(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002413
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】設置構造、支持部材、及び設置方法
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0047 20190101AFI20241226BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20241226BHJP
F16B 1/00 20060101ALI20241226BHJP
F24F 13/32 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F24F1/0047
E04B9/00 F
F16B1/00 A
F24F13/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102582
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】393024717
【氏名又は名称】オーケー器材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 保広
(72)【発明者】
【氏名】栗山 純一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 靖大
(57)【要約】
【課題】空調関連設備を設置する際の作業効率を向上できる設置構造、支持部材、及び設置方法を提供する。
【解決手段】設置構造20は、空調関連設備10を、建築物構造体2と天井下地3との間に設置する設置構造20である。設置構造20は、空調関連設備10を建築物構造体2から吊り下げる吊下部材21と、空調関連設備10に取り付けられる支持部材22と、を備える。支持部材22は、天井下地3に取り付けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調関連設備(10)を、建築物構造体(2)と天井下地(3)との間に設置する設置構造(20)であって、
前記空調関連設備(10)を前記建築物構造体(2)から吊り下げる吊下部材(21)と、
前記空調関連設備(10)に取り付けられる支持部材(22)と、を備え、
前記支持部材(22)は、前記天井下地(3)に取り付けられる
設置構造。
【請求項2】
前記天井下地(3)は、
第1フレーム(4)と、
平面視で第1方向(D1)において前記第1フレーム(4)から離れて配置される第2フレーム(5)と、を有し、
前記支持部材(22)は、
接続部(23)と、
前記第1フレーム(4)に取り付けられる第1天井取付部(24)と、
前記第2フレーム(5)に取り付けられる第2天井取付部(25)と、を有し、
前記接続部(23)は、前記第1方向(D1)に延び、
前記第1天井取付部(24)は、一端部が前記接続部(23)に接続され、他端部が前記第1フレーム(4)に取り付けられるように上下方向に延び、
前記第2天井取付部(25)は、一端部が前記接続部(23)に接続され、他端部が前記第2フレーム(5)に取り付けられるように上下方向に延びる
請求項1に記載の設置構造。
【請求項3】
前記第1天井取付部(24)は、前記接続部(23)と一体に形成され、
前記第2天井取付部(25)は、前記接続部(23)と一体に形成される
請求項2に記載の設置構造。
【請求項4】
前記吊下部材(21)の一端部は、前記建築物構造体(2)に取り付けられ、
前記吊下部材(21)の他端部は、前記支持部材(22)に取り付けられる
請求項1に記載の設置構造。
【請求項5】
前記吊下部材(21)の一端部は、前記建築物構造体(2)に取り付けられ、
前記吊下部材(21)の他端部は、前記空調関連設備(10)に取り付けられる
請求項1に記載の設置構造。
【請求項6】
前記空調関連設備(10)を前記支持部材(22)に結合させる連結部材(40)をさらに備え、
前記連結部材(40)は、吊りボルト(41)を有し、
前記支持部材(22)は、前記吊りボルト(41)に結合する支持結合部(32)を有し、
前記空調関連設備(10)は、前記吊りボルト(41)に結合する第1結合部(14)を有し、
前記第1結合部(14)は、前記吊りボルト(41)に対する前記第1結合部(14)の位置を調整可能に構成される
請求項1に記載の設置構造。
【請求項7】
前記空調関連設備(10)は、前記吊りボルト(41)に結合する第2結合部(15)を有し、
前記第2結合部(15)は、前記吊りボルト(41)のうちの前記第1結合部(14)が結合する部分とは異なる部分に結合する
請求項6に記載の設置構造。
【請求項8】
前記空調関連設備(10)を前記支持部材(22)に結合させる連結部材(40)をさらに備え、
前記連結部材(40)は、前記支持部材(22)に対する前記空調関連設備(10)の位置を決める位置決部材(52)を有し、
前記支持部材(22)は、前記位置決部材(52)に結合する支持結合部(32)を有し、
前記空調関連設備(10)は、前記位置決部材に結合する第3結合部(51)を有する
請求項1に記載の設置構造。
【請求項9】
前記吊下部材(21)は、ワイヤー(21A)である
請求項1に記載の設置構造。
【請求項10】
前記空調関連設備(10)に取り付けられるワイヤー係合部(35)をさらに備え、
前記ワイヤー係合部(35)は、第1状態と第2状態とを、前記空調関連設備(10)が前記建築物構造体(2)から吊り下げられる状態において切り替え可能に構成され、
前記第1状態は、前記ワイヤー(21A)に対して前記ワイヤー係合部(35)が、前記天井下地(3)から前記建築物構造体(2)に向かう第1移動方向(DM1)に移動可能、かつ、前記ワイヤー(21A)に対して前記ワイヤー係合部(35)が、前記第1移動方向(DM1)とは反対の第2移動方向(DM2)に移動不能な状態であって、
前記第2状態は、前記ワイヤー(21A)に対して前記ワイヤー係合部(35)が、前記第1移動方向(DM1)に移動可能、かつ、前記ワイヤー(21A)に対して前記ワイヤー係合部(35)が、前記第2移動方向(DM2)に移動可能な状態である
請求項9に記載の設置構造。
【請求項11】
前記空調関連設備(10)は、空気調和機の室内機(11)、全熱交換器(81)、または、外気処理機(82)である
請求項1に記載の設置構造。
【請求項12】
前記設置構造(20)によって設置される前記空調関連設備(10)をさらに備える
請求項1から11のいずれか一項に記載の設置構造。
【請求項13】
空調関連設備(10)を支持するように前記空調関連設備(10)に取り付けられる支持部材(22)であって、
前記空調関連設備(10)が設置される天井(1)の天井下地(3)に取り付けられる
支持部材。
【請求項14】
空気調和機の空調関連設備(10)を、建築物構造体(2)と天井下地(3)との間に設置する設置方法であって、
前記空調関連設備(10)を前記建築物構造体(2)から吊り下げる工程と、
前記空調関連設備(10)に取り付けられる支持部材(22)が、前記天井下地(3)に取り付けられる工程と、を含む
設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設置構造、支持部材、及び設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空調関連設備が室内に設置される際、空調関連設備が天井に吊り下げられて設置される場合がある。空調関連設備は、例えば吊りボルトによって建築物構造体から吊り下げられる(例えば、特許文献1)。
【0003】
空調関連設備は、室内の高所に設置されるため、地震等によって建築物が揺れると、空調関連設備が天井に対して揺れることによって空調関連設備が落下する虞がある。また、空調関連設備と天井下地とが衝突する虞もある。特許文献1では、天井に対する空調関連設備の揺れを抑制するために、空調関連設備を吊り下げる吊りボルトにブレースが取り付けられている(特許文献1のブレースは全ねじボルトP)。特許文献1の例では、4本の吊りボルトに対して8本のブレースが取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、空調関連設備の設置時には、吊りボルトを天井に取り付けるアンカーの設置、吊りボルトへのブレースの取付、天井付近への空調関連設備の持ち上げ等の作業が必要となる。
【0006】
従来の空調関連設備の設置構造では、空調関連設備を設置する際に多くの手間が必要である。また、高所作業を伴うため、安全確保のために多くの人手が必要な場合もある。本開示の目的は、空調関連設備を設置する際の作業効率を向上できる設置構造、空調関連設備、支持部材、及び設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決する第1観点の設置構造は、空調関連設備を、建築物構造体と天井下地との間に設置する設置構造であって、前記空調関連設備を前記建築物構造体から吊り下げる吊下部材と、前記空調関連設備に取り付けられる支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記天井下地に取り付けられる。
【0008】
この構成によれば、支持部材が空調関連設備と天井下地とを連結するため、空調関連設備が天井に対して揺れることが抑制される。支持部材によって空調関連設備の揺れを抑制できるためブレースの設置が不要になるので、ブレースを設置する作業所要を削減できる。したがって、空調関連設備を設置する際の作業効率が向上する。
【0009】
第2観点の設置構造は、第1観点の設置構造において、前記天井下地は、第1フレームと、平面視で第1方向において前記第1フレームから離れて配置される第2フレームと、を有し、前記支持部材は、接続部と、前記第1フレームに取り付けられる第1天井取付部と、前記第2フレームに取り付けられる第2天井取付部と、を有し、前記接続部は、前記第1方向に延び、前記第1天井取付部は、一端部が前記接続部に接続され、他端部が前記第1フレームに取り付けられるように上下方向に延び、前記第2天井取付部は、一端部が前記接続部に接続され、他端部が前記第2フレームに取り付けられるように上下方向に延びる。この構成によれば、支持部材が、第1フレーム及び第2フレームに取り付けられるため、第1方向における空調関連設備の揺れを好適に抑制できる。
【0010】
第3観点の設置構造は、第2観点の設置構造において、前記第1天井取付部は、前記接続部と一体に形成され、前記第2天井取付部は、前記接続部と一体に形成される。この構成によれば、接続部、第1天井取付部、及び第2天井取付部が一体に形成されるため、支持部材を取扱い易い。
【0011】
第4観点の設置構造は、第1から第3観点のいずれか1つの設置構造において、前記吊下部材の一端部は、前記建築物構造体に取り付けられ、前記吊下部材の他端部は、前記支持部材に取り付けられる。この構成によれば、吊下部材の他端部が支持部材に取り付けられるため、吊下部材は、支持部材を介して空調関連設備を吊り下げることができる。このように構成することによって、空調関連設備に吊下部材を取り付けるための構造を加える必要が不要である。
【0012】
第5観点の設置構造は、第1から第3観点のいずれか1つの設置構造において、前記吊下部材の一端部は、前記建築物構造体に取り付けられ、前記吊下部材の他端部は、前記空調関連設備に取り付けられる。この構成によれば、吊下部材によって、空調関連設備の重量を、吊下部材を介して建築物構造体によって直接支持できる。
【0013】
第6観点の設置構造は、第1から第5観点のいずれか1つの設置構造において、前記空調関連設備を前記支持部材に結合させる連結部材をさらに備え、前記連結部材は、吊りボルトを有し、前記支持部材は、前記吊りボルトに結合する支持結合部を有し、前記空調関連設備は、前記吊りボルトに結合する第1結合部を有し、前記第1結合部は、前記吊りボルトに対する前記第1結合部の位置を調整可能に構成される。この構成によれば、吊りボルトに対する第1結合部の位置を調整することによって、支持部材に対する空調関連設備の位置を好適に調整できる。
【0014】
第7観点の設置構造は、第6観点の設置構造において、前記空調関連設備は、前記吊りボルトに結合する第2結合部を有し、前記第2結合部は、前記吊りボルトのうちの前記第1結合部が結合する部分とは異なる部分に結合する。この構成によれば、空調関連設備が吊りボルトに対して2箇所で結合することによって、吊りボルトに対して空調関連設備が揺れ難くいため、支持部材に対する空調関連設備の揺れを好適に抑制できる。
【0015】
第8観点の設置構造は、第1から第5観点のいずれか1つの設置構造において、前記空調関連設備を前記支持部材に結合させる連結部材をさらに備え、前記連結部材は、前記支持部材に対する前記空調関連設備の位置を決める位置決部材を有し、前記支持部材は、前記位置決部材に結合する支持結合部を有し、前記空調関連設備は、前記位置決部材に結合する第3結合部を有する。この構成によれば、位置決部材によって、支持部材に対する空調関連設備の位置を決めることができるため、支持部材に対する空調関連設備の位置を調整する作業所要を削減できる。
【0016】
第9観点の設置構造は、第1から第8観点のいずれか1つの設置構造において、前記吊下部材は、ワイヤーである。この構成によれば、建築物構造体への吊りボルトの設置が不要なため、建築物構造体に吊りボルトを設置する作業所要を削減できる。
【0017】
第10観点の設置構造は、第9観点の設置構造において、前記空調関連設備に取り付けられるワイヤー係合部をさらに備え、前記ワイヤー係合部は、第1状態と第2状態とを、前記空調関連設備が前記建築物構造体から吊り下げられる状態において切り替え可能に構成され、前記第1状態は、前記ワイヤーに対して前記ワイヤー係合部が、前記天井下地から前記建築物構造体に向かう第1移動方向に移動可能、かつ、前記ワイヤーに対して前記ワイヤー係合部が、前記第1移動方向とは反対の第2移動方向に移動不能な状態であって、前記第2状態は、前記ワイヤーに対して前記ワイヤー係合部が、前記第1移動方向に移動可能、かつ、前記ワイヤーに対して前記ワイヤー係合部が、前記第2移動方向に移動可能な状態である。
【0018】
この構成によれば、ワイヤー係合部の状態が第1状態から第2状態に切り替えられることによって、空調関連設備は、建築物構造体から離れるように移動できる。したがって、作業者は、空調関連設備が天井付近に吊り下げられる状態において、空調関連設備の位置を天井下地に合わせて調整できる。空調関連設備を天井付近に吊り下げたまま空調関連設備の位置を好適に調整できるため、空調関連設備が吊りボルトで吊り下げられる場合に比べて、作業効率が向上する。
【0019】
第11観点の設置構造は、第1から第10観点のいずれか1つの設置構造において、前記空調関連設備は、空気調和機の室内機、全熱交換器、または、外気処理機である。この構成によれば、空気調和機の室内機、全熱交換器、または、外気処理機を、天井に好適に設置できる。
【0020】
第12観点の設置構造は、第1から第11観点のいずれか1つの設置構造において、前記設置構造によって設置される前記空調関連設備をさらに備える。この構成によれば、空調関連設備を、天井に好適に設置できる。
【0021】
この課題を解決する第13観点の支持部材は、空調関連設備を支持するように前記空調関連設備に取り付けられる支持部材であって、前記空調関連設備が設置される天井の天井下地に取り付けられる。この構成によれば、支持部材によって空調関連設備の天井に対する揺れが抑制される。空調関連設備の設置においてブレースが不要になるため、従来の設置構造よりも作業効率が向上する。
【0022】
この課題を解決する第14観点の設置方法は、空気調和機の空調関連設備を、建築物構造体と天井下地との間に設置する設置方法であって、前記空調関連設備を前記建築物構造体から吊り下げる工程と、前記空調関連設備に取り付けられる支持部材が、前記天井下地に取り付けられる工程と、を含む。この構成によれば、設置後の空調関連設備は支持部材によって天井に対する揺れが抑制される。設置時にブレースの設置が不要なため、従来の設置方法よりも作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図1の設置構造および天井下地の平面図である。
【
図6】
図4の第1天井取付金具及び第2天井取付金具の斜視図である。
【
図8】第1実施形態の設置方法における設置方法の工程を示す第1模式図である。
【
図9】第1実施形態の設置方法における設置方法の工程を示す第2模式図である。
【
図10】第1実施形態の設置方法における設置方法の工程を示す第3模式図である。
【
図11】第2実施形態の設置構造の部分拡大図である。
【
図16】
図15のワイヤー係合部及び空調取付金具の斜視図である。
【
図18】第1変形例の設置構造を第1方向から見た模式図である。
【
図19】第2変形例の設置構造を第1方向から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
図1から
図10を参照して、本実施形態の設置構造20、支持部材22、及び設置方法を説明する。以下の説明において、上下方向は、天井1から鉛直方向に沿う方向である。また、水平方向は、上下方向と垂直な方向である。
【0025】
<空調関連設備>
図1に示されるように、空調関連設備10は、天井1に設置される。本実施形態の空調関連設備10は、空気調和機の室内機11である。天井1は、例えば、建築物の天井1である。天井1が設置される建築物の一例として、住宅、店舗、オフィスビル、商業施設、公共施設、および、工場が挙げられる。建築物構造体2は、天井1が設置される建築物の骨組を形成する。本実施形態では、建築物構造体2は、スラブである。建築物構造体2は、梁または桁であってもよい。
【0026】
空気調和機は、対象空間の温度または湿度を調整する。空気調和機は、送風機であってもよい。送風機は、対象空間の空気を移動させることによって対象空間の温度を調整する。室内機11は、吹出口から対象空間に空気を吹き出す。室内機11の吹出口には、化粧カバー12が取り付けられる。室内機11は、天井下地3に配置される配管13によって、空気調和機の室外機と接続される。空気調和機は、温風のみを出す温風器であってもよい。空気調和機は、加湿器または除湿器であってもよい。
【0027】
図2に示されるように、天井1は、天井下地3を有する。天井下地3は、第1フレーム4と、平面視で第1方向D1において第1フレーム4から離れて配置される第2フレーム5と、を有する。第1フレーム4及び第2フレーム5は、第2方向D2に延びるように配置される。第1方向D1及び第2方向D2は、水平方向のうちの一方向である。第2方向D2は、平面視で第1方向D1と垂直な方向である。第1フレーム4と第2フレーム5とは、第1方向D1において隣り合う。
【0028】
天井下地3は、例えば、第3フレーム6と、平面視で第2方向D2において第3フレーム6から離れて配置される第4フレーム7と、天井板8と、を有してもよい。第3フレーム6及び第4フレーム7は、第1方向D1に延びるように配置される。第3フレーム6と第4フレーム7との間には、第3フレーム6と第4フレーム7とは異なるフレームが配置されてもよく、第3フレーム6と第4フレーム7とは、第2方向D2において隣り合うフレームであってもよい。天井板8は、第3フレーム6及び第4フレーム7の下面に取り付けられる。第1フレーム4及び第2フレーム5は、第1フレーム4及び第2フレーム5の下面が、第3フレーム6及び第4フレーム7の上面の上に位置するように配置される。
【0029】
図3に示されるように、空調関連設備10は、第1結合部14を有する。空調関連設備10は、第2結合部15を有する。なお、
図3および
図4では、配管13が省略されている。配管13が省略されるため、バルブ13Aが露出している。第1結合部14と第2結合部15とは、空調関連設備10を天井1に設置するために使用される。第1結合部14と第2結合部15とは、空調関連設備10の四隅のそれぞれに配置される。
【0030】
図4は、空調関連設備10の四隅のうちの1つに配置される第1結合部14と第2結合部15とを示す。
図4に示されるように、空調関連設備10は、空調関連設備10のハウジング10Hから概ね水平方向に突出する空調取付部16と、空調取付部16に取り付けられる空調取付金具17と、を有する。空調取付部16は、ハウジング10Hと一体に形成される突出部である。第1結合部14と第2結合部15とは、空調取付金具17に形成される。第1結合部14と第2結合部15とは、空調関連設備10のうちの空調取付金具17以外の部分に設けられてもよい。
【0031】
空調取付部16は、水平方向に延びる板状を有する。空調取付部16は、空調取付孔16Aが形成される。空調取付金具17は、空調取付部16の上面に取り付けられる。第1結合部14と第2結合部15とは、概ね水平方向に延びる板状を有する。第1結合部14には、第1結合孔14Aが形成される。第2結合部15には、第2結合孔15Aが形成される。空調取付金具17は、第1結合部14の第1結合孔14Aと空調取付部16の空調取付孔16Aとがボルト等によって結合されることによって、空調取付部16に取り付けられてもよい。空調取付金具17は、ねじ17A等によって空調関連設備10のハウジング10Hに直接取り付けられてもよい。
【0032】
<設置構造>
図1に示されるように、空調関連設備10は、設置構造20によって設置される。設置構造20は、空調関連設備10を、建築物構造体2と天井下地3との間に設置する構造である。「空調関連設備10を、建築物構造体2と天井下地3との間に設置する構造」は、空調関連設備10の全部または大部分が建築物構造体2と天井下地3との間に配置されるように、空調関連設備10が設置されることを示す。設置構造20は、空調関連設備10を建築物構造体2から吊り下げる吊下部材21と、空調関連設備10に取り付けられる支持部材22と、を備える。支持部材22は、天井下地3に取り付けられる。設置構造20は、空調関連設備10を備えてもよい。
【0033】
<吊下部材>
図3に示されるように、吊下部材21は、空調関連設備10の重量を支持するように建築物構造体2から空調関連設備10を吊り下げるように構成される。吊下部材21の一端部21Xは、建築物構造体2に取り付けられる。吊下部材21の他端部21Yは、支持部材22に取り付けられる。本実施形態の吊下部材21は、支持部材22を介して空調関連設備10を支持する。本実施形態では、吊下部材21は、ワイヤー21Aである。ワイヤー21Aは、建築物構造体2に埋め込まれるアンカー2Aを介して、建築物構造体2に取り付けられる。本実施形態では、吊下部材21は、4本のワイヤー21Aを有する。
【0034】
<支持部材>
図3に示されるように、支持部材22は、空調関連設備10の水平方向への揺れを抑制するように空調関連設備10を天井下地3に支持するように構成される。支持部材22は、例えば、金属によって構成される。支持部材22は、樹脂等によって構成されてもよい。本実施形態では、設置構造20は、2つの支持部材22を備える。2つの支持部材22は、第2方向D2に並ぶように空調関連設備10に取り付けられる。
【0035】
支持部材22は、空調関連設備10を支持するように空調関連設備10に取り付けられる。支持部材22は、空調関連設備10が設置される天井1の天井下地3に取り付けられる。本実施形態では、天井下地3のうちの第1フレーム4及び第2フレーム5が水平方向において空調関連設備10と並んで配置される。支持部材22は、第1フレーム4及び第2フレーム5に取り付けられる。
【0036】
支持部材22は、接続部23と、第1フレーム4に取り付けられる第1天井取付部24と、第2フレーム5に取り付けられる第2天井取付部25と、を有する。接続部23は、第1方向D1に延びる。第1天井取付部24は、一端部24Xが接続部23に接続され、他端部24Yが第1フレーム4に取り付けられるように上下方向に延びる。第2天井取付部25は、一端部25Xが接続部23に接続され、他端部25Yが第2フレーム5に取り付けられるように上下方向に延びる。支持部材22は、第2方向D2から見て、空調関連設備10の上面及び側面を囲むように配置される。
【0037】
第1天井取付部24は、第1フレーム4の内面と接する。第2天井取付部25は、第2フレーム5の内面と接する。第1フレーム4の内面は、例えば、第1フレーム4の側面のうちの空調関連設備10を向く面である。第2フレーム5の内面は、例えば、第2フレーム5の側面のうちの空調関連設備10を向く面である。設置構造20では、空調関連設備10は、第1フレーム4の内面と第2フレーム5の内面との間に位置する。
【0038】
図5に示されるように、接続部23は、第1方向D1に延びる接続バー部材23Aを有する。第1天井取付部24は、第1方向D1に延びる第1アーム部材26と、上下方向に延びる第1バー部材27と、を有する。第1バー部材27の上端部は、第1アーム部材26と接続される。第2天井取付部25は、第1方向D1に延びる第2アーム部材28と、上下方向に延びる第2バー部材29と、を有する。第2バー部材29の上端部は、第2アーム部材28と接続される。
【0039】
第1天井取付部24は、接続部23と一体に組み付けられる。第2天井取付部25は、接続部23と一体に組み付けられる。接続部23の一端部23Xと、第1天井取付部24の第1アーム部材26とが結合部材24Aによって結合されることによって、第1天井取付部24と接続部23とが組み付けられる。接続部23の他端部23Yと、第2天井取付部25の第2アーム部材28とが結合部材25Aによって結合されることによって、第2天井取付部25と接続部23とが組み付けられる。結合部材24A,25Aは、例えば、ボルト、ねじ等である。
【0040】
接続バー部材23Aには、第1接続孔30Aと第2接続孔30Bとが形成される。第1接続孔30Aと第2接続孔30Bとは、いずれも第1方向D1に延びる長孔である。接続バー部材23Aには、第1ワイヤー接続孔31Aと第2ワイヤー接続孔31Bとが形成される。第1アーム部材26には、第1天井取付孔26Aが形成される。第2アーム部材28には、第2天井取付孔28Aが形成される。第1天井取付孔26Aと第2天井取付孔28Aとは、いずれも第1方向D1に延びる長孔である。
【0041】
支持部材22は、支持結合部32を有する。支持結合部32には、空調関連設備10を支持部材22に連結するように連結部材40が結合される(
図4参照)。本実施形態の支持結合部32は、第1接続孔30Aと第1天井取付孔26Aとを含む支持結合部32と、第2接続孔30Bと第2天井取付孔28Aとを含む支持結合部32と、を有する。
【0042】
支持部材22は、第1天井取付金具33と第2天井取付金具34とを有してもよい。第1天井取付部24の他端部24Yと第2天井取付部25の他端部25Yとのそれぞれに、第1天井取付金具33と第2天井取付金具34とが取り付けられる。第1天井取付部24の他端部24Yに取り付けられる第1天井取付金具33と第2天井取付金具34とは、第1天井取付部24の他端部24Yを第1フレーム4に取り付ける(
図4参照)。第2天井取付部25の他端部25Yに取り付けられる第1天井取付金具33と第2天井取付金具34とは、第2天井取付部25の他端部25Yを第2フレーム5に取り付ける(図示略)。第1天井取付金具33は、第1天井取付部24と第2天井取付部25とに、ねじ、接着剤等によって取り付けられる。第2天井取付金具34は、第1天井取付部24と第2天井取付部25とに、結合部材34Aによって取り付けられる。結合部材34Aは、例えば、ボルト、ねじ等である。
【0043】
図6には、第1天井取付部24の他端部24Yに取り付けられる第1天井取付金具33と第2天井取付金具34とが例示される。第1天井取付金具33は、第1天井取付部24から水平方向に延びる板状部分33Aを有する。板状部分33Aは、第1フレーム4の上面に引っ掛けられる。板状部分33Aは、第1天井取付部24が第1フレーム4に対して第1方向D1に移動しないように屈曲する。第2天井取付金具34は、第1フレーム4を囲うように第1天井取付部24に取り付けられる。
【0044】
図6のように板状部分33Aが第1フレーム4の上面に引っ掛けられた状態において、第2天井取付金具34が、第1フレーム4を囲うように結合部材34Aによって第1天井取付部24に取り付けられる。板状部分33Aが第1フレーム4の上面に引っ掛けられた状態において、第1天井取付部24は第1フレーム4に対して第2方向D2に移動できる。したがって、第2天井取付金具34が第1天井取付部24に取り付けられる前に、第2方向D2における第1天井取付部24の第1フレーム4に対する位置を微調整できる。同様に、第2天井取付金具34が第2天井取付部25に取り付けられる前に、第2方向D2における第2天井取付部25の第2フレーム5に対する位置も微調整できる。第1天井取付部24と第2天井取付部25とによって、支持部材22を天井下地3に取り付ける際に、空調関連設備10の天井下地3に対する位置を微調整できる。第1天井取付部24は、第1天井取付金具33と第2天井取付金具34と以外の方法によって、第1フレーム4に取り付けられてもよい。第2天井取付部25についても同様である。
【0045】
<ワイヤー係合部>
図3に示されるように、設置構造20は、空調関連設備10に取り付けられるワイヤー係合部35をさらに備える。吊下部材21は、ワイヤー係合部35を有する。本実施形態の設置構造20は、1つの支持部材22に対して2つのワイヤー係合部35を有する。本実施形態では、ワイヤー係合部35は、支持部材22に取り付けられる。ワイヤー係合部35は、上下方向にワイヤー21Aが貫通するように構成される。
【0046】
図7は、接続部23の一端部23X側に配置されるワイヤー係合部35を例示する。
図7に示されるように、ワイヤー係合部35は、ワイヤー係合部本体36と、ワイヤー係合部支持材37と、を有する。ワイヤー係合部本体36は、ワイヤー21Aが貫通する貫通孔36Aを有する。ワイヤー係合部本体36は、第1ワイヤー接続孔31A及び第1天井取付孔26Aを挿通するように配置される(
図5参照)。なお、接続部23の他端部23Y側に配置されるワイヤー係合部35は、第2ワイヤー接続孔31B及び第2天井取付孔28Aを挿通するように配置される。
【0047】
ワイヤー係合部支持材37は、ワイヤー係合部本体36の外周部に設けられる。ワイヤー係合部支持材37は水平方向に延びる板状を有する。ワイヤー係合部支持材37の大きさは、上下方向において第1ワイヤー接続孔31A及び第1天井取付孔26Aを通り抜けできないように設定される。ワイヤー係合部支持材37は、ワイヤー係合部本体36を接続部23に対して支持するように、上下方向において接続バー部材23A及び第1アーム部材26よりも下に配置される。ワイヤー係合部35は、上下方向において、接続部23の上面よりも上に配置されるワイヤー係合部金具38を有してもよい。ワイヤー係合部本体36は、ワイヤー係合部金具38に形成される孔を貫通するように配置される。ワイヤー係合部金具38は、例えば、ワッシャーである。
【0048】
ワイヤー係合部35は、第1状態と第2状態とを切り替え可能に構成される。第1状態と第2状態とは、空調関連設備10が建築物構造体2から吊り下げられる状態において定義される状態である。第1状態は、ワイヤー21Aに対してワイヤー係合部35が、第1移動方向DM1に移動可能、かつ、ワイヤー21Aに対してワイヤー係合部35が、第2移動方向DM2に移動不能な状態である。第2状態は、ワイヤー21Aに対してワイヤー係合部35が、第1移動方向DM1に移動可能、かつ、ワイヤー21Aに対してワイヤー係合部35が、第2移動方向DM2に移動可能な状態である。第1移動方向DM1は、天井下地3から建築物構造体2に向かう方向である(
図1参照)。第2移動方向DM2は、第1移動方向DM1とは反対の方向である。ワイヤー係合部35は、空調関連設備10が建築物構造体2から吊り下げられる状態において、第1状態と第2状態とを切り替え可能である。
【0049】
ワイヤー係合部35は、第1状態と第2状態とを切り替える吊下状態切替部39を有する。吊下状態切替部39は、ワイヤー係合部35の下に設けられるピン39Aを含む。ワイヤー係合部35は、例えば、吊下状態切替部39が操作されることによって、第1状態から第2状態に切り替わるように構成される。ワイヤー係合部35は、第1状態と第2状態とを空調関連設備10が建築物構造体2から吊り下げられる状態において切り替え可能に構成されれば、本実施形態とは異なる構成であってもよい。ワイヤー係合部35の内部構造として、実開昭58-73163号公報、実開昭62-52469号公報等に開示される構造を用いることができる。
【0050】
<連結部材>
図3に示されるように、設置構造20は、空調関連設備10を支持部材22に結合させる連結部材40をさらに備える。本実施形態の連結部材40は、吊りボルト41を有する。本実施形態の設置構造20は、1つの支持部材22に対して2つの連結部材40を有する。
【0051】
図4に示されるように、本実施形態では、支持部材22の支持結合部32は、吊りボルト41に結合する。連結部材40は、第1天井取付孔26Aと第1接続孔30Aとを挿通する吊りボルト41と、第2天井取付孔28Aと第2接続孔30Bとを挿通する吊りボルト41と、を有する(
図5参照)。吊りボルト41は、支持結合部材42によって、支持部材22に結合する。支持結合部材42は、例えばナットである。
【0052】
本実施形態では、空調関連設備10の第1結合部14は、吊りボルト41に結合する。本実施形態では、空調関連設備10の第2結合部15は、吊りボルト41に結合する。第1結合部材43が、第1結合部14を吊りボルト41に結合する。第2結合部材44が、第2結合部15を吊りボルト41に結合する。吊りボルト41のうちの第2結合部15が結合する部分は、吊りボルト41のうちの第1結合部14が結合する部分よりも上に位置する。
【0053】
第1結合部14は、吊りボルト41に対する第1結合部14の位置を調整可能に構成される。第1結合部材43は、例えば第1結合部14を挟み込むように配置されるナットである。吊りボルト41に対する第1結合部材43の位置を調整することによって、上下方向における吊りボルト41に対する第1結合部14の位置を調整可能である。第2結合部15は、吊りボルト41のうちの第1結合部14が結合する部分とは異なる部分に結合する。第2結合部材44は、例えば第2結合部15を挟み込むように配置されるナットである。吊りボルト41に対する第2結合部材44の位置を調整することによって、上下方向における吊りボルト41に対する第2結合部15の位置を調整可能である。
【0054】
図5に示されるように、吊りボルト41は、第1接続孔30Aと第1天井取付孔26Aとを挿通するように配置される。第1天井取付孔26Aと第1接続孔30Aとは、長径が第1方向D1に延びる長孔であるため、吊りボルト41は、第1方向D1において支持部材22に対する位置を調整可能である。同様に、吊りボルト41は、第2接続孔30Bと第2天井取付孔28Aとを挿通するように配置されるため、吊りボルト41は、第1方向D1において支持部材22に対する位置を調整可能である。したがって、設置構造20は、第1方向D1における支持部材22に対する連結部材40の位置を、空調関連設備10の寸法等に応じて調整できる。
【0055】
図8から
図10を参照して、空調関連設備10の設置方法について説明する。設置方法は、空気調和機の空調関連設備10を、建築物構造体2と天井下地3との間に設置する方法である。設置方法は、空調関連設備10を建築物構造体2から吊り下げる工程と、空調関連設備10に取り付けられる支持部材22が、天井下地3に取り付けられる工程と、を含む。設置方法では、空調関連設備10を天井1付近まで持ち上げるリフター91が用いられる。
【0056】
図8は、空調関連設備10を建築物構造体2から吊下げる準備をする工程である。空調関連設備10を建築物構造体2から吊下げる準備は、作業者92によって行われる。本開示の設置方法では、作業者は一人でもよい。リフター91に載せられた空調関連設備10に、支持部材22が取り付けられる。支持部材22には、ワイヤー係合部35を介してワイヤー21Aが取り付けられている。ワイヤー21Aは、アンカー2Aを介して建築物構造体2に取り付けられている。
【0057】
図9は、空調関連設備10を建築物構造体2から吊り下げる工程である。空調関連設備10は、リフター91によって、天井1付近まで持ち上げられる。本工程では、ワイヤー係合部35は、第1状態となっている。空調関連設備10が天井1付近に近づくにつれて、ワイヤー21Aは、弛まないように下に引っ張られる。ワイヤー係合部35が第1状態であるため、ワイヤー21Aは、ワイヤー係合部35に対して下に移動できる。
【0058】
空調関連設備10は、一時的に天井下地3が実際に配置される高さよりも上まで持ち上げられる。
図9では、天井下地3が実際に配置される高さを二点鎖線によって表示している。天井下地3が実際に配置される高さよりも上まで持ち上げられた後、リフターが回収されるが、ワイヤー係合部35が第1状態となっているため、空調関連設備10は落下しない。ワイヤー21Aは、下に垂れないようにループ状に巻かれてもよい(
図10参照)。天井下地3が実際に配置される高さよりも上まで空調関連設備10が持ち上げられるため、空調関連設備10が天井1付近に持ち上げられた状態において、天井下地3を組み立てる作業を行い易い。
【0059】
図10は、空調関連設備10に取り付けられる支持部材22が、天井下地3に取り付けられる工程を示している。第1天井取付部24が第1フレーム4に取り付けられるとともに、第2天井取付部25が第2フレーム5に取り付けられる。本工程では、支持部材22が天井下地3に取り付けられる際に、ワイヤー係合部35が第1状態から第2状態に切り替えられる。したがって、天井下地3が配置される高さよりも上まで持ち上げられていた空調関連設備10を、天井下地3が配置される高さまで下げることができる。また、室内機11の吹出口の位置に応じて空調関連設備10の位置を微調整できる。空調関連設備10が室内機11である場合は、室内機11の下に化粧カバー12が取り付けられる(
図1参照)。
【0060】
本実施形態の第1の作用を説明する。
従来の設置構造によれば、空調関連設備は、吊りボルトによって建築物構造体から吊下げられる。吊りボルトは、建築物構造体に打ち込まれたアンカーに接続される。このような従来の設置構造では、地震等によって建築物が揺れると、空調関連設備が建築物に対して揺れることによって、振動に起因する応力が建築物構造体、アンカー、及び吊りボルトに作用する場合がある。一例として、振動に起因する応力によって、建築物構造体に対するアンカーの緩み、アンカーに対する吊りボルトの緩み、及び吊りボルトの折れが生じる。本実施形態の設置構造20では、支持部材22によって、空調関連設備10が天井下地3に支持されるため、空調関連設備10が建築物に対して揺れることが抑制される。また、空調関連設備10はワイヤー21Aによって建築物構造体2から吊下げられるため、建築物構造体2に対する空調関連設備10の位置が変化しても、建築物構造体2及びアンカー2Aに負荷がかかり難い。したがって、仮に空調関連設備10が建築物に対して揺れたとしても、吊りボルトによって吊下げられる場合と比べて、建築物構造体2及びアンカー2Aにおける振動に起因する応力の発生が抑制される。
【0061】
本実施形態の第2の作用を説明する。
上述した従来の設置構造では、空調関連設備を天井付近に配置する作業は複数の作業員が必要であった。例えば空調関連設備をリフターによって天井付近に持ち上げる場合には、リフターを操作する作業員の他に、リフターから空調関連設備が落下しないように支える作業員が必要であった。本実施形態の設置構造20では、空調関連設備10が持ち上げられる場合に、リフター91から空調関連設備10が落下しないように、ワイヤー係合部35が第1状態に切り替えられる。したがって、設置構造20において、空調関連設備10を天井付近に持ち上げる場合には、空調関連設備10を支える作業員が不要となる。ワイヤー係合部35に対するワイヤー21Aの弛みを解消する作業が必要となるが、この作業は、リフター91を操作する作業者92によって行われることができる。
【0062】
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)設置構造20は、空調関連設備10を建築物構造体2から吊り下げる吊下部材21と、空調関連設備10に取り付けられる支持部材22と、を備える。支持部材22は、天井下地3に取り付けられる。この構成によれば、支持部材22が空調関連設備10と天井下地3とを連結するため、空調関連設備10が天井1に対して揺れることが抑制される。支持部材22によって空調関連設備10の揺れを抑制できるためブレースの設置が不要になるので、ブレースを設置する作業所要を削減できる。したがって、空調関連設備10を設置する際の作業効率が向上する。
【0063】
(1-2)天井下地3は、第1フレーム4と、第2フレーム5と、を有する。支持部材22は、接続部23と、第1天井取付部24と、第2天井取付部25と、を有する。接続部23は、第1方向D1に延びる。第1天井取付部24は、一端部24Xが接続部23に接続され、他端部24Yが第1フレーム4に取り付けられるように上下方向に延びる。第2天井取付部25は、一端部25Xが接続部23に接続され、他端部25Yが第2フレーム5に取り付けられるように上下方向に延びる。この構成によれば、支持部材22が、第1フレーム4及び第2フレーム5に取り付けられるため、第1方向D1における空調関連設備10の揺れを好適に抑制できる。
【0064】
(1-3)第1天井取付部24は、接続部23と一体に形成される。第2天井取付部25は、接続部23と一体に形成される。この構成によれば、接続部23、第1天井取付部24、及び第2天井取付部25が一体に形成されるため、支持部材22を取扱い易い。
【0065】
(1-4)吊下部材21の一端部21Xは、建築物構造体2に取り付けられる。吊下部材21の他端部21Yは、支持部材22に取り付けられる。この構成によれば、吊下部材21の他端部21Yが支持部材22に取り付けられるため、吊下部材21は、支持部材22を介して空調関連設備10を吊り下げることができる。このように構成することによって、空調関連設備10に吊下部材21を取り付けるための構造を加える必要が不要である。
【0066】
(1-5)設置構造20は、連結部材40をさらに備える。連結部材40は、吊りボルト41を有する。支持部材22は、支持結合部32を有する。空調関連設備10は、第1結合部14を有する。第1結合部14は、吊りボルト41に対する第1結合部14の位置を調整可能に構成される。この構成によれば、吊りボルト41に対する第1結合部14の位置を調整することによって、支持部材22に対する空調関連設備10の位置を好適に調整できる。
【0067】
(1-6)空調関連設備10は、第2結合部15を有する。第2結合部15は、吊りボルト41のうちの第1結合部14が結合する部分とは異なる部分に結合する。この構成によれば、空調関連設備10が吊りボルト41に対して2箇所で結合することによって、吊りボルト41に対して空調関連設備10が揺れ難くいため、支持部材22に対する空調関連設備10の揺れを好適に抑制できる。
【0068】
(1-7)吊下部材21は、ワイヤー21Aである。この構成によれば、建築物構造体2への吊りボルト41の設置が不要なため、建築物構造体2に吊りボルト41を設置する作業所要を削減できる。また、吊りボルト41によって空調関連設備10が吊り下げられる場合に比べて、空調関連設備10の設置時に、水平方向における空調関連設備10の位置を調整し易い。
【0069】
(1-8)設置構造20は、ワイヤー係合部35をさらに備る。ワイヤー係合部35は、第1状態と第2状態とを、空調関連設備10が建築物構造体2から吊り下げられる状態において切り替え可能に構成される。この構成によれば、ワイヤー係合部35の状態が第1状態から第2状態に切り替えられることによって、空調関連設備10は、建築物構造体2から離れるように移動できる。したがって、作業者92は、空調関連設備10を天井1付近に吊り下げた状態で、空調関連設備10の位置を天井下地3に合わせて調整できる。空調関連設備10を天井1付近に吊り下げたまま空調関連設備10の位置を好適に調整できるため、空調関連設備10が建築物構造体2から吊りボルトによって吊り下げられる場合に比べて、作業効率が向上する。
【0070】
(1-9)空調関連設備10は、空気調和機の室内機11である。この構成によれば、空気調和機の室内機11を、天井1に好適に設置できる。
【0071】
(1-10)設置構造20は、設置構造20によって設置される空調関連設備10をさらに備える。この構成によれば、空調関連設備10を、天井1に好適に設置できる。
【0072】
(1-11)支持部材22水平方向において空調関連設備10と並んで配置される天井下地3に取り付けられる。この構成によれば、支持部材22によって天井1に対する空調関連設備10の揺れが抑制される。空調関連設備10の設置においてブレースが不要になるため、従来の設置構造よりも作業効率が向上する。
【0073】
(1-12)空調関連設備10の設置方法は、空調関連設備10を建築物構造体2から吊り下げる工程と、空調関連設備10に取り付けられる支持部材22が、天井下地3に取り付けられる工程と、を含む。この構成によれば、建築物構造体2にブレースの設置が不要なため、従来の設置方法よりも作業効率が向上する。
【0074】
<第2実施形態>
図11を参照して、本実施形態の設置構造20、支持部材22、及び設置方法を説明する。本実施形態では、第1実施形態の空調関連設備10から空調取付金具17が省略される。本実施形態の設置構造20、支持部材22、及び設置方法において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0075】
本実施形態では、空調関連設備10が第2結合部15を含まない。本実施形態では、第2結合部材44が省略される。本実施形態の第1結合部14は、空調関連設備10のハウジング10Hに設けられる。本実施形態の第1結合部14は、空調取付部16であってもよい。空調取付部16の空調取付孔16Aが、第1結合部14の第1結合孔14Aであってもよい。第1結合部材43は、空調関連設備10の空調取付部16を挟み込むように配置される。
【0076】
本実施形態では、第1結合部14のみが、連結部材40の吊りボルト41に結合する。本実施形態では、第1結合部14が、空調取付部16以外の場所に設けられてもよい。例えば、第1結合部14は、ハウジング10Hの上面に設けられてもよい。
【0077】
本実施形態の効果を説明する。
第1結合部14が空調関連設備10のハウジング10Hに設けられる。この構成によれば、連結部材40を空調関連設備10のハウジング10Hへ直接取り付けできるため、設置構造20の構成を簡素化できる。
【0078】
<第3実施形態>
図12から
図14を参照して、本実施形態の設置構造20、支持部材22、及び設置方法を説明する。本実施形態の設置構造20では、連結部材40が吊りボルト41に代わって、位置決部材52を有する。本実施形態の設置構造20、支持部材22、及び設置方法において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0079】
<支持部材>
図12に示されるように、本実施形態では、支持結合部32が、第1天井取付部24と第2天井取付部25とに形成される。第1天井取付部24における支持結合部32と、第2天井取付部25における支持結合部32と、に架け渡されるように、連結部材40としての位置決部材52が設けられる。
図14は、第1天井取付部24に形成される支持結合部32を例示する。本実施形態では、接続部23から第1接続孔30Aと第2接続孔30Bとが省略されてもよい。また、第1天井取付部24の第1天井取付孔26Aと第2天井取付部25の第2天井取付孔28Aとが長孔でなくてもよい。
【0080】
<空調関連設備>
図13に示されるように、空調関連設備10は、第3結合部51を有する。第3結合部51は、空調取付金具17に形成される。第3結合部51は、概ね水平方向に延びる板状を有する。第3結合部51には、第3結合孔51Aが形成される。本実施形態では、空調取付金具17に、第3結合部51に加えて、第1実施形態の第2結合部15が形成されていてもよい。第1実施形態の第2結合部15が、第3結合部51を兼ねていてもよい。第1実施形態の第2結合孔15Aが、第3結合孔51Aを兼ねていてもよい。本実施形態の第1結合部14は、空調取付部16と結合部材14Xによって結合する。結合部材14Xは、例えばボルトとナットである。
【0081】
<連結部材>
本実施形態の連結部材40は、支持部材22に対する空調関連設備10の位置を決める位置決部材52を有する。本実施形態の支持結合部32は、位置決部材52に結合する。位置決部材52が支持部材22と空調関連設備10に取り付けられることによって、支持部材22に対する空調関連設備10の位置が決められる。位置決部材52は、空調取付金具17を介して空調関連設備10に取り付けられる。位置決部材52は、空調関連設備10のハウジング10Hに直接取り付けられてもよい。位置決部材52は、第1方向D1に延びる板状部材53を有してもよい。
【0082】
図13に示されるように、板状部材53は、上下方向に延びる第1板状部材53Aと、水平方向に延びる第2板状部材53Bとによって形成される。第1板状部材53Aの下端部は、第2板状部材53Bに接続される。本実施形態の支持結合部32は、位置決部材52のうちの第1板状部材53Aに結合する。第1板状部材53Aの一端部は、結合部材53Xによって、第1天井取付部24の支持結合部32に結合される(
図14参照)。第1板状部材53Aの他端部は、結合部材53Xによって、第2天井取付部25の支持結合部32に結合される(
図12参照)。
【0083】
第3結合部51は、位置決部材52に結合する。第3結合部51は、結合部材53Yによって、第2板状部材53Bに結合される。結合部材53X,53Yは、例えば、ボルトとナットである。
【0084】
本実施形態の作用を説明する。
天井下地3に対する空調関連設備10の高さに応じて、支持部材22における支持結合部32の位置を設定できる。板状部材53を支持部材22に取り付けることによって、天井下地3に対する空調関連設備10の高さに応じて、支持部材22に対する空調関連設備10の位置が決められる。空調関連設備10を天井1付近に持ち上げる前に、支持部材22に対する空調関連設備10の位置を決めることができる。
【0085】
本実施形態の効果を説明する。
連結部材40は、位置決部材52を有する。支持部材22は、位置決部材52に結合する支持結合部32を有する。空調関連設備10は、位置決部材52に結合する第3結合部51を有する。この構成によれば、位置決部材52によって、支持部材22に対する空調関連設備10の位置を決めることができるため、支持部材22に対する空調関連設備10の位置を調整する作業所要を削減できる。
【0086】
<第4実施形態>
図15から
図17を参照して、本実施形態の設置構造20、支持部材22、及び設置方法を説明する。本実施形態では、ワイヤー係合部35が、空調関連設備10に取り付けられる。本実施形態の設置構造20、支持部材22、及び設置方法において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0087】
図15に示されるように、本実施形態では、吊下部材21の一端部21Xは、建築物構造体2に取り付けられる。吊下部材21の他端部21Yは、空調関連設備10に取り付けられる。本実施形態の吊下部材21は、空調関連設備10の空調取付金具17に直接接続される。吊下部材21の他端部21Yは、空調関連設備10のうちの空調取付金具17に取り付けられる。
【0088】
図16に示されるように、本実施形態では、空調取付金具17の第2結合部15にワイヤー接続孔61が形成される。ワイヤー接続孔61は、第2結合孔15Aと並んで形成される。本実施形態では、ワイヤー係合部35のワイヤー係合部本体36は、ワイヤー接続孔61を挿通するように配置される。ワイヤー係合部支持材37の大きさは、上下方向においてワイヤー接続孔61を通り抜けできないように設定される。
【0089】
図17は、第1方向D1に沿う方向において、第1フレーム4の外側から設置構造20を見た模式図である。
図17に示されるように、本実施形態のワイヤー係合部35は、上下方向において、支持部材22の接続部23よりも下側に配置される。本実施形態のワイヤー係合部35は、水平方向において、空調関連設備10と支持部材22との間に位置する。
【0090】
本実施形態の効果を説明する。
吊下部材21の一端部21Xは、建築物構造体2に取り付けられ、かつ、吊下部材21の他端部21Yは、空調関連設備10に取り付けられる。この構成によれば、吊下部材21によって、空調関連設備10の重量を、吊下部材21を介して建築物構造体2で直接支持できる。
【0091】
<変形例>
本開示の設置構造、支持部材、及び設置方法は、上記各実施の形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0092】
・
図18に示されるように、第2実施形態において、吊下部材21の他端部21Yが空調関連設備10に取り付けられてもよい。本変形例では、吊下部材21の他端部21Yが、空調関連設備10のうちの空調取付部16に取り付けられてもよい。
【0093】
・
図19に示されるように、第3実施形態において吊下部材21の他端部21Yが空調関連設備10に取り付けられてもよい。本変形例では、吊下部材21の他端部21Yは、空調関連設備10のうちの空調取付金具17に取り付けられてもよい。
【0094】
・
図20に示されるように、第1天井取付部24が、第1フレーム4の外面と接していてもよい。第2天井取付部25が、第2フレーム5の外面と接していてもよい。本変形例では、支持部材22は、第1可動部71と、第2可動部72と、を有していてもよい。第1可動部71は、第1天井取付部24の第1バー部材27が、接続部23の接続バー部材23Aに対して第1方向D1に沿って移動できるように構成される。第2可動部72は、第2天井取付部25の第2バー部材29が、接続部23の接続バー部材23Aに対して第1方向D1に沿って移動できるように構成される。本変形例では、第1バー部材27と第2バー部材29との間隔を、第1フレーム4の外面と第2フレーム5の外面との間隔よりも大きく設定した状態において、空調関連設備10が天井1付近に持ち上げられる。支持部材22が天井下地3に接続される際に、第1バー部材27と第2バー部材29との間隔が、第1可動部71と第2可動部72とによって第1フレーム4の外面と第2フレーム5の外面との間隔に合わせて調整される。このように、本変形例では、実際に配置された第1フレーム4と第2フレーム5との間隔に応じて、第1バー部材27と第2バー部材29との間隔を調整できる。
【0095】
・第1天井取付部24の他端部24Yが第3フレーム6に取り付けられ、かつ、第2天井取付部25の他端部25Yが第4フレーム7に取り付けられてもよい。本変形例では、天井取付部24,25をフレーム4,5に取り付けるか、またはフレーム6,7に取り付けるかを、配管13の設置状況等に応じて決めることができる。
【0096】
・吊下部材21が吊りボルトであってもよい。吊下部材21が吊りボルトであっても、支持部材22を備える設置構造20では、吊下部材21の吊りボルトにブレースを設ける必要が無いため、ブレースを設置する作業所要を削減できる。
【0097】
・第1天井取付部24は、接続部23と一体に形成されてもよい。第2天井取付部25は、接続部23と一体に形成されてもよい。第1天井取付部24は、接続部23と分離不能に形成されてもよい。第2天井取付部25は、接続部23と分離不能に形成されてもよい。例えば、金属部材のプレスによって、第1天井取付部24と接続部23とが一体に形成される。例えば、金属部材のプレスによって、第2天井取付部25と接続部23とが一体に形成される。
【0098】
・第3実施形態において、位置決部材52は、支持部材22に対しる空調関連設備10の位置を決めることができれば、その形状は実施形態の例に限定されない。位置決部材52は、上下方向または水平方向に延びる板状部材によって形成されてもよく、棒状部材を含んでもよい。
【0099】
・
図21に示されるように、空調関連設備10は、空気調和機の室内機11、全熱交換器81、または、外気処理機82であってもよい。空調関連設備10は、全熱交換器81であってもよい。この変形例によれば、全熱交換器81を、天井1に好適に設置できる。
【0100】
・
図22に示されるように、空調関連設備10は、外気処理機82であってもよい。外気処理機82は、例えば、空気清浄機である。この変形例によれば、外気処理機82を、天井1に好適に設置できる。
【0101】
・以上、設置構造、支持部材、及び設置方法の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された設置構造、空調関連設備、支持部材、及び設置方法の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0102】
1…天井、2…建築物構造体、3…天井下地、4…第1フレーム、5…第2フレーム、10…空調関連設備、11…室内機、14…第1結合部、15…第2結合部、20…設置構造、21…吊下部材、21A…ワイヤー、22…支持部材、23…接続部、24…第1天井取付部、25…第2天井取付部、32…支持結合部、35…ワイヤー係合部、40…連結部材、41…吊りボルト、51…第3結合部、52…位置決部材、81…全熱交換器、82…外気処理機。