(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023809
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】木材利用方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/80 20220101AFI20250207BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20250207BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20250207BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20250207BHJP
A01N 65/00 20090101ALI20250207BHJP
C10B 53/02 20060101ALI20250207BHJP
C10L 5/44 20060101ALI20250207BHJP
F23G 5/00 20060101ALI20250207BHJP
B09B 101/85 20220101ALN20250207BHJP
【FI】
B09B3/80 ZAB
B09B3/40
A01P3/00
A01P1/00
A01N65/00 A
C10B53/02
C10L5/44
F23G5/00 Z
B09B3/80
B09B101:85
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024085855
(22)【出願日】2024-05-27
(62)【分割の表示】P 2023127725の分割
【原出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】509324713
【氏名又は名称】株式会社タカフジ
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆彦
【テーマコード(参考)】
4D004
4H011
4H012
4H015
【Fターム(参考)】
4D004AA12
4D004BA03
4D004BA06
4D004CA12
4D004CA26
4D004CA32
4D004CA42
4D004CB01
4D004CB31
4D004CB44
4D004DA01
4D004DA06
4D004DA07
4D004DA20
4H011AA02
4H011AA03
4H011AA04
4H011BB22
4H012JA02
4H015AA13
4H015AB01
4H015BB01
4H015BB03
4H015CB01
(57)【要約】
【課題】未利用間伐材や枝葉を無駄なく有効活用することができ、枝葉に含まれる固形成分及び流体成分の両方を利用することができ、廃棄物の低減を図ることもできる木材利用方法を提供する。
【解決手段】木材利用方法は、間伐作業などにより発生する間伐材及び枝葉を回収する回収工程60と、回収された未利用間伐材61をチップに加工してバイオマス発電所62に供給する工程と、回収された枝葉63を低温真空乾燥抽出装置100に投入して処理する工程と、低温真空乾燥抽出装置100により乾燥処理された処理後の枝葉64をバイオマス発電所62に供給する工程と、低温真空乾燥抽出装置100により抽出された抽出物65を回収する工程と、回収された抽出物65から芳香剤71、抗菌剤72、抗真菌剤73、鎮静剤74、抗ストレス剤75、抗ウイルス剤76、抗炎症剤77、マイオカイン分泌促進剤78などを製造する工程と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間伐作業、間引き作業あるいは枝打ち作業により発生する間伐材及び枝葉を回収する工程と、
回収された未利用間伐材をチップに加工してバイオマス発電所に供給する工程と、
回収された枝葉を低温真空乾燥抽出装置に投入して処理する工程と、
前記低温真空乾燥抽出装置により乾燥処理された枝葉をバイオマス発電所に供給する工程と、
前記低温真空乾燥抽出装置により抽出された抽出物を回収する工程と、
回収された前記抽出物から芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、鎮静剤、抗ストレス剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、マイオカイン分泌促進剤のうちの1以上を製造する工程と、を備えた木材利用方法。
【請求項2】
前記低温真空乾燥抽出装置により乾燥処理された枝葉を炭化装置で炭化処理する工程を備えた請求項1記載の木材利用方法。
【請求項3】
前記低温真空乾燥抽出装置が、回収された枝葉を収容可能な気密性の処理タンクと、
前記処理タンク内の温度を上昇させるタンク加熱手段と、
前記処理タンク内と連通する真空吸引経路を経由して前記処理タンク内の流体を吸引する真空ポンプと、
前記枝葉から発生し前記真空吸引経路を流動する流体に含まれる真空抽出物を液化する凝縮手段と、液化された真空抽出液化エキスを真空抽出油性エキスと真空抽出水分エキスとに分離する油水分離手段と、
前記処理タンク内と連通する流体吸引経路を経由して前記処理タンク内の流体を吸引する循環ファンと、前記循環ファンで吸引した流体を前記処理タンク内に還流させる流体帰還経路と、前記流体帰還経路を流動する流体を加熱する流体加熱手段と、前記枝葉から発生し前記流体吸引経路を流動する流体中に含まれる加熱抽出物を液化する液化手段と、
前記処理タンク内の温度を計測する温度計と、前記処理タンク内の湿度を計測する湿度計と、前記処理タンク内の気圧を計測する連成計と、
前記処理タンク内に収容された枝葉の温度を計測する対象物温度計と、を備えたものである請求項1または2記載の木材利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、森林における間伐作業、間引き作業あるいは枝打ち作業により発生する間伐材や枝葉を利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
森林を健康に保つには、森林内に適度に太陽光が射し込み、下草などの下層植生を繁茂させることが必要であるため、林業者は間伐作業、間引き作業あるいは枝打ち作業を行っている。このような作業で発生する間伐材は、建材やバイオマス燃料として活用されているが、枝葉は収集に多大な労力と時間を要し、運搬費用が嵩むため、山林に放置されているのが実状である。
【0003】
山林に放置された枝葉は土地の養分になるが、森林が吸収できる量は、枝打ち作業などで発生した枝葉の30%程度である。従って、残りの枝葉は山林に残存したままとなり、再造林の妨げとなるだけでなく、残存した枝葉が台風や大雨の際に道路や河川に流れ込み、道路が封鎖されたり、橋の欄干やダムに溜まって洪水の発生原因となったりしている。
【0004】
このような問題を解決するため、従来、間伐材や枝葉を有効利用する方法が提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1に記載された「樹木破砕材の利用方法」、特許文献2に記載された「造成工事に伴う廃棄樹木の利用方法」並びに特許文献3に記載された「樹木抽出液を利用した浴槽設備」などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-153124号公報
【特許文献2】特開平7-1412号公報
【特許文献3】特開平8-326110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~3に記載された発明は、山林で発生する間伐材や枝葉などを様々な用途に利用することができるのであるが、それぞれの発明は、間伐材や枝葉などを構成する固形成分を利用するか、間伐材や枝葉などに含まれる流体成分を利用するかの何れか一方に限られており、利用しない方の成分は廃棄されることとなるため、間伐材や枝葉の有効利用の観点からは不十分な面がある。よって、前述した問題を解決するためには、以下に示すような仕組み作りが必要といえる。
(1)山林で発生する間伐材や枝葉などの運搬費用を捻出するために、第三者が間伐材や枝葉などを買い取れるような仕組み作り
(2)山林で発生する間伐材や枝葉などの運搬費用を捻出するために、枝葉から得られた抽出液を販売できる仕組み作り
【0007】
そこで、本発明は上記仕組み作りを実現し得るものであり、本発明が解決しようとする課題は、未利用間伐材や枝葉を無駄なく有効活用することができ、枝葉に含まれる固形成分及び流体成分の両方を利用することができ、廃棄物の低減を図ることもできる木材利用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る木材利用方法は、
間伐作業、間引き作業あるいは枝打ち作業により発生する間伐材及び枝葉を回収する工程と、
回収された未利用間伐材をチップに加工してバイオマス発電所に供給する工程と、
回収された枝葉を低温真空乾燥抽出装置に投入して処理する工程と、
前記低温真空乾燥抽出装置により乾燥処理された枝葉をバイオマス発電所に供給する工程と、
前記低温真空乾燥抽出装置により抽出された抽出物を回収する工程と、
回収された前記抽出物から芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、鎮静剤、抗ストレス剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、マイオカイン分泌促進剤のうちの1以上を製造する工程と、を備えたことを特徴する。
【0009】
前記木材利用方法においては、前記低温真空乾燥抽出装置により乾燥処理された枝葉を炭化装置で炭化処理する工程を備えることができる。
【0010】
前記木材利用方法においては、前記低温真空乾燥抽出装置が、
回収された枝葉を収容可能な気密性の処理タンクと、
前記処理タンク内の温度を上昇させるタンク加熱手段と、
前記処理タンク内と連通する真空吸引経路を経由して前記処理タンク内の流体を吸引する真空ポンプと、
前記枝葉から発生し前記真空吸引経路を流動する流体に含まれる真空抽出物を液化する凝縮手段と、液化された真空抽出液化エキスを真空抽出油性エキスと真空抽出水分エキスとに分離する油水分離手段と、
前記処理タンク内と連通する流体吸引経路を経由して前記処理タンク内の流体を吸引する循環ファンと、前記循環ファンで吸引した流体を前記処理タンク内に還流させる流体帰還経路と、前記流体帰還経路を流動する流体を加熱する流体加熱手段と、前記枝葉から発生し前記流体吸引経路を流動する流体中に含まれる加熱抽出物を液化する液化手段と、
前記処理タンク内の温度を計測する温度計と、前記処理タンク内の湿度を計測する湿度計と、前記処理タンク内の気圧を計測する連成計と、
前記処理タンク内に収容された枝葉の温度を計測する対象物温度計と、を備えたものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、未利用間伐材や枝葉を無駄なく有効活用することができ、枝葉に含まれる固形成分及び流体成分の両方を利用することができ、廃棄物の低減を図ることもできる木材利用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態である木材利用方法を示す一部省略ブロック図である。
【
図2】
図1に示す木材利用方法において使用する低温真空乾燥抽出装置の一部省略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1,
図2に基づいて、本発明の実施形態である木材利用方法並びに木材利用方法において使用する低温真空乾燥抽出装置について説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の木材利用方法は、間伐作業、間引き作業あるいは枝打ち作業により発生する間伐材及び枝葉を回収する回収工程60と、回収された未利用間伐材61をチップに加工してバイオマス発電所62に供給する工程と、回収された枝葉63を低温真空乾燥抽出装置100に投入して処理する工程と、低温真空乾燥抽出装置100により乾燥処理された処理後の枝葉64をバイオマス発電所62に供給する工程と、を備えている。
【0015】
低温真空乾燥抽出装置100により抽出された抽出物65は回収され、回収された抽出物65を原料として、芳香剤71、抗菌剤72、抗真菌剤73、鎮静剤74、抗ストレス剤75、抗ウイルス剤76、抗炎症剤77、マイオカイン分泌促進剤78などを製造することができる。また、低温真空乾燥抽出装置100により乾燥処理された処理後の枝葉64は炭化装置66に供給され、炭化装置66において炭化処理することができる。
【0016】
なお、本実施形態に係る木材利用方法においては、枝葉63の元となる樹木の種類により芳香剤71、抗菌剤72、抗真菌剤73、鎮静剤74、抗ストレス剤75、抗ウイルス剤76、抗炎症剤77、マイオカイン分泌促進剤78などを製造することができるが、これらに限定されない。
【0017】
ここで、
図2に基づいて、低温真空乾燥抽出装置100について説明する。
図2に示すように、低温真空乾燥抽出装置100は、枝葉63を収容可能な気密性の処理タンク1と、処理タンク1内の温度を上昇させるタンク加熱手段の一部をなす壁面ヒータ13及び床面ヒータ14と、処理タンク1内と連通する真空吸引経路2を経由して処理タンク1内の流体を吸引する真空ポンプ7と、を備えている。
【0018】
また、処理タンク1内の枝葉63から発生し真空吸引経路2を流動する流体に含まれる真空抽出物31を液化する凝縮手段の一部をなす凝縮器9と、液化された真空抽出液化エキス32を真空抽出油性エキス21と真空抽出水性エキス23とに分離する油水分離手段11と、油水分離手段11で分離された真空抽出油性エキス21と真空抽出水性エキス23とをそれぞれ個別に回収する油性エキス回収容器10x及び水性エキス回収容器10yと、が設けられている。
【0019】
さらに、処理タンク1内と連通する流体吸引経路25を経由して処理タンク1内の流体を吸引する循環ファン4と、循環ファンで吸引した流体を処理タンク1内に還流させる流体帰還経路26と、流体帰還経路26を流動する流体を加熱する流体加熱手段(エアヒータ3)と、処理タンク1内の枝葉63から発生し流体吸引経路25を流動する流体に含まれる加熱抽出物27を液化する熱交換器12(フィンクーラ)と、液化された加熱抽出液化エキス22を回収する回収容器28と、が設けられている。
【0020】
一方、処理タンク1の部分には、処理タンク1内の温度を計測する温度計16と、処理タンク1内の温度と湿度を計測する温湿度計15と、処理タンク1内の気圧を計測する連成計17と、処理タンク1内に収容された枝葉63の温度を計測する対象物温度計18と、を備えている。
【0021】
対象物温度計18から処理タンク1内に延設された信号線18bは可撓性を有するので、その先端部に設けられたセンサ部18aは、処理タンク1内の全範囲に亘って移動可能であり、処理タンク1内の任意の位置に配置することができる。
【0022】
枝葉63は、車輪24aを備えたカーゴトレイ24に積載された状態で処理タンク1内に出し入れ可能である。本実施形態においては、カーゴトレイ24に積載された枝葉63の中心付近にセンサ部18aが配置されている。
【0023】
処理タンク1内の温度を上昇させるタンク加熱手段は、処理タンク1内に配管された温水循環パイプ40と、処理タンク1外から温水循環パイプ40に連通された温水パイプ41を経由して温水循環パイプ40に対して温水43を循環供給する温水ポンプ5と、温水パイプ41内を流動する温水43を所定温度に加温する温水ヒータ6と、を備えている。
【0024】
また、処理タンク1から排出された直後の温水43の温度を計測するため処理タンク1の近傍の温水パイプ41に温度計19が配置され、温水ヒータ6で加温された直後の温水43の温度を計測するため温水ヒータ6と温水ポンプ5との間の温水パイプ41に温度計20が配置されている
【0025】
処理タンク1内の枝葉63から発生し真空吸引経路2を流動する流体に含まれる真空抽出物31を液化する凝縮手段は、油水分離手段11より上流側の真空吸引経路2に配置された凝縮器9と、冷媒循環経路51を介して凝縮器9に冷媒53を循環供給する冷凍機8と、を備えている。
【0026】
枝葉63から発生し流体吸引経路25を流動する流体中に含まれる加熱抽出物27を液化する液化手段は、冷媒循環経路51から分岐された第二冷媒循環経路52と、冷凍機8から第二冷媒循環経路52を介して循環供給される冷媒53によって流体吸引経路25を流動する流体を冷却する熱交換器(フィンクーラー)12と、を備えている。
【0027】
また、処理タンク1から循環ファン4で吸引した流体を処理タンク1内に還流させる流体帰還経路26を流動する流体を加熱する流体加熱手段は、温水パイプ41を流動する温水43の温度を利用して流体帰還経路26内の流体を加温する機能を有するエアヒータ3が設けられている。
【0028】
低温真空乾燥抽出装置100においては、温水ポンプ5及び温水ヒータ6を作動させて、温水パイプ41を経由して処理タンク1内の温水循環パイプ40に対して温水43を循環供給して、壁面ヒータ13及び床面ヒータ14を発熱させることにより、処理タンク1の内部温度を常温(室温)から100℃の範囲内の任意の温度に加温することができる。
【0029】
また、低温真空乾燥抽出装置100においては、エアヒータ3及び循環ファン4を作動させて、流体吸引経路25及び流体帰還経路26を経由して加温した流体(空気)を処理タンク1内に循環供給することにより、処理タンク1の内部温度を常温(室温)から80℃の範囲内の任意の温度に加温することができ、流体吸引経路25を流動する流体中に含まれる加熱抽出物27を熱交換器12で液化し、液化された加熱抽出液化エキス22を回収容器28に回収することができる。
【0030】
さらに、低温真空乾燥抽出装置100においては、真空ポンプ7及び冷凍機8を作動させて、真空吸引経路2を経由して処理タンク1内の流体を吸引することにより、処理タンク1内の気圧を常圧(大気圧)からマイナス99KPaの範囲内の任意の気圧に変化させることができ、真空吸引経路2を流動する流体中に含まれる真空抽出物31を凝縮器9で液化し、液化された真空抽出液化エキス32を油水分離手段11で真空抽出油性エキス21と真空抽出水性エキス23とに分離し、それぞれ油性エキス回収容器10x及び水性エキス回収容器10y個別に回収することができる。
【0031】
一方、低温真空乾燥抽出装置100においては、処理タンク1の部分に、温度計16、温湿度計15及び連成計17を備えているので、処理タンク1内の温度、湿度及び気圧を計測することができ、対象物温度計18のセンサ部18aを、処理タンク1内に収容された枝葉63の内部(例えば、枝葉63の中心付近など)に配置することにより、乾燥処理中の枝葉63の温度を正確に把握しながら、枝葉63の乾燥作業や枝葉63からのエキス抽出作業を行うことができる。
【0032】
以上のように、低温真空乾燥抽出装置100においては、処理タンク1内に配置された壁面ヒータ13及び床面ヒータ14で処理タンク1内を加熱したり、流体吸引経路25及び流体帰還経路26を経由して処理タンク1内に加温流体(空気)を循環供給したりすることにより、処理タンク1内を加熱させて、処理タンク1内に収容された枝葉63を効率良く乾燥することができる。
【0033】
また、対象物温度計18のセンサ部18aを乾燥対象物(枝葉63)の内部に配置することにより、枝葉63の温度を正確に把握しながら処理タンク1内を適切な温度に保って乾燥作業を行うことができるので、枝葉63から発生する加熱抽出物27が過熱によって分解したり、消失したりすることがない。
【0034】
低温真空乾燥抽出装置100を構成するエアヒータ3、循環ファン4、温水ポンプ5、温水ヒータ6、真空ポンプ7及び冷凍機8などは、温湿度計15、温度計16,19,20及び連成計17などから送信されるデータに基づいて制御装置(図示せず)によって自動制御されるので、枝葉63の種類や量、大きさ、枯れ具合などに応じて、前記制御装置のプログラムを設定しておけば、枝葉63の種類などに適した温度、気圧の下で、枝葉63を乾燥したり、枝葉63から所定のエキスを抽出したりすることができる。
【0035】
低温真空乾燥抽出装置100においては、
処理タンク1内に配置された壁面ヒータ13及び床面ヒータ14による処理タンク1内の加熱作業、
流体吸引経路25及び流体帰還経路26を経由して処理タンク1内に循環供給される加温流体(空気)による処理タンク1内の加熱作業、
流体吸引経路25を経由して行われる加熱抽出物27の回収作業、並びに、
真空吸引経路2を経由して行われる、真空抽出油性エキス21並びに真空抽出水性エキス23の回収作業は、これらの作業のうちの何れか1以上を任意に選択したり、複数の作業を組み合わせたりして実行することができる。
【0036】
なお、低温真空乾燥抽出装置100の処理タンク1内に収容して乾燥したり、エキス抽出したりする枝葉63の種類は限定されず、様々な用途に使用することができるが、例えば、下記に示すような作業に好適である。
(1)ヒノキの枝葉の乾燥作業、ヒノキエキスの抽出回収作業
(2)スギの枝葉の乾燥作業、スギエキスの抽出回収作業
(3)その他の樹木の枝葉の乾燥作業、エキスの抽出回収作業
(4)植物の乾燥作業、エキスの抽出回収作業
(5)茶殻等の乾燥、エキスの抽出作業
【0037】
ところで、
図1に示すように、木材質資源を始めとする植物資源を燃料として利用する火力発電所であるバイオマス発電所62においては、未利用間伐材61や伐採材などの木材が使用されることがある。この場合、伐採した樹木の幹の部分はチップ化して使用され、枝葉63の部分は廃棄されているが、低温真空乾燥抽出装置100は、従来、廃棄されていた樹木の枝葉63の部分を乾燥して、処理後の枝葉64をバイオマス発電所62に供給可能な状態にすることができるので、樹木伐採に伴って発生する廃棄物を削減し、植物資源の有効活用を図ることができる。
【0038】
なお、低温真空乾燥抽出装置100は、特許第7154643号に係る低温真空乾燥抽出装置を好適に使用することができるが、これに限定するものではない。
【0039】
このように、
図1に示す木材利用方法は、未利用間伐材61や枝葉63を無駄なく有効活用することができ、枝葉63に含まれる固形成分及び流体成分の両方を利用することができるので、廃棄物の削減することもできる。また、
図1に示す木材利用方法を実施することにより、森林からの間伐材及び枝葉の回収工程60が促進されるので、森林に残存する間伐材や枝葉が大幅に減少し、台風や大雨の際に間伐材や枝葉が道路や河川に流れ込んで発生する災害を防止することができる。
【0040】
また、
図1に示す木材利用方法は、回収された枝葉63から芳香剤71、抗菌剤72、抗真菌剤73、鎮静剤74、抗ストレス剤75、抗ウイルス剤76、抗炎症剤77、マイオカイン分泌促進剤78など様々な効能を有する抽出液を製造することができるため、これらを販売することにより、山林で発生する間伐材や枝葉などの運搬費用を捻出することができる。若しくは、間伐材や枝葉などを、電力会社などの第三者が買い取ることにより、運搬費用を捻出することができる。
そして、間伐材や枝葉などの運搬費用を捻出することができるようになると、林業に携わる者が潤い、これまで疲弊していた林業の活性化に繋げることができる。
【0041】
さらに、
図1に示す木材利用方法は、間伐材及び枝葉を回収する工程から、枝葉を炭化装置で炭化処理する工程まで含まれているため、間伐材及び枝葉の回収量から炭化させる枝葉の量を一元的に管理することができる。よって、炭化処理する工程で発生する二酸化炭素の排出量を管理(コントロール)することで、二酸化炭素の排出量を日単位、週単位、月単位、年単位などで一定化させることができる。
【0042】
なお、
図1,
図2に基づいて説明した木材利用方法は、本発明に係る木材利用方法の一例を示すものであり、本発明に係る木材利用方法は、前述した木材利用方法に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る木材利用方法は、森林における間伐作業、間引き作業あるいは枝打ち作業により発生する間伐材や枝葉を利用する方法として林業、薬品製造業、化粧品製造業などの様々な産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 処理タンク
2 真空吸引経路
3 エアヒータ
4 循環ファン
5 温水ポンプ
6 温水ヒータ
7 真空ポンプ
8 冷凍機
9 凝縮器
10x 油性エキス回収容器
10y 水性エキス回収容器
11 油水分離手段
12 熱交換器(フィンクーラ)
13 壁面ヒータ
14 床面ヒータ
15 温湿度計
16,19,20 温度計
17 連成計
18 対象物温度計
18a センサ部
18b 信号線
21 真空抽出油性エキス
22 加熱抽出液化エキス
23 真空抽出水性エキス
24 カーゴトレイ
24a 車輪
25 流体吸引経路
26 流体帰還経路
27 加熱抽出物
28 回収容器
31 真空抽出物
32 真空抽出液化エキス
40 温水循環パイプ
41 温水パイプ
43 温水
51 冷媒循環経路
52 第二冷媒循環経路
53 冷媒
60 回収工程
61 未利用間伐材
62 バイオマス発電所
63 枝葉
64 処理後の枝葉
65 抽出物
66 炭化装置
71 芳香剤
72 抗菌剤
73 抗真菌剤
74 鎮静剤
75 抗ストレス剤
76 抗ウイルス剤
77 抗炎症剤
78 マイオカイン分泌促進剤
100 低温真空乾燥抽出装置