(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023706
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01R 24/38 20110101AFI20250207BHJP
【FI】
H01R24/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128076
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保 薫
(72)【発明者】
【氏名】高根 徹
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA16
5E223AA21
5E223AB26
5E223AC05
5E223AC21
5E223BA12
5E223BA15
5E223BA17
5E223BB01
5E223CA13
5E223CB21
5E223CB22
5E223CB25
5E223CB26
5E223CB38
5E223CC09
5E223CD01
5E223DA25
5E223DA34
5E223DA38
5E223DB08
5E223DB11
5E223GA08
5E223GA23
5E223GA53
(57)【要約】
【課題】組付け時や組付け後におけるコネクタの傾きを許容することが可能な電子部品を提供する。
【解決手段】本開示に係る電子部品は、収容空間14を形成するハウジング11と、ハウジング11に支持されてX方向に沿って延びる導体部12と、収容空間14内に配置されて導体部12に接続されるコネクタ13と、を備え、導体部12は、X方向に沿って延びる筒状の外側導体20と、外側導体20の径方向の内側に配置されてX方向に沿って延びてX1側が同軸ケーブルに対して接続可能でありX2側が収容空間14のコネクタ13に対して接続される内側導体19と、を有し、外側導体20のX2側の端部の径方向の内側には、コネクタ13が挿入される受入空間25が区画され、コネクタ13は、X方向に延びる筒状に形成される筒状部32と、筒状部32のX1側の端部に配置されて径方向の外側へ突出した状態で周方向に延びる膨出部33と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の部品に組み付けられることで、当該他の部品と共に収容空間を形成するハウジングと、前記ハウジングに支持されて所定方向に沿って延びる導体部と、前記収容空間内に配置されて前記導体部に接続されるコネクタと、を備える電子部品であって、
前記導体部は、前記所定方向に沿って延びる筒状の外側導体と、前記外側導体の径方向の内側に配置されて前記所定方向に沿って延びて前記所定方向の一側が前記収容空間の外部の接続対象物に対して接続可能であり前記所定方向の他側が前記収容空間の前記コネクタに対して接続される内側導体と、を有し、
前記外側導体の前記他側の端部の径方向の内側には、前記コネクタが挿入される受入空間が区画され、
前記コネクタは、前記所定方向に延びる筒状に形成される筒状部と、前記筒状部の前記一側の端部に配置されて径方向の外側へ突出した状態で周方向に延びる膨出部と、を有する
ことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記コネクタは、前記所定方向に延びる筒状のコネクタシェルと、前記コネクタシェルの径方向の内側に配置されて前記導体部の前記内側導体に接続されるコネクタ端子と、を有し、
前記コネクタシェルは、前記筒状部と前記膨出部とを含み、径方向の内側へ弾性変形可能に形成され、径方向の内側へ弾性変形した状態で前記導体部の前記外側導体の内周面に接触し、
前記コネクタシェルの前記膨出部は、前記コネクタシェルを最も小径に弾性変形させた状態でも、前記筒状部よりも径方向の外側へ突出する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記導体部は、前記内側導体と前記外側導体との間に配置されて前記受入空間よりも前記一側に位置する誘電体を有し、
前記誘電体の前記他側の他側面は、前記収容空間の前記一側を区画する前記ハウジングの一側面よりも前記一側に位置し、
前記外側導体の前記受入空間のうち、前記ハウジングの前記一側面よりも前記一側かつ前記誘電体の前記他側面よりも前記他側の領域は、前記導体部に対して前記コネクタが傾倒した際に、前記コネクタの一部の進入を許容する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記コネクタは、前記他側に位置する基板に接続される基板接続部を有し、
前記導体部の前記外側導体の前記他側の端部には、前記他側へ向かうほど拡径する拡径部が設けられ、
前記外側導体の前記拡径部の内周面は、前記コネクタを前記受入空間へ案内可能であり、
前記コネクタの前記基板接続部は、前記外側導体の前記拡径部よりも径方向の外側へ突出しない
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カメラユニットに用いられるコネクタモジュールが開示されている。カメラユニットは、カメラモジュールと、コネクタモジュールとを有している。カメラモジュールの電子回路が形成された回路基板には、レセプタクルが実装されている。コネクタモジュールは、コネクタケースに内挿されるコネクタを備える。コネクタの端子モジュールは、中心導体と筒状シェルとを有している。コネクタモジュールとカメラモジュールとが電気的に接続された状態では、カメラモジュールのレセプタクルがコネクタモジュールの筒状シェルに挿入され、筒状シェルの軸芯とレセプタクルの導体の軸芯とが一致しており、コネクタモジュールのコネクタの中心導体とカメラモジュールのレセプタクルの導体の双方が電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のカメラユニットでは、レセプタクル(コネクタ)が筒状シェル(外側導体)内に挿入される組付け時や、或いは組付けが完了した組付け後において、筒状シェルの軸芯に対してレセプタクルの軸芯が傾くと、筒状シェルやレセプタクルが破損してしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、組付け時や組付け後におけるコネクタの傾きを許容することが可能な電子部品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、他の部品に組み付けられることで、当該他の部品と共に収容空間を形成するハウジングと、前記ハウジングに支持されて所定方向に沿って延びる導体部と、前記収容空間内に配置されて前記導体部に接続されるコネクタと、を備える電子部品であって、前記導体部は、前記所定方向に沿って延びる筒状の外側導体と、前記外側導体の径方向の内側に配置されて前記所定方向に沿って延びて前記所定方向の一側が前記収容空間の外部の接続対象物に対して接続可能であり前記所定方向の他側が前記収容空間の前記コネクタに対して接続される内側導体と、を有し、前記外側導体の前記他側の端部の径方向の内側には、前記コネクタが挿入される受入空間が区画され、前記コネクタは、前記所定方向に延びる筒状に形成される筒状部と、前記筒状部の前記一側の端部に配置されて径方向の外側へ突出した状態で周方向に延びる膨出部と、を有する。
【0007】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の電子部品であって、前記コネクタは、前記所定方向に延びる筒状のコネクタシェルと、前記コネクタシェルの径方向の内側に配置されて前記導体部の前記内側導体に接続されるコネクタ端子と、を有し、前記コネクタシェルは、前記筒状部と前記膨出部とを含み、径方向の内側へ弾性変形可能に形成され、径方向の内側へ弾性変形した状態で前記導体部の前記外側導体の内周面に接触し、前記コネクタシェルの前記膨出部は、前記コネクタシェルを最も小径に弾性変形させた状態でも、前記筒状部よりも径方向の外側へ突出する。
【0008】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の電子部品であって、前記導体部は、前記内側導体と前記外側導体との間に配置されて前記受入空間よりも前記一側に位置する誘電体を有し、前記誘電体の前記他側の他側面は、前記収容空間の前記一側を区画する前記ハウジングの一側面よりも前記一側に位置し、前記誘電体の前記外側導体の前記受入空間のうち、前記ハウジングの前記一側面よりも前記一側かつ前記誘電体の前記他側面よりも前記他側の領域は、前記導体部に対して前記コネクタが傾倒した際に、前記コネクタの一部の進入を許容する。
【0009】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の電子部品であって、前記コネクタは、前記他側に位置する基板に接続される基板接続部を有し、前記導体部の前記外側導体の前記他側の端部には、前記他側へ向かうほど拡径する拡径部が設けられ、前記外側導体の前記拡径部の内周面は、前記コネクタを前記受入空間へ案内可能であり、前記コネクタの前記基板接続部は、前記外側導体の前記拡径部よりも径方向の外側へ突出しない。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、組付け時や組付け後におけるコネクタの傾きを許容することが可能な電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。
【
図6】導体部とコネクタとが相対的に傾いた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る電子部品を図面に基づいて説明する。なお、各図及び下記の説明において、X方向は所定方向を、X方向のX1側は上記所定方向の一側を、X方向のX2側は上記所定方向の他側をそれぞれ示す。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品の外観斜視図である。
図2は、
図1のII-II矢視断面図である。
図3は、
図2のIII部分の拡大図である。
図4は、導体部の外観斜視図である。
図5は、コネクタの外観斜視図である。
【0014】
(カメラモジュール)
図1に示すように、カメラモジュール1は、レンズ2aを含む撮像ユニット(他の部品)2と、電子部品10とを含む。すなわち、本実施形態に係る電子部品10は、例えば、カメラモジュール1の一部を構成する。電子部品10の所定方向(図中のX方向。以下、「X方向」という。)の一側(以下、「X1側」という。)には、同軸ケーブル(接続対象物)3が導通接続(以下、単に「接続」という。)される。電子部品10のX方向の他側(以下、「X2側」という。)には、撮像ユニット2が組み付けられる。同軸ケーブル3のうち電子部品10に接続される端部とは反対側の端部は、カメラモジュール1からの撮像信号を処理する処理装置(図示省略)等に接続される。カメラモジュール1は、撮像ユニット2によって撮像した撮像信号を、同軸ケーブル3を介して処理装置(図示省略)等に出力する。
【0015】
(電子部品)
図1~
図4に示すように、電子部品10は、ハウジング11と、導体部12と、コネクタ13と、を備える。導体部12とコネクタ13とは、ハウジング11内で接続されている。なお、以下の説明において、導体部12とコネクタ13との接続は、特に説明のない限り、X方向に延びる導体部12の軸芯とX方向に延びるコネクタ13の軸芯とが略同軸になる状態で接続することを意味する。また、以下では、特に説明のない限り、導体部12とコネクタ13とを接続した状態について説明する。
【0016】
(ハウジング)
図1及び
図2に示すように、ハウジング11は、内側に各種の部品を収容する収容空間14を区画する部材であって、例えば、合成樹脂等の絶縁体で形成される。本実施形態のハウジング11は、X2側へ開放される収容空間14を内部に区画する。ハウジング11は、X方向と直交して収容空間14のX1側を区画する内部一側面(一側面)11aと、内部一側面11aの外周の縁からX2側へ延びて収容空間14の側方(X方向と交叉する方向)を区画する内部側面11bとを有する。ハウジング11のX2側には、撮像ユニット2が組み付けられる。収容空間14のX2側は、撮像ユニット2によって閉止される。すなわち、ハウジング11は、他の部品(本実施形態では撮像ユニット2)に組み付けられることで、当該他の部品と共に収容空間14を区画形成する。収容空間14には、撮像ユニット2に対して接続される基板18や、基板18上に搭載されるコネクタ13等が配置される。なお、図には、1つの基板18を図示しているが、基板18を設ける数は1つに限定されるものではない。
【0017】
ハウジング11のX1側の外部には、同軸ケーブル3を着脱可能に連結する連結部15が形成される。連結部15は、X方向に延びる略筒状に形成される。ハウジング11は、連結部15の内部の空間16と収容空間14とを連通する連通孔17を有する。本実施形態の連通孔17は、断面円形状に形成され、X方向に延びる。
【0018】
(導体部)
図2~
図4に示すように、導体部12は、同軸ケーブル3と基板18上のコネクタ13とを導通させるための部分であって、X方向に沿って延びる略棒状に形成される。導体部12は、ハウジング11の連通孔17に挿入された状態でハウジング11に固定支持される。導体部12のX1側は、ハウジング11の連結部15の内部の空間16に露出しており、同軸ケーブル3に対して接続可能となっている。導体部12のX2側は、ハウジング11の収容空間14に露出しており、収容空間14のコネクタ13に対して接続される。
【0019】
導体部12は、中心でのX方向に延びる軸状の内側導体19と、X方向に延びる筒状に形成されてその径方向の内側(本実施形態では略中央)に内側導体19を配置する外側導体20と、内側導体19と外側導体20との間の誘電体21とを有する。
【0020】
(内側導体)
導体部12の内側導体19は、導電性の金属材料で形成したものであり、撮像ユニット2側からの撮像信号を同軸ケーブル3へ伝送するための部材である。内側導体19は、X方向に延びるピン状(軸状)に形成され、外側導体20の径方向の内側(導体部12の中心部)に配置される。内側導体19は、内側導体19を保持する保持部材22、ハウジング11の収容空間14側と連結部15側の空間16との間をシールするシール部材23、及び後述する誘電体21等を介して、外側導体20に支持される。内側導体19のX1側は、ハウジング11の連結部15の内部の空間16に露出しており、収容空間14の外部で同軸ケーブル(接続対象物)3の内側導体(図示省略)に対して接続可能である。内側導体19のX2側は、ハウジング11の内部一側面11aよりもX2側まで延びており、ハウジング11の収容空間14のコネクタ13の後述するコネクタ端子29に対して接続される。
【0021】
(外側導体)
導体部12の外側導体20は、導電性の金属材料で形成したものであり、内側導体19を径方向(内側導体19を軸とする径方向)の外側から覆い、外部への信号漏洩や外部からの電波の侵入を防ぐシールドとして機能する。外側導体20は、X方向に延びる筒状に形成されて、導体部12の外周縁部を構成する。外側導体20のX1側は、内側導体19のX1側と略同じ位置までX方向に延びており、同軸ケーブル3のグランドとして機能する外側導体(図示省略)に対して接続可能である。外側導体20のX2側は、内側導体19のX2側よりもX2側まで延びており、コネクタ13のグランドとして機能する後述するコネクタシェル30に対して接続される。
【0022】
外側導体20の内部空間24のうちのX2側の端部には、コネクタ13が挿入される受入空間25が区画される。すなわち、外側導体20のX2側の端部の径方向の内側には、コネクタ13が挿入される受入空間25が区画される。外側導体20の受入空間25は、外側導体20のX2側の開口20aから連続してX1側の後述する誘電体21まで広がっている。なお、外側導体20は、1つの筒状体によって構成されるものに限定されず、例えば複数の筒状体をX方向に連結することによって形成されてもよい。
【0023】
(拡径部)
外側導体20のX2側の端部には、X2側へ向かうほど拡径する導体部側拡径部(拡径部)26が設けられる。外側導体20の導体部側拡径部26のX2側の端は、外側導体20のX2側の開口20aを区画する。外側導体20の導体部側拡径部26の内周面26aは、外側導体20の受入空間25のうちX2側の一部の領域の径方向の外側を区画する。外側導体20の導体部側拡径部26の内周面26aは、導体部12とコネクタ13とを接続する際に、コネクタ13の後述するコネクタシェル30を外側導体20の受入空間25の奥へ案内可能である。本実施形態の導体部側拡径部26には、複数(3つ)のスリット27が設けられる。複数のスリット27は、X方向に沿って外側導体20の開口20aからX1側へ延び、導体部側拡径部26を周方向に等分(本実施形態では3等分)する位置に配置される。なお、本実施形態では、導体部側拡径部26にスリット27を設けたが、これに限定されるものではなく、スリット27を設けなくてもよい。
【0024】
(同径部)
外側導体20の導体部側拡径部26のX1側には、導体部側拡径部26のX1側の端部からX1側へ略一定の径で延びる同径部28が設けられる。本実施形態の同径部28は、導体部側拡径部26から後述する誘電体21のX2側の他側面21aよりもX1側まで延びている。同径部28の内周面28aは、外側導体20の受入空間25のうちX1側の一部の領域(導体部側拡径部26と誘電体21との間の領域)の径方向の外側を区画する。
【0025】
(誘電体)
誘電体21は、内側導体19のX方向の中間部分の周りを囲む絶縁層であって、例えば、筒状に形成されて外側導体20の内部空間24に圧入される。誘電体21の内径部には内側導体19が圧入される。誘電体21は、内側導体19と外側導体20とを絶縁状態に保持する。また、誘電体21は、外側導体20に対して内側導体19を保持する機能も有する。誘電体21は、外側導体20の内部空間24のうちハウジング11の内部一側面11aよりもX1側の領域に設けられる。すなわち、誘電体21の他側面21aは、ハウジング11の内部一側面11aよりもX1側に位置する。誘電体21の他側面21aは、外側導体20の受入空間25のX1側を区画する。すなわち、誘電体21は、内側導体19と外側導体20との間に配置されて受入空間25よりもX1側に位置する。
図4に示すように、導体部12をコネクタ13に接続していない状態では、誘電体21の他側面21aの径方向の中心からは、導体部12の内側導体19が、X2側へ突出し、受入空間25に露出している。
【0026】
(コネクタ)
図2、
図3、及び
図5に示すように、コネクタ13は、基板18上に搭載され、ハウジング11の収容空間14内に配置されて導体部12に接続される。コネクタ13は、導体部12の内側導体19に接続されるコネクタ端子29と、X方向に延びる筒状に形成されて内側にコネクタ端子29を配置するコネクタシェル30と、を有する。また、コネクタ13は、樹脂製のコネクタ支持部31を有する。なお、コネクタ13及び基板18は、撮像ユニット2に一体的に設けられていてもよいし、或いは、撮像ユニット2とは別体に設けられて撮像ユニット2に対して接続されるものであってもよい。
【0027】
(コネクタ端子)
コネクタ13のコネクタ端子29は、導電性の金属材料で形成したものであり、コネクタシェル30の径方向の内側に配置され、導体部12の内側導体19のX2側の端部に接続される。コネクタ端子29は、導体部12の内側導体19の挿入を許容する略筒状に形成される。
図3及び
図5に示すように、コネクタ端子29は、コネクタ支持部31に支持される筒状の端子他端部29aと、周方向に等分(本実施形態では3等分)された状態で端子他端部29aからX1側へ延びる複数(本実施形態では3つ)の端子片29bとを有する。すなわち、複数の端子片29bは、X2側が端子他端部29aに片持ち状に支持される。端子他端部29aには、X2側に位置する基板18に対してはんだ付け等によって接続される基板接続部29cが一体的に設けられる。基板接続部29cは、端子他端部29aから径方向の外側へ延び、その先端側が基板18に接続される。
【0028】
コネクタ端子29の複数の端子片29bは、X2側が端子他端部29aに片持ち状に支持されており、端子他端部29a側を軸として径方向に弾性変形可能である。複数の端子片29bのX1側の端部には、導体部12の内側導体19の外周面に接触可能な接触部29dと、接触部29dからX1側の径方向の外側へ延びる傾斜部29eとが設けられる。
図5に示すように、導体部12をコネクタ13に接続していない状態では、コネクタ端子29には、導体部12の内側導体19が挿入されておらず、複数の端子片29bの接触部29dの径方向の内側には、内側導体19の外径よりも小径の空間が区画される。複数の端子片29bの傾斜部29eは、導体部12をコネクタ13に接続する際に、内側導体19を複数の端子片29bの接触部29d間の空間に案内する。すなわち、導体部12をコネクタ13に接続する際には、内側導体19は、複数の端子片29bの傾斜部29eに案内されてコネクタ端子29の径方向の内側へ挿入される。
図2及び
図3に示すように、複数の端子片29bの接触部29dは、内側導体19の外周面に接触しており、複数の端子片29bは、内側導体19によって押圧されて径方向の外側へ弾性変形している。
【0029】
(コネクタシェル)
コネクタ13のコネクタシェル30は、導電性の金属材料で形成したものであり、X方向に延びる筒状に形成され、コネクタ13の外周縁部を構成する。コネクタシェル30は、導体部12の外側導体20に接続され、グランドとして機能する。コネクタシェル30は、X方向に延びる筒状に形成される筒状部32と、筒状部32のX1側の端部に配置されて筒状部32よりも径方向の外側へ突出した状態で周方向に延びる膨出部33とを含む。膨出部33は、コネクタ13のうち最も径方向の外側に位置しており、導体部12の外側導体20の内周面28aに接触する。
【0030】
本実施形態の筒状部32は、コネクタ支持部31に支持されてコネクタ支持部31からX1側へ延びる同径筒状の基端筒状部34と、基端筒状部34から連続してX1側へ拡径するように延びるコネクタ側拡径部35と、を有する。基端筒状部34には、X2側に位置する基板18に対してはんだ付け等によって接続される基板接続部36が一体的に設けられる。基板接続部36は、基端筒状部34から径方向の外側へ延び、その先端側が基板18に接続される。
【0031】
膨出部33は、コネクタ側拡径部35のX1側に位置し、コネクタ側拡径部35から連続して形成され、コネクタ側拡径部35よりも径方向の外側へ突出する。本実施形態の膨出部33は、コネクタシェル30のうちX1側の端部に位置する。本実施形態の膨出部33の内周面は、径方向の外側へ凹んだ状態で周方向に延びる溝状に形成される(
図3参照)。すなわち、本実施形態の膨出部33は、径方向の内側から外側へ押圧されることによって、径方向の外側へ膨出する形状に形成される。なお、膨出部33の断面形状は、内周面が径方向の外側へ凹む上述した形状に限定されるものではなく、少なくとも外周面側が筒状部32よりも径方向の外側へ突出する形状を有していればよい。
【0032】
本実施形態のコネクタシェル30は、X1側の端から基端筒状部34までX方向に延びる複数(本実施形態では3つ)のスリット38を有する。複数のスリット38は、X1側へ開放されており、少なくとも膨出部33及びコネクタ側拡径部35を周方向に等分(本実施形態では3等分)するように、互いに周方向に離間して配置される。このようにスリット38を設けることによって、コネクタシェル30のX1側は、径方向の内側へ弾性変形可能に形成される。コネクタシェル30を最も小径に弾性変形させた状態(例えばスリット38の周方向の両側に位置する膨出部33の側面同士が接触する状態)にしても、コネクタシェル30の膨出部33は、筒状部32よりも径方向の外側へ突出し、筒状部32よりも径方向の外側に位置している。
【0033】
図2及び
図3に示すように、コネクタシェル30は、導体部12の外側導体20のX2側の端部の開口20aから受入空間25に挿入され、導体部12の外側導体20に接続される。コネクタシェル30は、X1側が径方向の内側へ弾性変形した状態で外側導体20に接続される。コネクタシェル30の膨出部33は、外側導体20の同径部28の内周面28aに接触する。コネクタシェル30のうち膨出部33を除く領域は、外側導体20に接触しない。コネクタシェル30のX1側の端は、ハウジング11の内部一側面11aと略同じ高さ位置(X方向位置。以下同じ。)に位置している。このような配置になっているので、外側導体20の受入空間25のうち、ハウジング11の内部一側面11aよりもX1側かつ誘電体21の他側面21aよりもX2側の領域39(
図3参照)は、導体部12に対してコネクタ13が傾倒した際に、コネクタ13の一部(コネクタシェル30のX1側の端)の進入を許容する領域となる。また、外側導体20の同径部28のX2側の端は、コネクタシェル30のコネクタ側拡径部35のX2側の端よりもX2側に位置している。
【0034】
図3に示すように、外側導体20の導体部側拡径部26のX2側の開口20aの径は、X1側から視た際に、導体部側拡径部26がコネクタ13の基板接続部29c,36をX1側から完全に覆う大きさに設定される。すなわち、コネクタ13の基板接続部29c,36は、外側導体20の導体部側拡径部26よりも径方向の外側へ突出しない。なお、外側導体20の導体部側拡径部26は、シールド効果の向上の観点から、コネクタ13の基板接続部29c,36を、X1側からのみならず、径方向の外側からも覆う長さ(X方向の長さ)に形成されてもよい。
【0035】
次に、電子部品10の組付け時や、或いは組付けが完了した組付け後において、導体部12の軸芯に対してコネクタ13の軸芯が傾いた場合について説明する。
【0036】
図6は、導体部とコネクタとが相対的に傾いた状態を示す説明図である。
【0037】
例えば、電子部品10の組付け時に導体部12とコネクタ13とを接続する際や、或いは電子部品10に撮像ユニット2を組み付けるために電子部品10のハウジング11と撮像ユニット2側のハウジング(図示省略)とを振動溶着する際に、
図6に示すように、導体部12の軸芯に対してコネクタ13の軸芯が傾いてしまう場合がある。また、電子部品10の組付けが完了した組付け後においても、カメラモジュール1が搭載される場所(例えば車両等)によっては、カメラモジュール1に振動が入力して、
図6に示すように、導体部12の軸芯に対してコネクタ13の軸芯が傾いてしまう場合がある。
【0038】
上記のように構成された電子部品10では、コネクタ13は、筒状部32のX1側の端部に配置されて径方向の外側へ突出した状態で周方向に延びる膨出部33を有するので、コネクタ13の膨出部33が外側導体20の内周面28aに接触することになる。また、膨出部33よりもX2側には、膨出部33よりも小径の筒状部32が位置することになる。すなわち、コネクタ13の膨出部33よりもX2側には、膨出部33よりも小径の領域(筒状部32)が存在するので、外側導体20のうちコネクタ13の膨出部33に接触している箇所よりもX2側の領域とコネクタ13との間には、空間40(
図3参照)が存在する。このため、導体部12の軸芯に対してコネクタ13の軸芯が傾く場合(
図6参照)であっても、導体部12に対するコネクタ13の傾き許容量を、上記空間40によって大きく確保することができる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、組付け時や組付け後におけるコネクタ13の傾きを許容することが可能な電子部品10を提供することができる。これにより、
図6に示すように、導体部12に対してコネクタ13が傾いた際に、外側導体20のうち膨出部33に接触している箇所よりもX2側の領域がコネクタ13の筒状部32に接触することを防止することができ、コネクタ13及び導体部12の破損を抑制することができる。
【0040】
また、コネクタシェル30は、径方向の内側へ弾性変形可能に形成され、径方向の内側へ弾性変形した状態で導体部12の外側導体20の内周面28aに接触する。このため、コネクタシェル30の弾性変形によって、導体部12に対するコネクタ13の、軸方向と交叉する方向(例えば径方向)への平行移動を許容することができる。これにより、導体部12に対してコネクタ13が軸方向と交叉する方向へ平行移動した際のコネクタ13及び導体部12の破損を抑制することができる。
【0041】
また、コネクタシェル30の膨出部33は、コネクタシェル30を最も小径に弾性変形させた状態でも、筒状部32よりも径方向の外側へ突出し、筒状部32よりも径方向の外側に位置している。このため、上述したように、導体部12に対してコネクタ13が軸方向と交叉する方向へ平行移動して、コネクタシェル30の周方向の所定の箇所が径方向の内側へ大きく弾性変形した場合であっても、外側導体20のうちコネクタ13の膨出部33に接触している箇所よりもX2側の領域とコネクタ13との間に上記空間40を確保することができる。これにより、導体部12に対してコネクタ13が軸方向と交叉する方向へ平行移動した状態で、更に導体部12の軸芯に対してコネクタ13の軸芯が傾く場合であっても、上記空間40によって、導体部12に対するコネクタ13の傾き許容量を大きく確保することができるので、導体部12に対してコネクタ13が傾いた際のコネクタ13及び導体部12の破損を抑制することができる。
【0042】
また、誘電体21の他側面21aは、ハウジング11の内部一側面11aよりもX1側に位置しているので、外側導体20の受入空間25は、ハウジング11の内部一側面11aよりもX1側へ広がっている。このように、外側導体20の受入空間25をハウジング11の内部一側面11aよりもX1側へ大きく広げているので、コネクタ13を外側導体20の受入空間25に対してハウジング11の内部一側面11aと略同じ高さ位置まで挿入しても、コネクタ13のX1側に受入空間25の一部の領域39を確保することができる。このため、コネクタ13を外側導体20の受入空間25のX1側へ深く挿入することができるとともに、受入空間25の上記領域39(ハウジング11の内部一側面11aよりもX1側かつ誘電体21の他側面21aよりもX2側の領域39)を、導体部12に対してコネクタ13が傾倒した際に、コネクタ13の一部(コネクタシェル30のX1側の端)の進入を許容する領域として機能させることができる(
図6参照)。したがって、コネクタ13の径方向の外側の空間40のみならず、コネクタ13のX1側の受入空間25の一部の領域39によっても、導体部12に対するコネクタ13の傾き許容量を確保することができ、導体部12に対してコネクタ13が傾いた際のコネクタ13及び導体部12の破損を抑制することができる。
【0043】
また、外側導体20の受入空間25をハウジング11の内部一側面11aよりもX1側へ大きく広げているので、外側導体20へのコネクタ13の必要な挿入量を確保しつつ、製品(電子部品10)をX方向に大型化することなく、導体部12に対するコネクタ13の傾き許容量を確保することができる。例えば、誘電体21の他側面21aを、ハウジング11の内部一側面11aと同じ高さ位置に配置した場合、外側導体20へのコネクタ13の必要な挿入量を確保し、かつ製品のX方向への大型化を抑えるためには、コネクタ13と誘電体21との間の空間が狭くなるので、導体部12に対するコネクタ13の傾き許容量が小さくなってしまう。一方、外側導体20へのコネクタ13の必要な挿入量を確保し、かつ導体部12に対するコネクタ13の傾き許容量を十分に確保するためには、コネクタ13と誘電体21との間に十分な空間を設ける必要があるので、電子部品10がX方向に大型化してしまう。本実施形態では、外側導体20の受入空間25に対するコネクタ13の必要な挿入量を確保しつつ、製品をX方向に大型化することなく、導体部12に対するコネクタ13の傾き許容量を確保することができる。
【0044】
外側導体20のX2側の端部には、X2側へ向かうほど拡径する導体部側拡径部26が設けられる。このため、コネクタ13のコネクタシェル30を導体部12の外側導体20に挿入する際に、導体部側拡径部26の内周面26aによって、コネクタシェル30を外側導体20の受入空間25の奥へ案内することができる。
【0045】
また、外側導体20の導体部側拡径部26は、X1側から視た際に、コネクタ13の基板接続部29c,36をX1側から完全に覆い、コネクタ13の基板接続部29c,36は、外側導体20の導体部側拡径部26よりも径方向の外側へ突出しない。このように、導体部12の外側導体20の導体部側拡径部26がコネクタ13の基板接続部29c,36をX1側から覆うことによって、外側導体20のシールド効果を向上させることができる。また、外側導体20の導体部側拡径部26を、コネクタ13の基板接続部29c,36をX1側からのみならず径方向の外側からも覆う長さ(X方向の長さ)に形成することによって、外側導体20のシールド効果を更に向上させることができる。
【0046】
なお、本実施形態では、外側導体20のX2側の端部に導体部側拡径部26を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、導体部側拡径部26を設けることなく、同径部28をX2側へ延長し、外側導体20のX2側の端部を同径部28で構成してもよい。
【0047】
また、本実施形態では、誘電体21の他側面21aを、ハウジング11の内部一側面11aよりもX1側に配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、ハウジング11の内部一側面11aと略同じ高さ位置に配置してもよい。
【0048】
また、本実施形態では、コネクタ13の筒状部32を、同径筒状の基端筒状部34と、基端筒状部34から連続してX1側へ拡径するコネクタ側拡径部35とによって構成したが、これに限定されるものではない。例えば、筒状部32を、全体として同径筒状に形成してもよく、膨出部33を筒状部32から径方向の外側へ鍔状に突出させてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、コネクタ13の筒状部32と膨出部33とをコネクタシェル30に設けたが、これに限定されるものではない。例えば、外側導体20に接続されるコネクタシェル30に代えて、外側導体20に対して電気的に接続されず、単に径方向の内側から接触する他の部材を、コネクタ13に設けてもよく、当該他の部材に、X方向に延びる筒状に形成される筒状部と、当該筒状部のX1側の端部に配置されて径方向の外側へ突出した状態で周方向に延びる膨出部とを設けてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、本開示に係る電子部品を、撮像ユニット(他の部品)2に組み付けられてカメラモジュール1の一部を構成する電子部品10に適用したが、これに限定されるものではなく、撮像ユニット2とは異なる他の部品に組み付けられてもよく、また、カメラモジュール1とは異なる他の装置の一部を構成する電子部品に適用してもよい。
【0051】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1:カメラモジュール
2:撮像ユニット(他の部品)
3:同軸ケーブル(接続対象物)
10:電子部品
11:ハウジング
12:導体部
13:コネクタ
14:収容空間
18:基板
19:内側導体
20:外側導体
21:誘電体
25:受入空間
26:導体部側拡径部(拡径部)
29:コネクタ端子
29c,36:基板接続部
30:コネクタシェル
32:筒状部
33:膨出部
39:領域