(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023740
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】表示機
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20250207BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20250207BHJP
G08G 1/095 20060101ALI20250207BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20250207BHJP
【FI】
F21S2/00 663
F21V5/02 100
G08G1/095 D
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128142
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】598090184
【氏名又は名称】常盤電業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599161616
【氏名又は名称】小林 保正
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】小林 保正
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA28
5H181EE13
5H181GG13
5H181GG19
5H181HH14
(57)【要約】
【課題】 省エネルギーであり、簡易な構造で効率よく着雪を防止することが可能な表示機及び信号機を提供する。
【解決手段】 光源配設部3における光源5の発光面側には、光源5を保護する透明カバー9がレールに配置される。レールと透明カバー9との固定方法は特に限定されない。透明カバー9は、長手方向に垂直な断面形状において、前方に突出する略三角形状の部位を有する三角柱の部材である。また、光源5は平面型LED光源であり、透明カバー9の後面側の平坦面がLED光源の発光面と面接触する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が配置された光源配設部と、
前記光源配設部の発光面側に設けられ、前記光源を保護する透明カバーと、
前記光源配設部を支持する枠部と、
を具備し、
複数の前記光源配設部は、所定の間隔をあけて配置され、前方からの風雪が、隣り合う前記光源配設部の間の隙間から後方に通り抜けることが可能であり、
前記透明カバーは、長手方向に垂直な断面形状において、前方に突出する略三角形状の部位を有する三角柱の部材であることを特徴とする表示機。
【請求項2】
前記透明カバーは、三角形状の部位よりも後方に前後方向に略平行な側面部を有する略ホームベース型であることを特徴とする請求項1記載の表示機。
【請求項3】
前記透明カバーの前方の頂部の角度が100°以下であることを特徴とする請求項1記載の表示機。
【請求項4】
前記光源は平面型LED光源であり、前記透明カバーの後面が前記LED光源の発光面と面接触することを特徴とする請求項1記載の表示機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に雪国において、着雪を防止することが可能な交通用信号機などの表示機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の変化に伴い、冬季における強風下の多量に吹き付ける雪による被害が問題となっている。豪雪は、道路交通の障害物となるばかりではなく、暴風雪により交通信号機のランプなどに着雪することで、交通信号色発光を遮り、交通信号機を視認することができない事態をまねく。このため、吹雪に対する交通信号機の着雪対策が望まれる。
【0003】
このような、着雪対策としては、信号機を覆うようなフードやカバーを設ける方法がある(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0004】
また、発熱体を用いて、着雪を融解する方法がある(例えば特許文献3、特許文献4)。
【0005】
しかし、特許文献1や特許文献2のように、大掛かりなフード等を設ける方法は、着雪が起こりにくくなるとしても、一度着雪が起こると、着雪部が成長し、信号機の視認性を妨げることとなる。
【0006】
また、特許文献3のように、熱源として赤外線を用いる場合、電気エネルギーを光に変換するため、変換と吸収に係る効率が悪く、発光面の着雪を除去する十分な熱量を得るには、極めて多量の電気エネルギーを要する困難さがある。
【0007】
また、特許文献4は、カバーを設けて、熱源となる光を吸収して発熱させる暗色部を形成するものであるが、光をエネルギー伝達手段に用いる場合の効率の悪さ、およびこのような物を被せることにより通常時において信号機の視認性の妨げとなるという問題がある。
【0008】
これに対し、複数の光源配設部を、所定の間隔をあけて配置し、前方からの風雪が、隣り合う光源配設部の間の隙間から後方に抜けるようにした表示機が提案されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008-305025号公報
【特許文献2】実開2009-190554号公報
【特許文献3】実用新案登録第3161877号公報
【特許文献4】特開2012-108861号公報
【特許文献5】特開2021-26658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献5によれば、前方からの風雪が隣り合う光源配設部の間の隙間から後方に通り抜けるため、光源配設部の隙間を適切に設定することで、光源配設部の前面への着雪を抑制することができる。しかし、光源配設部の前面にわずかに雪が付着すると、これを核として着雪領域が拡大する恐れがある。
【0011】
また、隣り合う光源配設部の間に風雪が通り抜ける隙間を開けるため、光源配設部の幅を広くすることができない。このため、光源配設部に配置される光源5のサイズにも限界があり、光源より発した全光束を有効に集光配光する機能を合わせ持つことが望ましい。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、省エネルギーであり、簡易な構造で効率よく着雪を防止し、信号光を配光することが可能な表示機及び信号機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達するために本発明は、光源が配置された光源配設部と、前記光源配設部の発光面側に設けられ、前記光源を保護する透明カバーと、前記光源配設部を支持する枠部と、を具備し、複数の前記光源配設部は、所定の間隔をあけて配置され、前方からの風雪が、隣り合う前記光源配設部の間の隙間から後方に通り抜けることが可能であり、前記透明カバーは、長手方向に垂直な断面形状において、前方に突出する略三角形状の部位を有する三角柱の部材であることを特徴とする表示機である。
【0014】
前記透明カバーは、三角形状の部位よりも後方に前後方向に略平行な側面部を有する略ホームベース型であってもよい。
【0015】
前記透明カバーの前方の頂部の角度が略100°以下であることが望ましい。
【0016】
前記光源は平面型LED光源であり、前記透明カバーの後面が前記LED光源の発光面と面接触することが望ましい。
【0017】
本発明によれば、複数の隣り合う光源配設部の間に隙間が形成され、この隙間を風が通過可能であり、透明カバーの形状が前方に向かう略三角形状であるため、光源配設部の前方での風の流れのよどみ点発生の領域面積が抑制され、光源配設部の前面への着雪を抑制することができる。また、三角形状の両斜面部を通しての光屈折によるレンズ効果によって、LED光源から発した光は前方に向け集光される。その効果により、正面視において、内部の光源が広げられて見えるため、より視認性を高めることができる。
【0018】
また、透明カバーの前方の頂部の角度が略100°以下(すなわち、二等辺三角形状の底角が約40°以上)であれば、雪の安息角以上となるため、左右斜面部における着雪をより確実に抑制することができる。
【0019】
また、光源として平面型LED光源を用い、透明カバーの後面をLED光源の発光面と面接触させることで、光源から出射された光を効率よく三角柱形状の透明カバーに導入して、正面からの視認性を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、省エネルギーであり、簡易な構造で効率よく着雪を防止することが可能な表示機及び信号機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(a)は、信号機10を示す正面図、(b)は、信号機10を示す断面図であって、(a)のB-B線断面図。
【
図2】(a)は、光源配設部3の拡大断面図、(b)は、光源配設部3に対する空気等の流れを示す図。
【
図3】(a)、(b)は、透明カバーの形態に違いを示す図で、(c)、(d)は、正面視における光源5の視認性を示す概念図。
【
図5】(a)、(b)は、
図3(a)、
図3(b)に対する光源5の配光特性を示す図。
【
図6】(a)、(b)は、他の透明カバー9bを示す図。
【
図7】(a)は、表示機1aを示す斜視時、(b)は、表示機1aを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1(a)は、信号機10を示す正面図、
図1(b)は、信号機10を示す断面図であって、
図1(a)のB-B線断面図である。なお、以下の説明では、表示機1が3つ連なった交通用の信号機10の例を説明するが、本発明の表示機1は、縦に連結されてもよく、又は2連の信号機としてもよい。また、表示機1は、信号機以外にも、高速道路の料金所の表示灯や、交通情報や警報、高速道路の料金所の表示灯や、標識などを表示する表示機として利用可能である。表示機1は、主に、光源配設部3、光源5、枠部7等から構成される。
【0023】
光源配設部3には、複数の光源5が長手方向に併設される。光源5は、例えばLED光源である。なお、図示した例では、それぞれの光源配設部3において、光源5が一列に配置される例を示すが、2列以上に配置してもよい。但し、後述するように、光源配設部3の幅を広くすると、着雪量が多くなりうるため、光源配設部3の幅は狭い方がよい。
【0024】
複数の光源配設部3は、所定の間隔をあけて互いに平行に配置される。図示した例では、複数の光源配設部3は、鉛直方向に向けて縦格子状に配置される。枠部7は、少なくとも光源配設部3の上部と下部とで、複数の光源配設部3を支持する。このように、複数の光源配設部3の間に隙間が形成されることで、前方からの吹雪が、隣り合う光源配設部3の間の隙間から後方へ通り抜けることが可能である。なお、隣り合う光源配設部3の間に隙間が形成されるとは、隣り合う光源配設部3の間に風が通過可能な空間を有することを意味する。例えば、隣り合う光源配設部3の一部が連結されるなど、光源配設部3の間の一部が塞がれていてもよい。なお、気流の流れの詳細については後述する。
【0025】
それぞれの光源配設部3には、複数の光源5が配設される。なお、略同一の長さの光源配設部3が所定の間隔で配置されるため、光源5を設置可能となる発光領域は略矩形となる。このように略矩形に配置された複数の光源配設部3において、光源5は、正面視で略円形となるように配置される(図中A)。このようにすることで、略円形に発光させて、円形の光として認識することができる。
【0026】
なお、円形の発光部以外を遮蔽板などで覆う方法もあるが、このようにすると、遮蔽板によって隣り合う光源配設部3の間の隙間を埋めることとなる。このため、遮蔽板によって、隣り合う光源配設部3の間の流体(風雪)の流れが妨げられる。このため、光源配設部3の一部を塞ぐのではなく、光源配設部3における光源5の配置によって略円形の発光領域を形成することが望ましい。
【0027】
図2(a)は、光源配設部3の断面拡大図である。光源配設部3は、例えば、断面が略H字状のレール上に、光源5が配置された基板が接合される。また、光源配設部3における光源5の発光面側には、光源5を保護する透明カバー9が配置されて一体となっている。
【0028】
透明カバー9は、長手方向に垂直な断面形状において、前方に突出する略三角形状の部位(図中点線)を有する三角柱の部材(中空の部材を除く)である。また、光源5は平面型LED光源であり、透明カバー9の後面側の平坦面がLED光源の発光面と面接触する。すなわち、光源5の出射面から透明カバー9の前面までの間に、光の反射面が存在しない。このように光源5と透明カバー9との間の空気層を排除することで、光源5から出射した光を効率よく透明カバー9内へ導入することができる。なお、透明カバー9は、屈折率が1よりも大きい樹脂やガラス等を適用可能である。
【0029】
なお、図示した例では、透明カバー9は、前方において、中心から後方にむかう斜面部15が設けられる三角形状の部位(図中点線部)と、二等辺三角形の底辺よりも後方に、前後方向(図中左右方向)に略平行な側面部13を有する。すなわち、図示した例では、前方に向けて頂角を有する二等辺三角形と、その後方に設けられた長方形とがつながった略ホームベース型の形態である。側面部は気流と平行となる関係にあり、着雪しない部分である。激しい吹雪中において、前面の頂部に着雪が発生した場合においても、この側面部からの発光が信号光を放射する。
【0030】
ここで、透明カバー9の底角(図中θ)は、略40°以上であることが望ましい。例えば、吹雪の流れに対して垂直な面を持つ場所では、流れが止められて速度を失い、よどみ点が生じ、そこを核として雪粒子が物体の表面に付着するが、この際、着雪の外形が安息角を形成し、その角度が略40°と報告されている(「道路着氷対策技術の変遷(2) 交通の確保と安全のための吹雪対策・研究と技術」竹内政夫著 北の交差点vol.3 SPRING-SUMMER 1998 pp10-17、「構造部材の着雪性状に関する実験的研究 -雪粒子の衝突率・着雪率について-」佐藤 雄輝 他 著 北海道科学大学研究紀要 第39号(平成27年)pp1~6、「道路標識の着雪と防止」 竹内政夫 他 著 土木試験所月報 1978年10月 No,305 pp11~19)。
【0031】
すなわち、前述した透明カバー9の底角が略40°以上であれば、斜面部15への着雪を抑制することができる。
【0032】
図2(b)は、光源配設部3の前方(図中左側)からの風の流れ(図中C)を示す図である。光源配設部3の略中心の先端に、気流に略垂直な面が存在すると、気流が衝突する部位では、気流の流速が略0となるよどみ点が形成される(図中D2)。よどみ点D2では、動圧および雪粒子の持つ運動エネルギーが熱エネルギーに変換の作用により、光源配設部3は流れから押される作用を受ける。
【0033】
例えば、雪粒子を含む吹雪の中では、よどみ点D2に到達した雪粒子は、光源配設部3に衝突するとともに、動圧によって光源配設部3に押し付けられ、着雪し、その結果、よどみ点とその近傍の着雪量が多くなると考えられる。
【0034】
しかし、本実施形態では、よどみ点D2となる部位が三角形の頂点にあたるため、気流に略垂直な面の面積が限りなく小さい(理想的には、頂部は稜線状であってこの面積が0)。したがって、よどみ点における着雪を抑制することができる。また、上述したように、底辺に対する斜面部15の底角が、安息角よりも大きい角度で構成され、さらに、風雪は後方に流れるため、透明カバー9の頂部にわずかに着雪したとしても、それ以上の着雪の成長は抑制される。
【0035】
次に、光源から発せられる光の視認性について説明する。
図3(a)は、比較例として、前述した気流に対する略垂直な面を有する透明カバー9aを用いた光源配設部3を示す図であり、
図3(b)は、前方が三角形状(頂角90°の二等辺三角形)の透明カバー9を用いた光源配設部3を示す図である。なお、
図3(b)は、斜面部が平坦である例を示すが、前方に湾曲した形態であっても、略同様である。すなわち、幅方向(図中左右方向)の略中央部近傍に、前方に凸形状のなだらかな円弧形状を有している場合でも同様の傾向である。
【0036】
図3(c)は、
図3(a)の前方(C矢視)から見た、光源5の見え方を示す図であり、
図3(d)は、
図3(b)の前方(D矢視)から見た、光源5(からの光)の見え方を示す図である。
図3(c)に示すように、透明カバー9aの前面が平坦(又はなだらかな円弧)である場合には、前方から透明カバー9aを透過して見える光源5の発光領域(図中E)は、光源5のサイズと略同じサイズで視認される。一方、
図3(d)に示すように、透明カバー9が前方に突出する三角形状である場合には、三角柱から大気中に出射される際の光の屈折によって幅方向中心(頂点)を挟んで両側に光源5の発光領域が視認される。すなわち、透明カバー9を透過して見える光源5からの光の領域(図中F)は、元の光源5のサイズよりも十分に大きくなる。
【0037】
図4の左側の写真は、
図3(c)に対応する実際の写真であり、
図4の右側の写真は、
図3(d)に対応する実際の写真である。このように、透明カバー9の前方を三角形状とすることで、正面から見える光源5の発光領域(サイズ)を略2倍に広くすることができる。
【0038】
個々の光源配設部3が前方に集光することにより、隣り合う光源配設部3は集合体となって前方へ信号光を発する光源となる。この際、光源5の個数や消費電力を変えることなく、省電力で、視認性を大幅に向上させることができる。
【0039】
図5(a)は、透明カバーを外した光源5の(概ね
図4の左側に対応する)発光の配光特性の評価結果を示す図である。また、
図5(b)は、三角柱形状の透明カバー9を取り付けた光源5の(
図4の右側に対応する)発光の配光特性の評価結果を示す図である。なお、LED光源としては、長さ25cm、幅12mmのアルミニウムレール上にLED素子15個を等間隔に装着し、12Vで駆動した。光源中央と照度計の高さを同一として、測定距離は1mとした。
【0040】
図示したように、いずれの場合も、光源5から出射される光の強度は、中心程強く、配光角度が大きくなるにつれて弱くなるが、三角形状の透明カバー9を用いた
図5(b)では、前方への光がより強いものとなった。すなわち、三角柱の透明カバー9を用いることで、左右に広がる光を中央(前方)に集め、中心部では、比較例と比較して、約2倍の明るさとなった。また、
図5(b)において、
図5(a)と比較して同等以上の明るさとなった角度範囲は略60°(中心から左右にそれぞれ30°の範囲)であった。
【0041】
以上、本実施の形態によれば、透明カバー9の前面を三角柱の形状とすることで、よどみ点を限りなく小さくすることができ、着雪初期の核となる雪の付着を抑制することができる。
【0042】
また、透明カバー9の斜面部15の傾斜角度を安息角以上とすることで、透明カバー9の左右斜面への着雪をさらに抑制することができる。また、光源5が配置される複数の光源配設部3の間を、風雪が吹き抜ける構造としたため、光源配設部3の発光面への着雪を大幅に減少させ、無着雪化を可能にする。
【0043】
また、前方から見た際の光源5の光の強度を高めることができるため、前方からの視認性を高めることができる。
【0044】
なお、このような効果を得るためには、透明カバーの形状は、ホームベース型には限られず、例えば、
図6に示すような、全体が三角柱形状の透明カバー9bを用いてもよい。このように、前方に突出する三角柱形状を有すれば、断面形状は特に限定されない。
【0045】
次に、他の実施形態について説明する。
図7(a)は、表示機1aを示す後方斜視図、
図7(b)は表示機1aの側方図(フレーム等の透視図)である。なお、以下の説明において、前述の実施形態と同様の機能等を有する構成については、
図1~
図3と同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0046】
表示機1aは、表示機1と略同様の構成であるが、光源配設部3の後方に、風が通過可能なように、遮光部材17が付加配置される点で異なる。表示機1aは、複数の遮光部材17が複数段に配置される。なお、図では、遮光部材17は3段に配置される例を示すが、遮光部材17の段数は特に限定されない。複数の遮光部材17は、上下方向に所定の間隔をあけて配置される。それぞれの遮光部材17は、後方に行くにつれて下方に斜めに傾斜するテーパ部を有し、テーパ部が互いに略平行に形成される。背面視(正面視)において、複数段の遮光部材17は、上下方向に互いに重なり合うように配置される。例えば、上段の遮光部材17の下端は、その一つ下段の遮光部材17の上端と高さが重なり合う。
【0047】
全ての遮光部材17のテーパ部は、枠部7から所定距離後方に離間した位置に形成される。また、最上段の遮光部材17は、テーパ部の前方に水平部(光源配設部3の併設方向に略垂直な部位)を有し、枠部7の前方に張り出すように庇が形成される。すなわち、上から2段目以下の遮光部材17は、枠部7から所定距離後方に離間した位置に配置される。
【0048】
各遮光部材17は、枠部7の側部から後方に向けて配置されるフレームによって支持される。すなわち、遮光部材17は、フレームを介して枠部7に固定される。なお、図示した例では、側方にフレームが露出しているが、遮光部材17の側方は、図示を省略した板状部材になどよって塞がれていてもよい。
【0049】
前述したように、隣り合う光源配設部3の間には隙間が形成されるため、表示機の前方から、表示機後方の風景や、後方からの太陽光などを視認することが可能となる。このため、表示機の前方における発光部の視認性が阻害される恐れがある。これに対し。遮光部材17を配置することで、表示機1aの後方からの光等が遮蔽され、光源配設部3の各光源5の光の視認性を高めることができる。
【0050】
また、複数の遮光部材17は隙間を開けて配置され、隣り合う光源配設部3の間を通り向けた風を、そのまま表示機1aの後方に流すことができる。このため、後方からの光等を遮光しても、風の流れを阻害することがない。このため、光源配設部3の前面への着雪を抑制することができる。
【0051】
なお、遮光部材の配置や形態は、
図7に示す例には限られない。後方からの光等を遮蔽し、風を後方へ流すことができれば、他の形態であってもよい。
【0052】
以上、本実施の形態によれば、表示機の後方に、光を遮蔽する遮光部材を配置することで、隣り合う光源配設部3の間の隙間から、表示機の後方からの光等が漏れることを抑制することができる。また、遮光部材17は、枠部7との間に隙間を有するため、風の流れを封鎖することがなく、着雪抑制効果を維持することができる。
【0053】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0054】
1、1a………表示機
3………光源配設部
5………光源
7………枠部
9、9a、9b………透明カバー
10………信号機
13………側面部
15………斜面部
17………遮光部材