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特開2025-24093冷却システム、及び冷却システムを備える実験機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024093
(43)【公開日】2025-02-19
(54)【発明の名称】冷却システム、及び冷却システムを備える実験機器
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/10 20060101AFI20250212BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20250212BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20250212BHJP
   B01L 7/00 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
F25B1/10 Z
F25B1/00 396D
F25B1/00 331E
F25B43/00 B
F25B43/00 R
F25B1/00 321A
B01L7/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024198917
(22)【出願日】2024-11-14
(62)【分割の表示】P 2022156225の分割
【原出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】10 2021 125 446.9
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】502399259
【氏名又は名称】サーモ エレクトロン エルイーディー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Thermo Electron LED GmbH
【住所又は居所原語表記】Robert-Bosch-Strasse 1,D-63505 Langenselbold,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】カイ パイツベルク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ランガー
(57)【要約】
【課題】装置を冷却若しくは温度調節するために使用することができる冷却システムを提供する。
【解決手段】本願は、冷却システム(10)に関し、冷却システム(10)は、蒸発器(11)、第1のコンプレッサ(12)、第2のコンプレッサ(14)、冷却コンポーネント(16)、膨張装置(18)、ならびに蒸発器(11)、第1のコンプレッサ(12)、第2のコンプレッサ(14)、冷却コンポーネント(14)、及び膨張装置(18)を互いに接続する配管システム(20´、21´)を有する。冷却システム(10)に冷媒が入っていて、冷媒は二酸化炭素である。第1のコンプレッサ(12)及び第2のコンプレッサ(14)が互いに直列に配置されている。本願は、対応する実験機器(300)にも関する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却システム(10)を備える実験機器(300)であって、
前記冷却システム(10)は、
蒸発器(11)と、
第1のコンプレッサ(12)と、
第2のコンプレッサ(14)と、
冷却コンポーネント(16)と、
膨張装置(18)と、
前記蒸発器(11)、前記第1のコンプレッサ(12)、前記第2のコンプレッサ(14)、前記冷却コンポーネント(14)、及び前記膨張装置(18)を互いに接続する配管システム(20´、21´)と、
を有し、
前記冷却システム(10)に冷媒が入っていて、前記冷媒が二酸化炭素であり、
前記第1のコンプレッサ(12)及び前記第2のコンプレッサ(14)が互いに直列に配置されている、実験機器。
【請求項2】
前記冷却システム(10)は、前記冷媒が出口温度で前記第1のコンプレッサを出る場合に、前記冷媒が前記出口温度よりも低い入口温度で前記第2のコンプレッサに送られるように設定されている、請求項1に記載の実験機器(300)。
【請求項3】
前記冷却システム(10)が主回路を有し、前記主回路は、
前記蒸発器(11)と、
前記第1のコンプレッサ(12)と、
前記第2のコンプレッサ(14)と、
前記冷却コンポーネント(16)と、
前記膨張装置(18)と、
前記配管システム(20´、21´)の少なくとも一部と、を有し、
前記冷媒が前記主回路内に存在し、前記冷却システム(10)が、第1の接続箇所(42)及び第2の接続箇所(44)で前記主回路と流体的に接続されている戻り区分(40)を有し、
前記第2の接続箇所(44)は、前記主回路において、前記第1のコンプレッサ(12)の下流及び前記第2のコンプレッサ(14)の上流にある、請求項1又は2に記載の実験機器(300)。
【請求項4】
熱交換器(48)を備え、前記熱交換器(48)が、前記主回路において前記冷却コンポーネント(16)の下流に配置された1次側を備え、前記熱交換器(48)は、前記主回路における前記冷媒を冷却するように形成されている、請求項3に記載の実験機器(300)。
【請求項5】
前記熱交換器(48)は、前記冷媒を前記第1の接続箇所(42)及び/又はライン区分(208)において前記冷却コンポーネント(16)の出口温度未満の所定温度にするように形成され、前記熱交換器(48)は、前記戻り区分(40)に配置された2次側を備え、前記熱交換器(48)は、前記1次側によって、前記冷媒から熱を吸収するように、かつ前記戻り区分(40)における前記冷媒を加熱するために、前記吸収した熱を前記2次側によって前記冷媒に放出するように形成されている、請求項4に記載の実験機器(300)。
【請求項6】
前記戻り区分に配置された別の膨張装置(46)を備え、前記別の膨張装置(46)は、前記冷媒を前記3次圧力領域から前記2次圧力領域へ低下させるように形成されている、請求項3~5のいずれか1項に記載の実験機器(300)。
【請求項7】
別の熱交換器(50)を備え、前記別の熱交換器(48)は、前記主回路において前記膨張装置(18)の上流に、及び/又は前記冷却コンポーネント(16)の下流に配置された1次側を備え、前記別の熱交換器(50)は、前記冷媒を冷却するように形成されている、請求項3~6のいずれか1項に記載の実験機器(300)。
【請求項8】
前記別の熱交換器(50)は、前記主回路において前記蒸発器(11)の下流、及び/又は前記第1のコンプレッサ(12)の上流に配置された2次側を備え、前記別の熱交換器(50)は、前記1次側によって、前記冷媒から熱を吸収するように、かつ前記第1のコンプレッサ(12)の上流の冷媒を加熱するために、前記吸収した熱を前記2次側によって前記冷媒に放出するように形成されている、請求項7に記載の実験機器(300)。
【請求項9】
液状の状態の前記冷媒を分離するように形成された液体分離器(30)を備え、前記液体分離器(30)は、前記主回路において前記蒸発器(11)の下流及び/又は前記第1のコンプレッサ(12)の上流に配置されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の実験機器(300)。
【請求項10】
前記冷媒を液相と気相に分けるように形成された中圧容器(70)を備え、前記中圧容器(70)は、前記主回路において前記冷却コンポーネント(16)の下流及び/又は前記膨張装置(18)の上流に配置されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の実験機器(300)。
【請求項11】
前記中圧容器(70)が、3方収集器として形成され、かつ、
-冷媒を前記中圧容器(70)内に導くように形成され、前記冷却コンポーネント(16)の下流に配置されている容器入口(71)と、
-液状の冷媒を前記中圧容器から前記ライン区分(208)に送るように形成され、前記蒸発器(11)の上流及び/又は前記膨張装置(18)の上流に配置されている第1の容器出口(72)と、
-前記中圧容器(70)を前記戻り区分(40)に結合し、ガス状の冷媒を前記戻り区分(40)内に導くように形成されている第2の容器出口(73)と、
を有する、請求項7を引用する請求項10に記載の実験機器(300)。
【請求項12】
前記冷媒の圧力を低減するように、特に前記圧力を3次圧力領域から2次圧力領域へ低減するように、又は前記圧力を前記3次圧力領域内で低減するように形成された高圧制御装置(74)を備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の実験機器(300)。
【請求項13】
前記冷媒を冷却するように形成され、前記第1のコンプレッサ(12)の下流に配置された第2の冷却コンポーネント(32)を備え、前記第2の冷却コンポーネント(32)は、前記冷媒を所定温度に冷却するように形成され、それにより前記第2のコンプレッサ(14)の下流の前記冷媒が限界温度未満の温度を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の実験機器(300)。
【請求項14】
前記冷媒の流れを制御するように形成された回路コントローラを備え、前記回路コントローラは、前記冷媒の圧力にもとづいて前記膨張装置(18)の開放を制御するように形成され、前記膨張装置(18)の開度に応じて前記膨張装置(18)の下流の前記冷媒の圧力解放を制御可能である、請求項1~13のいずれか1項に記載の実験機器(300)。
【請求項15】
コンプレッサ出口温度を下げるために、前記戻り区分(44)からの冷却された冷媒を前記第2の接続箇所(44)において注入可能である、請求項3~10及び請求項12、13のいずれか1項に記載の実験機器(300)。
【請求項16】
前記回路コントローラは、前記3次圧力領域の圧力、特に最適な高圧を調整するために、前記冷却コンポーネントのアウトレット温度及び/又は周囲温度に応じて前記膨張装置を制御するように形成されている、請求項14に記載の実験機器(300)。
【請求項17】
前記実験機器は、ロータタンク(301)を備え、前記ロータタンクに前記蒸発器(11)が配置され、前記蒸発器は、前記ロータタンクの外面に配置された蒸発器巻線(302)を備え、前記蒸発器巻線は周回するラインによって形成され、
前記蒸発器巻線は、平ら面を形成するために少なくとも片側が平らにされた形状、特にD字形を有し、前記平ら面は、面接触を形成するために前記ロータタンクの前記外面に当接する、請求項1~16のいずれか1項に記載の実験機器。
【請求項18】
前記蒸発器巻線は、5mm~20mmの範囲の外管径を有する、請求項17に記載の実験機器。
【請求項19】
実験機器が遠心分離器である、請求項1~18のいずれか1項に記載の実験機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置を冷却若しくは温度調節するために使用することができる冷却システムに関する。特に、本発明は、実験機器で使用するための冷却システムに関する。さらに、本発明は、とりわけ遠心分離器、インキュベータ、及び生物学的安全キャビネットを含む実験機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば遠心分離器などの実験機器を冷却システムによって冷却すること、若しくは実験機器(例えば遠心分離器)の温度を調節することが知られている。相応の冷却システムは、通常、蒸発器、コンプレッサ、冷却コンポーネント、及び膨張装置を有し、これらは回路内で配管システムを介して互いに接続されている。このような冷却システムは冷媒を用いて動作し、冷媒は、循環システム内で状態が変化し、それによりプロセスポイント(典型的には蒸発器)で周囲から熱を奪い、別のプロセスポイント(典型的には冷却コンポーネント)で周囲に熱を放出する。つまり、冷却コンポーネントで、システム内の冷媒から熱が奪われ、すなわち冷媒が(例えばベンチレータなどによって)冷却される。
【0003】
特に実験機器用の冷却システムは、先行技術において多くの点で実証されているが、それらにはいくつかの不十分な点若しくは欠点がある。これらは、例えば安全性、環境適合性、及び使いやすさ、及び冷却システムの適用範囲に関連するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、先行技術の不十分な点若しくは欠点を克服するか、又は少なくとも軽減することである。したがって、本発明の課題は、特に、安全性、環境適合性、使いやすさ、及び適応範囲の使用範囲の幅という側面のうちの少なくとも1つに関して改善された、例えば実験機器用の冷却システムを提供することである。殊に、冷却システムはこれらの側面のいくつかに関して改善される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、本発明の冷却システムによって解決される。
【0006】
第1の態様によれば、本発明は冷却システムに関し、冷却システムは、蒸発器、第1のコンプレッサ、第2のコンプレッサ、冷却コンポーネント、膨張装置、及び配管システムを備える。配管システムは、蒸発器、第1のコンプレッサ、第2のコンプレッサ、冷却コンポーネント、及び膨張装置を相互に接続する。冷却システムには冷媒が入っていて、冷媒は二酸化炭素である。第1のコンプレッサと第2のコンプレッサは互いに直列に配置されている。
【0007】
冷却システムは、蒸発器で熱を吸収し、冷却コンポーネントで熱を放出することができる。冷却システムは、特に、閉じた冷媒回路を備えることができ、それにより冷媒は、周囲大気及び/又は2次冷媒回路との物質的に結合する交換なしに冷却システム内を循環する。冷却コンポーネントは、冷媒の効率的な冷却を実現するために、冷媒を周囲大気に熱的に結合するように形成された熱交換器であり得る。冷媒は、冷却コンポーネントにおいてガス状であり得る。さらに、冷却コンポーネントは、冷媒を液状状態に転移させるように形成された凝縮器であり得る。
【0008】
2つのコンプレッサを使用することで、冷却システムは多段に形成されている。それによって、特に高い圧力を達成できるか、ないしは高い圧力を可能な限りエネルギー効率よく達成できるという利点を達成することができる。冷媒は、第1の圧力から少なくとも1つの中間圧力を経て最終圧力まで順次圧縮され得る。中間圧縮ごとに、別のコンプレッサを設けることができる。それによって、圧縮プロセスを複数のコンプレッサに分散させることができる。
【0009】
膨張装置は、特に膨張弁として形成することができる。制御可能な圧力調節、特に圧力低下を実現するために、膨張弁を制御可能に形成することができる。膨張弁によって冷媒を膨張させることができる。
【0010】
冷却コンポーネントは、冷媒の流れ方向でコンプレッサ及び/又は別のコンプレッサの下流に配置することができる。
【0011】
冷媒は二酸化炭素(以下、CO2又はR744とも略される)である。R744は低い毒性を有し得る。したがって、CO2は特にアンモニアの代替となる。R744を使用する場合、冷却システムは超臨界サイクルを実施することができる。臨界点を超えることができる。それによって、コンプレッサでの圧力及び/又は温度を上昇させることができる。
【0012】
CO2を冷媒とすることで、地球温暖化係数(GWP)を従来の冷媒に比べて低下させることができる。GWPが150未満に制限される場合、可能な冷媒は可燃性であり得(例えばA3及びA2Lクラスの冷媒)、又は不燃性のCO2を使用することができる。CO2を使用することによって、140barまでの動作圧力が生じることができる。特に、可燃性冷媒、ならびに/あるいはフッ素化及び/又はハロゲン化ハイドロフルオロカーボンの使用と比べて高い動作圧力、例えば60barを超える圧力が生じることができる。
【0013】
冷媒としてCO2を使用することは、少なくとも1つの水素がハロゲンで置換された(例えば、いわゆるフッ素化及びハロゲン化ハイドロフルオロカーボン又はFガスなど)可燃性冷媒又は炭化水素のために冷媒として使用される従来技術の様々な冷却システムとは異なる。CO2は、可燃性冷媒と比べて動作信頼性が高いという利点があり、他の冷媒に比べて、CO2は環境適合性が高いという利点がある。
【0014】
冷媒としてCO2を使用する場合、1つのコンプレッサによる単段圧縮の最大限達成可能な高圧が制限される可能性がある。この欠点は、本発明が2段圧縮を使用することにより克服される。その一方で、2段圧縮は、比較的単純に形成されたコンプレッサを使用することも可能にする。
【0015】
実験機器、特に遠心分離器での冷却システムの使用に関しては、実験機器の動作のための許容周囲温度は40℃までであり得る。この温度で、冷却システム内で冷却媒体としてのCO2がすでにガス状になっている可能性がある。CO2は周囲大気との熱交換によって冷却され得る。この場合、CO2はガス状のままであり得る。したがって、冷却システム内で少なくとも60bar、好ましくは少なくとも70barの高圧を達成することができる。相応の圧縮を2段圧縮によって達成することができる。
【0016】
すなわち、全体として、本発明の実施形態は、冷媒としてのCO2を効率的に使用するための新しい冷却システムを提供する。
【0017】
冷却システムを、超臨界蒸気圧縮サイクルを実行するように形成することができる。超臨界サイクルでは、冷媒は、少なくとも一時的に、ないしはサイクルの一部で1次冷媒の臨界点を超えることができる。特に、サイクルの一部を臨界点を上回る圧力で実行し、サイクルの別の一部を臨界点を下回る圧力で実行することができる。臨界点は、蒸発又は凝縮にもとづく伝熱プロセスの上限を示すことができる。この臨界点を超える温度と圧力では、液体と蒸気を明確に区別することができなくなる。すべての冷媒に臨界点があるが、従来の冷媒では、典型的な冷媒回路において常にこの点を下回る可能性がある。
【0018】
冷媒回路は、冷却システムが最適なサイクル効率で動作する好ましい動作状態点に相当する特定のサイクル性能特性を有することができる。本冷却システムは、この動作状態点から外れる場合に、それに応じて最適なシステム効率を達成するために再制御できるという利点を達成することができる。この場合、制御は、特に内部熱伝達若しくは副次的な冷媒流により冷媒温度を局所的に適合させることを含む。内部熱伝達は、これらの冷却システム区分の熱的結合による、第1の冷却システム区分から第2の冷却システム区分への熱伝導と定義することができる。副次的冷媒流は、主回路から冷媒を分岐させ、別の箇所で主回路に戻す追加の配管区分によって実現できる。これは、物質的結合による熱伝達を実現することができる。
【0019】
第1のコンプレッサと第2のコンプレッサを直列に配置することにより、中圧に圧縮された冷媒を第2のコンプレッサに供給し、第2のコンプレッサは冷媒を中圧から高圧に圧縮する。それに応じて、第1のコンプレッサを低圧から中圧への第1の圧縮のために、及び第2のコンプレッサを中圧から高圧への圧縮のために最適化することができる。それに対応して、各圧縮段を高い効率で実現することができる。有利にも、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサを、周囲大気への冷媒の流れを阻止する完全密閉圧縮機として形成することができる。
【0020】
本発明の実施形態は、冷却システム内の選択的な熱伝達によって、様々な冷却システム領域における冷却媒体の温度をそれぞれの最適値に調節することができる。さらに、2段圧縮による圧縮行程はプロセス効率的及びコスト効率的に達成され得る。例えば、高温ガスの最終温度を低下させることができる。さらに、流体的に分離された2次冷媒回路を使用せずに、冷媒温度の調節を達成することができる。このために、例えば、冷媒回路の様々なプロセスポイントから冷媒の混合物を利用することができる。したがって、有利にも、外部装置による冷媒の温度調節を省略することができる。
【0021】
本発明は、実験機器の衝突安全性を高めることができるので、システム安全性の改善を達成することができる。特に、単一回路システムに縮小ことにより、すなわちただ1つの冷媒搬送回路が設けられ、他の冷媒、特に可燃性又は有毒な冷媒(プロパン-R290、アンモニア-R717)の使用を避けることができる。不燃性の冷媒は、装置の安全性を高めることができる。遠心分離器のロータは、タンク壁、したがって冷媒を導く蒸発器管を突き抜けることができる。この場合、可燃性又は有毒な冷媒と比較して、流出するCO2は、低い安全性リスクに分類することができる。
【0022】
動作圧力が高いため、CO2は、蒸発時に高密度となり、放熱時に体積冷却能力が高くなる。それによって、特に冷却システムが遠心分離器に組み込まれている場合に、設置空間の削減という利点を実現することができる。例えば、冷却コンポーネントないしは凝縮器、及び/又は蒸発器の設置空間容積を低減することができる。
【0023】
有利にも、冷却システムの効率を高めることができる。冷媒の低圧と高圧の圧力比を制限することができる。さらに、2段圧縮により圧力比を大きくすることができ、それにより特に2次回路にもとづく外部への放熱なしに、可能な動作範囲を拡大することができる。動作範囲は、実験機器の動作のための特定の周囲温度範囲に関連して決定され得る。それに加えて、冷却システムは、2次回路を備えた冷却システム(カスケードプロセス及び/又はヒートポンプの使用)に関しては、機器の複雑さを低減し、それにより誤動作発生を抑え、及び/又は保守の手間を低減することができる。
【0024】
冷却コンポーネントは、ガス冷却器及び/又は凝縮器を含むことができる。ガス冷却器は、冷媒を冷却コンポーネントの出口でガス状で、かつ低下させた温度で提供することができる。凝縮器は、冷媒を冷却コンポーネントの出口で液状状態で、かつ低下させた温度で提供することができる。
【0025】
冷却システムを、超臨界蒸気圧縮サイクルを実行するように形成することができる。それに応じて、例えば第2の圧縮段階で第2のコンプレッサによって、それぞれの臨界値を超える圧力及び温度を達成することができる。
【0026】
さらに、冷却コンポーネントを、冷媒を気相から液相に転移させるように形成することもできる。有利にも、冷却コンポーネントは、臨界点を超える圧力及び温度に耐えるようにも形成されている。
【0027】
冷却システムを、亜臨界蒸気圧縮サイクルを実行するように形成することができる。それに応じて、特に第2のコンプレッサの圧力及び温度を、CO2の臨界点に到達又は超過しないようにいくつかの動作状態で調節することもできる。亜臨界範囲用に設計することにより、許容圧力及び/又は温度に関して低い要件を使用することができ、それに応じて、低い要件を満たし、例えば超臨界動作には適さないであろうコンポーネントを使用することができる。これによって、コスト削減を達成することができる。
【0028】
冷却システムは、10W~100kW、殊に500W~10kWの冷却能力を有することができる。それに応じて、小型のモバイル機器及び実験室のベンチトップ機器から産業用の大型設備までの範囲で冷却回路を拡大縮小する(skalieren)ことができる。
【0029】
冷却システムは、蒸発器、第1のコンプレッサ、第2のコンプレッサ、冷却コンポーネント、膨張装置、及び配管システムの少なくとも一部を含む主回路を有することができる。さらに、冷媒は主回路に存在し得る。冷媒の大部分は主回路を流れる。これは、全部が冷却システム内に存在する冷媒の50%Gew(重量パーセント)よりも多くを含む冷媒の流れとして定義できる。冷媒の相応に少ないほうの部分を含む副次的配管区分を設けることができる。特に、冷媒を、内部温度調節のために副次的配管区分を介して送ることができる。
【0030】
冷却コンポーネントを第2のコンプレッサの下流及び膨張装置の上流に配置することができる。それに応じて、冷却コンポーネントは、冷媒が膨張装置に供給される前に冷媒の温度を低下させることができる。冷却コンポーネントをヒートシンクとして形成することができ、冷媒から熱を奪い、これを周囲大気又は外部冷却システムに放出できる。
【0031】
冷却コンポーネントを、第2のコンプレッサの下流で冷媒を冷却するように設定することができる。それにより、冷媒温度が最大になるサイクルポイントで冷媒が冷却コンポーネントに流れ込むことができる。冷却コンポーネントは、冷媒温度を下げることによってエンタルピを低下させることができる。このプロセスを等圧で行うことができる。有利にも、30℃未満、好ましくは31℃未満の温度への冷却を達成することができる。
【0032】
冷却システムを、冷媒が出口温度で第1のコンプレッサを出る場合に、出口温度よりも低い入口温度で冷媒が第2のコンプレッサに供給されるように設定することができる。それによって、第2のコンプレッサないしは第2のコンプレッサの出口における冷媒の最高温度を低下させることができ、それにより第2のコンプレッサの熱的負荷を低減することができる。コンプレッサ間の温度を下げることにより、この場合もエンタルピを等圧で低下させることができる。
【0033】
入口温度と出口温度は、1Kよりも大きい、好ましくは2Kよりも大きい、より好ましくは3Kよりも大きい温度差だけ異なり得る。例えば、温度差は、3K~8Kの範囲であり得る。コンプレッサ間に、冷媒から熱を奪い、冷却システムから運び去るヒートシンクを設けることができる。この場合、例えば、中央冷却設備への熱伝達及び/又は周囲大気への熱伝達を実現することができる。
【0034】
第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサは、スクロール圧縮機、往復動圧縮機、スクリュー圧縮機、回転ピストン圧縮機、又はこれらの組み合わせとして形成することができる。それによって、それぞれの圧力範囲のために最適化された型式のコンプレッサを使用することができる。特に、第2のコンプレッサとは異なる型式のコンプレッサを第1のコンプレッサとして使用することができる。
【0035】
冷却システムは、第1の接続箇所及び第2の接続箇所で主回路と流体接続された戻り区分を有することができる。第2の接合部は、第1のコンプレッサの下流で第2のコンプレッサの上流の主回路に位置することができる。戻り区分を介して、特に冷却システムの効率を高めることができる。冷却システムの容積効率を高めることができるので、第2のコンプレッサの出口における高温ガス温度が低下する。冷却能力を、冷却システムの容積効率に合わせて拡大縮小できる。容積効率は、コンプレッサの容量の、又はコンプレッサの実際の吐出量の体積効率であり得る。高い高温ガス温度は、コンポーネントを潤滑するための機械油の耐久性に影響を及ぼす、特に低下させる可能性がある。したがって、温度を下げることにより、コンポーネントの耐久性を長く保つことができる。
【0036】
戻り区分を介して、第2のコンプレッサの入口の前で冷媒を主回路内の冷媒流に注入することができる。注入された冷媒は、低下した温度を有し、特に注入箇所、ここでは特に第2の接続箇所での主回路の冷媒よりも低い温度を有することができる。したがって、第2コンプレッサの注入箇所で冷媒を混合することにより、温度が低下した混合流を提供することができる。
【0037】
遠心分離器の熱負荷は動的であり得、すなわち蒸発温度は動作中に変化し得る。この場合、遠心分離器の各動作モードに応じて、様々な熱負荷が発生する可能性がある。例えば、異なったロータを使用することができ、様々な目標回転数及び/又は目標温度に調整することができる。可変の後注入により、蒸発器の可変負荷を考慮するために、コンプレッサ出口ないしは第2のコンプレッサの出口で高温ガス温度を調節することができる。
【0038】
第2の接続箇所において戻り区分内の冷媒が、主回路において第2の接続箇所の直ぐ上流で冷媒よりも低い比エンタルピを有するように冷却システムを設定することができる。特に、戻り区分のエンタルピを実質的に等圧的、及び/又は実質的に等温的に増大させることができる。エンタルピを変えることで蒸気含有量を変化させることができる。ここで、コンプレッサを保護するために液滴の形成が防止されるように蒸気含有量を選択することができる。例えば、液体の割合が低い蒸気を導入することができる。換言すれば、エンタルピ流入が高い蒸気含有量を達成することを可能にするように注入量を選択することができる。
【0039】
冷却システムは、主回路において冷却コンポーネントの下流に配置された1次側を有する熱交換器を含むことができる。熱交換器を、主回路の冷媒を冷却するように形成することができる。
【0040】
冷媒としてCO2を使用する場合に冷却能力を向上させるために、冷媒の追加冷却を実現することができる。有利にも、熱交換器は、冷却コンポーネントの下流で、より好ましくは冷却コンポーネントの出口で冷媒から熱を奪うように形成されている。
【0041】
熱交換器を冷却システムのエネルギー最適化のために利用することができる。冷却システムは、医療サンプルを分析するための機器、特に40℃の周囲温度まで動作させることができる遠心分離器において使用できる。温度に応じて最適な高圧も上昇させることができる。最適な高圧は、成績係数に依存し得る。温度値と圧力値が冷媒の臨界点を超えると、ガス冷却として放熱プロセスを超臨界で行うことができる。超臨界ガス冷却を、等圧で行うことができる。これに対して、液化は、等圧で、かつ大部分を等温で行うことができる。超臨界ガス冷却の圧力上昇により、コンプレッサの駆動力を高めることができる。
【0042】
冷媒を第1の接続箇所及び/又は配管区分における冷却コンポーネントの初期温度よりも低い所定温度にするように熱交換器を形成することができる。配管区分は、第1の接続箇所と膨張装置の入口とによって画定され得る。熱交換器は、主回路の冷媒から等圧で熱を奪うことができる。冷媒は、超臨界で、ガス状又は液状状態で熱交換器を通過することができる。
【0043】
熱交換器を、主回路における膨張装置の上流に配置することができる。それによって、熱交換器は、膨張装置に入る前の冷媒の冷却に寄与することができる。
【0044】
熱交換器は、戻り区分に配置された2次側を含むことができる。さらに、1次側によって冷媒から熱を吸収し、吸収した熱を2次側によって冷媒に放出して、戻り区分の冷媒を加熱するように熱交換器を形成することができる。戻り区分での冷媒の加熱により、第2の接続箇所の方向の冷媒流は、まだ主回路の冷媒流よりも、特に第1のコンプレッサから第2のコンプレッサへの冷媒流よりも低い温度を有することができる。コンプレッサの間に、及び第2の接続箇所の前に別の熱交換器が配置されることによっても、第2の接続箇所での主回路の温度は、常に、戻り区分から第2の接続箇所への冷媒流の温度よりも高くなり得る。
【0045】
熱交換器の1次側の出口と熱交換器の2次側の入口との間の冷媒温度は、実質的に同一であり得る。ここでは、配管及び/又は他のコンポーネントによって熱損失が発生し、この熱損失がわずかな温度差を生じる可能性がある。2次側は、戻り区分のエンタルピを等圧及び/又は等温で増大させることができる。この場合、冷媒は湿り蒸気相であり得る。戻り区分において、冷媒は第2の接続箇所で湿り蒸気相から気相に転移することができる。これは、特に接続箇所での混合によって実現することができる。
【0046】
2次側は、戻り区分において、第2の接続箇所の上流に配置することができる。それに応じて、部分的な冷媒流が、第1の接続箇所から2次側を通って第2の接続箇所に流れることができる。熱交換器の熱伝達は、実質的に内部で行うことができ、すなわち、ここで熱を主回路の流れから戻り区分の流れに伝導することができる。熱流と物質流とを別々に調節することができる。
【0047】
第1のコンプレッサを、冷媒を1次圧力範囲から2次圧力範囲へ圧縮するように形成することができ、2次圧力範囲は1次圧力範囲よりも高い圧力を有する。その場合、3つの圧力段階、特に第1のコンプレッサの上流に存在する低圧、特に第1のコンプレッサの下流及び第2のコンプレッサの上流に存在する中圧、及び特に第2コンプレッサの下流に存在する高圧に区別することができる。冷媒の温度、特にエンタルピは、圧縮段間で変化する可能性がある。特に、第1のコンプレッサを用いて、第2のコンプレッサによるさらなる圧縮のための中圧を調整することができる。それに加えて、第1のコンプレッサと第2のコンプレッサとの間で、第2のコンプレッサに最適な、又は少なくとも十分に低い冷媒温度を調整することができる。コンプレッサ間の冷媒温度は、戻り区分を介した冷媒の混合によって、及び/又はヒートシンクを使用した能動冷却によって実現することができる。
【0048】
第2のコンプレッサを、冷媒を2次圧力範囲から3次圧力範囲へ圧縮するように形成することができ、3次圧力範囲は2次圧力範囲よりも高い圧力を有する。この場合、第1のコンプレッサが達成する圧力差を、第2コンプレッサが達成する圧力差よりも小さくすることができる。特に、第2のコンプレッサを、第1のコンプレッサよりも高い入口圧力用に形成することができる。それに応じて、意図した圧力範囲に合ったコンプレッサ能力、ないしは合ったコンプレッサ型式を提供することができる。
【0049】
冷却システムは、戻り区分に配置され、かつ冷媒を3次圧力範囲から2次圧力範囲へ下げるように形成されたさらに別の膨張装置を備えることができる。圧力低下は等エンタルピ的に実現でき、それにより戻り区分における冷媒の圧力と温度の両方を低下させることができる。温度の低下に伴い、冷媒は気相及び/又は超臨界相から湿り蒸気相に転移することができる。
【0050】
熱交換器の2次側の上流及び/又は第1の接続箇所の下流に別の膨張装置を配置することができる。2次側を1次側と熱伝導的に結合することができる。別の膨張装置は、戻り区分への冷媒流を制御するように形成することができる。特に、別の膨張装置を弁として形成することができ、膨張装置を通る体積流量は膨張装置の開度とともに拡大縮小する。膨張装置の開度を、有利にも圧力及び/又は温度に依存して制御することができる。特に、膨張装置を用いて、第2のコンプレッサの出口における温度ないしは高温ガス温度に依存して戻り区分を通る冷媒流を制御することができる。第2のコンプレッサの入口における入口温度は、戻り区分を通る冷媒流とともに拡大縮小することができる。戻り区分の冷媒は、主回路のコンプレッサ間の冷媒よりも温度が低くなる可能性がある。したがって、第2のコンプレッサの入口の温度、したがって間接的に第2のコンプレッサの出口の温度も、戻り区分を通る冷媒流によって調節することができる。
【0051】
冷却システムは、主回路において膨張装置の上流及び/又は冷却コンポーネントの下流に配置される1次側を有する別の熱交換器を備えることができる。それによって、冷媒が膨張装置の前、しかし特に蒸発器の前でもさらに熱を奪うことができ、それにより蒸発器での冷却能力を高めることができる。1次側では冷却を等圧で行うことができ、それによりエンタルピを低下させることができる。2次側でも同様に、加熱を等圧で行うことができ、それによりエンタルピを増大させることができる。別の熱交換器を液相の冷媒が流れることができる。
【0052】
後注入及び熱交換器を使用することにより、成績係数を高めることができる。さらに、冷媒は、別の熱交換器によって膨張装置の上流でさらに過冷却できる。それによって、より大きな比蒸発能力を達成することができ、それにより冷媒の質量流量と、それによってとして生じる第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサのコンプレッサ回転数とを低減することができる。戻り区分を介した追加注入により、蒸発能力を適合させ、特に高めることができる。
【0053】
別の熱交換器は、主回路における熱交換器の1次側の下流に配置することができる。それに応じて、主回路の冷媒を熱交換器及び別の熱交換器によって冷却することができる。
【0054】
別の熱交換器は、主回路において蒸発器の下流及び/又は第1のコンプレッサの上流に配置される2次側を備えることができる。さらに、別の熱交換器を、1次側によって冷媒から熱を吸収し、吸収した熱を2次側によって冷媒に放出して、第1のコンプレッサの上流の冷媒を加熱するように形成することができる。それに応じて、別の熱交換器は、主回路の異なる区分間で物質的に切り離された内部熱伝達を実現することができる。第1のコンプレッサの入口の前の冷媒の加熱は、冷媒の温度を上昇させることができ、それによって特に冷媒の湿り蒸気相を克服することができ、冷媒は第1のコンプレッサの入口で気相で存在する。冷媒は、蒸発器の下流で、少なくとも部分的にすでに気相で存在することができる。しかしながら、冷媒の少なくとも一部はまだ液相で存在することができる。例えば、冷媒の液滴は、冷媒のガス流中で浮遊する可能性がある。これらの冷媒液滴は、コンプレッサを損傷させる可能性がある。別の熱交換器による追加加熱により、冷媒液滴の体積を減じることができ、又は液滴を冷媒流において少なくとも部分的に蒸発させることができる。したがって、有利にも、第1のコンプレッサは、液ハンマから保護され、及び/又は冷媒液滴の数の減少及び/又はサイズの減少によって消耗を減じることができる。
【0055】
有利にも、別の熱交換器の1次側と2次側との間の熱伝達のために、追加のエネルギーの必要がなくなる可能性がある。それに応じて、この熱伝達によって、冷却システムの効率及び/又は耐久性を高めることができる。別の熱交換器は圧力損失を引き起こす可能性があるが、これはコンプレッサによって克服、若しくは補償することができる。
【0056】
別の熱交換器は、配管間熱交換器であり得る。それによって、有利にも、1次側は2次側と熱伝導するように結合されるが、物質伝導的には結合されない。例えば、1次側を熱伝導性材料を介して2次側と結合することができる。特に、この場合、物質結合的な金属接続を実現することができる。
【0057】
冷却システムは、液状状態の冷媒を分離するように形成された液体分離器を備えることができる。さらに、液体分離器は、主回路において蒸発器の下流及び/又は第1のコンプレッサの上流に配置することができる。蒸発器では、冷媒は湿り蒸気相で存在することができ、それにより熱は冷媒によって等圧的及び等温的に吸収され、エンタルピ増加が実現される。この熱吸収は、実験機器、特に遠心分離器のロータチャンバを冷却するために利用することができる。蒸発器の出口で、冷媒は湿り蒸気相と液相との間の相転移で存在することができる。この場合、液体収集器は、第1のコンプレッサに純粋なガス状の冷媒流を提供するために、冷媒のまだ液状の部分を収集することができる。
【0058】
液体分離器は、別の熱交換器の2次側の上流に配置することができる。それによって、別の熱交換器の2次側は、液体分離器を通過する冷媒液滴を除去する一種の冷媒液滴フィルタを形成することができる。液体分離器を用いて、別の熱交換器の加熱能力を冷媒の純粋な気相を提供するために利用することができる。特に、別の熱交換器は、加熱能力が冷媒の液滴を除去するのに十分であるように形成することができる。しかしながら、加熱能力を、液体分離器を用いることなしに冷媒流全体を気相に転移させることができる能力よりも小さくすることができる。したがって、冷媒は、液体分離器と別の熱交換器との組み合わせによって、冷媒をガス状で効率的に第1のコンプレッサに提供することができる。さらに、別の熱交換器の2次側を介してエンタルピを等圧的に増加させることができ、それにより冷媒は湿り蒸気相と気相との間の相転移から離れる。
【0059】
冷却システムは、冷媒から水分を除去するように形成できるフィルタドライヤを備えることができる。有利にも、水分を分離及び/又は濾過することができる。フィルタドライヤを、主回路における冷却コンポーネントの下流及び/又は膨張装置の上流に配置することができる。フィルタドライヤを、冷媒中に存在する湿気及び/又は酸を結合するように有利に設計することができる。有利にも、フィルタドライヤは、冷媒中に存在する汚れ及び/又は他の異物を濾過することができる。コンポーネントオイルの酸化を抑制でき、それによってコンプレッサを保護できるという利点を達成することができる。
【0060】
フィルタドライヤを主回路において熱交換器の1次側と別の熱交換器の1次側との間に配置することができる。有利にも、冷媒は液相でフィルタドライヤを通過できる。特に膨張装置の前で濾過することにより、配管システムにおける凍結水の形成を回避することができ、それにより冷媒の流れが妨げられない。さらに、氷粒子による損傷から第1のコンプレッサを保護することもできる。
【0061】
フィルタドライヤを第1の接続箇所の下流又は上流に配置することができる。それにより濾過の前に冷媒の部分流が戻り区分に供給される。
【0062】
冷却システムは、冷媒を液相と気相とに分割するように形成することができる中圧容器を備えることができ、中圧容器を主回路において冷却コンポーネントの下流及び/又は膨張装置の上流に配置することができる。中圧容器は、2次圧力範囲内の圧力ないしは中圧が支配する液体分離器であり得る。液体分離器は、中圧で冷媒の液相と気相を分離する。液体を膨張装置の前掛け(Vorlage)として利用でき、それにより冷媒流は液相で液体分離器から膨張装置に流れる。冷媒の気相を戻り区分を介して第2コンプレッサに供給することができる。有利にも、第2のコンプレッサを、中圧容器から気相の冷媒を吸い出すように形成することができる。この戻された冷媒ガスを第1コンプレッサからの冷媒ガスと混合することができる。一実施形態では、戻された冷媒ガスを1次圧力範囲において主回路の冷媒と混合することができる。冷媒が2次圧力範囲で混合されるのか、又は1次圧力範囲で混合されるのかは、第1のコンプレッサの形式によって決まり得る。
【0063】
中圧容器は、3方収集器として形成でき、次のコンポーネントを含むことができる。
-冷媒を中圧容器に送るように形成され、冷却コンポーネントの下流に配置されている 容器入口、
-液体の冷媒を中圧容器から 配管区分208に送るように形成される、及び/又は膨張装置の上流に配置されている 第1の容器出口、
-中圧容器を 戻り区分に結合し、かつ ガス状の冷媒を戻り区分に送るように形成されている第2の容器出口。
【0064】
容器入口を主回路において熱交換器の下流及び/又はフィルタドライヤの下流に配置することができる。それに応じて、すでに濾過及び/又は冷却された冷媒を中圧容器に提供することができる。
【0065】
第1接続箇所を中圧容器によって形成することができる。気相の冷媒を第2の容器出口を介して戻り区分に注入することができる。相分離により、気相の冷媒を戻り区分に導入することができ、それに応じて液相の冷媒を膨張弁に供給することができる。気相の冷媒は、液相の冷媒に比べて高いエンタルピを有することができる。第1の熱交換器は、冷媒を湿り蒸気からガス状への相転移からより高い温度とさらに気相にするために、冷媒への追加の熱入力をもたらすことができる。それによって、特に、冷媒の液分を、第2のコンプレッサの上流で主回路に注入される前に減少させることができる。
【0066】
冷媒を第1の容器出口において、有利には液相で、少なくとも液相から湿り蒸気相への相転移で提供するように中圧容器を形成することができる。中圧容器により、冷媒が湿り蒸気相から液相に転移する程度までエンタルピを減少させることができる。このエンタルピ減少は、等温で実現できる。
【0067】
冷却システムは高圧制御装置を備えることができ、高圧制御装置を、冷媒の圧力を下げるように、特に圧力を3次圧力範囲から2次圧力範囲に下げるか、又は3次圧力範囲内の圧力を下げるように形成することができる。高圧制御装置を通って流れる場合に特に、冷媒の温度が変化する可能性がある。圧力制御を等エンタルピ的に行うことができる。この場合、冷媒は液相から湿り蒸気相に転移することができる。高圧制御装置の下流で、冷却システムは、エンタルピ最小値、圧力最小値、及び/又は温度最小値を有することができる。それに対応して、蒸発器での熱吸収を最大化することができる。
【0068】
高圧制御装置を主回路において中圧容器の上流、及び/又は冷却コンポーネントの下流、第1の熱交換器の下流、及び/又はフィルタドライヤの下流に配置することができる。特に、中圧容器の入口圧力を下げるために、高圧制御装置を中圧容器の容器入口に配置することができる。有利にも、高圧制御装置は、液相又は超臨界相から湿り蒸気相への冷媒の相転移をもたらすように形成されている。圧力変化は、等エンタルピ的に実現できる。
【0069】
高圧制御装置は、圧力にもとづいて、特に冷却コンポーネントの下流の冷媒の圧力にもとづいて制御可能であり得る。これに代えて、圧力低下を高圧制御装置によって、温度、特に第1の熱交換器の出口における温度にもとづいても制御することができる。有利にも、第1の熱交換器の出口における圧力を、高圧制御装置を制御するために利用することができる。
【0070】
高圧制御装置は、第1の熱交換器の下流の圧力にもとづいて、高圧制御装置の上流の圧力にもとづいて、及び/又はフィルタドライヤの上流の圧力にもとづいて制御可能であり得る。有利にも、高圧制御装置を冷媒の最大圧力にもとづいて制御することができる。
【0071】
膨張装置は、過熱制御装置であり得、蒸発器での冷媒の過熱を制御するように形成され得る。これは低圧液分離器を省略できるという利点を達成することができる。すなわち、1次圧力範囲の液体分離器を省略することができる。さらに、第1のコンプレッサの上流での冷媒の加熱もなくすことができる。それにしたがって、高圧制御装置及び中圧容器を用いることで、第2の熱交換器を省略することができる。有利にも、過熱制御装置を、飽和温度に相当するように蒸発器での注入温度を制御するように形成することができる。
【0072】
膨張装置を、冷媒の圧力を制御するように、特に冷媒の圧力を2次圧力範囲から1次圧力範囲に下げるか、又は3次圧力範囲から1次圧力範囲に下げるように形成することができる。高圧制御装置により2次圧力範囲から1次圧力範囲に下げることにより、上流で、3次圧力範囲から2次圧力範囲への圧力低下を実現することができる。これは単段の膨張であり得、第1のコンプレッサ及び第2のコンプレッサによって2段圧縮が実現される。
【0073】
膨張装置を圧力にもとづいて、特に蒸発器の下流及び/又は第1のコンプレッサの上流での冷媒の圧力にもとづいて制御可能であり得る。蒸発器の出口において、冷却システムが最大のエンタルピを有し、冷媒が最小の圧力を有することができる。それに応じて、蒸発器の出口において達成されるべき圧力及び/又は達成されるべき温度に依存して膨張装置を制御することができる。それに応じて、さらに、蒸発器での熱吸収を増加させることができる。有利にも、膨張装置により入口圧力及び入口温度を、冷媒が蒸発器を通って流れるときに可能な限り大きい熱量を吸収できるように、ないしは可能な限り大きいエンタルピ増加を実現でき、それにより蒸発器の冷却能力が可能な限り大きくなるように調整することができる。蒸発器は、冷媒を湿り蒸気相から気相への相転移まで、又は相転移を超えて加熱することができる。
【0074】
膨張装置を別の熱交換器の上流の圧力にもとづいて制御可能であり得る。例えば、膨張装置の開放を制御するために、蒸発器若しくは膨張要素と第1のコンプレッサとの間の圧力を検出することができる。したがって、第1のコンプレッサの上流の入熱とは無関係に、特に別の熱交換器の2次側の入熱とは無関係に膨張装置の制御を実現することができる。
【0075】
配管区分から配管区分への冷媒の流れを制御するために、膨張装置を中圧容器のパラメータ値にもとづいて制御可能であり得る。中圧容器は受動要素であり得、それぞれの容器出口を通る冷媒流を、膨張装置の方向で下流の圧力差、及び/又は戻り区分における別の圧力差によって制御することができる。
【0076】
パラメータは、中圧容器内の冷媒の充填レベル、圧力、温度及び/又は凝集状態であり得る。充填レベルは、中圧容器内の液相の冷媒の体積に相当し得る。さらに、中圧容器内の液相と気相との比率は、戻り区分への冷媒の流出と、下流へ、膨張装置への流出によって制御することができる。有利にも、中圧容器内の冷媒の液相と気相の比率を実質的に一定に保つことができる。
【0077】
膨張装置は、中圧容器のパラメータ値を検出するように形成することができる。したがって、膨張装置は、蒸発器の出口における冷媒の過熱を調整することができる。例えば、過熱は3K~10Kの範囲であり得る。圧力及び/又は温度は、中圧容器、中圧容器内、又は中圧容器のすぐ近くの配管システムで検出できることが好ましい。圧力と温度の組み合わせは、ガス状冷媒の割合を示すことができ、好ましくは、ガス状冷媒のみが存在する場合に検出することができる。この場合、圧力、特に中圧容器内の圧力を、中圧容器内で液体の形態の冷媒の少なくとも一部を得るために制御することができる。圧力を、例えば下流側に接続された弁、特に膨張装置によって制御することができる。中圧容器内の冷媒の液体割合は、圧力を(超臨界範囲から)低下させることによって達成することができる。すなわち、冷媒が超臨界状態である場合、圧力を低下させることにより、冷媒を液状状態又は湿り蒸気相に転移させることができる。圧力と温度の組み合わせが容器内の超臨界冷媒のみを示す場合、蒸発器の能力のためによいことから、容器内の液体若しくは湿り蒸気に再び達するために、圧力を低下させることができる(下流側に接続された弁の開放、上流側に接続された弁の閉鎖)。容器内のガスの状態が亜臨界の場合、圧力上昇が容器内の液体量を増加させることができる。相応に制御することによって、蒸発器の冷却能力を高めることができる。制御は、蒸発器の出口温度、測定圧力、及びそこから得られた飽和温度を、膨張装置と第1のコンプレッサのコンプレッサ入口との間の圧力差と合わせることによって実行できる。この場合、蒸発器とコンプレッサとの間の液体分離器を省略することができる。
【0078】
冷却システムは、冷媒を冷却するように形成され、かつ第1のコンプレッサの下流及び/又は第2のコンプレッサの上流に配置された第2の冷却コンポーネントを備えることができる。第2の冷却コンポーネントは、中間冷却器を形成することができる。第2の冷却コンポーネントを用いて等圧で冷媒からエンタルピを除去できる。第1コンプレッサの出口において、冷却システムは最大エンタルピを有することができる。中間冷却器、及び/又は戻り区分からの冷却された冷媒の注入によってエンタルピを減少させることができる。有利にも、第2のコンプレッサの入口におけるエンタルピは、気相で極小値であり得る。それに応じて、第1のコンプレッサの入口でのエンタルピは、第2のコンプレッサの入口でのエンタルピよりも高くなり得る。第2のコンプレッサによる圧縮後も、冷媒の圧力と温度の両方が第1コンプレッサによる圧縮後よりも高くなり得る。しかし第2の圧縮後のエンタルピは、第1の圧縮後よりも低くなり得る。
【0079】
第2の冷却コンポーネントを、冷媒から熱を奪い、中央冷却システム及び/又は周囲大気に放出するように形成することができる。それに代えて、2次冷却回路を使用して熱を排出することもできる。
【0080】
第2のコンプレッサの圧縮は、第2のコンプレッサの入口における冷媒の入口温度に依存し得る。有利にも、冷媒を冷却することによって、冷媒の最適な高圧ないしは第2のコンプレッサによって生成される高圧を低下させることができる。冷媒の冷却により、第2コンプレッサの臨界動作温度の超過を阻止することができる。
【0081】
第2の冷却コンポーネントを接続箇所の上流に配置することができる。それによって、冷媒を、最初に第2の冷却コンポーネントによって冷却し、続いて、戻り区分からの冷媒流と混合することによってさらなる冷却を実現することができる。これは、第1コンプレッサと第2コンプレッサとの間で2段階の温度低下を実現する。
【0082】
第2の冷却コンポーネントは、冷媒が周囲温度を超えたときに冷媒を冷却して、第2の冷却コンポーネントの出口においてガス状で、2次圧力範囲内で、かつ低下した温度で冷媒を提供するように形成することができる。特に、湿り蒸気相への転移が阻止されるように、第2の冷却コンポーネントによって温度低下を制御することができる。特に、制御は、第2の冷却コンポーネントにもとづく組み合わせ冷却と、戻り区分を介した冷媒供給とが、第2のコンプレッサの入口における冷媒の、湿り蒸気相転移よりも高い温度を実現するようにも行われる。
【0083】
第2の冷却コンポーネントを、冷媒を所定温度に冷却するように形成することができ、それにより冷媒は、第2のコンプレッサの下流で限界温度未満の温度を有する。ここで、第2のコンプレッサによる冷媒の加熱を考慮して、第2のコンプレッサにおける冷媒の入口温度の限界値を定義することができ、それにより第2の圧縮により冷媒の最大温度を下回る。限界温度を、冷媒が亜臨界温度を有するように決定することができる。亜臨界温度を、第2のコンプレッサの入口又は出口で調整することができる。
【0084】
第2の冷却コンポーネントは、冷媒から熱を奪うために、第2の冷却コンポーネントで空気流を生成するように形成されたベンチレータを備えることができる。それによって、熱を周囲大気に放出することができる。
【0085】
第2の容器出口は、配管区分を介して第2の冷却コンポーネントに接続することができる。この場合、配管接続部に第2のコンプレッサへの分岐を設けることができ、それにより混合冷媒が第2の冷却コンポーネント、及び中圧容器から第2のコンプレッサに流れる。ここで、戻り区分からの冷媒流をさらに付加することができる。
【0086】
第1の冷媒流は、第2の冷却コンポーネントから別の接続箇所に流れることができ、第2の冷媒流は、第2の容器出口から別の接続箇所に流れることができる。さらに、第1の冷媒流と第2の冷媒流を、別の接続箇所で混合して組み合わせの冷媒流とすることができ、混合された冷媒流は配管区分を介して第2の接続箇所及び/又は第2のコンプレッサへ流れることができる。これは、第1コンプレッサと第2コンプレッサとの間で冷媒の3段階温度調節を実現することができる。第1の冷却を第2の冷却コンポーネントによって達成することができ、第2の冷却を中圧容器からの冷媒の流入によって達成することができ、第3の冷却を、戻り区分を介した冷媒の流入によって実現することができる。これは内部冷却の最大限の構成であり、冷却段を冗長に形成することができる。
【0087】
特に、中圧容器の前後に圧力調節用の弁を設けることができる。それに応じて、弁と中圧容器を用いて、3次圧力範囲から2次圧力範囲を介して1次圧力範囲への冗長な圧力緩和(Entspannung)を実現できる。膨張装置と高圧制御装置の両方で過熱制御を実現できる。ここに中圧容器と高圧制御装置を通る液ハンマを防止するために、冗長高圧制御を提供することができる。
【0088】
2次圧力範囲では、冷媒を戻り区分から第2の接続箇所を介して配管204に注入可能であり得る。戻り区分を通る冷媒流を中圧容器又は別の膨張装置によって制御することができる。
【0089】
熱交換器を、第2の接続箇所で冷媒に第1の比エンタルピを提供するように形成することができ、第2の冷却コンポーネントを、第2の接続箇所で冷媒に第2の比エンタルピを提供するように形成することができ、第1の比エンタルピは第2の比エンタルピよりも小さい。それによって、戻り区分を介した注入により、第2のコンプレッサの上流で冷媒がさらに冷却され、かつ加熱できないことを確保することができる。
【0090】
戻り区分内の冷媒流と配管内の別の冷媒流は、第2の接続箇所で組み合わせ冷媒流になるよう混合され得る。混合冷媒流は、第2のコンプレッサに提供され得る。第2の接続箇所において、戻り区分内の冷媒の温度と主回路における第2の接続箇所の上流の冷媒の温度との間の温度は、冷媒流の体積分率に応じて冷媒流を混合することによって調整することができる。有利にも、少なくとも2段階の温度低下を達成することができる。
【0091】
第2の冷却コンポーネントを、周囲温度にもとづいて、及び/又は蒸発器の限界温度にもとづいて冷媒を冷却するように形成することができる。有利にも、周囲温度は、第2の冷却コンポーネントにおける周囲大気からの熱吸収を阻止するために、第2の冷却コンポーネントにおける冷媒の温度よりも低い。蒸発器の出口温度が高くなればなるほど、第2の冷却コンポーネントで熱を周囲大気に放出できる周囲温度が高くなり得る。第2の冷却コンポーネントによる冷却ないしはエンタルピ導出を、第2のコンプレッサへの冷媒流における液相の形成が阻止されるように制御することができる。
【0092】
この場合、高温ガス温度、例えば、第1のコンプレッサの下流の冷媒の温度を蒸発入口温度とともに拡大縮小することができる。蒸発器でのエンタルピ吸収を等温的に実行できるため、蒸発器出口温度は蒸発器入口温度に相当し得る。-20℃以上の蒸発温度では、有利にも、コンプレッサ間の別の冷却コンポーネントが冷媒から熱を奪うことができる。-40℃~-20℃の範囲では、第1コンプレッサの出口での温度が周囲温度に相当するか、又は周囲温度よりも低くなり得る。例えば、第1コンプレッサの出口での温度は、30℃未満であり得る。第1のコンプレッサの行程容量(Hubvolumen)及び1次圧力範囲の圧力は、第1のコンプレッサの出口での温度が常に周囲温度より高くなるように選択することができる。この場合、許容最大周囲温度は、次のように定義できる。例えば、30℃まで、35℃まで、又は40℃までの周囲温度での冷却システムの許容動作を定義できる。
【0093】
冷却システムは、冷媒の流れを制御するように形成された回路コントローラを含むことができる。この場合、特に、蒸発器での熱吸収、冷却コンポーネントでの熱放出、及び/又は周囲温度は、冷却システムの平衡状態を変化させる可能性があり、それにより回路コントローラは、冷媒流を、最適な温度値及び圧力値を調整するために、相応に調節することができる。
【0094】
回路コントローラを、冷媒の圧力、特に冷却コンポーネントの下流及び/又は第2のコンプレッサの下流の高圧にもとづいて、膨張装置の開放を制御するように形成することができる。膨張装置の開度に応じて、膨張装置の下流の冷媒の圧力緩和を制御することができる。このために、冷却コンポーネントの出口に圧力及び/又は温度センサを、ならびに/あるいは第2のコンプレッサの出口に圧力及び/又は温度センサを設けることができる。
【0095】
回路コントローラを、熱交換器の下流の冷媒の圧力にもとづいて膨張装置の開放を制御するように形成することができる。このために、熱交換器の出口に圧力及び/又は温度センサを配置することができる。有利にも、温度をフィルタドライヤの上流で検出することができる。したがって、制御量は、この場合、冷却システムの3次圧力範囲の圧力であり得る。制御経路は、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサの下流、ならびに膨張装置の上流に冷却システムの配管システムとコンポーネントを含むことができる。
【0096】
膨張装置は弁を有することができ、かつ回路コントローラによる制御によるコントロール制御(Regelungsansteuerung)にもとづいて弁の開放を完全に閉じた状態から完全に開いた状態まで段階的に又は連続的に適応させるように形成することができる。膨張装置の開放により、膨張装置を通って蒸発器に至る冷媒の体積流量を調節することができる。
【0097】
回路コントローラは、第1コンプレッサの上流及び/又は蒸発器の下流の冷媒の温度、特に蒸発器出口の温度にもとづいて膨張装置の開放を制御するように形成することができる。
【0098】
膨張装置の開度に応じて、膨張装置の下流の冷媒の圧力緩和を制御することができる。この場合、特に、等エンタルピ的に温度変化をもたらすこともできる圧力低下を制御することができる。
【0099】
回路制御器(Kreislaufsteuerung)は、予め定められた温度値を決定するように、及び予め定められた温度値を検出温度、特に蒸発器出口温度が超えた場合に膨張装置の開放を制御するように形成され得る。予め定められた温度値は、経験的な及び/又は計算による媒体温度であり得る。
【0100】
回路コントローラを、第1のコンプレッサの下流及び/又は第2のコンプレッサの下流の冷媒の温度、ないしは高温ガス温度に応じて別の膨張装置の開放を制御するように形成することができ、別の膨張装置の開度に応じて、別の膨張装置の下流の冷媒の圧力緩和が制御され得る。この場合、コンプレッサ出口温度ないしは高温ガス温度を制御量として定義することができ、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサを制御経路として定義することができる。この場合、第2コンプレッサの出口における冷媒の圧力及び/又は温度を検出することができる。したがって、最適な高温ガス温度を調整するために、戻り区分を通る冷媒流を適合させることができる。主回路から戻り区分への熱交換器の熱伝達を、別の膨張装置の開度に応じて制御することができる。別の膨張装置は、有利にも、戻し装置において圧力を2次圧力範囲に調整することができる。別の膨張装置の開度に応じて、所定の圧力値を調整することができる。
【0101】
回路コントローラを、第2のコンプレッサの下流及び/又は高圧制御装置の上流の冷媒の圧力に応じて、高圧制御装置の開放を制御するように形成することができる。熱交換器の出口、冷却コンポーネントの出口、及び/又は第2のコンプレッサの出口に圧力センサを設けることができる。
【0102】
回路コントローラを、熱交換器の下流及び/又はフィルタドライヤの上流の圧力に応じて制御するように形成することができる。3次圧力範囲で検出された圧力を制御量として定義でき、3次圧力範囲の冷却システムの区分を制御経路として定義することができる。例えば、これは、第2コンプレッサの出口から高圧制御装置の入口まで、又は中圧容器まで、又は膨張装置までの冷媒経路である。
【0103】
冷却システムは、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサを駆動するように形成されたコンプレッサ駆動装置を有することができる。それによって、共通の駆動装置を介して第1コンプレッサと第2コンプレッサの両方を駆動及び制御できるという利点を達成することができる。この場合、コンプレッサの各々を別々に駆動することができ、すなわち、それらに異なる駆動力を供給することができる。第1のコンプレッサ及び第2のコンプレッサを共通のハウジング内に配置することができる。さらに、コンプレッサ駆動装置は、第1のコンプレッサを駆動するように、及び第2のコンプレッサを駆動するように形成され得るモータであってもよい。
【0104】
コンプレッサ駆動装置を、膨張装置の下流の冷媒の圧力、特に蒸発圧力、及び/又は冷媒の温度、特に蒸発温度に応じて第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサのそれぞれのコンプレッサ回転数を制御するように形成することができ、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサの圧縮能力(Verdichtungsleistung)をコンプレッサ回転数に応じて制御することができる。それによって、所定の蒸発温度、すなわち、蒸発器における等温エンタルピ吸収中の温度を、コンプレッサ回転数を介して調整できるという利点が実現され得る。この場合、蒸発圧力ないしは蒸発温度を制御量として定義でき、コンプレッサ出力ないしは回転数を制御経路として定義できる。
【0105】
第1のコンプレッサ、第2のコンプレッサ、及び/又はコンプレッサ駆動装置は、それぞれ駆動装置を有することができ、かつ回路コントローラによるコントロール制御にもとづいてそれぞれの駆動装置の回転数を最小回転数から最大回転数までの所定の範囲で段階的に又は連続的に適合させるように形成され得る。それによって、コンプレッサの特に効率的な制御を実現できる。
【0106】
回路コントローラを、所定の蒸発温度にもとづいてコンプレッサ回転数を制御するように形成することができる。例えば、蒸発温度を下げるために、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサのコンプレッサ回転数を増加させることができる。蒸発温度を上げるために、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサのコンプレッサ回転数を下げることができる。回路コントローラを、コンプレッサ回転数を上げる及び/又は下げるように形成することができる。
【0107】
冷却コンポーネントは、冷却のために空気流を冷却コンポーネントに通すように形成されているベンチレータを含むことができる。それによって、冷却コンポーネントは、周囲大気に熱的に結合することができる。
【0108】
冷却コンポーネントは、熱を冷媒からブライン(Sole)に伝達するように形成された冷媒-ブライン熱交換器を含むことができる。
【0109】
回路コントローラを、冷却コンポーネントの下流の冷媒の温度、特に冷却コンポーネント出口温度に応じてベンチレータのベンチレータ回転数を制御するように形成することができ、ファン回転数に応じて冷却コンポーネントの冷却能力を制御することができる。冷却コンポーネントへの空気流は、ベンチレータ回転数により拡大縮小できる。有利にも、冷却コンポーネントの冷却能力もまた、少なくとも部分的にベンチレータ回転数により拡大縮小できる。
【0110】
ベンチレータを、回路コントローラによって、ベンチレータ回転数をコントロール制御にもとづいて最小回転数から最大回転数までの所定の範囲内で段階的又は連続的に適合させるように形成することができる。
【0111】
回路コントローラを、ベンチレータを熱負荷に応じて複数の段階で制御するように形成することができ、第1の制御段階において、ベンチレータ回転数がゼロであり、第2の制御段階においてベンチレータは、ゼロよりも大きい第1の回転数で回転し、及び/又は第3の制御段階において、第2の回転数で回転し、第2の回転数は、第1の回転数よりも大きい。
【0112】
回路コントローラを、冷却能力が最大となるように圧力を3次圧力範囲で制御するように形成することができる。特に、最適な高圧に調整することができる。最適な高圧は、周囲温度、それに応じて冷却コンポーネントの冷却能力に依存し得る。最適な高圧は、亜臨界動作であるのか超臨界動作であるのかによって変わり得る。例えば、最適な高圧は、超臨界サイクルでは約100bar、亜臨界サイクルでは約50~60barであり得る。
【0113】
回路コントローラを、過熱が最小になるように膨張装置によって蒸発器の過熱を制御するように形成することができ、過熱は殊に第1のコンプレッサのコンプレッサ入口で少なくとも3Kである。それによって、液相の冷媒による液ハンマから第1のコンプレッサが保護され得るという利点を達成することができる。蒸発器では、蒸発器の蒸発器管の構造端までプロセスを実質的に等温及び等圧で実行できる。蒸発器の構造端において冷媒の過熱を実現することができる。蒸発器の出口での過熱を最小限に抑えることにより、冷却能力を最大にすることができ、蒸発器の入口での温度が有利にも飽和温度に等しくなる。
【0114】
回路コントローラを、コンプレッサ出口温度で所定の限界温度を下回るように、別の膨張装置によって、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサのそれぞれのコンプレッサ出口温度を制御するように形成することができる。
【0115】
コンプレッサ出口温度を下げるために、戻り区分からの冷却された冷媒を第2の接続箇所で注入することができる。
【0116】
回路コントローラを、第1のコンプレッサの第1のコンプレッサ回転数及び第2のコンプレッサの第2のコンプレッサ回転数をそれぞれ無段階で制御するように形成することができる。さらに、回路コントローラを、第1のコンプレッサ回転数及び第2のコンプレッサ回転数をそれぞれ互いに独立して制御するように形成できる。それによって、それぞれのコンプレッサによって冷媒の最適な圧縮を達成することができ、特に最適な高圧に調整することができる。コンプレッサの互いに独立した無段階制御によって、振動を低減することができる。有利にも、冷却システムを遠心分離器に使用した場合、サンプルへの振動の伝達を低減でき、それにより遠心分離の品質を高めることができる。さらに、遠心分離器の騒音放出又は振動を低減することにより、ユーザの知覚を改善することができる。回転数コントローラにより、ソフトスタートを実現でき、すなわち、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサを所定の時間の間、例えば加速を下げた始動過程後の60秒から120秒の間駆動することができる。したがって、改善された遠心分離品質、改善された遠心分離、及び改善されたユーザ知覚を達成することができる。有利にも、第1のコンプレッサ及び第2のコンプレッサを、圧縮機モジュール内の2つの圧縮チャンバによって形成することができる。第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサはそれぞれ、所定の始動回転数を有することができ、それによりコンプレッサは、所定の周波数閾値及び/又は電圧閾値を超えて初めて始動する。すなわち、コンプレッサは、低い閾値回転数若しくは励起回転数で動き出す。
【0117】
回路コントローラを、始動段階において第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサをそれぞれの所定の加速値でそれぞれの所定の目標回転数へ加速させるように形成することができる。殊に、加速度は、8回転/s2以下であり得る。この場合、所定の目標回転数は、低減加速度と増加加速度とを区別するための限界値をなし得る。加速度の低減により、有利にも実験機器における振動の低減を達成することができる。別の有利な実施形態では、回路コントローラを、低減された加速度、特に8回転/s2以下の加速度による第1の加速段階の後、第2の加速段階において、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサを8回転/s2よりも大きい加速度で加速させるように形成することができる。それによって、オイル流、特にコンプレッサオイルのオイル流も加速させることができるという利点を達成することができる。
【0118】
本発明の実施形態では、冷却システムが、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサを第1の回転速度で動作させ、かつ第1の回転速度よりも大きい第2の回転速度で動作させるように設計され、冷却システムは、さらに、第1の回転速度と第2の回転速度との間の回転速度を(すなわち速度変更中に瞬時にしか)とらないように設計されていることを企図することもできる。換言すれば、動作振動を回避することができる。これによって、特にこのような速度で共鳴励起を回避することができる。
【0119】
回路コントローラを、第1のコンプレッサの加速度及び/又は第2のコンプレッサの加速度に応じてベンチレータの回転数を制御するように、特に無段階で制御するように設計することができる。第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサの回転数の増加とともにベンチレータ回転数を増加させることができるように、コンプレッサ加速率に応じてベンチレータ回転数を制御することができる。冷却コンポーネントの熱的負荷は、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサのコンプレッサ回転数に正比例し得る。
【0120】
ベンチレータの制御特性曲線は、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサの制御特性曲線に先行することができる。ベンチレータは、緩やかに上昇する特性曲線で始動することができる。第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサも、同等の緩やかに上昇する特性曲線で始動することができる。ベンチレータの特性曲線は、予備出力(Leistungsreserve)を生成するために、コンプレッサの特性曲線に先行することができ、すなわち、コンプレッサが加速される前に、ベンチレータをまず加速させることができ、続いてコンプレッサが追随することができる。それによって、ベンチレータの負荷適応制御が1次エネルギー消費量を減少させるという利点を達成することができる。さらに、冷却システムないしは実験機器の騒音放出も低減することができる。
【0121】
回路コントローラを、ベンチレータのベンチレータ回転数を周囲温度に応じて、特に周囲温度に比例して制御するように形成することができ、周囲温度は、実験機器、殊に冷却コンポーネントの空気出口で検出可能である。周囲温度が低下し、例えば22℃を下回ると、冷却コンポーネントのベンチレータがベンチレータ回転数を下げて回転することができる。周囲温度が上昇し、例えば24℃を上回る場合、通常温度、例えば23℃での動作と比べてベンチレータ回転数が増加することができる。温度ウィンドウを理想的な周囲温度付近で定義することができる。例えば23℃などの所定の周囲温度では、温度ウィンドウは、例えば2K、すなわち上へ1K及び下へ1Kであり得る。ベンチレータは、温度ウィンドウ内で有利な最適回転数で回転することができる。周囲温度の変動に応じて、回路コントローラによりこの最適回転数から無段階で上へ、若しくは下へ制御することができる。したがって、高い周囲温度を考慮するために、冷却コンポーネントの性能を高めることができる。高い周囲温度は、冷却媒体、例えば周囲空気流と冷媒との間の温度差を小さくし、ひいては性能を低下させる可能性がある。この性能損失は、ベンチレータ回転数を増加させることで補償できる。
【0122】
回路コントローラを、圧力を3次圧力範囲、特に最適な高圧を調整するために、冷却コンポーネントの出口温度及び/又は周囲温度に応じて膨張装置を制御するように形成することができる。周囲温度に適合させた高圧制御により、特に遠心分離器固有に、特別な周囲条件、さらには使用条件に対しても冷却能力を機器固有に高めることができる。
【0123】
膨張装置は、サーモスタット弁又は電子膨張弁を備えることができる。回路コントローラにより電子膨張弁を制御することができる。サーモスタット弁を、温度値に応じて独立して動作させることができる。
【0124】
回路コントローラを、周囲温度の変化を検出するように、周囲温度の変化にもとづいて膨張装置、コンプレッサ回転数、及び/又はベンチレータ回転数を制御するように形成することができる。ベンチレータを制御し、それをコンプレッサにリンクすることによって、周囲温度の変化に対応することができる。周囲温度の上昇、したがって最適な高圧の上昇には、膨張装置を閉じる、コンプレッサの速度を上げるか若しくはベンチレータの回転数が低減されることにより対処することができる。これらの措置により、高圧、若しくは第2のコンプレッサの出口での圧力を高めることができ、したがって最適な性能を達成することができる。
【0125】
第2の態様によれば、本発明は、冷却システムを備える実験機器に関する。例えば、冷却システムを上述のように設計することができる。特に、実験機器は、遠心分離器、インキュベータ、及び/又は生物学的安全キャビネットであり得る。有利にも、冷却システムは、実験機器の部品、例えば冷却チャンバ、サンプルチャンバ及び/又は遠心分離器ロータを冷却することができる。この場合、温度調節も実現することができ、それにより部品を所定温度に制御することができる。
【0126】
実験機器は、さらに、混合タンク、撹拌容器、反応器、及び/又は、特に生物学的又は化学的サンプル用の例えば冷蔵庫又は冷凍庫などの一般的な温度調節される実験機器であり得る。このために、冷却システムをそれぞれの実験機器に組み込むか、又は熱交換用の配管システムを介して冷却システムと接続することができる。
【0127】
実験機器は、卓上機器又は床置き機器であり得る。有利にも、冷却システムを実験機器のハウジングに組み込むことができる。特に、冷却システムを、実験機器における外部冷却回路とは無関係に冷却能力を提供するように形成することができる。
【0128】
実験機器は、蒸発器が配置されたロータタンクを備えることができる。ロータタンクから熱を奪うために、蒸発器をロータタンクと熱的に結合することができる。このようにして、ロータタンクの、そして特にロータタンク内に配置された物学的サンプルの冷却を実現することができる。
【0129】
蒸発器は、ロータタンクの外側に配置される蒸発器巻線を備えることができ、蒸発器巻線は、取り囲む配線によって形成されている。蒸発器巻線は、ロータタンクの周りに螺旋状に延びることができる。特に、蒸発器巻線とロータタンクとの間の熱結合を達成するために、ロータタンクにおける蒸発器巻線の当接面を最大化することができる。
【0130】
蒸発器巻線は、平ら面を形成するために、少なくとも片側が扁平化された形状、特にD字形を有することができ、平ら面は、面接触を形成するために、ロータタンクの外面に当接する。それによって、ロータタンクから蒸発器巻線への熱流を有利に増加させることができる。
【0131】
蒸発器巻線は、5mmから20mm、殊に10mm又は16mmの範囲の外管径を有することができる。さらに、蒸発器巻線は、0.5mm~5mmの肉厚、殊に1mmの肉厚を有することができる。外管径を減少させることによって、ロータタンクとの蒸発器巻線の面接触を有利に増加させることができる。使用する外管径が小さくなる場合、ロータタンクの外面における蒸発器巻線の巻き数を増やすことができる。それによって、ロータタンク面積が同じままで、蒸発器巻線によりカバーされるロータタンク面積をより広くすることができる。蒸発器巻線のターン間の間隔を縮小することができる。それによって、有利にも、ロータタンク内のサンプルと蒸発温度との間の温度差をより小さくすることができる。より小さな外管径を使用する、特に16mm管の代わりに10mm又は12mmの管を使用する可能性は、冷媒としてCO2を使用することに関連させることができる。管断面積が減少するに従って、蒸発器の圧力低下が増加し得る。有利にも、伝熱面積を最大化し、圧力低下を最小化することができる。
【0132】
蒸発器巻線とロータタンクとの間の接触面積の増加は、管内面とタンク内面との間の温度差の変化を結果としてもたらすことができる。タンク内面の温度は、面積拡大によって蒸発温度に近づくことができる。それによって、より低い制御温度、特により低いタンク温度、したがってより良好なサンプル冷却を達成することができる。さらに、管径の縮小は、コストメリットを実現できる。
【0133】
ロータタンクは、側方外套面、底外套面、及び底面を有することができ、側方外套面は、円筒形に形成され、底外套面は湾曲した輪郭を有し、かつ側方外套面を底面と接続するように形成されている。有利にも、蒸発器巻線の配線は側方外套面でD字形に押圧される。
【0134】
蒸発器巻線を側方外套面、底外套面、及び/又は底面に配置することができる。それによって、有利にも、ロータタンクから蒸発器への熱伝達を最大にするために、蒸発器巻線とロータタンクとの間の接触面積を増加させることができる。
【0135】
蒸発器巻線は、側方外套面に面接触を形成することができる。面接触は連続面であり得、蒸発器巻線の個々の巻線のそれぞれの接触面は、巻線が形状結合的に互いに当接し、空き空間が形成されないように隣り合わせに配置される。空き空間は、実質的に三角形の形状を有することができる。空き空間の表面積は、蒸発器巻線の外管径とともに拡大縮小することができ、それに応じて外管径の縮小に比例して小さくなり得る。
【0136】
実験機器がユーザインターフェースを備えることができ、ユーザインターフェースは、ユーザ入力にもとづいて、目標温度及び/又はロータタンク内に配置されたロータのロータ回転数を回路コントローラに伝送するように形成されている。この場合、目標温度は、制御温度、特にタンク温度の設定値であり得る。制御温度は、実験機器の設計に従って選択され得る。
【0137】
ロータ回転数、ロータ回転数変化、目標温度、現在制御温度と目標温度及び/又は周囲温度との差にもとづいて、回路コントローラは、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサのそれぞれのコンプレッサ回転数、冷却コンポーネントにおけるベンチレータのベンチレータ回転数、及び/又は膨張装置の開度を制御することができる。
【0138】
回路コントローラを、目標温度入力をロータタンクの検出温度と比較し、温度差を決定するように形成することができる。さらに、回路コントローラを、温度差が差分閾値を超えた場合に、コンプレッサ回転数を適合させ、ベンチレータを調整し、ベンチレータ回転数を適合させ、及び/又は膨張装置の開度を適合させるように形成することができる。差分閾値は、1K~10Kの範囲内であり得、殊に、差分閾値は5Kである。殊に、コンプレッサ回転数、ベンチレータ回転数、及び/又は膨張装置の開度をそれぞれ20%低減ないしは増加させることができる。パーセント変化は、それぞれの最大値、すなわちコンプレッサ最終回転数、ベンチレータ最終回転数、及び最大開角度に関するものであり得る。
【0139】
回路コントローラを、さらに、膨張装置の目標温度入力により引き起こされた制御、特に相応の開放が第1のコンプレッサの前での過熱を低減若しくは解消するかどうかを検出するように形成することができ、目標温度入力にもとづいて制御が阻止され得る。それに応じて、回路コントローラを、過熱を検出し、過熱が1K未満の場合に制御を中止するように形成することができる。これに代えて、回路コントローラを、相応の弁が完全に閉じるように膨張装置若しくは相応の弁を制御するように形成することができる。それによって、有利にも、最適な高圧を調整することができる。
【0140】
特に、回路コントローラは、コンプレッサ回転数を変更するために、時間遅延、有利には30秒のオフセットで、膨張装置の開度変更を実行するように形成することができる。
【0141】
回路コントローラを、さらに、冷却コンポーネント出口での冷却コンポーネント出口温度と周囲温度との温度差を検出し、温度差が+3Kに達した場合に、変更された目標温度入力にもとづくベンチレータ回転数の適合を阻止するように形成することができる。有利にも、回路コントローラは、+5Kの温度差からベンチレータ回転数の変更を実行するように形成されている。ベンチレータ回転数を20%変更することによって<5Kの温度差範囲への改善が達成されない場合、ベンチレータ回転数の適合を新たに実行することができる。そうして初めて、次の制御段階で変更が行われる。この場合、回路コントローラを、第1の制御段階としてコンプレッサ回転数の適合を実行するように、第2の制御段階としてベンチレータ回転数の適合を実行するように、かつ第3の制御段階として膨張装置の開度の適合を実行するように形成することができる。この場合、回路コントローラを、第1の制御段階、第2の制御段階、及び第3の制御段階の順序で制御段階を実行するように形成することができる。
【0142】
制御温度の偏差が>3Kの場合、回路コントローラによって、それぞれの20%段階での制御サイクルの経過とともに、別の制御サイクルがそれぞれの10%段階で実行され得る。10%段階も、それぞれの最大値、すなわちコンプレッサ最終回転数、ベンチレータ最終回転数、及び最大開角度に関するものであり得る。それによって、制御温度を段階的に目標温度に近づけることができるという利点を達成することができる。最後の制御サイクルは、1%から5%の範囲、殊に2%の制御段階で実行され得る。
【0143】
上記の実施形態によって、様々な利点を達成することができる。
【0144】
例えば、相応のシステム(及びそのようなシステムを有する遠心分離器)の適用範囲を拡張することができる。このような拡張は、特別な2段設計をR744(すなわちCO2)と組み合わせた結果であり得る。例えば、適用範囲を最大40℃までの周囲温度に拡張することが可能になり得る。例えば、一段の完全密閉設備をR744と組み合わせて、かつ10bar~30barの範囲の蒸気圧で75barの最大動作圧力を達成することができ、これは約35℃に相当する。
【0145】
密閉で単段の圧縮機の使用上限は、超臨界範囲である。すなわち、一般に、単段の圧縮機は、圧力差が制限されることから、亜臨界範囲でしか長期的に使用できない。本技術の実施形態は、冷媒CO2を直列に接続された2つの圧縮機と組み合わせて使用し、それにより亜臨界範囲への制限がなく、システムを超臨界範囲でも動作させることができることによりこれを克服する。特に、単一のコンプレッサでは、10bar~30barの範囲の蒸気圧に関して下段から上段への達成可能な圧力差が小さすぎる可能性がある。高圧は周囲温度に依存し得る。有利にも、少なくとも2つのコンプレッサを使用することにより、高い周囲温度、特に30℃を超える周囲温度でも、低い低圧を達成することができる。
【0146】
直列に接続された2つのコンプレッサの使用は、特に冷媒としてCO2を使用した場合に、単一のコンプレッサの使用と比べて次のことを考えると有利であり得る。
【0147】
コンプレッサの場合、とりわけ以下の技術的特性量が重要である:
・圧縮シリンダの底面積、圧縮シリンダの高さ、及びコンプレッサ駆動装置の1秒あたりの回転数の積によって決まる幾何学的体積流量、
・実測体積流量;
・圧力比(入口圧力と出口圧力)、有害スペース及び/又は漏洩に依存し得る容積効率。
【0148】
容積効率は、体積流量に関連する品質等級によっても決定され得る。体積流量に関連する品質等級は、設計にもとづく有害若しくはデッドスペース(例えばピストンとシリンダカバーの距離)への再膨張を表す。実際の体積流量は、有害スペースへの再膨張によって減少する。高圧が高ければ高いほど、より高いエンタルピのより多くの冷媒が有害若しくはデッドスペースに膨張して戻る(ピストンの下方への移動の開始及び吸入サイクルのスタート時)。この冷媒は、ピストンが下方に移動すると膨張する。低圧側から吸い込まれた冷媒と再膨張した冷媒が混ざり合う。したがって、エンタルピが圧縮の開始時に増加し、コンプレッサ出口温度が上昇する。後者は、log(p)-h線図において、より高いエンタルピに向かって圧縮線を平行移動することによって現れる。
【0149】
さらに、壁の品質等級によって容積効率も決定することができる。壁の品質等級は、低圧側から流入するガスが、シリンダ壁での加熱、蒸気摩擦などの2次的効果によって、圧縮前に加熱される程度を表す。この加温は、密度を低下させ、それにより実際の体積流量を減少させるため、低く抑えることが好ましい。
【0150】
これに加えて、容積効率は、漏れ度(Laessigkeitsgrad)とともに決定することができる。漏れ損失(Laessigkeitsverluste)は、圧縮最終圧力の増加とともに増加し、コンプレッサ回転数の増加とともに減少するが、これは蒸気交換に利用できる時間が少ないためである。
【0151】
体積流量に関連する品質等級と壁品質等級は、圧力比と負の相関があり、透過度は圧縮最終圧力と相関する。
【0152】
単段圧縮で上昇する圧力比は、圧縮温度が非常に急激に上昇し、ポリトロープ圧縮中のエンタルピ増加が等エントロピ圧縮のエンタルピ増加をはるかに超える点まで容積効率を低下させる。その場合、圧縮は、エントロピが格段に増加するなかで行われ、そのことが圧縮中の不可逆的な損失を明らかにする。これは、冷却能力を低下させ、摩耗を増加させる。2つのコンプレッサの直列での使用は、単一のコンプレッサと比較して以下の利点を達成することができる。コンプレッサの2つの段について、損失の相関要因として圧力比が低下し、中圧段で冷却をもたらすことができ、そのことが容積効率を改善し、圧縮時の損失を少なくする。
【0153】
圧縮中のエントロピの増加は、ポリトロープ比=dh/dyによっても表すことができる。特定の流動動作(Stroemungsarbeit)に依存して、ポリトロープ比を次のように定義することができる。
【数1】
1はコンプレッサの前の値を示し、2はコンプレッサの後の値を示す。それに応じて、圧力比が小さい場合に、圧縮ごとのエンタルピ増加量を小さくすることができる。圧縮時のエントロピの増加は、前述の機械的及び冷却技術的現象、ならびに予熱温度及び予圧力が比較的低い結果としての物質挙動にもとづいて、二重の圧縮の場合よりも単一の圧縮の場合のほうが高い。
【0154】
さらに、低圧と中圧での吸引状態が異なり得るので、2つのコンプレッサに分けることも有利である。コンプレッサの出口で容積が非常に大きく、すなわちここには大きな行程容積(Hubvolumen)が必要とされる。圧力差が小さいことから、駆動力は単段圧縮の場合がそうであるよりも小さくなり得る。同じ考えが、第2の段にも当てはまるが、ただここでは容積がより小さく、駆動力がより大きい。
【0155】
さらに、本技術の実施形態により、最適な高圧が調整されることにより最適な冷却能力を達成することが可能である。周囲温度(若しくはガス冷却器の出口での温度)に決定的に依存する冷却回路内の最適な高圧(最適な冷却能力のための高圧値)は、比較的高い周囲温度での2段圧縮によって、初めて達成することができる。所定の低圧と、その結果として得られる最適な高圧のための圧力比に応じて、単段の圧縮機は、場合によっては、最適な高圧を経済的、かつ高効率で決して達成できないか、一時的にしか達成できない。これは、遠心分離器とその動作条件(部分的に40℃まで)で最大の冷却能力を達成するために、2段の冷却回路が有利であることを意味する。現在の単段のコンプレッサの低圧と高圧との間の最大ストロークは、完全密閉構成で通常40~60barであり(超臨界範囲が一時的にのみ使用される)、完全密閉圧縮機の利用が有利であるが、それは、半密閉コンプレッサでは、遠心分離器が主に動作する内部空間が臨界であり得るからである(人体へのCO2の有害な生理学的影響)。
【0156】
すでに説明したように、本技術の実施形態は、特に冷却システムが遠心分離器で使用されることに向けられている。このような使用は、熱負荷の点でも有利であり得る。遠心分離器は、熱負荷の点で他の用途とは異なり、したがって2段圧縮の利益が得られる。遠心分離器における熱負荷が動的である(圧縮圧力緩和冷却回路の他の用途とは異なる)のに対して、冷蔵庫や冷凍庫での用途はどちらかといえば静的であると見なすことができる。冷蔵庫や冷凍庫では、操作者はドアを最大限に開けたままにし、冷蔵庫を遅らせて閉じることができる。蒸発温度は常に比較的狭い範囲である。ドアを開けたままにすると、必要な冷却能力が短時間変動する可能性がある。それに対して、遠心分離器では、様々に使用されるロータ(型式、回転数、操作者による目標温度調整、不均衡、負荷)によって熱負荷が長期的に変動する可能性がある。したがって、特に、コンプレッサ出口での高温ガス温度を制御するために可変の後注入を使用することは、蒸発器における可変負荷を考慮するために有利に必要である。
【0157】
上記の技術の実施形態では、ソフトスタート若しくは別個のスタートを提供することができる。システムが遠心分離器の一部である実施形態では、これによって遠心分離の質を高めることができる。換言すると、R744コンプレッサは、スタート挙動に関して利点を提供する。2つの圧縮機を互いに独立して無段階で制御することによって、サンプル及び遠心分離の室若しくはユーザの知覚に影響を及ぼし得る振動を減らすことができる。ソフトスタート、すなわちスタート過程後60~120秒の間、2段圧縮機をわずかな加速度で作動させることは、遠心分離の品質、遠心分離器、及びユーザの知覚にプラスに作用する(特に圧縮機に2つの圧縮チャンバがある場合)。一般に、コンプレッサには、特定の周波数閾値又は電圧閾値を超えた場合に、コンプレッサをまずスタートさせる設定されたスタート回転数があり得る。すなわち、コンプレッサがソフトに起動し(低い閾若しくは励起回転数)、次いで低回転数で動き出す。回転数の加速は、理想的には小さくあるべきである(例えば10秒あたり8回転/s以下、すなわち1秒あたり8回転/sの加速度がコンプレッサのソフトな加速と速い加速の区別のための閾値加速率である)。より小さい加速率は、機器にわずかな振動を生ぜしめる。
【0158】
さらに、この技術の実施形態は、コンプレッサの加速率にもとづいて無段階のファン制御によって、操作者の快適性を高めることを可能にする。コンプレッサの加速率に依存して、ファン回転数を制御することができる(コンプレッサの回転数が大きいほど結果としてガス冷却器若しくは凝縮器の負荷が高くなる)。これは、ファンを無段階で制御可能なファンとして形成できることを意味する。このファンは、上記の緩やかに上昇する特性曲線で始動し得る(コンプレッサの特性曲線のように)。ファンの特性曲線は、予備出力を得るために圧縮機の特性曲線に先行することができる(すなわち、圧縮機が加速される前にまずファンが加速され、次いでコンプレッサが追随する)。この種類の制御の利点は、負荷に適合するファンの使用であり、結果として1次エネルギーの使用が少なくなる。この制御は、高圧対中圧の圧力比の上への振れを低減するという利点をさらに達成することができる。ファンの電力を低減することにより、有利にもファンの騒音放出を低減することができる。
【0159】
記載された技術の実施形態はまた、冷却回路動作条件を周囲温度の関数として調整することも可能にする(ロータの可変熱負荷及び設置条件に依存)。言い換えれば、R744回路では、ファン回転数をガス冷却器の出口で測定された周囲温度(装置の周囲)に関連付けることができる。冷却装置は特にファンを含むことができ、ファン回転数はこのファンの回転数を示すと解されるべきである。周囲温度が低い場合(例えば22℃未満)、ガス冷却器のファンが比較的ゆっくりと回転し得る。周囲温度が高い場合(例えば24℃を超える)、ファンは、23℃のときよりも速く回転し得る。すなわち、23℃の理想的な周囲温度付近のウィンドウは、ファンが理想的な回転数で回転する、例えばそれぞれ上に1ケルビン、下に1ケルビンの2ケルビンであり得るということである。周囲温度の変動に応じて、この回転数から無段階で上へ、若しくは下へ外れることができる。このようにして、周囲温度の上昇を考慮するために、ガス冷却器の出力を段階的に上げていく。周囲温度の上昇は、冷却媒体と冷媒の温度差を小さくし、それにより出力を低下させる。このことが、23℃の偏差で上昇したファン回転数を補償することができる。
【0160】
さらに、戻り区分にある電子式又はサーモスタット式の膨張弁によって、蒸発器での冷却能力に最適な高圧を、周囲温度(装置の周囲)に依存して調整することができる。これは、特別な周囲条件と適用条件のために負荷別、したがって遠心分離別にパフォーマンスを高めることができる。すなわち、遠心分離器の周囲温度が廃熱(ロータ固有)及び設置場所にも依存するということである。したがって、ファンの制御、及び複数のコンプレッサ若しくは1つのコンプレッサとのリンクによって、周囲温度が変化したとしてもこれに対応することが可能である。周囲温度の上昇(それに伴い最適な高圧の上昇)には、弁を閉じる、圧縮機の回転数を上げる、若しくはファンの回転数を下げることにより対処することができる。これらの措置によって、高圧を高め、したがって最適な性能を達成することができる。
【0161】
本技術の実施形態において、2段のCO2冷却設備に適合させた制御系でシステムを動作させることができる。この場合、2段のCO2冷却設備が、CO2が冷媒として使用され、かつ2つのコンプレッサが直列に配置されている冷却システムを指すことが理解できるはずである。特に、制御系を、相応の冷却システムを有する遠心分離器で使用することができる。これによって、比較的正確な温度制御を達成することができる。
【0162】
例えば動作中に操作者により操作盤で回転数又は目標温度が変更される場合、現在のタンク温度偏差、周囲温度、及び回転数変更の程度が、操作者によって、
-1つの/複数のコンプレッサの回転数、
-ファン若しくはガス冷却器の回転数、あるいは
-再循環に関与する弁の開度
への影響を及ぼす。
【0163】
特に、このようなシステムを、以下の制御系で動作させることができる。
新しい目標温度が、現在測定されている温度よから上へ又は下へ>5ケルビン外れる場合(下記の順序で)、
-コンプレッサの回転数が一定の値(例えば最終回転数の20%)低減又は増加され、
-ファン回転数が一定の値(例えば最終回転数の20%)低減又は増加され、
-弁の開度が一定の値(例えば最大開角度の20%)増加又は低減される。
【0164】
温度の上昇により(すなわち目標温度の上昇)弁を開くことができ、温度低下により(すなわち目標温度の低下)、弁を閉じることができる。バルブを開くことにより過熱を減じることができる。それに応じて、質量流量、したがって冷却能力を高めることができる。
【0165】
弁の開放が第1の圧縮段階の前の過熱の消失をもたらしたならば、弁の制御過程は実行されない。バルブの開度変更は、コンプレッサ回転数を変化させるため、例えば30秒のオフセットで実行することができる。
【0166】
ガス冷却器の出口の温度が周囲温度から+3ケルビン隔たる場合、回転数の変更は行われない。ファン回転数の変更は、ガス冷却器出口温度の偏差が5ケルビンになって初めて行われる。20%の変更によって<5の偏差範囲に改善されない場合、ファン回転数の変更が新たに行われる。そうして初めて、次の変更段階への変更が行われる。
【0167】
制御温度偏差が>3ケルビンである場合(上位制御サイクルが終了した後に)、蒸気の過程が繰り返され、10%ずつ適合させられる(部品の最大開度若しくは回転数)。
【0168】
このようにして、目標温度に段階的に近づくことができる。最後の反復ループを、5%程度に低下させることができる。相応に高速なコントローラと部品が使用される場合、この閾値を場合によっては2%にセットすることができる。この点に関して、頻繁なスイッチングは部品を消耗させ得るので、スイッチング頻度と制御品質の間で比較検討することができる。
【0169】
全体として、本発明による2段階圧縮が、場合によっては比較的高い高温ガス最終温度、ないしは第2圧縮段階の出口での高温をもたらす可能性があることも理解できる。したがって、本発明の実施形態では、この温度を低下させる手段、例えば戻り区分若しくは第2の冷却コンポーネントが提供される。
【0170】
以下に、システムの実施形態を示す。これらの実施形態は、文字「S」とそれに続く数字で略記される。以下において、「システム実施形態」に言及するときはいつでも、これらの実施形態を意味する。
【0171】
S1.冷却システム(10)であって、冷却システム(10)は、
蒸発器(11)、
第1のコンプレッサ(12)、
第2のコンプレッサ(14)、
冷却コンポーネント(16)、
膨張装置(18)、ならびに
蒸発器(11)、第1のコンプレッサ(12)、第2のコンプレッサ(14)、冷却コンポーネント(14)及び膨張装置(18)を互いに接続する配管システム(20´、21´)を有し、
冷却システム(10)に冷媒が入っていて、冷媒は二酸化炭素であり、
第1のコンプレッサ(12)と第2のコンプレッサ(14)とが互いに直列に配置されている、冷却システム。
【0172】
S2.上記の実施形態による冷却システム(10)であって、冷却コンポーネント(16)がガス冷却器及び/又は凝縮器を備える、冷却システム。
【0173】
S3.上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、冷却システムが超臨界蒸気圧縮サイクルを実行するように形成されている。
【0174】
S4.上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、冷却システムが亜臨界蒸気圧縮サイクルを実行するように形成されている、冷却システム。
【0175】
S5.上記の実施形態の1つによる冷却システムであって、冷却システムが10W~100kW、殊に500W~10kWの冷却能力を有する、冷却システム。
【0176】
S6.上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、冷却システムが主回路を有し、主回路は、
蒸発器(11)、第1のコンプレッサ(12)、第2のコンプレッサ(14)、冷却コンポーネント(16)、膨張装置(18)、及び配管システム(20´、21´)の少なくとも一部を有し、
冷媒が主回路に存在する、冷却システム。
【0177】
S7.上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、冷却コンポーネント(16)が、第2のコンプレッサ(14)の下流に、及び膨張装置(18)の上流に配置されている、冷却システム。
【0178】
S8.上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、冷却コンポーネント(16)が、第2のコンプレッサ(14)の下流の冷媒を冷却するように設定されている、冷却システム。
【0179】
S9.上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、冷却システム(10)は、
冷媒が出口温度で第1のコンプレッサを出る場合に、冷媒は出口温度よりも低い入口温度で第2のコンプレッサに送られる、冷却システム。
【0180】
S10.上記の実施形態による冷却システム(10)であって、入口温度と出口温度とは、1Kよりも大きい、殊に2Kよりも大きい、さらに殊に3Kよりも大きい温度差の分だけ異なる、冷却システム。
【0181】
S11.上記の実施形態による冷却システム(10)であって、第1のコンプレッサ(12)及び/又は第2のコンプレッサは、以下の型式のコンプレッサ
-スクロール圧縮機、
-レシプロ圧縮機、
-スクリュー圧縮機、
-ロータリピストン圧縮機
のうちの1つとして形成されている、冷却システム。
【0182】
S12.実施形態S6の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、冷却システム(10)が、第1の接続箇所(42)及び第2の接続箇所(44)で主回路と流体的に接続される戻り区分(40)を有し、第2の接続箇所(44)が、主回路において、第1のコンプレッサ(12)の下流及び第2のコンプレッサ(14)の上流に位置する、冷却システム。
【0183】
S13.実施形態S9及びS12の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、冷却システム(10)は、第2の接続箇所(44)で戻り区分(40)内の冷媒が、主回路における第2の接続箇所(44)の直ぐ上流の冷媒よりも低い比エンタルピを有するように設定されている、冷却システム。
【0184】
S14.熱交換器(48)を備える実施形態S12の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、熱交換器(48)が、主回路において冷却コンポーネント(16)の下流に配置された1次側を備え、熱交換器(48)は、主回路における冷媒を冷却するように形成されている、冷却システム。
【0185】
S15.実施形態S14の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、熱交換器(48)は、第1の接続箇所(42)及び/又は配管区分(208)において、冷媒を冷却コンポーネント(16)の出口温度未満の所定温度にするように形成されている、冷却システム。
【0186】
S16.実施形態S15の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、熱交換器(48)が、主回路における膨張装置(18)の上流に配置されている、冷却システム。
【0187】
S17.実施形態S15の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、熱交換器(48)が、戻り区分(40)に配置される2次側を備え、熱交換器(48)が、戻り区分(40)における冷媒を加熱するために、1次側によって冷媒から熱を吸収し、吸収した熱を2次側によって冷媒に放出するように形成されている、冷却システム。
【0188】
S18.実施形態S12及びS17の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、2次側は、戻り区分(40)において第2の接続箇所(44)の上流に配置されている、冷却システム。
【0189】
S19.上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、第1のコンプレッサ(12)は、冷媒を1次圧力範囲から2次圧力範囲に圧縮するように形成され、2次圧力範囲が1次圧力範囲よりも高い圧力を有する、冷却システム。
【0190】
S20.実施形態S19の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、第2のコンプレッサ(14)は、冷媒を2次圧力範囲から3次圧力範囲に圧縮するように形成され、3次圧力範囲は、2次圧力範囲よりも高い圧力を有する、冷却システム。
【0191】
S21.実施形態S12の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、戻り区分に配置された別の膨張装置(46)を備え、別の膨張装置(46)は、冷媒を3次圧力範囲から2次圧力範囲に下げるように形成されている、冷却システム。
【0192】
S22.実施形態S12及びS21の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、別の膨張装置(46)が、熱交換器(48)の2次側の上流及び/又は接続箇所(42)の下流に配置されている、冷却システム。
【0193】
S23.別の熱交換器(50)を備える実施形態S6の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、別の熱交換器(48)が、主回路において膨張装置(18)の上流及び/又は冷却コンポーネント(16)の下流に配置された1次側を備え、別の熱交換器(50)は冷媒を冷却するように形成されている、冷却システム。
【0194】
S24.実施形態S14及びS23の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、別の熱交換器(48)は、主回路における熱交換器(48)の1次側の下流に配置されている、冷却システム。
【0195】
S25.実施形態S23の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、別の熱交換器(50)が、蒸発器(11)の下流及び/又は第1のコンプレッサ(12)の上流に配置される2次側を備え、別の熱交換器(50)は、1次側によって冷媒から熱を吸収し、吸収した熱を2次側によって冷媒に放出して第1のコンプレッサ(12)の上流の冷媒を加熱するように形成されている、冷却システム。
【0196】
S26.実施形態S23の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、別の熱交換器(50)が配管間熱交換器である、冷却システム。
【0197】
S27.液状状態の冷媒を分離するように形成された液体分離器(30)を備え得る上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、液体分離器(30)が、主回路において、蒸発器(11)の下流及び/又は第1のコンプレッサ(12)の上流に配置されている、冷却システム。
【0198】
S28.実施形態S25の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、液体分離器(30)が、別の熱交換器(50)の2次側の上流に配置されている、冷却システム。
【0199】
S29.冷媒から水分を除去するように形成されたフィルタドライヤ(34)を備えた上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、フィルタドライヤ(34)が主回路において冷却コンポーネント(16)の下流及び/又は膨張装置(18)の上流に配置されている、冷却システム。
【0200】
S30.実施形態S14、S23、及びS29の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、フィルタドライヤ(34)が、主回路において熱交換器(48)の1次側と別の熱交換器(50)の1次側との間に配置される、冷却システム。
【0201】
S31.実施形態S12及びS29の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、フィルタドライヤ(34)が接続箇所(42)の下流に配置されている、冷却システム。
【0202】
S32.冷媒を液相と気相とに分けるように形成された中圧容器(70)を備える上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、中圧容器(70)は、主回路において冷却コンポーネント(16)の下流及び/又は膨張装置(18)の上流に配置されている、冷却システム。
【0203】
S33.実施形態S23及びS32の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、中圧容器(70)が三方収集器として形成され、かつ
-冷媒を中圧容器(70)に導くように形成され、かつ冷却コンポーネント(16)の下流に配置された容器入口(71)と、
-液状の冷媒を中圧容器から配管区分(208)に導くように形成され、かつ蒸発器(11)の上流及び/又は膨張装置(18)の上流に配置された第1の容器出口(72)と、
-中圧容器(70)を戻り区分(40)に結合し、かつガス状の冷媒を戻り区分(40)に導くように形成された第2の容器出口(73)と、を有する、冷却システム。
【0204】
S34.実施形態S6、S14、及びS33の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、容器入口(71)が、主回路において熱交換器(48)の下流に配置されている、冷却システム。
【0205】
S35.実施形態S29及びS33の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、容器入口(71)がフィルタドライヤ(34)の下流に配置されている、冷却システム。
【0206】
S36.実施形態S12及びS32の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、第1の接続箇所(42)が中圧容器(70)によって形成される、冷却システム。
【0207】
S37.高圧制御装置(74)を備える上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、高圧制御装置が、冷媒の圧力を低下させる、特に圧力を3次圧力範囲から2次圧力へ低下させる、又は圧力を3次圧力範囲の範囲内に低下させるように形成されている、冷却システム。
【0208】
S38.上記の実施形態による、及び実施形態S32の特徴を有する冷却システム(10)であって、高圧制御装置(74)が中圧容器(70)の上流に配置されている、冷却システム。
【0209】
S39.上記の2つの実施形態の1つによる、ならびに実施形態S14及びS29の特徴を有する冷却システム(10)であって、高圧制御装置(74)が、主回路において冷却コンポーネント(16)、第1の熱交換器(48)及び/又フィルタドライヤ(34)の下流に配置されている、冷却システム。
【0210】
S40.実施形態S37の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、高圧制御装置(74)は、圧力にもとづいて、特に冷却コンポーネント(16)の下流の冷媒の圧力にもとづいて制御可能である、冷却システム。
【0211】
S41.実施形態S12及びS37の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、高圧制御装置(74)が、第1の熱交換器(48)の下流及び/又は高圧制御装置(74)の上流の圧力にもとづいて制御可能である、冷却システム。
【0212】
S42.実施形態S29及びS37の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、高圧制御装置(74)が、フィルタドライヤ(34)の上流の圧力にもとづいて制御可能である、冷却システム。
【0213】
S43.上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、膨張装置(18)が過熱制御装置であり、かつ蒸発器(11)における冷媒の過熱を制御するように形成されている、冷却システム。
【0214】
S44.実施形態S43の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、膨張装置(18)は、冷媒の圧力を調整するように、特に、冷媒の圧力を2次圧力範囲から1次圧力範囲へ下げるか、又は3次圧力範囲から1次圧力範囲に下げるように形成されている、冷却システム。
【0215】
S45.上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、膨張装置(18)が、圧力にもとづいて、特に蒸発器(11)の下流及び/又は第1のコンプレッサ(12)の上流の冷媒の圧力にもとづいて制御可能である、冷却システム。
【0216】
S46.実施形態S23の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、膨張装置(18)が、別の熱交換器(50)の上流の圧力にもとづいて調節可能である、冷却システム。
【0217】
S47.実施形態S32の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、冷媒の流れを配管区分(208)から配管区分(210)へ制御するために、中圧容器(70)のパラメータ値にもとづいて膨張装置(18)を制御可能である、冷却システム。
【0218】
S48.実施形態S47の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、パラメータは、中圧容器内の冷媒の充填レベル、圧力、温度及び/又は凝集状態である、冷却システム。
【0219】
S49.実施形態S47の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、膨張装置(18)は、中圧容器(70)のパラメータ値を検出するように形成されている、冷却システム。
【0220】
S50.第2の冷却コンポーネント(32)を備える上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、第2の冷却コンポーネントが冷媒を冷却するように形成され、かつ第1のコンプレッサ(12)の下流及び/又は第2のコンプレッサ(14)の上流に配置されている、冷却システム。
【0221】
S51.実施形態S12及びS50の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、第2の冷却コンポーネント(32)が接続箇所(44)の上流に配置されている、冷却システム。
【0222】
S52.実施形態S50の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、第2の冷却コンポーネント(32)は、冷媒が周囲温度を超えた場合に、冷媒を第2の冷却コンポーネント(32)の出口においてガス状で、2次圧力範囲の範囲内で、及び低下させた温度で提供するために、冷媒を冷却するように形成されている、冷却システム。
【0223】
S53.実施形態S50の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、第2の冷却コンポーネント(32)は、冷媒を所定温度に冷却するように形成され、それにより第2のコンプレッサ(14)の下流の冷媒が限界温度未満の温度を有する、冷却システム。
【0224】
S54.実施形態S53の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、限界温度は、冷媒が亜臨界温度を有するように決定される、冷却システム。
【0225】
S55.実施形態S50の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、第2の冷却コンポーネント(32)は、第2の冷却コンポーネント(32)がベンチレータを備え、ベンチレータは、冷媒から熱を奪うために第2の冷却コンポーネント(32)において空気流を生成するように形成されている、冷却システム。
【0226】
S56.実施形態S32及びS50の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、第2の容器出口(73)は、配管区分(216)を介して第2の冷却コンポーネント(32)と接続される、冷却システム。
【0227】
S57.実施形態S56の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、第1の冷媒流が第2の冷却コンポーネント(32)から別の接続箇所(52)へ流れ、第2の冷媒流が第2の容器出口(73)から別の接続箇所(52)へ流れ、第1の冷媒流と第2の冷媒流が別の接続箇所(52)において組わせた冷媒流となるように混合され、混合された冷媒流は、配管区分(214)を介して第2の接続箇所(44)及び/又は第2のコンプレッサ(14)へ流れる、冷却システム。
【0228】
S58.実施形態S12の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、戻り区分(40)からの冷媒を2次圧力範囲の第2の接続箇所(44)を介して配管(204)に注入することができる、冷却システム。
【0229】
S59.実施形態S14及びS50の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、熱交換器(48)は、第2の接続箇所(44)において冷媒を第1の比エンタルピで提供するように形成され、第2の冷却コンポーネント(32)は、第2の接続箇所(44)において、冷媒を第2の比エンタルピで提供するように形成され、第1の比エンタルピは第2の比エンタルピよりも小さい、冷却システム。
【0230】
S60.実施形態S12の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、戻り区分(40)における冷媒流と、第2の接続箇所(44)における配管(214)内の別の冷媒流とが組わせた冷媒流となるように混合され、混合された冷媒流が第2のコンプレッサ(14)に提供される、冷却システム。
【0231】
S61.実施形態S50の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、第2の冷却コンポーネント(32)は、周囲温度にもとづいて、及び/又は蒸発器(11)の限界温度にもとづいて冷媒を冷却するように形成されている、冷却システム。
【0232】
S62.冷媒の流れを制御するように形成されている回路コントローラを備える上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)。
【0233】
S63.実施形態S62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、冷媒の圧力、特に冷却コンポーネント(16)の下流及び/又は第2おコンプレッサ(14)の下流の高圧にもとづいて膨張装置(18)の開放を制御するように形成され、膨張装置(18)の開度に応じて、膨張装置(18)の下流の冷媒の圧力緩和を制御可能である、冷却システム。
【0234】
S64.実施形態S14及びS62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、熱交換器(48)の下流の冷媒の圧力にもとづいて膨張装置(18)の開放を制御するように形成されている、冷却システム。
【0235】
S65.実施形態S62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、膨張装置(18)は弁を有し、かつ回路コントローラによってコントロール制御にもとづいて、弁の開放を完全閉から完全開までの範囲で段階的に、又は連続的に適合させるように形成されている、冷却システム。
【0236】
S66.実施形態S62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、第1のコンプレッサ(12)の上流及び/又は蒸発器(11)の下流の冷媒の温度、特に蒸発器出口の温度にもとづいて膨張装置(18)の開放を制御するように形成されている、冷却システム。
【0237】
S67.上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、膨張装置(18)の開度に応じて、膨張装置(18)の下流の冷媒の圧力緩和を制御可能である、冷却システム。
【0238】
S68.実施形態S62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路制御器は、所定温度値を決定し、検出された温度、特に蒸発器出口温度が所定温度値を超えた場合に膨張装置(18)の開放を制御するように形成されている、冷却システム。
【0239】
S69.実施形態S21及びS62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、第1のコンプレッサ(12)の下流及び/又は第2のコンプレッサ(14)の下流の冷媒の温度、特にコンプレッサ出口温度ないしは高温ガス温度に応じて別の膨張装置(46)の開放を制御するように形成され、別の膨張装置(46)の開度に応じて、別の膨張装置(46)の下流の冷媒の圧力緩和を制御可能である、冷却システム。
【0240】
S70.実施形態S37及びS62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、第2のコンプレッサ(14)の下流及び/又は高圧制御装置(74)の上流の冷媒の圧力に応じて高圧制御装置(74)の開放を制御するように形成されている、冷却システム。
【0241】
S71.実施形態S14、S29、及びS70の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、熱交換器(48)の下流及び/又はフィルタドライヤ(34)の上流の圧力に応じて高圧制御装置(74)を制御するように形成されている、冷却システム。
【0242】
S72.コンプレッサ駆動装置を備える上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、コンプレッサ駆動装置は、第1のコンプレッサ(12)及び/又は第2のコンプレッサ(14)を駆動するように形成されている、冷却システム。
【0243】
S73.実施形態S72の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、コンプレッサ駆動装置は、膨張装置(18)の下流の冷媒の圧力、特に蒸発圧力、及び/又は冷媒の温度、特に蒸発温度に応じて第1のコンプレッサ(12)及び/又は第2のコンプレッサ(14)のそれぞれのコンプレッサ回転数を制御するように形成され、コンプレッサ回転数に応じて第1のコンプレッサ(12)及び/又は第2のコンプレッサ(14)の圧縮能力を制御可能である、冷却システム。
【0244】
S74.実施形態S62及びS72の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、第1のコンプレッサ(12)、第2のコンプレッサ(14)、及び/又はコンプレッサ駆動装置がそれぞれ駆動装置を有し、かつ、回路コントローラによるコントロール制御にもとづき、それぞれの駆動装置の回転数を最小回転数から最大回転数までの所定の範囲で段階的に、又は連続的に適合させるように形成されている、冷却システム。
【0245】
S75.実施形態S62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、所定の蒸発温度にもとづいてコンプレッサ回転数を制御するように形成されている、冷却システム。
【0246】
S76.実施形態S62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、蒸発温度を下げるためにコンプレッサ回転数を上げるように形成され、及び/又は蒸発温度を下げるためにコンプレッサ回転数を下げるように形成されている、冷却システム。
【0247】
S77.上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、冷却コンポーネント(16)が、冷却のために空気流を冷却コンポーネント(16)に通すように形成されたベンチレータを備える、冷却システム。
【0248】
S78.上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、冷却コンポーネント(16)が、熱を冷媒からブ配管に伝達するように形成された冷媒ブ配管熱交換器を備える、冷却システム。
【0249】
S79.実施形態S62及びS77の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、冷却コンポーネント(16)の下流の冷媒の温度、特に冷却コンポーネント出口温度に応じてベンチレータのベンチレータ回転数を制御するように形成され、ファン回転数に応じて冷却コンポーネント(16)の冷却能力を制御可能である、冷却システム。
【0250】
S80.実施形態S62及びS77の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、ベンチレータは、ベンチレータ回転数を回路コントローラによって、コントロール制御にもとづいて、最小回転数から最大回転数の所定の範囲で段階的又は連続的に適合させるように形成されている、冷却システム。
【0251】
S81.実施形態S62及びS77の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、熱負荷に応じて複数の段階でベンチレータを制御するように形成され、第1の制御段階において、ベンチレータ回転数はゼロであり、ベンチレータは第2の制御段階においてゼロより大きい第1の回転数で回転し、及び/又は第3の制御段階において第2の回転数で回転し、第2の回転数が第1の回転数よりも大きい、冷却システム。
【0252】
S82.実施形態S62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、冷却能力が最大化されるように、圧力を3次圧力範囲で制御するように形成されている、冷却システム。
【0253】
S83.実施形態S62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、加熱が最小限になるよう膨張装置(18)によって蒸発器(11)の過熱を制御するように形成され、過熱はコンプレッサ入口で殊に少なくとも3Kである、冷却システム。
【0254】
S84.実施形態S21及びS62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、別の膨張装置(46)によって第1のコンプレッサ(12)及び/又は第2のコンプレッサ(14)におけるそれぞれのコンプレッサ出口温度を、コンプレッサ出口で所定の限界温度を下回るように制御するように形成されている、冷却システム。
【0255】
S85.実施形態S12の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、コンプレッサ出口温度を下げるために、戻り区分(44)からの冷却された冷媒を第2の接続箇所(44)で注入することができる、冷却システム。
【0256】
S86.実施形態S62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、第1のコンプレッサの第1のコンプレッサ回転数及び第2のコンプレッサの第2のコンプレッサ回転数をそれぞれ無段階で制御するように形成され、回路コントローラは、第1のコンプレッサ回転数と第2のコンプレッサ回転数とをそれぞれ別々に制御するように形成されている、冷却システム。
【0257】
S87.実施形態S62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、始動段階において、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサをそれぞれの所定の加速値でそれぞれの所定の目標回転数に加速するように形成され、加速度は、殊に8回転/s2以下である、冷却システム。
【0258】
S88.実施形態S77及びS87の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、第1のコンプレッサの加速度及び/又は第2のコンプレッサの加速度に応じてベンチレータの回転数を制御する、特に無段階で制御するように形成されている、冷却システム。
【0259】
S89.実施形態S88の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、ベンチレータの制御特性曲線が、第1のコンプレッサ及び/又は第2のコンプレッサの制御特性曲線に先行する、冷却システム。
【0260】
S90.実施形態S62及びS77の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、周囲温度に応じて、特に周囲温度に比例してベンチレータのベンチレータ回転数を制御するように形成され、周囲温度は、実験機器、殊に冷却コンポーネントの空気出口で検出可能である、冷却システム。
【0261】
S91.実施形態S62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、圧力を3次圧力範囲で、特に最適な高圧に調整するために、冷却コンポーネントのアウトレット温度及び/又は周囲温度に応じて膨張装置を制御するように形成されている、冷却システム。
【0262】
S92.実施形態S91の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、膨張装置がサーモスタット弁又は電子膨張弁を備える、冷却システム。
【0263】
S93.実施形態S62の特徴を有する上記の実施形態の1つによる冷却システム(10)であって、回路コントローラは、周囲温度の変化を検出するように、及び周囲温度の変化にもとづいて、膨張装置、コンプレッサ回転数及び/又はベンチレータ回転数を制御するように形成されている、冷却システム。
【0264】
以下に、実験装置の実施形態を挙げる。これらの実施形態は、文字「L」とそれに数字で略記される。以下において、「実験機器実施形態」に言及するときはいつでも、これらの実施形態を意味する。
【0265】
L1.冷却システムを備える実験機器(300)。
【0266】
L2.上記の実施形態による実験機器であって、上記のシステム実施形態の1つによる冷却システムが形成されている、実験機器。
【0267】
L3.上記の実施形態による実験機器であって、実験機器が遠心分離器であり、及び/又は実験機器が卓上機器又は床置き機器である、実験機器。
【0268】
L4.上記の実施形態の1つによる実験機器であって、実験機器がロータタンク(301)を備え、ロータタンクに1つの/前述の蒸発器(11)が配置されている、実験機器。
【0269】
L5.実施形態L4の特徴を有する上記の実施形態の1つによる実験機器であって、ロータタンクの外面に配置された蒸発器が蒸発器巻線(302)を備え、蒸発器巻線が周回する配管によって形成されている、実験機器。
【0270】
L6.実施形態L5の特徴を有する上記の実施形態の1つによる実験機器であって、蒸発器巻線は、平ら面を形成するために少なくとも片側が扁平化された形状、特にD字形を有し、平ら面は、面接触を形成するためにロータタンクの外面に当接する、実験機器。
【0271】
L7.実施形態L6の特徴を有する上記の実施形態の1つによる実験機器であって、蒸発器巻線は、5mm~20mmの範囲の、殊に10mm又は16mmの外管径を有し、ならびに/あるいは蒸発器巻線は、0.5mm~5mmの肉厚、殊に1mmの肉厚を有する、実験機器。
【0272】
L8.実施形態L4の特徴を有する上記の実施形態の1つによる実験機器であって、ロータタンクが側方外套面と底外套面と底面とを有し、側方外套面が円筒状に形成され、底外套面が湾曲した輪郭を有し、かつ側方外套面を底面と接続するように形成されている、実験機器。
【0273】
L9.実施形態L5及びL8の特徴を有する上記の実施形態の1つによる実験機器であって、蒸発器巻線が側方外套面、底外套面、及び/又は底面に配置されている、実験機器。
【0274】
L10.実施形態L5及びL8の特徴を有する上記の実施形態の1つによる実験機器であって、蒸発器巻線が側方外套面において面接触を形成する、実験機器。
【0275】
次に、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照しながら本発明を説明する。これらの実施形態は本発明を例示的に示し、これを限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0276】
図1A】一実施形態による冷却システムの模式図を示す。
図1B図1Aによる冷却システムの一実施形態のサイクルのエンタルピ圧力線図を示す。
図2A】一実施形態による冷却システムの模式図を示す。
図2B図2Aによる冷却システムの一実施形態のサイクルのエンタルピ圧力線図を示す。
図3A】一実施形態による冷却システムの模式図を示す。
図3B図3Aによる冷却システムの一実施形態のサイクルのエンタルピ圧力線図を示す。
図4A】一実施形態による冷却システムの模式図を示す。
図4B図4Aによる冷却システムの一実施形態のサイクルのエンタルピ圧力線図を示す。
図5A】一実施形態による冷却システムの模式図を示す。
図5B図5Aによる冷却システムの一実施形態のサイクルのエンタルピ圧力線図を示す。
図6A】一実施形態による冷却システムの模式図を示す。
図6B図6Aによる冷却システムの一実施形態のサイクルのエンタルピ圧力線図を示す。
図7】一実施形態による冷却システムの模式図を示す。
図8】一実施形態によるロータタンクの模式的断面図を示す。
図9A】一実施形態によるロータタンクの斜視断面図を示す。
図9B】一実施形態によるロータタンクの斜視断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0277】
すべての図面にすべての参照番号が付いているわけではないことに留意されたい。その代わりに、いくつかの図面では、図示の簡潔及び簡単にするために、いくつかの参照番号が省略されている。以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0278】
本発明の実施形態は、冷却システムにおける冷媒としてのCO2の効率的な使用を可能にする。特に、冷却システムは、実験機器300、とりわけ遠心分離器における放熱のために設計されている。この場合、主回路に加えて熱流及び/又は冷媒流によって冷却システムの動作モードを最適化することができ、それに応じて冷却システムの効率を高めることができる。
【0279】
図1図6の変形図A図Bはそれぞれ、模式的回路図と対応するlog-pエンタルピ線図のユニットを形成する。この場合、冷媒の状態を表すプロセスポイントが、回路図及びlog-pエンタルピ線図に矩形で印を付けた数字として示される。
【0280】
使用される冷媒(CO2)の比エンタルピがx軸上にプロットされ(例えば図1Bを参照)、圧力がy軸上にプロットされ、y軸は対数である。線図は、釣鐘形の線を有し、その左側領域に参照符号802が付され、右側領域に参照符号804が付されている。
【0281】
この釣鐘形の線802、804によって画定される領域、すなわち図示ではこの線802、804の下に配置される領域において、冷媒は湿り蒸気として、すなわち液状状態とガス状状態の混合の形で存在する。線領域802の左側では、冷媒が液相であり、線領域802は沸騰線とも呼ばれる。線領域804の右側では、冷媒は気相であり、線領域804は露線とも呼ばれる。
【0282】
沸騰線802と露線804は臨界点でぶつかる。この点より上(すなわち、臨界圧力を超える圧力)では、気相と液相を区別できないため、この領域は超臨界領域とも呼ばれる。
【0283】
図1Bの線図において、本発明の一実施形態による冷却プロセスを示す線図が直線で表される。この冷却プロセスを図1aの実施例で使用することができる。
【0284】
冷却システムは、それぞれ圧力及び/又は温度を検出するように形成された複数のセンサ60を有することができる。それに応じて、システム10内の温度及び圧力を異なった場所で決定することができる。図1A及び図1Bにおいて、2段圧縮の冷却システムが示される。
【0285】
冷却システム10は、単にシステム10とも呼ばれる。システム10は、次のもの、すなわち蒸発器11、第1のコンプレッサ12、第2のコンプレッサ14、第1の冷却コンポーネント16、及び例えば膨張弁18として形成することができ、以下に、単に膨張弁18とも呼ばれる第1の膨張装置18を有する。一実施形態では、第1のコンプレッサ12及び第2のコンプレッサを1つのハウジング、特に共通のハウジング内に配置することができる。第1のコンプレッサ12と第2のコンプレッサ14のために、第1のコンプレッサ12及び第2のコンプレッサ14の両方を駆動するように形成された共通の駆動装置を設けることができる。
【0286】
さらに、冷却システム10は、システム10の他のコンポーネントを互いに接続する複数の配管20´、21´を含む配管システム20を有し、文字´は数字を表す。
【0287】
システム10は、蒸発器11、第1のコンプレッサ12、第2のコンプレッサ14、冷却コンポーネント16、及び膨張弁18がこの順序で互いに接続された第1の回路を形成し、蒸発器11がこの順序に従って再び膨張弁18と接続され、この回路は主回路とも呼ばれる。特に、第1のコンプレッサ12及び第2のコンプレッサ14は、蒸発器11と冷却コンポーネント16との間に配置され、互いに直列に設けられている。
【0288】
さらに、システム10は、第1の冷却コンポーネント16と膨張弁18との間に配置されたフィルタドライヤ34を有する。フィルタドライヤ34を主回路における膨張装置18の上流に配置することができる。
【0289】
この文書において「上流」及び「下流」という用語がいくつかの箇所で使用される。例えば、図1aを見ると、冷媒が反時計回りに流れ、それにより膨張装置18はフィルタドライヤ34の下流に配置されていることが明らかなはずである。
【0290】
同時に、使用されるプロセスは循環プロセスであることに注意すべきである。冷媒が膨張装置18を出た後、これは一定の時間の後にコンプレッサ11と、2つのコンプレッサ12及び14と、冷却コンポーネント16とを通り、次いで再びフィルタドライヤ34に戻る。
【0291】
しかしながら、フィルタドライヤ34から膨張装置18へのプロセス技術的な接続は、膨張装置18から(別の要素を介して)フィルタドライヤ34までよりも短いことが理解できるはずである。したがって、この文書において、「上流」及び「下流」という用語について、2つの要素間のより短いプロセス技術的接続が考慮される。したがって、上述したように、例えば膨張装置18はフィルタドライヤ34の下流に配置され、蒸発器11は膨張装置18の下流に配置されている。別の例は、蒸発器11の下流に配置された第2のコンプレッサ14である。
【0292】
この文書中で、ある要素が2つの別の要素の間に配置されると述べられた場合、それは、別の要素のプロセス技術的により短い接続の間の配置のことを指す。図1Aに示される例示的な実施例では、この意味で、第1のコンプレッサ12は、例えば蒸発器11と第2のコンプレッサ14との間に配置される。
【0293】
冷媒を蒸発器11の出口における低圧から第2のコンプレッサ14の出口における高圧にするために、第1の圧縮12によって第1の圧縮を達成することができ、第2のコンプレッサ14によって第2の圧縮を達成することができる。冷却コンポーネント16は、圧縮機11で吸収された熱をシステム10から排出するために、エンタルピ低減を実現する。この冷却により、冷媒は気相から液相に転移することができる。次いで、膨張装置18は、圧力低下によって冷媒を液相から湿り蒸気相に転移させ、それを熱吸収のために蒸発器に提供することができる。
【0294】
図1A及び図1Bを参照して、冷却回路を次のように説明することができる。プロセスポイントは、対応する図A及び図Bにおいて、それぞれ矩形内の数によって一様に示されている。プロセスポイント1は、蒸発器11の下流、及び第1のコンプレッサ12の上流に位置する。このプロセスポイント1では、冷媒はガス状であり、比較的低い温度で比較的小さい圧力で存在する。
【0295】
第1のコンプレッサ12と第2のコンプレッサ14との間に位置するプロセスポイント2では、冷媒はガス状であり、中圧及び中温である。
【0296】
第2のコンプレッサ14と冷却コンポーネント16との間に位置するプロセスポイント3では、冷媒は高圧及び高温である。示された実施例では、冷媒は、このプロセスポイント3で超臨界である。しかしながら、これは必須ではなく、プロセスポイント3において冷媒はガス状でも存在し得ることに留意されたい。したがって、これらの実施形態では、図1Bによる線図において、プロセスポイント3(若しくは一般に、第2のコンプレッサ14と冷却コンポーネント16との間のプロセスポイント)は、圧力に関して臨界圧力より下に配置され、これは他の実施例にも当てはまる。
【0297】
冷媒は、冷却コンポーネント16によって冷却され、それによりこれは冷却コンポーネント16と膨張装置18との間に位置するプロセスポイント4において、高圧及び低温で存在する。示された例示的な実施形態では、プロセスポイント4において冷媒は超臨界である。しかしながら、この場合、冷媒が、このプロセスポイント4(若しくは一般に冷却コンポーネント16と膨張装置18との間のプロセスポイント)において別の相、特に湿り蒸気として存在することも可能である。そのような実施形態では、この場合も、図1Bによる相線図において、対応するプロセスポイント(ここでは:プロセスポイント4)で、圧力は臨界圧力未満であり、後述する実施形態でもこの可能性がある。
【0298】
次いで、冷媒を膨張装置18によって膨張させることができ、それにより冷媒はプロセスポイント5において膨張装置18と蒸発器11との間で湿り蒸気として、小さい圧力と低い温度で存在する。
【0299】
次いで、冷媒を蒸発器11によって蒸発させることができ、それにより冷媒は、プロセスポイント1において蒸発器11と第1のコンプレッサ12との間で小さい圧力と低い温度低圧及び低温で存在する。示された実施例では、冷媒はプロセスポイント1でガス状である。
【0300】
図2A及び図2Bに示される実施形態には、図1A及び図1Bによる冷却システムに、蒸発器11と第1のコンプレッサ12との間に配置される液体分離器30が加わる(すなわちさらに有する)。
【0301】
説明した回路に加えて、システム10は、戻り区分40をさらに有し、これは、単に接続部とも呼ばれる2つの接続箇所42及び44において回路と流体的に接続されている。第1接続箇所42は、第1の冷却コンポーネント16と膨張弁18との間に設けられ、第2の接続箇所44は、第1のコンプレッサ12と第2のコンプレッサ14との間に設けられている。
【0302】
戻り区分40は、膨張装置46(膨張弁46とも呼ばれる)をさらに有し、かつ熱交換器48を通過し、この熱交換器を同様に上述の回路、特に冷却コンポーネント16を膨張弁18と接続する配管208が通過する。
【0303】
システム10は別の熱交換器50を備え、この熱交換器は、一方で配管208によって貫流され、他方で、蒸発器11を第1のコンプレッサ12と接続する配管202によって貫流される。
【0304】
別の膨張装置46を、特に第2のコンプレッサ14の出口における高圧及び/又は高温ガス温度に応じて調節することができる。したがって、戻り区分40を通る冷媒流量を減少又は増加させることができ、それに応じて高温ガス温度が低下又は上昇する。さらに、別の膨張装置46は、高圧領域で冷媒の後膨張を実現することができる。それによって、(例えば、図2A図2Bのプロセスポイント8による)より低いエンタルピを有する冷媒を、(例えば、図2A図2Bのプロセスポイント2による)より高いエンタルピを有する冷媒と混合することができる。第2の接続箇所44での混合及び/又は熱交換器48の貫流によってエンタルピを上昇させることができ、湿式吸入、すなわち第2のコンプレッサ14の前での部分的に液相を有する冷媒及び/又は湿り蒸気相の冷媒の吸引が回避されるか、又は少なくとも湿式吸引の可能性が低減される。
【0305】
膨張装置18は、熱交換器48の出口における圧力及び/又は温度に応じて調節され得る。この場合、熱交換器の出口におけるこの圧力は、膨張装置18の入口における圧力と実質的に同じであり得る。
【0306】
図2Bの相線図を見て、まず基本的に図1Bによる相線図の説明を参照することができ、当業者にとって、プロセスポイント(以下の補足事項を考慮して)が実質的に次のようになることが理解できるはずである。
【表1】
【0307】
図2A図2Bの実施形態は、主回路に加えて戻り区分40を有する。さらに、この実施形態は、とりわけ、冷却コンポーネント16の下流に配置された熱交換器48も有する。冷却コンポーネント16の下流の冷媒は、熱交換器48によってさらに冷却され、それにより冷媒はその下流(プロセスポイント6)で、プロセスポイント5での場合よりもさらに低い温度になる。
【0308】
主回路においてさらに下流に別の熱交換器50が配置され、これは冷媒をさらに冷却し、それにより冷媒は、その下流でプロセスポイント9(図2A図2B)において、さらに低い温度で存在する。
【0309】
次いで、冷媒を膨張弁18によって上述のように再び膨張させることができ、したがってプロセスポイント10において湿り蒸気として存在する。
【0310】
冷媒をこの場合も蒸発器11によって蒸発させることができる。ただし、蒸発が完全に行われない可能性があり、それにより冷媒が蒸発器の直ぐ下流(プロセスポイント11、図2A図2B)で露線近くにあり、冷媒中に液状成分が存在する。蒸発器11の下流に配置された液体分離器30によってこのような液体を分離することができ、追加のエネルギーを、すでに説明した熱交換器50によって蒸発器11と第1のコンプレッサ12との間の冷媒に導入することができ、それにより冷媒は、プロセスポイント1ではガス状である。
【0311】
戻り区分40は、接続箇所42と44との間に配置される。接続箇所42の下流の戻り区分40には、例えば膨張弁として形成されてもよい膨張装置46が配置されている。その下流のプロセスポイント7では、冷媒が中圧で湿り蒸気として比較的低い温度で存在する。冷媒を熱交換器48によって加熱することができる。ここに示される実施形態では、冷媒は露点まで加熱されるが、冷媒が熱交換器48の下流(すなわちプロセスポイント8)で湿り蒸気として又はガス状で存在することも可能である。全体として、システムは、接続部44(すなわちプロセスポイント3)での冷媒の混合によって生じる比エンタルピがさらなるサイクルプロセスに適するように操作される。
【0312】
したがって、戻り区分40の使用は、全体として、冷媒の後注入を提供し、これにより第2の圧縮機14の出口で高温ガス温度を調節することを可能にする。これにより、様々な熱負荷を考慮することができる。
【0313】
後注入と、1つ又は複数の内部熱交換器とを使用することによって、COP(Coefficient of Performance又は成績係数)を高めることができる。COPは、電力、特に消費される電力に対する冷却能力の比率によって定義することができる。
【0314】
後注入によって、log(p)-h線図(図3A図3B)のプロセスポイント4を、さらに左へ、すなわちより低いエンタルピの方向にシフトさせることができる。さらに、プロセスポイント7で熱交換器48を通過する冷媒は、プロセスポイント6よりも低いエンタルピを有し、それにより冷媒は、プロセスポイント11とプロセスポイント12との間で等エンタルピ(すなわち、図3Bでは垂直)の圧力緩和後、プロセスポイント12において、熱交換器が設けられていない場合よりも低いエンタルピで存在することが理解できるはずである。
【0315】
熱交換器48を、例えばエコノマイザ熱交換器として形成することができる。これは弁18の前に配置され、したがって冷媒の温度をさらに過冷却することができる。これは、より大きい比蒸発容量q、したがってより小さい必要質量流量と、その結果としてのより低いコンプレッサ回転数をもたらすことができる。すなわち、後注入によって必要な蒸発能力に適合させ、これを高めることが可能である。
【0316】
本発明の別の実施例を、図3A及び図3Bを用いて説明する。システム10は、第1のコンプレッサ12と第2のコンプレッサ14との間に配置された第2の冷却コンポーネント32をさらに有する。
【0317】
図3bの線図には、図3Aに示される実施形態による冷却システム10によって使用され得る冷却プロセスが示されている。矩形のボックス内に示される参照番号1~13は、図10a及び図10bにおいて互いに対応する。
【0318】
異なったポイントでの冷媒の状態は次のように要約できる。
【表2】
【0319】
いくつかの実施形態では、冷媒がプロセスポイント5でガス状でもあり得る。これに代えて、又はこれに加えて、冷媒は、プロセスポイント6、7、10及び11で液状でもあり得る。
【0320】
プロセスポイント1(図3a及び図3bを参照)で、すなわち第1のコンプレッサ12の上流の冷媒を見ると、冷媒はガス状であり、低圧及び低温で存在する。
【0321】
冷媒は、第1のコンプレッサ12で圧縮され、それによりこれは第1のコンプレッサ12の下流(すなわち、プロセスポイント2)でガス状及び中圧で存在する。圧縮によって、冷媒が加熱もされ、それによりこれは中温で存在する。
【0322】
冷却コンポーネント32において、冷媒が冷却され、それによりその下流(プロセスポイント3)で、ガス状で、中圧及び低温(すなわち、プロセスポイント2よりも低い温度)で、例えば約28℃で存在する。冷却コンポーネント32は、特に比較的高い蒸発温度の場合に設けられ得る。
【0323】
この冷媒は、戻り区分40からの冷媒と混合され、その際、戻り区分40からの冷媒はさらに低温であり、それにより接続部44と第2のコンプレッサ14との間にあるプロセスポイント4において、冷媒はガス状であり、中圧及び低温で存在し、この温度はプロセスポイント3よりもさらに低い。
【0324】
第2コンプレッサ14において冷媒がさらに圧縮される。特に、圧縮は、ここでは、冷媒が臨界圧力を超える圧力まで圧縮され得るように行われる(図3bを参照)。すなわち、プロセスポイント5における第2コンプレッサ14の下流では冷媒が超臨界で、高圧で存在する(本発明の実施形態では、プロセスポイント5における冷媒がガス状で存在することも可能である)。さらに、圧縮によって冷媒が加熱もされ、それによりこれは高温で存在する。
【0325】
冷媒は、冷却コンポーネント16によって冷却される。したがって、冷却コンポーネントの下流、プロセスポイント6で、冷媒は超臨界で(別の可能な実施形態では液状)、高圧で低温である(この温度はプロセスポイント5よりも低い)。
【0326】
冷媒を熱交換器48によってさらに冷却することができる。したがって、熱交換器48の下流、プロセスポイント7で、冷媒は超臨界(いくつかの実施形態では液状)で、高圧及び低温である(この温度は、プロセスポイント6よりも低い)。
【0327】
まず主回路を引き続きたどると、プロセスポイント6の下流の冷媒がフィルタドライヤ34を通って導かれ、フィルタドライヤは、冷媒の状態量に影響を及ぼさないか、若しくは無視できる程度しか及ぼさず、それによりこのドライヤ34の下流、プロセスポイント10での状態は、プロセスポイント7での状態と少なくとも実質的に同一である。フィルタドライヤ34で最小限の圧力損失が生じ得るが、これは膨張装置11及びコンプレッサ12、14による圧力変化に対して無視できる程度である。フィルタドライヤ34は、主回路において別の熱交換器50の下流に配置することもできる。
【0328】
図示された実施例では、冷媒は、フィルタドライヤ34の下流で熱交換器50によってさらに冷却され、それによりこれは熱交換器50の下流(プロセスポイント11)で超臨界(いくつかの実施形態ではガス状)、高圧で低温で存在する(プロセスポイント7及び10よりもさらに低い)。
【0329】
プロセスにおいてさらに下方で、冷媒は膨張弁18を通過し、それによって拡張し、湿り蒸気に転移される。したがって、膨張弁18の下流(すなわち、プロセスポイント12)では、冷媒は、湿り蒸気として、小さい圧力と低い温度で存在する。
【0330】
次に、冷媒は蒸発器11によって蒸発され、すなわち、理想的には、完全にガス状の状態に転移される。すなわち、蒸発器11の下流(すなわち、プロセスポイント13)では、冷媒はガス状であり(若しくは図10bでは湿り蒸気とガス状との間の転移)、小さい圧力と低い温度で存在する。理想的な蒸発とは異なり、蒸発器は、冷媒を少なくとも部分的に露線804に近づけるだけ、ないしは正確に露点まで上げることができる。この場合、冷媒の液状成分は、液体分離器30及び/又は別の熱交換器50によって分離され、及び/又はガス状の冷媒に変換され得る。
【0331】
液体分離器30を蒸発器11の下流に設けることができ、液状成分を少なくとも部分的に除去して、これらが下流に配置されたコンポーネント(特にコンプレッサ12、14)に到達しないことを確保する。この場合、例えば、コンプレッサ入口での液滴の形成が阻止されるか、又は少なくとも低減されるように、液状成分を減少させることができる。
【0332】
さらに、蒸発器11の下流及び第1のコンプレッサ12の上流で、冷媒は、すでに説明した熱交換器50を通過し、それによって加熱され得、それによりその下流、プロセスポイント1で、冷媒はガス状であり、低圧及び低温(しかしプロセスポイント13よりも暖かい)で存在し、それによりプロセスサイクルが終了する。特に蒸発器での蒸発が不完全な場合、これにより、液状状態の冷媒が下流に配置されたコンプレッサ12に到達しないか、若しくは可能な限り少ししか到達しないことをさらに確保することができる。
【0333】
前の段落において、冷媒が主回路をどのように通過するかについて説明した。これに加えて、本発明の実施形態では、別の戻り区分40を設けることもできる。図10aに見られるように、この戻り区分40を接続部42及び44を介して主回路と接続することができる。この場合、接続部42は熱交換器48の下流及び膨張弁18の上流、図示される実施形態ではフィルタドライヤ34の上流に設けられる。接続部44は、第1のコンプレッサ12と第2のコンプレッサ14との間に設けられる。
【0334】
すなわち、冷媒はプロセスポイント7での状態で戻り区分に供給され、この冷媒は超臨界、高圧及び低温である。
【0335】
戻り区分40において、冷媒は膨張弁46を通過し、膨張弁によって冷媒の圧力が中圧へ下げられる。膨張弁46の下流(プロセスポイント8)では、冷媒は湿り蒸気として存在し、中圧及び低温である。
【0336】
さらに下流で、戻り区分40において、冷媒は、冷媒を加熱する熱交換器48を通過する。加熱は、それによって冷媒が蒸発するように、すなわちガス状の状態に転移されるか、又は少なくとも露点(すなわち湿り蒸気とガスとの間の転移)に移されるように行われる。露線の直前まで加熱することも可能である。プロセスポイント3とプロセスポイント9からの混合エンタルピは、理想的にはガス状領域にあり得る。このために、熱交換器32、48を相応に設計することができ、戻り区分40における質量流量と主回路における質量流量との比率を調節するために、別の膨張弁46の開度を相応に調整することができる。すなわち、相転移のために熱交換器を介したエネルギー入力が必要であるため、熱交換器48の下流(すなわち、プロセスポイント9)では、冷媒は再びガス状(又は湿り蒸気からガスへの転移、しかし場合によっては湿り蒸気として)であり、中圧及び低温で存在する。特に、冷媒は、プロセスポイント9で、プロセスポイント3よりも低い比エンタルピであり、それによりこの冷媒の混合物(プロセスポイント4を参照)は、プロセスポイント3と比べて温度を低下させる。
【0337】
それぞれの図「B」に示されるサイクルプロセスが詳細に説明された前述の実施形態の詳細な説明の後、以下の実施形態は、簡単な説明の意味でより簡潔に説明されることに留意されたい。しかし対応する線図に関する、及び対応するプロセスに関する上記の実施形態は、以下に説明される実施形態にも同じように適用され、当業者は、線図を用いて、及び詳細な上記の説明と関連付けてそれらを理解するであろう。
【0338】
図4Aに示される冷却システム10の実施形態及び図4Bによる対応するモリエル線図によれば、第1の接続箇所に中圧容器70を付け加えるか、ないしは置き換えることができる。この場合、主回路において中圧容器70の入口71の上流に、特に膨張弁として形成することができる高圧制御装置74を配置することができる。高圧制御装置74によって高圧を中圧へ下げることができる。特に、この場合、液相又は超臨界相から湿り蒸気相への転移を実施することができる。液状の冷媒を中圧容器70の第1の出口72を介して膨張装置18に送ることができ、及び/又は中圧容器70の第2の出口73を介して少なくとも部分的にガス状の冷媒ないしは湿り蒸気相の冷媒を戻り区分40に導入することができる。この場合、冷媒を戻り区分40を介して第2のコンプレッサ14から吸い出すことができる。コンプレッサ12と14との間で中圧で冷媒を供給することに代えて、低圧の冷媒を気相の冷媒に混ぜ合わせることができる。例えば、第2の接続箇所44は、戻り区分40を第1のコンプレッサ12の上流で主回路に結合することができる。
【0339】
中圧容器70を使用することにより、第2の熱交換器50及び/又は別の冷却コンポーネント32を省略することができる。膨張装置18を、例えば配管区分202におけるセンサによって検出される蒸発器出口温度にもとづいて制御することができる。それによって、膨張装置18は、冷媒の過熱を制御することができる。
【0340】
図5A及び図5Bによる実施形態は、図4Aによる実施形態にもとづき、さらに第2の冷却コンポーネント32が付け加えられている。この場合、冷媒の第1の冷却は、第2の冷却コンポーネント32によってコンプレッサ12、14の間で達成することができる。続いて、接続箇所44で冷媒を戻り区分からの冷却された冷媒と混合することによって、冷媒のさらなる冷却を達成することができる。第2の冷却コンポーネント32は、ベンチレータを備えることができ、それにより第2の冷却コンポーネント32の冷却能力は、ベンチレータ回転数により制御可能であり得る。
【0341】
図6A及び図6Bによる冷却システム10の別の実施形態では、中圧容器70を、第2の容器出口73を別の接続箇所52と接続する配管セグメント216を介して、蒸発器11の下流、有利には液体分離器30の下流、第1のコンプレッサ12の下流、及び/又は第2の冷却コンポーネント32の下流で主回路に接続することができる。第1の混合された冷媒流は、別の接続箇所52から第2の接続箇所44に流れることができる。
【0342】
プロセスポイント6の下流に接続箇所42が配置され、そこで冷媒流が分かれる。主回路において、接続箇所の下流に高圧制御装置74(例えば、膨張弁)が配置され、戻り区分においても膨張装置46が配置されている。図6Bの状態線図を簡略化するために、装置74、46が冷媒を同じように膨張させると仮定され、それによりこれらの装置の下流に配置されたプロセスポイントには、図6Bにおいて、どちらにも8bが付され、図6Aにおける装置46の下流のプロセスポイントは8b´と呼ばれるが、図6Bにおいて、プロセスポイント8bと一致する。しかし、当業者にとって、これが例示にすぎず、装置74及び46は他の実施形態では異なる形態であり得ることが理解できる。
【0343】
冷媒の圧力緩和後(プロセスポイント8b、図6A)、冷媒流は2つの流れ(プロセスポイント7及び8a)に分割され得る。続いて熱交換器48を介してプロセスポイント8cまで加熱される、プロセスポイント8b´における圧力緩和された冷媒流は、湿り蒸気相であり得る(プロセスポイント8c)。殊に、冷媒は、プロセスポイント8aにおいて完全にガス状の状態であるか、ないしは飽和線804上にある。冷却媒体の状態は、プロセスポイント5と6の間の加熱される冷媒の温度と、プロセスポイント5と6との間、ならびに8bと8cとの間の質量流量比によって調節できる。戻り区分40への熱流は、熱交換器48の熱結合面積に比例し得る。プロセスポイント8cは可変であり得、例えばプロセスポイント8aと一致もする。
【0344】
第2の冷却コンポーネント32により、冷媒は、別の接続箇所で部分的に液状であり得る。湿式吸引、すなわち第2のコンプレッサ14と液相との接触を阻止するために、戻り区分44を介して相応の温度補償を実現することができ、第2のコンプレッサ14の入口に完全にガス状の冷媒が提供される。
【0345】
冷却システムにおいて、3つの圧力レベルが区別され得る。図7は、線A-A´で1次低圧領域を2次中圧領域から分離する。低圧領域は、膨張装置18の出口と第1のコンプレッサ12のコンプレッサ入口によって画定される。3次高圧領域は、第2のコンプレッサ14の出口で始まり、膨張装置18及び/又は別の膨張装置46の形態のそれぞれの減圧器まで延びる。戻り区分は、熱交換器48の2次側の下流に、延長された配管セグメントを有することができる。
【0346】
冷却システム10は、遠心分離器300において、遠心分離器ボウル301を冷却するために(図8)使用することができる。この場合、蒸発器11の蒸発器巻線302は、ロータ内部空間から蒸発器巻線302への熱伝達を最大にするために、遠心分離器ボウルの外壁に比較的大きい面接触で配置することができる。有利にも、蒸発器巻線302の巻線は、ロータタンク301に少なくとも部分的に押し付けられるか、又は少なくとも部分的に扁平化した押圧され得る。この場合、蒸発器巻線302の扁平化された巻線は、遠心分離器ボウルの直線部分に互いに面一に配置され得る。冷媒としてCO2を使用する場合、蒸発器巻線302の管径を小さくすることができ、それにより蒸発器巻線302とロータタンク301との間の面接触を増加させることができる。
【0347】
一実施形態によれば、蒸発器巻線302は、16mmの外管径及び1mmの肉厚を有する管を有することができ、各巻線は、x方向に11.6mmの接触長さを有し、蒸発器巻線302は、X方向の垂直部分に10個の接触巻線を備え、それによりX方向の全長が116mmになる(図9A)。
【0348】
別の実施形態によれば、蒸発器巻線302は、10mmの外管径及び1mmの肉厚を有する管を有することができ、各巻線は、X方向に8.9mmの接触長さを有し、蒸発器巻線302は、X方向の垂直部分に14個の接触巻線を備え、それによりX方向の全長が124.6mmになる(図9B)。
【0349】
図9A及び図9Bに示されるように、接触面積の増加は、2kWの規格化された冷却能力、40W/(m2K)の規格化されたU値、及び蒸発温度で、管内面とタンク内面との温度差の変化を結果として生じる。タンク内面の温度は、面積増加によって蒸発温度に近づく。上記の仮定値の場合、管外面との温度差は以下のとおりである。
・0.216m2:9.28K
・0.23m2:8.7K
【0350】
それに応じて、管の縁における温度は、面積増加によって0.58K低くなり得、それによりタンク温度も下げることができる。タンク温度が低いほど、結果としてサンプルの冷却が向上する。さらに、管径の縮小は材料の節約にもなる。
【0351】
この文書において、「ほぼ」、「実質的に」、又は「約」などの相対的な用語が使用される場合にはこの用語は正確な用語も含むべきである。すなわち、例えば「実質的に真っすぐ」には、「(正確に)真っすぐ」も含まれると解釈されるべきである。
【0352】
この文書においてはステップが言及されている場合、ステップはこの文面に挙げられる順序がランダムであり得ることに注意すべきである。すなわち、ステップが言及される順序は、別段記載のない限り、又は当業者に自明である場合を除きランダムであり得るということである。すなわち、本文書において、例えば、方法がステップ(A)と(B)を包含すると記載される場合、これは必ずしもステップ(A)がステップ(B)の前に行われることを意味するのではなく、ステップ(A)が(少なくとも部分的に)ステップ(B)と同時に実行されるということ、又はステップ(B)がステップ(A)の前に行われるということも可能である。さらに、ステップ(X)が別のステップ(Z)に先行するということは、ステップ(X)とステップ(Z)との間にステップがないということを意味しない。すなわち、ステップ(Z)の前のステップ(X)は、ステップ(X)がステップ(Z)の直前に実施されるという状況を含むが、1つ又は複数のステップ(Y1)、・・・、続いてステップ(Z)の前に(X)が実行されるという状況も含む。それに対応する考え方が、「後」又は「前」などの用語が使用される場合に適用される。
【0353】
以上、図面を参照して好ましい実施形態について説明したが、当業者は、これらの実施形態が例示のために説明されたにすぎず、これらが特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことを理解するであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
【手続補正書】
【提出日】2024-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却システム(10)を備える実験機器(300)であって、
前記冷却システム(10)は、
蒸発器(11)と、
第1のコンプレッサ(12)と、
第2のコンプレッサ(14)と、
冷却コンポーネント(16)と、
膨張装置(18)と、
前記蒸発器(11)、前記第1のコンプレッサ(12)、前記第2のコンプレッサ(14)、前記冷却コンポーネント(14)、及び前記膨張装置(18)を互いに接続する配管システム(20´、21´)と、
を有し、
前記冷却システム(10)に冷媒が入っていて、前記冷媒が二酸化炭素であり、
前記第1のコンプレッサ(12)及び前記第2のコンプレッサ(14)が互いに直列に配置されている、実験機器。