(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023996
(43)【公開日】2025-02-19
(54)【発明の名称】アシル化カルシトニン模倣体
(51)【国際特許分類】
C07K 14/585 20060101AFI20250212BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20250212BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20250212BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20250212BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250212BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20250212BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20250212BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20250212BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20250212BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20250212BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250212BHJP
A61K 38/23 20060101ALI20250212BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20250212BHJP
A61K 31/155 20060101ALI20250212BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20250212BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20250212BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20250212BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20250212BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20250212BHJP
【FI】
C07K14/585 ZNA
A61P3/10
A61P3/04
A61P3/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P3/06
A61P1/16
A61P19/10
A61P1/14
A61P43/00 121
A61K38/23
A61K45/00
A61K31/155
A61K47/18
A61K9/16
A61K47/12
A61K9/08
A61K47/60
C07K14/585
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024193478
(22)【出願日】2024-11-05
(62)【分割の表示】P 2021509906の分割
【原出願日】2019-08-22
(31)【優先権主張番号】1813678.8
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】514112640
【氏名又は名称】キーバイオサイエンス・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアセン,キム,ヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリクセン,キム
(72)【発明者】
【氏名】ゾンネ,ニナ
(72)【発明者】
【氏名】カルスダル,モルテン,アセル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カルシトニン模倣体を提供する。
【解決手段】本発明は、カルシトニン模倣体の11位に位置するリシン残基がアシル化、及び/又は、当該カルシトニン模倣体の19位に位置するリシン残基がアシル化されており、連結基を有していても良いC16以上鎖長の脂肪酸等によるアシル化されているカルシトニン模倣体の提供、及び、糖尿病、体重過多、過剰な摂食及びメタボリック症候群、NASH、アルコール性及び非アルコール性脂肪性肝疾患の治療、血糖レベルの調節、糖負荷試験に対する反応の調節、食物摂取の調節、及び、骨粗鬆症の治療、及び、変形性関節症の治療を含む、様々な疾患及び障害の治療における薬剤としてのその使用を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシトニン模倣体であって、当該カルシトニン模倣体の11位に位置するリシン残基がアシル化、及び/又は、当該カルシトニン模倣体の19位に位置するリシン残基がアシル化されており、
当該リシン残基の側鎖ε-アミノ基が、以下に挙げるいずれか:
連結基を有していても良いC16以上鎖長の脂肪酸、又は
連結基を有していても良いC16以上鎖長の二価脂肪酸
から選ばれるアシル基によりアシル化されているカルシトニン模倣体。
【請求項2】
前記カルシトニン模倣体は、式(I)(a):
CX2X3LSTCX8LGKAc…
〔式中、
X2=A, G又はS
X3=N又はS
X8=M, V又はα-アミノイソブチル酸(AiB)であり、
KAcは、側鎖ε-アミノ基が、以下に挙げるいずれか:
連結基を有していても良いC16以上鎖長の脂肪酸、又は
連結基を有していても良いC16以上鎖長の二価脂肪酸
から選ばれるアシル基によりアシル化されているリシン残基である。〕
で表されるカルシトニン模倣体である、請求項1に記載のカルシトニン模倣体。
【請求項3】
前記カルシトニン模倣体は、式(I)(b):
CX2X3LSTCX8LGX11X12X13X14X15X16X17X18KAc…
〔式中、
X2=A, G又はS
X3=N又はS
X8=M, V又はα-アミノイソブチル酸(AiB)
X11=R, K, T, A又はKAc
X12=L又はY
X13=S, T, W又はY
X14=Q, K, R又はA
X15=D, E又はN
X16=L又はF
X17=H又はN
X18=R, K又はNであり、
KAcは、側鎖ε-アミノ基が、以下に挙げるいずれか:
連結基を有していても良いC16以上鎖長の脂肪酸、又は
連結基を有していても良いC16以上鎖長の二価脂肪酸
から選ばれるアシル基によりアシル化されているリシン残基である。〕
で表されるカルシトニン模倣体である、請求項1に記載のカルシトニン模倣体。
【請求項4】
前記カルシトニン模倣体は、式(II):
CX2X3LSTCX8LGX11X12X13X14X15X16X17X18X19X20X21X22X23X24X25X26X27GX29X30X31P
〔式中、
X2=A, G又はS
X3=N又はS
X8=M, V又はα-アミノイソブチル酸(AiB)
X11=KAc, R, K, T又はA
X12=L又はY
X13=S, T, W又はY
X14=Q, K, R又はA
X15=D, E又はN
X16=L又はF
X17=H又はN
X18=R, K又はN
X19=KAc, L, F又はK
X20=Q, H又はA
X21=T又はR
X22=Y又はF
X23=S又はP
X24=G, K, Q又はR
X25=T, I又はM
X26=S, N, D, G又はA
X27=T, V, F又はI
X29=S, A, P又はV
X30=N, G又はE
X31=A, T又はSであり、
X11又はX19のいずれか一方又はその両方はKAcであり、
KAcは、側鎖ε-アミノ基が、以下に挙げるいずれか:
C16以上鎖長の脂肪酸
C16以上鎖長の二価脂肪酸
連結基-C16以上鎖長の脂肪酸、又は
連結基-C16以上鎖長の二価脂肪酸
から選ばれるアシル基によりアシル化されているリシン残基である。〕
で表されるカルシトニン模倣体である、前記いずれかの請求項に記載のカルシトニン模倣体。
【請求項5】
前記式(II)のカルシトニン模倣体は、下記式:
CX2X3LSTCX8LGX11LX13X14X15LX17X18X19X20TX22PX24TDVGANAP
〔式中、
X2=A, G又はS
X3=N又はS
X8=M, V又はAiB
X11=KAc, R, K, T又はA
X13=T, S又はY
X14=Q又はA
X15=D又はE
X17=H又はN
X18=R又はK
X19=KAc, L, F又はK
X20=Q, H又はA
X22=Y又はF
X24=K, Q又はRであり、
X11又はX19のいずれか一方又はその両方はKAcであり、
KAcは、側鎖ε-アミノ基が、以下に挙げるいずれか:
C16以上鎖長の脂肪酸
C16以上鎖長の二価脂肪酸
連結基-C16以上鎖長の脂肪酸、又は
連結基-C16以上鎖長の二価脂肪酸
から選ばれるアシル基によりアシル化されているリシン残基である。〕
で表されるカルシトニン模倣体である、請求項4に記載のカルシトニン模倣体。
【請求項6】
X2がSであり且つX3がNである;またはX2がGであり且つX3がNである;またはX2がAであり且つX3がSである、請求項4又は5に記載のカルシトニン模倣体。
【請求項7】
X11がKAcであり、X17がHであり、X18がKであり、X19がLであり、且つX20がQ又はAである;または
X11がKAcであり、X17がHであり、X18がRであり、X19がLであり、且つX20がQ又はAである;または
X11がKAcであり、X17がNであり、X18がKであり、X19がFであり、且つX20がH又はAである;または
X11がKAcであり、X17がNであり、X18がRであり、X19がFであり、且つX20がH又はAである;または
X11がR又はKであり、X17がHであり、X18がKであり、X19がKAcであり、且つX20がQ又はAである;または
X11がR又はKであり、X17がHであり、X18がRであり、X19がKAcであり、且つX20がQ又はAである;または
X11がR又はKであり、X17がNであり、X18がKであり、X19がKAcであり、且つX20がH又はAである;または
X11がR又はKであり、X17がNであり、X18がRであり、X19がKAcであり、且つX20がH又はAである、前記請求項4乃至6のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項8】
X2がSであり、X3がNであり、X11がKAcであり、X13がSであり、X17がHであり、X18がK又はRであり、X19がLであり、X20がQ又はAであり、且つX22がYである;または
X2がSであり、X3がNであり、X11がR又はKであり、X13がSであり、X17がHであり、X18がK又はRであり、X19がKAcであり、X20がQ又はAであり、且つX22がYである、前記請求項4乃至7のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項9】
X2がAであり、X3がSであり、X11がKAcであり、X13がSであり、X17がHであり、X18がK又はRであり、X19がLであり、X20がQ又はAであり、且つX22がFである;または
X2がAであり、X3がSであり、X11がR又はKであり、X13がSであり、X17がHであり、X18がK又はRであり、X19がKAcであり、X20がQ又はAであり、且つX22がFである、前記請求項4乃至7のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項10】
X2がGであり、X3がNであり、X11がKAcであり、X13がTであり、X17がNであり、X18がK又はRであり、X19がFであり、X20がH又はAであり、且つX22がFである;または
X2がGであり、X3がNであり、X11がR又はKであり、X13がTであり、X17がNであり、X18がK又はRであり、X19がKAcであり、X20がH又はAであり、且つX22がFである、前記請求項4乃至7のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項11】
前記カルシトニン模倣体は、式(III):
CSNLSTCX6LGX7LSQDLHRX8QTYPKX1TX5VGANAP
で表される33merペプチドであるか、又は
前記カルシトニン模倣体は、式(IV):
CSNLSTCX6LGX7LSQDLHRX8QTYPKX1X2X3TX5VGANAP
で表される35merペプチドであるか、又は
前記カルシトニン模倣体は、式(V):
CSNLSTCX6LGX7LSQDLHRX8QTYPKX1X2X3X4TX5VGANAP
で表される36merペプチドであるか、又は
前記カルシトニン模倣体は、式(VI):
CSNLSTCX6LG KAcLZX1X2X3X4TX5VGANAP
で表される37merペプチド
〔式中、
X1乃至X4の各々はアミノ酸であって、X1乃至X4のうち少なくとも一つは塩基性アミノ酸残基であり、且つ/又は、X1乃至X4のうち少なくとも二つは独立して極性アミノ酸残基又は塩基性アミノ酸残基であり、且つ/又は、X1乃至X4のうち少なくとも一つはGly残基であるが、但し、X1乃至X4はいずれも酸性残基ではなく;
X5はD又はNであり、;
X6はAiB又はMであり、;
X7はKAcであり且つX8はLであるか、又は、X7はR又はKであり且つX8はKAcであるかのいずれかであり;
Zは、SQDLHRLSNNFGA、SQDLHRLQTYGAI、又はANFLVHSSNNFGAから選ばれ;
KAcは、側鎖ε-アミノ基が、以下に挙げるいずれか:
C16以上鎖長の脂肪酸
C16以上鎖長の二価脂肪酸
連結基-C16以上鎖長の脂肪酸、又は
連結基-C16以上鎖長の二価脂肪酸
から選ばれるアシル基によりアシル化されているリシン残基である。〕
である、請求項1に記載のカルシトニン模倣体。
【請求項12】
X1及びX4のうち少なくとも一つは塩基性アミノ酸残基である、請求項11に記載のカルシトニン模倣体。
【請求項13】
X1及びX4のうち少なくとも一つは塩基性アミノ酸残基であり、X1乃至X4のうち少なくとも二つは独立して極性アミノ酸残基又は塩基性アミノ酸残基であり、且つ、X1乃至X4はいずれも酸性残基ではない、請求項11又は12に記載のカルシトニン模倣体。
【請求項14】
X1乃至X4のうち少なくとも三つは独立して極性アミノ酸残基又は塩基性アミノ酸残基であり、且つ、X1乃至X4はいずれも酸性残基ではない、請求項11乃至13のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項15】
X1乃至X4の全てが独立して極性アミノ酸残基又は塩基性アミノ酸残基であり、且つ、X1乃至X4はいずれも酸性残基ではない、請求項11乃至14のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項16】
X1乃至X4の全てが独立して極性アミノ酸残基又は塩基性アミノ酸残基であり、X1乃至X4のうち少なくとも三つは塩基性アミノ酸残基であり、且つ、X1乃至X4はいずれも酸性残基ではない、請求項11乃至15のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項17】
塩基性アミノ酸残基はArg、His又はLysから選ばれ、且つ/又は、極性アミノ酸残基はSer、Thr、Asn、Gln又はCysから選ばれる、請求項11乃至16のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項18】
X1がAsn、Phe、Val、Gly、Ile、Leu、Lys、His又はArgから選ばれ;
X2がAla、Asn、His、Leu、Ser、Thr、Gly又はLysから選ばれ;
X3がAla、Phe、Ile、Ser、Pro、Thr、Gly又はLysから選ばれ;且つ/又は、
X4がIle、Leu、Gly、His、Arg、Asn、Ser、Lys、Thr又はGlnから選ばれ;
X1又はX4のうち少なくとも一つは塩基性アミノ酸残基であり、且つ/又は、X1乃至X4のうち少なくとも二つは独立して極性アミノ酸残基及び/又は塩基性アミノ酸残基であり、且つ/又は、X1乃至X4のうち少なくとも一つはGly残基である、請求項11乃至17のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項19】
X1がAsn、Gly、Ile、His又はArgから選ばれ;
X2がAsn、Leu、Thr、Gly又はLysから選ばれ;
X3がPhe、Pro、Ile、Ser、Thr、Gly又はLysから選ばれ;且つ/又は、
X4がGly、His、Asn、Ser、Lys、Thr又はGlnから選ばれ;
X1又はX4のうち少なくとも一つは塩基性アミノ酸残基であり、且つ/又は、X1乃至X4のうち少なくとも二つは独立して極性アミノ酸残基及び/又は塩基性アミノ酸残基であり、且つ/又は、X1乃至X4のうち少なくとも一つはGly残基である、前記請求項11乃至18のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項20】
前記式(III)乃至(V)のいずれかで表されるカルシトニン模倣体が、以下に挙げる保存的置換:
ペプチドの15位に位置するAsp残基がGluで置換されている;
ペプチドの18位に位置するArg残基がLysで置換されている;及び/又は
ペプチドの24位に位置するLys残基がArgで置換されている
から選ばれる一つ以上の保存的置換を含んでいる、請求項11乃至19のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項21】
前記式(VI)で表されるカルシトニン模倣体であって、式(VI)のペプチドのZ成分が、SQDLHRLQTYGAI、又は、SQDLHRLSNNFGAであり、
以下に挙げる保存的置換:
ペプチドの15位に位置するAsp残基がGluで置換されている;及び/又は
ペプチドの18位に位置するArg残基がLysで置換されている
から選ばれる一つ以上の保存的置換を含んでいる、請求項11乃至19のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項22】
前記連結基は、グルタミン酸残基、及び/又は、一つのOEGアミノ酸又は二つ以上のOEGアミノ酸が一体となった連結を含むオリゴエチレングリコール(OEG)アミノ酸連結基を含み、
当該OEGアミノ酸は、以下の式:
【化1】
〔式中、nは1乃至10の数字である〕
で表される、請求項1乃至21のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項23】
前記OEGアミノ酸連結基は、二つ乃至六つのOEGアミノ酸が一体となった連結を含む、請求項22に記載のカルシトニン模倣体。
【請求項24】
前記OEGアミノ酸連結基は、さらに、当該OEGアミノ酸連結基のアミノ末端又はカルボキシ末端に、一つ以上のグルタミン酸残基を含む、請求項22又は23に記載のカルシトニン模倣体。
【請求項25】
前記nが1である、請求項22乃至24のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項26】
前記OEGアミノ酸連結基は、以下に挙げるいずれか:
【化2】
から選ばれる、請求項22乃至24のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項27】
前記連結基が、以下に挙げる:
【化3】
である、請求項26に記載のカルシトニン模倣体。
【請求項28】
前記アシル基は、
C18以上鎖長の脂肪酸
C18以上鎖長の二価脂肪酸
連結基-C18以上鎖長の脂肪酸、又は
連結基-C18以上鎖長の二価脂肪酸
から選ばれる、請求項1乃至27のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項29】
前記アシル基は、以下に挙げるいずれか:
C18乃至C30の脂肪酸
C18乃至C30の二価脂肪酸
連結基-C18乃至C30の脂肪酸
連結基-C18乃至C30の二価脂肪酸
から選ばれる、請求項1乃至28のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項30】
前記アシル基は、以下に挙げるいずれか:
C18乃至C22の脂肪酸
C18乃至C22の二価脂肪酸
連結基-C18乃至C22の脂肪酸
連結基-C18乃至C22の二価脂肪酸
から選ばれる、請求項1乃至29のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項31】
K
Acが、連結基-二価脂肪酸でアシル化されており、
当該連結基-二価脂肪酸は、二価脂肪酸がC
18乃至C
22の二価脂肪酸であり、且つ、当該連結基が以下に挙げる:
【化4】
である、請求項1乃至30のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項32】
前記ペプチドは、以下に挙げるいずれか:
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKTDVGANAP
CSNLSTC(AiB)LGKAcLSQDLHRLQTYPKTDVGANAP
CGNLSTC(AiB)LGKAcLTQDLNKFHTFPKTDVGANAP
CSNLSTCVLGKAcLSQELHKLQTYPRTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQELHRLQTYPKTDVGANAP
CASLSTCVLGKAcLSQDLHKLQTFPKTDVGANAP
CASLSTCMLGKAcLSQDLHKLQTFPKTDVGANAP
CGNLSTCMLGKAcLSQDLNKFHTFPQTDVGANAP
CSNLSTC(AiB)LGKAcLANFLVHSSNNFGAILPKTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHSSTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHSSNTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLSNNFGAILSSTNVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYGAILSPKTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLANFLVHSSNNFGAILPKTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKILSSTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKGLITTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKNNFGTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKRTTQTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHTTNTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHGGQTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHKKNTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHKKHTDVGANAP
CSNLSTC(AiB)LGRLSQDLHRKAcQTYPKTDVGANAP
CSNLSTCMLGRLSQELHRKAcQTYPKTDVGANAP
から選択され、
当該KAcは、請求項1乃至32のいずれかにおいて定められたものである、請求項1乃至31のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項33】
前記ペプチドは、以下に挙げるいずれか:
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYPKTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTC(AiB)LGK
AcLSQDLHRLQTYPKTDVGANAP-NH
2
AcCGNLSTC(AiB)LGK
AcLTQDLNKFHTFPKTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCVLGK
AcLSQELHKLQTYPRTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQELHRLQTYPKTDVGANAP-NH
2
AcCASLSTCVLGK
AcLSQDLHKLQTFPKTDVGANAP-NH
2
AcCASLSTCMLGK
AcLSQDLHKLQTFPKTDVGANAP-NH
2
AcCGNLSTCMLGK
AcLSQDLNKFHTFPQTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTC(AiB)LGK
AcLANFLVHSSNNFGAILPKTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYPKHTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYPKHSSTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYPKHSSNTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLSNNFGAILSSTNVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYGAILSPKTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLANFLVHSSNNFGAILPKTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYPKILSSTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYPKGLITTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYPKNNFGTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYPKRTTQTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYPKHTTNTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYPKHGGQTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYPKHKKNTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQDLHRLQTYPKHKKHTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTC(AiB)LGRLSQDLHRK
AcQTYPKTDVGANAP-NH
2
AcCSNLSTCMLGK
AcLSQELHRLQTYPKTDVGANAP-NH
2
から選択され、
当該K
Acは、連結基-二価脂肪酸でアシル化され、
当該連結基-二価脂肪酸は、二価脂肪酸がC
18乃至C
22の二価脂肪酸であり、且つ、当該連結基が以下に挙げる:
【化5】
である、請求項1乃至32のいずれかに記載のカルシトニン模倣体。
【請求項34】
経腸投与のために製剤化された、請求項1乃至33のいずれかに記載のペプチド。
【請求項35】
前記ペプチドは、コーティングされたクエン酸粒子を含む経口投与用医薬組成物に製剤化されており、当該コーティングされたクエン酸粒子はペプチドの経口バイオアベイラビリティを増加させる、請求項34に記載のペプチド。
【請求項36】
経口投与のための担体を用いて製剤化された、請求項1乃至35のいずれかに記載のペプチド。
【請求項37】
前記担体は、5-CNAC、SNAD、又はSNACを含む、請求項36に記載のペプチド。
【請求項38】
非経口投与用に製剤化された、請求項1乃至33のいずれかに記載のペプチド。
【請求項39】
注射用に製剤化された、請求項38に記載のペプチド。
【請求項40】
請求項1乃至33のいずれかに記載のペプチドを含む医薬組成物。
【請求項41】
薬剤として使用するための請求項1乃至33のいずれかに記載のペプチド。
【請求項42】
糖尿病(I型及び/又はII型)、体重過多、過剰な摂食、メタボリック症候群、関節リウマチ、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、骨粗鬆症、若しくは変形性関節症、血糖値の調節不良、糖負荷試験に対する反応の調節不良、又は食物摂取の調節不良の治療に使用するための請求項1乃至33のいずれかに記載のペプチド。
【請求項43】
メトホルミンまたは別のインスリン抵抗性改善薬と組み合わされており、糖尿病(I型及び/又はII型)、体重過多、過剰な摂食、メタボリック症候群、関節リウマチ、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、骨粗鬆症、若しくは変形性関節症、血糖値の調節不良、糖負荷試験に対する反応の調節不良、又は食物摂取の調節不良の治療に使用するために、メトホルミンまたは別のインスリン抵抗性改善薬と組み合わされた、請求項1乃至33のいずれかに記載のペプチド。
【請求項44】
体重過多状態の処置に使用するために、体重減少薬と組み合わされた、請求項1乃至33のいずれかに記載のペプチド。
【請求項45】
前記体重過多状態は肥満である、請求項44に記載のペプチド。
【請求項46】
請求項1乃至33のいずれかに記載のペプチド、及び、インスリン抵抗性改善薬を含む配合剤。
【請求項47】
請求項1乃至33のいずれかに記載のペプチド、及び、体重減少薬を含む配合剤。
【請求項48】
糖尿病(I型及び/又はII型)、体重過多、過剰な摂食、メタボリック症候群、関節リウマチ、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、骨粗鬆症、若しくは変形性関節症、血糖値の調節不良、糖負荷試験に対する反応の調節不良、又は食物摂取の調節不良の治療方法であって、有効量の請求項1乃至33のいずれかに記載されたペプチドを、当該処置を必要とする患者に投与する処置方法。
【請求項49】
糖尿病(I型及び/又はII型)、体重過多、過剰な摂食、メタボリック症候群、関節リウマチ、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、骨粗鬆症、若しくは変形性関節症、血糖値の調節不良、糖負荷試験に対する反応の調節不良、又は食物摂取の調節不良の治療方法であって、有効量の請求項1乃至33のいずれかに記載されたペプチドを、メトホルミンまたは別のインスリン抵抗性改善薬と組み合わせて、当該処置を必要とする患者に投与する処置方法。
【請求項50】
体重過多状態の処置方法であって、有効量の請求項1乃至33のいずれかに記載されたペプチドを、体重減少薬と組み合わせて、当該処置を必要とする患者に投与する処置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アシル化されたカルシトニンの模倣体に関し、限定されないが、糖尿病(I型及び/又はII型)、体重過多、過剰摂食、及び、メタボリック症候群、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性及び非アルコール性脂肪性肝疾患、血糖値の調節、糖負荷試験に対する反応の調節、又は食物摂取の調節、骨粗鬆症の治療、及び、変形性関節症を含む種々の疾患及び障害の治療における薬剤としてのそれらの使用にまで及ぶ。
【背景技術】
【0002】
世界的に約2億5千万人の糖尿病患者が存在し、その数は次の20年間で倍増することが予測されている。この集団の90%超が2型糖尿病(T2DM)を患っている。現在のところ、T2DMに罹患しているか、または顕性T2DMに先行する段階にある人々の50-60%しか診断されていないと推定されている。
【0003】
T2DMは、炭水化物代謝及び脂肪代謝の異常を特徴とする異種疾患である。T2DMの原因は多因子性であり、筋肉、肝臓、すい臓、及び脂肪組織等の組織におけるβ細胞機能およびインスリン感受性に影響を及ぼす遺伝的要素及び環境的要素の両方が含まれる。
結果として、インスリン分泌障害が観察され、β細胞機能の進行性の低下及び慢性インスリン抵抗性が平行して起こる。膵内分泌部が末梢インスリン抵抗性を補償できないため、高血糖及び臨床的糖尿病の発症に至る。インスリン媒介性のグルコース取り込みに対する組織抵抗性は、現在のところ、T2DMの主要な病態生理学的決定要因として認識されている。
【0004】
T2DMの最適な介入の成功基準は、血糖値を低下させることであり、これは、 より低いピークグルコースレベル及びより急速なクリアランスによって説明される、血糖値の慢性的な低下と、食物摂取後の高いグルコースレベルを許容する能力の増大の両方であり得る。これらの状況はどちらも、β細胞のインスリン産生量及び機能にかかる負担を少なくする。
【0005】
I型糖尿病は、食物摂取に応答してインスリンを産生する能力の喪失を特徴と し、したがって、血中グルコースを正常な生理学的レベルまで調節できないことを特徴とする。
【0006】
骨の物理的構造は、疾患及び傷害を含む様々な要因によって損なわれ得る。最も一般的な骨疾患の1つは骨粗鬆症であり、これは、骨量の低下及び骨組織の構造的劣化を特徴とし、骨の脆弱性をもたらし、特に、股関節、脊椎及び手首を骨折しやすくなる。骨粗鬆症は、骨吸収の速度が骨形成の速度を上回るような不均衡が存在する場合に発症する。有効量の抗吸収剤、例えば、カルシトニンの投与によって、 骨の吸収が防止されることが示されている。
【0007】
関節の疾患、例えば、変形性関節症(OA)、関節リウマチ(RA)又は若年性関節リウマチ(JRA)を含み、また、自己免疫応答から生じる炎症、例えば、ループス、強直性脊椎炎(AS)又は多発性硬化症(MS)を含む、炎症性疾患及び変性疾患は、 疼痛及び関節の破壊に起因した実質的な運動の喪失をもたらし得る。 関節内の骨を覆って緩衝する軟骨は、経時的に劣化する場合があり、したがって、 一方の骨に対する他方の骨の運動を制限し得る、かつ/または関節の運動中に一方の骨による他方の骨への損傷を引き起こし得る、2つの骨の直接的な接触を不必要に許容する。軟骨直下の軟骨下骨もまた劣化し得る。有効量の抗吸収剤、例えば、 カルシトニンの投与によって、骨の吸収が防止され得る。
【0008】
カルシトニンは、広範囲の種にわたって高度に保存されている。天然の全長カルシトニンは、32アミノ酸長である。天然カルシトニンの配列の例を以下に示す。
【0009】
サケ CSNLSTCVLGKLSQELHKLQTYPRTNTGSGTP
ウナギ CSNLSTCVLGKLSQELHKLQTYPRTDVGAGTP
ニワトリ CASLSTCVLGKLSQELHKLQTYPRTDVGAGTP
マウス CGNLSTCMLGTYTQDLNKFHTFPQTSIGVEAP
ラット CGNLSTCMLGTYTQDLNKFHTFPQTSIGVGAP
ウマ CSNLSTCVLGTYTQDLNKFHTFPQTAIGVGAP
イヌ-1 CSNLSTCVLGTYSKDLNNFHTFSGIGFGAETP
イヌ-2 CSNLSTCVLGTYTQDLNKFHTFPQTAIGVGAP
ブタ CSNLSTCVLSAYWRNLNNFHRFSGMGFGPETP
ヒト CGNLSTCMLGTYTQDFNKFHTFPQTAIGVGAP
【0010】
改善された特性を提供することを目的とする修飾されたアミノ酸配列を有する天然カルシトニンの合成変異体が、WO2013/067357及びWO2015/071229に開示されている。
【0011】
しかし、カルシトニン及びカルシトニン模倣体のようなペプチドは、概してクリアランスが急速で半減期が短いため、吸収特性、分布特性、代謝特性及び排泄特性が不充分である。そのためペプチド薬は、一般的に毎日の経口投与が必要とされる。皮下(s.c.)注射経由の投与治療を毎日行うことは、個々の患者にとって不便であって、毎日注射に伴う不快感を避けようとして治療計画を遵守しない原因となり得るから、現在において最善の投与方法とはいえない。それゆえ、皮下注射を利用する週1回の投薬によって患者の生活の質が向上するであろうし、さらに治療計画を遵守する助けになるであろう。
【0012】
ペプチド薬のインビボ(in vivo)半減期を向上させようとする技術については、当技術分野において数多くの取り組みが知られている。そのような取り組みには、タンパク質分解安定性(例えば、N-及びC-末端の保護、D-アミノ酸又は非天然アミノ酸へのアミノ酸の置換、ペプチドの閉環などによる)や、腎クリアランスの低減(例えば、大分子ポリマーやアルブミンやイムノグロブリン等の大分子へのペプチドの結合による)が含まれる。しかし、そのようなペプチド薬の修飾は、
例えば、薬物有効性の低減、薬物過敏のような予想外の有害副作用等の点で有害となる可能性があることも、当技術分野において知られている。そのため、そのような修飾によってペプチド薬の治療特性が必ず向上するか否かについて予測することはできない。
一週間に1回だけ投与したいペプチド薬の開発することは困難であると考えられる。
【0013】
ペプチド薬の薬物動態的及び薬力学な特性を向上させるための取り組みの一つとして、ペプチドのアシル化がある。トライヤー(Trier)らは、治療作用がある2つのペプチド、すなわちグルカゴン様ペプチド-2(GLP2)及びサケカルシトニン(sCT)を長さを変えた(C8-C16)アシル基を用いてアシル化することによる効果を研究した(PhD thesis, 2016, "Acylation of Therapeutic Peptides", DTU; http://orbit.dtu.dk/files/127682557/PhD_thesis_Sofie.Trier.pdfから入手可能)。GLP2をアシル化した効果は、同様のペプチドについて以前実施した観察に基づいて広範に予測できるものであることが判明したが、その一方で、sCTをアシル化した場合に観察される効果は、予測不可能であることが判明した。例えば、トライヤーらは、sCTを(ペプチド主鎖上の位置を変えて)アシル化すると、受容体の効力(receptor potency)について実質的な損失(60%から80%の損失)を一貫して生じるのに対し、アシル化したGLP2については受容体の効力が保持されることを見出した。したがって、トライヤーらは、sCTのアシル化に関連する(特に、短鎖(C8)アシル化に関する)何らかの有用な特性は発見しなかったものの、sCTのアシル化に関連する予想外で且つ有意の不利な効果が数多くあること、その最も顕著なものとして受容体の効力について有意の損失があることが明らかとなった。もう一つ注目すべき点は、トライヤーらの研究は、サケカルシトニンの18位(Lys18)アシル化に焦点を当てていることである。これは、サケカルシトニンの効果(efficacy)を向上させることを目指したそれ以前の研究において、18位が修飾(PEG化で修飾する場合であって、アシル化する場合ではない)のために優れた位置であることを突き止めたからである。それらの研究において、sCTの18位PEG化によって、Cys1位又はLys11位を修飾した類似ペプチドよりも優れた効果が得られることが見いだされた(Youn et al, J. Control. Release, 2006, 334-342)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第2013/067357号
【特許文献2】国際公開第WO2015/071229号
【非特許文献1】PhD thesis, 2016, "Acylation of Therapeutic Peptides", DTU; http://orbit.dtu.dk/files/127682557/PhD_thesis_Sofie.Trier.pdf
【非特許文献2】Youn et al, J. Control. Release, 2006, 334-342
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の概要
本発明者らは、カルシトニン模倣体を、当該カルシトニン模倣体の11位に位置するリシン残基、又は、当該カルシトニン模倣体の19位に位置するリシン残基、をアシル化すると、特に、特定のアシル部分(acyl moieties)を用いてアシル化すると、同等の非アシル化ペプチドと比べてペプチドの効果が予想外に向上し、ペプチドの作用の持続時間も長くなることを見出した。同様に、カルシトニン模倣体の効果が、11位又は19位のアシル化に対応して極めて大きく向上することが見い出されたが、その一方で、18位のアシル化は劣った結果となり、ヨウン(Youn)らの知見に反していた。かようにして本発明者らは、一日1回投与する必要がなく、一週間に1回だけ投与すれば足りる、薬効が高い、新規のアシル化カルシトニン模倣体を開発した。
【0017】
したがって、態様の一つにおいて本発明は、カルシトニン模倣体の11位に位置するリシン残基がアシル化、及び/又は、カルシトニン模倣体の19位に位置するリシン残基がアシル化された、カルシトニン模倣体を提供する。当該リシン残基の側鎖ε-アミノ基は、以下に挙げるいずれかから選ばれるアミノ基:連結基を有していても良いC16以上鎖長の脂肪酸;又は、連結基を有していても良いC16以上鎖長の二価脂肪酸、によりアシル化されている。
【0018】
本明細書において、“カルシトニン模倣体”とは、カルシトニン受容体を活性化するペプチド(すなわち、カルシトニン受容体作用薬)を意味し、好ましくは、アミリン受容体も活性化するペプチド(すなわち、アミリン及びカルシトニン両受容体作用薬)を意味する。
【0019】
一定の好ましい実施形態において、カルシトニン模倣体は、32アミノ酸長から37アミノ酸長である。最も好ましくは、カルシトニン模倣体は、32アミノ酸長である。
【0020】
好ましい態様の一つにおいて、カルシトニン模倣体は、
11位に位置するリシン残基がアシル化されている、式(I)(a):
CX2X3LSTCX8LGKAc…
〔式中、
X2=A, G又はS
X3=N又はS
X8=M, V又はα-アミノイソブチル酸(AiB)であり、
KAcは、側鎖ε-アミノ基が、以下に挙げるいずれか:
連結基を有していても良いC16以上鎖長の脂肪酸、又は
連結基を有していても良いC16以上鎖長の二価脂肪酸
から選ばれるアシル基によりアシル化されているリシン残基である。〕
で表されるカルシトニン模倣体であるか、
【0021】
又は、19位に位置するリシン残基がアシル化されている、式(I)(b):
CX2X3LSTCX8LGX11X12X13X14X15X16X17X18KAc…
〔式中、
X2=A, G又はS
X3=N又はS
X8=M, V又はα-アミノイソブチル酸(AiB)
X11=R, K, T, A又はKAc(好ましくは、R, K又はKAcであり、最も好ましくは、R又はKである。)
X12=L又はY(好ましくは、Lである。)
X13=S, T, W又はY(好ましくは、T, S又はYである。)
X14=Q, K, R又はA(好ましくは、Q又はAであり、最も好ましくは、Qである。)
X15=D, E又はN(好ましくは、D又はEである。)
X16=L又はF(最も好ましくは、Lである。)
X17=H又はN
X18=R, K又はN(好ましくは、R又はKである。)であり、
KAcは、側鎖ε-アミノ基が、以下に挙げるいずれか:
連結基を有していても良いC16以上鎖長の脂肪酸、又は
連結基を有していても良いC16以上鎖長の二価脂肪酸
から選ばれるアシル基によりアシル化されているリシン残基である。〕
で表されるカルシトニン模倣体である。
【0022】
好ましくは、式(I)(a)又は式(I)(b)のカルシトニン模倣体は、32アミノ酸長から37アミノ酸長であり、より好ましくは、32、33、36又は37アミノ酸長である。最も好ましくは、式(I)(a)又は式(I)(b)のカルシトニン模倣体は、32アミノ酸長である。
【0023】
本発明の好ましい態様の一つにおいて、カルシトニン模倣体は、式(II):
CX2X3LSTCX8LGX11X12X13X14X15X16X17X18X19X20X21X22X23X24X25X26X27GX29X30X31P
〔式中、
X2=A, G又はS
X3=N又はS
X8=M, V又はα-アミノイソブチル酸(AiB)
X11=KAc, R, K, T又はA(最も好ましくは、KAc, R又はKである。)
X12=L又はY
X13=S, T, W又はY
X14=Q, K, R又はA
X15=D, E又はN
X16=L又はF
X17=H又はN
X18=R, K又はN
X19=KAc, L, F又はK(最も好ましくは、KAc, L又はFである。)
X20=Q, H又はA
X21=T又はR
X22=Y又はF
X23=S又はP
X24=G, K, Q又はR
X25=T, I又はM
X26=S, N, D, G又はA
X27=T, V, F又はI
X29=S, A, P又はV
X30=N, G又はE
X31=A, T又はS(最も好ましくは、A又はTである。)であり、
X11はKAcであり、且つ/又は、X19はKAcであり(X11はKAcであり、且つ、X19はL, F又はK、好ましくはL又はFであるか;X11はR, K, T又はA、好ましくはR又はKであり、且つ、X19はKAcであるか;X11はKAcであり且つX19はKAcであるかのいずれかというように)、
KAcは、側鎖ε-アミノ基が、以下に挙げるいずれか:
C16以上鎖長の脂肪酸
C16以上鎖長の二価脂肪酸
連結基-C16以上鎖長の脂肪酸、又は
連結基-C16以上鎖長の二価脂肪酸
から選ばれるアシル基によりアシル化されているリシン残基である。〕
で表されるカルシトニン模倣体である。
【0024】
好ましくは、式(II)の32merカルシトニン模倣体は:
CX2X3LSTCX8LGX11LX13X14X15LX17X18X19X20TX22PX24TDVGANAP
〔式中、
X2=A, G又はS
X3=N又はS
X8=M, V又はAiB
X11=KAc, R, K, T又はA(最も好ましくは、KAc, R又はKである。)
X13=T, S又はY
X14=Q又はA(最も好ましくは、Qである。)
X15=D又はE
X17=H又はN
X18=R又はK
X19=KAc, L, F又はK(最も好ましくは、KAc, L又はFである。)
X20=Q, H又はA
X22=Y又はF
X24=K, Q又はRであり、
X11はKAcであり、且つ/又は、X19はKAcであり、
KAcは、側鎖ε-アミノ基が、以下に挙げるいずれか:
C16以上鎖長の脂肪酸
C16以上鎖長の二価脂肪酸
連結基-C16以上鎖長の脂肪酸、又は
連結基-C16以上鎖長の二価脂肪酸
から選ばれるアシル基によりアシル化されているリシン残基である。〕
で表されるカルシトニン模倣体である。
【0025】
好ましくは、X2がSであり且つX3がNである;またはX2がGであり且つX3がNである;またはX2がAであり且つX3がSである。
好ましくは、X13がS又はTであり、最も好ましくは、Sである。
好ましくは、X24がR又はKである。
【0026】
好ましい実施形態において、
X11がKAcであり、X17がHであり、X18がKであり、X19がLであり、且つX20がQ又はAである;または
X11がKAcであり、X17がHであり、X18がRであり、X19がLであり、且つX20がQ又はAである;または
X11がKAcであり、X17がNであり、X18がKであり、X19がFであり、且つX20がH又はAである;または
X11がKAcであり、X17がNであり、X18がRであり、X19がFであり、且つX20がH又はAである;または
X11がR又はKであり、X17がHであり、X18がKであり、X19がKAcであり、且つX20がQ又はAである;または
X11がR又はKであり、X17がHであり、X18がRであり、X19がKAcであり、且つX20がQ又はAである;または
X11がR又はKであり、X17がNであり、X18がKであり、X19がKAcであり、且つX20がH又はAである;または
X11がR又はKであり、X17がNであり、X18がRであり、X19がKAcであり、且つX20がH又はAである。
【0027】
好ましい実施形態において、X2がSであり、X3がNであり、X11がKAcであり、X13がSであり、X17がHであり、X18がK又はRであり、X19がLであり、X20がQ又はAであり、且つX22がYである;または、X2がSであり、X3がNであり、X11がR又はKであり、X13がSであり、X17がHであり、X18がK又はRであり、X19がKAcであり、X20がQ又はAであり、且つX22がYである。
好ましい実施形態において、X2がAであり、X3がSであり、X11がKAcであり、X13がSであり、X17がHであり、X18がK又はRであり、X19がLであり、X20がQ又はAであり、且つX22がFである;または、X2がAであり、X3がSであり、X11がR又はKであり、X13がSであり、X17がHであり、X18がK又はRであり、X19がKAcであり、X20がQ又はAであり、且つX22がFである。
好ましい実施形態において、X2がGであり、X3がNであり、X11がKAcであり、X13がTであり、X17がNであり、X18がK又はRであり、X19がFであり、X20がH又はAであり、且つX22がFである;または、X2がGであり、X3がNであり、X11がR又はKであり、X13がTであり、X17がNであり、X18がK又はRであり、X19がKAcであり、X20がH又はAであり、且つX22がFである。
【0028】
他の好ましい態様において、本発明は、カルシトニン模倣体に関し、当該カルシトニン模倣体は、式(III):
CSNLSTCX6LGX7LSQDLHRX8QTYPKX1TX5VGANAP
で表される33merペプチドであるか、又は
当該カルシトニン模倣体は、式(IV):
CSNLSTCX6LGX7LSQDLHRX8QTYPKX1X2X3TX5VGANAP
で表される35merペプチドであるか、又は
当該カルシトニン模倣体は、式(V):
CSNLSTCX6LGX7LSQDLHRX8QTYPKX1X2X3X4TX5VGANAP
で表される36merペプチドであるか、又は
前記カルシトニン模倣体は、式(VI):
CSNLSTCX6LGKAcLZX1X2X3X4TX5VGANAP
で表される37merペプチド
〔式中、
X1乃至X4の各々はアミノ酸であって、X1乃至X4のうち少なくとも一つは塩基性アミノ酸残基であり、且つ/又は、X1乃至X4のうち少なくとも二つは独立して極性アミノ酸残基又は塩基性アミノ酸残基であり、且つ/又は、X1乃至X4のうち少なくとも一つはGly残基であるが、但し、X1乃至X4はいずれも酸性残基ではなく;
X5はD又はNであり、;
X6はAiB又はMであり、;
X7はKAcであり且つX8はLであるか、又は、X7はR又はKであり且つX8はKAcであるかのいずれかであり;
Zは、SQDLHRLSNNFGA、SQDLHRLQTYGAI、又はANFLVHSSNNFGAから選ばれ;
KAcは、側鎖ε-アミノ基が、以下に挙げるいずれか:
C16以上鎖長の脂肪酸
C16以上鎖長の二価脂肪酸
連結基-C16以上鎖長の脂肪酸、又は
連結基-C16以上鎖長の二価脂肪酸
から選ばれるアシル基によりアシル化されているリシン残基である。〕
である。
【0029】
好ましくは、式(III)から式(VI)において、X1及びX4のうち少なくとも一つは塩基性アミノ酸残基である。
より好ましくは、X1及びX4のうち少なくとも一つは塩基性アミノ酸残基であり、X1乃至X4のうち少なくとも一つより多くのものは独立して極性アミノ酸残基又は塩基性アミノ酸残基であり、且つ、X1乃至X4はいずれも酸性残基ではない。
より好ましくは、X1乃至X4のうち少なくとも三つは独立して極性アミノ酸残基又は塩基性アミノ酸残基であり、且つ、X1乃至X4はいずれも酸性残基ではない。
より好ましくは、X1乃至X4の全てが独立して極性アミノ酸残基又は塩基性アミノ酸残基であり、且つ、X1乃至X4はいずれも酸性残基ではない。
最も好ましくは、X1乃至X4の全てが独立して極性アミノ酸残基又は塩基性アミノ酸残基であり、X1乃至X4のうち少なくとも三つは塩基性アミノ酸残基であり、且つ、X1乃至X4はいずれも酸性残基ではない。
【0030】
アミノ酸残基は、塩基性側鎖を有する天然又は非天然アミノ酸残基のいずれでもよく、Arg、His又はLysから選択し得るが、これらに限定されない。
極性アミノ酸残基は、極性の非帯電側鎖を有する天然又は非天然アミノ酸残基のいずれでもよく、Ser、Thr、Asn、Gln又はCysから選択し得るが、これらに限定されない。
本明細書において用いられる用語“酸性残基”は、例えばGluやAspのような、酸性側鎖を有する天然又は非天然アミノ酸残基を指す。
【0031】
好ましい実施形態において、
X1がAsn、Phe、Val、Gly、Ile、Leu、Lys、His又はArgから選ばれ;
X2がAla、Asn、His、Leu、Ser、Thr、Gly又はLysから選ばれ;
X3がAla、Phe、Ile、Ser、Pro、Thr、Gly又はLysから選ばれ;且つ/又は、
X4がIle、Leu、Gly、His、Arg、Asn、Ser、Lys、Thr又はGlnから選ばれ;
X1又はX4のうち少なくとも一つは塩基性アミノ酸残基であり、且つ/又は、X1乃至X4のうち少なくとも二つは独立して極性アミノ酸残基及び/又は塩基性アミノ酸残基であり、且つ/又は、X1乃至X4のうち少なくとも一つはGly残基である。
【0032】
好ましい実施形態において、
X1がAsn、Gly、Ile、His又はArgから選ばれ;
X2がAsn、Leu、Thr、Gly又はLysから選ばれ;
X3がPhe、Pro、Ile、Ser、Thr、Gly又はLysから選ばれ;且つ/又は、
X4がGly、His、Asn、Ser、Lys、Thr又はGlnから選ばれ;
X1又はX4のうち少なくとも一つは塩基性アミノ酸残基であり、且つ/又は、X1乃至X4のうち少なくとも二つは独立して極性アミノ酸残基及び/又は塩基性アミノ酸残基であり、且つ/又は、X1乃至X4のうち少なくとも一つはGly残基である。
【0033】
上記の式(III)から式(V)で表される本発明のペプチドは、以下に挙げる保存的置換:
ペプチドの15位に位置するAsp残基がGluで置換されている;
ペプチドの18位に位置するArg残基がLysで置換されている;及び/又は
ペプチドの24位に位置するLys残基がArgで置換されている
から選ばれる一つ以上の保存的置換を含んでいてもよい。
【0034】
上記の式(VI)で表される本発明のペプチドは、
式(VI)のペプチドのZ成分が、SQDLHRLSNNFGA 又は、SQDLHRLQTYGAI、であり、
以下に挙げる保存的置換:
ペプチドの15位に位置するAsp残基がGluで置換されている;及び/又は
ペプチドの18位に位置するArg残基がLysで置換されている
から選ばれる一つ以上の保存的置換を含んでいてもよい。
【0035】
本発明の全ての態様において、前記連結基は、グルタミン酸残基、及び/又は、一つのOEGアミノ酸又は二つ以上のOEGアミノ酸が一体となった連結を含むオリゴエチレングリコール(OEG)アミノ酸連結基を含み、
当該OEGアミノ酸は、以下の式:
【0036】
【0037】
〔式中、nは1乃至10の数字であり、好ましくは1乃至5の数字であり、1乃至3の数字であり、1又は2の数字であり、最も1の数字である。〕
で表される。
【0038】
前記OEGアミノ酸連結基は、一つのOEGアミノ酸又は二つ乃至六つのOEGアミノ酸が一体となった連結を含み得る。
より好ましくは、前記OEGアミノ酸連結基は、一つのOEGアミノ酸又は二つ又は三つのOEGアミノ酸が一体となった連結を含み得る。
最も好ましくは、前記OEGアミノ酸連結基は、二つのOEGアミノ酸が一体となった連結を含み得る。
前記OEGアミノ酸連結基は、さらに、当該OEGアミノ酸連結基のアミノ末端又はカルボキシ末端に、一つ以上のグルタミン酸残基を含み得る。
【0039】
好ましくは、前記OEGアミノ酸連結基は、以下に挙げるいずれかから選ばれる:
【0040】
【0041】
好ましくは、前記OEGアミノ酸連結基は、以下に挙げるものである:
【0042】
【0043】
好ましい実施形態において、前記アシル基は、C18以上鎖長の脂肪酸、C18以上鎖長の二価脂肪酸、連結基-C18以上鎖長の脂肪酸、又は、連結基-C18以上鎖長の二価脂肪酸から選ばれる。
好ましくは、前記アシル基は、以下に挙げるいずれかから選ばれる:
C18乃至C30の脂肪酸、好ましくはC18乃至C22の脂肪酸
C18乃至C30の二価脂肪酸、好ましくはC18乃至C22の二価脂肪酸
連結基-C18乃至C30の脂肪酸、好ましくは連結基-C18乃至C22の脂肪酸、又は、
連結基-C18乃至C30の二価脂肪酸、好ましくは連結基-C18乃至C22の脂肪酸
【0044】
好ましくは、C18の二価脂肪酸は、オクタデカン二酸(CAS No. 871-70-5)である。
【0045】
好ましい実施形態において、KAcが、連結基-二価脂肪酸でアシル化されており、
当該連結基-二価脂肪酸は、二価脂肪酸がC18乃至C22の二価脂肪酸であり、且つ、当該連結基が以下に挙げるものである。
【0046】
【0047】
好ましくは、本発明のカルシトニン模倣体は、以下に挙げるいずれか:
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQELHRLQTYPKTDVGANAP
CSNLSTCVLGKAcLSQELHKLQTYPRTDVGANAP
CASLSTCVLGKAcLSQDLHKLQTFPKTDVGANAP
CGNLSTCMLGKAcLSQDLNKFHTFPQTDVGANAP
CSNLSTC(AiB)LGKAcLSQDLHRLQTYPKTDVGANAP
CGNLSTC(AiB)LGKAcLTQDLNKFHTFPKTDVGANAP
CSNLSTC(AiB)LGKAcLANFLVHSSNNFGAILPKTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHSSTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHSSNTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLSNNFGAILSSTNVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYGAILSPKTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLANFLVHSSNNFGAILPKTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKILSSTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKGLITTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKNNFGTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKRTTQTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHTTNTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHGGQTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHKKNTDVGANAP
CSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHKKHTDVGANAP
CSNLSTC(AiB)LGRLSQDLHRKAcQTYPKTDVGANAP
CSNLSTCMLGRLSQELHRKAcQTYPKTDVGANAP
から選択され、
当該KAcは、上記において定められたものである。
上記ペプチドの8位に位置するアミノ酸残基は、任意的にAiBで置換され得る。
【0048】
好ましくは、本発明のカルシトニン模倣体は、以下に挙げるいずれか:
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTC(AiB)LGKAcLSQDLHRLQTYPKTDVGANAP-NH2
AcCGNLSTC(AiB)LGKAcLTQDLNKFHTFPKTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCVLGKAcLSQELHKLQTYPRTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQELHRLQTYPKTDVGANAP-NH2
AcCASLSTCVLGKAcLSQDLHKLQTFPKTDVGANAP-NH2
AcCGNLSTCMLGKAcLSQDLNKFHTFPQTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHSSTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHSSNTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLSNNFGAILSSTNVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYGAILSPKTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLANFLVHSSNNFGAILPKTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKILSSTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKGLITTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKNNFGTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKRTTQTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHTTNTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHGGQTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHKKNTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGKAcLSQDLHRLQTYPKHKKHTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTC(AiB)LGKAcLANFLVHSSNNFGAILPKTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTC(AiB)LGRLSQDLHRKAcQTYPKTDVGANAP-NH2
AcCSNLSTCMLGRLSQELHRKAcQTYPKTDVGANAP-NH2
から選択され、
当該KAcは、連結基-二価脂肪酸でアシル化され、
当該二価脂肪酸がC18乃至C22の二価脂肪酸であり、且つ、当該連結基が以下に挙げるものである。
【0049】
【0050】
好ましくは、C18の二価脂肪酸は、オクタデカン二酸である。
上記ペプチドの8位に位置するアミノ酸残基は、任意的にAiBで置換され得る。上記ペプチドにおいて、“Ac”とは、ペプチドのN-末端がアセチル化されていることを指しており、“-NH2”とは、ペプチドのC-末端がアミド化されていることを指している。
【0051】
本発明のカルシトニン模倣体は、経腸投与のために製剤化されたものであってもよい。
例えば、カルシトニン模倣体は、コーティングされたクエン酸粒子を含む経口投与用医薬組成物に製剤化されており、当該コーティングされたクエン酸粒子はペプチドの経口バイオアベイラビリティを増加させるものであってもよい。
上記に替えて、又は、上記に加えて、経口投与のための担体を用いて製剤化されたものであってもよい。例えば、5-CNAC、SNAD、又はSNACを含む担体が挙げられる。
本発明のカルシトニン模倣体は、非経口投与用に製剤化されたものであってもよい。例えば、カルシトニン模倣体は、注射用に製剤化されたものであってもよい。
【0052】
本発明は、上記のカルシトニン模倣体を含む医薬組成物にも関する。
また本発明は、薬剤として使用するための上記のカルシトニン模倣体にも関する。その点に関し、カルシトニン模倣体は、糖尿病(I型及び/又はII型)、体重過多、過剰摂食、メタボリック症候群、関節リウマチ、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、骨粗鬆症、若しくは変形性関節症、血糖値の調節不良、糖負荷試験に対する反応の調節不良、又は食物摂取の調節不良の治療に使用するためのものであってもよい。
また、カルシトニン模倣体は、メトホルミンまたは別のインスリン抵抗性改善薬との結合体をしたものを投与してもよい。
【0053】
本発明のペプチドは、第1のアミノ酸の正電荷を減少させるように、そのN-末端をアシル化するか、又は、別の方法で修飾してもよいし、それとは独立して、そのC-末端をアミド化してもよい。
【0054】
ペプチドは、医薬として投与するために製剤化することができ、経腸投与用又は非経口投与用に製剤化することができる。好ましい製剤は注射であり、好ましくは皮下注射である。しかし、ペプチドは、担体を用いて経口投与用に製剤化してもよく、任意選択的に、担体は経口バイオアベイラビリティを増加する。好適な担体には、5-CNAC、SNAD、又はSNACを含むものが包含される。
【0055】
任意選択的に、ペプチドは、コーティングされたクエン酸粒子を含む経口投与用医薬組成物に製剤化され、当該コーティングされたクエン酸粒子はペプチドの経口バイオアベイラビリティを増加させる。
【0056】
本発明は、薬剤として使用するための本発明のペプチドを包含する。当該ペプチドは、糖尿病(I型及び/又はII型)、体重過多、過剰摂食、メタボリック症候群、関節リウマチ、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、骨粗鬆症、若しくは変形性関節症、血糖値の調節不良、糖負荷試験に対する反応の調節不良、又は食物摂取の調節不良の治療に使用することができる。特に、当該ペプチドは、望ましくなく高い絶食時血糖値を低下させるため、 又は、望ましくなく高いHbA1cを低下させるため、 又は、糖負荷試験に対する望ましくなく高い反応を低下させるために使用することができる。また、本発明のペプチドは、肝トリグリセリドを減少させるため、及び/又は、患者の肝内における脂肪蓄積を低下させるために使用することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明のペプチドは、ペプチドを生成するために本発明の属する技術分野において知られている合成(化学的)技術や遺伝子組み換え技術などから、適した方法を用いて製造することができる。好ましくは、合成法を用いてペプチドを製造する。合成ペプチドの合成は、本発明の属する技術分野においてよく知られており、様々な保護基を利用する固相ペプチド合成の手法(例えば、Fmoc、Boc、Bzl、tBuなどの使用)が包含されるが、これに限定されない。
【0058】
いくつかの実施形態において、上で論じたカルシトニン模倣体のN末端側は、第1のアミノ酸の正電荷を減少させるように修飾される。例えば、アセチル、プロピオニル、又はスクシニル基は、システイン-1上に置換されてもよい。正電荷を減少させる代替の方法は、限定されないが、ポリエチレングリコール系のPEG化、 又は、N末端でのグルタミン酸もしくはアスパラギン酸等の別のアミノ酸の付加を含む。代替として、リジン、グリシン、ホルミルグリシン、ロイシン、アラニン、アセチルアラニン、及び、ジアラニルを含む他のアミノ酸が、上で論じたペプチドのN末端に付加されてもよい。当業者は理解するように、複数のシステイン残基を有するペプチドは、そのような2つのシステイン残基間にジスルフィド結合をしばしば形成する。本明細書に記載される全てのそのようなペプチドは、特にCys1-Cys7の位置に、1つ以上のそのようなジスルフィド結合を任意選択的に含むと定義される。これを模倣して、1位および7位のシステインは、α-アミノスベリン酸結合によって一緒に置換されてもよい。
本開示のカルシトニン模倣体は遊離酸の形態で存在し得るが、C末端アミノ酸がアミド化されていることが好ましい。本発明者は、そのようなアミド化がペプチドの有効性、及び/又は、バイオアベイラビリティに寄与し得ると予想する。C-末端アミノ酸をアミド化するために、合成化学法を適用することができる。本開示のカルシトニン模倣体のアミ ド化形態を製造するための好ましい手法は、既知の技法に従ってペプチジルグリシンα-アミド化モノオキシゲナーゼの存在下で前駆体(所望のアミド化生成物のC-末端アミノ基の代わりにグリシンを有する)を反応させることであり、前駆体は、例えば、US4708934及びEP0308067及びEP0382403に記載される反応においてアミ ド化生成物に変換される。
【0059】
アミド化生成物の製造は、US7445911においてConsalvoら、US2006/0292672においてMillerら、2002,Protein Expression and Purification,26:249-259においてRayら、及び、2004,Biopharm International,July,pp.44-46においてMehtaによって記載されたプロセス及びアミド化酵素を用いても達成することができる。
【0060】
好ましいアミド化ペプチドの製造は、例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼとの可溶性融合タンパク質として、E.coli中でグリシン伸長前駆体を生成することによって、または、US6103495に記載される手法に従って前駆体を直接発現させることによって進めてもよい。そのようなグリシン伸長前駆体は、C-末端を除いて、所望のアミド化生成物と同一の分子構造を有する(生成物は--X--NH2で停止するのに対し、前駆体は--X-glyで停止し、Xは生成物のC-末端アミノ酸残基である)。上記刊行物に記載されるα-アミド化酵素は、前駆体から生成物への変換を触媒する。
その酵素は、上記で引用したBiotechnology and Biopharmの記事に記載されるように、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において遺伝子組み換えによって製造されるのが好ましい。
【0061】
本開示のペプチド活性剤の遊離酸形態は、「前駆体」上にC末端グリシンを含まないことを除いて同様にして生成することができ、前駆体は、代わりに最終ペプチド生成物であり、アミド化ステップを必要としない。
【0062】
別途記載される場合を除いて、本開示のカルシトニン模倣体の好ましい投与量は、 治療目的及び予防目的の両方で同一である。所望の投与量は、以下において詳細に論じられ、投与様式に応じて異なる。
【0063】
別途記載される場合及び文脈から明らかな場合を除いて、本明細書における投与量は、薬学的賦形剤、希釈剤、担体又は他の成分による影響を受けない又はそれらを考慮に入れない活性化合物(すなわち、カルシトニン模倣体)の重量を指すが、 そのような追加の成分が含まれることが望ましい。ペプチド活性剤の送達のために医薬品産業において一般的に使用されるいずれの剤形(カプセル、錠剤、注射等) も、本明細書における使用に適しており、「賦形剤」 、「希釈剤」、又は「担体」という用語は、該産業において活性成分と一緒にそのような剤形に典型的に含まれるような非活性成分を含む。好ましい経口剤形は以下において詳細に論じられるが、 それは本開示の活性剤を投与する限定的な様式であると見なされるべきではない。
【0064】
本開示のカルシトニン模倣体は、多数の疾患又は障害を治療するために患者に投与することができる。本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、動物界に属する任意の生物を意味する。ある実施形態において、「患者」という用語は、脊椎動物、より好ましくは、ヒトを含む哺乳動物を指す。
【0065】
したがって、本開示は、I型糖尿病、II型糖尿病もしくはメタボリック症候群、肥満の治療方法、又は食欲抑制の方法、又はインスリン抵抗性を軽減するための方法、又は、望ましくなく高い絶食時血清グルコースレベルを低下させるための方法、又は望ましくなく高いピーク血清グルコースレベルを低下させるための方法、又は望ましくなく高いピーク血清インスリンレベルを低下させるための方法、又は糖負荷試験に対する望ましくなく大きな反応を軽減するための方法、又は骨粗鬆症を治療するための方法、又は変形性関節症を治療するための方法、又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療するための方法、又はアルコール性脂肪性肝疾患を治療するための方法、又は肝臓トリグリセリドを減少させるための方法、又は対象者の肝臓内における脂肪蓄積を低下させるための方法におけるペプチドの使用を含む。
【0066】
性別、年齢、及び身長等の多数の因子を考慮に入れた、正常な体重の範囲に関する当該技術分野で認識されている数多くの尺度が存在する。本明細書に記載される治療計画又は予防計画を必要とする患者は、その体重が認識されている基準を超える患者、又は、遺伝的因子、環境的因子、もしくは他の認識されている危険因子に起因して、一般的な集団よりも過体重もしくは肥満となる危険性が高い患者を含む。 本開示によれば、糖尿病を治療するためにカルシトニン模倣体が使用され得ることが想定され、その場合、体重管理が治療の一態様である。
【0067】
ある実施形態において、方法は、前記状態の治療のために、薬学的有効量の本明細書に記載のペプチドのうちのいずれか1つを、それを必要とする患者に経腸投与することを含む。
【0068】
ある実施形態において、方法は、前記状態の治療のために、薬学的有効量の本明細書に記載のペプチドのうちのいずれか1つを、それを必要とする患者に非経口投与することを含む。非経口投与(腹腔内注射、皮下注射、静脈内注射、皮内注射、 又は筋肉内注射を含む)には、例えば、ゴマ油もしくはラッカセイ油中又は水性プロピレングリコール中のいずれかの本開示のペプチドの溶液が用いられ得る。水溶液は、必要であれば適切に緩衝されるべきであり、液体希釈剤を最初に等張性にするべきである。これらの水溶液は、静脈内注射の目的に適している。油性溶液は、 動脈内注射、筋肉内注射、及び皮下注射の目的に適している。滅菌条件下におけるこれら全ての溶液の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技術によって容易に達成される。非経口用途の場合、好適な調製物の例として、溶液、好ましくは油性溶液又は水溶液、及び懸濁液、エマルジョン、又は坐剤を含む植込剤が挙げられる。ペプチドは、注射剤とともに一般的に使用される滅菌生理食塩水又は5%食塩水デキストロース溶液等の液体担体に分散させる等、複数回又は単回投与形式の滅菌形態に製剤化することができる。
【0069】
前記方法は、患者が前記状態を患っているかどうかを決定する予備ステップ、及び/又は、例えば、各症例において、経口糖負荷試験もしくは安静時血糖値の測定を行い、前記患者における状態を軽減するのに前記治療がどの程度有効であるのかを決定する後続ステップを含み得る。
【0070】
経口腸溶性製剤は、舌下経路又は頬側経路を介した血流への移動を可能にするように口腔内に保持される製剤とは対照的に、胃の下の腸において後に放出され、したがって門脈を経由して肝臓に送達されるように、嚥下によって摂取される。
【0071】
本開示における使用に適した剤形は、錠剤、ミニ錠剤、カプセル、顆粒、ペレット、粉末、発泡性固体、及びチュアブル固体製剤を含む。そのような製剤は、好ましくは加水分解ゼラチン又は低分子量ゼラチンであるゼラチンを含み得る。そのような製剤は、カルシトニン模倣体と加水分ゼラチン又は低分子量ゼラチンとを含む均質な水溶液を凍結乾燥し、結果として得られた固体材料を前記経口医薬製剤にさらに加工することによって得ることができ、この場合、ゼラチンは1000ダルトンから15000ダルトンの平均分子量を有し得る。そのような製剤は、5-CNAC又は本明細書に開示される他の化合物等の保護的担体化合物を含み得る。
【0072】
錠剤及びカプセル等の経口製剤が好ましいが、本開示において使用される組成物は、シロップ、エリキシル剤等、及び坐剤等の形態を取ることができる。経口送達は、便利で、比較的容易であり、また概ね無痛であり、他の送達様式と比較して患者コンプライアンスの増大をもたらすため、一般的に最適な送達経路である。しかしながら、消化管内で変動するpH、強力な消化酵素、ならびに活性薬剤不透過性の消化管膜等の生物学的、化学的、及び物理的障壁は、カルシトニン様ペプチドの哺乳動物への経口送達を問題のあるものにし、例えば、哺乳動物において甲状腺の濾胞傍細胞によって、ならびに鳥類及び魚類の鰓後腺によって分泌される長鎖ポリペプチドホルモンであるカルシトニンの経口送達は、消化管におけるカルシトニンの安定性が不十分であること、及び腸壁を通ってカルシトニンを血流へと容易に輸送する能力の不足に少なくとも部分的に起因して、本来困難であることが分かっていた。
しかしながら、 好適な経口製剤を以下に記載する。
【0073】
患者の治療
ある実施形態において、本開示のカルシトニン模倣体は、患者における模倣体の血清レベルを1ミリリットル当たり5ピコグラムから1000ナノグラム、好ましくは50ピコグラムから500ナノグラム、例えば、1ミリリットル当たり1ナノグラムから300ナノグラムに維持するのに十分な投与量で投与される。血清レベルは、当該技術分野で既知の手法のうち、ラジオイムノアッセイ法や質量分析法などの適した手法によって測定することができる。担当医は、患者の反応をモニタリングすることができ、次いで、個々の患者の代謝および反応を考慮するために用量をある程度変更することができる。ほぼ同時の放出は、本開示の全ての構成成分を単一の丸剤又はカプセルとして投与することによって最も良好に達成される。しかしながら、本開示はまた、例えば、必要な量のカルシトニン模倣体を2つ以上の錠剤又はカプセルに分割することも含み、それらは一緒になって全ての成分の必要量を提供するように一緒に投与されてもよい。本明細書で使用される「薬学的組成物」は、限定されないが、所与の投与で1つ以上の錠剤又はカプセル(又は他の剤形)が推奨されているかどうかにかかわらず、患者への特定の投与に適切な完全な投与量を含む。
【0074】
本開示のカルシトニン模倣体は、Unigene Enteripep(登録商標)製品に用いられる方法を使用して経口投与のために製剤化することができる。これらは、米国特許第5,912,014号、米国特許第6,086,918号、米国特許第6,673,574号、米国特許第7,316,819号、米国特許第8,093,207号、及び米国公開公報第2009/0317462号に記載されるような方法を含み得る。具体的には、これらは、HIV TATタンパク質のタンパク質形質導入ドメイン等の膜輸送体への化合物の結合(conjugation)の使用、1つ以上のプロテアーゼ阻害剤、及び/又は、コーティングされていてもよいpH降下剤、及び/又は、耐酸性保護ビヒクル、及び/又は、界面活性剤であってもよい吸収促進剤との合剤の使用を含み得る。
【0075】
ある実施形態において、本開示のカルシトニン模倣体は、米国特許公開第2009/0317462号において既知の方法で経口投与されるように製剤化されることが好ましい。
【0076】
ある実施形態において、本開示のカルシトニン模倣体は、好適な担体化合物との混合によって、経腸投与、特に経口投与のために製剤化することができる。好適な担体化合物は、米国特許第5,773,647号及び米国特許第5866536号に記載されるものを含み、それらの中でも、5-CNAC(一般的にその二ナトリウム塩としての、N-(5-クロロサリチロイル)-8-アミノカプリル酸)は特に効果的である。他の好ましい担体又は送達剤は、SNAD(10-(2-ヒドロキシベンズアミド)デカン酸のナトリウム塩)及びSNAC(N-(8-[2-ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸のナトリウム塩)である。ある実施形態において、本開示の薬学的組成物は、送達有効量の、すなわち、所望の効果のために化合物を送達するのに十分な量の、5-CNAC等の担体を含む。一般に、5-CNAC等の担体は、全組成物の2.5重量%から99.4重量%、より好ましくは25重量%から50重量%の量で存在する。
【0077】
加えて、WO00/059863は、式I
【0078】
【0079】
〔式中、R1、R2、R3、及びR4は、独立して、水素、-OH、-NR6R7、ハロゲン、C1-C4アルキル、又はC1-C4アルコキシであり;
R5は、置換もしくは非置換のC2-C16アルキレン、置換もしくは非置換のC2-C16アルケニレン、置換もしくは非置換のC2-C12アルキル(アリーレン)、又は置換もしくは非置換のアリール(C1-C12アルキレン)であり;
R6及びR7は、独立して、水素、酸素、又はC1-C4アルキルである〕
【0080】
の二ナトリウム塩、ならびに、カルシトニン、例えば、サケカルシトニン等の活性薬剤の経口送達に特に有効であるそれらの水和物および溶媒和物を開示しており、 それらは本開示において使用することができる。
【0081】
任意選択的に微粒子化された5-CNACを使用した好ましい腸溶性製剤は、 概してWO2005/014031に記載される通りであり得る。
【0082】
化合物は、Bone Medical LimitedのCapsitoni n製品に用いられる方法を使用して経口投与のために製剤化することができる。 それらは、Axcess製剤に取り入れられた方法を含み得る。より具体的には、 活性成分は、胃を通過することに耐えられる腸溶性カプセルに封入することができる。腸溶性カプセルは、例えば、WO02/028436に記載されるように、親水性の芳香族アルコール吸収促進剤と一緒に活性化合物を含有し得る。既知の様式において、腸溶性コーティングは、例えば、3から7のpHで、pH感受性の様式で透過性になり得る。WO2004/091584もまた、芳香族アルコール吸収促進剤を用いた好適な製剤化方法を記載している。
【0083】
化合物は、Oramed製品に見られる方法を使用して製剤化することができ、 これは、WO2007/029238に見られるような、又はUS5,102,666に記載されるようなω-3脂肪酸を用いた製剤を含み得る。
【0084】
一般に、薬学的に許容される塩(特に、一ナトリウム塩又は二ナトリウム塩)、溶媒和物(例えば、アルコール溶媒和物)、及びこれらの担体又は送達剤の水和物が使用され得る。
【0085】
本開示による医薬組成物の経口投与は、定期的に、例えば、毎日又は毎週ベースで1回以上;間欠的に、例えば、1日又は1週間の間に不定期に;又は周期的に、例えば、数日間又は数週間の期間中に定期的に投与した後、 投与しない期間を設ける、などによって達成することができる。本明細書に開示される実施形態の医薬組成物の剤形は、任意の既知の形態であってもよく、例えば、液体剤形又は固体剤形であり得る。液体剤形は、溶液、エマルジョン、懸濁液、シロップ、及びエリキシル剤を含む。活性化合物及び5-CNAC等の担体に加えて、液体製剤は、当該技術分野において一般的に使用される不活性賦形剤、例えば、可溶化剤、例えば、エタノール;綿実油、ヒマシ油、及びゴマ油等の油;湿潤剤;乳化剤;懸濁剤;甘味剤;香味剤;及び水等の溶媒も含み得る。 固体剤形は、カプセル、軟質ゲルカプセル、錠剤、カプレット、粉末、顆粒、又は他の固体経口剤形を含み、それらの全てが当該技術分野で周知の方法によって調製され得る。医薬組成物は、限定されないが、pH調整剤、防腐剤、香味剤、矯味剤、芳香剤、保湿剤、等張剤、着色剤、界面活性剤、可塑化剤、ステアリ ン酸マグネシウム等の潤滑剤、流動補助剤、圧縮補助剤、可溶化剤、賦形剤、微晶質セルロース、例えば、FMC社によって供給されるAvicel PH 102等の希釈剤、又はそれらの任意の組み合わせを含む添加剤を、慣例的に用いられる量で追加的に含み得る。他の添加剤は、リン酸緩衝塩、クエン酸、グリコール、及び他の分散剤を含み得る。組成物はまた、アクチノニン又はエピアクチノニン及びそれらの誘導体;アプロチニン、トラジロール、及びボーマンバーク阻害剤等の、1つ以上の酵素阻害剤も含み得る。さらに、輸送阻害剤、すなわち、ケトプロフィン(Ketoprofin)等の[rho]-糖タンパク質が、本開示の組成物中に存在してもよい。本開示の医薬組成物は、従来の方法によって、例えば、活性化合物、5-CNAC等の担体、及び任意の他の成分の混合物をブレンドし、練り、カプセルに充填するか、または、カプセルに充填する代わりに、成形した後、さらに打錠又は圧縮成形して錠剤を得ることによって調製することができる。 加えて、既知の方法によって固体分散体を形成した後、さらに加工して錠剤又はカプセルを形成してもよい。好ましくは、本開示の医薬組成物中の成分は、固体剤形全体にわたって均質に又は均一に混合される。
【0086】
代替として、活性化合物は、担体との結合体(a conjugate)として製剤化とすることができ、当該キャリアは、米国公開公報第2003/0069170号に記載されるようなオリゴマー、例えば下記のオリゴマーであってもよい。
【0087】
【0088】
そのような結合体は、そこに記載されるような脂肪酸および胆汁塩と組み合わせて投与することができる。
例えば、Mansoorらに記載されるように、ポリエチレングリコール(PEG)との結合体が用いられてもよい。
【0089】
代替として、活性化合物を、ニトロソ-N-アセチル-D,L-ペニシラミン(SNAP)及びカーボポール(Carbopol)溶液と、又はタウロコール酸塩及びカーボポール溶液と混合して、粘膜付着性エマルジョンを形成することができる。
【0090】
活性化合物は、Pregoらに開示されるようなキトサンナノカプセルに充填することによって(任意選択的に、Prego Prego C、Torres D、Fernandez-Megia E、Novoa-Carballal R、Quinoa E、 Alonso MJ.に記載されているようにPEG修飾した)、又は、Garcia-Fuentesらに開示されるようにキトサン又はPEGでコーティングされた脂質ナノ粒子に充填することによって製剤化することができる。この目的のためのキトサンナノ粒子は、Guggiらに記載されるようにイミノチオラン修飾されてもよい。それらは、Dogruらに記載されるように、水/油/水エマルジョン中に製剤化することができる。活性化合物のバイオアベイラビリティは、Sinkoら又はSongらに記載されるように、タウロデオキシコール酸塩又はラウロイルカルニチンを用いることにより増加させることができる。一般に、担体として好適なナノ粒子は、de la Fuenteらにおいて論じられており、本開示において使用することができる。
【0091】
経口製剤に好適な他の戦略は、Chiasma LtdのWO2005/094785に記載されるような一過性の透過性促進剤(TPE)系の使用を含む。TPEは、疎水性溶媒中に固体親水性粒子を懸濁させた油性懸濁液を用いて、薬物分子を好ましくない消化管(GI)環境による不活性化から保護し、また同時に、GI壁に作用してカーゴ薬物分子の透過を誘導する。
【0092】
粘膜上の排出ポンプの作用を阻害するために、US2008/0200563に記載されるようなグルタチオン又は多数のチオール基を含有する化合物の使用もさらに含まれる。そのような手法の実例は、Caliceti, P. Salmaso, S., Walker, G. and Bernkop-Schnurch, A. (2004) ‘Development and in vivo evaluation of an oral insulin-PEG delivery system.’ Eur. J. Pharm. Sci., 22, 315-323、 Guggi, D., Krauland, A. H., and Bernkop-Schnurch, A.(2003) ‘Systemic peptide delivery via the stomach: in vivo evaluation of an oral dosage form for salmon calcitonin.’J. Control. Rel. 92, 125-135、及び、Bernkop-Schnurch, A., Pinter, Y., Guggi, D., Kahlbacher, H., Schoffmann, G., Schuh, M., Schmerold, I., Del Curto, M.D., D’Antonio, M., Esposito, P. and Huck, Ch. (2005) ‘The use of thiolated polymers as carrier matrix in oral peptide delivery’ -Proof of concept. J. Control. Release, 106, 26-33にも記載されている。
【0093】
活性化合物は、WO2004/084870に記載されるようなシームレスのマイクロスフェアに製剤化することができ、 活性な薬学的成分は、ミニスフェアに製剤化されたエマルジョン、マイクロエマルジョン、又は懸濁液として可溶化され、従来のまたは新規のコーティング技術のいずれかによって様々にコーティングされる。その結果は、「予め可溶化された」形態で封入された薬物であり、経口投与されると、消化管に沿った特定の位置に対して、特定の速度で、活性薬物の所定の即時放出または持続放出を提供する。基本的に、薬物を予め可溶化することで、同時に透過性及び薬物安定性を増強しながら、その動態プロファイルの予測可能性を高める。
【0094】
US2009/0074824に記載されるように、キトサンでコーティングされたナノカプセルを用いてもよい。ナノカプセルは胃液の作用に対して安定であるため、この手法を用いて投与される活性分子はナノカプセル内で保護される。加えて、この系の粘膜付着特性は腸壁への付着時間を延長し(これらの系の消化管通過に遅延が見られることが確認されている)、活性分子のより効果的な吸収を促進する。
【0095】
TSRLl Inc.によって開発された方法が使用されてもよい。これらは、正電荷及び負電荷の両方を担持する天然由来のコラーゲン抽出物であるゼラチンが、レシチンミセル中に含有される活性成分の粒子をコーティングし、それらの凝集又はクランピングを防止する、親水性可溶化技術 (HST)を含む。この結果、極性相互作用を介して疎水性薬物粒子の改善された水和性がもたらされる。加えて、 両親媒性のレシチンが、溶解流体と粒子表面との間の表面張力を低下させる。
【0096】
活性成分は、賦形剤としてククルビットウリルを用いて製剤化されてもよい。
【0097】
代替として、Merrion PharmaceuticalsのGIPET技術を用いて、US2007/0238707に記載されるような中間鎖脂肪酸もしくは中間鎖脂肪酸誘導体、又はUS7268214に記載されるような膜移行ペプチドであり得る吸収促進剤とともに活性成分を含有する腸溶性コーティング錠剤を生成することもできる。
【0098】
経口投与用の薬物カプセルに入れられた放出制御剤形を膨張式パウチ内に収容してなるGIRES(商標)技術を用いることができる。カプセルが溶解すると、 ガス発生系が胃内でパウチを膨張させる。臨床試験において、パウチが胃内に16から24時間保持されることが示されている。
【0099】
代替として、胃内の酵素分解に耐えることを可能にし、その吸収を促進させる保護修飾因子に活性成分を結合(conjugated)させてもよい。活性成分は、単分散の短鎖メトキシポリエチレングリコール糖脂質誘導体と共有結合させることができ、 それを精製した後で結晶化及び凍結乾燥して、乾燥した活性な医薬成分とする。そのような方法は、US5438040及びwww. biocon. comに記載されている。
【0100】
また、活性成分の送達のために肝指向性小胞(HDV)を用いてもよい。HDVは、活性成分を封入するリポソーム (≦150nmの直径)からなってもよく、それらの脂質二重層内に肝細胞ターゲティング分子も含有する。ターゲティング分子は、封入された活性成分の肝細胞への送達を誘導し、したがって、比較的少量の活性成分が効果をもたらすのに必要とされる。そのような技術はUS2009/0087479に記載され、さらにwww. diasome. comにも記載されている。
【0101】
活性成分は、インスリンに関してUS2002/0115592に記載されるような長鎖PEG種と任意選択的に混合された中鎖部分グリセリドと会合して、アルコール及び共溶媒を含む実質的に非水性の親水性媒体を追加的に含有する組成物に組み込まれてもよい。
【0102】
代替として、Shen Z,Mitragotri S, Pharm Res. 2002 Apr;19(4):391-5 ‘Intestinal patches for oral drug delivery’に記載されるような腸パッチが使用されてもよい。
【0103】
活性成分は、米国特許第7189414号に記載されるような疎水性ポリマーとブレンドされたハイドロゲルから形成される浸食性マ トリックスに組み込むことができる。
【0104】
治療される成人ヒトの好適な経口投与量レベルは、0.05mgから5mgの範囲、好ましくは約0.1mgから2.5mgであり得る。
【0105】
患者の投薬治療の頻度は、1週間に1回から4回、好ましくは週1回から2回、及び、最も好ましくは週1回である。治療は、少なくとも6週間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、好ましくは少なくとも1年間の長期間にわたって、また任意選択的に生涯にわたって維持されることが望ましいであろう。
【0106】
関連する状態のための併用治療は、本発明による組成物と、1つ以上の他の治療薬の別個の投与とを用いて行うことができる。代替として、本開示による組成物は、 併用投与のために1つ以上の他の治療薬を組み込んでもよい。
【0107】
本開示による併用療法は、記載されるような活性化合物と、インスリン、GLP-2、GLP-1、GIP、もしくはアミリンとの組み合わせ、又は一般的に他の抗糖尿病薬との組み合わせを含む。
したがって、合剤を含む併用療法は、メトホルミン、ブホルミン及びフェンホルミン等のビグアナイド、バラグリタゾン、ピオグリタゾン、リボグリタゾン、ロシグリタゾン及びトログリタゾン等のTZD(PPAR)、アレグリタザール、ムラグリタザール及びテサグリタザール等の二重PPARアゴニストを含むインスリン抵抗性改善薬;又はカルブタミド、クロルプロパミド、グリクラジド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、グリベンクラミド、グリブリド、グリキドン、グリクロピラミド及びグリメピリリド等のスルホニルウレア、ナテグリニド、レパグリニド及びミチグリニド等のメグリチニド/グリニド(K+)、エキセナチド、リキシセナチド、リラグルチド、セマグルチド、デュラグルチド及びアルビグルチド等のGLP-1類似体、アログリプチン、リナグリプチン、サキサグリプチン、シタグリプチン及びビルダグリプチン等のDPP-4阻害剤を含む分泌促進物質;(即効型)インスリンリスプロ、インスリンアスパト、インスリングルリジン、(長時間作用型)インスリングラルギン、インスリンデテミル、吸入用のインスリンエクスベラ及びNPHインスリン等のインスリン類似体又は特殊な製剤;ならびにアカルボース、ミグリトール、及びボグリボース等のα-グルコシダーゼ阻害剤、プラムリンチド等のアミリン類似体、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、レモグリフロジン及びセルグリフロジン等のSGLT2阻害剤を含む他の薬剤だけではなく、ベンフルオレックス及びトルレスタットを含む様々な薬剤とともに行われ得る。
【0108】
さらなる組み合わせは、レプチンとの同時投与又は合剤化を含む。レプチン抵抗性は、2型糖尿病の十分に確立された構成要素である。しかし、レプチンの注射は、これまでこの状態を改善することができていない。これとは対照的に、アミリンが、したがってアミリン様能力を有する分子が、サケカルシトニン模倣体として、レプチン感受性を改善することが可能であることを支持する証拠が存在する。アミリン/レプチンの組み合わせは、体重及び食物摂取に対する相乗効果、及びインスリン抵抗性も示している[Kusakabe Tら]。
【0109】
さらに好ましい併用療法は、本発明のペプチドと、1つ以上の体重減少薬との合剤化又は同時投与を含む。そのような体重減少薬は、限定されないが、リパーゼ阻害剤(例えば、オルリスタット等の膵リパーゼ阻害剤)、食欲抑制アンフェタミン誘導体(例えば、フェンテルミン)、トピラマート、Qysmia(登録商標)(フェンテルミン/トピラマートの組み合わせ)、5-HT2C受容体作用薬(例えば、ロカセリン)、Contrave(登録商標)(ナルトレキソン/ブプロピオンの組み合わせ)、グルカゴン様ペプチド-1[GLP-1]類似体及び誘導体(例えば、リラグルチド、セマグルチド)、筋小胞体/小胞体(SR)Ca2+ATPアーゼ(SERCA)阻害剤(例えば、サルコリピン)、繊維芽細胞成長因子21[FGF-21]受容体作用薬(例えば、FGF-21の類似体)、及び、β3アドレナリン受容体作用薬(例えば、ミラベグロン)を含む。そのような組み合わせは、肥満等の体重過多状態の処置に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0110】
図の説明
【
図1-1】
図1:食物摂取及び体重に関しての、KBP346、KBP347、KBP349、KBP351、KBP352、KBP353及びKBP089の比較 A)食物摂取、0-4時間;B)体重変化、4時間;C)食物摂取、4-24時間;D)体重変化、24時間;E)食物摂取24-49時間;F)体重変化、48時間
【
図1-2】
図1:食物摂取及び体重に関しての、KBP346、KBP347、KBP349、KBP351、KBP352、KBP353及びKBP089の比較 A)食物摂取、0-4時間;B)体重変化、4時間;C)食物摂取、4-24時間;D)体重変化、24時間;E)食物摂取24-49時間;F)体重変化、48時間
【
図2】
図2:KBP375、KBP376及びKBP377の単回投与試験 単回投与をt=0に実施した。各分子の36nmol/kg単回投与による食物摂取及び体重への効果を168時間観察し、非アシル化ベンチマークと直接比較した。A)食物摂取;B)体重変化
【
図3-1】
図3:KBP356、KBP358、KBP362、KBP364、KBP368及びKBP370の投与反応試験 単回投与をt=0に実施した。各分子の36nmol/kg単回投与による食物摂取及び体重への効果を168時間観察した。A-B)アシル化したKBP-066変異体の食物摂取及び体重;C-D)アシル化したKBP-062変異体の食物摂取及び体重;E-F)アシル化したKBP-110変異体
【
図3-2】
図3:KBP356、KBP358、KBP362、KBP364、KBP368及びKBP370の投与反応試験 単回投与をt=0に実施した。各分子の36nmol/kg単回投与による食物摂取及び体重への効果を168時間観察した。A-B)アシル化したKBP-066変異体の食物摂取及び体重;C-D)アシル化したKBP-062変異体の食物摂取及び体重;E-F)アシル化したKBP-110変異体
【
図3-3】
図3:KBP356、KBP358、KBP362、KBP364、KBP368及びKBP370の投与反応試験 単回投与をt=0に実施した。各分子の36nmol/kg単回投与による食物摂取及び体重への効果を168時間観察した。A-B)アシル化したKBP-066変異体の食物摂取及び体重;C-D)アシル化したKBP-062変異体の食物摂取及び体重;E-F)アシル化したKBP-110変異体
【
図4-1】
図4:KBP372及びKBP356の単回高用量投与による食物摂取及び体重への効果 A)KBP-042A11.03(KBP372)の食物摂取への効果;B)KBP-042A11.03(KBP372)の体重への効果;C)KBP-066A11.03(KBP356)の食物摂取への効果;D)KBP-066A11.03(KBP356)の体重への効果
【
図4-2】
図4:KBP372及びKBP356の単回高用量投与による食物摂取及び体重への効果 A)KBP-042A11.03(KBP372)の食物摂取への効果;B)KBP-042A11.03(KBP372)の体重への効果;C)KBP-066A11.03(KBP356)の食物摂取への効果;D)KBP-066A11.03(KBP356)の体重への効果
【
図5】
図5:KBP-350についての4時間食物摂取の研究
【
図6】
図6:食物摂取の蓄積量 A)全期間に亘る食物摂取の蓄積。食物摂取は、研究開始から21日目までの間、毎日1回観察した。n=3-4ケージ。+/- SEM。;B)
図9Aに示したデータ曲線下の総面積。n=9-10。+/- SEM。
【
図7】
図7:研究期間中のZDF体重 A)個々のラットのグラム表示体重;B)ビヒクル重量で正規化し、パーセント表示した体重。 体重は、最初の21日間を通して毎日記録し、その後は、研究終了(62日)の1週間前まで1週間に2回記録した。KBP-066A11.03群の体重を、研究終了(62日)の1週間前まで毎日観察した。n=9-10ラット。+/- SEM。
【
図8】
図8:ZDF絶食時血糖値 絶食6h後の絶食時血糖値を、研究開始後、0日目、14日目、28日目、42日目及び62日目に測定した。n=9-10。+/- SEM。
【
図9】
図9:ZDF HbA1c値 A)ベースライン時点のHbA1c;B)研究終了時点のHbA1c;HbA1cは、研究開始の3日前に測定した。HbA1cは、研究終了時点である62日目に測定した。n=9-10。+/- SEM。
【
図10】
図10:経口糖負荷試験(OGTT) A)雄のZDFラットにおける180分間に亘るOGTT;B)前記A)に示されたOGTTを実施している間の曲線下の総面積;OGTTは、処置の8週間後に実施した。ラットは、マイナス30分(-30)時点で事前に11h絶食させておいた。血糖レベルは、-30分、0分、15分、30分、60分、120分及び180分の時点で測定した。グルコースは、0分時点で経口投与した。33.3mmol*L
-1を超える血糖値に対し、検出の上限値;33.3mmol*L
-1を割り当てた。ラットは、生理食塩水又はKBP-066又はKBP-066Aを、その同じ日に、事前投与しなかった。n=9-10。
【
図11】
図11:KBP-305、KBP-306、KBP-307、KBP-356、381、KBP-382及びKBP-383の単回投与試験 単回投与をt=0に行い、各分子の3nmol/kg単回投与による食物摂取及び体重への効果を96時間観察し、他の分子及びビヒクルと直接比較し、最適なアシル化長を決定した。 A)グラム(g)表示の急速食物摂取;B)グラム(g)表示の体重変化;n=4 一群当たりのラット。+/- SEMとしてのデータ。
【
図12】
図12:アシル化長が異なるKBP-066A11化合物(.03、.04及び.05アシル化)を用いたHFD SDラットにおける6週間体重減少の研究 ラットを、KBP-066A11.03、KBP-066A11.04、KBP-066A11.05又はビヒクルで処置し、3日目ごとに4nmol化合物/kgの単独皮下注射により投与を行った。体重を研究期間を通して記録した。 A)グラム(g)表示の一日食物摂取;B)個々のラットのグラム(g)表示の体重減少;n=6 一群当たりのラット。+/- SEMとしてのデータ。
【
図13】
図13:アシル化長が異なるKBP-066A11化合物(.03、.04又は.05アシル化)を用いたHFD SDラットにおける体重減少の研究から得られる追加的なパラメータ ラットを、KBP-066A11.03、KBP-066A11.04、KBP-066A11.05又はビヒクルで処置した。ラットには、3日目ごとに4nmol化合物/kgの単独皮下注射により投与を行った。 A)経口糖負荷試験;B)OGTTの曲線下の増加した面積;C)研究終了時点における精巣上体WATのグラム(g)表示重量;D)研究終了時点における鼠径部WATのグラム(g)表示重量;E)研究終了時点における腎周囲WATのグラム(g)表示重量;F)研究終了時点における体重のベースライン時点からの変化のグラム(g)表示;体重は、研究期間を通して毎日記録した。;n=6 一群当たりのラット。+/- SEMとしてのデータ。
【
図14】
図14:放射性標識サケカルシトニン(
125I-sCT)をトレーサーとして用い、2つの異種、すなわちラット(Rattus norvegicus)及びヒト(Homo sapiens)由来の2%血清アルブミン中で実施した競合的リガンド結合アッセイ トレーサーとして、0.25nm
125I-sCTを用いた。;A)2%RSA中で実施した競合的結合アッセイ;B)2%HSA中で実施した競合的結合アッセイ;C)+/- SEMとしてのデータ。
【
図15】
図15:KBP-066主鎖上のアシル化位置を調べるためのKBP-356、KBP-386、KBP-387、KBP-388、KBP-389及びKBP-390の単回投与試験 単回投与をt=0に行い、各分子の3nmol/kg単回投与による食物摂取及び体重への効果を96時間観察し、他の分子及びビヒクルと直接比較し、最適なアシル化長を決定した。 A)グラム(g)表示の急速食物摂取;B)グラム(g)表示の体重変化;n=4 一群当たりのラット。+/- SEMとしてのデータ。
【
図16】
図16:KBP-021主鎖上のアシル化位置を調べるためのKBP-391、KBP-312、KBP-313、KBP-314、KBP-315、KBP-316、KBP-317及びKBP-318の単回投与試験 単回投与をt=0に行い、各分子の3nmol/kg単回投与による食物摂取及び体重への効果を96時間観察し、他の分子及びビヒクルと直接比較し、最適なアシル化長を決定した。 A)グラム(g)表示の急速食物摂取;B)グラム(g)表示の体重変化;n=4 一群当たりのラット。+/- SEMとしてのデータ。
【
図17】
図17:KBP-066A11化合物(.03であってアシル化長が同じであるが、アシル化位置が異なるA11及びA19)を用いたHFD SDラットにおける6週間体重減少の研究 ラットに、KBP-066A11.03(KBP-356)、KBP-066A19.03(KBP-389)又はビヒクルを、3日目ごとに4nmol化合物/kgの単独皮下注射により投与した。体重及び食物摂取を、研究期間を通して毎日記録した。 A)研究期間中におけるグラム(g)表示の一日食物摂取;B)個々のラットのグラム(g)表示の体重減少;n=6 一群当たりのラット。+/- SEMとしてのデータ。
【
図18】
図18:アシル化長が異なるKBP-066A11化合物(.03、.04又は.05アシル化)を用いたHFD SDラットにおける体重減少の研究から得られる追加的なパラメータ ラットを、KBP-066A11.03、KBP-066A19.03又はビヒクルで処置した。ラットには、3日目ごとに4nmol化合物/kgの単独皮下注射により投与を行った。 A)経口糖負荷試験;B)OGTTの曲線下の増加した面積;C)研究終了時点における精巣上体WATのグラム(g)表示重量;D)研究終了時点における鼠径部WATのグラム(g)表示重量;E)研究終了時点における腎周囲WATのグラム(g)表示重量;F)研究終了時点における体重のベースライン時点からの変化のグラム(g)表示;体重は、研究期間を通して毎日記録した。;n=6 一群当たりのラット。+/- SEMとしてのデータ。
【
図19】
図19:KBP-356、KBP-384及びKBP-385を用いたKBP-066主鎖のアシル化連結基の調査 単回投与をt=0に行い、各分子の4nmol/kg単回投与による体重への効果を96時間観察し、他の分子と直接比較し、最適なアシル化連結基を決定した。 A)グラム(g)表示の急速食物摂取;B)グラム(g)表示の体重変化;n=4 一群当たりのラット。+/- SEMとしてのデータ。
【実施例0111】
実施例
本開示の実施形態を以下の実施例において説明するが、これらは、本開示を理解するのに役立つように記載されるのであって、その後に続く特許請求の範囲において定義される本開示の範囲を限定すると見なされるべきではない。以下の実施例は、 当業者に、記載される実施形態をどのように作製及び使用するかの完全な開示及び説明を提供するために記載されるのであって、本開示の範囲を限定することを意図するものでもなく、また、以下の実験が実施した全てのまたは唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。用いられる数(例えば、量、温度等)に関して精度を確保する努力を行ったが、ある程度の実験誤差及び偏差を考慮に入れるべきである。別途示されない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧または大気圧近傍である。
【0112】
細胞及び細胞株
カルシトニン、アミリン及びCGRP受容体を発現する以下の細胞株を購入し、製造者の指示に従って培養した。
1.カルシトニン受容体(CTR):DiscoveRxのU2OS-CALCR(カタログ番号93-0566C3)
2.アミリン受容体(AMY-R):DiscoveRxのCHO-K1 CALCR+RAMP3(カタログ番号93-0268C2)
【0113】
試薬
チオフラビンT(T3516、シグマ)。アッセイストックThTは、5mMリン酸ナトリウム pH7中の10mM溶液として調製した。それを小分けし、遮光、-20℃で保管した。ストックThTは、使用直前に解凍し、希釈した。
試験に供するカルシトニン模倣体(以下において「アシル化KBPs」又は単に「KBPs」を称する。)について、最終の緩衝状態は、10mM Tris-HCL pH7.5である。
ウエル内における最終のペプチド濃度は、100-200μMとすべきであり、最終のThT濃度は、4μMとすべきである。ThTは最後に加える(10μL)。
【0114】
動物モデル
動物モデル研究において、12週齢の健康なSprague Dawley(SD)ラットを用い、アシル化KBPsの有効性を評価した。一部の実施例において、試験前及び試験中のラットに普通食を給餌したのに対し、他の実施例においては、12週齢の健康なSDラットに対し、試験前の8週間及び試験期間中に、高脂肪食(HFD)を給餌した。
【0115】
アシル化カルシトニン模倣体
以下の表1a及び表1bに、試験に供したアシル化カルシトニン模倣体のアミノ酸配列を列記した。そこで用いられているように:
1 アシル化は、KAc-(グルタミン酸連結基)-(C16脂肪酸[パルミチン酸塩])を意味する;
2 アシル化は、KAc-(グルタミン酸連結基)-(C18二価脂肪酸[オクタデカン二酸])を意味する;
3 アシル化は、KAc-(N-末端に結合したグルタミン酸残基と一緒に連結した2xOEGアミノ酸)-(C18二価脂肪酸[オクタデカン二酸])を意味する;
4 アシル化は、KAc-(N-末端に結合したグルタミン酸残基と一緒に連結した2xOEGアミノ酸)-(C20二価酸[エイコサン二酸])を意味する;
5 アシル化は、KAc-(N-末端に結合したグルタミン酸残基と一緒に連結した2xOEGアミノ酸)-(C22二価酸[ドコサン二酸])を意味する;
6 アシル化は、KAc-(N-末端に結合したグルタミン酸残基と一緒に連結した2xOEGアミノ酸)-(C16二価酸[ヘキサデカン二酸])を意味する;
7 アシル化は、KAc-(N-末端に結合したグルタミン酸残基と一緒に連結した3xOEGアミノ酸)-(C18二価酸[オクタデカン二酸])を意味する;
8 アシル化は、KAc-(N-末端に結合したグルタミン酸残基と一緒に連結した1xOEGアミノ酸)-(C18二価酸[オクタデカン二酸])を意味する;
9 アシル化は、KAc-(N-末端に結合したグルタミン酸残基と一緒に連結した2xOEGアミノ酸)-(C24二価酸[テトラコサン二酸])を意味する;
10 アシル化は、KAc-(N-末端に結合したグルタミン酸残基と一緒に連結した2xOEGアミノ酸)-(C26二価酸[ヘキサコサン二酸])を意味する;
11 アシル化は、KAc-(N-末端に結合したグルタミン酸残基と一緒に連結した2xOEGアミノ酸)-(C14二価酸[テトラデカン二酸])を意味する
【0116】
試験に供したカルシトニン模倣体は、以下の修飾前コアペプチド配列に基づいている:CSNLSTCMLGRLSQDLHRLQTYPKTDVGANAP (KBP089)
CSNLSTC(AiB)LGRLSQDLHRLQTYPKTDVGANAP (KBP066)
CGNLSTC(AiB)LGRLTQDLNKFHTFPKTDVGANAP (KBP062)
CSNLSTCVLGKLSQELHKLQTYPRTDVGANAP (KBP042)
CSNLSTC(AiB)LGRLANFLVHSSNNFGAILPKTDVGANAP (KBP110)
CSNLSTCMLGRLSQELHRLQTYPKTDVGANAP (KBP021)
【0117】
表1bにおいて、以下の付加的な名称も用いた:
アシル化アミノ酸 KBP修正名称
01 A01
02 A02
03 A03
・・ ・・
XX AXX
・・ ・・
31 A31
32 A32
【0118】
アシル化の類型 付加名称
C16 .01
C18二価酸 .02
C18二価酸 2*OEG .03
C20二価酸 2*OEG .04
C22二価酸 2*OEG .05
C16二価酸 2*OEG .06
C18二価酸 3*OEG .07
C18二価酸 1*OEG .08
C24二価酸 2*OEG .09
C26二価酸 2*OEG .10
C14二価酸 2*OEG .11
【0119】
実施例において、名称修正KBP-066A11.03は、KBP-066コア配列の11位がC18二価酸2*OEGアシル化されたリシン残基で置換される修飾をしてなるペプチドを指す。
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
最初のアシル化研究(実施例 1-5)
実施例1(図 1及び5)
異なる位置(9位“A09”、11位“A11”、16位“A16”、18位“A18”、及び32位“A32”)の1アシル化変異体の単回投与による食物摂取及び体重への効果と、非アシル化ベンチマークペプチド(KBP-089)による効果の、12週齢のリーンSDラットにおける比較
【0129】
【0130】
試験の4日前に、ラットを1匹ずつケージに入れた。それらを体重により6つの群に無作為化した(ビヒクル(0.9%NaCl)、KBP(用量:25nmol/kg(^100μg/kg))。ラットを一晩絶食させ、次いで、午前中に、皮下投与を用いてペプチド又はビヒクルの単回投与で処置した。食物摂取量を以下の間隔(0-4時間、4-24時間、24-48時間)でモニタリングした。ベースラインにおける体重、及び、皮下注射後24時間及び48時間における体重を測定した。
1アシル化を用いた位置“A09”、“A11”及び“A32”のアシル化は、in vivo反応を延長させたため(
図1)、さらに試験するに値するものであった(以下を参照)。12位(
図5)、16位及び18位は、受け入れられない結果を示したため、さらに試験を進めることはなかった。
【0131】
実施例2:β-アレスチンアッセイ
PathHunter β-アレスチンGPCRアッセイは、β-アレスチンと活性化GPCRとの相互作用を検出することによってGPCRを活性化させるリガンドの能力を直接測定する全細胞機能アッセイである。β-アレスチン動員はGタンパク質シグナル伝達とは独立しているため、これらのアッセイは、事実上あらゆるGi- 、 Gs、 またはGq-カップリング受容体のために使用され得る、強力かつ普遍的なスクリーニング及びプロファイリングのプラットフォームを提供する。
【0132】
このシステムにおいて、GPCRをインフレーム(in frame)となるように、
小さな酵素断片であるProLink(商標)と融合させ、β-アレスチンと、より大きなβ-galのN末端欠失変異体との融合タンパク質(酵素アクセプター又はEAと称される)を安定に発現する細胞において共発現させた。GPCRの活性化は、ProLinkでタグ付けされたGPCRへのβ-アレスチンの結合を刺激し、 2つの酵素断片に相補性を持たせ、 その結果と して活性β-gal酵素の形成をもたらす。この相互作用は、化学発光性のPathHunter(登録商標)Detection Reagentを使用して測定され得る酵素活性を増加させる。
【0133】
独立したバイオアッセイにおいて、CTR及びAMY-R細胞を、下記の表2及び表3に特定される漸増用量のKBP(100、20、4、0.8、0.16、0.032nM及びビヒクル)を用いて、表示される時点に処理した。
アッセイは、白色384ウェルプレート(Greiner Bio-One、784080)で行った。実験の前日に、10μLの細胞型特異的培地に1ウェル当たり2500個の細胞で細胞を播種した。GPCRによって媒介されるβ-アレスチン動員を定量化するために、Pathhunter(商標) Detection Kit(93-0001、DiscoverX)を使用して、製造者の指示書に従ってアッセイを行った。
【0134】
反応の延長/持続は、カルシトニン受容体(CTR):DiscoveRxのU2OS-CALCR(カタログ番号93-0566C3)細胞株を用いて行い、そして、古典的な3時間産出量とは対照的に、β-アレスチン蓄積を3時間、6時間、24時間、48時間又は72時間に亘って行い、アッセイと分析を行った。
β-アレスチン研究の結果を、表2(2アシル化)及び表3(3アシル化)に記載する。
【0135】
【0136】
【0137】
β-アレスチン研究は、以下の点を示した。
1)アシル化の効力は、ペプチドのアシル化位置の点では、次のとおりである:A11>A32>A09。
2)11位(A11)の2又は3アシル化は、カルシトニン受容体(CTR)、アミリン受容体(AMY-R)、CTR応答延長、及び、食物摂取抑制の活性化の点では、いずれのペプチドコアについても概して、極めて優れたアシル化/位置の組み合わせである。
3)異なるペプチドコアを用いたアシル化KBPは、同じアシル化を用いて修飾する場合に、in vitroにおいて同様の効力及びパターンを示す。
【0138】
実施例3(
図2)
KBP089の3アシル化変異体であるA09(KBP375)、A11(KBP376)及びA32(KBP377)の単回投与による食物摂取及び体重への効果と、非アシル化ベンチマークペプチド(KBP-089)による効果の、12週齢のHFD SDラットにおける比較
【0139】
【0140】
試験の4日前に、ラットを1匹ずつケージに入れた。それらを体重により11個の群に無作為化した(ビヒクル(0.9%NaCl)、KBP(用量:36nmol/kg(150-157μg/kg))。ラットを一晩絶食させ、次いで、午前中に、皮下投与を用いてペプチド又はビヒクルの単回投与で処置した。食物摂取量を以下の間隔(0-4時間、4-24時間、24-48時間 … 144-168時間)でモニタリングした。ベースラインにおける体重、及び、皮下注射後24時間ごとの体重を測定した。
動物モデル研究により、β-アレスチン研究の結果が確認され、未修飾ペプチドとの対比において改善された効果を証明した。
1)コアペプチドとしてKBP-089を用いたアシル化位置の有益度の点では、A11>A32>A09。
2)2アシル化及び3アシル化は、in vivoでの活性及び効果の延長の点では、所定の投与量において非アシル化KBP-089よりも極めて優れている。
動物モデル研究は、9位アシル化によってペプチドの効力が未修飾ペプチドと比較して低下することも示したため、9位を、さらに研究を進める重要な位置付けから除外した。
【0141】
実施例4(
図3)
異なるペプチドコアを用いた3アシル化変異体であるA11及びA32の単回投与による食物摂取及び体重への効果と、それぞれの非アシル化ベンチマークKBP(KBP-066、KBP-062及びKBP-110)による効果の、20週齢のHFD SDラットにおける比較
【0142】
【0143】
試験の4日前に、ラットを1匹ずつケージに入れた。それらを体重により11個の群に無作為化した(ビヒクル(0.9%NaCl)、KBP(用量:4nmol/kg(^17μg/kg)、12nmol/kg(^50μg/kg)、又は、36nmol/kg(^150μg/kg))。ラットを一晩絶食させ、次いで、午前中に、皮下投与を用いてペプチド又はビヒクルの単回投与で処置した。食物摂取量を以下の間隔(0-4時間、4-24時間、24-48時間 … 144-168時間)でモニタリングした。ベースラインにおける体重、及び、皮下注射後24時間ごとの体重を測定した。
結果は、以下のとおりである:
1)ペプチドコアは、11位又は32位のアシル化により観察される向上には影響を与えなかった。
2)A11は、A32よりも良好なアシル化部位であった。
【0144】
実施例5(
図4)
20週齢のHFD SDラットにおける、KBP-042及びKBP-066のA11/3アシル化変異体の単回高用量投与による食物摂取及び体重への効果
試験の4日前に、ラットを1匹ずつケージに入れた。ラットを、体重により11個の群に無作為化した(ビヒクル(0.9%NaCl)、KBP(用量:300nmol/kg(^1000μg/kg))。
【0145】
【0146】
ラットを一晩絶食させ、次いで、午前中に、皮下投与を用いてペプチド又はビヒクルの単回投与で処置した。食物摂取量を以下の間隔(0-4時間、4-24時間、24-48時間 … 188-312時間)でモニタリングした。ベースラインにおける体重、及び、皮下注射後24時間ごとの体重を測定した。
KBP356及びKBP372を用いた高用量試験は、効果がin vivoで数日間持続する優れた延長を示した。したがって、これらのアシル化ペプチドは、週1回投与ペプチド治療薬の開発にとって明確な候補である。
【0147】
実施例6(
図6-10)
化合物KBP-356(KBP-066A11.03)の研究を、さらに進めた。この化合物は、ペプチドの8位にAiB残基、及び、11位に好ましいアシル化を含む。
長期研究を、雄ZDFラット(肥満性ホモ接合体劣性形質(obese homozygous recessive)(fa/fa)系統:370)(Charles River、米国)において行った。ラットは5週齢のものを配達した。ラットは、1ケージ当たり2匹-3匹入れて飼育した。
【0148】
雄ZDFラットの長期処置:
ラットを、Nordic Bioscienceの動物施設へ、5週齢(-6日)の時点で配達した。ラットを3日間順応させた。HbA1c、及び、BWを記録した(-3日)。ラットを、HbA1c(第1位)及びBW(第2位)に基づいて、4日目に無作為化した。1日目に研究を開始した。
【0149】
投与の濃度及び頻度
動物に、1日一回、KBP-066又は生理食塩水(ビヒクル)を投与した。
KBP-066A11.03の投与は、3日ごとに1回行った。投与は、正午前後に皮下投与(sc)した。
生理食塩水:投与容量は1mL/kgとした。
KBP-066:投与容量は1mL/kgとし、投与濃度は5、50又は500μg/kgとし、化合物濃度は5、50又は500mg/Lとした。nmol/kg表示の投与等量は、それぞれ1.43、14.3又は143nmol/kgである。
KBP-066A11.03:投与容量は1mL/kgとし、投与濃度は25nmol/kgとし、化合物濃度は25mmol/Lとした。μg/kg表示の投与等量は、104μg/kgである。
【0150】
【0151】
【0152】
処置群ごとの1週間の総投与量
5μg/kg KBP-066は、35μg/kg/週、又は、10nmol/kg/週に等しい。
50μg/kg KBP-066は、350μg/kg/週、又は、100.4nmol/kg/週に等しい。
500μg/kg KBP-066は、3500μg/kg/週、又は、1004nmol/kg/週に等しい。
25nmol/kg KBP-066は、243.4μg/kg/週、又は、58.3nmol/kg/週に等しい。
化合物は、生理食塩水に溶解し、-20℃で保管した。小分けしたものを投与直前に解凍した。
【0153】
試験結果のまとめ
-3日:HbA1c測定
1日目:(研究の第1日)、ラットを6時間絶食させ、BG及び血液サンプルを採取した。その後、投与を行った。
14日目:絶食時血糖(FBG)+血液サンプル(6時間絶食)
28日目:FBG+血液サンプル(6時間絶食)
42日目:FBG+血液サンプル(6時間絶食)
57日目:(群1+2)/58日目(群3+4) KBP-066又はKBP-066A11.03を事前投与しないOGTT(11時間絶食)。Hb1Acは、OGTT途中のt=120又はt=180の時点に測定した。
62日目:FBG+血液サンプル(6時間絶食)
【0154】
食物摂取
食物摂取は、毎日モニターした。体重は、最初の3週間は毎日モニターし、それから3週間目以降は、1週間に2回モニターした。
【0155】
絶食時血糖値
絶食時血糖値は、Accu-Check(登録商標) Avia モニタリングシステム(Roche Rotkreus、スイス)を使用して、2週間ごとにモニターした:測定は、尾静脈から行った。
【0156】
HbA1c
ラットは、1回目(不作為化)及び2回目(2回目OGTT後)のHbA1c測定のためには非絶食とした。血液一滴をHbA1cカセットに適用し、DCAバンテージアナライザー(DCA Vantage Analyzer)を用いてHbA1cを測定した。
化合物又は生理食塩水の投与は、1回目及び2回目のHbA1c測定の測定中に、引き続き行った。
【0157】
経口糖負荷試験
経口糖負荷試験(OGTT)は処置の8週間後に行った。前日からの体重を用いて、グルコース投与量を計算した。動物は11時間絶食させた。-30分時点(以下の図表を参照)よりもおよそ45分前に加熱した。動物には、第1回目OGTTの実施中に、KBP-066、KBP-066A11.03又は生理食塩水を事前投与したが、第2回目OGTTにおいては事前投与しなかった。それゆえ、以下の図表には(C)と記載している。
【0158】
【0159】
結果
図6A+B、食物摂取の蓄積
図6Aに、研究経過中の食物摂取蓄積を示す。A11処置群は、ビヒクル群よりも食物摂取が少なかった。また、投与量が高いほど、食物摂取の低下がより大きくなった。アシル化されたKBP-066A11.03処置群は、KBP-066の全ての投与量群と比べて、食物摂取の低下が最も大きかった。研究終了時点において、全ての処置群は、研究期間中の食物消費について、ビヒクル群と比べて有意の低下がみられ、アシル化KBP-066A11.03処置群は、食物摂取について最も大きな低下;すなわち、ビヒクル群との対比(
図6B)で35%に達する食物摂取の低下を示した。
【0160】
図7A+B、体重
全ての処置群において、研究の最初3週間が経過する間に体重が減少した。ZDFビヒクルラットは病態悪化が進行し、その体重/増加率を維持できなくなったが(
図7A)、処置群は体重の点でビヒクル群に追いついた。
ビヒクル群と比較した体重増加速度は、投与量に依存し、また、処置群で用いた化合物のタイプにも依存した(
図7B)。アシル化KBP-066A11.03処置群の回復速度は最も遅く、14.3nmol/kg群及び143nmol/kg群がそれに続き、体重回復が最も速いものは1.43nmol/kg群であった。
これは、アシル化KBP-066A11.03を3日ごとに1回皮下投与療法により投与する場合には、非アシル化KBP-066を1日1回皮下投与する場合に勝る付加的な薬理学的利益を有することを示している。
【0161】
図8、絶食時血糖値
ZDFビヒクルラットは病態悪化が進行し、FGBを維持できなくなったが、全ての処置群は研究が経過する間、ビヒクル群と比べてFBGを効果的に減衰させた。アシル化KBP-066A11.03処置は、最も効果的な処置であり、この処置だけが、この極めて攻撃的な2型糖尿病の動物モデルにおける62日間の研究中にFBGの増加をわずか5mMとすることができた。非アシル化KBP-066は、投与量依存的にFBGを低下させたが、しかし、FBG減衰においてアシル化処置群の効力と同等ではなかった。また、これは、アシル化KBP-066A11.03が、非アシル化KBP-066に勝る付加的な薬理学的利益を有することを示している。
【0162】
図9、ベースライン時点及び研究終了時点のHbA1c
期待されるように、雄ZDFラットにおける糖尿病の発症及び処置様式を開始する前のベースライン時点のHbA1cは、ほぼ同じである(
図9A)。
研究終了時点(62日目)において、全ての処置群は、ビヒクル群と比べてHbA1cレベルを優位に低下させていた。興味深いことに、アシル化KBP-066A11.03処置群は、最も低いHbA1c値を有していた。また、それは、全ての非アシル化KBP-066処置群と比べても有意に低く(
図9B)、非アシル化同等体との対比においてアシル化がさらに優位であることを示している。
【0163】
図10、経口糖負荷試験(OGTT)
経口糖負荷試験(OGTT)は処置の8週間後に行った。その結果を
図10Aに示す。
処置によって誘導されたFBGの相違により、個々のOGTT曲線は著しく異なっている。この相違は、計算されたtAUC値において目立っている(
図10B)。全ての処置群は、ビヒクル群と比べて有意に低いtAUCを有している。アシル化KBP-066A11.03処置群は、最も低いtAUC値を有しており、3つの非アシル化KBP-066処置群のうちの2つと比べても有意に低く、残った1群である143nmol/kg KBP-066(
図10B)と比べたときのp値は0.06であった。
結論として、まとめられたデータは、肥満かつ糖尿ZDFラットにおいて、アシル化KBP-066A11.03を3日ごとに皮下投与療法により投与する場合には、非アシル化KBP-066を毎日1回皮下投与する場合に勝る付加的な薬理学的利益を有することを示している。
【0164】
実施例1-6の結果の概要
アシル化部位によるアシル化研究の結果
09位(ペプチドの9位のアシル化)
1アシル化を用いたA09位のアシル化は、in vivo活性の持続的な延長を生じさせ、これは試験をさらに進める価値があった(
図1A-F)。
さらに、2アシル化及び3アシル化を用いたA09位のアシル化は、CTR及びAMYR受容体の両方のEC50を減弱化し、CTRの延長応答を生じさせなかった(表3-4)。
しかし、2アシル化及び3アシル化を用いた位置A09のアシル化は、以前観察されていたコアペプチドのin vivoでの効果延長を妨害し、アシル化KBPの効力をビヒクルと同様にしてしまう。それゆえ、それらは、36nmol/kg化合物を単回皮下注射した後の食物摂取と体重の低下の両方において、非アシル化コアペプチド(
図2A-B)よりも効力が低かった。
したがって、位置A09について、さらに検討することはなかった。
【0165】
A11位(ペプチドの11位のアシル化)
1アシル化を用いたA11位のアシル化は、in vivo活性の持続的な延長を生じさせ、これは試験をさらに進める価値があった(
図1A-F)。
2アシル化及び3アシル化を用いたA11位のアシル化は、CTR及びAMYR受容体の両方について最良のEC50値アッセイ結果が得られ、全てのコアペプチドに亘って最高の延長応答の値(tAUC)を生じさせた(表3-4)。
さらに、A11/3アシル化は、コアペプチドのin vivo活性を、36nmol/kg化合物を単回皮下注射した後の食物摂取の低下(
図2A)と体重の低下(
図2B)の両方において、非アシル化コアペプチドと比べて有意に向上させた。また、A11/3アシル化は、コアペプチドとしてKBP-089を用いた場合の他のいずれのアシル化位置と比べても、食物摂取と体重の低下の点でより優れていた(
図2A-B)。
【0166】
この相違は、3つの投与量の全て(4nmol/kg、12nmol/kg及び36nmol/kg)は、それらに対応するA32/3アシル化ペプチドよりも優れていた用量反応試験において、さらに理解される。効力の点で、最も低用量である4nmol/kgのA11/3は、36nmol/kgのA32/3アシル化ペプチドと同様のプロファイルを有していた。これは、試験を行った全てのコアペプチドについて矛盾なく実証されていた(
図3A-F)。
3アシル化を用いたA11位の効力をさらに調べるために、3アシル化を用いて位置A11をアシル化したKBP-042及びKBP-066を高投与量(300nmol/kg)で試験し、非アシル化体と比較したところ、バイオアベオラビリティの延長と組み合わされたin vivo効果の延長について潜在的な最大効果を示した。(
図4A-D)。
A11位の3アシル化は、KBP-042(
図4A)及びKBP-066(
図4C)の両方について、食物摂取を120時間以上減衰し、^144時間後にビヒクル群における食物消費レベルへ回復した。処置によって媒介された体重減少は、KBP-042(
図4B)及びKBP-066(
図4D)の両方について、96時間後にピークに達し、体重は、^240時間後にベースラインレベルへ回復した。
結論として、A11は、リガンド効力を保存し、in vivo効果の延長を最大化する点で、試験したもののなかで最良の位置であった。
【0167】
A12位(ペプチドの12位のアシル化)
1アシル化を用いたA12位のアシル化は、4時間食物摂取研究において、ビヒクル群と比較して最も悪いin vivoの結果を生じさせた(
図5)。
したがって、A12位は、アシル化するための良い候補ではなく、試験をさらに進めることはなかった。
【0168】
A16位(ペプチドの16位のアシル化)
1アシル化を用いたA16位のアシル化は、in vivo活性の延長を示さなかった(
図1A-F)。
したがって、A16位は、1アシル化を用いる良い候補ではなく、試験をさらに進めることはなかった。
【0169】
A18位(ペプチドの18位のアシル化)
1アシル化を用いたA16位のアシル化は、4-24時間の試験期間に亘り有効であったが、しかし、長期活性研究においては、観察された効果が維持されなかった(KBP-347、48時間、
図1F)。
したがって、A18位は、1アシル化を用いる良い候補ではなく、試験をさらに進めることはなかった。
【0170】
A32位(ペプチドの32位のアシル化)
1アシル化を用いたA32位のアシル化は、食物摂取と体重の低下の両方において、in vivoでの効果の延長を示し、試験したもののなかで最良であった(
図1A-F)。
2アシル化及び3アシル化を用いたA32位のアシル化は、CTR及びAMYR受容体の両方について、A11位と比べてEC50のアッセイ値が劣っている結果が得られた。
A32位のアシル化は、A11位と比べて、CTRが媒介する応答の延長を僅かに減衰したが、それでもなお応答の延長を維持していた(表3-4)。
A32位のアシル化は、試験した全てのコアペプチドについて、対応する非アシル化体に比べて、単回皮下投与によるin vivo効果を向上させた。
しかし、この位置は、等量投与でのin vivo研究の実施中に試験した全ての2アシル化及び3アシル化において、A11よりも劣っていた(
図2A-B、
図3A-F)。
結論として、A32は、1、2及び3アシル化を用いてリガンド効力を保存し、in vivo効果を向上させる観点において、A11位と比べて、良くも悪くもない位置であった。
【0171】
さらなるアシル化研究(実施例7-12)
実施例7:β-アレスチン及びチオフラビンTアッセイ
追加的なPathHunter β-アレスチンGPCRアッセイを、実施例2に関連して記載したのと同じ手順を用いて実施した。独立したバイオアッセイにおいて、 CTR及びAMY-R細胞を、表4.1-表4.4に特定される漸増用量のKBP(1μM-0.1nMの範囲、及びビヒクル)を用いて、表示される時点に処理した。
【0172】
チオフラビンTアッセイも行った。チオフラビンT(ThT)は、アミロイド繊維を検出するために広く用いられている染料である。繊維の存在下で、ThTは、450nmにおける最大励起と、480nmにおける増強発光を有するのに対し、ThTはアミロイド繊維と結合しないと、これらの波長において本質的に非蛍光性である。
したがって、蛍光プレートリーダと組み合わせたThTは、アミロイド繊維存在について多数のin vitroサンプルをスクリーニングするための理想的なツールである。
KBPに用いられるThTアッセイは、インスリン繊維形成を測定するためにNielsenらによって記述された手順(Nielsen L, Khurana R, Coats A, Frokjaer S, Brange J, Vyas S, et al. Effect of environmental factors on the kinetics of insulin fibril formation: elucidation of the molecular mechanism. Biochemistry. 2001; 40(20): 6036-46.1)を改変したものである。
【0173】
繊維形成スクリーニングアッセイは、384ウェルプレート(Greiner Bio-One、784080)で、最終容量を20μLとした同じサンプルを3つ用いて行った。アッセイの過程でサンプル蒸発を防止するために、光学粘着フィルムを用いてプレートを封止した。
プレートを、SoftMax Pro 7.0.2 ソフトウエア、及び、温度37℃、励起波長450nm及び発光波長480℃に設定したテンプレートを組み込んだSpectraMaxなどの蛍光プレートリーダに格納する。
プレートリーダは、10分おきに24時間測定し、最初の読み取り前に5秒間のプレート振動、及び、他の全ての読み取り前に35秒間のプレート振動を行う。代替として、プレートを、以下のインキュベーション時間経過後に読み取る;0時間、1時間、2時間、4時間及び24時間。
【0174】
相対的蛍光ユニット(RFU)を時間の関数としてプロットする。繊維形成は、Nielsenらによって記述されているように、ベースラインを超えるRFUの増加として決定される。
本明細書においては、ペプチド繊維形成能力を反映する単一の出力を得るために、18h蛍光シグナルに基づいて、4つの繊維形成階層が定義されている:
無し= <1000RFU、低= 1000-3000RFU、中= 3000-10000、高= >10000
チオフラビンTアッセイの結果を、表4.1から表4.4にも示す。
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
結果 - アシル化長
アシル化長の関数としてみたin vitro効力の点では、アシル化長とin vitro効力の間に、明らかな相関がみられた。最も短かいアシル化である、11(C14二価酸)及び6(C16二価酸)によって、CTR及びAMYR受容体の両方において最も低いEC50値となった(表4.1)のに対し、最も長いアシル化である、9(C24二価酸)及び10(C26二価酸)は、両方の受容体において、いくつかの最高のEC50値を記録した。
KBP-066主鎖を用いたこの系で試験したアシル化ペプチドは、いずれも、繊維形成の問題を生じなかった。
【0181】
結果 - KBP-066主鎖上のアシル化位置
この系におけるCTR及びAMYR受容体のEC50値は、表4.2に列挙している。
KBP-066主鎖上のアシル化位置の関数としてみたin vitro効力の点では、3つの位置が、カルシトニン及びアミリン受容体デュアルアゴニスト能力を有するものとして突出している。A11、A19及びA24は全て、両方の受容体のEC50値が5x10
-9Mの範囲内であって無比のものであるのに対し、その他の試験した位置は、それとの比較において充分な能力を有してなかった。A11、A19及びA24における効力の増加は、KBP-066主鎖についてのin vivo効果の改善につながることが明白である(本明細書に添付した
図15、17及び18を参照)。興味深いことに、A09はこのなかで最も良好なCTRアゴニストであるものの、AMYR活性には乏しいが、これは、N-末端に近い位置のアシル化されるとAMYR活性が妨害され、偏ったリガンドが形成されることを示唆している。
無比のペプチド(KBP-066A16.03(387))がThTアッセイにおいて“低”スコアを与えたが、KBP-066主鎖のほとんどの位置について、繊維形成は、明白には出現しなかった。
【0182】
結果 - KBP-021主鎖上のアシル化位置
この系におけるCTR及びAMYR受容体のEC50値は、表4.3に列挙している。
KBP-021主鎖上のアシル化位置の関数としてみたin vitro効力の点では、2つの位置が、デュアルアゴニスト能力を有するものとして突出している。A11及びA19は両方とも、両方の受容体のEC50値が5x10
-9Mの範囲内であって無比のものであるのに対し、その他の試験した位置は、それとの比較において充分な能力を有してなかった。A11及びA19における効力の増加も、KBP-021主鎖についてのin vivo効果の改善につながることが明白である(本明細書に添付した
図16を参照)。
興味深いことに、繊維形成は、KBP-021主鎖について明白に出現したが、試験されたペプチドの中で無比であるA19は、ThTアッセイにおいて “高”スコアを与えたにもかかわらず、in vitro及びin vivoの両方において良好な効力を与えた。その隣の位置である18位も、ThTアッセイにおいて高めの “中”スコアを与えたことから、KBP-021主鎖は、主鎖のこの領域がアシル化されると、繊維形成の影響を受けやすいことを示唆している。
さらに、A11位上の4アシル化及び5アシル化はThTアッセイにおいて“低”スコアと評点されたが、この問題は、有利なA11位のアシル化には影響しなかったことから、鎖長がさらに長いアシル化も、この主鎖KBP-021について明白に繊維形成を出現させた。
【0183】
結果 - アシル化連結基
この系におけるCTR及びAMYRのEC50値は、表4.4に列挙している。KBP-066主鎖上のアシル化位置の関数としてみたin vitro効力の点では、OEG-OEG-γGLU連結基(356)は、OEG-OEG-OEG-γGLU(385)、及び、OEG-γGLU(384)と比べて、CTRにおけるEC50がほぼ10倍であったが、しかしながら、AMYRにおける全ての連結基のEC50が5×10-9Mの範囲であり、極めて近似していた。
繊維形成の点では、最も短い連結基であるOEG-γGLU(384)はThTアッセイにおいて“低”スコアとなったのに対し、他の2つの連結基は“無し”スコアとなった。
【0184】
実施例8:(
図11)
高脂肪食を実験前8週間給餌した20週齢の高齢SDラットを用いた急速的条件設定における食物摂取及び体重についての、位置及び主鎖が同じである幾つかアシル化変異体(3、4、5、6、9、10、11)、すなわち位置及び主鎖がそれぞれA11及びKBP-066であるものの単回投与による効果の比較
【0185】
【0186】
ラットを試験の4日前に1匹ずつケージに入れた。ラットを、体重によって無作為化して8つの群(ビヒクル(0.9%NaCl)、KBP(用量:3nmol/kg(^10-11μg/kg))に分けた。それらを一晩、絶食させてから、ペプチド又はビヒクルを、午前中に皮下投与を用いて、単回投与により処置した。食物摂取を以下の間隔(0-4時間、4-24時間、24-48時間、48-72時間及び72-96時間)でモニターした。体重を、ベースラインの時点、及び、皮下注射後4時間、24時間、48時間、72時間及び96時間の時点で測定した。
【0187】
図11の結果 - 食物摂取及び体重
アシル化6、10、11は、食物摂取及び体重を減衰させることが可能であり、24時間時点で抑制がピークに達し、その後、ビヒクルレベルに回復した。アシル化9は、食物摂取及び体重を減衰させることが可能であり、48時間時点で抑制がピークに達し、その後、ビヒクルレベルに回復した。アシル化3は、食物摂取及び体重を減衰させることが可能であり、72時間時点で抑制がピークに達し、その後、ビヒクルレベルに回復した。アシル化4及び5は、食物摂取及び体重を減衰させることが可能であり、96時間時点で抑制がピークに達し、その後、回復した。
そのため、げっ歯類における3日間ごとの投与は、ヒトにおける1週間に1回投与につながるところ、当初の目標は、食物摂取及び体重を少なくとも72時間抑制することであったから、アシル化3、4及び5は、アシル化長について優良な候補である。
【0188】
実施例9(
図12、13及び14)
急速試験の結果によれば最良の能力を示すもの、すなわちアシル化変異体(3、4、5)について、さらに研究を進め、同じ位置及び主鎖、すなわちA11及びKBP-066を用いたアシル化による効果を比較するために、繰り返し投与を用いる研究を行った。食物摂取及び体重を、高脂肪食を研究開始前8週間給餌した20週齢のSDラットにおける長期的条件設定(5週間研究)を行うことにより調べた。
【0189】
【0190】
ラットを2匹ずつケージに入れ、体重によって無作為化して処置群(ビヒクル(0.9%NaCl)、KBP(用量:3nmol/kg(^14μg/kg))に分けた。食物摂取及び体重を、35日間、毎日モニターした。研究終了時に、OGTTを実施し、その後、殺処分して脂肪組織の採取及び重量測定を実施した。
【0191】
高脂肪食を与えた雄SDラットの長期処置
ラットを、Nordic Bioscienceの動物施設へ、12週齢の時点で配達し、直ちに高脂肪食に切り替え、追加的に8週間、給餌した。研究開始前、ラットを体重により無作為化した。研究は第1日目に開始した。
【0192】
投与濃度及び頻度
動物に、KBPを3日目ごとに投与した。投与は、毎回正午前後に皮下経路(SC)で行った。化合物を生理食塩水に溶解し、-20℃で保管した。小分けしたものを投与直前に解凍した。
生理食塩水:投与容量は1mL/kgとした。
KBP:投与容量は1mL/kgとし、投与濃度は4nmol/kgとした。
投与等量は、μg/kg表示で^14μg/kgであった。処置群ごとの1週間の総投与量:4nmol/kg KBPは、28nmol/kg/週、又は、^100μg/kg/週
【0193】
試験結果のまとめ
1日目:(研究の第1日)投与を行った。
1-35日目:食物摂取及び体重の毎日測定
35日目:体重の研究終了時点
35日目:経口糖負荷試験
35日目:殺処分+脂肪組織の重量測定
【0194】
経口糖負荷試験
糖負荷試験(OGTT)は処置の5週間後に行った。前日からの体重を用いて、グルコース投与量を計算した。動物は11時間絶食させた。-30分時点(以下の図表を参照)よりもおよそ45分前に加熱した。動物には、OGTTの1日前に、KBP又はビヒクルを投与した。
【0195】
【0196】
白色脂肪組織(WAT)の重量測定
精巣上体全体及び腎周囲のWAT蓄積を切り取って、重量を測定した。鼠径部WATについては、特定された解剖学的に限定された領域(a fixed anatomical limited area)を切り取って、重量を測定した。
【0197】
図12の結果、食物摂取及び体重
図12は、長期研究の期間中に亘る処置の関数としての食物摂取及び体重の変化を示す。
図12Aは、アシル化3、4及び5の食物摂取の動態を示しており、一方、
図12Bは、アシル化3、4及び5によって媒介された体重減少を示す。
【0198】
図13の結果、OGTT及び脂肪組織
図13は、OGTTから得られた結果を、それに対応するiAUC(OGTT)(
図A+B)とともに示し、さらに、3つの異なる脂肪組織、すなわち精巣上体、鼠径部及び腎周囲の重量(
図13C-E)、及び、研究終了時の体重(
図13F)を示す。アシル化3を用いた処置は、iAUC(OGTT)、精巣上体WATの大きさ、腎周囲WATの大きさ、及び、体重の有意な低下を引き起こした。アシル化4及びアシル化5を用いた処置は、iAUC(OGTT)、精巣上体WATの大きさ、及び、体重の有意な低下を引き起こしたが、腎周囲WATの大きさについては引き起こさなかった。いずれの処置も、鼠径部WATの大きさを優位に低下させなかった。アシル化3は、アシル化4/5と比較すると、ビヒクルに対してわずかに良好であったが、しかしながら、処置群の間に有意差はなかった。
【0199】
図14の結果、競合的I-125 sCTリガンド結合
アシル化4及びアシル化5の急速的条件設定における効果の向上を、ヒトに適用できるか否か調べるために、競合的リガンド結合アッセイを行って、げっ歯類と人の血清アルブミンに対するアシル化体の結合を探求した。
図14は、げっ歯類由来2%血清アルブミン(RSA)中(
図4A)、又は、ヒト由来2%血清アルブミン(HSA)中(
図4B)での、KBP-066A11.03及びKBP-066A11.05と、放射性標識I-125 サケカルシトニン(NEX423、Perkin Elmer)との競合的結合を示す。アッセイを2%HSA中で行った場合には、EC
50について、アシル化3とアシル化5の間に差は生じなかった。しかし、アッセイを2%RSA中で行った場合には、5アシル化は、IC50をさらに右側にシフトさせたことから、アッセイにおいてはRSAに対してより親和性が強いことが示唆される。そのため、急速的条件設定において観察される効果の向上は、げっ歯類に対して特有の現象であるし、ヒトには適用できないと強く推測される。
【0200】
実施例10(
図15)
20週齢の高脂肪食SDラットにおける食物摂取及び体重についての、異なる位置の3アシル化変異体(9位“A09”、11位“A11”、12位“A12”、16位“A16”、18位“A18”、19位“A19”及び32位“A32”)の単回投与による効果の相互比較
【0201】
【0202】
ラットを、試験前の4日間、1匹ずつケージに入れた。ラットを体重によって無作為化して、8つの群(ビヒクル(0.9%NaCl)、KBP(用量:4nmol/kg(^10-11μg/kg))に分けた。それらを一晩絶食させてから、ペプチド又はビヒクルを、午前中に皮下投与を用いて、単回投与により処置した。食物摂取を、以下の間隔(0-4時間、4-24時間、24-48時間、48-72時間、72-96時間)でモニターした。体重を、ベースラインの時点、及び、皮下注射後4時間、24時間、48時間、72時間及び96時間の時点で測定した。2つの主鎖、すなわち、KBP-066及びKBP-021について試験した。
【0203】
図15の結果 - 食物摂取及び体重
主鎖上の位置に関して、KBP-066の結果は以下のとおりである。急速的条件設定の4nmol/kgにおいて(
図5)、A11位及びA19位は、72時間の食物摂取、及び、96時間の体重の両方を抑制する点で、2つの最良な位置であった。3番目に良好な位置は、A24であり、A18及びA16が次に続いた。アシル化する位置として最も効力が低い位置はA12であり、この位置は、食物摂取及び体重の両方へのDACRAが介在する効果と少々妨害しあうことから、アシル化するためには不利であると考えられる。
これらのデータに基づくと、A11及びA19は、KBP-066の主鎖をアシル化するために好ましい位置である。
【0204】
図16の結果 - 食物摂取及び体重
異なる主鎖であるKBP-021を、KBP-066の実験条件と同じ実験条件として用いる場合には、位置のパターンが少々異なっていた。
【0205】
【0206】
急速的条件設定の3nmol/kgにおいて(
図6)、A11位及びA19位は、
KBP-066主鎖について観察されたような72時間の食物摂取、及び、96時間の体重の両方を抑制する点で、はるかに最良な2つの位置であった。3番目に良好な位置はA18であったが、A11位及びA19位と比べて、はるかに劣っていた。24位はビヒクルよりも良好であったが、KBP-066主鎖について観察された程度には到底及ばない。A16位、A12位及びA09位は、いずれも食物摂取及び体重の両方に対してビヒクルと区別できず、ペプチド活性を損なっていたことから、それらの位置のアシル化は不利であることを示唆する。
しかし、in vitro特性の表4.3は、A19及びA18は、KBP-021と組み合わせると、繊維形成の点で大きな問題があり、このことから、KBP-021主鎖については、A11がアシル化するための好ましい位置となる。
【0207】
実施例11(
図17及び
図18)
急速試験の結果によれば最良の能力を示すもの、すなわちアシル化位置(A11及びA19)について、さらに研究を進め、同じアシル化及び主鎖、すなわち3アシル化及びKBP-066をそれぞれ用いたアシル化による効果を比較するために、繰り返し投与を用いる研究を行った。
食物摂取及び体重を、高脂肪食を研究開始前8週間給餌した20週齢の高齢SDラットにおける長期的条件設定(5週間研究)を行うことにより調べた。
【0208】
【0209】
実施例9において説明した実験手順を踏襲した。簡単に説明すると、ラットを2匹ずつケージに入れ、体重によって無作為化して処置群(ビヒクル(0.9%NaCl)、KBP(用量:4nmol/kg(^14μg/kg))に分けた。食物摂取及び体重を、35日間、毎日モニターした。研究終了時に、OGTTを実施し、その後、殺処分して脂肪組織の採取及び重量測定を実施した。
【0210】
図17の結果 - 長期的条件設定におけるA11及びA19についての食物摂取及び体重の比較
図17は、長期研究の期間中に亘る処置の関数としての食物摂取の変化(
図17A)及び体重の変化(
図17B)を示す。A11及びA19はいずれも、処置5週間後に、食物摂取を同様の様式で抑制し、体重を優位に低下させた。しかし、体重への効果の点で、A11位とA19位の間に有意差はなかった。
【0211】
図18の結果 - OGTT及び脂肪組織の
図18は、OGTTから得られた結果を、それに対応するiAUC(OGTT)(
図A+B)とともに示し、さらに、3つの異なる脂肪組織、すなわち精巣上体、鼠径部及び腎周囲の重量(
図18C-E)、及び、研究終了時の体重(
図18F)を示す。実験においてA11を用いた処置は、iAUC(OGTT)、精巣上体WATの大きさ、腎周囲WATの大きさ、及び、体重の有意な低下を引き起こした。実験においてA19を用いた処置は、iAUC(OGTT)、精巣上体WATの大きさ、及び、体重の有意な低下を引き起こしたが、腎周囲WATの大きさについては引き起こさなかった。いずれの処置も、鼠径部WATの大きさを優位に低下させなかった。A11は、A19と比較すると、ビヒクルに対してわずかに良好であったが、しかしながら、処置群の間に有意差はなかった。
【0212】
実施例12(
図19)
高脂肪食を実験前8週間給餌した20週齢の高齢SDラットを用いた急速的条件設定における食物摂取及び体重についての、位置及び主鎖が同じである3つのアシル化連結基変異体(3、7及び8)、すなわち位置及び主鎖がそれぞれA11及びKBP-066であるものの単回投与による効果の比較
【0213】
【0214】
ラットを、試験前の4日間、1匹ずつケージに入れた。ラットを体重によって無作為化して、8つの群(ビヒクル(0.9%NaCl)、KBP(用量:4nmol/kg(^13-14μg/kg))に分けた。それらを一晩絶食させてから、ペプチド又はビヒクルを、午前中に皮下投与を用いて、単回投与により処置した。食物摂取を、以下の間隔(0-4時間、4-24時間、24-48時間、48-72時間、72-96時間)でモニターした。体重を、ベースラインの時点、及び、皮下注射後4時間、24時間、48時間、72時間及び96時間の時点で測定した。
【0215】
図19の結果 - 食物摂取及び体重
試験した3つの連結基は全て、急速的条件設定において良好であり、全ての連結基において、食物摂取を回復前の72時間まで減衰させた(
図19A)。アシル化3は、96時間後に、アシル化7及びアシル化8よりも、わずかに良好であった。これは、対応する体重減少(
図19B)から明白であり、アシル化3は早期(24時間)にアシル化7及び8と識別され、その後の72時間及び96時間の時点において識別され続けた。
【0216】
実施例7-12の結果の概要
図11-14及び表4.1から収集したデータは、C18二価酸からC22二価酸の範囲であるアシル化3、4及び5が、ヒトにおける1週間に1回投与療法のためのアシル化ペプチドを開発するに際し、代替性があることを示唆している。
それゆえ、C18、C20及びC22二価酸は、本発明にとって好ましいアシル化の長さである。
【0217】
アシル化位置
図15、
図17及び
図18から収集したデータは、A19が、急速的条件設定において、やや有利かもしれないのに対し、A11が、KBP-066主鎖と3アシル化を用いる長期的条件設定において、やや有利であることを示している。
A11及びA19は、いずれもKBP-066主鎖と組み合わせたときに、繊維形成の問題を生じなかった(表4.2)。
総合すると、これらのデータは、A11位及びA19位のアシル化は、KBP-066主鎖と組み合わせると、ヒトにおける1週間に1回投与療法を開発するためにアシル化するための、2つの最良の万能な位置であることを示唆している。
それゆえ、A11及びA19は、KBP-066をアシル化するための好ましい位置である。
同様に、表4.3及び
図16に基づいて、A11及びA19は、KBP-021と組み合わせたときに、2つの最良のアシル化位置であることが明白である。
しかし、A19は、この条件設定において極めて繊維形成しやすいことから、総合的な性能に基づくと、3アシル化したA11が、KBP-021にとって好ましいアシル化の位置及び長さである。
【0218】
アシル化連結基
この試験及び表4.4に基づくと、連結基が短くなると繊維形成の問題が起きる可能性があり、連結基が長くなっても良いことがないことから、OEG-OEG-γGLU連結基が、最適な連結基である。さらに
図19が示すように、OEG-OEG-γGLU連結基は、急速的条件設定のin vivoにおいて最良の能力を示すものでもあることから、総合的に好ましいアシル化連結基となる。
【0219】
本明細書において、別途明示的に示されない限り、「又は」という語は、条件のうちの1つのみが満たされることを必要とする操作語 「排他的な又は」とは対照的に、記載される条件のいずれか又は両方が満たされる場合に真値を返す操作語の意味で使用される。
「含む(comprising)」という語は、「~からなる(consisting of)」を意味するのではなく、「含む(including)」の意味で使用される。
上記で認められた全ての先行する教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
前記カルシトニン模倣体は、コーティングされたクエン酸粒子を含む経口投与用医薬組成物に製剤化されており、当該コーティングされたクエン酸粒子はカルシトニン模倣体の経口バイオアベイラビリティを増加させる、請求項13に記載のカルシトニン模倣体。
糖尿病(I型及び/又はII型)、体重過多、過剰な摂食、メタボリック症候群、関節リウマチ、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、骨粗鬆症、若しくは変形性関節症、血糖値の調節不良、糖負荷試験に対する反応の調節不良、又は食物摂取の調節不良の治療に使用するための請求項1乃至12のいずれか一項に記載のカルシトニン模倣体。
糖尿病(I型及び/又はII型)、体重過多、過剰な摂食、メタボリック症候群、関節リウマチ、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患、アルコール性脂肪性肝疾患、骨粗鬆症、若しくは変形性関節症、血糖値の調節不良、糖負荷試験に対する反応の調節不良、又は食物摂取の調節不良の治療に使用するために、メトホルミンまたは別のインスリン抵抗性改善薬と組み合わされた、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のカルシトニン模倣体。