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特開2025-23903ヘテロ構造に基づく電子部品を集積して、機械的応力を低減した半導体電子デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023903
(43)【公開日】2025-02-19
(54)【発明の名称】ヘテロ構造に基づく電子部品を集積して、機械的応力を低減した半導体電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10D 30/47 20250101AFI20250212BHJP
   H10D 30/83 20250101ALI20250212BHJP
   H10D 30/87 20250101ALI20250212BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/80 C
H01L29/80 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024119313
(22)【出願日】2024-07-25
(31)【優先権主張番号】102023000015828
(32)【優先日】2023-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】18/776,141
(32)【優先日】2024-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】312014443
【氏名又は名称】エスティマイクロエレクトロニクス インターナショナル エヌ.ヴイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】デペトロ,リッカルド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヘテロ構造に基づく電子部品を集積して、機械的応力を低減した半導体電子デバイスを提供する。
【解決手段】半導体電子デバイス1は、半導体材料の基板領域10と、基板領域上に延在し、かつ、ヘテロ構造50を含むエピタキシャル多層膜49を有する、ヘテロ構造に基づく第1の電子部品21と、基板領域上に延在する分離領域70と、を有する。分離領域は、第1の方向に沿って、エピタキシャル多層膜と並んで配置されている多結晶型の半導体材料の多結晶領域73Aを含む。デバイスはまた、基板領域上に延在する単結晶型の単一半導体材料のエピタキシャル領域23を有する。多結晶領域は、第1の方向に沿って、エピタキシャル多層膜とエピタキシャル領域との間に延在する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料の基板領域と、
前記基板領域上に延在しており、かつヘテロ構造を含むエピタキシャル多層膜を備える、ヘテロ構造に基づく第1の電子部品と、
前記基板領域上に延在しており、かつ第1の方向に沿って前記エピタキシャル多層膜と並んで配置された多結晶型の半導体材料の多結晶領域を含む分離領域と、
前記基板領域上に延在する単結晶型の単一半導体材料のエピタキシャル領域であって、前記多結晶領域は、前記第1の方向に沿って、前記エピタキシャル多層膜と前記エピタキシャル領域との間に延在する、エピタキシャル領域と、
前記分離領域内の第1のトレンチであって、前記トレンチは、前記多結晶領域を、第1の部分と、前記第1の部分とは異なる第2の部分とに分離する、第1のトレンチと、を備える、半導体電子デバイス。
【請求項2】
前記単一半導体材料に基づき、かつ前記エピタキシャル領域内に集積された第2の電子部品を更に備え、前記第2の電子部品は、CMOSトランジスタ、DMOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、又は単一半導体材料に基づく受動電子部品のうちの1つである、請求項1に記載の半導体電子デバイス。
【請求項3】
前記分離領域内の第2のトレンチを更に含み、前記第2のトレンチは、前記多結晶領域を、前記第1の部分及び前記第2の部分とは異なる第3の部分に更に分離する、請求項1に記載の半導体電子デバイス。
【請求項4】
前記第1の電子部品は、前記第1のトレンチによって取り巻かれており、前記第1のトレンチは、前記第2のトレンチによって取り巻かれている、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記多結晶領域の2つの隣接する部分が、0.2μm~3μmに含まれる相互距離で延在する、請求項4に記載の半導体電子デバイス。
【請求項6】
前記多結晶領域の前記部分は、各々、0.5μm~5μmに含まれる幅を有するピラーである、請求項4に記載の半導体電子デバイス。
【請求項7】
前記分離領域は、酸化物を含み、かつ前記基板領域と前記多結晶領域との間に延在する画定領域を更に備える、請求項1に記載の半導体電子デバイス。
【請求項8】
前記画定領域は、7nm~300nmに含まれる厚さを有する、請求項7に記載の半導体電子デバイス。
【請求項9】
前記分離領域は、前記エピタキシャル多層膜を少なくとも部分的に取り巻く、請求項1に記載の半導体電子デバイス。
【請求項10】
前記エピタキシャル領域は、第1の半導体材料のものであり、前記ヘテロ構造は、前記第1の半導体材料とは異なる第2の半導体材料を含む、請求項1に記載の半導体電子デバイス。
【請求項11】
半導体電子デバイスを製造するためのプロセスであって、
第1の成長部分と、前記第1の成長部分とは異なる第2の成長部分と、を有する半導体材料の基板層を備えるウエハを提供することと、
前記第1の成長部分上に、ヘテロ構造を備えるエピタキシャル多層膜を成長させることと、
ヘテロ構造から出発して、前記ヘテロ構造に基づく第1の電子部品を形成することと、
前記第2の成長部分上に、第1の方向に沿って、前記エピタキシャル多層膜と並んで配置されている多結晶型の半導体材料の多結晶領域を含む分離領域を形成することと、
前記基板層上に延在する単結晶型の単一半導体材料のエピタキシャル領域を形成することと、を含み、
前記多結晶領域は、前記第1の方向に沿って、前記エピタキシャル多層膜と前記エピタキシャル領域との間に延在する、製造プロセス。
【請求項12】
前記基板層は、前記第1の成長部分及び前記第2の成長部分とは異なる第3の成長部分を備え、
前記基板層上に、前記基板層の前記第1の成長部分及び前記第2の成長部分を覆う成長マスクを形成することと、
前記基板層の前記第3の成長部分上に延在する単結晶部分と、前記成長マスク上に延在する多結晶部分と、を有する単一半導体材料の表面層を成長させることであって、前記分離領域の前記多結晶領域は、前記表面層の前記多結晶部分から出発して形成され、前記エピタキシャル領域は、前記表面層の前記単結晶部分から出発して形成される、単一半導体材料の表面層を成長させることと、
前記エピタキシャル多層膜を成長させる前に、前記表面層の前記多結晶部分内、及び前記成長マスク内に、前記基板層の前記第1の成長部分を露出させる開口部を形成することと、を更に含む、請求項11に記載の製造プロセス。
【請求項13】
前記表面層の前記単結晶部分内に集積される、単一半導体材料に基づく第2の電子部品を形成することを更に含む、請求項12に記載の製造プロセス。
【請求項14】
前記分離領域を形成することが、前記基板層の前記第3の成長部分の上方に、前記表面層の前記多結晶部分を通して少なくとも1つのトレンチを形成することを含む、請求項11に記載の製造プロセス。
【請求項15】
前記トレンチは、前記エピタキシャル多層膜を成長させる前に、形成される、請求項14に記載の製造プロセス。
【請求項16】
前記分離領域を形成することは、
前記多結晶領域を通してトレンチを形成することと、
前記トレンチ内に複数の多結晶部分を形成することと、を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項17】
前記複数の多結晶部分は、複数の多結晶ピラーである、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
半導体基板と、
前記半導体基板上の第1の電子デバイスであって、前記第1の電子デバイスは、
ヘテロ構造と、
エピタキシャル多層膜と、を含む、第1の電子デバイスと、
前記第1の電子デバイスの周囲の、前記半導体基板上のトレンチ領域と、
前記トレンチ内の複数の多結晶ピラーと、
前記トレンチの周囲の、前記半導体基板上のエピタキシャル領域と、を備える、システム。
【請求項19】
前記エピタキシャル領域は、第1の半導体材料のものであり、前記ヘテロ構造は、前記第1の半導体材料とは異なる第2の半導体材料を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記半導体基板上に第2の電子デバイスを更に含み、前記第2の電子デバイスは、CMOSトランジスタ、DMOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、又は単一半導体材料受動電子部品のうちの1つである、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘテロ構造に基づく電子部品を集積して、機械的応力を低減した半導体電子デバイスに関する。本開示はまた、半導体電子デバイスの製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
同じシリコンダイ内に集積される、例えば、BCD(Bipolar-CMOS-DMOS)(バイポーラ-CMOS-DMOS)技術を使用して作製される、シリコンに基づく能動及び/又は受動電子部品、例えば、CMOSトランジスタ、DMOSトランジスタ、BJTトランジスタ、ダイオード、抵抗器などを含む半導体電子デバイスが知られている。
【0003】
実際には、これらの電子部品の機能性は、単一半導体材料(シリコン)の電子特性に基づく。
【0004】
これらのデバイスは、互いに非常に異なる電圧で、例えば、論理機能の実装に使用されるCMOSトランジスタの場合の数ボルトから、電力用途に使用されるDMOSトランジスタの場合の数百ボルトまでで動作するデジタル回路、アナログ回路、及び電力回路を、同じダイ内にモノリシックに集積する。
【0005】
シリコンベースの電子部品は、<100>シリコンウエハ上に成長された単結晶シリコン領域に集積される。
【0006】
ヘテロ構造ベースの電子部品を備える半導体電子デバイス、例えば、HEMTトランジスタもまた知られている。
【0007】
実際には、これらの電子部品の機能性は、2つの異なる半導体材料間のヘテロ接合の電子特性に基づく。
【0008】
詳細には、HEMTトランジスタおいて、導電性チャネルは、ヘテロ接合において、すなわち、異なるバンドギャップを有する半導体材料間の界面において形成される高移動度を有する二次元電子ガス(two-dimensional electron gas、2DEG)の層の形成に基づく。例えば、窒化アルミニウムガリウム(aluminum gallium nitride、AlGaN)層と窒化ガリウム(gallium nitride、GaN)層との間のヘテロ接合に基づくHEMTデバイスが知られている。
【0009】
特に、AlGaN/GaNヘテロ構造又はヘテロ接合に基づくHEMTデバイスは、これらを異なる用途に特に適し、かつ広く使用されるようにする様々な利点を提供する。例えば、HEMTデバイスの高い降伏閾値は、高性能電力スイッチに利用され、導電性チャネルにおける電子の高い移動度により、高周波数増幅器を形成することができ、更に、2DEG中の電子の高い濃度により、低いオン状態抵抗(RON)を得ることができる。
【0010】
更に、無線周波数(radio frequency、RF)用途のためのHEMTデバイスは、通常、同様のシリコンLDMOSデバイスよりも良好なRF性能を有する。
【0011】
ヘテロ構造ベースの電子部品は、<111>シリコンウエハ上、又はサファイア(Al)若しくは炭化シリコン(silicon carbide、SiC)基板上にエピタキシャル成長されたヘテロ構造に集積される。
【0012】
本出願人は、シリコンウエハ上のヘテロ構造の成長が、成長基板(シリコン)と、ヘテロ構造を形成する材料(例えば、GaN/AlGaN)との間の異なる格子ピッチに起因して、シリコンウエハ内に高い機械的応力を引き起こし得ることを観察した。
【0013】
この高い機械的応力は、シリコンウエハ内に転位を引き起こす可能性がある。
【0014】
この転位は、ヘテロ構造ベースの電子部品が形成されるシリコンウエハの機械的安定性を損なう可能性がある。その結果、ヘテロ構造ベースの電子部品は、製造中及び使用中に絶縁破壊を受ける。
【0015】
更に、シリコンに基づき、かつシリコンウエハ内に集積される電子部品が存在する場合、高い機械的応力及び転位は、シリコンに基づく部品の機械的安定性及び性能を損なう可能性がある。
【0016】
その結果、ヘテロ構造ベースの電子部品及びシリコンベースの電子部品は、2つの異なるシリコンウエハから出発して、互いに別個のダイ内に集積される。
【0017】
しかしながら、これは、シリコンベース部品、及びヘテロ構造ベースの部品の両方を組み込む電子装置が、例えば、ダイ間の電気的接続によって導入される寄生容量又はインダクタンスに起因して、高い面積占有率、ひいては、高い製造コスト、高い電力消費、及び低い電気的性能を有する原因となる。
【0018】
1つの手法によれば、シリコンベースの部品が中に形成されたダイと、ヘテロ構造ベースの部品が中に形成されたダイとは、ダイ転写技術によって互いに接合される。
【0019】
しかしながら、この手法であっても、使用時のコスト、並びに製造及び電気的性能の信頼性の点で不利な点を有する。
【発明の概要】
【0020】
したがって、本開示によれば、半導体電子デバイス、及び半導体電子デバイスの製造プロセスが提供される。システムは、半導体基板と、半導体基板上の第1の電子デバイスとを備える。第1の電子デバイスは、ヘテロ構造及びエピタキシャル多層膜を含む。分離領域は、第1の電子デバイスを分離する。この分離領域は、半導体基板上のトレンチ領域、多結晶部分、及びエピタキシャル領域を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示のより良好な理解のために、その実施形態が、単に非限定的な例として、添付の図面を参照してここで説明される。
図1】一実施形態による半導体電子デバイスの断面図を示す。
図2図1のデバイスの上面図を示す。
図3A】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3B】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3C】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3D】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3E】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3F】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3G】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3H】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3I】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3J】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3K】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3L】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3M】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3N】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図3O】一実施形態による、図1のデバイスの製造プロセスの工程を示す。
図4】他の実施形態による、図2のデバイスの一部の上面図を示す。
図5】他の実施形態による、図2のデバイスの一部の上面図を示す。
図6A】異なる実施形態による、半導体電子デバイスの製造プロセスの工程を示す。
図6B】異なる実施形態による、半導体電子デバイスの製造プロセスの工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明は、添付の図に示される配置を参照する。したがって、「上方」、「下方」、「下部」、「上部」、「右」、「左」、「高い」、「低い」などの表現は、添付の図に関するものであり、限定的に解釈されるべきではない。
【0023】
図1及び図2は、第1の軸X、第2の軸Y、及び第3の軸Zを有する直交座標系XYZにおける半導体電子デバイス(以下、単にデバイスと称する)1を示している。
【0024】
デバイス1は、ダイ3内に形成され、PMOSトランジスタ5A及びNMOSトランジスタ5Bが図1に示されている1つ以上のシリコンベースの電子部品5と、HEMTトランジスタ7が図1に示されている1つ以上のヘテロ構造ベースの電子部品とを備え、全てが、ダイ3内に集積されている。
【0025】
ダイ3は、基板領域10と、基板領域10上に延在し、特に基板領域と直接接触する表面領域12とを備える。
【0026】
基板領域10は、基板14と、基板14上に配置された1つ以上のエピタキシャル層とを備える。
【0027】
基板14は、半導体材料、特に単結晶のものであり、上面14Aを有する。
【0028】
詳細には、この実施形態では、基板14は、単結晶シリコンのものであり、特に上面14Aは、<111>結晶方向に従って配向されている。
【0029】
この実施形態では、基板領域10は、基板14の上面14Aの上に重なる第1のエピタキシャル層又は第1のディープ層15と、第1のディープ層15の上に重なる第2のエピタキシャル層又は第1の中間層16と、第1の中間層16の上に重なる第3のエピタキシャル層又は第2のディープ層17と、第2の中間層17の上に重なる第4のエピタキシャル層又は第2の中間層18と、を備える。
【0030】
エピタキシャル層15~18は、半導体材料、特に基板14の材料(ここでは、シリコン)と同じ材料のものであり、明確にするために、図1において破線によって識別されている。
【0031】
基板14及びエピタキシャル層15~18の、第3の軸Zに沿った厚さ、導電型(例えば、P又はN)、及びドーピングプロファイルは、デバイス1の特定の用途に応じて、設計段階において選択することができる。
【0032】
例えば、エピタキシャル層15~18は、各々、0.1μm~7μmに含まれる厚さを有することができる。
【0033】
例えば、この実施形態では、基板14は、例えば、0.1Ωcm~20Ωcmに含まれる抵抗率を有するP型のものであり、エピタキシャル層15~18は、N型のものである。このようにして、第1のディープ層15は、基板14とともにPN接合を形成することができ、このPN接合は、使用時に、ダイ3内に集積されたデバイス5、7を基板14から絶縁するために使用することができる。
【0034】
第1のディープ層15及び第2のディープ層17は、第1の中間層16及び第2の中間層18に対して異なる、特にそれらよりも高いドーピングレベルを有することができる。例えば、層15~18のドーピングレベルは、例えば、0.1Ωcm~20Ωcmに含まれる抵抗率を提供するようなものであってもよい。
【0035】
第1のディープ層15の高いドーピングレベルにより、使用時に、第1のディープ層15と基板14との間の空乏領域が主に基板14内に延在し、それに伴って、基板14からの部品5、7の電気的絶縁を改善される。
【0036】
更に、第1のディープ層15の高ドーピングレベルは、例えば、シリコンベースの部品5がBJTトランジスタを含む場合、使用時に、第1のディープ層15が、ダイ3内に集積された電子部品の電流伝導領域として使用されることを可能にし得る。
【0037】
第1のディープ層15及び第2のディープ層17の両方の存在は、電子部品5、7が基板14に対して高電圧、例えば、約60Vから出発して約650Vまで、又は更にはそれ以上で動作するように設計されている場合に、デバイス1の製造を簡略化し、使用時にデバイス1の優れた電気的性能を得るのに有用であり得る。
【0038】
表面領域12は、第2の中間層18上に、特にその中間層と直接接触して延在しており、PMOSトランジスタ5A及びNMOSトランジスタ5Bが集積されている第1のデバイス部分20と、HEMTトランジスタ7が集積されている第2のデバイス部分21とを備える。
【0039】
第1のデバイス部分20は、上面20Aを有し、単結晶半導体材料、特に第2の中間層18と同じ材料、ここでは、単結晶シリコンのエピタキシャル領域23を備える。
【0040】
エピタキシャル領域23は、第2の中間層18から、特にここでは、その中間層と直接接触して、上面20Aまで延在する。
【0041】
第3の軸Zに沿った厚さ、導電型(例えば、P又はN)、及びエピタキシャル領域23のドーピングプロファイルは、デバイス1の特定の用途に応じて、設計段階において選択することができる。
【0042】
例えば、この実施形態では、エピタキシャル領域23は、N型のものである。
【0043】
第1のデバイス部分20は、エピタキシャル領域23内に延在し、かつシリコンベースの電子部品5の機能領域を形成する複数のドープ領域を備える。
【0044】
実際には、シリコンベースの電子部品5、ここでは、PMOSトランジスタ5A及びNMOSトランジスタ5Bは、エピタキシャル領域23内に集積される。
【0045】
詳細には、図1の実施形態において、P++型のドープ領域25A、25Bは、上面20Aからエピタキシャル領域23内に延在する。ドープ領域25A、25Bは、それぞれ、PMOSトランジスタ5Aのソース領域及びドレイン領域を形成し、PMOSトランジスタ5Aのチャネル領域26を画定する。
【0046】
更に、N++型のドープ領域27は、上面20Aからエピタキシャル領域23内に延在し、PMOSトランジスタ5Aのボディコンタクト領域を形成する。
【0047】
更に図1の実施形態を参照すると、P型のドープ領域28は、上面20Aからエピタキシャル領域23内に延在し、NMOSトランジスタ5Bのボディ領域を形成する。
【0048】
N++型のドープ領域29A、29Bは、ドープ領域28内に延在し、NMOSトランジスタ5Bのソース領域及びドレイン領域をそれぞれ形成し、NMOSトランジスタ5Bのチャネル領域30を画定する。
【0049】
更に、P++型のドープ領域31が、ドープ領域28内に延在し、NMOSトランジスタ5Bのボディコンタクト領域を形成する。
【0050】
実際には、ドープ領域25A、25B、27、29A、29B、及び31、すなわち、ソースドープ領域、ドレインドープ領域、及びボディコンタクト領域は、例えば、5・1019原子/cm-3~5・1020原子/cm-3に含まれるピークドーピングレベルを有する高ドープ領域である。逆に、ドープ領域28、すなわち、ボディ領域は、例えば、1・1016原子/cm-3~2・1018原子/cm-3に含まれるドーピングレベルを有する低ドーピング領域である。
【0051】
ドープ領域の数、配置、形状、サイズ、及びドーピングプロファイルは、設計段階において、ダイ3内に集積される特定のシリコンベースの電子部品5、及びデバイス1の特定の用途に応じて、選択することができる。
【0052】
絶縁材料、例えば、酸化物の絶縁部分33は、特定の用途に応じて、上面20Aから出発してエピタキシャル領域23内に延在することができる。
【0053】
特に、図1において、絶縁部分33は、ドープ領域27と25Aとの間に、25Bと31との間に、31と29Aとの間に、第1の軸Xに対して平行に延在する。
【0054】
例えば、酸化物又は窒化物の第1の絶縁層35は、第1のデバイス部分20の上面20A上に延在する。
【0055】
例えば、酸化物の第2の絶縁層36は、第1の絶縁層35上に延在する。
【0056】
シリコンベースの部品5の表面構造38は、第1のデバイス領域20の上面20A上に延在し、その上面と直接接触する。表面構造38は、シリコンベースのデバイス5の更なる機能領域を形成し、ダイ3内に集積された特定のシリコンベースの電子部品5に応じて、様々な導電性及び/又は絶縁性領域を含むことができる。
【0057】
この実施形態では、表面構造38は、PMOSトランジスタ5Aのチャネル領域26の上方、及びNMOSトランジスタ5Bのチャネル領域30の上方に、それぞれ延在するゲート絶縁領域40、41を備える。簡単にするために、ゲート絶縁領域40、41のうち、ここでは、ポリシリコンの、かつ再度40、41によって示されたそれぞれの導電領域のみが、図1に示されており、各々は、それぞれの上面40A、41Aを有する。
【0058】
図1には示されていないが、ゲート絶縁領域40、41はまた、各々、それぞれのポリシリコン領域と上面20Aとの間に配置されたそれぞれの絶縁領域と、それぞれの表面40A、41Aと接触してそれぞれのゲート端子Gを形成する導電性材料、例えば、金属のそれぞれの接触領域とを含むこともできる。
【0059】
図1の実施形態では、表面構造38はまた、導電性材料のソースコンタクト領域42、43及びドレインコンタクト領域44、45も備え、これらは、第1の絶縁層35及び第2の絶縁層36を通って延在し、上面20Aと直接接触し、それぞれのソースS端子及びドレインD端子を形成する。
【0060】
詳細には、ソースコンタクト領域42、43は、PMOSトランジスタ5Aのソース領域25A、及びNMOSトランジスタ5Bのソース領域29Aとそれぞれ直接接触して延在する。
【0061】
更に、図示の実施形態では、ソースコンタクト領域42、43は、各々、それぞれのボディコンタクト領域27、31とも直接接触して延在する。
【0062】
ドレインコンタクト領域44、45は、それぞれ、PMOSトランジスタ5Aのドレイン領域25B、及びNMOSトランジスタ5Bのドレイン領域29Bと直接接触して延在する。
【0063】
表面領域12の第2のデバイス部分21は、上面21Aを有し、第2の中間層18上に延在し、かつそこから成長したエピタキシャル多層膜49を備える。
【0064】
エピタキシャル多層膜49は、HEMTトランジスタ7が集積されるヘテロ構造50を備える。
【0065】
図1の実施形態では、エピタキシャル多層膜49はまた、第2の中間層18とヘテロ構造50との間に配置されている、互いに重なる第1のバッファ層52及び第2のバッファ層53によってここに形成された遷移領域も備える。この遷移領域は、デバイス1の製造中に、第2の中間層18上のヘテロ構造50のエピタキシャル成長に有利に働くために有用であり得る。
【0066】
詳細には、例えば、窒化アルミニウム(aluminum nitride、AlN)の第1のバッファ層52は、第2の中間層18上に延在し、かつその中間層と直接接触し、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)の第2のバッファ層53は、第1のバッファ層52上に延在し、かつそのバッファ層と直接接触する。
【0067】
ヘテロ構造50は、周期表のIII族及びV族の元素を含む化合物半導体材料を備え、第2のデバイス部分21の上面21Aを形成する。
【0068】
第2のデバイス部分21の上面21Aは、デバイス1を製造するために使用される特定の製造工程に応じて、第1のデバイス部分20の上面20Aの座標と同じか又はそれとは異なる、第3の軸Zに沿った座標で延在することができる。
【0069】
特に、この実施形態では、第2のデバイス部分21の上面21Aは、第1のデバイス部分20の上面20Aに対して、第3の軸Zに沿って測定された、より低い高さに配置される。これにより、デバイス1の製造が改善されることを可能にし得る。
【0070】
ヘテロ構造50は、互いに重なるチャネル層55及びバリア層56を備える。
【0071】
チャネル層55は、第1の半導体材料、例えば、窒化ガリウム(GaN)、又はInGaNなどの窒化ガリウムを含む合金のもの、ここでは、窒化ガリウム(GaN)のものであり、遷移領域上に、特に第2のバッファ層53上に延在し、上面55Aを有する。
【0072】
バリア層56は、第2の半導体材料、例えば、AlGa1-xN、AlInGaN、InGa1-xN、AlIn1-xAl、AlScNなどの三元又は四元窒化ガリウム合金に基づく化合物のもの、ここでは、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)のものであり、チャネル層55の上面55Aと、第2のデバイス部分21の上面21Aとの間に延在する。
【0073】
チャネル層55及びバリア層56は、特定の用途に応じて、真性、P型、又はN型であってもよい。特に、チャネル層55及びバリア層56の両方は、N型であってもよい。
【0074】
例えば、バリア層56がAlGaNのものである場合、アルミニウム原子の存在は、バリア層56をN型のものとすることができる。
【0075】
ヘテロ構造50は、チャネル層55とバリア層56との間の界面に、すなわち、チャネル層55の上面55Aに配置されている(可動)電荷キャリア、特にここでは、電子の二次元ガス(2DEG)を収容するように構成されている。
【0076】
例えば、酸化シリコンなどの酸化物の上面58Aを有する絶縁層58は、例えば、20nm~1μmに含まれる厚さで上面21A上に延在する。
【0077】
絶縁層36はまた、第2のデバイス部分21上、特に絶縁層58上に延在する。
【0078】
ヘテロ構造ベースの部品7の表面構造60は、第2のデバイス部分21の上面21A上に延在する。
【0079】
表面構造60は、ダイ3内に集積された特定のヘテロ構造ベースの電子部品7に応じて、ヘテロ構造ベースの部品7の機能領域を形成する様々な導電性及び/又は絶縁性領域とすることができる。
【0080】
ヘテロ構造ベースの電子部品7がHEMTトランジスタであるこの実施形態では、表面構造60は、第1の軸Xに沿って互いにある距離をおいて延在する、導電性材料のソース領域61及びドレイン領域62を備える。
【0081】
ソース領域61及びドレイン領域62は、ヘテロ構造50と、特にチャネル層55とバリア層56との間の界面に形成される二次元ガスと電気的に接触し、特にオーミック接触しており、それぞれ、HEMTトランジスタ7のソース端子S及びドレイン端子Dを形成する。
【0082】
図1の実施形態では、ソース領域61及びドレイン領域62は、第3の軸Zに対して平行に、絶縁層36、58を通って上面21Aまで延在する。
【0083】
ただし、ソース領域61及びドレイン領域62は、特定の用途に応じて、第3の軸Zに対して平行に、また、ヘテロ構造50を部分的に通って、例えば、バリア層56の一部に対して、又はバリア層56の厚さ全体にわたって表面55Aまで延在することができる。
【0084】
表面構造60はまた、ここではチャネル変調領域64及びゲートコンタクト領域65によって形成されたゲート構造も備え、それらの領域は、ソース領域61とドレイン領域62との間のヘテロ構造50内の二次元ガスの形成を電気的に制御するようにバイアスすることができる。ゲート構造は、HEMTトランジスタ7のゲート端子Gを形成する。
【0085】
この実施形態では、HEMTトランジスタ7は、ノーマリオフ型のもの、すなわち、エンハンスメント型のものである。
【0086】
詳細には、この実施形態では、チャネル変調領域64は、半導体材料のものであり、バリア層56に対して異なる導電型、例えば、P型を有する。特に、チャネル変調領域64は、P型窒化ガリウム(P-type gallium nitride、p-GaN)のものであってもよい。
【0087】
ただし、チャネル変調領域64は、絶縁型ゲート構造を得るための、異なる材料のもの、例えば、誘電体材料のものであってもよい。
【0088】
チャネル変調領域64は、第1の軸Xに沿ってソース領域61とドレイン領域62との間の上面21A上に延在し、上面64Aを有する。
【0089】
チャネル変調領域64の上面64Aは、デバイス1を製造するために使用される特定の製造工程に応じて、ゲート絶縁領域40、41の上面40A、41Aの座標と等しいか、又はそれらの座標とは異なる、第3の軸Zに沿った座標において延在してもよい。
【0090】
特に、この実施形態では、チャネル変調領域64の上面64Aは、第3の軸Zに沿って測定された、第2の中間層18からのある距離に配置されており、その距離は、第3の軸Zに沿って測定された、第2の中間層18からの、ゲート絶縁領域40、41の上面40A、41Aの距離よりも小さい。これにより、デバイス1の製造の信頼性を高めることができる。
【0091】
導電性材料のゲートコンタクト領域65は、チャネル変調領域64と電気的に接触して、特にここでは、上面64Aと接触して延在する。
【0092】
デバイス1はまた、ダイ3の表面領域12において、エピタキシャル多層膜49と並んで基板領域10上に、特に第2の中間層18上にそれと直接接触して延在する分離領域70も備える。
【0093】
図1及び図2の配置を参照すると、分離領域70は、第1の軸Xに対して平行に、エピタキシャル多層膜49とエピタキシャル領域23との間に延在する。
【0094】
この実施形態では、図2に見られるように、分離領域70は、エピタキシャル多層膜49を取り巻く。
【0095】
詳細には、分離領域70は、第2の中間層18の材料とは異なる材料の画定領域72と、ここでは多結晶半導体材料、特に多結晶シリコンの2つの多結晶部分73A、73Bによって形成される多結晶領域とを備える。
【0096】
画定領域72は、単一層、例えば、酸化物、特に酸化シリコンによって、又は例えば、酸化物の1つ以上の層、及び/若しくは窒化物の1つ以上の層を備える多層膜によって、形成されてもよい。
【0097】
詳細には、一実施形態によれば、画定領域72は、酸化シリコンのものであってもよい。
【0098】
異なる実施形態によれば、画定領域72は、酸化物層、特に酸化シリコンと、窒化物層とを備えることができる。一実施形態によれば、酸化物層は、第2の中間層18と直接接触してもよい。
【0099】
画定領域72は、第2の中間層18と直接接触して延在する。
【0100】
画定領域72は、例えば、7nm~300nm、特に70Å~200Åに含まれる、第3の軸Zに沿った厚さを有してもよい。
【0101】
多結晶部分73A、73Bは、画定領域72上に延在し、エピタキシャル多層膜49を取り巻く。
【0102】
分離領域70は、多結晶領域内、特にここでは、2つの多結晶部分73A、73Bの間に延在するトレンチ75を更に備える。
【0103】
詳細には、トレンチ75は、2つの多結晶部分73A、73Bを互いに分離する。実際には、この実施形態では、2つの多結晶部分73A、73Bは、互いに別個であり、互いからある距離をおいて延在する。
【0104】
トレンチ75は、2つの多結晶部分73A、73Bの間で測定される幅Wを有し、この幅は、0.2μm~3μmに含まれ得る(それらの境界は、含まれても含まれなくてもよい)。
【0105】
多結晶部分73Aは、トレンチ75の外部に延在し、この実施形態では、エピタキシャル領域23と連続している(モノリシックである)。実際には、多結晶部分73Aは、分離領域70の外側側壁76を形成する。
【0106】
外側側壁76の傾斜は、エピタキシャル領域23の結晶方位、及び画定領域75の、第3の軸Zに沿った厚さに依存し得る。例えば、エピタキシャル領域23が<111>結晶方向に従って配向されている場合、外側側壁76は、第1の軸Xに対して平行な方向と約54°の角度を形成し得る。
【0107】
多結晶部分73Bは、トレンチ75の内部に延在し、ここでは、エピタキシャル多層膜49と接触している。実際には、多結晶部分73Bは、分離領域70の内側側壁77を形成する。
【0108】
内側側壁77の傾斜は、エピタキシャル多層膜49を製造するために使用される特定の製造工程に依存し得る。
【0109】
トレンチ75は、デバイス1を製造するために使用される特定の製造工程に応じて、部分的に若しくは完全に充填されてもよく、又は空であってもよい。
【0110】
図1を参照すると、トレンチ75は、エピタキシャル多層膜49を形成する材料のうちの1つ以上によって形成された周辺部分79と、空であるか、又は例えば、絶縁層36を形成するのと同じ材料の絶縁材料で全体的に若しくは部分的に充填され得る中央部分80とを備える。
【0111】
この実施形態では、多結晶部分73A、73Bは、上面20Aからある距離をおいて延在する。詳細には、絶縁材料、例えば、酸化物の絶縁領域82は、上面20Aからエピタキシャル領域23及び分離領域70の内側に向かって、ダイ3内に延在する。
【0112】
図1の実施形態では、エピタキシャル多層膜49は、分離領域70の内側側壁77上に共形的に延在し、かつ隆起表面84Aを形成する周辺部分84を備える。
【0113】
隆起表面84Aは、上面21Aに対してより大きく、かつ、ここでは絶縁層58の上面58Aよりも更に大きい、第3の軸Zに沿った座標に配置されている。
【0114】
更に、この実施形態では、トレンチ75は、第3の軸Zに沿って、絶縁領域82も通して、特に隆起表面84Aと位置合わせされた上面20Aよりも大きい、第3の軸Zに沿った座標まで、延在する。ただし、トレンチ75の形状及び構造は、使用される特定の製造工程に依存する。
【0115】
エピタキシャル多層膜49と並んで、多結晶部分73A、73Bによってここで形成された分離領域70の多結晶領域は、エピタキシャル多層膜49とエピタキシャル領域23との間の間隔領域として機能する。
【0116】
実際、多結晶領域の存在は、エピタキシャル領域23を形成する材料(ここでは、シリコン)と、ヘテロ構造50を形成する材料(ここでは、AlN、GaN、及びAlGaN)との間の異なる格子ピッチによって引き起こされる機械的応力を吸収することを可能にする。
【0117】
その結果、ヘテロ構造50は、横方向に低い機械的応力を受ける。したがって、ヘテロ構造50は、良好な結晶学的品質を有することができ、その結果、HEMTトランジスタ7は、使用時に、良好な電気的性能を有することができる。
【0118】
分離領域70の存在はまた、エピタキシャル領域23が受ける機械的応力を小さくし、転位のリスクを低くする。次に、シリコンベースの電子部品5をエピタキシャル領域23内に集積することができる。
【0119】
更に、本出願人は、トレンチ75の存在が、エピタキシャル多層膜49と並んで機械的応力を更に低減することに寄与することを確認した。
【0120】
実際には、デバイス1は、シリコンベースの部品5及びヘテロ構造ベースの部品7が互いに異なるダイ上に集積される電子デバイスに対して小さい寸法を維持しながら、シリコンベースの部品5及びヘテロ構造ベースの部品7の機能を単一のダイ内に組み合わせることを可能にすることができる。
【0121】
更に、シリコンベースの部品5とヘテロ構造ベースの部品7との間の電気接続は、ダイ3上に直接形成することができる。これにより、使用時に、デバイス1の高い電気的性能を確実にすることができる。
【0122】
以下に、図3A図3Oを参照して、半導体電子デバイス1の製造工程を説明する。
【0123】
図3Aは、上面100Aを有する単結晶半導体材料、特にシリコンのウエハ100の断面を示す。図1を参照して既に説明されたものと共通のウエハ100の要素は、同じ参照番号で示され、更に詳細には説明されない。
【0124】
ウエハ100は、エピタキシャル層15、16、17、及び18が既に成長されている基板14を備える。
【0125】
第4のエピタキシャル層又は第2の中間層18は、ウエハ100の上面100Aを形成する。
【0126】
第2の中間層18は、エピタキシャル領域23が形成されることが意図されている第1の部分101Aと、エピタキシャル多層膜49が形成されることが意図されている第2の部分101Bと、分離領域70が形成されることが意図されている第3の部分101Cとを備える。
【0127】
続いて、図3Bでは、例えば、酸化シリコンの酸化物を含む画定層102が、上面100A上に形成される。
【0128】
画定層102は、画定領域72について説明したように、単層又は多層膜であってもよい。
【0129】
画定層102は、第3の軸Zに沿って、例えば7nm~300nm、特に70Å~200Åに含まれる薄い厚さを有することができる。
【0130】
画定層102は、画定領域72(図1)を形成することが意図されている。
【0131】
画定層102は、第2の中間層18の表面部分の酸化によって、又は上面100A上への堆積によって形成することができる。酸化の場合、第2の中間層18の厚さは、図3Aの層18に対して、酸化後に低減し得る。しかしながら、第2の中間層18の厚さに対して画定層102の厚さがはるかに小さいことを考慮すると、簡略化のために、第2の中間層18の厚さは、第1近似として、酸化の前後で同じままであると仮定することができる。
【0132】
次に、図3Cにおいて、画定層102は、第2の中間層18の第1の部分101A、すなわち、上にエピタキシャル領域23が形成されることが意図されている第2の中間層18の部分において、除去される。したがって、画定層102のうち、以下で成長マスク103とも呼ばれる部分が残る。
【0133】
実際には、成長マスク103は、第2の中間層18の第1の部分101Aを露出させ、第2の中間層18の第2の部分101B及び第3の部分101Cを覆う。
【0134】
図3Dでは、半導体材料、特に第2の中間層18と同じ材料(ここでは、シリコン)の表面層105が、ウエハ100上に成長される。
【0135】
表面層105は、上面105Aを有する。
【0136】
表面層105は、第2の中間層18から、特にそれぞれの第1の部分101Aから第3の軸Zに対して平行に成長するエピタキシャル部分106と、成長マスク103上で第3の軸Zに対して平行に成長する犠牲部分107とを含む。
【0137】
単結晶基板から成長するエピタキシャル部分106は、第2の中間層18の単結晶構造を維持し、エピタキシャル領域23を形成することが意図されている。
【0138】
犠牲部分107は、非結晶基板から成長し、多結晶構造を有する。
【0139】
図3Eでは、NMOSトランジスタ5Bのボディ領域に対応するドープ領域28、及び任意選択的に、絶縁層108が、表面層105内に形成される。
【0140】
詳細には、ボディ領域28は、エピタキシャル部分106内に形成され、そこには、シリコンベースの部品5が形成される。
【0141】
ボディ領域28は、ドーピングイオンの注入によって形成されてもよい。
【0142】
例えば、酸化シリコンの絶縁層108は、絶縁部分33(図1)と、絶縁領域82(図1)を形成することが意図された部分109とを形成する。
【0143】
絶縁層108は、表面層105に絶縁トレンチ、例えば、シャロートレンチアイソレーション(Shallow Trench Isolation、STI)を形成することによって、形成されてもよい。この場合、エピタキシャル部分106の厚さ、及び犠牲部分107の厚さは、絶縁層108の形成に応答して減少し得る。部分109は、連続していてもよく、又は互いに分離された複数の構造によって、例えば、互いに異なる厚さを有する交互の誘電体ゾーンによって形成されてもよい。
【0144】
更に、また図3Eを参照すると、1つ以上の表面層110は、デバイス1のダイ3内に集積することが望まれる特定のシリコンベースの電子部品5に応じて、表面層105の上面105A上に形成され得る。
【0145】
図示の実施形態では、表面層110は、PMOSトランジスタ5A及びNMOSトランジスタ5Bのゲート絶縁領域40、41(図1)を形成することが意図された層である。特に、表面層110のうち、ここでは依然として110によって示されるポリシリコンの単一ゲート層のみが、ここでは示されている。ただし、ここでは図示されていない酸化物層が、上面105Aとポリシリコン層110との間に、それ自体公知の方法で形成される。
【0146】
ポリシリコン層110は、上面110Aを有する。
【0147】
例えば、絶縁材料の、上面111Aを有するマスク犠牲層111はまた、ゲート層110の表面110A上に形成される。このマスク犠牲層111は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、及び炭化シリコン、又はそれらの組み合わせを含む、単層又は多層膜であってもよい。
【0148】
図3Fでは、開口部113が、犠牲部分107の上方に開けられている。
【0149】
開口部113は、層110、111の一部を選択的に除去することによって形成され、したがって、下にある犠牲部分107、特に第2の中間層18の第2の部分101Bに面する部分を露出させる。
【0150】
犠牲層111の残りの部分は、エッチングマスクとして使用することができる。
【0151】
続いて、図3Gに示すように、エッチングマスク111を用いて、開口部113において絶縁層108及び犠牲部分107を除去する。
【0152】
したがって、犠牲部分107のうち、エッチングマスクの下方に配置され、第2の中間層18の第3の部分101Cに面し、図1の多結晶部分73A、73Bを形成することになる部分(ここでは、ワーク多結晶領域114として示される)が残る。
【0153】
図3Gのエッチングに続いて、犠牲部分107内に形成された凹部は、開口部113と連続しており、第2の中間層18の第2の部分101Bに面する成長マスク103の一部を露出させる。
【0154】
図3Hでは、成長マスク103の露出部分が除去される。したがって、成長マスク103のうち、ワーク多結晶領域114の下方に配置されている部分、すなわち、図1の画定領域72が残る。
【0155】
成長マスク103の露出部分のエッチングは、下にある第2の中間層18を第1近似としてエッチングしない選択的化学作用を使用して実行することができる。
【0156】
したがって、図3Hのエッチングに続いて、開口部113はまた、第2の中間層18の第2の部分101Bも露出させる。
【0157】
図3Iにおいて、図1のトレンチ75は、エッチングマスク111内にそれぞれの窓を開けて、ワーク多結晶領域114の露出部分を除去することによって形成される。このため、ワーク多結晶領域114のうち、多結晶部分73A及び73Bが残る。
【0158】
この実施形態では、トレンチ75の形成はまた、絶縁層109の一部の除去も含む。
【0159】
ワーク多結晶領域114の露出部分の除去は、図3Gの凹部113を形成するために使用されるのと同じ化学作用を使用して実行されてもよい。
【0160】
次に、図3Jにおいて、図1のエピタキシャル多層膜49を形成することが意図されたワーク多層膜117が、ウエハ100上に成長される。
【0161】
詳細には、図1のバッファ層52に対応し、したがって、同じ参照番号によって示される第1のバッファ層が、ウエハ100上に成長される。第1のバッファ層52は、上面100Aの露出部分上に、内側側壁77上に、かつエッチングマスク111上に延在する。
【0162】
図1のバッファ層53に対応し、したがって、同じ参照番号で示される第2のバッファ層は、第1のバッファ層52上に成長される。
【0163】
図1のチャネル層55に対応し、したがって、同じ参照番号で示されるチャネル層は、第2のバッファ層53上に成長される。
【0164】
図1のバリア層56に対応し、したがって、同じ参照番号で示されるバリア層は、チャネル層55上に成長される。
【0165】
図示の実施形態では、ワークエピタキシャル多層膜117の一部はまた、トレンチ75内にも、特にここでは、トレンチ75の壁にも共形的に成長し、充填部分118を形成し、トレンチ75の中央部分119を空のままにする。
【0166】
一般性を失うことなく、充填部分118は、ワーク多層膜117を形成する材料(例えば、AlN、AlGaN、及び/又はGaN)のうちの1つ以上、あるいは例えば、酸化物又は窒化シリコン、酸化アルミニウムなど、例えば、誘電体又は絶縁体などの他の材料によって形成されてもよく、充填部分118の特定の形状は、ワーク多層膜117を成長させるために使用される特定の成長条件に応じて、図示されたものと異なってもよい。
【0167】
実際には、ワーク多層膜117は、充填部分118に加えて、エッチングマスク111上に、かつ分離領域70の内側側壁77上に延在する高架部分120と、第2の中間層18の上面100A上に直接延在する有用部分121とを備える。
【0168】
この有用部分121は、実質的に平坦である、特に上面100Aに対して実質的に平行である、上面121Aを有する。
【0169】
第2の中間層18上に成長された有用部分121は、単結晶型のものであり、ヘテロ構造ベースのデバイス7を集積するために使用される。
【0170】
次に、図3Kにおいて、チャネル変調領域64は、それ自体既知の方法で、例えば、特定の層を成長させて画定することによって、有用部分121の上面121A上に形成される。
【0171】
実際には、この実施形態では、ワーク多層膜117の有用部分121はまた、チャネル変調領域64も備える。
【0172】
したがって、ここでは、変調領域64の表面64Aは、有用部分121の最も高架の表面、すなわち、表面100Aから第3の軸Zに沿って、最大距離における有用部分121の表面を形成する。
【0173】
エッチングマスク111が延在する表面110Aは、表面100Aから第3の軸Zに沿って、有用部分121の最も高架の表面よりも大きいある距離に配置され得る。これは、チャネル変調領域64を保護するために、したがって、デバイス1の製造プロセスの信頼性を高めるために、後続の製造工程において有用であり得る。
【0174】
絶縁材料の保護層124、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、炭化ケイ素又はそれらの組み合わせを含む、例えば、単層又は多層膜は、図3Lに示すように、バリア層56上に形成される。保護層124は、第3の軸Zに沿って、チャネル変調領域64の厚さよりも大きい、例えば、10nm~500nmに含まれる厚さを有する。
【0175】
言い換えれば、保護層124は、チャネル変調領域64を完全に覆う。
【0176】
保護層124は、有用部分121において、有用部分121の上面121Aと面する上面124Aを有する。
【0177】
この実施形態では、保護層124の上面124Aは、表面100Aから第3の軸Zに沿ったある高さで延在し、その高さは、表面100Aから第3の軸Zに沿った、エッチングマスク111の上面111Aの高さよりも小さい。これは、チャネル変調領域64を保護するために、したがって、デバイス1の製造プロセスの信頼性を高めるために、後続の製造工程において有用であり得る。
【0178】
更に、この実施形態では、保護層124の上面124Aと、チャネル変調領域64の上面64Aとの間の、第3の軸Zに沿った距離は、第3の軸Zに沿った、エッチングマスク111の厚さよりも大きい。これは、チャネル変調領域64を保護するために、したがって、デバイス1の製造プロセスの信頼性を高めるために、後続の製造工程において有用であり得る。
【0179】
図3Mにおいて、ワーク多層膜117の高架部分120は、エッチングマスク111の上面111Aまで少なくとも部分的に除去され、それによって、エッチングマスク111を露出させる。
【0180】
この除去は、平坦化、例えば、化学機械研磨(chemical-mechanical polishing、CMP)又は他のエッチング技術によって実行することができる。
【0181】
図示の実施形態では、ワーク多層膜117の高架部分120の除去後、表面84Aがエッチングマスク111の上面111Aと同じ高さである多層膜49の周辺部分84(図1)を形成する内側側壁77上に延在する一部のみが残る。
【0182】
保護層124のうち、ワーク多層膜117の有用部分121上に延在する、依然として124によって示された部分が残る。
【0183】
次に、図3N、ウエハ100をエッチングして、エッチングマスク111を除去し、したがって、ゲート層110を露出させる。
【0184】
この実施形態では、エッチングマスク111のエッチングはまた、保護層124もエッチングし、したがって、その厚さを減少させる。ただし、エッチングマスク111の厚さは、チャネル変調領域64の上面64と、保護層124の上面124Aとの間の距離よりも小さいため、残った保護層124は、依然としてチャネル変調領域64を完全に覆う。その結果、チャネル変調領域64は、図3Nのエッチングによって損傷を受けることはない。
【0185】
エッチングの後、保護層124は、図1を参照して説明した絶縁層58を形成する。
【0186】
エッチングマスク111及び保護層118を形成する材料、並びにエッチングマスク111を除去するために使用される特定のエッチングに応じて、図3Nのエッチングは、エッチングマスク111のみを選択的に除去することができ、かつ保護層124を除去することができない。
【0187】
続いて、図3O、ゲート層110が画定され、それによって、ゲート絶縁領域40、41が形成される。更に、(高)ドープ領域25A、25B、27、29A、29B、31は、特定の用途に応じて、例えば、後続のマスキング工程及びイオン注入工程を通って、表面層105のエピタキシャル部分106内に形成される。
【0188】
ウエハ100の絶縁層及び/又はパッシベーション層(例えば、図1の酸化物層35、36)を形成し、そして電子部品5、7の金属コンタクト領域(例えば、図1の領域42~45、及び61、62、65)を形成するための、ここでは示されていない製造工程が続く。
【0189】
更に、ここでは図示されていないが、例えば、金属相互接続の上部層を形成し、ウエハをダイシングするなどの最終製造工程が続き、これによりデバイス1が形成される。
【0190】
実際には、成長マスク103を使用することにより、図1の分離領域70を形成することができる。したがって、エピタキシャル多層膜49の成長は、低い機械的応力を生じさせ、したがって、転位の確率を低減することができる。それゆえに、製造プロセスは、高い信頼性を有する。
【0191】
更に、成長マスク103の使用は、シリコンベースの電子部品5が集積され得る単結晶であるエピタキシャル部分106を成長させることと、上にワーク多層膜114が成長する成長マスク103の下方の上面100Aの表面品質を保護することと、の両方を同時に可能にし得る。
【0192】
したがって、製造プロセスは、ヘテロ構造50の高い結晶学的品質を得ながら、シリコンベースの電子部品5及びヘテロ構造ベースの電子部品7の両方を同じダイ内に集積することを可能にする。
【0193】
成長マスク103が、第2の中間層18(ここでは、例えばシリコン)に対して異なる材料(ここでは、例えば酸化シリコン)で作製されてもよく、特に、第2の中間層18を除去するために使用可能な化学種に対して異なる化学種によってエッチング可能であり得るという事実は、犠牲部分107を通して、ワークエピタキシャル多層膜117(図3G図3J)を成長させる表面100Aの品質に少なくとも第1次近似で影響を及ぼすことなく、下にある上面100Aを露出させる開口部又は凹部113を形成することを可能にする。
【0194】
実際には、成長マスク103は、上に重なる犠牲部分107のエッチング中に停止層として使用することができ、したがって、上に重なる犠牲部分107の完全な除去を確実にする。更に、成長マスク103内の開口部の形成は、下にある表面100Aの品質、例えば、テラス形成及びピッティングに対して影響を与えない。
【0195】
エピタキシャル多層膜49、したがって、ヘテロ構造50は、高い結晶学的品質を有することができる。
【0196】
その結果、ヘテロ構造50における二次元ガスの形成に基づいて機能する対応する電子部品7は、使用時に、高い電気的性能を有することができる。
【0197】
同時に、電子部品5もまた、高い結晶学的品質を有し得る単結晶シリコン層(エピタキシャル部分106)に集積される。その結果、電子部品5は、使用時に高い電気的性能を有することができる。
【0198】
更に、成長マスク103の厚さは、エピタキシャル多層膜49を形成するためのマスクとして使用されるのに十分厚く、同時に、表面層105の上面105Aの非平坦性を最小限に抑えるのに十分薄くすることができる。実際には、表面層105の上面105Aは、実質的に平坦であると見なすことができる。これは、シリコンベースの電子部品5、及びヘテロ構造ベースの電子部品7の両方の形成をもたらす、後続の製造工程を容易にすることができる。
【0199】
半導体電子デバイス1を形成するための出発基板として<111>方位のシリコン基板14を使用する実現性は、特にチャネル層55がGaNのものであるか、又はGaNを含む場合、ヘテロ構造50の高いエピタキシャル品質が得られることを可能にし得る。その結果、ヘテロ構造ベースの電子部品7は、優れた電気的性能を有することができる。また、本出願人は、<111>シリコンの基板14を使用することによって、シリコンベースの電子部品5の優れた電気的性能を得ることができることも確認した。
【0200】
図3A図3Oの製造プロセスの実施形態を参照すると、シリコンベースのデバイス5のドープ領域のいくつか、特に、例えば、PMOSトランジスタ5A及びNMOSトランジスタ5Bのソース領域、ドレイン領域、及びボディコンタクト領域などの高ドープ領域が、エピタキシャル多層膜49の成長後に形成することができるという事実は、デバイス1の製造の信頼性を高めることに更に寄与し得る。
【0201】
実際、エピタキシャル多層膜49は、高ドープ領域が耐えることができるサーマルバジェットよりも高いサーマルバジェットを使用して成長させることができる。このようにして、シリコンベースのデバイス5の高ドープ領域は、高い信頼性を伴って形成することができる。
【0202】
例えば、AlNの第1のバッファ層52の成長は、約1100℃の温度で約15~30分に含まれる時間間隔にわたって行われてもよく、第2のバッファ層53、チャネル層55、バリア層56、及びチャネル変調領域64を形成するGaN層及びAlGaN層の成長は、後続の成長工程において、各々、約1030℃~1080℃の温度で約5~15分の間隔にわたって行われてもよい。
【0203】
ただし、上述の製造工程及びそれぞれの実行順序は、使用される特定のプロセス及び機械類に応じて、図3A図3Oに示されたものとは異なってもよいことは、当業者には明らかであろう。
【0204】
例えば、エピタキシャル多層膜49は、エピタキシャル多層膜49及びエピタキシャル領域23を形成する特定の材料に応じて、高ドープ領域の形成後に成長されてもよい。
【0205】
例えば、表面105Aは、例えば、層105を成長させるために使用される成長モード、層102の厚さ、及びエピタキシャル成長に続いて実行される表面処理(例えば、化学機械研磨)に応じて、平坦でなくてもよい。
【0206】
図4は、ここでは、170によって示される分離領域の異なる実施形態を示す。この分離領域170は、ここでは、3つの多結晶部分173A、173B、173Cによって形成される多結晶領域と、第3の軸Zに沿って多結晶領域を通って延在する2つのトレンチ175A、175Bとを備える。
【0207】
また、この実施形態では、多結晶部分173A、173B、173Cは、トレンチ175A、175Bによって互いに分離されている。
【0208】
トレンチ175A、175Bは、互いに実質的に同心であり、HEMTトランジスタ7が集積されるエピタキシャル多層膜49を完全に取り巻く。
【0209】
トレンチ175A、175Bは、各々、2つの隣接する多結晶部分の間で測定された、例えば、0.2μm~3μmに含まれる幅を有することができる。トレンチ175A、175Bは、互いから、例えば、0.5μm~5μmに含まれる距離をおいて延在し得る。
【0210】
トレンチの数が多いほど、エピタキシャル多層膜49とエピタキシャル領域23との間の機械的応力を低減することに対して、より多く寄与することができる。
【0211】
図5は、ここでは複数の多結晶部分195によって形成される多結晶領域と、ここでは193によって示されるトレンチとを備える、ここでは190によって示される分離領域の更なる実施形態を示しており、トレンチは、多結晶領域を通って延在し、エピタキシャル多層膜49によって内側に画定され、エピタキシャル領域23によって外側に画定される(ここでは図示せず)。
【0212】
詳細には、多結晶部分195は、トレンチ193内で互いから、ある距離をおいて配置される。実際には、多結晶部分195は、各々、画定領域72から出発して、第3の軸Zに沿って延在する多結晶ピラーを形成する。
【0213】
ピラー195は、各々、第1の軸X及び/又は第2の軸Yに沿って、例えば、0.5μm~5μmに含まれる幅を有することができる。ピラー195は、互いから、例えば、0.2μm~3μmに含まれる距離をおいて延在し得る。
【0214】
ピラー195は、第3の軸Zに沿って、例えば、多角形又は円形(規則的又は非規則的)の一定断面又は可変断面を有してもよい。
【0215】
ピラー195は、特定の設計レイアウトに応じて、規則的又は不規則な分布に従って多層膜49の周りに分布されてもよい。
【0216】
実際には、ピラー195は、エピタキシャル多層膜49と並んで、特にその周りに延在する多結晶領域の互いに別個の部分を形成する。
【0217】
最後に、他の修正及び変形が、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書において説明及び図示された電子デバイス1及びその製造プロセスに対して行われ得ることは明らかである。
【0218】
分離領域70は、図1図2、及び図4図5を参照して示され、かつ説明されたものとは異なる構造を有してもよい。
【0219】
トレンチ75、175A、175B、190は、エピタキシャル多層膜49を部分的にのみ取り巻くことができる。
【0220】
トレンチ75、175A、175B、190は、第3の軸Zに沿って、多結晶領域を部分的にのみ通して、すなわち、画定領域72と接触しないように、延在してもよい。実際には、この場合、図1の多結晶部分73A、73B、図4の多結晶部分173A、173B、173C、及び図5の多結晶部分195は、互いに連続し、モノリシック多結晶領域を形成する。
【0221】
実際には、分離領域70、170、190の多結晶領域は、連続した又は互いに分離した1つ以上の多結晶部分によって形成されてもよい。言い換えれば、多結晶領域は、単一のモノリシック領域であってもよく、又は不連続領域であってもよい。
【0222】
トレンチ175A、175B、190は、図1のトレンチ75について論じたものと同様に、空であっても(部分的に又は完全に)充填されていてもよい。更に、トレンチ175A、175B、190の可能な充填は、使用される特定の製造工程に応じて、エピタキシャル多層膜49の周りで均一であっても不均一であってもよい。
【0223】
電子デバイス1は、ヘテロ構造ベースの電子部品7のみを備えてもよく、シリコンベースの電子部品5を備えなくてもよい。分離領域、特にそれぞれの多結晶領域の存在は、エピタキシャル多層膜49の成長によって引き起こされる機械的応力の低減に寄与し、したがって、ヘテロ構造50の良好な結晶学的品質を可能にする。
【0224】
電子デバイス1は、PMOSトランジスタ5A及びNMOSトランジスタ5Bに加えて、又はその代わりに、ダイ3内に集積される能動及び/又は受動の他のシリコンベースの電子部品5を備えてもよい。
【0225】
例えば、図2に示すように、シリコンベースの電子部品5はまた、バイポーラトランジスタ5Cと、ダイオード及び抵抗器などの受動部品5Dとを含むこともできる。図2において、バイポーラトランジスタ5C及び受動部品5Dは、互いに別個であり、かつ破線によって概略的に示されるそれぞれのデバイス部分120、121に集積される。
【0226】
例えば、デバイス部分120、121は、基板領域10上に成長させたそれぞれの単結晶シリコンエピタキシャル領域内に形成され、特にエピタキシャル領域23とモノリシックに形成される。
【0227】
絶縁領域、例えば、浅い又は深いトレンチは、それ自体既知の方法で、部分120、121、及び20間に配置されてもよく、その結果、それぞれの電子部品は、使用中、互いに電気的に絶縁される。
【0228】
図1を参照すると、第1のデバイス部分20と第2のデバイス部分21との間に延在する絶縁領域82は、示されているものとは異なる形状及び構造を有してもよい。例えば、それは、HEMTトランジスタ7が集積されるデバイス部分21の下方に配置されている基板領域10の部分を、PMOSトランジスタ5A及びNMOSトランジスタ5Bが集積されるデバイス部分20の下方に配置されている基板領域10の部分から互いに電気的に絶縁するように、エピタキシャル領域23内で、第3の軸Zに沿ってダイ3内のより深い深さまで延在する1つ以上のトレンチを備えてもよい。
【0229】
そのような深い絶縁トレンチの形成は、図3A図3Oを参照して説明した製造プロセス内に統合されてもよい。例えば、図6Aは、図3Hの製造工程後のウエハ100の断面を示す。
【0230】
図6Aのウエハ100では、深い絶縁トレンチ210が、ウエハ100内、特に表面層105のエピタキシャル部分106内、及び部分的に基板領域10内に形成されている。
【0231】
この実施形態では、深い絶縁トレンチ210は、トレンチ75と同時に形成され、したがって、リソグラフィ工程及びエッチング工程の数を最適化する。
【0232】
深い絶縁トレンチ210及びトレンチ75は、深い絶縁トレンチ210及びトレンチ75が第3の軸Zに沿ってウエハ100内で異なる深さを有する場合であっても、同時に形成することができる。実際、画定領域72は、ワーク多結晶領域114のエッチング中に停止層として機能する。その結果、エッチング時間を調節することによって、トレンチ75の形成を損なうことなく、深い絶縁トレンチ210の深さを調節することが可能である。
【0233】
ただし、深い絶縁トレンチ210は、専用のリソグラフィ工程及びエッチング工程を通して、すなわち、トレンチ75を形成するために使用されるものとは別個の(上記又は後続の)工程を通して形成されてもよい。
【0234】
続いて、図6B、ここでは212によって示されるワークエピタキシャル多層膜が成長される。この実施形態では、ワークエピタキシャル多層膜212は、トレンチ75内及び深い絶縁トレンチ210内の両方で共形的に成長する。
【0235】
デバイス1はまた、図2に示されるものに加えて、又はその代わりに、ダイ3内に集積される他のシリコンベースの電子部品5を備えてもよい。例えば、部品5は、例えば、15V~20Vの中電圧用途のためのMOSトランジスタ、例えば、20V~200Vの動作電圧での用途のためのDMOSトランジスタ及び/又はドリフトMOSトランジスタ、薄膜抵抗器、OTP又はMTPメモリ、相変化メモリ、などを含むことができる。
【0236】
互いに異なる型のシリコンベースの電子部品5の集積は、それ自体知られており、したがって、ここでは更に示されない製造工程を通して、例えば、BCD技術を通して実行され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0237】
例えば、様々な半導体領域の導電型のn又はpは、説明されたものに関して反転されてもよい。
【0238】
エピタキシャル多層膜49は、図示及び説明されたものとは異なる数の層を含んでもよい。
【0239】
例えば、エピタキシャル多層膜49は、ヘテロ構造50のみを含んでもよい。言い換えれば、ヘテロ構造50は、基板領域10上に直接成長させてもよい。
【0240】
ヘテロ構造50は、特定の用途に応じて、例えば、チャネル層55とバリア層56との間に、他の半導体層及び/又は絶縁層を含んでもよい。
【0241】
例えば、ヘテロ構造ベースの部品7は、HEMTトランジスタ7以外の電子部品を含んでもよい。
【0242】
例えば、HEMTトランジスタ7は、ノーマリオフ型であってもよく、ゲート構造は、前述したものと異なっていてもよい。例えば、ゲート構造は、リセス型であってもよく、かつ/又はゲート構造の製造は、ゲート構造下でフッ素プラズマの使用を含んでもよい。あるいは、HEMTトランジスタ7は、ノーマリーオン型のもの、すなわち、デプレッション型のもであってもよい。
【0243】
例えば、基板領域10を形成するエピタキシャル層の数は、特定の用途に応じて異なってもよい。
【0244】
例えば、ワーク多層膜114、212の成長は、使用される特定の成長パラメータに応じて、図3J及び図6Bを参照して説明したものとは異なってもよい。
【0245】
その結果、エピタキシャル多層膜49の形状は、図1に示されたものと異なってもよい。例えば、周辺部分84は、内側側壁77と共形でなくてもよい。
【0246】
例えば、多層膜114は、第2の中間層18の露出部分101Bのみから出発して、選択的に成長してもよい。この場合、図3Mを参照して説明した除去工程は、なくてもよい。
【0247】
例えば、エピタキシャル多層膜49及びエピタキシャル領域23の、第3の軸Zに沿った所望の厚さに応じて、第2の中間層18は、なくてもよく、エピタキシャル多層膜49は、第2のディープ層17上に直接成長されてもよい。
【0248】
中電圧又は低電圧(例えば、7V~40V)の用途の場合、基板領域10は、基板14及び第1のディープ層15(又は第1の中間層16)のみを備えてもよい。実際には、この場合、エピタキシャル多層膜49は、第1のディープ層15上に直接成長させることができ、又はもしあれば、第1の中間層16上に成長させることができる。
【0249】
実際には、要約すると、本半導体電子デバイスでは、基板領域10は、第1の導電型(例えば、P)を有する単結晶基板14と、基板上に延在し、かつ基板の導電型とは異なる導電型(例えば、N)を有する少なくとも1つのエピタキシャル層(15~18)とを備えることができる。
【0250】
例えば、電子部品5は、シリコン以外の単一半導体、例えば、Ge、SiGeなどに基づく電子部品であってもよい。
【0251】
上で説明された実施形態を組み合わせて、更なる解決策を提供することができる。
【0252】
半導体電子デバイス(1)は、半導体材料の基板領域(10)と、基板領域上に延在し、かつヘテロ構造(50)を含むエピタキシャル多層膜(49)を含む、ヘテロ構造に基づく第1の電子部品(7)と、基板領域上に延在し、かつ、第1の方向(X、Y)に沿って、エピタキシャル多層膜に並んで配置されている多結晶型の半導体材料の多結晶領域(73A、73B、173A、173B、173C)を含む分離領域(70、170、190)と、基板領域(10)上に延在する単結晶型の単一半導体材料のエピタキシャル領域(23)であって、多結晶領域(73A、73B、173A、173B、173C、195)は、第1の方向(X)に沿って、エピタキシャル多層膜(49)とエピタキシャル領域(23)との間に延在する、エピタキシャル領域と、を含む。
【0253】
半導体電子デバイスは、単一半導体材料に基づき、かつエピタキシャル領域(23)内に集積された第2の電子部品(5)を更に含み、第2の電子部品は、例えば、CMOSトランジスタ、DMOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、又は単一半導体材料に基づく受動電子部品のうちの1つである。
【0254】
分離領域(70、170、190)は、多結晶領域内に延在する少なくとも1つのトレンチ(75、175A、175B、195)を含む。
【0255】
多結晶領域は、互いに異なり、かつ少なくとも1つのトレンチによって分離された複数の部分(73A、73B、173A、173B、173C、195)を含む。
【0256】
多結晶領域の2つの隣接する部分(73A、73B、173A、173B、173C、195)は、0.2μm~3μmの相互距離で延在する。
【0257】
多結晶領域の部分(195)は、各々、0.5μm~5μmの幅を有するピラーである。
【0258】
分離領域は、酸化物を含み、かつ基板領域(10)と多結晶領域との間に延在する画定領域(72)を更に含む。
【0259】
画定領域(72)は、7nm~300nmの厚さを有する。
【0260】
分離領域(70、170、190)は、エピタキシャル多層膜(49)を少なくとも部分的に取り巻く。
【0261】
エピタキシャル領域(23)は、第1の半導体材料、例えば、シリコンのものであり、ヘテロ構造(50)は、第1の半導体材料とは異なる第2の半導体材料、例えば、GaNを含む。
【0262】
半導体電子デバイス(1)を製造するためのプロセスは、第1の成長部分(101B)と、第1の成長部分とは異なる第2の成長部分(101C)とを有する半導体材料の基板層(18)を含むウエハ(100)を提供することと、第1の成長部分上に、ヘテロ構造(50)を含むエピタキシャル多層膜(49)を成長させることと、ヘテロ構造から出発して、ヘテロ構造に基づく第1の電子部品(7)を形成することと、第2の成長部分上に、第1の方向(X、Y)に沿って、エピタキシャル多層膜と並んで配置されている多結晶型の半導体材料の多結晶領域(73A、73B、173A、173B、173C、195)を含む分離領域(70、170、190)を形成することと、基板層(18)上に延在する単結晶型の単一半導体材料のエピタキシャル領域(23)を形成することと、を含み、多結晶領域(73A、73B、173A、173B、173C、195)は、第1の方向(X)に沿って、エピタキシャル多層膜(49)とエピタキシャル領域(23)との間に延在する。
【0263】
基板層は、第1及び第2の成長部分とは異なる第3の成長部分(101A)を含み、基板層上に、基板層の第1の成長部分(101B)及び第2の成長部分(101C)を覆う成長マスク(103)を形成することと、基板層の第3の成長部分(101A)上に延在する単結晶部分(106)と、成長マスク上に延在する多結晶部分(107)とを有する単一半導体材料の表面層(105)を成長させることであって、分離領域の多結晶領域は、表面層の多結晶部分から出発して形成され、エピタキシャル領域は、表面層の単結晶部分から出発して形成される、成長させることと、エピタキシャル多層膜(117、212)を成長させる前に、表面層(105)の多結晶部分(107)内に、かつ成長マスク(103)内に、基板層の第1の成長部分(101B)を露出させる開口部(113)を形成することと、を更に含む。
【0264】
製造プロセスは、表面層(105)の単結晶部分(106)内に集積された、単一半導体材料に基づく第2の電子部品(5)を形成することを更に含む。
【0265】
分離領域(70、170、190)を形成することは、表面層(105)の多結晶部分(107)を通して、基板層(18)の第3の成長部分(101C)の上方に、少なくとも1つのトレンチ(75、175A、175B、195)を形成することを含む。
【0266】
トレンチ(75)は、エピタキシャル多層膜を成長させる前に形成される。
【0267】
上で説明される様々な実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、及び刊行物の概念を採用するように変更して、更なる実施形態を提供することができる。
【0268】
これらの変更及び他の変更は、上記の詳細な説明に照らして実施形態に対して行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに全ての可能な実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されるものではない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図3M
図3N
図3O
図4
図5
図6A
図6B
【外国語明細書】