(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023862
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】感光性組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/023 20060101AFI20250207BHJP
G03F 7/075 20060101ALI20250207BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20250207BHJP
C08G 73/22 20060101ALI20250207BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
G03F7/023
G03F7/075 501
G03F7/004 501
C08G73/22
C08G73/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024129210
(22)【出願日】2024-08-05
(31)【優先権主張番号】10-2023-0101941
(32)【優先日】2023-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2024-0103521
(32)【優先日】2024-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】515127979
【氏名又は名称】ドク サン ネオルクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム ジン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ジュ チョル
(72)【発明者】
【氏名】イ チャンミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン ス
【テーマコード(参考)】
2H225
4J043
【Fターム(参考)】
2H225AF05P
2H225AM73P
2H225AM75P
2H225AN31P
2H225AN54P
2H225BA05P
2H225BA32P
2H225CA12
2H225CA21
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2H225CC03
2H225CC21
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4J043PC016
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4J043YA25
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4J043ZA51
4J043ZB03
4J043ZB22
4J043ZB47
4J043ZB50
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】(A)ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体、(B)感光剤、(C)シラン系添加剤及び(D)溶媒を含むポジティブ型感光性組成物、それを用いて製造した半導体装置または表示装置。
【効果】ベンゾオキサゾール系共重合体樹脂の成分に機械的物性を増加させることができる単量体を導入した共重合体とシラン系添加剤を含む感光性組成物から製造されたパターンの機械的物性と基材との密着力が増加する効果がある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体;(B)感光剤;(C)シラン系添加剤;及び(D)溶媒を含むポジティブ型感光性組成物。
【請求項2】
前記ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体は、下記化学式1-1;化学式1-2;化学式1-3;化学式1-4;またはこれらの組み合わせからなる群から選択される繰り返し単位を含む請求項1に記載のポジティブ型感光性組成物。
【化1】
前記化学式1-1ないし化学式1-4において、
1)*は繰り返し単位で結合が連結される部分であり、
2)高分子末端の*は化学式Q-1ないしQ-10がアミド結合またはイミド結合で結合されている部分であり、
3)X
1又はX
2は下記化学式2であり、
4)YはC
6~C
30のアリーレン基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC
2~C
30のヘテロ環基;C
6~C
30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C
1~C
20のアルキレン基、C
1~C
20のシクロアルキレン基、C
2~C
20のアルケニレン基;C
3~C
20のシクロアルケニレン基;C
2~C
20のアルキニレン基;C
3~C
20のシクロアルキニレン基;化学式2;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
5)Zは、C
6~C
30のアリーレン基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC
2~C
30のヘテロ環基;C
6~C
30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C
1~C
20のアルキレン基、C
1~C
20のシクロアルキレン基、C
2~C
20のアルケニレン基;C
3~C
20のシクロアルケニレン基;C
2~C
20のアルキニレン基;C
3~C
20のシクロアルキニレン基;化学式3;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
6)k、l、m、nは1以上の整数であり、
【化2】
7)高分子末端は、前記化学式Q-1ないしQ-10から選択された1種またはこれらの組み合わせからなる群から選択された化学式がアミドまたはイミド結合で結合されており、
【化3】
前記化学式2において、
8)L
1は単一結合、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2OCH
2-、-CH(CH
3)-、-C(CH
3)
2-、-C(C
2H
5)
2-、-C(C
3H
7)
2-、-C(C
4H
9)
2-、-C(C
5H
11)
2-、-C(C
6H
13)
2-、-C(C
5H
10)-、-O-、-CH(CF
3)-、-C(CF
3)
2-、-S-、-SO
2-、Si(CH
3)
2-、-C(SiCH
3)
2、-C
6H
4-、-CO-、-NHCO-、-COO-からなる群から選択され、
9)R
1ないしR
10のうち2つは化学式1-1及び化学式1-2のアミド基との連結部位であり、
10)前記連結部位を除いた残りのR
1ないしR
10は、互いに独立的に水素;重水素;ヒドロキシ基;C
6~C
30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC
2~C
30のヘテロ環基;C
6~C
30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C
1~C
20のアルキル基;C
2~C
20のアルケニル基;C
2~C
20のアルキニル基;C
1~C
20のアルコキシ基;C
6~C
30のアリールオキシ基;フルオレニル基;カルボニル基;エーテル基;カルボキシル基;又はC
1~C
20のアルコキシカルボニル基であり、
11)L
1が単一結合である場合、前記連結部位ではなく隣接したR
1及びR
10;及びR
5及びR
6は環を形成することができ、
【化4】
前記化学式3において、
12)L
2は単一結合、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2OCH
2-、-CH(CH
3)-、-C(CH
3)
2-、-C(C
2H
5)
2-、-C(C
3H
7)
2-、-C(C
4H
9)
2-、-C(C
5H
11)
2-、-C(C
6H
13)
2-、-C(C
5H
10)-、-O-、-CH(CF
3)-、-C(CF
3)
2-、-S-、-SO
2-、Si(CH
3)
2-、-C(SiCH
3)
2、-C
6H
4-、-CO-、-NHCO-、-COO-からなる群から選択され、
13)R
11ないしR
20のうち2つは化学式1-1及び化学式1-2のアミド基との連結部位であり、
14)前記連結部位を除いた残りのR
11ないしR
20は、互いに独立的に水素;重水素;ヒドロキシ基;C
6~C
30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC
2~C
30のヘテロ環基;C
6~C
30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C
1~C
20のアルキル基;C
2~C
20のアルケニル基;C
2~C
20のアルキニル基;C
1~C
20のアルコキシ基;C
6~C
30のアリールオキシ基;フルオレニル基;カルボニル基;エーテル基;カルボキシル基;又はC
1~C
20のアルコキシカルボニル基であり、但し、前記連結部位を除いた残りR
11ないしR
20のうち2つはカルボキシル基であり、
15)L
2が単一結合である場合、前記連結部位ではなく隣接したR
11及びR
20;及びR
15及びR
16は環を形成することができる。
【請求項3】
前記シラン系添加剤が下記化学式T-1;または化学式T-1及びT-2の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性組成物:
【化5】
前記T-1ないしT-2において、
1)R
21は、C
6~C
30のアリール基;O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC
2~C
30のヘテロ環基;C
3~C
30のシクロアルキル基;C
2~C
20のヘテロシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
2)R
22ないしR
23は、メトキシ基;エトキシ基;アセチル基;カルボキシル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
3)R
24はC
1~C
10のアルキル基であり、
4)R
25ないしR
27は、メトキシ基、エトキシ基、アセチル基、カルボキシル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
5)Ar
1~Ar
2はC
6~C
30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC
2~C
30のヘテロ環基、C
3~C
30のシクロアルキル基、C
2~C
20のヘテロシクロアルキル基から選択される。
【請求項4】
前記化学式T-1は、下記化学式J-1ないし化学式J-15で表示される化合物を含む請求項3に記載のポジティブ型感光性組成物。
【化6】
【請求項5】
前記化学式T-2は、下記化学式K-1ないし化学式K-12で表示される化合物を含む請求項3に記載のポジティブ型感光性組成物。
【化7】
【請求項6】
前記シラン系添加剤が組成物全体に対して0.1ないし1重量%を含むことを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性組成物。
【請求項7】
前記ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体が組成物の総量に対して5ないし50重量%で含まれることを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性組成物。
【請求項8】
前記感光剤が下記化学式P-1ないしP-8のうち1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性組成物:
【化8】
前記P-1ないしP-8において、R”は水素;下記化学式S-1;または化学式S-2である。
【化9】
【請求項9】
前記感光剤が組成物の総量に対して1ないし50重量%で含まれることを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性組成物。
【請求項10】
前記溶媒がN,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、ガンマ-ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性組成物。
【請求項11】
前記溶媒が組成物の総量に対して40ないし95重量%で含まれることを特徴とする請求項1に記載のポジティブ型感光性組成物。
【請求項12】
請求項1のポジティブ型感光型組成物から製造されたパターンまたはフィルム。
【請求項13】
請求項12のパターンまたはフィルムを使用して製造される半導体装置。
【請求項14】
請求項12のパターンまたはフィルムを使用して製造される表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体とシラン系添加剤を含んで製造した半導体装置または表示装置に使われるポジティブ型感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ工程は、大きく分けて、基板にフォトレジスト組成物を塗布するコーティング段階、マスクを通過した光源やE-beamなどでフォトレジスト膜にパターンを形成する露光段階、パターンが刻まれたフォトレジスト膜の特定領域を除去する現像段階の順で行われ、フォトレジスト組成物から溶媒を除去するか膜を硬化するための熱処理(Baking)段階を各段階の中間に追加して行う。
【0003】
前記フォトリソグラフィ工程は、ネガティブとポジティブ工程に大別され、現像段階で露光部が現像液と化学反応し、その反応生成物が溶解して除去されるポジティブ工程と、逆に非露光部が現像液と化学反応してその反応生成物が溶解して除去されるネガティブ工程に分けられる。このうちポジティブ工程は、露光段階で光を吸収して溶解度が増加する感光剤(Photo active compound)を使用して、現像段階で露光部のみを正確に除去できるので、ネガティブ工程に比べてより精密で正確なパターンを得ることができる。
【0004】
従来、半導体装置やディスプレイ装置に使われるポジティブ感光型樹脂組成物としては、高い耐熱性、耐化学性、耐候性などにより、ポリイミドあるいはポリベンゾオキサゾールなどの樹脂が利用されているが、現像段階においてアルカリ性水溶液で現像を行うことで精密な回路実現のために使われる高分子樹脂の分子量が制限されるので、実現できる機械的物性に限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本公開特許第2006-526812号
【特許文献2】日本公開特許第2007-508582号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術の問題点を解決しようとして、本発明は、ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体成分に機械的物性を増加させることができる単量体と基材との密着力を増加させることができるシラン系添加剤を導入して密着力を増加させた感光型組成物を提供しようとする。
【0007】
また、前記ポジティブ感光性組成物で形成されたパターンまたはフィルムと、これを利用して製造された半導体装置または表示装置を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるポジティブ型感光性組成物は、(A)ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体;(B)感光剤;(C)シラン系添加剤;及び(D)溶媒を含むことが好ましい。
【0009】
前記重合体は、化学式1-1;化学式1-2;化学式1-3;化学式1-4;またはこれらの組み合わせからなる繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0010】
【0011】
前記化学式1-1ないし化学式1-4において、
1)*は繰り返し単位で結合が連結される部分であり、
2)高分子末端の*は、化学式Q-1ないしQ-10がアミド結合またはイミド結合で結合されている部分であり、
3)X1又はX2は下記化学式2であり、
4)YはC6~C30のアリーレン基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基;C6~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C1~C20のアルキレン基、C1~C20のシクロアルキレン基、C2~C20のアルケニレン基;C3~C20のシクロアルケニレン基;C2~C20のアルキニレン基;C3~C20のシクロアルキニレン基;化学式2;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
5)Zは、C6~C30のアリーレン基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基;C6~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C1~C20のアルキレン基、C1~C20のシクロアルキレン基、C2~C20のアルケニレン基;C3~C20のシクロアルケニレン基;C2~C20のアルキニレン基;C3~C20のシクロアルキニレン基;化学式3;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
6)k、l、m、nは1以上の整数であり、
【0012】
【0013】
7)高分子末端は、前記化学式Q-1ないしQ-10から選択された1種またはこれらの組み合わせからなる群から選択された化学式がアミドまたはイミド結合で結合されており、
【0014】
【0015】
前記化学式2において、
8)L1は単一結合、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2OCH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-C(C2H5)2-、-C(C3H7)2-、-C(C4H9)2-、-C(C5H11)2-、-C(C6H13)2-、-C(C5H10)-、-O-、-CH(CF3)-、-C(CF3)2-、-S-、-SO2-、Si(CH3)2-、-C(SiCH3)2、-C6H4-、-CO-、-NHCO-、-COO-からなる群から選択され、
9)R1ないしR10のうち2つは化学式1-1及び化学式1-2のアミド基との連結部位であり、
10)前記連結部位を除いた残りのR1ないしR10は、互いに独立的に水素;重水素;ヒドロキシ基;C6~C30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基;C6~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C1~C20のアルキル基;C2~C20のアルケニル基;C2~C20のアルキニル基;C1~C20のアルコキシ基;C6~C30のアリールオキシ基;フルオレニル基;カルボニル基;エーテル基;カルボキシル基;又はC1~C20のアルコキシカルボニル基であり、
11)L1が単一結合である場合、前記連結部位ではなく隣接したR1及びR10;及びR5及びR6は環を形成することができ、
【0016】
【0017】
前記化学式3において、
12)L2は単一結合、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2OCH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-C(C2H5)2-、-C(C3H7)2-、-C(C4H9)2-、-C(C5H11)2-、-C(C6H13)2-、-C(C5H10)-、-O-、-CH(CF3)-、-C(CF3)2-、-S-、-SO2-、Si(CH3)2-、-C(SiCH3)2、-C6H4-、-CO-、-NHCO-、-COO-からなる群から選択され、
13)R11ないしR20のうち2つは化学式1-1及び化学式1-2のアミド基との連結部位であり、
14)前記連結部位を除いた残りのR11ないしR20は、互いに独立的に水素;重水素;ヒドロキシ基;C6~C30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基;C6~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C1~C20のアルキル基;C2~C20のアルケニル基;C2~C20のアルキニル基;C1~C20のアルコキシ基;C6~C30のアリールオキシ基;フルオレニル基;カルボニル基;エーテル基;カルボキシル基;又はC1~C20のアルコキシカルボニル基であり、但し、前記連結部位を除いた残りR11ないしR20のうち2つはカルボキシル基であり、
15)L2が単一結合である場合、前記連結部位ではなく隣接したR11及びR20;及びR15及びR16は環を形成することができる。
【0018】
前記ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体は、ジアミン単量体;ジアシルクロライド単量体;ジアンハイドライド単量体;アンハイドライド単量体;から製造されることが好ましい。
【0019】
前記ジアミンは、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、4,4’-メチレンビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(シクロヘキサン-1,1-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(ペンタン-3,3-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(ヘプタン-4,4-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(ノナン-5,5-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(4-メチルペンタン-2,2-ジイル)ビス(2-アミノフェノール)、4,4’-(ビス(トリメチルシリル)メチレン)ビス(2-アミノフェノール)、m-トリジン、o-トリジン、4,4’-オキシジアニリン、3,4’-オキシジアニリン、3,3’-ジヒドロキシ-4,4’-ジアミノ-ビフェニル、4,4’-メチレンジアニリン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ジアミノベンザニリド、9,9’-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-{4-アミノフェノキシフェニル}]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-(シクロヘキサン-1,1-ジイル)ジアニリン及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上の単量体を含むことが好ましい。
【0020】
前記ジアシルクロライドは、4,4’-オキシビスベンゾイルクロライド、1,2-シクロブタンジカルボン酸ジクロライド、テレフタロイルクロライド、イソフタロイルクロライド、4,4’-ビフェニルジカルボニルクロライド、1,4-ナフタレンジカルボニルクロライド、4,4’-スルホニルジベンゾイルクロライド、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上の単量体を含むことが好ましい。
【0021】
前記ジアンハイドライドは、3,3’,4,4’-オキシジフタリックアンハイドライド、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリジン)ジフタリックアンハイドライド、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、3,3,3’,4'-ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド、ピロメチリックジアンハイドライド、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド、4,4’-(2,2,2-トリフルオロ-1-フェニルエチリジン)ジフタリックアンハイドライド、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボキシリックジアンハイドライド、4,4’-ビスフェノールAジアンハイドライド、ビシクロオクタンテトラカルボキシルジアンハイドライド及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種単量体を含むことが好ましい。
【0022】
前記アンハイドライドは、ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3-ジカルボキシリックアンハイドライド、5-ノボネン-2,3-ジカルボキシリックアンハイドライド、マレイックアンハイドライド、フタリックアンハイドライド、サクシニックアンハイドライド及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上の単量体を含むことが好ましい。
【0023】
前記共重合体の重量平均分子量は5,000ないし40,000g/molであることが好ましい。
【0024】
前記ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体は、組成物の総量に対して5ないし50重量%で含まれることが好ましい。
【0025】
前記感光剤は、下記化学式P-1ないしP-8のうち1種以上を含むことが好ましい。
【0026】
【0027】
前記P-1ないしP-8において、R”は水素;下記化学式S-1;または化学式S-2である。
【0028】
【0029】
前記感光剤は、組成物の総量に対して1ないし50重量%で含まれることが好ましい。
【0030】
前記シラン系添加剤は、下記化学式T-1単独ないしT-1とT-2を混合して使用してもよい。
【0031】
【0032】
前記T-1ないしT-2において、
1)R21は、C6~C30のアリール基;O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基;C3~C30のシクロアルキル基;C2~C20のヘテロシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
2)R22ないしR23は、メトキシ基;エトキシ基;アセチル基;カルボキシル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
3)R24はC1~C10のアルキル基であり、
4)R25ないしR27は、メトキシ基、エトキシ基、アセチル基、カルボキシル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
5)Ar1~Ar2はC6~C30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基、C3~C30のシクロアルキル基、C2~C20のヘテロシクロアルキル基から選択される。
【0033】
前記シラン系添加剤T-1は、下記化学式J-1ないしJ-15で表示される化合物を含んでもよい。
【0034】
【0035】
前記シラン系添加剤T-2は、下記の化学式K-1ないしK-12で表示される化合物を含んでもよい。
【0036】
【0037】
前記シラン系添加剤は、組成物の総量に対して0.1ないし1重量%で含まれることが好ましい。
【0038】
前記溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、ガンマ-ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上を含むことが好ましい。
【0039】
前記溶媒は、組成物の総量に対して40ないし95重量%で含まれることが好ましい。
【0040】
前記ポジティブ型感光性組成物は、表面平滑剤;界面活性剤;架橋剤;及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種以上をさらに含むことが好ましい。
【0041】
前記添加剤は、組成物の総量に対して0.001ないし10重量%で含まれることが好ましい。
【0042】
本発明の他の具体例として、前記ポジティブ感光型組成物から製造されるパターンまたはフィルムを提供することが好ましい。
【0043】
本発明の他の具体例として、前記パターンまたはフィルムを使用して製造される半導体装置または表示装置を提供することが好ましい。
【0044】
本発明の他の具体例として、前記半導体装置または表示装置とこれを駆動する制御部;を含む電子装置を提供することが好ましい。
【発明の効果】
【0045】
本発明により、ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体の成分に機械的物性を増加させることができる単量体を導入した共重合体とシラン系添加剤を含む感光性組成物から製造されたパターンは、基材との密着力が高まる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を参照して詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加する時、同一の構成要素に対しては他の図面上に表示されていてもできる限り同一の符号を有する。
【0047】
本発明に関する説明において、関連した公知構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明確にする可能性があると判断される場合は、その詳細な説明は省略してもよい。本明細書において言及された「含む」、「有する」、「成る」などが使用される場合、「~だけ」が使用されない以上、他の部分が追加されてもよい。構成要素を単数で表現した場合に特別な明示的な記載事項がない限り、複数を含む。
【0048】
また、本発明の構成要素に関する説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語により当該構成要素の本質、順番、順序又は個数などが限定されない。
【0049】
構成要素の位置関係の説明において、2つ以上の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されると記載されている場合、2つ以上の構成要素が直接的に「連結」、「結合」または「接続」されることもあるが、2つ以上の構成要素と他の構成要素がさらに「介在」されて「連結」または「接続」されることもあると理解しなければならない。ここで、他の構成要素は互いに「連結」、「結合」または「接続」される2つ以上の構成要素の1つ以上に含まれてもよい。
【0050】
また、層、膜、領域、板などの構成要素が他の構成要素「の上に」または「上に」あるとする場合、これは他の構成要素の「真上に」ある場合だけでなく、その中間に別の構成要素がある場合も含むと理解されるべきである。逆に、ある構成要素が他の部分の「真上に」あるという場合には、中間にまた別の部分がないことを意味すると理解されるべきである。
【0051】
構成要素や、動作方法や製作方法などに関連した時間的な流れ関係の説明において、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」などと時間的な前後関係または流れ的な前後関係が説明される場合、「直ちに」または「直接」が使用されない限り連続的でない場合も含まれる。
【0052】
一方、構成要素に対する数値又はその対応情報が言及された場合、別途の明示的記載がなくても、数値又はその対応情報は各種要因(例:工程上の要因、内部又は外部衝撃、ノイズなど)により発生しうる誤差範囲を含むものと解釈できる。
【0053】
本明細書及び添付の請求の範囲において使用された用語は、通常的または辞書的な意味に限定されて解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に基づいて本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈されるべきである。
【0054】
本出願において使用された用語「ハロ」または「ハロゲン」は、別の説明がない限りフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、及びヨウ素(I)を含む。
【0055】
本出願において使用された用語「アルキル」または「アルキル基」は、別の説明がない限り単一結合で連結された1~60の炭素を有し、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環族)基、アルキル-置換されたシクロアルキル基、シクロアルキル-置換されたアルキル基をはじめとする飽和脂肪族作用基のラジカルを意味する。
【0056】
本出願において使用された用語「ハロアルキル基」または「ハロゲンアルキル基」は、別の説明がない限りハロゲンが置換されたアルキル基を意味する。
【0057】
本出願において使用された用語「アルケニル」または「アルキニル」は、別の説明がない限りそれぞれ二重結合または三重結合を有し、直鎖型または側鎖型鎖基を含み、2~60の炭素数を有するが、これに限定されるものではない。
【0058】
本出願において使用された用語「シクロアルキル」は別の説明がない限り3~60の炭素数を有する環を形成するアルキルを意味し、これに限定されるものではない。
【0059】
本出願において使用された用語「アルコキシ基」または「アルキルオキシ基」は酸素ラジカルが結合されたアルキル基を意味し、別の説明がない限り1~60の炭素数を有するが、これに限定されるものではない。
【0060】
本出願において使用された用語「アルケンオキシル基」、「アルケンオキシ基」、「アルケニルオキシル基」、または「アルケニルオキシ基」は酸素ラジカルが付着したアルケニル基を意味し、別の説明がない限り2~60の炭素数を有するが、これに限定されるものではない。
【0061】
本出願において使用された用語「アリール基」及び「アリーレン基」は、別の説明がない限りそれぞれ6~60の炭素数を有するが、これに限定されるものではない。本出願においてアリール基またはアリーレン基は単一環形、環集合体、接合された複数の環系化合物などを含む。例えば、前記アリール基はフェニル基、ビフェニルの1価作用基、ナフタレンの1価作用基、フルオレニル基、置換されたフルオレニル基を含み、アリーレン基はフルオレニレン基、置換されたフルオレニレン基を含む。
【0062】
本出願において使用された用語「環集合体(ring assemblies)」は、2つ又はそれ以上の環系(単一環または接合された環系)が単一結合または二重結合により互いに直接連結されており、このような環間の直接連結の数がその化合物に入っている環系の総数より1つ少ないことを意味する。環集合体は同一または異なる環系が単一結合や二重結合により互いに直接連結されることができる。
【0063】
本出願においてアリール基は環集合体を含むので、アリール基は単一芳香族環であるベンゼン環が単一結合により連結されたビフェニル、ターフェニルを含む。また、アリール基は芳香族単一環と接合された芳香族環系が単一結合により連結された化合物も含むので、例えば、芳香族単一環であるベンゼン環と接合された芳香族環系であるフルオレンが単一結合により連結された化合物も含む。
【0064】
本出願において使用された用語「接合された複数の環系」は、少なくとも2つの原子を共有する接合された(fused)環形態を意味し、2つ以上の炭化水素類の環系が接合された形態及び少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロ環系が少なくとも1つ接合された形態などを含む。このような接合された複数の環系は、芳香族環、ヘテロ芳香族環、脂肪族環またはこれらの環の組み合わせであってもよい。例えば、アリール基の場合、ナフタレニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基などになるが、これに限定されるものではない。
【0065】
本出願において使用された用語「スピロ化合物」は「スピロ連結(spiro union)」を有し、スピロ連結は2つの環が1つの原子のみを共有することにより成る連結を意味する。この時、2つの環に共有された原子を「スピロ原子」といい、1つの化合物に入っているスピロ原子の数に応じてこれらをそれぞれ「モノスピロ-」、「ダイスピロ-」、「トライスピロ-」化合物という。
【0066】
本出願において使用された用語「フルオレニル基」、「フルオレニレン基」、「フルオレントリイル基」は、別の説明がない限り、それぞれ下記の構造においてR、R’、R”及びR’”が全て水素である1価、2価または3価の作用基を意味し、「置換されたフルオレニル基」、「置換されたフルオレニレン基」または「置換されたフルオレントリイル基」は置換基R、R’、R”及びR’”のうち少なくとも1つが水素以外の置換基であることを意味し、RとR’が互いに結合されてこれらが結合された炭素とともにスピロ化合物を形成した場合を含む。本明細書においては、1価、2価、3価などの価数と関係なく、フルオレニル基、フルオレニレン基、フルオレントリイル基を全てフルオレン基と命名することもできる。
【0067】
【0068】
また、前記R、R’、R”及びR’”はそれぞれ独立的に、1~20の炭素数を有するアルキル基、1~20の炭素数を有するアルケニル基、6~30の炭素数を有するアリール基、2~30の炭素数を有するヘテロ環基であり、例えば、前記アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン又はフェナントレンであり、前記ヘテロ環基は、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール,イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、インドール、ベンゾフラン、キナゾリンまたはキノキサリンであり得る。例えば、前記置換されたフルオレニル基及びフルオレニレン基は、それぞれ9,9-ジメチルフルオレン、9,9-ジフェニルフルオレン及び9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]の1価作用基または2価作用基であり得る。
【0069】
本出願において使用された用語「ヘテロ環基」は「ヘテロアリール基」または「ヘテロアリーレン基」のような芳香族環だけでなく非芳香族環も含み、別の説明がない限りそれぞれ1つ以上のヘテロ原子を含む炭素数2~60の環を意味するが、これに限定されるものではない。本出願において使用された用語「ヘテロ原子」は別の説明がない限りN、O、S、PまたはSiを示し、ヘテロ環基はヘテロ原子を含む単一環形、環集合体、接合された複数の環系、スピロ化合物などを意味する。
【0070】
例えば、「ヘテロ環基」は環を形成する炭素の代わりに、下記化合物のようにSO2、P=Oなどのヘテロ原子団を含む化合物も含んでもよい。
【0071】
【0072】
本出願において使用された用語「環」は単一環及び多環を含み、炭化水素環はもちろん少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロ環を含み、芳香族及び非芳香族環を含む。
【0073】
本出願において使用された用語「多環」はビフェニル、ターフェニルなどの環集合体(ring assemblies)、接合された(fused)複数の環系及びスピロ化合物を含み、芳香族だけでなく非芳香族も含み、炭化水素環はもちろん少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロ環を含む。
【0074】
本出願において使用された用語「脂肪族環基」は芳香族炭化水素を除いた環状炭化水素を意味し、単一環形、環集合体、接合された複数の環系、スピロ化合物などを含み、別の説明がない限り炭素数3~60の環を意味するが、これに限定されるものではない。例えば、芳香族環であるベンゼンと非芳香族環であるシクロヘキサンが融合した場合にも脂肪族環に該当する。
【0075】
また、接頭辞が連続して命名される場合、記載された順で置換基が羅列されることを意味する。例えば、アリールアルコキシ基の場合、アリール基で置換されたアルコキシ基を意味し、アルコキシカルボニル基の場合、アルコキシ基で置換されたカルボニル基を意味し、また、アリールカルボニルアルケニル基の場合、アリールカルボニル基で置換されたアルケニル基を意味し、ここで、アリールカルボニル基はアリール基で置換されたカルボニル基である。
【0076】
また、明示的な説明がない限り、本出願において使用された用語「置換または非置換された」において「置換」は重水素、ハロゲン、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C1~C30のアルキル基、C1~C30のアルコキシ基、C1~C30のアルキルアミン基、C1~C30のアルキルチオフェン基、C6~C30のアリールチオフェン基、C2~C30のアルケニル基、C2~C30のアルキニル基、C3~C30のシクロアルキル基、C6~C30のアリール基、重水素で置換されたC6~C30のアリール基、C8~C30のアリールアルケニル基、シラン基、ホウ素基、ゲルマニウム基、及びO、N、S、Si及びPからなる群から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基からなる群から選択された1つ以上の置換基で置換されることを意味し、これらの置換基に限定されるものではない。
【0077】
本出願において各記号及びその置換基の例として例示されるアリール基、アリーレン基、ヘテロ環基などに該当する「作用基名称」は、「価数を反映した作用基の名称」を記載することもできるが、「母体化合物名称」として記載することもできる。例えば、アリール基の一種である「フェナントレン」の場合、1価の「基」は「フェナントリル(基)」、2価の基は「フェナントリレン(基)」などのように価数を区分して基の名前を記載することもできるが、価数と関係なく母体化合物名称である「フェナントレン」と記載することもできる。
【0078】
同様に、ピリミジンの場合も、価数に関係なく「ピリミジン」と記載するか、1価の場合はピリミジニル(基)と、2価の場合にはピリミジニレン(基)などのように当該価数の「基の名前」として記載することもできる。従って、本出願において換基の種類を母体化合物名称に記載する場合、母体化合物の炭素原子及び/又はヘテロ原子と結合している水素原子が脱離されて形成されるn価の「基」を意味し得る。
【0079】
また、本明細書においては化合物名称や置換基名称を記載するにおいて、位置を表示する数字やアルファベットなどは省略する場合もある。例えば、ピリド[4,3-d]ピリミジンをピリドピリミジンに、ベンゾフロ[2,3-d]ピリミジンをベンゾフロピリミジンに、9,9-ジメチル-9H-フルオレンをジメチルフルオレンなどのように記載することもできる。従って、ベンゾ[g]キノキサリンやベンゾ[f]キノキサリンを両方ともベンゾキノキサリンと記載することができる。
【0080】
また、明示的な説明がない限り、本出願において使用される化学式は下記化学式の指数定義による置換基定義と同様に適用される。
【0081】
【0082】
ここで、aが0の整数である場合、置換基R1は存在しないことを意味するが、すなわち、aが0である場合はベンゼン環を形成する炭素に全て水素が結合されたことを意味し、この時、炭素に結合された水素の表示を省略し、化学式や化合物を記載してもよい。また、aが1の整数である場合、1つの置換基R1はベンゼン環を形成する炭素のうちいずれか1つの炭素に結合し、aが2または3の整数である場合、例えば、以下のように結合でき、aが4~6の整数である場合も、これと類似した方式でベンゼン環の炭素に結合し、aが2以上の整数である場合、R1は互いに同一であるか異なることもある。
【0083】
【0084】
本出願において別の説明がない限り、環を形成するということは、隣接する基が互いに結合して単一環または接合された複数の環を形成することを意味し、単一環及び形成された接合された複数の環は、炭化水素環はもちろん少なくとも1つのヘテロ原子を含むヘテロ環を含み、芳香族及び非芳香族環を含む。
【0085】
また、本明細書において別の説明がない限り、縮合環を表示する時、「数字-縮合環」において数字は縮合される環の個数を示す。例えば、アントラセン、フェナントレン、ベンゾキナゾリンなどのように3つの環が互いに縮合した形態は3-縮合環と表記できる。
【0086】
一方、本出願において使用された用語「架橋環化合物(bridged bicyclic compound)」は別の説明がない限り、2つの環が3つ以上の原子を共有して環を形成した化合物をいう。この時、共有する原子は炭素またはヘテロ原子を含む。
【0087】
以下、本発明の実現例を詳しく説明する。ただし、これは例として提示されるもので、これにより本発明が制限されることではなく、本発明は後述する請求範囲の範疇により定義されるだけである。
【0088】
本発明の一実現例によるポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体を含むポジティブ感光性組成物は、半導体装置の絶縁膜、表面保護膜、再配線層;ディスプレイ装置の画素定義層(PDL)を製造する時に使用される。
【0089】
本発明の一実現例による半導体装置またはディスプレイ装置に適用するためのポジティブ感光性組成物の製造において、要求される特性を改善するために次のような添加剤を追加的にさらに含んでもよい。
【0090】
本発明の一実現例によって追加できる添加剤として、基材にコーティング時に塗膜の厚さを一定にするために表面平滑剤をさらに含んでもよい。基材表面の特性に応じて一定にコーティングをするために界面活性剤をさらに含んでもよく、基材表面との接着力を調節するためにシラン系カップリング剤をさらに含んでもよい。熱処理段階で高分子間の結合を強化するために架橋剤をさらに含んでもよい。
【0091】
ポジティブ型感光性組成物を構成する要素は以下の通りである。
【0092】
(1)ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体樹脂
本発明の一実施例によるパターニング用樹脂は、ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体を含んでもよい。
【0093】
前記ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体樹脂は、化学的または熱的処理によりベンゾオキサゾール系とポリイミド系共重合体に進行できるヒドロキシアミド系及びアミック酸系共重合体及び;化学的または熱的処理が進行されたベンゾオキサゾール系及びイミド系共重合体を含む樹脂をいう。
【0094】
前記ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体樹脂は、前記ポジティブ型感光性組成物総量に対して5重量%ないし50重量%、好ましくは10重量%ないし40重量%で含まれてもよい。
【0095】
前記ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体樹脂は下記化学式1-1ないし化学式1-4で表現される共重合体などがあるが、これに限定されるものではない。これらを単独または2種以上を組み合わせて使用することもできる。前記ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体樹脂の重量平均分子量は、5,000g/molないし40,000g/mol、好ましくは5,000g/molないし35,000g/mol、より好ましくは7,000g/molないし25,000g/molであってもよい。
【0096】
ポリベンゾオキサゾールまたはポリイミド系重合体は、下記化学式1-1;化学式1-2;化学式1-3;化学式1-4;または化学式1-1ないし1-4のうち2種以上の組み合わせからなる群から選択される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0097】
【0098】
前記化学式1-1ないし化学式1-4において、
1)*は繰り返し単位で結合が連結される部分であり、
2)高分子末端の*は化学式Q-1ないしQ-10がアミド結合またはイミド結合で結合されている部分であり、
3)X1又はX2は下記化学式2であり、
4)YはC6~C30のアリーレン基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基;C6~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C1~C20のアルキレン基、C1~C20のシクロアルキレン基、C2~C20のアルケニレン基;C3~C20のシクロアルケニレン基;C2~C20のアルキニレン基;C3~C20のシクロアルキニレン基;化学式2;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
5)Zは、C6~C30のアリーレン基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基;C6~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C1~C20のアルキレン基、C1~C20のシクロアルキレン基、C2~C20のアルケニレン基;C3~C20のシクロアルケニレン基;C2~C20のアルキニレン基;C3~C20のシクロアルキニレン基;化学式3;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
6)k、l、m、nは1以上の整数であり、
【0099】
【0100】
7)高分子末端は、前記化学式Q-1ないしQ-10から選択された1種またはこれらの組み合わせからなる群から選択された化学式がアミドまたはイミド結合で結合されており、
【0101】
【0102】
前記化学式2において、
8)L1は単一結合、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2OCH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-C(C2H5)2-、-C(C3H7)2-、-C(C4H9)2-、-C(C5H11)2-、-C(C6H13)2-、-C(C5H10)-、-O-、-CH(CF3)-、-C(CF3)2-、-S-、-SO2-、Si(CH3)2-、-C(SiCH3)2、-C6H4-、-CO-、-NHCO-、-COO-からなる群から選択され、
9)R1ないしR10のうち2つは化学式1-1及び化学式1-2のアミド基との連結部位であり、
10)前記連結部位を除いた残りのR1ないしR10は、互いに独立的に水素;重水素;ヒドロキシ基;C6~C30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基;C6~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C1~C20のアルキル基;C2~C20のアルケニル基;C2~C20のアルキニル基;C1~C20のアルコキシ基;C6~C30のアリールオキシ基;フルオレニル基;カルボニル基;エーテル基;カルボキシル基;又はC1~C20のアルコキシカルボニル基であり、
11)L1が単一結合である場合、前記連結部位ではなく隣接したR1及びR10;及びR5及びR6は環を形成することができ、
【0103】
【0104】
前記化学式3において、
12)L2は単一結合、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2OCH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-C(C2H5)2-、-C(C3H7)2-、-C(C4H9)2-、-C(C5H11)2-、-C(C6H13)2-、-C(C5H10)-、-O-、-CH(CF3)-、-C(CF3)2-、-S-、-SO2-、Si(CH3)2-、-C(SiCH3)2、-C6H4-、-CO-、-NHCO-、-COO-からなる群から選択され、
13)R11ないしR20のうち2つは化学式1-1及び化学式1-2のアミド基との連結部位であり、
14)前記連結部位を除いた残りのR11ないしR20は、互いに独立的に水素;重水素;ヒドロキシ基;C6~C30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基;C6~C30の脂肪族環と芳香族環の融合環基;C1~C20のアルキル基;C2~C20のアルケニル基;C2~C20のアルキニル基;C1~C20のアルコキシ基;C6~C30のアリールオキシ基;フルオレニル基;カルボニル基;エーテル基;カルボキシル基;又はC1~C20のアルコキシカルボニル基であり、但し、前記連結部位を除いた残りR11ないしR20のうち2つはカルボキシル基であり、
15)L2が単一結合である場合、前記連結部位ではなく隣接したR11及びR20;及びR15及びR16は環を形成することができる。
【0105】
前記樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、現像時に露光層の残渣が残留せず、非露光層の膜厚の損失を最小化し、良好なパターンを得ることができる。前記樹脂は前記感光性樹脂組成物総量に対して5ないし50重量%、より好ましくは10ないし45重量%で含まれてもよい。前記樹脂が前記範囲内に含まれる場合、コーティング段階で一定の膜厚を得ることができ、優れた感度、現像性及び付着性(密着性)を得ることができる。
【0106】
(2)感光剤
フォトリソグラフィでポジティブパターンを実現するためには、光ラジカル開始剤を使用しなければならない。前記感光剤はg-line(436nm)、h-line(405nm)、i-line(365nm)、Deep UV(<260nm)などの使われる波長に応じて適切な構造を選択してそれぞれまたは混合して使用することができる。
【0107】
前記感光剤は、ポジティブ感光性組成物に一般的に使用される感光剤であって、例えば、感光性ジアゾキノン化合物などがあり、具体的には、フェノール化合物と下記化学式P-1ないし化学式P-8で表示される光感光性化合物を含んでもよく、R”の具体例としては、水素;重水素;1、2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸または1,2-ナフトキノン-ジアジド-4-スルホン酸がある。
【0108】
【0109】
前記P-1ないしP-8において、R”は水素;下記化学式S-1;または化学式S-2である。
【0110】
【0111】
前記化学式S-1及び化学式S-2において、*は連結部位を示す。
【0112】
前記感光剤は、組成物の総量に対して1ないし50重量%で含まれることが好ましい。
【0113】
(3)シラン系添加剤
前記ポジティブ感光性組成物は、塗布時に基板との密着性性能を改善するためにシラン系カップリング剤を含んでもよい。
【0114】
前記感光剤ポジティブ感光性組成物に一般的に使われるシラン系添加剤として、例えば、ビニル基、カルボキシル基、メタクリルオキシ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシラン系カップリング剤をさらに含んでもよく、具体的に、フェノール化合物と下記化学式T-1ないしT-2で表示されるシラン系添加剤が含まれてもよい。
【0115】
前記シラン系添加剤は、組成物の総量に対して0.001ないし10重量%で含まれることが好ましい。前記シラン系添加剤は組成物の総量に対して0.1ないし1重量%で含まれることがより好ましい。
【0116】
前記シラン系添加剤は、下記の化学式T-1;化学式T-2またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0117】
前記シラン系添加剤は、化学式T-1及び化学式T-2を良好両方とも含むことがより好ましい。
【0118】
【0119】
前記T-1ないしT-2において、
1)R21は、C6~C30のアリール基;O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基;C3~C30のシクロアルキル基;C2~C20のヘテロシクロアルキル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
2)R22ないしR23は、メトキシ基;エトキシ基;アセチル基;カルボキシル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
3)R24はC1~C10のアルキル基であり、
4)R25ないしR27は、メトキシ基、エトキシ基、アセチル基、カルボキシル基及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
5)Ar1~Ar2はC6~C30のアリール基、O、N、S、Si及びPのうち少なくとも1つのヘテロ原子を含むC2~C30のヘテロ環基、C3~C30のシクロアルキル基、C2~C20のヘテロシクロアルキル基から選択される。
【0120】
前記シラン系添加剤T-1は、下記化学式J-1ないしJ-15で表示される化合物を含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0121】
【0122】
前記シラン系添加剤T-2は、下記の化学式K-1ないしK-12で表示される構造を含んでもよいが、これに限定されない。
【0123】
【0124】
(4)溶媒
前記溶媒は、前記ベンゾオキサゾール系共重合体樹脂、前記感光剤及び前記顔料に常用性を有するが、反応しない物質が使用されてもよい。
【0125】
前記溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチルグリコールモノメチルエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類;2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがある。
【0126】
また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジへキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、オキサル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒も使用されることができる。
【0127】
前記溶媒のうち相溶性及び反応性を考慮して、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類を使用することができる。
【0128】
前記溶媒は、前記感光性組成物総量に対して残部量として含まれることができ、具体的には、50ないし95重量%で含まれる。前記溶媒が前記範囲内で含まれる場合、前記ポジティブ型感光性組成物が適切な粘度を有することによりパターン層の製造時の工程性に優れている。
【0129】
(5)その他の添加剤
前記ポジティブ感光性組成物は、塗布時にシミや斑点を防止し、レベリング性能を改善するために、また未現像による残渣の生成を防止するために、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;ビニル基または(メタ)アクリルオキシ基を含む表面平滑剤;界面活性剤;架橋剤などの添加剤をさらに含んでもよい。
【0130】
前記添加剤は、組成物の総量に対して0.001ないし10重量%で含まれることが好ましい。
【0131】
また、前記感光性組成物は、必要に応じてコーティング段階で膜厚を一定に形成するために表面平滑剤をさらに含んでもよい。
【0132】
前記表面平滑剤としては、DIC社のF-554(登録商標)、F-556(登録商標)、F-557(登録商標)、F-559(登録商標)、F-560(登録商標)、F-563(登録商標)、RS-72-K(登録商標)、R-40(登録商標)、R-41(登録商標)、R-43(登録商標)など;BASF社のEfka(登録商標)FL3740、Efka(登録商標)FL3741、Efka(登録商標)FL3745、Efka(登録商標)FL3770などの名称で市販されている表面平滑剤を使用してもよい。
【0133】
前記表面平滑剤は、感光性組成物100重量部に対して0.001重量部ないし5重量部で使用されてもよい。表面平滑剤が前記範囲内に含まれる場合、コーティングの均一性が確保され、膜厚が一定にコーティングされることができる。
【0134】
また、前記感光性組成物は、必要に応じてコーティング性向上及び欠点生成防止効果のために界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0135】
前記系界面活性剤としては、BM Chemie社のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など;大日本インキ化学工業(株)のメガファックF142D(登録商標)、メガファックF172(登録商標)、メガファックF173(登録商標)、メガファックF183(登録商標)など;住友スリーエム(株)のフロラードFC-135(登録商標)、フロラードFC-170C(登録商標)、フロラードFC-430(登録商標)、フロラードFC-431(登録商標)など;旭硝子(株)のサーフロンS-112(登録商標)、サーフロンS-113(登録商標)、サーフロンS-131、サーフロンS-141、サーフロンS-145など;ドレイシリコン(株)のSH-28PA(登録商標)、SH-190(登録商標)、SH-193(登録商標)、SZ-6032(登録商標)、SF-8428(登録商標)などの名称で市販されている界面活性剤を使用してもよい。
【0136】
前記界面活性剤は感光性組成物100重量部に対して0.001重量部ないし5重量部で使用されてもよい。界面活性剤が前記範囲内で含まれる場合、コーティング均一性が確保され、シミが発生せず、ガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れている。
【0137】
前記架橋剤としては、1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン、ジエチルスルフェート、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N'-メチレンビスアクリルアミドなどを使用してもよく、これらを単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0138】
前記架橋剤は、感光性組成物100重量部に対して0.001重量部ないし5重量部で使用されてもよい。架橋剤が前記の範囲内で含まれる場合、硬化塗膜の物性、例えば、引張強度などの機械的物性の適切な付与に有利である。
【0139】
また、ポジティブ感光性組成物に添加できる前記種類の添加剤に限定されず、前記感光性組成物は物性を阻害しない範囲内で組成物の使用目的に応じて適当な参加剤を選択して追加あるいは除外して製造することができる。
【0140】
本発明の実施例によるパターン層は、高いテーパアングルを有することができる。例えば、本発明の実施例によるパターン層は、テーパアングルが20度ないし40度であってもよい。
【0141】
以下、本発明に係る合成例及び実施例を具体的に記載するが、本発明の合成例及び実施例がこれに限定されるものではない。
【0142】
合成例1(ベンゾオキサゾール系共重合体樹脂合成)
250mlの3首丸底フラスコに攪拌機、窒素注入装置、滴加漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けて設置した後、窒素を充填し、N-メチルピロリドン(NMP)65.7gを充填し、2,2’-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン15gとピリジン0.52gを投入した後、攪拌して40℃に維持した。ここにフタル酸無水物0.910gをゆっくり投入した後、一定時間攪拌して溶解及び反応させた。以後、反応進行中のフラスコにNMP52.70gを追加した後、溶液の温度を5℃に維持して30分間攪拌した。その後、4,4’-オキシビスベンゾイルクロライド11.18gをゆっくり投入して溶解させ、12時間攪拌しながら反応させた。
【0143】
前記ポリヒドロキシアミド溶液を常温で1時間攪拌した後、これをメタノールで沈殿させ、沈殿した固形分を60℃で真空で12時間乾燥して21.13gの共重合ポリヒドロキシアミド粉末を得た。
【0144】
(製造例1)ポジティブ感光性組成物の製造
合成例1から得られたベンゾオキサゾール系共重合体樹脂14.881g、MIPHOTO TPD523を2.232g(美源商事社)、F-563(DIC社)0.015g、T-1又はT-2添加剤0.03gないし3.33g及び1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン1.0gをガンマ-ブチロラクトン32.5gと共に常温で12時間攪拌した。続いて、前記組成物を3回濾過して不純物を除去することで感光性組成物を製造した。
【0145】
下記の表1のような組成で感光性組成液を製造した。
【0146】
【0147】
前記ポジティブ感光性組成物を利用した試験片の製造方法は次の通りである。
【0148】
(1)塗布及びコーティング段階
実施例または比較例で製造された感光性組成物を、洗浄した10cm*10cmのガラス材質の基材にスピンコーターを利用して一定の厚さで塗布した後、VCD(vacuum chamber dry)を使用して溶媒の一部を除去することで塗膜を形成する。前記感光性組成物のコーティング厚さは、VCD後に11μmないし13μmになるように膜を形成する。
【0149】
(2)プリベーク段階
前記得られた塗膜内に含有している溶媒を除去するために、ホットプレート(hot plate)の上で100℃~140℃で50秒~200秒間加熱する。該当工程で一定量の溶媒を除去することにより、次の工程(露光)後の現像段階でも一定の厚さの塗膜を得ることができる。
【0150】
(3)露光段階
前記得られた塗膜に必要な一定の厚さを得るために露光機190nm~600nmの活性線、好ましくは、ghi-lineを有するメタルまたはLEDランプの光源を照射してパターンを形成することができる。照射される露光量は50~500mJ/cm2であり、形成されるパターンはポジティブタイプの9cm*1cmストラップ形態のパターンである。
【0151】
(4)現像段階
前記露光段階に続き、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)2.38wt%現像液を23±2℃で一定量基板に濡らして一定時間(分)待機して現像するパドル(puddle)方法で現像した後、超純水(DI water)を利用して水洗すれば、露光部分を溶解させて除去し、非露光部分だけを残存させて画像パターンを形成させ、残存塗膜の厚さは、9.0~11.0μmである。
【0152】
(5)後熱処理段階
前記現像により得られた画像パターンを得るために、オーブンで300~320℃で30分~120分間後熱処理(post baking)を行って得た塗膜を硬化させる。
【0153】
(6)密着性評価
前記製造工程による試験片にcross-cutを利用して100個の切断面を形成した後、NICHIBAN社の剥離用テープ(CT-24)を切断面の上に気泡が発生しないように貼る。テープ剥離は、(株)コアテックコリア製作品であるUTM(QM100S)設備を利用して90°ジグに固定した後、300mm/min速度の一定の力で剥離を行った。剥離テスト前に比べて剥離後の切断面の剥がれ数を測定し、密着性を確認した。
【0154】
(7)Taper angle測定
前記試験片後熱処理段階で得られた実施例及び比較例の試験片をそれぞれJEOL社の走査型電子顕微鏡であるJSM-IT800を利用してパターンの断面を測定してTaper angleを確認した。
【0155】
【0156】
前記表2に開示した現像テストの結果、実施例1ないし実施例8及び比較例1ないし2の全てが10μmのHoleマスクを使用してパターン実現の正確度を確認した結果、全て0.2μm以内の誤差でパターンが正確に実現されることを確認した。
【0157】
密着性評価の結果、前記表1の実施例1ないし実施例8は膜剥離が20個以下であり、比較例1ないし2は40個以上である。実施例1ないし実施例8と比較例1ないし2のTaper angleを比較すると、シラン添加剤の未含有の場合、Taper angleが低くなることが確認できる。従って、本発明によるシラン系添加剤が基材との密着力改善効果があることを確認し、シラン系添加剤の含量に応じてパターンのTaper angleに影響を及ぼすことを確認した。
【0158】
本発明は、前記実施例に限定されるのではなく、相異なる多様な形態で製造することができる。
【0159】
以上の説明は、本発明を例示的に説明したものに過ぎず、本発明に属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で多様な変形が可能である。
【0160】
従って、本明細書に開示された実施例は、本発明を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例により本発明の思想と範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は請求範囲により解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。