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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024124
(43)【公開日】2025-02-19
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/00 20060101AFI20250212BHJP
   E03B 7/10 20060101ALI20250212BHJP
   E02B 13/02 20060101ALI20250212BHJP
【FI】
A01G25/00 501D
E03B7/10 J
E02B13/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024201346
(22)【出願日】2024-11-19
(62)【分割の表示】P 2023054567の分割
【原出願日】2019-12-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社北海道クボタ 2019年5月31日販売 [刊行物等] 株式会社みちのくクボタ 2019年3月5日販売 [刊行物等] 株式会社新潟クボタ 2019年4月15日販売 [刊行物等] 株式会社北陸近畿クボタ 2019年7月10日販売 [刊行物等] 株式会社東海近畿クボタ 2019年6月3日販売 [刊行物等] 株式会社中四国クボタ 2019年6月24日販売 [刊行物等] 株式会社福岡九州クボタ 2019年3月20日販売 [刊行物等] 新潟県新潟市西蒲原区 2019年4月15日設置 [刊行物等] 株式会社クボタケミックス 2019年4月発行 ほ場水管理システムWATARAS設置マニュアル第2.0版
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】平尾 和弘
(72)【発明者】
【氏名】四元 友治
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回転軸を異なる形式の送水制御装置のシャフトに連結する電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】電動アクチュエータ10は、伝達機構を介してモータによって回転される回転軸50を含み、給水装置104に取り付けられる。給水装置のシャフト128の上端には角柱部138が形成される。連結具300は、角柱部の対向する側面140を挟み部で挟む1対の脚部を含み、挟み部より上の脚部の内面にそれぞれ形成された段差部を含み、1対の脚部は上端において連結部で連結される。連結部の上部分308bが回転軸の下端のスリットに嵌まり合う。連結具300の連結部が回転軸50の下端に取り付けられることによって、挟み部で挟まれたシャフト128が回転軸50によって回転され、シャフトの上端部においてシャフトの軸方向に直交する方向に突出したナット144が段差部と係合することによって、送水制御装置が抜けるのが防止される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの回転に連動する弁体または仕切体の変位によって送水を制御する変位機構を有する送水制御装置に取り付けられて、前記変位機構を作動させる電動アクチュエータであって、
本体ケース、
前記本体ケース内に設けられるモータ、
前記本体ケース内に設けられ、前記モータの駆動を伝達する伝達機構、および
前記伝達機構を介して前記モータによって回転され、かつ下部が前記本体ケースの下方に延びる回転軸、および
前記回転軸を前記シャフトに連結するための連結具を備え、
前記シャフトの上端部は少なくとも1対の対向する側面を有し、
前記連結具は、前記シャフトの上端部の前記対向する側面を挟み部で挟む1対の脚部と、前記脚部の前記挟み部より上の内面にそれぞれ形成される段差部と、前記1対の脚部をそれぞれの上端において連結する連結部と有し、
前記連結部を前記回転軸の下端に接続することによって、前記回転軸が前記連結具を介して前記シャフトに回転を付与し、
前記シャフトと一体の突出部を前記段差部に係合させることによって前記連結具の前記シャフトからの抜けを防止する、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記シャフトの上端には雄ねじまたは雌ねじが形成され、前記突出部は前記雄ねじに螺合するナットまたは前記雌ねじに螺合するボルトで形成される、請求項1記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記連結具の前記連結部の下面に形成される座繰り孔をさらに備え、前記座繰り孔は前記シャフトの上端の雄ねじを受容する、請求項2記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動アクチュエータに関し、特にたとえば、弁体または仕切体の変位により送水を制御する変位機構を有する送水制御装置に取り付けられて、送水制御装置の変位機構を作動させる、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電動アクチュエータの一例が特許文献1に開示される。特許文献1には、既存の給水栓または給水堰に装着されて、給水栓または給水堰の開閉を自動的に行う自動開閉装置が開示されている。
【0003】
また、従来のこの種の電動アクチュエータの他の例が特許文献2に開示される。特許文献2には、電動アクチュエータが予め一体化された給水装置が開示されている。
【0004】
これら特許文献1および特許文献2の問題点を解決するために、本件出願人は特許文献3に示す電動アクチュエータを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-70716号公報
【特許文献2】特開平8-275684号公報
【特許文献3】特開2017-192367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3の電動アクチュエータは小型化、コスト低減を実現できるので、そのメリットを生かすためにできるだけに広範囲に利用できることが望ましい。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、電動アクチュエータを提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、異なる形式の送水制御装置に取り付けることができる、電動アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、シャフトの回転に連動する弁体または仕切体の変位によって送水を制御する変位機構を有する送水制御装置に取り付けられて、変位機構を作動させる電動アクチュエータであって、本体ケース、本体ケース内に設けられるモータ、本体ケース内に設けられ、モータの駆動を伝達する伝達機構、および伝達機構を介してモータによって回転され、かつ下部が本体ケースの下方に延びる回転軸、および回転軸をシャフトに連結するための連結具を備え、シャフトの上端部は少なくとも1対の対向する側面を有し、連結具は、シャフトの上端部の対向する側面を挟み部で挟む1対の脚部と、脚部の挟み部より上の内面にそれぞれ形成される段差部と、1対の脚部をそれぞれの上端において連結する連結部と有し、連結部を回転軸の下端に接続することによって、回転軸が連結具を介してシャフトに回転を付与し、シャフトと一体の突出部を段差部に係合させることによって連結具のシャフトからの抜けを防止する、電動アクチュエータである。
【0010】
第1の発明では、電動アクチュエータ(10:実施例において例示する部分を示す参照
符号。以下同様。)は、シャフトの回転に連動する弁体または仕切体の変位によって送水を制御する変位機構を有する送水制御装置に取り付けられて、変位機構を作動させる。電動アクチュエータは、本体ケース(20)、本体ケース内に設けられるモータ(38)、本体ケース内に設けられ、モータの駆動を伝達する伝達機構(42、40、)、および伝達機構を介してモータによって回転され、かつ下部が本体ケースの下方に延びる回転軸(50)、および回転軸をシャフトに連結するための連結具(300)を備える。シャフトの上端部は少なくとも1対の対向する側面を有する。連結具(300)は、シャフトの上端部の対向する側面を挟み部(304)で挟む1対の脚部(302)と、脚部(302)の挟み部(304)より上の内面にそれぞれ形成される段差部(306)と、1対の脚部(302)をそれぞれの上端において連結する連結部(308)と有し、連結部(308)を回転軸(50)の下端に接続することによって、回転軸が連結具を介してシャフトに回転を付与し、シャフトと一体の突出部(たとえば、ナット146)を段差部に係合させることによって連結具のシャフトからの抜けを防止する。
【0011】
第1の発明によれば、シャフトに応じた連結具を介在させることによって、回転軸をシャフトに連結することができるので、様々な形式の送水制御装置に電動アクチュエータを適用することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に従属し、シャフトの上端には雄ねじまたは雌ねじが形成され、突出部は雄ねじに螺合するナットまたは雌ねじに螺合するボルトで形成される、電動アクチュエータである。
【0013】
第2の発明では、送水制御装置のシャフトの上端に雄ねじ(144)または雌ねじを形成し、雄ねじの場合にはその雄ねじに螺合したナット(146)が突出部となり、雌ねじの場合にはその雌ねじに螺入したボルトの頭部が突出部となる。
【0014】
第2の発明によれば、突出部が段差部に係止されることによって、連結具から送水制御装置のシャフトが抜けるのを防止することができる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明に従属し、連結具の連結部の下面に形成される座繰り孔をさらに備え、座繰り孔はシャフトの上端の雄ねじを受容する、電動アクチュエータである。
【0016】
第3の発明では、連結部(308)の下面に、座繰り孔(312)を形成する。この座繰り孔(312)は、シャフトの上端の雄ねじ(144)を受容し、その雄ねじに螺合したナット(146)が段差部に係止される。
【0017】
第3の発明によれば、送水制御装置のシャフトの上端が雄ねじであって、ナットによって突出部を構成する場合に、連結具の連結部が邪魔にならない。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、連結具を介在させて、回転軸をシャフトに連結することができるので、様々な形式の送水制御装置に電動アクチュエータを適用することができる。
【0019】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の一実施例である電動アクチュエータを圃場の給水装置および排水装置に設置した様子を示す図解図である。
図2】この発明の一実施例である電動アクチュエータの外観を示す図解図である。
図3図2の電動アクチュエータの内部構造を示す図解図である。
図4図3のメインギア周辺部分を拡大して示す部分拡大図である。
図5】第1アダプタの一例を示す図解図である。
図6図2の電動アクチュエータを給水バルブに取り付けた様子を示す図解図である。
図7図6実施例の要部を示す分解斜視図である。
図8】連結具の一例を示す図解図であり、図8(A)が斜視図、図8(B)が正面図である。
図9】連結具を用いて図2図4に示す電動アクチュエータを別の給水装置に取り付けた様子を示す図解図である。
図10】第2アダプタの一例を示す図解図である。
図11】第3アダプタの一例を示す図解図である。
図12図9実施例における電動アクチュエータの回転軸と給水装置のシャフトを第2アクチュエータを介して連結する手順の一例を示す図解図である。
図13図9実施例の要部を示す斜視図である。
図14】連結具の他の例を示す図解図であり、図14(A)が斜視図、図14(B)が正面図である。
図15図9実施例における電動アクチュエータの回転軸と給水装置のシャフトを図14に示す連結具を介して連結する手順の一例を示す図解図である。
図16】拘束具の一例を示す斜視図である。
図17】連結具のその他の例を示す斜視図である。
図18図17に示す連結具を用いて図2図4に示す電動アクチュエータを図9実施例の給水装置に取り付けた様子を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照して、この発明の一実施例である電動アクチュエータ10(以下、単に「アクチュエータ10」と言う。)は、モータ38、メインギア40および回転軸50などを備え、給水バルブ等の送水制御装置に取り付けられて、送水制御装置が有する変位機構を作動させる。この実施例では、アクチュエータ10は、圃場用給排水システム100(以下、単に「システム100」と言う。)に用いられ、送水制御装置の一例である給水装置104および排水装置106の双方に取り付けられる。すなわち、給水装置104が備える第1変位機構を作動させる第1電動アクチュエータ、および排水装置106が備える第2変位機構を作動させる第2電動アクチュエータとして、共にアクチュエータ10が用いられる。
【0022】
先ず、システム100について説明する。図1に示すように、システム100は、圃場102の水管理を遠隔操作または予め記憶されたプログラムに基づく自動制御などによって行うための圃場用設備であり、給水装置104および排水装置106が設置される水田などの圃場102に適用される。なお、圃場102は、畦畔によって複数の耕作区に区画されており、給水装置104および排水装置106は、各耕作区に対して設置される。
【0023】
給水装置104は、耕作区(圃場102)への給水を制御するための装置であって、弁体または仕切体などを含む変位機構(第1変位機構)を有する。この実施例では、給水装置104として、一般的に広く普及しているR&R方式(軸回転に伴い軸が上下動する方式)のアルファルファ形の給水バルブを用いている。
【0024】
図1および図6を参照して簡単に説明すると、給水装置104は、円筒状の弁箱120を備える。弁箱120の上半部は、ドーム状のキャップ122によって覆われており、弁箱120の側壁上部には、複数の出水窓124が周方向に並ぶように形成される。また、弁箱120の上端部には、内周面に雌ねじが形成された軸受126が設けられ、この軸受
126には、キャップ122を貫通するように、外周面に雄ねじが形成されたシャフト(弁軸)128が螺合されている。このシャフト128の下端には、下面に止水ゴム130aを有する円板状の弁体130が設けられる。また、弁箱120内の略中央部には、通水口132aを有する弁座132が設けられる。そして、シャフト128に対して軸線回りの回転力が加えられると、送りねじ機構によってシャフト128および弁体130が上下動し、弁座132の通水口132aが開閉される。すなわち、この実施例の給水装置104は、シャフト128の回転に伴い上下動する弁体130を含む第1変位機構を備える。
【0025】
このような給水装置104は、たとえば給水桝108内に配置され、用水パイプライン110または用水路などから分岐する分岐管112の下流側端部に取り付けられる。そして、給水装置104には、後述する第1アダプタ60を介してアクチュエータ10が取り付けられ、このアクチュエータ10によって給水装置104の変位機構(シャフト128および弁体130)が作動される。
【0026】
一方、排水装置106は、圃場102からの排水を制御するための装置であって、シャフトの回転に応じて変位する弁体または仕切体などを含む変位機構を有する。この実施例では、排水装置106として、水位設定機能を有する落水口を用いている。このような排水装置106は、たとえば排水桝114内に配置され、排水路116まで延びる排水管118の上流側端部に取り付けられる。そして、排水装置106にも後述のようにアクチュエータ10を取り付け、このアクチュエータ10によって排水装置106の変位機構を作動させることもできる。
【0027】
なお、図1では、給水装置104を圃場102の一端側に配置し、排水装置106をその反対側に配置しているが、給水装置104および排水装置106の配置位置は、適宜変更可能である。たとえば、給水装置104と排水装置106とは、近傍位置に配置されていてもよい。
【0028】
また、この実施例におけるシステム100は、複数の耕作区を含むシステムとなっており、各耕作区に設置される給水装置104および排水装置106のそれぞれに取り付けられるアクチュエータ10の他に通信のみを行う親機が設置され、残りのアクチュエータ10は子機とされる。親機は、インターネット等のネットワークを介して、ユーザが所有するスマートフォン、タブレット端末、PDAおよびPCのような遠隔操作端末と無線通信可能に接続される。一方、子機となるアクチュエータ10は、特定小電力無線規格に従った無線通信方法によって、親機と直接、または他の子機を介して親機と無線通信可能に接続されており、親機を経由して、ユーザが所有する遠隔操作端末と無線通信可能に接続される。
【0029】
なお、この無線通信においては、クラウドコンピューティングを利用するとよい。たとえば、各アクチュエータ10で取得された情報(弁体の開閉度などの給水装置104または排水装置106の状態に関する情報、および圃場水位や気温などのセンサ情報など)をクラウドサーバに随時送信して記憶しておく。ユーザは、遠隔操作端末からクラウドサーバにアクセスすることで、各アクチュエータ10で取得された情報を確認し、遠隔操作端末を用いて各アクチュエータ10を遠隔操作することで、圃場102の水管理を行う。
【0030】
ただし、システム100は、必ずしも複数の耕作区に亘るシステムとする必要はなく、システム100が適用される圃場102は、少なくとも1つの給水装置104と1つの排水装置106とが設置される圃場であればよい。
【0031】
続いて、アクチュエータ10の構成について具体的に説明する。図2図4に示すように、アクチュエータ10は、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂によって形成される本体ケ
ース20を備える。この本体ケース20は、円筒状の側壁22と側壁22の上端部を封止する天壁24とを含む。側壁22の下端部は、段差状に縮径されており、この縮径部分が後述する第1アダプタ60の上部開口に嵌入される嵌合部26となる。本体ケース20の高さ寸法は、たとえば300mmであり、本体ケース20の外径は、たとえば200mmである。
【0032】
本体ケース20の天壁24上面には、太陽電池パネル28が取り付けられる。太陽電池パネル28は、複数の太陽電池セルが強化ガラスおよび封止材などによって方形状にパッケージ化されたものであり、保持体30によって支持される。保持体30は、金属または樹脂などによって形成され、たとえば、太陽電池パネル28の周囲を覆うように設けられる方形枠状のフレーム30aと、フレーム30aの下面に設けられて、所定角度で屈曲する支持板30bとを備える。
【0033】
本体ケース20の内部には、制御盤32、アンテナ34、蓄電池36、モータ38およびメインギア40等が収容される。
【0034】
制御盤32には、図示は省略するが、CPUおよびメモリ等を含む制御部、他の機器と無線通信を行うための無線通信部、および主電源などのスイッチ等が配設される。制御部のCPUは、アクチュエータ10の全体制御を司り、メモリに記憶された制御プログラムに基づいて、モータ38等の駆動を制御する。無線通信部は、アンテナ34を介して、上述のようにユーザが所有する遠隔操作端末および他のアクチュエータ10等の外部機器と無線通信を行う。
【0035】
蓄電池36は、太陽電池パネル28によって発電された電力を蓄電するものである。モータ38は、蓄電池36に蓄えられた電力、つまり太陽電池パネル28によって発電された電力によって駆動される。このモータ38の出力軸38aの先端部には、小ギア42が設けられており、メインギア40は、この小ギア42と連結されることで、モータ38からの駆動力を受けて軸線回りに回転する。
【0036】
この実施例では、モータ38としてエンコーダ付きのモータが用いられる。モータ38のエンコーダは、出力軸38aの回転方向および回転数に応じたパルス信号を制御部のCPUに出力する。制御部のCPUは、エンコーダから入力されたパルス信号、つまり出力軸38aの回転方向および回転数に基づいて、給水装置104の弁体130または排水装置106の仕切体142などの位置を算出する。すなわち、エンコーダは、弁体130または仕切体142などの位置を検出する位置検出部として用いられる。ただし、位置検出部として機能するエンコーダは、必ずしもモータ38に設けられる必要はなく、エンコーダをメインギア40に設けて、メインギア40の回転方向および回転数に基づいて、弁体130または仕切体142などの位置を算出することもできる。さらに、制御盤32には、モータ電流値を検出する電流センサ(カレントトランス)等の電流値検出部が設けられており、電流値検出部における検出データは、制御部のCPUに入力される。
【0037】
メインギア40は、両ボス型のギアであり、上下方向に延びる円筒状の軸部(ボス部)40aと、外周面にギア歯が形成される円板状のギア部40bとを有する。本体ケース20の側壁22の下端部には、本体ケース20の底壁にもなる円板状の第1軸受44が設けられており、また、第1軸受44の上方には、複数の支持部46によって支持される円板状の第2軸受48が設けられている。そして、メインギア40の軸部40aの両端部は、これら第1軸受44および第2軸受48によって回転可能に保持される。
【0038】
メインギア40の軸部40aには、略円柱状の回転軸50が挿通される。つまり、回転軸50は、メインギア40の軸中心を貫通するように設けられる。この回転軸50の下端
部には、給水装置104のシャフト128または後述する連結具300の上端部308b(後述)などと回転不可に連結されるカップリング部50aが形成される。
【0039】
また、メインギア40の軸部40aの内周面には、軸方向に沿って延びるキー溝(第1キー溝)40cが形成されると共に、回転軸50の外周面には、キー溝40cと嵌合される滑りキー(第1滑りキー)50bが軸方向に沿って延びるように形成される。このようなキー溝40cおよび滑りキー50bからなる滑りキー構造を有することによって、回転軸50は、メインギア40が回転すると共に回転し、かつメインギア40の軸部40aに対して軸方向に摺動可能となる。
【0040】
ここで、ギアと共に回転し、かつギアの軸方向に摺動可能となるように回転軸を設ける方法としては、スプライン構造またはセレーション構造を用いることも考えられる。しかしながら、スプライン構造またはセレーション構造では、回転軸の外周面に軸方向に沿って延びる複数の凹凸を切削加工し、さらに、ギアの軸部の内周面にも複数の凹凸を切削加工する必要があるために、製造コストが高くなる。そこで、この実施例では、上述のようにシンプルな構造の滑りキー構造を採用するようにしている。これによって、製造コストが大幅に低減できるからである。
【0041】
ただし、回転軸50は回転しながら上下動する、つまり回転軸50には捩りの力が作用するので、単に滑りキー構造を採用するだけでは、回転軸50の回転バランスが悪くなって回転軸50が適切に作動しなくなる恐れがある。
【0042】
そこで、この実施例では、メインギア40のギア部40bの下面と第1軸受44の上面との間に、第1スラストベアリング52を設け、メインギア40のギア部40bの上面と第2軸受48の下面との間に、第2スラストベアリング54を設けるようにしている。スラストベアリング52,54としては、公知のスラスト玉軸受などを用いるとよい。
【0043】
このようにスラストベアリング52,54を設けることによって、滑りキー構造を採用
しながらも、回転軸50がバランスよく回転しながら上下動できるようになり、作動時の回転トルク、つまりモータ38に掛かる負荷を低減できる。これは特に、負荷が最大となる締め付け時(閉動作の最終)において効果を発揮する。したがって、モータ38の小型化および省電力化(節電)が可能となる。また、回転トルクが低減されることから、メインギア40、軸受44,48および回転軸50の耐久性も向上する。
【0044】
すなわち、滑りキー構造とスラストベアリング52,54とを組み合わせることによっ
て、製造コストを低減しつつ、回転軸50をスムーズに作動させることが可能となる。
【0045】
上述のように、モータ38の駆動力が小ギア42およびメインギア40を介して回転軸50に与えられるので、これらのギア40、42は伝達機構を構成する。
【0046】
なお、この実施例のアクチュエータ10のモータ負荷を低減する効率が大幅に上昇してスラストベアリング52,54によるモータ負荷の低減効果は既に発明者等によって確認
されているので、そのことの詳細な説明は省略する。
【0047】
また、図示は省略するが、圃場102には、圃場水位を検出する超音波センサ等の水位センサ、気温を検出する温度センサ、気圧を検出する圧力センサ、土壌水分を検出する水分センサ等のセンサが適宜設けられる。各センサで検出された圃場水位や気温などのセンサ情報は、アクチュエータ10の制御部に入力される。
【0048】
次に、図5を参照して、給水装置104にアクチュエータ10を取り付けるための第1
アダプタ60の一例について説明する。図6に示すように、第1アダプタ60は、円筒部62と、円筒部62の上端部から外方に突出する鍔状の第1接続部64と、円筒部62の下端部から内方に突出し、その中央部に通孔66aを有する円環板状の第2接続部66とを含む。第1接続部64には、周方向に並ぶ複数のボルト孔(図示せず)が形成される。また、第2接続部66にも、周方向に並ぶ複数のボルト孔(図示せず)が形成される。この第2接続部66のボルト孔は、周方向に長い長孔としてもよい。
【0049】
図6に示すように、第1アダプタ60を用いて給水装置104にアクチュエータ10を取り付けるときには、第1アダプタ60の円筒部62に対して本体ケース20の嵌合部26が嵌め込まれると共に、第1アダプタ60の第1接続部64とアクチュエータ10の本体ケース20の底壁とがボルト止めされる。また、第1アダプタ60の第2接続部66と給水装置104のキャップ122および軸受126とがボルト止めされる。この際、第2接続部66に形成されるボルト孔を周方向に長い長孔としておくことによって、第1アダプタ60およびアクチュエータ10は、給水装置104に対して周方向に角度調整可能となる。さらに、給水装置104のシャフト128の上端部は、第1アダプタ60の第2接続部66に形成される通孔66aから上方に突出されて、アクチュエータ10の回転軸50のカップリング部50aに対して回転不可に連結される。
【0050】
図7を参照して、回転軸50の下端にはカップリング部50aを構成するスリット70が形成される。そのスリット70は給水装置104のシャフト128を受容する。つまり、シャフト128の上端には、たとえば円柱の側面を切り取ることによって、1対の対向する側面134が上記スリット70に嵌り合うことによって、つまり、スリット70を規定する内面72が側面134を挟むことによって、シャフト128がアクチュエータ10の回転軸50に対して回転不可に連結される。
【0051】
ただし、シャフト128の上端は4角柱として形成されてもよく、回転軸50のスリット70に嵌り合う1対の対向する側面134があればよい。
【0052】
このようにアクチュエータ10が取り付けられた給水装置104では、たとえば、ユーザが遠隔操作端末を用いてアクチュエータ10に対して全閉、全開または任意の開度などを示す操作指示(制御信号)を送信すると、アクチュエータ10の制御部(CPU)は、操作指示に応じてモータ38を駆動させる。このモータ38の駆動力は、伝達機構を構成するメインギア40に伝達されて、メインギア40が回転すると共に、回転軸50が回転する。これにより、回転軸50に連結されたシャフト128に対して、回転力が付与される。回転力が加えられたシャフト128は、自身と軸受126との送りねじ機構によって上下動され、弁体130が全開位置および全閉位置などに移動される。また、回転軸50は、シャフト128の上下動に伴い、メインギア40の軸部40aを貫通するように上下動する。これによって、上下方向に大きなスペースを要することなく、シャフト128の上下動が吸収される。
【0053】
さらに、図7に示すように、回転軸50のスリット70の上方には比較的深い座繰り孔74が形成される。この座繰り孔74は、後述する図9の実施例において、連結具300の上端に取り付けられる抜け止めボルト136を受容する。さらに、この座繰り孔74の位置において、回転軸50には、座繰り孔74を規定する回転軸50の周側面を貫通するように、この回転軸50の軸方向の異なる2つの位置にそれぞれ雌ねじ76が形成される。
【0054】
続いて、図8を参照して、別の形式の給水装置にアクチュエータ10を取り付けるための連結具300の一例について説明する。なお、以下において説明する各部の寸法、高さ、幅や間隔などはすべて実施例のものであり、限定的なものではないことを予め指摘して
おく。
【0055】
連結具300は、たとえば鋼鉄のような金属からなり、正面(図8(B))から見てアーチ型(門型)であり、その全体の、幅Wは37mm、高さH1は55mm、厚みT1は17mmである。連結具300は間隔を隔てて対向する1対の脚部302を含む。また、脚部302の下端部は、後述のように給水装置104のシャフト128の上端の角柱部140に形成されている対向する側面142(図7の側面134とおなじような)を挟むための、挟み部304として形成される。挟み部304の対向する内面間の間隔G1は14.0mmであり、挟み部304の高さH2は18mmとした。
【0056】
それぞれの脚部302の内面には、挟み部304の上方に、段差部306が形成される。その段差部306の対向する内面間の間隔G2は、この実施例では、24mmとされる。段差部306の高さH3は10mmである。
【0057】
連結具300の1対の脚部302の上端どうしが連結部308で連結される。連結部308は、厚みが脚部と同じ下部分308aとその上に一体に形成されて厚みT2が下部分308aの厚みT1より薄い(13mmの)上部分308bで構成され、全体の高さH4が17mmとされる。上部分308bだけの高さは13mm。連結部308の幅方向の中央において、上部分308bから下部分308aの一部まで、雌ねじ310が形成される。この雌ねじ310が上述の抜け止めボルト136を取り付けるために使用される。
【0058】
また、連結部308の幅方向の中央において、下部分308aの下面から上に、座繰り孔312が形成される。この座繰り孔312は10mmの深さで形成され、後述のシャフト128の上端に形成されている雄ねじ144を受容する。
【0059】
ここで、この連結具300を用いて、図2図4に示すアクチュエータ10を図6実施例のものとは違う形式の給水装置104に適用する実施例を、図9図12を参照して説明する。
【0060】
まず、図9実施例では、図10および図11に示す第2アダプタ314および第3アダプタ316を用いる。
【0061】
図10の第2アダプタ314は、たとえばアルミのような金属からなり、円板部318およびその円板部318上面から立ち上がる壁320を含む。壁320には雌ねじ321が形成される。円板部318の中心には、給水装置104のシャフト128を通すための透孔322が形成される。この図10では明らかではないが、円板部318には、この第2アダプタ314を図9に示す給水装置104に取り付けるためのねじ孔が形成されている。
【0062】
また、図11に示す第3アダプタ316もまたアルミのような金属からなり、図5に示す第1アダプタ60と類似の形態である。つまり、第3アダプタ316は、円筒部324と、円筒部324の上端部から外方に突出する鍔状の接続部326を含む。第3アダプタ316は後述のように第2アダプタ314と結合されるので、円筒部324の上記雌ねじ321に対応位置には孔325が形成される。しかしながら、第1アダプタ60とは異なり、円筒部324の下端に底面はなく、開口されている。
【0063】
これら第2アダプタ314および第3アダプタ316は、図9に示すように、組み合わされる。
【0064】
図9に示す給水装置104は、ハンドル(図示せず)でバルブを直接開閉するタイプの
ものであり、図6実施例の給水装置104のような平坦な上面を持っていない。そのため、この実施例では水圧がかかっていない状態で、そのハンドルを外し、給水バルブの上の軸受蓋部のねじ(図示せず)を外して、所定の6角支柱138に交換する。たとえば、その軸受蓋部のねじが4本の場合は前数を6角支柱138に変更する。たとえば、該当のねじが6本の場合には、1つおきに計3本を6角支柱138に変更する。
【0065】
そして、各6角支柱138の上端には雌ねじが形成されているので、雄ねじを用いて、図10に示す第2アダプタ314の円板部318を6角支柱138の上端に取付ける。その状態では、図9に示すシャフト128の上端部が第2アダプタ314の円板部318の透孔322を通って円板部318より上に露出するとともに、給水装置104の上端を平坦にすることができる。
【0066】
その状態で、次に図12(A)に示すように、シャフト128の上端部に図8に示す連結具300を取付ける。
【0067】
シャフト128の上端部は、たとえば図12に示すように、4角柱の形状の角柱部140として形成され、1対の対向する側面142が形成される。ただし、側面142は図7に示す側面134と同様に、円柱の側面を切り取ることによって形成してもよい、その角柱部140の上面から上方に延びる雄ねじ144が形成される。そして、雄ねじ144の上端にナット1146(実施例では、丸ナットだが、角ナットでもよい)を螺合し、そのナット146が連結具300の段差部306に受容され、かつシャフト128の角柱部140の1対の側面142を連結具300の挟み部304内に配置する。ただし、このような位置決め作業は、雄ねじ144の上端にナット146を螺合した状態で、連結具300の横から、すなわち連結具300の正面(図8(B))または背面側から、ナット146を段差部306へ、また1対の側面142を挟み部304内に配置する。この状態が図12(A)の状態であり、このとき、雄ねじ144の先端は未だ座繰り孔312の中には入っていないし、シャフト128の角柱部140の側面142も未だ、全部が挟み部304の中に収まってはいない。
【0068】
次に、ナット146を回して、雄ねじ144の基端方向へ移動させる。そうすると、ナット146の位置は連結具300の段差部306で規制されているため、ナット146の回転に応じて、雄ねじ144が相対的に上方へ変位し、シャフト128も上方へ変位し、図12(B)に示す状態になる。この状態で、雄ねじ144の先端が座繰り孔312の中には入り込み、ナット146が段差部306で規制されているため、雄ねじ144が座繰り孔312から脱落することはない。また、シャフト128の角柱部140の側面142が完全に挟み部304の中に収まっている。
【0069】
続いて、図12(C)に示すように、連結具300の連結部308の上部分308bに形成されている雌ねじ310に、抜け止めボルト136を取付ける。抜け止めボルト136は、下部に雄ねじ136aを有し、その上に径小部148が形成されている。その雄ねじ136aを雌ねじ310に螺合することによって、連結具300の連結部308(上部分308b)の上辺に抜け止めボルト136を取り付ける。
【0070】
そして、図12(D)で示すように、抜け止めボルト136を、アクチュエータ10の回転軸50に形成されている座繰り孔74に入れる。このとき、回転軸50の下端に形成しているスリット70(図7)が、図12に示すように、連結具300の連結部308の上部分308bにかぶさる。つまり、スリット70の内面72(図7)で連結具300の連結部308の上部分308bを挟み込むことによって、連結具300がアクチュエータ10の回転軸50に対して回転不可に連結される。その状態で、回転軸50の座繰り孔74の側面に形成していた2つの雌ねじ76のいずれか1つに止めねじ150をねじ込み、
抜け止めボルト136の径小部148を押える。つまり、抜け止めボルト136の径小部148に係合する止めねじ150が係止部を構成する。したがって、連結具300が回転軸50から脱落することはない。
【0071】
他方で、先に説明したように、ナット146と段差部306との係合により、シャフト128が連結具300から脱落することはない。そして、シャフト128の角柱部140の側面142が連結具300の挟み部304によって挟まれるので、シャフト128は、連結具300を介して、回転軸50に対して回転不可に連結される。
【0072】
最後に、図9に示すように、第3アダプタ316をアクチュエータ10の下端に取り付けるとともに、第3アダプタ316の円筒部324に設けた孔325を通して第2アダプタ314の壁320に設けた雌ねじ321にボルトを螺合することによって、第2アダプタ314に接合することによって、アクチュエータ10と給水装置104との連結部分が結合され、図9の状態となる。
【0073】
このように、図9実施例においても、図6実施例と同じ、アクチュエータ10を給水装置104に取付けて、運転することができる。つまり、アクチュエータ10が取り付けられた給水装置104では、たとえば、ユーザが遠隔操作端末を用いてアクチュエータ10に対して全閉、全開または任意の開度などを示す操作指示(制御信号)を送信すると、アクチュエータ10の制御部(CPU)は、操作指示に応じてモータ38を駆動させる。このモータ38の駆動力は、伝達機構を介して回転軸50に伝達され、回転軸50が回転する。回転軸50に連結具300を介して連結されたシャフト128に対して、回転力が付与される。
【0074】
なお、上述の実施例では、連結具300の段差部306に係合して連結具300からシャフト128が脱落するのを防止するために、シャフト128の上端に上方に延びる雄ねじ144を形成し、その雄ねじ144にナット146を螺合させ、ナット146がシャフト128の軸方向に直交する方向に突出することによって、段差部306に係合するようにした。
【0075】
しかしながら、ナット146をボルト頭(図示せず)に置き換えることもできる。この場合、シャフト128の角柱部140の上面から下方に延びる雌ねじ(図示せず)を形成し、その雌ねじにボルトを螺合させ、そのボルト頭がシャフト128の軸方向に直交する方向に突出することによって、段差部306に係合するようにしてもよい。
【0076】
図14に示す連結具300は、アクチュエータ10に高トルクが必要な場合に好適する連結具である。実施例のアクチュエータ10では、回転軸50の下端にスリット70を設け、そのスリット70(その内面72)によって、給水装置104のシャフト128または連結具300を回転不可に接続するので、給水装置104のシャフト128を回転させるためのトルクを大きくしなければならないとき、回転軸50がスリット70の部分で裂ける恐れがある。そのために、次の実施例では、回転軸50の下端を補強することができる、連結具300を用いる。
【0077】
図14の連結具300は、以下の点を除いて図8に示す連結具300と異なる。つまり、全体の厚みT3が、図8の厚みT1より厚く、一例として24mmである。ただし、連結部308の上部分308bの厚みT2は、図8の厚みT2と同じにされている。なぜなら、この上部分308bは、図9の実施例と同様に、回転軸50のスリット70に嵌まり合う必要があるからである。
【0078】
厚みT3を厚くした理由は、上記上部分308bの両側に、溝328を隔てて、ストッ
パ326を形成するためである。つまり、上部分308bの厚み方向の外側に、ストッパ326によって溝328が形成される。この溝328の厚み方向の幅は、図7に示す回転軸50のスリット70の内面72から回転軸50の周側面までの最大厚み、すなわち、図15に示すスリット形成部分78を受容することができる、幅に選ばれている。
【0079】
図14に示す連結具300を用いて回転軸50とシャフト128を接続する手順が図15に示される。
【0080】
図15(A)に示す、連結具300にシャフト128を連結する方法は先に図12を参照して説明した通りである。その状態で回転軸50を連結具300に連結する方法も、基本的には、図12で説明した方法と同じである。
【0081】
回転軸50のスリット70が連結具300の連結部308の上部分308bに被せられるが、このとき、図15(B)に示すように、スリット70を規定する回転軸50のスリット形成部分78が、連結具300の溝328に挿入される。そのため、このスリット形成部分78が上部分308bとストッパ326の間に挟まれる。したがって、ストッパ326が回転軸50のスリット70を規定するスリット形成部分78を外側から拘束することができる。つまり、ストッパ326は、回転軸50をスリット70の部分で外側から拘束する拘束手段を構成する。それによって、給水装置104のような送水制御装置のシャフト128を回転させるのに高トルクが必要な場合であっても、回転軸50が断裂または破壊するのを防止することができる。
【0082】
なお、図14に示す連結具300において、ストッパ326の高さ(溝328の深さ)は、スリット70の少なくとも一部において回転軸50を外側から押さえられる高さ(深さ)でよいが、スリット70の深さ全体にわたって外側から拘束することができる高さ(深さ)であることが望ましい。
【0083】
このような回転軸50をスリット70の部分で外側から拘束する拘束手段の別の実施例として、図16に示す拘束具330を用いる。この拘束具330はたとえば鋼鉄のような金属からなり、中央に形成された孔332を有する。この孔3232の直径は、回転軸50を挿通できる大きさにされている。ただし、拘束具330の外径すなわち肉厚は任意であるが、拘束具330に必要な強度に従って決められればよい。拘束具330の厚み(上下方向)もまた、必要な強度に従って決められればよい。
【0084】
このような拘束具330を使うために、連結具300もまた、図17に示すように、変形される。図17において、この実施例の連結具300では、図8の例の連結具300に比べて、連結部308の上部分308bの幅が狭くされる。つまり、上部分308bの正面から見た両側が切り欠かれて、上部分308bの正面両側に拘束具受け334が形成される。
【0085】
この連結具300および拘束具330を用いてアクチュエータ10と給水装置104を結合した状態が図18に示される。この実施例では、まず、先の図9実施例と同様に、第2アダプタ314を6角支柱138の上に取付ける。そして、止めねじ150を螺合する前に、拘束具330に回転軸50を通しておき、その後、図11を参照して説明した手順で、連結具300を介して、回転軸50とシャフト128を結合する。ただし、止めねじ150は未だ螺合しない。
【0086】
その後、予め回転軸50を通しておいた拘束具330を拘束具受け334に当たるまで、下げる。そうすると、図18に示すように、回転軸50の下端が拘束具330で囲まれる。そして、図9実施例と同様に、最後に、止めねじ150で抜け止めボルト136を係
止するとともに、図18に示すように、第3アダプタ316をアクチュエータ10の下端に取り付けるとともに、第3アダプタ316の円筒部324に設けた孔325を通して第2アダプタ314の壁320に設けた雌ねじ321にボルトを螺合することによって、第2アダプタ314に接合することによって、アクチュエータ10と給水装置104との連結部分が結合され、図18の状態となる。
【0087】
図18の実施例においても、拘束具330が回転軸50のスリット70を規定するスリット形成部分78(図15)を外側から拘束することができる。つまり、拘束具330は、回転軸50をスリット70の部分で外側から拘束する拘束手段を構成する。それによって、給水装置104のような送水制御装置のシャフト128を回転させるのに高トルクが必要な場合であっても、回転軸50の断裂ないし破壊を防止することができる。
【0088】
ただし、連結具300と一体の拘束手段(ストッパ326)を用いる場合に比べて、連結具300とは別の拘束手段(拘束具330)を用いる場合、その取り付け、取り外しに手間がかかるという難点がある。
【0089】
連結具300とは別体の拘束手段としては、図16図18の拘束具330に限らず、たとえばステンレスバンドなども使用可能である。
【0090】
先の実施例では、回転軸50のスリット70を連結具300の上部分308bに被せて回転軸50と連結具300を接続するようにしたが、回転軸50と連結具300の接続構造はこれに限らない。
【0091】
他の実施例として、たとえば、連結具300の連結部308(の上部分308b)に凹部を形成し、回転軸50の下端面にその凹部に嵌り合う凸部を形成し、凸部を凹部に嵌合した状態で両者をねじ止めするようにしてもよい。
【0092】
さらに、他の実施例として、たとえば、連結具300の連結部308(の上部分308b)を回転軸50と同径の円筒形状にして、この円筒部分と回転軸50の下端とを市販のカップリング部材で連結する方法も考えられる。
【0093】
上で挙げた寸法などの具体的数値および具体的形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 …電動アクチュエータ
20 …本体ケース
50 …回転軸
70 …スリット
72 …内面
74 …座繰り孔
76 …雌ねじ
78 …スリット形成部分
128 …シャフト
104 …給水装置(送水制御装置)
106 …排水装置(送水制御装置)
134 …側面
136 …抜け止めボルト
140 …角柱部
142 …側面
144 …雄ねじ
146 …ナット
148 …径小部
150 …止めねじ
300 …連結具
302 …脚部
304 …挟み部
306 …段差部
308 …連結部
308a …下部分
308b …上部分
310 …雌ねじ
312 …座繰り孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2024-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
第1の実施例は、シャフトの回転に連動する弁体または仕切体の変位によって送水を制御する変位機構を有する送水制御装置に取り付けられて、変位機構を作動させる電動アクチュエータであって、本体ケース、本体ケース内に設けられるモータ、本体ケース内に設けられ、モータの駆動を伝達する伝達機構、および伝達機構を介してモータによって回転され、かつ下部が本体ケースの下方に延びる回転軸、および回転軸をシャフトに連結するための連結具を備え、電動アクチュエータは、送水制御装置の上部に立設された複数の支柱を介して送水制御装置に取り付けられる
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第1の実施例では、電動アクチュエータ(10:実施例において例示する部分を示す、限定を意図しない参照符号。以下同様。)は、シャフトの回転に連動する弁体または仕切体の変位によって送水を制御する変位機構を有する送水制御装置(104)に取り付けられて、変位機構を作動させる。電動アクチュエータは、本体ケース(20)、本体ケース内に設けられるモータ(38)、本体ケース内に設けられ、モータの駆動を伝達する伝達機構(42、40、)、および伝達機構を介してモータによって回転され、かつ下部が本体ケースの下方に延びる回転軸(50)、および回転軸をシャフトに連結するための連結具(300)を備える。電動アクチュエータは、送水制御装置の上部に立設された複数の支柱(138)を介して送水制御装置に取り付けられる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
第1の実施例によれば、電動アクチュエータを、送水制御装置の上部に立設された複数の支柱を介して送水制御装置に取付けることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
第2の実施例は、第1の実施例に従属する電動アクチュエータであって、支柱の上端には雌ねじが形成されており雌ねじによって支柱の上端に平坦部を形成し、電動アクチュエータは、平坦部の上方に設けられる、請求項1記載の電動アクチュエータ。
第2の実施例では、支柱の上端で送水制御装置の上端に形成した平坦部の上方に電動アクチュエータを取り付けることができる。
第3の実施例は、第2の実施例に従属する電動アクチュエータであって、平坦部は、支柱の上端に取付けた円板部によって形成される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
第3の実施例では、平坦部は支柱の上端に取付けた円板部によって形成され、電動アクチュエータは、その円板部の上方に取付けられる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
第3の実施例によれば、電動アクチュエータを安定して送水制御装置に取付けることができる。
第4の実施例は、第1ないし第3のいずれかの実施例に従属する電動アクチュエータであって、支柱は、少なくとも一部に対向する平面を有する。
第5の実施例は、第4の実施例に従属する電動アクチュエータであって、支柱は、6角支柱である。
第6の実施例は、第1ないし第5のずれかの実施例に従属する電動アクチュエータであって、シャフトの上端部は少なくとも1対の対向する側面を有し、連結具は、シャフトの上端部の対向する側面を挟み部で挟む1対の脚部と、脚部の挟み部より上の内面にそれぞれ形成される段差部と、1対の脚部をそれぞれの上端において連結する連結部とを有する。
第7の実施例は、第6の実施例に従属する電動アクチュエータであって、シャフトと一体の突出部を段差部に係合させることによって連結具のシャフトからの抜けを防止する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
この発明によれば、電動アクチュエータを送水制御装置の上部に立設された複数の支柱を介して送水制御装置に取付けることができるので、電動アクチュエータを送水制御装置に安定して取り付けることができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
図9に示す給水装置104は、ハンドル(図示せず)でバルブを直接開閉するタイプのものであり、図6実施例の給水装置104のような平坦な上面を持っていない。そのため、この実施例では水圧がかかっていない状態で、そのハンドルを外し、給水バルブの上の軸受蓋部のねじ(図示せず)を外して、所定の6角支柱138に交換する。たとえば、その軸受蓋部のねじが4本の場合は全数を6角支柱138に変更する。たとえば、該当のねじが6本の場合には、1つおきに計3本を6角支柱138に変更する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受部に回転可能に支持されたシャフトの回転に連動する弁体または仕切体の変位によって送水を制御する変位機構を有する送水制御装置に取り付けられて、前記変位機構を作動させる電動アクチュエータであって、
本体ケース、
前記本体ケース内に設けられるモータ、
前記本体ケース内に設けられ、前記モータの駆動を伝達する伝達機構、および
前記伝達機構を介して前記モータによって回転され、かつ下部が前記本体ケースの下方に延びる回転軸、および
前記回転軸を前記シャフトに連結するための連結具を備え、
前記電動アクチュエータは、前記送水制御装置の上部に立設された複数の支柱を介して前記送水制御装置に取り付けられる、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記支柱の上端には雌ねじが形成されており前記雌ねじによって前記支柱の上端に平坦部を形成し、
前記電動アクチュエータは、前記平坦部の上方に設けられる、請求項1記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記平坦部は前記支柱に取付けた円板部によって形成される、請求項2記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記支柱は、少なくとも一部に対向する平面を有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記支柱は、6角支柱である、請求項4記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記シャフトの上端部は少なくとも1対の対向する側面を有し、
前記連結具は、前記シャフトの上端部の前記対向する側面を挟み部で挟む1対の脚部と、前記脚部の前記挟み部より上の内面にそれぞれ形成される段差部と、前記1対の脚部をそれぞれの上端において連結する連結部とを有する、請求項1ないし5のいずれかに記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記シャフトと一体の突出部を前記段差部に係合させることによって、前記連結具の前記シャフトからの抜けを防止する、請求項6記載の電動アクチュエータ。