答情報IDを追加したことを一例として挙げている。問答追加部27は、着想回答IAに基づいて、新たな着想問答情報IDを情報記憶部31に記憶してもよく、問答によって得られた回答に基づいてより現状に適した着想問答情報が追加されればよい。
【0061】
また、サーバ装置2の情報処理部20を実行支援システム1として機能させるための実行支援プログラムは、サーバ装置2に備えられた不揮発性の記憶装置に格納されるだけでなく、USBフラッシュドライブ(USB flash drive)等の周知の外部記録媒体に格納されてもよい。また、実行支援プログラムは、サーバ装置2とは別のサーバ装置(図示されていない)に予め格納されてもよく、ネットワーク6を介して実行支援プログラムを取得し、情報処理部20において機能させることもできる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
1 実行支援システム 2 サーバ装置
3 記憶装置 4 ユーザ端末
6 ネットワーク 9 管理者端末
20 情報処理部 21 問答実施部
22 識別子抽出部 23 問答選出部
24 回答分析部 25 回答抽出部
26 回答分解部 27 問答追加部
31 情報記憶部 32,Dp 識別子蓄積部
33 回答記録部 B1,B2 ボタン
C 脈絡識別子 C011 脈絡識別子
C021 脈絡識別子 C012 脈絡識別子
C101 脈絡識別子 C1031 脈絡識別子
C1032 脈絡識別子 EI 評価項目
EP 評価点数 G1,G2 問答画面
IA 着想回答 A101 着想回答
A102 着想回答 A103 着想回答
ID,I1,I2 着想問答情報 IQ,Q10 着想質問
SA,A011,A012 状況回答 SD,S1,S2 状況問答情報
SQ,Q01 状況質問 T1 問答テーブル