(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023886
(43)【公開日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ハット型ストリンガの補修
(51)【国際特許分類】
B64F 5/40 20170101AFI20250212BHJP
B64C 1/06 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
B64F5/40
B64C1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024096348
(22)【出願日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】18/358,854
(32)【優先日】2023-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スタール, レメルト エー.
(72)【発明者】
【氏名】オークス, ゲイリー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ルイス, アーン ケイ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ハット型ストリンガの補修方法を提供する。
【解決手段】この方法は、ハット型ストリンガの断面に沿った複数の可能な装着箇所のうちの1つである装着箇所に、補修用ストリンガを配置することを含む。複数の可能な装着箇所の各々において、補修用ストリンガの内側輪郭の少なくとも一部分が、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する。第1方向に沿って見たときの補修用ストリンガの断面積は、第1方向に沿って見たときのハット型ストリンガの合計断面積よりも小さい。方法は、装着箇所において、補修用ストリンガをハット型ストリンガのストリンガと連結することも含む。補修用ストリンガ、及び補修済みのハット型ストリンガも提示されている。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
ハット型ストリンガ(200)の断面に沿った複数の可能な装着箇所のうちの1つである装着箇所に、補修用ストリンガ(300、400)を配置すること(702)であって、前記複数の可能な装着箇所の各々において、前記補修用ストリンガ(300)の内側輪郭(308)の少なくとも一部分が、前記ハット型ストリンガ(200)によって画定された内部空洞(222)の輪郭(224)の少なくとも一部分に合致し、
第1方向(D1)に沿って見たときの前記補修用ストリンガ(300)の断面積は、前記第1方向(D1)に沿って見たときの前記ハット型ストリンガ(200)の合計断面積よりも小さい、補修用ストリンガ(300、400)を配置すること(702)と、
前記補修用ストリンガ(300)を、前記装着箇所において、前記ハット型ストリンガ(200)のストリンガ(210)と連結すること(704)と、
を含む、方法(700)。
【請求項2】
前記複数の可能な装着箇所の各々において、前記補修用ストリンガ(300)は、前記内部空洞(222)の前記輪郭(224)のウェブ部分(224A)に平行に延在するウェブセグメント(304)を有する、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項3】
前記複数の可能な装着箇所の各々において、前記補修用ストリンガ(300)は、前記内部空洞(222)のキャップ部分(224B)又は前記ストリンガ(210)のフランジセグメント(212)に平行に延在する少なくとも1つのセグメント(306、302)を有する、請求項2に記載の方法(700)。
【請求項4】
前記ハット型ストリンガ(200)は、前記ハット型ストリンガ(200)の第1の側(232)と第2の側(234)とを区分する中央平面(230)を画定し、前記複数の可能な装着箇所は、前記補修用ストリンガ(300)が主に前記ハット型ストリンガ(200)の前記第1の側(232)に位置付けられる、第1の可能な装着箇所、及び前記補修用ストリンガ(300)が主に前記ハット型ストリンガ(200)の前記第2の側(234)に位置付けられる、第2の可能な装着箇所を含む、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項5】
前記補修用ストリンガ(300)は、キャップセグメント(306)、フランジセグメント(302)、及び前記キャップセグメント(306)と前記フランジセグメント(302)との間に延在して前記キャップセグメント(306)と前記フランジセグメント(302)とを接続するウェブセグメント(304)を有し、前記補修用ストリンガ(300)が前記装着箇所に配置されると、前記補修用ストリンガ(300)の前記キャップセグメント(306)、前記ウェブセグメント(304)、及び前記フランジセグメント(302)はそれぞれ、前記ストリンガ(210)のキャップセグメント(216)、ウェブセグメント(214)、及びフランジセグメント(212)に平行に延在する、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項6】
前記補修用ストリンガ(300)が第1の補修用ストリンガ(300)であり、前記方法(700)が更に、
前記ハット型ストリンガ(200)の前記断面に沿ったある装着箇所に第2の補修用ストリンガ(310)を配置することであって、前記第2の補修用ストリンガ(310)は、前記内部空洞(222)の前記輪郭の少なくとも一部分に合致する内側輪郭(318)を有するように成形されている、第2の補修用ストリンガを配置することを含み、前記第2の補修用ストリンガ(310)のキャップセグメント(316)と前記第1の補修用ストリンガ(300)のキャップセグメント(306)とは、互いに物理的に重複し、それぞれ、前記内部空洞(222)の前記輪郭(224)のキャップ部分(224B)に平行に延在する、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項7】
前記第1の補修用ストリンガ(300)は、前記ストリンガ(210)の第1のウェブセグメント(214)と物理的に重複するウェブセグメント(304)を有し、前記第2の補修用ストリンガ(310)は、前記ストリンガ(210)の第2のウェブセグメント(218)と物理的に重複するウェブセグメント(314)を有する、請求項6に記載の方法(700)。
【請求項8】
前記第2の補修用ストリンガ(310)は、前記ストリンガ(210)の第2のフランジセグメント(220)に平行に延在するが前記ストリンガ(210)の前記第2のフランジセグメント(220)から隔たっている、フランジセグメント(312)を有し、前記方法(700)が更に、
前記第2のフランジセグメント(220)と前記第2の補修用ストリンガ(310)の前記フランジセグメント(312)との間に、一又は複数のシム(320)を配置することを含む、請求項7に記載の方法(700)。
【請求項9】
前記第2の補修用ストリンガ(310)は、前記第1方向(D1)に沿って見たときに、前記第1の補修用ストリンガ(300)と同じ断面形状を有する、請求項8に記載の方法(700)。
【請求項10】
前記方法(700)が、
前記ハット型ストリンガ(200)の前記断面に沿ったある装着箇所に第2の補修用ストリンガ(420)を配置することであって、前記第2の補修用ストリンガ(420)は、前記内部空洞(222)の前記輪郭(224)の少なくとも一部分に合致する内側輪郭(418)を有するように成形されている、第2の補修用ストリンガ(420)を配置することと、
前記ハット型ストリンガ(200)の前記断面に沿ったある装着箇所に第3の補修用ストリンガ(450)を配置することであって、前記第3の補修用ストリンガ(450)は、第1のウェブセグメント(454)と、キャップセグメント(456)と、第2のウェブセグメント(458)とを有する、第3の補修用ストリンガ(450)を配置することと、
を更に含み、
前記第1のウェブセグメント(454)は前記補修用ストリンガ(400)に連結され、前記キャップセグメント(456)は前記ストリンガ(210)に連結され、前記第2のウェブセグメント(458)は前記第2の補修用ストリンガ(420)に連結される、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項11】
前記ハット型ストリンガ(200)は、前記ハット型ストリンガ(200)の第1の側(232)と第2の側(234)とを区分する中央平面(230)を画定し、前記複数の可能な装着箇所は、少なくとも4つの可能な装着箇所を含み、前記少なくとも4つの可能な装着箇所は、前記補修用ストリンガが主に前記ハット型ストリンガ(200)の前記第1の側(232)に位置付けられることが可能な、少なくとも2つの可能な装着箇所と、前記補修用ストリンガが主に前記ハット型ストリンガ(200)の前記第2の側(234)に位置付けられることが可能な、少なくとも2つの可能な装着箇所とを含む、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項12】
前記補修用ストリンガが主に前記ハット型ストリンガ(200)の前記第1の側(232)に位置付けられることが可能な前記少なくとも2つの可能な装着箇所は、第1の装着箇所と第2の装着箇所とを含み、
前記第1の装着箇所において、前記補修用ストリンガ(300)の1つのセグメントは、前記ストリンガ(210)の第1のフランジセグメント(212)に平行に延在し、前記補修用ストリンガ(300)のまた1つのセグメント(304)は、前記ストリンガ(210)の第1のウェブセグメント(214)に平行に延在し、
前記第2の装着箇所において、前記補修用ストリンガ(300)の1つのセグメントは、前記ストリンガ(210)のキャップセグメント(216)に平行に延在し、前記補修用ストリンガ(300)のまた1つのセグメント(304)は、前記ストリンガ(210)の前記第1のウェブセグメント(214)に平行に延在する、請求項11に記載の方法(700)。
【請求項13】
前記補修用ストリンガが主に前記ハット型ストリンガ(200)の前記第2の側(234)に位置付けられる前記少なくとも2つの可能な装着箇所は、第1の装着箇所と第2の装着箇所とを含み、
前記第1の装着箇所において、前記補修用ストリンガ(300)の1つのセグメントは、前記ストリンガ(210)のキャップセグメント(216)に平行に延在し、前記補修用ストリンガ(300)のまた1つのセグメント(314)は、前記ストリンガ(210)の第2のウェブセグメント(218)に平行に延在し、
前記第2の装着箇所において、前記補修用ストリンガ(300)の1つのセグメント(312)は、前記ストリンガ(210)の第2のフランジセグメント(220)に平行に延在し、前記補修用ストリンガ(300)のまた1つのセグメント(314)は、前記ストリンガ(210)の前記第2のウェブセグメント(218)に平行に延在する、請求項12に記載の方法(700)。
【請求項14】
前記ストリンガ(210)は、第1のフランジセグメント(212)、第1のウェブセグメント(214)、キャップセグメント(216)、第2のウェブセグメント(218)、及び第2のフランジセグメント(220)を含み、前記ハット型ストリンガ(200)の前記断面に沿った前記複数の可能な装着箇所は、第1の装着箇所、第2の装着箇所、第3の装着箇所、及び第4の装着箇所を含み、
前記第1の装着箇所において、前記補修用ストリンガ(400)の1つのセグメント(402)は、前記ストリンガ(210)の前記第1のフランジセグメント(212)に平行に延在し、前記補修用ストリンガ(400)のまた1つのセグメント(404)は、前記ストリンガ(210)の第1のウェブセグメント(214)に平行に延在し、
前記第2の装着箇所において、前記補修用ストリンガ(400)の1つのセグメント(402)は、前記ストリンガ(210)の前記キャップセグメント(216)に平行に延在し、前記補修用ストリンガ(300)のまた1つのセグメント(404)は、前記ストリンガ(210)の前記第1のウェブセグメント(214)に平行に延在し、
前記第3の装着箇所において、前記補修用ストリンガ(400)の1つのセグメント(402)は、前記ストリンガ(210)の前記キャップセグメント(216)に平行に延在し、前記補修用ストリンガ(400)のまた1つのセグメント(402)は、前記ストリンガ(210)の前記第2のウェブセグメント(218)に平行に延在し、
前記第4の装着箇所において、前記補修用ストリンガ(400)の1つのセグメント(402)は、前記ストリンガ(210)の前記第2のフランジセグメント(220)に平行に延在し、前記補修用ストリンガ(400)のまた1つのセグメントは、前記ストリンガ(210)の前記第2のウェブセグメント(218)に平行に延在する、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項15】
前記補修用ストリンガ(400)が第1の補修用ストリンガであり、前記装着箇所が第1の装着箇所であり、前記方法(700)が更に、
前記第2の装着箇所に第2の補修用ストリンガ(410)を配置することと、
前記第3の装着箇所に第3の補修用ストリンガ(420)を配置することと、
前記第4の装着箇所に第4の補修用ストリンガ(430)を配置することと、
前記第2の装着箇所、前記第3の装着箇所、及び前記第4の装着箇所で、前記ストリンガ(210)に、前記第2の補修用ストリンガ(410)、前記第3の補修用ストリンガ(420)、及び前記4の補修用ストリンガ(430)をそれぞれ連結することと、を含み、前記第1の補修用ストリンガ(410)は、前記第1の装着箇所で前記ストリンガ(210)に連結される、請求項14に記載の方法(700)。
【請求項16】
前記第1の補修用ストリンガ(400)と前記第2の補修用ストリンガ(410)とが互いに物理的に重複し、前記第2の補修用ストリンガ(410)と前記第3の補修用ストリンガ(420)とが互いに物理的に重複し、かつ、前記第3の補修用ストリンガ(420)と前記第4の補修用ストリンガ(430)とが互いに物理的に重複する、請求項15に記載の方法(700)。
【請求項17】
前記第1の補修用ストリンガ(400)、前記第2の補修用ストリンガ(410)、前記第3の補修用ストリンガ(420)、及び前記第4の補修用ストリンガ(430)は全て、前記第1方向(D1)に沿って見たときに同じ断面形状を有し、前記第2の補修用ストリンガ(410)は、前記第1の補修用ストリンガ(400)に対して、垂直方向及び水平方向に反転して配向され、前記第3の補修用ストリンガ(420)は、前記第1の補修用ストリンガ(400)に対して、垂直方向に反転して配向され、前記第4の補修用ストリンガ(430)は、前記第1の補修用ストリンガ(400)に対して、水平方向に反転して配向される、請求項16に記載の方法(700)。
【請求項18】
前記補修用ストリンガ(300)が第1の補修用ストリンガ(610)であり、前記第1の補修用ストリンガ(610)は、前記第1の補修用ストリンガ(610)のセグメント(614)が、前記ストリンガ(210)の逸失セクション(206)が以前位置していた平面内に、又は前記平面に隣接して位置付けられるように配置され、前記方法(700)は更に、
第2の補修用ストリンガ(620)のセグメント(624)と第3の補修用ストリンガ(630)のセグメント(634)とが、前記平面内に又は前記平面に隣接して位置付けられた前記第1の補修用ストリンガ(610)の前記セグメント(614)を挟むように、前記第2の補修用ストリンガ(620)及び前記第3の補修用ストリンガ(630)を配置することと、
第4の補修用ストリンガ(640)のセグメント(644)と前記第1の補修用ストリンガ(610)とが前記第2の補修用ストリンガ(310)を挟むように、前記第4の補修用ストリンガ(640)を配置することと、
前記第1の補修用ストリンガ(610)と、前記第2の補修用ストリンガ(620)と、前記第3の補修用ストリンガ(630)と、前記第4の補修用ストリンガ(640)とを、互いに連結し、かつ前記ストリンガ(210)と連結することと、を含む、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項19】
方法(800)であって、
ハット型ストリンガ(200)の断面に沿って第1の補修用ストリンガ(300)を配置することであって、前記第1の補修用ストリンガ(300)の内側輪郭(308)が、前記ハット型ストリンガ(200)によって画定された内部空洞(222)の輪郭(224)の少なくとも一部分に合致する、第1の補修用ストリンガ(300)を配置することと、
前記ハット型ストリンガ(200)の前記断面に沿って第2の補修用ストリンガ(310)を配置することであって、前記第2の補修用ストリンガ(310)の内側輪郭(318)が、前記内部空洞(222)の前記輪郭(224)の少なくとも一部分に合致する、第2の補修用ストリンガを配置することと、を含み、
前記第1の補修用ストリンガ(300)及び前記第2の補修用ストリンガ(310)が、前記第2の補修用ストリンガ(310)のセグメント(316)が前記第1の補修用ストリンガ(300)のセグメント(306)と物理的に重複するように配置され、前記方法(800)が更に、
前記第1の補修用ストリンガ(300)及び前記第2の補修用ストリンガ(310)を、前記ハット型ストリンガ(200)のストリンガ(210)と連結することを含む、方法(800)。
【請求項20】
補修用ストリンガ(300、400)であって、
ハット型ストリンガ(200)によって画定された内部空洞(222)の輪郭(224)のウェブ部分(224A)に合致するよう成形された内側輪郭(308)を有する、ウェブセグメント(304)と、
前記ウェブセグメント(304)から延在する、キャップセグメント(306)とフランジセグメント(302)の少なくとも一方と、を備え、
前記補修用ストリンガ(300)は、前記ハット型ストリンガ(200)の合計断面に対して部分的な断面を有する、
補修用ストリンガ(300、400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の態様は航空機の構造的構成要素の補修に関し、より詳細には、ハット型ストリンガの補修に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]航空機の構造物は、多種多様な異なる方向の荷重に対処することが可能でなくてはならない。例えば、航空機の翼は、飛行中に翼に加わる空力荷重に対処することが可能でなくてはならない。かかる空力荷重は曲げ荷重を含み、翼外板及び翼内部構造はこの曲げ荷重に反応する。典型的には、翼内部構造において、スティフナ又はストリンガが曲げ荷重に反応する。ストリンガは、翼外板に連結され、翼内部に沿って概して翼長方向に延在する。ストリンガは、多種多様な異なる断面形状及びサイズで(ハット型断面を有する場合を含む)設けられうる。ハット型ストリンガ(又は単にハットストリンガ)は、典型的には対になったウェブを含み、これらのウェブは、ハット型断面を形成するよう、ストリンガの基部から延在し、キャップによって接続されている。
【0003】
[0003]場合によっては、ハットストリンガは、(例えば衝突事象によって)損傷を受けること、又は別様に補強を要することがある。損傷したハット型ストリンガを補修するための従来型の技法には、いくつかの課題がある。したがって、一又は複数の改良型のハット型ストリンガの補修技法及び/又は補修用ストリンガが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一態様では、本開示は、ハット型ストリンガを補修する方法を提示する。この方法は、ハット型ストリンガの断面に沿った複数の可能な装着箇所のうちの1つである装着箇所に、補修用ストリンガを配置することであって、複数の可能な装着箇所の各々で、補修用ストリンガの内側輪郭の少なくとも一部分が、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する、補修用ストリンガを配置することを含み、第1方向に沿って見たときの補修用ストリンガの断面積は、第1方向に沿って見たときのハット型ストリンガの合計断面積よりも小さい。方法は、装着箇所において、補修用ストリンガをハット型ストリンガのストリンガと連結することも含む。
【0005】
[0005]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、複数の可能な装着箇所の各々で、補修用ストリンガは、内部空洞の輪郭のウェブ部分に平行に延在するウェブセグメントを有する。
【0006】
[0006]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、複数の可能な装着箇所の各々で、補修用ストリンガは、内部空洞のキャップ部分又はストリンガのフランジセグメントに平行に延在する少なくとも1つのセグメントを有する。
【0007】
[0007]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、ハット型ストリンガは、ハット型ストリンガの第1の側と第2の側とを区分する中央平面を画定し、複数の可能な装着箇所は、補修用ストリンガが主にハット型ストリンガの第1の側に位置付けられる第1の可能な装着箇所、及び補修用ストリンガが主にハット型ストリンガの第2の側に位置付けられる第2の可能な装着箇所を含む。
【0008】
[0008]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、補修用ストリンガは、キャップセグメント、フランジセグメント、及びキャップセグメントとフランジセグメントとの間に延在してキャップセグメントとフランジセグメントとを接続するウェブセグメントを有し、補修用ストリンガが装着箇所に配置されると、補修用ストリンガのキャップセグメント、ウェブセグメント、及びフランジセグメントはそれぞれ、ストリンガのキャップセグメント、ウェブセグメント、及びフランジセグメントに平行に延在する。
【0009】
[0009]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、補修用ストリンガは第1の補修用ストリンガであり、方法は更に、ハット型ストリンガの断面に沿ったある装着箇所に第2の補修用ストリンガを配置することであって、第2の補修用ストリンガは、内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する内側輪郭を有するように成形されている、第2の補修用ストリンガを配置することを含み、第2の補修用ストリンガのキャップセグメントと、第1の補修用ストリンガのキャップセグメントとが、互いに物理的に重複し、それぞれ内部空洞の輪郭のキャップ部分に平行に延在する。
【0010】
[0010]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、第1の補修用ストリンガは、ストリンガの第1のウェブセグメントと物理的に重複するウェブセグメントを有し、第2の補修用ストリンガは、ストリンガの第2のウェブセグメントと物理的に重複するウェブセグメントを有する。
【0011】
[0011]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、第2の補修用ストリンガは、ストリンガの第2のフランジセグメントに平行に延在するが、ストリンガの第2のフランジセグメントから隔たっているフランジセグメントを有し、方法は更に、第2のフランジセグメントと第2の補修用ストリンガのフランジセグメントとの間に一又は複数のシムを配置することを含む。
【0012】
[0012]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、第2の補修用ストリンガは、第1方向に沿って見たときに、第1の補修用ストリンガと同じ断面形状を有する。
【0013】
[0013]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる更に別の態様では、方法は更に、ハット型ストリンガの断面に沿ったある装着箇所に第2の補修用ストリンガを配置することであって、第2の補修用ストリンガは、内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する内側輪郭を有するように成形されている、第2の補修用ストリンガを配置することを含む。方法は、ハット型ストリンガの断面に沿ったある装着箇所に第3の補修用ストリンガを配置することも含み、第3の補修用ストリンガは、第1のウェブセグメントと、キャップセグメントと、第2のウェブセグメントとを有する。第1のウェブセグメントは補修用ストリンガに連結され、キャップセグメントはストリンガに連結され、第2のウェブセグメントは第2の補修用ストリンガに連結される。
【0014】
[0014]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、ハット型ストリンガは、ハット型ストリンガの第1の側と第2の側とを区分する中央平面を画定し、複数の可能な装着箇所は、少なくとも4つの可能な装着箇所を含み、少なくとも4つの可能な装着箇所は、補修用ストリンガが主にハット型ストリンガの第1の側に位置付けられることが可能な、少なくとも2つの可能な装着箇所と、補修用ストリンガが主にハット型ストリンガの第2の側に位置付けられることが可能な、少なくとも2つの可能な装着箇所とを含む。
【0015】
[0015]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、補修用ストリンガが主にハット型ストリンガの第1の側に位置付けられることが可能な少なくとも2つの可能な装着箇所は、第1の装着箇所と第2の装着箇所とを含み、第1の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガの第1のフランジセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第1のウェブセグメントに平行に延在し、第2の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガのキャップセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第1のウェブセグメントに平行に延在する。
【0016】
[0016]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、補修用ストリンガが主にハット型ストリンガの第2の側に位置付けられる少なくとも2つの可能な装着箇所は、第1の装着箇所と第2の装着箇所とを含み、第1の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガのキャップセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第2のウェブセグメントに平行に延在し、第2の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガの第2のフランジセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第2のウェブセグメントに平行に延在する。
【0017】
[0017]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、ストリンガは、第1のフランジセグメントと、第1のウェブセグメントと、キャップセグメントと、第2のウェブセグメントと、第2のフランジセグメントとを含み、ハット型ストリンガの断面に沿った複数の可能な装着箇所は、第1の装着箇所、第2の装着箇所、第3の装着箇所、及び第4の装着箇所を含み、第1の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガの第1のフランジセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第1のウェブセグメントに平行に延在し、第2の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガのキャップセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第1のウェブセグメントに平行に延在し、第3の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガのキャップセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第2のウェブセグメントに平行に延在し、第4の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガの第2のフランジセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第2のウェブセグメントに平行に延在する。
【0018】
[0018]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、補修用ストリンガは第1の補修用ストリンガであり、装着箇所は第1の装着箇所であり、方法は更に、第2の装着箇所に第2の補修用ストリンガを配置することと、第3の装着箇所に第3の補修用ストリンガを配置することと、第4の装着箇所に第4の補修用ストリンガを配置することと、第2の装着箇所、第3の装着箇所、及び第4の装着箇所で、ストリンガに第2の補修用ストリンガ、第3の補修用ストリンガ、及び第4の補修用ストリンガをそれぞれ連結することと、を含み、第1の補修用ストリンガは、第1の装着箇所でストリンガと連結される。
【0019】
[0019]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、第1の補修用ストリンガと第2の補修用ストリンガとが互いに物理的に重複し、第2の補修用ストリンガと第3の補修用ストリンガとが互いに物理的に重複し、第3の補修用ストリンガと第4の補修用ストリンガとが互いに物理的に重複する。
【0020】
[0020]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、第1の補修用ストリンガ、第2の補修用ストリンガ、第3の補修用ストリンガ、及び第4の補修用ストリンガは全て、第1方向に沿って見たときに、同じ断面形状を有し、第2の補修用ストリンガは、第1の補修用ストリンガに対して、垂直方向及び水平方向に反転(flipped)して配向され、第3の補修用ストリンガは、第1の補修用ストリンガに対して、垂直方向に反転して配向され、第4の補修用ストリンガは、第1の補修用ストリンガに対して、水平方向に反転して配向される。
【0021】
[0021]上記又は下記の例示的な方法のいずれかと組み合わされる一部の更なる態様では、補修用ストリンガは第1の補修用ストリンガであり、第1の補修用ストリンガは、第1の補修用ストリンガのあるセグメントが、ストリンガの逸失(missing)セクションが以前位置していた平面内に、又はかかる平面に隣接して位置付けられるように配置され、方法は更に、第2の補修用ストリンガのセグメントと第3の補修用ストリンガのセグメントとが、前述の平面内に又は前述の平面に隣接して位置付けられた第1の補修用ストリンガのセグメントを挟むように、第2の補修用ストリンガ及び第3の補修用ストリンガを、配置することと、第4の補修用ストリンガのセグメントと第1の補修用ストリンガとが第2の補修用ストリンガを挟むように、第4の補修用ストリンガを配置することと、第1の補修用ストリンガと、第2の補修用ストリンガと、第3の補修用ストリンガと、第4の補修用ストリンガとを、互いに連結し、かつストリンガと連結することと、を含む。
【0022】
[0022]別の態様では、方法が提供される。この方法は、ハット型ストリンガの断面に沿って第1の補修用ストリンガを配置することであって、第1の補修用ストリンガの内側輪郭が、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する、第1の補修用ストリンガを配置することと、ハット型ストリンガの断面に沿って第2の補修用ストリンガを配置することであって、第2の補修用ストリンガの内側輪郭が、内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する、第2の補修用ストリンガを配置することと、を含み、第1の補修用ストリンガと第2の補修用ストリンガとは、第2の補修用ストリンガのセグメントが第1の補修用ストリンガのセグメントと物理的に重複するように配置され、方法は更に、第1の補修用ストリンガ及び第2の補修用ストリンガを、ハット型ストリンガのストリンガと連結することと、を含む。
【0023】
[0023]更なる態様では、補修用ストリンガが提供される。補修用ストリンガは、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭のウェブ部分に合致するよう成形された内側輪郭を有する、ウェブセグメントと、ウェブセグメントから延在する、キャップセグメントとフランジセグメントの少なくとも一方と、を含み、補修用ストリンガは、ハット型ストリンガの合計断面に対して部分的な断面を有する。
【0024】
[0024]別の態様では、方法が提供される。この方法は、第1の補修用ストリンガのあるセグメントが、ベースストリンガの逸失セクションが以前位置していた平面内に、又はかかる平面に隣接して位置付けられるように、第1の補修用ストリンガを配置することを含む。方法は更に、第2の補修用ストリンガのセグメントと第3の補修用ストリンガのセグメントとが、前述の平面内に又は前述の平面に隣接して位置付けられた第1の補修用ストリンガのセグメントを挟むように、第2の補修用ストリンガ及び第3の補修用ストリンガを配置することを含む。方法は、第4の補修用ストリンガのセグメントと第1の補修用ストリンガとが第2の補修用ストリンガを挟むように、第4の補修用ストリンガを配置することも含む。方法は、第1の補修用ストリンガ、第2の補修用ストリンガ、第3の補修用ストリンガ、及び第4の補修用ストリンガを、ベースストリンガと連結することも含む
【0025】
[0025]更に別の態様では、ハット型ストリンガが提供される。ハット型ストリンガはストリンガを含む。ハット型ストリンガは、ストリンガと連結された少なくとも1つの補修用ストリンガも含み、この補修用ストリンガは、ハット型ストリンガの断面に沿った複数の可能な装着箇所のうちの1つである装着箇所で、ストリンガと連結され、かつ、複数の可能な装着箇所の各々において、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する内側輪郭を有するよう、成形されている。更に、補修用ストリンガの断面積は、ハット型ストリンガの合計断面積よりも小さい。
【0026】
[0026]上述の特徴を詳しく理解しうるように、上記で簡単に要約された本開示のより詳細な説明が、例示的な態様を参照することによって得られる。例示的な態様の一部は、添付図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】少なくとも1つのハット型ストリンガを含む翼を有する例示的な航空機の上面図である。
【
図3A】「レイジー(緩い)Z」形状を有する補修用ストリンガを用いて全体的なストリンガ修復が行われている、ハット型ストリンガの断面図である。
【
図3B】「レイジーZ」形状を有する補修用ストリンガを用いて全体的なストリンガ修復が行われている、ハット型ストリンガの断面図である。
【
図3C】「レイジーZ」形状を有する補修用ストリンガを用いて全体的なストリンガ修復が行われている、別のハット型ストリンガの断面図である。
【
図4A】「レイジーL」形状を有する補修用ストリンガを用いて全体的なストリンガ修復が行われている、ハット型ストリンガの断面図である。
【
図4B】「レイジーL」形状を有する補修用ストリンガを用いて全体的なストリンガ修復が行われている、ハット型ストリンガの断面図である。
【
図4C】「レイジーZ」形状を有する複数の補修用ストリンガと「レイジーU」形状を有する1つの補修用ストリンガとを用いて全体的なストリンガ修復が行われている、別のハット型ストリンガの断面図である。
【
図5】部分的なストリンガ修復が行われている、ハット型ストリンガの断面図である。
【
図6A】セグメントスプライス修復が行われている、ハット型ストリンガの断面図である。
【
図6B】セグメントスプライス修復が行われている、別のハット型ストリンガの断面図である。
【
図7】本開示の一態様にしたがってハット型ストリンガを補修する方法のフロー図である。
【
図8】本開示の別の態様にしたがってハット型ストリンガを補修する方法のフロー図である。
【
図9】本開示の別の態様にしたがってハット型ストリンガをスプライス(重ね継ぎ)する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0039]本開示は、ハット型ストリンガの補修に関する。場合によっては、航空機の外板部材を支持しうるハット型ストリンガが、例えば運航中の衝突事象により、損傷を受けること、又は別様に構造的補強が必要になることがありうる。ハット型ストリンガは、時に、外板補修のための空間を作るために取り外されることもある。本書では、ハット型ストリンガの補修技法、及びハット型ストリンガの補修又は補強を容易にする補修用ストリンガが、本開示の発明的態様にしたがって提示される。かかる補修用ストリンガは、(例えばタイプ1、タイプ2、及び/又はタイプ3のストリンガのうちの)あるストリンガの内部空洞輪郭に合致する、内部ジオメトリ輪郭を含みうる。補修用ストリンガは、補修用ストリンガのセグメント同士が、例えばハット型ストリンガのキャップセクション又はウェブセクションに沿って、互いに物理的に重複するように配置されうる。本書で開示している発明的態様により、必要とされる部品の総量を有利に最小化すること、及びシム使用の必要性をなくすか又は減少させることが可能になる。部品の削減により航空機の重量も減少するが、このことも利点である。更に、本書で開示している補修用ストリンガの独自のジオメトリ輪郭によって、航空機本体の大きな部分に対する補修手法の適用可能性を向上させること、及び航空会社にとって補修用部品の在庫保有を容易にすることなどが、可能になる。
【0029】
[0040]この開示においては、様々な態様への言及がなされる。しかし、本開示は説明されている具体的な態様に限定されるわけではないことを、理解すべきである。その代わりに、本書で提示されている教示を実装し、実践するために、下記の特徴及び要素の任意の組み合わせが、種々の態様に関連しているか否かに関わらず想定される。加えて、態様の要素が「AとBの少なくとも一方/1つ」というかたちで説明される場合、要素Aだけを含む態様、要素Bだけを含む態様、及び要素Aと要素Bとを含む形態がそれぞれ想定されると、理解されよう。更に、一部の態様は他の可能な手法又は従来技術を凌駕する利点を実現しうるが、特定の利点が所与の態様によって達成されるかどうかによって、本開示が限定されることはない。ゆえに、本書で開示している態様、特徴、及び利点は、単なる例示であり、請求項に明記された場合を除き、付随する特許請求の範囲の要素であるとも、付随する特許請求の範囲を限定するとも、見なされることはない。同様に、「本発明」への言及は、本書で開示しているあらゆる発明主題を一般化するものと解釈すべきではなく、また、請求項に明記された場合を除き、付随する特許請求の範囲の要素であるとも、付随する特許請求の範囲を限定するとも見なすべきではない。加えて、本書において、補修用ストリンガは、補修用ストリンガの断面の50パーセント(50%)を上回る部分がハット型ストリンガのある側(矢状面又は中央平面によって画定される)に位置付けられた時に、ハット型ストリンガの主にその側に位置付けられている。
【0030】
[0041]以上の説明は本開示の態様を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱しなければ、本開示の他の態様及び更なる態様が考案されてよく、本開示の範囲は下記の特許請求の範囲によって定められる。
【0031】
[0042]ここで図面を参照するに、
図1は、本開示の例示的な態様による航空機100の上面図を示している。図示しているように、航空機100は一対の翼110、112及び胴体114を含む。翼110、112は、胴体114から横方向に外側へ延在している。航空機100は、水平安定板118及び垂直尾翼120を有する尾部セクション116も含む。翼110、112、水平安定板118、及び垂直尾翼120は全て、航空機100を飛行中に操縦するために制御されうる操縦翼面122(例えば補助翼、昇降舵、方向舵など)を含む。航空機100は、翼110、112のそれぞれに装着された推進ユニット124、126を更に含む。
図1では、推進ユニット124、126は、ターボファンとして構成されたガスタービンエンジンである。しかし、他の例示的な態様では、推進ユニット124、126は、他の種類の推進ユニット(電動ファンなど)であることもある。
【0032】
[0043]翼110、112は各々、様々な構造物(
図1の翼112の内部図解部分に示されているストリンガ130及びリブ136など)によって内部から支持されうる、外板部材128を含む。ストリンガ130は、互いに間隔を空けて位置付けられ、通常、翼110、112のそれぞれの翼付根部分132から翼端部分134へと、翼長方向に延在する。ストリンガ130のうちの一又は複数は、例えば関連する翼の翼長方向に沿って見たときに、ハット型断面を有することがある。これより、一部の例示的な態様では、ストリンガ130は「ハット型ストリンガ(hatstringer)」でありうる。
図1に更に示しているように、リブ136が、互いに間隔を空けて位置付けられ、通常、翼110、112のそれぞれの前端構造物(例えば前桁138)から後端構造物(例えば後桁140)へと、翼弦方向に延在する。
【0033】
[0044]
図2は、ハット型ストリンガ200の断面図である。このハット型ストリンガは、例えば、
図1の航空機100のハット型ストリンガ130のうちの1つでありうる。参考として、第1方向D1(
図2の向こう側へ及びこちら側へと延在している)、第2方向D2、並びに第3方向D3が定義されている。第1、第2、及び第3の方向D1、D2、D3は、互いに対して垂直であり、共に直角方向座標を形成している。
図2では、第1方向D1は、航空機の翼に沿った翼長方向である。これより、
図2は、翼の翼長方向に沿って見たときの、ハット型ストリンガ200の断面を示している。第3方向D3は垂直方向でありうる。
【0034】
[0045]
図2に示しているように、ハット型ストリンガ200は、外板部材202と連結されて、外板部材202を支持する。外板部材202は、例えば、翼の下部翼外板でありうる。ハット型ストリンガ130は、ベースストリンガ210を含む。ベースストリンガ210は、一又は複数のプライ(一又は複数の炭素繊維強化ポリマー(CFRP)プライなど)で形成されうる。ベースストリンガ210は、例えば、モノリシックな一体型構造物として形成されうる。ベースストリンガ210は、
図2の左から右へ、第1のフランジセグメント212、第1のウェブセグメント214、キャップセグメント216、第2のウェブセグメント218、及び第2のフランジセグメント220を有する。第1のフランジセグメント212及び第2のフランジセグメント220は、外板部材202に連結される。第1のウェブセグメント214及び第2のウェブセグメント218は、それぞれ第1のフランジセグメント212及び第2のフランジセグメント220から延在し、第1のフランジセグメント212及び第2のフランジセグメント220から離れるように延在するにつれて、互いの方へと向かう。キャップセグメント216は、第1のウェブセグメント214と第2のウェブセグメント218とを接続し、第1と第2のフランジセグメント212、220及び外板部材202に概して平行に延在する。
【0035】
[0046]ベースストリンガ210と外板部材202とは、協働して内部空洞222を画定する。内部空洞222の輪郭224は、ベースストリンガ210によって画定される。詳細には、内部空洞222の輪郭224は、第1方向D1に沿って見たときに、ベースストリンガ210の内面226によって画定されている(例えば使用可能な状態にある場合)。
図2では、内部空洞222の輪郭224は、ベースストリンガ210の内面226に沿って、又はより具体的には、第1と第2のウェブセグメント214、218及びキャップセグメント216の内面に沿って、延在している点線によって表されている。輪郭224は、第1のウェブ部分224A、キャップ部分224B、及び第2のウェブ部分224Cを有する。第1のウェブ部分224Aは第1のウェブセグメント214の内面に沿って延在し、キャップ部分224Bはキャップセグメント216の内面に沿って延在し、第2のウェブ部分224Cは第2のウェブセグメント218の内面に沿って延在する。ベースストリンガ210は、内面226の反対側の外面228も有する。更に、参考として、ハット型ストリンガ200は、ハット型ストリンガ200の第1の側232と第2の側234とを区分する中央平面230を画定する。中央平面230は第2方向D2に対して直角である。
【0036】
[0047]場合によっては、ハット型ストリンガ(例えば
図2のハット型ストリンガ200)が、例えば運航中の衝突事象により、損傷を受けること、又は別様に構造的補強が必要になることがありうる。例えば、ハット型ストリンガ200のあるセグメントが、その構造完全性が損なわれるか、又は一部の極端な事例では完全に失われる程に、損傷を受けることがある。これにより、安全上の問題が提示されること、又は、航空機が運航に不適となることがありうる。本書では、ハット型ストリンガの補修技法、及びハット型ストリンガの補修又は補強を容易にする補修用ストリンガが、本開示の発明的態様にしたがって提示される。以下、例示的な修復技法及び補修用ストリンガを提示する。
【0037】
[0048]ここで
図3A及び
図3Bを参照するに、
図3A及び
図3Bは、「レイジーZ」形状を有する補修用ストリンガを用いて全体的なストリンガ修復が行われている、
図2のハット型ストリンガ200を示している。詳細には、第1の補修用ストリンガ300及び第2の補修用ストリンガ310(両方ともレイジーZ形状を有する)を使用することにより、ベースストリンガ210に全体的なストリンガ修復のプロセスが行われている。第1と第2の補修用ストリンガ300、310は両方とも、一又は複数のプライ(一又は複数の炭素繊維プライなど)で形成されうる。全体的なストリンガ修復は、ベースストリンガ210が損傷を受けたこと、又は別様にベースストリンガ210の構造的健全性が損なわれたことに応じて実行されうる。
【0038】
[0049]
図3A及び
図3Bに示しているように、第1の補修用ストリンガ300は、フランジセグメント302、ウェブセグメント304、及びキャップセグメント306を有する。ウェブセグメント304は、キャップセグメント306とフランジセグメント302との間に延在し、キャップセグメント306とフランジセグメント302とを接続する。フランジセグメント302とキャップセグメント306とは両方とも、互いに対して概して平行に延在する。第1の補修用ストリンガ300は、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致する内側輪郭308を有する。
図3Aでは、第1の補修用ストリンガ300の内側輪郭308は、第1の補修用ストリンガ300の内面に沿って延在する点線によって表されている。換言すると、第1の補修用ストリンガ300の内側輪郭308は、第1の補修用ストリンガ300が隣接して配置されるストリンガの外面の少なくとも一部分に合致するか、又はかかる外面の少なくとも一部分を補完するように成形されている。例えば、
図3Aに示しているように、第1の補修用ストリンガ300の内側輪郭308は、ベースストリンガ210の外面228の少なくとも一部分に合致するか、又はかかる外面228の少なくとも一部分を補完するように成形されている。加えて、第1の補修用ストリンガ300の断面積は、第1方向D1(例えば翼の翼長方向)に沿って見たときに、第1方向D1に沿って見たときのハット型ストリンガ200の合計断面積よりも小さい。これより、第1の補修用ストリンガ300は、ハット型ストリンガ200に対して、部分的な断面を有すると見なされうる。
【0039】
[0050]第2の補修用ストリンガ310は、フランジセグメント312、ウェブセグメント314、及びキャップセグメント316を有する。ウェブセグメント314は、キャップセグメント316とフランジセグメント312との間に延在し、キャップセグメント316とフランジセグメント312とを接続する。フランジセグメント312とキャップセグメント316とは両方とも、互いに対して概して平行に延在する。第2の補修用ストリンガ310は、第1の補修用ストリンガ300と同様に、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致する内側輪郭318を有する。
図3Aでは、第2の補修用ストリンガ310の内側輪郭318は、第2の補修用ストリンガ310の内面に沿って延在する点線によって表されている。換言すると、第2の補修用ストリンガ310の内側輪郭318は、第2の補修用ストリンガ310が隣接して配置されるストリンガの外面の少なくとも一部分に合致するか、又はかかる外面の少なくとも一部分を補完するように成形されている。例えば、
図3Aに示しているように、第2の補修用ストリンガ310の内側輪郭318は、ベースストリンガ210の外面228の少なくとも一部分及び第1の補修用ストリンガ300の外面の少なくとも一部分に合致するか、又はこれらの外面の少なくとも一部分を補完するように成形されている。更に、第2の補修用ストリンガ310の断面積は、第1方向D1に沿って見たときに、第1方向D1に沿って見たときのハット型ストリンガ200の合計断面積よりも小さい。これより、第2の補修用ストリンガ310は、ハット型ストリンガ200に対して部分的な断面を有すると見なされうる。
【0040】
[0051]更に、
図3A及び
図3Bに示している例では、第1の補修用ストリンガ300及び第2の補修用ストリンガ310は、第1方向D1に沿って見たときに、同じ断面形状を有する。第2の補修用ストリンガ310は、第1の補修用ストリンガ300に対して水平方向に反転して配向されており、又はむしろ、第2の補修用ストリンガ310は、第1の補修用ストリンガ300に対して、第3方向D3に沿って延在する回転軸を中心に180度(180°)回転したものである。
【0041】
[0052]「レイジーZ」形状を有する補修用ストリンガを使用する全体的なストリンガ修復では、この全体的なストリンガ修復が、ハット型ストリンガ200の断面に沿った第1の装着箇所に第1の補修用ストリンガ300を配置することによって実行されうる。例えば、
図3Aに示しているように、第1の補修用ストリンガ300は、矢印1で示す第1の装着箇所に配置されて図示されている。第1の装着箇所において、第1の補修用ストリンガ300は、フランジセグメント302、ウェブセグメント304、及びキャップセグメント306がそれぞれ、ベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212、第1のウェブセグメント214、及びキャップセグメント216と面接合される(confront)か、又はそれらに隣接して位置付けられるように配置される。第1の補修用ストリンガ300が第1の装着箇所に配置されると、第1の補修用ストリンガ300のフランジセグメント302、ウェブセグメント304、及びキャップセグメント306はそれぞれ、ベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212、第1のウェブセグメント214、及びキャップセグメント216に平行に延在する。
【0042】
[0053]「レイジーZ」形状を有する補修用ストリンガを使用する全体的なストリンガ修復は更に、ハット型ストリンガ200の断面に沿った第2の装着箇所に第2の補修用ストリンガ310を配置することによって実行されうる。例えば、
図3Aに示しているように、第2の補修用ストリンガ310は、矢印2で示す第2の装着箇所に配置されて図示されている。第2の補修用ストリンガ310が第2の装着箇所に配置されると、第2の補修用ストリンガ310のフランジセグメント312、ウェブセグメント314、及びキャップセグメント316はそれぞれ、ベースストリンガ210の第2のフランジセグメント220、第2のウェブセグメント218、及びキャップセグメント216に平行に延在する。更に、第2の装着箇所において、第2の補修用ストリンガ310は、ウェブセグメント314が、ベースストリンガ210の第2のフランジセグメント218と面接合されるか又は隣接して位置付けられるように、かつキャップセグメント316が、第1の補修用ストリンガ300のキャップセグメント306と面接合されるか又は隣接して位置付けられるように、配置される。これより、第2の補修用ストリンガ310のキャップセグメント316は、第1の補修用ストリンガ300のキャップセグメント306と物理的に重複する。第1の補修用ストリンガ300のキャップセグメント306及び第2の補修用ストリンガ310のキャップセグメント316は各々、ベースストリンガ210のキャップセグメント216に平行に延在する。更に、図示しているように、第1の補修用ストリンガ300のキャップセグメント306は、(例えば第3方向D3に沿って)第2の補修用ストリンガ310のキャップセグメント316とベースストリンガ210のキャップセグメント216との間に挟まれる。
【0043】
[0054]
図3A及び
図3Bに更に示しているように、第2の補修用ストリンガ310のフランジセグメント312とベースストリンガ210の第2のフランジセグメント220とは、(例えば第3方向D3に沿って)互いから隔たっている。したがって、間隙G又は垂直方向オフセットが、第2の補修用ストリンガ310のフランジセグメント312とベースストリンガ210の第2のフランジセグメント220との間に画定される。「レイジーZ」形状を有する補修用ストリンガを使用する全体的なストリンガ修復は更に、ベースストリンガ210の第2のフランジセグメント220と第2の補修用ストリンガ310のフランジセグメント312との間に一又は複数のシム320を配置することによって実行されうる。つまり、一又は複数のシム320が、間隙Gを充填するように配置されうる。例えば、
図3Aに示しているように、一又は複数のシム320が、矢印3で示す間隙G内に配置されて図示されている。追加されたシム320により、補修されたハット型ストリンガ200の構造完全性が向上しうる。更に、とりわけ、第1及び第2の補修用ストリンガ300、310のこの形状、並びにこれらがそれぞれの装着箇所に配置されることにより、ハット型ストリンガ200の両側でのシムの必要性は、なくなりうるか、さもなければ減少しうる。例えば、
図3Aの例では、第1の補修用ストリンガ300のフランジセグメント302とベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212との間に、シムは必要とされない。
【0044】
[0055]「レイジーZ」形状を有する補修用ストリンガを使用する全体的なストリンガ修復は更に、第1の補修用ストリンガ300及び第2の補修用ストリンガ310を、それぞれの装着箇所でベースストリンガ210と連結することによって実行されうる。例えば、
図3Bに示しているように、第1及び第2の補修用ストリンガ300、310をベースストリンガ210と連結するために、複数のファスナ330が使用される。複数のファスナ330のうちの1つが、第1の補修用ストリンガ300のフランジセグメント302を、ベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212と連結しうる。複数のファスナ330のうちの1つは、第1の補修用ストリンガ300のウェブセグメント304を、ベースストリンガ210の第1のウェブセグメント214と連結しうる。複数のファスナ330のうちの1つは、第1の補修用ストリンガ300のキャップセグメント306と、第2の補修用ストリンガ310のキャップセグメント316と、ベースストリンガ210のキャップセグメント216とを、共に連結しうる。複数のファスナ330のうちの1つは、第2の補修用ストリンガ310のウェブセグメント314を、ベースストリンガ210の第2のウェブセグメント218と連結しうる。最後に、複数のファスナ330のうちの1つが、第2の補修用ストリンガ310のフランジセグメント312を、ベースストリンガ210の第2のフランジセグメント220と連結しうる。リベット、ボルト、ネジ、アンカーなどを含むがこれらに限定されるわけではない、任意の好適な種類のファスナが利用されうる。代替的かつ例示的な態様では、第1及び第2の補修用ストリンガ300、310は、他の様態で(例えば圧縮プロセスと熱処理プロセスとの組み合わせによって)、ベースストリンガ210と連結されうる。
【0045】
[0056]
図3Bに示しているように、第1及び第2の補修用ストリンガ300、310がベースストリンガ210と連結されていれば、ハット型ストリンガ200は、修復済み又は補修済みのハット型ストリンガと見なされうる。
【0046】
[0057]特に、少なくとも部分的には第1の補修用ストリンガ300のジオメトリ配置又は断面形状により、第1の装着箇所は、第1の補修用ストリンガ300が配置されうる、ハット型ストリンガ200の断面に沿った複数の可能な装着箇所のうちの1つとなる。複数の可能な装着箇所の各々において、第1の補修用ストリンガ300の内側輪郭308は、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224に合致する。
【0047】
[0058]第1の例示的な代替的装着箇所としては、第1の補修用ストリンガ300は、フランジセグメント302、ウェブセグメント304、及びキャップセグメント306がそれぞれ、ベースストリンガ210の第2のフランジセグメント220、第2のウェブセグメント218、及びキャップセグメント216と面接合されるか又は隣接して位置付けられるように配置されうる。かかる第1の代替的装着箇所では、第1の補修用ストリンガ300のフランジセグメント302、ウェブセグメント304、及びキャップセグメント306はそれぞれ、ベースストリンガ210の第2のフランジセグメント220、第2のウェブセグメント218、及びキャップセグメント216と平行に延在しうる。1の補修用ストリンガ300を第1の代替的装着箇所に配置するために、1の補修用ストリンガ300は、
図3A及び
図3Bに示している1の補修用ストリンガ300の配向に対して、水平方向に反転されうる(又はむしろ、第1の補修用ストリンガ300は、
図3A及び
図3Bに示している1の補修用ストリンガ300の配向から、第3方向D3に沿って延在する回転軸を中心に、180度(180°)回転していてよい)。第1の装着箇所においても、第1の補修用ストリンガ300の内側輪郭308は、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224に合致することになる。したがって、第1の補修用ストリンガ300のジオメトリは、少なくとも第1の可能な装着箇所と第2の可能な装着箇所で、ハット型ストリンガ200に装着可能であるように成形されている。この第1の可能な装着箇所においては、第1の補修用ストリンガ300は、ハット型ストリンガ200の主に第1の側232に位置付けられ(すなわち、第1の補修用ストリンガ300の断面の50パーセント(50%)を上回る部分が第1の側232に位置付けられ)、第2の可能な装着箇所においては、第1の補修用ストリンガ300は、ハット型ストリンガ200の主に第2の側234に位置付けられる(すなわち、第1の補修用ストリンガ300の断面の50パーセント(50%)を上回る部分が第2の側234に位置付けられる)。
【0048】
[0059]第2の例示的な代替的装着箇所としては、
図3Cに示しているように、第1の補修用ストリンガ300が第2の代替的装着箇所に配置されると、第1の補修用ストリンガ300は、第1の補修用ストリンガ300のフランジセグメント302、ウェブセグメント304、及びキャップセグメント306がそれぞれ、ベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212、第1のウェブセグメント214、及びキャップセグメント216に平行に延在するが、接触しないように配置されうる。更に、第2の代替的装着箇所において、第1の補修用ストリンガ300は、ウェブセグメント304が、別の補修用ストリンガ340(例えば第1の既存の補修用ストリンガ)の第1のウェブセグメントと面接合されるか又は隣接して位置付けられるように、かつキャップセグメント306が、更に別の補修用ストリンガ350(例えば第2の既存の補修用ストリンガ)のキャップセグメントと面接合されるか又は隣接して位置付けられるように、配置される。これより、第1の補修用ストリンガ300のキャップセグメント306は、例えば第2の既存の補修用ストリンガ350のキャップセグメントと物理的に重複する。第2の代替的装着箇所においても、第1の補修用ストリンガ300の内側輪郭308は、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224に合致することになる。したがって、第1の補修用ストリンガ300のジオメトリは、第1の補修用ストリンガ300が、ベースストリンガ210ではない他のストリンガ(例えば既存の補修用ストリンガ)の上に重ねられる装着箇所で、ハット型ストリンガ200に装着可能であるように成形されている。
【0049】
[0060]第3の例示的な代替的装着箇所としては、第1の補修用ストリンガ300は、第2の装着箇所(又はむしろ、
図3A及び3Bで第2の補修用ストリンガ310が配置されている装着箇所)に配置されてよく、第2の補修用ストリンガ310は、複数の可能な装着箇所のうちの別の装着箇所に装着されうる。したがって、上記の教示から認識されるように、第2の補修用ストリンガ310も、第1の補修用ストリンガ300と同じく、複数の可能性のある位置に同様に装着可能でありうる。
【0050】
[0061]一部の例示的な態様では、第1の補修用ストリンガ300が装着されうる複数の可能な装着箇所の各々において、第1の補修用ストリンガ300のウェブセグメント304は、ベースストリンガ210のウェブセグメントと平行に延在する。換言すると、一部の例示的な態様では、第1の補修用ストリンガ300が装着されうる複数の可能な装着箇所の各々において、第1の補修用ストリンガ300のウェブセグメント304の内面は、輪郭224のウェブ部分と平行に延在する。第2の補修用ストリンガ310についても同じである。つまり、第2の補修用ストリンガ310が装着されうる複数の可能な装着箇所の各々において、第2の補修用ストリンガ310のウェブセグメント314は、ベースストリンガ210のウェブセグメントと平行に延在する。換言すると、一部の例示的な態様では、第2の補修用ストリンガ310が装着されうる複数の可能な装着箇所の各々において、第2の補修用ストリンガ310のウェブセグメント314の内面は、輪郭224のウェブ部分と平行に延在する。
【0051】
[0062]また別の例示的な態様では、第1の補修用ストリンガ300が装着されうる複数の可能な装着箇所の各々において、第1の補修用ストリンガ300のキャップセグメント306はベースストリンガ210のキャップセグメント216と平行に延在し、第1の補修用ストリンガ300のフランジセグメント302は、ベースストリンガ210のフランジセグメントと平行に延在する。第2の補修用ストリンガ310についても同じである。具体的には、第2の補修用ストリンガ310が装着されうる複数の可能な装着箇所の各々において、第2の補修用ストリンガ310のキャップセグメント316はベースストリンガ210のキャップセグメント216と平行に延在し、第2の補修用ストリンガ310のフランジセグメント312はベースストリンガ210のフランジセグメントと平行に延在する。
【0052】
[0063]一又は複数の補修用ストリンガであって、各々がレイジーZ断面形状を有する補修用ストリンガを用いてハット型ストリンガを修復することで、特定の利点が提供されうる。例えば、部分断面がレイジーZ形状であることにより、ハット型ストリンガの断面に沿った複数の装着箇所に補修用ストリンガが装着されることが可能になり、これにより、補修プロセスが柔軟になる。更に、従来型の技法と比較して、シム使用が補修に必要とされることが低減されうる。例えば、
図3Bでは、第1の補修用ストリンガ300のフランジセグメント302がベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212の直上に、又はベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212に隣接して配置されうるので、ハット型ストリンガの片側のみでシム320が必要になる。また、レイジーZ断面形状を有する補修用ストリンガは3つのセグメントを含み、これらのセグメントは、一又は複数の他のストリンガの対応する3つのセグメントに接触することが可能である。この3点接触により、補修済みのハット型ストリンガに構造安定性がもたらされうる。更に、複数のレイジーZ形状の補修用ストリンガを用いてハット型ストリンガを修復することには、かかるハット型ストリンガに、(例えば
図3Cに示しているように)補修用ストリンガが形状又は角度の変更を要さずに重ねられうるという利点もあり、これにより、重ね配置のために個別適応された補修用ストリンガの必要性がなくなりうるか、又は大幅に低減されうる。換言すると、重ね補修のために、複数の同一形状のレイジーZ型補修用ストリンガが使用されうる。かかる利点により、作業員が補修プロセスを実行すること、及び、補修部品を重ね、在庫することなどの容易さが向上しうる。
【0053】
[0064]ここで
図4A及び
図4Bを参照するに、
図4A及び
図4Bは、「レイジーL」形状を有する補修用ストリンガを用いて全体的なストリンガ修復が行われている、
図2のハット型ストリンガ200を示している。詳細には、第1の補修用ストリンガ400、第2の補修用ストリンガ410、第3の補修用ストリンガ420、及び第4の補修用ストリンガ430(第1方向D1に沿って見たときに、いずれもレイジーL形状又はむしろレイジーL断面を有する)を使用することにより、ベースストリンガ210に全体的なストリンガ修復のプロセスが行われている。第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ400、410、420、430は各々、一又は複数のプライ(一又は複数の炭素繊維プライなど)で形成されうる。全体的なストリンガ修復は、ベースストリンガ210が損傷を受けたこと、又は別様にベースストリンガ210の構造的健全性が損なわれたことに応じて実行されうる。
【0054】
[0065]
図4A及び
図4Bに示しているように、通常、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ400、410、420、430は各々、ウェブセグメントと第2のセグメントとを含み、第2のセグメントは、その補修用ストリンガの配向に応じて、フランジセグメント又はキャップセグメントでありうる。所与の補修用ストリンガの第2のセグメントは、そのウェブセグメントと非平行である。第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ400、410、420、430のそれぞれのウェブセグメントと第2のセグメントとの間には、鈍角が画定される。詳細には、図示しているように、第1の補修用ストリンガ400はウェブセグメント404と第2のセグメントとを有し、第2のセグメントは、この例ではフランジセグメント402である。第2の補修用ストリンガ410はウェブセグメント414と第2のセグメントとを含み、第2のセグメントは、この例ではフランジセグメント416である。第3の補修用ストリンガ420はウェブセグメント424と第2のセグメントとを含み、第2のセグメントは、この例ではフランジセグメント422である。第4の補修用ストリンガ430はウェブセグメント434と第2のセグメントとを含み、第2のセグメントは、この例ではキャップセグメント436である。
【0055】
[0066]第1の補修用ストリンガ400は、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致する、内側輪郭408を有する。
図4Aでは、第1の補修用ストリンガ400の内側輪郭408は、第1の補修用ストリンガ400の内面に沿って延在する点線によって表されている。図示しているように、第1の補修用ストリンガ400の内側輪郭408は、少なくとも輪郭224の第1のウェブ部分224Aに合致するか、又は第1のウェブ部分224Aを補完するように成形されている。換言すると、第1の補修用ストリンガ400の内側輪郭408は、第1の補修用ストリンガ400が隣接して配置される一又は複数のストリンガの外面の少なくとも一部分に合致するか、又はかかる外面の少なくとも一部分を補完するように成形されている。例えば、
図4Aに示しているように、第1の補修用ストリンガ400の内側輪郭408は、ベースストリンガ210の外面228の少なくとも一部分に合致するか、又はベースストリンガ210の外面228の少なくとも一部分を補完するように成形されている。
【0056】
[0067]第2の補修用ストリンガ410は、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致する、内側輪郭418を有する。
図4Aでは、第2の補修用ストリンガ410の内側輪郭418は、第2の補修用ストリンガ410の内面に沿って延在する点線によって表されている。図示しているように、第2の補修用ストリンガ410の内側輪郭418は、少なくとも輪郭224の第1のウェブ部分224A及びキャップ部分224Bに合致するか、又はこれらの部分を補完するように成形されている。換言すると、第2の補修用ストリンガ410の内側輪郭418は、第2の補修用ストリンガ410が隣接して配置される一又は複数のストリンガの外面の少なくとも一部分に合致するか、又はかかる外面の少なくとも一部分を補完するように成形されている。例えば、
図4Aに示しているように、第2の補修用ストリンガ410の内側輪郭418は、ベースストリンガ210のキャップセグメント216に沿った外面228の少なくとも一部分、及び第1の補修用ストリンガ400の外面の少なくとも一部分に合致するか、又はこれらの部分を補完するように成形されている。
【0057】
[0068]第3の補修用ストリンガ420は、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致する、内側輪郭428を有する。
図4Aでは、第3の補修用ストリンガ420の内側輪郭428は、第3の補修用ストリンガ420の内面に沿って延在する点線によって表されている。図示しているように、第3の補修用ストリンガ420の内側輪郭428は、少なくとも輪郭224の第2のウェブ部分224Cに合致するか、又は第2のウェブ部分224Cを補完するように成形されている。換言すると、第3の補修用ストリンガ420の内側輪郭428は、第3の補修用ストリンガ420が隣接して配置される一又は複数のストリンガの外面の少なくとも一部分に合致するか、又はかかる外面の少なくとも一部分を補完するように成形されている。例えば、
図4Aに示しているように、第3の補修用ストリンガ420の内側輪郭428は、ベースストリンガ210の外面228の少なくとも一部分に合致するか、又は外面228の少なくとも一部分を補完するように成形されている。
【0058】
[0069]第4の補修用ストリンガ430は、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致する、内側輪郭438を有する。
図4Aでは、第4の補修用ストリンガ430の内側輪郭438は、第4の補修用ストリンガ430の内面に沿って延在する点線によって表されている。図示しているように、第4の補修用ストリンガ430の内側輪郭438は、少なくとも輪郭224の第2のウェブ部分224C及びキャップ部分224Bに合致するか、又はこれらの部分を補完するように成形されている。換言すると、第4の補修用ストリンガ430の内側輪郭438は、第4の補修用ストリンガ430が隣接して配置される一又は複数のストリンガの外面の少なくとも一部分に合致するか、又はかかる外面の少なくとも一部分を補完するように成形されている。例えば、
図4Aに示しているように、第4の補修用ストリンガ430の内側輪郭438は、第3の補修用ストリンガ420の外面の少なくとも一部分及び第2の補修用ストリンガ410の外面の少なくとも一部分に合致するか、又はこれらの部分を補完するように成形されている。
【0059】
[0070]更に、
図4A及び
図4Bに示している例では、第1の補修用ストリンガ400の断面積は、第1方向D1(例えば翼の翼長方向)に沿って見たときに、第1方向D1に沿って見たときのハット型ストリンガ200の合計断面積よりも小さい。第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ410、420、430についても同じである。したがって、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ400、410、420、430は各々、ハット型ストリンガ200に対して部分的な断面を有すると見なされうる。
【0060】
[0071]更に、
図4A及び
図4Bの例におけるもののような一部の例示的な態様では、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ400、410、420、430は各々、第1方向D1に沿って見たときに、互いと同じ断面形状を有しうる。
図4A及び
図4Bでは、第2の補修用ストリンガ410は、第1の補修用ストリンガ400に対して垂直方向に反転して配向されており、又はむしろ、第2の補修用ストリンガ410は、第1の補修用ストリンガ400に対して、第2方向D2に沿って延在する回転軸を中心に180度(180°)回転している。第3の補修用ストリンガ420は、第1の補修用ストリンガ400に対して水平方向に反転して配向されており、又はむしろ、第3の補修用ストリンガ420は、第1の補修用ストリンガ400に対して、第3方向D3に沿って延在する回転軸を中心に180度(180°)回転している。第4の補修用ストリンガ430は、第1の補修用ストリンガ400に対して垂直方向及び水平方向に反転して配向されており、又はむしろ、第4の補修用ストリンガ430は、その水平方向の反転に関しては、第1の補修用ストリンガ400に対して、第3方向D3に沿って延在する回転軸を中心に180度(180°)回転しており、かつ、その垂直方向の反転に関しては、第1の補修用ストリンガ400に対して、第2方向D2に沿って延在する回転軸を中心に180度(180°)回転している。
【0061】
[0072]「レイジーL」形状を有する補修用ストリンガを使用する全体的なストリンガ修復では、この全体的なストリンガ修復が、ハット型ストリンガ200の断面に沿った第1の装着箇所に第1の補修用ストリンガ400を配置することによって実行されうる。例えば、
図4Aに示しているように、第1の補修用ストリンガ400は、矢印1で示す第1の装着箇所に配置されて図示されている。第1の装着箇所において、第1の補修用ストリンガ400は、そのフランジセグメント402及びウェブセグメント404がそれぞれ、ベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212及び第1のウェブセグメント214と面接合されるか又は隣接して位置付けられるように配置される。第1の補修用ストリンガ400が第1の装着箇所に配置されると、第1の補修用ストリンガ400のフランジセグメント402及びウェブセグメント404はそれぞれ、ベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212及び第1のウェブセグメント214に平行に延在する。
【0062】
[0073]「レイジーL」形状を有する補修用ストリンガを使用する全体的なストリンガ修復は更に、ハット型ストリンガ200の断面に沿った第2の装着箇所に第2の補修用ストリンガ410を配置することによって実行されうる。例えば、
図4Aに示しているように、第2の補修用ストリンガ410は、矢印2で示す第2の装着箇所に配置されて図示されている。第2の装着箇所において、第2の補修用ストリンガ410は、第2の補修用ストリンガ410のウェブセグメント414及びキャップセグメント416がそれぞれ、ベースストリンガ210の第1のウェブセグメント214及びキャップセグメント216に平行に延在するように配置される。更に、第2の装着箇所において、第2の補修用ストリンガ410は、そのウェブセグメント414が、第1の補修用ストリンガ400のウェブセグメント404と面接合されるか又は隣接して位置付けられるように配置される。これより、第2の補修用ストリンガ410のウェブセグメント414は、第1の補修用ストリンガ400のウェブセグメント404と物理的に重複し、このとき、ウェブセグメント404は、ウェブセグメント414とベースストリンガ210の第1のウェブセグメント214との間に挟まれているか又は位置付けられている。更に、第2の装着箇所において、第2の補修用ストリンガ410は、そのキャップセグメント416が、ベースストリンガ210のキャップセグメント216と面接合されるか又は隣接して位置付けられるように配置される。
【0063】
[0074]「レイジーL」形状を有する補修用ストリンガを使用する全体的なストリンガ修復は更に、ハット型ストリンガ200の断面に沿った第3の装着箇所に第3の補修用ストリンガ420を配置することによって実行されうる。例えば、
図4Aに示しているように、第3の補修用ストリンガ420は、矢印3で示す第3の装着箇所に配置されて図示されている。第3の装着箇所において、第3の補修用ストリンガ420は、そのフランジセグメント422及びウェブセグメント424がそれぞれ、ベースストリンガ210の第2のフランジセグメント220及び第2のウェブセグメント218と面接合されるか又は隣接して位置付けられるように配置される。第3の補修用ストリンガ420が第3の装着箇所に配置されると、第3の補修用ストリンガ420のフランジセグメント422及びウェブセグメント424はそれぞれ、ベースストリンガ210の第2のフランジセグメント220及び第2のウェブセグメント218に平行に延在する。
【0064】
[0075]「レイジーL」形状を有する補修用ストリンガを使用する全体的なストリンガ修復は更に、ハット型ストリンガ200の断面に沿った第4の装着箇所に第4の補修用ストリンガ430を配置することによって実行されうる。例えば、
図4Aに示しているように、第4の補修用ストリンガ430は、矢印4で示す第4の装着箇所に配置されて図示されている。第4の装着箇所において、第4の補修用ストリンガ430は、第4の補修用ストリンガ430のウェブセグメント434及びキャップセグメント436がそれぞれ、ベースストリンガ210の第2のウェブセグメント218及びキャップセグメント216に平行に延在するように配置される。更に、第4の装着箇所において、第4の補修用ストリンガ430は、そのウェブセグメント434が、第3の補修用ストリンガ420のウェブセグメント424と面接合されるか又は隣接して位置付けられるように配置される。これより、第4の補修用ストリンガ430のウェブセグメント434は、第3の補修用ストリンガ420のウェブセグメント424と物理的に重複し、このとき、ウェブセグメント424は、ウェブセグメント434とベースストリンガ210の第2のウェブセグメント218との間に挟まれているか又は位置付けられている。更に、第4の装着箇所において、第4の補修用ストリンガ430は、そのキャップセグメント436が、第2の補修用ストリンガ410のキャップセグメント416と面接合されるか又は隣接して位置付けられるように配置される。第4の補修用ストリンガ430のキャップセグメント436は、例えば第3方向D3に沿って、ベースストリンガ210のキャップストリンガ216から隔たっている。
【0065】
[0076]「レイジーL」形状を有する補修用ストリンガを使用する全体的なストリンガ修復は更に、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ400、410、420、430を、それぞれの装着箇所でベースストリンガ210と連結することによって実行されうる。例えば、
図4Bに示しているように、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ400、410、420、430をベースストリンガ210と連結するために、複数のファスナ440が使用される。複数のファスナ440のうちの1つが、第1の補修用ストリンガ400のフランジセグメント402を、ベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212と連結しうる。複数のファスナ440のうちの1つは、第1の補修用ストリンガ400のウェブセグメント404と、第2の補修用ストリンガ410のウェブセグメント414と、ベースストリンガ210の第1のウェブセグメント214とを連結しうる。複数のファスナ440のうちの1つは、第2の補修用ストリンガ410のキャップセグメント416と、第3の補修用ストリンガ420のキャップセグメント436と、ベースストリンガ210のキャップセグメント216とを連結しうる。複数のファスナ440のうちの1つは、第3の補修用ストリンガ420のウェブセグメント424と、第4の補修用ストリンガ430のウェブセグメント434と、ベースストリンガ210の第2のウェブセグメント218とを連結しうる。最後に、複数のファスナ440のうちの1つが、第3の補修用ストリンガ420のフランジセグメント422を、ベースストリンガ210の第2のフランジセグメント220と連結しうる。リベット、ボルト、ネジ、アンカーなどを含むがこれらに限定されるわけではない、任意の好適な種類のファスナが利用されうる。代替的かつ例示的な態様では、第1、第2、第3、及び/又は第4の補修用ストリンガ400、410、420、430は、他の様態で(例えば圧縮プロセスと熱処理プロセスとの組み合わせによって)、ベースストリンガ210と連結されうる。
【0066】
[0077]
図4Bに示しているように、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ400、410、420、430がベースストリンガ210と連結されていれば、ハット型ストリンガ200は、修復済み又は補修済みのハット型ストリンガと見なされうる。
【0067】
[0078]特に、少なくとも部分的には第1の補修用ストリンガ400のジオメトリ配置又は断面形状により、第1の装着箇所は、第1の補修用ストリンガ400が配置されうる、ハット型ストリンガ200の断面に沿った複数の可能な装着箇所のうちの1つとなる。複数の可能な装着箇所の各々において、第1の補修用ストリンガ400の内側輪郭408は、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致する。例えば、第1の補修用ストリンガ400は、
図4A及び
図4Bで第2、第3、及び/又は第4の補修用ストリンガが示されている装着箇所のいずれか1つ、及び他の可能な装着箇所のいずれか1つに装着されるよう、垂直方向及び/又は水平方向に反転されてよく、第1の補修用ストリンガ400の内側輪郭は、内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致するか、又は輪郭224の少なくとも一部分を補完するように成形されている。第2の補修用ストリンガ410、第3の補修用ストリンガ420、及び第4の補修用ストリンガ430についても同じである。
このようにすることで、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ400、410、420、430の各々は、ハット型ストリンガ200の断面に沿って、複数の装着箇所に装着可能となる。
【0068】
[0079]一又は複数の補修用ストリンガであって、各々がレイジーL断面形状を有する補修用ストリンガを用いてハット型ストリンガを修復することで、特定の利点が提供されうる。例えば、部分断面がレイジーL形状であることにより、ハット型ストリンガの断面に沿った複数の装着箇所に補修用ストリンガが装着されることが可能になり、これにより、補修プロセスが柔軟になる。更に、シム使用が補修に必要とされることが、なくなりうるか、さもなければ大幅に低減されうる。例えば、
図4Bでは、ハット型ストリンガを修復するために、シム使用は必要とされていない。また、レイジーL断面形状を有する補修用ストリンガは2つのセグメントを含み、これらのセグメントは、一又は複数の他のストリンガの対応する2つのセグメントに接触することが可能である。この2点接触により、補修済みのハット型ストリンガに構造安定性がもたらされうる。更に、複数のレイジーL形状の補修用ストリンガを用いてハット型ストリンガを修復することには、かかるハット型ストリンガが、補修用ストリンガの形状又は角度の変更を要さずに重ねられうるという利点もあり、これにより、重ね配置のための個別適応の補修用ストリンガの必要性がなくなりうるか、又は大幅に低減されうる。かかる利点により、作業員が補修プロセスを実行すること、及び、補修部品を重ね、在庫することなどの容易さが向上しうる。
【0069】
[0080]
図4Cは、「レイジーZ」形状を有する複数の補修用ストリンガと「レイジーU」形状を有する1つの補修用ストリンガとを用いて全体的なストリンガ修復が行われている、別のハット型ストリンガの断面図である。詳細には、詳細には、第1の補修用ストリンガ400、第2の補修用ストリンガ420(
図4A及び
図4Bの第3の補修用ストリンガ420と同様に構成され、配向されている)、及び第3の補修用ストリンガ450を使用することにより、ベースストリンガ210に全体的なストリンガ修復のプロセスが行われている。第1及び第2の補修ストリンガ400、420はいずれも、第1方向D1に沿って見たときに、レイジーL形状、又はむしろレイジーL断面を有する。第3の補修用ストリンガ450は、第1方向D1に沿って見たときに、レイジーU形状、又はむしろレイジーU断面を有する。第3の補修用ストリンガ450は、例えば
図4Cに示しているように、上向き配向に、又は上下逆のレイジーUとなるように、配置されうる。第1、第2、及び第3の補修用ストリンガ400、420、450は各々、一又は複数のプライ(一又は複数の炭素繊維プライなど)で形成されうる。全体的なストリンガ修復は、ベースストリンガ210が損傷を受けたこと、又は別様にベースストリンガ210の構造的健全性が損なわれたことに応じて実行されうる。
【0070】
[0081]第1及び第2の補修用ストリンガ400、420は、
図4A及び
図4Bを参照して上述されたように配置されうる。第3の補修用ストリンガ450は、第1のウェブセグメント454、キャップセグメント456、及び第2のウェブセグメント458を含む。キャップセグメント456は、第1のウェブセグメント454と第2のウェブセグメント458との間に延在し、第1のウェブセグメント454と第2のウェブセグメント458とを接続する。第1のウェブセグメント454とキャップセグメント456との間に第1の鈍角が画定される。第2のウェブセグメント458とキャップセグメント456との間に第2の鈍角が画定される。
図4Cでは、第3の補修用ストリンガ450はフランジセグメントを含まない。
【0071】
[0082]第3の補修用ストリンガ450は、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致する、内側輪郭460を有する。
図4Cでは、第3の補修用ストリンガ450の内側輪郭460は、第3の補修用ストリンガ450の内面に沿って延在する点線によって表されている。図示しているように、第3の補修用ストリンガ450の内側輪郭460は、輪郭224の第1のウェブ部分224A,キャップ部分224B、及び第2のウェブ部分224Cに合致するか、又はこれらの部分を補完するように成形されている。換言すると、第3の補修用ストリンガ450の内側輪郭460は、第3の補修用ストリンガ450が隣接して配置される一又は複数のストリンガの外面に合致するか、又はかかる外面を補完するように成形されている。例えば、
図4Cに示しているように、第3の補修用ストリンガ450の内側輪郭460は、第1の補修用ストリンガ400の外面の少なくとも一部分、ベースラインストリンガ210の外面の少なくとも一部分、及び第2の補修用ストリンガ420の外面の少なくとも一部分に合致するか、又はこれらを補完するように成形されている。
【0072】
[0083]したがって、レイジーU形状を有する補修用ストリンガは、その第1のウェブセグメントが1つの補修用ストリンガのウェブセグメントに連結され、そのキャップセグメントが、ベースラインストリンガのキャップセグメントに連結され、かつベースラインストリンガのキャップセグメントの全長にわたり、更に、その第2のウェブセグメントが別の補修用ストリンガのウェブセグメントに連結されるように、配置されうる。かかる配置により、補修済みのハット型ストリンガのキャップセグメント及びウェブセグメントにおいて、有利な構造完全性等がもたらされうる。
【0073】
[0084]ここで
図5を参照するに、
図5は、「レイジーL」形状を有する少なくとも1つの補修用ストリンガを用いて部分的なストリンガ修復が行われている、
図2のハット型ストリンガ200を示している。詳細には、第1方向D1に沿って見たときに、レイジーL形状又はむしろレイジーL断面を有する単一の補修用ストリンガ(この例では第1の補修用ストリンガ500)を使用することにより、ベースストリンガ210に部分的なストリンガ修復のプロセスが行われている。第1の補修用ストリンガ500は、一又は複数のプライ(一又は複数の炭素繊維プライなど)で形成されうる。部分的なストリンガ修復は、(例えば、
図5の損傷部分204によって表されているように、)ベースストリンガ210が損傷を受けたこと、又は別様にベースストリンガ210の構造的健全性が損なわれたことに応じて実行されうる。損傷部分204は、この例では、第1のフランジセグメント212と第1のウェブセグメント214との間の移行部に位置しているが、他の例では、ハット型ストリンガ200の断面に沿った別の領域に位置していることもある。更に、一部の代替的かつ例示的な態様では、部分的なストリンガ修復に、「レイジーZ」形状を有する補修用ストリンガが使用されることもある。
【0074】
[0085]
図5に示しているように、第1の補修用ストリンガ500は、
図4A及び
図4Bの補修用ストリンガ400、410、420、430と同様に、第1のセグメント(例えばウェブセグメント)と第2のセグメントとを含み、第2のセグメントは、第1の補修用ストリンガ500の配向に応じて、フランジセグメント又はキャップセグメントでありうる。第1の補修用ストリンガ500の第2のセグメントは、その第1のセグメントと非平行である。第1の補修用ストリンガ500の第1のセグメントと第2のセグメントとの間に鈍角が画定される。
図5の例では、第1の補修用ストリンガ500の第1のセグメントはウェブセグメント504であり、第2のセグメントはフランジセグメント502である。
【0075】
[0086]第1の補修用ストリンガ500は、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致する、内側輪郭508を有する。
図5では、第1の補修用ストリンガ500の内側輪郭508は、第1の補修用ストリンガ500の内面に沿って延在する点線によって表されている。図示しているように、第1の補修用ストリンガ500の内側輪郭508は、少なくとも輪郭224の第1のウェブ部分224Aに合致するか、又は第1のウェブ部分224Aを補完するように成形されている。換言すると、第1の補修用ストリンガ500の内側輪郭508は、第1の補修用ストリンガ500が隣接して配置される一又は複数のストリンガの外面の少なくとも一部分に合致するか、又はかかる外面の少なくとも一部分を補完するように成形されている。例えば、
図5に示しているように、第1の補修用ストリンガ500の内側輪郭508は、ベースストリンガ210の外面228の少なくとも一部分に合致するか、又は外面228の少なくとも一部分を補完するように成形されている。更に、
図5に示している例では、第1の補修用ストリンガ500の断面積は、第1方向D1(例えば翼の翼長方向)に沿って見たときに、第1方向D1に沿って見たときのハット型ストリンガ200の合計断面積よりも小さい。
【0076】
[0087]「レイジーL」形状を有する補修用ストリンガを使用する部分的なストリンガ修復では、この部分的なストリンガ修復が、ハット型ストリンガ200の断面に沿った第1の装着箇所に第1の補修用ストリンガ500を配置することによって実行されうる。例えば、
図5に示しているように、第1の補修用ストリンガ500は、矢印1で示す第1の装着箇所に配置されて図示されている。第1の装着箇所において、第1の補修用ストリンガ500は、そのフランジセグメント502及びウェブセグメント504がそれぞれ、ベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212及び第1のウェブセグメント214と面接合されるか又は隣接して位置付けられるように配置される。第1の補修用ストリンガ500が第1の装着箇所に配置されると、第1の補修用ストリンガ500のフランジセグメント502及びウェブセグメント504はそれぞれ、ベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212及び第1のウェブセグメント214に平行に延在する。
【0077】
[0088]「レイジーL」形状を有する補修用ストリンガを使用する部分的なストリンガ修復は更に、第1の補修用ストリンガ500を、第1の装着箇所でベースストリンガ210と連結することによって実行されうる。例えば、
図5に示しているように、第1の補修用ストリンガ500をベースストリンガ210と連結するために、複数のファスナ520が使用される。複数のファスナ520のうちの1つが、第1の補修用ストリンガ500のフランジセグメント502を、ベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212と連結しうる。複数のファスナ520のうちの1つは、第1の補修用ストリンガ500のウェブセグメント504と、ベースストリンガ210の第1のウェブセグメント214とを連結しうる。リベット、ボルト、ネジ、アンカーなどを含むがこれらに限定されるわけではない、任意の好適な種類のファスナが利用されうる。代替的かつ例示的な態様では、第1の補修用ストリンガ500は、他の様態で(例えば圧縮プロセスと熱処理プロセスとの組み合わせによって)、ベースストリンガ210と連結されうる。
図5に示しているように、第1の補修用ストリンガ500がベースストリンガ210と連結されていれば、ハット型ストリンガ200は、修復済み又は補修済みのハット型ストリンガと見なされうる。
【0078】
[0089]特に、少なくとも部分的には第1の補修用ストリンガ500のジオメトリ配置又は断面形状により、第1の装着箇所は、第1の補修用ストリンガ500が配置されうる、ハット型ストリンガ200の断面に沿った複数の可能な装着箇所のうちの1つとなる。複数の可能な装着箇所の各々において、第1の補修用ストリンガ500の内側輪郭508は、ハット型ストリンガ200の内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致する。第1の補修用ストリンガ500は、別の可能な装着箇所において、垂直方向及び/又は水平方向に反転して配置されうる。
【0079】
[0090]一例としては、例えば、ベースストリンガ210の第2のウェブセグメント218と第2のフランジセグメント220との間の移行部に対する損傷を修復するために、第1の補修用ストリンガ500は、ウェブセグメント504及びフランジセグメント502がそれぞれベースストリンガ210の第2のウェブセグメント218及び第2のフランジセグメント220と位置合わせされるように、水平方向に反転して配置されうる。別の例としては、例えば、ベースストリンガ210の第1のウェブセグメント214とキャップセグメント216との間の移行部に対する損傷を修復するために、第1の補修用ストリンガ500は、ウェブセグメント504及びその第2のセグメントがそれぞれベースストリンガ210の第1のウェブセグメント214及びキャップセグメント216と位置合わせされるように、垂直方向に反転して配置されうる。更に別の例としては、例えば、ベースストリンガ210の第2のウェブセグメント218とキャップセグメント216との間の移行部に対する損傷を修復するために、第1の補修用ストリンガ500は、ウェブセグメント504及びその第2のセグメントがそれぞれベースストリンガ210の第2のウェブセグメント218及びキャップセグメント216と位置合わせされるように、垂直方向と水平方向の両方に反転して配置されうる。可能な装着箇所のいずれにおいても、第1の補修用ストリンガ500の内側輪郭は、内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致するか、又はかかる一部分を補完する。
【0080】
[0091]本書で開示している補修用ストリンガを用いるハット型部分的なストリンガ修復では、かかる補修用ストリンガがレイジーL断面形状又はレイジーZ断面形状を有することで、特定の利点が提供されうる。例えば、本開示の補修用ストリンガは、ハット型ストリンガの合計断面に対して部分的な断面を有するが、これにより、補修用ストリンガが、ハット型ストリンガの損傷したセクションに戦略的かつ集中的に配置されることが可能になる。これにより、補修に使用される材料を削減することも可能になり、そのため、航空機の重量が有利に低減されうる。
【0081】
[0092]ここで
図6Aを参照するに、
図6Aは、「レイジーL」形状を有する補修用ストリンガを用いてスプライス修復が行われている、
図2のハット型ストリンガ200を示している。詳細には、複数の戦略的に配置され、配向された補修用ストリンガによって、ベースストリンガ210にスプライス修復のプロセスが行われており、かかる補修用ストリンガは、スプライス修復の必要に応じてハット型ストリンガ200の主に第1の側232に配置された補修用ストリンガの第1のセット600と、主に第2の側234に配置された補修用ストリンガの第2のセット602とを含む。第1のセット600は、第1の補修用ストリンガ610、第2の補修用ストリンガ620、第3の補修ストリンガ630、及び第4の補修用ストリンガ640を含む。第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ610、620、630、640は、それらのそれぞれの装着位置又は配向に関わらず、各々、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致する、内側輪郭を有するよう成形されている。一部の態様では、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ610、620、630、640は全て、例えば第1方向D1(航空機の翼に沿った翼長方向でありうる)に沿って見たときに、互いと同じ断面形状を有する。
【0082】
[0093]第2のセット602は、第1の補修用ストリンガ650、第2の補修用ストリンガ660、第3の補修ストリンガ670、及び第4の補修用ストリンガ680を含む。補修用ストリンガ610、620、630、640、650、660、670、680(すなわち610-680)は各々、一又は複数のプライ(一又は複数の炭素繊維プライなど)で形成されうる。第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ650、660、670、680は、それらのそれぞれの装着位置又は配向に関わらず、各々、ハット型ストリンガ200によって画定された内部空洞222の輪郭224の少なくとも一部分に合致する内側輪郭を有するよう成形されている。一部の態様では、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ650、660、670、680は全て、例えば第1方向D1(航空機の翼に沿った翼長方向でありうる)に沿って見たときに、互いと同じ断面形状を有する。
【0083】
[0094]スプライス修復は、ベースストリンガ210が、逸失セクション(例えば、
図6Aに示している逸失セクション206)を伴うように損傷したことに応じて実行されうる。
図6Aの例では、ベースストリンガ210の第1のウェブセグメント、キャップセグメント、及び第2のウェブセグメントが逸失しており、ゆえに、これらが集合的に、ベースストリンガ210の逸失セクション206又は欠けを形成している。ベースストリンガ210の逸失セクション206が以前位置していたところに、平面208が画定されうる。平面208は、
図6Aでは点線で示されている。
【0084】
[0095]「レイジーL」形状を有する補修用ストリンガを使用するスプライス修復では、このスプライス修復は、補修用ストリンガの第1のセット600を構築することによって実行されうる。詳細には、第1のセット600を構築することは、第1の補修用ストリンガ610のセグメント(例えばウェブセグメント614)が、ベースストリンガ210の逸失セクション206が以前位置していた平面208に、又はかかる平面208に隣接して位置付けられるように、第1の補修用ストリンガ610を配置することを含みうる。
図6Aでは、第1の補修用ストリンガ610のウェブセグメント614は、少なくとも部分的に、ベースストリンガ210の第1のウェブセグメントが以前位置していた平面208に位置付けられている。
【0085】
[0096]第1のセット600を構築することは、第2の補修用ストリンガ620と第3の補修用ストリンガ630のセグメント(例えば、第2の補修用ストリンガ620のウェブセグメント624と第3の補修用ストリンガ630のウェブセグメント634)が、平面208内に位置付けられた第1の補修用ストリンガ610のセグメント(例えばウェブセグメント614)を挟むように、第2の補修用ストリンガ620及び第3の補修用ストリンガ630を配置することを、更に含む。
図6Aに示しているように、第3の補修用ストリンガ630はフランジセグメント632を有し、フランジセグメント632は、ベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212と面接合されるか又は隣接して位置付けられる。第2の補修用ストリンガ620はフランジセグメント622を有し、フランジセグメント622は、第3の補修用ストリンガ630のフランジセグメント632と面接合されるか又は隣接して位置付けられる。フランジセグメント622、632は、ウェブセグメント624、634の間に空間又は間隙が画定されるように、第1のフランジセグメント212に対して配置される。ウェブセグメント624、634の間の間隙は、第1の補修用ストリンガ610のウェブセグメント614を受容するように、又はむしろ、ウェブセグメント614がウェブセグメント624、634の間に挟まれるように、サイズ決定される。ウェブセグメント624、634の間にウェブセグメント614を位置付けることで、ハット型ストリンガ200の構造完全性が有利に向上しうる。
【0086】
[0097]第1の側232に沿って補修用ストリンガの第1のセット600を組み立てることは、第4の補修用ストリンガ640のセグメント(例えばウェブセグメント644)と第1の補修用ストリンガ610のセグメント(例えばウェブセグメント614)とが、第2の補修用ストリンガ620(例えばウェブセグメント624)を挟むように、第4の補修用ストリンガ640を配置することを更に含みうる。
図6Aに示しているように、第1の補修用ストリンガ610と第4の補修用ストリンガ640とは、これらのそれぞれのウェブセグメント614、644の間に空間又は間隙を画定するように配置される。ウェブセグメント614、644の間の間隙は、第2の補修用ストリンガ620のウェブセグメント624が、その中に受容されうるように、又はむしろ、ウェブセグメント624がウェブセグメント614、644の間に挟まれうるように、サイズ決定される。ウェブセグメント614、644の間のウェブセグメント624は、ハット型ストリンガ200の構造完全性を有利に向上させうる。
【0087】
[0098]
図6Aに示しているように、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ610、620、630、640が上述のように配置された状態では、第2と第3の補修用ストリンガ620、630が同じ装着配向を有し、第1と第4の補修用ストリンガ610、640が同じ装着配向を有する。図示しているように、第2と第3の補修用ストリンガ620、630は第1と第4の補修用ストリンガ610、640に対して、垂直方向及び水平方向に反転して配向される。
【0088】
[0099]第1の側232に沿って補修用ストリンガの第1のセット600を組み立てることは、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ610、620、630、640をベースストリンガ210と連結することを更に含みうる。例えば、
図6Aに示しているように、第1のセット600の第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ610、620、630、640をベースストリンガ210と連結するために、複数のファスナ690が使用される。複数のファスナ690のうちの1つは、第2の補修用ストリンガ620のフランジセグメント622及び第3の補修用ストリンガ630のフランジセグメント632を、ベースストリンガ210の第1のフランジセグメント212と連結しうる。複数のファスナ690のうちの1つは、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ610、620、630、640のウェブセグメント614、624、634、644を連結しうる。第1と第4の補修用ストリンガ610、640は、ベースストリンガ210と連結された第2と第3の補修用ストリンガ620、630に連結されるので、結果的に、ベースストリンガ210とも連結される。リベット、ボルト、ネジ、アンカーなどを含むがこれらに限定されるわけではない、任意の好適な種類のファスナが利用されうる。代替的かつ例示的な態様では、第1のセット600の第1、第2、第3、及び/又は第4の補修用ストリンガ610、620、630、640は、ベースストリンガ210と、他の様態で(例えば圧縮プロセスと熱処理プロセスとの組み合わせによって)連結されうる。
【0089】
[0100]第1のセット600の第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ610、620、630、640が定位置に配置され、ベースストリンガ210と連結されていると、第1のセット600は、ベースストリンガ210の第1のウェブセグメント及びキャップセグメントの第1の部分を補修していると見なされうる。
【0090】
[0101]更に、補修用ストリンガの第2のセット602を組み立てることによって、スプライス修復が実行されうる。詳細には、補修用ストリンガの第2のセット602は、第1、第2、第3、及び/又は第4の補修用ストリンガ650、660、670、680を、第1のセット600に対して上述のように配置し、更に、ベースストリンガ210(例えば、ベースストリンガ210の第2のフランジセグメント220)に連結することを含みうる。
【0091】
[0102]第1のセット600の第1と第4の補修用ストリンガ610、640が上述のように配置された状態では、これらのそれぞれのキャップセグメント616、646の間に、間隙が画定される。
図6Aの例では、キャップセグメント616、646の間に画定される間隙は、ベースストリンガ210の逸失セクション206が以前位置していた平面208に配置される。この間隙は、(例えば第3方向D3に沿って、)別の補修用ストリンガ(例えば、
図6Aでは、第2のセット602の第1の補修用ストリンガ650のキャップセグメント656)を受容することが可能になるようにサイズ決定される。更に、第2のセット602の第1の補修用ストリンガ650及び第4の補修用ストリンガ680が上述のように配置された状態では、これらのそれぞれのキャップセグメント656、686の間に、間隙が画定される。
図6Aの例では、キャップセグメント616、646の間に画定される間隙は、ベースストリンガ210の逸失セクション206が以前位置していた平面208に配置される。この間隙は、(例えば第3方向D3に沿って、)別の補修用ストリンガ(例えば、
図6Aでは、第1のセット600の第4の補修用ストリンガ640のキャップセグメント646)を受容することが可能になるようにサイズ決定される。
【0092】
[0103]
図6Aに更に示しているように、第2のセット602の第4の補修用ストリンガ680のキャップセグメント686の内面は、第1のセット600の第4の補修用ストリンガ640の外面646と面接合されるか又は隣接して位置付けられる。これより、第2のセット602の第4の補修用ストリンガ680のキャップセグメント686は、第1のセット600の第4の補修用ストリンガ640のキャップセグメント646と物理的に重複する。第1のセット600の第4の補修用ストリンガ640のキャップセグメント646は、第2のセット602の第1の補修用ストリンガ650のキャップセグメント656と物理的に重複する。第2のセット602の第1の補修用ストリンガ650のキャップセグメント656は、第1のセット600の第1の補修用ストリンガ610のキャップセグメント616と物理的に重複する。
【0093】
[0104]更に、
図6Aに示しているように、補修用ストリンガ610、650、640、680の各々のキャップセグメント616、656、646、686は、それぞれの主要な側から、中央平面230を横切って延在する。例えば、第1の補修用ストリンガ610は、主にハット型ストリンガ200の第1の側232に位置付けられるが、キャップセグメント616の端部は、中央平面230を横切って第2の側234に延在する。第1の補修用ストリンガ650は、主にハット型ストリンガ200の第2の側234に位置付けられるが、キャップセグメント656の端部は、中央平面230を横切って第1の側232に延在する。同様に、第4の補修用ストリンガ640は、主にハット型ストリンガ200の第1の側232に位置付けられるが、キャップセグメント646の端部は、中央平面230を横切って、第2の側234に延在する。第4の補修用ストリンガ680は、主にハット型ストリンガ200の第2の側234に位置付けられるが、キャップセグメント686の端部は、中央平面230を横切って、第1の側232に延在する。複数のファスナ690のうちの1つは、
図6Aに示しているように、キャップセグメント616、656、646、686を連結することが可能であり、これにより、第1のセット600が第2のセット602と連結される。
【0094】
[0105]第2のセット602の第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガ650、660、670、680が定位置に配置され、ベースストリンガ210と連結されていると、第2のセット602は、ベースストリンガ210の第2のウェブセグメント及びキャップセグメントの第2の部分を補修していると見なされうる。第1と第2のセット600、602が上述のように連結されていると、第1のフランジセグメント212及び第2のフランジセグメント220は互いにスプライスされて、スプライス修復が完了していると見なされうる。
【0095】
[0106]一部の更なる例示的な態様では、ハット型ストリンガに、補修用ストリンガの単一のセット(例えば「レイジーZ」補修用ストリンガのセット)のみを用いてスプライス修復が行われることもある。例えば、
図6Bを簡潔に参照するに、補修用ストリンガの第1のセット600が、ハット型ストリンガ200の断面から逸失している、第1のウェブセグメントとキャップセグメント216の一部分とを補修するために利用されて図示されている。この例では、ベースストリンガ210は、損傷を受けおらず、別様に構造的健全性が損なわれてもいない。したがって、
図6Bの例では、スプライス修復を完了するために、補修用ストリンガの第2のセット(例えば
図6Aの第2のセット602)は必要ではない。
【0096】
[0107]更に別の例示的な態様では、ハット型ストリンガに、少なくとも1つのレイジーZ形状の補修用ストリンガ、及び少なくとも1つのレイジーL形状の補修用ストリンガを使用して、全体的な修復、部分的な修復、又はスプライス修復が行われうる。
【0097】
[0108]一部の例示的な態様では、本書で開示している技法のいずれかに従ってハット型ストリンガを補修又は修復するために使用されうる、補修用ストリンガが提供される。補修用ストリンガはウェブセグメントを含みうる。ウェブセグメントは、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭のウェブ部分に合致するよう成形された内側輪郭を有する、補修用ストリンガは、ウェブセグメントから延在する、キャップセグメントとフランジセグメントの少なくとも一方を、更に含みうる。補修用ストリンガは、ハット型ストリンガの合計断面に対して部分的な断面を有しうる。補修用ストリンガは、(例えば、ハット型ストリンガの翼長方向に沿って見たときの)ハット型ストリンガの断面に沿って、複数の可能な装着箇所に装着されうる。複数の可能な装着箇所の各々で、補修用ストリンガは、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する内側輪郭を有するように成形されている。補修用ストリンガは、一又は複数のプライ(一又は複数の炭素繊維強化ポリマー(CFRP)プライなど)で形成されうる。かかる補修用ストリンガの例は、
図3A及び
図3B、
図3C、
図4A及び
図4B、
図5、並びに
図6A及び
図6Bの例に提示されている。
【0098】
[0109]更に別の例示的な態様では、ハット型ストリンガ、又はむしろ、補修語若しくは修復済みのハット型ストリンガが提供される。ハット型ストリンガは、ストリンガ(例えば、ベースストリンガ又は既存の補修用ストリンガ)を含む。ハット型ストリンガは、このストリンガと連結された、少なくとも1つの補修用ストリンガを更に含む。補修用ストリンガは、ハット型ストリンガの断面に沿った複数の可能な装着箇所のうちの1つである装着箇所で、ストリンガと連結され、かつ、複数の可能な装着箇所の各々において、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する内側輪郭を有するよう成形されている。補修用ストリンガの断面積は、ハット型ストリンガの合計断面積よりも小さい。かかる補修済みのハット型ストリンガの例は、
図3B、
図3C、
図4B、
図5、及び
図6Bの例に提示されている。
【0099】
[0110]一部の態様では、補修済みのハット型ストリンガは、少なくとも1つのレイジーZの補修用ストリンガと少なくとも1つのレイジーLの補修用ストリンガと含みうる。
【0100】
[0111]
図7は、ハット型ストリンガ(航空機の翼のハット型ストリンガなど)を補修する方法700のフロー図を提示している。
【0101】
[0112]方法700は、702において、ハット型ストリンガの断面に沿った複数の可能な装着箇所のうちの1つである装着箇所に補修用ストリンガを配置することを含み、複数の可能な装着箇所の各々において、補修用ストリンガの内側輪郭の少なくとも一部分は、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致し、第1方向に沿って見たときの補修用ストリンガの断面積は、第1方向に沿って見たときのハット型ストリンガの合計断面積よりも小さい。これより、補修用ストリンガは、ハット型ストリンガに対して、部分的な断面を有すると見なされうる。補修用ストリンガは、ベースストリンガ及び/又は別のストリンガ(例えば別の補修用ストリンガ)に対して配置されうる。
【0102】
[0113]方法の一部の実行形態では、複数の可能な装着箇所の各々で、補修用ストリンガは、ストリンガのウェブセグメントに平行に延在するウェブセグメントを有する。換言すると、複数の可能な装着箇所の各々で、補修用ストリンガは、内部空洞の輪郭のウェブ部分に平行に延在するウェブセグメントを有する。一部の更なる実行形態では、複数の可能な装着箇所の各々で、補修用ストリンガは、ストリンガのキャップセグメント又はフランジセグメントに平行に延在する少なくとも1つのセグメントを有する。換言すると、複数の可能な装着箇所の各々で、補修用ストリンガは、内部空洞の輪郭のキャップ部分又はストリンガのフランジセグメントに平行に延在する少なくとも1つのセグメントを有する。また別の実行形態では、複数の可能な装着箇所の各々で、補修用ストリンガは、ストリンガのキャップセグメントに平行に延在する1つのセグメント、及びストリンガのフランジセグメントに平行に延在する1つのセグメントを有する。換言すると、複数の可能な装着箇所の各々で、補修用ストリンガは、内部空洞の輪郭のキャップ部分に平行に延在する1つのウェブセグメント、及びストリンガのフランジセグメントに平行に延在する1つのセグメントを有する。
【0103】
[0114]また更なる実行形態では、ハット型ストリンガは、ハット型ストリンガの第1の側と第2の側とを区分する中央平面を画定する。かかる実行形態では、複数の可能な装着箇所は、補修用ストリンガが主にハット型ストリンガの第1の側に位置付けられる第1の可能な装着箇所、及び補修用ストリンガが主にハット型ストリンガの第2の側に位置付けられる第2の可能な装着箇所を含む。このようにすることで、補修用ストリンガは、ハット型ストリンガの第1の側にも第2の側にも装着可能となり、補修用ストリンガが、第1の可能な装着箇所に装着されるか、第2の可能な装着箇所に装着されるかに関わらず、補修用ストリンガの内側輪郭の少なくとも一部分は、ハット型ストリンガによって画定される内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する。
【0104】
[0115]更なる実行形態では、補修用ストリンガは、キャップセグメント、フランジセグメント、及びキャップセグメントとフランジセグメントとの間に延在してキャップセグメントとフランジセグメントとを接続するウェブセグメントを有する。例えば、補修用ストリンガは、「レイジーZ」の断面を有しうる。かかる実行形態では、補修用ストリンガがその装着箇所に配置されると、補修用ストリンガのキャップセグメント、ウェブセグメント、及びフランジセグメントはそれぞれ、ストリンガのキャップセグメント、ウェブセグメント、及びフランジセグメントに平行に延在する。換言すると、補修用ストリンガがその装着箇所に配置されると、補修用ストリンガのキャップセグメント、ウェブセグメント、及びフランジセグメントはそれぞれ、内部空洞の輪郭のキャップ部分、内部空洞の輪郭のウェブ部分、及びストリンガのフランジセグメントに平行に延在する。
【0105】
[0116]一部の追加の実行形態では、複数の可能な装着箇所が、少なくとも4つの可能な装着箇所を含む。かかる実行形態では、ハット型ストリンガは、ハット型ストリンガの第1の側と第2の側とを区分する中央平面を画定し、少なくとも4つの可能な装着箇所は、補修用ストリンガが主にハット型ストリンガの第1の側に位置付けられる少なくとも2つの可能な装着箇所、及び補修用ストリンガが主にハット型ストリンガの第2の側に位置付けられる少なくとも2つの可能な装着箇所を含みうる。
【0106】
[0117]一部の実行形態では、補修用ストリンガが主にハット型ストリンガの第1の側に位置付けられる少なくとも2つの可能な装着箇所は、第1の装着箇所と第2の装着箇所とを含み、第1の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガの第1のフランジセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第1のウェブセグメントに平行に延在し、第2の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガのキャップセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第1のウェブセグメントに平行に延在する。更に、かかる実行形態では、補修用ストリンガが主にハット型ストリンガの第2の側に位置付けられる少なくとも2つの可能な装着箇所は、第1の装着箇所と第2の装着箇所とを含み、第2の側の第1の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガのキャップセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第2のウェブセグメントに平行に延在し、第2の側の第2の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガの第2のフランジセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第2のウェブセグメントに平行に延在する。
【0107】
[0118]複数の可能な装着箇所が少なくとも4つの可能な装着箇所を含む、一部の更なる実行形態では、ストリンガは、第1のフランジセグメントと、第1のウェブセグメントと、キャップセグメントと、第2のウェブセグメントと、第2のフランジセグメントとを含み、ハット型ストリンガの断面に沿った複数の可能な装着箇所は、第1の装着箇所、第2の装着箇所、第3の装着箇所、及び第4の装着箇所を含む。第1の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガの第1のフランジセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第1のウェブセグメントに平行に延在する。第2の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガのキャップセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第1のウェブセグメントに平行に延在する。第3の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガのキャップセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第2のウェブセグメントに平行に延在する。第4の装着箇所において、補修用ストリンガの1つのセグメントは、ストリンガの第2のフランジセグメントに平行に延在し、補修用ストリンガのまた1つのセグメントは、ストリンガの第2のウェブセグメントに平行に延在する。かかる実行形態では、補修用ストリンガは第1の補修用ストリンガであってよく、装着箇所は第1の装着箇所であってよく、方法は、第2の装着箇所に第2の補修用ストリンガを配置することと、第3の装着箇所に第3の補修用ストリンガを配置することと、第4の装着箇所に第4の補修用ストリンガを配置することと、第2の装着箇所、第3の装着箇所、及び第4の装着箇所で、ストリンガに、第2の補修用ストリンガ、第3の補修用ストリンガ、及び第4の補修用ストリンガをそれぞれ連結することと、を更に含んでよく、第1の補修用ストリンガは、第1の装着箇所で、ストリンガに連結される。
【0108】
[0119]一部の更なる実行形態では、第1と第2の補修用ストリンガは互いに物理的に重複し、第2と第3の補修用ストリンガは互いに物理的に重複し、かつ、第3と第4の補修用ストリンガは互いに物理的に重複する(
図4A及び
図4Bの例等参照)。また別の実行形態では、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガは全て同じ断面を有し、第2の補修用ストリンガは、第1の補修用ストリンガに対して、垂直方向及び水平方向に反転して配向され、第3の補修用ストリンガは、第1の補修用ストリンガに対して、垂直方向に反転して配向され、第4の補修用ストリンガは、第1の補修用ストリンガに対して、水平方向に反転して配向される(
図4A及び
図4Bの例等参照)。
【0109】
[0120]方法700の一部の実行形態では、補修用ストリンガは、「レイジーZ」断面形状を有してよく、かつハット型ストリンガの断面に沿った複数の可能な装着箇所に装着可能でありうる。また、補修用ストリンガの内側輪郭の少なくとも一部分は、その装着箇所に関わらず、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する。例えば、補修用ストリンガは、
図3A及び
図3Bで第1の補修用ストリンガ300が装着されている装着箇所に、
図3A及び
図3Bで第2の補修用ストリンガ310が装着されている装着箇所に、又は他のどこかの装着箇所に装着されうる。これらの装着箇所の各々で、補修用ストリンガの内側輪郭は、ハット型ストリンガの内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する。一部の実行形態では、補修用ストリンガは、少なくとも2つの可能な装着箇所に装着可能である。一部の実行形態では、「レイジーZ」断面形状を有する補修用ストリンガは、ハット型ストリンガの断面に沿った複数の可能な装着箇所に、かつ、これらの可能な装着箇所のうちの少なくとも2つの装着箇所に異なる装着配向で(例えば、第1の装着箇所では補修用ストリンガがある上下配向となる第1の配向で、第2の装着箇所では補修用ストリンガが第1の配向に対して水平方向に反転した第2の配向で)、装着されることが可能である。各装着配向において、補修用ストリンガの内側輪郭の少なくとも一部分は、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する。
【0110】
[0121]方法700の一部の別の実行形態では、補修用ストリンガは、「レイジーZ」断面形状を有してよく、かつハット型ストリンガの断面に沿った複数の可能な装着箇所に装着可能でありうる。また、補修用ストリンガの内側輪郭の少なくとも一部分は、その装着箇所に関わらず、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する。例えば、補修用ストリンガは、
図4A及び
図4Bで第1の補修用ストリンガ400が装着されている装着箇所に、
図4A及び
図4Bで第2の補修用ストリンガ410が装着されている装着箇所に、
図4A及び
図4Bで第3の補修用ストリンガ420が装着されている装着箇所に、
図4A及び
図4Bで第4の補修用ストリンガ430が装着されている装着箇所に、又はどこか別の装着箇所に、装着されうる。これらの装着箇所の各々で、補修用ストリンガの内側輪郭は、ハット型ストリンガの内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する。一部の実行形態では、補修用ストリンガは、少なくとも4つの可能な装着箇所に装着可能である。
【0111】
[0122]一部の更なる実行形態では、「レイジーL」断面形状を有する補修用ストリンガは、ハット型ストリンガの断面に沿った複数の可能な装着箇所に、かつ、これらの可能な装着箇所のうちの少なくとも4つの装着箇所に異なる装着配向で(例えば、第1の装着箇所では補修用ストリンガがある上下配向となる第1の配向で、第2の装着箇所では補修用ストリンガが第1の配向に対して上下逆になる第2の配向で、第3の装着箇所では補修用ストリンガが第1の配向に対して同じ上下配向であるが水平方向に反転した第3の配向で、第4の装着箇所では補修用ストリンガが第1の配向に対して上下逆でありかつ水平方向に反転した第4の配向で)、装着されることが可能である。各装着配向において、補修用ストリンガの内側輪郭の少なくとも一部分は、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する。
【0112】
[0123]方法700は、704において、装着箇所において補修用ストリンガをハット型ストリンガのストリンガと連結することを含む。例えば、補修用ストリンガは、好適な様態で(例えば機械的ファスナ、熱処理プロセス、圧縮プロセス、これらの組み合わせなどによって)、ハット型ストリンガと連結されうる。
【0113】
[0124]一部の更なる実行形態では、補修用ストリンガは第1の補修用ストリンガであってよく、方法700は、ハット型ストリンガの断面に沿ったある装着箇所に第2の補修用ストリンガを配置することであって、第2の補修用ストリンガは、内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する内側輪郭を有するように成形されている、第2の補修用ストリンガを配置することを、更に含みうる。第1の補修用ストリンガと同様に、第1方向に沿って見たときの第2の補修用ストリンガの断面積は、第1方向に沿って見たときのハット型ストリンガの合計断面積よりも小さい。これより、第2の補修用ストリンガは、ハット型ストリンガに対して、部分的な断面を有すると見なされうる。一部の実行形態では、第2の補修用ストリンガは、例えば第1方向に沿って見たときに、第1の補修用ストリンガと同じ断面形状を有する。
【0114】
[0125]一部の更なる実行形態では、第2の補修用ストリンガは、第2の補修用ストリンガのキャップセグメントと第1の補修用ストリンガのキャップセグメントとが物理的に重複し、かつ、これらのキャップセグメントが各々、ストリンガのキャップセグメントに平行に延在するように、又は換言すると、これらのキャップセグメントが各々、ハット型ストリンガの内部空洞の輪郭のキャップ部分に平行に延在するように、配置される。また更なる実行形態では、第1の補修用ストリンガは、ストリンガの第1のウェブセグメントと物理的に重複するウェブセグメントを有し、第2の補修用ストリンガは、ストリンガの第2のウェブセグメントと物理的に重複するウェブセグメントを有する。
【0115】
[0126]更に追加の実行形態では、第2の補修用ストリンガは、ストリンガの第2のフランジセグメントに平行に延在するが、ストリンガの第2のフランジセグメントから隔たっているフランジセグメントを有する。かかる実行形態では、方法700は、第2のフランジセグメントと第2の補修用ストリンガのフランジセグメントとの間に一又は複数のシムを配置することを更に含みうる。
【0116】
[0127]ハット型ストリンガの断面に沿って第2の補修用ストリンガが配置される実行形態では、方法700は、704において、例えば機械的ファスナ、熱処理プロセス、圧縮プロセス、これらの組み合わせなどによって、第2の補修用ストリンガをストリンガに連結することを更に含みうる。
【0117】
[0128]
図8は、ハット型ストリンガ(航空機の翼のハット型ストリンガなど)を補修する方法800のフロー図を提示している。
【0118】
[0129]方法800は、802において、ハット型ストリンガの断面に沿って第1の補修用ストリンガを配置することであって、第1の補修用ストリンガの内側輪郭が、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する、第1の補修用ストリンガを配置することを含む。一例としては、第1の補修用ストリンガは、「レイジーZ」断面形状を有しうる。別の例としては、第1の補修用ストリンガは、「レイジーL」断面形状を有しうる。第1の補修用ストリンガは、第1の補修用ストリンガの少なくとも第1のセグメントが内部空洞の輪郭のウェブ部分に平行に配置されるように、かつ、第1の補修用ストリンガの第2のセグメントが内部空洞の輪郭のキャップ部分に平行に配置されるか、又は、第2のセグメントがベースストリンガのフランジセグメントに平行に配置されるように、配置されうる。一部の実行形態では、第1の補修用ストリンガは、第1のセグメントを介して第2のセグメントに接続されている、第3のセグメントを含みうる。第3のセグメントは、第2のセグメントに平行に延在する。
【0119】
[0130]方法800は、804において、ハット型ストリンガの断面に沿って第2の補修用ストリンガを配置することであって、第2の補修用ストリンガの内側輪郭が、内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する、第2の補修用ストリンガを配置することを含み、第1の補修用ストリンガと第2の補修用ストリンガとは、第2の補修用ストリンガのセグメントが第1の補修用ストリンガのセグメントと物理的に重複するように配置される。一例としては、第2の補修用ストリンガは、「レイジーZ」断面形状を有しうる。別の例としては、第2の補修用ストリンガは、「レイジーL」断面形状を有しうる。第2の補修用ストリンガは、第2の補修用ストリンガの少なくとも第1のセグメントが内部空洞の輪郭のウェブ部分に平行に配置されるように配置されうる。内部空洞の輪郭のウェブ部分は、第1の補修用ストリンガの第1のセグメントが平行に位置合わせされているのと同じウェブ部分であっても、それとは異なるウェブ部分であってもよい。第2の補修用ストリンガの第2のセグメントは、内部空洞の輪郭のキャップ部分に平行に、又は、第2の補修用ストリンガの第2のセグメントがベースストリンガのフランジセグメントに平行に配置されるように、配置されうる。一部の実行形態では、第2の補修用ストリンガは、第2の補修用ストリンガの第1のセグメントを介して第2の補修用ストリンガの第2のセグメントに接続されている、第3のセグメントを含みうる。第2の補修用ストリンガの第3のセグメントは、第2の補修用ストリンガの第2のセグメントに平行に延在する。
【0120】
[0131]更に、一部の実行形態では、第1及び第2の補修用ストリンガは、ハット型ストリンガのウェブセクションに沿って、第2の補修用ストリンガのセグメントが第1の補修用ストリンガのセグメントとが物理的に重複するように配置される(一例が
図4Aに示されており、そこでは、ハット型ストリンガ200のウェブセクションに沿って、第2の補修用ストリンガ410のウェブセグメント414が第1の補修用ストリンガ400のウェブセグメント404と物理的に重複している)。また別の実行形態では、第1及び第2の補修用ストリンガは、ハット型ストリンガのキャップセクションに沿って、第2の補修用ストリンガのセグメントが第1の補修用ストリンガのセグメントとが物理的に重複するように配置される(一例が
図3Bに示されており、そこでは、ハット型ストリンガ200のキャップセクションに沿って、第2の補修用ストリンガ310のキャップセグメント316が第1の補修用ストリンガ300のキャップセグメント306と物理的に重複している)。
【0121】
[0132]方法800は、806において、第1の補修用ストリンガ及び第2の補修用ストリンガを、ハット型ストリンガのストリンガと連結することを含む。例えば、補修用ストリンガは、例えば機械的ファスナ(
図3B、
図3C、
図4Bの例におけるものなど)、熱処理プロセス、圧縮プロセス、これらの組み合わせなどによる、好適な様態で、ハット型ストリンガと連結されうる。
【0122】
[0133]
図9は、ハット型ストリンガ(航空機の翼のハット型ストリンガなど)のスプライス補修を実行する方法900のフロー図を提示している。
【0123】
[0134]方法900は、902において、第1の補修用ストリンガのセグメントが、ベースストリンガの逸失セクションが以前位置していた平面内に、又はかかる平面に隣接して位置付けられるように、第1の補修用ストリンガを配置することを含む。例として、
図6Aでは、第1の補修用ストリンガ610は、第1の補修用ストリンガ610のウェブセグメント614が、ベースストリンガ210の逸失セクション206が以前位置していた平面208内に、又はかかる平面208に隣接して位置付けられるように、配置されて図示されている。
図6Bは別の例を提示している。一部の実行形態では、逸失セクションは、ベースストリンガの一又は複数のウェブセグメント、キャップセグメント、又はこれらの組み合わせを含みうる。
【0124】
[0135]方法900は、904において、第2の補修用ストリンガのセグメントと第3の補修用ストリンガのセグメントとが、前述の平面内に又は前述の平面に隣接して位置付けられた第1の補修用ストリンガのセグメントを挟むように、第2の補修用ストリンガ及び第3の補修用ストリンガを配置することを、更に含む。例として、
図6Aでは、第2の補修用ストリンガ620及び第3の補修用ストリンガ630は、これらのそれぞれのウェブセグメント624、634が、平面208内に又は平面208に隣接して位置付けられた第1の補修用ストリンガ610のウェブセグメント614を挟むように、配置されて図示されている。
図6Bは別の例を提示している。
【0125】
[0136]方法900は、906において、第4の補修用ストリンガのセグメントと第1の補修用ストリンガとが第2の補修用ストリンガを挟むように、第4の補修用ストリンガを配置することも含む。例として、
図6Aでは、第4の補修用ストリンガ640は、第4の補修用ストリンガ640のウェブセグメント644と第1の補修用ストリンガ610のウェブセグメント614が、第2の補修用ストリンガ620のウェブセグメント624を挟むように、配置されて図示されている。
図6Bは別の例を提示している。
【0126】
[0137]方法900は、908において、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガを、ベースストリンガと連結することも含む例えば、補修用ストリンガは、例えば機械的ファスナ(
図6A又は
図6Bの例におけるものなど)、熱処理プロセス、圧縮プロセス、これらの組み合わせなどによる、好適な様態で、ベースストリンガと連結されうる。
【0127】
[0138]一部の実行形態では、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガは全て、ハット型ストリンガによって画定された内部空洞の輪郭の少なくとも一部分に合致する内側輪郭を有するように成形されている。一部の更なる実行形態では、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガは全て互いに同じ断面を有する。
【0128】
[0139]一部の更なる実行形態では、第2と第3の補修用ストリンガは同じ装着配向を有し、第1と第4の補修用ストリンガは同じ装着配向を有する。例えば、
図6Aの例では、第2と第3の補修用ストリンガ620、630は同じ装着配向を有し、第1と第4の補修用ストリンガ610、640は同じ装着配向を有する。詳細には、
図6Aの例では、第2と第3の補修用ストリンガ620、630は第1と第4の補修用ストリンガ610、640に対して、垂直方向及び水平方向に反転して配向される。
【0129】
[0140]一部の実行形態では、逸失セクションは、ベースストリンガの第1のウェブセグメント、キャップセグメント、及び第2のウェブセグメント含む。かかる実行形態では、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガは補修用ストリンガの第1のセットを形成し、この第1のセットは、ベースストリンガと連結されて、ベースストリンガの第1のウェブセグメント及びキャップセグメントの第1の部分を補修する。かかる実行形態では、方法900は、第1、第2、第3、及び第4の補修用ストリンガを含みうる補修用ストリンガの第2のセットを配置することと、第2のセットの補修用ストリンガをベースストリンガと連結して、ベースストリンガの第2のウェブセグメントと、キャップセグメントの第2の部分とを補修することと、を更に含みうる。損傷したベースストリンガをスプライスするために利用される、補修用ストリンガの第1のセット及び補修用ストリンガの第2のセットの一例が、
図6Aに図示されている。
【外国語明細書】