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特開2025-23749ポリウレタンフォーム及びその製造方法
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  • 特開-ポリウレタンフォーム及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023749
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20250207BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20250207BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20250207BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20250207BHJP
   C08L 75/08 20060101ALI20250207BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20250207BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20250207BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20250207BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20250207BHJP
【FI】
C08G18/00 J
C08G18/08 038
C08G18/76 057
C08G18/48
C08L75/08
C08K3/04
C08K3/22
C08K5/521
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128167
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩口 祐典
(72)【発明者】
【氏名】田中 謙
(72)【発明者】
【氏名】杉山 剛正
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4J002CK041
4J002DA016
4J002DE146
4J002EW046
4J002FD136
4J002GC00
4J002GF00
4J034BA03
4J034BA07
4J034CA04
4J034CA05
4J034CB03
4J034CB04
4J034CC03
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC50
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG06
4J034DG08
4J034DG09
4J034DG14
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HB06
4J034HB07
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034JA01
4J034JA32
4J034JA42
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB05
4J034KC17
4J034KD02
4J034KD03
4J034KD12
4J034KE02
4J034MA02
4J034MA03
4J034MA16
4J034NA03
4J034QA01
4J034QB01
4J034QB13
4J034QB14
4J034QB15
4J034QB16
4J034QB17
4J034QC01
4J034QC03
4J034QD04
4J034RA03
4J034RA05
4J034RA15
(57)【要約】
【課題】高難燃性を有しながら、低硬度で、復元性に優れたポリウレタンフォーム及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリエーテルポリオールAと、ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBと、水Cと、触媒Dと、膨張黒鉛と、リン系難燃剤と、水酸化アルミニウムと、を含む難燃剤Eと、を含む組成物の発泡体からなる、ポリウレタンフォーム及びその製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルポリオールAと、
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBと、
水Cと、
触媒Dと、
膨張黒鉛と、リン系難燃剤と、水酸化アルミニウムと、を含む難燃剤Eと、
を含む組成物の発泡体からなる、ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
前記膨張黒鉛の含有量が、前記ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、40~80質量部であり、
前記リン系難燃剤の含有量が、前記ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、15~40質量部であり、
前記水酸化アルミニウムの含有量が、前記ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、10~30質量部である、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
厚さが6mm未満であり、見掛け密度が270~370kg/mである、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
25%圧縮硬さが0.1MPa以下である、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項5】
50%圧縮残留ひずみが5%以下である、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項6】
ポリエーテルポリオールAと、ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBと、水Cと、触媒Dと、膨張黒鉛と、リン系難燃剤と、水酸化アルミニウムとを含む難燃剤Eと、を含む組成物をダイから吐出して塗膜を得る工程と、
前記塗膜を加熱する工程と、
を有する、ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項7】
前記膨張黒鉛の含有量が、前記組成物に対してする質量比で、0.15~0.25であり、
前記リン系難燃剤の含有量が、前記組成物に対する質量比で、0.05~0.13であり、
前記水酸化アルミニウムの含有量が、前記組成物に対する質量比で、0.03~0.10である、請求項6に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォーム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、スポンジ、スピーカー、ヘッドホンなどに使用されるクッション、ベッドのクッション及びマット、並びに、靴のインソールのほか、断熱材など、幅広い用途に利用されている。
【0003】
プラスチック素材に要求される性能の1つに耐熱性、及び難燃性がある。しかしながら、プラスチック素材の中でも、ポリウレタンフォームは密度が低く、通気性が良好であるため、燃え易く、これまでに難燃性を向上させる試みがなされている。
【0004】
ポリウレタンフォームを難燃化する方法としては、ポリウレタンフォームの原料組成物に難燃剤をあらかじめ添加する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、リン系難燃剤、メラミン難燃剤、及び膨張黒鉛を含む難燃剤を含むポリウレタンフォーム配合物を発泡させて得られる難燃性ポリウレタンフォームが開示されている。
また、特許文献2には、カーボンからなる第1の難燃剤と、赤リンと縮合リン酸エステルからなる第2の難燃剤の二元系からなる複合難燃剤を含むポリウレタン原料組成物を発泡成形して得られる難燃性に優れた発泡成形品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-252111号公報
【特許文献2】特開2012-97169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ポリウレタンフォームは、高難燃性を有しながらも、低硬度で、復元性に優れるといったポリウレタンフォーム本来の特性にも優れることが求められる。
しかし、特許文献1~2を含めて、難燃性と機械的特性とが共に優れるポリウレタンフォームとして、未だ十分ではなく、さらなる向上が求められているのが現状である。
【0007】
そこで、本発明の課題は、高難燃性を有しながら、低硬度で、復元性に優れたポリウレタンフォーム及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段は、下記態様が含まれる。
<1>
ポリエーテルポリオールAと、
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBと、
水Cと、
触媒Dと、
膨張黒鉛と、リン系難燃剤と、水酸化アルミニウムと、を含む難燃剤Eと、
を含む組成物の発泡体からなる、ポリウレタンフォーム。
<2>
前記膨張黒鉛の含有量が、前記ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、40~80質量部であり、
前記リン系難燃剤の含有量が、前記ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、15~40質量部であり、
前記水酸化アルミニウムの含有量が、前記ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、10~30質量部である、<1>に記載のポリウレタンフォーム。
<3>
厚さが6mm未満であり、見掛け密度が270~370kg/mである、<1>又は<2>に記載のポリウレタンフォーム。
<4>
25%圧縮硬さが0.1MPa以下である、<1>~<3>のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
<5>
50%圧縮残留ひずみが5%以下である、<1>~<4>のいずれか1項に記載のポリウレタンフォーム。
<6>
ポリエーテルポリオールAと、ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBと、水Cと、触媒Dと、膨張黒鉛と、リン系難燃剤と、水酸化アルミニウムとを含む難燃剤Eと、を含む組成物をダイから吐出して塗膜を得る工程と、
前記塗膜を加熱する工程と、
を有する、ポリウレタンフォームの製造方法。
<7>
前記膨張黒鉛の含有量が、前記組成物に対してする質量比で、0.15~0.25であり、
前記リン系難燃剤の含有量が、前記組成物に対する質量比で、0.05~0.13であり、
前記水酸化アルミニウムの含有量が、前記組成物に対する質量比で、0.03~0.10である、<6>に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高難燃性を有しながら、低硬度で、復元性に優れたポリウレタンフォーム及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係るポリウレタンフォームの製造方法を実施するための装置構成の一例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
本実施形態中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本実施形態中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本実施形態において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本実施形態において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
本実施形態において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本実施形態において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0012】
(ポリウレタンフォーム)
本実施形態に係るポリウレタンフォームは、
ポリエーテルポリオールAと、
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBと、
水Cと、
触媒Dと、
膨張黒鉛と、リン系難燃剤と、水酸化アルミニウムと、を含む難燃剤Eと、
を含む組成物の発泡体からなる。
なお、発泡体を形成するための組成物(以下「ウレタン原料液」とも称する)は、上記成分以外に、その他成分を含んでもよい。
【0013】
本実施形態に係るポリウレタンフォームは、上記構成により、高難燃性を有しながら、低硬度で、復元性に優れる。その理由は、次の通り推測される。
【0014】
本実施形態においては、難燃剤Eとして、膨張黒鉛、リン系難燃剤、及び水酸化アルミニウムの組み合わせを用いる。この組み合わせにおいては、膨張黒鉛は、加熱により黒鉛層間にインターカレーションされた酸が気化し、層間が広がることで体積が200倍以上に膨張したチャー層(断熱炭化層)が難燃化に作用する。
リン系難燃剤は、燃焼時に炭化促進作用によるチャー層(断熱炭化層)の形成と気相におけるラジカルトラップ効果が難燃化に作用する。
水酸化アルミニウムは、燃焼時の脱水吸熱反応による冷却効果と、生成した水による気相中の燃焼ガスの希釈効果と、生成した無機酸化物層の断熱層効果が難燃化に作用する。
一方、水酸化アルミニウムは、ポリウレタンフォームの製造時において、ウレタン原料液中の膨張黒鉛を均一に分散させる効果があると考えられる。このため、後述の工程(例えば、ダイコーター経由)を経ても、得られるポリウレタンシートはシート全体に亘って均一に難燃性が付与される。その結果、優れた高難燃性が発揮されると考えられる。
また、膨張黒鉛と水酸化アルミニウムの固体成分がウレタンフォームに含有されることで、ウレタンフォームの硬度は上昇する。一方で、液体のリン系難燃剤は可塑剤としての役割もあり、ウレタンフォームに含有されることで、硬度を低下させる傾向となる。よって、3種類の難燃剤を併用することにより、硬度の上昇を抑えることができると考えられる。また、3種類の難燃剤を併用することで、1種類又は2種類のみの難燃剤の使用よりも、合計量を少なくして高い難燃性を得られるため、難燃剤の合計の含有量が減ることによって、ウレタンフォームの性能が損なわれず、復元性の低下を抑えることができる。
【0015】
以上から、本実施形態に係るポリウレタンフォームは、上記構成により、高難燃性を有しながら、低硬度で、復元性に優れると推測される。
また、特に、本実施形態に係るポリウレタンフォームは、薄くても(例えば厚さ2mmという薄さ)でも、高い難燃性が得られる。
【0016】
以下、ウレタン原料液の各成分について説明する。
【0017】
(ポリエーテルポリオールA)
ポリエーテルポリオールAとしては、アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエーテルポリオールAとしては、アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオールが好ましい。
【0018】
アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオールは、低分子アルコール(エチレングリコ-ル、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン等)にアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合物、テトラメチレンオキシド(テトラヒドロフラン、THF)等)を付加重合した化合物である。
アルキレンオキサイド付加ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、PPGとPEGの共重合物、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)等が好ましい。
【0019】
特に、ポリエーテルポリオールAとしては、低分子アルコールにプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドが付加されたアルキレンオキサイド付加ポリオールで、エチレンオキサイドのモル比率が5~30%(好ましくは、10~30%)であるポリエーテルポリオールがよい。
なお、エチレンオキサイドのモル比率は、2種以上のポリエーテルポリオールAを混合して、5~30%の範囲に調整してもよい。
【0020】
ポリエーテルポリオールAの官能基数fは、低い25%圧縮硬さ及び低い50%圧縮残留ひずみの観点から、2~3が好ましい。
【0021】
ポリエーテルポリオールAの数平均分子量Mnは、低い25%圧縮硬さ及び低い50%圧縮残留ひずみの観点から、1,000~10,000が好ましく、より好ましくは3,000~8,000である。
ここで、数平均分子量は、JIS K 0070-1992による水酸基価の測定値と、官能基数より求めた場合の分子量とする。なお、他の成分の数平均分子量も同様に測定する。
【0022】
(ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートB)
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBは、ジフェニルメタンジイソシアネート骨格を有するイソシアネートである。
【0023】
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBとしては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-MDI、2,2’-MDIなどが挙げられる。ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBはモノメリックMDI(ピュアMDI)であっても、ポリメリックMDI(クルードMDI)であってもよい。また、カルボジイミド変性MDI、ポリオール変性MDI、プレポリマー変性MDIなどの変性MDIであってもよい。
特に、ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBは、低い25%圧縮硬さ及び低い50%圧縮残留ひずみの観点から、2種以上のイソシアネートを使用することが好ましい。単独使用の場合、ポリウレタン形成反応が速かったり、逆に極端に遅かったりする為、反応のコントロールが難しいことがある。また、得られるポリウレタンフォームが低い25%圧縮硬さ、低い50%圧縮残留ひずみのものになり易い。
【0024】
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBのイソシアネートインデックス(NCOインデックス)は、好ましくは80~120である。
【0025】
イソシアネートインデックスは、イソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、[イソシアネートのNCO当量/活性水素当量×100]で計算される。
【0026】
(水C)
水Cは、発泡剤として使用する。
水Cとしては、特に限定されず、例えば、蒸留水、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。
なお、発泡剤としては、水と共に、低沸点の有機溶媒(フッ化アルキル化合物、塩化アルキル化合物等)を併用してもよい。また、窒素ガス、空気等の気体を、ウレタン原料液に混合してもよい。
【0027】
(触媒D)
触媒Dとしては、有機金属化合物系触媒、アミン系触媒等が挙げられる。
有機金属化合物系触媒としては、錫系、チタン系、ビスマス系、ニッケル系等の有機金属系の触媒が挙げられ、例えば、有機スズ化合物のオクチル酸第1スズ、ジブチルチンジラウレートなどがある。
アミン系触媒としては、3級アミン類が好ましく、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類等のアミン系触媒が挙げられ、例えば、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、n-メチルモルホリン、n-エチルホルモリン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどがある。
触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0028】
(難燃剤E)
難燃剤Eとしては、膨張黒鉛、リン系難燃剤、及び水酸化アルミニウムの組み合わせを用いる。
【0029】
難燃剤Eは、各難燃剤の配合量を適切に調整することで、得られるポリウレタンフォームに高難燃性のほか、低い25%圧縮硬さ、及び低い50%圧縮ひずみを付与することができる。
膨張黒鉛としては、例えば、高結晶黒鉛(天然黒鉛、熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛等)を、酸(硫酸、硝酸等)により酸処理した後、加熱によりグラファイト結晶層間を膨張化させた周知の膨張黒鉛が挙げられる。
リン系難燃剤とは、リン(P)を含む難燃剤である。
リン系難燃剤としては、トリクレジルフォスフェート、トリ(β-クロロエチル)ホスフェート、トリ(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリ(ジブロモプロピル)ホスフェート、2,3-ジブロモプロピル-2,3-クロロプロピルホスフェートなどが挙げられる。
【0030】
(その他成分)
その他の成分としては、架橋剤が挙げられる。
【0031】
架橋剤としては、例えば、ジオールが挙げられる。ジオールとしては、例えば、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(メチルペンタンジオール)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、2,3-ヘプタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール等の炭素数3~20の脂肪族ジオールが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の付加体であってもよい。
【0032】
その他の成分としては、上記架橋剤以外に、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、防菌剤、防カビ剤等の周知の添加剤が挙げられる。これらの成分は、本発明の効果を損ねない範囲において、適宜添加することができる。
【0033】
(ウレタン原料液中の各成分の含有量)
-ポリエーテルポリオールAの含有量-
ポリエーテルポリオールAの含有量は、ポリウレタンフォームに対して、25~40質量%が好ましく、30~35質量%がより好ましい。
【0034】
-ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBの含有量-
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBの含有量は、ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、70~90質量部が好ましく、75~85質量部がより好ましい。
ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBの含有量は、組成物(ウレタン原料液)に対して、20~35質量%が好ましく、25~30質量%がより好ましい。
【0035】
-水Cの含有量-
水Cの含有量は、ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、0.2~0.5質量部が好ましく、0.3~0.4質量部がより好ましい。
また、水Cの含有量は、組成物(ウレタン原料液)に対して、0.07~0.17質量%が好ましく、0.1~0.14質量%がより好ましい。
水Cの含有量が、上記範囲であると、得られるポリウレタンフォームの見かけ密度の適度となり、低い25%圧縮硬さが得られ易くなる。また、見かけ密度の減少に伴う、難燃性の低下が抑え易くなる。
【0036】
-触媒Dの含有量-
触媒Dの含有量は、ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、0.02~0.1質量部が好ましく、0.04~0.08質量部がより好ましい。
触媒Dの含有量は、組成物(ウレタン原料液)に対して、0.007~0.03質量%が好ましく、0.014~0.027質量%がより好ましい。
【0037】
-難燃剤Eの含有量-
難燃剤Eの含有量は、ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、60~165質量部が好ましく、70~150質量部がより好ましい。
難燃剤Eの含有量は、組成物(ウレタン原料液)に対する質量比で、0.23~0.45が好ましく、0.26~0.41がより好ましい。
難燃剤Eの含有量が、上記範囲であると、所望の高難燃性が得られ易くなる。また、低い25%圧縮硬さ及び低い50%圧縮残留ひずみが得られ易くなる。
【0038】
<膨張黒鉛の含有量>
難燃剤Eに含まれる膨張黒鉛の含有量は、ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、30~90質量部が好ましく、40~80質量部が好ましい。
難燃剤Eに含まれる膨張黒鉛の含有量は、組成物(ウレタン原料液)に対する質量比で、0.11~0.27が好ましく、0.15~0.25がより好ましい。
難燃剤Eに含まれる膨張黒鉛の含有量が、上記範囲であると、チャー層(断熱炭化層)が十分に形成され、所望の高難燃性が得られ易くなる。また、膨張黒鉛の過剰膨張による燃焼物のドリップが抑制される。加えて、低い25%圧縮硬さ及び低い50%圧縮残留ひずみが得られ易くなる。
【0039】
<リン系難燃剤の含有量>
難燃剤Eに含まれるリン系難燃剤の含有量は、ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、5~50質量部が好ましく、15~40質量部よりが好ましい。
難燃剤Eに含まれるリン系難燃剤の含有量は、組成物(ウレタン原料液)に対する質量比で、0.02~0.16が好ましく、0.05~0.13がより好ましい。
難燃剤Eに含まれるリン系難燃剤の含有量が、上記範囲であると、チャー層(断熱炭化層)の形成とラジカルトラップ効果が十分となり、所望の高難燃性が得られ易くなる。また、可塑化効果による燃焼物のドリップが生じ難くなる。加えて、可塑化効果が減少し、低い50%圧縮残留ひずみが得られ易くなる。
【0040】
<水酸化アルミニウムの含有量>
難燃剤Eに含まれる水酸化アルミニウムの含有量は、ポリエーテルポリオールA100質量部に対して、5~40質量部が好ましく、10~30がより好ましい。
難燃剤Eに含まれる水酸化アルミニウムの含有量は、組成物(ウレタン原料液)に対する質量比で、0.025~0.13が好ましく、0.03~0.10がより好ましい。
難燃剤Eに含まれる水酸化アルミニウムの含有量が、上記範囲であると、脱水吸熱反応による冷却効果などが十分となり、所望の高難燃性が得られ易くなる。また、硬さの増加が抑制され、低い25%圧縮硬さが得られ易くなる。
【0041】
(ポリウレタンフォームの特性)
-厚さ-
本実施形態に係るポリウレタンフォームの厚さは、好ましくは2~6mmであり、より好ましくは2~4mm、更に好ましくは2~3mmである。
【0042】
厚さは、次の方法により測定する。
測定対象のサンプルを23±3℃の環境に用意する。次に、デジタルゲージを使用し、直径Φ10mmの測定子を用い荷重約0.6Nにて、サンプルの厚さ寸法を1/100mm精度で測定する。
【0043】
-見掛け密度-
本実施形態に係るポリウレタンフォームの見掛け密度は、好ましくは270~370kg/mであり、より好ましくは290~350kg/m、更に好ましくは300~340kg/mである。ポリウレタンフォームの見掛け密度が270kg/m以上であると、機械的強度の観点からの問題が生じ難くなる。ポリウレタンフォームの見掛け密度が370kg/m以下であると、低い25%圧縮硬さが得られ易くなる。
特に、本実施形態に係るポリウレタンフォームは、厚さが6mm未満であり、見掛け密度が270~370kg/mであるポリウレタンフォームであることが好ましい。
見掛け密度が270~370kg/mの範囲であれば、25%圧縮硬さ0.1MPa以下の低硬度と50%圧縮残留歪が5%以下の高い復元性を有しながら、難燃性がV-0を達成できる。
【0044】
見掛け密度は、次の方法により測定する。
まず、測定対象(概寸:縦100mm×横100mm×厚さ測定値)のサンプルを23±3℃の環境に用意する。次に、精密天秤にて、サンプルの質量重量を1/100g精度で測定する。次に、デジタルゲージを使用し、直径Φ10mmの測定子を用い荷重約0.6Nにて、サンプルの厚さ寸法を1/100mm精度で9個所測定し、平均値を求める。サンプルの縦寸法及び横寸法は、デジタルノギスを用いて、それぞれ3箇所測定し、平均を求める。得られた各寸法から、サンプルの体積を算出する。そして、式:見かけ密度=質量重量/体積にて、見かけ密度を求める。
【0045】
-25%圧縮硬さ-
本実施形態に係るポリウレタンフォームの25%圧縮硬さは、低硬度の観点から、好ましくは0.1MPa以下であり、より好ましくは0.08MPa以下、更に好ましくは0.05Mpa以下である。
25%圧縮硬さは、JIS K 6400-2(2012年)に準じて測定することができる。
具体的には、測定対象から、30×30mmのサイズに試料を打ち抜く。厚みが10mm以下の場合は10mm以上になるように積層して試料を得る。そして、(株)島津製作所「精密万能試験機オートグラフ AG-X」を用いて、圧縮速度10mm/minにてサンプル厚みに対して25%圧縮を行って、25%圧縮硬さを測定する。
【0046】
-50%圧縮残留ひずみ-
本実施形態に係るポリウレタンフォームの50%圧縮残留ひずみは、復元性の観点から、好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下、更に好ましく1%以下である。
【0047】
50%圧縮残留ひずみは、JIS K6400-4(2012年)に準じて測定することができる。
具体的には、測定対象から、縦30mm×横30mmのサイズに試料を打ち抜く。
次に、容易に変形しない平滑な2枚の圧縮用金属板を用い、試料の厚さの50%に平行に圧縮固定して、温度70℃のオーブン中で22時間保持した後、試料を圧縮板から取り出し、室温で30分放置した後の厚さを測定する。そして、次式より圧縮残留ひずみを算出する。
【0048】
圧縮残留ひずみ(%)={(試験前の厚み-試験後の厚み)/試験前の厚み}×100
【0049】
-難燃性-
本実施形態に係るポリウレタンフォームの難燃性は、UL-94垂直燃焼試験のV-0基準を満たすことが好ましい。
【0050】
難燃性は、UL-94垂直燃焼試験に準じて評価することができる。
具体的には、バーナの筒の上端が試験片の下端から10±1mmになるようにし、試験片の中央に対し炎を垂直に当て、その距離を10±0.5秒間保って、試験片の燃焼及び溶融落下物による脱脂綿の着火の有無を調べる。
難燃性の程度によりV-0、V-1、V-2があり、V-0に近づくほど高難燃性材料であることを示す。燃焼時間がそれぞれ10秒以下、30秒以下で、燃焼しながら落ちる溶融物がない場合でV-0~V-1レベル、燃焼しながら落下する溶融物のある場合でV-2レベルとなる。
【0051】
(ポリウレタンフォームの製造方法)
本実施形態に係るポリウレタンフォームの製造方法は、
ポリエーテルポリオールAと、ジフェニルメタンジイソシアネート系のイソシアネートBと、水Cと、触媒Dと、膨張黒鉛と、リン系難燃剤と、水酸化アルミニウムとを含む難燃剤Eと、を含む組成物をダイから吐出して塗膜を得る工程と、
前記塗膜を加熱する工程と、
を有する。
【0052】
塗膜を得る工程として具体的には、例えば、ウレタン原料液を第1の連続ウェブ(帯状体)上にダイから連続的に塗布して塗膜を形成する塗布工程が例示できる。
塗膜を加熱する工程として具体的には、例えば、第1の連続ウェブ上の塗膜を加熱し硬化させて、発泡体を形成する加熱工程が例示できる。
【0053】
ここで、塗布工程の後、加熱工程の前に、第1の連続ウェブ(帯状体)上の塗膜に第2の連続ウェブ(帯状体)を供給し、2枚の連続ウェブにより塗膜を挟む第2連続ウェブ供給工程を含み、加熱工程は2枚の連続ウェブにより挟まれた状態で塗膜を加熱し硬化させて、発泡体を形成する工程は多数のメリットがある。
特に、2枚の離形性の連続ウェブにより挟まれた状態で、ウレタン原料液の塗膜を加熱硬化し、発泡体を形成すると、2枚の連続ウェブに挟まれた状態で発泡するので、発泡剤の飛散が無いので発泡倍率が高まり(低密度になる)、少ない水部数で高い発泡体(つまりスポンジ)が得られる。
【0054】
以下、この態様のポリウレタンフォームの製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0055】
図1は、本実施形態に係るポリウレタンフォームの製造方法を実施するための装置構成の一例を示した概略図である。
図1に示すように、ポリウレタンフォームの製造装置100は、第1の連続ウェブ14Aを送り出す第1ウェブロール14と、ウレタン原料液を第1の連続ウェブ14A上に塗布する塗布装置12と、第1ウェブロール14から送り出された第1の連続ウェブ14Aを塗布装置12の直下に導く大径ローラ18と、第2の連続ウェブ16Aを送り出す第2ウェブロール16、第2の連続ウェブ16Aを第1の連続ウェブ14A上の塗膜10上に導くガイドローラ20と、2枚の連続ウェブ14A,16Aの間に挟まれたウレタン原料液の塗膜10を加熱装置22に導くとともに加熱装置22により加熱して硬化した発泡体(以下「発泡ウレタンシート」と称する)30を搬送する第2搬送ローラ28A,第1搬送ローラ28Bと、発泡ウレタンシート30から剥離された各連続ウェブ14A,16Aを巻き上げて回収する第1回収ローラ24,第2回収ローラ26と、を備えている。
【0056】
-塗布工程-
まず、原料成分を混合攪拌したウレタン原料液を第1の連続ウェブ14A上に連続的に塗布して塗膜10を形成する。
【0057】
第1の連続ウェブ14としては、例えば樹脂フィルムまたは紙体が好ましく用いられる。
樹脂フィルムは、ウレタン原料液の塗布及び加熱工程での加熱によって変形しないものであれば特に限定されないが、ウレタン原料液に対する耐性、耐熱性などの観点から、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのフィルムが好ましい。
必要であれば、樹脂フィルムの表面にコロナ放電処理、プラズマ処理などを施して発泡ウレタンシートとの接着性を向上させてもよい。
【0058】
また、発泡ウレタンシートを製造した後、樹脂フィルムを剥がし易いようにウレタン原料液の塗膜を形成する面が離型性を有する樹脂フィルムを用いてもよい。
離型性を有する樹脂フィルムとしては、樹脂フィルムの片面にシリコーン離型剤を塗布する方法、ポリプロピレン樹脂やポリメチルペンテン樹脂などの離型性を有する樹脂フィルムをそのまま用いる方法、離型性を有する樹脂フィルムをポリエステルフィルム等にラミネートするなどの方法がある。また、紙体を用いる場合は、グラシン紙や上質紙の表面をポリエチレンやポリプロピレンでコートした紙体、又はその上から更にシリコーン離型剤を塗布した紙体などが用いられる。尚、離型フィルム又は紙体離型紙の表面をマット仕上げやシボ模様をつけて意匠性と質感を高める事も行える。
【0059】
本発明で用いる第1の連続ウェブ14Aとしては、片面にシリコーン離型剤を塗布した樹脂フィルム又は離型性を有する樹脂フィルムが、発泡体の固化速度が速く且つ厚み精度が高いため好ましい。
【0060】
第1の連続ウェブ14A上にウレタン原料液を塗布するための塗布装置12としては、ダイコーターを用いる。ウレタン原料液を吐出ノズルからダイに導入して連続ウェブ上に塗工する。
【0061】
塗膜10の厚みは目的とする発泡体(ポリウレタンフォーム)の用途に応じて決めればよいが、発泡ウレタンシートの発泡倍率、目的の厚みなどの観点から、0.5~5mmmmであることが好ましい。
【0062】
-第2連続ウェブ供給工程-
第1の連続ウェブ14A上の塗膜10に第2の連続ウェブ16Aを供給して2枚の連続ウェブ14A,16Aにより塗膜10を挟み込む。
第2の連続ウェブ16Aとしては、第1の連続ウェブ14Aの説明で例示した樹脂フィルム又は紙体を用いることができる。なお、加熱工程後、発泡ウレタンシート30の少なくとも片面の連続ウェブを剥離し易くする観点から、第1の連続ウェブ14A及び第2の連続ウェブ16Aの少なくとも一方の連続ウェブは、塗膜10と接する面が離型性を有する連続ウェブを用いることが好ましい。
【0063】
第2の連続ウェブ16Aを巻いた第2ウェブロール16から第2の連続ウェブ16Aを連続的に巻き出して第1の連続ウェブ14A上の塗膜10に被せる。これにより塗膜10は2枚の連続ウェブ14A,16Aにより挟まれた状態となる。
【0064】
なお、図1に示す装置は2枚の連続ウェブ14A,16Aにより塗膜10を挟むように構成されているが、第1の連続ウェブ14A上に塗膜を形成した後、第2の連続ウェブ16Aを被せずに次の加熱工程に進んでもよい。
【0065】
-加熱工程-
塗膜10は2枚の連続ウェブ14A,16Aで挟んだ状態で加熱装置22内に搬送され加熱により硬化される。
硬化のための加熱温度は80~120℃が好ましく、この範囲の温度で5~20分で硬化することが好ましい。
加熱装置22としては、赤外線ヒーター、電気ヒーター、ガス燃焼炉などを用いることができる。
【0066】
-剥離工程-
加熱工程により発泡硬化させた発泡ウレタンシート30を第2搬送ローラ28A及び第1搬送ローラ28Bでは搬送し、連続ウェブ14A,16Aが発泡ウレタンシート30に密着したまま巻き取ってもよいし、連続ウェブ14A,16Aが離型性ウェブである場合は、図1に示すように、発泡ウレタンシート30を第2搬送ローラ28A及び第1搬送ローラ28Bでは搬送しつつ、発泡ウレタンシート30から離型性ウェブを剥離して各回収ローラ24,26に巻き取って回収する。なお、各連続ウェブ14A,16Aを回収した第1回収ロール24及び第2回収ロール26は供給ロールである第1ウェブロール14,第2ウェブロール16として再利用することができる。
【0067】
上記工程を経て、発泡ウレタンシート(発泡体)からなるポリウレタンフォームを連続的に製造することができる。
【0068】
(ポリウレタンフォーム)
本実施形態に係るポリウレタンフォームは、高い難燃性が要求される自動車用バッテリー向けの緩衝材等の用途に好適に適用できる。
【実施例0069】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」は特に断りのない限り質量基準である。
【0070】
<実施例1~24、比較例1~9>
表1及び表2に示す、イソシアネートを除く成分を撹拌混合し、ポリオール系溶液を得て、当該溶液を50℃に加温した。
次に、得られたポリオール系溶液に、表1及び表2に従って、イソシアネートを撹拌混合し、ウレタン混合液を得た。
次に、得られたウレタン混合液を、表面を離型剤処理したPETフィルム(厚さ100μm)上に均一塗布した後、上から同じく表面を離型剤処理したPETフィルム(厚さ100μm)を被せ、ウレタン混合液を2つのPETフィルムで挟み込んだ。
この状態で、80℃のオーブン中で5分加熱した直後更に、120℃のオーブン中で10分加熱した。
加熱終了後、オーブンから取り出し、PETフィルムを取り外し、表面に自己スキンを有する、表1及び表2に示す厚さのポリウレタンフォームを作製した。
【0071】
表1、2中の組成とした以外は、実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを作製した。
【0072】
<物性測定>
各例で得られたポリウレタンフォームの下記物性を、既述の方法に従って測定した。
・厚さ(mm)
・見かけ密度(kg/m
・25%圧縮硬さ(MPa)
・50%圧縮残留ひずみ(%)(測定条件:70℃、22時間)
【0073】
<難燃性>
各例のウレタンフォームから、難燃試験用の試験片(縦125±5mm×横13±0.5mm、厚さは各例のウレタンフォームの厚さ)を採取した。
バーナの筒の上端が試験片の下端から10±1mmになるようにし、試験片の中央に対し炎を垂直に当て、その距離を10±0.5秒間保って、試験片の燃焼及び溶融落下物による脱脂綿の着火の有無を調べ、下記基準で評価した。
難燃性の評価基準
〇:試験片5本中5本が燃焼時間10秒以下、クランプまでの燃焼なし、綿着火なし
△:試験片5本中3~4本が燃焼時間10秒以下、クランプまでの燃焼なし、綿着火なし
×:試験片5本中2本以下が燃焼時間10秒以下、クランプまでの燃焼なし、綿着火なし
【0074】
実施例及び比較例で使用する材料の詳細について、以下示す。
-ポリエーテルポリオール-
・商品名:サンニックス FA-703V、製造元:三洋化成工業
【0075】
-膨張黒鉛-
・商品名:SFF-32、製造元:中越黒鉛工業所
-液体リン系難燃剤-
・脂肪族縮合リン酸エステル、商品名:DAIGUARD-880
製造元:大八化学工業
-水酸化アルミニウム-
・品名:CW-375HT、製造元:住友化学
【0076】
-架橋剤-
・1,4-ブタンジオール、製造元:BASF出光
・ポリエーテルポリオール、商品名:アクトコール IR-94、製造元:三井化学SKCポリウレタン
ただし、実施例1-2の架橋剤は、1,4-ブタンジオール6.5質量部、ポリエーテルポリオール6.5質量部の計13質量部を使用した。
また、実施例3-24、比較例1-9の架橋剤は、1,4-ブタンジオール7.5質量部、ポリエーテルポリオール7.5質量部の計15質量部を使用した。
【0077】
-触媒-
・脂肪族3級アミン組成物、商品名:DABCO 33LV、製造元:エボニック・ジャパン
・ジブチルスズジラウレート、商品名:ネオスタンU-100、製造元:日東化成
ただし、実施例1-24、比較例1-9の触媒は、脂肪族3級アミン組成物0.03質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部の計0.06質量部を使用した。
【0078】
-ジフェニルメタンジイソシナネート系のイソシアネートB-
・ポリイソシアネート変性体、商品名:DC-6974、製造元:東ソー
【0079】
【表1-1】
【0080】
【表1-2】
【0081】
【表2】
【0082】
上記表1及び2の結果から、本実施例は、難燃性、低硬度性、及び復元性について優れることがわかる。
また、実施例6、7、10、11、14、15、18、19、22、23は、難燃性がV-0を達成した。
【符号の説明】
【0083】
10 塗膜
12 塗布装置
14 第1ウェブロール
14A 第1の連続ウェブ
16 第2ウェブロール
16A 第2の連続ウェブ
18 大径ローラ
20 ガイドローラ
22 加熱装置
24 第1回収ロール
26 第2回収ロール
28A 第2搬送ローラ
28B 第1搬送ローラ
30 発泡体(発泡ウレタンシート)
100 ポリウレタンフォームの製造装置
図1