(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023779
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】難病医療費受給者証発行申請補助システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20250207BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170992
(22)【出願日】2023-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2023127745
(32)【優先日】2023-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500351000
【氏名又は名称】SocioFuture株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】岡本ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】川井千波
(72)【発明者】
【氏名】伊藤正幸
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】 難病医療費受給者証発行申請を補助し、この受給者証発行のための判定業務を補助する。
【解決手段】 ヘルプデスクモジュール26は申請者12に対して申請手続きに必要な情報を提供し、申請者12からサービスの依頼を受け付ける。本人確認処理モジュール28はサービスサイト14側で証明書発行依頼書および受給者証申請書44を作成するために必要な認証データ50を得る。資料収集モジュール32は受給者証発行申請に必要な書類をて取得し申請履歴40を作成する。申請者情報記憶処理モジュール30は受給者証発行申請に必要なデータが揃うように制御する。判定データ生成モジュール34は申請履歴40中のデータから判断される自動判定報告書48を生成する。通信制御モジュール36は、判定業務を行う判定機関に対して、受給者証発行申請書44と付属書類46と自動判定報告書48を送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
難病医療費受給者証発行申請を補助し、この受給者証発行のための判定業務を補助するためのサービスサイトが、申請者の端末装置と判定機関の端末装置に対してネットワークを通じて接続されており、
上記のサービスサイトには、ヘルプデスクモジュールと、本人確認処理モジュールと、資料収集モジュールと、申請者情報記憶処理モジュールと、判定データ生成モジュールと、通信制御モジュールとが設けられており、
ヘルプデスクモジュールは、申請者の端末装置を通じて、申請者に対して申請手続きに必要な情報を提供し、申請者から補助サービスの依頼を受け付ける機能を持ち、
本人確認処理モジュールは、サービスサイト側で自動的に所定の証明書発行依頼書および受給者証申請書を作成するために必要な認証データを、申請者の端末装置を通じて得る処理を実行する機能を持ち、
資料収集モジュールは、上記の申請者の認証データ付きの所定の証明書発行依頼書を証明書発行元に送信して、受給者証発行申請に必要な書類を、ネットワークを通じて取得し申請者の申請履歴に追加する機能を持ち、
申請者情報記憶処理モジュールは、上記の申請者の申請履歴を参照して、受給者証発行申請に必要なデータと付属書類が揃うまで資料収集モジュールを制御する機能を持ち、
判定データ生成モジュールは、受給者証発行のための判定業務に必要なデータのリストとその内容から判断される受給ランクと医療費支給割合を含むデータを表示した自動判定報告書を生成する機能を持ち、
通信制御モジュールは、上記の判定業務を行う判定機関に対して、受給者証発行申請書と付属書類と自動判定報告書を送信する機能を持つことを特徴とする難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【請求項2】
上記のヘルプデスクモジュールは、申請者の申請履歴を参照して、受給者証発行申請に必要なデータの種類と付属書類の有効期間から、申請者による手続きの進捗状況を監視し、該当書類名と判定機関への受給者証発行申請時期の時期的制限とを、申請者に通知する機能を備えたことを特徴とする請求項1に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【請求項3】
上記の申請者情報記憶処理モジュールは、記憶装置に記憶された申請履歴を、判定機関の端末装置から参照可能にすることを特徴とする請求項2に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【請求項4】
上記の判定データ生成モジュールは、受給者証発行申請書の付属書類から、受給者証発行のための判定業務に必要なデータを抜き出した後で、付属書類に対して、当該業務に必要の無い事項をマスクする処理を自動的に実行して、このマスク処理後のデータを上記の申請履歴に保存することを特徴とする請求項3に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【請求項5】
上記の通信制御モジュールは、判定機関の端末装置に対して、上記のマスク処理後の付属書類を送信することを特徴とする請求項4に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【請求項6】
上記の通信制御モジュールは、判定機関の端末装置に対して、付属書類の発行機関側で付けられた照会番号を送信することを特徴とする請求項5に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【請求項7】
医療機関の端末装置が、申請者から提示されたログイン用の二次元コードを読み取ってサービスサイトにログインしたとき、もしくは、申請者の端末装置が、医療機関により提示された証明書アップロード用の二次元コードを読み取ってから、サービスサイトにログインしたとき、
上記の資料収集モジュールは、医療機関の端末装置による、医療機関により発行される証明書の入力を受け付けて、記憶装置に保存することを特徴とする請求項1に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【請求項8】
上記の資料収集モジュールは、医療機関の端末装置による、医療機関により発行される医療機関名と医療費と領収書を示すデータの入力を受け付けて、自己負担上限額管理表と医療費申告書と医療費総額証明書とを生成して記憶装置に記憶して、申請者の端末装置からダウンロード可能な状態で保持することを特徴とする請求項7に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【請求項9】
サービスサイトに、自己負担上限額管理表、領収書、医療費申告書または医療費総額証明書が行政機関の端末装置に表示されたときに、
上記の資料収集モジュールは、その操作画面に表示された医療機関が、難病医療費受給の適用を受ける対象に該当するかどうかの情報を収集して、該当しない医療機関を検出したときには該当する医療機関を指摘する表示をするか、もしくはそれを除外可能にするボタンを表示することを特徴とする請求項8に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、申請者により申請された申請書の内容に応じて様々な判定を必要とする、難病医療費受給者証発行可否のための、申請者の手続きと判定機関の業務とを補助する申請補助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを通じて様々な手続きを支援するシステムの開発が盛んに行われている。例えば、特許文献1には要介護認定を受けるための申請作業や審査業務を支援するシステムが紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
法律に定められた特定の難病については、医師の診断書等を添えて保健所に申請をすれば、医療費控除のための受給者証が発行される。この申請には、申請者が用意するべき書類の種類が多く、書類の発行元も様々なため申請者の作業負担が大きい。また、申請を受けた保健所等の側でも、内容が専門的で判断も複雑なため、受給者証発行可否判定のために多くの人材を投入しなければならないという問題があった。さらに、判定資料には医療機関により発行された書類が含まれるため、ネットワークを通じた個人情報の取り扱いにも注意を要する。また、スマートフォンやパソコンが普及し、行政機関や医療機関等でのディジタル化も進行しているが、ディジタル化の進展状況に応じて柔軟に対応できるシステムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
【0006】
<構成1>
難病医療費受給者証発行申請を補助し、この受給者証発行のための判定業務を補助するためのサービスサイトが、申請者の端末装置と判定機関の端末装置に対してネットワークを通じて接続されており、
上記のサービスサイトには、ヘルプデスクモジュールと、本人確認処理モジュールと、資料収集モジュールと、申請者情報記憶処理モジュールと、判定データ生成モジュールと、通信制御モジュールとが設けられており、
ヘルプデスクモジュールは、申請者の端末装置を通じて、申請者に対して申請手続きに必要な情報を提供し、申請者から補助サービスの依頼を受け付ける機能を持ち、
本人確認処理モジュールは、サービスサイト側で自動的に所定の証明書発行依頼書および受給者証申請書を作成するために必要な認証データを、申請者の端末装置を通じて得る処理を実行する機能を持ち、
資料収集モジュールは、上記の申請者の認証データ付きの所定の証明書発行依頼書を証明書発行元に送信して、受給者証発行申請に必要な書類を、ネットワークを通じて取得し申請者の申請履歴に追加する機能を持ち、
申請者情報記憶処理モジュールは、上記の申請者の申請履歴を参照して、受給者証発行申請に必要なデータと付属書類が揃うまで資料収集モジュールを制御する機能を持ち、
判定データ生成モジュールは、受給者証発行のための判定業務に必要なデータのリストとその内容から判断される受給ランクと医療費支給割合を含むデータを表示した自動判定報告書を生成する機能を持ち、
通信制御モジュールは、上記の判定業務を行う判定機関に対して、受給者証発行申請書と付属書類と自動判定報告書を送信する機能を持つことを特徴とする難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【0007】
<構成2>
上記のヘルプデスクモジュールは、申請者の申請履歴を参照して、受給者証発行申請に必要なデータの種類と付属書類の有効期間から、申請者による手続きの進捗状況を監視し、該当書類名と判定機関への受給者証発行申請時期の時期的制限とを、申請者に通知する機能を備えたことを特徴とする構成1に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【0008】
<構成3>
上記の申請者情報記憶処理モジュールは、記憶装置に記憶された申請履歴を、判定機関の端末装置から参照可能にすることを特徴とする構成2に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【0009】
<構成4>
上記の判定データ生成モジュールは、受給者証発行申請書の付属書類から、受給者証発行のための判定業務に必要なデータを抜き出した後で、付属書類に対して、当該業務に必要の無い事項をマスクする処理を自動的に実行して、このマスク処理後のデータを上記の申請履歴に保存することを特徴とする構成3に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【0010】
<構成5>
上記の通信制御モジュールは、判定機関の端末装置に対して、上記のマスク処理後の付属書類を送信することを特徴とする構成4に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
<構成6>
上記の通信制御モジュールは、判定機関の端末装置に対して、付属書類の発行機関側で付けられた照会番号を送信することを特徴とする構成5に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【0011】
<構成7>
医療機関の端末装置が、申請者から提示されたログイン用の二次元コードを読み取ってサービスサイトにログインしたとき、もしくは、申請者の端末装置が、医療機関により提示された証明書アップロード用の二次元コードを読み取ってから、サービスサイトにログインしたとき、
上記の資料収集モジュールは、医療機関の端末装置による、医療機関により発行される証明書の入力を受け付けて、記憶装置に保存することを特徴とする構成1に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【0012】
<構成8>
上記の資料収集モジュールは、医療機関の端末装置による、医療機関により発行される医療機関名と医療費と領収書を示すデータの入力を受け付けて、自己負担上限額管理表と医療費申告書と医療費総額証明書とを生成して記憶装置に記憶して、申請者の端末装置からダウンロード可能な状態で保持することを特徴とする構成7に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
<構成9>
サービスサイトに、自己負担上限額管理表、領収書、医療費申告書または医療費総額証明書が行政機関の端末装置に表示されたときに、
上記の資料収集モジュールは、その操作画面に表示された医療機関が、難病医療費受給の適用を受ける対象に該当するかどうかの情報を収集して、該当しない医療機関を検出したときには該当する医療機関を指摘する表示をするか、もしくはそれを除外可能にするボタンを表示することを特徴とする構成8に記載の難病医療費受給者証発行申請補助システム。
【発明の効果】
【0013】
難病医療費受給者証を発行申請を行う申請者は、この制度特有の、関係機関が多く複雑な申請手続きについて、総合的な支援を受けることができ、早期に手続きを完了させることができる。受給者証発行申請に必要な書類を、ネットワークを通じて取得して、記憶装置の申請者の申請履歴に記憶するので、手続きの進捗状況を監視し、自動的に円滑に管理をすることができる。しかも、申請に必要な情報は即ち判定ルールに基づくものだから、判定用データリストを作成して自動判定をした結果を判定機関に提供すれば、保健所等の判定機関は、その自動判定報告書により、複雑な判定業務の負荷を大幅に軽減される。サービスサイトは個人情報を保護しつつ申請履歴を保存するので、受給者証取得後も、同じ機能を利用して申請者が支払う医療費の管理等を支援し、更新手続きの負荷も軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は本発明のシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は認証データの用法例を示す説明図である。
【
図3】
図3は資料収集モジュールの収集する付属書類の例説明図である。
【
図4】
図4は判定データ生成モジュールの動作例説明図である。
【
図5】
図5は自動判定報告書の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は前回発行された受給者証の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は今回発行された受給者証の一例を示す説明図である。
【
図8】
図8はサービスサイトで提供する新たなサービスの説明図である。
【
図9】
図9はサービスサイトで提供する追加のサービスの説明図である。
【
図13】
図13は病院/薬局側の医療費入力画面の例を示す図である。
【
図14】
図14は保健所等の医療費確認画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例0016】
本発明では、難病医療費受給者証発行申請者の便宜を図るために、申請者の手続きを補助するサービスサイトを設ける。さらにこのサービスサイトでは、保健所等の判定機関の判定業務を補助して負荷を軽減する。ディジタル化が進むと将来は申請判定業務が変更される可能性もあるが、ここでは、判定機関を保健所を例にして実施例を説明する。
【0017】
図1に示すように、このサービスサイト14は、申請者12のパソコンやスマートフォン等の端末装置18からアクセスでき、かつ、保健所の端末装置20からもアクセスできるようにネットワーク22に接続されている。例えば、申請者の端末装置18からは携帯電話の通信用ネットワークがアクセスに使用され、保健所の端末装置20からはセキュリティの高い閉域ネットワークがアクセスに使用されるとよい。サービスサイト14にはネットワーク22に接続されたサーバコンピュータ等が設けられているが、既知のハードウエアのため図示せず、単にサービスサイト14と呼んで説明をする。
【0018】
このサービスサイト14には、ヘルプデスクモジュール26と、本人確認処理モジュール28と、申請者情報記憶処理モジュール30と、資料収集モジュール32と、判定データ生成モジュール34と、通信制御モジュール36とが設けられている。これらはいずれもデータを自動処理するサーバコンピュータのプログラムモジュールで構成されている。さらに、申請のためにサービスサイト14で取得したり生成したりしたデータを示す申請履歴40を記憶するために記憶装置42を設けている。
【0019】
申請履歴40には新たに申請をするための申請書44や付属書類46や自動判定報告書48のほかに、過去分41のデータも含まれている。過去分41は、今回が更新手続きの場合に、過去に申請をした結果のデータである。これにより、申請者単位で申請の履歴や関連書類を管理し、更新の場合には新たな判定の参考のために参照できるデータを整備する。難病医療費受給者証には定期的な更新申請も必要で、判定機関の負荷を大きくしている要因でもある。従って、このシステムは、以下に説明するように、申請人と判定期間の負荷の軽減に大きく寄与する。
【0020】
難病医療費受給者証発行のためには、保健所16において、認定される難病の種別や重症度や申請者12の所得区分等の受給資格に応じた判定がされる。即ち、申請の内容に応じて医療費の負担割合等の受給ランクが定められる。従って、申請者12は、従来は、医師の作成した診断書や臨床調査個人票に加えて、住民票や健康保険の被保険証や納税証明書等を取得して、これらを付属書類46として、申請書44とともに保健所16に提出していた。本発明のサービスサイト14では、その手続きの多くを自動化して申請者12の負荷を軽減する。同時に自動判定報告書48を提供して、保健所16の判定処理の負担も軽減する。
【0021】
(ヘルプデスクモジュール)
サービスサイト14に設けられたヘルプデスクモジュール26は、申請者12の申請手続きに必要な作業や注意事項等の情報を提供してアドバイスする機能を持つ。「よくある質問」のリストを検索させて表示したり、チャット形式でAI(Artificial Intelligence)により自動的に質問に回答したり、
図1に示すように、サポート係の端末装置27に接続したりする機能をもたせることができる。さらに、ヘルプデスクモジュール26は、申請者12による受給者証発行申請補助サービスの依頼を受け付けたときに、その申請者専用のデータを記録して保存するための申請履歴40を記憶装置42に開設する機能を持つ。
【0022】
ヘルプデスクモジュール26を利用した結果、申請者12がこのサービスサイト14に手続きを依頼することにしたときには、申請者12の質問事項やアドバイスの内容も、申請履歴40中に保存しておくとよい。申請履歴40は、申請事項の確認や判定処理の参考のために、保健所の端末装置20からも参照できるようにする。また、例えば、保健所16への申請可能な時期は4月から9月までといった時期的な制限があるから、ヘルプデスクモジュール26は申請者の手続きの進捗状況を監視して、保健所への申請時期の時期的制限との関係を申請者に通知するとよい。即ち、申請履歴40を参照して申請の準備をする最適なタイミングを自動的に申請者の端末装置18に通知する機能を設けることもできる。
【0023】
(本人確認処理モジュール)
本人確認処理モジュール28は、申請者12の認証データ50(
図2)を得る処理を実行する機能を持つ。認証データ50は、
図2に示すように、サービスサイト14側で本人確認がされた各種証明書発行依頼書や受給者証発行申請書44等の各種申請データ49を自動的に作成するために使用される。認証データ50は、マイナンバーカードから取得することができる。なお認証データ50の形式は任意である。本人の手続きであることを証明する電子化されたデータであれば他のものでも良い。
【0024】
(資料収集モジュール)
資料収集モジュール32は、上記のような認証データ50付きの各種申請データ49(
図2)を、ネットワーク22(
図1)を通じて市役所38等に送信して、必要なデータを収集する機能を持つ。各種申請データ49は、例えば、住民票等の証明書発行依頼書59である。
図3の付属書類のリストに示すように、市役所38等からは、世帯調書56や住民票58や市町村民税の課税証明書60や健康保険証62のデータを取得できる。例えば、環境が整えば、JLIS(地方公共団体情報システム機構)が提供する中間サーバを介して、都道府県や市町村のデータにアクセスしてこれらの情報を取得することも可能になる。資料収集モジュール32は、申請先に応じた本人確認済みの認証データ50付きの各種申請データ49を生成すればよい。なお、必要なデータをマイナポータルから収集できれば、その方法を採用すればよい。
【0025】
特定医療費支給申請書44には、申請者に関する各種の事項の記載が求められている。これには、申請者のマイナンバーカードから読み取った事項やマイナポータル37等から取得した事項を使用する。資料収集モジュール32は、まだディジタル化が進んでいないルートについては郵送申請用の書類を印刷して発送準備をする機能を持つ。例えば、医療機関39からは、診断書や臨床調査個人票54等が申請者12に郵送される。従って、申請者12に対して該当する書類の郵送やメール送信を依頼するメッセージを送信したり、返信用の封筒の発送準備をする機能を持つ。
【0026】
資料収集モジュール32は、必要書類を取得した後に、その結果を申請者12の申請履歴40に追加する機能を持つ。なお、行政機関や医療機関のディジタル化がすすめば、マイナンバーカードを読み取り時に、申請者の氏名、住所、生年月日、性別等を取得し、マイナポータルから、所得税情報や世帯情報も取得できると予想される。また、例えば、申請者の認証データ付きの各種証明発行依頼書59を生成し、該当する証明書発行機関に送信して、指定した必要事項が入力されたときに自動的にそのデータファイルが返信されるように要求する機能を持つとよい。これにより、難病医療費受給者証発行申請に必要最小限のデータだけを収集できるから、申請者の個人情報の保護が容易になるという効果がある。
【0027】
(申請者情報記憶処理モジュール)
申請者情報記憶処理モジュール30(
図1)は、申請者12の申請履歴40(
図1)を参照して、難病医療費受給者証発行申請手続きに必要なデータと付属書類46とが揃うまで資料収集モジュール32を制御する機能を持つ。なお、従来は、申請に必要な付属書類46が揃うと、これらが申請書44とともに保健所16に提出され、保健所16の職員がその内容を解析して受給者証発行の可否判定をしていた。本発明のサービスサイト14では、自動判定報告書48を生成して、この複雑な判定業務の負担を軽減する処理を実行する。
【0028】
申請者情報記憶処理モジュール30は、申請手続きのみならず申請後の申請者12の支援のために、申請に使用したデータを保存しておく機能を持つ。しかし、関連書類をそのまま保存しておくとセキュリティ管理が容易でない。
【0029】
そこで、申請者情報記憶処理モジュールは、例えば、申請手続き完了までは申請書44と付属書類46とを申請履歴40に一時保存をしておき、審査機関(保健所16)に申請手続きを完了後は、全てのデータを消去する。またあるいは、申請書44とその結果発行された受給者証63のみを申請履歴40に保存して、後述する受給者証取得後の支援や更新申請に備える。サービスサイト側と保健所側の双方での個人情報の保護方法については後述する。
【0030】
(判定データ生成モジュール)
判定データ生成モジュール34は、資料収集モジュール32が必要な情報を取得したと判断すると、保健所16の職員に代わって、それらの書類の中から、資格判定に必要な情報抽出をする。
図5に示すように、例えば、臨床調査個人票54には、診療日70、医療機関名72、患者名74、病名や重症度等76が記載されている。そのイメージデータをOCR(Optical Character Recognition)で読みとり、これらのデータを取得する。
【0031】
これと同様にして、住民票や課税証明書等の各種証明書80からも受給者証発行の可否判定に必要な全ての情報を取得する。ここで、受給者証発行の可否判定規則が表示された判定テーブル35を参照して、自動判定報告書48を生成する。例えば、納税証明書の納税額に相当する部分のデータを読み取って、納税額に応じた受給ランクを判定し、事故負担額を算出する。
【0032】
図5はその結果生成された自動判定報告書48の例である。判定の根拠になる「申請者情報」が記載され、「自己負担額判定結果」には、その計算の根拠になったデータが具体的に記載されている。
【0033】
(通信制御モジュール)
通信制御モジュール36(
図1)は、保健所16等の審査機関の端末装置20に対して、記憶装置42(
図1)に保存した受給者証の発行申請書44と付属書類46と、自動判定報告書48を送信する。同時にその写しを申請者12に送信する。従って、申請者12はサービスサイト14から要求されたデータ入力やデータ送信作業だけをすれば、受給者証を取得できる。
【0034】
(判定機関)
保健所16等の判定機関は、自動判定報告書48に記載された事項を参照して、受給ランクを判定し、難病医療費受給者証を発行すればよい。判定に必要な情報が揃っており、受給ランク判定や支給割合決定のための演算処理もされているから、審査負担が大きく軽減される。提出された付属書類46は確認のために参照するだけでよい。更新申請のときには、
図6に示した前回受給者証を参照しながら
図7に示した今回受給者証を作成すればよい。サービスサイト14の記憶装置42に過去分41が記憶されていると、判定データ生成モジュール34は、前回と今回の差分に相当するデータを生成して自動判定報告書48に添付すれば、保健所の判定処理の負担をさらに軽減できる。
処理後の臨床調査個人票54はデータ抽出箇所64とマスク箇所66とが明記されたものになる。申請履歴40にはこのマスク処理後のデータを保存する。全ての付属書類についてこの処理を実行する。これで、個人情報の保護のための管理を容易にすることができる。
また、判定機関側で許可されれば、原本のイメージではなくて、マスク処理後の各種証明書のイメージデータを付属書類として提出するとよい。保健所16では必要箇所について証明書原本との照合ができるため、安心をして判定ができる。これで、判定機関側でも、個人情報の保護のための管理を容易にすることができる。
従来、各種申請を受ける場合には、申請書に証明書の原本を添付した書類を受け取って、許可証等を発行したら許可証と申請書類一式を綴じて保管することが行われてきた。しかし、例えば、住民票は有効期間があり、発行日から一定期間内に提出しないと証明書として機能しない。例えば、現在でも、マイナンバー等を利用して申請者の住所等をリアルタイムで確認できるデータベースの利用が試みられている。
各種機関のディジタル化がすすめば、最終的には、証明書の原本やそのイメージを申請書に添付する必要性は全く無くなると考えられる。いつでも認証データを使用して最新のデータを瞬時に参照できるURLのリストでもあればよい。これで、個人情報保護の問題は完全に解消する。それまでの経過的な対策として、上記のように、マスク処理後の各種証明書のイメージデータを付属書類として判定機関に提出し、各証明書には、原本を発行したときに証明書発行機関側で付けられた照会番号を表示しておく。判定機関側で原本を確認したいときには、照会番号を使用して証明書発行機関側のデータベースを閲覧出来るようにするとよい。