(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002382
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20241226BHJP
H10D 1/20 20250101ALI20241226BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20241226BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20241226BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20241226BHJP
H04B 5/48 20240101ALI20241226BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01L27/04 L
H01L21/88 T
H01L21/88 Z
H01F27/32 130
H01F30/10 D
H04B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102527
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中柴 康隆
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 孝行
【テーマコード(参考)】
5E044
5E070
5F033
5F038
5K012
【Fターム(参考)】
5E044CA08
5E070AA11
5E070AB01
5E070CB12
5E070CB17
5F033HH08
5F033HH09
5F033PP06
5F033PP15
5F033QQ08
5F033QQ09
5F033QQ11
5F033QQ31
5F033QQ37
5F033QQ48
5F033RR04
5F033RR06
5F033SS11
5F033UU04
5F033VV05
5F033VV07
5F033VV08
5F033WW01
5F033XX05
5F038AZ04
5F038AZ05
5F038CD12
5F038CD13
5F038CD18
5F038EZ01
5F038EZ20
5K012AB03
5K012AC09
5K012AC11
(57)【要約】
【課題】トランスフォーマにおいて送信コイルに常時電流が流れることによる送信コイルの発熱を抑制することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板と、第1コイル、第2コイル、第3コイル及び第4コイルと、引き出し線と、絶縁層とを備える。引き出し線は、半導体基板上において第1コイル及び第2コイルと同層に形成されている。第1コイル及び第2コイルは、平面視において引き出し線を介して互いに隣接しており、かつ引き出し線を介して互いに電気的に直列に接続されている。絶縁層は、第1コイル、第2コイル及び引き出し線を覆っている。第3コイルは、絶縁層を介して第1コイルと対向するように、第1コイル上に形成されている。第4コイルは、絶縁層を介して第2コイルと対向するように、第2コイル上に形成されている。第3コイル及び第4コイルは、平面視において互いに隣接しており、かつ互いに電気的に接続されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
第1コイル、第2コイル、第3コイル及び第4コイルと、
引き出し線と、
絶縁層とを備え、
前記引き出し線は、前記半導体基板上において前記第1コイル及び前記第2コイルと同層に形成されており、
前記第1コイル及び前記第2コイルは、平面視において前記引き出し線を介して互いに隣接しており、かつ前記引き出し線を介して互いに電気的に直列に接続されており、
前記絶縁層は、前記第1コイル、前記第2コイル及び前記引き出し線を覆っており、
前記第3コイルは、前記絶縁層を介して前記第1コイルと対向するように、前記第1コイル上に形成されており、
前記第4コイルは、前記絶縁層を介して前記第2コイルと対向するように、前記第2コイル上に形成されており、
前記第3コイル及び前記第4コイルは、平面視において互いに隣接しており、かつ互いに電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項2】
断面視において、前記第1コイルと前記第3コイルとの間の距離又は前記第2コイルと前記第4コイルとの間の距離は、6μm以上10μm以下である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
断面視において、前記第1コイルと前記第3コイルとの間の距離又は前記第2コイルと前記第4コイルとの間の距離は、10μm以上14μm以下である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1コイル及び前記第3コイルは、平面視において互いに重なっており、
前記第2コイル及び前記第4コイルは、平面視において互いに重なっている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1コイル及び前記第3コイルは、磁気的に互いに結合されており、
前記第2コイル及び前記第4コイルは、磁気的に互いに結合されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記引き出し線は、基準電位に接続される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
平面視において、前記第3コイルと前記第4コイルとの間には、前記第3コイル及び前記第4コイルと同層の他の引き出し線が形成されておらず、
前記第3コイル及び前記第4コイルは、平面視において、互いに直接隣接している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体基板と、
第1コイル、第2コイル、第3コイル、第4コイル、第5コイル、第6コイル、第7コイル及び第8コイルと、
第1引き出し線及び第2引き出し線と、
絶縁層とを備え、
前記第1引き出し線は、前記半導体基板上において前記第1コイル、前記第2コイル、前記第3コイル及び前記第4コイルと同層に形成されており、
前記第1コイル及び前記第2コイルは、平面視において前記第1引き出し線を介して互いに隣接しており、かつ前記第1引き出し線を介して互いに電気的に直列に接続されており、
前記第3コイル及び前記第4コイルは、平面視において互いに隣接しており、かつ互いに電気的に直列に接続されており、
前記絶縁層は、前記第1コイル、前記第2コイル、前記第3コイル、前記第4コイル及び前記第1引き出し線を覆っており、
前記第5コイルは、前記絶縁層を介して前記第1コイルと対向するように、前記第1コイル上に形成されており、
前記第6コイルは、前記絶縁層を介して前記第2コイルと対向するように、前記第2コイル上に形成されており、
前記第7コイルは、前記絶縁層を介して前記第3コイルと対向するように、前記第3コイル上に形成されており、
前記第8コイルは、前記絶縁層を介して前記第4コイルと対向するように、前記第4コイル上に形成されており、
前記第5コイル及び前記第6コイルは、平面視において互いに隣接しており、かつ互いに電気的に接続されており、
前記第7コイル及び前記第8コイルは、平面視において前記第2引き出し線を介して互いに隣接しており、かつ前記第2引き出し線を介して互いに電気的に直列に接続されている、半導体装置。
【請求項9】
平面視において、前記第3コイルと前記第4コイルとの間には、前記第1コイル、前記第2コイル、前記第3コイル及び前記第4コイルと同層の他の引き出し線が形成されておらず、
前記第3コイル及び前記第4コイルは、平面視において、互いに直接隣接しており、
平面視において、前記第5コイルと前記第6コイルとの間には、前記第5コイル、前記第6コイル、前記第7コイル及び前記第8コイルと同層の他の引き出し線が形成されておらず、
前記第5コイル及び前記第6コイルは、平面視において、互いに直接隣接している、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
半導体基板と、
第1コイル、第2コイル、第3コイル、第4コイル、第5コイル、第6コイル、第7コイル及び第8コイルと、
引き出し線と、
第1パッド、第2パッド、第3パッド、第4パッド及び第5パッドと、
絶縁層とを備え、
前記引き出し線は、前記半導体基板上において前記第1コイル、前記第2コイル、前記第3コイル及び前記第4コイルと同層に形成されており、
前記第1コイル及び前記第2コイルは、平面視において前記引き出し線を介して互いに隣接しており、かつ前記引き出し線を介して互いに電気的に直列に接続されており、
前記第3コイル及び前記第4コイルは、平面視において互いに隣接しており、かつ互いに電気的に直列に接続されており、
前記絶縁層は、前記第1コイル、前記第2コイル、前記第3コイル、前記第4コイル及び前記引き出し線を覆っており、
前記第5コイルは、前記絶縁層を介して前記第1コイルと対向するように、前記第1コイル上に形成されており、
前記第6コイルは、前記絶縁層を介して前記第2コイルと対向するように、前記第2コイル上に形成されており、
前記第7コイルは、前記絶縁層を介して前記第3コイルと対向するように、前記第3コイル上に形成されており、
前記第8コイルは、前記絶縁層を介して前記第4コイルと対向するように、前記第4コイル上に形成されており、
前記第1パッド、前記第2パッド、前記第3パッド及び前記第4パッドは、それぞれ、前記第5コイルの最内周、前記第6コイルの最内周、前記第7コイルの最内周及び前記第8コイルの最内周に電気的に接続されており、
前記第5コイル及び前記第6コイルは、平面視において互いに隣接しており、かつ互いに電気的に接続されており、
前記第7コイル及び前記第8コイルは、平面視において前記第5パッドを介して互いに隣接しており、かつ前記第5パッドを介して互いに電気的に直列に接続されている、半導体装置。
【請求項11】
第6パッドと、
パッシベーション膜とをさらに備え、
前記第5コイル及び前記第6コイルは、平面視において前記第6パッドを介して互いに隣接しており、かつ前記第6パッドを介して互いに電気的に直列に接続されており、
前記パッシベーション膜は、前記第5コイル、前記第6コイル、前記第7コイル、前記第8コイル、前記第1パッド、前記第2パッド、前記第3パッド、前記第4パッド、前記第5パッド及び前記第6パッドを覆っており、
前記パッシベーション膜には、前記第5パッドを露出させる開口部が形成され、かつ前記第6パッドを露出させる開口部が形成されない、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
断面視において、前記第1コイルと前記第5コイルとの間の距離、前記第2コイルと前記第6コイルとの間の距離、前記第3コイルと前記第7コイルとの間の距離又は前記第4コイルと前記第8コイルとの間の距離は、6μm以上10μm以下である、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項13】
断面視において、前記第1コイルと前記第5コイルとの間の距離、前記第2コイルと前記第6コイルとの間の距離、前記第3コイルと前記第7コイルとの間の距離又は前記第4コイルと前記第8コイルとの間の距離は、10μm以上14μm以下である、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1コイル及び前記第5コイルは、平面視において互いに重なっており、
前記第2コイル及び前記第6コイルは、平面視において互いに重なっており、
前記第3コイル及び前記第7コイルは、平面視において互いに重なっており、
前記第4コイル及び前記第8コイルは、平面視において互いに重なっている、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1コイル及び前記第5コイルは、磁気的に互いに結合されており、
前記第2コイル及び前記第6コイルは、磁気的に互いに結合されており、
前記第3コイル及び前記第7コイルは、磁気的に互いに結合されており、
前記第4コイル及び前記第8コイルは、磁気的に互いに結合されている、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記引き出し線及び前記第5パッドは、基準電位に接続される、請求項10に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2014/097425号(特許文献1)には、半導体装置が記載されている。特許文献1に記載の半導体装置は、絶縁層を介して対向しているコイルで構成されているトランスフォーマを有する。絶縁層を介して対向しているコイルで構成されているトランスフォーマを有する他の半導体装置として、特開2011-082212号公報(特許文献2)に記載の半導体装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/097425号
【特許文献2】特開2011-082212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2には、受信コイルが送信コイルの上層にあるトランスフォーマの例が示されているに過ぎない。その他の課題及び新規な特徴は、本明細書の記載及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の半導体装置は、半導体基板と、第1コイル、第2コイル、第3コイル及び第4コイルと、引き出し線と、絶縁層とを備えている。引き出し線は、半導体基板上において第1コイル及び第2コイルと同層に形成されている。第1コイル及び第2コイルは、平面視において引き出し線を介して互いに隣接しており、かつ引き出し線を介して互いに電気的に直列に接続されている。絶縁層は、第1コイル、第2コイル及び引き出し線を覆っている。第3コイルは、絶縁層を介して第1コイルと対向するように、第1コイル上に形成されている。第4コイルは、絶縁層を介して第2コイルと対向するように、第2コイル上に形成されている。第3コイル及び第4コイルは、平面視において互いに隣接しており、かつ互いに電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示の半導体装置によると、送信コイルが受信コイルの上層にあるトランスフォーマにおいて送信コイルに常時電流が流れることによる送信コイルの発熱を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】制御回路CCから駆動回路DRへの信号の伝送例を示す説明図である。
【
図7】第1絶縁膜形成工程S2を説明する断面図である。
【
図9】第2絶縁膜形成工程S4を説明する断面図である。
【
図10】ビアプラグ形成工程S5を説明する断面図である。
【
図11】第1コイル形成工程S6を説明する断面図である。
【
図12】絶縁層形成工程S7を説明する断面図である。
【
図13】第2コイル形成工程S8を説明する断面図である。
【
図14】半導体装置DEV2における半導体チップCHP3の平面図である。
【
図15】半導体装置DEV3における半導体チップCHP3の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る半導体装置を説明する。第1実施形態に係る半導体装置を、半導体装置DEV1とする。
【0010】
(半導体装置DEV1の構成)
以下に、半導体装置DEV1の構成を説明する。
【0011】
<半導体装置DEV1の概略構成>
以下に、半導体装置DEV1の概略構成を説明する。
【0012】
図1は、半導体装置DEV1のブロック図である。
図1に示されているように、半導体装置DEV1は、半導体チップCHP1と、半導体チップCHP2と、半導体チップCHP3とを有している。
【0013】
半導体チップCHP1は、制御回路CCと、送信回路TX1と、受信回路RX2とを有している、半導体チップCHP2は、駆動回路DRと、受信回路RX1と、送信回路TX2とを有している。制御回路CCには、送信回路TX1及び受信回路RX2が電気的に接続されている。駆動回路DRには、受信回路RX1及び送信回路TX2が電気的に接続されている。
【0014】
半導体チップCHP3は、トランスフォーマTR1と、トランスフォーマTR2と、引き出し線PL1及び引き出し線PL2とを有している。
【0015】
トランスフォーマTR1は、送信コイルCL1と、受信コイルCL2とを有している。送信コイルCL1はコイルCL11及びコイルCL12を有しており、受信コイルCL2はコイルCL21及びコイルCL22を有している。送信コイルCL1及び受信コイルCL2は、それぞれ、送信回路TX1及び受信回路RX1に電気的に接続されている。
【0016】
より具体的には、コイルCL11の一方の端部が送信回路TX1に電気的に接続されており、コイルCL11の他方の端部がコイルCL12の一方の端部に電気的に接続されており、コイルCL12の他方の端部が送信回路TX1に電気的に接続されている。また、コイルCL21の一方の端部が受信回路RX1に電気的に接続されており、コイルCL21の他方の端部が引き出し線PL1を介してコイルCL22の一方の端部に電気的に接続されており、コイルCL22の他方の端部が受信回路RX1に電気的に接続されている。引き出し線PL1には、基準電位に接続される。なお、基準電位は、例えばグランド電位である。
【0017】
トランスフォーマTR2は、送信コイルCL3と、受信コイルCL4とを有している。送信コイルCL3はコイルCL31及びコイルCL32を有しており、受信コイルCL4はコイルCL41及びコイルCL42を有している。送信コイルCL3及び受信コイルCL4は、それぞれ、送信回路TX2及び受信回路RX2に電気的に接続されている。
【0018】
より具体的には、コイルCL31の一方の端部が送信回路TX2に電気的に接続されており、コイルCL31の他方の端部がコイルCL32の一方の端部に電気的に接続されており、コイルCL32の他方の端部が送信回路TX2に電気的に接続されている。また、コイルCL41の一方の端部が受信回路RX2に電気的に接続されており、コイルCL41の他方の端部が引き出し線PL2を介してコイルCL42の一方の端部に電気的に接続されており、コイルCL42の他方の端部が受信回路RX2に電気的に接続されている。引き出し線PL2には、基準電位に接続される。
【0019】
半導体装置DEV1では、送信回路TX1、トランスフォーマTR1及び受信回路RX1により、制御回路CCから駆動回路DRに信号が伝達される。また、半導体装置DEV1では、送信回路TX2、トランスフォーマTR2及び受信回路RX2により、駆動回路DRから制御回路CCに信号が伝達される。
【0020】
図2は、制御回路CCから駆動回路DRへの信号の伝送例を示す説明図である。
図2に示されているように、制御回路CCは、送信回路TX1に信号SG1が入力する。信号SG1は、方形波である。送信回路TX1は、信号SG1を信号SG2に変調し、信号SG2を送信コイルCL1に送る。信号SG2が送信コイルCL1に流れると、信号SG2に応じた信号SG3が、誘導起電力により受信コイルCL2に流れる。受信回路RX1は、信号SG3を増幅するとともに信号SG4(方形波)に復調した上で、駆動回路DRに出力する。このようにして、制御回路CCから駆動回路DRに信号が伝送される。なお、駆動回路DRから制御回路CCへの信号の伝送も、同様に行われる。このように、半導体装置DEV1では、送信回路TX1と受信回路RX1との間の信号伝達及び送信回路TX2と受信回路RX2との間の信号伝達は、パルス通信方式により行われる。
【0021】
<半導体チップCHP3の詳細構成>
以下に、半導体チップCHP3の詳細構成を説明する。
【0022】
図3は、半導体チップCHP3の第1平面図である。
図4は、半導体チップCHP3の第2平面図である。
図5は、
図4のV-Vにおける断面図である。
図3、
図4及び
図5に示されているように、半導体チップCHP3は、半導体基板SUBと、絶縁膜IF1と、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4と、絶縁膜IF2と、ビアプラグVP1、ビアプラグVP2、ビアプラグVP3、ビアプラグVP4と、ビアプラグVP5、ビアプラグVP6、ビアプラグVP7及びビアプラグVP8と、送信コイルCL1と、受信コイルCL4と、配線WL5、配線WL6、配線WL7及び配線WL8と、引き出し線PL2と、絶縁層ILと、受信コイルCL2と、引き出し線PL1と、送信コイルCL3と、パッドPD1、パッドPD2、パッドPD3、パッドPD4及びパッドPD5と、ガードリングGRと、パッシベーション膜PFとを有している。
【0023】
半導体基板SUBの構成材料は、例えば単結晶のシリコンである。絶縁膜IF1は、半導体基板SUB上に配置されている。絶縁膜IF1の構成材料は、例えば、シリコン酸化物である。配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4は、絶縁膜IF1上に配置されている。配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4の構成材料は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。絶縁膜IF2は、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4を覆うように、絶縁膜IF1上に配置されている。
【0024】
絶縁膜IF2中には、ビアプラグVP1、ビアプラグVP2、ビアプラグVP3、ビアプラグVP4、ビアプラグVP5、ビアプラグVP6、ビアプラグVP7及びビアプラグVP8が埋め込まれている。ビアプラグVP1、ビアプラグVP2、ビアプラグVP3、ビアプラグVP4、ビアプラグVP5、ビアプラグVP6、ビアプラグVP7及びビアプラグVP8の構成材料は、例えば、タングステンである。
【0025】
送信コイルCL1(コイルCL11、コイルCL12)、受信コイルCL4(コイルCL41、コイルCL42)及び引き出し線PL2は、絶縁膜IF2上に配置されている。このことを別の観点から言えば、コイルCL11、コイルCL12、コイルCL41、コイルCL42及び引き出し線PL2は、半導体基板SUB上において、同層に形成されていることになる。コイルCL11、コイルCL12、コイルCL41、コイルCL42及び引き出し線PL2の構成材料は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。
【0026】
コイルCL11及びコイルCL12は、平面視において渦巻状に巻回されている。コイルCL11及びコイルCL12は、平面視において、互いに隣接している。コイルCL11及びコイルCL12は、互いに電気的に直列に接続されている。より具体的には、コイルCL11の最外周にある端部とコイルCL12の最外周にある端部は、互いに電気的に接続されている。コイルCL11とコイルCL12との間には、コイルCL11、コイルCL12、コイルCL41、コイルCL42及び引き出し線PL2と同層の他の引き出し線が形成されていない。このことを別の観点から言えば、コイルCL11及びコイルCL12は、平面視において、互いに直接隣接している。
【0027】
コイルCL11の最内周にある端部は、ビアプラグVP1により配線WL1に電気的に接続されている。コイルCL12の最内周にある端部は、ビアプラグVP2により配線WL2に電気的に接続されている。コイルCL41の最内周にある端部は、ビアプラグVP3により配線WL3に電気的に接続されている。コイルCL42の最外周にある端部は、ビアプラグVP4により配線WL4に電気的に接続されている。なお、引き出し線PL2は、絶縁層IL上に配置されているパッド(図示せず)に電気的に接続されている。
【0028】
配線WL5、配線WL6、配線WL7及び配線WL8は、絶縁膜IF2上に配置されている。配線WL5、配線WL6、配線WL7及び配線WL8の構成材料は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金である。配線WL5はビアプラグVP5により配線WL1に電気的に接続されており、配線WL6はビアプラグVP6により配線WL2に電気的に接続されている。配線WL7はビアプラグVP7により配線WL3に電気的に接続されており、配線WL8はビアプラグVP8により配線WL4に電気的に接続されている。なお、配線WL5、配線WL6、配線WL7及び配線WL8は、それぞれ、絶縁層IL上に配置されているパッド(図示せず)に電気的に接続されている。
【0029】
コイルCL11は、平面視において、最内周から最外周に向かって反時計回りに巻回されている。コイルCL12は、平面視において、最外周から最内周に向かって時計回りに巻回されている。すなわち、コイルCL11の巻回方向は、コイルCL12の巻回方向と逆向きであってもよい。このことを別の観点から言えば、コイルCL11及びコイルCL12は、直列相助(Serial Aiding)構成になっている。
【0030】
コイルCL41及びコイルCL42は、平面視において渦巻状に巻回されている。コイルCL41及びコイルCL42は、平面視において、互いに隣接している。コイルCL41及びコイルCL42は、互いに電気的に直列に接続されている。より具体的には、コイルCL41の最外周にある端部とコイルCL42の最外周にある端部は、互いに電気的に接続されている。コイルCL41とコイルCL42との間には、引き出し線PL2が形成されている。このことを別の観点から言えば、コイルCL41及びコイルCL42は、平面視において引き出し線PL2を介して互いに隣接しており、引き出し線PL2を介して電気的に直列に接続されている。
【0031】
コイルCL41は、平面視において、最内周から最外周に向かって反時計回りに巻回されている。コイルCL42は、平面視において、最外周から最内周に向かって時計回りに巻回されている。すなわち、コイルCL41の巻回方向は、コイルCL42の巻回方向と逆向きであってもよい。このことを別の観点から言えば、コイルCL41及びコイルCL42は、直列相助構成になっている。
【0032】
絶縁層ILは、コイルCL11、コイルCL12、コイルCL41、コイルCL42、引き出し線PL2、配線WL5、配線WL6、配線WL6、配線WL7及び配線WL8を覆うように、絶縁膜IF2上に配置されている。図示されていないが、絶縁層ILは、複数の絶縁膜を積層することで構成されていてもよい。絶縁層ILを構成している各々の絶縁膜の構成材料は、例えばシリコン酸化物である。
【0033】
受信コイルCL2(コイルCL21、コイルCL22)、送信コイルCL3(コイルCL31、コイルCL32)及び引き出し線PL1は、絶縁層IL上に配置されている。コイルCL21、コイルCL22、コイルCL31、コイルCL32及び引き出し線PL1の構成材料は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。
【0034】
コイルCL21及びコイルCL22は、絶縁層ILを介して、コイルCL11及びコイルCL12とそれぞれ対向している。このことを別の観点から言えば、コイルCL21及びコイルCL22は、平面視において、コイルCL11及びコイルCL12と重なっている。このことをさらに別の観点から言えば、コイルCL21及びコイルCL22は、それぞれ、コイルCL11及びコイルCL12と磁気結合されている。なお、上記のようにコイルCL21及びコイルCL22は絶縁層IL上にあるため、コイルCL21及びコイルCL22は、絶縁層ILを介して、それぞれコイルCL11上及びコイルCL12上に配置されていることになる。
【0035】
コイルCL21及びコイルCL22は、平面視において渦巻状に巻回されている。コイルCL21及びコイルCL22は、平面視において、互いに隣接している。コイルCL21及びコイルCL22は、互いに電気的に直列に接続されている。より具体的には、コイルCL21の最外周にある端部とコイルCL22の最外周にある端部は、互いに電気的に接続されている。コイルCL21とコイルCL22との間には、引き出し線PL1が形成されている。このことを別の観点から言えば、コイルCL21及びコイルCL22は、平面視において引き出し線PL1を介して互いに隣接しており、引き出し線PL1を介して電気的に直列に接続されている。
【0036】
コイルCL21は、平面視において、最内周から最外周に向かって反時計回りに巻回されている。コイルCL22は、平面視において、最外周から最内周に向かって時計回りに巻回されている。すなわち、コイルCL21の巻回方向は、コイルCL22の巻回方向と逆向きであってもよい。このことを別の観点から言えば、コイルCL21及びコイルCL22は、直列相助構成になっている。
【0037】
コイルCL31及びコイルCL32は、絶縁層ILを介して、コイルCL41及びコイルCL42とそれぞれ対向している。このことを別の観点から言えば、コイルCL31及びコイルCL32は、平面視において、コイルCL41及びコイルCL42と重なっている。このことをさらに別の観点から言えば、コイルCL31及びコイルCL32は、それぞれ、コイルCL41及びコイルCL42と磁気結合されている。なお、上記のようにコイルCL31及びコイルCL32は絶縁層IL上にあるため、コイルCL31及びコイルCL32は、絶縁層ILを介して、それぞれコイルCL41上及びコイルCL42上に配置されていることになる。
【0038】
コイルCL31及びコイルCL32は、平面視において渦巻状に巻回されている。コイルCL31及びコイルCL32は、平面視において、互いに隣接している。コイルCL31及びコイルCL32は、互いに電気的に直列に接続されている。より具体的には、コイルCL31の最外周にある端部とコイルCL32の最外周にある端部は、互いに電気的に接続されている。コイルCL31とコイルCL32との間には、コイルCL21、コイルCL22、コイルCL31、コイルCL32及び引き出し線PL1と同層の他の引き出し線が形成されていない。このことを別の観点から言えば、コイルCL31及びコイルCL32は、平面視において、互いに直接隣接している。
【0039】
コイルCL31は、平面視において、最内周から最外周に向かって反時計回りに巻回されている。コイルCL32は、平面視において、最外周から最内周に向かって時計回りに巻回されている。すなわち、コイルCL31の巻回方向は、コイルCL32の巻回方向と逆向きであってもよい。このことを別の観点から言えば、コイルCL31及びコイルCL32は、直列相助構成になっている。
【0040】
コイルCL11とコイルCL21との間の距離又はコイルCL12とコイルCL22との間の距離は、例えば、6μm以上10μm以下である。コイルCL11とコイルCL21との間の距離又はコイルCL12とコイルCL22との間の距離は、10μm以上14μm以下であってもよい。コイルCL41とコイルCL31との間の距離又はコイルCL42とコイルCL32との間の距離は、例えば、6μm以上10μm以下である。コイルCL41とコイルCL31との間の距離又はコイルCL42とコイルCL32との間の距離は、10μm以上14μm以下であってもよい。
【0041】
パッドPD1、パッドPD2、パッドPD3、パッドPD4及びパッドPD5は、絶縁層IL上に配置されている。パッドPD1、パッドPD2、パッドPD3、パッドPD4及びパッドPD5の構成材料は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。パッドPD1は、コイルCL21の最内周の端部に接続されている。パッドPD2は、コイルCL22の最内周の端部に接続されている。パッドPD3は、コイルCL31の最内周の端部に接続されている。パッドPD4は、コイルCL32の最内周の端部に接続されている。パッドPD5は、コイルCL21及びコイルCL22とは反対側の引き出し線PL1の端部に接続されている。
【0042】
ガードリングGRは、絶縁層IL上に配置されている。ガードリングGRは、第1部分GR1と、第2部分GR2とを有している。第1部分GR1は、平面視において、受信コイルCL2を取り囲んでいる。第2部分GR2は、平面視において、送信コイルCL3を取り囲んでいる。パッドPD5は、ガードリングGR(第1部分GR1)に接している。そのため、ガードリングGRは、引き出し線PL1と同様に基準電位に接続される。ガードリングGRの構成材料は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。
【0043】
パッシベーション膜PFは、受信コイルCL2(コイルCL21、コイルCL22)、送信コイルCL3(コイルCL31、コイルCL32)、引き出し線PL1、パッドPD1、パッドPD2、パッドPD3、パッドPD4、パッドPD5及びガードリングGRを覆うように、絶縁層IL上に配置されている。パッシベーション膜PFの開口部からは、パッドPD1、パッドPD2、パッドPD3、パッドPD4及びパッドPD5が露出されている。パッシベーション膜PFの構成材料は、例えばシリコン窒化物である。
【0044】
<半導体チップCHP3の製造方法>
以下に、半導体チップCHP3の製造方法を説明する。
【0045】
図6は、半導体チップCHP3の製造工程図である。
図6に示されているように、半導体チップCHP3の製造方法は、準備工程S1と、第1絶縁膜形成工程S2と、配線形成工程S3と、第2絶縁膜形成工程S4と、ビアプラグ形成工程S5と、第1コイル形成工程S6と、絶縁層形成工程S7と、第2コイル形成工程S8と、パッシベーション膜形成工程S9とを有している。
【0046】
準備工程S1では、半導体基板SUBが準備される。準備工程S1の後には、第1絶縁膜形成工程S2が行われる。
図7は、第1絶縁膜形成工程S2を説明する断面図である。
図7に示されているように、第1絶縁膜形成工程S2では、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、半導体基板SUB上に絶縁膜IF1が形成される。第1絶縁膜形成工程S2の後には、配線形成工程S3が行われる。
【0047】
図8は、配線形成工程S3を説明する断面図である。
図8に示されているように、配線形成工程S3では、絶縁膜IF1上に配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4が形成される。配線形成工程S3では、第1に、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4の構成材料が、例えばスパッタリング法により成膜される。第2に、成膜された配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4の構成材料が、例えばフォトリソグラフィ法で形成されたレジストパターンをマスクとするドライエッチングによりパターンニングされる。配線形成工程S3の後には、第2絶縁膜形成工程S4が行われる。
【0048】
図9は、第2絶縁膜形成工程S4を説明する断面図である。第2絶縁膜形成工程S4では、
図9に示されているように、絶縁膜IF2が、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4を覆うように、絶縁膜IF1上に形成される。第2絶縁膜形成工程S4では、第1に、絶縁膜IF2の構成材料が、例えばCVD法で成膜される。第2に、成膜された絶縁膜IF2の構成材料が、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により平坦化される。第2絶縁膜形成工程S4の後には、ビアプラグ形成工程S5が行われる。
【0049】
図10は、ビアプラグ形成工程S5を説明する断面図である。
図10に示されているように、ビアプラグ形成工程S5では、絶縁膜IF2中にビアプラグVP1、ビアプラグVP2、ビアプラグVP3、ビアプラグVP4、ビアプラグVP5、ビアプラグVP6、ビアプラグVP7及びビアプラグVP8が埋め込まれる。ビアプラグ形成工程S5では、第1に、フォトリソグラフィ法で形成されたレジストパターンをマスクとするドライエッチングにより、絶縁膜IF2にビアホールが形成される。第2に、ビアプラグVP1、ビアプラグVP2、ビアプラグVP3、ビアプラグVP4、ビアプラグVP5、ビアプラグVP6、ビアプラグVP7及びビアプラグVP8の構成材料が、例えばCVD法により、ビアホールに埋め込まれる。
【0050】
第3に、ビアホールからはみ出したビアプラグVP1、ビアプラグVP2、ビアプラグVP3、ビアプラグVP4、ビアプラグVP5、ビアプラグVP6、ビアプラグVP7及びビアプラグVP8の構成材料が、例えばCMP法により除去される。ビアプラグ形成工程S5の後には、第1コイル形成工程S6が行われる。
【0051】
図11は、第1コイル形成工程S6を説明する断面図である。
図11に示されているように、第1コイル形成工程S6では、送信コイルCL1、受信コイルCL4、引き出し線PL2、配線WL5、配線WL6、配線WL7及び配線WL8が絶縁膜IF2上に形成される。第1コイル形成工程S6では、第1に、送信コイルCL1、受信コイルCL4、引き出し線PL2、配線WL5、配線WL6、配線WL7及び配線WL8の構成材料が、例えばスパッタリングにより成膜される。第2に、成膜された送信コイルCL1、受信コイルCL4、引き出し線PL2、配線WL5、配線WL6、配線WL7及び配線WL8の構成材料が、例えばフォトリソグラフィ法で形成されたレジストパターンをマスクとするドライエッチングによりパターンニングされる。第1コイル形成工程S6の後には、絶縁層形成工程S7が行われる。
【0052】
図12は、絶縁層形成工程S7を説明する断面図である。絶縁層形成工程S7では、
図12に示されているように、送信コイルCL1、受信コイルCL4、引き出し線PL2、配線WL5、配線WL6、配線WL7及び配線WL8を覆うように、絶縁膜IF2上に絶縁層ILが形成される。絶縁層ILは、第2絶縁膜形成工程S4と同様の工程が繰り返されることにより形成される。絶縁層形成工程S7の後には、第2コイル形成工程S8が行われる。
【0053】
図13は、第2コイル形成工程S8を説明する断面図である。
図11に示されているように、第2コイル形成工程S8では、受信コイルCL2、送信コイルCL3、引き出し線PL1、パッドPD1からパッドPD5及びガードリングGRが絶縁層IL上に形成される。第2コイル形成工程S8では、第1に、受信コイルCL2、送信コイルCL3、引き出し線PL1、パッドPD1からパッドPD5及びガードリングGRの構成材料が、例えばスパッタリングにより成膜される。第2に、成膜された受信コイルCL2、送信コイルCL3、引き出し線PL1、パッドPD1からパッドPD5及びガードリングGRの構成材料が、例えばフォトリソグラフィ法で形成されたレジストパターンをマスクとするドライエッチングによりパターンニングされる。第2コイル形成工程S8の後には、パッシベーション膜形成工程S9が行われる。
【0054】
パッシベーション膜形成工程S9では、受信コイルCL2、送信コイルCL3、引き出し線PL1、パッドPD1からパッドPD5及びガードリングGRを覆うように、絶縁層IL上にパッシベーション膜PFが形成される。パッシベーション膜形成工程S9では、第1に、パッシベーション膜PFの構成材料が、例えばCVD法により成膜される。第2に、パッシベーション膜PFの構成材料が、例えばフォトリソグラフィ法で形成されたレジストパターンをマスクとするドライエッチングによりパターンニングされる。以上により、
図3から
図5に示されている半導体チップCHP3の構造が形成される。
【0055】
<半導体装置DEV1の効果>
以下に、半導体装置DEV1の効果を説明する。
【0056】
半導体装置DEV1は、トランスフォーマTR1及びトランスフォーマTR2が半導体チップCHP3に集約されている。半導体チップCHP3にはトランジスタ等の半導体素子が形成されないため、半導体チップCHP3の製造プロセスをトランスフォーマTR1及びトランスフォーマTR2に合わせて最適化することが可能となる。
【0057】
半導体装置DEV1では、コイルCL11とコイルCL12との間に、引き出し線が形成されていない。また、半導体装置DEV1では、コイルCL31とコイルCL32との間に引き出し線が形成されていない。そのため、コイルCL11、コイルCL12、コイルCL31及びコイルCL32に常時電流が流れない(送信時のみ電流が流れる)。そのため、半導体装置DEV1によると、半導体チップCHP3の発熱を抑制することが可能である。また、半導体チップCHP3の発熱が抑制される結果、コイルCL11、コイルCL12、コイルCL31及びコイルCL32にエレクトロマイグレーションが生じることも抑制可能である。
【0058】
半導体装置DEV1では、コイルCL21とコイルCL22との間に引き出し線PL1が形成されており、コイルCL41とコイルCL42との間に引き出し線PL2が形成されている。そして、引き出し線PL1及び引き出し線PL2は、基準電位に接続される。そのため、半導体装置DEV1では、コイルCL21とコイルCL22との接続部及びコイルCL41とコイルCL42との間の接続部における電位を安定化させることが可能である。半導体装置DEV1では、コイルCL11及びコイルCL12(コイルCL31及びコイルCL32)を直列相助構成とすることにより、コモンモードノイズを抑制することが可能である。
【0059】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置を説明する。第2実施形態に係る半導体装置を、半導体装置DEV2とする。ここでは、半導体装置DEV1と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0060】
<半導体装置DEV2の構成>
以下に、半導体装置DEV2の構成を説明する。
【0061】
半導体装置DEV2は、半導体チップCHP1と、半導体チップCHP2と、半導体チップCHP3とを有している。この点に関して、半導体装置DEV2の構成は、半導体装置DEV1の構成と共通している。
【0062】
図14は、半導体装置DEV2における半導体チップCHP3の平面図である。
図14に示されているように、半導体装置DEV2では、半導体チップCHP3が、引き出し線PL1を有していない。代わりに、半導体装置DEV2では、コイルCL21及びコイルCL22が、平面視においてパッドPD5を介して互いに隣接しており、かつパッドPD5を介して互いに電気的に直列に接続されている。
【0063】
また、半導体装置DEV2は、半導体チップCHP3がパッドPD6をさらに有している。パッドPD6は、絶縁層IL上に配置されている。パッドPD6の構成材料は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。半導体装置DEV2では、コイルCL31及びコイルCL32が、平面視においてパッドPD6を介して隣接しており、かつパッドPD6を介して電気的に直列に接続されている。但し、パッドPD6は基準電位に接続されないため、パッシベーション膜PFからパッドPD6が露出していない。
【0064】
半導体装置DEV2では、パッドPD2がコイルCL21とコイルCL22との間に形成されている結果、パッドPD5がガードリングGR(第1部分GR1)から離間している。半導体装置DEV2では、ガードリングGRが、第1部分GR1と第2部分GR2とを接続している接続部分GR3をさらに有している。図示されていないが、半導体装置DEV2では、接続部分GR3がパッシベーション膜PFから露出していることにより、ガードリングGRに基準電位が供給されることになる。これらの点に関して、半導体装置DEV2の構成は、半導体装置DEV1の構成と異なっている。
【0065】
<半導体装置DEV2の効果>
以下に、半導体装置DEV2の効果を説明する。
【0066】
半導体装置DEV1では、パッドPD5とガードリングGR(第1部分GR1)とが接触しており、当該接触部分が電界集中による耐圧低下の原因となる特異点になる。しかしながら、半導体装置DEV2では、パッドPD5がガードリングGR(第1部分GR1)から離間しているため、上記のような特異点が発生せず、半導体チップCHP3の耐圧を確保することが可能となる。
【0067】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る半導体装置を説明する。第2実施形態に係る半導体装置を、半導体装置DEV3とする。ここでは、半導体装置DEV2と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0068】
<半導体装置DEV3の構成>
以下に、半導体装置DEV3の構成を説明する。
【0069】
半導体装置DEV3は、半導体チップCHP1と、半導体チップCHP2と、半導体チップCHP3とを有している。この点に関して、半導体装置DEV3の構成は、半導体装置DEV2の構成と共通している。
【0070】
図15は、半導体装置DEV3における半導体チップCHP3の平面図である。
図15に示されているように、半導体装置DEV3では、半導体チップCHP3が、パッドPD6を有していない。このことを別の観点から言えば、半導体装置DEV3では、平面視において、受信コイルCL2の形状が、送信コイルCL3の形状と異なっている。この点に関して、半導体装置DEV3の構成は、半導体装置DEV2の構成と異なっている。
【0071】
<半導体装置DEV3の効果>
以下に、半導体装置DEV3の効果を説明する。
【0072】
半導体装置DEV3では、パッドPD6が形成されていないため、送信コイルCL3の幅が、半導体装置DEV2と比較して小さくなる。そのため、半導体装置DEV3によると、送信コイルCL3のレイアウトを縮小することが可能となる。
【0073】
(付記)
上記の実施形態には、以下の構成が含まれている。
【0074】
<付記1>
第1半導体チップと、
第2半導体チップと、
第3半導体チップとを備え、
前記第1半導体チップは、第1受信回路を有し、
前記第2半導体チップは、第1送信回路を有し、
前記第3半導体チップは、半導体基板と、前記第1受信回路に接続されている第1受信コイルと、前記第1送信回路に接続されている第1送信コイルと、第1引き出し線と、絶縁層とを有し、
前記第1受信コイルは、第1コイルと、第2コイルとを有し、
前記第1送信コイルは、第3コイルと、第4コイルとを有し、
前記第1引き出し線は、前記半導体基板上において前記第1コイル及び前記第2コイルと同層に形成されており、
前記第1コイル及び前記第2コイルは、平面視において前記第1引き出し線を介して互いに隣接し、かつ前記第1引き出し線を介して互いに電気的に直列に接続されており、
前記絶縁層は、前記第1コイル、前記第2コイル及び前記第1引き出し線を覆い、
前記第3コイルは、前記絶縁層を介して前記第1コイルと対向するように、前記第1コイル上に形成されており、
前記第4コイルは、前記絶縁層を介して前記第2コイルと対向するように、前記第2コイル上に形成されており、
前記第3コイル及び前記第4コイルは、平面視において互いに隣接し、かつ互いに電気的に接続されており、
前記第1送信回路は、前記第1送信コイル及び前記第2受信コイルを介して、前記第1受信回路に信号を伝達する、半導体装置。
【0075】
<付記2>
断面視において、前記第1コイルと前記第3コイルとの間の距離又は前記第2コイルと前記第4コイルとの間の距離は、6μm以上10μm以下である、付記1に記載の半導体装置。
【0076】
<付記3>
断面視において、前記第1コイルと前記第3コイルとの間の距離又は前記第2コイルと前記第4コイルとの間の距離は、10μm以上14μm以下である、付記1に記載の半導体装置。
【0077】
<付記4>
前記第1コイル及び前記第3コイルは、平面視において互いに重なっており、
前記第2コイル及び前記第4コイルは、平面視において互いに重なっている、付記1に記載の半導体装置。
【0078】
<付記5>
前記第1コイル及び前記第3コイルは、磁気的に互いに結合されており、
前記第2コイル及び前記第4コイルは、磁気的に互いに結合されている、付記1に記載の半導体装置。
【0079】
<付記6>
前記第1引き出し線は、基準電位に接続される、付記1に記載の半導体装置。
【0080】
<付記7>
平面視において、前記第3コイルと前記第4コイルとの間には、前記第3コイル及び前記第4コイルと同層の他の引き出し線が形成されておらず、
前記第3コイル及び前記第4コイルは、平面視において、互いに直接隣接している、付記1に記載の半導体装置。
【0081】
<付記8>
前記第1半導体チップは、第2送信回路をさらに有し、
前記第2半導体チップは、第2受信回路をさらに有し、
前記第第3半導体チップは、前記第2送信回路に接続されている第2送信コイルと、前記第2受信回路に接続されている第2受信コイルと、第2引き出し線とをさらに有し、
前記第2送信コイルは、第5コイルと、第6コイルとを有し、
前記第2受信コイルは、第7コイルと、第8コイルとを有し、
前記絶縁層は、前記第5コイル及び前記第6コイルをさらに覆い、
前記第7コイルは、前記絶縁層を介して前記第5コイルと対向するように、前記第5コイル上に形成されており、
前記第8コイルは、前記絶縁層を介して前記第6コイルと対向するように、前記第6コイル上に形成されており、
前記第7コイル及び前記第8コイルは、平面視において前記第2引き出し線を介して互いに隣接し、かつ前記第2引き出し線を介して互いに電気的に直列に接続されており、
前記第2送信回路は、前記第2送信コイル及び前記第2受信コイルを介して、前記第2受信回路に信号を伝達する、付記1に記載の半導体装置。
【0082】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0083】
DEV1,DEV2,DEV3 半導体装置、CHP1,CHP2,CHP3 半導体チップ、CL1 送信コイル、CL11,CL12 コイル、CL2 受信コイル、CL21,CL22 コイル、CL3 送信コイル、CL31,CL32 コイル、CL4 受信コイル、CL41,CL42 コイル、DR 駆動回路、GR ガードリング、GR1 第1部分、GR2 第2部分、GR3 接続部分、IF1,IF2 絶縁膜、IL 絶縁層、PD1,PD2,PD3,PD4,PD5,PD6 パッド、PF パッシベーション膜、PL1,PL2 引き出し線、RX1,RX2 受信回路、S1 準備工程、S2 第1絶縁膜形成工程、S3 配線形成工程、S4 第2絶縁膜形成工程、S5 ビアプラグ形成工程、S6 第1コイル形成工程、S7 絶縁層形成工程、S8 第2コイル形成工程、S9 パッシベーション膜形成工程、SG1,SG2,SG3,SG4 信号、SUB 半導体基板、TR1,TR2 トランスフォーマ、TX1,TX2 送信回路、VP1,VP2,VP3,VP4,VP5,VP6,VP7,VP8 ビアプラグ、WL1,WL2,WL3,WL4,WL5,WL6,WL7,WL8 配線。