(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024190
(43)【公開日】2025-02-19
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10D 30/66 20250101AFI20250212BHJP
H10D 84/80 20250101ALI20250212BHJP
H10D 12/00 20250101ALI20250212BHJP
H10D 62/10 20250101ALI20250212BHJP
【FI】
H01L29/78 652R
H01L29/78 652J
H01L29/78 657D
H01L29/78 652Q
H01L29/78 655B
H01L29/78 653A
H01L29/78 652P
H01L29/06 301V
H01L29/06 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024203215
(22)【出願日】2024-11-21
(62)【分割の表示】P 2023575255の分割
【原出願日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2022006926
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜井 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】野口 晴司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩介
(72)【発明者】
【氏名】浜崎 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓弥
(57)【要約】 (修正有)
【課題】耐圧または耐量が低下しない構造の半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板10の上面21からベース領域14よりも下方まで設けられ、ゲートトレンチ部およびダミートレンチ部を含む複数のトレンチ部と、ゲートトレンチ部を含む2つ以上のトレンチ部の下端と接して設けられた第2導電型の第1下端領域202と、上面視において第1下端領域とは異なる位置に配置され、半導体基板の上面からベース領域よりも下方まで設けられ、ベース領域よりもドーピング濃度の高い第2導電型のウェル領域11と、上面視において、第1下端領域とウェル領域との間に、第1下端領域およびウェル領域とは分離して設けられ、ゲートトレンチ部を含む1つ以上のトレンチ部の下端と接して設けられた第2導電型の第2下端領域205とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および下面を有し、第1導電型のドリフト領域を含む半導体基板と、
前記ドリフト領域と前記半導体基板の前記上面との間に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記半導体基板の前記上面から前記ベース領域よりも下方まで設けられ、ゲートトレンチ部およびダミートレンチ部を含む複数のトレンチ部と、
前記ゲートトレンチ部を含む2つ以上のトレンチ部の下端と接して設けられた第2導電型の第1下端領域と、
上面視において前記第1下端領域と重ならない分離領域と
を備え、
前記分離領域は、前記ゲートトレンチ部を含む1つ以上のトレンチ部の下端と接して設けられた第2導電型の第2下端領域を有する
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、P型のウェル領域から離れたP型のフローティング領域を、ゲートトレンチの底部に設ける構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1 特開2019-91892号公報
【解決しようとする課題】
【0003】
半導体装置の耐圧または耐量が低下しないことが好ましい。
【一般的開示】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、半導体装置を提供する。半導体装置は、上面および下面を有し、第1導電型のドリフト領域を含む半導体基板を備えてよい。上記いずれかの半導体装置は、前記ドリフト領域と前記半導体基板の前記上面との間に設けられた第2導電型のベース領域を備えてよい。上記いずれかの半導体装置は、前記半導体基板の前記上面から前記ベース領域よりも下方まで設けられ、ゲートトレンチ部およびダミートレンチ部を含む複数のトレンチ部を備えてよい。上記いずれかの半導体装置は、前記ゲートトレンチ部を含む2つ以上のトレンチ部の下端と接して設けられた第2導電型の第1下端領域を備えてよい。上記いずれかの半導体装置は、上面視において前記第1下端領域と重ならない分離領域を備えてよい。上記いずれかの半導体装置において、前記分離領域は、前記ゲートトレンチ部を含む1つ以上のトレンチ部の下端と接して設けられた第2導電型の第2下端領域を有してよい。
【0005】
上記いずれかの半導体装置において、1つの前記第2下端領域が接する前記トレンチ部の個数は、1つの前記第1下端領域が接する前記トレンチ部の個数よりも少なくてよい。
【0006】
上記いずれかの半導体装置において、1つの前記第2下端領域は、1つの前記ゲートトレンチ部の下端と接しており、且つ、当該ゲートトレンチ部以外の前記ゲートトレンチ部の下端には接していなくてよい。
【0007】
上記いずれかの半導体装置において、1つの前記第1下端領域は、複数の前記ゲートトレンチ部および複数の前記ダミートレンチ部の下端と接していてよい。
【0008】
上記いずれかの半導体装置において、1つの前記第2下端領域は、1つの前記ゲートトレンチ部の下端と接しており、且つ、当該ゲートトレンチ部の隣に配置された前記トレンチ部の下端には接していなくてよい。
【0009】
上記いずれかの半導体装置において、1つの前記第2下端領域は、1つの前記ゲートトレンチ部の下端と接しており、且つ、当該ゲートトレンチ部の隣に配置された前記ダミートレンチ部の下端と接していてよい。
【0010】
上記いずれかの半導体装置は、上面視において前記第1下端領域とは異なる位置に配置され、前記半導体基板の前記上面から前記ベース領域よりも下方まで設けられ、前記ベース領域よりもドーピング濃度の高い第2導電型のウェル領域を備えてよい。上記いずれかの半導体装置は、前記ダミートレンチ部の下端に接して設けられた第2導電型の第3下端領域を備えてよい。上記いずれかの半導体装置において、前記第3下端領域が接する前記ダミートレンチ部は、前記第2下端領域が接する前記ゲートトレンチ部の隣に配置されてよい。上記いずれかの半導体装置において、前記第3下端領域は、前記第1下端領域、前記第2下端領域および前記ウェル領域のいずれとも分離していてよい。
【0011】
上記いずれかの半導体装置において、前記ゲートトレンチ部の長手方向に沿って、複数の前記第2下端領域が互いに離れて配置されていてよい。
【0012】
上記いずれかの半導体装置は、上面視において、前記分離領域が、2つの前記第1下端領域に挟まれていてよい。
【0013】
上記いずれかの半導体装置において、前記ゲートトレンチ部は、ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜により前記半導体基板と絶縁されるゲート導電部とを有してよい。上記いずれかの半導体装置において、前記第2下端領域と接する前記ゲートトレンチ部のうちの少なくとも1つにおける前記ゲート導電部は、前記第1下端領域と接する前記ゲートトレンチ部の前記ゲート導電部よりも、深さ方向において短くてよい。
【0014】
上記いずれかの半導体装置において、前記第1下端領域と接する前記ゲートトレンチ部の隣りに、前記第1下端領域および前記第2下端領域と接していない前記ダミートレンチ部が2つ以上連続して配置されてよい。上記いずれかの半導体装置は、連続して配置された前記2つ以上の前記ダミートレンチ部の下端と接して設けられた第2導電型の第4下端領域を備えてよい。
【0015】
上記いずれかの半導体装置において、前記ゲートトレンチ部は、ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜により前記半導体基板と絶縁されるゲート導電部とを有してよい。上記いずれかの半導体装置において、前記第2下端領域と接する前記ゲートトレンチ部の少なくとも1つにおいて、前記ゲート絶縁膜と接する位置の前記ゲート導電部が、前記ゲート絶縁膜から最も離れた位置の前記ゲート導電部よりも、深さ方向において長くてよい。
【0016】
上記いずれかの半導体装置において、前記第2下端領域に接する前記ゲートトレンチ部の少なくとも1つが、前記第1下端領域に接する前記ゲートトレンチ部よりも、深さ方向において短くてよい。
【0017】
上記いずれかの半導体装置において、少なくとも1つの前記第1下端領域は、前記ダミートレンチ部の下端と接して設けられてよい。上記いずれかの半導体装置において、前記分離領域は、1つ以上の前記ダミートレンチ部を含んでよい。上記いずれかの半導体装置において、前記分離領域の前記ダミートレンチ部の少なくとも1つは、前記第1下端領域と接する前記ダミートレンチ部よりも、深さ方向に長くてよい。
【0018】
上記いずれかの半導体装置は、前記半導体基板の前記上面に露出し、前記ゲートトレンチ部と接して設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のエミッタ領域を備えてよい。上記いずれかの半導体装置は、前記半導体基板の前記上面に露出し、前記ゲートトレンチ部の長手方向に沿って、前記エミッタ領域と交互に配置され、前記ベース領域よりもドーピング濃度の高い第2導電型のコンタクト領域を備えてよい。上記いずれかの半導体装置において、前記第2下端領域は、上面視において前記エミッタ領域と重なって配置されていてよい。
【0019】
上記いずれかの半導体装置は、前記半導体基板の前記下面に接して設けられた第2導電型のコレクタ領域を備えてよい。
【0020】
上記いずれかの半導体装置は、前記半導体基板の前記上面に露出し、前記ゲートトレンチ部と接して設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のソース領域を備えてよい。上記いずれかの半導体装置は、前記半導体基板の前記上面に露出し、前記ゲートトレンチ部の長手方向に沿って、前記ソース領域と交互に配置され、前記ベース領域よりもドーピング濃度の高い第2導電型のコンタクト領域を備えてよい。上記いずれかの半導体装置において、前記第2下端領域は、上面視において前記ソース領域と重なって配置されていてよい。
【0021】
上記いずれかの半導体装置は、前記半導体基板の前記下面に接して設けられた第1導電型のドレイン領域を備えてよい。
【0022】
上記いずれかの半導体装置において、2つ以上の前記ゲートトレンチ部のそれぞれに対して、互いに分離した前記第2下端領域が設けられていてよい。
【0023】
本発明の第2の態様においては、半導体装置を提供する。半導体装置は、上面および下面を有し、第1導電型のドリフト領域を含む半導体基板を備えてよい。上記いずれかの半導体装置は、前記ドリフト領域と前記半導体基板の前記上面との間に設けられた第2導電型のベース領域を備えてよい。上記いずれかの半導体装置は、前記半導体基板の前記上面から前記ベース領域よりも下方まで設けられ、ゲートトレンチ部およびダミートレンチ部を含む複数のトレンチ部を備えてよい。上記いずれかの半導体装置は、前記ゲートトレンチ部を含む1つ以上のトレンチ部の下端と接して設けられた第2導電型の第2下端領域を備えてよい。上記いずれかの半導体装置において、前記第2下端領域と接する前記ゲートトレンチ部は、他の少なくとも1つの前記ゲートトレンチ部よりも、深さ方向において短くてよい。
【0024】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一つの実施形態に係る半導体装置100の一例を示す上面図である。
【
図3】
図2におけるe-e断面の一例を示す図である。
【
図4】上面視におけるウェル領域11および第1下端領域202の配置例を示す図である。
【
図5】
図4におけるf-f断面の一例を示す図である。
【
図6】ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の他の配列例を示す図である。
【
図7】トレンチ部の下端の深さ位置における電界の、X軸方向における分布例を示す図である。
【
図8】第2下端領域205の他の例を示す図である。
【
図9A】第1下端領域202および第2下端領域205の近傍の拡大図である。
【
図10】分離領域204の他の構成例を示す図である。
【
図11】第1下端領域202、第2下端領域205および第3下端領域207のZ軸方向におけるドーピング濃度の分布例を示す図である。
【
図14】
図4におけるg-g断面の一例を示す図である。
【
図15】
図5におけるh-h断面の一例を示す図である。
【
図16】
図5におけるh-h断面の一例を示す図である。
【
図17】半導体装置100の製造方法の一部の工程を示す図である。
【
図18】下端領域形成段階S1704の一例を説明する図である。
【
図19】
図4におけるj-j断面の一例を示す図である。
【
図21】分離領域204の他の構造例を示す図である。
【
図22】分離領域204の他の構造例を示す図である。
【
図23】分離領域204の他の構造例を示す図である。
【
図24】分離領域204の他の構造例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0027】
本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体装置の実装時における方向に限定されない。
【0028】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および-Z軸に平行な方向を意味する。
【0029】
本明細書では、半導体基板の上面および下面に平行な直交軸をX軸およびY軸とする。また、半導体基板の上面および下面と垂直な軸をZ軸とする。本明細書では、Z軸の方向を深さ方向と称する場合がある。また、本明細書では、X軸およびY軸を含めて、半導体基板の上面および下面に平行な方向を、水平方向と称する場合がある。
【0030】
また、半導体基板の深さ方向における中心から、半導体基板の上面までの領域を、上面側と称する場合がある。同様に、半導体基板の深さ方向における中心から、半導体基板の下面までの領域を、下面側と称する場合がある。
【0031】
本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
【0032】
本明細書においては、不純物がドーピングされたドーピング領域の導電型をP型またはN型として説明している。本明細書においては、不純物とは、特にN型のドナーまたはP型のアクセプタのいずれかを意味する場合があり、ドーパントと記載する場合がある。本明細書においては、ドーピングとは、半導体基板にドナーまたはアクセプタを導入し、N型の導電型を示す半導体またはP型の導電型を示す半導体とすることを意味する。
【0033】
本明細書においては、ドーピング濃度とは、熱平衡状態におけるドナーの濃度またはアクセプタの濃度を意味する。本明細書においては、ネット・ドーピング濃度とは、ドナー濃度を正イオンの濃度とし、アクセプタ濃度を負イオンの濃度として、電荷の極性を含めて足し合わせた正味の濃度を意味する。一例として、ドナー濃度をND、アクセプタ濃度をNAとすると、任意の位置における正味のネット・ドーピング濃度はND-NAとなる。本明細書では、ネット・ドーピング濃度を単にドーピング濃度と記載する場合がある。
【0034】
ドナーは、半導体に電子を供給する機能を有している。アクセプタは、半導体から電子を受け取る機能を有している。ドナーおよびアクセプタは、不純物自体には限定されない。例えば、半導体中に存在する空孔(V)、酸素(O)および水素(H)が結合したVOH欠陥は、電子を供給するドナーとして機能する。本明細書では、VOH欠陥を水素ドナーと称する場合がある。
【0035】
本明細書において半導体基板は、N型のバルク・ドナーが全体に分布している。バルク・ドナーは、半導体基板の元となるインゴットの製造時に、インゴット内に略一様に含まれたドーパントによるドナーである。本例のバルク・ドナーは、水素以外の元素である。バルク・ドナーのドーパントは、例えばリン、アンチモン、ヒ素、セレンまたは硫黄であるが、これに限定されない。本例のバルク・ドナーは、リンである。バルク・ドナーは、P型の領域にも含まれている。半導体基板は、半導体のインゴットから切り出したウエハであってよく、ウエハを個片化したチップであってもよい。半導体のインゴットは、チョクラルスキー法(CZ法)、磁場印加型チョクラルスキー法(MCZ法)、フロートゾーン法(FZ法)のいずれかで製造されよい。本例におけるインゴットは、MCZ法で製造されている。MCZ法で製造された基板に含まれる酸素濃度は1×1017~7×1017/cm3である。FZ法で製造された基板に含まれる酸素濃度は1×1015~5×1016/cm3である。酸素濃度が高い方が水素ドナーを生成しやすい傾向がある。バルク・ドナー濃度は、半導体基板の全体に分布しているバルク・ドナーの化学濃度を用いてよく、当該化学濃度の90%から100%の間の値であってもよい。また、半導体基板は、リン等のドーパントを含まないノンドープ基板を用いてもよい。その場合、ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度(D0)は例えば1×1010/cm3以上、5×1012/cm3以下である。ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度(D0)は、好ましくは1×1011/cm3以上である。ノンドーピング基板のバルク・ドナー濃度(D0)は、好ましくは5×1012/cm3以下である。尚、本発明における各濃度は、室温における値でよい。室温における値は、一例として300K(ケルビン)(約26.9℃)のときの値を用いてよい。
【0036】
本明細書においてP+型またはN+型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が高いことを意味し、P-型またはN-型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が低いことを意味する。また、本明細書においてP++型またはN++型と記載した場合には、P+型またはN+型よりもドーピング濃度が高いことを意味する。本明細書の単位系は、特に断りがなければSI単位系である。長さの単位をcmで表示することがあるが、諸計算はメートル(m)に換算してから行ってよい。
【0037】
本明細書において化学濃度とは、電気的な活性化の状態によらずに測定される不純物の原子密度を指す。化学濃度は、例えば二次イオン質量分析法(SIMS)により計測できる。上述したネット・ドーピング濃度は、電圧-容量測定法(CV法)により測定できる。また、拡がり抵抗測定法(SR法)により計測されるキャリア濃度を、ネット・ドーピング濃度としてよい。CV法またはSR法により計測されるキャリア濃度は、熱平衡状態における値としてよい。また、N型の領域においては、ドナー濃度がアクセプタ濃度よりも十分大きいので、当該領域におけるキャリア濃度を、ドナー濃度としてもよい。同様に、P型の領域においては、当該領域におけるキャリア濃度を、アクセプタ濃度としてもよい。本明細書では、N型領域のドーピング濃度をドナー濃度と称する場合があり、P型領域のドーピング濃度をアクセプタ濃度と称する場合がある。
【0038】
また、ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度分布がピークを有する場合、当該ピーク値を当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度がほぼ均一な場合等においては、当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度の平均値をドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。本明細書において、単位体積当りの濃度表示にatоms/cm3、または、/cm3を用いる。この単位は、半導体基板内のドナーまたはアクセプタ濃度、または、化学濃度に用いられる。atоms表記は省略してもよい。
【0039】
SR法により計測されるキャリア濃度が、ドナーまたはアクセプタの濃度より低くてもよい。拡がり抵抗を測定する際に電流が流れる範囲において、半導体基板のキャリア移動度が結晶状態の値よりも低い場合がある。キャリア移動度の低下は、格子欠陥等による結晶構造の乱れ(ディスオーダー)により、キャリアが散乱されることで生じる。
【0040】
CV法またはSR法により計測されるキャリア濃度から算出したドナーまたはアクセプタの濃度は、ドナーまたはアクセプタを示す元素の化学濃度よりも低くてよい。一例として、シリコンの半導体においてドナーとなるリンまたはヒ素のドナー濃度、あるいはアクセプタとなるボロン(ホウ素)のアクセプタ濃度は、これらの化学濃度の99%程度である。一方、シリコンの半導体においてドナーとなる水素のドナー濃度は、水素の化学濃度の0.1%から10%程度である。
【0041】
図1は、本発明の一つの実施形態に係る半導体装置100の一例を示す上面図である。
図1においては、各部材を半導体基板10の上面に投影した位置を示している。
図1においては、半導体装置100の一部の部材だけを示しており、一部の部材は省略している。
【0042】
半導体装置100は、半導体基板10を備えている。半導体基板10は、半導体材料で形成された基板である。一例として半導体基板10はシリコン基板である。半導体基板10は、上面視において端辺162を有する。本明細書で単に上面視と称した場合、半導体基板10の上面側から見ることを意味している。本例の半導体基板10は、上面視において互いに向かい合う2組の端辺162を有する。
図1においては、X軸およびY軸は、いずれかの端辺162と平行である。またZ軸は、半導体基板10の上面と垂直である。
【0043】
半導体基板10には活性部160が設けられている。活性部160は、半導体装置100が動作した場合に半導体基板10の上面と下面との間で、深さ方向に主電流が流れる領域である。活性部160の上方には、エミッタ電極が設けられているが
図1では省略している。活性部160は、上面視においてエミッタ電極で重なる領域を指してよい。また、上面視において活性部160で挟まれる領域も、活性部160に含めてよい。
【0044】
活性部160には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のトランジスタ素子を含むトランジスタ部70が設けられている。活性部160には、還流ダイオード(FWD)等のダイオード素子を含むダイオード部80が更に設けられていてもよい。
図1の例では、半導体基板10の上面における所定の配列方向(本例ではX軸方向)に沿って、トランジスタ部70およびダイオード部80が交互に配置されている。本例の半導体装置100は逆導通型IGBT(RC-IGBT)である。
【0045】
図1においては、トランジスタ部70が配置される領域には記号「I」を付し、ダイオード部80が配置される領域には記号「F」を付している。本明細書では、上面視において配列方向と垂直な方向を延伸方向(
図1ではY軸方向)と称する場合がある。トランジスタ部70およびダイオード部80は、それぞれ延伸方向に長手を有してよい。つまり、トランジスタ部70のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。同様に、ダイオード部80のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。トランジスタ部70およびダイオード部80の延伸方向と、後述する各トレンチ部の長手方向とは同一であってよい。
【0046】
ダイオード部80は、半導体基板10の下面と接する領域に、N+型のカソード領域を有する。本明細書では、カソード領域が設けられた領域を、ダイオード部80と称する。つまりダイオード部80は、上面視においてカソード領域と重なる領域である。半導体基板10の下面には、カソード領域以外の領域には、P+型のコレクタ領域が設けられてよい。本明細書では、ダイオード部80を、後述するゲート配線までY軸方向に延長した延長領域81も、ダイオード部80に含める場合がある。延長領域81の下面には、コレクタ領域が設けられている。
【0047】
トランジスタ部70は、半導体基板10の下面と接する領域に、P+型のコレクタ領域を有する。また、トランジスタ部70は、半導体基板10の上面側に、N型のエミッタ領域、P型のベース領域、ゲート導電部およびゲート絶縁膜を有するゲート構造が周期的に配置されている。
【0048】
半導体装置100は、半導体基板10の上方に1つ以上のパッドを有してよい。本例の半導体装置100は、ゲートパッド164を有している。半導体装置100は、アノードパッド、カソードパッドおよび電流検出パッド等のパッドを有してもよい。各パッドは、端辺162の近傍に配置されている。端辺162の近傍とは、上面視における端辺162と、エミッタ電極との間の領域を指す。半導体装置100の実装時において、各パッドは、ワイヤ等の配線を介して外部の回路に接続されてよい。
【0049】
ゲートパッド164には、ゲート電位が印加される。ゲートパッド164は、活性部160のゲートトレンチ部の導電部に電気的に接続される。半導体装置100は、ゲートパッド164とゲートトレンチ部とを接続するゲート配線を備える。
図1においては、ゲート配線に斜線のハッチングを付している。
【0050】
本例のゲート配線は、外周ゲート配線130と、活性側ゲート配線131とを有している。外周ゲート配線130は、上面視において活性部160と半導体基板10の端辺162との間に配置されている。本例の外周ゲート配線130は、上面視において活性部160を囲んでいる。上面視において外周ゲート配線130に囲まれた領域を活性部160としてもよい。また、ゲート配線の下方には、ウェル領域が形成されている。ウェル領域とは、後述するベース領域よりも高濃度のP型領域であり、半導体基板10の上面からベース領域よりも深い位置まで形成されている。上面視においてウェル領域で囲まれる領域を活性部160としてもよい。
【0051】
外周ゲート配線130は、ゲートパッド164と接続されている。外周ゲート配線130は、半導体基板10の上方に配置されている。外周ゲート配線130は、アルミニウム等を含む金属配線であってよい。
【0052】
活性側ゲート配線131は、活性部160に設けられている。活性部160に活性側ゲート配線131を設けることで、半導体基板10の各領域について、ゲートパッド164からの配線長のバラツキを低減できる。
【0053】
外周ゲート配線130および活性側ゲート配線131は、活性部160のゲートトレンチ部と接続される。外周ゲート配線130および活性側ゲート配線131は、半導体基板10の上方に配置されている。外周ゲート配線130および活性側ゲート配線131は、不純物がドープされたポリシリコン等の半導体で形成された配線であってよい。
【0054】
活性側ゲート配線131は、外周ゲート配線130と接続されてよい。本例の活性側ゲート配線131は、活性部160を挟む一方の外周ゲート配線130から他方の外周ゲート配線130まで、活性部160をY軸方向の略中央で横切るように、X軸方向に延伸して設けられている。活性側ゲート配線131により活性部160が分割されている場合、それぞれの分割領域において、トランジスタ部70およびダイオード部80がX軸方向に交互に配置されてよい。
【0055】
また、半導体装置100は、ポリシリコン等で形成されたPN接合ダイオードである不図示の温度センス部や、活性部160に設けられたトランジスタ部の動作を模擬する不図示の電流検出部を備えてもよい。
【0056】
本例の半導体装置100は、上面視において、活性部160と端辺162との間に、エッジ終端構造部90を備える。本例のエッジ終端構造部90は、外周ゲート配線130と端辺162との間に配置されている。エッジ終端構造部90は、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部90は、活性部160を囲んで環状に設けられたガードリング、フィールドプレートおよびリサーフのうちの少なくとも一つを備えていてよい。
【0057】
図2は、
図1における領域Dの拡大図である。領域Dは、トランジスタ部70、ダイオード部80、および、活性側ゲート配線131を含む領域である。本例の半導体装置100は、半導体基板10の上面側の内部に設けられたゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15を備える。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、それぞれがトレンチ部の一例である。また、本例の半導体装置100は、半導体基板10の上面の上方に設けられたエミッタ電極52および活性側ゲート配線131を備える。エミッタ電極52および活性側ゲート配線131は互いに分離して設けられる。
【0058】
エミッタ電極52および活性側ゲート配線131と、半導体基板10の上面との間には層間絶縁膜が設けられるが、
図2では省略している。本例の層間絶縁膜には、コンタクトホール54が、当該層間絶縁膜を貫通して設けられる。
図2においては、それぞれのコンタクトホール54に斜線のハッチングを付している。
【0059】
エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域11、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15の上方に設けられる。エミッタ電極52は、コンタクトホール54を通って、半導体基板10の上面におけるエミッタ領域12、コンタクト領域15およびベース領域14と接触する。また、エミッタ電極52は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを通って、ダミートレンチ部30内のダミー導電部と接続される。エミッタ電極52は、Y軸方向におけるダミートレンチ部30の先端において、ダミートレンチ部30のダミー導電部と接続されてよい。ダミートレンチ部30のダミー導電部は、エミッタ電極52およびゲート導電部と接続されなくてよく、エミッタ電極52の電位およびゲート導電部の電位とは異なる電位に制御されてもよい。
【0060】
活性側ゲート配線131は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを通って、ゲートトレンチ部40と接続する。活性側ゲート配線131は、Y軸方向におけるゲートトレンチ部40の先端部41において、ゲートトレンチ部40のゲート導電部と接続されてよい。活性側ゲート配線131は、ダミートレンチ部30内のダミー導電部とは接続されない。
【0061】
エミッタ電極52は、金属を含む材料で形成される。
図2においては、エミッタ電極52が設けられる範囲を示している。例えば、エミッタ電極52の少なくとも一部の領域はアルミニウムまたはアルミニウム‐シリコン合金、例えばAlSi、AlSiCu等の金属合金で形成される。エミッタ電極52は、アルミニウム等で形成された領域の下層に、チタンやチタン化合物等で形成されたバリアメタルを有してよい。さらにコンタクトホール内において、バリアメタルとアルミニウム等に接するようにタングステン等を埋め込んで形成されたプラグを有してもよい。
【0062】
ウェル領域11は、活性側ゲート配線131と重なって設けられている。ウェル領域11は、活性側ゲート配線131と重ならない範囲にも、所定の幅で延伸して設けられている。本例のウェル領域11は、コンタクトホール54のY軸方向の端から、活性側ゲート配線131側に離れて設けられている。ウェル領域11は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。本例のベース領域14はP-型であり、ウェル領域11はP+型である。
【0063】
トランジスタ部70およびダイオード部80のそれぞれは、配列方向に複数配列されたトレンチ部を有する。本例のトランジスタ部70には、配列方向に沿って1以上のゲートトレンチ部40と、1以上のダミートレンチ部30とが交互に設けられている。本例のダイオード部80には、複数のダミートレンチ部30が、配列方向に沿って設けられている。本例のダイオード部80には、ゲートトレンチ部40が設けられていない。
【0064】
本例のゲートトレンチ部40は、配列方向と垂直な延伸方向に沿って延伸する2つの直線部分39(延伸方向に沿って直線状であるトレンチの部分)と、2つの直線部分39を接続する先端部41を有してよい。
図2における延伸方向はY軸方向である。
【0065】
先端部41の少なくとも一部は、上面視において曲線状に設けられることが好ましい。2つの直線部分39のY軸方向における端部どうしを先端部41が接続することで、直線部分39の端部における電界集中を緩和できる。
【0066】
トランジスタ部70において、ダミートレンチ部30はゲートトレンチ部40のそれぞれの直線部分39の間に設けられる。それぞれの直線部分39の間には、1本のダミートレンチ部30が設けられてよく、複数本のダミートレンチ部30が設けられていてもよい。ダミートレンチ部30は、延伸方向に延伸する直線形状を有してよく、ゲートトレンチ部40と同様に、直線部分29と先端部31とを有していてもよい。
図2に示した半導体装置100は、先端部31を有さない直線形状のダミートレンチ部30と、先端部31を有するダミートレンチ部30の両方を含んでいる。
【0067】
ウェル領域11の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30のY軸方向の端部は、上面視においてウェル領域11に設けられる。つまり、各トレンチ部のY軸方向の端部において、各トレンチ部の深さ方向の底部は、ウェル領域11に覆われている。これにより、各トレンチ部の当該底部における電界集中を緩和できる。
【0068】
配列方向において各トレンチ部の間には、メサ部が設けられている。メサ部は、半導体基板10の内部において、トレンチ部に挟まれた領域を指す。一例としてメサ部の上端は半導体基板10の上面である。メサ部の下端の深さ位置は、トレンチ部の下端の深さ位置と同一である。本例のメサ部は、半導体基板10の上面において、トレンチに沿って延伸方向(Y軸方向)に延伸して設けられている。本例では、トランジスタ部70にはメサ部60が設けられ、ダイオード部80にはメサ部61が設けられている。本明細書において単にメサ部と称した場合、メサ部60およびメサ部61のそれぞれを指している。
【0069】
それぞれのメサ部には、ベース領域14が設けられる。メサ部において半導体基板10の上面に露出したベース領域14のうち、活性側ゲート配線131に最も近く配置された領域をベース領域14-eとする。
図2においては、それぞれのメサ部の延伸方向における一方の端部に配置されたベース領域14-eを示しているが、それぞれのメサ部の他方の端部にもベース領域14-eが配置されている。それぞれのメサ部には、上面視においてベース領域14-eに挟まれた領域に、第1導電型のエミッタ領域12および第2導電型のコンタクト領域15の少なくとも一方が設けられてよい。本例のエミッタ領域12はN+型であり、コンタクト領域15はP+型である。エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、深さ方向において、ベース領域14と半導体基板10の上面との間に設けられてよい。
【0070】
トランジスタ部70のメサ部60は、半導体基板10の上面に露出したエミッタ領域12を有する。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40に接して設けられている。ゲートトレンチ部40に接するメサ部60は、半導体基板10の上面に露出したコンタクト領域15が設けられていてよい。
【0071】
メサ部60におけるコンタクト領域15およびエミッタ領域12のそれぞれは、X軸方向における一方のトレンチ部から、他方のトレンチ部まで設けられる。一例として、メサ部60のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部の延伸方向(Y軸方向)に沿って交互に配置されている。
【0072】
他の例においては、メサ部60のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部の延伸方向(Y軸方向)に沿ってストライプ状に設けられていてもよい。例えばトレンチ部に接する領域にエミッタ領域12が設けられ、エミッタ領域12に挟まれた領域にコンタクト領域15が設けられる。
【0073】
ダイオード部80のメサ部61には、エミッタ領域12が設けられていない。メサ部61の上面には、ベース領域14およびコンタクト領域15が設けられてよい。メサ部61の上面においてベース領域14-eに挟まれた領域には、それぞれのベース領域14-eに接してコンタクト領域15が設けられてよい。メサ部61の上面においてコンタクト領域15に挟まれた領域には、ベース領域14が設けられてよい。ベース領域14は、コンタクト領域15に挟まれた領域全体に配置されてよい。
【0074】
それぞれのメサ部の上方には、コンタクトホール54が設けられている。コンタクトホール54は、ベース領域14-eに挟まれた領域に配置されている。本例のコンタクトホール54は、コンタクト領域15、ベース領域14およびエミッタ領域12の各領域の上方に設けられる。コンタクトホール54は、ベース領域14-eおよびウェル領域11に対応する領域には設けられない。コンタクトホール54は、メサ部60の配列方向(X軸方向)における中央に配置されてよい。
【0075】
ダイオード部80において、半導体基板10の下面と隣接する領域には、N+型のカソード領域82が設けられる。半導体基板10の下面において、カソード領域82が設けられていない領域には、P+型のコレクタ領域22が設けられてよい。カソード領域82およびコレクタ領域22は、半導体基板10の下面23と、バッファ領域20との間に設けられている。
図2においては、カソード領域82およびコレクタ領域22の境界を点線で示している。
【0076】
カソード領域82は、Y軸方向においてウェル領域11から離れて配置されている。これにより、比較的にドーピング濃度が高く、且つ、深い位置まで形成されているP型の領域(ウェル領域11)と、カソード領域82との距離を確保して、耐圧を向上できる。本例のカソード領域82のY軸方向における端部は、コンタクトホール54のY軸方向における端部よりも、ウェル領域11から離れて配置されている。他の例では、カソード領域82のY軸方向における端部は、ウェル領域11とコンタクトホール54との間に配置されていてもよい。
【0077】
図3は、
図2におけるe-e断面の一例を示す図である。e-e断面は、エミッタ領域12およびカソード領域82を通過するXZ面である。本例の半導体装置100は、当該断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。
【0078】
層間絶縁膜38は、半導体基板10の上面に設けられている。層間絶縁膜38は、ホウ素またはリン等の不純物が添加されたシリケートガラス等の絶縁膜、熱酸化膜、および、その他の絶縁膜の少なくとも一層を含む膜である。層間絶縁膜38には、
図2において説明したコンタクトホール54が設けられている。
【0079】
エミッタ電極52は、層間絶縁膜38の上方に設けられる。エミッタ電極52は、層間絶縁膜38のコンタクトホール54を通って、半導体基板10の上面21と接触している。コレクタ電極24は、半導体基板10の下面23に設けられる。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、アルミニウム等の金属材料で形成されている。本明細書において、エミッタ電極52とコレクタ電極24とを結ぶ方向(Z軸方向)を深さ方向と称する。
【0080】
半導体基板10は、N型またはN-型のドリフト領域18を有する。ドリフト領域18は、トランジスタ部70およびダイオード部80のそれぞれに設けられている。
【0081】
トランジスタ部70のメサ部60には、N+型のエミッタ領域12およびP-型のベース領域14が、半導体基板10の上面21側から順番に設けられている。ベース領域14の下方にはドリフト領域18が設けられている。メサ部60には、N+型の蓄積領域16が設けられてもよい。蓄積領域16は、ベース領域14とドリフト領域18との間に配置される。
【0082】
エミッタ領域12は半導体基板10の上面21に露出しており、且つ、ゲートトレンチ部40と接して設けられている。エミッタ領域12は、メサ部60の両側のトレンチ部と接していてよい。エミッタ領域12は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高い。
【0083】
ベース領域14は、エミッタ領域12の下方に設けられている。本例のベース領域14は、エミッタ領域12と接して設けられている。ベース領域14は、メサ部60の両側のトレンチ部と接していてよい。
【0084】
蓄積領域16は、ベース領域14の下方に設けられている。蓄積領域16は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度が高いN+型の領域である。すなわち蓄積領域16は、ドナー濃度がドリフト領域18よりも高い。ドリフト領域18とベース領域14との間に高濃度の蓄積領域16を設けることで、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、オン電圧を低減できる。蓄積領域16は、各メサ部60におけるベース領域14の下面全体を覆うように設けられてよい。
【0085】
ダイオード部80のメサ部61には、半導体基板10の上面21に接して、P-型のベース領域14が設けられている。ベース領域14の下方には、ドリフト領域18が設けられている。メサ部61において、ベース領域14の下方に蓄積領域16が設けられていてもよい。
【0086】
トランジスタ部70およびダイオード部80のそれぞれにおいて、ドリフト領域18の下にはN+型のバッファ領域20が設けられてよい。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高い濃度ピークを有してよい。濃度ピークのドーピング濃度とは、濃度ピークの頂点におけるドーピング濃度を指す。また、ドリフト領域18のドーピング濃度は、ドーピング濃度分布がほぼ平坦な領域におけるドーピング濃度の平均値を用いてよい。
【0087】
バッファ領域20は、半導体基板10の深さ方向(Z軸方向)において、2つ以上の濃度ピークを有してよい。バッファ領域20の濃度ピークは、例えば水素(プロトン)またはリンの化学濃度ピークと同一の深さ位置に設けられていてよい。バッファ領域20は、ベース領域14の下端から広がる空乏層が、P+型のコレクタ領域22およびN+型のカソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
【0088】
トランジスタ部70において、バッファ領域20の下には、P+型のコレクタ領域22が設けられる。コレクタ領域22のアクセプタ濃度は、ベース領域14のアクセプタ濃度より高い。コレクタ領域22は、ベース領域14と同一のアクセプタを含んでよく、異なるアクセプタを含んでもよい。コレクタ領域22のアクセプタは、例えばボロンである。
【0089】
ダイオード部80において、バッファ領域20の下には、N+型のカソード領域82が設けられる。カソード領域82のドナー濃度は、ドリフト領域18のドナー濃度より高い。カソード領域82のドナーは、例えば水素またはリンである。なお、各領域のドナーおよびアクセプタとなる元素は、上述した例に限定されない。コレクタ領域22およびカソード領域82は、半導体基板10の下面23に露出しており、コレクタ電極24と接続している。コレクタ電極24は、半導体基板10の下面23全体と接触してよい。エミッタ電極52およびコレクタ電極24は、アルミニウム等の金属材料で形成される。
【0090】
半導体基板10の上面21側には、1以上のゲートトレンチ部40、および、1以上のダミートレンチ部30が設けられる。各トレンチ部は、半導体基板10の上面21から、ベース領域14を貫通して、ベース領域14の下方まで設けられている。エミッタ領域12、コンタクト領域15および蓄積領域16の少なくともいずれかが設けられている領域においては、各トレンチ部はこれらのドーピング領域も貫通している。トレンチ部がドーピング領域を貫通するとは、ドーピング領域を形成してからトレンチ部を形成する順序で製造したものに限定されない。トレンチ部を形成した後に、トレンチ部の間にドーピング領域を形成したものも、トレンチ部がドーピング領域を貫通しているものに含まれる。
【0091】
上述したように、トランジスタ部70には、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30が設けられている。ダイオード部80には、ダミートレンチ部30が設けられ、ゲートトレンチ部40が設けられていない。本例においてダイオード部80とトランジスタ部70のX軸方向における境界は、カソード領域82とコレクタ領域22の境界である。
【0092】
ゲートトレンチ部40は、半導体基板10の上面21に設けられたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って設けられる。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に設けられる。つまりゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。
【0093】
ゲート導電部44は、深さ方向において、ベース領域14よりも長く設けられてよい。当該断面におけるゲートトレンチ部40は、半導体基板10の上面21において層間絶縁膜38により覆われる。ゲート導電部44は、ゲート配線に電気的に接続されている。ゲート導電部44に所定のゲート電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチ部40に接する界面の表層に電子の反転層によるチャネルが形成される。
【0094】
ダミートレンチ部30は、当該断面において、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面21に設けられたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー導電部34は、エミッタ電極52に電気的に接続されている。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って設けられる。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に設けられ、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に設けられる。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミー導電部34は、ゲート導電部44と同一の材料で形成されてよい。例えばダミー導電部34は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ダミー導電部34は、深さ方向においてゲート導電部44と同一の長さを有してよい。
【0095】
本例のゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、半導体基板10の上面21において層間絶縁膜38により覆われている。なお、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40の底部は、下側に凸の曲面状(断面においては曲線状)であってよい。本明細書では、ゲートトレンチ部40の下端の深さ位置をZtとする。
【0096】
本例の半導体装置100は、トレンチ部の下端と接して設けられたP型の第1下端領域202を備える。第1下端領域202のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度以下であってよい。本例の第1下端領域202のドーピング濃度は、ベース領域14のドーピング濃度よりも低い。P型のドーパントは、ボロンであってよく、アルミニウムであってよい。
【0097】
第1下端領域202は、ベース領域14とは離れて配置されている。第1下端領域202とベース領域14との間には、N型の領域(本例では蓄積領域16およびドリフト領域18の少なくとも一方)が設けられている。
【0098】
第1下端領域202は、X軸方向において2つ以上のトレンチ部の下端と接するように、連続して設けられている。つまり第1下端領域202は、トレンチ部の間のメサ部を覆うように設けられている。第1下端領域202は、複数のメサ部を覆っていてよい。本例の第1下端領域202は、ゲートトレンチ部40を含む2つ以上のトレンチ部の下端と接して設けられている。
【0099】
第1下端領域202は、それぞれのトランジスタ部70において、2つ以上のトレンチ部の下端と接していてよい。また、第1下端領域202は、それぞれのトランジスタ部70において2つ以上のゲートトレンチ部40の下端と接していてもよい。第1下端領域202は、それぞれのトランジスタ部70において2つ以上のダミートレンチ部30の下端とも接していてよい。第1下端領域202は、少なくとも一つのトランジスタ部70において、全てのトレンチ部の下端と接していてもよい。また第1下端領域202は、少なくとも一つのトランジスタ部70において、全てのゲートトレンチ部40の下端と接していてもよい。
【0100】
第1下端領域202は、それぞれのダイオード部80において、2つ以上のトレンチ部の下端と接していてよい。第1下端領域202は、少なくとも一つのダイオード部80において、全てのトレンチ部の下端と接していてもよい。
【0101】
第1下端領域202は、Y軸方向に延伸して設けられている。第1下端領域202のY軸方向の長さは、トレンチ部のY軸方向の長さより短い。また、第1下端領域202のY軸方向の長さは、トレンチ部のY軸方向の長さの50%以上であってよく、70%以上であってよく、90%以上であってもよい。
【0102】
第1下端領域202を設けることで、半導体装置100がターンオンした時の、トレンチ部の下端近傍における電位上昇を抑制できる。このため、ターンオン時におけるエミッタコレクタ間電圧の波形の傾き(dv/dt)を小さくでき、スイッチング時の電圧または電流波形のノイズを低減できる。
【0103】
なお第1下端領域202の電位は、エミッタ電極52の電位とは異なる。上述したように、第1下端領域202は、エミッタ電極52と接続されるベース領域14とは、Z軸方向において離れて配置されている。また第1下端領域202は、エミッタ電極52と接続されるウェル領域とは、上面視において離れて配置されている。活性部160は、X軸方向およびY軸方向の少なくとも一方において、第1下端領域202が設けられていない部分を有してよい。第1下端領域202は、いずれの電極とも接続されていない、電気的にフローティングな領域であってよい。
【0104】
図4は、上面視におけるウェル領域11および第1下端領域202の配置例を示す図である。本例の第1下端領域202は、活性部160に設けられる。第1下端領域202は、上面視において活性部160の50%以上の領域に設けられてよく、70%以上の領域に設けられてよく、90%以上の領域に設けられてもよい。
【0105】
図1に示したゲート配線の下方には、ウェル領域11が設けられている。上面視においてウェル領域11と第1下端領域202とは異なる位置に配置されている。
図4に示すように、上面視においてウェル領域11は第1下端領域202を囲むように配置されていてよい。
図4に示すように、第1下端領域202が複数の領域に分割されている場合、ウェル領域11はそれぞれの第1下端領域202を囲んでよい。
【0106】
上面視において、ウェル領域11と第1下端領域202との間には、分離領域204が設けられる。分離領域204は、上面視で第1下端領域202と重なっていない。分離領域204は、第1下端領域202と他の領域とを分離する領域である。本例の分離領域204は、ウェル領域11と第1下端領域202とを分離するN型領域を含む。当該N型領域は、例えばドリフト領域18である。N型領域は、上面視において第1下端領域202を囲むように配置される。ウェル領域11は、上面視において分離領域204を囲むように配置されている。
図4においては、分離領域204に斜線のハッチングを付している。ウェル領域11と第1下端領域202との間に分離領域204を設けることで、第1下端領域202がウェル領域11と同電位になることを防げる。これにより第1下端領域202がエミッタ電位となることを抑制し、トランジスタ部70およびダイオード部80を動作させることができる。
【0107】
本例では、活性部160において第1下端領域202が設けられていない領域の全体に分離領域204が設けられている。なお、
図19に記載のように、活性部160の内部において第1下端領域202が設けられていない部分が存在する場合、当該部分にも分離領域204が設けられてよい。活性部160の内部に配置された分離領域204は、上面視において第1下端領域202に囲まれていてよい。
【0108】
図5は、
図4におけるf-f断面の一例を示す図である。f-f断面は、第1下端領域202、分離領域204およびウェル領域11を通過するXZ面である。つまりf-f断面は、活性部160とウェル領域11との境界近傍におけるXZ面である。なお
図5においては、半導体基板10の構造を示しており、半導体基板10の上下に配置された電極および絶縁膜等の構成を省略している。また
図5においては、ゲートトレンチ部40に符号Gを付し、ダミートレンチ部30に符号Eを付している。
【0109】
図5に示すf-f断面には、複数のトランジスタ部70のうち、X軸方向において最も端に配置されたトランジスタ部70が含まれている。トランジスタ部70の構造は、
図2および
図3において説明したトランジスタ部70と同様である。なお
図5においては、G/E/G/E/・・のように、2つのゲートトレンチ部40の間に1つのダミートレンチ部30が配列されているが、G/E/E/G/E/E/・・のように2つのゲートトレンチ部40の間に2つのダミートレンチ部30が配列されていてもよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の配列は、他の構造を有していてもよい。また、分離領域204の複数のトレンチ部は、X軸方向において一定の間隔で配置されてよい。分離領域204のトレンチ部の間隔は、トランジスタ部70のトレンチ部の間隔と同一であってよい。
【0110】
トランジスタ部70のトレンチ部の下端には、第1下端領域202が設けられている。エミッタ領域12が隣接して設けられたゲートトレンチ部40(G)のうち、X軸方向において最も端に配置されたゲートトレンチ部40(G)の中央をトランジスタ部70のX軸方向の端部とする。第1下端領域202は、トランジスタ部70よりもX軸方向において外側まで延伸していてもよい。つまり第1下端領域202は、ゲートトレンチ部40およびエミッタ領域12を含むゲート構造が設けられていない領域まで延伸していてもよい。
【0111】
ウェル領域11は、半導体基板10の上面21からベース領域14よりも下方まで設けられる。ウェル領域11は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高いP+型の領域である。
【0112】
上面視において、第1下端領域202とウェル領域11との間の領域を、分離領域204とする。分離領域204には、1つ以上のトレンチ部が設けられる。本例の分離領域204には、1つ以上のゲートトレンチ部40および1つ以上のダミートレンチ部30が設けられている。分離領域204におけるトレンチ部のX軸方向の配列は、トランジスタ部70と同一であってよく、異なっていてもよい。
【0113】
分離領域204のメサ部には、ベース領域14が設けられている。ベース領域14と半導体基板10の上面21との間には、コンタクト領域15が設けられてもよい。また、ベース領域14と半導体基板10の上面21との間には、エミッタ領域12が設けられていてもよい。また、分離領域204のメサ部には、蓄積領域16が設けられていてよく、設けられていなくてもよい。例えば分離領域204のメサ部のうち、トランジスタ部70に最も近い1つ以上のメサ部には、蓄積領域16が設けられていてもよい。
【0114】
本例の第1下端領域202は、ウェル領域11よりもドーピング濃度の低いP型の領域である。第1下端領域202は、トランジスタ部70の少なくとも一部の領域に配置されている。本例の第1下端領域202は、トランジスタ部70の端部よりもウェル領域11側に延伸している。他の例では、第1下端領域202は、トランジスタ部70の端部で終端していてよく、トランジスタ部70の内部で終端していてもよい。
【0115】
分離領域204は、第2下端領域205を1つ以上有する。第2下端領域205は、ゲートトレンチ部40を含む1つ以上のトレンチ部の下端と接して設けられた第2導電型の領域である。第2下端領域205は、第1下端領域202よりもドーピング濃度が高くてよく、低くてよく、同一であってもよい。
【0116】
第2下端領域205は、トレンチ部の延伸方向(Y軸方向)に沿って連続して設けられてよい。第2下端領域205のY軸方向の長さは、第1下端領域202のY軸方向の長さと同一であってよく、第1下端領域202のY軸方向の長さの80%以上、120%以下の長さであってもよい。第2下端領域205は、トレンチ部の延伸方向(Y軸方向)に沿って離散的に設けられてもよい。
【0117】
第2下端領域205は、上面視において、第1下端領域202とウェル領域11との間に設けられる。本例の第2下端領域205は、X軸方向において、第1下端領域202とウェル領域11との間に設けられる。第2下端領域205は、第1下端領域202およびウェル領域11とは分離して設けられる。上面視において、第2下端領域205と第1下端領域202との間には、ドリフト領域18等のN型領域が設けられている。上面視において、第2下端領域205とウェル領域11との間には、ドリフト領域18等のN型領域が設けられている。また、複数の第2下端領域205が設けられる場合、上面視において2つの第2下端領域205の間には、ドリフト領域18等のN型領域が設けられている。
【0118】
X軸方向において、第1下端領域202と第2下端領域205との距離は、分離領域204におけるメサ部の幅よりも大きくてよく、小さくてもよい。また、X軸方向において、隣り合う2つの第2下端領域205の距離は、分離領域204におけるメサ部の幅よりも大きくてよく、小さくてもよい。またX軸方向において、ウェル領域11と第2下端領域205との距離は、分離領域204におけるメサ部の幅よりも大きくてよく、小さくてもよい。
【0119】
なお第2下端領域205の電位は、エミッタ電極52の電位とは異なる。第2下端領域205は、エミッタ電極52と接続されるベース領域14とは、Z軸方向において離れて配置されている。また第2下端領域205は、エミッタ電極52と接続されるウェル領域11とは、上面視において離れて配置されている。第2下端領域205は、いずれの電極とも接続されていない、電気的にフローティングな領域であってよい。
【0120】
上述したように、第1下端領域202を設けることで、半導体装置100がターンオンした時の、トレンチ部の下端近傍における電位上昇を抑制できる。このため、ターンオン時におけるエミッタコレクタ間電圧の波形の傾き(dv/dt)を小さくでき、スイッチング時の電圧または電流波形のノイズを低減できる。また分離領域204を設けることで、第1下端領域202とウェル領域11とを分離でき、トランジスタ部70およびダイオード部80を動作させることができる。一方で、第1下端領域202が存在する領域と、存在しない領域とで、トレンチ部下端近傍の電界にアンバランスが生じてしまう。特に第1下端領域202を設けないゲートトレンチ部40の下端近傍に電界が集中してアバランシェが発生しやすくなり、クランプ耐量およびラッチアップ耐量が低下してしまう。
【0121】
これに対して半導体装置100においては、分離領域204における少なくとも1つのゲートトレンチ部40の下端に、第2下端領域205を設ける。これにより、分離領域204のゲートトレンチ部40の下端近傍における電界集中を緩和できる。このため、半導体装置100の耐圧または耐量を向上できる。
【0122】
第2下端領域205は、分離領域204における2つ以上のゲートトレンチ部40のそれぞれに対して設けられてよい。それぞれの第2下端領域205は、互いに分離している。
図5の例では、分離領域204における全てのゲートトレンチ部40の下端に第2下端領域205が設けられている。本例において、それぞれの第2下端領域205は、1つのゲートトレンチ部40の下端と接しており、且つ、当該1つのゲートトレンチ部40以外の他のゲートトレンチ部40の下端とは接していない。
図5の例では、それぞれの第2下端領域205は、1つのゲートトレンチ部40の下端と接しており、他のトレンチ部の下端とは接していない。第2下端領域205のX軸方向の幅は、ゲートトレンチ部40のX軸方向の幅より小さくてよく、同一であってよく、大きくてもよい。第2下端領域205は、ゲートトレンチ部40の最も下方の箇所(ゲートトレンチ部40の底面)を覆っていることが好ましい。
【0123】
第2下端領域205は、第1下端領域202と同一の深さ位置に設けられた部分を有してよい。つまり第2下端領域205が設けられるZ軸方向の範囲と、第1下端領域202が設けられるZ軸方向の範囲とは、少なくとも部分的に重複してよい。第2下端領域205とベース領域14との間には、ドリフト領域18および蓄積領域16の少なくとも一方が配置されてよい。
【0124】
図6は、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の他の配列例を示す図である。本例の活性部160には、2つのゲートトレンチ部40の間に2つのダミートレンチ部30が設けられている。また、ゲートトレンチ部40は、X方向において連続して配置されていない。つまり、1つのゲートトレンチ部40と、2つのダミートレンチ部30とが交互に配置されている。他の構造は、
図1から
図5において説明した例と同様である。本例においても分離領域204の1つ以上のゲートトレンチ部40には、第2下端領域205が設けられている。
【0125】
図5および
図6のいずれの例においても、1つの第2下端領域205が接するトレンチ部の個数は、1つの第1下端領域202が接するトレンチ部の個数よりも少ない。例えば
図6の例では、1つの第2下端領域205が接するトレンチ部の個数は1個であるのに対して、1つの第1下端領域202は、複数のトレンチ部と接している。1つの第1下端領域202は、複数のゲートトレンチ部40および複数のダミートレンチ部30の下端と接していてよい。
【0126】
図7は、トレンチ部の下端の深さ位置における電界の、X軸方向における分布例を示す図である。
図7は、定格電流の5倍以上(本例では6倍)の電流について、トランジスタ部70をターンオフした場合の電界分布を示している。
図7においては、ゲートトレンチ部40の下端のX軸方向の位置を記号Gで示し、ダミートレンチ部30の下端のX軸方向の位置を記号Eで示している。また、第1下端領域202および第2下端領域205が設けられるX軸方向の位置を模式的に示している。なお、
図7における実線は、
図6に示したように第1下端領域202および第2下端領域205を設けた場合の電界分布であり、破線は、第2下端領域205を設けず、第1下端領域202だけを設けた場合の電界分布である。
【0127】
第2下端領域205を設けない場合、
図7の破線で示すように、第1下端領域202で覆われていないトレンチ部の下端における電界が大きくなる。特にゲートトレンチ部40(G)の下端における電界集中が顕著である。このため、当該ゲートトレンチ部40の下端近傍に電界が集中してアバランシェが発生しやすくなり、クランプ耐量およびラッチアップ耐量が低下してしまう。
【0128】
これに対して第2下端領域205を設けることで、
図7の実線に示すように、当該ゲートトレンチ部40の下端近傍における電界を減少できる。このため、半導体装置100の耐圧および耐量を向上できる。
【0129】
図8は、第2下端領域205の他の例を示す図である。本例の第2下端領域205は、1つのゲートトレンチ部40の下端と接しており、且つ、X軸方向において当該ゲートトレンチ部40の隣に配置されたダミートレンチ部30の下端とも接している。
図8の例では、第2下端領域205は、1つのゲートトレンチ部40の下端、および、X軸方向において当該ゲートトレンチ部40を挟む2つのダミートレンチ部30の下端に接している。隣り合うダミートレンチ部30に挟まれたメサ部60の下方には、第2下端領域205は設けられていない。すなわち、隣り合うダミートレンチ部30に設けられた第2下端領域205は分離されている。上面視において、分離された2つの第2下端領域205の間には、N型領域が設けられている。当該N型領域は、例えばドリフト領域18である。このような構成により、これらのダミートレンチ部30の下端近傍における電界集中も緩和できる。このため、半導体装置100の耐圧および耐量を更に向上できる。
【0130】
図9Aは、第1下端領域202および第2下端領域205の近傍の拡大図である。本例の第2下端領域205は、複数のトレンチ部の下端と接している。ゲートトレンチ部40の下端における第2下端領域205のドーピング濃度をDgとする。ドーピング濃度Dgは、ゲートトレンチ部40の最も下方の点を通り、且つ、Z軸に平行なm-m線における、第2下端領域205のドーピング濃度の積分値I
Dgを、第2下端領域205の上端から下端までの深さ方向の幅T2で割った平均値であってよく、最大値であってもよい。同様に、ダミートレンチ部30の下端における第2下端領域205のドーピング濃度をDdとする。ドーピング濃度Ddは、ダミートレンチ部30の最も下方の点を通り、且つ、Z軸に平行なk-k線における、第2下端領域205のドーピング濃度の積分値I
Ddを、第2下端領域205の上端から下端までの深さ方向の幅T2で割った平均値であってよく、最大値であってもよい。
【0131】
ドーピング濃度Dgは、ドーピング濃度Ddよりも大きくてよい。積分値I
Dgは、積分値I
Ddよりも大きくてよい。
図7に示すように、ダミートレンチ部30よりもゲートトレンチ部40に電界が集中しやすいので、ドーピング濃度Dgもしくは積分値I
Dgを比較的に大きくすることで、ゲートトレンチ部40に対する電界集中を緩和でき、半導体装置100の耐圧および耐量を向上できる。
【0132】
また、第1下端領域202の、ゲートトレンチ部40の下端におけるドーピング濃度をD1とする。ドーピング濃度D1は、ゲートトレンチ部40の最も下方の点を通り、且つ、Z軸に平行なi-i線における、第1下端領域202のドーピング濃度の積分値ID1を、第1下端領域202の上端から下端までの深さ方向の幅T1で割った平均値であってよく、最大値であってもよい。第1下端領域202は、ゲートトレンチ部40の下端およびダミートレンチ部30の下端において、同一のドーピング濃度を有してよい。
【0133】
ドーピング濃度Dgは、ドーピング濃度D1よりも大きくてよい。積分値IDgは、積分値ID1よりも大きくてよい。これにより、分離領域204におけるゲートトレンチ部40に対する電界集中を緩和できる。ドーピング濃度Dgは、ドーピング濃度D1の2倍以上であってよく、5倍以上であってよく、10倍以上であってもよい。また、ドーピング濃度Ddは、ドーピング濃度D1よりも小さくてよい。積分値IDgは、積分値ID1の2倍以上であってよく、5倍以上であってよく、10倍以上であってもよい。また、積分値IDdは、積分値ID1よりも小さくてよい。このような構成により、各トレンチ部の下端の電界を均一化しやすくなる。ドーピング濃度Ddは、ドーピング濃度D1の0.5倍以下であってよく、0.2倍以下であってよく、0.1倍以下であってもよい。積分値IDdは、積分値ID1の0.5倍以下であってよく、0.2倍以下であってよく、0.1倍以下であってもよい。
【0134】
また、1つの第1下端領域202が接するトレンチ部の個数をq個とする。
図8の例では、qは4以上の整数である。1つの第1下端領域202の各トレンチ部の下端におけるドーピング濃度の総和を、Dsum1とする。同様に、1つの第2下端領域205が接するトレンチ部の個数をr個とする。
図8の例では、rは3である。1つの第2下端領域205の各トレンチ部の下端におけるドーピング濃度の総和を、Dsum2とする。Dsum2/rは、Dsum1/qよりも小さくてよい。つまり、1つの第2下端領域205に接する各トレンチ部の下端におけるドーピング濃度の平均値は、1つの第1下端領域202に接する各トレンチ部の下端におけるドーピング濃度の平均値よりも小さくてよい。
また、1つの第1下端領域202の各トレンチ部において、各トレンチ部の最も下方の点を通り、且つ、Z軸に平行なm-m線における、第1下端領域202のドーピング濃度の積分値の総和を、I
Dsum1とする。同様に、1つの第2下端領域205が接するトレンチ部の個数をr個とする。
図8の例では、rは3である。1つの第2下端領域205の各トレンチ部において、各トレンチ部の最も下方の点を通り、且つ、Z軸に平行なm-m線における、第1下端領域202のドーピング濃度の積分値の総和を、I
Dsum2とする。I
Dsum2/rは、I
Dsum1/qよりも小さくてよい。つまり、1つの第2下端領域205に接する各トレンチ部のドーピング濃度の積分値は、1つの第1下端領域202に接する各トレンチ部のドーピング濃度の積分値よりも小さくてよい。
【0135】
図9Bは、
図9Aの形成工程の一例を示す図である。一例として第1下端領域202は、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30のそれぞれの下端に、一定の第1ドーズ量でP型ドーパントを注入して形成される。P型ドーパントを注入した後に半導体基板10を熱処理することで、それぞれのトレンチ部下端のP型ドーパントがX軸方向に拡散して、連続した第1下端領域202が形成される。イオン注入等により、トレンチ部の下方にP型ドーパントが導入される。熱処理により、P型ドーパントは深さ方向(Z軸方向)および横方向(X軸方向)に広がる。隣り合うトレンチ部の下方から横方向に広がったP型ドーパントは、メサ部の中央部で重なり合う。その結果、
図9Bに示すように、第1下端領域202はメサ部の中央で若干ドーピング濃度が低くなる。さらに第1下端領域202の横方向の端部は、分離領域204側の-X軸方向端部に位置するダミートレンチ部30まで、あるいはメサ部まで延伸してよい。
【0136】
一方で、分離領域204においては、ゲートトレンチ部40の下端に一定の第1ドーズ量でP型ドーパントを注入してよい。P型ドーパントを注入した後に半導体基板10を熱処理することで、ゲートトレンチ部40の下端に注入したP型ドーパントがX軸方向に拡散して、ダミートレンチ部30の下端に到達する。この場合、第2下端領域205の各トレンチ部の下端におけるドーピング濃度の平均値は、第1下端領域202の各トレンチ部の下端におけるドーピング濃度の平均値よりも小さくなる。このような構成により、第2下端領域205がX軸方向に広がりすぎて、第1下端領域202またはウェル領域11と接続することを防げる。
【0137】
図10は、分離領域204の他の構成例を示す図である。本例の分離領域204は、第3下端領域207を備える点で、
図1から
図9Bにおいて説明した分離領域204と相違する。他の構造は、
図1から
図9Bにおいて説明したいずれかの分離領域204と同様である。
【0138】
第3下端領域207は、分離領域204において、1つ以上のダミートレンチ部30に対して設けられる。第3下端領域207は、ダミートレンチ部30の下端に接して設けられており、且つ、当該ダミートレンチ部30の隣のトレンチ部の下端には接していない。第3下端領域207は、第1下端領域202、第2下端領域205およびウェル領域11のいずれとも分離して設けられている。第3下端領域207と、第1下端領域202、第2下端領域205およびウェル領域11との間には、ドリフト領域18等のN型領域が設けられる。
【0139】
なお第3下端領域207の電位は、エミッタ電極52の電位とは異なる。第3下端領域207は、エミッタ電極52と接続されるベース領域14とは、Z軸方向において離れて配置されている。また第3下端領域207は、エミッタ電極52と接続されるウェル領域11とは、上面視において離れて配置されている。第3下端領域207は、いずれの電極とも接続されていない、電気的にフローティングな領域であってよい。
【0140】
第3下端領域207が接するダミートレンチ部30は、第2下端領域205が接するゲートトレンチ部40の隣に配置されている。本例では、分離領域204の全てのゲートトレンチ部40に第2下端領域205が設けられ、分離領域204の全てのダミートレンチ部30に第3下端領域207が設けられている。本例によっても、分離領域204の各トレンチ部の下端における電界集中を緩和できる。
【0141】
図11は、第1下端領域202、第2下端領域205および第3下端領域207のZ軸方向におけるドーピング濃度の分布例を示す図である。第1下端領域202のドーピング濃度分布は、ゲートトレンチ部40の最も下方の点を通り、且つ、Z軸に平行なa-a線(
図10参照)における分布である。第2下端領域205のドーピング濃度分布は、ゲートトレンチ部40の最も下方の点を通り、且つ、Z軸に平行なb-b線(
図10参照)における分布である。第3下端領域207のドーピング濃度分布は、ダミートレンチ部30の最も下方の点を通り、且つ、Z軸に平行なc-c線(
図10参照)における分布である。
【0142】
第1下端領域202のドーピング濃度のピーク値をDa、第2下端領域205のドーピング濃度のピーク値をDb、第3下端領域207のドーピング濃度のピーク値をDcとする。ピーク値Dbは、ピーク値Daより大きくてよい。ピーク値Dbは、ピーク値Daの2倍以上であってよく、5倍以上であってよく、10倍以上であってもよい。ピーク値Daは、ピーク値Dcより大きくてよい。ドーピング濃度Daは、ドーピング濃度Dcの2倍以上であってよく、5倍以上であってよく、10倍以上であってもよい。ドリフト領域18とのpn接合は、第2下端領域205が最も下面23側(+Z軸方向側)に位置してよく、第3下端領域207が最も上面21側(-Z軸方向側)に位置してよい。
【0143】
また、ゲートトレンチ部40の下端からドリフト領域18の上端まで第1下端領域202のドーピング濃度を積分した積分値をIa、ゲートトレンチ部40の下端からドリフト領域18の上端まで第2下端領域205のドーピング濃度を積分した積分値をIb、ダミートレンチ部30の下端からドリフト領域18の上端まで第3下端領域207のドーピング濃度を積分した積分値をIcとする。積分値Ibは、積分値Iaより大きくてよい。積分値Ibは、積分値Iaの2倍以上であってよく、5倍以上であってよく、10倍以上であってもよい。積分値Iaは、積分値Icより大きくてよい。積分値Iaは、積分値Icの2倍以上であってよく、5倍以上であってよく、10倍以上であってもよい。
【0144】
なお、
図9Aにおけるi-i線におけるドーピング濃度分布は、本例のa-a線におけるドーピング濃度分布と同様であってよい。
図9Aにおけるm-m線におけるドーピング濃度分布は、本例のb-b線におけるドーピング濃度分布と同様であってよい。
図9Aにおけるk-k線におけるドーピング濃度分布は、本例のc-c線におけるドーピング濃度分布と同様であってよい。
【0145】
図12は、分離領域204の他の例を示す図である。本例の分離領域204は、第2下端領域205の配置が、
図1から
図11において説明した例と異なる。他の構造は、
図1から
図11において説明したいずれかの例と同様である。
【0146】
本例の分離領域204は、少なくとも1つのゲートトレンチ部40の下端に、第2下端領域205が設けられていない。つまり、少なくともゲートトレンチ部40の下端は、ドリフト領域18等のN型領域と接している。分離領域204において、第2下端領域205が設けられていないゲートトレンチ部40に接するメサ部には、エミッタ領域12が設けられてよい。これにより、第2下端領域205が設けられていないゲートトレンチ部40がオン状態になった場合に、ドリフト領域18に対して電子を供給しやすくなる。これにより、ドリフト領域18におけるキャリア濃度を上昇でき、オン抵抗を低減できる。
【0147】
分離領域204のゲートトレンチ部40のうち、第1下端領域202に最も近いゲートトレンチ部40の下端がドリフト領域18と接していてよい。これにより、トランジスタ部70の近傍において電子を供給できる。
【0148】
図13は、分離領域204の他の例を示す図である。本例の半導体基板10には、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30が2つずつ交互に配置されている。つまり半導体基板10は、X軸方向において、ダミートレンチ部30を間に挟まずに隣り合って配置された2つのゲートトレンチ部40と、ゲートトレンチ部40を間に挟まずに隣り合って配置された2つのダミートレンチ部30とを有する。トレンチ部の配列以外の構造は、
図1から
図12において説明したいずれかの例と同様である。
【0149】
本例の分離領域204は、少なくとも1つのゲートトレンチ部40の下端に、第2下端領域205が設けられていない。本例では、連続して配置された2つのゲートトレンチ部40のうち、一方のゲートトレンチ部40には第2下端領域205が設けられ、他方のゲートトレンチ部40には第2下端領域205が設けられていない。このような構成により、1組のゲートトレンチ部40に対して電界集中を緩和しつつ、電子供給機能を維持できる。1組のゲートトレンチ部40のうち、トランジスタ部70から遠いほうのゲートトレンチ部40に第2下端領域205が設けられ、トランジスタ部70に近いほうのゲートトレンチ部40に第2下端領域205が設けられていなくてよい。これにより、電界集中を緩和しつつ、比較的にトランジスタ部70の近傍において電子を供給できる。
【0150】
図14は、
図4におけるg-g断面の一例を示す図である。g-g断面は、第1下端領域202およびウェル領域11を通過するYZ面である。g-g断面は、トランジスタ部70のメサ部を通過している。ただし
図14においては、ゲートトレンチ部40をg-g断面に投影した位置を破線で示している。なお
図14においては、半導体基板10の構造を示しており、半導体基板10の上下に配置された電極および絶縁膜等の構成を省略している。
【0151】
当該断面においても、トランジスタ部70とウェル領域11との間には、分離領域204が設けられている。ただし、当該断面における分離領域204は、第2下端領域205および第3下端領域207が設けられていない。第1下端領域202とウェル領域11の間には、ドリフト領域18が設けられている。
【0152】
トランジスタ部70の上面21には、エミッタ領域12とコンタクト領域15とがY軸方向に沿って交互に配置されている。分離領域204の上面21にはコンタクト領域15が設けられている。
【0153】
本例の蓄積領域16は、トランジスタ部70の端部よりもウェル領域11側に延伸して設けられている。他の例では蓄積領域16は、トランジスタ部70の端部で終端していてよく、トランジスタ部70の内部で終端していてもよい。
【0154】
本例の第1下端領域202は、トランジスタ部70の端部よりもウェル領域11側に延伸している。他の例では、第1下端領域202は、トランジスタ部70の端部で終端していてよく、トランジスタ部70の内部で終端していてもよい。蓄積領域16は、第1下端領域202よりもウェル領域11側に延伸していてよい。
【0155】
分離領域204は、上面視において蓄積領域16と重なっていてよい。すなわち蓄積領域16の端部は、上面視で分離領域204の内部にあってよい。他の例では、分離領域204は、上面視において蓄積領域16と重ならなくてもよい。すなわち蓄積領域16の端部は、上面視で分離領域204よりも内側(-Y軸方向側)にあってよい。当該断面において分離領域204は、トランジスタ部70と重ならないように設けられてよい。他の例では、当該断面において分離領域204は、トランジスタ部70と重なっていてもよい。
【0156】
図15は、
図5におけるh-h断面の一例を示す図である。h-h断面は、第2下端領域205およびウェル領域11を通過するYZ面である。h-h断面のY軸方向における位置は、
図14に示したg-g断面と同一である。h-h断面は、分離領域204のメサ部を通過している。ただし
図15においては、ゲートトレンチ部40をh-h断面に投影した位置を破線で示している。なお
図15においては、半導体基板10の構造を示しており、半導体基板10の上下に配置された電極および絶縁膜等の構成を省略している。
【0157】
当該断面の半導体基板10には、
図14に示した断面の第1下端領域202に代えて、第2下端領域205が設けられている。また、半導体基板10の上面21には、コンタクト領域15が連続して設けられている。他の構造は、
図14において説明した例と同様である。Y軸方向において、第2下端領域205とウェル領域11との距離は、第1下端領域202とウェル領域11との距離と同一であってよく、大きくてよく、小さくてもよい。
【0158】
図16は、h-h断面の他の例を示す図である。本例のh-h断面においては、半導体基板10の上面21における構造が、
図14に示したg-g断面と同様である。つまり、Y軸方向に沿ってエミッタ領域12およびコンタクト領域15が交互に配置されている。
【0159】
本例では、ゲートトレンチ部40の長手方向(Y軸方向)に沿って、複数の第2下端領域205が互いに離れて離散的に配置されている。半導体基板10の上面21における構造と、第2下端領域205の配置以外は、
図15の例と同様である。Y軸方向に沿って第2下端領域205を配置することで電界集中を緩和しつつ、第2下端領域205を離散的に配置することで電子供給機能も維持できる。なお第1下端領域202は、
図14に示したように、Y軸方向において連続して配置されることが好ましい。これにより、トランジスタ部70およびダイオード部80の広い範囲において、スイッチング時の電圧または電流波形のノイズを低減できる。
【0160】
それぞれの第2下端領域205は、上面視においてエミッタ領域12(またはソース領域212)と重なるように配置されてよい。第2下端領域205は、エミッタ領域12(またはソース領域212)毎に設けられてよい。それぞれの第2下端領域205は、対応するエミッタ領域12(またはソース領域212)のY軸方向の全体を覆うように配置されてよい。エミッタ領域12に向けて電子電流が流れるので、エミッタ領域12の下方は比較的に大きな電流が流れる。エミッタ領域12の下方に第2下端領域205を設けることで、大きな電流が流れる領域の電界を抑制でき、当該領域の耐量を向上させることができる。
【0161】
図15および
図16においては、ゲートトレンチ部40の近傍における第2下端領域205のY軸方向の構造を説明したが、他の領域における第2下端領域205も同様のY軸方向の構造を有する。また、第3下端領域207も、
図15および
図16において説明した第2下端領域205と同様のY軸方向の構造を有してよい。
【0162】
図17は、半導体装置100の製造方法の一部の工程を示す図である。半導体装置100の製造方法においては、
図1から
図16において説明した各構成を形成する。
図17に示す工程は、ドーピング領域形成段階S1700、トレンチ形成段階S1702、下端領域形成段階S1704およびトレンチ構造形成段階S1706を備える。
【0163】
ドーピング領域形成段階S1700においては、半導体基板10の上面21側に配置されたドーピング領域を形成する。ドーピング領域は、例えばウェル領域11、エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15および蓄積領域16の少なくとも一つを含む。なおドリフト領域18は、これらのドーピング領域が形成されずに残存した領域であってよい。
【0164】
トレンチ形成段階S1702においては、半導体基板10の上面21にトレンチを形成する。トレンチは、各トレンチ部を形成するための溝である。それぞれのトレンチは、上面21からドリフト領域18に達する深さまで形成される。トレンチ形成段階S1702においては、少なくともトレンチ内の導電部は形成しない。トレンチ内の絶縁膜は形成してもよいし、形成しなくてもよい。
【0165】
下端領域形成段階S1704においては、第1下端領域202および第2下端領域205を形成する。下端領域形成段階S1704においては、第3下端領域207も形成してよい。下端領域形成段階S1704においては、トレンチを介して半導体基板10にP型のドーパントイオンを注入してよい。下端領域形成段階S1704では、トレンチ以外の部分をマスクした状態で、半導体基板10の上面21からP型ドーパントイオンを注入してよい。これにより、トレンチの下端に接する領域に、P型ドーパントイオンを容易に注入できる。ドーピング領域形成段階S1700および下端領域形成段階S1704では、ドーパントを注入した後に半導体基板10を熱処理する。
【0166】
トレンチ構造形成段階S1706では、それぞれのトレンチの内部に導電部および絶縁膜を形成する。トレンチ構造形成段階S1706では、トレンチの内壁を熱酸化することで絶縁膜を形成してよい。トレンチ構造形成段階S1706では、絶縁膜を形成したトレンチの内部にポリシリコン等の導電材料を充填して導電部を形成してよい。
【0167】
図18は、下端領域形成段階S1704の一例を説明する図である。本例の下端領域形成段階S1704は、第1注入段階S1801および第2注入段階S1802を有する。第1注入段階S1801および第2注入段階S1802はいずれを先に行ってよく、同時に行ってもよい。
【0168】
第1注入段階S1801では、第1下端領域202を形成すべき領域に対して、所定の濃度(/cm2)のP型ドーパントイオンを注入する。本例の第1注入段階S1801では、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30のそれぞれのトレンチ45の底部からP型ドーパントイオンを注入する。
【0169】
第2注入段階S1802では、分離領域204を形成すべき領域に対してP型ドーパントイオンを注入する。本例の第2注入段階S1802では、ゲートトレンチ部40のそれぞれのトレンチ45の底部からP型ドーパントイオンを注入する。第2注入段階S1802における単位面積当たりのドーズ量(ions/cm2)は、第1注入段階S1801におけるドーズ量(ions/cm2)と同一であってよく、異なっていてもよい。第1注入段階S1801および第2注入段階S1802を同時に行う場合、これらのドーズ量は同一である。第1注入段階S1801および第2注入段階S1802では、マスク300により、トレンチ45以外の領域をマスクしてよい。トレンチ45を介して注入されたドーパントは、熱処理により拡散する。これにより、XY面において連続する第1下端領域202を形成できる。また当該熱処理の条件により、第2下端領域205を隣のトレンチ45の下端まで形成するか否かを制御できる。
【0170】
製造方法は、第3下端領域207を形成するための第3注入段階を更に備えてよい。第3下端領域207のドーピング濃度を、第2下端領域205のドーピング濃度と異ならせる場合、第3注入段階は、第2注入段階S1802とは異なる工程で実施される。
【0171】
図19は、
図4におけるj-j断面の一例を示す図である。j-j断面は、活性部160を通過するXZ面である。本例の半導体装置100は、活性部160の内部に分離領域204を有する。分離領域204の構造は、本明細書において説明したいずれかの態様の分離領域204と同様である。分離領域204には、1つ以上の第2下端領域205が設けられている。
【0172】
本例の分離領域204は、上面視において2つの第1下端領域202に挟まれている。
図19の例では、分離領域204が、X軸方向において2つの第1下端領域202に挟まれている。分離領域204には、複数の第2下端領域205が設けられてよい。
図19に示すようにX軸方向において、2つのトランジスタ部70の間に分離領域204が設けられてよい。X軸方向において、2つの分離領域204の間にトランジスタ部70が設けられてよい。
【0173】
図20は、f-f断面の他の例を示す図である。
図20においては、半導体基板10の上面21の上方の構造も合わせて示している。本例の半導体装置100はMOSFETである。
【0174】
半導体装置100は、本明細書で説明した各例におけるコレクタ領域22に代えて、半導体基板10の下面23に接して設けられたN+型のドレイン領域222を有する。また、本明細書で説明した各例におけるエミッタ領域12およびエミッタ電極52は、ソース領域212およびソース電極252として機能する。ソース領域212およびソース電極252は、エミッタ領域12およびエミッタ電極52と同様の構造を有する。また、本明細書で説明した各例におけるコレクタ電極24(
図3等参照)はドレイン電極として機能する。半導体基板10はSiC(炭化珪素)基板であってよい。
【0175】
半導体基板10は、上面視の端部において、段差(凹部)を有してよい。ウェル領域11は、当該段差に形成されてよい。ウェル領域11は、JTE(Junction Termination Extension)として機能してよい。
【0176】
図21は、分離領域204の他の構造例を示す図である。本例の分離領域204は、本明細書で説明したいずれの態様の半導体装置100に適用してよい。本例において、第2下端領域205と接するゲートトレンチ部40のうちの少なくとも1つのゲートトレンチ部40のゲート導電部44は、第1下端領域202と接するゲートトレンチ部40のゲート導電部44よりも、深さ方向において短い。第2下端領域205と接する全てのゲートトレンチ部40のゲート導電部44が、第1下端領域202と接するゲートトレンチ部40のゲート導電部44よりも、深さ方向において短くてよい。
【0177】
第2下端領域205と接するゲートトレンチ部40のゲート導電部44の長さは、第1下端領域202と接するゲートトレンチ部40のゲート導電部44の長さの90%以下であってよく、80%以下であってよく、70%以下であってもよい。ただし、第2下端領域205と接するゲートトレンチ部40のゲート導電部44は、ベース領域14よりも下方まで設けられてよい。本例において、第2下端領域205と接するゲートトレンチ部40の下端のゲート絶縁膜42は、第1下端領域202と接するゲートトレンチ部40の下端のゲート絶縁膜42よりも、深さ方向において厚い。
【0178】
本例によれば、第2下端領域205と接するゲートトレンチ部40の下端のゲート絶縁膜42を厚くできるので、当該ゲートトレンチ部40の耐圧を更に高めることができる。第1下端領域202と接するゲートトレンチ部40と、第2下端領域205と接するゲートトレンチ部40の深さ方向の長さは、同一であってよく異なっていてもよい。
【0179】
第2下端領域205と接するゲートトレンチ部40のうちの少なくとも1つにおいて、ゲート導電部44の下面の中央が上方に凸の形状を有してよい。つまり、当該ゲート導電部44は、ゲート絶縁膜42と接する位置の長さが、X軸方向においてゲート絶縁膜42から最も離れた位置(すなわち、X軸方向におけるゲート導電部44の中心位置)の長さよりも、大きい。このような構造により、ベース領域14に形成されるチャネルの深さ方向の長さを確保できるとともに、ゲートトレンチ部の底部における電界強度を緩和し、ゲート絶縁膜の破壊、ホットキャリア注入等を抑制し、ゲート絶縁膜の信頼性を高くすることができる。ゲート絶縁膜42と接する位置のゲート導電部44の長さは、ゲート絶縁膜42から最も離れた位置のゲート導電部44の長さの1.05倍以上であってよく、1.1倍以上であってよく、1.2倍以上であってもよい。
【0180】
第1下端領域202と接するゲートトレンチ部40においては、ゲート導電部44の下面の中央が下方に凸の形状を有してよい。他の例では、第1下端領域202と接するゲートトレンチ部40も、ゲート導電部44の下面の中央が上方に凸の形状を有してよい。
【0181】
図22は、分離領域204の他の構造例を示す図である。本例の分離領域204は、本明細書で説明したいずれの態様の半導体装置100に適用してよい。本例では、第2下端領域205に接するゲートトレンチ部40の少なくとも1つが、第1下端領域202に接するゲートトレンチ部40よりも、深さ方向において短い。第2下端領域205に接するゲートトレンチ部40の全てが、第1下端領域202に接するゲートトレンチ部40よりも、深さ方向において短くてよい。このような構造により、分離領域204におけるゲートトレンチ部40の下端に対する電界集中を更に緩和できる。本例では、深さ方向において、第2下端領域205とベース領域14との間にドリフト領域18が介在する。言い換えると、第2下端領域205の上側でドリフト領域18がゲートトレンチ部40に接している。しかし、第2下端領域205とベース領域14とが直接的に、あるいは他のP型の半導体領域を介して間接的に接続されてもよい。
【0182】
第2下端領域205と接するゲートトレンチ部40の長さは、第1下端領域202と接するゲートトレンチ部40の長さの0.9倍以下であってよく、0.8倍以下であってよく、0.7倍以下であってもよい。ただし第2下端領域205と接するゲートトレンチ部40は、ベース領域14よりも下方まで形成されている。第2下端領域205に接するゲートトレンチ部40は、X軸方向において隣り合うダミートレンチ部30よりも、深さ方向において短くてよい。当該ダミートレンチ部30の長さは、第1下端領域202に接するゲートトレンチ部40の長さと同一であってよく、異なっていてもよい。第2下端領域205と接するゲートトレンチ部40の長さは、隣り合うダミートレンチ部30の長さの0.9倍以下であってよく、0.8倍以下であってよく、0.7倍以下であってもよい。
【0183】
図23は、分離領域204の他の構造例を示す図である。本例の分離領域204は、本明細書で説明したいずれの態様の半導体装置100に適用してよい。本例では、分離領域204のダミートレンチ部30の少なくとも1つは、第1下端領域202と接するダミートレンチ部30よりも、深さ方向に長い。分離領域204のダミートレンチ部30の全てが、第1下端領域202と接するダミートレンチ部30よりも、深さ方向に長くてよい。このような構造により、分離領域204におけるゲートトレンチ部40の下端に対する電界集中を更に緩和できる。分離領域204のダミートレンチ部30の長さは、第1下端領域202と接するダミートレンチ部30の長さの1.1倍以上であってよく、1.2倍以上であってよく、1.3倍以上であってもよい。分離領域204のダミートレンチ部30は、ウェル領域11よりも浅く形成されてよい。
【0184】
第2下端領域205に接するゲートトレンチ部40は、X軸方向において隣り合うダミートレンチ部30よりも、深さ方向において短くてよい。第2下端領域205に接するゲートトレンチ部40の長さは、第1下端領域202に接するゲートトレンチ部40の長さと同一であってよく、異なっていてもよい。第2下端領域205と接するゲートトレンチ部40の長さは、隣り合うダミートレンチ部30の長さの0.9倍以下であってよく、0.8倍以下であってよく、0.7倍以下であってもよい。
【0185】
図24は、分離領域204の他の構造例を示す図である。本例の分離領域204は、本明細書で説明したいずれの態様の半導体装置100に適用してよい。本例の分離領域204は、第1下端領域202と接するゲートトレンチ部40の隣りに、第1下端領域202および第2下端領域205と接していないダミートレンチ部30が2つ以上連続して配置されている。本例の分離領域204は、当該2つ以上のダミートレンチ部30の下端と接して設けられた、第2導電型の第4下端領域214を更に備える。第4下端領域214の深さ位置およびドーピング濃度は、第1下端領域202と同一であってよい。第4下端領域214は、X軸方向において第1下端領域202および第2下端領域205の間に配置されてよい。第4下端領域214は、第1下端領域202および第2下端領域205のいずれとも分離している。
【0186】
本例では、深さ方向において、第2下端領域205とベース領域14との間にドリフト領域18が介在する。分離領域204において、ゲートトレンチ部40と接するメサ部にはエミッタ領域12(またはソース領域212)が設けられてよい。本例によれば、分離領域204の少なくとも一部もトランジスタ部として動作させることができる。当該ゲートトレンチ部40の下端には第2下端領域205が設けられている。第2下端領域205は、X軸方向において2つの第4下端領域214に挟まれていてよい。なお、一部の第2下端領域205とベース領域14とが直接的に、あるいは他のP型の半導体領域を介して間接的に接続されてもよい。
【0187】
分離領域204におけるゲートトレンチ部40および第2下端領域205は、本明細書において説明したいずれかの例と同様である。
図24の例では、
図22において説明したゲートトレンチ部40および第2下端領域205を設けている。これにより、当該ゲートトレンチ部40に対する電界集中を緩和できる。また、第2下端領域205と第4下端領域214の深さ位置が異なるので、第2下端領域205と第4下端領域214とを容易に分離でき、また、電流経路を確保しやすくなる。
【0188】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0189】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0190】
10・・・半導体基板、11・・・ウェル領域、12・・・エミッタ領域、14・・・ベース領域、15・・・コンタクト領域、16・・・蓄積領域、18・・・ドリフト領域、20・・・バッファ領域、21・・・上面、22・・・コレクタ領域、23・・・下面、24・・・コレクタ電極、29・・・直線部分、30・・・ダミートレンチ部、31・・・先端部、32・・・ダミー絶縁膜、34・・・ダミー導電部、38・・・層間絶縁膜、39・・・直線部分、40・・・ゲートトレンチ部、41・・・先端部、42・・・ゲート絶縁膜、44・・・ゲート導電部、45・・・トレンチ、52・・・エミッタ電極、54・・・コンタクトホール、60、61・・・メサ部、70・・・トランジスタ部、80・・・ダイオード部、81・・・延長領域、82・・・カソード領域、90・・・エッジ終端構造部、100・・・半導体装置、130・・・外周ゲート配線、131・・・活性側ゲート配線、160・・・活性部、162・・・端辺、164・・・ゲートパッド、202・・・第1下端領域、204・・・分離領域、205・・・第2下端領域、207・・・第3下端領域、212・・・ソース領域、214・・・第4下端領域、222・・・ドレイン領域、252・・・ソース電極、300・・・マスク