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特開2025-2414支持部材、空調関連物の支持構造、および、空調関連物の施工方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002414
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】支持部材、空調関連物の支持構造、および、空調関連物の施工方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0047 20190101AFI20241226BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20241226BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20241226BHJP
   F24F 13/32 20060101ALI20241226BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F24F1/0047
E04B9/00 F
F16B5/02 G
F24F13/32
F24F13/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102583
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】393024717
【氏名又は名称】オーケー器材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 保広
(72)【発明者】
【氏名】栗山 純一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 靖大
【テーマコード(参考)】
3J001
3L080
【Fターム(参考)】
3J001FA19
3J001GB01
3J001GC09
3J001GC12
3J001HA02
3J001HA07
3J001JA10
3J001JB02
3J001JB14
3J001KA19
3J001KB09
3L080AA09
3L080AC01
(57)【要約】
【課題】簡単に空調関連物を支持できる支持部材、空調関連物の支持構造、および、空調関連物の施工方法を提供する。
【解決手段】支持部材(10)は、支持部(11)と、支持部(11)の第1端部(11A)に設けられて天井下地に結合する第1結合部(13)と、支持部(11)において第1端部(11A)と反対側の第2端部(11B)に設けられて天井下地に結合する第2結合部(14)と、を備える。支持部(11)は、第1結合部(13)および第2結合部(14)が天井下地に結合した状態で、支持部材(10)の下に空調関連物を配置できるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調関連物(1)を支持する支持部材(10)であって、
支持部(11)と、
前記支持部(11)の第1端部(11A)に設けられて天井下地(6)に結合する第1結合部(13)と、
前記支持部(11)において前記第1端部(11A)と反対側の第2端部(11B)に設けられて前記天井下地(6)に結合する第2結合部(14)と、を備え、
前記支持部(11)は、前記第1結合部(13)および前記第2結合部(14)が前記天井下地(6)に結合した状態で、前記支持部材(10)の下に前記空調関連物(1)を配置できるように構成される、
支持部材。
【請求項2】
前記支持部材(10)は、前記空調関連物(1)として空調配管関連物(2)を支持するものであり、
前記支持部(11)は、前記第1結合部(13)および前記第2結合部(14)が前記天井下地(6)に結合した状態で、前記支持部(11)によって支持される前記空調配管関連物(2)と前記天井下地(6)との間に間隔が設けられるように、構成される、
請求項1に記載の支持部材。
【請求項3】
前記支持部(11)は、前記支持部(11)から前記空調配管関連物(2)を吊り下げる吊下部材(20)の位置を調整できる位置調整部(29)を有する、
請求項2に記載の支持部材。
【請求項4】
建築構造体(5)に前記支持部材(10)を吊り下げるためのワイヤー(35)と、前記ワイヤー(35)に移動可能に係合するワイヤー係合部(36)と、をさらに備え、
前記支持部材(10)は、前記ワイヤー係合部(36)を介して移動可能に前記ワイヤー(35)に取り付けられる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の支持部材。
【請求項5】
前記支持部材(10)は、前記空調関連物(1)として空調関連設備(3)を支持するものであり、
前記支持部(11)は、前記第1結合部(13)および前記第2結合部(14)が前記天井下地(6)に結合した状態で、前記支持部(11)によって支持される前記空調関連設備(3)の底面(3B)が前記天井下地(6)の下面(6A)よりも高い位置、前記下面(6A)と同じ位置、または、前記下面(6A)よりも低い位置に配置されるように、構成される、
請求項1に記載の支持部材。
【請求項6】
空調関連物(1)の支持構造であって、
前記空調関連物(1)と、
前記空調関連物(1)を支持する支持部材(10)と、を備え、
前記支持部材(10)は、支持部(11)と、前記支持部(11)の第1端部(11A)に設けられて天井下地(6)に結合する第1結合部(13)と、前記支持部(11)において前記第1端部(11A)と反対側の第2端部(11B)に設けられて前記天井下地(6)に結合する第2結合部(14)と、を有し、
前記空調関連物(1)は、前記支持部(11)に支持され、
前記第1結合部(13)および前記第2結合部(14)は、前記支持部材(10)の下に前記空調関連物(1)が配置されるように、前記天井下地(6)に結合する、
空調関連物の支持構造。
【請求項7】
前記空調関連物(1)は、空調配管関連物(2)であり、
前記空調配管関連物(2)は、前記空調配管関連物(2)と前記天井下地(6)との間に間隔が設けられるように前記支持部(11)から吊り下げられる、
請求項6に記載の空調関連物の支持構造。
【請求項8】
さらに、ワイヤー(35)を備え、
前記支持部材(10)は、前記ワイヤー(35)によって建築構造体(5)から吊り下げられる、
請求項7の空調関連物の支持構造。
【請求項9】
さらに、ワイヤー(35)を備え、
前記空調配管関連物(2)は、前記ワイヤー(35)によって建築構造体(5)から吊り下げられる、
請求項7の空調関連物の支持構造。
【請求項10】
前記支持部材(10)と同じ構造の追加支持部材(10X)を備え、
前記追加支持部材(10X)は、前記支持部材(10)の上に配置され、
前記空調関連物(1)は、空調配管関連物(2)であり、
前記空調配管関連物(2)は、前記追加支持部材(10X)の支持部(11)と前記支持部材(10)の前記支持部(11)との間に配置され、かつ、前記空調配管関連物(2)と前記支持部材(10)の前記支持部(11)との間に間隔が設けられるように前記追加支持部材(10X)の前記支持部(11)から吊り下げられる、
請求項6~9のいずれか一項に記載の空調関連物の支持構造。
【請求項11】
前記空調関連物(1)は、空調関連設備(3)であり、
前記空調関連設備(3)を前記支持部材(10)に結合させる連結部材(25)をさらに備え、
前記連結部材(25)は、吊りボルトを有し、
前記支持部材(10)は、前記吊りボルトに結合する支持結合部(15)を有し、
前記空調関連設備(3)は、前記吊りボルトに結合する第1固定部(3C)を有し、
前記第1固定部(3C)は、前記吊りボルトに位置調整可能に結合する、
請求項6に記載の空調関連物の支持構造。
【請求項12】
前記空調関連設備(3)は、前記吊りボルトに結合する第2固定部(3D)を有し、
前記第2固定部(3D)は、前記吊りボルトのうちの前記第1固定部(3C)が結合する部分とは異なる部分に結合する
請求項11に記載の空調関連物の支持構造。
【請求項13】
前記空調関連物(1)は、空調関連設備(3)であり、
前記支持部材(10)は、前記空調関連設備(3)が連結される連結部(33)を有し、
前記空調関連設備(3)は、前記連結部(33)に連結する
請求項6に記載の空調関連物の支持構造。
【請求項14】
支持部材(10)によって空調関連物(1)を天井下地(6)に取り付ける空調関連物(1)の施工方法であって、
前記支持部材(10)は、支持部(11)と、前記支持部(11)の第1端部(11A)に設けられて前記天井下地(6)に結合する第1結合部(13)と、前記支持部(11)において前記第1端部(11A)と反対側の第2端部(11B)に設けられて前記天井下地(6)に結合する第2結合部(14)と、を備え、
前記空調関連物(1)は、空調配管関連物(2)であり、
ワイヤー(35)の端部を建築構造体(5)に固定する工程と、
前記ワイヤー(35)に係合する前記支持部材(10)に前記空調配管関連物(2)を取り付ける工程と、
前記ワイヤー(35)に対して前記支持部材(10)を移動することによって、前記支持部材(10)を所定位置に配置する工程と、
前記支持部材(10)の前記第1結合部(13)および前記第2結合部(14)を前記天井下地(6)に結合する工程と、を含む、
空調関連物の施工方法。
【請求項15】
支持部材(10)によって空調関連物(1)を天井下地(6)に取り付ける空調関連物(1)の施工方法であって、
前記支持部材(10)は、支持部(11)と、前記支持部(11)の第1端部(11A)に設けられて前記天井下地(6)に結合する第1結合部(13)と、前記支持部(11)において前記第1端部(11A)と反対側の第2端部(11B)に設けられて前記天井下地(6)に結合する第2結合部(14)と、を備え、
前記空調関連物(1)は、空調配管関連物(2)であり、
ワイヤー(35)の端部を建築構造体(5)に固定する工程と、
前記支持部材(10)に前記空調配管関連物(2)を取り付ける工程と、
前記ワイヤー(35)に前記空調配管関連物(2)を係合する工程と、
前記ワイヤー(35)に対して前記空調配管関連物(2)を移動することによって、前記空調配管関連物(2)を所定位置に配置する工程と、
前記支持部材(10)の前記第1結合部(13)および前記第2結合部(14)を前記天井下地(6)に結合する工程と、を含む、
空調関連物の施工方法。
【請求項16】
支持部材(10)によって空調関連物(1)を天井下地(6)に取り付ける空調関連物(1)の施工方法であって、
前記支持部材(10)は、支持部(11)と、前記支持部(11)の第1端部(11A)に設けられて前記天井下地(6)に結合する第1結合部(13)と、前記支持部(11)において前記第1端部(11A)と反対側の第2端部(11B)に設けられて前記天井下地(6)に結合する第2結合部(14)と、を備え、
前記空調関連物(1)は、空調関連設備(3)であり、
前記支持部材(10)に前記空調関連設備(3)を取り付ける工程と、
前記支持部材(10)の前記第1結合部(13)および前記第2結合部(14)を前記天井下地(6)に結合する工程と、を含む、
空調関連物の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内機、ドレン配管などの空調関連物を支持する支持部材、空調関連物の支持構造、および、空調関連物の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空調関連物は、建物の天井裏空間に配置される。従来、空調関連物は、吊りボルトによってスラブから吊り下げられる。例えば、特許文献1では、既存の建物において配管を増設する場合、天井裏に設けられた既存の吊りボルトに配管支持部材が取り付けられる。増設用の配管は、配管支持部材に取り付けられる。
新規の建築物の現場では、配管または空調設備は、スラブに固定される吊りボルトによって支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-336674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配管の増設、新規の配管の設置、または、空調設備の設置において、これらを天井下地に固定するとき、上下方向におけるこれらの位置決めまたは固定作業に多くの時間を要する。このようなことから、配管または空調設備の支持について改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決する第1観点の支持部材は、空調関連物を支持する支持部材であって、支持部と、前記支持部の第1端部に設けられて天井下地に結合する第1結合部と、前記支持部において前記第1端部と反対側の第2端部に設けられて前記天井下地に結合する第2結合部と、を備え、前記支持部は、前記第1結合部および前記第2結合部が前記天井下地に結合した状態で、前記支持部材の下に前記空調関連物を配置できるように構成される。
【0006】
この構成によれば、支持部材は、天井下地に結合する第1結合部および第2結合部を有するため、支持部材を簡単に天井下地に結合できる。支持部材は、天井下地に結合すると、空調関連物は支持部材に支持される。このように、簡単に空調関連物を支持できる。
【0007】
第2観点の支持部材は、第1観点の支持部材において、前記支持部材は、前記空調関連物として空調配管関連物を支持するものであり、前記支持部は、前記第1結合部および前記第2結合部が前記天井下地に結合した状態で、前記支持部によって支持される前記空調配管関連物と前記天井下地との間に間隔が設けられるように、構成される。この構成によれば、空調配管関連物が天井下地に接触しない状態で天井下地に対して所定高さ位置に空調配管関連物を簡単に配置できる。
【0008】
第3観点の支持部材は、第2観点の支持部材において、前記支持部は、前記支持部から前記空調配管関連物を吊り下げる吊下部材の位置を調整できる位置調整部を有する。この構成によれば、支持部に対して空調配管関連物の位置を調整できる。
【0009】
第4観点の支持部材は、第1~第3観点のいずれか1つの支持部材において、建築構造体に前記支持部材を吊り下げるためのワイヤーと、前記ワイヤーに移動可能に係合するワイヤー係合部と、をさらに備え、前記支持部材は、前記ワイヤー係合部を介して移動可能に前記ワイヤーに取り付けられる。この構成によれば、支持部材はワイヤーを備えるため、ワイヤーによって建築構造体に支持部材を吊り下げることができる。そして、ワイヤーに対して支持部材を移動できるため、空調関連物を所定高さ位置に簡単に配置できる。
【0010】
第5観点の支持部材は、第1観点の支持部材において、前記支持部材は、前記空調関連物として空調関連設備を支持するものであり、前記支持部は、前記第1結合部および前記第2結合部が前記天井下地に結合した状態で、前記支持部によって支持される前記空調関連設備の底面が前記天井下地の下面よりも高い位置、前記下面と同じ位置、または、前記下面よりも低い位置に配置されるように、構成される。この構成によれば、天井下地に対して所定高さの位置に空調関連設備を簡単に配置できる。
【0011】
課題を解決する第6観点の空調関連物の支持構造は、空調関連物の支持構造であって、前記空調関連物と、前記空調関連物を支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、支持部と、前記支持部の第1端部に設けられて天井下地に結合する第1結合部と、前記支持部において前記第1端部と反対側の第2端部に設けられて前記天井下地に結合する第2結合部と、を有し、前記空調関連物は、前記支持部に支持され、前記第1結合部および前記第2結合部は、前記支持部材の下に前記空調関連物が配置されるように、前記天井下地に結合する。この構成によれば、天井下地に対して所定高さ位置に空調関連物を簡単に配置できる。
【0012】
第7観点の空調関連物の支持構造は、第6観点の空調関連物の支持構造において、前記空調関連物は、空調配管関連物であり、前記空調配管関連物は、前記空調配管関連物と前記天井下地との間に間隔が設けられるように前記支持部から吊り下げられる。この構成によれば、空調配管関連物が天井下地に接触しない状態で、天井下地に対して所定高さ位置に空調配管関連物が配置される。このため、空調配管関連物の劣化が抑制される。
【0013】
第8観点の空調関連物の支持構造は、第7観点の空調関連物の支持構造において、さらに、ワイヤーを備え、前記支持部材は、前記ワイヤーによって建築構造体から吊り下げられる。この構成によれば、支持部材を介して空調配管関連物を建築構造体によって支持できる。このため、天井下地にかかる荷重を小さくできる。
【0014】
第9観点の空調関連物の支持構造は、第7観点の空調関連物の支持構造において、さらに、ワイヤーを備え、前記空調配管関連物は、前記ワイヤーによって建築構造体から吊り下げられる。この構成によれば、空調配管関連物を建築構造体によって支持できる。このため、天井下地にかかる荷重を小さくできる。
【0015】
第10観点の空調関連物の支持構造は、第6~第9観点のいずれか1つの空調関連物の支持構造において、前記支持部材と同じ構造の追加支持部材を備え、前記追加支持部材は、前記支持部材の上に配置され、前記空調関連物は、空調配管関連物であり、前記空調配管関連物は、前記追加支持部材の支持部と前記支持部材の前記支持部との間に配置され、かつ、前記空調配管関連物と前記支持部材の前記支持部との間に間隔が設けられるように前記追加支持部材の前記支持部から吊り下げられる。この構成によれば、複数の空調配管関連物を上下方向に重なるように配置できる。これによって、天井裏空間において、水平方向に広がるスペースを設けることができる。
【0016】
第11観点の空調関連物の支持構造は、第6観点の空調関連物の支持構造において、前記空調関連物は、空調関連設備であり、前記空調関連設備を前記支持部材に結合させる連結部材をさらに備え、前記連結部材は、吊りボルトを有し、前記支持部材は、前記吊りボルトに結合する支持結合部を有し、前記空調関連設備は、前記吊りボルトに結合する第1固定部を有し、前記第1固定部は、前記吊りボルトに位置調整可能に結合する。この構成によれば、支持部材に対する空調関連設備の位置を調整できる。
【0017】
第12観点の空調関連物の支持構造は、第11観点の空調関連物の支持構造において、前記空調関連設備は、前記吊りボルトに結合する第2固定部を有し、前記第2固定部は、前記吊りボルトのうちの前記第1固定部が結合する部分とは異なる部分に結合する。この構成によれば、空調関連設備が吊りボルトに対して2箇所で結合するため、吊りボルトに対して空調関連設備が揺れ難くなる。これによって、支持部材に対する空調関連設備の揺れを好適に抑制できる。
【0018】
第13観点の空調関連物の支持構造は、第6、第11、または第12観点の空調関連物の支持構造において、前記空調関連物は、空調関連設備であり、前記支持部材は、前記空調関連設備が連結される連結部を有し、前記空調関連設備は、前記連結部に連結する。この構成によれば、支持部材に連結部が設けられる。このため、支持部材が補強されるとともに、空調関連設備を支持部材に結合できる。
【0019】
課題を解決する第14観点の空調関連物の施工方法は、支持部材によって空調関連物を天井下地に取り付ける空調関連物の施工方法であって、前記支持部材は、支持部と、前記支持部の第1端部に設けられて前記天井下地に結合する第1結合部と、前記支持部において前記第1端部と反対側の第2端部に設けられて前記天井下地に結合する第2結合部と、を備え、前記空調関連物は、空調配管関連物であり、ワイヤーの端部を建築構造体に固定する工程と、前記ワイヤーに係合する前記支持部材に前記空調配管関連物を取り付ける工程と、前記ワイヤーに対して前記支持部材を移動することによって、前記支持部材を所定位置に配置する工程と、前記支持部材の前記第1結合部および前記第2結合部を前記天井下地に結合する工程と、を含む。
【0020】
この構成によれば、ワイヤーに対して支持部材を移動させることによって、空調配管関連物を所定高さ位置に簡単に配置できる。そして、支持部材を介して空調配管関連物を天井下地に取り付けることができる。
【0021】
課題を解決する第15観点の空調関連物の施工方法は、支持部材によって空調関連物を天井下地に取り付ける空調関連物の施工方法であって、前記支持部材は、支持部と、前記支持部の第1端部に設けられて前記天井下地に結合する第1結合部と、前記支持部において前記第1端部と反対側の第2端部に設けられて前記天井下地に結合する第2結合部と、を備え、前記空調関連物は、空調配管関連物であり、ワイヤーの端部を建築構造体に固定する工程と、前記支持部材に前記空調配管関連物を取り付ける工程と、前記ワイヤーに前記空調配管関連物を係合する工程と、前記ワイヤーに対して前記空調配管関連物を移動することによって、前記空調配管関連物を所定位置に配置する工程と、前記支持部材の前記第1結合部および前記第2結合部を前記天井下地に結合する工程と、を含む。
【0022】
この構成によれば、ワイヤーに対して空調配管関連物を移動させることによって、空調配管関連物を所定高さ位置に簡単に配置できる。そして、支持部材を介して空調配管関連物を天井下地に取り付けることができる。
【0023】
課題を解決する第16観点の空調関連物の施工方法は、支持部材によって空調関連物を天井下地に取り付ける空調関連物の施工方法であって、前記支持部材は、支持部と、前記支持部の第1端部に設けられて前記天井下地に結合する第1結合部と、前記支持部において前記第1端部と反対側の第2端部に設けられて前記天井下地に結合する第2結合部と、を備え、前記空調関連物は、空調関連設備であり、前記支持部材に前記空調関連設備を取り付ける工程と、前記支持部材の前記第1結合部および前記第2結合部を前記天井下地に結合する工程と、を含む。
【0024】
この構成によれば、空調関連設備を所定高さ位置に簡単に配置できる。そして、支持部材を介して空調配管関連物を天井下地に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る支持部材の斜視図である。
図2】支持部材の正面図である。
図3】ダクトを支持する支持部材の断面図である。
図4】第2実施形態に係る支持部材の斜視図である。
図5】ワイヤー係合部の側面図である。
図6】第3実施形態に係る支持部材について、結合金具の斜視図である。
図7】第4実施形態に係る支持部材の斜視図である。
図8】第5実施形態に係る支持部材の斜視図である。
図9】第6実施形態に係る空調関連物の支持構造の斜視図である。
図10】第7実施形態に係る空調関連物の支持構造の斜視図である。
図11】第8実施形態に係る空調関連物の支持構造の斜視図である。
図12】第9実施形態に係る空調関連物の支持構造の斜視図である。
図13】第10実施形態に係る空調関連物の支持構造の斜視図である。
図14】第11実施形態に係る空調関連物の支持構造の斜視図である。
図15】第12実施形態に係る空調関連物の支持構造の斜視図である。
図16】第13実施形態に係る空調関連物の支持構造の斜視図である。
図17】第13実施形態について連結構造の第1例の斜視図である。
図18】第13実施形態について連結構造の第2例の斜視図である。
図19】第13実施形態について連結構造の第3例の斜視図である。
図20】第14実施形態に係る空調関連物の支持構造の斜視図である。
図21】第15実施形態に係る空調関連物の施工方法について、第1準備工程におけるダクトの模式図である。
図22】第15実施形態に係る空調関連物の施工方法について、第2準備工程における支持部材およびダクトの模式図である。
図23】第15実施形態に係る空調関連物の施工方法について、第1工程および第2工程における、支持部材およびダクトの模式図である。
図24】第16実施形態に係る空調関連物の施工方法について、第1工程における支持部材の模式図である。
図25】第16実施形態に係る空調関連物の施工方法について、第2工程における支持部材およびダクトの模式図である。
図26】第16実施形態に係る空調関連物の施工方法について、第3工程における支持部材およびダクトの模式図である。
図27】第17実施形態に係る空調関連物の施工方法について、第1工程における支持部材の模式図である。
図28】第17実施形態に係る空調関連物の施工方法について、第2工程における支持部材およびダクトの模式図である。
図29】第17実施形態に係る空調関連物の施工方法について、第3工程における支持部材およびダクトの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
図1図3を参照して、支持部材10について説明する。
支持部材10は、空調関連物1を支持する。具体的には、支持部材10は、建築物において天井付近に配置される空調関連物1を支持する。
【0027】
空調関連物1は、空調に関わる設備および配管類を含む。空調関連物1は、空調配管関連物2、および、空調関連設備3を含む。
【0028】
空調配管関連物2は、空調関連設備3に繋がる配管、および、配管に設けられる部材を示す。空調配管関連物2の例として、給気または排気用のダクト2A、ダクト2Aに接続されるものであって給気口または排気口として構成されるチャンバー2B、冷媒配管2C、および、ドレン水用排水管が挙げられる。
【0029】
空調関連設備3は、空調を行う装置を示す。空調関連設備3の例として、空気調和機3A、除湿器、加湿器、空気処理機、および、全熱交換器が挙げられる。空気処理機の一例は、空気清浄機である。
【0030】
空調関連物1は、建築物の建築構造体5と天井下地6との間の天井裏空間に設置される。他の例では、空調関連物1は、建築物の建築構造体5とスケルトン構造の天井下地6の上に配置される。建築構造体5は、建築物の構造を構成する構造体を示す。建築構造体5は、スラブ、梁、桁を含む。天井下地6は、建築構造体5から吊り下げられるフレーム7と、フレーム7に取り付けられる天井材とによって構成される。フレーム7は、互いに平行に配置される第1フレーム7Aと、第1フレーム7Aに直交するように配置される第2フレーム7Bとを含む。
【0031】
[支持部材]
支持部材10は、天井下地6の上に配置される空調関連設備3を支持するとともに、天井下地6に取り付けられる。空調関連設備3は、支持部材10を介して天井下地6によって支持される。後述のように、空調関連設備3は、支持部材10によって支持されるとともに、ワイヤー35によって支持されてもよい。
【0032】
図1に示されるように、支持部材10は、支持部11と、第1結合部13と、第2結合部14と、を備える。
【0033】
図2に示されるように、第1結合部13は、支持部11の第1端部11Aに設けられる。第1結合部13は天井下地6に結合する。第2結合部14は、支持部11において第1端部11Aと反対側の第2端部11Bに設けられる。第2結合部14は天井下地6に結合する。第1結合部13および第2結合部14が天井下地6に結合した状態を、以下では、「支持部11の結合状態」という。
【0034】
図3に示されるように、支持部11は、第1結合部13および第2結合部14が天井下地6に結合した状態で、支持部材10の下に空調関連物1を配置できるように構成される。「支持部材10の下」は、支持部材10の下側の領域を示す。「支持部材10の下」について例示する。第1の例を次に示す。天井下地6の上に支持部材10が設けられて、支持部材10によって支持される空調関連物1が天井下地6の上に配置される場合、「支持部材10の下」は、天井下地6と支持部材10との間の領域を示す。図3には、「支持部材10の下に空調関連物1が配置される」状態の第1の例が示されている。第2の例を次に示す。天井下地6が開口する天井開口部に跨るように支持部材10が設けられ、天井開口部の上または天井開口部に空調関連物1が配置される場合、「支持部材10の下」は、天井開口部において支持部材10よりも下側の領域を示す。下側の領域は、支持部材10の内側領域および開口部において内側領域の下方の領域を含む。図16には、「支持部材10の下に空調関連物1が配置される」状態の第2の例が示されている。
【0035】
支持部11は、空調関連物1の第1側面から水平に離れた点と、空調関連物1の上面から上に離れた点と、空調関連物1の第1側面と反対側の第2側面から水平に離れた点とを繋ぐように構成される。
【0036】
図3に示されるように、第1例の支持部材10は、空調関連物1として空調配管関連物2を支持する。図3には、空調配管関連物2の例として円形断面のダクト2Aが示されている。この場合、支持部11は、第1結合部13および第2結合部14が天井下地6に結合した状態で、支持部11によって支持される空調配管関連物2と天井下地6との間に間隔が設けられるように、構成される。
【0037】
第2例の支持部材10は、支持部材10は、空調関連物1として空調関連設備3を支持する(図16参照)。図16には、空調関連設備3の例として天井埋込形空気調和機3Aが示されている。この場合、支持部11は、支持部11の結合状態で、支持部11によって支持される空調関連設備3の底面3Bが天井下地6の下面6Aよりも低い位置に配置されるように、構成される。支持部11は、支持部11の結合状態で、支持部11によって支持される空調関連設備3の底面3Bが天井下地6の下面6Aよりも高い位置、または、下面6Aと同じ位置に配置されるように、構成されてもよい。
【0038】
[空調関連物の固定手段]
図9図10図15図18、および図19を参照して、支持部11における空調関連物1の固定手段についていくつかの例を説明する。
図9は、支持部11における空調関連物1の固定手段の第1例を示す。支持部11は、吊下部材20を介して空調配管関連物2を支持する。図9には、空調配管関連物2としてのダクト2Aが示されている。ダクト2Aは、吊下部材20(以下、第1吊下部材21)によって支持部11に吊り下げられる。第1吊下部材21は、支持部11に結合する結合ボルト20Aと、結合ボルト20Aに固定される円弧状のバンド21Aと、を備える。ダクト2Aは、円弧状のバンド21Aの内側に配置される。結合ボルト20Aは、支持部11の固定用孔11C(図1参照)に挿通した状態でナットによって支持部11に固定される。
【0039】
図10は、支持部11における空調関連物1の固定手段の第2例を示す。図10には、空調配管関連物2としてのチャンバー2Bが示されている。チャンバー2Bは、吊下部材20(以下、第2吊下部材22)によって支持部11に吊り下げられる。第2吊下部材22は、2個の結合ボルト20Aを含む。2個の結合ボルト20Aは、チャンバー2Bに固定される。2個の結合ボルト20Aは、チャンバー2Bの上面から上に延びる。2個の結合ボルト20Aは、支持部11の固定用孔11Cに挿通した状態でナットによって支持部11に固定される。
【0040】
図15は、支持部11における空調関連物1の固定手段の第3例を示す。図15には、空調配管関連物2としての冷媒配管2Cが示されている。冷媒配管2Cは、吊下部材20(以下、第3吊下部材23)によって支持部11に吊り下げられる。第3吊下部材23は、支持部11に結合する結合ボルト20Aと、結合ボルト20Aに係合する円弧状クランプ23Aと、を備える。冷媒配管2Cは、円弧状クランプ23Aの内側に配置される。結合ボルト20Aは、支持部11の固定用孔11Cに挿通した状態でナットによって支持部11に固定される。
【0041】
図18は、支持部11における空調関連物1の固定手段の第4例を示す。図18には、空調関連設備3としての天井埋込形空気調和機3Aが示されている。天井埋込形空気調和機3Aは、吊下部材20(以下、第4吊下部材24)によって支持部11に吊り下げられる。第4吊下部材24は、支持部11に結合する結合ボルト20Aを含む。結合ボルト20Aは、吊りボルトとも呼ばれる。天井埋込形空気調和機3Aは、結合ボルト20Aの下部に固定される。結合ボルト20Aの上部は、支持部11の固定用孔11Cに挿通した状態でナットによって支持部11に固定される。
【0042】
図19は、支持部11における空調関連物1の固定手段の第5例を示す。図19には、空調関連設備3としての天井埋込形空気調和機3Aが示されている。天井埋込形空気調和機3Aは、連結金具27によって支持部11または連結部33に固定される。連結金具27は、板金によって構成される。天井埋込形空気調和機3Aは、連結金具27の下部または中間部に固定される。連結金具27の上部は、支持部材10に固定される。
【0043】
[位置調整部]
図1および図2に示されるように、支持部11は位置調整部29を有してもよい。位置調整部29は、支持部11から空調配管関連物2を吊り下げる吊下部材20の位置を調整できるように構成される。位置調整部29は、支持部11の長手方向に沿って吊下部材20と支持部11との結合箇所を移動できるように、構成される。
【0044】
位置調整部29の一例を説明する。位置調整部29は、吊下部材20の結合ボルト20Aの位置をずらすことができるように構成される。具体的には、位置調整部29は、結合ボルト20Aが挿通する長孔として構成される。長孔は、結合ボルト20Aが長孔の長手方向に移動できるように構成される。結合ボルト20Aは、長孔の長手方向における所定位置で、ボルトに対してナットの締め付けることによって、支持部11に固定される。
【0045】
[支持部の構造]
支持部11は、複数の部材によって構成されてもよく、また、1つの部材によって構成されてもよい。本実施形態では、支持部11は、複数の部材によって構成される。以下、支持部11の例を説明する。
【0046】
支持部11は、横バー30と、横バー30に結合する第1縦バー31と、横バー30に結合する第2縦バー32と、を備える。横バー30、第1縦バー31、および、第2縦バー32は、金属によって構成される。第1縦バー31は、横バー30の端部に固定される。第2縦バー32は、横バー30において第1縦バー31が固定される端部と反対側の端部に固定される。
【0047】
横バー30、第1縦バー31、および第2縦バー32は、溝形状の断面を有してもよい。溝形状の断面を有する構造によって、支持部材10の強度が向上する。
【0048】
横バー30は、支持部材10が天井下地6に取り付けられた取付状態(以下、支持部材10の取付状態)において、水平に延びる。横バー30には、固定用孔11Cが設けられている。固定用孔11Cは、吊下部材20の結合ボルト20Aが挿通するように構成されている。
【0049】
第1縦バー31および第2縦バー32は、支持部材10の取付状態において上下方向に延びる。第1縦バー31は、横バー30の端部にボルトで固定される。第2縦バー32は、横バー30において第1縦バー31が固定される端部と反対側の端部に、ボルトで固定される。第2縦バー32は、第1縦バー31と平行に配置される。
【0050】
第1縦バー31の下端部には第1結合部13が設けられる。第1結合部13には、ボルトが挿通する孔が設けられる。第1結合部13は、ボルトによってフレーム7に結合される。第2縦バー32の下端部には第2結合部14が設けられる。第2結合部14には、ボルトが挿通する孔が設けられる。第2結合部14は、ボルトによってフレーム7に結合される。
【0051】
支持部材10の取付状態において、第2結合部14は、第1結合部13が結合されるフレーム7と同じフレーム7に結合される。第2結合部14は、第1結合部13が結合されるフレーム7と異なるフレーム7に結合されてもよい。
【0052】
支持部11が1つの部材から構成されてもよい。この場合、1つの棒状の金属部材をプレス機で折り曲げることによって、支持部11が形成される。また、板状の金属部材をプレスすることによって、支持部11を成形してもよい。
【0053】
[実施形態の作用]
従来、空調関連物1は、吊りボルトで吊り下げられることによって天井下地6の天井裏空間に配置されている。この場合、吊りボルトを所定の長さに設定する必要があるため、作業に時間がかかる。吊りボルトに対する空調関連物1の位置決め作業にも時間を要する。また、空調関連物1が吊りボルトで吊り下げられると、地震等に起因して建築物の揺れにともなって空調関連物1も揺れるため、揺れ防止のために、空調関連物1は天井下地6に係合される。例えば、空調関連物1としてのダクト2Aまたは冷媒配管2Cの場合、補助部材(例えば、配管支持部材)によって天井下地6のフレーム7に結合される。現場において、補助部材の取り付け作業は手間を要する。作業者が少ない場合、空調関連物1の設置作業に多大な時間を要する。
【0054】
また、天井裏空間に配置される空調関連設備3が多くなると、その分、ダクト2Aまたは冷媒配管2Cの数が多くなる。そうすると、天井裏空間に配置される吊りボルトが多くなる結果、ダクト2Aまたは冷媒配管2Cを配置し難くなるといった問題もある。
【0055】
本実施形態の支持部材10は、空調関連物1を支持し、かつ、天井下地6に固定される。支持部材10は、天井下地6に結合する第1結合部13と第2結合部14とを有する。このため、簡単に、支持部材10を天井下地6に結合できる。
【0056】
また、空調関連物1は、支持部材10を介して天井下地6に固定されるため、建築構造体5から吊るされる吊りボルトの数を少なくできる。このため、空調関連物1の施工性が向上する。
【0057】
[実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)支持部材10は、支持部11と、第1結合部13と、第2結合部14と、を備える。支持部11は、第1結合部13および第2結合部14が天井下地6に結合した状態で、支持部材10の下に空調関連物1を配置できるように構成される。
【0058】
支持部材10は、天井下地6に結合する第1結合部13および第2結合部14を有するため、支持部材10を簡単に天井下地6に結合できる。支持部材10は、天井下地6に結合すると、空調関連物1は支持部材10に支持される。このように、簡単に空調関連物1を支持できる。
【0059】
(2)支持部材10は、空調配管関連物2を支持する。支持部材10の支持部11は、第1結合部13および第2結合部14が天井下地6に結合した状態で、支持部11によって支持される空調配管関連物2と天井下地6との間に間隔が設けられるように、構成される。この構成によれば、空調配管関連物2が天井下地6に接触しない状態で天井下地6に対して所定高さ位置に空調配管関連物2を簡単に配置できる。
【0060】
空調配管関連物2が天井下地6に直に置かれると空調配管関連物2において天井下地6と接触する部分に結露が生じる場合がある。結露によって空調配管関連物2が劣化する。この点、空調配管関連物2を天井下地6に接触させない状態で空調配管関連物2を支持できるため、上記のような接触部分における結露に起因する劣化を抑制できる。
【0061】
(3)支持部材10の支持部11は、位置調整部29を有する。位置調整部29は、支持部11から空調配管関連物2を吊り下げる吊下部材20の位置を調整できるように構成される。この構成によれば、支持部11に対して空調配管関連物2の位置を調整できる。
【0062】
(4)支持部材10は、空調関連設備3を支持する。支持部材10の支持部11は、支持部11の結合状態で、支持部11によって支持される空調関連設備3の底面3Bが天井下地6の下面6Aよりも高い位置、下面6Aと同じ位置、または、下面6Aよりも低い位置に配置されるように、構成される。この構成によれば、天井下地6に対して所定高さの位置に空調関連設備3を簡単に配置できる。
【0063】
<第2実施形態>
図4および図5を参照して、第2実施形態に係る支持部材10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0064】
支持部材10は、建築構造体5に吊り下げられる構造を有する。支持部材10が建築構造体5に吊り下げられる構造によれば、空調関連物1の荷重が加わる箇所を支持部材10と建築構造体5とに分散できる。
【0065】
図4を参照して、吊り下げ構造を含む支持部材10について説明する。
支持部材10は、ワイヤー35と、ワイヤー35に移動可能に係合するワイヤー係合部36と、をさらに備える。ワイヤー35は、建築構造体5(例えば、スラブ)に支持部材10を吊り下げるためのものである。ワイヤー係合部36は、ワイヤー35に移動可能に係合する。支持部材10は、ワイヤー係合部36を介して移動可能にワイヤー35に取り付けられる。
【0066】
ワイヤー35の上端は、建築構造体5に打ち込まれるアンカーに接続される。ワイヤー35は、建築構造体5から下に垂らされる。支持部材10は、ワイヤー係合部36を介してワイヤー35に支持される。ワイヤー係合部36は、後述のように、上方のみに移動可能にワイヤー35に設けられる。ワイヤー係合部36は下方に移動不能であるため、支持部材10は、ワイヤー係合部36を介してワイヤー35によって支持される。
【0067】
ワイヤー係合部36は、ワイヤー35が貫通する貫通孔を有する。ワイヤー係合部36は、貫通孔に設けられる内部構造体によって、ワイヤー35に係合する。内部構造体の例は、実開昭58-73163号公報、または、実開昭62-52469号公報に開示される。内部構造体はこれらの公開技術に限定されない。
【0068】
ワイヤー係合部36は、係合状態と解除状態とで切り替え可能に構成される。係合状態は、ワイヤー35に対してワイヤー係合部36が、第1方向にのみ移動可能であって、第1方向と反対の第2方向に移動不能である状態を示す。解除状態は、ワイヤー35に対してワイヤー係合部36が、第1方向および第2方向に移動可能である状態を示す。
【0069】
ワイヤー係合部36は、建築構造体5から垂らされたワイヤー35に対して、ワイヤー係合部36の移動可能方向(すなわち、第1方向)が上方と一致するように、ワイヤー35に取り付けられる。ワイヤー係合部36が係合状態である場合、ワイヤー係合部36は、ワイヤー35に対して上方にのみ移動可能である。
【0070】
図5に示されるように、ワイヤー係合部36は、係合状態と解除状態とを切り替える切替部37を有する。切替部37は、ワイヤー係合部36の内部構造に作用する。ワイヤー係合部36は、切替部37が操作されることによって、係合状態および解除状態の一方から他方に切り替わる。
【0071】
ワイヤー係合部36の作用を説明する。建築構造体5から垂らされるワイヤー35に対して、支持部材10は係合状態のままで上に移動できる。これに対して、建築構造体5から垂らされるワイヤー35に対して支持部材10を下に移動させる場合、ワイヤー係合部36を解除状態で下方に移動させる。ワイヤー係合部36が係合状態である場合、ワイヤー係合部36はワイヤー35に対して下方へ移動不能である。このため、ワイヤー係合部36が係合状態である場合、支持部材10の荷重または空調関連物1の荷重がワイヤー係合部36に加わっていると、ワイヤー係合部36は所定位置に安定した状態で止まる。
【0072】
[効果]
支持部材10は、ワイヤー35と、ワイヤー35に移動可能に係合するワイヤー係合部36と、を備える。支持部材10は、ワイヤー係合部36を介して移動可能にワイヤー35に取り付けられる。このため、ワイヤー35によって、建築構造体5に支持部材10を吊り下げることができる。そして、ワイヤー35に対して支持部材10を移動できるため、空調関連物1を所定高さ位置に簡単に配置できる。また、支持部材10に加わる空調関連物1の荷重は、天井下地6だけでなく建築構造体5にも分散する。これによって、天井下地6に加わる荷重を小さくできる。
【0073】
ワイヤー35は、空調関連物1の落下防止のために設けられてもよい。この場合、ワイヤー35が弛むように、支持部材10が天井下地6に結合される。このような設置によれば、ワイヤー35によって天井下地6が引っ張られることが抑制されるため、天井下地6が上下に撓むような揺れが生じた場合において、天井下地6の劣化を抑制できる。
【0074】
<第3実施形態>
図6を参照して、第3実施形態に係る支持部材10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0075】
本実施形態では、支持部材10は、第1実施形態の支持部材10の構成に加えて、結合金具40をさらに備える。結合金具40は、支持部材10を天井下地6のフレーム7に結合させるための金具である。具体的には、結合金具40は、第1縦バー31と天井下地6のフレーム7とを結合させる。また、結合金具40は、第2縦バー32と天井下地6のフレーム7とを結合させる。
【0076】
結合金具40は、第1金具41と、第1金具41に係合する第2金具46とを備える。第1金具41は、支持部11において第1結合部13または第2結合部14の近くに固定される。第1金具41は、支持部11に固定される金具固定部42と、金具固定部42から突出する受部43と、を有する。受部43は、フレーム7の上面に配置される。受部43がフレーム7に載ることによって、支持部材10の荷重がフレーム7に加わる。第1金具41は、さらに、第2金具46が係合する第1係合突起44と、第2金具46が係合する第2係合突起45とを有する。第1係合突起44は、金具固定部42に設けられる。第2係合突起45は、受部43から突出する。
【0077】
第2金具46は、第1金具41と第2金具46とによってフレーム7を挟むことができるように構成される。第2金具46は、第1係合突起44が挿通する第1係合孔47と、第2係合突起45が挿通する第2係合孔48と、第2金具結合部49と、を有する。第2金具結合部49は、直接または第1金具41を介して支持部材10に結合する。第2金具結合部49は、第1金具41とともにフレーム7に挟むように第1金具41に取り付けられた状態で、ボルトによってフレーム7に固定される。支持部11の第1結合部13または第2結合部14は、第1金具41と第2金具46とによってフレーム7に対して水平方向に移動しないように固定される。このため、支持部11の横揺れ(水平方向の揺れ)が抑制される。
【0078】
<第4実施形態>
図7を参照して、第4実施形態に係る支持部材10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0079】
本実施形態では、支持部材10の支持部11は、第1実施形態と同様に、横バー30と、横バー30に結合する第1縦バー31と、横バー30に結合する第2縦バー32と、を備える。本実施形態では、第1縦バー31および第2縦バー32は、上下方向に沿う線を中心に回転可能に横バー30に固定される。第1縦バー31および第2縦バー32は、ボルトによって所定角度で横バー30に固定される。所定角度は、第1縦バー31および第2縦バー32の幅方向に沿う線と、横バー30の長手方向に沿う線との間の角度と定義される。所定角度は、0度または90度である。所定角度は、0度以上180度以下の範囲の所定の角度であってもよい。
【0080】
図7に示される支持部材10では、第1縦バー31および第2縦バー32は、0度で横バー30に固定されている。この例の支持部材10によれば、支持部材10は、平面視で、横バー30と平行に配置されるフレーム7に固定できる。
【0081】
第1縦バー31および第2縦バー32が回転可能に横バー30に固定されることによって、支持部材10は、フレーム7に対して様々な向きで固定できる。例えば、支持部材10は、横バー30と平行なフレーム7に固定できる(図9参照)。また、支持部材10は、平面視で、横バー30と直交するフレーム7に固定できる(図12参照)。所定角度が45度である場合、支持部材10は、平面視で、横バー30と45度または135度に交差するフレーム7に固定できる。このように、平面視において、天井下地6のフレーム7に対して様々な角度で、支持部材10を固定できる。これによって、天井下地6のフレーム7に対して、空調関連物1の配置の自由度が高まる。
【0082】
<第5実施形態>
図8を参照して、第5実施形態に係る支持部材10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0083】
支持部材10は、支持部11に加えて、連結部33をさらに有する。
連結部33は、支持部11を補強する。連結部33は、支持部11において所定部位と、他の所定部位とを繋ぐように構成される。以下、本実施形態に係る支持部材10の具体例を説明する。
【0084】
支持部11は、横バー30と、横バー30に結合する第1縦バー31と、横バー30に結合する第2縦バー32と、を備える。連結部33は、横バー30に平行に延びるバーとして構成される。連結部33は、第1縦バー31と第2縦バー32とを繋ぐように構成される。支持部11と連結部33とによって枠部が構成される。これによって、支持部材10の強度が向上する。このような支持部材10は、空調関連設備3の支持に好適に用いられる。
【0085】
<第6実施形態>
図9を参照して、第6実施形態に係る、空調関連物1の支持構造を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0086】
空調関連物1の支持構造は、空調関連物1と、空調関連物1を支持する支持部材10と、を備える。支持部材10は、第1実施形態に示される支持部材10の構造を備える。支持部材10の構造は、第1実施形態の例に限定されない。
【0087】
空調関連物1は、支持部11に支持される。空調関連物1は、第1実施形態に示された例を含む。本実施形態では、空調関連物1は、空調配管関連物2としてのダクト2Aである。ダクト2Aは、第1吊下部材21によって支持部11に吊り下げられる。
【0088】
支持部材10の第1結合部13および第2結合部14は、支持部材10の下にダクト2Aが配置されるように、天井下地6に結合する。
【0089】
さらに、ダクト2Aは、ダクト2Aと天井下地6との間に間隔が設けられるように支持部11から吊り下げられる。
【0090】
[効果]
(1)この空調関連物1の支持構造によれば、天井下地6に対して所定高さ位置にダクト2Aを簡単に配置できる。また、ダクト2Aが天井下地6に接触しない状態で、天井下地6に対して所定高さ位置にダクト2Aが配置される。このため、ダクト2Aの劣化が抑制される。
【0091】
(2)また、空調配管関連物2は、空調配管関連物2と天井下地6との間に間隔が設けられるように支持部11から吊り下げられる。このため、空調配管関連物2が天井下地6に接触しない状態で、天井下地6に対して所定高さ位置に空調配管関連物2が配置される。このため、空調配管関連物2の劣化が抑制される。
【0092】
<第7実施形態>
図10を参照して、第7実施形態に係る、空調関連物1の支持構造を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0093】
空調関連物1の支持構造は、空調関連物1と、空調関連物1を支持する支持部材10と、を備える。支持部材10は、第1実施形態に示される支持部材10の構造を備える。支持部材10の構造は、第1実施形態の例に限定されない。
【0094】
空調関連物1は、支持部11に支持される。空調関連物1は、第1実施形態に示された例を含む。本実施形態では、空調関連物1は、空調配管関連物2としてのチャンバー2Bである。チャンバー2Bは、第2吊下部材22によって支持部11に吊り下げられる。第2吊下部材22は、2個の結合ボルト20Aを含む。
【0095】
支持部材10の第1結合部13および第2結合部14は、支持部材10の下にチャンバー2Bが配置されるように、天井下地6に結合する。
【0096】
この構成によれば、天井下地6に対して所定高さ位置にチャンバー2Bを簡単に配置できる。
【0097】
<第8実施形態>
図11を参照して、第8実施形態に係る、空調関連物1の支持構造を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0098】
本実施形態では、第7実施形態と同様に、チャンバー2Bは、第2吊下部材22によって支持部11に吊り下げられる。本実施形態は、第7実施形態と次の点で異なる。チャンバー2Bに繋がるダクト2Aは、ワイヤー35によって建築構造体5(例えば、スラブ)から吊り下げられる。
【0099】
空調関連物1の支持構造は、支持部材10と、空調関連物1としてのチャンバー2Bおよびダクト2Aと、ワイヤー35を備える。ダクト2Aは、ワイヤー35によって建築構造体5から吊り下げられる。
【0100】
具体的には、ダクト2Aは、第1吊下部材21によって保持される。第1吊下部材21にはワイヤー係合部36が設けられる。ワイヤー係合部36は、ワイヤー35に移動可能に係合する。ワイヤー係合部36の機能は、第1実施形態に示されるとおりである。
【0101】
本実施形態では、チャンバー2Bおよびダクト2Aを含む構造体は、支持部材10とワイヤー35によって支持される。チャンバー2Bの荷重は、支持部材10を介して天井下地6に加わる。ダクト2Aの荷重は、ワイヤー35を介して建築構造体5に加わる。これによって、チャンバー2Bおよびダクト2Aを含む構造体の荷重の一部は、建築構造体5に加わるため、天井下地6に加わる荷重を小さくできる。
【0102】
(効果)空調関連物1の支持構造によれば、空調配管関連物2は、ワイヤー35によって建築構造体5から吊り下げられる。空調配管関連物2を建築構造体5によって支持できる。このため、天井下地6にかかる荷重を小さくできる。
【0103】
<第9実施形態>
図12を参照して、第9実施形態に係る、空調関連物1の支持構造を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0104】
空調関連物1の支持構造は、空調関連物1と、空調関連物1を支持する支持部材10と、を備える。
支持部材10は、第4実施形態に示される支持部材10の構造(図7参照)を備える。支持部11は、横バー30と、第1縦バー31と、第2縦バー32と、を備える。第1縦バー31および第2縦バー32は、横バー30に0度の角度で固定される。
【0105】
空調関連物1は、支持部11に支持される。空調関連物1は、第1実施形態に示された例を含む。本実施形態では、空調関連物1は、空調配管関連物2としてのダクト2Aである。ダクト2Aは、第1吊下部材21によって支持部11に吊り下げられる。
【0106】
支持部材10の第1結合部13および第2結合部14は、支持部材10の下にダクト2Aが配置されるように、天井下地6に結合する。具体的には、第1縦バー31の第1結合部13は、横バー30に平行のフレーム7に固定される。第2縦バー32の第2結合部14は、横バー30に平行のフレーム7に固定される。
【0107】
(効果)空調関連物1の支持構造によれば、天井下地6に対して所定高さ位置にダクト2Aを簡単に配置できる。また、横バー30に平行のフレーム7に支持部材10を取り付けることができる。
【0108】
<第10実施形態>
図13を参照して、第10実施形態に係る、空調関連物1の支持構造を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0109】
本実施形態では、第6実施形態(図9参照)と同様に、ダクト2Aは、第1吊下部材21によって支持部11に吊り下げられる。本実施形態は、第6実施形態と次の点で異なる。第6実施形態では、支持部材10は、天井下地6のみに支持されているのに対して、本実施形態では、支持部材10は、天井下地6に固定されるとともに、建築構造体5(例えば、スラブ)から吊り下げられる。
【0110】
具体的には、本実施形態では、空調関連物1の支持構造は、空調関連物1と、空調関連物1を支持する支持部材10と、ワイヤー35と、を備える。支持部材10は、ワイヤー35によって建築構造体5から吊り下げられる。
支持部材10は、第2実施形態に示される支持部材10の構造(図4参照)を備える。支持部材10には、ワイヤー係合部36が設けられる。ワイヤー係合部36は、ワイヤー35に移動可能に係合する。ワイヤー係合部36の機能は、第1実施形態に示されるとおりである。
【0111】
本実施形態では、ダクト2Aを含む構造体は、支持部材10によって支持される。支持部材10は、ワイヤー35を介して建築構造体5から吊り下げられるとともに、天井下地6にも結合される。ダクト2Aの荷重は、ワイヤー35を介して建築構造体5に加わる。
【0112】
(効果)空調関連物1の支持構造によれば、支持部材10は、ワイヤー35によって建築構造体5から吊り下げられる。この構成によれば、支持部材10を介して空調配管関連物2を建築構造体5によって支持できる。このため、天井下地6にかかる荷重を小さくできる。
【0113】
支持部材10は、落下防止のために予備的にワイヤー35に繋がってもよい。この場合、支持部材10は、ワイヤー35が弛むように、天井下地6に取り付けられる。
【0114】
<第11実施形態>
図14を参照して、第11実施形態に係る、空調関連物1の支持構造を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0115】
本実施形態では、追加支持部材10Xが、支持部材10の上に取り付けられる。以下、本実施形態を説明する。
【0116】
空調関連物1の支持構造は、空調関連物1と、空調関連物1を支持する支持部材10と、支持部材10と同じ構造の追加支持部材10Xと、を備える。支持部材10および追加支持部材10Xは、第1実施形態に示される支持部材10の構造を備える。支持部材10の構造は、第1実施形態の例に限定されない。
【0117】
空調関連物1は、支持部11に支持される。空調関連物1は、第1実施形態に示された例を含む。本実施形態では、空調関連物1は、空調配管関連物2としてのダクト2Aである。ダクト2Aは、第1吊下部材21によって支持部11に吊り下げられる。
【0118】
ダクト2Aは、追加支持部材10Xの支持部11と支持部材10の支持部11との間に配置される。そして、ダクト2Aは、ダクト2Aと支持部材10の支持部11との間に間隔が設けられるように追加支持部材10Xの支持部11から吊り下げられる。
【0119】
(効果)空調関連物1の支持構造によれば、追加支持部材10Xによって、ダクト2Aを支持部材10の高さよりも高い位置に配置できる。このように、ダクト2Aの配置の自由度を向上できる。また、複数のダクト2Aを上下方向に重なるように配置できる。これによって、天井裏空間において、水平方向に広がるスペースを設けることができる。
【0120】
<第12実施形態>
図15を参照して、第12実施形態に係る、空調関連物1の支持構造を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0121】
空調関連物1の支持構造は、空調関連物1と、空調関連物1を支持する支持部材10と、を備える。
【0122】
支持部材10は、第1実施形態に示される支持部材10の構造を備える。支持部材10の構造は、第1実施形態の例に限定されない。
空調関連物1は、支持部11に支持される。空調関連物1は、第1実施形態に示された例を含む。本実施形態では、空調関連物1は、空調配管関連物2としての冷媒配管2Cである。冷媒配管2Cは、第3吊下部材23によって支持部11に吊り下げられる。支持部11には、3つの冷媒配管2Cが吊り下げられる。3つの冷媒配管2Cのうちの2つは、纏められた状態で、第3吊下部材23によって吊り下げられる。
【0123】
支持部材10の第1結合部13および第2結合部14は、支持部材10の下に冷媒配管2Cが配置されるように、天井下地6に結合する。さらに、冷媒配管2Cは、冷媒配管2Cと天井下地6との間に間隔が設けられるように支持部11から吊り下げられる。
【0124】
この構成によれば、天井下地6に対して所定高さ位置に冷媒配管2Cを簡単に配置できる。また、冷媒配管2Cが天井下地6に接触しない状態で、天井下地6に対して所定高さ位置に冷媒配管2Cが配置される。このため、冷媒配管2Cの劣化が抑制される。
【0125】
<第13実施形態>
図16図19を参照して、第13実施形態に係る、空調関連物1の支持構造を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0126】
図16に示されるように、空調関連物1の支持構造は、空調関連物1としての空調関連設備3と、空調関連物1を支持する支持部材10と、を備える。空調関連物1の支持構造は、2つの支持部材10を備える。空調関連物1の支持構造は、連結部材25をさらに備える。連結部材25は、空調関連設備3を支持部材10に結合させる。
【0127】
空調関連設備3は、2つの支持部11に支持される。本実施形態では、空調関連設備3は、天井埋込形空気調和機3A(以下、空気調和機3A)である。空気調和機3Aは、連結部材25によって支持部材10に固定される。連結部材25には、幾つかの例がある。連結部材25の例は、後述される。
【0128】
支持部材10の第1結合部13および第2結合部14は、支持部材10の下に空気調和機3Aが配置されるように、天井下地6に結合する。この構成によれば、天井下地6に対して所定高さ位置に空気調和機3Aを簡単に配置できる。
【0129】
[連結部材による連結構造の第1例]
図17を参照して、支持部材10と、連結部材25を含む連結構造とを説明する。
支持部材10は、第1実施形態の支持部材10の構造(図1参照)に準ずる。支持部材10は、さらに、支持結合部15を有する。支持結合部15は、連結部材25としての結合ボルト26(例えば、吊りボルト)に結合する部分である。支持結合部15は、上述の固定用孔11Cであってよい。
【0130】
空気調和機3Aは、第1固定部3Cと、第1固定部3Cよりも上に設けられる第2固定部3Dとを有する。
連結部材25は、結合ボルト26と、連結金具27とを含む。結合ボルト26の上部は、支持部材10の支持部11における支持結合部15に固定される。結合ボルト26の中間部は、第2固定部3Dの孔に挿通する。結合ボルト26の下部は、空気調和機3Aに設けられる第1固定部3Cに固定される。
【0131】
連結金具27は、板金によって構成される。連結金具27は、上端固定部27Aと、上端固定部27Aよりも下に位置する下端固定部27Bとを有する。連結金具27の上端固定部27Aは、結合ボルト26の中間部に係合しつつ、空気調和機3Aの第2固定部3Dに固定される。連結金具27の下端固定部27Bは、結合ボルト26の下部に係合しつつ空気調和機3Aの第1固定部3Cに固定される。
【0132】
このように、第1例の連結構造を含む空調関連物1の支持構造は、空気調和機3Aを支持部材10に結合させる連結部材25を備える。連結部材25は、結合ボルト26(吊りボルト)を有する。空気調和機3Aは、結合ボルト26に結合する第1固定部3Cと、結合ボルト26に結合する第2固定部3Dとを有する。第2固定部3Dは、吊りボルトのうちの第1固定部3Cが結合する部分とは異なる部分に結合する。第1固定部3Cは、吊りボルトに位置調整可能に結合する。
【0133】
この構成によれば、結合ボルト26と空気調和機3Aとの結合位置を変えることによって、支持部材10に対する空気調和機3Aの位置を調整できる。
【0134】
また、空気調和機3Aは、結合ボルト26(吊りボルト)に対して2箇所で結合するため、結合ボルト26に対して空調関連設備3が揺れ難くなる。これによって、支持部材10に対する空調関連設備3の揺れを好適に抑制できる。さらに、空気調和機3Aの第1固定部3Cと第2固定部3Dとは、連結金具27によって連結される。これによって、空気調和機3Aの第1固定部3Cと第2固定部3Dとが補強される。
【0135】
[連結部材による連結構造の第2例]
図18を参照して、支持部材10と、連結部材25を含む連結構造とを説明する。
この例では、支持部材10は、第1実施形態の構造を有する。空気調和機3Aは、第1固定部3Cを有する。連結部材25は、結合ボルト26を含む。結合ボルト26の上部は、支持部材10の支持部11における支持結合部15に固定される。結合ボルト26の下部は、空気調和機3Aに設けられる第1固定部3Cに固定される。
【0136】
第2例の連結構造を含む空調関連物1の支持構造は、空調関連設備3を支持部材10に結合させる連結部材25を備える。連結部材25は、結合ボルト26(吊りボルト)を有する。空調関連設備3は、結合ボルト26に結合する第1固定部3Cを有する。第1固定部3Cは、結合ボルト26に位置調整可能に結合する。このため、支持部材10に対する空調関連設備3の位置を調整できる。
【0137】
[効果]空調関連物1の支持構造において、第1結合部13は、吊りボルトに位置調整可能に結合するため、支持部材10に対する空調関連設備3の位置を調整できる。
【0138】
[連結部材による連結構造の第3例]
図16および図19を参照して、支持部材10と、連結部材25を含む連結構造とを説明する。
【0139】
この例では、支持部材10は、第5実施形態の構造(図8参照)を有する。すなわち、支持部材10は連結部33を有する。空気調和機3Aは、第2固定部3Dと、第2固定部3Dよりも下に設けられる第1固定部3Cとを有する。
【0140】
連結部材25は、連結金具27を含む。連結金具27は、板金によって構成される。連結金具27は、上端固定部27Aと、上端固定部27Aよりも下に位置する下端固定部27Bとを有する。連結金具27の上端固定部27Aは、空気調和機3Aの第2固定部3Dまたは支持部材10の連結部33に重なるように配置される。そして、連結金具27の上端固定部27A、空気調和機3Aの第2固定部3D、および、支持部材10の連結部33は、ボルトとナットとによって互いに固定される。連結金具27の下端固定部27Bは、空気調和機3Aの第1固定部3Cに固定される。
【0141】
第3の例の連結構造を含む空調関連物1の支持構造では、支持部材10は、空調関連設備3が連結される連結部33を有する。そして、空調関連設備3としての空気調和機3Aは、連結部33に連結する。さらに、連結金具27によって、空気調和機3Aと支持部材10との連結が補強される。
【0142】
[効果]空調関連物1の支持構造において、支持部材10に連結部33が設けられる。空気調和機3Aは、連結部33に連結する。このため、支持部材10が補強されるとともに、空気調和機3Aを支持部材10の連結部33に結合できる。さらに、連結金具27によって、空気調和機3Aと支持部材10との連結が補強されるため、地震に起因して建築物が揺れるとき、空気調和機3Aの揺れを抑制できる。
【0143】
<第14実施形態>
図20を参照して、第14実施形態に係る、空調関連物1の支持構造を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0144】
空調関連物1の支持構造は、チャンバー2Bと、ダクト2Aと、冷媒配管2Cと、空気調和機3Aと、これらを支持する支持部材10とを含む。チャンバー2B、ダクト2A、および、冷媒配管2Cは、支持部材10によって支持される。空気調和機3Aは、ワイヤー35によって建築構造体5から吊るされる。
【0145】
[効果]
このような構成によれば、空調関連物1の全てをワイヤー35で吊るす場合に比べて、施工を効率化できる。
【0146】
<第15実施形態>
図21図23を参照して、空調関連物1の施工方法を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0147】
[空調配管関連物の施工方法]
空調関連物1の施工方法では、支持部材10によって空調関連物1を天井下地6に取り付ける。空調関連物1の施工方法は、第1工程および第2工程を含む。第1工程および第2工程は、第1準備工程および第2準備工程の後に行われる。本実施形態の第1例では、空調関連物1は、空調配管関連物2である。空調配管関連物2の例としてダクト2Aを挙げる。
【0148】
図21に示されるように、第1準備工程において、ダクト2Aには予め吊下部材20が取り付けられる。そして、ダクト2Aは、天井下地6の上に載せられる。そして、ダクト2Aは、予め設定される配置線に沿うように配置される。
【0149】
図22に示されるように、第2準備工程において、ダクト2Aに対して所定箇所に支持部材10が置かれる。天井下地6において、支持部材10の設置箇所は、予め設定されてもよく、また、現場において適宜設定されてもよい。
【0150】
図23に示されるように、第1工程では、支持部材10にダクト2Aを取り付ける。例えば、ダクト2Aは、第1吊下部材21によって支持部材10の支持部11に吊り下げられる。そして、第1吊下部材21の結合ボルト20Aの長手方向において、結合ボルト20Aと支持部11との結合箇所を調整することによって、上下方向において天井下地6からのダクト2Aの高さを調整する。この調整によって、天井下地6に対してダクト2Aを所定高さに簡単に配置できる。所定高さが予め設定されている場合、結合ボルト20Aに結合箇所の目印を付けてもよい。次いで、第2工程において、支持部材10の第1結合部13および第2結合部14を天井下地6に結合する。具体的には、第1結合部13および第2結合部14をフレーム7に結合する。
【0151】
[効果]この施工方法によれば、空調配管関連物2を天井裏空間において所定高さ位置に簡単に配置できる。そして、支持部材10を介して空調配管関連物2を天井下地6に取り付けることができる。
【0152】
[空調関連設備の施工方法]
空調関連設備3の施工方法は、空調配管関連物2の施工方法に準ずる。空調関連設備3の施工方法は、第1工程と、第2工程とを含む。第1工程では、支持部材10に空調関連設備3を取り付ける。第2工程では、支持部材10の第1結合部13および第2結合部14を天井下地6に結合する。
【0153】
[効果]この施工方法によれば、空調関連設備3を所定高さ位置に簡単に配置できる。そして、支持部材10を介して空調配管関連物2を天井下地6に取り付けることができる。
【0154】
<第16実施形態>
図24図26を参照して、空調関連物1の施工方法を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0155】
空調関連物1の施工方法では、支持部材10によって空調関連物1を天井下地6に取り付ける。空調関連物1の施工方法は、第1工程から第4工程を含む。本実施形態では、空調関連物1は、空調配管関連物2である。空調配管関連物2の例としてダクト2Aを挙げる。
【0156】
図24に示されるように、第1工程では、ワイヤー35の端部を建築構造体5(例えば、スラブ)に固定する。具体的には、スラブの下面にアンカーが打ち込まれる。スラブのアンカーにワイヤー35の上端が固定される。ワイヤー35は、スラブから床面まで垂らされる。これによって、スラブの下にある床で、空調配管関連物2(例えば、ダクト2A)の取り付け作業を行うことができる。
【0157】
ワイヤー係合部36はワイヤー35に予め取り付けられている。スラブへのワイヤー35の取り付けのとき、ワイヤー35は、次のようにスラブに取り付けられる。ワイヤー係合部36が係合状態において移動可能な方向が上方となるように、ワイヤー35がスラブに取り付けられる。ワイヤー係合部36は、ワイヤー35において床面に近いところに配置される。ワイヤー35に対するワイヤー係合部36の位置を調整する場合、ワイヤー係合部36の状態を解除状態に切り替えることによって、ワイヤー係合部36をワイヤー35に対して下方に移動できる。そして、支持部材10は、ワイヤー係合部36に取り付けられる。これによって、支持部材10は、ワイヤー係合部36を介してワイヤー35に移動可能に取り付けられる。
【0158】
図25に示されるように、第2工程では、ワイヤー35に係合する支持部材10に空調配管関連物2(例えば、ダクト2A)を取り付ける。例えば、第1吊下部材21によって空調配管関連物2を支持部材10の支持部11に取り付ける。支持部材10の支持部11に対する第1吊下部材21の取り付け方法は、第15実施形態の方法に準ずる。
【0159】
図26に示されるように、第3工程では、ワイヤー35に対して支持部材10を移動することによって、支持部材10を所定位置に配置する。具体的には、ワイヤー係合部36を係合状態に維持したままで、ワイヤー35に対してワイヤー係合部36を上に移動することによって、支持部材10および空調配管関連物2を天井下地6よりも高い所定位置に配置する。ワイヤー係合部36は係合状態であるため、支持部材10および空調配管関連物2を上に移動させるときに作業者がこれら物から手を放しても、支持部材10および空調配管関連物2は落下しない。
【0160】
第4工程では、支持部材10の第1結合部13および第2結合部14を天井下地6に結合する。具体的には、第1結合部13および第2結合部14をフレーム7に結合する。
【0161】
この構成によれば、ワイヤー35に対して支持部材10を移動させることによって、空調配管関連物2を所定高さ位置に簡単に配置できる。そして、支持部材10を介して空調配管関連物2を天井下地6に取り付けることができる。
【0162】
<第17実施形態>
図27図29を参照して、空調関連物1の施工方法を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0163】
空調関連物1の施工方法では、支持部材10によって空調関連物1を天井下地6に取り付ける。空調関連物1の施工方法は、第1工程から第5工程を含む。本実施形態では、空調関連物1は、空調配管関連物2である。空調配管関連物2の例としてダクト2Aを挙げる。
【0164】
図27に示されるように、第1工程では、ワイヤー35の端部を建築構造体5(例えば、スラブ)に固定する。ワイヤー35の端部を建築構造体5に固定する方法は、第16実施形態の第2工程に準ずる。
【0165】
図28に示されるように、第2工程では、支持部材10に空調配管関連物2を取り付ける。支持部材10に空調配管関連物2を取り付ける方法は、第16実施形態において支持部材10に空調配管関連物2を取り付ける方法に準ずる。
【0166】
図29に示されるように、第3工程では、ワイヤー35に空調配管関連物2(例えば、ダクト2A)を係合する。例えば、第1吊下部材21によって空調配管関連物2をワイヤー35に取り付ける。具体的には、第1吊下部材21のバンド21Aをダクト2Aに巻いた状態で、第1吊下部材21の結合ボルト20Aをワイヤー係合部36に取り付ける。
【0167】
そして、第4工程では、ワイヤー35に対して空調配管関連物2を移動することによって、空調配管関連物2を所定位置に配置する。空調配管関連物2を移動する方法は、第16実施形態の第3工程に準ずる。
【0168】
さらに、第5工程では、支持部材10の第1結合部13および第2結合部14を天井下地6に結合する。具体的には、第1結合部13および第2結合部14をフレーム7に結合する。
【0169】
この構成によれば、ワイヤー35に対して空調配管関連物2を移動させることによって、空調配管関連物2を所定高さ位置に簡単に配置できる。そして、支持部材10を介して空調配管関連物2を天井下地6に取り付けることができる。
【0170】
<変形例>
本開示の支持部材10、空調関連物1の支持構造、および、空調関連物1の施工方法は、上記実施形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0171】
・支持部材10の形状は実施形態の例に限定されない。支持部材10の支持部11は、円弧状に構成されてもよい。横バー30は、湾曲してもよい。第1縦バー31および第2縦バー32の形状は限定されない。第1縦バー31および第2縦バー32は、板材によって構成されてもよい。横バー30、第1縦バー31および第2縦バー32は、円柱部材に構成されてもよい。
【0172】
・複数の支持部材10は、互いに連結されてもよい。例えば、第16実施形態において、空気調和機3Aを支持する2個の支持部材10は、連結バーによって結合されてもよい。これによって、地震に起因して建築物が揺れるとき、空気調和機3Aの揺れを抑制できる。同様に、ダクト2Aを支持する複数の支持部材10は互いに連結されてもよい。これによって、地震に起因して建築物が揺れるとき、ダクト2Aの揺れを抑制できる。
【0173】
・支持部材10に対する空調関連物1の固定手段は、第1実施形態に挙げた例に限定されない。空調関連物1を支持部材10に固定する手段として、市販の金物を使ってもよい。
【0174】
図19では、空調関連設備3は、支持部材10の連結部33に、連結部材25としての連結金具27によって固定されている。これに対して、空調関連設備3は、支持部材10の連結部33に、連結部材25としての結合ボルト20A(吊りボルト)によって固定されてもよい。
【0175】
以上、支持部材10、空調関連物1の支持構造、および、空調関連物1の施工方法について実施形態およびその変形例を説明したが、特許請求の範囲に記載された支持部材10、空調関連物1の支持構造、および、空調関連物1の施工方法の趣旨、および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0176】
1…空調関連物、2…空調配管関連物、3…空調関連設備、3B…底面、3C…第1固定部、3D…第2固定部、5…建築構造体、6…天井下地、6A…下面、10…支持部材、10X…追加支持部材、11…支持部、11A…第1端部、11B…第2端部、13…第1結合部、14…第2結合部、15…支持結合部、20…吊下部材、25…連結部材、29…位置調整部、33…連結部、35…ワイヤー、36…ワイヤー係合部。
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