(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023900
(43)【公開日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ヘテロ構造に基づく電子部品を備える半導体電子デバイス及び製造プロセス
(51)【国際特許分類】
H10D 30/47 20250101AFI20250212BHJP
H10D 30/83 20250101ALI20250212BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024119210
(22)【出願日】2024-07-25
(31)【優先権主張番号】102023000015852
(32)【優先日】2023-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】18/776,143
(32)【優先日】2024-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】312014443
【氏名又は名称】エスティマイクロエレクトロニクス インターナショナル エヌ.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】デペトロ,リッカルド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヘテロ構造に基づく電子部品を備える半導体電子デバイス及び製造プロセスを提供する。
【解決手段】半導体電子デバイスは、第1の導電型の半導体材料の基板15を有するダイ3内に形成される。該デバイスは、ヘテロ構造に基づく第1の電子部品5A、5Bを有し、第1の電子部品は、ダイ内で基板上に延在する半導体材料の本体構造20と、本体構造に接触して延在し、ヘテロ構造22を有するエピタキシャル多層21と、を有する。第1の電子部品の本体構造は、ヘテロ構造と基板との間に延在し、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する半導体材料の第1のドープ領域25、27を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型を有する半導体材料の基板を含むダイと、
前記基板上に延在する前記半導体材料の本体構造と、前記本体構造に接触して延在し、ヘテロ構造を備えるエピタキシャル多層とを含む第1の電子部品と、
前記ダイ内に延在し、前記エピタキシャル多層を取り囲み、前記エピタキシャル多層と前記本体構造との間にある分離領域と、を備え、
前記第1の電子部品の前記本体構造が、前記ヘテロ構造と前記基板との間に延在し、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する半導体材料の第1のドープ領域を含む、電子デバイス。
【請求項2】
前記第1のドープ領域が、前記基板に接触して延在する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記本体構造が、前記第2の導電型を有し、前記ヘテロ構造と前記基板との間に延在する第2のドープ領域を備え、前記第2のドープ領域が、第1の距離だけ前記第1のドープ領域から分離されている、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記本体構造が、前記第2の導電型、及び前記第1のドープ領域のドーピングレベルよりも低いドーピングレベルを有する第3のドープ領域を含み、前記エピタキシャル多層が、前記第3のドープ領域上に延在する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記ダイ内に延在し、前記第1の電子部品の前記本体構造を取り囲む絶縁構造を更に備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記絶縁構造が、接合絶縁構造である、請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記本体構造が、前記基板に向かって下部においては、前記第1のドープ領域によって、かつ横方向においては、前記絶縁構造によって画成されている、請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記分離領域が、多結晶型の半導体材料の領域を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記基板上の前記ダイ内に延在する前記半導体材料のそれぞれの本体構造と、第2の電子部品の前記本体構造と接触して延在し、それぞれのヘテロ構造を含むそれぞれのエピタキシャル多層と、を含む第2の電子部品を更に備え、
前記第1の電子部品の前記本体構造が、前記第2の電子部品の前記本体構造とは別個であり、前記第1の電子部品の前記エピタキシャル多層が、前記第2の電子部品の前記エピタキシャル多層から分離されており、
前記第2の電子部品の前記本体構造が、前記それぞれのヘテロ構造と前記基板との間に延在し、前記第2の導電型を有する半導体材料の第1のドープ領域を含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記第1及び第2の電子部品が、ソースフォロワ型の回路を形成するようにともに結合されたHEMTである、請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
単一の半導体材料上にあり、前記ダイに集積された第3の電子部品を更に備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項12】
電子デバイスを製造するためのプロセスであって、
第1の導電型を有する半導体材料の基板を含むウェハ上に、第1の電子部品を形成することであって、
前記第1の電子部品を前記形成することが、
前記基板上に半導体材料の本体構造を形成することと、
前記本体構造に結合された第1の表面と、前記第1の表面に直角な第2の表面とを有するエピタキシャル多層を形成すること、を含む、第1の電子部品を形成することと、
前記本体構造上にあり、前記エピタキシャル多層の前記第2の表面に結合された画定領域を形成することと、を含み、
前記本体構造が、前記ヘテロ構造と前記基板との間に延在し、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する半導体材料の第1のドープ領域を含む、製造プロセス。
【請求項13】
前記基板が、シリコンを含み、上面を有し、前記本体構造が、前記基板の前記上面上のエピタキシャル成長によって形成される、請求項12に記載の製造プロセス。
【請求項14】
前記エピタキシャル多層を形成することが、
前記基板上で成長したエピタキシャル層上に成長マスクを形成することであって、前記成長マスクが酸化物を含む、成長マスクを形成することと、
前記成長マスク内に開口部を形成し、それによって前記エピタキシャル層の中央部分を露出させることと、
前記エピタキシャル層の露出された前記中央部分上に前記エピタキシャル多層を成長させることと、を含む、請求項12に記載の製造プロセス。
【請求項15】
前記成長マスクを前記形成することが、
前記エピタキシャル層上にマスク層を形成することと、
前記マスク層の一部を除去し、それによって前記エピタキシャル層の周辺部分を露出させることと、
前記エピタキシャル層上に、前記エピタキシャル層と同じ材料の表面層を成長させることであって、前記表面層が、前記エピタキシャル層の前記周辺部分上に延在する第1の部分と、前記成長マスク上に延在する第2の部分と、を有する、表面層を成長させることと、を含み、
前記成長マスク内に前記開口部を前記形成することが、前記表面層の前記第2の部分を通して前記成長マスクまで延在する凹部を形成することを更に含む、請求項14に記載の製造プロセス。
【請求項16】
基板と、
前記基板上の本体構造と、を備え、前記本体構造が、
第1の方向に沿って延在する第1の面と、前記第1の方向に直角な第2の方向に沿って延在する第2の複数の面とを有するエピタキシャル多層、
第1の導電型を有する第1のドープ領域、
前記第1のドープ領域と前記エピタキシャル多層との間の第2のドープ領域であって、前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する、第2のドープ領域、及び、
前記エピタキシャル多層の前記第2の複数の面を取り囲む、前記第1の導電型を有する第3のドープ領域、を含む、デバイス。
【請求項17】
前記エピタキシャル多層が、前記第1の方向に沿った前記第1のドープ領域の第1の幅よりも小さい前記第1の方向に沿った第1の幅を有する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第2のドープ領域が、前記第2の方向に沿って延在する第1の部分を含み、前記エピタキシャル多層の前記第1の面の第1の表面と同一平面上にある第1の表面を含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
前記エピタキシャル多層と前記第2のドープ領域との間にバッファ層を更に備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第3のドープ領域と前記エピタキシャル多層の前記第2の複数の面との間に分離領域を更に備え、前記分離領域が、
前記第2のドープ領域に結合された酸化シリコン画定領域と、
前記エピタキシャル多層の前記第2の複数の面に直接結合された多結晶領域と、を含む、請求項16に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘテロ構造に基づく電子部品を備える半導体電子デバイス、及び製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
ヘテロ構造に基づく電子部品、例えば、HEMT(高電子移動度トランジスタ、High-Electron-Mobility Transistor)を備える半導体電子デバイスが知られている。
【0003】
実際には、このような電子部品の動作は、2つの異なる半導体材料間のヘテロ接合の電子性質に基づく。
【0004】
詳細には、HEMTでは、導電チャネルは、ヘテロ接合において、すなわち、異なるバンドギャップを有する半導体材料間の界面において形成される高移動度電子を有する二次元電子ガス(two-dimensional electron gas、2DEG)の層の形成に基づく。例えば、アルミニウム及び窒化ガリウム(aluminium and gallium nitride、AlGaN)の層と窒化ガリウム(gallium nitride、GaN)の層との間のヘテロ接合に基づくHEMTが知られている。
【0005】
HEMT、特にAlGaN/GaNヘテロ接合又はヘテロ構造に基づくHEMTは、異なる用途に特に適し、広く使用されるようにする広範囲の利点を提供する。例えば、HEMTの高破壊閾値は、高性能電力スイッチに活用され、導電チャネルにおける電子の高い移動度は、高周波増幅器を得ることを可能にし、更に、2DEG中の電子濃度が高いことにより、低いオン抵抗(RON)を得ることが可能となる。
【0006】
更に、無線周波数(radiofrequency、RF)用途のためのHEMTは、典型的には、同様のシリコンLDMOSデバイスよりもより良好なRF性能を提供する。
【0007】
上記の電子デバイスは、<111>シリコンウェハから、あるいはサファイア(Al2O3)又は炭化ケイ素の基板から出発して得られ、ヘテロ構造に基づく電子部品は、ウェハ上にエピタキシャル成長させたヘテロ構造に集積される。
【0008】
しかしながら、ヘテロ構造に基づく既知の電子部品は、使用時に、電子デバイス自体の動作条件に依存する電気的性能を有する。その結果、対応する電子デバイスは、低い信頼性を有する。
【0009】
例えば、既知のHEMTのオン状態抵抗は、使用時に高い変動性を有し、例えば、特にHEMTがソースフォロワ構成の回路においてハイサイドスイッチとして使用されたとき、設計値の50%~200%に含まれる値だけ増加し得る。
【発明の概要】
【0010】
本開示によれば、半導体電子デバイス及び製造プロセスは、第1の導電型を有する半導体材料の基板を含むダイと、基板上に延在する半導体材料の本体構造、及び本体構造に接触して延在し、ヘテロ構造を備えるエピタキシャル多層を含む第1の電子部品と、ダイ内に延在し、エピタキシャル多層を囲み、エピタキシャル多層と本体構造との間にある分離領域と、を含み、第1の電子部品の本体構造は、ヘテロ構造と基板との間に延在し、第1の導電型とは異なる第2の導電型を有する半導体材料の第1のドープ領域を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示のより良好な理解のために、その実施形態が、単に非限定的な例として、添付の図面を参照してここで説明される。
【
図1】一実施形態による、半導体電子デバイスの上面図を示す。
【
図2】切断線II-IIに沿った、
図1の電子デバイスの断面図である。
【
図3】一実施形態による、
図1の電子デバイスの一部分の電気的等価物を示す。
【
図4A】連続する製造ステップにおける、
図2のデバイスの一部分の断面図を示す。
【
図4B】連続する製造ステップにおける、
図2のデバイスの一部分の断面図を示す。
【
図4C】連続する製造ステップにおける、
図2のデバイスの一部分の断面図を示す。
【
図4D】連続する製造ステップにおける、
図2のデバイスの一部分の断面図を示す。
【
図4E】連続する製造ステップにおける、
図2のデバイスの一部分の断面図を示す。
【
図4F】連続する製造ステップにおける、
図2のデバイスの一部分の断面図を示す。
【
図4G】連続する製造ステップにおける、
図2のデバイスの一部分の断面図を示す。
【
図4H】連続する製造ステップにおける、
図2のデバイスの一部分の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明は、添付の図面に例解される配置を指す。したがって、「上」、「下」、「上部」、「底部」、「右」、「左」、「高」、「低」、及び同様のものなどの用語は、図に関するものであり、限定的に解釈されるものではない。
【0013】
図1は、第1の軸X、第2の軸Y、及び第3の軸Zを有する直交基準系XYZにおける、半導体電子デバイス(以下、単にデバイスと称される)1を示す。
【0014】
デバイス1は、ダイ3と、ヘテロ構造5に基づく1つ以上の電子部品とを備え、ヘテロ構造5のうち、第1のHEMT5A及び第2のHEMT5Bが
図1に例解されており、ダイ3に集積されている。
【0015】
ダイ3は、半導体ウェハのダイシングのステップの後に得られる。
【0016】
第1のHEMT5Aは、それぞれの絶縁構造8によって横方向に画成された、ダイ3の活性エリア7Aに集積される。
【0017】
第2のHEMT5Bは、活性エリア7Aとは異なり、それぞれの絶縁構造9によって横方向に画成された、ダイ3の活性エリア7Bに集積される。
【0018】
任意選択的に、デバイス1は、例えば能動型又は受動型の1つ以上のシリコンベースの電子部品も備え得、これらもダイ3に集積される。例えば、
図1の実施形態に例解されるように、デバイス1は、1つ以上のMOSFET10A、1つ以上のBJT10B、及び/又はダイオード及び抵抗器などの1つ以上の受動部品10Cを備えてもよい。
【0019】
実際には、シリコンベースの電子部品の動作は、単一の半導体材料、特にシリコンの電子性質に基づいている。
【0020】
図1では、破線によって示されるように、MOSFET10A、BJT10B、及び受動部品10Cは各々、ダイ3のそれぞれの活性エリア11A、11B、11Cに集積される。
【0021】
活性エリア11A、11B、11Cは、デバイス1の特定の用途に応じて、互いに電気的に絶縁されていてもよいし、互いに電気的に接触していてもよい。
【0022】
例えば、活性エリア11A、11B、11Cは、BCD(Bipolar-CMOS-DMOS)技術によって互いに電気的に絶縁されてもよい。
【0023】
図1の実施形態では、活性エリア11A、11B、11Cは、絶縁構造8、9の外側に配置される。しかしながら、シリコンベースの電子部品10のうちの1つ以上は、特定の用途に応じて、活性エリア7A及び/又は7Bに集積されてもよい。
【0024】
図2の断面図を参照すると、ダイ3は、基板15と、基板15上に延在するデバイス領域16とを備え、ヘテロ構造ベースの部品5、及び存在する場合にはシリコンベースの部品10が集積される。
【0025】
活性エリア7Aは、ダイ3の第1の前面3Aを形成する。
【0026】
基板15は、半導体材料、特に単結晶半導体材料のものであり、上面15Aを有する。
【0027】
詳細には、この実施形態では、基板15は単結晶シリコンのものであり、特に、上面15Aは結晶方向<111>に従って配向される。
【0028】
基板15は、この実施形態では、P型のものであり、例えば0.1Ω・cm~20Ω・cmで構成される抵抗率を有する。
【0029】
第1のHEMT5Aは、基板15上の活性エリア7A内でダイ3内に延在する半導体材料の本体構造20と、本体構造20に接触し、電荷キャリアの二次元ガスの層を収容するように構成されたヘテロ構造22を備えるエピタキシャル多層21とを備える。
【0030】
実際には、エピタキシャル多層21は、本体構造20から開始して成長したヘテロエピタキシャル多層である。
【0031】
ここではシリコンのものである本体構造20は、特に基板15と同じ結晶方位を有する単結晶型であってもよい。
【0032】
本体構造20は、基板15の導電型とは異なる導電型を有し、ヘテロ構造22と基板15との間に、特にヘテロ構造22の下にあり、ヘテロ構造22に面して配置された少なくとも1つのドープ領域を含む。
【0033】
この実施形態では、本体構造20は、以下で第1のエピタキシャル領域25、第2のエピタキシャル領域26、第3のエピタキシャル領域27、第4のエピタキシャル領域28、及び第5のエピタキシャル領域29と称される複数のドープ領域を含む。
【0034】
エピタキシャル領域25~29は、特定の用途に応じて、基板15上に成長させた1つ以上のエピタキシャル層によって形成する場合がある。
【0035】
第1のエピタキシャル領域25は、基板15の導電型とは異なる導電型を有し、すなわち、ここでは、N型のものである。
【0036】
第1のエピタキシャル領域25は、第3の軸Zに平行に、エピタキシャル多層21の下に配置されている。言い換えれば、第1のエピタキシャル領域25は、
図2の実施形態では、エピタキシャル多層21から距離を置いてエピタキシャル多層21に面している。
【0037】
第1のエピタキシャル領域25は、ダイ3内に埋め込まれた領域であってもよい。
【0038】
詳細には、第1のエピタキシャル領域25は、基板15に直接接触して延在する。
【0039】
実際には、本体構造20は、下部、すなわち基板15の方向の第3の軸Z沿いにおいては、第1のエピタキシャル領域25によって画成されている。
【0040】
第1のエピタキシャル領域25は、例えば、0.02Ω・cm~20Ω・cmで構成される抵抗率を有するように、例えば、8・1014原子/cm3~5・1019原子/cm3で構成されるドーピングレベルを有するように、第1の軸、第2の軸、及び/又は第3の軸Zに沿って均一又は可変であるドーピングレベルを有し得る。
【0041】
特に、第1のエピタキシャル領域25は、基板15のピークドーピングレベルよりも高いピークドーピングレベルを有し得る。これは、使用時に、主に基板15内に延在する、第1のエピタキシャル領域25と基板15との間の空乏領域を有することを可能にし得る。
【0042】
第2のエピタキシャル領域26は、第1のエピタキシャル領域25上に延在する。
【0043】
詳細には、エピタキシャル領域26は、ダイ3の第1の前面3Aから、第3の軸Zに沿ってダイ3内に深く、第1のエピタキシャル領域25まで延在する。
【0044】
第2のエピタキシャル領域26は、特定の用途に応じて、基板15のドーピング型と同じか又は異なるドーピング型、特にここでは同じ(P)ドーピング型を有し得る。
【0045】
第2のエピタキシャル領域26は、例えば、0.02Ω・cm~20Ω・cmで構成される抵抗率を有するように、例えば、8・1014原子/cm3~5・1019原子/cm3で構成されるドーピングレベルを有するように、第1の軸、第2の軸、及び/又は第3の軸Zに沿って均一又は可変であるドーピングレベルを有し得る。
【0046】
第3のエピタキシャル領域27は、第3の軸Zに平行にエピタキシャル多層21に面して、エピタキシャル多層21の下のダイ3内に延在する。
【0047】
第3のエピタキシャル領域27は、ダイ3内に埋め込まれた領域であってもよい。
【0048】
詳細には、第3のエピタキシャル領域27は、第1のエピタキシャル領域25から距離を置いて第2のエピタキシャル領域26内に延在する。
【0049】
第3のエピタキシャル領域27は、P型又はN型(
図1の実施形態ではN型)のものであってもよく、例えば、0.02Ω・cm~20Ω・cmで構成される抵抗率を有するように、例えば、8・10
14原子/cm
3~5・10
19原子/cm
3で構成されるドーピングレベルを有するように、第1の軸、第2の軸、及び/又は第3の軸Zに沿って均一又は可変であるドーピングレベルを有し得る。第1のHEMT5Aが、基板15に対して、例えば約20Vから始まる、例えば60V、100V、又は650Vの高電圧で動作するように設計されている場合、N型(すなわち、基板15の型とは異なる型)の第1及び第3のエピタキシャル領域25、27の両方の存在は、デバイス1の製造を簡略化するため、かつ使用時にデバイス1の優れた電気的性能を得るために有用であり得る。
【0050】
第4のエピタキシャル領域28は、第3のエピタキシャル領域27上に延在し、中央部分28Aと、中央部分28Aを取り囲む周辺部分28Bとを有する。
【0051】
この実施形態では、エピタキシャル多層21は、第4のエピタキシャル領域28から、特にそれぞれの中央部分28Aから開始して成長する。
【0052】
図1の実施形態では、周辺部分28Bは、中央部分28Aに隣接している。
【0053】
更に、
図1の実施形態では、周辺部分28Bは、第2のエピタキシャル領域26と接触している。詳細には、この実施形態では、第4のエピタキシャル領域28の周辺部分28Bは、第1の軸Xに平行に、第2のエピタキシャル領域26に横方向に隣接している。
【0054】
第4のエピタキシャル領域28は、N型又はP型(ここではN型)のものであってもよく、例えば、0.02Ω・cm~20Ω・cmで構成される抵抗率を有するように、例えば、8・1014原子/cm3~5・1019原子/cm3で構成されるドーピングレベルを有するように、均一又は可変であるドーピングレベルを有し得る。
【0055】
特に、第4のエピタキシャル領域28は、第3のエピタキシャル領域27よりも低いピークドーピングレベルを有する場合がある。これは、エピタキシャル多層21の成長を最適化するために製造中に有用であり得る。
【0056】
第5のエピタキシャル領域29は、第4のエピタキシャル領域28上に、特に第2のエピタキシャル領域26内に延在する。
【0057】
詳細には、第5のエピタキシャル領域29は、第4のエピタキシャル領域28の周辺部分28B上に延在し、特に周辺部分28Bの上に重なる。
【0058】
第5のエピタキシャル領域29は、P型又はN型(ここではN型)のものであってもよく、例えば0.1Ω・cm~20Ω・cmで構成される抵抗率を有するように、均一又は可変のドーピングレベルを有してもよい。
【0059】
エピタキシャル多層21は、第4のエピタキシャル領域28の中央部分28A上に、特に中央部分28Aと直接接触して、上面30まで延在する。上面30は、活性エリア7Aの第2の前面を形成する。
【0060】
実際には、エピタキシャル多層21は、第4のエピタキシャル領域28から開始して成長する。
【0061】
全体として、エピタキシャル多層21の下の本体構造20の第3の軸Zに沿った、すなわち、エピタキシャル多層21の底面と基板15の上面15Aとの間で測定された厚さは、特定の用途に応じて、5μm~30μm、例えば約15μmであってもよい。
【0062】
第1のHEMT5Aは、エピタキシャル多層21のヘテロ構造22に集積されている。
【0063】
図2の実施形態では、エピタキシャル多層21は、遷移領域32も備え、遷移領域32は、互いに重なる1つ以上のバッファ層(ここでは例解せず)によって形成され、第4のエピタキシャル領域28とヘテロ構造22との間に配置される。遷移領域32は、第4のエピタキシャル領域28上でのヘテロ構造22のエピタキシャル成長を助けるのに、デバイス1の製造中に有用であり得る。
【0064】
例えば、遷移領域32は、第4のエピタキシャル領域28上に延在し、第4のエピタキシャル領域28と直接接触する窒化アルミニウム(aluminium nitride、AlN)の層と、AlN層上に延在し、AlN層と直接接触するアルミニウム及び窒化ガリウム(AlGaN)の層とによって形成されてもよい。
【0065】
ヘテロ構造22は、周期表のIII族及びV族の元素を含む化合物半導体材料を含む。
【0066】
この実施形態では、ヘテロ構造22は、エピタキシャル多層21の上面30を形成する。
【0067】
エピタキシャル多層21の上面30は、デバイス1を作製するために使用される特定の製造ステップに従って、ダイ3の第1の前面3Aの座標と同じ又は異なる第3の軸Zに沿った座標において延在してもよい。
【0068】
特に、この実施形態では、エピタキシャル多層21の上面30は、第3の軸Zに沿って測定された、基板15からダイ3の第1の前面3Aよりも短い距離で延在する。これは、デバイス1の製造を改善することを可能にし得る。
【0069】
ヘテロ構造22は、互いに重なり合うチャネル層35及びバリア層36を備える。
【0070】
チャネル層35は、第1の半導体材料、例えば窒化ガリウム(gallium nitride、GaN)、又はInGaNなどの窒化ガリウムを含む合金、ここでは窒化ガリウム(GaN)のものであり、遷移領域32上に延在し、特に遷移領域32と直接接触している。
【0071】
バリア層36は、第2の半導体材料、例えば、AlxGa1-xN、AlInGaN、InxGa1-xN、AlxIn1-xAl、AlScNなどの窒化ガリウムの三元又は四元合金に基づく化合物、ここではアルミニウム及び窒化ガリウム(AlGaN)のものであり、チャネル層35上に、特にチャネル層35と直接接触して、エピタキシャル多層21の上面30まで延在する。
【0072】
チャネル層35及びバリア層36は、特定の用途に応じて、真性、P型又はN型のものであってもよい。特に、チャネル層35及びバリア層36の両方がN型のものであってもよい。
【0073】
例えば、バリア層36がAlGaNのものであるとき、アルミニウム原子の存在は、バリア層36をN型のものにする場合がある。
【0074】
ヘテロ構造22は、チャネル層35とバリア層36との間、特にチャネル層35とバリア層36との間の界面に配置された、(可動)電荷キャリアの二次元ガス、特にここでは電子(2DEG)を収容するように構成されている。
【0075】
絶縁領域は、それ自体既知の方法で、特定の用途に応じて、例えば不動態化、電気的絶縁などの機能をもって、上面3A、30上に延在し得る。
【0076】
第1のHEMT5Aは、エピタキシャル多層21の上面30上に延在し、第1のHEMT5Aの機能領域を形成する表面構造、例えば、第1のHEMT5Aの特定のタイプに応じて変化し得る様々な導電性及び/又は絶縁領域を更に備える。
【0077】
この実施形態では、第1のHEMT5Aは、第1の軸Xに沿って互いに距離を置いて延在する、導電性材料のソース領域40及びドレイン領域41を備える。
【0078】
ソース領域40は、上面図では、全体的にリング形状を有する閉じた線を形成してもよく、その2つの部分が
図2の断面に例解されている。例えば、ソース領域40は、特定の設計レイアウトに従って、円形、多角形、規則的、又は不規則な形状を有する場合がある。
【0079】
ドレイン領域41は、例えば、上面図では、第2の軸Yに沿った細長い帯状の形状、又は、例えば、円形、多角形、規則的、若しくは不規則的などの異なる形状を有していてもよい。
【0080】
ソース領域40及びドレイン領域41は、ヘテロ構造22と、特にチャネル層35とバリア層36との間の界面に形成される二次元ガスと電気的に接触、特にオーミック接触しており、それぞれ第1のHEMT5Aのソース端子S及びドレイン端子Dを形成する。
【0081】
図2の実施形態では、ソース領域40及びドレイン領域41は、第3の軸Zに平行な方向に、上面30まで延在する。
【0082】
しかしながら、ソース領域40及びドレイン領域41は、特定の用途に応じて、第3の軸Zと平行に、ヘテロ構造22を部分的にも通って、例えばバリア層36の一部を通って、又はバリア層36の厚さ全体を通って、特にチャネル層35との界面まで延在してもよい。
【0083】
第1のHEMT5Aの表面構造はまた、ここではチャネル変調領域43及びゲートコンタクト領域44によって形成されるゲート構造を備え、ゲート構造は、ソース領域40とドレイン領域41との間のヘテロ構造22における二次元ガスの形成を電気的に制御するようにバイアスされてもよい。
【0084】
ゲート構造43、44は、ソース領域40とドレイン領域41との間に延在する。ゲート構造43、44は、上面図では、全体的にリング形状を有する閉じた線を形成してもよく、その2つの部分が
図2の断面に例解されている。例えば、ゲート構造43、44は、特定の設計レイアウトに従って、円形、多角形、規則的、又は不規則な形状を有する場合がある。
【0085】
実際には、ゲート構造43、44は、ソース領域40に対して内部に、例えばソース領域40に対して実質的に同心円状に配置されてもよい。
【0086】
ゲート構造43、44は、第1のHEMT5Aのゲート端子Gを形成する。
【0087】
この実施形態では、第1のHEMT5Aは、ノーマリオフ型、すなわち、エンリッチメント型のものである。
【0088】
詳細には、この実施形態では、チャネル変調領域43は半導体材料のものであり、バリア層36の導電型とは異なる導電型、例えばP型の導電型を有する。特に、チャネル変調領域43は、P型の窒化ガリウム(p-GaN)で作られてもよい。
【0089】
しかしながら、チャネル変調領域43は、適切な仕事関数を有する制御電極として使用される誘電体層、金属層、及び/又は半導体層を含む異なる材料の集合体によって形成されてもよい。
【0090】
チャネル変調領域43は、第1の軸Xに沿って、ソース領域40とドレイン領域41との間で上面30上に延在する。
【0091】
導電性材料のゲートコンタクト領域44は、チャネル変調領域43と電気的に接触して、特にここではチャネル変調領域43と直接接触して延在する。
【0092】
デバイス1は、活性エリア7A内でダイ3内に延在する分離領域50を更に備える。
【0093】
詳細には、分離領域50は、第4のエピタキシャル領域28上に延在し、特に第4のエピタキシャル領域28と直接接触し、エピタキシャル多層21を取り囲む。
【0094】
図2の実施形態では、分離領域50は、第1の軸Xに平行に、エピタキシャル多層21と第5のエピタキシャル領域29との間に延在する。
【0095】
詳細には、分離領域50は、第4のエピタキシャル領域28上に延在し、第4のエピタキシャル領域28と直接接触する、例えば酸化物、特に酸化シリコンを含む画定領域52と、画定領域52上に延在し、画定領域52と直接接触する、第5のエピタキシャル領域29と同じ材料(シリコン)の多結晶領域53とを備える。
【0096】
画定領域52は、単一層、例えば酸化物層、特にシリコン酸化物層によって形成されてもよく、あるいは、例えば酸化物の1つ以上の層及び/又は窒化物の1つ以上の層を備える多層によって形成されてもよい。
【0097】
詳細には、一実施形態によれば、画定領域52は酸化シリコンのものであってもよい。
【0098】
異なる実施形態によれば、画定領域52は、酸化物層、特にシリコン酸化物層、及び窒化物層を備え得る。一実施形態によれば、酸化物層は、半導体層18と直接接触していてもよい。
【0099】
酸化物、特に酸化シリコンの存在により、第1のトランジスタ5Aのヘテロ構造22の製造を単純化することが可能となる。
【0100】
画定領域52は、例えば7nm~300nm、特に70Å~200Åで構成される第3の軸Zに沿った厚さを有し得る。
【0101】
この実施形態では、多結晶領域53は多結晶構造を有する。
【0102】
この実施形態では、多結晶領域53は、第5のエピタキシャル領域29とモノリシックである。
【0103】
多結晶領域53は、多結晶領域53を第5のエピタキシャル領域29から分離する外側側壁55を有する。外側側壁55は、第5のエピタキシャル領域29の結晶方位及び画定領域52の第3の軸Zに沿った厚さに依存し得る傾斜を有する。例えば、第5のエピタキシャル領域29が結晶方向<111>に従って配向している場合、外側側壁55は、第1の軸Xに平行な方向に対して約54°の角度を形成し得る。
【0104】
多結晶領域53はまた、エピタキシャル多層21に面する外側側壁55とは反対側の内側側壁56を有する。
【0105】
エピタキシャル多層21は、ソース領域40の外側に配置され、分離領域50の内側側壁56と接触して延在する周辺部分を有する。
【0106】
ここでは詳細に説明されず、
図2に概略的にのみ例解される前述の周辺部分の形状は、デバイス1を形成するために使用される特定の製造ステップに依存する。
【0107】
例えば、エピタキシャル多層21は、内側側壁56上にも適合的に成長し得る。
【0108】
分離領域50は、
図4A~
図4Hを参照して以下に詳細に説明するように、エピタキシャル多層21の良好な結晶学的品質を助けるために、製造中に有用であり得る。
【0109】
更に、多結晶領域53の存在は、エピタキシャル多層21を形成する材料(例えば、GaN)と本体構造20を形成する材料(例えば、シリコン)との間の格子不整合によって引き起こされる応力を低減するのに有用であり得る。その結果、多結晶領域53の存在は、ダイ3における転位のリスク(したがって、デバイス1の起こり得る破壊)の低減に寄与し得る。
【0110】
分離領域50の形状及び構造は、デバイス1を作製するために使用される特定の製造ステップに従って、
図2を参照して例解され説明されたものに対して変化し得る。例えば、分離領域50はなくてもよい。
【0111】
デバイス1は、特定の用途及び活性エリア7Aの特定のレイアウトに従って、第1の前面3Aにおいて1つ以上の絶縁領域又は導電領域を更に備え得る。例えば、
図2は、エピタキシャル多層21の周囲で表面3Aから本体構造20内に延在する、例えば酸化シリコンの絶縁領域58を示す。
【0112】
詳細には、絶縁領域58は、エピタキシャル多層21に接触している(隣接している)。
【0113】
図2に例解した実施形態を参照すると、絶縁領域58は、チャネル層35とバリア層36との間の界面に隣接している。これは、2DEGを本体構造20から電気的に絶縁させるのに有用であり得る。
【0114】
第1のHEMT5Aの絶縁構造8は、ダイ3内で第1のHEMT 5Aの本体構造20の周りに延在しており、特に、それは本体構造20に隣接している(接触している)。
【0115】
詳細には、絶縁構造8は、ダイ3内で第1の前面3Aから基板15まで、基板15と接触して延在する。
【0116】
実際には、絶縁構造8は、ダイ3内で本体構造20を横方向に画成する。
【0117】
図2の実施形態では、絶縁構造8は、本体構造20に沿って、特に本体構造20の周りにPN接合を形成するように構成された接合絶縁構造である。しかしながら、絶縁構造8は、異なるタイプ、例えば、ディープトレンチ絶縁(deep-trench insulation、DTI)構造のものであってもよい。
【0118】
詳細には、絶縁構造8は、互いに隣接する、N型の半導体材料(ここではシリコン)の第1の接合領域60と、P型の半導体材料(ここではシリコン)の第2の接合領域61とを備える。
【0119】
特に、
図2の実施形態では、第1及び第2の接合領域60、61は、互いに接触している。
【0120】
第1及び第2の接合領域60、61は、それ自体既知の方法で、基板15上に1つ以上のエピタキシャル層を成長させ、その後ドーパント種を注入又は拡散させることによって形成してもよい。
【0121】
第1の接合領域60は、第3の軸Zに平行な方向に、基板15とダイ3の第1の前面3Aとの間に延在する。
【0122】
詳細には、第1の接合領域60は、基板15に接触しており、特に、第1の接合領域60は、基板15の上面15Aから第1の前面3Aまで延在する。
【0123】
第1の接合領域60は、本体構造20に隣接して、特に第1及び第2のエピタキシャル領域25、26に隣接して(接触して)、第1の軸Xに平行な方向に延在する。第1の接合領域60が第1のエピタキシャル領域25と接触しているという事実により、第1の接合領域60を使用して、使用時に第1のエピタキシャル領域25をバイアスすることが可能となる。
【0124】
第1の接合領域60は、第1のエピタキシャル領域25と同じ導電型を有する。
【0125】
第1の接合領域60は、第3の軸Zに平行に、特定の用途に応じて均一又は可変のドーピングレベルを有し得る。第1の接合領域60は、例えば、1×1015原子/cm3~5×1018原子/cm3で構成されるドーピングレベルを有し得る。
【0126】
第2の接合領域61は、第3の軸Zに平行に、基板15とダイ3の第1の前面3Aとの間に延在する。
【0127】
詳細には、第2の接合領域61は、基板15に接触しており、特に、第2の接合領域61は、基板15の上面15Aから第1の前面3Aまで延在する。
【0128】
第2の接合領域61は、基板15と接触しているという事実により、第2の接合領域61を使用して、使用時に基板15をバイアスすることが可能となる。
【0129】
第2の接合領域61は、基板15と同じ導電型を有する。
【0130】
第2の接合領域61は、特定の用途に応じて、第3の軸Zに平行に、均一又は可変のドーピングレベルを有し得る。第2の接合領域61は、例えば、1×1015原子/cm3~5×1018原子/cm3で構成されるドーピングレベルを有し得る。
【0131】
第1のHEMT5Aを参照して説明したことは、必要な変更を加えて、活性エリア7Bに集積された第2のHEMT5Bにも当てはまる。特に、
図2の実施形態では、第2のHEMT5Bは、第1のHEMT5A構造と同じである構造を有する。従って、第1のHEMT5Aの要素と同じである第2のHEMT5Bの要素は、同じ参照番号に50を加えた番号で示されており、これ以上詳細に説明することはない。
【0132】
実際には、第2のHEMT5Bは、本体構造70及びエピタキシャル多層71を備える。
【0133】
第2のHEMT5Bでも、本体構造70は、基板15の導電型とは異なる導電型を有するドープ領域を含む。
【0134】
詳細には、本体構造70は、第1のエピタキシャル領域75、第2のエピタキシャル領域76、第3のエピタキシャル領域77、第4のエピタキシャル領域78(それぞれの中央部分78A及びそれぞれの周辺部分78Bを有する)、及び第5のエピタキシャル領域79を備える。
【0135】
しかしながら、第2のHEMT5Aのエピタキシャル領域75~79のサイズ、形状、ドーピングのタイプ、及びドーピングレベルは、特定の用途に応じて、第1のHEMT5Aのエピタキシャル領域25~29と同じであっても異なっていてもよい。
【0136】
エピタキシャル多層71は、第2のHEMT5Bの動作の基礎となる、すなわち、第2のHEMT5Bの導電チャネルを形成する電荷キャリア、特に電子の二次元ガスを収容するヘテロ構造72を備える。
【0137】
ヘテロ構造72は、チャネル層85及びバリア層86を備える。
【0138】
エピタキシャル多層71はまた、遷移領域82を備える。
【0139】
第2のHEMT5Bのエピタキシャル多層71の形状、サイズ、層数、及び材料は、具体的な用途に応じて、第2のHEMT5Aのエピタキシャル多層21と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0140】
第2のHEMT5Bは、ソース領域90と、ドレイン領域91と、チャネル変調領域93及びゲートコンタクト領域94によって形成されたゲート構造とを更に備える。
【0141】
デバイス1は、活性エリア7B内でダイ3内に延在し、画定領域102及び多結晶領域103を備える分離領域100を更に備える。多結晶領域103は、外側側壁105及び内側側壁106を有する。
【0142】
デバイスはまた、活性エリア7B内に延在する導電領域及び/又は絶縁領域を含んでもよく、そのうちの1つの絶縁領域108のみが
図2に実施例として例解されている。
【0143】
第1のHEMT5Aの絶縁構造8について説明したことは、第2のHEMT5Bの絶縁構造9にも必要な変更を加えて当てはまる。詳細には、絶縁構造9も接合型のものであり、第1の接合領域110及び第2の絶縁領域111を備える。
【0144】
図2の実施形態では、第2の接合領域111は、第1のトランジスタ5Aに面する側に、第2の接合領域61とともに単一の領域を形成する。したがって、第2の接合領域61、111は、明確にするために、
図2において破線によって分離されている。
【0145】
実際には、第1のHEMT5Aを参照すると、第1のエピタキシャル領域25及び第3のエピタキシャル領域27は、ヘテロ構造22と基板15との間に、第3の軸Zに平行に延在する本体構造20の埋め込み領域である。
【0146】
第1のエピタキシャル領域25が基板15とは異なる導電型を有することにより、基板15の上面15AにおいてPN接合が形成される。
【0147】
したがって、使用時に、第1のエピタキシャル領域25及び基板15に適切にバイアスをかけることによって、ヘテロ構造22を基板15から電気的に絶縁することが可能である。
【0148】
言い換えれば、使用時に、基板15が、ヘテロ構造22と、ダイ3に集積された更なる電子部品(例えば、第2のHEMT5B又は単一の半導体材料10に基づく電子部品)との間の望ましくない導電チャネルとして機能することを防止することが可能である。
【0149】
実際には、使用時に、第1のHEMT5Aの電気的性能が基板15のバイアス電圧に依存することを防止することが可能である。
【0150】
更に、絶縁構造8の存在は、第1のHEMT5Aが、ダイ3に集積された他の電子部品から横方向にも(第1及び第2の軸X、Yに平行に)電気的に絶縁されることを可能にする。実際には、絶縁構造8は、隣接するデバイスからの第1のHEMT5Aの本体構造20の電気的絶縁を高めることに寄与する。
【0151】
その結果、第1のHEMT5Aの電気的性能が、使用時に、活性エリア7Aの外側で、ダイ3に集積された他の電子部品に印加される動作電圧に依存することを防止することが可能である。
【0152】
同時に、基板15及び本体構造20の両方が、半導体材料、ここでは特に<111>方位を有する単結晶シリコンのものであるという事実により、ヘテロ構造22の良好な結晶学的品質を得ることが可能となる。
【0153】
第1のHEMT5Aの本体構造20の電気的絶縁に関して説明したことは、第2のHEMT5Bの本体構造70の電気的絶縁にも当てはまる。
【0154】
その結果、第1及び第2のHEMT5A、5Bの本体構造20、70は、使用時に、互いに独立してバイアスされ得る。
【0155】
実際には、デバイス1では、ヘテロ構造に基づく複数の電子部品を同じダイに集積することができ、同時に、それぞれの本体構造の電気的分離を保証し、その結果、電子部品が互いに異なるダイに集積される解決策と比較して、面積の占有、電気的性能、及び設計汎用性の点で有利である。
【0156】
例えば、一実施形態によれば、デバイス1は、(
図3の電気的等価物に例解されるように)ソースフォロワ構成で第1及び第2のHEMT5A、5Bを電気的に結合するように、
図2に概略的にのみ示される導電領域を含んでもよい。
【0157】
図2及び
図3では、第1のHEMT5Aは、ソース端子Sが接地に結合されたローサイドスイッチであり、第2のHEMT5Bは、ドレイン端子Dが動作電圧V
cc(例えば、約48V)に結合されたハイサイドスイッチである。第2のHEMT5Bのソース端子Sと第1のHEMT5Aのドレイン端子Dとが結合されて、ソースフォロワ回路の出力端子OUTを形成している。
【0158】
上で考察したように、第1及び第2のHEMT5A、5Bの本体構造20、70は、互いに電気的に分離され、したがって独立してバイアスされてもよい。
【0159】
例解された実施例では、第1のHEMT5Aの本体構造20と第2のHEMT5Bの本体構造70の両方が、それぞれのソース領域40、90に電気的に接続されている。
【0160】
基板15は、接地に接続され得る。
【0161】
本体構造20、70を互いに分離された状態に保つことが可能であるため、本体構造20、70のバイアス電圧を安定に維持することが可能となる。これにより、第1及び第2のHEMT5A、5Bの両方は、部品の高電圧接続端子と基板電位との間に印加される電位差に影響されない安定したオン状態抵抗値を有し得る。これにより、第1及び第2のHEMT5A、5Bをソースフォロワ型の構成で使用したときであっても、デバイス1の使用における信頼性を高め得る。
【0162】
以下、
図4A~
図4Hを参照して説明するのは、半導体電子デバイス1の作製に使用され得る一連の製造ステップである。
【0163】
詳細には、
図4A~
図4Hは、簡略化のため、一般性を失うことなく、第1のHEMT5Aが集積された活性エリア7Aの一部分に関する製造ステップのみを示す。
【0164】
図4Aは、上面150Aを有する、単結晶半導体材料、特にシリコンのウェハ150の断面図である。
【0165】
ウェハ150は基板15を備え、その上に4つのエピタキシャル層151、152、153、154が既に成長しており、これらのエピタキシャル層は、少なくとも部分的に、第1のエピタキシャル領域25、第2のエピタキシャル領域26、第3のエピタキシャル領域27、及び第4のエピタキシャル領域28(
図4Aでは簡略化のために括弧内に示されている)をそれぞれ形成するように意図されている。
【0166】
第4のエピタキシャル層154は、ウェハ150の上面150Aを形成する。
【0167】
第4のエピタキシャル層154は、第4のエピタキシャル領域28の周辺部分28Bを形成するように意図された第1の部分154Aと、第4のエピタキシャル領域28の中央部分28Aを形成するように意図された第2の部分154Bとを備える。
【0168】
次に(
図4B)、上面150A上に、例えば酸化物層、特に酸化シリコンの画定層156を形成する。
【0169】
画定層156は、例えば7nm~300nm、特に70Å~200Åで構成される第3の軸Zに沿った厚さを有し得る。
【0170】
画定層156は、画定領域52(
図2)を形成するように意図されている。
【0171】
画定層156は、第4のエピタキシャル層154の表面部分の酸化によって、あるいは上面150A上への堆積によって形成され得る。酸化の場合、第4のエピタキシャル層154の厚さは、
図3Aに示される層18の厚さと比較して、酸化に続いて低減され得る。しかしながら、第4のエピタキシャル層154の厚さに比べて、画定層156の厚さがはるかに小さいことを考慮すると、簡略化のために、第4のエピタキシャル層154の厚さは、一次近似的に、酸化の前後で同じままであると仮定し得る。
【0172】
次に(
図4C)、画定層156は、第4のエピタキシャル層154の第1の部分154A(
図2の第5のエピタキシャル領域29が形成される)において除去される。したがって、画定層156のうち、以下で成長マスク157とも称される部分が残る。
【0173】
実際には、成長マスク157は、第4のエピタキシャル層154の第1の部分154Aを露出させ、第4のエピタキシャル層154の第2の部分154Bを覆う。
【0174】
図4Dでは、半導体材料、特に第4のエピタキシャル層154(ここではシリコン)と同じ材料の表面層160が、ウェハ150上に成長させられる。
【0175】
表面層160は、(
図2の第1の前面3Aを形成するように意図された)上面160Aを有する。
【0176】
表面層160は、第4のエピタキシャル層154から第3の軸Zに平行に成長するエピタキシャル部分161と、成長マスク157上で第3の軸Zに平行に成長する犠牲部分162とを備える。
【0177】
単結晶基板から成長するエピタキシャル部分161は、第4のエピタキシャル層154の単結晶構造を維持し、第5のエピタキシャル領域29(
図2)を形成するように意図される。
【0178】
犠牲部分162は、非結晶基板から成長し、多結晶構造を有する。
【0179】
ここでは表面層160も備えるウェハ150には、本明細書には例解されておらず、それ自体既知の方法で、
図2の絶縁構造8が更に形成されてもよい。
【0180】
図4Eでは、エッチングマスク163が表面層160上に形成されている。エッチングマスク163は、1つ以上の層によって形成され得る。
【0181】
エッチングマスク163は、犠牲部分162を少なくとも部分的に露出させる開口部166を形成する。
【0182】
更に、絶縁層165は、エッチングマスク163の形成前に、例えば絶縁トレンチ、例えば浅いトレンチ絶縁(shallow-trench insulation、STI)の形成によって、表面層160内に形成されてもよい。絶縁層165は、
図2の絶縁領域58を形成するように意図されている場合がある。
【0183】
次に(
図4F)、絶縁層165、犠牲部分162、及び成長マスク157が、エッチングマスク163を使用して、開口部166において除去される。
【0184】
したがって、犠牲部分162のうち、エッチングマスク163の下に配置された部分が残り、それは
図2の多結晶領域53を形成することになり、依然として53で示されている。
【0185】
したがって、成長マスク157のうち、多結晶領域53の下に配置され、
図2の画定領域52に対応し、したがって同じ参照番号で示される部分が残る。
【0186】
実際には、
図4Fのエッチングに続いて、犠牲部分162内及び成長マスク157内に形成された凹部は、第4のエピタキシャル層154の下にある部分154Bの一部を露出させる。
【0187】
成長マスク157及び犠牲部分162のエッチングは、2つの異なるエッチング化学作用を使用して実行され得る。その結果、成長マスク157は、一次近似まで、第4のエピタキシャル層154をエッチングしない選択的化学を使用してエッチングする場合がある。その結果、第4のエピタキシャル層は、良好な表面結晶学的品質を維持し得る。
【0188】
次いで(
図4G)、
図2のエピタキシャル多層21を形成することを意図する、ワーク多層169が、ウェハ150上に成長させられる。
【0189】
詳細には、ワーク多層169は、第4のエピタキシャル層154の第2の部分154Bの露出部分上に直接延在する、例えばAlNの第1のバッファ層170と、第1のバッファ層170上に成長する、例えばAlGaNの第2のバッファ層171とを備える。
【0190】
第1及び第2のバッファ層170、171は、エピタキシャル多層21(
図2)の遷移領域32を形成する。
【0191】
更に、第2のバッファ層171上に、チャネル層35及びバリア層36を成長させる。
【0192】
例解した実施形態では、ワーク多層169は、多結晶領域53の内側側壁56上及びエッチングマスク163上にも適合的に成長する。
【0193】
実際には、ワーク多層169は、エッチングマスク163上及び内側側壁56上に延在する隆起部分174と、第4のエピタキシャル層154上に直接延在する有用部分175とを備える。
【0194】
有用部分175は、実質的に平坦な、特にウェハ150の表面150Aに実質的に平行な上面を有し、第2の前面30(
図2)を形成し、したがって同じ参照番号で示される。
【0195】
更に
図4Gを参照すると、チャネル変調領域43は、それ自体公知の方法で、例えば、特定の層の成長及び画定によって、有用部分175の上面30上に形成される。
【0196】
実際には、この実施形態では、ワーク多層169の有用部分175も、チャネル変調領域43を備える。
【0197】
次に(
図4H)、例えば平坦化、例えば化学機械研磨(chemical-mechanical polishing、CMP)又は他のエッチング技法によって、エッチングマスク163の上方でワーク多層169の隆起部分174が除去される。
【0198】
チャネル変調領域43を保護するために、1つ以上の絶縁層(ここでは例解せず)が上面30上に形成されてもよい。
【0199】
例解した実施形態では、隆起部分174を除去した後、内側側壁56上に延在する部分のみが残り、これがエピタキシャル多層21の周辺部分178を形成することになる。
【0200】
しかしながら、
図2を参照して説明したように、エピタキシャル多層21の周辺部分178の形状は、例解したものと異なっていてもよい。例えば、周辺部分178を少なくとも部分的に除去するために、更なるエッチングステップが実行されてもよい。
【0201】
次に、本明細書に例解されていない方法で、エッチングマスク163が少なくとも部分的に除去される。
【0202】
更に、第1のHEMT5Aの表面構造(金属接触領域、不動態化及び絶縁領域)を形成するために、それ自体既知であり例解されていない更なる製造ステップが続く。
【0203】
金属相互接続の最上層の形成又はウェハ150のダイシングなど、最終的な製造ステップ(ここでは例解せず)も続き、デバイス1の形成につながる。
【0204】
図4A~
図4Hを参照して説明したことが、第2のHEMT5Bの製造にも適用され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0205】
更に、シリコン電子部品10は、基板15上に成長した特定のエピタキシャル層においてウェハ150内に形成され得ることが当業者には明らかであろう。
【0206】
半導体電子デバイス1を形成するための出発基板として<111>シリコン基板15を使用することが可能なため、特にチャネル層35がGaNから作られるときに、ヘテロ構造22の高いエピタキシャル品質を得ることが可能となる。その結果、ヘテロ構造5に基づく電子部品は、優れた電気的性能を有し得る。本出願人はまた、<111>シリコン基板15の使用が、ダイ3に集積された任意のシリコンベースの電子部品10の優れた電気的性能を得ることを可能にすることを見出した。
【0207】
最後に、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明及び例解される電子デバイス1及び対応する製造プロセスに対して、他の修正及び変形がなされ得ることは明らかである。
【0208】
デバイス1はまた、
図1に例解されるものに加えて、又はその代わりに、ダイ3に集積された他のシリコンベースの電子部品10を備えてもよい。例えば、部品10は、低電圧、例えば15V未満における、又は中電圧、例えば15V~20Vにおける用途のためのMOSトランジスタ、例えば20V~200Vの動作電圧における用途のためのDMOSトランジスタ及び/又はドリフトMOSトランジスタ、薄膜抵抗器、OTP又はMTPメモリ、相変化メモリ、などを含み得る。
【0209】
例えば、様々な半導体領域の導電型N又はPは、説明されたものと比較して逆にされてもよい。
【0210】
例えば、基板15は、0.002Ω・cm~0.1Ω・cmで構成される抵抗率を有する基板によって形成され得、その上に、例えば1μm~40μmで構成される厚さを有し、例えば0.1Ω・cm~20Ω・cmで構成される抵抗率を有するエピタキシャル層を成長させている。
【0211】
例えば、エピタキシャル多層21、71は、それぞれの遷移領域32、82を備えなくてもよい。言い換えれば、ヘテロ構造21、71は、それぞれの本体構造20、70上に直接成長させる場合がある。加えて、又は代替として、ヘテロ構造22、72は、特定の用途及び成長のために使用される特定の製造ステップに従って、例えば半導体又は絶縁材料の更なる層を備えてもよい。
【0212】
例えば、デバイス1は、HEMT以外のヘテロ構造に基づく部品を備えてもよい。
【0213】
例えば、第1のHEMT5A及び/又は第2のHEMT5Bは、ノーマリオフタイプのものであってもよく、ゲート構造は上述したものと異なっていてもよく、例えば、ゲート構造は凹型のものであってもよく、かつ/又は、ゲート構造の製造は、ゲート構造の下にフッ素プラズマを使用することを含んでもよい。あるいは、第1のHEMT5A及び/又は第2のHEMT5Bは、ノーマリオンタイプ、すなわち空乏タイプのものであってもよい。
【0214】
例えば、本体構造20及び/又は70を形成するエピタキシャル領域の数は、特定の用途に応じて異なっていてもよい。
【0215】
例えば、第1の(又は第2の)HEMT5A(又は5B)では、第4のエピタキシャル領域28(又は78)が存在せず、第3のエピタキシャル領域27(又は77)上にエピタキシャル多層21(又は71)が直接成長されてもよい。これは、製造コストの削減を助け得る。
【0216】
中電圧又は低電圧用途(例えば、最大約20V)の場合、本体構造20及び/又は70は、それぞれの第1のエピタキシャル領域25、75のみを備えてもよい。実際には、この場合、エピタキシャル多層21及び/又は71は、それぞれの第1のエピタキシャル領域25、75上に直接成長させる場合がある。
【0217】
例えば、1つ以上のシリコンベースの電子部品10は、特定の用途に従って、活性エリア7A及び/又は7B内に集積されてもよい。この場合、シリコンベースの電子部品10は、第5のエピタキシャル領域29に隣接するエピタキシャル領域に集積されてもよい。例えば、
図4Dを参照すると、1つ以上のシリコンベースの電子部品10が、表面層160のエピタキシャル部分161に集積されてもよい。
【0218】
例えば、電子部品10は、シリコン以外の単一の半導体材料、例えば、Ge、SiGeなどに基づく電子部品であってもよい。
【0219】
例えば、ソースフォロワ構成における第1及び第2のHEMT5A、5Bの使用を参照すると、第2のHEMT5Bの本体構造70は、動作電圧V
ccに結合されてもよく、それぞれのソース領域90に結合されなくてもよい(
図3の破線で示すように)。
【0220】
例えば、依然として
図3を参照すると、第1のHEMT5Aはハイサイドスイッチとして使用されてもよく、第2のHEMT5Bはローサイドスイッチとして使用されてもよい。
【0221】
例えば、一実施形態によれば、第1の接合領域60及び第1のエピタキシャル領域25は、第1のHEMT5Aのソース端子Sではなく、第1のHEMT 5Aのドレイン端子Dに電気的に接続されてもよく、及び/又は第1の接合領域110及び第1のエピタキシャル領域75は、第2のトランジスタ5Bのソース端子Sではなく、第2のトランジスタ5Bのドレイン端子Dに電気的に接続されてもよい。このようにして、使用時に、領域75及び110を、領域25に印加される電位とは異なる、特にそれよりも高い任意の電位にバイアスすることが可能である。
【0222】
例えば、
図4A~
図4Hを参照して説明された製造ステップ及びそれぞれの実行順序は、使用される特定のプロセス及び機械に応じて、例解され説明されたものとは異なってもよい。
【0223】
例えば、エピタキシャル多層21、71の成長は、使用される特定の成長パラメータに応じて、
図4Gを参照して説明したものとは異なってもよい。
図2及び
図4Gを参照して説明したように、エピタキシャル多層21、71の周辺部分の形状は、例解されたものと異なっていてもよい。
【0224】
例えば、多層169は、第4のエピタキシャル層154の露出部分154Bからのみ選択的に成長してもよい。この場合、隆起部分174は存在せず、その結果、
図4Hのような除去は起こらないかもしれない。
【0225】
例えば、記載された実施形態は、更なる解決策を提供するためにともに組み合わされてもよい。
【0226】
半導体電子デバイス(1)は、第1の導電型(P)を有する半導体材料の基板(15)を備えるダイ(3)と、ダイ内で基板(15)上に延在する半導体材料の本体構造(20、70)と、本体構造と接触して延在し、ヘテロ構造(22、72)を備えるエピタキシャル多層(21、71)とを備えるヘテロ構造に基づく第1の電子部品(5A、5B)であって、第1の電子部品の本体構造が、ヘテロ構造と基板との間に延在し、第1の導電型とは異なる第2の導電型(N)を有する半導体材料の第1のドープ領域(25、27、75、77)を備える、第1の電子部品(5A、5B)と、を含むものとして要約される。
【0227】
第1のドープ領域(25、27、75、77)は、基板に接触して延在する。
【0228】
本体構造(20、70)はまた、第2の導電型(N)を有し、第1のドープ領域(25、75)から距離を置いて、ヘテロ構造と基板(15)との間に延在する第2のドープ領域(27、77)を含む。
【0229】
本体構造(20、70)は、第2の導電型(N)、及び第1のドープ領域(25、27、75、77)のドーピングレベルよりも低いドーピングレベルを有する第3のドープ領域(28、78)を含み、エピタキシャル多層(21、71)は、第3のドープ領域上に延在する。
【0230】
電子デバイスは、ダイ(3)内に延在し、第1の電子部品(5A、5B)の本体構造(20、70)を少なくとも部分的に取り囲む絶縁構造(8、9)を更に含む。
【0231】
絶縁構造は、接合絶縁構造又はディープトレンチ絶縁構造である。
【0232】
本体構造(20、70)は、基板(15)に向かって下部においては、第1のドープ領域(25、75)によって、かつ横方向では、絶縁構造によって画成されている。
【0233】
電子デバイスは、ダイ内に延在し、エピタキシャル多層(21)を少なくとも部分的に取り囲み、エピタキシャル多層と本体構造(20、70)との間に、特にエピタキシャル多層と本体構造とに接触して配置される分離領域(50、100)を更に含み、分離領域は、多結晶型の半導体材料の領域(53、103)を備える。
【0234】
電子デバイスは、ヘテロ構造に基づく第2の電子部品(5B)を更に含み、第2の電子部品は、基板(15)上で、ダイ内に延在する半導体材料のそれぞれの本体構造(70)と、第2の電子部品の本体構造と接触して延在し、それぞれのヘテロ構造(72)を備えるそれぞれのエピタキシャル多層(71)とを備え、第1の電子部品(5A)の本体構造(20)は、第2の電子部品(5B)の本体構造(70)とは異なり、第1の電子部品のエピタキシャル多層(21)は、第2の電子部品のエピタキシャル多層(71)から距離を置いて延在し、第2の電子部品の本体構造は、それぞれのヘテロ構造(72)と基板との間に延在し、第2の導電型(N)を有する半導体材料の第1のドープ領域(75、77)を備える。
【0235】
第1及び第2の電子部品は、ソースフォロワ型の回路を形成するようにともに結合されたHEMTである。
【0236】
電子デバイスは、単一の半導体材料、例えばシリコンに基づき、ダイ(3)に集積される第3の電子部品(10)を更に含む。
【0237】
電子デバイス(1)を製造するためのプロセスは、第1の導電型(P)を有する半導体材料の基板(15)を備えるウェハ(150)を提供することと、ウェハ上に、ヘテロ構造に基づく第1の電子部品(5A、5B)を形成することであって、第1の電子部品を形成することが、基板(15)上に半導体材料の本体構造(20、70)を形成すること、及び本体構造と接触し、ヘテロ構造(21、71)を備えるエピタキシャル多層(21、71)を形成することを含む、第1の電子部品を形成すること、とを含むものとして要約され、本体構造は、ヘテロ構造と基板との間に延在し、第1の導電型とは異なる第2の導電型(N)を有する半導体材料の第1のドープ領域(25、27、75、77)を備える。
【0238】
基板はシリコンのものであり、上面(15A)を有し、例えば、上面は、<111>結晶方位に従って配向され、本体構造(20、70)は、基板の上面上の1つ以上の層のエピタキシャル成長によって形成される。
【0239】
エピタキシャル多層(21)を形成することは、基板(15)上に成長させたエピタキシャル層(154)上に成長マスク(157)を形成することであって、成長マスクが、酸化物を含む、成長マスク(157)を形成することと、成長マスク内に開口部を形成し、それによってエピタキシャル層の中央部分(154B)を露出させることと、エピタキシャル層の露出部分上にエピタキシャル多層(21、169)を成長させることと、を含む。
【0240】
成長マスクを形成することは、エピタキシャル層上にマスク層(156)を形成することと、マスク層の一部を除去し、それによってエピタキシャル層の周辺部分(154A)を露出させることと、エピタキシャル層(154)上に、エピタキシャル層と同じ材料の表面層(160)を成長させることであって、表面層が、エピタキシャル層(154)の周辺部分(154A)上に延在する第1の部分(161)、及び成長マスク(157)上に延在する第2の部分(162)を有する、成長させることと、を含み、成長マスク(157)内に開口部を形成することは、表面層の第2の部分(162)を通って成長マスクまで延在する凹部を形成することを更に含む。
【0241】
上で説明される様々な実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、及び刊行物の概念を採用するように変更して、更なる実施形態を提供することができる。
【0242】
これらの変更及び他の変更は、上記の詳細な説明に照らして実施形態に対して行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに全ての可能な実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されるものではない。
【外国語明細書】