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特開2025-23864バイタルサインの検出システム及び検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023864
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】バイタルサインの検出システム及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/58 20060101AFI20250207BHJP
   G01S 13/536 20060101ALI20250207BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20250207BHJP
   G01S 13/56 20060101ALN20250207BHJP
【FI】
G01S13/58
G01S13/536
A61B5/113
G01S13/56
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024135478
(22)【出願日】2024-08-14
(31)【優先権主張番号】112129272
(32)【優先日】2023-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】520307104
【氏名又は名称】稜研科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TMY TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】張 書維
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲シュァン▼宏
【テーマコード(参考)】
4C038
5J070
【Fターム(参考)】
4C038PP01
4C038PP05
4C038PQ03
5J070AB15
5J070AB20
5J070AC01
5J070AC02
5J070AD05
5J070AE09
5J070AF03
5J070AH34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バイタルサインの検出システム及び検出方法を提供する。
【解決手段】方法は、第1のレーダを介して第1の無線周波数信号を送信し、第1の無線周波数信号に対応する第1のレーダ信号を受信することと;第1のレーダ信号に対して同相直交復調を実行し、第1の受信同相成分及び第1の受信直交成分を取得することと;第1の受信同相成分と第1のシンボルに対して第1の畳み込み演算を実行し、第1の畳み込み演算の第1の結果に対して第1の積和演算を実行し、第1の累積値を取得することと;第1の受信直交成分と第1のシンボルに対して第2の畳み込み演算を実行し、第2の畳み込み演算の第2の結果に対して第2の積和演算を実行し、第2の累積値を取得することと;第1の累積値と第2の累積値に基づいて、バイタルサインを生成することと、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力ビークルに適用されるバイタルサインの検出システムであって、
第1のレーダと、
前記第1のレーダに通信可能に接続されたサーバであって、
前記第1のレーダを介して第1の発信同相成分及び第1の発信直交成分を含む第1の無線周波数信号を送信し、前記第1の無線周波数信号に対応する第1のレーダ信号を受信することと、
前記第1のレーダ信号に対して同相直交復調を実行し、第1の受信同相成分及び第1の受信直交成分を取得することと、
前記第1の受信同相成分と前記第1の発信直交成分に対応する第1のシンボルに対して第1の畳み込み演算を実行し、前記第1の畳み込み演算の第1の結果に対して第1の積和演算を実行し、第1の累積値を取得することと、
前記第1の受信直交成分と前記第1の発信直交成分に対応する前記第1のシンボルに対して第2の畳み込み演算を実行し、前記第2の畳み込み演算の第2の結果に対して第2の積和演算を実行し、第2の累積値を取得することと、
前記第1の累積値と前記第2の累積値に基づいて、第1の処理信号を生成することと、
前記第1の処理信号に基づいて、前記第1のレーダに対応するバイタルサインを生成し、前記バイタルサインを出力することであって、前記第1の発信直交成分の前記第1のシンボルは、前記第1の発信同相成分の発信同相シンボルと直交し、前記第1のシンボルは平均値が0のシンボルであることと、
を実行するように構成された前記サーバと、を含む、検出システム。
【請求項2】
前記サーバに通信可能に接続された第2のレーダをさらに含み、
前記サーバは、
前記第2のレーダを介して第2の無線周波数信号を送信し、前記第2の無線周波数信号に対応する第2のレーダ信号を受信することと、
前記第2のレーダ信号に対して前処理を実行し、第2の処理信号を取得することと、
前記第1の処理信号及び前記第2の処理信号に基づいて、前記バイタルサインを生成することと、
をさらに実行するように構成される、請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記サーバは、
前記第1の処理信号の第1の電力成分が閾値より大きく、かつ前記第2の処理信号の第2の電力成分が前記閾値以下であることに応答して、前記第1の処理信号から前記第2の処理信号を減算し、前記第1のレーダに対応する前記バイタルサインを取得することと、
前記第1の電力成分が前記閾値以下であることに応答して、目標が存在しないと判断し、検出結果を生成することと、
をさらに実行するように構成される、請求項2に記載の検出システム。
【請求項4】
前記サーバは、
前記動力ビークルに通信可能に接続されてダッシュボード情報を取得し、前記ダッシュボード情報に基づいて、ルックアップテーブルをクエリして、振動周波数を取得することと、
前記振動周波数に基づいて前記第1の処理信号を処理し、前記バイタルサインを取得することと、
をさらに実行するように構成される、請求項1に記載の検出システム。
【請求項5】
前記ダッシュボード情報は、エンジン回転数を含む、
請求項4に記載の検出システム。
【請求項6】
前記第1の無線周波数信号の前記第1の発信直交成分の前記第1のシンボルは、前記第2の無線周波数信号の第2の発信直交成分の第2のシンボルと互いに直交する、
請求項2に記載の検出システム。
【請求項7】
前記第1の無線周波数信号及び前記第2の無線周波数信号は、直交周波数分割多重信号である、
請求項2に記載の検出システム。
【請求項8】
前記サーバは、
前記第1の結果に基づいて、第1の差分演算を実行し、第1の差分を取得することと、
前記第1の差分と前記第2の累積値との比を算出して、前記第1の処理信号を生成することと、
をさらに実行するように構成される、請求項1に記載の検出システム。
【請求項9】
前記サーバは、
前記第1のレーダ信号に対してローパスフィルタリングを実行し、前記第1の処理信号を取得すること、
をさらに実行するように構成される、請求項1に記載の検出システム。
【請求項10】
前記バイタルサインは、位置の変化を示す経時変化信号を含む、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項11】
動力ビークルに適用されるバイタルサインの検出方法であって、
第1のレーダを介して第1の発信同相成分及び第1の発信直交成分を含む第1の無線周波数信号を送信し、前記第1の無線周波数信号に対応する第1のレーダ信号を受信することと、
前記第1のレーダ信号に対して同相直交復調を実行し、第1の受信同相成分及び第1の受信直交成分を取得することと、
前記第1の受信同相成分と前記第1の発信直交成分に対応する第1のシンボルに対して第1の畳み込み演算を実行し、前記第1の畳み込み演算の第1の結果に対して第1の積和演算を実行し、第1の累積値を取得することと、
前記第1の受信直交成分と前記第1の発信直交成分に対応する前記第1のシンボルに対して第2の畳み込み演算を実行し、前記第2の畳み込み演算の第2の結果に対して第2の積和演算を実行し、第2の累積値を取得することと、
前記第1の累積値と前記第2の累積値に基づいて、第1の処理信号を生成することと、
前記第1の処理信号に基づいて、前記第1のレーダに対応するバイタルサインを生成し、前記バイタルサインを出力することであって、前記第1の発信直交成分の前記第1のシンボルは、前記第1の発信同相成分の発信同相シンボルと直交し、前記第1のシンボルは平均値が0のシンボルであることと、
を含む、検出方法。
【請求項12】
第2のレーダを介して第2の無線周波数信号を送信し、前記第2の無線周波数信号に対応する第2のレーダ信号を受信することと、
前記第2のレーダ信号に対して前処理を実行し、第2の処理信号を取得することと、
前記第1の処理信号及び前記第2の処理信号に基づいて、前記バイタルサインを生成することと、
をさらに含む、請求項11に記載の検出方法。
【請求項13】
前記第1の処理信号の第1の電力成分が閾値より大きく、かつ前記第2の処理信号の第2の電力成分が前記閾値以下であることに応答して、前記第1の処理信号から前記第2の処理信号を減算し、前記第1のレーダに対応する前記バイタルサインを取得することと、
前記第1の電力成分が前記閾値以下であることに応答して、目標が存在しないと判断し、検出結果を生成することと、
をさらに含む、請求項12に記載の検出方法。
【請求項14】
前記動力ビークルからダッシュボード情報を取得し、前記ダッシュボード情報に基づいて、ルックアップテーブルをクエリして、振動周波数を取得することと、
前記振動周波数に基づいて前記第1の処理信号を処理し、前記バイタルサインを取得することと、
をさらに含む、請求項11に記載の検出方法。
【請求項15】
前記ダッシュボード情報は、エンジン回転数を含む、
請求項14に記載の検出方法。
【請求項16】
前記第1の無線周波数信号の前記第1の発信直交成分の前記第1のシンボルは、前記第2の無線周波数信号の第2の発信直交成分の第2のシンボルと互いに直交する、
請求項12に記載の検出方法。
【請求項17】
前記第1の無線周波数信号及び前記第2の無線周波数信号は、直交周波数分割多重信号である、
請求項12に記載の検出方法。
【請求項18】
前記第1の累積値と前記第2の累積値に基づいて、前記第1の処理信号を生成する工程は、
前記第1の結果に基づいて、第1の差分演算を実行し、第1の差分を取得することと、
前記第1の差分と前記第2の累積値との比を算出して、前記第1の処理信号を生成することと、
を含む、請求項11に記載の検出方法。
【請求項19】
前記第1のレーダ信号に対してローパスフィルタリングを実行し、前記第1の処理信号を取得することをさらに含む、
請求項11に記載の検出方法。
【請求項20】
前記バイタルサインは、位置の変化を示す経時変化信号を含む、
請求項11に記載の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出システム及び検出方法に関し、特に、バイタルサインの検出システム及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイタルサイン検出技術は、ヘルスケア、運転監視、在宅ケアなどの分野で使用することができる。従来のバイタルサイン監視システムは、ウェアラブルデバイスを通じて被験者のバイタルサインを測定することができるが、ウェアラブルデバイスは被験者に不快感を与える可能性がある。被験者の不快感を軽減するために、現在の監視システムは、無線周波数信号を使用して被験者のバイタルサインを測定するように改良されている。しかしながら、無線高周波信号を使用して測定されるバイタルサインは、局部発振器(local oscillator,LO)の不具合、同相直交位相(in-phase and quadrature,IQ)の偏差、IQゲインの不一致又は周波数の不一致などの要因の影響を受け、歪みが生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、動力ビークル内の被験者のバイタルサインを非接触な方法で検出することができる、バイタルサインの検出システム及び検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の動力ビークルに適用されるバイタルサインの検出システムは、第1のレーダと、サーバと、を備える。サーバは、第1のレーダに通信可能に接続され、第1のレーダを介して第1の無線周波数信号を送信し、第1の無線周波数信号に対応する第1のレーダ信号を受信することであって、第1の無線周波数信号は、第1の発信同相成分及び第1の発信直交成分を含むことと;第1のレーダ信号に対して同相直交復調を実行し、第1の受信同相成分及び第1の受信直交成分を取得することと;第1の受信同相成分と第1の発信直交成分に対応する第1のシンボルに対して、第1の畳み込み演算を実行し、第1の畳み込み演算の第1の結果に対して第1の積和演算を実行し、第1の累積値を取得することと;第1の受信直交成分と第1の発信直交成分に対応する第1のシンボルに対して、第2の畳み込み演算を実行し、第2の畳み込み演算の第2の結果に対して第2の積和演算を実行し、第2の累積値を取得することと;第1の累積値と第2の累積値に基づいて、第1の処理信号を生成することと;第1の処理信号に基づいて、第1のレーダに対応するバイタルサインを生成し、バイタルサインを出力することであって、第1の発信直交成分の第1のシンボルは、第1の発信同相成分の発信同相シンボルと直交し、第1のシンボルは平均値が0のシンボルであることと、ことを実行するように構成される。
【0005】
本発明の一実施形態において、上記検出システムは、第2のレーダをさらに含む。第2のレーダは、サーバに通信可能に接続され、サーバは、第2のレーダを介して第2の無線周波数信号を送信し、第2の無線周波数信号に対応する第2のレーダ信号を受信することと;第2のレーダ信号に対して前処理を実行し、第2の処理信号を取得することと;第1の処理信号及び第2の処理信号に基づいて、バイタルサインを生成することと、をさらに実行するように構成される。
【0006】
本発明の一実施形態において、上記サーバは、第1の処理信号の第1の電力成分が閾値より大きく、かつ第2の処理信号の第2の電力成分が閾値以下であることに応答して、第1の処理信号から第2の処理信号を減算し、第1のレーダに対応するバイタルサインを取得することと、をさらに実行するように構成される。
【0007】
本発明の一実施形態において、上記サーバは、動力ビークルに通信可能に接続されてダッシュボード情報を取得し、ダッシュボード情報に基づいて、ルックアップテーブルをクエリして、振動周波数を取得することと;振動周波数に基づいて第1の処理信号を処理し、バイタルサインを取得することと、をさらに実行するように構成される。
【0008】
本発明の一実施形態において、上記ダッシュボード情報は、エンジン回転数を含む。
【0009】
本発明の一実施形態において、上記第1の無線周波数信号の第1の発信直交成分の第1のシンボルは、第2の無線周波数信号の第2の発信直交成分の第2のシンボルと互いに直交する。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記第1の無線周波数信号及び第2の無線周波数信号は、直交周波数分割多重信号である。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記サーバは、第1の結果に基づいて、第1の差分演算を実行し、第1の差分を取得することと;第1の差分と第2の累積値との比を算出して、第1の処理信号を生成することと、をさらに実行するように構成される。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記サーバは、第1のレーダ信号に対してローパスフィルタリングを実行し、第1の処理信号を取得することと、をさらに実行するように構成される。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記バイタルサインは、位置の変化を示す経時変化信号を含む。
【0014】
本発明の動力ビークルに適用されるバイタルサインの検出方法は、第1のレーダを介して第1の無線周波数信号を送信し、第1の無線周波数信号に対応する第1のレーダ信号を受信することであって、第1の無線周波数信号は、第1の発信同相成分及び第1の発信直交成分を含むことと;第1のレーダ信号に対して同相直交復調を実行し、第1の受信同相成分及び第1の受信直交成分を取得することと;第1の受信同相成分と第1の発信直交成分に対応する第1のシンボルに対して、第1の畳み込み演算を実行し、第1の畳み込み演算の第1の結果に対して第1の積和演算を実行し、第1の累積値を取得することと;第1の受信直交成分と第1の発信直交成分に対応する第1のシンボルに対して、第2の畳み込み演算を実行し、第2の畳み込み演算の第2の結果に対して第2の積和演算を実行し、第2の累積値を取得することと;第1の累積値と第2の累積値に基づいて、第1の処理信号を生成することと;第1の処理信号に基づいて、第1のレーダに対応するバイタルサインを生成し、バイタルサインを出力することであって、第1の発信直交成分の第1のシンボルは、第1の発信同相成分の発信同相シンボルと直交し、第1のシンボルは平均値が0のシンボルであることと、ことを含む。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記検出方法は、第2のレーダを介して第2の無線周波数信号を送信し、第2の無線周波数信号に対応する第2のレーダ信号を受信することと;第2のレーダ信号に対して前処理を実行し、第2の処理信号を取得する;第1の処理信号及び第2の処理信号に基づいて、バイタルサインを生成することと、をさらに含む。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記検出方法は、第1の処理信号の第1の電力成分が閾値より大きく、かつ第2の処理信号の第2の電力成分が閾値以下であることに応答して、第1の処理信号から第2の処理信号を減算し、第1のレーダに対応するバイタルサインを取得することをさらに含む。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記検出方法は、動力ビークルからダッシュボード情報を取得し、ダッシュボード情報に基づいて、ルックアップテーブルをクエリして、振動周波数を取得することと;振動周波数に基づいて第1の処理信号を処理し、バイタルサインを取得することと、をさらに含む。
【0018】
本発明の一実施形態において、上記ダッシュボード情報は、エンジン回転数を含む。
【0019】
本発明の一実施形態において、上記第1の無線周波数信号の第1の発信直交成分の第1のシンボルは、第2の無線周波数信号の第2の発信直交成分の第2のシンボルと互いに直交する。
【0020】
本発明の一実施形態において、上記第1の無線周波数信号及び第2の無線周波数信号は、直交周波数分割多重信号である。
【0021】
本発明の一実施形態において、上記第1の累積値と第2の累積値に基づいて、第1の処理信号を生成する工程は、第1の結果に基づいて、第1の差分演算を実行し、第1の差分を取得することと;第1の差分と第2の累積値との比を算出して、第1の処理信号を生成することと、を含む。
【0022】
本発明の一実施形態において、上記検出方法は、第1のレーダ信号に対してローパスフィルタリングを実行し、第1の処理信号を取得すること、をさらに含む。
【0023】
本発明の一実施形態において、上記バイタルサインは、位置の変化を示す経時変化信号を含む。
【発明の効果】
【0024】
以上に基づいて、本発明の検出システムは、レーダが不安定な環境において検出されるバイタルサインの精度を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係るバイタルサインの検出システムの概略図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る動力ビークルの概略図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る動力ビークルの概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係るバイタルサインの検出方法のフロー図である。
図4】本発明の一実施形態に係るレーダの送信回路の回路図である。
図5】本発明の一実施形態に係るレーダの受信回路の回路図である。
図6】本発明の一実施形態に係るバイタルサインの検出方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の内容を理解しやすくするために、以下に本発明を実施することができる実施形態を例示する。さらに、可能な限り、図面及び実施形態において同じ符号を有する要素/構成要素/ステップは、同一または類似の部分を表す。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係るバイタルサインの検出システム10の概略図である。検出システム10は、サーバ100と、サーバ100に通信可能に接続されたi個のレーダを含んで良く、ここで、iは任意の正の整数である。以下の記載では、Nは4であり、i個のレーダは、レーダ210、レーダ220、レーダ230及びレーダ240を含んで良いと仮定する。レーダ210、レーダ220、レーダ230又はレーダ240は、同一又は類似の構造又は機能を有していて良い。検出システム10は、目標のバイタルサインを検出するために用いることができ、ここで、バイタルサインは呼吸又は心拍を含むが、これに限定されるものではない。
【0028】
サーバ100は、プロセッサ110、記憶媒体120及び送受信機130を含んで良い。プロセッサ110は、例えば、中央処理装置(central processing unit,CPU)、又はその他のプログラム可能な汎用または専用マイクロ制御装置(micro control unit,MCU)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor,DSP)、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit,ASIC)、グラフィックス処理装置(graphics processing unit,GPU)、画像信号プロセッサ(image signal processor,ISP)、画像処理ユニット(image processing unit,IPU)、算術論理ユニット(arithmetic logic unit,ALU)、複合プログラマブルロジック装置(complex programmable logic device,CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array,FPGA)、又は類似のコンポーネント又は上記コンポーネントの組み合わせである。プロセッサ110は、記憶媒体120及び送受信機130に接続され、記憶媒体120に記憶されている複数のモジュール及び各種アプリケーションプログラムにアクセスして実行することができる。
【0029】
記憶媒体120は、例えば任意の種類の固定型または移動可能なランダムアクセスメモリ(random access memory,RAM)、読み取り専用メモリ(read-only memory,ROM)、フラッシュメモリ(flash memory)、ハードディスク(hard disk drive,HDD)、ソリッドステートドライブ(solid state drive,SSD)、又はプロセッサ110により実行できる複数のモジュール又は各種アプリケーションプログラムを保存可能な、類似のコンポーネント又は上記コンポーネントの組み合わせである。
【0030】
送受信機130は、無線または有線で信号を送信又は受信する。送受信機130はさらに、例えば、低雑音増幅、インピーダンス整合、周波数混合、アップ又はダウン周波数変換、フィルタリング、増幅及びその他類似の動作を実行することもできる。
【0031】
レーダ210は、送信回路211及び受信回路212を含んで良い。レーダ210は、送信回路211を介して目標に無線周波数信号を送信することができ、受信回路212を介して上記無線周波数信号に対応するレーダ信号(即ち:目標に送信された無線周波数信号の反射信号)を受信することができる。レーダ220、レーダ230又はレーダ240は、レーダ210と同一又は類似の構造又は機能を有していて良い。
【0032】
レーダは、動力ビークルに配置されて、動力ビークル内の目標に対して無線信号を発信及び受信することができる。検出システム10が複数のレーダを含む場合、複数のレーダは、複数の異なる目標をそれぞれ検出するように構成することができる。図2A及び2Bは、本発明の一実施形態に係る動力ビークル500の概略図である。レーダ210、レーダ220、レーダ230及びレーダ240は、動力ビークル500における異なる位置にそれぞれ配置されて良い。図2Aを例にとると、レーダ210は、ダッシュボード又はフロントガラスの上縁(即ち:フロントガラスとルーフの接合部)に配置されて、座席31(即ち:運転席)上の目標(例えば:目標311)を検出することができ、レーダ220は、フロントガラスの上縁に配置されて、座席32(即ち:助手席)上の目標(例えば:目標321)を検出することができ、レーダ230は、運転席の背面に配置されて、座席33上の目標を検出することができ、さらに、レーダ240は、助手席の背面に配置されて、座席34上の目標を検出することができる。動力ビークルにおけるレーダの配置は、実際の必要性に応じて決定し、本発明はこれを限定するものではない。例えば検出する必要がある後部座席の乗員が後ろ向きの安全シートに座っている幼児又は乳児である場合、このうちの1つ又は複数のレーダは、図2Bで表されるように、レーダ240及び安全シート341などの安全シートに面して、動力ビークル車室の後部座席の位置上方のルーフ又は後部車両の窓の上縁に配置されて良い。
【0033】
一実施形態において、検出システム10の複数のレーダは、動力ビークル500におけるミラー位置にそれぞれ配置されて良い。例えば、レーダ210及びレーダ220は、動力ビークル500の縦方向中心線510の相対位置にそれぞれ配置されて良く、レーダ230及びレーダ240は、動力ビークル500の縦方向中心線510の相対位置にそれぞれ配置されて良く、レーダ210及びレーダ230は、動力ビークル500の横方向中心線520の相対位置にそれぞれ配置されて良く、レーダ220及びレーダ240は、動力ビークル500の横方向中心線520の相対位置にそれぞれ配置されて良い。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態に係るバイタルサインの検出方法のフロー図であり、ここで、上記方法は、図1で表される検出システム10により実施することができる。工程S301において、サーバ100は、レーダ210(及び/又はレーダ220、230又は240)を介して無線周波数信号を送信し、無線周波数信号に対応するレーダ信号を受信する。無線周波数信号は、発信同相成分(in-phase component)及び発信直交成分(quadrature component)を含んで良く、レーダ信号は、受信同相成分及び受信直交成分を含んで良い。
【0035】
一実施形態において、異なるレーダによって発せられる無線周波数信号の発信直交成分のシンボルは互いに直交して良く、つまり、異なる無線周波数信号の発信直交成分のシンボルの内積は0であって良い。また、発信直交成分のシンボルの平均値は0であって良い。例えば、レーダ210によって発せられる無線周波数信号の発信直交成分のシンボルが、周期的に繰り返される配列[1 1 1 1 1 1 1 1]であると仮定すると、レーダ220によって発せられる無線周波数信号の発信直交成分のシンボルは、周期的に繰り返される配列[1 1 1 1 -1 -1 -1 -1]であって良く、レーダ230によって発せられる無線周波数信号の発信直交成分のシンボルは、周期的に繰り返される配列[1 1 -1 -1 1 1 -1 -1]であって良く、さらに、レーダ240によって発せられる無線周波数信号の発信直交成分のシンボルは、周期的に繰り返される配列[1 -1 1 -1 1 -1 1 -1]であって良い。配列[1 1 1 1 1 1 1 1]、配列[1 1 1 1 -1 -1 -1 -1]、配列[1 1 -1 -1 1 1 -1 -1]及び配列[1 -1 1 -1 1 -1 1 -1]のうちの任意の2つの内積は0に等しい。また、配列[1 1 1 1 1 1 1 1]、配列[1 1 1 1 -1 -1 -1 -1]、配列[1 1 -1 -1 1 1 -1 -1]及び配列[1 -1 1 -1 1 -1 1 -1]のそれぞれの平均値は0に等しい。したがって、レーダ210、レーダ220、レーダ230及びレーダ240は互いに干渉しない。
【0036】
図4は、本発明の一実施形態に係るレーダの送信回路の回路図である。なお、図4では、レーダ210の送信回路211及びレーダ220の送信回路221(図1に図示されず)が同一の回路で実現されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、レーダ210の送信回路211及びレーダ220の送信回路221は、也互いに独立した別の回路で実現することもできる。
【0037】
送信回路211は、位相同期ループ回路41、分周器42、ミキサ43、移相器44、ミキサ45及び加算器46を含んで良い。位相同期ループ回路41の入力端子は、信号源に接続されて信号S1を受信することができる。分周器42の入力端子は、位相同期ループ回路41の出力端子に接続されて良く、分周器42の出力端子は、位相同期ループ回路41の入力端子に接続されて良い。位相同期ループ回路41が出力する信号の周波数は、信号S1の周波数のj倍であって良く、ここで、jは正の整数である。
【0038】
ミキサ43の2つの入力端子は、高電位の電圧源VDD及び位相同期ループ回路41の出力端子にそれぞれ接続されて良い。移相器44の入力端子は、位相同期ループ回路41の出力端子に接続されて良い。ミキサ45の2つの入力端子は、周期的に発振する信号S1の信号源及び移相器44の出力端子にそれぞれ接続されて良い。加算器46の2つの入力端子は、ミキサ43の出力端子及びミキサ45の出力端子にそれぞれ接続されて良い。一実施形態において、信号S1のシンボルは電圧源VDD代表のシンボルと互いに直交して良く、信号S1のシンボルの平均値は0であって良い。例えば、電圧源VDDを周期的に繰り返される配列[1 1]とみなすことができる場合、信号S1のシンボルを周期的に繰り返される配列[1 -1]とみなすことができる。
【0039】
加算器46の出力端子は、ハイパスフィルタ及びアンテナに接続されて良く、公式(1)に示すように、無線周波数信号VTX(t)を出力する。ここで、V(t)は、ミキサ43によって出力される発信同相成分の経時変化値(又は発信同相シンボルともいう)を示し、V(t)は、ミキサ45によって出力される発信直交成分の経時変化値(又は発信直交シンボルともいう)を示し、ωLOは、局部発振器の周波数を示す。V(t)とV(t)は互いに直交して良く、V(t)又はV(t)の平均値は0であって良い。
[式1]
【0040】
レーダ210を例にとると、レーダ210の送信回路211が目標に向けて無線周波数信号VTX(t)を送信した後、レーダ210の受信回路212は、公式(2)に示すように、無線周波数信号VTX(t)に対応するレーダ信号VRX(t)を受信することができる。ここで、αは、無線周波数信号VTX(t)の減衰を示し、φOBJは、反射に起因する位相差を示し、Dは、レーダ210と目標(例えば:座席31又は目標311)との間の距離を示す。公式(2)は公式(3)に近似して良い。ここで、dは、距離Dの固定部分(constant portion)を示して良く、d(t)は、距離Dの動的部分(moving portion)を示して良い。
[式2]
【0041】
一方、送信回路221は、位相同期ループ回路41、分周器42、分周器47、ミキサ48、移相器49、ミキサ50及び加算器51を含んで良い。位相同期ループ回路41の入力端子は、信号源に接続されて、信号S1を受信することができる。分周器42の入力端子は、位相同期ループ回路41の出力端子に接続されて良く、分周器42の出力端子は、位相同期ループ回路41の入力端子に接続されて良い。位相同期ループ回路41が出力する信号の周波数は、信号S1の周波数のM倍であって良く、ここで、Mは正の整数である。分周器43の入力端子は、信号源に接続されて、接收信号S1を受信することができる。さらに、分周器47の出力端子が出力する信号の周波数は、信号S1の周波数の0.5倍であって良い。例えば、信号S1のシンボルが周期的に繰り返される配列[1 -1]である場合、分周器47が出力する信号のシンボルは、周期的に繰り返される配列[1 1 -1 -1]であって良い。
【0042】
ミキサ48の2つの入力端子は、高電位の電圧源VDD及び位相同期ループ回路41の出力端子にそれぞれ接続されて良い。移相器49の入力端子は、位相同期ループ回路41の出力端子に接続されて良い。ミキサ50の2つの入力端子は、分周器47の出力端子及び移相器49の出力端子にそれぞれ接続されて良い。加算器51の2つの入力端子は、ミキサ48の出力端子及びミキサ50の出力端子にそれぞれ接続されて良い。加算器51の出力端子は、ハイパスフィルタ及びアンテナに接続されて、無線周波数信号を出力することができる。
【0043】
図3に戻り、工程S302において、検出システム10は、レーダ210(及び/又はレーダ220、レーダ230及びレーダ240)のレーダ信号に対して前処理を実行し、処理信号を取得することができる。
【0044】
一実施形態において、サーバ100のプロセッサ110は、レーダ信号に対して前処理を実行し、処理信号を取得することができる。レーダ210により受信されるレーダ信号VRX(t)を例にとると、まず、プロセッサ110は、レーダ信号VRX(t)に対して同相直交復調(IQ-demodulation)を実行し、公式(4)及び公式(5)に示されるように、受信同相成分IRX(t)及び受信直交成分QRX(t)を取得することができる。ここで、Vは、V(t)に対応する固有直流バイアス(inherent DC bias)を示し、Vは、V(t)に対応する固有直流バイアスを示し、Aは、同相成分に対応する受信チャネルのゲインを示し、Aは、直交成分に対応する受信チャネルのゲインを示し、さらに、φは、受信回路212の局部発振器とレーダ信号VRX(t)との間の不一致(non-coherence)に起因する位相差を示す。VとVは互いに直交して良い。例えば、Vが周期的に繰り返される配列[1 1 1 1]である場合、Vは、周期的に繰り返される配列[1 -1 1 -1]であって良い。
[式3]
【0045】
次いで、プロセッサ110は、公式(6)に示されるように、受信同相成分IRX(t)及びV(t)に対して畳み込み演算を実行し、畳み込み演算の演算結果に対して積和演算(multiply accumulate,MAC)を実行して、累積値IRX(n)を取得することができる。ここで、T代表シンボル改變的時間間隔。例えば、Vが配列[1 -1]である場合、Vの値は、時間間隔T後に「1」から「-1」に変化する。一方、プロセッサ110は、公式(7)に示されるように、受信直交成分QRX(t)及びV(t)に対して畳み込み演算を実行し、畳み込み演算の演算結果に対して積和演算を実行して、累積値QRX(n)を取得することができる。
[式4]
【0046】
その後、プロセッサ110は、公式(8)に示されるように、受信同相成分IRX(t)及びV(t)の畳み込み演算の演算結果に対して差分演算(例えば:移動差分(moving difference)演算)を実行し、差分ΔIRX(n)を取得することができる。一方、プロセッサ110は、公式(9)に示されるように、受信直交成分QRX(t)及びV(t)の畳み込み演算の演算結果に対して差分演算(例えば:移動差分演算)を実行して、差分ΔQRX(n)を取得することができる。
[式5]
【0047】
プロセッサ110は、公式(10)に示されるように、差分ΔIRX(n)と累積値QRX(n)の比を算出することができる。プロセッサ110は、公式(11)に示されるように、差分ΔQRX(n)と累積値IRX(n)の比を算出することができる。プロセッサ110は、公式(10)、公式(11)又はその積の公式(12)を処理して、処理信号PS1を生成することができる。
[式6]
【0048】
前掲のように、公式(10)又は公式(11)は、実質的に、目標とレーダの距離の経時変化率(又はレート)である。公式(10)を時系列に累積するか、公式(11)を時系列に累積して、レーダに対する目標の距離と時間の関係を求め、累積完了後に得られる値を処理信号PS1とすることができる。また、公式(12)の絶対値の平方根を時系列に累積することにより、レーダに対する目標の距離と時間との関係を求めることもできる。公式(12)を用いて、さらに公式(10)又は公式(11)中のA(即ち:同相成分に対応する受信チャネルのゲイン)とA(即ち:直交成分に対応する受信チャネルのゲイン)を除去することにより、解決Aの変化率(即ち:Aの経時変化の程度)とAの変化率(即ち:Aの経時変化の程度)の不一致の問題を解決することができる。
【0049】
プロセッサ110は、レーダ210に対応する処理信号PS1を生成するのと類似の方法に基づいて、レーダ220、レーダ230及びレーダ240にそれぞれ対応する処理信号PS2、処理信号PS3及び処理信号PS4を生成することができる。
【0050】
一実施形態において、プロセッサ110がレーダ信号に対して前処理を実行している間、プロセッサ110は、レーダ信号に対してローパスフィルタリングを実行し、心拍又は呼吸に関係のない信号(例えば:動力ビークル500の震動に起因する雑音)を除去して、処理信号を取得することができる。例えば、プロセッサ110は、X個のサンプリング点の移動平均フィルタリング(moving average filtering)をレーダ信号に適用して、処理信号を取得することができる。プロセッサ110は、3dB周波数=5Hz;ゼロ周波数=12Hz;及びサンプリング周波数=12*XHzの設計パラメータに基づいて、移動平均フィルタリングを実行することができる。
【0051】
一実施形態において、レーダの受信回路は、レーダ信号に対して前処理を実行し、処理信号を取得することができる。レーダ210を例にとると、図5は、本発明の一実施形態に係るレーダ210の受信回路212の回路図である。受信回路212は、レーダ信号VRX(t)に対して前処理を実行し、処理信号を取得することができる。受信回路212は、位相同期ループ回路61、分周器62、ミキサ63、移相器64、ミキサ65、ローパスフィルタ66、ローパスフィルタ67、ミキサ68、ミキサ69、アナログデジタル変換器70、アナログデジタル変換器71、シリアルインパラレルアウト(serial-in parallel-out,SIPO)のシフトレジスタ72、シリアルインパラレルアウトのシフトレジスタ73、加算器74、加算器75、減算器76及び減算器77を含んで良い。
【0052】
位相同期ループ回路61の入力端子は、信号源に接続されて、周期的に発振する信号S2を受信することができる。一実施形態において、信号S2のシンボルは、無線周波数信号VTX(t)の発信直交成分のシンボル(即ち:V)と同一であって良い。分周器62の入力端子は、位相同期ループ回路61の出力端子に接続されて良く、分周器62の出力端子は、位相同期ループ回路61の入力端子に接続されて良い。位相同期ループ回路61が出力する信号の周波数は、信号S2の周波数のj倍であって良く、ここで、jは正の整数である。
【0053】
ミキサ63の2つの入力端子は、位相同期ループ回路61の出力端子及びレーダ信号VRX(t)の信号源(例えば:受信回路212のアンテナ部)にそれぞれ接続されて良い。ミキサ63の出力端子は、ローパスフィルタ66の入力端子に接続されて良い。移相器64の入力端子は、位相同期ループ回路61の出力端子に接続されて良い。ミキサ65の2つの入力端子は、レーダ信号VRX(t)の信号源及び移相器64の出力端子にそれぞれ接続されて良い。ミキサ65の出力端子は、ローパスフィルタ67の入力端子に接続されて良い。レーダ信号VRX(t)がミキサ63及びローパスフィルタ66を通過した後、レーダ信号VRX(t)は、公式(4)で表される受信同相成分IRX(t)に変換されて良い。一方、レーダ信号VRX(t)がミキサ65及びローパスフィルタ67を通過した後、レーダ信号VRX(t)は、公式(5)で表される受信直交成分QRX(t)に変換されて良い。
【0054】
ミキサ68の2つの入力端子は、ローパスフィルタ66の出力端子及び信号S2の信号源にそれぞれ接続されて良く、ミキサ68の出力端子は、アナログデジタル変換器70の入力端子に接続されて良い。シフトレジスタ72の入力端子は、アナログデジタル変換器70の出力端子に接続されて良く、シフトレジスタ72の複数の出力端子は、加算器74に接続され、並列データを加算器74に出力することができる。受信回路212は、ミキサ68を介して受信同相成分IRX(t)とVに対して畳み込み演算を実行することができる。畳み込み演算の演算結果がアナログデジタル変換器70によりデジタル信号に変換された後、シフトレジスタ72及び加算器74は、演算結果に対して積和演算を実行し、公式(6)で表される累積値IRX(n)を取得することができる。一方、減算器76の2つの入力端子は、シフトレジスタ72の入力端子及びシフトレジスタ72の最後の出力端子(例えば:シフトレジスタ72の最終段の出力であり、ここで上記最終段に保存されたデータは、シフトレジスタ72に出力される前に最も長く遅延されたデータである)にそれぞれ接続されて良い。受信回路212は、減算器76を介して畳み込み演算の演算結果に対して差分演算を実行し、公式(8)で表される差分ΔIRX(n)を取得することができる。
【0055】
一方、ミキサ69の2つの入力端子は、ローパスフィルタ66の出力端子及び信号S2の信号源にそれぞれ接続されて良く、ミキサ69の出力端子は、アナログデジタル変換器71の入力端子に接続されて良い。シフトレジスタ73の入力端子は、アナログデジタル変換器71の出力端子に接続されて良く、シフトレジスタ73の複数の出力端子は、加算器75に接続されて、並列データを加算器75に出力することができる。受信回路212は、ミキサ69を介して受信直交成分QRX(t)とVに対して畳み込み演算を実行する。畳み込み演算の演算結果がアナログデジタル変換器71によりデジタル信号に変換された後、シフトレジスタ73及び加算器75は、演算結果に対して積和演算を実行し、公式(7)で表される累積値QRX(n)を取得することができる。一方、減算器77の2つの入力端子は、シフトレジスタ73の入力端子及びシフトレジスタ73の最後の出力端子(例えば:シフトレジスタ73の最終段の出力であり、ここで上記最終段に保存されたデータは、シフトレジスタ73に出力される前に最も長く遅延されたデータである)にそれぞれ接続されて良い。受信回路212は、減算器77を介して畳み込み演算の演算結果に対して差分演算を実行し、公式(9)で表される差分ΔQRX(n)を取得することができる。受信回路212は、減算器77を介して畳み込み演算の演算結果に対して差分演算を実行し、公式(9)で表される差分ΔQRX(n)を取得することができる。信号S2の週期は、アナログデジタル変換器70(又は71)のサンプリング週期の整数倍であって良く、シフトレジスタ72とシフトレジスタ73のビット数は、信号S2の週期とアナログデジタル変換器70(又は71)のサンプリング週期の比の整数倍であって良い。
【0056】
累積値IRX(n)、累積値QRX(n)、差分ΔIRX(n)及び差分ΔQRX(n)を取得した後、受信回路212(又はサーバ100)は、さらに累積値IRX(n)、累積値QRX(n)、差分ΔIRX(n)及び差分ΔQRX(n)に基づいて、公式(12)で表されるレーダ210の処理信号PS1を生成することができる。
【0057】
図3に戻り、工程S303において、プロセッサ110は、レーダ210の処理信号PS1の電力成分が閾値よりも大きいかどうかを判断することができる。ここで、電力成分は、特定の周波数範囲(例えば:呼吸又は心拍等のバイタルサインに関連する周波数範囲:0.25Hz~3Hz)における処理信号PS1の電力を含んで良い。電力成分が閾値よりも大きい場合、目標311がレーダ210によって検出された座席31に座っていることを示し、かつプロセッサ110は、工程S305を実行することができる。電力成分が閾値以下である場合、何の目標もレーダ210によって検出された座席31上に座っていないことを示し、かつプロセッサ110は、工程S304を実行することができる。例えば、プロセッサ110は、処理信号PS1に対して時間周波数変換(例えば:処理信号に対してフーリエ変換を実行)を実行し、処理信号PS1のスペクトルを生成し、スペクトルから特定の周波数範囲に対応する電力成分を取得することができる。プロセッサ110は、処理信号PS1の電力成分が閾値よりも大きいかどうかを判断することができる。処理信号PS1が閾値よりも大きい場合、レーダ210によって検出された座席31上には目標311が存在することを示す。処理信号PS1が閾値以下である場合、レーダ210によって検出された座席31上には何の目標も存在しないことを示す。類似の方法により、プロセッサ110は、レーダ220によって検出された座席32、レーダ230によって検出された座席33又はレーダ240によって検出された座席34には目標が存在するかどうかを判断することができる。
【0058】
工程S304において、プロセッサ110は、レーダ210によって検出された座席31上には目標が存在しないと判断して、検出結果を生成することができる。プロセッサ110は、送受信機130を介して検出結果を出力することができる。
【0059】
工程S305において、プロセッサ110は、処理信号PS1として使用できる基準信号が存在するかどうかを判断することができる。基準信号が存在する場合、工程S306に進む。基準信号が存在しない場合、工程S307に進む。基準信号は、例えば、その他のレーダ(レーダ210以外のその他のレーダ。例えば、レーダ220、レーダ230又はレーダ240など)に対応し、電力成分が閾値以下である処理信号を含む。図2を例にとると、レーダ220によって検出された座席32上には目標321が存在するため、レーダ220に対応する処理信号PS2の電力成分は閾値よりも大きくなる。一方、レーダ230によって検出された座席33又はレーダ240によって検出された座席34上には何の目標も存在しないため、レーダ230に対応する処理信号PS3の電力成分又はレーダ240に対応する処理信号PS4の電力成分は閾値以下になる。したがって、プロセッサ110は、処理信号PS3又は処理信号PS4を処理信号PS1の基準信号として使用することができ、処理信号PS2は処理信号PS1の基準信号として使用することができないと判断することができる。座席32、座席33及び座席34がいずれも目標によって占有されている場合、プロセッサ110は、処理信号PS1の基準信号は存在しないと判断することができる。
【0060】
工程S306において、プロセッサ110は、処理信号PS1から基準信号(例えば:レーダ230に対応する処理信号PS3)を減算し、レーダ210によって検出された目標311に対応するバイタルサインを取得することができる。ここで、バイタルサインは、目標311の位置変化(例えば:目標311の胸部の動き)を示す経時変化信号を含んで良い。プロセッサ110は、送受信機130を介してバイタルサインを出力することができる。
【0061】
工程S307において、プロセッサ110は、ルックアップテーブルに従って、レーダ210によって検出された目標311に対応するバイタルサインを取得することができる。プロセッサ110は、送受信機130を介して上記バイタルサインを出力することができる。
【0062】
具体的には、記憶媒体120は、動力ビークル500に対応するルックアップテーブルを予め保存することができる。ここで、ルックアップテーブルは、エンジン回転数と振動周波数のマッピング関係を記録することができる。例えば、ルックアップテーブルは、「動力ビークル500のエンジン回転数が600~1200毎分回転数(revolutions per minute,RPM)であるとき、動力ビークル500の振動周波数は10~20Hzである」と記録することができる。プロセッサ110は、送受信機130を介して動力ビークル500に通信可能に接続され、ダッシュボード情報を取得することができる。ここで、ダッシュボード情報は、動力ビークル500のエンジン回転数を含んで良い。プロセッサ110は、ダッシュボード情報に基づいて、記憶媒体120内のルックアップテーブルをクエリして、動力ビークル500の振動周波数を取得することができる。振動周波数を取得した後、プロセッサ110は、振動周波数に基づいてレーダ210の処理信号PS1を処理し、目標311のバイタルサインを取得することができる。例えば、プロセッサ110は、処理信号PS1に対してノッチフィルタ(notch filter)、ローパスフィルタ(lowpass filter)又はその他のデジタル信号処理フィルタ(digital signal processing filter,DSP filter)を適用し、処理信号PS1内の振動周波数を除去し、目標311のバイタルサインを取得することができる。ここで、デジタル信号処理フィルタのノッチ周波数(notch frequency)は、振動周波数の整数倍であって良い。
【0063】
一実施形態において、異なるレーダ(例えば、レーダ210、220、230、及び240)によって発せられる無線周波数信号は、直交周波数分割多重(orthogonal frequency division multiplexing,OFDM)信号である。
【0064】
図6は、本発明の一実施形態に係るバイタルサインの検出方法のフロー図である。ここで、上記検出方法は動力ビークルに適用され、図1で表される検出システム10により実施することができる。工程S601では、第1のレーダを介して第1の無線周波数信号を送信し、第1の無線周波数信号に対応する第1のレーダ信号を受信する。ここで、第1の無線周波数信号は、第1の発信同相成分及び第1の発信直交成分を含む。工程S602では、第1のレーダ信号に対して同相直交復調を実行し、第1の受信同相成分及び第1の受信直交成分を取得する。工程S603では、第1の受信同相成分と第1の発信直交成分に対応する第1のシンボルに対して、第1の畳み込み演算を実行し、第1の畳み込み演算の第1の結果に対して第1の積和演算を実行し、第1の累積値を取得する。工程S604では、第1の受信直交成分と第1の発信直交成分に対応する第1のシンボルに対して、第2の畳み込み演算を実行し、第2の畳み込み演算の第2の結果に対して第2の積和演算を実行し、第2の累積値を取得する。工程S605では、第1の累積値と第2の累積値に基づいて、第1の処理信号を生成する。工程S606では、第1の処理信号に基づいて、第1のレーダに対応するバイタルサインを生成し、バイタルサインを出力する。ここで、第1の発信直交成分の第1のシンボルは、第1の発信同相成分の発信同相シンボルと直交し、第1のシンボルは平均値が0のシンボルである。
【0065】
まとめると、本発明の検出システムは、レーダによって送信される無線周波数信号を介して、動力ビークルの座席を検出し、検出結果を取得することができる。レーダの送信回路は、と互いに直交するの2つのシンボルを利用して、無線周波数信号の発信同相成分及び発信直交成分を生成することができる。レーダの受信回路は、発信直交成分のシンボルを利用して、畳み込み演算及び積和演算等を含む工程を実行して、レーダ信号を処理し、処理信号を取得することができる。動力ビークル内に基準信号として使用できるその他の検出結果を取得したその他のレーダが存在する場合、検出システムは、比較処理信号及び基準信号を比較することで、被験者のバイタルサインを取得することができる。一方、検出システムはさらに、動力ビークルのダッシュボード情報に基づいて、ルックアップテーブルに従って、バイタルサインを取得することができる。従来の非接触方法によるバイタルサイン監視システムと比較して、本発明の検出システムは、不安定な環境において被験者のバイタルサインを正確に測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のバイタルサインの検出システム及び検出方法は、自動車等のビークルにおける関連用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
10:検出システム
100:サーバ
110:プロセッサ
120:記憶媒体
130:送受信機
210、220、230、240:レーダ
211、221:送信回路
212:受信回路
31、32、33、34:座席
311、321:目標
341:安全シート
41、61:位相同期ループ回路
42、47、62:分周器
43、45、48、50、63、65、68、69:ミキサ
44、49、64:移相器
46、51、74、75:加算器
500:動力ビークル
510:縦方向中心線
520:横方向中心線
66、67:ローパスフィルタ
70、71:アナログデジタル変換器
72、73:シフトレジスタ
76、77:減算器
S301、S302、S303、S304、S305、S306、S307、S601、S602、S603、S604、S605、S606:工程
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】