IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社山田養蜂場本社の特許一覧

特開2025-2393エラスターゼ阻害剤、抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002393
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】エラスターゼ阻害剤、抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/99 20060101AFI20241226BHJP
   A61K 8/98 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241226BHJP
   A61K 35/644 20150101ALI20241226BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20241226BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20241226BHJP
   A23L 21/20 20160101ALI20241226BHJP
【FI】
C12N9/99
A61K8/98
A61P43/00 111
A61P17/00
A61K35/644
A23L33/105
A23L2/52
A23L2/00 F
A23L21/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102550
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】598162665
【氏名又は名称】株式会社山田養蜂場本社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池上 志穂
(72)【発明者】
【氏名】八巻 礼訓
【テーマコード(参考)】
4B018
4B041
4B117
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD78
4B018ME10
4B018ME14
4B018MF01
4B041LC10
4B041LD06
4B041LK35
4B117LC04
4B117LK20
4B117LP01
4C083AA071
4C083AA072
4C083CC02
4C083DD16
4C083EE12
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB22
4C087MA44
4C087MA63
4C087NA14
4C087ZA89
4C087ZC20
4C087ZC52
(57)【要約】
【課題】新規なエラスターゼ阻害剤を提供する。さらに、抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤を提供する。
【解決手段】ブラジル産プロポリスを含むエラスターゼ阻害剤、ユーカリ属の植物由来のプロポリス及び/又はバッカリス属の植物由来のプロポリスを含むエラスターゼ阻害剤、当該エラスターゼ阻害剤を含む抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラジル産プロポリスを含むエラスターゼ阻害剤。
【請求項2】
ユーカリ属の植物由来のプロポリス及び/又はバッカリス属の植物由来のプロポリスを含むエラスターゼ阻害剤。
【請求項3】
請求項1に記載のエラスターゼ阻害剤を含む抗シワ剤。
【請求項4】
請求項2に記載のエラスターゼ阻害剤を含む抗シワ剤。
【請求項5】
請求項1に記載のエラスターゼ阻害剤を含む皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤。
【請求項6】
請求項2に記載のエラスターゼ阻害剤を含む皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤。
【請求項7】
飲食品、化粧品、医薬品又は医薬部外品である、請求項1~6のいずれか一項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラスターゼ阻害剤、抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤に関し、より具体的には、プロポリスを含むエラスターゼ阻害剤、抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の老化は、真皮中のコラーゲンやエラスチンが変性することにより起こると考えられており、これらの変性にはコラゲナーゼやエラスターゼが関与している。特にエラスチンは、互いに架橋を作って組織の弾性に寄与しているが、紫外線曝露や加齢により、エラスチン分解酵素であるエラスターゼの過剰発現によって、変性、分解すると知られている。そのため、エラスターゼの活性を阻害することができれば、皮膚の老化防止に有効であり、老化による皮膚のシワやハリの低下を防止するには、エラスターゼ活性を阻害し、エラスチンの分解を防ぐことが重要である。
【0003】
プロポリスはミツバチにより集められた樹木の樹液、植物の新芽や浸出物などがミツロウ等と混ざり合ってできた膠状の物質であり、抗菌作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用などが知られている。
【0004】
プロポリスの成分はその材料となる基原植物の種類や配合率に影響されるため、採取された国又は地域によって、プロポリスに含まれる有効成分の種類や含有量とその生理活性が全く異なることが知られている。
【0005】
近年産地別プロポリスの含有成分に関する研究が進められている。例えば、バッカリスドラクンクリフォリアを主要な基原植物とするブラジル産プロポリスの主成分としては、p-クマル酸、アルテピリンC、ドルパニン、バッカリン等の桂皮酸誘導体が検出される。一方、ポプラを基原植物とする中国産、ヨーロッパ産及びオーストラリア産のプロポリスの主成分としては、クリシン、ガランギンなどのフラボノイド類が検出される。
【0006】
非特許文献1では、プロポリスのエタノール抽出物と酢酸エチル抽出物によりヒト好中球エラスターゼ活性を明確に阻害したことが報告されている。ここで使用されているプロポリスは、ドイツのブランデンブルグの北東部で採取されたものである。
【0007】
好中球エラスターゼは、真皮のコラーゲン繊維、エラスチン、基底膜のような構造体を破壊するため、皮膚の弾力を損ない、シワの形成を促すことが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Biol. Pharm. Bull. 28(7) 1183-1186(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、新規なエラスターゼ阻害剤を提供することを目的とする。さらに、抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
プロポリスはミツバチが採取する植物を原料とするため、産地によって成分の違いが見られることから、産地により効果は異なることが予想される。そこで、本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行ったところ、ドイツ産プロポリスと同じヨーロッパ産プロポリスに対して、産地が異なるブラジル産プロポリス、並びにユーカリ属の植物由来のプロポリス及びバッカリス属の植物由来のプロポリスがより優れたエラスターゼ阻害作用を有することを見出し、本発明を完成させた。なお、その他の産地のプロポリスは活性が確認できなかった。
【0011】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[7]に関する。
[1]ブラジル産プロポリスを含むエラスターゼ阻害剤。
[2]ユーカリ属の植物由来のプロポリス及び/又はバッカリス属の植物由来のプロポリスを含むエラスターゼ阻害剤。
[3][1]に記載のエラスターゼ阻害剤を含む抗シワ剤。
[4][2]に記載のエラスターゼ阻害剤を含む抗シワ剤。
[5][1]に記載のエラスターゼ阻害剤を含む皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤。
[6][2]に記載のエラスターゼ阻害剤を含む皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤。
[7]飲食品、化粧品、医薬品又は医薬部外品である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の剤。
【発明の効果】
【0012】
ブラジル産プロポリス、並びにユーカリ属の植物由来のプロポリス及びバッカリス属の植物由来のプロポリスは、優れたエラスターゼ阻害活性を有しているので、エラスターゼ阻害剤、抗シワ剤、並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤の有効成分として有用である。
【0013】
また、プロポリスは、従来から食品素材として用いられてきたものであるから、安全性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
なお、本明細書において「含む(comprise)」とは、「本質的にからなる(essentially consist of)」という意味と、「のみからなる(consist of)」という意味をも包含する。
【0016】
エラスターゼ(elastase)とは、エラスチン(elastin)を加水分解するタンパク質分解酵素であり、当該加水分解を阻害するものであれば対象のエラスチンの種類は限定されない。エラスターゼ阻害とは、エラスターゼの活性を低下すること及び消失させることの両方を意味する。エラスターゼ阻害作用については、公知の方法に従って評価することができ、例えば、基質に作用した後の分解物の量の測定により確認することができ、分解物の量が減っていれば活性阻害したことを確認することができる。
【0017】
本発明のエラスターゼ阻害剤は、ブラジル産プロポリスを有効成分として含有する。
【0018】
別の実施形態において、本発明のエラスターゼ阻害剤は、ユーカリ属の植物由来のプロポリス及び/又はバッカリス属の植物由来のプロポリスを有効成分として含有する。
【0019】
プロポリスとは、ミツバチの巣の巣壁を構成する樹脂状又は蝋状の物質であり、ミツバチが採取してきた植物の新芽や樹脂と蜂の唾液を混ぜ合わせてできた物質である。プロポリスは、例えば、常法に従い養蜂産品として入手することができる。本発明の一実施形態においてプロポリスは、ブラジル産のものを使用する。また、ブラジルに加えて、中国、ヨーロッパ諸国、ロシア、オセアニア、アメリカなどの他の産地のプロポリスを組み合わせて使用してもよい。プロポリスは1種単独で又は2種以上の産地のものを組み合わせて使用することができる。また、プロポリスは、スーパーグリーン、ウルトラグリーン等いずれのランクであってもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において用いられるプロポリスとしては、ブラジルで採取されたものであれば特に限定されない。中でも、ブラジル産プロポリスとしては、基原植物がユーカリ(Eucalyptus)属及びバッカリス(Baccharis)属の植物であるものが好ましい。
【0021】
本発明の別の実施形態においてプロポリスは、ユーカリ属の植物由来のプロポリス及びバッカリス属の植物由来のプロポリスである。
【0022】
本発明の別の実施形態で用いられるプロポリスとしては、上記植物由来のものであれば特に限定されず、例えば、ブラジル、中国、台湾、ロシア、オセアニア、アメリカなどの、いずれの産地由来のものであってもよく、中でもブラジル産プロポリスが好ましい。ユーカリ属の植物由来のプロポリス及びバッカリス属の植物由来のプロポリスとしてはブラジル産プロポリスが挙げられる。
【0023】
本発明におけるプロポリスは、例えば、プロポリス原塊であってもよく、プロポリス原塊に何らかの処理を施したプロポリス処理物であってもよい。プロポリス処理物は、例えば、プロポリス原塊に、粉砕、抽出、抽出物の濃縮又は粉末化、粉末の造粒等の処理が施されたものであってもよく、抽出後に残る抽出残渣であってもよい。すなわちプロポリス処理物は、例えば、プロポリスの粉砕物、抽出物、濃縮抽出物、抽出物粉末、抽出物顆粒、抽出残渣等であってよい。抽出は、例えば、水抽出、親水性有機溶媒抽出、超臨界抽出等であってよい。親水性有機溶媒としては、例えばエタノール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。プロポリスの抽出物は、プロポリス原塊から抽出して得られたものであってもよく、抽出後の残渣から更に抽出して得られたものであってもよい。また、抽出溶媒は1種で使用することもできるし、2種以上を任意に組み合わせて混合溶媒として用いることもできる。処理方法は1つであってよく、2つ以上を組み合わせてもよい。プロポリス処理物としては、プロポリス親水性有機溶媒抽出物が、短時間で効率的にバランスよくプロポリスの有効成分が抽出されたものであるため好ましい。プロポリス処理物はプロポリスエタノール抽出物であることが好ましい。
【0024】
プロポリスの抽出物としては、回収された抽出液(必要に応じて更に精製されたものも含む)、当該抽出液を濃縮した濃縮液、凍結乾燥、スプレードライ等により当該抽出液の溶媒が除去された固形物などが含まれる。ここで、抽出液の濃縮、凍結乾燥及びスプレードライは、常法に従って行うことができる。本発明におけるプロポリスの抽出物には、このような抽出物を粉末化した粉末、該粉末を造粒した顆粒形態なども含まれる。
【0025】
プロポリス又はその抽出物は、市販されているものを用いてもよい。市販されているプロポリスの具体例としては、例えば、プロポリス300(山田養蜂場社製)、プロポリス液30(山田養蜂場社製)等が挙げられる。
【0026】
本発明のエラスターゼ阻害剤中のプロポリスの含量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されず、最終形態等に応じて適宜調整することができ、エラスターゼ阻害剤中の、固形分全量に対して、例えば、0.00001質量%以上、0.0001質量%以上、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってもよく、100質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下であってもよい。
【0027】
本発明のエラスターゼ阻害剤は、例えば、体内でのエラスターゼの阻害に使用するためにヒトに投与することもできる。本発明のエラスターゼ阻害剤は、経口投与でもよく、非経口投与でもよい。経口投与は経腸投与を含み、非経口投与は局所投与を含み、特に経皮投与を含む。
【0028】
また、本発明のエラスターゼ阻害剤が経口又は非経口投与される場合の投与量は、有効成分、組成物、の形態及び適用方法・適用量によって異なり得るが、例えば、体重60kgの成人一日当たり、有効成分であるプロポリスである乾燥固形分換算で1μg~1000mgの用量で用いることができ、5μg~500mgの用量で用いることが好ましく、8μg~100mgの用量で用いることがより好ましく、10μg~1mgの用量で用いることが更に好ましい。当該投与量は、摂取する人の健康状態、投与方法、有効成分の種類及び他の剤との組み合わせ等の因子に応じて、適宜増減することができる。
【0029】
本発明のエラスターゼ阻害剤は、一日当たりの有効投与量が上述した範囲内にあれば、一日一回投与されてもよいし、一日二回、一日三回等、複数回に分けて投与されてもよい。本発明のエラスターゼ阻害剤は、投与してすぐ効果が得られるが、1~4週間又は1か月以上、6か月以上、1年以上の継続的な投与は、効果をより持続できるため、好ましい。
【0030】
本発明のエラスターゼ阻害剤は、化粧品、飲食品(特に、保健、健康維持、増進等を目的とする飲食品(例えば、健康食品、機能性食品、栄養組成物(nutritional composition)、栄養補助食品、サプリメント、保健用食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は機能性表示食品))、医薬部外品、医薬品などとして使用することができる。また、本発明のエラスターゼ阻害剤は、エラスターゼ阻害作用を付与する添加剤についての意味も包含するものである。
【0031】
本発明のエラスターゼ阻害剤を一成分として含む化粧品、飲食品、医薬部外品、又は医薬品は、例えば、これら製品の製造工程における中間製品に、本発明のエラスターゼ阻害剤を添加することにより製造することができる。
【0032】
本発明のエラスターゼ阻害は、エラスターゼの阻害を効果とする皮膚外用剤及び化粧品の有効成分として好適に利用することができる。
【0033】
上記の化粧品には、上記プロポリス以外に、通常化粧品に用いられる成分、例えば、殺菌剤、保存剤、界面活性剤、アルコール類、水性成分、水、着色剤、pH調整剤、溶解補助剤、研磨剤、発泡剤、酵素、香味剤、キレート剤、賦形剤、増粘剤、基剤、乳化剤、溶剤、安定剤、油剤、清掃剤(乳酸菌)、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粉末成分、色材、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0034】
化粧品原料としては、固体、液体、ペースト等のいずれの形状であってもよい。化粧品は薬用化粧品(すなわち、医薬部外品)であってよい。化粧品には、動物(ヒトを含む)の皮膚、粘膜、体毛、頭髪、頭皮、爪、歯、顔皮、口唇等の部位に適用され得る、あらゆる化粧品が含まれる。
【0035】
化粧品の剤型は、水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、油液系、ゲル系、軟膏系、エアゾール系、水-油2層系、水-油-粉末3層系等、幅広い剤型を採り得る。
【0036】
化粧品の用途も任意であり、例えば、基礎化粧品であれば、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス、美容液、パック、マスク、ミスト、UV予防化粧品等が挙げられ、メークアップ化粧品であれば、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ等が挙げられ、ネイル化粧料であれば、マニキュア、ベースコート、トップコート、除光液等が挙げられ、その他、洗顔料、(練又は液体)歯磨剤、マウスリンス、口腔化粧品、マッサージ用剤、クレンジング用剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、シェービングクリーム、ボディソープ、石けん、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント、整髪料、ヘアートニック剤、ヘアミスト、ヘアフォーム、ヘアリキッド、ヘアジェル、ヘアスプレー、ハンドクリーム、ハンドソープ、育毛剤、制汗剤、入浴剤等が挙げられる。
【0037】
上記の飲食品には、上記プロポリスをそのまま使用することもでき、必要に応じて、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定剤、ゲル化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤等を配合することもできる。
【0038】
飲食品には、動物(ヒトを含む)が摂取できるあらゆる飲食品が含まれる。飲食品の種類は、特に限定されず、例えば、乳製品;発酵食品(ヨーグルト等);飲料類(コーヒー、ジュース、茶飲料のような清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、乳酸菌入り飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、日本酒、洋酒、果実酒のような酒等);スプレッド類(カスタードクリーム等);ペースト類(フルーツペースト等);洋菓子類(チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、グミ、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ、プリン等);和菓子類(大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ、羊羹等);氷菓類(アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等);食品類(カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム等);調味料類(ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料、スープの素等)などが挙げられる。
【0039】
飲食品の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。
【0040】
サプリメントとして使用する際の投与単位形態については特に限定されず適宜選択でき、例えば、チュアブル、トローチなどの錠剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤、散剤、シロップ、ペースト、ドリンク、グミ等が挙げられる。
【0041】
上記の医薬品には、上記プロポリスのみを使用することもでき、ビタミン、生薬など日本薬局方に記載の他の医薬成分と混合して使用することもできる。
【0042】
本発明のエラスターゼ阻害剤を、医薬品として調製する場合、上記プロポリスを、医薬品において許容される成分とともに、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤などを含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト、軟膏剤、外用液剤、スプレー剤、クリーム剤、ゲル剤、注射剤(使用時に、蒸留水又はアミノ酸輸液や電解質輸液等の輸液に配合して液剤として調製する場合を含む)などの形態に調製して、医薬用の製剤にすることが可能である。
【0043】
医薬品の投与は、局所的であってもよく、全身的であってもよい。投与方法には特に制限はなく、経口的又は非経口的に投与される。非経口的投与経路としては、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内若しくは動脈内への投与、経皮的投与等が挙げられる。
【0044】
本発明の医薬品には、プロポリス以外にも、必要に応じて、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、懸濁化剤、増粘剤、抗酸化剤、吸収促進剤、pH調整剤、保存剤、防腐剤、安定剤、界面活性剤、甘味剤、矯味剤、香料等の薬学的に許容される成分を適宜配合することができる。
【0045】
なお、本発明の化粧品及び医薬品には、医薬部外品も包含される。
【0046】
以上説明した本発明のエラスターゼ阻害剤は、ヒトを含む哺乳動物(好ましくはヒト)に対して適用されるものである。
【0047】
本発明のエラスターゼ阻害剤が有効成分として含有するブラジル産プロポリス、又はユーカリ属の植物由来のプロポリス及びバッカリス属の植物由来のプロポリスは、後述する実施例で示されているように、エステラーゼ阻害作用を有しているので、エラスターゼ阻害剤の有効成分として有用である。ブラジル産プロポリス、又はユーカリ属の植物由来のプロポリス及びバッカリス属の植物由来のプロポリスは、エステラーゼの活性を阻害することで皮膚のシワ、ハリ、弾力性の低下を抑制する作用を有するため、抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤の有効成分としても使用することができる。本発明の抗シワ剤とは、シワを改善又は予防する作用をいう。抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤には、エラスターゼ阻害剤に関する上の記載を適用することができる。すなわち、本発明の抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤におけるプロポリスの含量、用量などは上記と同様である。
【0048】
本発明の抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤は、化粧品、飲食品(特に、保健、健康維持、増進等を目的とする飲食品(例えば、健康食品、機能性食品、栄養組成物、栄養補助食品、サプリメント、保健用食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は機能性表示食品))、医薬部外品、医薬品などとして使用することができる。また、本発明の抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤は、抗シワ作用並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤作用を付与する添加剤についての意味も包含するものである。化粧品、飲食品、医薬部外品、医薬品については、前述するものと同様である。
【0049】
本発明の抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤は、抗シワ並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善を効果とする皮膚外用剤及び化粧料の有効成分として好適に利用することができる。
【0050】
また、本発明のエラスターゼ阻害剤、抗シワ剤並びに皮膚のハリ及び/又は弾力の低下予防又は改善剤は、従来から食品素材として用いられてきたプロポリスを使用するものであるから、安全性が高い。
【実施例0051】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0052】
実施例1(プロポリス抽出物の調整)
プロポリス原塊の粉砕物に、80容量%エタノールを加えて室温で24時間撹拌して抽出した。該抽出液を濾紙(アドバンテック東洋株式会社製のNo.2)で濾過後、エバポレーターにて減圧濃縮した。濃縮液を凍結乾燥に供し、プロポリス抽出物を得た。
【0053】
試験例1(エラスターゼ阻害活性の測定方法)
N-Succinyl-Ala-Ala-Ala-p-Nitroanilideを基質としたエラスターゼ活性に及ぼす被験品の効果を評価した。
【0054】
1)96ウェルプレートに50μLの被験品又は対照、50μLの1.25μg/mLエラスターゼ酵素(CAS No.39445-21-1,Sigma-Aldrich,USA)溶液、100μLのN-Succinyl-Ala-Ala-Ala-p-Nitroanilide(CAS No.52299-14-6,Sigma-Aldrich,USA)溶液を加え、270rpmで30秒間振とうした後、37℃で15分間インキュベートした。
【0055】
ブランクはエラスターゼ酵素の代替として0.05M Tris-HCl bufferを用いた。1つの処理群に対し、3ウェルを使用した。
【0056】
2)96ウェルプレートを270rpmで10秒間振とうし、ウェル内の色素を均一に分散した後、マイクロプレートリーダーを用いて415nmの吸光度(OD415)を測定した。
【0057】
3)被験品、対照のOD415から被験品のエラスターゼ活性阻害率を次式により算出した。
エラスターゼ活性阻害率(%)={(C-CB)-(S-SB)}/(C-CB)×100
C:対照のOD415 CB:対照のブランクOD415
S:被験品のOD415 SB:被験品のブランクOD415
【0058】
【表1】
【0059】
表1の結果から、バッカリス属及びユーカリ属の植物由来のブラジル産プロポリスは、非特許文献1に開示されたドイツ産プロポリスと同じヨーロッパ産のルーマニア産プロポリス及びハンガリー産プロポリスよりも優れたエラスターゼ阻害作用を有していることが分かる。