(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023731
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】液化ガス運搬船
(51)【国際特許分類】
B63J 99/00 20090101AFI20250207BHJP
B63B 29/02 20060101ALI20250207BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
B63J99/00 A
B63B29/02
B63B25/16 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128119
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修治
(72)【発明者】
【氏名】小宮 英明
(72)【発明者】
【氏名】宮武 巧
(57)【要約】
【課題】
安全性が向上し、かつ、製造コストを抑制可能な液化ガス運搬船を提供する。
【解決手段】
本開示の一態様に係る液化ガス運搬船は、船体後方部の船尾エリアに位置する機関室と、船体前方部の船首エリアに位置する居住区と、船体中央部の貨物エリアに位置する貨物機器と、前記船尾エリアに位置する主配電盤と、前記主配電盤から受けた電気を前記貨物機器に分配する貨物配電盤と、前記貨物配電盤を収容し、前記機関室及び前記居住区から独立する貨物配電盤室と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体後方部の船尾エリアに位置する機関室と、
船体前方部の船首エリアに位置する居住区と、
船体中央部の貨物エリアに位置する貨物機器と、
前記船尾エリアに位置する主配電盤と、
前記主配電盤から受けた電気を前記貨物機器に分配する貨物配電盤と、
前記貨物配電盤を収容し、前記機関室及び前記居住区から独立する貨物配電盤室と、
を備えている、液化ガス運搬船。
【請求項2】
前記貨物配電盤室は前記船尾エリアに位置している、請求項1に記載の液化ガス運搬船。
【請求項3】
前記貨物配電盤室は乾舷甲板よりも上方に位置している、請求項1に記載の液化ガス運搬船。
【請求項4】
前記機関室は暴露甲板よりも下方に位置する機関室下部を含み、
前記貨物配電盤室は前記機関室下部よりも上方であって、前記機関室下部と上下方向に距離をおいて位置している、請求項1に記載の液化ガス運搬船。
【請求項5】
前記貨物配電盤室の少なくとも一部が前記機関室に接し、
前記貨物配電盤室は、前記機関室と接する部分に位置するA-60級仕切りを含んでいる、請求項1に記載の液化ガス運搬船。
【請求項6】
前記貨物機器は、
第1貨物機器と、
第2貨物機器と、を含み、
前記貨物配電盤は、
前記主配電盤から受けた電気を前記第1貨物機器に供給する第1貨物配電盤と、
前記主配電盤から受けた電気を前記第2貨物機器に供給する第2貨物配電盤と、を含み、
前記貨物配電盤室は、
前記第1貨物配電盤を収容する第1貨物配電盤室と、
前記第1貨物配電盤室から独立し前記第2貨物配電盤を収容する第2貨物配電盤室と、を含んでいる、請求項1に記載の液化ガス運搬船。
【請求項7】
大気に開放されている船体暴露部と前記貨物配電盤室とを接続する外部アクセス通路をさらに備えている、請求項1に記載の液化ガス運搬船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液化ガス運搬船に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、主配電盤から受けた電気をポンプ及び電動機等に供給する集合始動器盤を備えた船舶が開示されている。特許文献1の集合始動器盤は、機関室内に設けられた各デッキに配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、液化ガスを貨物として運搬する液化ガス運搬船は、主配電盤から受けた電気を貨物機器に供給する貨物配電盤を備えている。特許文献1の集合始動器盤が機関室に配置されていることや、機関室は火災への対策が十分に施されていることを考慮すると、上記の貨物配電盤を機関室に配置しても何ら問題はない。ただし、想定外の事態により、機関室で火災が発生する可能性もある。仮に、機関室で火災が発生したとしても、貨物配電盤を使用することができれば、二次災害を防ぐことができ安全性が向上する。また、貨物配電盤の位置は、主配電盤と貨物機器をつなぐ給電ケーブルの長さに影響する。貨物配電盤の位置により給電ケーブルが長くなると、液化ガス運搬船の製造コストが上昇する。
【0005】
そこで、本開示は、安全性が向上し、かつ、製造コストを抑制可能な液化ガス運搬船を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る液化ガス運搬船は、船体後方部の船尾エリアに位置する機関室と、船体前方部の船首エリアに位置する居住区と、船体中央部の貨物エリアに位置する貨物機器と、前記船尾エリアに位置する主配電盤と、前記主配電盤から受けた電気を前記貨物機器に分配する貨物配電盤と、前記貨物配電盤を収容し、前記機関室及び前記居住区から独立する貨物配電盤室と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
この構成によれば、安全性が向上し、かつ、製造コストを抑制可能な液化ガス運搬船を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、液化ガス運搬船の船尾エリア付近の拡大図である。
【
図3】
図3は、液化ガス運搬船の電気系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について説明する。本実施形態に係る液化ガス運搬船100は、液化水素や液化天然ガスなどの液化ガスを運搬する船である。
図1は、実施形態に係る液化ガス運搬船100の側面図である。
図1において紙面右方が液化ガス運搬船100の進行方向である。以下では、液化ガス運搬船100の進行方向を「前方」と定義し、前方とは反対の方向を「後方」と定義する。
【0010】
図1に示すように、液化ガス運搬船100は、機関室10と、居住区20と、貨物機器30と、主配電盤40と、貨物配電盤50と、貨物配電盤室60と、外部アクセス通路70と、を備えている。以下、これらの構成要素について順に説明する。
【0011】
<機関室>
機関室10は、主機11を収容する部屋である。本実施形態の主機11は、後述する貨物タンク95内で発生したボイルオフガス又は蒸発器で生成したガスを燃焼させ、その燃焼の熱を利用して生成した蒸気を用いて、スクリュープロペラ12に連結された蒸気タービンを駆動する。ただし、主機11は、貨物タンク95内で発生したボイルオフガスなどを燃料としてスクリュープロペラ12を駆動する内燃機関であってもよく、貨物タンク95内で発生したボイルオフガスなどを燃料とする発電機関によって発電された電力でスクリュープロペラ12を駆動する電動機であってもよい。また、主機11は、ボイルオフガスなどを燃料とするのではなく、液化ガス運搬船100に搭載された燃料油を燃料としてもよい。
【0012】
機関室10は、船体90後方部の船尾エリア91に位置している。船尾エリア91は貨物エリア93よりも後方のエリアである。
図2は、液化ガス運搬船100の船尾エリア91付近の拡大図である。
図2に示すように、機関室10は、船体90の暴露甲板94よりも下方に位置する機関室下部13と、暴露甲板94よりも上方に位置する機関室上部14とを含んでいる。機関室上部14は機関室下部13の後方部分と接続しており、機関室上部14の内部空間は、機関室下部13の内部空間とつながっている。
【0013】
<居住区>
居住区20は、乗組員が生活又は業務を行う区域である。
図1に示すように、本実施形態の居住区20は、船体90前方部の船首エリア92に位置している。船首エリア92は貨物エリア93よりも前方のエリアである。居住区20の内部は、非危険区域(non-hazardous area)に指定される。「非危険区域」とは、電気機器の構造、設置及び使用について特に考慮しなければならないほどのガス状の爆発性雰囲気が存在しない区域をいう。
【0014】
<貨物機器>
貨物機器30は、貨物である液化ガスを取り扱う機器である。貨物機器30の構成は限定されないが、本実施形態の貨物機器30は、船体90中央部の貨物エリア93に位置している。貨物エリア93は貨物である液化ガスを収容するエリアである。本実施形態の貨物エリア93には液化ガスを貯留する貨物タンク95が位置している。本実施形態の貨物タンク95は、前方から順に並ぶ第1タンク95A、第2タンク95B、第3タンク95C、及び、第4タンク95Dを有している。
【0015】
図3は、液化ガス運搬船100の電気系のブロック図である。本実施形態の貨物機器30は、第1貨物機器31と、第2貨物機器32と、を含んでいる。さらに、第1貨物機器31は、4つの第1カーゴポンプ33A~33Dと、2つのスプレーポンプ35A、35Cと、を含んでいる。また、第2貨物機器32は、4つの第2カーゴポンプ34A~34Dと、2つのスプレーポンプ35B、35Dと、を含んでいる。ただし、第1貨物機器31及び第2貨物機器32の構成機器は上記のものに限定されず、例えば第1貨物機器31及び第2貨物機器32はそれぞれ構成機器を1つのみ含んでいてもよい。
【0016】
第1カーゴポンプ33A~33D及び第2カーゴポンプ34A~34Dは、各タンク95A~95D内の液化ガスを荷揚げするポンプである。第1タンク95Aには第1タンク第1カーゴポンプ33A及び第1タンク第2カーゴポンプ34Aが位置しており、第2タンク95Bには第2タンク第1カーゴポンプ33B及び第2タンク第2カーゴポンプ34Bが位置しており、第3タンク95Cには第3タンク第1カーゴポンプ33C及び第3タンク第2カーゴポンプ34Cが位置しており、第4タンク95Dには第4タンク第1カーゴポンプ33D及び第4タンク第2カーゴポンプ34Dが位置している。つまり、各タンク95A~95Dには、同じ役割を果たす第1カーゴポンプ33A~33D及び第2カーゴポンプ34A~34Dが位置している。
【0017】
スプレーポンプ35A~35Dは、各タンク95A~95D内に液化ガスを噴射して各タンク95A~95Dを冷却等するためのポンプである。貨物機器30は4つのスプレーポンプ35A~35Dを含み、4つのスプレーポンプ35A~35Dは別々のタンク95A~95D内に位置している。本実施形態では、4つのスプレーポンプ35A~35Dのうち、第1タンク95A内に位置する第1タンクスプレーポンプ35A及び第3タンク95C内に位置する第3タンクスプレーポンプ35Cが第1貨物機器31に含まれ、残りの第2タンク95B内に位置する第2タンクスプレーポンプ35B及び第4タンク95D内に位置する第4タンクスプレーポンプ35Dが第2貨物機器32に含まれる。
【0018】
<主配電盤>
主配電盤40は、発電機96で発電された電気を各機器に供給する装置である。
図3に示すように、本実施形態の主配電盤40は発電機96から受けた電気を、貨物配電盤50を介して貨物機器30に供給する。また、
図2に示すように、本実施形態では、発電機96及び主配電盤40は船尾エリア91に位置している。より詳細には、発電機96及び主配電盤40は機関室10に位置している。このように、主配電盤40は発電機96の近傍に位置しているため、主配電盤40と発電機96をつなぐ給電ケーブルを短くすることができる。なお、主配電盤40は複数の発電機96に接続されていてもよい。
【0019】
<貨物配電盤>
貨物配電盤50は、主配電盤40から受けた電気を貨物機器30に供給する装置である。そのため、貨物配電盤50は、主配電盤40と貨物機器30をつなぐ給電ケーブル97上に位置している。貨物配電盤50は、各貨物機器30の始動器が集合した始動器盤として機能してもよい。
図3に示すように、貨物配電盤50は、第1貨物配電盤51と、第2貨物配電盤52と、を含んでいる。第1貨物配電盤51は、主配電盤40から受けた電気を第1貨物機器31へ供給する。また、第2貨物配電盤52は、主配電盤40から受けた電気を第2貨物機器32へ供給する。
【0020】
<貨物配電盤室>
貨物配電盤室60は、貨物配電盤50を収容する部屋である。
図1に示すように、貨物配電盤室60は、機関室10及び居住区20から独立している。つまり、貨物配電盤室60は、機関室10及び居住区20から壁などの仕切りによって隔てられている。
【0021】
貨物配電盤室60は機関室10から独立しているため、想定外の事態により機関室10で火災が発生したとしても、貨物配電盤室60内の貨物配電盤50は保護されて使用できる。そのため、貨物機器30によって貨物タンク95内の液化ガスの揚荷作業は引き続き可能となり、貨物タンク95の圧力が過度に上昇するのを抑えることができ、機関室10の火災に起因する二次災害を防ぐことができる。したがって、安全性が向上する。
【0022】
また、機関室10から独立した居住区20に貨物配電盤室60を配置することもできるが、船首エリア92に位置する居住区20に貨物配電盤室60を配置すると、主配電盤40と貨物機器30をつなぐ給電ケーブル97が長くなる。一方、本実施形態のように、貨物配電盤室60を居住区20から独立して配置することにより、主配電盤40と貨物機器30をつなぐ給電ケーブル97が長くなるのを抑制することができる。その結果、液化ガス運搬船100の製造コストを抑制することができる。
【0023】
また、
図2に示すように、本実施形態の貨物配電盤室60は船尾エリア91に位置している。そのため、主配電盤40から貨物配電盤室60までの距離、及び、貨物配電盤室60から貨物機器30までの距離が短くなる結果、主配電盤40と貨物機器30をつなぐ給電ケーブル97(
図3)を短くすることができる。これにより、液化ガス運搬船100の製造コストを一層抑制することができる。
【0024】
また、本実施形態の貨物配電盤室60は乾舷甲板よりも上方に位置している。ここでいう「乾舷甲板」とは、最上層の全通甲板をいう。また、全通甲板とは、船首から船尾まで連続する甲板をいう。本実施形態では、暴露甲板94が乾舷甲板に相当する。本実施形態のように貨物配電盤室60が乾舷甲板よりも上方に位置していれば、機関室10が浸水したとしても、貨物配電盤50が水に浸からないため、乾舷甲板よりも上方に位置する非常発電機から給電したり、別途電線を貨物配電盤50に接続したりするなどすれば、貨物機器30の操作を維持することができる。
【0025】
また、本実施形態の貨物配電盤室60は、機関室下部13よりも上方であって、機関室下部13と上下方向に距離をおいて位置している。貨物配電盤室60と機関室下部13の間は単なる空間であってもよく、壁面で囲まれた部屋が位置していてもよい。貨物配電盤室60は、機関室下部13と上下方向に距離をおいて位置しているため、機関室下部13で火災や浸水が発生したときに、貨物配電盤室60内の貨物配電盤50が保護される可能性がより高まり、安全性がさらに向上する。
【0026】
また、貨物配電盤室60の側面は、機関室10(機関室上部14)に接している。そして、
図2に示すように、貨物配電盤室60は、機関室10と接する側面に位置するA-60級仕切り63を含んでいる。ここで、「A-60級仕切り」とは、SOLAS(海上における人命の安全のための国際条約)において定義された仕切りである。具体的には、A-60級仕切りは、火災発生から60分の間、火にさらされていない側の平均温度が最初の温度よりも摂氏140度を超えて上昇せず、及び継ぎ手を含めいかなる点における温度も最初の温度よりも摂氏180度を超えて上昇しないように不燃性材料で防熱加工を施した仕切りである。
【0027】
このように、本実施形態の貨物配電盤室60は、機関室10と接する側面に位置するA-60級仕切り63を含んでいるため、仮に機関室10で火災が発生したとしても、貨物配電盤室60内の貨物配電盤50を一定時間火災から保護でき、その間に非常発電機から給電したり、別途電線を接続したりすれば、貨物機器30を操作することができる。なお、貨物配電盤室60の底面が機関室10と接する場合は、貨物配電盤室60は底面に位置するA-60級仕切りを含んでいてもよく、貨物配電盤室60の天面が機関室10と接する場合は、貨物配電盤室60は天面に位置するA-60級仕切りを含んでいてもよい。
【0028】
また、
図3に示すように、貨物配電盤室60は、第1貨物配電盤室61と、第2貨物配電盤室62と、を含んでいる。第1貨物配電盤室61は第1貨物配電盤51を収容し、第2貨物配電盤室62は第2貨物配電盤52を収容する。さらに、第2貨物配電盤室62は、第1貨物配電盤室61から独立している。そのため、仮に第1貨物配電盤室61が損傷して第1貨物配電盤51によって第1貨物機器31を操作できないとしても、第2貨物配電盤室62が収容する第2貨物配電盤52によって第2貨物機器32を操作することができる。つまり、本実施形態によれば、冗長化により液化ガス運搬船100の信頼性を向上させることができる。
【0029】
<外部アクセス通路>
外部アクセス通路70は、船体暴露部98と貨物配電盤室60をつなぐ通路である。外部アクセス通路70は、階段であってもよく、スロープであってもよい。ここで、「船体暴露部」とは、船体90のうち大気に開放されている部分をいう。液化ガス運搬船100は、上記のような外部アクセス通路70を備えるため、非常時には例えば機関室10を経由することなく貨物配電盤室60から作業者が船体暴露部98に避難することができ、また、船体暴露部98から貨物配電盤室60に向かうこともできる。したがって、液化ガス運搬船100の安全性を向上させることができる。
【0030】
(まとめ)
本明細書で開示する第1の項目は、船体後方部の船尾エリアに位置する機関室と、船体前方部の船首エリアに位置する居住区と、船体中央部の貨物エリアに位置する貨物機器と、前記船尾エリアに位置する主配電盤と、前記主配電盤から受けた電気を前記貨物機器に分配する貨物配電盤と、前記貨物配電盤を収容し、前記機関室及び前記居住区から独立する貨物配電盤室と、を備えている、液化ガス運搬船である。
【0031】
この構成によれば、想定外の事態により機関室で火災が発生したとしても、貨物配電盤を保護でき、機関室の火災に起因する二次災害を防ぐことができる。また、配電盤と貨物機器をつなぐ給電ケーブルが長くなるのを抑制することができる。これにより、安全性が向上し、かつ、液化ガス運搬船の製造コストを抑制することができる。
【0032】
本明細書で開示する第2の項目は、前記貨物配電盤室は前記船尾エリアに位置している、第1の項目に記載の液化ガス運搬船である。
【0033】
この構成によれば、配電盤と貨物機器をつなぐ給電ケーブルを短くすることができ、液化ガス運搬船の製造コストを一層抑制することができる。
【0034】
本明細書で開示する第3の項目は、前記貨物配電盤室は乾舷甲板よりも上方に位置している、第1又は2の項目に記載の液化ガス運搬船である。
【0035】
この構成によれば、機関室が浸水したとしても、貨物配電盤が水に浸からず、貨物機器の操作を維持することができる。
【0036】
本明細書で開示する第4の項目は、前記機関室は暴露甲板よりも下方に位置する機関室下部を含み、前記貨物配電盤室は前記機関室下部よりも上方であって、前記機関室下部と上下方向に距離をおいて位置している、第1乃至3の項目のうちいずれか一の項目に記載の液化ガス運搬船である。
【0037】
この構成によれば、機関室下部で火災や浸水が発生したとしても、貨物配電盤室はそれらの影響を受けにくい。
【0038】
本明細書で開示する第5の項目は、前記貨物配電盤室の少なくとも一部が前記機関室に接し、前記貨物配電盤室は、前記機関室と接する部分に位置するA-60級仕切りを含んでいる、第1乃至4の項目のうちいずれか一の項目に記載の液化ガス運搬船である。
【0039】
この構成によれば、仮に機関室で火災が発生したとしても、貨物配電盤室内の貨物配電盤を一定時間火災から保護でき、その間に貨物機器を操作することができる。
【0040】
本明細書で開示する第6の項目は、前記貨物機器は、第1貨物機器と、第2貨物機器と、を含み、前記貨物配電盤は、前記主配電盤から受けた電気を前記第1貨物機器に供給する第1貨物配電盤と、前記主配電盤から受けた電気を前記第2貨物機器に供給する第2貨物配電盤と、を含み、前記貨物配電盤室は、前記第1貨物配電盤を収容する第1貨物配電盤室と、前記第1貨物配電盤室から独立し前記第2貨物配電盤を収容する第2貨物配電盤室と、を含んでいる、液化ガス運搬船である。
【0041】
この構成によれば、冗長化により液化ガス運搬船の信頼性を向上させることができる。
【0042】
本明細書で開示する第7の項目は、大気に開放されている船体暴露部と前記貨物配電盤室とを接続する外部アクセス通路をさらに備えている、第1乃至6の項目のうちいずれか一の項目液化ガス運搬船である。
【0043】
この構成によれば、液化ガス運搬船の安全性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 機関室
11 主機
13 機関室下部
14 機関室上部
20 居住区
30 貨物機器
31 第1貨物機器
32 第2貨物機器
33 第1カーゴポンプ
34 第2カーゴポンプ
35 スプレーポンプ
40 主配電盤
50 貨物配電盤
51 第1貨物配電盤
52 第2貨物配電盤
60 貨物配電盤室
61 第1貨物配電盤室
62 第2貨物配電盤室
63 A-60級仕切り
70 外部アクセス通路
90 船体
91 船尾エリア
92 船首エリア
93 貨物エリア
94 暴露甲板
97 給電ケーブル
98 船体暴露部
100 液化ガス運搬船