IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マージン−クリア ピーティーワイ リミテッドの特許一覧

特開2025-24054局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法
<>
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図1
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図2
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図3
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図4
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図5
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図6
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図7
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図8
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図9
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図10
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図11
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図12
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図13
  • 特開-局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024054
(43)【公開日】2025-02-19
(54)【発明の名称】局所小線源療法装置及び悪性がん細胞の治療の方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 51/04 20060101AFI20250212BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20250212BHJP
   A61L 15/20 20060101ALI20250212BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20250212BHJP
   A61L 15/54 20060101ALI20250212BHJP
   A61L 15/64 20060101ALI20250212BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250212BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
A61K51/04 100
A61P7/04
A61L15/20 100
A61L15/44 100
A61L15/54 100
A61L15/64 100
A61P35/00
A61N5/10 U
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024196455
(22)【出願日】2024-11-11
(62)【分割の表示】P 2020570601の分割
【原出願日】2019-03-07
(31)【優先権主張番号】2018900745
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】520342297
【氏名又は名称】マージン-クリア ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】バーネット, デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】クロー, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ニクファルヤム, メルダッド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】身体における創傷部位に対する適用のための可撓性小線源療法装置、および装置の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の放射性同位元素粒子3を含み、反対の第1の表面及び第2の表面を有する、生体再吸収性担体マトリックス構造2を含む、可撓性小線源療法装置1。生体再吸収性担体マトリックス構造は、創傷部位で埋め込まれる際に、複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも実質的に長い速度で分解する。生体再吸収性担体マトリックス構造の第1の表面に隣接して位置する親水性基質4は、創傷部位で埋め込まれる際に、複数の放射性同位元素粒子の半減期中の装置の移動を防止するように、生体再吸収性担体マトリックス構造よりも短い速度で分解する。生体再吸収性担体マトリックス構造の第2の表面に隣接して位置するハイドロゲル基質5は、放射能を遮蔽し、複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも長い速度で分解する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体における創傷部位に対する適用のための可撓性小線源療法装置であって、前記装置が、
複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックス構造であって、前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、前記複数の放射性同位元素粒子からの活性が前記創傷部位に局在化されるように、前記創傷部位で埋め込まれる際に、前記複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも実質的に長い速度で分解するように構成され、前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、反対の第1の表面及び第2の表面を有する、前記生体再吸収性担体マトリックス構造と、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の前記第1の表面に隣接して位置する親水性基質であって、前記親水性基質が、前記創傷部位に接着し、前記創傷部位で埋め込まれる際に、前記親水性基質が、前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期中の前記装置の移動を防止するように、前記生体再吸収性担体マトリックス構造よりも短い速度で分解するように構成される、前記親水性基質と、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の前記第2の表面に隣接して位置するハイドロゲル基質であって、前記ハイドロゲル基質が、放射能を遮蔽するように、かつ前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期よりも長い速度で分解するように構成される、前記ハイドロゲル基質と、を含む、前記可撓性小線源療法装置。
【請求項2】
前記生体再吸収性担体マトリックスが、
放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させることによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生体再吸収性担体マトリックスが、
前記放射性同位元素を沈殿させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによって形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記疎水性物質が、親水性表面を含む、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記水溶液が、放射性イオンを含む、請求項2、3、または4に記載の装置。
【請求項6】
前記放射性イオンが、以下の化合物、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二カリウム、オルトリン酸、またはピロリン酸四ナトリウム、またはヨウ化物を含有する可溶性化合物のうちの1つ以上に由来する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、酵素プロセスにより分解可能な材料(複数可)で構成される、先行請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、ピロホスファターゼにより分解可能な材料(複数可)で構成される、先行請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
放射性同位元素の水溶液をアモルファスまたは半結晶性の疎水性物質に吸着または分散させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造を提供することにより形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記アモルファスまたは半結晶性の疎水性物質が、親水性表面を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の放射性同位元素粒子が、リン酸カルシウムの複合分子における元素である、先行請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記リン酸カルシウムの複合分子が、ピロリン酸カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、リン酸四カルシウムのうちの1つ以上を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
沈殿剤がカルシウムイオンの水溶液を含む、請求項4~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記沈殿剤が、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸カルシウムまたは臭化カルシウムのうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記生体再吸収性担体マトリックスが、性質上、アモルファスまたは半結晶性である、請求項2~14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記生体再吸収性担体マトリックスが、前記装置の分解速度が、前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期に基づき、結晶化度の改変を通じるように、部分的に半結晶性である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記ハイドロゲル基質がクエン酸で架橋され、クエン酸の百分率が、前記ハイドロゲル基質が分解して構造的完全性及び遮蔽能力を維持する速度を特定するように選択される、先行請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記百分率が、2.5%~10%である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記クエン酸架橋が、酸化チタンによって触媒される、請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
前記ハイドロゲル基質の表面に隣接して位置する不活性接着剤層をさらに含み、前記不活性接着剤層が前記創傷部位に接着するように構成される、先行請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記不活性接着剤層に隣接して位置する取り外し可能なフィルムをさらに含み、前記取り外し可能なフィルムが、前記不活性接着剤層の表面を前記創傷部位に曝露させるために前記不活性接着剤層から取り外し可能である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
身体における創傷部位に対する適用のための可撓性小線源療法装置を製造する方法であって、前記方法が、
複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックス構造を形成することであって、前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、前記複数の放射性同位元素粒子からの活性が前記創傷部位に局在化されるように、前記放射性同位元素粒子の半減期よりも実質的に長い速度で分解するように構成され、前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、反対の第1の表面及び第2の表面を有する、前記形成することと、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の前記第1の表面に隣接する親水性基質を形成することであって、前記親水性基質が、前記創傷部位に接着し、前記創傷部位で埋め込まれる際に、前記親水性基質が、前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期中の前記装置の移動を防止するように、前記生体再吸収性担体マトリックス構造よりも短い速度で分解するように構成される、前記形成することと、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の前記第2の表面に隣接するハイドロゲル基質を形成することであって、前記ハイドロゲル基質が、放射能を遮蔽するように、かつ前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期よりも長い速度で分解するように構成される、前記形成することと、を含む、前記方法。
【請求項23】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させることによって形成される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
前記放射性同位元素を沈殿させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによって形成される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記疎水性物質が、親水性表面を含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記水溶液が、放射性イオンを含む、請求項22~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
放射性同位元素の水溶液をアモルファスまたは半結晶性の疎水性物質に吸着または分散させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造を提供することにより形成される、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記アモルファスまたは半結晶性の疎水性物質が、親水性表面を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックス構造であって、前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造を生成することによって形成される、前記生体再吸収性担体マトリックス構造。
【請求項30】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
前記放射性同位元素を沈殿させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによって形成される、請求項29に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
【請求項31】
前記疎水性物質が、親水性表面を含む、請求項29または30に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
【請求項32】
前記水溶液が、放射性イオンを含む、請求項29、30、または31に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
【請求項33】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
放射性同位元素の水溶液をアモルファスまたは半結晶性の疎水性物質に吸着または分散させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造を提供することにより形成される、請求項25に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
【請求項34】
前記アモルファスまたは半結晶性の疎水性物質が、親水性表面を含む、請求項33に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
【請求項35】
前記生体再吸収性担体マトリックスが、性質上、アモルファスまたは半結晶性である、請求項29~34のいずれか1項に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
【請求項36】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、創傷部位で埋め込まれる際に、前記複数の不溶性放射性同位元素粒子からの活性が前記創傷部位に局在化されるように、前記複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも実質的に長い速度で分解するように構成される、請求項29~35のいずれか1項に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
【請求項37】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、創傷部位に対する適用のための小線源療法装置において使用されるように構成され、前記装置が、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の第1の表面に隣接して位置する親水性基質であって、前記親水性基質が、前記創傷部位に接着し、前記創傷部位で埋め込まれる際に、前記親水性基質が、前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期中の前記装置の移動を防止するように、前記生体再吸収性担体マトリックス構造よりも短い速度で分解するように構成される、前記親水性基質を含む、請求項29~36のいずれか1項に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
【請求項38】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、創傷部位に対する適用のための小線源療法装置において使用されるように構成され、前記装置が、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の第2の表面に隣接して位置するハイドロゲル基質であって、前記ハイドロゲル基質が、放射能を遮蔽するように、かつ前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期よりも長い速度で分解するように構成される、前記ハイドロゲル基質を含む、請求項29~36のいずれか1項に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
【請求項39】
複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックスを製造するための方法であって、前記方法が、
放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させることを含む、前記方法。
【請求項40】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
前記放射性同位元素を沈殿させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによって形成される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記疎水性物質が、親水性表面を含む、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
前記水溶液が、放射性イオンを含む、請求項39~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
身体における創傷部位に対する小線源療法装置の適用のためのアプリケータ装置であって、前記アプリケータ装置が、
小線源療法装置を受容するための凹部を有する上部ハウジングと、
前記上部ハウジングに取り付けられた取り外し可能な基部であって、取り付けられた際に、前記取り外し可能な基部及び上部ハウジングが、前記小線源療法装置からの放射線を遮蔽する、前記取り外し可能な基部と、を含み、
前記取り外し可能な基部が、前記小線源療法装置の第1の表面を創傷部位に曝露させるために前記上部ハウジングから取り外し可能である、前記アプリケータ装置。
【請求項44】
前記取り外し可能な基部が、前記上部ハウジングに摺動可能に取り付けられ、前記上部ハウジングから摺動可能に取り外し可能である、請求項43に記載のアプリケータ装置。
【請求項45】
前記上部ハウジングが、前記凹部における前記小線源療法装置への入口ポートを通じた流体の導入を可能にするための、前記凹部に流体的に接続された前記入口ポートをさらに含む、請求項43または44に記載のアプリケータ装置。
【請求項46】
前記上部ハウジング及び前記取り外し可能な基部を追加的に固定するための可溶性接着剤をさらに含み、前記可溶性接着剤が、前記取り外し可能な基部が前記上部ハウジングから摺動可能に取り外されることを可能にするための前記凹部へ導入された液体によって、溶解可能である、請求項43、44、または45に記載のアプリケータ装置。
【請求項47】
前記上部ハウジングが、ベータ放射線を遮蔽するための透明、半透明、または半透明である材料を含む、請求項43~46のいずれか1項に記載のアプリケータ装置。
【請求項48】
前記上部ハウジングが、アクリレートポリマーから形成される、請求項47に記載のアプリケータ装置。
【請求項49】
前記創傷部位への前記アプリケータ装置及び小線源療法装置の設置を支援するために、前記上部ハウジングでハンドルをさらに含む、請求項43~48のいずれか1項に記載のアプリケータ装置。
【請求項50】
小線源療法システムであって、
請求項43~48のいずれか1項に記載のアプリケータ装置と、
請求項1~21のいずれか1項に記載の小線源療法装置と、を含み、
前記ハイドロゲル基質が、前記アプリケータ装置の前記入口ポートによって平衡水分含有量で水和される、前記小線源療法システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2018年3月7日に出願された豪州仮特許出願第2018900745号の優先権を主張するものであり、その内容のすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、身体における創傷部位に対する適用のための可撓性小線源療法装置に関する。いくつかの例では、装置は、身体のがんを治療するために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
がんは、複数の身体器官に影響を与え、世界中の多数の人々に影響する細胞の疾患である。身体における細胞の増殖を調節するための通常の機構が妨害される際に、細胞は、制御されない様式で増殖することを開始できる。身体における通常の細胞が異常な増殖パターンを発達させることを開始する際に、がんは、発達し、細胞死を含む通常の細胞周期を経ない。制御されない急速な増殖、及び異常な細胞による通常組織の浸潤は、悪性がんの定義である。がん細胞は転移を経ることができ、それによって、がん細胞は、それらの一時部位から脱離し、それらが新しい腫瘍沈着を増殖させることを開始する身体の他の部分に移動する。
【0004】
がんに対する治療は、外科手術、化学療法、及び放射線療法またはそれらの組み合わせを含むことができる。外科手術は、通常、がんが器官に局在化するように見える場合に、ほとんどのがんに対する選択の治療であり、腫瘍が外科的手段により除去可能かどうか決定するための患者の初期精密検査である。いくつかのがんは、結腸直腸、黒色腫、及び神経内分泌腫瘍のような、転移性沈着の外科的切除を受けられる。
【0005】
がん性腫瘍の外科的除去では、悪性細胞すべてを完全に除去または破壊することが重要である。がんの外科的除去は、疾患全体が切除されることを確実にするようがんの周囲の通常組織のマージンを含む、腫瘍(tumour)または腫瘍(tumours)を切り抜くことを伴う。このことは、一次腫瘍が拡大できるリンパ節の除去を含む。一般に、除去された組織の切除マージンの病理学的検査は、腫瘍が完全に除去されていることを確実にするための外科手術時に採用される。
【0006】
主要ながん外科手術の最も恐れられる合併症のうちの1つは、不完全な切除、または切除マージンでの顕微鏡的腫瘍細胞の存在である。かかる発生の可能性は、腫瘍細胞を特定するための免疫組織化学の機能なしでは大幅に低下した精度を有する、凍結切片組織診断によって低下するが排除はされない。第2に、多くのがんは、リンパ管に沿って浸潤するか、または外科手術時に検出することが不可能である神経周囲リンパ管をたどる。
【0007】
腫瘍細胞は、個々の患者において安全に切除または再構築され得ない重要な構造中に侵入しているため、がん外科手術中に取り残され得る。多くの場合、インデックス操作は、患者の生理機能に対する物理的及び代謝的な侵襲であり、再手術やさらなる切除はまったく可能でない。これらの場合、陽性マージンを有する個々の患者の生存率は、クリアなマージンを有する同等の患者から大幅かつ顕著に低下する。
【0008】
近接または陽性マージンを管理する現在のプロセスは、手術床への補助放射線療法を伴うか、または伴わない化学療法である。この治療は、多くの場合、局所再発を防止するのに無効であり、高い毒性がある。腫瘍細胞によって達成される放射線の線量は、腸のような放射線感受性のある周囲の構造の存在、及び化学療法の開始前に再構築された構造(吻合のような)が治癒するのを待つ必要のため、極度に限定される。
【0009】
このことは、腫瘍制御のための手術床への無効な放射線量、及び化学療法が開始される前の、多くの場合最大8~10週間の遅延を生じる。この時において、大規模外科手術の免疫学的/炎症性侵襲は腫瘍細胞と戦う身体の能力を減少させ、陽性マージンでの細胞は治療されないままにされ、多くの場合、局所再発を生じ、次いで全身に転移し得る。
【0010】
最近、手術不能な腫瘍を管理するための高線量率小線源療法装置の有用性が、ますます認識されている。動脈内注射されたベータ放出粒子から考案された放射性同位元素は、手術不能な肝腫瘍を管理する潜在能力を示しており、シリカ希釈液に懸濁されたベータ放射体は、体腔または組織中に挿入された特別なアプリケータを通じた操作不能な膵腫瘍中への注射または直接配置することのための早期の潜在能力を示している。しかしながら、現在のところ、術後に陽性マージンの患者へのリスクの日常的管理のための好適な装置はなく、先行技術に基づく現在の装置は日常的な外科的補助として有用ではない。かかる日常的外科的装置の作成に対する障壁は、高コスト、中程度の可撓性、非生体再吸収性放射性同位元素源、及び吸収可能な一方向性の欠如を含む。
【0011】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、装置、物品などのいかなる説明も、これらの事項のいずれかまたはすべてが、先行技術の基礎の部分を形成するか、またはそれらが本出願の各特許請求の範囲の優先日前に存在したような本開示に関連する分野において共通の一般知識であったという承認としてみなされるべきではない。
【0012】
本明細書全体において、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」のような変形例は、述べられた要素、整数またはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の包含を意味するが、任意の他の要素、整数またはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の除外は意味しないことが理解されるであろう。
【発明の概要】
【0013】
先行技術の小線源療法装置は、多くの場合、非可撓性であり、身体による完全な生体吸収性及び生体再吸収性ではない。このことは、非生体吸収性/生体再吸収性の放射性同位元素供給源、または装置を一方向性にするために使用される金属製シールドの使用のためである。このことは、次に、切除後の部位の正確な画像化を可能にしない。先行技術の非可撓性小線源療法装置は、手術床に完全に適合し、すべての細胞に一様な線量を提供することができないため、外科手術への補助的アプローチにも好適でない。先行技術の装置は、可撓性の膜によって一緒に接続され得る、別個の金属製の密封された供給源の生成を促進している。それらは、適合性において、線量分布において、及び身体において非吸収性であることによって、限定される。先行技術の小線源療法シードのような、身体(潜在的に微生物で汚染される術野では特に)に永久的に埋め込まれる異物は、慢性感染及び患者の重度の罹患率の非常に高いリスクを有する。小線源療法シードにおいて任意の長期的残留材料がある場合、このリスクは、部分的吸収可能性装置では軽減されない。したがって、小線源療法装置が、可撓性であり、一方向性であり(そのため外科医及び手術室職員は、放射線への最小限の曝露を有する)、異物や金属製材料が長期間残存しないように、身体において完全に生体再吸収性があることが望ましい。
【0014】
身体における創傷部位に対する適用のための可撓性小線源療法装置であって、装置は、複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックス構造であって、生体再吸収性担体マトリックス構造が、複数の放射性同位元素粒子からの活性が創傷部位に局在化されるように、創傷部位で埋め込まれる際に、複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも実質的に長い速度で分解するように構成され、生体再吸収性担体マトリックス構造が、反対の第1の表面及び第2の表面を有する、生体再吸収性担体マトリックス構造と、生体再吸収性担体マトリックス構造の第1の表面に隣接して位置する親水性基質であって、親水性基質が創傷部位に接着し、創傷部位で埋め込まれる際に、親水性基質が、複数の放射性同位元素粒子の半減期中の装置の移動を防止するように、生体再吸収性担体マトリックス構造よりも短い速度で分解するように構成される、親水性基質と、生体再吸収性担体マトリックス構造の第2の表面に隣接して位置するハイドロゲル基質であって、ハイドロゲル基質が、放射能を遮蔽するように、かつ複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも長い速度で分解するように構成される、ハイドロゲル基質と、を含む。
【0015】
生体再吸収性担体マトリックスは、放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させることによって形成され得る。生体再吸収性担体マトリックスは、放射性同位元素を沈殿させて、生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによってさらに形成され得る。
【0016】
疎水性物質は、生体再吸収性担体マトリックス構造を形成するための親水性表面を含むことができる。水溶液は、放射性イオンを含むことができる。
【0017】
放射性イオンは、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二カリウム、オルトリン酸、またはピロリン酸四ナトリウム、またはヨウ化物を含有する可溶性化合物のうちの1つ以上に由来する。
【0018】
生体再吸収性担体マトリックス構造は、酵素プロセスにより分解可能な材料(複数可)で構成され得る。生体再吸収性担体マトリックス構造は、ピロホスファターゼにより分解可能な材料(複数可)で構成され得る。
【0019】
生体再吸収性担体マトリックス構造は、放射性同位元素の水溶液をアモルファスまたは半結晶性の疎水性物質に吸着または分散させて、生体再吸収性担体マトリックス構造を提供することにより提供され得る。アモルファスまたは半結晶性の疎水性物質は、親水性表面を含むことができる。
【0020】
複数の放射性同位元素粒子は、リン酸カルシウムの複合分子における元素を含むことができる。リン酸カルシウムの複合分子は、ピロリン酸カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、またはリン酸四カルシウムのうちの1つ以上を含むことができる。
【0021】
沈殿剤は、カルシウムイオンの水溶液を含むことができる。沈殿剤は、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸カルシウムまたは臭化カルシウムのうちの1つ以上を含むことができる。
【0022】
生体再吸収性担体マトリックスは、性質上、アモルファスまたは半結晶性であり得る。生体再吸収性担体マトリックスは、装置の分解速度が、複数の放射性同位元素粒子の前記半減期に基づき、結晶化度の改変を通じるように、部分的に半結晶性であり得る。
【0023】
装置において、ハイドロゲル基質は、クエン酸で架橋され、クエン酸の百分率は、ハイドロゲル基質が分解して構造的完全性及び遮蔽能力を維持する速度を特定するように選択される。百分率は、2.5%~10%であり得る。クエン酸架橋は、酸化チタンによって触媒され得る。
【0024】
装置は、ハイドロゲル基質の表面に隣接して位置する不活性接着剤層をさらに含むことができ、不活性接着剤層は、創傷部位に接着するように構成される。
【0025】
装置は、不活性接着剤層に隣接して位置する取り外し可能なフィルムをさらに含むことができ、取り外し可能なフィルムは、不活性接着剤層の表面を創傷部位に曝露させるために不活性接着剤層から取り外し可能である。
【0026】
身体における創傷部位に対する適用のための可撓性小線源療法装置を製造する方法であって、方法は、複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックス構造を形成することであって、生体再吸収性担体マトリックス構造は、複数の放射性同位元素粒子からの活性が創傷部位に局在化されるように、複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも実質的に長い速度で分解するように構成され、生分解性担体マトリックス構造は、反対の第1の表面及び第2の表面を有する、形成することと、生体再吸収性担体マトリックス構造の第1の表面に隣接して位置する親水性基質を形成することであって、親水性基質は創傷部位に接着し、創傷部位で埋め込まれる際に、親水性基質は、複数の放射性同位元素粒子の半減期中の装置の移動を防止するように、生体再吸収性担体マトリックス構造よりも短い速度で分解するように構成される、親水性基質を形成することと、生体再吸収性担体マトリックス構造の第2の表面に隣接して位置するハイドロゲル基質を形成することであって、ハイドロゲル基質は、放射能を遮蔽するように、かつ複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも長い速度で分解するように構成される、ハイドロゲル基質を形成することと、を含む。
【0027】
方法では、生体再吸収性担体マトリックスは、放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させることによって形成され得る。生体再吸収性担体マトリックス構造は、放射性同位元素を沈殿させて、生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによって形成され得る。疎水性物質は、親水性表面を含むことができる。
【0028】
水溶液は、放射性イオンを含むことができる。
【0029】
方法では、生体再吸収性担体マトリックス構造は、放射性同位元素の水溶液をアモルファスまたは半結晶性の疎水性物質に吸着または分散させて、再吸収性担体マトリックス構造を提供することにより形成され得る。アモルファスまたは半結晶性の疎水性物質は、親水性表面を含むことができる。
【0030】
複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックス構造であって、生体再吸収性担体マトリックス構造は、放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させて、生体再吸収性担体マトリックス構造を生成することによって形成される、生体再吸収性担体マトリックス構造。生体再吸収性担体マトリックス構造は、放射性同位元素を沈殿させて、生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによって形成され得る。疎水性物質は、親水性表面を含むことができる。
【0031】
水溶液は、放射性イオンを含むことができる。
【0032】
生体再吸収性担体マトリックス構造は、複数の不溶性放射性同位元素粒子をアモルファスまたは半結晶性の疎水性物質に吸着または分散させて、生体再吸収性担体マトリックス構造を提供することによって形成され得る。アモルファスまたは半結晶性の疎水性物質は、親水性表面を含むことができる。
【0033】
生体再吸収性担体マトリックス構造は、性質上、アモルファスまたは半結晶性であり得る。
【0034】
生体再吸収性担体マトリックス構造は、創傷部位で埋め込まれる際に、複数の不溶性放射性同位元素粒子からの活性が創傷部位に局在化されるように、複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも実質的に長い速度で分解するように構成され得る。
【0035】
生体再吸収性担体マトリックスは、創傷部位に対する適用のための小線源療法装置において使用されるように構成され得、装置は、生体再吸収性担体マトリックス構造の第1の表面に隣接して位置する親水性基質を含み、親水性基質は、創傷部位に接着し、創傷部位で埋め込まれる際に、親水性基質は、複数の放射性同位元素粒子の半減期中の装置の移動を防止するように、生体再吸収性担体マトリックス構造よりも短い速度で分解するように構成される。
【0036】
創傷部位に対する適用のための小線源療法装置において使用されるように構成され得、装置は、生体再吸収性担体マトリックス構造の第2の表面に隣接して位置するハイドロゲル基質を含み、ハイドロゲル基質は、放射能を遮蔽するように、かつ複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも長い速度で分解するように構成される。
【0037】
複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックスを製造するための方法であって、方法は、放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させることを含む。生体再吸収性担体マトリックスは、放射性同位元素を沈殿させて、生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによって形成され得る。疎水性物質は、親水性表面を含むことができる。
【0038】
水溶液は、放射性イオンを含むことができる。
【0039】
身体における創傷部位に対する小線源療法装置の適用のためのアプリケータ装置であって、アプリケータ装置は、小線源療法装置を受容するための凹部を有する上部ハウジングと、上部ハウジングに取り付けられた取り外し可能な基部であって、取り付けられた際に、取り外し可能な基部及び上部ハウジングは、小線源療法装置からの放射線を遮蔽する、取り外し可能な基部と、を含み、取り外し可能な基部は、小線源療法装置の第1の表面を創傷部位に曝露させるために上部ハウジングから取り外し可能である。
【0040】
取り外し可能な基部は、上部ハウジングに摺動可能に取り付けられ、上部ハウジングから摺動可能に取り外し可能である。
【0041】
上部ハウジングは、凹部における小線源療法装置への入口ポートを通じた流体の導入を可能にするための、凹部に流体的に接続された入口ポートをさらに含むことができる。
【0042】
アプリケータ装置は、上部ハウジング及び取り外し可能な基部を追加的に固定するための可溶性接着剤をさらに含むことができ、可溶性接着剤は、取り外し可能な基部が上部ハウジングから摺動可能に取り外されることを可能にするための凹部へ導入された液体によって、溶解可能である。
【0043】
上部ハウジングは、ベータ放射線を遮蔽するための透明、半透明(semi-transparent)、または半透明(translucent)である材料を含むことができる。上部ハウジングは、アクリレートポリマーから形成され得る。
【0044】
アプリケータ装置は、創傷部位へのアプリケータ装置及び小線源療法装置の設置を支援するために、上部ハウジングでハンドルをさらに含むことができる。
【0045】
上記のようなアプリケータ装置と、上記のような小線源療法装置と、を含む小線源療法システムであって、ハイドロゲル基質は、アプリケータ装置の入口ポートによって平衡水分含有量で水和される、小線源療法システム。
【0046】
本開示の例は、以下の図を参照して記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】小線源療法装置の概略図を示す。
図2】親水性基質の吸収に続く、小線源療法装置のさらなる概略図を示す。
図3】小線源療法装置の断面概略図を示す。
図4】親水性基質の吸収に続く、小線源療法装置のさらなる断面概略図を示す。
図5】親水性基質のさらなる吸収、ハイドロゲルの分解、及び放射性同位元素の崩壊に続く、小線源療法装置のさらなる断面概略図を示す。
図6】アプリケータ装置の概略図を示す。
図7】アプリケータ装置のさらなる概略図を示す。
図8】小線源療法装置のさらなる概略図を示す。
図9図8における装置の断面概略図を示す。
図10】小線源療法装置のさらなる概略図を示す。
図11】小線源療法装置を製造するための方法を示す。
図12】アプリケータ装置のさらなる概略図を示す。
図13】アプリケータ装置のさらなる概略図を示す。
図14】アプリケータ装置のさらなる概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
概要
小線源療法装置の例が、図1に示される。装置1は、例えば外科手術中に、身体における創傷部位に対して使用され得る。装置1は、複数の放射性同位元素粒子3を含む生体再吸収性担体マトリックス構造2を含む。生体再吸収性担体マトリックス構造2は、創傷部位で埋め込まれる際に、複数の放射性同位元素粒子2の半減期よりも実質的に長い速度で分解するように構成される。このようにして、複数の放射性同位元素粒子2からの活性は、創傷部位に局在化される。生体再吸収性担体マトリックス構造2は、反対の第1の表面及び第2の表面21、22を有する。
【0049】
装置1は、生体再吸収性担体マトリックス構造2の第1の表面21に隣接して位置する親水性基質4をさらに含む。親水性基質4は、創傷部位に接着する。親水性基質は、創傷部位で埋め込まれる際に、複数の放射性同位元素粒子3の半減期中の装置の移動を防止するように、生体再吸収性担体マトリックス構造よりも短い速度で分解するように構成される。
【0050】
装置1は、生体再吸収性担体マトリックス構造2の第2の表面22に隣接して位置するハイドロゲル基質5をさらに含む。いくつかの例では、ハイドロゲル基質5は、親水性基質4に対して接着性があり、親水性基質4と統合される。ハイドロゲル基質5は、放射能を遮蔽するように、かつ複数の放射性同位元素粒子3の実質的な活性よりも長い速度で、例えば、複数の放射性同位元素粒子3の半減期よりも長い速度で分解するように構成される。このようにして、ハイドロゲル基質5は、放射性崩壊が生体再吸収性担体マトリックス構造2を実質的に不活性(放射能の)及び安全にするまで、放射能を遮蔽する。
【0051】
装置1は、がん外科手術に続く悪性がん及び漿液腫の局所再発を最小化及び/または制御することに好適であり得る。装置1は、外科手術の切除マージンでの顕微鏡的腫瘍細胞の制御されない増殖を最小化及び/または制御することにも好適であり得る。
【0052】
装置1が身体において完全に生体吸収性及び/または生体再吸収性であるように構成されることは、利点である。このようにして、装置は、「インビボ」で完全に分解/交換され得る。さらに、装置1は、完全に密封された供給源である(一方で顕著に放射性である)という利点も有する。いくつかの例では、装置1は、24時間室温で放射性同位元素の顕著な喪失を伴わずに水、リン酸緩衝生理食塩水、または他の生理学的に適合する流体への浸漬に耐えることができるように構築される。
【0053】
複数の放射性同位元素粒子3が、それらがもはや実質的に放射性でなくなる時まで、創傷部位における適所に維持されることは、さらなる利点である。
【0054】
小線源療法装置1が、可撓性であるように、かつ創傷部位に適合するように構成されることは、さらなる利点である。
【0055】
次に、例示的な小線源療法装置1の詳細が、詳細に記載されるであろう。
【0056】
生体再吸収性担体マトリックス2
上記のように、装置1は、複数の放射性同位元素粒子3を含む生体再吸収性担体マトリックス構造2を含む。いくつかの例では、生体再吸収性担体マトリックス2は、放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させることによって形成される。生体再吸収性担体マトリックスは、放射性同位元素を沈殿させて、生体再吸収性担体マトリックス構造2に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによってさらに形成され得る。この例では、水溶液は、放射性イオンを含むことができる。放射性イオンは、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二カリウム、オルトリン酸、またはピロリン酸四ナトリウム、またはヨウ化物を含有する可溶性化合物のうちの1つ以上を含むことができる。
【0057】
複数の放射性同位元素粒子3は、ベータ放射体を含むことができる。他の例では、複数の放射性粒子3は、ガンマ放射体または混合されたガンマ/ベータ放射体を含むことができる。いくつかの例では、複数の放射性同位元素粒子3は、リン酸カルシウム化合物のファミリーにおける元素であり得る。一例では、複数の放射性同位元素粒子3は、ピロリン酸カルシウムの複合分子に元素を含むことができる。これは、リン酸カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、またはリン酸四カルシウムの複合分子を含むことができる。いくつかの例では、複数の放射性同位元素粒子3は、水和または無水形態の複合分子を含むことができる。
【0058】
他の例では、複数の放射性同位元素粒子3は、イットリウム-90、イリジウム-192、パラジウム-103、セシウム-137、ヨウ素-131、ヨウ素-125、ヨウ素-123、33-リン(33P)、32リン(32P)、または32リンに対する33リンの比率及び/またはかかる同位元素を含有する化合物のうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの例では、複数の放射性同位元素粒子3として33P対32P放射性同位元素の比率の使用は、P32単独と比較して、取り扱いからの付帯的放射線曝露を低下させる。この記載では、放射性同位元素粒子3が放射性同位元素を含有する化合物を含むことができることを、理解されたい。
【0059】
生体再吸収性担体マトリックス構造2は、創傷部位で埋め込まれる際に、複数の放射性同位元素粒子3の半減期よりも実質的に長い速度で分解するように構成される。このようにして、複数の放射性同位元素粒子からの活性は、創傷部位に局在化される。
【0060】
図5は、複数の放射性同位元素粒子3の顕著な核崩壊後の装置1の断面図を示す。示されるように、親水性基質4、ハイドロゲル5の分解、及び複数の放射性同位元素粒子3の核崩壊後、生体再吸収性担体マトリックス構造2は、適所に残存する。放射性同位元素の実質的な放射能よりも長く存続する(放射性同位元素の半減期超のような)生体再吸収性担体マトリックスを有することは、放射能が手術マージン創傷床7の創傷部位100に局在化されることを、確実にする。
【0061】
複数の放射性同位元素粒子3からの放射線の送達速度は、生体再吸収性担体マトリックス構造2及び/または親水性基質4の特徴によって決定され得る。
【0062】
いくつかの例では、複数の放射性同位元素粒子3は、中程度(30日未満)の半減期の粒子を含むことができる。このようにして、生体再吸収性担体マトリックス構造2は、30日よりも実質的に長い速度で分解できる。
【0063】
生体再吸収性担体マトリックス構造2は、親水性表面を有する疎水性物質に複数の不溶性放射性同位元素粒子を吸着または分散させることによって形成され得る。疎水性物質は、微孔性またはマクロ多孔性であり得る。
【0064】
いくつかの例では、疎水性物質は、親水性表面を含むことができる。このようにして、以下に記載されるように、放射性イオンを含有する溶液は、毛細管作用によって微孔性疎水性物質中に引き上げられ得る。親水性表面を有しないと、放射性イオンは、そのように分布できない。代替的には、親水性表面を有しない疎水性物質の例では、放射性粒子は、疎水性物質上にホットプレス/インプリントされ得る。
【0065】
一例では、親水性表面を有する微孔性疎水性物質は、以下のように調製される。ポリカプロラクトン(PCL)のような疎水性の生分解性ポリマーは、界面活性剤の添加で親水性となる。一例では、界面活性剤は、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロックモノマー(Pluronic P123)を含むことができる。他の例では、ポリラクチド、またはポリ-Lラクチド、ポリD-ラクチド、もしくはポリ-DLラクチド(PDLLA)のようなポリラクチドのラセマー、またはそれらの複合物のような、他の疎水性基部生体高分子が、使用され得る。
【0066】
さらなる例では、親水性コポリマーが、親水性及び架橋に利用可能な部位を改善するために添加され得る。親水性コポリマーの例は、コラーゲン、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース及び他の形態のセルロース、ポリエチレングリコール、またはポリエチレングリコールの大きな一連のコポリマーのいずれかを含むことができる。いくつかの例では、PDLLAのような部分的にアモルファスのポリマー、または(ポリ)グリセロールセバシン酸塩(またはポリウレタンベースの生分解性エラストマー)を含むがこれらに限定されない生分解性エラストマーは、PCLの可撓性を増加させ、結晶性の百分率を低下させ、及び/または生じるブレンドの親水性を増加させるために、添加され得る。
【0067】
次いで、新しいゆっくりと加水分解可能なポリマーブレンドは、非毒性溶媒に溶解性の塩(NaCl、MgClなど)、または溶解性の液体(グリセロールのような)、または他の溶解性構成成分のような、非常に溶解性のある物質の組み込みを通じて微孔性になる。可溶性構成成分は、熱及び/または溶剤の組み合わせによって、PCLブレンドから浸出し得る。このことは、親水性表面を有する微孔性の疎水性マトリックスを生じる。マトリックスは、ゆっくりと吸収することができる。
【0068】
いくつかの例では、疎水性物質/マトリックスの多孔性は、押出機におけるような、ポリマーの混合中に不活性ガスのバブリングによっても生成され得る。不活性ガスは、窒素、二酸化炭素、またはアルゴンを含むことができる。他の例では、疎水性物質/マトリックスの多孔性は、製剤における重炭酸ナトリウムのような「ポロゲン(porogen)」化合物の包含で生成され得る。このようにして、ガスは、熱への曝露時に放出され得る。
【0069】
別の例では、急速に崩壊する放射性同位元素は、複数の放射性同位元素粒子のために使用され得る。このことは、ポリグリコリドのポリマーまたは架橋ハイドロゲルを含む、生体再吸収性担体マトリックス構造2としての純粋に親水性である担体マトリックスの使用を促進できる。
【0070】
別の例では、疎水性及び親水性構成成分は、バッチミキサーまたは押出機において完全に混合され、両親媒性ポリマーまたはコポリマー(ポリエチレングリコールまたはプルロニックP123のような)と、次いで、生分解性マトリックスの低融点を使用することによって組み込まれた放射性同位元素成分と、ホットプレス、射出成形、または押出によって相溶化され(compatibilized)得る。
【0071】
いくつかの例では、複数の不溶性放射性同位元素粒子3は、複数の放射性同位元素粒子に沈殿剤を添加することによって提供され得る。一例では、複数の放射性同位元素粒子3はイオンを含むことができ、そのため沈殿剤は複数の放射性同位元素イオンに添加される。一例では、放射性同位元素イオンは、溶液に懸濁されて放射性同位元素水溶液を形成し、担体マトリックス2全体に散布されることができる。このことは、不溶性形態の複数の放射性同位元素粒子3を作製する。一例では、放射性同位元素水溶液は、化合物ピロリン酸四ナトリウムの元素から構成され得る。他の例では、生体再吸収性不溶性塩中に沈殿することができる任意の水性放射性同位元素溶液が、使用され得る。これらは、32Pリン酸イオンを含有する任意の水溶液を含むが、他の例では、放射性カルシウムイオン、放射性クロム51、放射性ヨウ素イオン(I-131、I-125、I-123など)、パラジウム103、セシウム137などを含むが、これらに限定されない。
【0072】
一例では、沈殿剤は、塩化カルシウムを含む。他の例では、沈殿剤は、水酸化物または硝酸塩形態を含む、カルシウムイオンのさらなる水溶液を含むことができる。沈殿剤は、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸カルシウムまたは臭化カルシウムのうちの1つ以上を含むことができる。このようにして、複数の不溶性放射性同位元素粒子は、複合ピロリン酸カルシウム(Ca)、無水物、二水和物(Ca・2HO)または四水和物(Ca2P2O7・4H2O)における元素であり得る。
【0073】
沈殿剤は、身体で生体再吸収されることができる任意の不溶性または難溶性の塩も含むことができる。これらは、リン酸カルシウムの任意の種類またはリン酸アンモニウムマグネシウム(Struvite)の形態を含む。一例では、吸収性ポリマーの官能基は、放射性ヨウ化物125もしくは131、または生体再吸収性担体マトリックス全体に包埋された/分布した結晶性ヨウ化物を使用してヨウ素化され得る。さらに他の例では、沈殿剤は、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、または鉄を含有する別の分子を含むことができる。
【0074】
他の例では、複数の放射性同位元素3は陰イオン交換樹脂中に吸着され得、沈殿剤は、吸収後に適用され得る。この例では、リン酸アンモニウムマグネシウム(Struvite)のような沈殿剤が、使用され得る。別の例では、クロム51のようなガンマ供給源は、陰イオン交換樹脂に、または再吸収性放射性分子中に沈殿することができる。
【0075】
次いで、親水性表面を有する微孔性の疎水性物質は、コポリマーの添加を通じて調整されて、部分的結晶化(半結晶性)を達成することができる。このことは、それが、装置1が可撓性で順応性があり、創傷部位の形状に適合することを可能にするため、利点である。半結晶性ブレンドは、純粋なPCL/ポリ乳酸の長い加水分解時間を変更できる。すなわち、装置1の分解速度は、生体再吸収性担体マトリックス構造2の結晶性を変更することによって決定され得る。いくつかの例では、装置1の分解速度は、複数の放射性同位元素3の半減期に基づき、結晶性の変更を通じるものであり得る。したがって、装置1は、外科手術における使用に好適である。
【0076】
次いで、生体再吸収性担体マトリックス構造2は、身体内で完全に生分解性であり得る。上記のように、このことは、装置1の利点である。かかる装置1が潜在的に汚染された領域で利用される際に、装置1が慢性感染を防止できることも、さらなる利点である。いくつかの例では、生体再吸収性担体マトリックス構造2は、ピロホスファターゼまたは循環骨細胞前駆細胞及び/または成熟した骨細胞のような、身体に存在する細胞内、細胞外、及び酵素プロセスによって分解可能である。いくつかの例では、破骨細胞(またはそれらの循環破骨前駆細胞)は、構造2を分解できる。破骨細胞は、リン酸カルシウムのファミリー全体のうちのいずれかを分解、再吸収、変更、及び/または交換することができる。このことは、任意の不溶性で生体再吸収性の複合分子を含むことができる。他の例では、生体再吸収性担体マトリックス構造2は、身体に存在する他の酵素によって分解可能である。
【0077】
いくつかの例では、ヨウ素化化合物は、放射性同位元素粒子3として使用され得る。このことは、ヨウ素-131、ヨウ素-125、またはヨウ素-123のような、放射性ヨウ化物を使用して、吸収性ポリマーの1つ以上の官能基をヨウ素化することを含むことができる。他の例では、結晶性ヨウ化物は、生体吸収性ポリマーに埋め込まれ得る。
【0078】
このようにして、時間の経過とともに、複数の不溶性放射性同位元素粒子において最初は不溶性であるリン酸塩化合物は、身体の酵素プロセスを通じて水性になり得る。複数の不溶性放射性同位元素粒子に存在する最初は不溶性であるリン酸塩化合物は、小線源療法の密封された供給源として安全な外科的取り扱いのために必要とされ得る。次いで、放射性同位元素粒子/イオンは、生体再吸収性担体マトリックス構造2から創傷部位100に向かって拡散して、細胞内に吸収されることができる。次いで、放射性同位元素粒子/イオンは、がん細胞DNA中に取り込まれて、アポトーシスを増加できる。
【0079】
いくつかの例では、生体再吸収性担体マトリックス構造2は、平坦なシートのような、所望の形状にプレス、押出、または射出成形され得る。生体再吸収性担体マトリックス構造2は、薄いメッシュ表面界面を有することができる。
【0080】
生体再吸収性担体マトリックス構造2は、反対の第1の表面及び第2の表面21、22を含む。
【0081】
いくつかの例では、複数の放射性同位元素粒子3は、生体再吸収性担体マトリックス構造2と親水性基質4との間の空間に含浸され得る。例えば、複数の放射性同位元素粒子3を受容するために、少なくとも2つの層によって形成されたレセプタクルがあり得る。この例では、放射線療法の密封された供給源は、疎水性または部分的に疎水性の層を有する放射性粒子の積層を通じて得られ得る。このようにして、積層された放射性粒子は、装置1が配置される身体のプロセスによって完全にまたはほとんど生体再吸収されることができる。他の例では、不溶性放射性同位元素粒子、または不溶性放射性同位元素粒子を含有する微孔性マトリックス(イオン交換樹脂のような)は、生体再吸収性担体マトリックス構造2の表面中にインプリントされ得る。
【0082】
装置のさらなる利点は、複数の放射性同位元素粒子3が生体再吸収性担体マトリックス2内に包埋されているため、手術室への復帰が必要とされる場合に、装置1(したがって放射性同位元素供給源)の安全な取り外しが可能である一方で、一方向性遮蔽を維持することである。
【0083】
親水性基質4
上記のように、装置1は、生体再吸収性担体マトリックス構造の第1の表面21に隣接して位置する親水性基質4をさらに含む。親水性基質4は、創傷部位に面し、また、創傷部位100に接着する。このようにして、親水性基質4は、創傷部位への装置1の統合または架橋を提供する。いくつかの例では、親水性基質4は、生体再吸収性担体マトリックス構造の第1の表面21にあり、それを横切る。このことは、図3に示される。
【0084】
一例では、親水性基質4は、ハイドロゲル基質5と同様の平衡水分含有量で、完全に水和された状態で供給される。このようにして、完全に水和された親水性基質4は、創傷部位100の組織への埋め込み及び架橋の際の劇的なサイズの変化ならびに/または形状の変化を経ることはなさそうであり得る。別の例では、親水性基質4は、身体において装置と創傷部位100の組織との間でアミド結合及び/または水素-水素相互作用を生成するために必要とされる物質の一部を含むことができる。このようにして、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ドーパ、または他の架橋剤のような添加物質は、装置と組織の間との架橋を活性化できる。
【0085】
いくつかの他の例では、親水性基質4は、創傷部位から水分を吸収して、親水性基質4の湿潤及びゲル化が創傷部位に適合することを可能にする。親水性基質4は、比較的迅速に吸収性であるように選択され、装置1の創傷部位に近接した立体配置を可能にすることができる。他の例では、親水性基質4は、3~5日以内に創傷部位で吸収されるように構成され得る。
【0086】
親水性基質4は、創傷部位100で埋め込まれる際に、複数の放射性同位元素粒子3の半減期中の装置の移動を防止するように、生体再吸収性担体マトリックス構造よりも短い速度で分解するように構成される。このことは、装置1が創傷部位100から移動しないことを確実にする。すなわち、親水性基質4は、生体再吸収性担体マトリックス構造2よりも速い速度で吸収するように構成される。このことは、複数の放射性同位元素粒子3が、それがもはや実質的に活性4でなくなるまで、創傷部位での適所に維持されることを可能にする。いくつかの例では、放射性同位元素の実質的不活性までの時間は、9~28日であり得る。
【0087】
図2は、親水性基質4のより速い吸収を示す装置1の例を示す。示されるように、親水性基質4は、完全に吸収される。ハイドロゲル基質5、生体再吸収性担体マトリックス構造2、及び複数の放射性同位元素粒子3は、創傷部位での適所に残存する。
【0088】
図4は、創傷部位中に吸収されている親水性基質4を示す断面図を示す。この例では、ハイドロゲル基質5、生体再吸収性担体マトリックス構造2、及び複数の放射性同位元素粒子3は、創傷部位100での適所に残存する。
【0089】
親水性基質4は、架橋ポリマーから構成され得る。いくつかの例では、親水性基質4は、(任意の種類の)デンプン、カルボキシメチルセルロース、グリセロール、キシリトール、もしくはクエン酸、またはそれらの任意の種類のうちの1つ以上も含む。他の例では、親水性基質4は、カルボジイミド架橋、ドーパ-リジン相互作用、またはクエン酸架橋のような、他の外科的接着物質を含むことができる。
【0090】
他の例では、親水性基質4は、水を急速に吸収して手術床に適合するように、生体適合性樹脂、ゲル、または可撓性生体高分子の薄層を含むことができる。セルロースに由来する他のポリマーも、使用され得る。
【0091】
親水性基質4は、ゲムシタビンまたはカペシタビンのような、放射線増感剤も含むことができる。放射線増感剤は、溶媒キャスティング技法、溶液浸漬、または溶融押出技法によって親水性基質4に懸濁され得る。このようにして、創傷部位が親水性基質4を吸収する際に、放射線増感剤は放出できる。このことは、創傷部位の中または近接した腫瘍細胞を、複数の放射性同位元素粒子3からの放射線の影響を受けやすくする効果を有することができる。
【0092】
親水性基質4は、創傷部位に適用されると、水和して、創傷部位に適合する表面フィルムを形成する。図3に示されるように、親水性基質4は、生体再吸収性担体マトリックス構造2の縁を越えて延在できる。
【0093】
いくつかの例では、親水性基質4は、創傷部位に対する止血効果を提供し、装置1を創傷部位から上げ得る血腫を防止する。この例では、親水性基質4は、親水性基質4の止血特性を増強するために、トロンビン、フィブリン、フィブリノーゲン、または他の止血剤のような止血剤のコーティングまたは懸濁液をさらに含むことができる。
【0094】
ハイドロゲル基質5
装置1は、生体再吸収性担体マトリックス構造2の第2の表面22に隣接して位置するハイドロゲル基質5をさらに含む。ハイドロゲル基質5は、適合性、可撓性、及び装置1の外科的埋め込みを可能にする能力を可能にする。ハイドロゲル基質5は、放射能を遮蔽するように、かつ複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも長い速度で分解する用に構成される。ハイドロゲル基質5は、複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも長い速度で完全に加水分解するようにも構成され得る。このようにして、ハイドロゲル基質5は、任意の放出された放射線を吸収して患者の周囲組織、及びいくつかの状況では、外科医のような装置1の操作者を保護するように構成される。上記のような先行技術の装置とは異なり、ハイドロゲル基質5によって提供される遮蔽は装置が一方向性であることを支援するため、このことは装置1の利点である。
【0095】
一例では、ハイドロゲル基質5は、生体再吸収性担体マトリックス構造2の第2の表面22に取り付けられ、そのためハイドロゲル基質5は、リン酸緩衝生理食塩水(または他の生体適合性溶液)を使用して、水和された状態に対して接着があり、水和された状態に統合される。水和された状態は、ハイドロゲル基質5がその平衡水分含有量(EWC)にあるか、またはそれに近いことを意味できる。装置1は、先行技術の装置とは異なり、外科手術中の適用について便利で安全であるため、このことは、装置にとっての利点である。すなわち、装置は、包装から一方向性として安全に取り扱われ得、装置の操作者による追加的な組み立てを必要としない。
【0096】
いくつかの例では、ハイドロゲル基質5は、複数の放射性同位元素粒子3の浸透を数ミリメートルに限定する。図3及び4に示されるように、ハイドロゲル基質5は、創傷部位100から離れて面する。さらに、いくつかの例では、ハイドロゲル基質は、生体再吸収性担体マトリックス構造の第2の表面22にあり、それを横切る。さらなる例では、図1~4に示されるように、ハイドロゲル基質5は、生体再吸収性担体マトリックス構造2の周囲を超えて延在する。このことは、周囲領域の近くの組織に追加的な遮蔽を提供する。図3に示されるように、周囲の近くのハイドロゲル基質5は、親水性基質4と接触することができる。したがって、いくつかの例では、生体再吸収性担体マトリックス構造は、装置1が最初に埋め込まれる際に、ハイドロゲル基質5及び親水性基質4によってカプセル化される。
【0097】
ハイドロゲル基質5は、機械的統合、化学的架橋、または酵素的架橋のうちの少なくとも1つによって生体再吸収性担体マトリックス構造2と組み合わされ得る。いくつかの例では、機械的統合と1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)及び/またはN-ハイドロキシスクシンイミド(NHS)カルボジイミド化学を用いた化学的架橋との組み合わせが、使用され得る。この例では、表面改質が、例えば、プラズマ処理及び/または表面加水分解の手段により必要とされ得る。
【0098】
ハイドロゲル基質5は、親水性ポリマー相互侵入マルチポリマー性ハイドロゲルから構成され得る。このことは、クエン酸で架橋された、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、部分的に加水分解されたコラーゲン、及びキシリトールを含有できる。ハイドロゲル基質5は、ポリエチレングリコールを使用するコポリマーのブレンドも含むことができる。いくつかの例では、二酸化チタンのような触媒が、クエン酸架橋のために存在し得る。さらに他の例では、アルギン酸ナトリウム、デンプン、キトサン、セルロースの形態、種類またはコラーゲン、ポリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどを含むがこれらに限定されない、他の親水性の再吸収性ポリマーまたは糖アルコールが、使用され得る。
【0099】
上記のように、ハイドロゲル基質は、少なくとも部分的にクエン酸を含むことができる。クエン酸の百分率は、ハイドロゲル基質5が分解して構造的完全性及び遮蔽能力を維持する速度を特定するように選択され得る。いくつかの例では、クエン酸の百分率は、2.5%~10%であり得る。このようにして、クエン酸はハイドロゲル基質5が、創傷部位で移植後の持続時間の間、放射線を遮蔽し続けることを確実にする。このことは、例えば、かかる装置1を有する患者が埋め込み後の時点で手術室に戻る必要がある場合に、有用であり得る。他の例では、化学的架橋は、グルタルアルデヒドのような薬剤を用いて実行され得るか、またはガンマ照射、UV曝露を用いて、もしくは凍結融解法を通じて架橋され得る。
【0100】
ハイドロゲル基質5は、少なくとも3mm、好ましくは3.5mmに近い厚さを有することができる。他の例では、有効な一方向性遮蔽を提供するためにハイドロゲル基質5の増加した厚さを必要とするガンマ線源が、使用され得る。図3に示されるように、ハイドロゲル基質5は、内部に生体再吸収性担体マトリックス構造2を受容するための中央凹部分を有するように構成され得る。
【0101】
ハイドロゲル基質5は、装置への周囲の組織及び構造の損傷または望ましくない付着及び接着を防止するようにも作用できる。図3に示されるように、ハイドロゲル基質5は、親水性基質4の縁部分で取り付けられ得る。このようにして、ハイドロゲル基質5は、生体適合性担体マトリックス構造2の第1及び第2の表面21、22の縁を超えて延在できる。
【0102】
柔軟な小線源療法装置を製造する方法200
図11に示されるように、身体における創傷部位に対する適用のための可撓性小線源療法装置を製造する方法200も、提供されている。方法200は、複数の放射性同位元素粒子3を含む生体再吸収性担体マトリックス構造2を形成すること202を含む。方法200では、生体再吸収性担体マトリックス構造2は、微孔性の親水性表面4を有する疎水性物質に複数の不溶性放射性同位元素粒子を吸着させて、上記のような生体再吸収性担体マトリックス構造2を提供することによって提供される。いくつかの例では、生体再吸収性担体マトリックス構造2は、押出及び/または加熱バッチ混合の組み合わせのような、熱可塑性プロセスを使用して形成され得る。他の例では、射出成形またはホットプレスが、使用され得る。いくつかの例では、複数の不溶性放射性同位元素粒子は、複数の放射性同位元素粒子に沈殿剤を添加することによって提供される。
【0103】
生体再吸収性担体マトリックス構造2は、複数の放射性同位元素粒子3からの活性が創傷部位に局在化されるように、放射性同位元素粒子3の半減期よりも実質的に長い速度で分解するように構成され、生体再吸収性担体マトリックス構造2は、反対の第1の表面及び第2の表面21、22を有する。
【0104】
方法200は、生体再吸収性担体マトリックス構造2の第1の表面21に隣接して位置する親水性基質4を形成すること204を含み、親水性基質4は、創傷部位に接着する。親水性基質4は、創傷部位で埋め込まれる際に、複数の放射性同位元素粒子3の半減期中の装置1の移動を防止するように、生体再吸収性担体マトリックス構造3よりも短い速度で分解するように構成される。親水性基質は、押出、溶媒キャスティング、スプレーコーティング及び/または浸漬を通じて形成され得る。
【0105】
方法200は、生体再吸収性担体マトリックス構造2の第2の表面22に隣接するハイドロゲル基質5を形成すること206をさらに含み、ハイドロゲル基質5は、放射線を遮蔽するように、かつ複数の放射性同位元素粒子3の半減期よりも長い速度で分解するように構成される。いくつかの例では、ハイドロゲル基質5は、溶融押出または溶媒キャスティングの前に、複数のポリマーの組み合わせを通じて形成され得る。
【0106】
親水性基質4及びハイドロゲル基質5は、機械的統合、ホットプレス、成形、化学的及び/酵素的架橋の技法のうちの1つ以上を通じて装置1に接着され得る。このことは、カルボジイミド化学、GEM、トランスグルタミナーゼ、または他のより伝統的な架橋方法(例えば、グルタルアルデヒド)を含むことができる。一例では、機械的統合とカルボジイミド化学の組み合わせが使用され、放射性生体再吸収性担体マトリックス構造2におけるコラーゲン分子と、親水性基質5及びハイドロゲル基質5における遊離アミド及び/またはハイドロキシル基との間のアミド-ヒドロキシル結合を利用する。
【0107】
アプリケータ装置
図6は、身体における創傷部位100に対する小線源療法装置1の適用のためのアプリケータ装置66の例を示す。アプリケータ装置66は、創傷部位100に対する小線源療法装置1の適用を提供する一方、外科医または核医学内科医のような操作者を保護する。アプリケータ装置66はまた、装置1の安全な分布及び保管、同様に創傷部位100での装置1の容易な配置も提供する。アプリケータ装置66は、その中に含有される小線源療法装置1と一緒に使用される際に、小線源療法装置1を乾いたままにし、また任意の近くの人員を放射性放射線から遮蔽する。このことは、付帯的放射線曝露を最小化する。
【0108】
アプリケータ装置66は、身体内側に配置されるように構成され、そのため基部8は、操作者から離れて創傷部位100に向かって面する。
【0109】
アプリケータ装置66は、小線源療法装置1を受容するための凹部67を有する上部ハウジング6を含む。アプリケータ装置66の上部ハウジング6は、外科医が小線源療法装置を正確に配置することを可能にする一方、ベータ放射線から外科医を遮蔽するための、透明、半透明(semi-transparent)、または半透明(translucent)である材料を含むことができる。いくつかの例では、上部ハウジング6は、アクリル(Perspex)のようなアクリレートポリマーから形成され得る。
【0110】
アプリケータ装置66は、上部ハウジング6に取り付けられた取り外し可能な基部8も含み、取り付けられる際に、取り外し可能な基部8及び上部ハウジング6は、小線源療法装置1からの放射線を遮蔽する。いくつかの例では、取り外し可能な基部8は、上部ハウジング6に摺動可能に取り付けられる。このようにして、取り外し可能な基部8は、上部ハウジング6から摺動可能に取り外し可能であり得る。図12に示されるように、いくつかの例では、上部ハウジング6は、取り外し可能な基部8の上の溝17に受容及び係合されるレール15を含む。いくつかの例では、このことは、溝17を有する蟻継ぎ(dovetail)に形成されるレール15を含むことができる。基部の対向する縁を受容する内向きに面し対向する溝のような、他の摺動係合配置が使用され得ることを、理解されたい。
【0111】
取り外し可能な基部8は、平らな表面を有することができる。取り外し可能な基部8は、アクリルのような制動放射放射線に対する保護に好適な材料で構成され得る。別の例では、ガンマ放射体が使用された場合、鉛ビニル、鉛含有ガラス、または鉛含有ビニルアクリルが、取り外し可能な基部8に使用され得る。上部ハウジング6と取り外し可能な基部8との組み合わせは、外科手術中の配置中及び配置後の創傷部位100に小線源療法装置1の安全な取り扱い及び送達を提供する。
【0112】
取り外し可能な基部8は、小線源療法装置1の第1の表面21に面するように構成され得る。いくつかの例では、取り外し可能な基部8は、上記の例に従う小線源療法装置1の親水性基質4に面することができる。
【0113】
取り外し可能な基部8は、小線源療法装置1の第1の表面21を創傷部位100に曝露させるために上部ハウジング6から摺動可能に取り外し可能であるように、取り外し可能である。図13は、摺動可能に取り外し可能な基部8を示す。取り外し可能な基部8は、アプリケータ装置66に関連するヒンジのような他の手段によっても取り外し可能であり得る。いくつかの例では、第1の表面21は、上記のような小線源療法装置1の親水性基質4を含むことができる。このことは、図14に示される。このようにして、取り外し可能な基部8は、創傷部位100に対する小線源療法装置1の適用及び配置中に摺動可能に取り外されて、親水性基質4を創傷部位100に曝露させる。
【0114】
取り外し可能な基部8は、外科医のような操作者が基部8を上部ハウジング6から摺動可能に取り外すための引張力または押出力(pushing force)を適用し、したがって、小線源療法装置1の第1の表面21を曝露することを可能にするためのタブ14も含むことができ、このため装置1は、創傷部位100に隣接し、創傷部位100に適合することができる。
【0115】
いくつかの例では、上部ハウジング6は、凹部67に流体的に接続された入口ポート11をさらに含む。入口ポート11は、凹部67における小線源療法装置1への入口ポート11を通じた流体の導入を可能にする。いくつかの例では、チャネル12は、流体が凹部67において入口ポート11から小線源療法装置1に流れるように、入口ポート11に接続される。このことは、ハイドロゲル基質5を水和するために液体を導入することを含むことができる。
【0116】
いくつかの例では、入口ポート11は、装置1の取り付け表面、または架橋溶液のいくつかの構成成分に接着剤成分をチャネル形成する(channelling)いずれかによって、小線源療法装置1の接着剤構成成分を「活性化」するために使用され得、創傷部位100の組織への取り付け時に、装置1と創傷部位100の組織との間の架橋を提供する。かかる薬剤は、カルボジイミド化学の1つの構成成分(例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC))を組み込むか、またはトランスグルタミナーゼの促進の有無にかかわらずドーパ-リジン相互作用を促進することができる。
【0117】
アプリケータ装置66は、上部ハウジング6及び取り外し可能な基部8を追加的に固定するために可溶性接着剤9をさらに含むことができる。このようにして、可溶性接着剤9は、その中に含有される小線源療法装置1からの任意の活性からアプリケータ装置66の操作者を遮蔽することに対する追加的な安全性を提供する。可溶性接着剤9は、アプリケータ装置66のためのハーメチックシール(hermetic seal)のようなシールも提供できる。
【0118】
可溶性接着剤9は、水及び/または熱可溶性接着剤であり得る。可溶性接着剤9は、凹部67中に導入された液体13によって溶解可能であり、取り外し可能な基部8が上部ハウジング6から摺動可能に取り外されることを可能にすることができる。いくつかの例では、上部ハウジング6及び取り外し可能な基部8は、上部ハウジング6及び取り外し可能な基部8の周辺部の周りに可溶性接着剤9によって接着され得る。
【0119】
いくつかの例では、水は、上部ハウジング6の入口ポート11中に注入され得る。このようにして、可溶性接着剤9は、取り外し可能な基部8が取り外されて小線源療法装置1の第1の表面21(例えば、親水性基質4のような)を創傷部位100に曝露させることができるような程度で、可溶化され得る。
【0120】
他の例では、液体に加えて熱が、凹部67への入口ポート11に挿入され得る。例えば、このことは、温水を含むことができる。このようにして、可溶性接着剤9は加熱された液体を吸収することができ、そのため可溶性接着剤9は可溶化されて取り外し可能な基部8を除去し、小線源療法装置1の親水性基質4を創傷部位100に曝露させる。さらなる例では、小線源療法装置1のハイドロゲル基質5は、熱及び/または充填するための液体を吸収して拡張することができる。ハイドロゲル基質5は、上述のように放射能を遮蔽する。
【0121】
一例では、アプリケータ装置66が創傷部位100で位置する後、水及び熱が、凹部67への入口ポート11に挿入され得る。可溶性接着剤9は、水及び熱を吸収できる。装置1の親水性基質4は、水及び熱も吸収できる。ハイドロゲル基質5は、水及び熱も吸収できる。生体再吸収性担体マトリックス構造2は、水及び熱も吸収できる。ハイドロゲル基質5が完全に吸収される際に、飽和ハイドロゲル基質5は、創傷部位1に対する装置1の適用のために上部ハウジング6から容易に取り外される。次いで、装置1は、可撓性になり、創傷部位100のような表面に適合及び接着することができる。次いで、装置1は、放射線量を送達できる。
【0122】
さらなる例では、滅菌に好適な液体または気体は、入口ポート11中に挿入され得る。例えば、酸化エチレンは、製造設備で及び/または外科手術前に装置1及び/またはアプリケータ装置66を滅菌するために導入され得る。
【0123】
アプリケータ装置66は、創傷部位100へのアプリケータ装置66及び小線源療法装置1の設置を支援するために、上部ハウジング6でハンドル10をさらに含むことができる。いくつかの例では、ハンドル10は、図6及び7に示されるように長手方向であり得る。他の例では、ハンドル10は、上部ハウジング6に取り付けられた別の構成であり得る。
【0124】
いくつかの例では、装置1は、上部ハウジング6及び取り外し可能な基部8によって完全に囲まれ得る。すなわち、親水性基質4及び生体再吸収性担体マトリックス2は、取り外し可能な基部8及びハイドロゲル基質5よりも直径において小さくあり得る。一例では、親水性基質及び生体再吸収性担体マトリックス2は直径3cmの平坦な円形であり得、取り外し可能な基部8及びハイドロゲル基質5は直径4~4.5cmの平坦な円形であり得る。
【0125】
上記のようなアプリケータ装置66及び装置1を含む小線源療法システムも、提供される。いくつかの例では、装置1のハイドロゲル基質5は、アプリケータ装置66の入口ポート11によって平衡水分含有量で水和され得る。このようにして、ハイドロゲル基質5は、完全に形成され、水和され、装置1と架橋され得る。次いで、装置1が、操作者または同僚職員による追加的な組み立てを伴わずに、操作者によってアプリケータ装置66から取り扱われ得ることは、利点である。また、完全に水和したハイドロゲル基質5が、操作者から放射能を遮蔽し、したがって装置1からの放射線を実質的に一方向性にすることも、利点である。
変形例
【0126】
図8~10を参照するさらなる例では、カルボキシメチルセルロースマトリックス中に、ポリカプロラクトン-デンプン複合物から作製された外側フィルム37、外側フィルムの一部を覆うカルボキシメチルセルロースを含む不活性接着剤層38、ならびに所定の比率の32P粒子40及び33P粒子41を含む活性放射性同位元素フィルム層39を含む、実質的に平らな局所小線源療法積層構造30が示される。この例では、不活性接着剤層38は、外側フィルム37の周縁上またはその近くの活性放射性同位元素フィルム層39の周りに延在し、患者の皮膚の表面に接触して積層構造を所望の場所に接着させるように適合される。一態様では、放射性同位元素粒子は、層45と層39との間の表面界面に含浸され得る。
【0127】
図10に示されるように、不活性接着剤層38は、所望の治療部位に接着のための不活性接着剤層を曝露させるために剥がされる、保管のための剥離可能なバッキング(backing)層(取り外し可能なフィルム)43をさらに含むことができる。この実施形態では、不活性接着剤は、取り外し可能なバッキングフィルム43を有する感圧接着剤層8である。外側層37は、外科医及び任意の他の組織が症例を終了させ放射性同位元素が崩壊する間、放射線を吸収して外科医及び任意の他の組織を保護するよう適合されたハイドロゲル層を含むことができる。この実施形態では、ハイドロゲル層37は、放射性粒子を吸収するために、約4~5mmの厚さを有することができる。
【0128】
層45及び39は、層44及び37(例えば、4~4.5cmの平坦な円)よりも小さな直径であり(例えば、3cmの平坦な円)、そのため、それは、放射能遮蔽によって完全に囲まれる。
【0129】
この例では、陽性マージンは、2次元の(不規則ではあるが)表面上の小さな場所に集中する。したがって、図8及び9における積層構造によって記載される例は、複数の層を有する実質的に平坦な複合シートであることが、好ましい。
【0130】
図9を参照すると、積層構造は、創傷床に直接接触している活性放射性同位元素フィルム層39を有する、参照番号42によって表される創傷床上に位置するよう示される。図10では、平らな局所小線源療法積層構造は、取り外し可能な遮蔽シート44をさらに含む。一例では、取り外し可能な遮蔽シート44は、取り扱い及び送達のためにのみ存在し、適用時に取り外される鉛ビニル/アクリル複合物を含むことができる。
【0131】
遮蔽シート44は、創傷床への取り付けのためにそこから剥がすための水及び/または熱可溶性接着剤で、活性放射性同位元素フィルム層9の周囲に取り付けられる。図10にさらに示されるように、セルロースのような急速吸収ハイドロコロイドの薄いフィルム45は、活性放射性同位元素フィルム層9と取り外し可能な遮蔽シート44との間に挟まれ得る。使用において、局所小線源療法積層構造の薄いフィルム45は、約25~200ミクロンの厚さであり、創傷表面に接触する最初の層である。薄いフィルム45は、腫瘍細胞を放射線に感受性にするために、ゲムシタビンまたは他の放射線増感剤(radio-sensitiser)をさらに含有する。
【0132】
水及び熱が手術床または創傷床から吸収されると、積層構造の層は、非常に可撓性になり、不規則な表面に粘着し、所定の放射線量を送達する。
【0133】
創傷床から外側に向かって、積層構造は、取り扱い及び送達のためにのみ存在し、適用時に取り外される、取り外し可能な遮蔽シート44、例えば、鉛ビニル及び/またはアクリルアクリルを含む。取り外し可能な遮蔽シート44は、水及び/または剥がすための熱可溶性接着剤で外側層37の周囲に取り付けられ得る。積層構造は、創傷表面に実際に触れる最初の層である急速吸収ハイドロコロイド45(セルロース)の薄いフィルムをさらに含む。このことは、腫瘍細胞を、厚さは約25~200ミクロンの厚さであり得る、放射線に感受性にするための、ゲムシタビンまたは他の放射線増感剤を含む。積層構造は、平坦なシートまたは薄いメッシュ層45を形成する層44と層39との間の表面界面に含浸された放射性同位元素粒子をさらに含む。
【0134】
外科医及び任意の他の組織が症例を終了させ放射性同位元素が崩壊する間、放射線を吸収して外科医及び任意の他の組織を保護する外側層37は、粒子を効率的に吸収するための約4~5mmの厚さを有することができる。
【0135】
システムの利点は、システムが、手術床への補助放射線療法の有無にかかわらず、化学療法に対する近接または陽性マージンを管理する代替治療を提供することと、システムが、従来の治療の高い毒性への曝露を回避することと、放射線の線量が、組織のマージンにより容易に局在化され得、したがって、腸のような放射線感受性のある周辺の構造の存在の影響を減少させることと、局所装置を用いた治療の開始前に再構築された構造(吻合のような)が治癒するのを待つ必要性がないことと、を含む。
【0136】
多くの変形例及び/または修正は、本開示の広い一般的な範囲から逸脱することなく、上記の実施形態になされ得ることが、当業者によって理解されるであろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で例示的であり、限定的ではないと見なすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体における創傷部位に対する適用のための可撓性小線源療法装置であって、当該装置が、
複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックス構造であって、当該生体再吸収性担体マトリックス構造が、前記複数の放射性同位元素粒子からの活性が前記創傷部位に局在化されるように、前記創傷部位で埋め込まれる際に、前記生体再吸収性担体マトリックス構造が前記複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも長い半減期を有するような速度で分解するように構成され、前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、反対の第1及び第2の表面を有する、前記生体再吸収性担体マトリックス構造と、
当該生体再吸収性担体マトリックス構造の前記第1の表面に隣接して位置する親水性基質であって、当該親水性基質が前記創傷部位に付着するように構成され、前記創傷部位で埋め込まれる際に、前記親水性基質が、前記複数の放射性同位元素粒子の半減期中の装置の移動を防止するように、前記生体再吸収性担体マトリックス構造よりも速い速度で分解するように構成される前記親水性基質と、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の前記第2の表面に隣接して位置するハイドロゲル基質であって、当該ハイドロゲル基質が、放射能を遮蔽するように、かつ前記ハイドロゲル基質が前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期よりも長い半減期を有するような速度で分解するように構成される、前記ハイドロゲル基質と、
を含む、可撓性小線源療法装置。
【請求項2】
前記複数の放射性同位元素粒子は、ベータ放射体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の放射性同位元素粒子は、イットリウム-90、イリジウム-192、パラジウム-103、セシウム-131、ヨウ素-131、ヨウ素-125、ヨウ素-123、33-リン、32-リン、33-リン及び32-リンの混合物、またはかかる同位元素を含有する化合物のうちの1つ以上を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、放射線療法の密封された供給源を提供する、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記放射線療法の密封された供給源が、疎水性または部分的に疎水性の層を有する放射性粒子の積層を通じて得られる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造は、放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させることによって形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記生体再吸収性担体マトリックス構造は、放射性同位元素の水溶液を沈殿させて、生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによって形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記沈殿が沈殿剤により達成され、当該沈殿剤が、身体で生体再吸収されることができる不溶性または難溶性の塩を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
沈殿剤がカルシウムイオンの水溶液を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記沈殿剤が、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸カルシウム及び臭化カルシウムのうちの1つ以上を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記疎水性物質が、親水性表面を含む、請求項6~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記水溶液が、放射性イオンを含む、請求項6~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記放射性イオンが、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二カリウム、オルトリン酸、またはピロリン酸四ナトリウム、またはヨウ化物を含有する可溶性化合物のうちの1つ以上の化合物に由来する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の放射性同位元素粒子は、リン酸カルシウムの複合分子中に放射性元素を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記リン酸カルシウムの複合分子が、ピロリン酸カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、及びリン酸四カルシウムのうちの1つ以上を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
可撓性多層生体再吸収性小線源療法装置であって、当該装置が、
疎水性または部分的に疎水性の層によって形成された放射線療法の密封された供給源であって、前記疎水性または部分的に疎水性の層がレセプタクルを形成する、密封された供給源と、
前記レセプタクル内に受容された複数の放射性同位元素粒子と、を含み、
前記疎水性または部分的に疎水性の層が、前記複数の放射性同位元素粒子からの活性が創傷部位に局在化されるように、前記創傷部位で埋め込まれる際に、前記放射線療法の密封された供給源が前記複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも長い半減期を有するような速度で分解するように構成され、
前記レセプタクルがハイドロゲル基質と親水性基質との間に配置されて多層生体再吸収性小線源療法装置を形成し、前記ハイドロゲル基質が放射線を遮蔽するように構成される、多層生体再吸収性小線源療法装置。
【請求項17】
前記複数の放射性同位元素粒子は、ベータ放射体を含む、請求項16に記載の可撓性多層生体再吸収性小線源療法装置。
【請求項18】
前記複数の放射性同位元素粒子は、イットリウム-90、イリジウム-192、パラジウム-103、セシウム-131、ヨウ素-131、ヨウ素-125、ヨウ素-123、33-リン、32-リン、33-リン及び32-リンの混合物、またはかかる同位元素を含有する化合物のうちの1つ以上を含む、請求項16または17に記載の可撓性多層生体再吸収性小線源療法装置。
【請求項19】
前記複数の放射性同位元素粒子が、身体で生体再吸収されることができる不溶性または難溶性の塩を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の可撓性多層生体再吸収性小線源療法装置。
【請求項20】
前記放射線療法の密封された供給源が、疎水性または部分的に疎水性の層を有する放射性粒子の積層を通じて得られる、請求項16~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記疎水性または部分的に疎水性の層が、前記複数の放射性同位元素粒子からの活性が少なくとも前記複数の放射性同位元素粒子の半減期の間、前記密封された供給源に局在化されるように、前記創傷部位に埋め込まれる際に、前記密封された放射線療法の供給源が少なくとも前記複数の放射性同位元素粒子の半減期の間持続するような速度で分解するように構成される、請求項16~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記親水性基質が、前記複数の放射性同位元素粒子の少なくとも半減期の間装置の移動を防止するように、前記創傷部位に付着するように構成されている、請求項16~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記ハイドロゲル基質が、前記創傷部位に埋め込まれる際に分解するように構成されており、これにより、前記複数の放射性同位元素粒子の少なくとも半減期の間、前記ハイドロゲル基質が放射線を遮蔽する、請求項16~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記ハイドロゲル基質は、クエン酸で架橋され、ハイドロゲル基質に対するクエン酸の百分率は、ハイドロゲル基質が分解して構造的完全性及び遮蔽能力を維持する速度を特定するように選択される、請求項1~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記百分率は、2.5%~10%である、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記クエン酸による架橋は、酸化チタンによって触媒される、請求項24又は25に記載の装置。
【請求項27】
前記親水性基質が、止血剤のコーティングまたは懸濁液を含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の装置の、患者におけるがんを治療するための薬剤、キット又は小線源療法システムを製造するための使用。
【請求項29】
請求項1~27のいずれか一項に記載の装置の、がん外科手術に続く、身体の創傷部位における悪性がん及び漿液腫の局所再発を最小化及び/または制御するための薬剤、キット又は小線源療法システムを製造するための使用。
【請求項30】
請求項1~27のいずれか一項に記載の装置の、身体の創傷部位のマージンでの顕微鏡的腫瘍細胞の制御されない増殖を最小化及び/または制御するための薬剤、キット又は小線源療法システムを製造するための使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
他の例では、複数の放射性同位元素粒子3は、イットリウム-90、イリジウム-192、パラジウム-103、セシウム-131、ヨウ素-131、ヨウ素-125、ヨウ素-123、33-リン(33P)、32リン(32P)、または32リンに対する33リンの比率及び/またはかかる同位元素を含有する化合物のうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの例では、複数の放射性同位元素粒子3として33P対32P放射性同位元素の比率の使用は、P32単独と比較して、取り扱いからの付帯的放射線曝露を低下させる。この記載では、放射性同位元素粒子3が放射性同位元素を含有する化合物を含むことができることを、理解されたい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
いくつかの例では、複数の不溶性放射性同位元素粒子3は、複数の放射性同位元素粒子に沈殿剤を添加することによって提供され得る。一例では、複数の放射性同位元素粒子3はイオンを含むことができ、そのため沈殿剤は複数の放射性同位元素イオンに添加される。一例では、放射性同位元素イオンは、溶液に懸濁されて放射性同位元素水溶液を形成し、担体マトリックス2全体に散布されることができる。このことは、不溶性形態の複数の放射性同位元素粒子3を作製する。一例では、放射性同位元素水溶液は、化合物ピロリン酸四ナトリウムの元素から構成され得る。他の例では、生体再吸収性不溶性塩中に沈殿することができる任意の水性放射性同位元素溶液が、使用され得る。これらは、32Pリン酸イオンを含有する任意の水溶液を含むが、他の例では、放射性カルシウムイオン、放射性クロム51、放射性ヨウ素イオン(I-131、I-125、I-123など)、パラジウム103、セシウム131などを含むが、これらに限定されない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0136
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0136】
多くの変形例及び/または修正は、本開示の広い一般的な範囲から逸脱することなく、上記の実施形態になされ得ることが、当業者によって理解されるであろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で例示的であり、限定的ではないと見なすべきである。
本実施形態に係る発明は、以下に示す発明であってもよい。
[1]
身体における創傷部位に対する適用のための可撓性小線源療法装置であって、前記装置が、
複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックス構造であって、前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、前記複数の放射性同位元素粒子からの活性が前記創傷部位に局在化されるように、前記創傷部位で埋め込まれる際に、前記複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも実質的に長い速度で分解するように構成され、前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、反対の第1の表面及び第2の表面を有する、前記生体再吸収性担体マトリックス構造と、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の前記第1の表面に隣接して位置する親水性基質であって、前記親水性基質が、前記創傷部位に接着し、前記創傷部位で埋め込まれる際に、前記親水性基質が、前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期中の前記装置の移動を防止するように、前記生体再吸収性担体マトリックス構造よりも短い速度で分解するように構成される、前記親水性基質と、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の前記第2の表面に隣接して位置するハイドロゲル基質であって、前記ハイドロゲル基質が、放射能を遮蔽するように、かつ前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期よりも長い速度で分解するように構成される、前記ハイドロゲル基質と、を含む、前記可撓性小線源療法装置。
[2]
前記生体再吸収性担体マトリックスが、
放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させることによって形成される、[1]に記載の方法。
[3]
前記生体再吸収性担体マトリックスが、
前記放射性同位元素を沈殿させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによって形成される、[2]に記載の方法。
[4]
前記疎水性物質が、親水性表面を含む、[2]または[3]に記載の装置。
[5]
前記水溶液が、放射性イオンを含む、[2]、[3]、または[4]に記載の装置。
[6]
前記放射性イオンが、以下の化合物、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二カリウム、オルトリン酸、またはピロリン酸四ナトリウム、またはヨウ化物を含有する可溶性化合物のうちの1つ以上に由来する、[5]に記載の装置。
[7]
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、酵素プロセスにより分解可能な材料(複数可)で構成される、[1]-[6]のいずれか1項に記載の装置。
[8]
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、ピロホスファターゼにより分解可能な材料(複数可)で構成される、[1]-[7]のいずれか1項に記載の装置。
[9]
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
放射性同位元素の水溶液をアモルファスまたは半結晶性の疎水性物質に吸着または分散させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造を提供することにより形成される、[1]に記載の装置。
[10]
前記アモルファスまたは半結晶性の疎水性物質が、親水性表面を含む、[9]に記載の装置。
[11]
前記複数の放射性同位元素粒子が、リン酸カルシウムの複合分子における元素である、[1]-[10]のいずれか1項に記載の装置。
[12]
前記リン酸カルシウムの複合分子が、ピロリン酸カルシウム、リン酸一カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、リン酸四カルシウムのうちの1つ以上を含む、[8]に記載の装置。
[13]
沈殿剤がカルシウムイオンの水溶液を含む、[4]~[9]のいずれか1項に記載の装置。
[14]
前記沈殿剤が、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸カルシウムまたは臭化カルシウムのうちの1つ以上を含む、[10]に記載の装置。
[15]
前記生体再吸収性担体マトリックスが、性質上、アモルファスまたは半結晶性である、[2]~[14]のいずれか1項に記載の装置。
[16]
前記生体再吸収性担体マトリックスが、前記装置の分解速度が、前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期に基づき、結晶化度の改変を通じるように、部分的に半結晶性である、[15]に記載の装置。
[17]
前記ハイドロゲル基質がクエン酸で架橋され、クエン酸の百分率が、前記ハイドロゲル基質が分解して構造的完全性及び遮蔽能力を維持する速度を特定するように選択される、[1]~[16]のいずれか1項に記載の装置。
[18]
前記百分率が、2.5%~10%である、[17]に記載の装置。
[19]
前記クエン酸架橋が、酸化チタンによって触媒される、[17]または[18]に記載の装置。
[20]
前記ハイドロゲル基質の表面に隣接して位置する不活性接着剤層をさらに含み、前記不活性接着剤層が前記創傷部位に接着するように構成される、[1]~[19]のいずれか1項に記載の装置。
[21]
前記不活性接着剤層に隣接して位置する取り外し可能なフィルムをさらに含み、前記取り外し可能なフィルムが、前記不活性接着剤層の表面を前記創傷部位に曝露させるために前記不活性接着剤層から取り外し可能である、[20]に記載の装置。
[22]
身体における創傷部位に対する適用のための可撓性小線源療法装置を製造する方法であって、前記方法が、
複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックス構造を形成することであって、前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、前記複数の放射性同位元素粒子からの活性が前記創傷部位に局在化されるように、前記放射性同位元素粒子の半減期よりも実質的に長い速度で分解するように構成され、前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、反対の第1の表面及び第2の表面を有する、前記形成することと、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の前記第1の表面に隣接する親水性基質を形成することであって、前記親水性基質が、前記創傷部位に接着し、前記創傷部位で埋め込まれる際に、前記親水性基質が、前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期中の前記装置の移動を防止するように、前記生体再吸収性担体マトリックス構造よりも短い速度で分解するように構成される、前記形成することと、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の前記第2の表面に隣接するハイドロゲル基質を形成することであって、前記ハイドロゲル基質が、放射能を遮蔽するように、かつ前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期よりも長い速度で分解するように構成される、前記形成することと、を含む、前記方法。
[23]
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させることによって形成される、[22]に記載の方法。
[24]
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
前記放射性同位元素を沈殿させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによって形成される、[22]に記載の方法。
[25]
前記疎水性物質が、親水性表面を含む、[23]または[24]に記載の方法。
[26]
前記水溶液が、放射性イオンを含む[22]~[25]のいずれか1項に記載の方法。
[27]
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
放射性同位元素の水溶液をアモルファスまたは半結晶性の疎水性物質に吸着または分散させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造を提供することにより形成される、[22]に記載の方法。
[28]
前記アモルファスまたは半結晶性の疎水性物質が、親水性表面を含む、[27]に記載の方法。
[29]
複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックス構造であって、前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造を生成することによって形成される、前記生体再吸収性担体マトリックス構造。
[30]
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
前記放射性同位元素を沈殿させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによって形成される、[29]に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
[31]
前記疎水性物質が、親水性表面を含む、[29]または[30]に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
[32]
前記水溶液が、放射性イオンを含む、[29]、[30]、または[31]に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
[33]
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
放射性同位元素の水溶液をアモルファスまたは半結晶性の疎水性物質に吸着または分散させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造を提供することにより形成される、[25]に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
[34]
前記アモルファスまたは半結晶性の疎水性物質が、親水性表面を含む、[33]に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
[35]
前記生体再吸収性担体マトリックスが、性質上、アモルファスまたは半結晶性である、[29]~[34]のいずれか1項に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
[36]
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、創傷部位で埋め込まれる際に、前記複数の不溶性放射性同位元素粒子からの活性が前記創傷部位に局在化されるように、前記複数の放射性同位元素粒子の半減期よりも実質的に長い速度で分解するように構成される、[29]~[35]のいずれか1項に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
[37]
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、創傷部位に対する適用のための小線源療法装置において使用されるように構成され、前記装置が、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の第1の表面に隣接して位置する親水性基質であって、前記親水性基質が、前記創傷部位に接着し、前記創傷部位で埋め込まれる際に、前記親水性基質が、前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期中の前記装置の移動を防止するように、前記生体再吸収性担体マトリックス構造よりも短い速度で分解するように構成される、前記親水性基質を含む、[29]~[36]のいずれか1項に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
[38]
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、創傷部位に対する適用のための小線源療法装置において使用されるように構成され、前記装置が、
前記生体再吸収性担体マトリックス構造の第2の表面に隣接して位置するハイドロゲル基質であって、前記ハイドロゲル基質が、放射能を遮蔽するように、かつ前記複数の放射性同位元素粒子の前記半減期よりも長い速度で分解するように構成される、前記ハイドロゲル基質を含む、[29]~[36]のいずれか1項に記載の生体再吸収性担体マトリックス構造。
[39]
複数の放射性同位元素粒子を含む生体再吸収性担体マトリックスを製造するための方法であって、前記方法が、
放射性同位元素の水溶液を疎水性物質に吸着または分散させることを含む、前記方法。
[40]
前記生体再吸収性担体マトリックス構造が、
前記放射性同位元素を沈殿させて、前記生体再吸収性担体マトリックス構造に複数の不溶性放射性同位元素粒子を形成することによって形成される、[39]に記載の方法。
[41]
前記疎水性物質が、親水性表面を含む、[39]または[40]に記載の方法。
[42]
前記水溶液が、放射性イオンを含む、[39]~[42]のいずれか1項に記載の方法。
[43]
身体における創傷部位に対する小線源療法装置の適用のためのアプリケータ装置であって、前記アプリケータ装置が、
小線源療法装置を受容するための凹部を有する上部ハウジングと、
前記上部ハウジングに取り付けられた取り外し可能な基部であって、取り付けられた際に、前記取り外し可能な基部及び上部ハウジングが、前記小線源療法装置からの放射線を遮蔽する、前記取り外し可能な基部と、を含み、
前記取り外し可能な基部が、前記小線源療法装置の第1の表面を創傷部位に曝露させるために前記上部ハウジングから取り外し可能である、前記アプリケータ装置。
[44]
前記取り外し可能な基部が、前記上部ハウジングに摺動可能に取り付けられ、前記上部ハウジングから摺動可能に取り外し可能である、[43]に記載のアプリケータ装置。
[45]
前記上部ハウジングが、前記凹部における前記小線源療法装置への入口ポートを通じた流体の導入を可能にするための、前記凹部に流体的に接続された前記入口ポートをさらに含む、[43]または[44]に記載のアプリケータ装置。
[46]
前記上部ハウジング及び前記取り外し可能な基部を追加的に固定するための可溶性接着剤をさらに含み、前記可溶性接着剤が、前記取り外し可能な基部が前記上部ハウジングから摺動可能に取り外されることを可能にするための前記凹部へ導入された液体によって、溶解可能である、[43]、[44]、または[45]に記載のアプリケータ装置。
[47]
前記上部ハウジングが、ベータ放射線を遮蔽するための透明、半透明、または半透明である材料を含む、[43]~[46]のいずれか1項に記載のアプリケータ装置。
[48]
前記上部ハウジングが、アクリレートポリマーから形成される、[47]に記載のアプリケータ装置。
[49]
前記創傷部位への前記アプリケータ装置及び小線源療法装置の設置を支援するために、前記上部ハウジングでハンドルをさらに含む、[43]~[48]のいずれか1項に記載のアプリケータ装置。
[50]
小線源療法システムであって、
[43]~[48]のいずれか1項に記載のアプリケータ装置と、
[1]~[21]のいずれか1項に記載の小線源療法装置と、を含み、
前記ハイドロゲル基質が、前記アプリケータ装置の前記入口ポートによって平衡水分含有量で水和される、前記小線源療法システム。
【外国語明細書】