(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023688
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】物品保管設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20250207BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
B65G1/137 E
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128037
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】浮須 賢一
(72)【発明者】
【氏名】赤松 真材
(72)【発明者】
【氏名】平林 功嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸二
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF01
3F022JJ07
3F022JJ12
3F022LL06
3F022MM15
3F022MM36
3F022MM45
3F022MM49
3F522AA02
3F522BB01
3F522CC01
3F522LL03
3F522LL11
3F522LL15
3F522LL23
(57)【要約】
【課題】設置費用を低く抑えつつ、稼働効率を高めることが可能な物品保管設備を提供する。
【解決手段】第1保管庫、及び当該第1保管庫に比べて自動化の程度が低い第2保管庫のそれぞれに保管される複数の物品保持体のそれぞれには、単一種類の物品が保持され、第1保管庫の第1収納部の数は、オーダー情報による指定の対象となる全種類の物品のうち、第1保管庫に保管される物品の種類である対象種類の総数以上であり、第2保管庫の第2収納部の数は、第1収納部の数よりも多く、制御システムは、オーダー情報を受け付けた場合に、オーダー種類の物品が保持された物品保持体を、第2保管庫よりも第1保管庫が優先されるように、搬送装置により第1保管庫及び第2保管庫のいずれかから出庫して取出作業部へ搬送させる出庫処理を実行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが複数の物品を保持可能な複数の物品保持体を保管可能に構成された第1保管庫と、
複数の前記物品保持体を保管可能に構成され、前記第1保管庫に比べて自動化の程度が低い第2保管庫と、
オーダー情報により指定される前記物品の種類をオーダー種類とし、前記オーダー情報により指定される、前記オーダー種類の前記物品の数をオーダー数として、前記物品保持体から前記オーダー種類の前記物品を前記オーダー数取り出す作業である取出作業が行われる取出作業部と、
前記第1保管庫と前記取出作業部との間、及び、前記第2保管庫と前記取出作業部との間で、前記物品保持体の搬送を行う搬送装置と、
前記オーダー情報に基づいて、前記第1保管庫、前記第2保管庫、及び前記搬送装置を制御する制御システムと、を備えた物品保管設備であって、
複数の前記物品保持体のそれぞれには、単一種類の前記物品が保持され、
前記第1保管庫は、それぞれが前記物品保持体を収納可能に構成された複数の第1収納部を備え、
前記第2保管庫は、それぞれが前記物品保持体を収納可能に構成された複数の第2収納部を備え、
前記オーダー情報による指定の対象となる全種類の前記物品のうち、前記第1保管庫に保管される前記物品の種類を対象種類として、
前記第1収納部の数は、前記対象種類の総数以上であり、
前記第2収納部の数は、前記第1収納部の数よりも多く、
前記制御システムは、
前記オーダー情報を受け付けた場合に、前記オーダー種類の前記物品が保持された前記物品保持体を、前記第2保管庫よりも前記第1保管庫が優先されるように、前記搬送装置により前記第1保管庫及び前記第2保管庫のいずれかから出庫して前記取出作業部へ搬送させる出庫処理を実行するように構成されている、物品保管設備。
【請求項2】
前記第2保管庫に比べて自動化の程度が低い第3保管庫を更に備え、
単位期間あたりに前記取出作業部で取り出される前記物品の数を単位期間取出数として、
前記対象種類の前記物品の前記単位期間取出数は、予め定められた基準値以上であり、
前記第1保管庫には、1つの前記対象種類について少なくとも1つの前記第1収納部が対応するように、前記対象種類の前記物品を保持する前記物品保持体が保管され、
前記第3保管庫には、前記単位期間取出数が前記基準値未満である前記物品を保持する前記物品保持体が保管される、請求項1に記載の物品保管設備。
【請求項3】
前記第1収納部の数は、前記対象種類の総数と同じである、請求項1又は2に記載の物品保管設備。
【請求項4】
前記物品保持体は、前記物品の種類ごとに予め定められた規定保持数までの前記物品を保持可能であり、
単位期間あたりに前記取出作業部で取り出される前記物品の数を単位期間取出数として、
前記規定保持数が少なくなるに従って多くなると共に、前記単位期間取出数が多くなるに従って多くなる調整数N(Nは自然数)が、前記対象種類ごとに定められており、
前記第1収納部の数は、全ての前記対象種類のそれぞれについての前記調整数Nを合計した数と同じである、請求項1又は2に記載の物品保管設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を保管する物品保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品保管設備の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の物品保管設備は、それぞれが複数の物品(20)を保持可能な複数の物品保持体(18)を保管可能に構成された保管庫(4)と、物品保持体(18)から物品(20)を取り出す作業が行われる取出作業部(27)と、保管庫(4)と取出作業部(27)との間で物品保持体(18)の搬送を行う搬送装置(6)と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の物品保管設備では、保管庫(4)は、複数の保管棚(10a~10f)と、それぞれが対応する保管棚に対して物品保持体(18)の移載を行うように制御システム(8)により制御される複数のスタッカクレーン(12a~12c)と、を備えている。このように、上記の物品保管設備では、保管庫(4)全体において物品保持体(18)の入出庫作業を自動化することで、稼働効率を高めている。
【0006】
しかしながら、上記の通り、保管庫(4)全体が自動化されているため、物品保管設備の設置費用が高くなる点で不利である。そこで、保管庫(4)の一部において、物品保持体(18)の入出庫作業を作業者が手動で行う等、自動化の程度を低くして設備費用の低減を図ることが考えられる。しかしながら、このような構成では、物品保管設備の稼働効率が悪化し易い。
【0007】
そこで、設置費用を低く抑えつつ、稼働効率を高めることが可能な物品保管設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みた、物品保管設備の特徴構成は、
それぞれが複数の物品を保持可能な複数の物品保持体を保管可能に構成された第1保管庫と、
複数の前記物品保持体を保管可能に構成され、前記第1保管庫に比べて自動化の程度が低い第2保管庫と、
オーダー情報により指定される前記物品の種類をオーダー種類とし、前記オーダー情報により指定される、前記オーダー種類の前記物品の数をオーダー数として、前記物品保持体から前記オーダー種類の前記物品を前記オーダー数取り出す作業である取出作業が行われる取出作業部と、
前記第1保管庫と前記取出作業部との間、及び、前記第2保管庫と前記取出作業部との間で、前記物品保持体の搬送を行う搬送装置と、
前記オーダー情報に基づいて、前記第1保管庫、前記第2保管庫、及び前記搬送装置を制御する制御システムと、を備えた物品保管設備であって、
複数の前記物品保持体のそれぞれには、単一種類の前記物品が保持され、
前記第1保管庫は、それぞれが前記物品保持体を収納可能に構成された複数の第1収納部を備え、
前記第2保管庫は、それぞれが前記物品保持体を収納可能に構成された複数の第2収納部を備え、
前記オーダー情報による指定の対象となる全種類の前記物品のうち、前記第1保管庫に保管される前記物品の種類を対象種類として、
前記第1収納部の数は、前記対象種類の総数以上であり、
前記第2収納部の数は、前記第1収納部の数よりも多く、
前記制御システムは、
前記オーダー情報を受け付けた場合に、前記オーダー種類の前記物品が保持された前記物品保持体を、前記第2保管庫よりも前記第1保管庫が優先されるように、前記搬送装置により前記第1保管庫及び前記第2保管庫のいずれかから出庫して前記取出作業部へ搬送させる出庫処理を実行するように構成されている点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、出庫処理において、第1保管庫に保管された物品保持体が優先的に出庫される。これにより、第2保管庫に比べて自動化の程度が高い第1保管庫を優先的に稼働させることができる。したがって、物品保管設備の稼働効率を高めることができる。
また、本特徴構成によれば、第1保管庫に比べて、物品保持体の出庫頻度が低くなる第2保管庫の自動化の程度が低く、第1保管庫の第1収納部の数よりも第2保管庫の第2収納部の数が多い。これにより、物品保管設備の稼働効率を維持しつつ、物品保管設備全体での自動化の程度を低く抑えることができる。したがって、物品保管設備の設置費用を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る物品保管設備が設置された建屋の一フロアを示す図
【
図2】実施形態に係る物品保管設備が設置された建屋の別フロアを示す図
【
図3】実施形態に係る物品保管設備の制御ブロック図
【
図4】第1出庫処理及び作業後入庫処理の一例を示す図
【
図5】第1出庫処理、第2出庫処理、作業後入庫処理、及び空保持体保管処理の一例を示す図
【
図6】第1出庫処理、第2出庫処理、作業後入庫処理、及び空保持体保管処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、実施形態に係る物品保管設備100について、図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、物品保管設備100は、第1保管庫1と、第2保管庫2と、取出作業部3と、搬送装置4と、を備えている。
【0012】
本実施形態では、物品保管設備100は、複数階から成る建屋Bに設置されている。本実施形態では、第1保管庫1は、建屋Bの2階部分に設置されている。そして、第2保管庫2は、建屋Bの3階部分に設置されている。つまり、本実施形態では、第1保管庫1と第2保管庫2とが、上下方向における異なるフロアに設置されている。また、本実施形態では、取出作業部3は、建屋Bの2階部分に設置されている。つまり、本実施形態では、取出作業部3は、第1保管庫1が設置されたフロアに設けられている。
【0013】
第1保管庫1及び第2保管庫2のそれぞれは、複数の物品保持体8(
図4等参照)を保管可能に構成されている。
【0014】
図1に示すように、本実施形態では、第1保管庫1は、複数の自動倉庫11を備えている。複数の自動倉庫11のそれぞれは、それぞれが複数の物品保持体8を保管可能に構成された一対の第1保管棚12と、走行レール13aに沿って移動して物品保持体8を搬送するスタッカクレーン13と、を備えている。
【0015】
一対の第1保管棚12は、走行レール13aを挟んで互いに対向するように配置されている。一対の第1保管棚12のそれぞれは、複数の第1収納部12aを備えている。複数の第1収納部12aのそれぞれは、物品保持体8を収納可能に構成されている。複数の第1収納部12aは、走行レール13aに沿って並んで配置されていると共に、上下方向に沿って並んで配置されている。
【0016】
スタッカクレーン13は、入出庫コンベヤ14から物品保持体8を受け取り、当該物品保持体8を所定の第1収納部12aに収納する。また、スタッカクレーン13は、所定の第1収納部12aから物品保持体8を取り出し、当該物品保持体8を入出庫コンベヤ14に載置する。
【0017】
入出庫コンベヤ14は、スタッカクレーン13との間での物品保持体8の受け渡し位置と、搬送装置4との間での物品保持体8の受け渡し位置との間で、物品保持体8を搬送可能に構成されている。
【0018】
図4に示すように、複数の物品保持体8のそれぞれは、複数の物品9を保持可能に構成されている。複数の物品保持体8のそれぞれには、単一種類の物品9が保持されている。本実施形態では、物品保持体8は、複数の物品9が載置されるパレットである。なお、
図4において、複数の物品9のそれぞれに記したアルファベットは、物品9の種類を示しており、以下、
図5等でも同様とする。
【0019】
物品保持体8は、物品9の種類ごとに予め定められた規定保持数までの物品9を保持可能に構成されている。本例では、物品保持体8は、種類が「A」の物品9であれば9個まで、種類が「B」の物品9であれば12個まで、種類が「C」の物品9であれば4個まで保持可能である。なお、
図4では、説明の便宜上、紙面奥行方向には、図示されたもの以外の物品9は存在していないものとし、以下、
図5等でも同様とする。
【0020】
取出作業部3では、物品保持体8からオーダー種類の物品9をオーダー数取り出す作業である取出作業が行われる。ここで、「オーダー種類」とは、オーダー情報により指定される物品9の種類である。そして、「オーダー数」とは、オーダー情報により指定される、オーダー種類の物品9の数である。
【0021】
第1保管庫1には、オーダー情報による指定の対象となる全種類の物品9が保管されても良いし、オーダー情報による指定の対象となる全種類のうちの一部の物品9が保管されても良い。以下では、オーダー情報による指定の対象となる全種類の物品9のうち、第1保管庫1に保管される物品9の種類を「対象種類」とする。
【0022】
第1保管庫1が備える第1収納部12aの数は、対象種類の総数以上に設定されている。そして、1つの対象種類について少なくとも1つの物品保持体8が第1保管庫1に保管される。つまり、1つの対象種類について少なくとも1つの第1収納部12aが対応している。本実施形態では、第1収納部12aの数は、対象種類の総数と同一に設定されている。そして、1つの対象種類について1つの物品保持体8が第1保管庫1に保管される。つまり、複数の第1収納部12aのそれぞれには、第1収納部12aごとに物品9の種類が異なるように物品保持体8が収納される。このように、本実施形態では、1つの対象種類について1つの第1収納部12aが対応している。
【0023】
図1に示すように、搬送装置4は、第1保管庫1と取出作業部3との間、及び、第2保管庫2と取出作業部3との間で、物品保持体8の搬送を行う装置である。本実施形態では、搬送装置4は、複数の周回搬送台車41と、第1搬送台車42と、第1接続コンベヤ43と、一対の第1昇降装置44と、第2搬送台車45と、第2接続コンベヤ46と、第2昇降装置47と、一対の第3昇降装置48と、を備えている。
【0024】
複数の周回搬送台車41のそれぞれは、環状の周回レール41aに沿って走行可能に構成されている。複数の周回搬送台車41のそれぞれは、物品保持体8を搬送可能に構成されている。複数の周回搬送台車41のそれぞれは、入出庫コンベヤ14に対して物品保持体8を受け渡し可能に構成されている。
【0025】
第1搬送台車42は、直線状の第1レール42aに沿って走行可能に構成されている。第1搬送台車42は、物品保持体8を搬送可能に構成されている。
【0026】
第1接続コンベヤ43は、周回レール41aと第1レール42aとを接続するように配置されたコンベヤである。第1接続コンベヤ43は、第1搬送台車42から渡された物品保持体8を周回レール41aに向けて搬送する。周回搬送台車41は、第1接続コンベヤ43から物品保持体8を受け取る。本実施形態では、第1接続コンベヤ43は、直線状に形成されている。そして、第1接続コンベヤ43は、第1レール42aの延在方向における中央部に接続するように、第1レール42aに対して直交して配置されている。
【0027】
一対の第1昇降装置44のそれぞれは、異なるフロア間で上下方向に物品保持体8を搬送する装置である。本実施形態では、一対の第1昇降装置44のそれぞれは、建屋Bの2階部分(
図1参照)と3階部分(
図2参照)との間で、物品保持体8を昇降するように構成されている。
【0028】
また、一対の第1昇降装置44のそれぞれは、第1搬送台車42との間で物品保持体8の受け渡しを行えるように、第1レール42aに隣接して配置されている。本実施形態では、一対の第1昇降装置44のそれぞれは、建屋Bの3階部分から2階部分に物品保持体8を搬送する。そして、第1昇降装置44により建屋Bの3階部分から2階部分に搬送された物品保持体8は、第1搬送台車42に渡される。また、本実施形態では、一対の第1昇降装置44は、第1レール42aの両端部に隣接して配置されている。
【0029】
第2搬送台車45は、直線状の第2レール45aに沿って走行可能に構成されている。第2搬送台車45は、物品保持体8を搬送可能に構成されている。
【0030】
第2接続コンベヤ46は、周回レール41aと第2レール45aとを接続するように配置されたコンベヤである。第2接続コンベヤ46は、第2搬送台車45から渡された物品保持体8を周回レール41aに向けて搬送する。周回搬送台車41は、第2接続コンベヤ46から物品保持体8を受け取る。本実施形態では、第2接続コンベヤ46は、直線状に形成されている。そして、第2接続コンベヤ46は、第2レール45aの延在方向における中央部に接続するように、第2レール45aに対して直交して配置されている。
【0031】
第2昇降装置47は、異なるフロア間で上下方向に物品保持体8を搬送する装置である。本実施形態では、第2昇降装置47は、建屋Bの2階部分(
図1参照)と3階部分(
図2参照)との間で、物品保持体8を昇降するように構成されている。
【0032】
また、第2昇降装置47は、第2搬送台車45との間で物品保持体8の受け渡しを行えるように、第2レール45aに隣接して配置されている。本実施形態では、第2搬送台車45により搬送されている物品保持体8は、第2昇降装置47に渡される。そして、第2昇降装置47は、建屋Bの2階部分から3階部分に物品保持体8を搬送する。また、本実施形態では、第2昇降装置47は、第2レール45aの一方の端部に隣接して配置されている。
【0033】
一対の第3昇降装置48のそれぞれは、異なるフロア間で上下方向に物品保持体8を搬送する装置である。本実施形態では、一対の第3昇降装置48のそれぞれは、建屋Bの2階部分(
図1参照)と1階部分(図示を省略)との間で、物品保持体8を昇降するように構成されている。なお、本実施形態では、建屋Bの1階部分において、物品保管設備100に対する物品保持体8の入出荷作業が行われる。
【0034】
また、一対の第3昇降装置48のそれぞれは、第2搬送台車45との間で物品保持体8の受け渡しを行えるように、第2レール45aに隣接して配置されている。本実施形態では、一対の第3昇降装置48のそれぞれは、建屋Bの1階部分から2階部分に物品保持体8を搬送する。そして、第3昇降装置48により建屋Bの1階部分から2階部分に搬送された物品保持体8は、第2搬送台車45に渡される。本実施形態では、一対の第3昇降装置48は、互いに隣接した状態で、第2レール45aの他方の端部に隣接して配置されている。
【0035】
本実施形態では、取出作業部3は、第1作業部31と、第2作業部32と、第3作業部33と、を含む。
【0036】
第1作業部31は、比較的安定した荷姿で複数段に亘って積載されている物品9を作業対象としている。第1作業部31は、複数の層別デパレタイザ311を備えている。
【0037】
複数の層別デパレタイザ311のそれぞれは、周回搬送台車41から物品保持体8を受け取り、当該物品保持体8からオーダー種類の物品9をオーダー数取り出す取出作業を行うように構成されている。また、複数の層別デパレタイザ311のそれぞれは、取出作業が完了した物品保持体8を周回搬送台車41に渡すように構成されている。複数の層別デパレタイザ311のそれぞれは、物品保持体8から一段分の物品9を一括で取り出し可能に構成されている。
【0038】
本実施形態では、層別デパレタイザ311により取り出された物品9は、当該層別デパレタイザ311に隣接して配置された第1荷揃え用コンベヤ312に渡される。第1荷揃え用コンベヤ312は、層別デパレタイザ311により取り出された物品9を、建屋Bの1階部分に設置された、荷揃え作業が行われる荷揃え作業部(図示を省略)に搬送する。
【0039】
また、本実施形態では、周回レール41aにおける第1作業部31に対して物品保持体8の搬送方向における下流側の部分に隣接する領域に、第1空保持体保管部313が設けられている。第1空保持体保管部313は、第1作業部31における物品保持体8に対する取出作業の完了後に、物品9を保持していない状態となった物品保持体8を保管可能に構成されている。
【0040】
第2作業部32は、第1作業部31で対応できない物品9(例えば、複数段に亘って物品9が積載されている場合において、1段分を構成する物品9よりも少ない数の物品9を取り出す場合等)を作業対象としている。第2作業部32は、複数の第1ピッキング用コンベヤ321と、複数のピッキングロボット322と、を備えている。複数の第1ピッキング用コンベヤ321及び複数のピッキングロボット322は、1つの第1ピッキング用コンベヤ321に対して1つのピッキングロボット322が対応するように、同数設けられている。
【0041】
複数の第1ピッキング用コンベヤ321のそれぞれは、周回搬送台車41から物品保持体8を受け取り、対応するピッキングロボット322に向けて搬送する。複数のピッキングロボット322のそれぞれは、対応する第1ピッキング用コンベヤ321により搬送された物品保持体8からオーダー種類の物品9をオーダー数取り出す取出作業を行うように構成されている。
【0042】
本実施形態では、ピッキングロボット322により取り出された物品9は、当該ピッキングロボット322に隣接して配置された第2荷揃え用コンベヤ323に渡される。第2荷揃え用コンベヤ323は、ピッキングロボット322により取り出された物品9を、建屋Bの1階部分に設置された、荷揃え作業が行われる荷揃え作業部(図示を省略)に搬送する。
【0043】
また、複数の第1ピッキング用コンベヤ321のそれぞれは、対応するピッキングロボット322による取出作業が完了した物品保持体8を、周回搬送台車41に渡すように構成されている。
【0044】
本実施形態では、周回レール41aにおける第2作業部32に対して物品保持体8の搬送方向における下流側の部分に隣接する領域に、第2空保持体保管部324が設けられている。第2空保持体保管部324は、第2作業部32における物品保持体8に対する取出作業の完了後に、物品9を保持していない状態となった物品保持体8を保管可能に構成されている。
【0045】
第3作業部33は、第1作業部31及び第2作業部32で対応できない物品9(例えば、複数の物品9が不安定な荷姿で積載されている場合、複数の物品9が互いに結束されている場合等)を作業対象としている。第3作業部33は、複数の第2ピッキング用コンベヤ331を備えている。第3作業部33では、複数の第2ピッキング用コンベヤ331のそれぞれに対応して、取出作業を行う作業者Wが配置される。
【0046】
複数の第2ピッキング用コンベヤ331のそれぞれは、周回搬送台車41から物品保持体8を受け取り、対応する作業者Wに向けて搬送する。作業者Wは、対応する第2ピッキング用コンベヤ331により搬送された物品保持体8からオーダー種類の物品9をオーダー数取り出す取出作業を行う。
【0047】
本実施形態では、作業者Wにより取り出された物品9は、当該作業者Wに隣接して配置された第3荷揃え用コンベヤ332に渡される。第3荷揃え用コンベヤ332は、作業者Wにより取り出された物品9を、建屋Bの1階部分に設置された、荷揃え作業が行われる荷揃え作業部(図示を省略)に搬送する。
【0048】
また、複数の第2ピッキング用コンベヤ331のそれぞれは、対応する作業者Wによる取出作業が完了した物品保持体8を、周回搬送台車41に渡すように構成されている。
【0049】
本実施形態では、周回レール41aにおける第3作業部33に対して物品保持体8の搬送方向における下流側の部分に隣接する領域に、第3空保持体保管部333が設けられている。第3空保持体保管部333は、第3作業部33における物品保持体8に対する取出作業の完了後に、物品9を保持していない状態となった物品保持体8を保管可能に構成されている。
【0050】
図2に示すように、本実施形態では、第2保管庫2は、複数の第2保管棚21を備えている。複数の第2保管棚21のそれぞれは、複数の第2収納部21aを備えている。複数の第2収納部21aのそれぞれは、物品保持体8を収納可能に構成されている。
【0051】
本実施形態では、複数の第2保管棚21のそれぞれは、一対の固定棚22と、複数の移動棚23と、を含む。
【0052】
一対の固定棚22のそれぞれにおいては、複数の第2収納部21aが上下方向視で一定の方向に並んで配置されていると共に、上下方向に沿って並んで配置されている。また、複数の移動棚23のそれぞれにおいては、複数の第2収納部21aが上下方向視で固定棚22における第2収納部21aの並び方向に沿って並んで配置されていると共に、上下方向に沿って並んで配置されている。
【0053】
一対の固定棚22は、上下方向視でそれらの第2収納部21aの並び方向に直交する方向に沿って、互いに離間した状態で配置されている。複数の移動棚23は、一対の固定棚22の間に配置されている。複数の移動棚23は、上下方向視でそれらの第2収納部21aの並び方向に直交する方向に沿って、並んで配置されている。複数の移動棚23のそれぞれは、複数の移動棚23の並び方向に沿って移動可能に構成されている。複数の移動棚23の一部又は全部が移動することで、任意の隣接する一対の移動棚23の間、又は、固定棚22と当該固定棚22に隣接する移動棚23との間に、作業者が操縦するフォークリフトFのための走行通路Aが形成される。
【0054】
本実施形態では、作業者が操作パネルを操作することにより、所望の走行通路Aが形成されるように所定の移動棚23が移動する。そして、作業者が操縦するフォークリフトFにより、物品保持体8が所定の第2収納部21aと、一対の第1昇降装置44のいずれか又は第2昇降装置47との間で搬送される。このように、第2保管庫2は、第1保管庫1に比べて自動化の程度が低く構成されている。
【0055】
ここで、各保管庫の「自動化の程度」は、各保管庫が備える、収納部と搬送装置4との間で自動的に物品保持体8を搬送する自動搬送機器(例えば、スタッカクレーン13等)の数、及び当該自動搬送機器の設置状況等に基づいて判断される。各保管庫の「自動化の程度」は、例えば、各保管庫における物品保持体8の全搬送距離に占める自動搬送機器による搬送距離の割合としても良いし、各保管庫の収納可能量に対する自動搬送機器の数の割合(例えば、各保管庫が備える収納部の数に対する自動搬送機器の数の割合、或いは、各保管庫の容積の値に対する自動搬送機器の数の割合等)としても良いし、単に各保管庫が備える自動搬送機器の数としても良い。本実施形態では、第1保管庫1に、自動搬送機器としてのスタッカクレーン13が複数設けられている。一方、第2保管庫2には、作業者により操縦されるフォークリフトFが設けられているが、スタッカクレーンのような自動搬送機器は設けられていない。そのため、各保管庫の「自動化の程度」として、上記のいずれかの尺度を用いる場合、第1保管庫1の自動化の程度は正の数となり、第2保管庫2の自動化の程度は零となる。したがって、第2保管庫2の自動化の程度は、第1保管庫1の自動化の程度よりも低くなっている。
【0056】
第2保管庫2が備える第2収納部21aの数は、第1保管庫1が備える第1収納部12aの数よりも多い。本実施形態では、第2保管庫2は、第1保管庫1に比べて、単位容積あたりの物品保持体8の保管数が多い。
【0057】
図1に示すように、本実施形態では、物品保管設備100は、第3保管庫5を更に備えている。第3保管庫5は、複数の物品保持体8を保管可能に構成されている。本実施形態では、第3保管庫5は、建屋Bの2階部分に設置されている。つまり、本実施形態では、第3保管庫5は、第1保管庫1が設置されたフロアに設けられている。
【0058】
第3保管庫5は、複数の載置部51を備えている。複数の載置部51のそれぞれは、複数の物品保持体8を平置き可能に構成されている。つまり、複数の載置部51のそれぞれは、建屋Bの床面により構成されている。
【0059】
本実施形態では、第3保管庫5に対する物品保持体8の入出庫作業は、作業者がフォークリフトF等を用いて手動で行われる。このように、第3保管庫5は、第2保管庫2に比べて自動化の程度が低く構成されている。
【0060】
本実施形態では、第2保管庫2から出庫された物品保持体8のうち、オーダー情報による指定の対象となる種類の一部の物品9が保持された物品保持体8は、第1保管庫1に保管され、残りの種類の物品9が保持された物品保持体8は、第3保管庫5に保管される。つまり、本実施形態では、対象種類は、オーダー情報による指定の対象となる物品9の種類の一部である。
【0061】
上述したように、第1保管庫1には、1つの対象種類について少なくとも1つの第1収納部12aが対応するように、対象種類の物品9を保持する物品保持体8が保管される。本実施形態では、対象種類の物品9の単位期間取出数は、予め定められた基準値以上である。そして、第3保管庫5には、単位期間取出数が上記の基準値未満である物品9を保持する物品保持体8が保管される。ここで、「単位期間取出数」とは、単位期間あたりに取出作業部3で取り出される物品9の数である。このように、本実施形態では、出庫頻度が比較的高い物品9を保持する物品保持体8が第1保管庫1に保管され、出庫頻度が比較的低い物品9を保持する物品保持体8が第3保管庫5に保管される。
【0062】
図3に示すように、物品保管設備100は、オーダー情報に基づいて、第1保管庫1、第2保管庫2、及び搬送装置4を制御する制御システム10を備えている。
【0063】
本実施形態では、制御システム10による第1保管庫1の制御は、スタッカクレーン13及び入出庫コンベヤ14の動作の制御と、第1収納部12aに保管された物品保持体8の数、並びに物品保持体8に保持された物品9の種類及び数の管理とを含む。また、制御システム10による第2保管庫2の制御は、作業者によるフォークリフトFの操縦及び作業者による移動棚23の移動操作に関する作業指示の出力(例えば、作業者が保持するタブレット端末への表示)と、第2収納部21aに保管された物品保持体8の数、並びに物品保持体8に保持された物品9の種類及び数の管理とを含む。また、制御システム10による搬送装置4の制御は、周回搬送台車41、第1搬送台車42、第1接続コンベヤ43、第1昇降装置44、第2搬送台車45、第2接続コンベヤ46、第2昇降装置47、及び第3昇降装置48の動作の制御を含む。
【0064】
本実施形態では、制御システム10は、オーダー情報に基づいて、取出作業部3も制御する。制御システム10による取出作業部3の制御は、層別デパレタイザ311、第1荷揃え用コンベヤ312、第1ピッキング用コンベヤ321、ピッキングロボット322、第2荷揃え用コンベヤ323、第2ピッキング用コンベヤ331、及び第3荷揃え用コンベヤ332の動作の制御を含む。
【0065】
制御システム10は、第1出庫処理と、第2出庫処理と、作業後入庫処理と、を実行するように構成されている。
【0066】
図4に示すように、第1出庫処理は、制御システム10がオーダー情報を受け付けた場合に、オーダー種類の物品9が保持された物品保持体8である対象保持体8Tを、搬送装置4により第1保管庫1から出庫して取出作業部3へ搬送させる処理である。
【0067】
本実施形態の第1出庫処理では、スタッカクレーン13により、第1保管棚12における所定の第1収納部12aから対象保持体8Tが取り出され、入出庫コンベヤ14に載置される。そして、入出庫コンベヤ14に載置されて出庫方向に搬送された対象保持体8Tは、周回搬送台車41により受け取られた後、対象保持体8Tに保持された複数の物品9の状態等に応じて、取出作業部3の第1作業部31、第2作業部32、及び第3作業部33のいずれかに搬送される(
図1参照)。
【0068】
図4に示すように、作業後入庫処理は、取出作業部3における対象保持体8Tに対する取出作業の完了後、当該対象保持体8Tに物品9が残っている場合に、当該対象保持体8Tを搬送装置4により第1保管庫1へ搬送させる制御である。
【0069】
本実施形態の作業後入庫処理では、取出作業の完了後に物品9が残っている対象保持体8Tは、周回搬送台車41により受け取られた後、第1保管庫1に向けて搬送される。そして、周回搬送台車41により第1保管庫1に搬送された対象保持体8Tは、入出庫コンベヤ14に載置されて入庫方向に搬送された後、スタッカクレーン13により受け取られ、第1保管棚12における所定の第1収納部12aに収納される(
図1参照)。
【0070】
図5に示すように、第2出庫処理は、第1出庫処理において出庫される対象保持体8Tに保持された物品9の数がオーダー数より少ない場合、又は、対象保持体8Tが第1保管庫1に存在しない場合に、搬送装置4により第2保管庫2から対象保持体8Tを出庫して取出作業部3へ搬送させる処理である。
図5には、第2出庫処理の一例として、第1出庫処理において出庫される対象保持体8Tに保持された物品9(ここでは、種類が「B」の物品9)の数(ここでは、6)がオーダー数(ここでは、8)より少ない場合に、第2保管庫2から対象保持体8Tを出庫して取出作業部3へ搬送させる処理を示している。
【0071】
このように、制御システム10は、対象保持体8Tを第1保管庫1から出庫する第1出庫処理を実行し、第1出庫処理において出庫される対象保持体8Tに保持された物品9の数がオーダー数より少ない場合、又は、対象保持体8Tが第1保管庫1に存在しない場合に、第2保管庫2から対象保持体8Tを出庫する第2出庫処理を実行する。つまり、制御システム10は、オーダー情報を受け付けた場合に、オーダー種類の物品9が保持された物品保持体8(対象保持体8T)を、第2保管庫2よりも第1保管庫1が優先されるように、搬送装置4により第1保管庫1及び第2保管庫2のいずれかから出庫して取出作業部3へ搬送させる「出庫処理」を行う。
【0072】
本実施形態の第2出庫処理では、作業者が操縦するフォークリフトFにより第2保管棚21における所定の第2収納部21aから一対の第1昇降装置44のいずれかに搬送された対象保持体8Tが、当該第1昇降装置44により建屋Bの3階部分から2階部分に搬送される(
図2参照)。そして、第1昇降装置44により建屋Bの2階部分に搬送された対象保持体8Tは、第1搬送台車42により受け取られ、第1接続コンベヤ43に向けて搬送される。第1搬送台車42により第1接続コンベヤ43に搬送された対象保持体8Tは、第1接続コンベヤ43により周回レール41aに向けて搬送され、周回搬送台車41により受け取られる。周回搬送台車41により受け取られた対象保持体8Tは、当該対象保持体8Tに保持された複数の物品9の状態等に応じて、取出作業部3の第1作業部31、第2作業部32、及び第3作業部33のいずれかに搬送される(
図1参照)。
【0073】
図5に示すように、本実施形態では、制御システム10は、第2出庫処理において、第2保管庫2に規定保持数未満の物品9を保持した対象保持体8Tがある場合には、当該対象保持体8Tを搬送装置4により出庫して取出作業部3へ搬送させる。
図5に示す例では、第2保管庫2に規定保持数(ここでは、12)未満の物品9(ここでは、種類が「B」の物品9)を保持した対象保持体8Tが存在しているため、当該対象保持体8Tが取出作業部3に搬送される。
【0074】
本実施形態では、制御システム10は、空保持体保管処理を更に実行するように構成されている。
図5に示すように、空保持体保管処理は、取出作業部3における対象保持体8Tに対する取出作業の完了後、当該対象保持体8Tが物品9を保持していない物品保持体8である空保持体8Eとなった場合には、当該空保持体8Eを予め定められた空保持体保管部34へ搬送装置4により搬送させる制御である。本実施形態では、空保持体保管部34は、第1空保持体保管部313、第2空保持体保管部324、及び第3空保持体保管部333を含む(
図1参照)。
【0075】
図6は、制御システム10による第1出庫処理、第2出庫処理、作業後入庫処理、及び空保持体保管処理の一例を示すフローチャートである。
【0076】
図6に示すように、まず、制御システム10は、オーダー種類及びオーダー数を含むオーダー情報を受け付ける(ステップ#1)。
【0077】
制御システム10は、オーダー情報を受け付けた場合に、オーダー種類の物品9が保持された物品保持体8である対象保持体8Tが、第1保管庫1に存在するか否かを判定する(ステップ#2)。そして、制御システム10は、対象保持体8Tが第1保管庫1に存在する場合(ステップ#2:Yes)、当該対象保持体8Tに保持された物品9の数がオーダー数以上であるか否かを判定する(ステップ#3)。
【0078】
制御システム10は、対象保持体8Tに保持された物品9の数がオーダー数以上である場合(ステップ#3:Yes)、搬送装置4により第1保管庫1から対象保持体8Tを出庫して取出作業部3へ搬送させる(ステップ#4)。
【0079】
一方、制御システム10は、対象保持体8Tが第1保管庫1に存在しない場合(ステップ#2:No)、又は、対象保持体8Tに保持された物品9の数がオーダー数より少ない場合(ステップ#3:No)、第2保管庫2に規定保持数未満の物品9を保持した対象保持体8Tが存在するか否かを判定する(ステップ#5)。
【0080】
制御システム10は、第2保管庫2に規定保持数未満の物品9を保持した対象保持体8Tが存在する場合(ステップ#5:Yes)、当該対象保持体8Tを搬送装置4により出庫して取出作業部3へ搬送させる(ステップ#6)。
【0081】
一方、制御システム10は、第2保管庫2に規定保持数未満の物品9を保持した対象保持体8Tが存在しない場合(ステップ#5:No)、規定保持数の物品9を保持した対象保持体8Tを搬送装置4により出庫して取出作業部3へ搬送させる(ステップ#7)。
【0082】
制御システム10は、取出作業部3に搬送された対象保持体8Tに対する取出作業を行うように取出作業部3を制御する(ステップ#8)。本例では、制御システム10は、取出作業部3の第1作業部31に対象保持体8Tが搬送された場合には、当該対象保持体8Tに対する取出作業を層別デパレタイザ311に行わせる。また、制御システム10は、取出作業部3の第2作業部32に対象保持体8Tが搬送された場合には、当該対象保持体8Tに対する取出作業をピッキングロボット322に行わせる。
【0083】
制御システム10は、取出作業部3における対象保持体8Tに対する取出作業の完了後、当該対象保持体8Tに物品9が残っているか否かを判定する(ステップ#9)。
【0084】
制御システム10は、取出作業部3における対象保持体8Tに対する取出作業の完了後、当該対象保持体8Tに物品9が残っている場合(ステップ#9:Yes)、当該対象保持体8Tを搬送装置4により第1保管庫1へ搬送させる(ステップ#10)。
【0085】
一方、制御システム10は、取出作業部3における対象保持体8Tに対する取出作業の完了後、当該対象保持体8Tに物品9が残っていない場合(ステップ#9:No)、当該対象保持体8T、つまり、空保持体8Eを搬送装置4により空保持体保管部34へ搬送させる(ステップ#11)。
【0086】
本例では、上記ステップ#1,#4が、第1出庫処理に対応する。そして、上記ステップ#2~#3,#5~#7が、第2出庫処理に対応する。また、上記ステップ#9~#10が、作業後入庫処理に対応する。また、上記ステップ#9,#11が、空保持体保管処理に対応する。
【0087】
図7に示すように、本実施形態では、物品保管設備100は、少なくとも1つの物品9を保持した物品保持体8が受け入れられる入庫部6を更に備えている。そして、搬送装置4は、第1保管庫1と入庫部6との間、及び、第2保管庫2と入庫部6との間においても、物品保持体8の搬送を行うように構成されている。本実施形態では、物品保管設備100に対する物品保持体8の入荷作業が行われる建屋Bの1階部分(図示を省略)から、建屋Bの2階部分(
図1参照)まで物品保持体8を搬送する一対の第3昇降装置48が、入庫部6として機能する。
【0088】
本実施形態では、制御システム10は、入庫部6において受け入れられた物品保持体8である入庫保持体8Iを、第1保管庫1及び第2保管庫2のいずれかに入庫させる新規入庫処理を更に実行するように構成されている。
【0089】
図7に示すように、新規入庫処理では、入庫保持体8Iが規定保持数未満の物品9を保持している場合であって、当該入庫保持体8Iに保持された物品9と同じ種類の物品9が第1保管庫1に存在しない場合に、当該入庫保持体8Iを搬送装置4により第1保管庫1に入庫させる。
【0090】
図8に示すように、新規入庫処理では、入庫保持体8Iが規定保持数未満の物品9を保持している場合であって、当該入庫保持体8Iに保持された物品9と同じ種類の物品9が第1保管庫1に存在する場合、又は、入庫保持体8Iが規定保持数の物品9を保持している場合に、当該入庫保持体8Iを搬送装置4により第2保管庫2に入庫させる。
図8には、新規入庫処理の一例として、入庫保持体8Iが規定保持数(ここでは、4)未満の物品9(ここでは、種類が「C」の物品9が3個)を保持している場合であって、当該入庫保持体8Iに保持された物品9と同じ種類の物品9が第1保管庫1に存在する場合に、当該入庫保持体8Iを第2保管庫2に入庫させる処理を示している。
【0091】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、第1収納部12aの数が対象種類の総数と同一である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1収納部の数が、全ての対象種類のそれぞれについての調整数N(Nは自然数)を合計した数と同一である構成としても良い。ここで、「調整数N(Nは自然数)」とは、対象種類ごとに定められた数であって、物品保持体8についての規定保持数(物品9の種類ごとに予め定められた、物品保持体8が保持可能な物品9の数)が少なくなるに従って多くなると共に、単位期間取出数(単位期間あたりに取出作業部3で取り出される物品9の数)が多くなるに従って多くなる数である。例えば、種類が「A」の物品9について、1日あたりの出庫数が100個であり、規定保持数が50個である場合、1日あたり2個の物品保持体8が必要であるため、当該物品9についての調整数Nを2とすると好適である。また、種類が「B」の物品9について、1日あたりの出庫数が200個であり、規定保持数が20個である場合、1日あたり10個の物品保持体8が必要であるため、当該物品9についての調整数Nを10とすると好適である。なお、調整数Nを自然数とするために、適宜、端数処理を行うと好適である。
【0092】
(2)上記の実施形態では、第1保管庫1が建屋Bの2階部分に設置され、第2保管庫2が建屋Bの3階部分に設置された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1保管庫1及び第2保管庫2の少なくとも一方が複数フロアに亘って設置されていても良い。例えば、建屋Bの3階部分に加えて、建屋Bの4階部分及び5階部分のそれぞれに第2保管庫2が設置されていても良い。
【0093】
(3)上記の実施形態では、物品保持体8が、複数の物品9が載置されるパレットである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、物品保持体8が、複数の物品9が収納される、折り畳みコンテナ、カートン等であっても良い。
【0094】
(4)上記の実施形態では、第1保管庫1がスタッカクレーン13を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1保管庫1が、スタッカクレーン13以外の装置であって、物品保持体8を任意の第1収納部12aとの間で移載可能な装置を備えた構成としても良い。
【0095】
(5)上記の実施形態では、第2保管庫2が固定棚22及び移動棚23を備えた構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第2保管庫2が固定棚22及び移動棚23のいずれか一方のみを備えた構成であっても良い。或いは、第2保管庫2が、第3保管庫5と同様に物品保持体8を平置き可能に構成されていても良い。
【0096】
(6)上記の実施形態では、取出作業部3が第1作業部31、第2作業部32、及び第3作業部33を含む構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、取出作業部3が第1作業部31、第2作業部32、及び第3作業部33のうちの1つ又は2つのみを含む構成としても良い。
【0097】
(7)上記の実施形態では、取出作業部3における対象保持体8Tに対する取出作業の完了後、当該対象保持体8Tに物品9が残っている場合に、当該対象保持体8Tを搬送装置4により第1保管庫1へ搬送させる作業後入庫処理を実行する構成を例として説明した。ところで、取出作業部3における対象保持体8Tに対する取出作業の完了後、当該対象保持体8Tに物品9が残っておらず、作業後入庫処理を実行できない場合がある。このような場合、搬送装置4により対象保持体8Tと同種の物品9を保持する物品保持体8を第2保管庫2から出庫して第1保管庫1へ搬送させる処理を実行しても良い。
【0098】
(8)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0099】
〔本実施形態のまとめ〕
以下では、上記において説明した物品保管設備の概要について説明する。
【0100】
物品保管設備は、
それぞれが複数の物品を保持可能な複数の物品保持体を保管可能に構成された第1保管庫と、
複数の前記物品保持体を保管可能に構成され、前記第1保管庫に比べて自動化の程度が低い第2保管庫と、
オーダー情報により指定される前記物品の種類をオーダー種類とし、前記オーダー情報により指定される、前記オーダー種類の前記物品の数をオーダー数として、前記物品保持体から前記オーダー種類の前記物品を前記オーダー数取り出す作業である取出作業が行われる取出作業部と、
前記第1保管庫と前記取出作業部との間、及び、前記第2保管庫と前記取出作業部との間で、前記物品保持体の搬送を行う搬送装置と、
前記オーダー情報に基づいて、前記第1保管庫、前記第2保管庫、及び前記搬送装置を制御する制御システムと、を備えた物品保管設備であって、
複数の前記物品保持体のそれぞれには、単一種類の前記物品が保持され、
前記第1保管庫は、それぞれが前記物品保持体を収納可能に構成された複数の第1収納部を備え、
前記第2保管庫は、それぞれが前記物品保持体を収納可能に構成された複数の第2収納部を備え、
前記オーダー情報による指定の対象となる全種類の前記物品のうち、前記第1保管庫に保管される前記物品の種類を対象種類として、
前記第1収納部の数は、前記対象種類の総数以上であり、
前記第2収納部の数は、前記第1収納部の数よりも多く、
前記制御システムは、
前記オーダー情報を受け付けた場合に、前記オーダー種類の前記物品が保持された前記物品保持体を、前記第2保管庫よりも前記第1保管庫が優先されるように、前記搬送装置により前記第1保管庫及び前記第2保管庫のいずれかから出庫して前記取出作業部へ搬送させる出庫処理を実行するように構成されている。
【0101】
この構成によれば、出庫処理において、第1保管庫に保管された物品保持体が優先的に出庫される。これにより、第2保管庫に比べて自動化の程度が高い第1保管庫を優先的に稼働させることができる。したがって、物品保管設備の稼働効率を高めることができる。
また、本構成によれば、第1保管庫に比べて、物品保持体の出庫頻度が低くなる第2保管庫の自動化の程度が低く、第1保管庫の第1収納部の数よりも第2保管庫の第2収納部の数が多い。これにより、物品保管設備の稼働効率を維持しつつ、物品保管設備全体での自動化の程度を低く抑えることができる。したがって、物品保管設備の設置費用を低く抑えることができる。
【0102】
ここで、前記第2保管庫に比べて自動化の程度が低い第3保管庫を更に備え、
単位期間あたりに前記取出作業部で取り出される前記物品の数を単位期間取出数として、
前記対象種類の前記物品の前記単位期間取出数は、予め定められた基準値以上であり、
前記第1保管庫には、1つの前記対象種類について少なくとも1つの前記第1収納部が対応するように、前記対象種類の前記物品を保持する前記物品保持体が保管され、
前記第3保管庫には、前記単位期間取出数が前記基準値未満である前記物品を保持する前記物品保持体が保管されると好適である。
【0103】
この構成によれば、単位期間取出数が基準値以上である全ての対象種類についての物品保持体を保管するためのスペースを、常に第1保管庫に確保することができる。これにより、オーダー情報により指定されたオーダー種類の物品が、自動化の程度が比較的高い第1保管庫から出庫されて取出作業部へ搬送される割合を高めることができる。したがって、物品保管設備の稼働効率を高めることができる。
【0104】
また、前記第1収納部の数は、前記対象種類の総数と同じであると好適である。
【0105】
この構成によれば、第1保管庫に、全ての対象種類についての物品保持体を1つずつ保管することができる。これにより、物品保管設備の稼働効率を維持しつつ、第1保管庫の規模を最小限に抑えることができる。
【0106】
また、前記物品保持体は、前記物品の種類ごとに予め定められた規定保持数までの前記物品を保持可能であり、
単位期間あたりに前記取出作業部で取り出される前記物品の数を単位期間取出数として、
前記規定保持数が少なくなるに従って多くなると共に、前記単位期間取出数が多くなるに従って多くなる調整数N(Nは自然数)が、前記対象種類ごとに定められており、
前記第1収納部の数は、全ての前記対象種類のそれぞれについての前記調整数Nを合計した数と同じであると好適である。
【0107】
この構成によれば、対象種類のそれぞれについて適切な量の物品を第1保管庫に保管することができる。これにより、第1保管庫に保管された物品の数がオーダー数に対して不足する事態が生じる頻度を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本開示に係る技術は、物品を保管する物品保管設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
100 :物品保管設備
1 :第1保管庫
12a :第1収納部
2 :第2保管庫
21a :第2収納部
3 :取出作業部
4 :搬送装置
8 :物品保持体
9 :物品
10 :制御システム