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特開2025-24173閉ループ神経調節のための方法、システム、および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024173
(43)【公開日】2025-02-19
(54)【発明の名称】閉ループ神経調節のための方法、システム、および装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20250212BHJP
   A61N 1/378 20060101ALI20250212BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20250212BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20250212BHJP
   A61B 5/293 20210101ALI20250212BHJP
   A61B 5/37 20210101ALI20250212BHJP
   A61B 5/383 20210101ALI20250212BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/378
A61N1/05
A61B5/256 220
A61B5/293
A61B5/37
A61B5/383
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024202753
(22)【出願日】2024-11-20
(62)【分割の表示】P 2022526480の分割
【原出願日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】62/932,906
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/062,633
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521494256
【氏名又は名称】シンクロン オーストラリア ピーティーワイ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】504348389
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティー オブ メルボルン
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF MELBOURNE
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】オクスレイ,トーマス ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】オピエ,ニコラス ラクラン
(72)【発明者】
【氏名】リンド,ジル シモン
(57)【要約】
【課題】薬物治療難治性てんかんを処置するためのシステム、装置、および方法が開示されている。
【解決手段】一実施形態において、てんかんを処置する方法は、第1の血管内担体に結合された第1の電極アレイを使用して、被験者の電気生理学的信号を検知することを含んで開示される。この方法は、第1の電極アレイに電気的に結合された神経調節部を使用して電気生理学的信号を分析することと、被験者の頭蓋底よりも上方の身体血管の一部内に移植された第2の血管内担体に結合された第2の電極アレイを使用して被験者の体内の目的の部位を刺激することと、をさらに含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の体内に移植されるように構成された第1の血管内担体に結合された第1の電極アレイであって、前記第1の電極アレイが、前記被験者の電気生理学的信号を検知するように構成され、前記第1の血管内担体が、電極アレイを含むとともに巻かれるかまたはコイル状にされるように構成されたワイヤーまたはケーブルであり、前記電極アレイは前記ワイヤーまたは前記ケーブルに結合される、第1の電極アレイと、
第2の血管内担体に結合された第2の電極アレイであって、前記第2の電極アレイが、前記被験者の体内の目的の部位を刺激するように構成される、第2の電極アレイと、
前記第1の電極アレイおよび前記第2の電極アレイに電気的に結合された移植可能な神経調節部であって、前記神経調節部は、前記第1の電極アレイによって検知された前記電気生理学的信号を解析し、検知された前記電気生理学的信号に応答して前記体内の目的の部位を刺激するために前記第2の電極アレイに伝達する電気的インパルスを生成するように構成される、神経調節部と、
を備える、神経調節システム。
【請求項2】
前記第1の電極アレイは、前記ワイヤーまたは前記ケーブルの長さに沿って配置された電極からなる、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項3】
前記電気的インパルスを生成するように構成されたパルス発生器をさらに備え、前記パルス発生器は、前記第2の電極アレイに電気的に結合される、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項4】
前記神経調節部および前記パルス発生器のうちの少なくとも一方は、体外装置によって電力が供給され、作動される、請求項3に記載の神経調節システム。
【請求項5】
前記パルス発生器が第1の磁気構成要素からなり、前記体外装置が前記第1の磁気構成要素に磁気的に結合されるように構成された第2の磁気構成要素からなり、前記体外装置が前記パルス発生器の近傍に配置されたときに電磁誘導を介して前記体外装置によって前記パルス発生器が充電されるように構成されている、請求項4に記載の神経調節システム。
【請求項6】
前記神経調節部は、前記被験者の前腕内に移植されるように構成され、前記体外装置は、アームバンドの一部として設けられる、請求項4に記載の神経調節システム。
【請求項7】
前記第1の血管内担体および前記第2の血管内担体のうちの少なくとも一方が、電極アレイを含む拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドであり、前記電極アレイは前記拡張可能なステントまたは前記血管内スキャフォールドに結合される、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項8】
前記第2の血管内担体が、電極アレイを含むとともに巻かれるかまたはコイル状にされるように構成されたワイヤーまたはケーブルであり、前記電極アレイは前記ワイヤーまたは前記ケーブルに結合される、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項9】
前記ワイヤーまたは前記ケーブルが、内腔または血管壁を貫通するための鋭い遠位端を含む、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項10】
前記ワイヤーまたは前記ケーブルが、アンカーからなる、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項11】
前記神経調節部は、遠隔測定部をさらに備え、同遠隔測定部は、前記電気生理学的信号を1つ以上の信号閾値またはパターンと比較することによって検知された前記電気生理学的信号を解析するように構成されている、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項12】
前記電気生理学的信号が、局所電位(LFP)、頭蓋内脳波(EEG)、あるいは皮質脳波信号のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の神経調節システム。
【請求項13】
前記パルス発生器が、前記電気的インパルスの電流振幅を0.1mAずつ0mAから最大10mAまで増加させ、前記電気的インパルスの電圧を0.25Vずつ0Vから最大10Vまで増加させることにより前記電気的インパルスを生成するように構成され、生成された前記電気的インパルスのパルス幅が25μS乃至約600μSであるように構成され、生成された前記電気的インパルスの周波数が1Hz乃至400Hzであるように構成される、請求項3に記載の神経調節システム。
【請求項14】
被験者の体内に移植されるように構成された第1の血管内担体に結合された第1の電極アレイであって、前記被験者の電気生理学的信号を検知するように構成された第1の電極アレイと、
前記被験者の大脳洞内に移植されるように構成された第2の血管内担体に結合された第2の電極アレイであって、前記被験者の体内の目的の部位を刺激するように構成された第2の電極アレイと、
前記第1の電極アレイおよび前記第2の電極アレイに電気的に結合された移植可能な神経調節部であって、前記神経調節部は、前記第1の電極アレイによって検知された前記電気生理学的信号を解析し、検知された前記電気生理学的信号に応答して前記体内の目的の部位を刺激するために前記第2の電極アレイに伝達する電気的インパルスを生成するように構成される、神経調節部と、
を備える、神経調節システム。
【請求項15】
前記電気的インパルスを生成するように構成されたパルス発生器をさらに備え、前記パルス発生器は、前記第2の電極アレイに電気的に結合される、請求項14に記載の神経調節システム。
【請求項16】
前記神経調節部および前記パルス発生器のうちの少なくとも一方は、体外装置によって電力が供給され、作動される、請求項15に記載の神経調節システム。
【請求項17】
前記パルス発生器が第1の磁気構成要素からなり、前記体外装置が前記第1の磁気構成要素に磁気的に結合されるように構成された第2の磁気構成要素からなり、前記体外装置が前記パルス発生器の近傍に配置されたときに電磁誘導を介して前記体外装置によって前記パルス発生器が充電されるように構成されている、請求項16に記載の神経調節システム。
【請求項18】
前記神経調節部は、前記被験者の前腕内に移植されるように構成され、前記体外装置は、アームバンドの一部として設けられる、請求項16に記載の神経調節システム。
【請求項19】
前記第1の血管内担体および前記第2の血管内担体のうちの少なくとも一方が、電極アレイを含む拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドであり、前記電極アレイは前記拡張可能なステントまたは前記血管内スキャフォールドに結合される、請求項14に記載の神経調節システム。
【請求項20】
前記第1の血管内担体および前記第2の血管内担体のうちの少なくとも一方が、電極アレイを含むとともに巻かれるかまたはコイル状にされるように構成されたワイヤーまたはケーブルであり、前記電極アレイは前記ワイヤーまたは前記ケーブルに結合される、請求項14に記載の神経調節システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、血管内神経調節に関する。より具体的には、本開示は、閉ループ血管内神経調節のための方法、システム、および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
迷走神経刺激は、医学的に難治性のてんかん患者および切除術の選択肢が適さない患者の発作頻度を減少させることに成功している。迷走神経刺激装置(VNS)は、10万人を超えるヒトに植え込まれているが、その治療成績は中程度である。発作頻度が50%よりも大きく低減された患者の割合であるレスポンダーレートは46.6%に過ぎず、発作低減の中央値は52.4%である。加えて、迷走神経の周囲に直接カフ状の電極を埋め込むため、神経の損傷および麻痺、電極を埋め込むために神経を露出させるための外科的切開が必要な頸部の直接損傷などの副作用が生じる可能性がある。
【0003】
現在のVNSの刺激パラメーターは開ループであることが多く、これは連続的あるいは厳格なスケジュールに従って刺激が行われることを意味する。一般的には、1乃至5分程度刺激を与え、4乃至10分程度休ませる。したがって、大容量の電力を供給するため、電池の消耗やハードウェアの故障が懸念される。いずれも、電池交換や故障したハードウェア部品の交換のために、任意の植込み型ユニットを取り外す手術を追加で行う必要がある。また、最近の研究では、このような継続的または恒常的な刺激に関連付けられるいくつかの潜在的な副作用が注目されている。例えば、非特許文献1および2を参照のこと。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Sun FT, Morrell MJ, Wharen RE Jr., Responsive Cortical Stimulation for the Treatment of Epilepsy. Neurotherapeutics, 2008 Jan 5(1): 68-74
【非特許文献2】Morrell M. Brain, Stimulation for Epilepsy: Can Scheduled or Responsive Neurostimulation Stop Seizures? Current Opinion in Neurology, 2006 Apr; 19(2): 164-8.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、従来の神経調節システムの上記の短所およびデメリットを解決する解決策が必要とされている。このような解決策は、安全にしてかつ効果的であり、移植が過度に困難でないことが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
薬物治療難治性てんかんを処置するためのシステム、装置、および方法が開示されている。一実施形態では、てんかんを処置する方法は、第1の電極アレイを使用して、被験者の電気生理学的信号を検知することを含む。第1の電極アレイは、被験者の体内に移植された第1の血管内担体に結合させることができる。本方法はまた被験者の体内に移植されるとともに第1の電極アレイに電気的に結合された神経調節部を使用して電気生理学的信号を解析することと、検知された電気生理学的信号に応答して第2の電極アレイを使用して被験者の体内の目的の部位を刺激することとを含み得る。第2の電極アレイは、神経調節部に電気的に結合され得る。第2の電極アレイは、被験者の頭蓋底よりも上方の身体血管の一部内に移植された第2の血管内担体に結合され得る。
【0007】
体内の目的の部位を刺激することは、第2の電極アレイに電気的に結合されたパルス発生器を使用して電気的インパルスを発生させることをさらに含むことができる。パルス発生器は、被験者の体内に埋め込むことができる。電気的インパルスを発生させることは、電気的インパルスの電流振幅を0mAから最大10mAまで0.1mAずつ増加させることと、電気的インパルスの電圧を0Vから最大10Vまで0.25Vずつ増加させることとをさらに含み得る。さらに、電気的インパルスのパルス幅は、25μS乃至約600μSに設定し得る。またさらに、電気的インパルスの周波数は1Hz乃至400Hzに設定し得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、本方法は、被験者の電気生理学的信号を検知するに先だって、第1の血管内担体および第2の血管内担体を単体の送達カテーテルを通して送達することも含み得る。別の実施形態では、本方法は、被験者の電気生理学的信号を検知するに先だって、第1の送達カテーテルを通して第1の血管内担体を送達することと、第2の送達カテーテルを通して第2の血管内担体を送達することと、を含み得る。さらなる実施形態において、本方法は、第1の送達カテーテルを通して第1の血管内担体を送達することと、第1の送達カテーテルを通って延びる第2の送達カテーテルを通して第2の血管内担体を送達することと、を含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の電極アレイを使用して被験者の体内の目的の部位を刺激することをさらに含み得る。これらの実施形態において、本方法は、被験者の電気生理学的信号を検知または記録するために第2の電極アレイを使用することをさらに含み得る。
【0010】
また、てんかんおよび/または他の症状や障害を処置するための血管内神経調節システムも開示されている。システムは、被験者の電気生理学的信号を検知するように構成された第1の電極アレイを備え得る。第1の電極アレイは、被験者の体内に移植されるように構成された第1の血管内担体に結合され得る。システムは、被験者の体内の目的の部位を刺激するように構成された第2の電極アレイをさらに備え得る。第2の電極アレイは、被験者の頭蓋底よりも上方に移植されるように構成された第2の血管内担体に結合され得る。本システムは、第1の電極アレイおよび第2の電極アレイに電気的に結合された移植可能な神経調節部をさらに備え得る。
【0011】
神経調節部は、第1の電極アレイによって検知された電気生理学的信号を解析し、検知された電気生理学的信号に応答して体内の目的の部位を刺激するために第2の電極アレイに伝達する電気的インパルスをパルス発生器を介して生成するように構成され得る。
【0012】
第1の電極アレイを担持する第1の血管内担体は、被験者の静脈洞内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。例えば、第1の血管内担体は、被験者の上矢状静脈洞、下矢状静脈洞、S字状静脈洞、横静脈洞、および直静脈洞のうちの少なくとも1つの中に移植され得るか、または移植されるよう構成され得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1の血管内担体は、浅大脳静脈内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。例えば、第1の血管内担体は、ラベ静脈、トロラード静脈、シルビウス(Sylvian)静脈、およびローランディック(Rolandic)静脈のうちの少なくとも1つの中に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0014】
他の実施形態では、第1の血管内担体は、深大脳静脈内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。例えば、第1の血管内担体は、ローゼンタール(Rosenthal)静脈、ガレン(Galen)静脈、上視床線条体静脈、および内大脳静脈のうちの少なくとも1つの中に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0015】
また、第1の血管内担体は、中央溝静脈(central sulcal vein)、後中央溝静脈(post-central sulcal vein)、および前中央溝静脈(pre-central sulcal vein)のうちの少なくとも1つの中に移植され得る。いくつかの実施形態では、第1の血管内担体は、被験者の海馬または扁桃体を通って延びる血管内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0016】
体内の目的の部位は、被験者の迷走神経の一部であり得る。第2の血管内担体は、被験者の頸静脈孔よりも上方の内頸静脈の一部の中に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。第2の血管内担体は、内頸静脈の分枝または支流内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。また、第2の血管内担体は、被験者の頭蓋底よりも上方の内頸動脈の一部の中にも移植され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、体内の目的の部位は、被験者の小脳であり得る。これらの実施形態および他の実施形態において、第2の血管内担体は、被験者のS字状静脈洞、横静脈洞、および直静脈洞のうちの少なくとも1つの中に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0018】
他の実施形態では、体内の目的の部位は、被験者の運動皮質とし得る。これらおよび他の実施形態において、第2の血管内担体は、上矢状静脈洞、下矢状静脈洞、中央溝静脈、後中央溝静脈、および前中央溝静脈のうちの少なくとも1つの中に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0019】
第2の血管内担体は、浅大脳静脈内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。例えば、第2の血管内担体は、ラベ静脈、トロラード静脈、シルビウス静脈、およびローランディック静脈のうちの少なくとも1つの中に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0020】
また、第2の血管内担体は、深大脳静脈内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。例えば、第2の血管内担体は、ローゼンタール静脈、ガレン静脈、上視床線条体静脈、および内大脳静脈のうちの少なくとも1つの中に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。これらおよび他の実施形態において、体内の目的の部位は、前核視床、視床中心核、円蓋、海馬、視床下部、視床下核、および後端不確帯(caudal zone incerta)のうちの少なくとも1つであり得る。いくつかの実施形態では、第2の血管内担体は、被験者の海馬または扁桃体を通って延びる血管内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0021】
移植部位に関して、第1の電極アレイを担持する第1の血管内担体および第2の電極アレイを担持する第2の血管内担体は、本明細書に開示した体内血管の任意の組み合わせで移植され得る。例えば、第1の血管内担体は静脈洞内に移植され、第2の血管内担体は浅大脳静脈内に移植され得る。また、例えば、第1の血管内担体は深大脳静脈内に移植され、第2の血管内担体は内頸静脈内に移植され得る。
【0022】
また、神経調節部は、被験者の体内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。例えば、神経調節部は、被験者の前腕内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。これに代えて、神経調節部は、被験者の胸部内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。また、神経調節部は、被験者の腋窩内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0023】
第1の電極アレイは、第1のリード直径を有する第1の伝送リードを介して神経調節部に電気的に結合され得る。第1の伝送リードは、被験者の首筋を貫通することができる。第1のリードの直径は、約0.5mm乃至1.5mmとし得る。第2の電極アレイは、第2のリード直径を有する第2の伝送リードを介して神経調節部に電気的に結合され得る。第2の伝送リードは、被験者の首部を通って延び得る。第2のリード直径は、約0.5mm乃至1.5mmとし得る。他の実施形態では、第1の電極アレイおよび第2の電極アレイは、リード直径を有する1本の伝送リードを介して神経調節部に結合され得る。1本の伝送リードは、被験者の首部を通って延び得る。これらの実施形態において、リード直径は、約0.5mm乃至1.5mmとし得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、パルス発生器は、神経調節部の一部とし得る。パルス発生器は、体外装置から電力を供給して作動させ得る。例えば、パルス発生器は、第1の磁気構成要素を含むことができ、体外装置は、第1の磁気構成要素に磁気的に結合されるように構成された第2の磁気構成要素を含むことができる。パルス発生器は、体外装置がパルス発生器の近傍に配置されたときに、電磁誘導によって体外装置から充電されるように構成することができる。
【0025】
これらおよび他の実施形態において、神経調節部は、1つ以上の電池によって電力供給され得る。体外装置は、神経調節部を被験者の腕の中に移植する際に、アームバンドの一部として提供することができる。
【0026】
第1の血管内担体および第2の血管内担体のうちの少なくとも一方は、拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドに結合された電極アレイを含む拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドであり得る。例えば、第1の血管内担体および第2の血管内担体のうちの少なくとも一方は、自己拡張型ステントまたは自己拡張型血管内スキャフォールドであり得る。
【0027】
第1の血管内担体および第2の血管内担体のうちの少なくとも一方は、電極アレイを含む巻回またはコイル化されるように構成されたワイヤーまたはケーブルであり得、電極アレイは、ワイヤーまたはケーブルに結合される。ワイヤーまたはケーブルは、実質的に螺旋状に巻くことができる。いくつかの実施形態では、第1の血管内担体および第2の血管内担体のうちの少なくとも一方は、内腔または血管壁を貫通するための鋭利な遠位端を含むワイヤーまたはケーブルであり得る。さらに、第1の血管内担体および第2の血管内担体のうちの少なくとも一方は、アンカーを構成するワイヤーまたはケーブルであり得る。例えば、アンカーは、さかとげ付きアンカーおよび半径方向に拡張可能なアンカーのうちの少なくとも1つを使用することができる。
【0028】
神経調節部は、遠隔測定部をさらに備えることができる。遠隔測定部は、電気生理学的信号を1つ以上の信号閾値またはパターンと比較することによって、検知された電気生理学的信号を解析するように構成することができる。いくつかの実施形態では、電気生理学的信号は、被験者の脳内で測定された局所電位(LFP)および/または頭蓋内/皮質EEGとすることができる。これらの実施形態および他の実施形態において、電気生理学的信号は、皮質脳波信号であり得る。
【0029】
第1の血管内担体、第2の血管内担体、および/または伝送リードは、その一部を白金タングステン、金、アルミニウム、ニチノール・ワイヤー、ロジウム、イリジウム、ニッケル、ニッケル-クロム合金、金-パラジウム-ロジウム合金、クロム-ニッケル-モリブデン合金、および/またはステンレス鋼で形成可能である。
【0030】
また、てんかんを処置する別の方法も開示されている。本方法は、第1の電極アレイを使用して、被験者の電気生理学的信号を検知することを含み得る。第1の電極アレイは、被験者の頭蓋底よりも上方に移植された血管内担体に結合し得る。本方法は、第1の電極アレイに電気的に結合された神経調節部を使用して電気生理学的信号を解析することをさらに含み得る。本方法は、検知された電気生理学的信号に応答して、第2の電極アレイを使用して被験者の体内の目的の部位を刺激することをさらに含み得る。第2の電極アレイは、同じ血管内担体に結合され得る。
【0031】
さらに、第2の電極アレイの電極は、第1の電極アレイの電極とは別体のものである。いくつかの実施形態では、第1の電極アレイおよび第2の電極アレイは、異なるチャネルを介して神経調節部にデータを記録または送信することができる。
【0032】
体内の目的の部位を刺激することは、第2の電極アレイに電気的に結合されたパルス発生器を使用して電気的インパルスを発生させることをさらに含むことができる。パルス発生器は、被験者の体内に移植され得る。体内の目的の部位を刺激することは、第2の電極アレイに電気的に結合されたパルス発生器を使用して電気的インパルスを発生させることをさらに含み得る。電気的インパルスを発生させることは、電気的インパルスの電流振幅を0mAから最大10mAまで0.1mAずつ増加させることと、電気的インパルスの電圧を0Vから最大10Vまで0.25Vずつ増加させることとをさらに含み得る。さらに、電気的インパルスのパルス幅は、25μS乃至約600μSに設定し得る。またさらに、電気的インパルスの周波数は1Hz乃至400Hzに設定し得る。
【0033】
また、てんかんおよび/または他の症状や障害を処置するための別の血管内神経調節システムも開示されている。システムは、被験者の電気生理学的信号を検知するように構成された第1の電極アレイを備え得る。第1の電極アレイは、被験者の頭蓋底よりも上方に血管内留置されるように構成された血管内担体に結合され得る。システムは、被験者の体内の目的の部位を刺激するように構成された第2の電極アレイをさらに備え得る。第2の電極アレイは、同じ血管内担体に結合され得る。本システムは、第1の電極アレイおよび第2の電極アレイに電気的に結合された移植可能な神経調節部をさらに備え得る。
【0034】
神経調節部は、第1の電極アレイによって検知された電気生理学的信号を解析し、検知された電気生理学的信号に応答して体内の目的の部位を刺激するために第2の電極アレイに伝達する電気的インパルスをパルス発生器を介して生成するように構成され得る。
【0035】
体内の目的の部位は、被験者の迷走神経の一部であり得る。血管内担体は、被験者の頸静脈孔よりも上方の内頸静脈の一部内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、血管内担体は、内頸静脈の分枝または支流内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。血管内担体は、被験者の頭蓋底よりも上方の内頸動脈の一部内にも移植され得るか、または移植されるように構成され得る
【0036】
いくつかの実施形態では、体内の目的の部位は、被験者の小脳であり得る。これらの実施形態において、血管内担体は、被験者のS字状静脈洞、横静脈洞、および直静脈洞のうちの少なくとも1つの中に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0037】
他の実施形態では、体内の目的の部位は、被験者の運動皮質とし得る。これらの実施形態において、血管内担体は、上矢状静脈洞、下矢状静脈洞、中央溝静脈、後中央溝静脈、および前中央溝静脈のうちの少なくとも1つの中に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0038】
また、血管内担体は、浅大脳静脈内に移植され得る。例えば、血管内担体は、ラベ静脈、トロラード静脈、シルビウス静脈、およびローランディック静脈のうちの少なくとも1つの中に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0039】
血管内担体は、深大脳静脈内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。例えば、血管内担体は、ローゼンタール静脈、ガレン静脈、上視床線条体静脈、および内大脳静脈のうちの少なくとも1つの中に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0040】
また、神経調節部は、被験者の体内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。例えば、神経調節部は、被験者の前腕内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。これに代えて、神経調節部は、被験者の胸部内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。また、神経調節部は、被験者の腋窩内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0041】
第1の電極アレイは、第1のリード直径を有する第1の伝送リードを介して神経調節部に電気的に結合され得る。第1の伝送リードは、被験者の首部を通して延び得る。第1のリード直径は、約0.5mm乃至1.5mmとし得る。第2の電極アレイは、第2のリード直径を有する第2の伝送リードを介して神経調節部に電気的に結合され得る。第2の伝送リードは、被験者の首部を通して延び得る。第2のリード直径は、約0.5mm乃至1.5mmとし得る。
【0042】
他の実施形態では、第1の電極アレイおよび第2の電極アレイは、リード直径を有する1本の伝送リードを介して神経調節部に結合され得る。1本の伝送リードは、被験者の首部を通って延び得る。これらの実施形態において、リード直径は、約0.5mm乃至1.5mmとし得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、パルス発生器は、神経調節部の一部とし得る。パルス発生器は、体外装置から電力を供給して作動させ得る。例えば、パルス発生器は、第1の磁気構成要素を含むことができ、体外装置は、第1の磁気構成要素に磁気的に結合されるように構成された第2の磁気構成要素を含むことができる。パルス発生器は、体外装置がパルス発生器の近傍に配置されたときに、電磁誘導によって体外装置から充電されるように構成することができる。
【0044】
これらおよび他の実施形態において、神経調節部は、1つ以上の電池によって電力供給され得る。体外装置は、神経調節部を被験者の腕の中に移植する際に、アームバンドの一部として提供することができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、血管内担体は、電極アレイを含む拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドであり得、電極アレイは、拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドに結合される。例えば、血管内担体は、自己拡張型ステントまたは自己拡張型血管内スキャフォールドであり得る。
【0046】
他の実施形態では、血管内担体は、電極アレイを含む巻回またはコイル化されるように構成されたワイヤーまたはケーブルであり得、電極アレイはワイヤーまたはケーブルに結合される。ワイヤーまたはケーブルは、実質的に螺旋状に巻くことができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、血管内担体は、内腔または血管壁を貫通するための鋭利な遠位端を含むワイヤーまたはケーブルであり得る。さらに、血管内担体は、アンカーを構成するワイヤーまたはケーブルであり得る。例えば、アンカーは、さかとげ付きアンカーおよび半径方向に拡張可能なアンカーのうちの少なくとも1つを使用することができる。
【0048】
神経調節部は、遠隔測定部をさらに備えることができる。遠隔測定部は、電気生理学的信号を1つ以上の信号閾値またはパターンと比較することによって、検知された電気生理学的信号を解析するように構成することができる。いくつかの実施形態では、電気生理学的信号は、被験者の脳内で測定された局所電位(LFP)および/または頭蓋内/皮質EEGとすることができる。これらの実施形態および他の実施形態において、電気生理学的信号は、皮質脳波信号であり得る。
【0049】
血管内担体および/または伝送リード(複数可)は、その一部を白金タングステン、金、アルミニウム、ニチノール・ワイヤー、ロジウム、イリジウム、ニッケル、ニッケル-クロム合金、金-パラジウム-ロジウム合金、クロム-ニッケル-モリブデン合金、および/またはステンレス鋼で形成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、てんかんやその他の疾患/病態を処置するための一実施形態による血管内神経調節システムを示す図である。
図2A図2A乃至2Dは、様々な実施形態による血管内担体を示す図である。
図2B図2A乃至2Dは、様々な実施形態による血管内担体を示す図である。
図2C図2A乃至2Dは、様々な実施形態による血管内担体を示す図である。
図2D図2A乃至2Dは、様々な実施形態による血管内担体を示す図である。
図3A図3Aは、神経調節システムの構成要素の移植可能な部位を示す図である。
図3B図3Bは、被験者の腕の中に埋め込まれた神経調節部を示す図である。
図4A図4A乃至4Cは、電極アレイを別の電極アレイに、または神経調節部に接続するために使用される一実施形態による伝送リードを示す図である。
図4B図4A乃至4Cは、電極アレイを別の電極アレイに、または神経調節部に接続するために使用される一実施形態による伝送リードを示す図である。
図4C図4A乃至4Cは、電極アレイを別の電極アレイに、または神経調節部に接続するために使用される一実施形態による伝送リードを示す図である。
図5A図5A乃至5Cは、一実施形態による電極アレイを移植する方法の一例を示す図である。
図5B図5A乃至5Cは、一実施形態による電極アレイを移植する方法の一例を示す図である。
図5C図5A乃至5Cは、一実施形態による電極アレイを移植する方法の一例を示す図である。
図6図6は、一実施形態によるてんかんを処置する方法を示す図である。
図7図7は、別例によるてんかんを処置する方法を示す図である。
図8A図8Aは、被験者の内頸静脈内に移植された一実施形態による血管内担体を示す図である。
図8B図8Bは、迷走神経およびその周囲の血管を示す、C6椎骨レベルの被験者の横断面を示す部分断面図である。
図8C図8Cは、迷走神経への内頸静脈の付近を示す図である。
図9A図9A乃至9Gは、血管内担体の移植部位となり得る特定の静脈および洞を示す図である。
図9B図9A乃至9Gは、血管内担体の移植部位となり得る特定の静脈および洞を示す図である。
図9C図9A乃至9Gは、血管内担体の移植部位となり得る特定の静脈および洞を示す図である。
図9D図9A乃至9Gは、血管内担体の移植部位となり得る特定の静脈および洞を示す図である。
図9E図9A乃至9Gは、血管内担体の移植部位となり得る特定の静脈および洞を示す図である。
図9F図9A乃至9Gは、血管内担体の移植部位となり得る特定の静脈および洞を示す図である。
図9G図9A乃至9Gは、血管内担体の移植部位となり得る特定の静脈および洞を示す図である。
図10図10は、一実施形態による血管内担体の配備または送達方法を示す図である。
図11図11は、別例による血管内担体の配備または送達方法を示す図である。
図12図12は、さらなる別例による血管内担体の配備または送達方法を示す図である。
図13図13は、分岐型伝送リードを構成する一実施形態による送達カテーテルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図示および説明した図面は、例示的な実施形態であり、非限定的なものである。同様の参照符号は、全体的に同一または機能的に同等の要素を示している。
【0052】
図1は、てんかんやその他の疾患/病態を処置するための一実施形態による血管内神経調節システム100を示す図である。神経調節システム100は、伝送リード106またはワイヤーを介して神経調節部104に電気的に結合された複数の電極アレイ102から構成され得る。例えば、神経調節システム100は、神経調節部104に電気的に結合された第1の電極アレイ102Aおよび第2の電極アレイ102Bから構成され得る。
【0053】
電極アレイ102の各々は、血管内担体108に結合され得る。例えば、第1の電極アレイ102Aは、被験者の体内に血管内留置されるように構成された第1の血管内担体108Aに結合され得る。第2の電極アレイ102Bは、被験者の体内に血管内留置されるように構成された第2の血管内担体108Bに結合され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1の血管内担体108Aおよび第2の血管内担体108Bは、被験者の異なる血管(例えば、異なる静脈、動脈、または洞)内に移植され得る。他の実施形態では、第1の血管内担体108Aおよび第2の血管内担体108Bは、同じ血管内または同じ血管の異なる部位内に移植され得る。
【0055】
特定の実施形態では、第1の電極アレイ102Aは、被験者の電気生理学的信号を検知または記録するように構成することができ、第2の電極アレイ102Bは、被験者の体内の目的の部位(例えば、目的の神経、目的の脳領域若しくは部位、または他の目的の組織)を刺激するように構成することができる。これらの実施形態において、神経調節部104は、第1の電極アレイ102Aによって検知または記録された電気生理学的信号を解析し、検知または記録された電気生理学的信号に応答してパルス発生器110を介して第2の電極アレイ102Bに電気的インパルスを送信するように構成することができる。
【0056】
他の実施形態では、第1の電極アレイ102Aおよび第2の電極アレイ102Bの両者は、被験者の電気生理学的信号を検知または記録するように構成され得る。追加の実施形態では、第1の電極アレイ102Aおよび第2の電極アレイ102Bの両者は、被験者の1つ以上の体内の目的の部位を刺激するように構成され得る。1つ以上の体内の目的の部位については、後のセクションに詳述する。
【0057】
第1の電極アレイ102Aは、第1の血管内担体108Aに結合された複数の電極112から構成され得る。例えば、第1の電極アレイ102Aは、2乃至16個の電極で構成され得る。他の実施形態では、第1の電極アレイ102Aは、16乃至20個の電極、または20個を超える電極で構成され得る。
【0058】
第2の電極アレイ102Bは、第2の血管内担体108Bに結合された複数の電極112から構成され得る。例えば、第2の電極アレイ102Bは、2乃至16個の電極で構成され得る。他の実施形態では、第2の電極アレイ102Bは、16乃至20個の電極、または20個を超える電極で構成され得る。
【0059】
電極アレイ102(例えば、第1の電極アレイ102Aまたは第2の電極アレイ102Bのいずれか)が、被験者の電気生理学的信号を検知または記録するために使用される場合に、電極アレイは、記録電極アレイと呼ばれ得る。さらに、電極アレイ(例えば、第1の電極アレイ102Aまたは第2の電極アレイ102Bのいずれか)が、被験者の体内の目的の部位を刺激するために使用される場合に、電極アレイは、刺激電極アレイと呼ばれ得る。
【0060】
いくつかの実施形態(例えば、図1に示す実施形態)において、第1の血管内担体108Aおよび第2の血管内担体108Bは、拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドとすることができる。血管内担体と、そのような担体に結合された電極アレイとは、ステント-電極アレイ109と呼ぶことができる。ステント‐電極アレイ109については、後のセクションで詳述する。
【0061】
他の実施形態では、第1の血管内担体108Aおよび第2の血管内担体108Bのうちの少なくとも一方は、生体適合性を備えたコイル状ワイヤー200(例えば、図2A参照)、生体適合性を備えたアンカー付きワイヤー208(例えば、図2C参照)、またはそれらの組合せであり得る。
【0062】
特定の実施形態では、第1の血管内担体108Aは、第2の血管内担体108Bと同じであり得る(例えば、第1の血管内担体108Aおよび第2の血管内担体108Bの両者は、ステント-電極アレイ109、コイル状ワイヤー200、またはアンカー付きワイヤー208であり得る)。他の実施形態では、第1の血管内担体108Aは、第2の血管内担体108Bと異なってもよい(例えば、第1の血管内担体108Aは、ステント-電極アレイ109であり得、第2の血管内担体108Bは、コイル状ワイヤー200であり得る)。
【0063】
図1は、2つの電極アレイ102および2つの血管内担体108からなる神経調節システム100を示しているが、神経調節システム100が3乃至5つの電極アレイ102および血管内担体108から構成され得ることが本開示によって企図される。追加の実施形態において、神経調節システム100は、5乃至10個の電極アレイ102および血管内担体108から構成され得る。
【0064】
神経調節部104は、被験者の体内に移植されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、神経調節部104は、被験者の前腕内に移植されるように構成され得る(例えば、図3Bを参照)。他の実施形態では、神経調節部104は、被験者の胸部部位内に移植されるように構成され得る(例えば、図3Aを参照されたい)。また、神経調節部104は、被験者の腋窩部位内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0065】
第1の電極アレイ102Aおよび第2の電極アレイ102Bの各々は、1本以上の伝送リード106またはリード線を介して神経調節部104に結合され得る。いくつかの実施形態では、伝送リード106は、神経調節部104のヘッダー部114に挿入されるか、あるいは結合され得る。
【0066】
ヘッダー部114は、異なる電極アレイから来るリードまたはプラグのために、異なるプラグ受承体から構成され得る。例えば、ヘッダー部114は、記録電極アレイとして機能する第1の電極アレイ102Aに接続または結合された第1の伝送リード106Aからプラグまたはコネクターを受承するための0.9mmプラグ受承体と、刺激電極アレイとして機能する第2の電極アレイ102Bに接続または結合された第2の伝送リード106Bからプラグまたはコネクターを受承するための1.3mmプラグ受承体とから構成され得る。
【0067】
神経調節部104は、ユニットハウジング116から構成され得る。ユニットハウジング116は、神経調節部104内の電子部品がユニットハウジング116によって封入されるような密閉されたハウジングまたは筐体であり得る。ユニットハウジング116は、生体適合性を備えた材料から形成可能である。例えば、ユニットハウジング116は、その一部を金属材料(例えば、チタン、ステンレス鋼、プラチナ、またはそれらの組み合わせ)、高分子材料、またはそれらの組み合わせから形成可能である。
【0068】
いくつかの実施形態では、パルス発生器110は、神経調節部104の一部であり得るか、またはユニットハウジング116内に含まれ得る。いくつかの実施形態では、移植可能な神経調節部104は、1つ以上の電池(例えば、充電式または非充電式の電池)を備えることができる。特定の実施形態では、神経調節部104の電池は、無線誘導充電を介して再充電することができる。
【0069】
他の実施形態では、神経調節部104は、体外装置300(例えば、図3Aを参照)によって電力供給および/または作動させることができる。神経調節部104は、第1の磁気構成要素118を備えることができ、体外装置300は、第1の磁気構成要素118に磁気的に結合されるように構成された第2の磁気構成要素302(例えば、図3Aを参照)を備えることができる。パルス発生器110を含む神経調節部104は、神経調節部104の移植部位に体外装置300を近づけるなどして体外装置300を神経調節部104近傍に配置すると、体外装置300によって電磁誘導を介して充電されるか、体外装置300によって作動するように構成され得る。神経調節部104およびパルス発生器110が同じ装置であるこれらの実施形態では、神経調節部104への任意の参照は、パルス発生器110も参照可能である。
【0070】
他の実施形態では、パルス発生器110は、神経調節部104とは個別のデバイスまたは装置とすることができる。これらの実施形態において、パルス発生器110は、被験者の体内に移植することができ、神経調節部104は、被験者の体外に配置され作動する体外ユニットとすることができる。これらの実施形態において、神経調節部104は、体外装置300として機能し、第1の電極アレイ102A、第2の電極アレイ102B、またはそれらの組み合わせから無線でまたは物理的リードを介して受信したデータを処理することが可能である。
【0071】
さらなる実施形態において、移植可能なパルス発生器110は、1つ以上の電池(例えば、充電式または非充電式の電池)を備えることができる。特定の実施形態では、パルス発生器110の電池は、無線誘導充電を介して再充電することができる。
【0072】
パルス発生器110が被験者の体内に移植された個別の装置である場合(例えば、前腕、胸部部位、腋窩部位などに移植された)、パルス発生器110は、体外装置300(例えば、図3参照)によって電力供給および作動されることが可能である。いくつかの実施形態では、パルス発生器110は、第1の磁気構成要素118を含むことができ、体外装置300は、第1の磁気構成要素118に磁気的に結合されるように構成された第2の磁気構成要素302を含むことができる。パルス発生器110は、パルス発生器110の移植部位に体外装置300を近付けるなどして、体外装置300がパルス発生器110の近傍に配置されると、電磁誘導により体外装置300によって充電されるように構成され得る。
【0073】
神経調節部104は、遠隔測定部120または遠隔測定モジュール(例えば、遠隔測定ハードウェアモジュール、遠隔測定ソフトウェアモジュール、またはそれらの組み合わせ)をさらに含むことができる。遠隔測定部120は、電気生理学的信号を1つ以上の予め定められた信号閾値またはパターンと比較することによって、電極アレイによって検知または記録された電気生理学的信号を解析するように構成することができる。例えば、神経調節部104(または神経調節部104内の遠隔測定部120)は、1つ以上のプロセッサおよび1つ以上のメモリユニットから構成され得る。1つ以上のプロセッサは、1つ以上のメモリユニットに格納された命令を実行し、解析の一部として電気生理学的信号を1つ以上の予め定められた信号閾値またはパターンと比較するようにプログラムすることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、電気生理学的信号は、被験者の体内において血管内に移植された電極アレイ(例えば、第1の電極アレイ102A、第2の電極アレイ102B、またはそれらの組み合わせ)のうちのいずれかを使用して被験者の脳内で測定された局所電界電位(LFP)および/または頭蓋内/皮質EEGとすることができる。他の実施形態では、電気生理学的信号は、頭蓋内または皮質脳波(EEG)信号とすることができる。
【0075】
他の実施形態では、電気生理学的信号は、脳の表面上に展開されたECoG電極アレイから遠隔測定部120によって受信された皮質脳波(ECoG)信号とすることができる。例えば、ECoG電極アレイは、可撓性または伸縮性を備えた電極メッシュ、または脳の表面上に配置された1つ以上の電極パッチとすることができる。
【0076】
さらなる実施形態では、電気生理学的信号は、被験者の心拍数または心拍数の変化を示す信号とすることができる。例えば、電気生理学的信号は、神経調節部104が被験者の胸部内に移植されたとき、または鎖骨下腔内に移植されたときに神経調節部104によって測定される心電図(ECG/EKG)信号とすることができる。
【0077】
特定の実施形態では、電気生理学的信号は、被験者の頭皮上に配置された複数の外部電極(外部電極アレイ)から遠隔測定部120によって受信されるEEG信号とすることができる。例えば、EEG信号は、頭部に装着された脳波モニタリングシステム(例えば、脳波スカルキャップやEEGバイザー)から得ることができる。これらの実施形態では、EEG電極は、記録または検知電極アレイとして機能することができる。
【0078】
電気生理学的信号は、被験者にてんかん発作が起きようとしているかどうかを予測または表示するために使用可能な情報またはデータを提供することができる。例えば、電気生理学的信号がEEG信号である場合、神経調節部104は、EEG信号においててんかん様過渡現象または他の発作前発生サインが検知されると、パルス発生器110に電気的インパルスを発生するように命令することができる。
【0079】
神経調節部104(または遠隔測定部120)は、1つ以上の信号閾値を調整または変化させることができる。さらに、神経調節部104は、異なる信号閾値から選択することもできる。例えば、神経調節部104は、信号閾値が満たされた(または満たされなかった)後に、被験者に発作が起きる頻度に基づいて、信号閾値を上げたり下げたりすることができる。
【0080】
神経調節システム100は、てんかん発作の発症に関連付けられるまたは相関する検知された電気生理学的信号に応答して体内の目的の部位を刺激する場合に、閉ループモードで作動すると考えられ、または「応答性神経刺激」を行うと考えられる。いくつかの実施形態では、システム100は、検知または記録された電気生理学的信号を低リスク、中リスク、または高リスクに分類または層別し、信号が中リスクまたは高リスクとみなされる場合にのみ電気的インパルスを発生させることもできる。
【0081】
神経調節部104は、電極アレイのうちの少なくとも1つ(例えば、第1の電極アレイ102A、第2の電極アレイ102B、またはそれらの組み合わせのうちのいずれか)によって検知または記録された電気生理学的信号を解析し、検知または記録された電気生理学的信号に応答して、パルス発生器110を介して同じ電極アレイまたは別の電極アレイに電気的インパルスを送信するように構成することができる。
【0082】
電気的インパルスは、二相性、単相性、正弦波、またはそれらの組み合わせとすることができる。パルス発生器110は、電気的インパルスの電流振幅を0mAから最大10mAまで0.1mAずつ増加させることと、電気的インパルスの電圧を0Vから最大10Vまで0.25Vずつ増加させることとによって、電気的インパルスを生成することができる。発生する電気的インパルスは、25μS乃至約600μSのパルス幅を有することができる。また、電気的インパルスのタイミング・パラメータを調整することで、異なる刺激タイミング・パターンを可能にすることができる。
【0083】
発生する電気的インパルスは1Hz乃至400Hzの周波数を有することができる。例えば、電気的インパルスの周波数は、低周波(約1Hz乃至10Hz)、中周波(約10Hz乃至150Hz)、高周波(約150Hz乃至400Hz)に設定することができる。体内の目的の部位(迷走神経など)を刺激することで、脳の主要部位への血流を増加させ、発作活動の抑制に関与する特定の神経伝達物質(例、ガンマアミノ酪酸(GABA)などの抑制性神経伝達物質)の濃度を上昇させることができる。
【0084】
他の実施形態では、神経調節システム100は、予め設定されたスケジュールに基づいて、電極アレイを介して体内の目的の部位を間欠的または周期的に刺激するような開ループモードまたは形態で作動することができる。
【0085】
図2A乃至2Dは、電極アレイ102を担持し、電極アレイ102を被験者の血管系内の移植部位に固定するために使用することができる血管内担体108の他の様々な実施形態を例示している。
【0086】
先に図1に示したように、血管内担体108は、拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドに結合された電極アレイ102を含む拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドとすることができる。拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドは、チューブ状の構造体に編まれた複数のフィラメントから構成することができる。
【0087】
いくつかの実施形態において、ステントまたはスキャフォールドは、自己拡張可能であるように構成される。例えば、ステントまたはスキャフォールドは、被験者の血管系内に配備されたときに、潰れたまたは折り畳まれた形態から拡張した形態に自己拡張することができる。例えば、ステントまたはスキャフォールドは、特定の静脈、動脈、または他の血管に適合するように予め設定された形状や直径に自己拡張することができる。他の実施形態では、ステントまたはスキャフォールドは、バルーン・カテーテルによって拡張され得る。
【0088】
電極アレイ102の電極112は、拡張可能なステントまたはスキャフォールドの外部境界または半径方向外側の部分に貼付、固定、または他の方法で結合され得る。例えば、電極アレイ102の電極112は、拡張可能なステントまたはスキャフォールドの外部境界または半径方向外側の部分(すなわち、血管内腔と接触するように構成されたステントまたはスキャフォールドの部分)を構成するフィラメントに沿って配置され得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドのフィラメントは、一部が形状記憶合金で形成され得る。例えば、拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドのフィラメントの一部をニチノールで形成することができる(例えば、ニチノール・ワイヤー)。また、拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドのフィラメントの一部を、ステンレス鋼、金、白金、ニッケル、チタン、タングステン、アルミニウム、ニッケル-クロム合金、金-パラジウム-ロジウム合金、クロム-ニッケル-モリブデン合金、イリジウム、ロジウムまたはこれらの組み合わせで形成することが可能である。また、拡張型ステントまたは血管内スキャフォールドのフィラメントの一部を形状記憶ポリマーで形成することもできる。
【0090】
血管内担体108が電極アレイ102を担持する拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドである場合に、担体およびアレイ・アセンブリ全体はステント-電極アレイ109と呼ぶことができる。
【0091】
本明細書に開示されるステント‐電極アレイ109は、米国特許出願公開第2014/0288667号明細書、米国特許出願公開第2020/0078195号明細書、米国特許出願公開第2019/0336748号明細書、米国特許出願公開第2020/0016396号明細書、米国特許第10,575,783号明細書、米国特許第10,485,968号明細書、米国特許第10,729,530号明細書、米国特許第10,512,555号明細書、2019年6月28日に出願された米国特許出願第16/457,493号明細書、2019年10月29日に出願された米国特許出願第62/927,574号明細書、2019年11月8日に出願された米国特許出願第62/932,906号明細書、2019年11月8日に出願された米国特許出願第62/932,935号明細書、2019年11月15日に出願された米国特許出願第62/935,901号明細書、2019年11月27日に出願された米国特許出願第62/941,317号明細書、2019年12月19日に出願された米国特許出願第62/950,629号明細書、2020年4月1日に出願された米国特許出願第63/003,480号明細書、2020年7月28日に出願された米国特許出願第63/057,379号明細書に開示されるステント、スキャフォールド、ステント電極、またはステント電極アレイのいずれであってもよく、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に開示されたものとする。
【0092】
図2Aは、コイル状ワイヤー200としての別例による血管内担体108を示す図である。コイル状ワイヤー200は、ステント‐電極アレイ109を収容するには小さすぎる血管に使用することができる。
【0093】
コイル状ワイヤー200は、それ自体をコイル状パターンまたは実質的に螺旋状パターンに巻き取るように構成された生体適合性を備えたワイヤー202またはマイクロワイヤーとすることができる。電極アレイ102の電極112は、コイル状ワイヤー200の長さに沿って点在させることができる。より具体的には、電極アレイ102の電極112は、コイル状ワイヤー200の長さに沿った明確な点に貼付、固定、または他の方法で結合され得る。電極アレイ102の電極112は、2つの電極112が互いに予め定められた分離距離(例えば、少なくとも10μm、少なくとも100μm、または少なくとも1.0mm)内にないように、互いに分離することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、ワイヤー202またはマイクロワイヤーは、ワイヤー202またはマイクロワイヤーが送達カテーテルから展開されるときに、それ自体をコイル状形態(例えば、螺旋状パターン)に自動的に巻き取るように構成され得る。例えば、コイル状ワイヤー200は、送達カテーテルまたはシースが格納されるときに、形状記憶によりそのコイル状の形態に自動的になることができる。コイル状の形態または形状は、ワイヤー202またはマイクロワイヤーが送達カテーテルに導入されるに先だって、ワイヤー202またはマイクロワイヤーの予め設定された形状または形状記憶形状とすることができる。予め設定または予め仕立てられた形状は、コイルによって発揮される半径方向の力によりコイル状ワイヤー200を展開血管または移植血管内の所定の位置に固定または位置決めできるように、予想される展開または移植血管の直径よりも大きくすることができる。
【0095】
他の実施形態では、コイル状ワイヤー200は、ワイヤー202またはマイクロワイヤーをコイル状形態に強制的にまたは他の方法で付勢するために、押圧力がワイヤー202またはマイクロワイヤーに加えられたときに、コイル状形態を達成することができる。
【0096】
図2Aに示すように、コイル状ワイヤー200は、ワイヤー直径204およびコイル直径206を有することができる。ワイヤー直径204は、血管内担体108を形成するために使用される下地ワイヤー202またはマイクロワイヤーの直径とすることができる。いくつかの実施形態では、ワイヤー直径204は、約25μm乃至約1.0mmとすることができる。他の実施形態では、ワイヤー直径204は、約100μm乃至約500μmとすることができる。
【0097】
コイル直径206は、1.0mm乃至15.0mmとすることができる。より具体的には、コイル直径206は、約3.0mm乃至約8.0mm(例えば、約6.0mmまたは約7.0mm)とすることができる。いくつかの実施形態では、コイル直径206は、15.0mm乃至約25.0mmとすることができる。コイル直径206は、目的の血管や展開血管の直径に基づいて設定することができる。
【0098】
ワイヤー202またはマイクロワイヤーは、その一部を形状記憶合金、形状記憶ポリマー、またはそれらの組み合わせにより形成することができる。例えば、ワイヤー202やマイクロワイヤーは、その一部をニチノール製(例えば、ニチノール・ワイヤー)とすることができる。また、ワイヤー202またはマイクロワイヤーを、ステンレス鋼、金、白金、ニッケル、チタン、タングステン、アルミニウム、ニッケル-クロム合金、金-パラジウム-ロジウム合金、クロム-ニッケル-モリブデン合金、イリジウム、ロジウムまたはこれらの組み合わせで形成することが可能である。
【0099】
図2Bは、第1の電極アレイ102Aが第1のコイル状ワイヤー200Aによって担持され、第2の電極アレイ102Bが第1のコイル状ワイヤー200Aに接続された第2のコイル状ワイヤー200Bによって担持され得ることを例示している。本実施形態では、第1のコイル状ワイヤー200Aは、第1の血管内担体108Aとして機能し、第2のコイル状ワイヤー200Bは、第2の血管内担体108Bとして機能することができる。第1のコイル状ワイヤー200Aおよび第2のコイル状ワイヤー200Bの各々は、先に説明したコイル状ワイヤー200(図2A参照)と同様のものを用いることができる。
【0100】
第1のコイル状ワイヤー200Aは、ワイヤー202またはマイクロワイヤーの非コイル状セグメントによって第2のコイル状ワイヤー200Bに接続され得る。例えば、第1のコイル状ワイヤー200Aは、第1のコイル状ワイヤー200Aおよび第2のコイル状ワイヤー200Bを形成するために使用されたものと同じワイヤー202またはマイクロワイヤーの非コイル状区分によって、第2のコイル状ワイヤー200Bに接続され得る。
【0101】
後のセクションでより詳細に説明するように、第1の血管内担体108Aとして機能する第1のコイル状ワイヤー200Aおよび第2の血管内担体108Bとして機能する第2のコイル状ワイヤー200Bは、同じ血管の異なる区分に沿って移植することができ、または異なる血管の中に移植することができる。
【0102】
いくつかの実施形態において、第1のコイル状ワイヤー200Aによって担持される第1の電極アレイ102Aは、記録電極アレイとして機能し得、第2のコイル状ワイヤー200Bによって担持される第2の電極アレイ102Bは、刺激電極アレイとして機能し得る。他の実施形態では、第1のコイル状ワイヤー200Aによって担持される第1の電極アレイ102Aおよび第2のコイル状ワイヤー200Bによって担持される第2の電極アレイ102Bの両者が、記録電極アレイおよび刺激電極アレイのうちの少なくともいずれか一方として機能することができる。
【0103】
図2Cは、アンカー付きワイヤー208としてのさらなる実施形態による血管内担体108を示す図である。アンカー付きワイヤー208は、コイル状ワイヤー200またはステント-電極アレイ109のいずれかを収容するには小さすぎるかまたは蛇行しすぎている血管に使用することができる。
【0104】
アンカー付きワイヤー208は、アンカーまたは別のタイプの血管内固定機構に取り付けられ、または別の方法で結合された生体適合性を備えたワイヤー202またはマイクロワイヤーから構成され得る。
【0105】
図2Cは、アンカー付きワイヤー208が、さかとげ付きアンカー210、半径方向に拡張可能なアンカー212、またはそれらの組み合わせからなり得ることを示す(さかとげ付きアンカー210および半径方向に拡張可能なアンカー212の両者は、図2Cにおいて破線または点線で示されている)。
【0106】
いくつかの実施形態において、さかとげ付きアンカー210は、アンカー付きワイヤー208の遠位端に位置決めされ得る。他の実施形態では、さかとげ付きアンカー210は、ワイヤー202またはマイクロワイヤーの1つ以上の側面に沿って位置決めされ得る。さかとげ付きアンカー210のさかとげは、アンカー付きワイヤー208を被験者の体内の移植部位に固定または係留することができる。
【0107】
半径方向に拡張可能なアンカー212は、コイルまたはループとして形作られたワイヤー202またはマイクロワイヤーの区分とすることができる。コイルまたはループは、コイルまたはループが血管内腔に適合し、血管内の移植部位にアンカー付きワイヤー208を固定するために内腔壁に対して拡張することができるようにサイズ設定され得る。例えば、コイルまたはループは、コイルまたはループによって加えられる半径方向の力が、アンカー付きワイヤー208を展開または移植血管内の所定の位置に固定または位置決めできるように、予想される展開または移植血管の直径よりも大きいサイズに設定することができる。
【0108】
いくつかの実施形態において、半径方向に拡張可能なアンカー212は、アンカー付きワイヤー208の遠位端に位置決めされ得る。他の実施形態では、半径方向に拡張可能なアンカー212は、アンカー付きワイヤー208の遠位端の近位側の区分に沿って配置され得る。
【0109】
電極アレイ102の電極112は、コイル状ワイヤー200の長さに沿って点在させることができる。より具体的には、電極アレイ102の電極112は、アンカー付きワイヤー208の長さに沿った明確な点に貼付、固定、または他の方法で結合され得る。電極アレイ102の電極112は、2つの電極112が互いに予め定められた分離距離(例えば、少なくとも10μm、少なくとも100μm、または少なくとも1.0mm)内にないように、互いに分離することができる。
【0110】
図2Cは、1つのさかとげ付きアンカー210および1つの半径方向に拡張可能なアンカー212のみを有するアンカー付きワイヤー208を図示しているが、アンカー付きワイヤー208が複数のさかとげ付きアンカー210および/または複数の半径方向に拡張可能なアンカー212からなり得ることは、本開示によって企図される。
【0111】
図2Dは、異なる電極アレイ102(例えば、第1の電極アレイ102Aおよび第2の電極アレイ102B)を担持する一実施形態による血管内担体214を示す図である。図2Dに示すように、血管内担体214は、先に説明したステント-電極アレイ109とすることができる。
【0112】
この実施形態では、2つの電極アレイ102が、同じ拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドに結合され得る。他の実施形態では、3つ以上の電極アレイ102が、同じ拡張可能なステントまたは血管内スキャフォールドに結合され得る。
【0113】
図2Dでは、第1の電極アレイ102Aの電極112を黒丸を用いて、第2の電極アレイ102Bの電極112を白丸を用いて図示したが、色の違いは図示を容易にするためのみであることは、当業者であれば理解されるはずである。
【0114】
第1の電極アレイ102Aの電極112は、専用の記録電極または検知電極として使用することができ、第2の電極アレイ102Bの電極112は、専用の刺激電極として使用することができる。このように、記録電極アレイおよび刺激電極アレイの両者を展開するための血管内担体は1つのみで済む。さらに、本実施形態では、第1の電極アレイ102Aの電極112は、第2の電極アレイ102Bの電極112のものとは異なるデータチャネルまたは通信チャネルを介して記録および通信を行うことができる。
【0115】
図2Dは、血管内担体214を拡張可能なステントまたはスキャフォールドとして図示しているが、コイル状ワイヤー200およびアンカー付きワイヤー208を含む、本明細書に開示された血管内担体のいずれかが、少なくとも2種類の電極アレイ102を担持するための血管内担体として使用できることは、本開示によって企図されるものである。
【0116】
図2A乃至2Dに描かれた電極アレイ102の電極112は、その一部を白金、白金黒、別の貴金属、またはそれらの合金もしくは複合体から形成可能である。例えば、電極アレイ102の電極112は、金、イリジウム、パラジウム、金-パラジウム-ロジウム合金、ロジウム、またはこれらの組み合わせから形成可能である。いくつかの実施形態では、電極112は、高い電荷注入容量を有する金属複合体(例えば、白金-イリジウム合金または複合体)から形成可能である。
【0117】
いくつかの実施形態では、電極112は、約100μm乃至1.0mmのディスク直径を有する円形ディスクとして形成され得る。他の実施形態では、電極112は、1.0mm乃至1.5mmのディスク直径を有し得る。追加の実施形態において、電極112は、円筒形、球形、カフ形、リング形、部分的にリング形(例えば、C字状)、または半円筒形とすることができる。
【0118】
電極112は、化学的または電気化学的粗面化法による表面粗面化、またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)などの導電性高分子コーティングによるコーティングによって電極112の表面積を増大させることによって導電性を高めることが可能である。
【0119】
図3Aは、神経調節部104と、電極アレイ102を担持する血管内担体108とが、被験者の体内に移植され得ることを示す図である。いくつかの実施形態では、神経調節部104は、1つ以上の充電式電池などの携帯用電源によって電力供給され得る。これらの実施形態および他の実施形態において、神経調節部104の電池は、電磁誘導を介して体外装置300によって充電され得る。いくつかの実施形態では、体外装置300が神経調節部104の近傍に配置されたとき(例えば、神経調節部104の移植部位の隣に掲げられたとき)に、体外装置300によって神経調節部104を作動させるか電力供給することも可能である。
【0120】
例えば、神経調節部104は、第1の磁気構成要素118(例えば、受信コイルまたは二次コイル)から構成可能であり、体外装置300は、第1の磁気構成要素118に磁気的に結合されるように構成された第2の磁気構成要素302(例えば、一次コイルまたは送信コイル)から構成可能である。体外装置300は、電磁誘導によって神経調節部104を充電または電力供給することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、パルス発生器110は、神経調節部104とは別体のスタンドアロン装置とすることができる。これらの実施形態では、パルス発生器110は、体外装置300内の第2の磁気構成要素302(例えば、一次コイルまたは送信コイル)に磁気的に結合されるように構成された第1の磁気構成要素118(例えば、受信コイルまたは二次コイル)から構成されることも可能である。これらの実施形態において、パルス発生器110は、電磁誘導を介して体外装置300によって充電または給電され得る。
【0122】
図3Aに示すように、血管内担体108のいずれかは、被験者の皮質血管または脳血管内に移植することができる。例えば、血管内担体108として機能するステント-電極アレイ109に結合された電極アレイ102は、被験者の静脈洞(例えば、上矢状静脈洞)内に移植され得る。ステント‐電極アレイ109は、それ自体の伝送リード106またはケーブルを介して神経調節部104に直接接続または結合され得る。他の実施形態では、ステント‐電極アレイ109は、共有伝送リード106またはケーブルを介して神経調節部104に結合され得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、静脈洞内に配備されたステント-電極アレイ109は、被験者の電気生理学的信号を検知または記録するために使用され得る(すなわち、記録電極アレイとして使用される)。他の実施形態では、静脈洞内に配備されたステント‐電極アレイ109は、被験者の体内の目的の部位(例えば、運動皮質)を刺激するために使用され得る。このようにして、静脈洞内に配備されたステント‐電極アレイ109は、刺激電極アレイとして使用することができる。さらなる実施形態では、静脈洞内に配備されたステント-電極アレイ109は、記録電極アレイおよび刺激電極アレイの両者として使用され得る(例えば、図2Dのステント-電極アレイを参照)。
【0124】
図3Aはまた、血管内担体108として機能するコイル状ワイヤー200に結合された電極アレイ102が、被験者の浅大脳静脈(例えば、トロラード静脈)内に移植され得ることを例示する。コイル状ワイヤー200は、それ自体の伝送リード106またはケーブルを介して神経調節部104に直接接続または結合され得る。他の実施形態では、コイル状ワイヤー200は、共有伝送リード106またはケーブルを介して神経調節部104に結合され得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、浅大脳静脈内に配備されたコイル状ワイヤー200は、被験者の電気生理学的信号を検知または記録するために使用することができる(すなわち、記録電極アレイとして使用される)。他の実施形態では、浅大脳静脈内に配備されたコイル状ワイヤー200は、被験者の体内の目的の部位(例えば、運動皮質)を刺激するために使用され得る。このように、浅大脳静脈内に配備されたコイル状ワイヤー200を刺激電極アレイとして使用することができる。さらなる実施形態では、浅大脳静脈内に配備されたコイル状ワイヤー200は、記録電極アレイおよび刺激電極アレイの両者として使用することができる。
【0126】
図3Aは、血管内担体108として機能するアンカー付きワイヤー208に結合された電極アレイ102が、被験者の深大脳静脈(例えば、上視床線条体静脈)内に移植され得ることをさらに例示している。アンカー付きワイヤー208は、それ自体の伝送リード106またはケーブルを介して神経調節部104に直接接続または結合され得る。他の実施形態では、アンカー付きワイヤー208は、共有伝送リード106またはケーブルを介して神経調節部104に結合され得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、深大脳静脈内に配備されたアンカー付きワイヤー208は、被験者の電気生理学的信号を検知または記録するために使用することができる(すなわち、記録電極アレイとして使用される)。他の実施形態では、深大脳静脈内に配備されたアンカー付きワイヤー208は、被験者の体内の目的の部位(例えば、前核視床)を刺激するために使用され得る。このように、深大脳静脈内に配備されたアンカー付きワイヤー208は、刺激電極アレイとして使用することができる。さらなる実施形態では、深大脳静脈内に配備されたアンカー付きワイヤー208は、記録電極アレイおよび刺激電極アレイの両者として使用することができる。
【0128】
図3Aはまた、血管内担体108として機能するステント-電極アレイ109に結合された電極アレイ102が、被験者の頸静脈孔よりも上方(または上)の内頸静脈内に移植され得ることをさらに例示する。いくつかの実施形態において、ステント-電極アレイ109全体は、頸静脈孔よりも上方の内頸静脈に移植され得る。
【0129】
いくつかの実施形態において、ステント-電極アレイ109の少なくとも一部は、頸静脈孔よりも上方の内頸静脈に移植され得る。頸静脈孔よりも上方にステント‐電極アレイ109を移植することについては、後のセクションで詳述する。
【0130】
いくつかの実施形態では、内頸静脈孔内に移植されたステント‐電極アレイ109は、被験者の体内の目的の部位(例えば、迷走神経の上神経節)を刺激するために使用され得る。このように、内頸静脈内に移植されたステント‐電極アレイ109を刺激電極アレイとして使用することができる。
【0131】
図3Aは、血管内担体108(例えば、コイル状ワイヤー200、ステント-電極アレイ109、またはアンカー付きワイヤー208)に結合された電極アレイ102が、被験者の心拍または心拍の変化(例えば、発作性頻脈)を示す電気生理学的信号を記録する記録電極アレイとして使用できることをさらに例示する。この心電信号は、てんかん発作の発症に関連付けられるか相関し得る。例えば、この電気生理学的信号は、てんかん発作の発症の可能性が高いことと関連付けられるか相関があることが周知である心臓の不整脈であり得る。
【0132】
図3Aに示すように、神経調節部104は、被験者の頭頸部よりも下方に移植することができる。例えば、図3Aに示すように、神経調節部104は、被験者の胸部部位内(例えば、大胸筋の下)に移植することができる。
【0133】
上述したように、いくつかの実施形態では、パルス発生器110は、神経調節部104の一部とすることができる。他の実施形態では、パルス発生器110は、神経調節部104とは別体のスタンドアロン装置とすることができる。これらの実施形態では、パルス発生器110は、被験者の胸部部位内(例えば、大胸筋の下)に移植され得る。
【0134】
図3Bは、神経調節部104が被験者の前腕内に移植され得ることを例示する。本実施形態において、神経調節システム100は、アームバンド308の形態の体外装置300から構成され得る。植え込み型神経調節部104は、第1の磁気構成要素118(例えば、受信コイルまたは二次コイル)から構成可能であり、アームバンド308は、第2の磁気構成要素302(例えば、一次コイルまたは送信コイル)から構成可能である。アームバンド308は、電磁誘導によって神経調節部104を充電または電力供給することができる。
【0135】
上述したように、いくつかの実施形態では、パルス発生器110は、神経調節部104とは別体のスタンドアロン装置とすることができる。これらの実施形態では、パルス発生器110は、被験者の前腕内に移植することができる。パルス発生器110は、第1の磁気構成要素118(例えば、受信コイルまたは二次コイル)から構成可能であり、体外装置300として機能するアームバンド308は、第2の磁気構成要素302(例えば、一次コイルまたは送信コイル)から構成可能である。アームバンド308は、電磁誘導によってパルス発生器110を充電または電力供給することができる。
【0136】
図3Aは、体外装置300が、携帯用ハンドヘルド装置304、ワンド306、またはウェアラブル装置308(例えば、ブレスレットまたは腕時計)としても実施可能であることをさらに例示する。体外装置300は、神経調節部104、パルス発生器110、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上の電池を再充電するために使用することができる。いくつかの実施形態では、体外装置300は、パルス発生器110を作動させて刺激電極アレイに電気的インパルスを送信するために使用することができる。
【0137】
図4A乃至4Cは、電極アレイ102を神経調節部104、パルス発生器110、またはそれらの組み合わせに接続するために使用される一実施形態による伝送リード106を例示している。例えば、伝送リード106は、第1の電極アレイ102Aまたは第2の電極アレイ102Bを、神経調節部104、パルス発生器110、またはそれらの組み合わせに接続するために使用することができる。
【0138】
図4A乃至4Cに示すように、伝送リード106は、血管内担体108と伝送部402との間に少なくとも1つの可変長部400を含むことができる。可変長部400の区分長404は、伝送リード106が被験者の身体血管(例えば、静脈、動脈、または洞)内に配備された後に調整する(例えば、短くするまたは長くする)ことが可能である。
【0139】
伝送部402は、神経調節部104に(例えば、神経調節部104のヘッダー部114に)接続またはプラグインするように構成された伝送リード106の近位側区分であり得る。伝送部402は、形状記憶のない1本以上の導電性ワイヤーで形成することができる。例えば、伝送部402の一部を白金ワイヤーまたは白金-イリジウムワイヤーから形成可能である。伝送部402は、伝送リード106の他の区分とともに、絶縁体(例えば、ポリウレタン)または絶縁コーティングによって覆われ得る。
【0140】
図4A乃至4Cは、可変長部400が血管内担体108の近位端に接続または結合され得ることを例示している。例えば、血管内担体108は、コイル状ワイヤー200とすることができ、可変長部400は、コイル状ワイヤー200の近位端に直接接続または結合されることができる。
【0141】
伝送リード106の可変長部400は、その一部を形状記憶合金で形成することができる。また、伝送リード106の可変長部400は、形状記憶合金からなる複合材料から形成することも可能である。例えば、伝送リード106の可変長部400は、一部をニチノール(例えば、ニチノール・ワイヤー)から形成可能である。いくつかの実施形態において、伝送リード106の可変長部400は、複合クラッドワイヤーまたは導電性(例えば、金または白金)ワイヤーコアを有するニチノール・ワイヤーから形成することができる。
【0142】
図4Aは、送達カテーテルまたはシース内で収縮したときのコイル状ワイヤー200および伝送リード106の形状を例示する図である。図4Bは、コイル状ワイヤー200および伝送リード106が送達カテーテルから展開されたとき、または送達カテーテルまたはシースが後退したときのコイル状ワイヤー200および伝送リード106の形状を例示する図である。
【0143】
図4Bに示すように、伝送リード106の可変長部400は、予め設定または予め仕立てられた形状を自動的に回復するように構成され得る。いくつかの実施形態では、予め設定または予め仕立てられた形状は、緩く巻かれたコイル、すなわちコイル状ワイヤー200のコイルよりも大きなピッチまたは少ない巻きを有するコイルを有するコイル状形態とすることができる。可変長部400は、可変長部400を担持する送達カテーテルまたはシースが後退されるときに、形状記憶によってその緩く巻かれた形態に自動的になることができる。
【0144】
特定の実施形態では、可変長部400によって形成されるコイルの予め設定または予め仕立てられた形状は、予想される展開または移植血管の直径未満すなわち直径よりも小さいコイル直径を有し得る。これにより、コイルが血管内腔壁上に及ぼす半径方向の力が、可変長部400のコイルが被験者の体内血管内で移動、収縮、または拡張することを確実に妨げないようにすることができる。いくつかの実施態様では、この収縮および拡張により、可変長部400の区分長404を変化させる(例えば、短縮または伸長させる)ことができる。例えば、可変長部400は、可変長部400の近位端(または遠位端)を張引することによって、伸長させることができる。可変長部400は、可変長部400の遠位端に結合された血管内担体108が展開血管内に移植されるか、さもなければ固定されるときに、可変長部400の近位端を押圧することによって短くすることができる。可変長部400はまた、可変長部400の近位端に結合された血管内担体108が展開血管内に移植されるか、さもなければ固定されるときに、可変長部400の遠位端を押圧することによって短くすることができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、可変長部400は、可変長部400をコイル状形態に強制的にするかまたはそうなるように付勢するために、押圧力が可変長部400に加えられたときまたはそのときにのみ、コイル状形態になることができる。
【0146】
さらなる実施形態において、可変長部400は、ほとんどまたは全く形状記憶を有さず、可変長部400は、可変長部400に押圧力が加えられると巻き付けられるかまたは変形するように構成された伝送リード106の区分とすることができる。
【0147】
出願人らが直面する技術的課題の1つは、血管内担体間の距離または血管内担体と植込み型神経調節部もしくはパルス発生器との間の距離が患者または治療レジメンによって異なる場合に、伝送リードによって接続または結合された血管内担体を含む植込み型神経調節システムをいかにして設計するかということにある。例えば、被験者によって首や胴体の長さが異なり、また、そのような血管内担体が各被験者のどこに移植されるかによって、異なる大きさの解剖学要件および異なる移植要件に適応できる神経調節システムが必要とされるのである。本明細書に開示される神経調節システム100の1つの利点は、神経調節システム100を異なるサイズの患者および異なる移植要件を有する患者に適合させることができる、本明細書に開示される可変長部400からなる独自の伝送リード106にある。
【0148】
いくつかの実施形態では、伝送リード106は、0.5mm乃至1.5mmのリード直径を有することができる。より具体的には、伝送リード106は、0.5mm乃至1.0mmのリード直径を有することができる。
【0149】
いくつかの実施形態では、伝送リード106、またはその区分は、絶縁体または絶縁コーティングによって覆われ得る。例えば、伝送リード106、またはその区分は、ポリウレタンまたはポリウレタンコーティングによって覆われ得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、伝送リード106の少なくとも1つの区分は、電極アレイ102の様々な電極112に結合された複数の導電性ワイヤーまたは伝送ワイヤーからなるケーブルとすることができる。例えば、伝送リード106は、複数の導電線を撚り合わせて束ね、絶縁体または絶縁材料で覆ってなる撚り線ケーブルとすることができる。
【0151】
図5A乃至5Cは、一実施形態による電極アレイ102(例えば、第1の電極アレイ102Aまたは第2の電極アレイ102Bのいずれか)を移植する方法の一例を示す図である。この方法は、体内の目的の部位500が、電極アレイ102を送達または展開するために使用される血管502の近傍にあるが隣接していない場合に使用することができる。
【0152】
図5Aおよび図5Bに示すように、送達カテーテル504が血管壁506の近傍の位置に移動されると、電極アレイ102を担持する血管内担体108が送達カテーテル504から展開されることができる。図5A乃至5Cに示す実施形態では、血管内担体108は、生体適合性を備えたワイヤー202またはマイクロワイヤーの区分に沿って結合された電極アレイ102を有するアンカー付きワイヤー208であり得る(図2Cも参照のこと)。
【0153】
ワイヤー202またはマイクロワイヤーは、ワイヤー202またはマイクロワイヤーの遠位端に結合または取り外し可能に結合された貫通さかとげ508または貫通アンカーの形態で、鋭利な遠位端を含むことができる。貫通さかとげ508または貫通アンカーにより、ワイヤー202またはマイクロワイヤーが血管壁506を貫通するか、または血管壁506に穿孔を形成して、ワイヤー202またはマイクロワイヤーが血管壁506を通って延びることができるようにすることができる。次いで、ワイヤー202またはマイクロワイヤーは、電極アレイ102が体内の目的の部位500に位置するかまたはすぐ近傍に位置するように、体内の目的の部位500(例えば、目的の神経部位または脳部位)により近い位置に電極アレイ102を配向することができる。
【0154】
図5Cは、送達カテーテル504が一旦後退されると、電極アレイ102の近位側のワイヤー部510が自動的にコイルの形状をとることができることを例示する。ワイヤー部510のコイル形状は、送達カテーテル504に導入されるに先だって予め設定することができる。例えば、ワイヤー部510は、約1.0mm(または1.0mm未満)のリード直径を有することができ、血管502は、約6.0mmの血管径を有することができる。一旦送達カテーテル504が取り払われると、ワイヤー部510は、6.0mmよりも大きいコイル直径を有するコイルの形状をとることができる。ワイヤー部510は、コイルが内部血管壁に押し付けられてワイヤー部510を内部血管壁に固定するまで自己拡張することができる。この実施形態では、電極アレイ102の近位側にあるワイヤー部510は、血管内担体108を固定するためにも使用され得る。ワイヤー部510および電極アレイ102が所定位置にある状態で、貫通さかとげ508は、送達カテーテル504を通って延びるスタイレットまたは他の装置によって取り払われ得る。
【0155】
図6は、一実施形態によるてんかんを処置する方法600を例示する図である。方法600は、ステップ602において、第1の電極アレイ102Aを使用して、被験者の電気生理学的信号を検知することを含み得る。このように、第1の電極アレイ102Aは、記録電極アレイとして機能することができる。第1の電極アレイ102Aは、第1の血管内担体108Aに貼付、固定、あるいは結合され得る(例えば、第1の血管内担体108Aの長さに沿って間隔を空けて配置され、かつ/または第1の血管内担体108Aの径方向外側部分に結合され得る)。第1の血管内担体108Aは、被験者の動脈、静脈、または洞内に移植することができる。第1の血管内担体108Aの可能な移植部位は、以下のセクションでより詳細に説明される。
【0156】
方法600は、ステップ604において、被験者の体内に移植され、1つ以上の導電性リードおよび/または伝送リード106を介して第1の電極アレイ102Aに電気的に結合された神経調節部104を使用して電気生理学的信号を解析することをさらに含み得る。神経調節部104は、(i)1つ以上の閾値に対して検知された信号を比較する(例えば、信号のスパイクを検知する)、(ii)特定の周波数範囲における特定の信号パターンまたは律動的活動を検知する、(iii)所定の時間ウィンドウ内の絶対サンプル間振幅差を比較する、(iv)信号エネルギーの変化を測定する、またはそれらの組み合わせによって電気生理学的信号を解析するように構成することが可能である。
【0157】
方法600は、ステップ606で検知された電気生理学的信号に応答して、第2の電極アレイ102Bを使用して被験者の体内の目的の部位を刺激することをさらに含むことができる。このように、第2の電極アレイ102Bは、刺激電極アレイとして機能することができる。第2の電極アレイ102Bは、第2の血管内担体108Bに貼付、固定、あるいは結合され得る(例えば、第2の血管内担体108Bの長さに沿って間隔を空けて配置され、かつ/または第2の血管内担体108Bの径方向外側部分に結合され得る)。第2の血管内担体108Bは、被験者の頭蓋底よりも上方の被験者の動脈、静脈、または洞内に移植することができる。
【0158】
図7は、別例によるてんかんを処置する方法700を例示する図である。方法700は、ステップ702において、第1の電極アレイ102Aを使用して、被験者の電気生理学的信号を検知することを含み得る。このように、第1の電極アレイ102Aは、記録電極アレイとして機能することができる。第1の電極アレイ102Aは、被験者の頭蓋底よりも上方の被験者の動脈、静脈、または洞内に血管内移植された血管内担体108に貼付、固定、または他の方法で結合され得る。例えば、血管内担体108は、図2Dに描かれた血管内担体214とすることができる。
【0159】
第1の電極アレイ102Aは、血管内担体108の長さに沿って間隔を空けて配置され、かつ/または血管内担体108の半径方向外側の部分に結合され得る。血管内担体108の可能な移植部位は、以下のセクションでより詳細に説明される。
【0160】
方法700は、ステップ704において、被験者の体内に移植され、1つ以上の導電性リードおよび/または伝送リード106を介して第1の電極アレイ102Aに電気的に結合された神経調節部104を使用して電気生理学的信号を解析することをさらに含み得る。神経調節部104は、(i)1つ以上の閾値に対して検知された信号を比較する(例えば、信号のスパイクを検知する)、(ii)特定の周波数範囲における特定の信号パターンまたは律動的活動を検知する、(iii)所定の時間ウィンドウ内の絶対サンプル間振幅差を比較する、(iv)信号エネルギーの変化を測定する、またはそれらの組み合わせによって電気生理学的信号を解析するように構成することが可能である。
【0161】
方法700は、ステップ706で検知された電気生理学的信号に応答して、第2の電極アレイ102Bを使用して被験者の体内の目的の部位を刺激することをさらに含むことができる。第2の電極アレイ102Bは、血管内担体108の長さに沿って間隔を空けて配置され、かつ/または血管内担体108の半径方向外側の部分に結合され得る。このように、第2の電極アレイ102Bは、刺激電極アレイとして機能することができる。第2の電極アレイ102Bは、同じ血管内担体108に貼付、固定、あるいは結合され得る(例えば、血管内担体108の長さに沿って間隔を空けて配置され、かつ/または血管内担体108の径方向外側部分に結合され得る)。第2の電極アレイ102Bの電極は、第1の電極アレイ102Aの電極とは個別のものとし得る。
【0162】
図6および図7は、てんかんを処置する方法を開示しているが、本明細書に開示される神経調節システム100は、頭痛、双極性障害、肥満、アルツハイマー病、パーキンソン病、関節リウマチ、または炎症性腸疾患を含む他の障害または症状の処置にも使用できることが本開示によって企図される。例えば、上述した症状/障害のうちの1つを処置する方法は、第1の電極アレイ102Aを使用して、症状/障害に関連する症候の発症に関連付けられるかまたは関連する被験者の電気生理学的信号を検知することを含み得る。第1の電極アレイ102Aは、被験者の頭蓋底よりも上方に移植された第1の血管内担体108Aに結合され得る。本方法は、第1の電極アレイ102Aに電気的に結合されるとともに被験者の体内に移植された神経調節部104を使用して電気生理学的信号を解析することをさらに含み得る。本方法は、検知された電気生理学的信号に応答して、第2の電極アレイ102Bを使用して被験者の体内の目的の部位を刺激することをさらに含むことができる。第2の電極アレイ102Bは、被験者の体内に血管内留置された第2の血管内担体108Bに結合され、神経調節部104に電気的に結合され得る。例えば、体内の目的の部位を刺激することは、神経調節部104のパルス発生器110を使用して電気的インパルスを生成することを含むことができる。体内の目的の部位を刺激することで、症状/障害の症候または要因を緩和または軽減することができる。
【0163】
図8Aは、血管内担体108(第1の血管内担体108Aまたは第2の血管内担体108Bのいずれかを含む)が、被験者の頸静脈孔802よりも上方の内頸静脈800(例えば、右内頸静脈または左内頸静脈)内に移植され得ることを例示する。頸静脈孔802は、被験者の頭蓋底よりも下方に形成された空洞である。頸静脈孔802は、前方に側頭骨の錐体部、後方に後頭骨によって形成されている。
【0164】
血管内担体108が頸静脈孔802よりも上方の内頸静脈800内に移植される場合に、血管内担体108に結合された電極アレイ102を、被験者の迷走神経804を刺激するために使用することができる。特定の実施形態では、体内の目的の部位または刺激の目的の部位は、迷走神経804の上神経節806であり得る。他の実施形態では、体内の目的の部位または刺激の目的の部位は、迷走神経804の上神経節806および下神経節808の両者とすることができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、てんかんを処置する方法は、第1の血管内担体108Aに結合された第1の電極アレイ102Aを被験者の大脳静脈または皮質の静脈または洞に移植して、てんかん発作の発症に関連付けられるかまたは相関するかまたはその発症を示す被験者の電気生理学的信号を記録することを含むことができる。この方法は、被験者の迷走神経804を刺激するために、第2の血管内担体108B(例えば、ステント-電極アレイ109)に結合された第2の電極アレイ102Bを頸静脈孔802よりも上方の内頸静脈800に移植することも含むことができる。第1の電極アレイ102Aおよび第2の電極アレイ102Bに電気的に結合された神経調節部104は、電気生理学的信号を解析し、神経調節部104のパルス発生器110に、迷走神経804を刺激する電気的インパルスを生成するように指示することが可能である。
【0166】
電気的インパルスは、二相性、単相性、正弦波、またはそれらの組み合わせとすることができる。例えば、電気的インパルスは、電荷バランスの取れた二相性パルスとすることができる。パルス発生器110は、電気的インパルスの電流振幅を0.25mAから最大2mAまで0.1mAずつ増加させることと、電気的インパルスの電圧を0Vから最大10Vまで0.25Vずつ増加させることとによって、電気的インパルスを生成することができる。発生する電気的インパルスは、250μS乃至約500μSのパルス幅を有し得る。また、電気的インパルスのタイミング・パラメータを調整することで、刺激タイミング・パターンを異なるものにすることができる。発生する電気的インパルスは、10Hz乃至30Hzの周波数を有することができる。
【0167】
いくつかの実施形態において、血管内担体108の少なくとも一部は、頸静脈孔802よりも上方の内頸静脈800内に移植され得る。追加の実施形態において、血管内担体108の少なくとも一部は、内頸静脈800の分枝または支流内に移植され得る。
【0168】
追加の実施形態では、血管内担体108は、被験者の頭蓋底よりも上方の内頸動脈810内に移植され得る。さらなる実施形態では、血管内担体108は、被験者の頸動脈孔812よりも上方の内頸動脈810内に移植され得る。他の実施形態では、血管内担体108の少なくとも一部は、被験者の頭蓋底よりも上方の内頸動脈810内に移植され得る。さらなる実施形態において、血管内担体108の少なくとも一部は、頸動脈孔812よりも上方の内頸動脈810内に移植され得る。これらおよび他の実施形態では、体内の目的の部位は、被験者の迷走神経804であり得る。
【0169】
図8Aは、血管内担体108をステント-電極アレイ109として例示しているが、本明細書に開示された血管内担体108のいずれか(コイル状ワイヤー200またはアンカー付きワイヤー208を含む)を内頸静脈800内に移植できることが、この開示により企図される。さらに、本明細書に開示された血管内担体108のいずれか(ステント-電極アレイ109、コイル状ワイヤー200、またはアンカー付きワイヤー208のいずれかを含む)は、内頸動脈810内に移植することが可能である。
【0170】
図8Bおよび図8Cは、迷走神経804が内頸静脈800の近傍にある態様を例示する図である。ほとんどの被験者において、被験者の首部を通って頭蓋骨に延びる迷走神経804の少なくとも一部は、内頸静脈800と接触しているか、内頸静脈800に隣接している(すなわち、内頸静脈800から2.0mm未満離間している)。
【0171】
例えば、図8Bは、迷走神経804および内頸静脈800を含む周囲の血管を示す、C6椎骨のレベルの被験者の横断面の部分断面図である。上述したように、内頸静脈800は、電極アレイ102(例えば、刺激電極アレイ)を担持する血管内担体108のための可能な移植部位として機能し得る。
【0172】
図示しないいくつかの実施形態では、血管内担体108は、総頸動脈(被験者の頭蓋骨の外側)または外頸動脈内に移植することもできる。
【0173】
出願人が直面した1つの技術的課題は、被験者の首内の血管に移植された血管内担体108が、首の自然な動き(例えば、曲げ、屈曲、延び、回転など)の結果として、経時的に摩耗し得るということにある。さらに、頸部内の血管に移植された血管内担体108は、被験者の頸部に加わる外力によっても損傷し得る。被験者の頭蓋骨内(例えば、頸静脈孔よりも上方の内頸動脈内)に血管内担体108を移植することの1つの利点は、頭蓋骨が血管内担体108の保護筐体として機能し、1本以上の細い伝送リード106のみが被験者の首部を通って延びるということにある。また、これにより、患者の快適性を高め、展開した血管内担体の寿命を延ばすことができる。また、頭蓋骨内の電極から記録される電気生理学的記録は、心拍アーチファクトなどの外来信号の影響を受けにくい。
【0174】
図9A乃至9Gは、電極アレイ102を担持する血管内担体108の移植部位として機能し得る被験者の特定の静脈および洞を例示する図である。さらに、図9A乃至9Gは、てんかんまたは他の障害/症状の処置の一部として刺激することができる特定の体内の目的の部位または刺激の目的の部位も例示している。
【0175】
いくつかの実施形態において、第1の電極アレイ102Aを担持する第1の血管内担体108Aは、被験者の静脈洞内に移植され得る。例えば、第1の電極アレイ102Aを担持する第1の血管内担体108Aは、上矢状静脈洞900、下矢状静脈洞902、S字状静脈洞904、横静脈洞906、または直静脈洞908内に移植され得る。
【0176】
他の実施形態では、第1の電極アレイ102Aを担持する第1の血管内担体108Aは、被験者の浅大脳静脈内に移植され得る。例えば、第1の電極アレイ102Aを担持する第1の血管内担体108Aは、ラベ静脈910、トロラード静脈912、シルビウス静脈914、およびローランド静脈916のうちの少なくとも1つの中に移植され得る。
【0177】
また、第1の電極アレイ102Aを担持する第1の血管内担体108Aは、被験者の深大脳静脈内に移植され得る。例えば、第1の電極アレイ102Aを担持する第1の血管内担体108Aは、ローゼンタール静脈918、ガレン静脈920、上視床線条体静脈922、下視床線条体静脈924、および内大脳静脈926のうちの少なくとも1つの中に移植することができる。
【0178】
さらなる実施形態において、第1の電極アレイ102Aを担持する第1の血管内担体108Aはまた、中央溝静脈、後中央溝静脈、および前中央溝静脈のうちの少なくとも1つの中に移植され得る。追加の実施形態では、第1の血管内担体108Aは、被験者の海馬または扁桃体を通って延びる血管内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0179】
一旦移植されると、第1の電極アレイ102Aは、てんかん発作の発症に関連付けられるかまたは相関する被験者の電気生理学的信号を検知または記録するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電気生理学的信号は、大脳または皮質血管(例えば、静脈洞または皮質静脈)内で測定された局所電位(LFP)および/または頭蓋内/皮質EEGとすることができる。他の実施形態では、電気生理学的信号は、皮質脳波(ECoG)信号であり得る。
【0180】
上述したように、神経調節部104は、遠隔測定部120または遠隔測定モジュール(例えば、遠隔測定ハードウェアモジュール、遠隔測定ソフトウェアモジュール、またはそれらの組み合わせ)をさらに含むことができる。遠隔測定部120は、第1の電極アレイ102Aによって検知または記録された電気生理学的信号を解析するように構成することができる。例えば、神経調節部104(または神経調節部104内の遠隔測定部120)の1つ以上のプロセッサは、1つ以上のメモリユニットに格納された命令を実行し、(i)1つ以上の閾値に対して検知された信号を比較する(例えば、信号のスパイクを検知する)、(ii)特定の周波数範囲における特定の信号パターンまたは律動的活動を検知する、(iii)所定の時間ウィンドウ内の絶対サンプル間振幅差を比較する、(iv)信号エネルギーの変化を測定する、またはそれらの組み合わせによって電気生理学的信号を解析するようにプログラムすることが可能である。次いで、神経調節部104は、パルス発生器110(例えば、神経調節部104の一部として設けられたパルス発生器、または神経調節部104とは別体のパルス発生器)に、第2の血管内担体108Bに結合された第2の電極アレイ102Bを介して体内の目的の部位または刺激の目的の部位を刺激する電気的インパルスを発生するように指示することができる。
【0181】
上述したように、体内の目的の部位が被験者の迷走神経である場合に、第2の血管内担体108Bは、内頸静脈(右内頸静脈または左内頸静脈のいずれか)または内頸動脈内に移植することができる。
【0182】
他の実施形態では、体内の目的の部位または刺激の目的の部位は、被験者の小脳928であり得る。これらの実施形態において、第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bは、被験者のS字状静脈洞904および直静脈洞908の少なくとも一方内に移植され得る。さらに、第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bは、被験者の横静脈洞906内に移植することもできる。小脳928の少なくとも一部は、S字状静脈洞904、直静脈洞908、および横静脈洞906に隣接している(すなわち、2.0mm未満で離間している)。
【0183】
追加の実施形態では、体内の目的の部位または刺激の目的の部位は、被験者の運動皮質930であり得る。さらなる実施形態において、第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bは、患者の下矢状静脈洞902、中央溝静脈、後中央溝静脈、および前中央溝静脈のうちの少なくとも1つの中に移植され得る。さらに、第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bは、被験者の上矢状静脈洞900内に移植することもできる。運動皮質930の少なくとも一部は、上矢状静脈洞900、中央溝静脈、後中央溝静脈、および前中央溝静脈に隣接している(すなわち、2.0mm未満で離間している)。
【0184】
さらに、運動皮質930の少なくとも一部は、下矢状静脈洞902から約5.0mm乃至約10.0mmの範囲にある。第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bが下矢状静脈洞902内に移植される場合に、刺激される体内の目的の部位は、被験者の脳弓944も含むことができる。脳弓944は、下矢状静脈洞902から約10.0mm乃至約15.0mmの範囲にあり得る。
【0185】
さらなる実施形態において、第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bは、浅大脳静脈内に移植され得る。例えば、第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bは、ラベ静脈910、トロラード静脈912、シルビウス静脈914、およびローランド静脈916のうちの少なくとも1つの中に移植され得る。
【0186】
いくつかの実施形態において、第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bは、深大脳静脈内に移植され得る。例えば、第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bは、ローゼンタール静脈918、ガレン静脈920、上視床線条体静脈922、および内大脳静脈926のうちの少なくとも1つの中に移植することができる。
【0187】
第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bがローゼンタール静脈918内に移植される場合に、刺激される体内の目的の部位は、小脳928、前核視床932、視床中心核934、海馬936、視床下核938、および後端不確帯940のうちの少なくとも1つを含み得る。ローゼンタール静脈918は、小脳928、前核視床932、および視床中心核934の少なくとも一部から約10.0mm乃至約15.0mmの範囲にあり得る。ローゼンタール静脈918は、海馬936、視床下核938、および後端不確帯940の少なくとも一部から約5.0mm乃至約10.0mmの範囲にあり得る。
【0188】
第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bが内大脳静脈926内に移植される場合に、刺激される体内の目的の部位は、前核視床932、視床中心核934、視床下部942、脳弓944、および後端不確帯940の少なくとも1つを含み得る。内大脳静脈926は、視床下部942および後端不確帯940の少なくとも一部から約10.0mm乃至約15.0mmとすることができる。内大脳静脈926は、前核視床932の少なくとも一部から約5.0mm乃至約10.0mmとすることができる。内大脳静脈926は、脳弓944の少なくとも一部から約2.0mm乃至約5.0mmとすることができる。内大脳静脈926は、視床中心核934に隣接し得る(すなわち、2.0mm未満で離間する)。
【0189】
第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bが上視床線条体静脈922内に移植される場合に、刺激される体内の目的の部位は、前核視床932、視床中心核934、および脳弓944のうちの少なくとも1つを含み得る。上視床線条体静脈922は、前核視床932、視床中心核934、および脳弓944に隣接し得る(すなわち、2.0mm未満で離間する)。
【0190】
特定の実施形態では、第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108Bは、さらに、被験者の海馬または扁桃体を通って延びる血管内に移植され得るか、または移植されるように構成され得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、第2の電極アレイ102Bを介して体内の目的の部位または刺激の目的の部位を刺激することにより、体内の目的の部位への血流を増加させ、または発作活動の抑制に関与する特定の神経伝達物質のレベルを上昇させることができる。さらに、第2の電極アレイ102Bを介して体内の目的の部位を刺激することにより、ナトリウムチャネル不活性化(高周波刺激を使用)、特定の神経伝達物質の長期抑制(高周波刺激を使用)、および/またはグルタミン酸作動性抑制(低周波刺激および高周波刺激の両者を使用)をもたらすこともできる。
【0192】
例えば、皮質や大脳の目的の部位を刺激する場合に、電気的インパルスの電圧を1Vから7Vまで0.25Vずつ上昇させたバイポーラ型とすることができる。発生する電気的インパルスは、パルス幅が90μS乃至約540μS、周波数が低周波領域で約3Hz乃至5Hz、高周波領域で約50Hz乃至130Hzとすることができる。
【0193】
異なる血管内担体108に結合された電極アレイ102を使用した記録および刺激が議論されているが、同じ血管内担体(例えば、図2Dに示す血管内担体214を参照)が第1の電極アレイ102Aおよび第2の電極アレイ102Bの両者を担持できることが本開示によって企図される。例えば、拡張可能なステントやスキャフォールドは、記録電極アレイおよび刺激電極アレイの両者を担持することができる。
【0194】
図10は、血管内担体108(例えば、第1の血管内担体108Aおよび第2の血管内担体108B)をそれぞれの移植部位に展開または送達する一実施形態による方法を例示する図である。図面では、2つの血管内担体108が展開されているが、同様の装置または同様の方法を使用して、別体の電極アレイ102を担持する1つの血管内担体(例えば、図2Dの血管内担体214参照)または3つ以上の血管内担体を送達することもできることが本開示により企図される。
【0195】
図10に示すように、第1の送達カテーテル1000は、頸静脈切開を通して上矢状静脈洞900に展開することができる。第1の送達カテーテル1000は、血管造影ガイダンスの下で展開され得る。図面には上矢状静脈洞900が示されているが、当業者であれば、カテーテルおよび担体を被験者の任意の静脈、洞、または動脈に展開できることが理解できるはずである。
【0196】
第1の電極アレイ102Aを担持する第1の血管内担体108A(図10には示されていない、図1参照)は、第1の送達カテーテル1000を通して展開され得るか、または他の方法で送達され得る。例えば、第1の血管内担体108Aは、上矢状静脈洞900内の所定の位置に自己拡張するように構成されたステント-電極アレイ109であり得る。
【0197】
いくつかの実施形態において、第1の血管内担体108Aに結合された第1の電極アレイ102Aは、記録電極アレイとして使用可能である。他の実施形態では、第1の電極アレイ102Aは、刺激電極アレイとして、または記録電極アレイおよび刺激電極アレイの両者として使用可能である。一旦第1の血管内担体108Aが所定位置に配置されると、第1の送達カテーテル1000は、被験者の血管系から取り外すことができる。
【0198】
図10はまた、第2の送達カテーテル1002が、同じ頸静脈切開を通して、前核視床932の上にある内大脳静脈926に展開され得ることを例示する。第2の送達カテーテル1002は、血管造影ガイダンスの下で展開され得る。
【0199】
第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108B(図10には示されていない、図1参照)は、第2の送達カテーテル1002を通して展開され得るか、または他の方法で送達され得る。例えば、第2の血管内担体108Bは、内大脳静脈926内の所定の位置に自己拡張するように構成されたステント-電極アレイ109であり得る。
【0200】
いくつかの実施形態において、第2の血管内担体108Bに結合された第2の電極アレイ102Bは、刺激電極アレイとして使用され得る。他の実施形態では、第2の電極アレイ102Bは、記録電極アレイとして、または刺激電極アレイおよび記録電極アレイの両者として使用することができる。一旦第2の血管内担体108Bが所定位置に配置されると、第2の送達カテーテル1002は、被験者の血管系から取り外すことができる。
【0201】
さらに、図10に示すように、第1の血管内担体108A上の第1の電極アレイ102Aに結合された第1の伝送リード106Aは、被験者の首部を通って(例えば、頸静脈を通って)延び、第1の伝送リード106Aの近位端は、被験者の体内に移植された神経調節部104に(例えば、ヘッダー部114に、図1参照)挿入されることができる。加えて、第2の血管内担体108B上の第2の電極アレイ102Bに結合された第2の伝送リード106Bは、被験者の首部を通って延び、第2の伝送リード106Bの近位端は、神経調節部104に挿入されることができる。
【0202】
図11は、血管内担体108(例えば、第1の血管内担体108Aおよび第2の血管内担体108B)をそれぞれの移植部位に展開または送達する別例による方法を例示する図である。図面では、2つの血管内担体108が展開されているが、同様の装置または同様の方法を使用して、別体の電極アレイ102を担持する1つの血管内担体(例えば、図2Dの血管内担体214参照)または3つ以上の血管内担体を送達することもできることが本開示により企図される。
【0203】
図11に示すように、第1の送達カテーテル1100は、頸静脈切開を通して上矢状静脈洞900に展開することができる。第1の送達カテーテル1100は、血管造影ガイダンスの下で展開され得る。図には上矢状静脈洞900が示されているが、当業者であれば、カテーテルおよび担体を被験者の任意の静脈、洞、または動脈に展開できることが理解できるはずである。
【0204】
第1の電極アレイ102Aを担持する第1の血管内担体108A(図11には示されていない、図1参照)は、第1の送達カテーテル1100を通して展開され得るか、または他の方法で送達され得る。例えば、第1の血管内担体108Aは、上矢状静脈洞900内の所定の位置に自己拡張するように構成されたステント-電極アレイ109であり得る。
【0205】
いくつかの実施形態において、第1の血管内担体108Aに結合された第1の電極アレイ102Aは、記録電極アレイとして使用可能である。他の実施形態では、第1の電極アレイ102Aは、刺激電極アレイとして、または記録電極アレイおよび刺激電極アレイの両者として使用可能である。一旦第1の血管内担体108Aが所定位置に配置されると、第1の送達カテーテル1000は、被験者の血管系から取り外すことができる。
【0206】
図11はまた、第1の送達カテーテル1100が近位側に後退され、第2の送達カテーテル1102が、後退された第1の送達カテーテル1100を通って展開され得ることを例示する図である。第2の送達カテーテル1002は、前核視床932の上にある内大脳静脈926に展開され得る。第2の送達カテーテル1002は、血管造影ガイダンスの下で展開され得る。
【0207】
第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108B(図11には示されていない、図1参照)は、第2の送達カテーテル1002を通して展開され得るか、または他の方法で送達され得る。例えば、第2の血管内担体108Bは、内大脳静脈926内の所定の位置に自己拡張するように構成されたステント-電極アレイ109であり得る。
【0208】
いくつかの実施形態において、第2の血管内担体108Bに結合された第2の電極アレイ102Bは、刺激電極アレイとして使用され得る。他の実施形態では、第2の電極アレイ102Bは、記録電極アレイとして、または刺激電極アレイおよび記録電極アレイの両者として使用することができる。一旦第2の血管内担体108Bが所定位置に配置されると、第2の送達カテーテル1102は、被験者の血管系から取り外すことができる。
【0209】
第1の血管内担体108A上の第1の電極アレイ102Aに結合された第1の伝送リード106Aは、被験者の首部を通って(例えば、頸静脈を通って)延び、第1の伝送リード106Aの近位端は、被験者の体内に移植された神経調節部104に(例えば、ヘッダー部114に、図1参照)挿入されることができる。加えて、第2の血管内担体108B上の第2の電極アレイ102Bに結合された第2の伝送リード106Bは、被験者の首部を通って延び、第2の伝送リード106Bの近位端は、神経調節部104に挿入されることができる。
【0210】
図12は、血管内担体108(例えば、第1の血管内担体108Aおよび第2の血管内担体108B)をそれぞれの移植部位に展開または送達する別例による方法を例示する図である。図面では、2つの血管内担体108が展開されているが、同様の装置または同様の方法を使用して、3つ以上の血管内担体を送達することもできることが本開示により企図される。
【0211】
図12に示すように、送達カテーテル1200は、頸静脈切開を通して上矢状静脈洞900まで展開され、その後、前核視床932の上にある内大脳静脈926まで継続することができる。送達カテーテル1200は、血管造影ガイダンスの下で展開することができる。
【0212】
図面には上矢状静脈洞900が示されているが、当業者であれば、カテーテルおよび担体を被験者の任意の静脈、洞、または動脈に展開できることが理解できるはずである。
【0213】
第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108B(図12には示されていない、図1参照)は、送達カテーテル1200を通して展開され得るか、または他の方法で送達され得る。例えば、第2の血管内担体108Bは、内大脳静脈926内の所定の位置に自己拡張するように構成されたステント-電極アレイ109であり得る。
【0214】
いくつかの実施形態において、第2の血管内担体108Bに結合された第2の電極アレイ102Bは、記録電極アレイとして使用することができる。他の実施形態では、第2の電極アレイ102Bは、刺激電極アレイとして、または記録電極アレイおよび刺激電極アレイの両者として使用可能である。一旦第2の血管内担体108Bが所定の位置に配置されると、送達カテーテル1200は、送達カテーテル1200の遠位端が、第1の血管内担体108Aを被験者の上矢状静脈洞900内に展開させるための所定の位置に配置されるまで後退させることができる。第1の血管内担体108Aは、第1の電極アレイ102Aを担持することができる(図12には図示しない、図1参照)。第1の血管内担体108Aは、上矢状静脈洞900内の所定の位置に自己拡張するように構成されたステント-電極アレイ109であり得る。
【0215】
いくつかの実施形態において、第1の血管内担体108Aに結合された第1の電極アレイ102Aは、刺激電極アレイとして使用され得る。他の実施形態では、第1の電極アレイ102Aは、記録電極アレイとして、または刺激電極アレイおよび記録電極アレイの両者として使用することができる。一旦第1の血管内担体108Aが所定位置に配置されると、送達カテーテル1200は、被験者の血管系から取り外すことができる。
【0216】
送達カテーテル1200を後退させると、第1の血管内担体108Aと第2の血管内担体108Bとを接続する1本の伝送リード106を露出させることができる。1本の伝送リード106は、被験者の首部を通って(例えば、頸静脈を通って)延び、伝送リード106の近位端は、被験者の体内に移植された神経調節部104に(例えば、ヘッダー部114に、図1参照)挿入されることができる。
【0217】
図13は、分岐型伝送リード1302によって接続された第1の血管内担体108Aと第2の血管内担体108Bとからなる一実施形態による送達カテーテル1300を例示する図である。図13に示すように、分岐型伝送リード1302の第1の枝1304は、第1の血管内担体108Aに接続または結合することができ、分岐型伝送リード1302の第2の枝1306は、第2の血管内担体108Bに接続または結合することができる。少なくとも1本のガイドワイヤー1308は、分岐型伝送リード1302の枝の少なくとも1つと並んで延びることができる。ガイドワイヤー1308は、血管内担体108のうちの1つ(例えば、第2の血管内担体108B)の内腔を通って延び、血管内担体108の先端1310に着脱可能に結合され得る。
【0218】
血管内担体108(例えば、第1の血管内担体108Aおよび第2の血管内担体108B)をそれらのそれぞれの移植部位に展開または送達する別の方法は、送達カテーテル1300を頸静脈切開を通して上矢状静脈洞900に展開することを含むことができる。送達カテーテル1300は、血管造影ガイダンスの下で展開することができる。
【0219】
第1の電極アレイ102Aを担持する第1の血管内担体108A(図13には示されていない、図1参照)は、送達カテーテル1300を通して展開され得るか、または他の方法で送達され得る。例えば、第1の血管内担体108Aは、上矢状静脈洞900内の所定の位置に自己拡張するように構成されたステント-電極アレイ109であり得る。
【0220】
いくつかの実施形態において、第1の血管内担体108Aに結合された第1の電極アレイ102Aは、記録電極アレイとして使用可能である。他の実施形態では、第1の電極アレイ102Aは、刺激電極アレイとして、または記録電極アレイおよび刺激電極アレイの両者として使用可能である。一旦第1の血管内担体108Aが所定の位置に配置されると、送達カテーテル1300を近位側に後退させ、第2の電極アレイ102Bを担持する第2の血管内担体108B(図13には示されていない、図1参照)を後退した送達カテーテル1300を通して第2の移植部位(例えば、被験者の前核視床932の上にある内大脳静脈926)に展開することができる。ガイドワイヤー1308は、第2の血管内担体108を第2の移植部位内の所定の位置に誘導するために使用することができる。
【0221】
例えば、第2の血管内担体108Bは、内大脳静脈926のような展開された血管内の所定の位置に自己拡張するように構成されたステント-電極アレイ109とすることができる。いくつかの実施形態において、第2の血管内担体108Bに結合された第2の電極アレイ102Bは、刺激電極アレイとして使用され得る。他の実施形態では、第2の電極アレイ102Bは、記録電極アレイとして、または刺激電極アレイおよび記録電極アレイの両者として使用することができる。一旦第2の血管内担体108Bが所定位置に配置されると、送達カテーテル1300およびガイドワイヤー1308は、被験者の血管系から取り外すことができる。
【0222】
送達カテーテル1300を後退させると、第1の血管内担体108Aと第2の血管内担体108Bとを接続する分岐型伝送リード1302を露出させることができる。伝送リード1302は、被験者の首部を通って(例えば、頸静脈を通って)延び、伝送リード1302の近位端は、被験者の体内に移植された神経調節部104に(例えば、ヘッダー部114に、図1参照)挿入されることができる。
【0223】
本明細書に開示される閉ループ神経調節システム100の1つの技術的利点は、システム100を、体内の/刺激の目的の部位(例えば、迷走神経)に物理的に接触したり、体内の/刺激の目的の部位に損傷を与える(例えば、迷走神経に損傷を与える)ことなく、最小限の侵襲処置によって、血管造影を介して、体内の/刺激の目的の部位の近傍の血管に送達することができる点にある。
【0224】
本明細書に開示される神経調節システム100の別の技術的利点は、第1の血管内担体108A(第1の電極アレイ102Aまたは記録電極アレイを担持)が皮質/大脳静脈または洞内に移植され、第2の血管内担体108B(第2の電極アレイ102Bまたは刺激電極アレイを担持)が皮質/大脳静脈若しくは洞内または被験者の頭蓋骨よりも上方の静脈若しくは動脈内に移植される場合に、被験者の頭蓋骨が、潜在的に破壊的な外力から担体を保護する保護筐体として機能し、検知または記録される電気生理学的信号を向上させることができることにある。
【0225】
本明細書に開示される神経調節システム100のさらなる別の技術的利点は、被験者からの電気生理学的信号が検知または他の方法で取得され電気的刺激をトリガーする原動力として使用される閉ループまたは応答性の刺激を、システム100が提供できることにある。閉ループまたは応答モードで作動するシステムのさらなる利点は、発作が差し迫っているとき、または被験者が発作リスクの高い状態にあると観察されたときにのみ、システムの様々な電子部品を作動させることにより、電子部品の電池寿命を延長することができることにある。
【0226】
複数の実施形態について説明した。それにもかかわらず、当業者であれば、実施形態の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示に対して様々な変更および修正を行うことができることが理解されよう。任意の実施形態とともに示されるシステム、デバイス、装置、および方法の要素は、特定の実施形態について例示的であり、本開示内の他の実施形態に組み合わせて、またはその他の方法で使用することが可能である。例えば、図に描かれた、または本開示に記載された任意の方法のステップは、所望の結果を達成するために、示されたまたは記載された特定の順序または連続的な順序を必要としない。加えて、所望の結果を得るために、他のステップ作動を設けてもよいし、記載された方法またはプロセスからステップまたは作動を削除または省略してもよい。さらに、本開示に記載され、または図に描かれた任意の装置またはシステムの任意の構成要素または部品は、所望の結果を達成するために除去、削除、または省略されてもよい。また、本明細書に図示または記載されたシステム、デバイス、または装置の特定の構成要素または部品は、簡潔かつ明瞭にするために省略されている。
【0227】
したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にあり、明細書および/または図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味で見なされる場合がある。
【0228】
本明細書で説明および図示した個別の変形例または実施形態の各々は、他の任意の変形例または実施形態の要素と容易に分離または結合することができる個別の構成要素および要素を有している。特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセスの1つ以上の行為、または1つ以上のステップを本発明の目的、趣旨または範囲に適合させるために、複数の変更を行うことができる。
【0229】
本明細書に記載された方法は、論理的に可能な任意の順序で、また、記載された順序で、記載された事象を実施することができる。さらに、所望の結果を得るために、追加のステップや操作を設けたり、ステップや操作を削除したりすることもできる。
【0230】
さらに、値の範囲が規定されている場合、その範囲の上限と下限との間に介在するすべての値、およびその規定範囲内の任意の他の規定値または介在するすべての値は、本発明の範囲に包含されるものとする。また、本発明の態様の任意の要素は、独立して、または本明細書に記載された任意の1つ以上の要素と組み合わせて、規定し、請求することができる。例えば、1乃至5の範囲の記述は、1乃至3、1乃至4、2乃至4、2乃至5、3乃至5などの小範囲と、その範囲内の個々の数値、例えば1.5、2.5など、およびこれらの間の全体または一部の増分を開示したものと考えるべきである。
【0231】
本明細書で言及されるすべての既存の主題(例えば、刊行物、特許、特許出願)は、その主題が本発明の主題と矛盾する可能性がある(その場合、本明細書に存在するものが優先する)場合を除いて、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。参照された項目は、本出願の出願日前の開示のためにのみ提供されている。本明細書のいかなる内容も、本発明が先行発明によりかかる資料に先行する権利を有しないことを認めるものと解釈されないものとする。
【0232】
単数形の品目に対する言及は、同じ品目が複数存在する可能性を含んでいる。より具体的には、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形の「a」、「an」、「said」、および「the」は、文脈が明らかに他を指示しない限り、複数の参照を含む。さらに、特許請求の範囲の記載は、任意の要素を除外するように作成することができることに留意されたい。したがって、この記述は、請求項の要素の記載に関連して「単独で」「のみ」などの排他的な用語を使用したり、「否定的」な限定を使用するための先行根拠として機能することを意図している。特に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0233】
「少なくとも1つの」という表現は、複数の項目または構成要素(または項目または構成要素の列挙されたリスト)を修飾する場合に、それらの項目または構成要素のうちの1つ以上の任意の組み合わせを意味する。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という表現は、(i)A;(ii)B;(iii)C;(iv)A、B、およびC;(v)AおよびB;(vi)BおよびC;または(vii)AおよびCを意味する。
【0234】
本開示の範囲を理解する上で、本明細書で使用されるような用語「含む」およびその派生語は、記載された特徴、要素、成分、グループ、整数、および/またはステップの存在を特定するが、他の記載されていない特徴、要素、成分、グループ、整数、および/またはステップの存在を除外しない、開放型の用語であると意図している。また、「含む」、「有する」、およびそれらの派生語など、同様の意味を有する句についても同様である。また、単数形で使用される「部品」、「区分」、「部分」、「部材」、「要素」、「構成要素」という用語は、1つの部品または複数の部品の両者の意味を有し得る。本明細書において使用されるように、「前方、後方、上方、下方、垂直、水平、下方、横断方向、および縦方向」という方向性用語、および他の任意の類似の方向性用語は、装置または機器のそれらの位置、または装置または機器のそれらの方向が並進または移動されることを意味する。
【0235】
最後に、本明細書で使用する「実質的に」、「約」、および「おおよそ」などの程度の用語は、最終結果が相当または実質的に変化しないような、規定値、または規定値および規定値からの妥当な量の偏差(例えば、そのような変化が適切であるような±0.1%、±1%、±5%、または±10%までの偏差)のことを意味する。例えば、「約1.0cm」は、「1.0cm」または「0.9cm乃至1.1cm」を意味すると解釈することができる。範囲の一部である数値や値について「約」や「おおよそ」といった程度の用語を使用する場合、この用語は最小および最大の数値や値を加減するために使用することができる。
【0236】
本開示は、規定された特定の形態の範囲に限定されることを意図するものではなく、本明細書に記載された変形または実施形態の代替物、修正物、および均等物をカバーすることを意図している。さらに、本開示の範囲は、本開示に鑑みて当業者にとって自明となり得る他の変形または実施形態を完全に包含する。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10
図11
図12
図13